特許訂正審判
2024-390158
インクジェット記録方法
- 審判番号
- 2024-390158
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-072249外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6038831
- 請求日
- 2024年12月19日
- 審決日
- 2025年05月08日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
- 分類
- P141 .851-Y (B41M) / P141 .853-Y (B41M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6038831号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6038831号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、7~11〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続等の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6038831号(以下、「本件特許」という。)は、平成22年8月19に出願した特願2010-183734号の一部が特願2014-72249号として平成26年3月31日に新たに出願され、平成28年11月11日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和6年12月19日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
本件訂正審判の請求以降の手続の概略を以下に示す。
令和6年12月19日 :訂正審判請求書の提出
(訂正特許請求の範囲 添付)
令和7年 2月20日付け:訂正拒絶理由の通知
(以下「本件訂正拒絶理由」という。)
同年 3月27日 :意見書の提出
同日 :手続補正書の提出
第2 令和7年3月27日付け手続補正書による訂正審判の審判請求書の補正及びその適否
1 訂正審判の審判請求書の補正
令和7年3月27日付け手続補正書の補正の内容のうち、訂正の要旨に関する補正は、令和7年3月27日付け審判請求書の訂正事項のうち、訂正事項2を削除する補正である。
2 補正の適否
審判請求書においては、訂正事項として訂正事項1~3を請求していたところ、上記審判請求書の補正は、当該訂正事項のうちの一部の訂正事項である訂正事項2を削除し、訂正事項3を訂正事項2に変更する補正であり、当該補正は、審判請求書の要旨を変更するものではないから、当該補正は適法である。
そして、本件訂正拒絶理由の内容は、補正前の訂正事項2に係る訂正が、本件発明の「活性光線硬化型インクジェットインクのゲル化温度と記録媒体の表面温度の差」に「15℃」を含まれるようにするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとはいえないというものであるから、当該補正により、本件訂正拒絶理由は解消している。
第3 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6038831号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5、7~11について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
そして、上記第2のとおり、審判請求書の補正は認められたので、その訂正の内容は、令和7年3月27日付けの手続補正により補正された、次の訂正事項1及び2からなるものである。
[訂正事項1]
特許請求の範囲の請求項1に「色材、光硬化性モノマー、光開始剤、重合禁止剤、及び、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有する活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体上に吐出するインクジェット記録方法であって、」と記載されているのを、「色材、光硬化性モノマー、光開始剤、重合禁止剤、及びゲル化剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体上に吐出するインクジェット記録方法であって、前記ゲル化剤は、前記活性光線硬化型インクジェットインクに0.1質量%以上10質量%未満含有され、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5、7~11も同様に訂正する)。
[訂正事項2]
特許請求の範囲の請求項1に「前記活性光線硬化型インクジェットインクのゲル化温度と記録媒体の表面温度の差を5~15℃に制御することを特徴とするインクジェット記録方法。」と記載されているのを、「前記活性光線硬化型インクジェットインクのゲル化温度と記録媒体の表面温度の差を5~15℃に制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
ここで前記ゲル化温度は、コーンプレートを使用したストレス制御型レオメータ(PhysicaMCRシリーズ、Anton Paar社製)を用いて、得られる粘度曲線から求める。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5、7~11も同様に訂正する)。
なお、訂正前の請求項2~5、7~11は、それぞれ請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用しており、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項2~5、7~11に対応する訂正後の請求項2~5、7~11に係る本件訂正は、特許法126条3項に規定する一群の請求項について請求されたものである。
第4 当合議体の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「ゲル化剤」の含有量について、訂正前の請求項1における
「色材、光硬化性モノマー、光開始剤、重合禁止剤、及び、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有する活性光線硬化型インクジェットインク」
との記載部分における下線を付した部分の記載を、本件特許の明細書の段落【0026】の「すなわち、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有したインク」との記載に基づき、訂正後の請求項1において、
「色材、光硬化性モノマー、光開始剤、重合禁止剤、及び、ゲル化剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体上に吐出するインクジェット記録方法であって、前記ゲル化剤は、前記活性光線硬化型インクジェットインクに0.1質量%以上10質量%未満含有され、」
との記載に改めることからなるものである。
また、訂正後の請求項1に記載されている発明特定事項を直接的に又は間接的に引用して特定される訂正後の請求項2~5、7~11も同様である。
してみると、訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の含有量に関する記載「0.1質量%以上10質量%未満含有する」が「ゲル化剤」に係るものであるのか、「色材、光硬化性モノマー、光開始剤、重合禁止剤、及び、ゲル化剤」に係るものであるのか本件訂正前には明瞭でなかった記載を、「前記ゲル化剤は、前記活性光線硬化型インクジェットインクに0.1質量%以上10質量%未満含有され、」と、「ゲル化剤」に係るものであることを明瞭に示す記載とし、その本来の意味を明らかにするためのものであるといえるから、特許法126条1項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の追加について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)のとおり、訂正前の請求項1に記載された「0.1質量%以上10質量%未満含有する」が「ゲル化剤」に係るものであることを、本件特許の明細書の段落【0026】の「すなわち、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有したインク」との記載に基づき訂正し明確にしたものであるから、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
また、訂正後の請求項1に記載されている発明特定事項を直接的に又は間接的に引用して特定される訂正後の請求項2~5、7~11も同様である。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法126条5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載から、請求項1の含有量に関する記載「0.1質量%以上10質量%未満含有する」が「ゲル化剤」に係るものであるのか、「色材、光硬化性モノマー、光開始剤、重合禁止剤、及び、ゲル化剤」に係るものであるのか明瞭でなかった記載を、「前記ゲル化剤は、前記活性光線硬化型インクジェットインクに0.1質量%以上10質量%未満含有され、」と、「ゲル化剤」に係るものであることを明瞭に示す記載とするものであるから、訂正の前後で請求項1に記載された「ゲル化剤」の含有量の技術的な範囲に実質上の拡張又は変更はなく、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものでもない。
また、訂正後の請求項1に記載されている発明特定事項を直接的に又は間接的に引用して特定される訂正後の請求項2~5、7~11も同様である。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法126条6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)のとおり、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条7項に規定する独立特許要件は課されない。
(5)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条5項及び6項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載の「ゲル化温度」について、
「ここで前記ゲル化温度は、コーンプレートを使用したストレス制御型レオメータ(PhysicaMCRシリーズ、Anton Paar社製)を用いて、得られる粘度曲線から求める。」と、その測定方法を限定するものである。
訂正前の請求項2~5、7~11は、訂正前の請求項1を直接的に又は間接的に引用して特定されていたことより、訂正後の請求項2~5、7~11は、訂正後の請求項1に記載されている発明特定事項を直接又は間接的に引用して特定されることになるから、訂正後の請求項1の訂正と同様に訂正するものであり、請求項1における「ゲル化温度」の測定方法を限定するものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法126条1項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であると認められる。
(2)新規事項の追加について
「活性光線硬化型インクジェットインク」の「ゲル化温度」の測定について、本件特許の明細書の段落【0038】には、「インクのゲル化温度の測定方法は、例えば、各種レオメータ(例えばコーンプレートを使用したストレス制御型レオメータ、PhysicaMCRシリーズ、Anton Paar社製)を用いて、ゾル状態にある高温のインクを低剪断速度で温度変化をさせながら得られる粘度曲線、動的粘弾性の温度変化を測定することで得られる粘弾性曲線から求めることができる。」と記載されている。
そうすると、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
また、訂正後の請求項1に記載されている発明特定事項を直接的に又は間接的に引用して特定される訂正後の請求項2~5、7~11も同様である。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法126条5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更について
訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮のみを目的とするものであって、技術的な範囲に実質上の拡張又は変更はなく、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものでもない。
また、訂正後の請求項1に記載されている発明特定事項を直接的に又は間接的に引用して特定される訂正後の請求項2~5、7~11も同様である。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法126条6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
前記(1)で述べたとおり、訂正事項2に係る訂正は、特許法126条1項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるから、同条7項に規定する、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないとの要件(いわゆる独立特許要件)を満たす必要があるところ、当該訂正後の請求項1~5、7~11に係る発明について、新規性及び進歩性欠如の理由に関して、見直すべき新たな事情は存在せず、当該訂正により同法36条4項1号及び6項(4号を除く。)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法126条7項の規定に適合する。
(5)小括
以上のとおりであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法126条1項ただし書1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同法126条5項から7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法126条1項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条5項から7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-390158