特許訂正審判
2024-390089
情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報再生装置及び方法、情報記録再生装置及び方法、記録又は再生制御用のコンピュータプログラム、並びに制御信号を含むデータ構造
- 審判番号
- 2024-390089
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2002-009627
- 登録番号
- 3659498
- 請求日
- 2024年08月14日
- 審決日
- 2025年02月04日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】パイオニア 株式会社
- 【請求人代理人】塩月 秀平
- 【請求人代理人】岡田 誠
- 【請求人代理人】▲高▼梨 義幸
- 【請求人代理人】齋藤 真司
- 【請求人代理人】吉井 将太郎
- 【請求人代理人】大石 幸雄
- 【請求人代理人】阪 和之
- 【請求人代理人】田原 拓永
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 坂本 聡生
- 審判官 伊藤 隆夫
- 分類
- P141 .851-Y (H04N) / P141 .856-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第3659498号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第3659498号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9、11、12〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第3659498号(以下「本件特許」という。)は、2002年(平成14年)1月18日を出願日とする特願2002-009627号の請求項1~13に係る発明について、平成17年3月25日に特許権の設定登録がなされ、令和4年1月18日に特許権の存続期間満了によって権利登録が抹消されたものである。その後の主な手続きの経緯は、以下のとおりである。
令和5年2月16日 :訂正審判の請求(訂正2023-39001
9)
同年8月 1日付け:特許請求の範囲の訂正を認める審決
令和6年8月14日 :本件訂正審判の請求
同日 :上申書(添付書類:令和6年6月19日付け
判決)の提出
なお、本件特許に関し、東京地方裁判所における損害賠償等請求事件(令和4年(ワ)第15703号)において特許無効の抗弁がされ、令和6年6月19日に本件特許の請求項6に係る特許は特許無効審判により無効とされるべき事由がある旨判示する判決が言い渡された。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第3659498号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9、11、12〕について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである。(下線部分は訂正箇所を示す。)
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「 前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイルと
を備えており、」
とあるのを、
「 前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイルと
を備えており、
前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であり、
前記情報集合は、プレイリスト情報を含まず、」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3、6~9、11及び12も同様に訂正する)。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項2、3、6~9、11、12は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~3、6~9、11、12に対応する訂正後の請求項1~3、6~9、11、12は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 訂正前と訂正後の発明
訂正前の特許請求の範囲の請求項1~3、6~9、11、12に係る発明(以下「訂正前発明」という。)及び訂正後の特許請求の範囲の請求項1~3、6~9、11、12に係る発明(以下「訂正後発明」という。)は次のとおりである。下線は訂正の箇所である。
A~Hは、構成要件を区別するために当審で付与したものであり、以下、「構成要件A」~「構成要件H」という。
(1) 訂正前発明
【請求項1】
A 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、
B 一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータファイルと、
C 該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納するプレイリスト情報ファイルと、
D 前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイルと
E を備えており、
F 前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される
A ことを特徴とする情報記録媒体。
「【請求項2】
前記ディスク情報ファイルは、前記複数の情報集合をタイトル別にテーブル形式で格納することを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記オブジェクトデータは、前記コンテンツ情報から夫々構成される複数の部分ストリームを含んでなる全体ストリームが、物理的にアクセス可能な単位であると共に前記コンテンツ情報の断片を夫々格納するパケット単位で多重化されてなり、
前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための他の再生制御情報として、多重化される複数のパケットと前記複数の部分ストリームとの対応関係を定義する対応定義情報を格納するオブジェクト情報ファイルを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。」
「【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体から前記記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報再生装置であって、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取手段と、
該読取手段により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取手段により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする情報再生装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体から前記記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報再生方法であって、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取工程と、
該読取工程により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取工程により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生工程と
を備えたことを特徴とする情報再生方法。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体に前記タイトルを一又は複数記録し且つ該記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報記録再生装置であって、
前記オブジェクトデータファイルを記録する第1記録手段と、
前記プレイリスト情報ファイルを記録する第2記録手段と、
前記ディスク情報ファイルを記録する第3記録手段と、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取手段と、
該読取手段により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取手段により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体に前記タイトルを一又は複数記録し且つ該記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報記録再生方法であって、
前記オブジェクトデータファイルを記録する第1記録工程と、
前記プレイリスト情報ファイルを記録する第2記録工程と、
前記ディスク情報ファイルを記録する第3記録工程と、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取工程と、
該読取工程により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取工程により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生工程と
を備えたことを特徴とする情報記録再生方法。」
「【請求項11】
請求項6記載の情報再生装置に備えられたコンピュータを制御する再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記再生手段の少なくとも一部として機能させる再生制御用のコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項8記載の情報記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記第1記録手段、前記第2記録手段、前記第3記録手段及び前記再生手段の少なくとも一部として機能させる記録再生制御用のコンピュータプログラム。」
(2) 訂正後発明
【請求項1】
A 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、
B 一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータファイルと、
C 該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納するプレイリスト情報ファイルと、
D 前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイルと
E を備えており、
G 前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であり、
H 前記情報集合は、プレイリスト情報を含まず、
F 前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される
A ことを特徴とする情報記録媒体。
「【請求項2】
前記ディスク情報ファイルは、前記複数の情報集合をタイトル別にテーブル形式で格納することを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記オブジェクトデータは、前記コンテンツ情報から夫々構成される複数の部分ストリームを含んでなる全体ストリームが、物理的にアクセス可能な単位であると共に前記コンテンツ情報の断片を夫々格納するパケット単位で多重化されてなり、
前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための他の再生制御情報として、多重化される複数のパケットと前記複数の部分ストリームとの対応関係を定義する対応定義情報を格納するオブジェクト情報ファイルを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。」
「【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体から前記記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報再生装置であって、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取手段と、
該読取手段により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取手段により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする情報再生装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体から前記記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報再生方法であって、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取工程と、
該読取工程により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取工程により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生工程と
を備えたことを特徴とする情報再生方法。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体に前記タイトルを一又は複数記録し且つ該記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報記録再生装置であって、
前記オブジェクトデータファイルを記録する第1記録手段と、
前記プレイリスト情報ファイルを記録する第2記録手段と、
前記ディスク情報ファイルを記録する第3記録手段と、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取手段と、
該読取手段により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取手段により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体に前記タイトルを一又は複数記録し且つ該記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報記録再生方法であって、
前記オブジェクトデータファイルを記録する第1記録工程と、
前記プレイリスト情報ファイルを記録する第2記録工程と、
前記ディスク情報ファイルを記録する第3記録工程と、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取工程と、
該読取工程により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取工程により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生工程と
を備えたことを特徴とする情報記録再生方法。」
「【請求項11】
請求項6記載の情報再生装置に備えられたコンピュータを制御する再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記再生手段の少なくとも一部として機能させる再生制御用のコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項8記載の情報記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記第1記録手段、前記第2記録手段、前記第3記録手段及び前記再生手段の少なくとも一部として機能させる記録再生制御用のコンピュータプログラム。」
3 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1における構成要件Dの「プレイリスト指定情報」を含む「情報集合」であって、「複数格納」される「情報集合」について、構成要件Gの追加により、当該「複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であ」ることを特定するとともに、構成要件Hの追加により、当該「情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないことを特定しようとするものであるから、訂正前の請求項1及び訂正前の請求項1を引用する請求項2、3、6~9、11、12を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
4 新規事項の追加の有無について
(1) 願書に添付された明細書及び図面の記載
願書に添付された明細書及び図面には、以下のような記載がある。
なお、下線は、後の参照のために、当審で付したものである。
ア 「【0062】
本実施形態では特に、後に詳述するように、タイトル情報テーブル114は、プレイリスト指定情報並びにプリコマンド及びポストコマンドを含んでなる情報集合の一例としてのタイトルプレイリスト(図8(a)参照)を、タイトル別のテーブル形式で複数格納してなる(図17、図18等参照)。」
イ 「【0078】
尚、タイトルプレイリスト115は、図3に示したディスク情報ファイル110内に、タイトル情報テーブル114の形式で格納されている。これに対して、プレイリスト126は、図3において、ディスク情報ファイル110内ではなく、プレイリスト情報ファイル120内に、プレイリスト情報テーブル121の形式で格納されている。そして、複数のタイトルプレイリスト115と複数のプレイリスト126とは、光ディスク100上において別々の領域に夫々まとめて記録されている。
【0079】
図7及び図8(a)に示すように、各タイトルプレイリスト115は、タイトルプレイリスト#m(タイトルプレイリスト番号)で識別されている(但し、m=1、2、…)。そして各タイトルプレイリスト115は、複数のプレイリスト126のうち再生すべき特定のプレイリスト126を、その番号で指定するプレイリスト指定情報の一例として、プレイリスト#n(プレイリスト番号)を指定する情報を含む(但し、n=1、2、…)。更に、タイトルプレイリスト115は、この特定のプレイリスト126の再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド116及び、この特定のプレイリスト126の再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド117を含む。」
ウ 「【0081】
そして、異なるタイトルプレイリスト#mが付与されたタイトルプレイリスト115によって、同一プレイリスト#nが付与されたプレイリスト126を指定することで、上述したプレイリスト126の使い回しが可能とされている。更に、同一プレイリスト126を指定する場合でも、プリコマンド116又はポストコマンド117を変えることにより、異なるタイトル200を構成することも可能となる。」
エ 図3には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000001.jpg]
」
オ 図7には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000002.jpg]
」
カ 図8には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000003.jpg]
」
(2) 訂正後発明の構成要件G、Hについて
ア 上記(1)イの段落【0079】における「各タイトルプレイリスト115は、タイトルプレイリスト#m(タイトルプレイリスト番号)で識別され・・・そして各タイトルプレイリスト115は、・・・プレイリスト指定情報の一例として、プレイリスト#n(プレイリスト番号)を指定する情報を含む」の記載から、各タイトルプレイリスト115は、タイトルプレイリスト#m(タイトルプレイリスト番号)で識別され、プレイリスト指定情報を含む。
イ 上記(1)ウの段落【0081】における「異なるタイトルプレイリスト#mが付与されたタイトルプレイリスト115によって、同一プレイリスト#nが付与されたプレイリスト126を指定すること」の記載から、上記アの検討を踏まえれば、異なるタイトルプレイリスト#mが付与されたタイトルプレイリストは、プレイリスト指定情報を含み、同一のプレイリストを指定可能といえる。
ウ 上記(1)アの段落【0062】における「情報集合の一例としてのタイトルプレイリスト」の記載によれば、「タイトルプレイリスト」は「情報集合」であり、上記(1)イの段落【0078】の「プレイリスト126は、・・・プレイリスト情報ファイル120内に、プレイリスト情報テーブル121の形式で格納されている」の記載によれば、「プレイリスト」は「プレイリスト情報」といえる。
エ 上記イより、上記ウの検討を踏まえれば、異なるタイトルプレイリスト#mが付与された情報集合は、プレイリスト指定情報を含み、同一のプレイリスト情報を指定可能といえる。
オ 上記エで検討した「異なるタイトルプレイリスト#mが付与された情報集合」のいずれか2つを「第1の情報集合」、「第2の情報集合」と称すると、複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能ということができる。
カ 上記(1)イの段落【0078】における「タイトルプレイリスト115は、図3に示したディスク情報ファイル110内に、タイトル情報テーブル114の形式で格納されている。これに対して、プレイリスト126は、図3において、ディスク情報ファイル110内ではなく、プレイリスト情報ファイル120内に、プレイリスト情報テーブル121の形式で格納されている。そして、複数のタイトルプレイリスト115と複数のプレイリスト126とは、光ディスク100上において別々の領域に夫々まとめて記録されている」の記載によれば、タイトルプレイリストとプレイリストは、異なるファイル内に異なるテーブルの形式で格納され、別々の領域に夫々まとめて記録されるから、上記ウの検討を踏まえれば、情報集合はプレイリスト情報を含まないといえる。
キ 上記オ、カより、願書に添付された明細書には、訂正後発明における構成要件G、Hの「前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であり、前記情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないことが記載されている。
したがって、訂正事項1は願書に添付された明細書の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
5 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1に係る訂正は、上記3のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
6 独立特許要件について
訂正事項1は、上記3のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、訂正後における特許請求の範囲の請求項1~3、6~9、11、12に記載される事項により特定される発明が特許法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。
(1) 特許無効の抗弁
本件特許については、上記第1の「経緯」で述べたとおり、東京地方裁判所において損害賠償等請求事件(令和4年(ワ)第15703号、以下「別件侵害訴訟」という。)において特許無効の抗弁がされ、令和6年6月19日に本件特許の請求項6に係る特許は特許無効審判により無効とされるべき事由がある旨判示する判決が言い渡されたところである。
審判請求人が令和6年8月14日に提出した上申書に添付した別件侵害訴訟の判決によれば、別件侵害訴訟で争点となった本件特許に係る特許無効の抗弁は、概略次のとおりである。
ア 無効の抗弁1:本件特許の請求項1を引用する請求項6に係る発明についての、乙8文献(特開2000-82276号公報)に記載された発明と同一であることによる新規性欠如。
イ 無効の抗弁2:本件特許の請求項1を引用する請求項6に係る発明についての、乙9文献(特開2001-143269号公報)に記載された発明を主引例とする進歩性欠如。
ウ 無効の抗弁3:新規性及び進歩性に欠けているため訂正は違法とする訂正要件違反。
そこで、別件侵害訴訟における無効の抗弁1~3の理由によって、本件訂正後発明が独立特許要件を満たさないこととなるか否かを、以下、検討する。
(2) 本件訂正後発明
本件訂正後の請求項1~3、6~9、11、12に係る発明は、上記2「訂正前と訂正後の発明」における(2)「訂正後発明」に記載したとおりである。
(3) 乙8文献、乙9文献に記載された発明
(3-1) 乙8文献の記載事項
乙8文献である特開2000-82276号公報には以下の記載がある。(下線は当審において付した。)
ア 「【0013】図1はこの発明の一実施の形態に係るディスク記録再生装置の全体的な構成図である。図2には、図1の光ディスク(DVD-RAM)のデータ記録領域とそこに記録されるデータの記録トラックとの対応関係を示し、図3には図2の光ディスクに記録されている情報(データ記録エリア又はDVDビデオのボリウム空間の内容)の階層構造の一例を示している。
【0014】まず、光ディスクについて説明する。図2において、光ディスク10は、記録層17が設けられた一対の透明基板14を接着層20で貼り合わせた構造である。各基板14は0.6mm厚のポリカーボネイトで成形されており、接着層20は例えば40μm厚の紫外線硬化性樹脂で構成されている。これら一対の基板14を、記録層17が接着層20の面上で接触するように貼り合わせ、1.2mm厚の大容量光ディスク10が構成されている。22は中心穴であり、24はクランプエリアである。25は情報エリアであり、26はリードアウトエリア、27はリードインエリア、28はデータ記録エリアである。情報エリア25の記録層には記録トラックが例えばスパイラル状に連続して形成されている。連続トラックは物理セクタに分割され、このセクタには連続番号が付されている。このセクタを記録単位としている。
【0015】図3において、ディスク10がDVD-RAM(またはDVD-R)の場合は、ディスク10はカートリッジに収納される。DVD-RAMディスク10がカートリッジ11に収納された状態でディスク記録再生装置に装填され、カートリッジ11が引き出されると、ディスク10のみが記録再生装置内に残るようになっている。記録層17のデータ記録トラックは、一定記憶容量の複数論理セクタ(最小記録単位)に分割され、この論理セクタを基準に出たが記録されている。1つの論理セクタの記録容量は、1パックデータ長と同じ2048バイトに決められている。
【0016】図4は情報エリア25の構造を有している。この構造の論理フォーマットは、たとえば標準規格の1つであるISO9660およびユニバーサルディスクフォーマット(UDF)ブリッジに準拠して定められている。
【0017】データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は、ボリュームおよびファイル構造の情報のための空間(ボリューム/ファイル構造)と、DVD規格のアプリケーションのための空間(DVDビデオ領域)と、この規格のアプリケーション以外のための空間(他記録エリア)を含む。ボリュームスペース28は、多数のセクタに物理的に分割され、物理的セクタには連続番号が付される。このボリュームスペース28に記録されるデータの論理アドレスは、ISO9660およびUDFブリッジで定められるように、論理セクタ番号を意味している。ここでの論理セクタサイズは、物理セクタの有効データサイズと同様に、2048バイトである。論理セクタ番号は、物理セクタ番号の昇順に対応して連続番号が付加され。なお、論理セクタと異なり、物理セクタにはエラー訂正情報等の冗長な情報が付加されている。
【0018】ボリュームスペース28は階層構造を有しており、ボリューム/ファイル構造領域、1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域、および他の記録領域を含む。これら領域は、論理セクタの境界上で区分されている。1論理セクタは2048バイトと定義され、1論理ブロックも2048バイトと定義される。したがって、1論理セクタは1論理ブロックと対等に定義される。
・・・
【0021】各ビデオタイトルセットVTSには、MPEG規格により圧縮されたビデオデータ(後述するビデオパック)、所定規格により圧縮されあるいは非圧縮のオーディオデータ(後述するオーディオパック)、およびランレングス圧縮された副映像データ(後述する副映像パック;1画素が複数ビットで定義されたビットマップデータを含む)とともに、これらのデータを再生するための情報(後述するナビゲーションパック;プレゼンテーション制御情報PCIおよびデータサーチ情報DSIを含む)が格納されている。
【0022】ビデオタイトルセットVTSも、ビデオマネージャーVMGと同様に、複数のファイルで構成される。各ファイルは、ビデオタイトルセット情報VTSI、ビデオタイトルセットメニュー用オブジェクトセットVTSM_VOBS、ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBS、ビデオタイトルセット情報のバックアップVTSI_BUPを含んでいる。
・・・
【0024】ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSは、1以上のビデオオブジェクトVOBの集まりを定義している。各VOBは1以上のセルの集まりを定義している。そして、1以上のセルの集まりによって、プログラムチェーンPGCが構成される。
・・・
【0026】図5は、光ディスク10に記録される情報(データファイル)のディレクトリ構造を例示している。ルートディレクトリの下にビデオタイトルセットVTSのサブディレクトリとオーディオタイトルセットATSのサブディレクトリが繋がっている。そして、ビデオタイトルセットVTSのサブディレクトリ中に、種々なビデオファイル(VMGI、VMGM、VTSI、VTSM、VTS等のファイル)が配置されて、各ファイルが整然と管理されるようになっている。特定のファイル(たとえば特定のVTS)は、ルートディレクトリからそのファイルまでのパスを指定することで、アクセスできる。
【0027】DVDーRAM(DVDーRW)ディスク10またはDVDーRディスク10は、上記のディレクトリ構造を持つようにプリフォーマットしておき、このプリフォーマット済みディスク10をDVDビデオ録画用の未使用ディスク(生ディスク)として市販することができる。」
イ 「【0032】図6は、ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSに含まれる情報の階層構造を示す。
【0033】各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成される。そして、各VOBUは、ナビゲーションパック(NVパック)を先頭としビデオパック(Vパック)、副映像パック(SPパック)およびオーディオパック(Aパック)の集合体(パック列)として構成されている。すなわち、VOBUは、あるNVパックから次のNVパックの直前まで記録される全パックの集まりとして定義される。
・・・
【0041】上記のようにビデオファイルは、階層構造となっており、1つのファイルは複数のプログラムチェーンで構成され、1つのプログラムチェーンは、複数のプログラムで構成されており、1つのプログラムは、複数のセルで構成され、1つのセルは、複数のビデオオブジェクトユニットで構成されている。また、VOBUは、複数の様々な種類のデータからなっているパックによって構成されている。パックは1つ以上のパケットとパックヘッダで構成されている。
【0042】また、このビデオオブジェクト(VOB)は、PGC単位で管理データPGCIに対応している。このPGCI内には、セルを管理するセル再生情報テーブル(C_PBIT)をもち、このセル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され、実際のセルの再生アドレスは、C_PBIT内のセル再生情報(C_PBI)として記録されている。」
ウ 「【0066】VTSの先頭に配置されたビデオタイトルセット情報VTSIには、ビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT;必須)と、ビデオタイトルセットのパートオブタイトル(たとえばプログラムのチャプター)用のタイトルサーチポインタテーブル(VTS_PTT_SRPT;必須)と、ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブル(VTS_PGCIT;必須)と、ビデオタイトルセットメニュー用のプログラムチェーン情報ユニットテーブル(VTSM_PGCI_UT;VTSM_VOBSが存在するときは必須)と、ビデオタイトルセットタイムマップテーブル(VTS_TMAPT;オプション)と、ビデオタイトルセットメニュー用のセルアドレステーブル(VTSM_C_ADT;VTSM_VOBSが存在するときは必須)と、ビデオタイトルセットメニュー用のビデオオブジェクトユニットアドレスマップ(VTSM_VOBU_ADMAP;VTSM_VOBSが存在するときは必須)と、ビデオタイトルセットセルアドレステーブル(VTS_C_ADT;必須)と、ビデオタイトルセット用のビデオオブジェクトユニットアドレスマップ(VTS_VOBU_ADMAP;必須)とが、この順番で記述されている。
・・・
【0070】図13は、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報テーブルVTSI_PGCITの内容を示す。
【0071】このビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報テーブル情報(VTS_PGCITI)と、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタ(VTS_PGCI_SRP#1~VTS_PGCI_SRP#n)と、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報(VTS_PGCI)とが含まれている。
【0072】なお、複数設けられたビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIの順序は、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP#1~VTS_PGCI_SRP#nの順序と無関係に設定されている。したがって、たとえば同一のプログラムチェーン情報VTS_PGCIを1以上のプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRPで指し示すことが可能となっている。
【0073】図14は、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIの内容を示す。プログラムチェーン情報(PGCI)は、プログラムチェーン一般情報(PGC_GI;必須)、プログラムチェーンコマンドテーブル(PGC_CMDT;オプション)、プログラムチェーンプログラムマップ(PGC_PGMAP;次のC_PBITが存在するときは必須)、セル再生情報テーブル(C_PBIT;オプション)、およびセル位置情報テーブル(C_POSIT;前記C_PBITが存在するときは必須)によって構成されている。
【0074】図15は、セル再生情報テーブルC_PBITの内容を示す。
このセル再生情報テーブルC_PBITは、最大255個のセル再生情報(C_PBIn;#n=#1~#255)を含んでいる。」
エ 「【0093】図18は、プログラムチェーン一般情報PGC_GIの内容を示す。
【0094】プログラムチェーン一般情報PGC_GIには、プログラムチェーンの内容(PGC_CNT)と、プログラムチェーンの再生時間(PGC_PB_TM)と、プログラムチェーンのユーザ操作制御情報(PGC_UOP_CTL)と、プログラムチェーンオーディオストリームの制御テーブル(PGC_AST_CTLT)と、プログラムチェーン副映像ストリームの制御テーブル(PGC_SPST_CTLT)と、プログラムチェーンのナビゲーション制御情報(PGC_NV_CTL)と、プログラムチェーンの副映像パレット(PGC_SP_PLT)と、プログラムチェーンのコマンドテーブルの開始アドレス(PGC_CMDT_SA)と、プログラムチェーンのプログラムマップの開始アドレス(PGC_PGMAP_SA)と、プログラムチェーン内のセルの再生情報テーブルの開始アドレス(C_PBIT_SA)と、プログラムチェーン内のセルの位置情報テーブルの開始アドレス(C_POSIT_SA)とが記載されている。
・・・
【0102】プログラムチェーンのコマンドテーブルの開始アドレスPGC_CMDT_SAは、PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである。」
オ 図2には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000004.jpg]
」
カ 図4には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000005.jpg]
」
キ 図6には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000006.jpg]
」
ク 図13には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000007.jpg]
」
ケ 図14には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000008.jpg]
」
コ 図15には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000009.jpg]
」
サ 図18には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000010.jpg]
」
(3-2) 乙8文献に記載された発明
ア 上記(3-1)のア、オ、カから、乙8文献には、光ディスク10に関して、
ディスク記録再生装置に装填されるディスク10であって、(【0014】、【0015】)、
DVD-RAM(DVD-RW)ディスクまたはDVD-Rディスクである光ディスク10のデータ記録領域として、データ記録エリア28があり、(【0013】、【0014】、【0027】、図2)
データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域を含み、各ビデオタイトルセットVTSには、ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データとともに、これらのデータを再生するための情報が格納されている(【0017】、【0018】、【0021】、図4)
ことが記載されているといえる。
イ 上記(3-1)のア、イ、カ、キから、乙8文献には、
1以上のビデオタイトルセットVTSは、複数のファイルで構成され、(【0018】、【0022】、図4)
各ファイルは、ビデオタイトルセット情報VTSI、ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSを含んでおり、VTSのサブディレクトリ中に、ファイルVTSIが配置され、(【0022】、【0026】、図4)
VTSTT_VOBSは、1以上のビデオオブジェクトVOBの集まりを定義し、各VOBは1以上のセルの集まりを定義し、1以上のセルの集まりによってプログラムチェーンPGCが構成され、(【0024】、図4、図6)、
VTSTT_VOBSに含まれる情報として、各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成され、各VOBUは、ナビゲーションパックを先頭としビデオパック、副映像パックおよびオーディオパックの集合体として構成されている(【0032】、【0033】、図6)
ことが記載されているといえる。
次に、上記(3-1)のイ、ウ、ク、ケ、コから、乙8文献には、
VOBは、PGC単位で管理データPGCIに対応し、PGCI内には、セルを管理するセル再生情報テーブルC_PBITをもち、このセル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され、実際のセルの再生アドレスは、C_PBIT内のセル再生情報C_PBIとして記録されており、(【0042】、図15)
C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでいる(【0074】)
といえ、
ここで、VTSIにはビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITが記述されており、(【0066】、図13) VTS_PGCITには、複数設けられたビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれており、(【0071】、【0072】、図13)
各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI、プログラムチェーンコマンドテーブルPGC_CMDT、プログラムチェーンプログラムマップPGC_PGMAP、セル再生情報テーブルC_PBITおよびセル位置情報テーブルC_POSITによって構成されている(【0073】、図14)
ことが記載されているといえる。
したがって、乙8文献には、セル再生順番の情報に関して、
VTSIに記述されているビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれており、
VOBは、PGC単位で管理データPGCIに対応し、PGCI内には、セルを管理するセル再生情報テーブルC_PBITをもち、
各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI、プログラムチェーンコマンドテーブルPGC_CMDT、プログラムチェーンプログラムマップPGC_PGMAP、セル再生情報テーブルC_PBITを含んでおり、C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでおり、セルの再生アドレスは、C_PBIに記録されており、セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生される
ことが記載されているといえる。
ウ 上記(3-1)のウ、エ、ク、サから、乙8文献には、
VTS_PGCITには、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP#1~VTS_PGCI_SRP#nが含まれており、複数設けられたVTS_PGCIをVTS_PGCI_SRPで指し示すものであって、同一のVTS_PGCIを1以上のVTS_PGCI_SRPで指し示すことが可能であり、(【0071】、【0072】、図13)
PGC_GIには、プログラムチェーンのコマンドテーブル、すなわち、PGC_CMDTの開始アドレスPGC_CMDT_SAが記載され、(【0094】、図18)
PGC_CMDT_SAは、PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである、(【0102】)
ことが記載されているといえる。
上記ア~ウ及び(3-1)オ~サの図2ないし図18を総合勘案すると、乙8文献には以下の発明(以下、「乙8発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ディスク記録再生装置に装填される光ディスク10であって、
DVD-RAM(DVD-RW)ディスクまたはDVD-Rディスクである光ディスク10のデータ記録領域として、データ記録エリア28があり、データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域を含み、各ビデオタイトルセットVTSには、ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データとともに、これらのデータを再生するための情報が格納されており、
1以上のビデオタイトルセットVTSは、ビデオタイトルセット情報VTSI、ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSを含んでおり、VTSは複数のファイルで構成され、VTSのサブディレクトリ中にファイルVTSIが配置され、
VTSTT_VOBSは、1以上のビデオオブジェクトVOBの集まりを定義し、各VOBは1以上のセルの集まりを定義し、1以上のセルの集まりによってプログラムチェーンPGCが構成され、
VTSTT_VOBSに含まれる情報として、各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成され、各VOBUは、ナビゲーションパックを先頭としビデオパック、副映像パックおよびオーディオパックの集合体として構成され、
VTSIに記述されているビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれており、
VOBは、PGC単位で管理データPGCIに対応し、PGCI内には、セルを管理するセル再生情報テーブルC_PBITをもち、
各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI、プログラムチェーンコマンドテーブルPGC_CMDT、プログラムチェーンプログラムマップPGC_PGMAP、セル再生情報テーブルC_PBITを含んでおり、C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでおり、セルの再生アドレスは、C_PBIに記録されており、セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され、
VTS_PGCITには、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRPが複数含まれており、複数設けられたVTS_PGCIをVTS_PGCI_SRPで指し示すものであって、同一のVTS_PGCIを1以上のVTS_PGCI_SRPで指し示すことが可能であり、PGC_GIには、PGC_CMDTの開始アドレスPGC_CMDT_SAが記載され、
PGC_CMDT_SAは、PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである、
光ディスク。」
(3-3)乙9文献の記載事項
乙9文献である特開2001-143269号公報には以下の記載がある。(下線は合議体が付した。)
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報信号が記録された光ディスクに関し、中でも光ディスクにディジタル動画データ、オーディオデータ、グラフィックスデータを含むオブジェクトを記録する光ディスク記録方法に関する。」
イ 「【0030】(1.1)光ディスクの論理構造
図3はディスクの論理構造を示す図である。図3においては、物理セクタはセクタアドレスにより昇順に配置されており、セクタアドレスに含まれる識別情報により上部からリードイン領域と、リードイン領域に続いてボリューム領域と、ボリューム領域に続いてリードアウト領域と大別される。
・・・
【0032】図3に示すように、ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割される。・・・
【0033】図4はファイル領域の説明図である。図4に示すように、ファイル領域にはビデオマネージャ(Video Manager)と複数のビデオタイトルセット(Video TitleSet)が格納される。これらは複数の連続ファイルからなり上記のファイルシステム管理情報により、記録箇所が算出される。このように連続ファイルである理由は、動画データのデータサイズは膨大であり、これを一本のファイルにすると、そのファイルサイズが1GBを越えてしまうからである。
【0034】ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納する。映画アプリケーションにおいてグループ化される複数のタイトルとは、同一映画の劇場公開版やノーカット版がある場合がこれに相当する。何故なら劇場公開版やノーカット版といったタイトルは共有する映像データが多いため、グループ化して管理するほうが効率良く映像を活用できるからである。」
ウ 「【0038】ビデオマネージャには複数のビデオタイトルセットに格納される全てのタイトルから、ユーザが再生すべきタイトルを選択するためのメニューに関する情報が格納される。以下、ビデオタイトルセット及びビデオマネージャについて詳細を説明する。
(1.1.1)論理構造-ビデオタイトルセット
図5はビデオタイトルセットのデータ構造の説明図である。
【0039】ビデオタイトルセットは、複数のビデオオブジェクト(VOB:Video Object)と、複数のビデオオブジェクトの再生順序を管理するビデオタイトルセット管理情報とを格納する。
(1.1.1.1)ビデオタイトルセット-ビデオオブジェクト(VOB)『ビデオオブジェクト(VOB)』はディジタル動画、ディジタル音声、イメージデータ、これらの管理情報を含むことによりマルチメディア化されたデータである。尚、本例はインタラクティブソフト『推理ゲーム』であるから、図5に示される個々のVOB#1、2、3、4・・・・は、操作者の操作指示によって関係者に質問するシーン、事件現場を捜索するシーン、容疑者を尾行するシーン等、各々が映像のワンシーン等に相当する。
【0040】『ビデオオブジェクト(VOB)』のデータ構造は、複数のVOBユニット(VOBU)が先頭から時系列順に配列された構成を持つ。VOBユニット(VOBU)は、約0.5秒~約1.0秒程度の再生データであり、図5の矢印先に詳細構成を示すように、管理情報パック、動画パック、オーディオパックA~C、副映像パックA~Bといった、複数種別のパックデータより構成される。パックデータはそれぞれ2KByteのデータサイズであり、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になる。また、これら種類別に再統合されたディジタルデータ列をエレメンタリストリームと称し、VOBを複数のエレメンタリストリームから構成されるプログラムストリーム、あるいはシステムストリームと称することもある。」
エ 「【0080】(1.1.1.2)ビデオタイトルセット-ビデオタイトルセット管理情報
ビデオタイトルセット管理情報は、上述したビデオオブジェクト群の複数の再生順序を管理する情報が格納される。DVDではビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータをプログラムチェーン(PGC)と称する。すなわち、本例の『推理ゲーム』を格納するビデオタイトルセットであれば、ビデオタイトルセット管理情報は、初級、中級、上級の各コースが選択された場合にどういうようにシーン展開すべきかを規定するプログラムチェーン(PGC)が複数格納されることになる。
【0081】図16はビデオタイトルセット管理情報の内部構造を示す図である。図16の参照符号a5が示すように、ビデオタイトルセット管理情報は、ビデオタイトルセット管理テーブル、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルから構成される。『ビデオタイトルセット管理テーブル』は、ビデオタイトルセット管理情報のヘッダ情報であり、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルの格納位置へのポインタが格納されている。
【0082】『ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル』は、PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定する。本例であれば、『推理ゲーム』における初級、中級、上級の各コースと、エントリとなるPGC情報とを対応づけて格納している。
【0083】『PGC管理情報テーブル』は、参照符号a6に示すように、ビデオタイトルセットに格納される全てのビデオオブジェクトに対する複数のPGC情報#1,#2,#3,#4・・・・・#nを格納している。各PGC情報は1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており、異なるPGC情報により同一のビデオオブジェクトの再生を記述することも可能である。このため、同一のビデオオブジェクトに対して複数の再生順序を指定することが可能になる。例えば、図5のビデオタイトルセットを例に説明すれば、PGC情報にビデオオブジェクトの再生順序がVOB#1、VOB#2、VOB#3、VOB#4の順序で記述されていれば、ビデオオブジェクトはVOB#1、VOB#2、VOB#3、VOB#4の順序で再生される。また別のPGC情報にビデオオブジェクトの再生順序がVOB#3、VOB#2、VOB#1、VOB#4の順序で記述されていれば、ビデオオブジェクトはVOB#3、VOB#2、VOB#1、VOB#4の順序で再生される。本例の『推理ゲーム』では、異なるPGCを用意することによりビデオオブジェクトに複数の再生順序を指定できる特徴を利用し、異なるストーリ展開を、ストーリ毎に異なるPGCを用意することにより実現している。
【0084】次に、PGC情報のデータ構造について以下説明する。
(1.1.1.2.1)ビデオタイトルセット管理情報-PGC情報
参照符号a6に示すようにPGC情報は、参照符号a9に示す『PGC連結情報』と、参照符号a7に示す『VOB位置情報テーブル』と、参照符号a8に示す『PGCコマンドテーブル』とを含んでいる。
【0085】『PGC連結情報』には、自身のPGC情報と連結する前後のPGC情報の指定情報を格納している。ディスク再生装置は1つのPGC情報による再生が完了すれば、『PGC連結情報』に従って、次のPGC情報を決定し、決定したPGC情報に切り替え、再生制御を継続することになる。『VOB位置情報テーブル』には、シーン展開において読み出すべきビデオオブジェクト(VOB)が光ディスク上の何処に記録しているかが記述してある。
【0086】『PGCコマンドテーブル』には、『VOB位置情報テーブル』に付随したナビゲーション制御用のコマンドが格納されている。ディスク再生装置は、『VOB位置情報テーブル』に基づくVOBの読み出し前及び読み出し後にここに記述されたコマンドを実行する。以下『格納ビデオオブジェクト位置情報テーブル』と『PGCコマンドテーブル』のデータ構造についてさらに詳細を説明する。」
オ 「【0087】(1.1.1.2.1.1)PGC情報-VOB位置情報テーブル図17は『VOB位置情報テーブル』及びPGCコマンドテーブルの詳細な内部構成を示している。参照符号a7で示すように、『VOB位置情報テーブル』には、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納されている。各VOBの位置情報は、参照符号a9が示すように対象とするVOBの再生時間、ビデオタイトルセット内の格納位置へのオフセット、VOBを構成する論理ブロック数を示している。これにより、ディスク再生装置はビデオオブジェクト(VOB)の読出時に、ビデオオブジェクト(VOB)が格納されている全ての論理ブロックの論理ブロック番号を算出することができる。
【0088】また、VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序をしめしている。図17の場合、VOB#2位置情報、VOB#4位置情報、VOB#6位置情報、VOB#8位置情報が順に格納されており、これは、この格納順序で連続再生されることを示している。図17を例とした『VOB位置情報テーブル』とビデオオブジェクトの記録箇所との関係を、図18、図20を用いてさらに補足して説明する。
【0089】図18は『VOB位置情報テーブル』とビデオオブジェクトの光ディスク上の記録箇所との関係を模式的に示す図である。また、図20は『VOB位置情報テーブル』によるビデオオブジェクト(VOB)の再生順序を示す説明図である。図18においてVOB#2、VOB#4、VOB#6、VOB#8はハッチングに示されている記録区間y101、y102、y103、y104に格納されている。これらの記録区間の開始位置『START』、終了位置『END』を指示する情報が『VOB位置情報』である。」
カ 「【0090】(1.1.1.2.1.2)PGC情報-PGCコマンドテーブル図17により示されるように『PGCコマンドテーブル』は、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を『前処理コマンド』、『後処理コマンド』の2種類に分類するためのインデックス情報から構成される。コマンドは種類別に連続して格納されており、インデックス情報は、それぞれ前処理コマンド群a11の先頭へのポインタ、後処理コマンド群a12への先頭へのポインタである。
【0091】コマンドの分類は、再生装置によるその実行タイミングにより行われる。『前処理コマンド』はPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、『後処理コマンド』はPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群である。尚、具体的な例を図21に示す。図21は図20が示すPCG情報によるビデオオブジェクトの連続再生が行われる際の、前処理コマンド群a11と後処理コマンド群a12の実行タイミングを示している。
・・・
【0102】以上、ディスク再生装置がPGC情報の前処理コマンドを実行することを『プログラムチェーンが前処理を行う。』と表現し、ディスク再生装置が後処理コマンドを実行することを『プログラムチェーンが後処理を行う。』と表現する。また、PCG情報による、後処理コマンド、前処理コマンドを含むビデオオブジェクトの再生制御は、経路レベルの再生制御という。
」
キ 図3には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000011.jpg]
」
ク 図4には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000012.jpg]
」
ケ 図5には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000013.jpg]
」
コ 図16には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000014.jpg]
」
サ 図17には以下の記載がある。
「
[図:0001422332000015.jpg]
」
(3-4)乙9文献に記載された発明
ア 上記(3-3)のア、イ、キ、クから、乙9文献には、情報信号が記録された光ディスク(【0001】)に関して、
リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とに大別されるディスクの論理構造において、ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割され、(【0030】、【0032】、図3)
ファイル領域にはビデオマネージャと複数のビデオタイトルセットが格納され、(【0033】、図4)
ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納する(【0034】)
ことが記載されているといえる。
イ 上記(3-3)のウ、ケから、
ビデオタイトルセットは、複数のビデオオブジェクトVOBと、複数のビデオオブジェクトの再生順序を管理するビデオタイトルセット管理情報とを格納し、(【0039】、図5)
ビデオオブジェクトVOBのデータ構造は、複数のVOBユニットVOBUが先頭から時系列順に配列された構成を持ち、VOBUは、管理情報パック、動画パック、オーディオパック、副映像パックといった、複数種別のパックデータより構成され、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になる(【0040】)
ことが記載されているといえる。
ウ 上記(3-3)のエ、オ、コ、サから、ビデオオブジェクトVOBの再生順序を指定するデータに関して、
ビデオタイトルセット管理情報は、上述したビデオオブジェクト群の複数の再生順序を管理する情報が格納され、DVDでは、ビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータをプログラムチェーン(PGC)と称し、(【0080】)
ビデオタイトルセット管理情報は、ビデオタイトルセット管理テーブル、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルから構成され、(【0081】、図16)
ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブルは、PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定するものであり、(【0082】、図16)
PGC管理情報テーブルは、ビデオタイトルセットに格納される全てのビデオオブジェクトに対する複数のPGC情報を格納し、各PGC情報は1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており、(【0083】、図16)
PGC情報は、PGC連結情報と、VOB位置情報テーブルと、PGCコマンドテーブルとを含んでおり、(【0084】、図16)
VOB位置情報テーブルには、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納されており、各VOBの位置情報は、対象とするVOBの再生時間、ビデオタイトルセット内の格納位置へのオフセット、VOBを構成する論理ブロック数を示しており、(【0087】、図17)
VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序をしめしており、(【0088】)
VOB位置情報はVOBの記録区間の開始位置START、終了位置ENDを指示する情報である(【0089】)
ことが記載されているといえる。
エ 上記(3-3)のカから、上記ウのPGC情報に関して、
PGCコマンドテーブルは、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を前処理コマンド、後処理コマンドの2種類に分類するためのインデックス情報から構成され、(【0090】)
前処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、後処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群である、(【0091】)
ことがいえる。
さらに、(3-3)の上記カから、
PCG情報による、後処理コマンド、前処理コマンドを含むビデオオブジェクトの再生制御(【0102】)を行う
ことが記載されており、PCGはPGCの誤記と認められる。
上記ア~エ及び上記(3-3)のキ~サの図3ないし図17を総合勘案すると、乙9文献には以下の発明(以下、「乙9発明」という。)が記載されているものと認められる。
「情報信号が記録された光ディスクであって、
リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とに大別されるディスクの論理構造において、ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割され、
ファイル領域にはビデオマネージャと複数のビデオタイトルセットが格納され、
ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納し、
ビデオタイトルセットは、複数のビデオオブジェクト(VOB)と、複数のビデオオブジェクトの再生順序を管理するビデオタイトルセット管理情報とを格納し、
ビデオオブジェクトVOBのデータ構造は、複数のVOBユニットVOBUが先頭から時系列順に配列された構成を持ち、VOBUは、管理情報パック、動画パック、オーディオパック、副映像パックといった、複数種別のパックデータより構成され、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になるものであり、
ビデオタイトルセット管理情報は、上述したビデオオブジェクト群の複数の再生順序を管理する情報が格納され、DVDでは、ビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータをプログラムチェーン(PGC)と称し、
ビデオタイトルセット管理情報は、ビデオタイトルセット管理テーブル、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルから構成され、
ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブルは、PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定するものであり、
PGC管理情報テーブルは、ビデオタイトルセットに格納される全てのビデオオブジェクトに対する複数のPGC情報を格納し、各PGC情報は1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており、
PGC情報は、PGC連結情報と、VOB位置情報テーブルと、PGCコマンドテーブルとを含んでおり、
VOB位置情報テーブルには、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納されており、各VOBの位置情報は、対象とするVOBの再生時間、ビデオタイトルセット内の格納位置へのオフセット、VOBを構成する論理ブロック数を示しており、
VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序を示しており、VOB位置情報はVOBの記録区間の開始位置START、終了位置ENDを指示する情報であり、
PGCコマンドテーブルは、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を前処理コマンド、後処理コマンドの2種類に分類するためのインデックス情報から構成され、
前処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、後処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群であり、
PGC情報による、後処理コマンド、前処理コマンドを含むビデオオブジェクトの再生制御がなされる
光ディスク。」
(4)本件訂正後の請求項1に係る発明と乙8発明との対比及び判断(無効の抗弁1について)
(4-1)本件訂正後の請求項1に係る発明と乙8発明とを対比する。
ア 構成要件Aについて
乙8発明の「DVD-RAM(DVD-RW)ディスクまたはDVD-Rディスクである光ディスク10」は、「データ記録領域として、データ記録エリア28があり、データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域を含」むものであるから、ビデオタイトルセットVTSは1つの光ディスク10に複数記録されているといえる。
また、「各ビデオタイトルセットVTSには、ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データとともに、これらのデータを再生するための情報が格納されて」いることから、VTSは、構成要件Aの「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトル」に相当する。
「光ディスク」は「情報記録媒体」の一種であることを踏まえると、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙8発明は、「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体」である点で一致する。
イ 構成要件B、Eについて
乙8発明では、「各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成され、各VOBUは、ナビゲーションパックを先頭としビデオパック、副映像パックおよびオーディオパックの集合体として構成され」る。
本件特許明細書の段落【0008】の、「本発明の情報記録媒体によれば、オブジェクトデータファイルは、一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納する。ここに「一連のコンテンツ情報」とは、例えば主映像情報(ビデオデータ)、音声情報(オーディオデータ)、副映像情報(サブピクチャデータ)等から構成される。」の記載に基づけば、乙8発明の「各セル84」は、構成要件Bの「一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータ」に相当する。
乙8発明では、「ビデオタイトルセットVTS」は「ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSを含んでおり、VTSは複数のファイルで構成され」、「VTSTT_VOBSに含まれる情報として、各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成され」るから、「ビデオタイトルセットVTS」は「各セル84」を含み、「複数のファイルで構成され」る。
そうすると、乙8発明の「各セル84」を含む「ビデオタイトルセットVTS」の「ファイル」は構成要件Bの「一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータファイル」に相当する。
そして、乙8発明の「光ディスク10のデータ記録領域として、データ記録エリア28があり、データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域を含」むことは、「光ディスク10」に「ビデオタイトルセットVTS」を備えることであるから、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙8発明は、「一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータファイルを備えて」いる点で一致する。
ウ 構成要件C、Eについて
(ア) 上記イの検討より、乙8発明の「各セル84」は構成要件Bの「オブジェクトデータ」に相当し、乙8発明の「ビデオタイトルセットVTS」の「ファイル」は構成要件Bの「オブジェクトデータファイル」に相当するから、乙8発明の「ビデオタイトルセットVTS」に含まれる「各セル84」は、構成要件Cの「該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータ」に相当する。
(イ) 乙8発明の「ビデオタイトルセットVTS」に含まれる「ビデオタイトルセット情報VTSI」に記述されている「ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれて」いる。
また、「各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI」、「セル再生情報テーブルC_PBITを含んで」いる。
さらに、「C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでおり、セルの再生アドレスは、C_PBIに記録されており、セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され」る。
セルはセル再生情報テーブルC_PBIT内に記述される複数のセル再生情報C_PBInの順番で再生されるから、上記(ア)の検討を踏まえると、複数のセル再生情報C_PBIの当該記述は、構成要件Cの「オブジェクトデータの再生シーケンスを」「規定する」ものに相当する。
(ウ) 乙8発明では、「セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され」ることから、「セル再生」にあたって「C_PBIT」の単位でアクセス可能なことは明らかである。
また、複数のセル再生情報C_PBInは再生情報であって、セル再生情報テーブルC_PBIT内で複数のセル再生情報C_PBInが並んでいると解されるから、セル再生情報テーブルC_PBITは、構成要件Cの「プレイリスト情報」に相当する。
上記(イ)の検討を踏まえると、複数のセル再生情報C_PBInが含まれるセル再生情報テーブルC_PBITは構成要件Cの「オブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報」に相当するといえる。
(エ) 乙8発明の「C_PBIT」を含む「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCI」は、「VTSIに記述されているビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCIT」に「複数」「含まれて」いるから、「ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCIT」は「セル再生情報テーブルC_PBIT」を複数格納する情報単位である。
(オ) 上記(ア)~(エ)より、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙8発明は、「該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納する情報単位を備えて」いる点で共通する。
ただし、情報単位が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「プレイリスト情報ファイル」であるのに対して、乙8発明は、「ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCIT」である点で相違する。
エ 構成要件D、Eについて
(ア) 乙8発明の「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」は、「複数設けられたVTS_PGCIを」「指し示す」ものであり、複数のうちの一の「VTS_PGCI」を指し示す。また、乙8発明の「各VTS_PGCI」は「セル再生情報テーブルC_PBITを含んで」いるから、VTS_PGCI_SRPを用いて複数のC_PBITのうち、一のC_PBITを指定することができるといえる。
(イ) 上記ウ(ウ)で検討したとおり、乙8発明の「C_PBIT」は、再生するセルが記述された「プレイリスト情報」に相当することから、上記(ア)の検討を踏まえると、乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」は、構成要件Dの(i)の「複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報」に相当する。
(ウ) 乙8発明の「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」は、上記(ア)で検討したように、「複数設けられたVTS_PGCIを」「指し示す」ものであり、「各VTS_PGCI」は「セル再生情報テーブルC_PBITを含」み、「セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され」るから、上記ウ(ア)の検討より、「セル」が構成要件Cの「オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータ」に相当することを踏まえると、乙8発明の「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」は、構成要件Dの「前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として」の「プレイリスト指定情報」に相当する。
(エ) 乙8発明では、「各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI」「を含んでおり」、「PGC_GIには、PGC_CMDTの開始アドレスPGC_CMDT_SAが記載され」ているから、「VTS_PGCI」には「PGC_CMDT_SA」が含まれる。また、「PGC_CMDT_SA」は「PGC_CMDTの開始アドレス」であって、「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである」。
そして、乙8発明では、「PGC単位で管理データPGCIに対応し、PGCI内には、セルを管理するセル再生情報テーブルC_PBITをも」つことから、上記ウ(ウ)で検討したとおり、乙8発明の「C_PBIT」が、再生するセルが記述された「プレイリスト情報」に相当することを踏まえると、乙8発明の「PGC再生前」と「PGC再生後」は、それぞれ構成要件Dの「一のプレイリスト情報に基づく再生前」と「一のプレイリスト情報に基づく再生後」に相当する。
そうすると、乙8発明において「VTS_PGCI」に含まれる「PGC_CMDT_SA」が開始アドレスである「PGC_CMDT」の「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンド」は、構成要件Dの「(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報」に相当する。
(オ) 乙8発明では、「ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれて」いるから、1つの「VTS_PGCI」の「C_PBIT内に記述されている順番で」セルが「再生され」た後、別の「VTS_PGCI」の「C_PBIT内に記述されている順番で」セルが「再生され」ることとなる。
そうすると、上記(エ)で検討した乙8発明の「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンド」は、1つの「VTS_PGCI」の「C_PBIT」に基づくセルの再生後であって、他の「VTS_PGCI」の「C_PBIT」に基づくセルの再生前に実行されるものであるから、セルの再生に関連した制御のために実行されるコマンドであることも明らかである。
上記ウ(ア)の検討より、「セル」が構成要件Cの「オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータ」に相当することを踏まえると、乙8発明の「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンド」は、構成要件Dの「前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として」の「プリコマンド情報」、「ポストコマンド情報」に相当する。
(カ) 上記(イ)~(オ)より、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙8発明は、「前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報を備えて」いる点で共通する。
ただし、「(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報」に関して、本件訂正後の請求項1に係る発明は、それら「三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることが特定されているのに対し、乙8発明では、上記ウ(オ)で検討したように、情報単位がビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITであることに加えて、「VTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンド」の「三者を含んでなる情報集合」について特定されておらず、当該「情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることも特定されていない点で相違する。
オ 構成要件G、Hについて
上記エ(カ)で検討したとおり、乙8発明では、構成要件Dの「三者を含んでなる情報集合」について特定されていない。
そのため、構成要件G、Hでは、「前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であり、前記情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないことが特定されているのに対し、乙8発明では、当該特定がなされていない点で相違する。
カ 構成要件Fについて
上記アの検討のとおり、乙8発明の「VTS」は構成要件Aの「タイトル」に相当する。また、乙8発明の「VTS」は「VTSI」を含み、「VTSI」は「VTS_PGCIT」を記述し、「VTS_PGCIT」は複数の「VTS_PGCI_SRP」を格納している。
また、上記エで検討したとおり、「VTS_PGCI_SRP」を用いて「C_PBIT」を指定することができ、乙8発明では「セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され」る。
以上のことから、「タイトル」は、「VTS_PGCI_SRP」を用いて指定される「C_PBIT内に記述されている順番で」セルが「再生され」、「VTS_PGCI_SRP」の指定先に応じて再生されるセルが変わる点において、論理構成が変わるといえるから、構成要件Fと乙8発明は、「タイトルは、一つ以上の情報により論理構成される」点で共通する。
ただし、構成要件Fの「前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される」ことに関して、「論理構成」が、構成要件Fでは「情報集合」によってなされるのに対して、乙8発明では、「プレイリスト指定情報」に相当する「VTS_PGCI_SRP」によってなされ、「情報集合」によってなされることは特定されていない点で相違する。
そうすると、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙8発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
A 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、
B 一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータファイルと、
C’ 該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納する情報単位と、
D’ 前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報と
E を備えており、
F’ 前記タイトルは、一つ以上の情報により論理構成される
A ことを特徴とする情報記録媒体。
(相違点1)
情報単位が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「プレイリスト情報ファイル」であるのに対して、乙8発明は、ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITである点。
(相違点2)
「(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報」に関して、本件訂正後の請求項1に係る発明は、それら「三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることが特定されているのに対し、乙8発明では、「VTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンド」の「三者を含んでなる情報集合」について特定されておらず、当該「情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることも特定されていない点。
(相違点3)
本件訂正後の請求項1に係る発明では「前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であり、前記情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないことが特定されているのに対し、乙8発明では、当該特定がなされていない点。
(相違点4)
本件訂正後の請求項1に係る発明の「前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される」ことに関して、「論理構成」が、本件訂正後の請求項1に係る発明では「情報集合」によってなされるのに対して、乙8発明では、「プレイリスト指定情報」に相当する「VTS_PGCI_SRP」によってなされ、「情報集合」によってなされることは特定されていない点。
(4-2)相違点1~4についての検討
ア 乙8発明では、「VTSのサブディレクトリ中にファイルVTSIが配置され」、「VTSIに記述されているビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCIT」に、本件訂正後の請求項1に係る発明の「プレイリスト情報」、「プレイリスト指定情報」、「プリコマンド情報」、「ポストコマンド情報」にそれぞれ相当する「セル再生情報テーブルC_PBIT」、「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」、「PGC再生後に実行されるポストコマンド」が含まれている。
つまり、ファイルVTSIに、「セル再生情報テーブルC_PBIT」、「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」、「PGC再生後に実行されるポストコマンド」の4者が含まれており、「セル再生情報テーブルC_PBIT」を複数格納するファイル(本件訂正後の請求項1に係る発明の「プレイリスト情報ファイル」に相当するファイル)と、「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」、「PGC再生後に実行されるポストコマンド」の3者を複数格納するファイル(本件訂正後の請求項1に係る発明の「ディスク情報ファイル」に相当するファイル)とから構成されてはいない。
イ 乙8発明では、VTSIの中で、「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」は、「VTS_PGCIT」に直接含まれる一方、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」及び「PGC再生後に実行されるポストコマンド」は、「VTS_PGCIT」に含まれる「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCI」の「プログラムチェーン一般情報PGC_GI」に「記述エリア」がある。
このように、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」及び「PGC再生後に実行されるポストコマンド」は、データ構造上の階層の位置が「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」とは異なり、「VTS_PGCI」に含まれる他の情報と混在しているから、「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」と、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」及び「PGC再生後に実行されるポストコマンド」はVTSIの中で集合した態様で配置されてはいない。
ウ 仮に、乙8発明の「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」、「PGC再生後に実行されるポストコマンド」の3者がVTSIの中で集合した態様で存在すると解しても、それら3者を含む「情報単位」には、「セル再生情報テーブルC_PBIT」を含む「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCI」が含まれることから、本件訂正後の請求項1に係る発明の「情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないような構成とはならない。
つまり、乙8発明では、「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」、「PGC再生後に実行されるポストコマンド」の3者を含む「情報単位」は「VTS_PGCIT」か、同「VTS_PGCIT」を包含する(上位の)情報単位であって、「VTS_PGCIT」の中に含まれる(下位の)「情報単位」には、それら3者を含む「情報単位」は存在しない。
そして、「VTS_PGCIT」には、「セル再生情報テーブルC_PBIT」を含む「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCI」が含まれるから、乙8発明の「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」、「PGC再生後に実行されるポストコマンド」の3者を含む「情報単位」には、「セル再生情報テーブルC_PBIT」も含まれる。
エ 本件訂正後の請求項1に係る発明では、「前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であ」ることによって、本件特許明細書の【0024】に記載される「同一のプレイリスト情報を、プリコマンド又はポストコマンドとの組み合わせを変えることによって若しくは複数のプレイリスト指定情報によって使い回すことによって、全体として必要な記録容量を削減できる」という効果を実現するが、上記ウで検討したように、乙8発明の「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」、「PGC再生前に実行されるプリコマンド」、「PGC再生後に実行されるポストコマンド」の3者を含む「情報単位」には、「セル再生情報テーブルC_PBIT」が含まれ、これら3者からなる「情報単位」が「セル再生情報テーブルC_PBIT」を使い回す構成とはなっていない。
オ 上記(4-1)の相違点1~4は、本件訂正後の請求項1に係る発明と、乙8発明とのファイル構成や情報配置に関する上記ア~ウのような差異に基づくものであり、本件訂正後の請求項1に係る発明は、当該差異によって上記エのような効果を奏するものであるから、当該相違点1~4は、実質的な差異と認められる。
したがって、本件訂正後の請求項1に係る発明と、乙8発明とが同一ということはできない。
(4-3)小括
したがって、本件訂正後の請求項1に係る発明は本件特許出願前に公開された乙8文献に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
(5)本件訂正後の請求項1に係る発明と乙9発明との対比及び判断(無効の抗弁2について)
(5-1)本件訂正後の請求項1に係る発明と乙9発明とを対比する。
ア 構成要件Aについて
乙9発明の「情報信号が記録された光ディスク」は「リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とに大別されるディスクの論理構造」を具備するといえるから、上記「光ディスク」は「ボリューム領域」を有するといえる。さらに、「ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割され、ファイル領域にはビデオマネージャと複数のビデオタイトルセットが格納され、ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納し」ていることから、上記「光ディスク」は「タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して」記録しているといえ、上記「光ディスク」は、構成要件Aにおいて特定される「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体」に相当する。
イ 構成要件B、Eについて
乙9発明の「ビデオタイトルセット」は「複数のビデオオブジェクト(VOB)」を格納し、「VOBのデータ構造は、複数のVOBユニットVOBUが先頭から時系列順に配列された構成を持ち、VOBUは、管理情報パック、動画パック、オーディオパック、副映像パックといった、複数種別のパックデータより構成され、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になるものであ」ることから、VOBは動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列から構成される。
ここで、本件特許明細書の【0008】には、「本発明の情報記録媒体によれば、オブジェクトデータファイルは、一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納する。ここに「一連のコンテンツ情報」とは、例えば主映像情報(ビデオデータ)、音声情報(オーディオデータ)、副映像情報(サブピクチャデータ)等から構成される。」という記載があることから、乙9発明の上記「ビデオタイトルセット」に格納され、「動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列」から構成される複数の「VOBU」を含む「VOB」は、構成要件Bの「一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータ」に相当し、乙9発明の「ビデオタイトルセット」の「複数のビデオオブジェクト(VOB)」を格納する部分は、「一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納する情報単位」である。
したがって、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙9発明は、「一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納する情報単位」を備えている点で共通する。
ただし、「オブジェクトデータを格納する情報単位」が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「オブジェクトデータファイル」であるのに対し、乙9発明は、「ビデオタイトルセット」の「複数のビデオオブジェクト(VOB)」を格納する部分である点で相違する。
ウ 構成要件C、Eについて
(ア) 上記イの検討を踏まえると、乙9発明の「VOB」は、構成要件Cの「情報単位に格納されたオブジェクトデータ」に相当する。
(イ) 乙9発明の「ビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータ」である「プログラムチェーン(PGC)」、すなわち「PGC情報」は、「1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており」、「VOB位置情報テーブルと、PGCコマンドテーブル」を含んでいる。
そして、「VOB位置情報テーブルには、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納され」、「VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序を示して」いるから、上記(ア)の検討を踏まえると、「VOB位置情報テーブル」は、構成Cの「オブジェクトデータの再生シーケンスを」「規定する」「情報」に相当する。
(ウ) 「VOB位置情報テーブルには、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納され」、当該「再生すべき複数のビデオオブジェクト」に「論理的にアクセス可能」であることは明らかである。
(エ) 「VOB位置情報テーブル」内では、「再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報」が並んでいると解されるから、上記(ウ)の検討を踏まえると、乙9発明の「VOB位置情報テーブル」は、構成Cの「論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報」に相当する。
(オ) 乙9発明の「PGC管理情報テーブル」は「複数のPGC情報を格納し」、「PGC情報」に「VOB位置情報テーブル」が含まれるから、「PGC管理情報テーブル」は「VOB位置情報テーブル」を複数格納する情報単位である。
(カ) 上記(ア)、(イ)、(エ)、(オ)の検討より、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙9発明は、「該情報単位に格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納する情報単位を備えて」いる点で共通する。
ただし、上記イで検討したように、「オブジェクトデータを格納する情報単位」が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「オブジェクトデータファイル」であるのに対し、乙9発明は、「ビデオタイトルセット」の「複数のビデオオブジェクト(VOB)」を格納する部分である点に加えて、「プレイリスト情報を複数格納する情報単位」が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「プレイリスト情報ファイル」であるのに対して、乙9発明は、「PGC管理情報テーブル」である点で相違する。
エ 構成要件D、Eについて
(ア) 上記ウ(エ)で検討したように、「VOB位置情報テーブル」は、構成Cの「プレイリスト情報」に相当し、乙9発明の「VOB位置情報テーブルには、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納されて」いるから、乙9発明の「VOB位置情報テーブル」の一つは、構成要件Dの「再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報」に相当する。
(イ) 乙9発明では、「PGC管理情報テーブル」は「複数のPGC情報を格納し」、「PGC情報」は「VOB位置情報テーブル」「を含んで」いるから、「VOB位置情報テーブル」は「PGC管理情報テーブル」に「複数」含まれる。当該「複数」の「VOB位置情報テーブル」は、構成要件Dの「複数のプレイリスト情報」に相当する。
(ウ) 乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」は、「PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定する」。
「プログラムチェーン(PGC)」情報は、上記(イ)で検討したように、「VOB位置情報テーブル」「を含んで」おり、乙9発明の「プログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定する」ことは、「VOB位置情報テーブル」「を指定する」ことでもあるから、上記(ア)、(イ)の検討を踏まえれば、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」は、構成要件Dの「複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報」に相当する。
(エ) 乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」が指定する「PGC情報」は、「1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述して」いるから、上記イの検討を踏まえると、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」と、構成要件Dの「プレイリスト指定情報」は「オブジェクトデータを格納する情報単位の再生を制御するための再生制御情報として」の「プレイリスト指定情報」である点で共通する。
ただし、再生が、構成要件Dでは、「前記オブジェクトデータファイル」の再生を制御するのに対して、乙9発明では、「ビデオオブジェクト(VOB)」の再生制御がなされるのであって、上記イで検討したように、「VOB」からなる「オブジェクトデータファイル」を備えることは特定されていない点で相違する。
(オ) 乙9発明の「PGC情報」は「PGCコマンドテーブル」を含んでおり、「PGCコマンドテーブルは、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を前処理コマンド、後処理コマンドの2種類に分類するためのインデックス情報から構成され」るものであって、「前処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、後処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群であ」る。
乙9発明の「PGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前」と、「PGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時」は、構成要件Dの「一のプレイリスト情報に基づく再生前」と「一のプレイリスト情報に基づく再生後」にそれぞれ相当するから、乙9発明の「前処理コマンド」、「後処理コマンド」は、構成要件Dの「(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報」にそれぞれ相当する。
(カ) 乙9発明では、「PGC情報による、後処理コマンド、前処理コマンドを含むビデオオブジェクトの再生制御がなされる」ことから、上記イの検討を踏まえると、乙9発明の「前処理コマンド」、「後処理コマンド」と、構成要件Dの「プリコマンド情報」、「ポストコマンド情報」は、「オブジェクトデータを格納する情報単位の再生を制御するための再生制御情報として」の「プリコマンド情報」、「ポストコマンド情報」である点で共通する。
ただし、上記(エ)で検討したとおり、再生が、構成要件Dでは、「前記オブジェクトデータファイル」の再生を制御するのに対して、乙9発明では、「ビデオオブジェクト(VOB)」の再生制御がなされるのであって、上記イで検討したように、「VOB」からなる「オブジェクトデータファイル」を備えることは特定されていない点で相違する。
(キ) 上記(ウ)~(カ)より、本件訂正後の請求項1に係る発明と、乙9発明は、「前記オブジェクトデータの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報を備えて」いる点で共通する。
ただし、「前記オブジェクトデータを格納する情報単位の再生を制御するための再生制御情報」に関して、上記イで検討したように、「オブジェクトデータを格納する情報単位」が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「オブジェクトデータファイル」であるのに対し、乙9発明は、「ビデオタイトルセット」の「複数のビデオオブジェクト(VOB)」を格納する部分である点で相違する。
また、「(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報」に関して、本件訂正後の請求項1に係る発明は、それら「三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることが特定されているのに対し、乙9発明では、上記ウ(カ)で検討したように、「プレイリスト情報を複数格納する情報単位」が「PGC管理情報テーブル」であることに加えて、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」の「三者を含んでなる情報集合」について特定されておらず、当該「情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることも特定されていない点で相違する。
オ 構成要件G、Hについて
上記エ(キ)で検討したとおり、乙9発明では、構成要件Dの「三者を含んでなる情報集合」について特定されていない。
そのため、構成要件G、Hでは、「前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であり、前記情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないことが特定されているのに対し、乙8発明では、当該特定がなされていない点で相違する。
カ 構成要件Fについて
乙9発明において「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブルは」、「タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定するものであ」る。
また、乙9発明において「PGC」は「ビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータ」である。
そうすると、「タイトル」は「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」により指定される「PGC」によって再生順序が指定され、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」の指定先に応じて再生されるセルが変わる点において、論理構成が変わるといえるから、構成要件Fの「情報記録媒体」と乙9発明の「光ディスク」は、「タイトルは、一つ以上の」情報「により論理構成される」点で共通する。
ただし、構成要件Fの「前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される」ことに関して、「論理構成」が、構成要件Fでは「情報集合」によってなされるのに対して、乙9発明では、「プレイリスト指定情報」に相当する「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」によってなされ、「情報集合」よってなされることは特定されていない点で相違する。
そうすると、本件訂正後の請求項1に係る発明と乙9発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
A 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、
B’ 一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納する情報単位と、
C’ 該情報単位に格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納する情報単位と、
D’ 前記オブジェクトデータを格納する情報単位の再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報と
E を備えており、
F’ 前記タイトルは、一つ以上の情報により論理構成される
A ことを特徴とする情報記録媒体。
(相違点1)
「オブジェクトデータを格納する情報単位」が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「オブジェクトデータファイル」であるのに対し、乙9発明は、「ビデオタイトルセット」の「複数のビデオオブジェクト(VOB)」を格納する部分である点。
(相違点2)
「プレイリスト情報を複数格納する情報単位」が、本件訂正後の請求項1に係る発明は、「プレイリスト情報ファイル」であるのに対して、乙9発明は、「PGC管理情報テーブル」である点。
(相違点3)
「(i)前記情報単位に格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報」に関して、本件訂正後の請求項1に係る発明は、それら「三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることが特定されているのに対し、乙9発明では、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」の「三者を含んでなる情報集合」について特定されておらず、当該「情報集合を複数格納するディスク情報ファイル」「を備えて」いることも特定されていない点。
(相違点4)
本件訂正後の請求項1に係る発明では、「前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であり、前記情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないことが特定されているのに対し、乙9発明では、当該特定がなされていない点。
(相違点5)
本件訂正後の請求項1に係る発明の「前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される」ことに関して、「論理構成」が、本件訂正後の請求項1に係る発明では「情報集合」によってなされるのに対して、乙9発明では、「プレイリスト指定情報」に相当する「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」によってなされ、「情報集合」によってなされることは特定されていない点。
(5-2)相違点2~5についての検討
ア 乙9発明では、「ビデオタイトルセット管理情報」に、本件訂正後の請求項1に係る発明の「プレイリスト情報」、「プレイリスト指定情報」、「プリコマンド情報」、「ポストコマンド情報」にそれぞれ相当する「VOB位置情報テーブル」、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」が含まれている。
つまり、「VOB位置情報テーブル」を複数格納するファイル(本件訂正後の請求項1に係る発明の「プレイリスト情報ファイル」に相当するファイル)と、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」の3者を複数格納するファイル(本件訂正後の請求項1に係る発明の「ディスク情報ファイル」に相当するファイル)とから構成されてはいない。
イ 乙9発明では、「ビデオタイトルセット管理情報」の中で、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」は、「ビデオタイトルセット管理情報」に直接含まれる一方、「前処理コマンド」及び「後処理コマンド」は、「ビデオタイトルセット管理情報」の「PGC管理情報テーブル」の「PGC情報」に含まれる「PGCコマンドテーブル」を構成する。
そして、「前処理コマンド」及び「後処理コマンド」は、データ構造上の階層の位置が「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」とは異なり、「PGC情報」に含まれる他の情報と混在しているから、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」と、「前処理コマンド」及び「後処理コマンド」は「ビデオタイトルセット管理情報」の中で集合した態様で配置されてはいない。
ウ 仮に、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」の3者が「ビデオタイトルセット管理情報」の中で集合した態様で存在すると解しても、それら3者を含む「情報単位」には、「VOB位置情報テーブル」を含む「PGC情報」が含まれることから、本件訂正後の請求項1に係る発明の「情報集合は、プレイリスト情報を含ま」ないような構成とはならない。
つまり、乙9発明では、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」の3者を含む「情報単位」は「ビデオタイトルセット管理情報」か、同「ビデオタイトルセット管理情報」を包含する(上位の)情報単位であって、「ビデオタイトルセット管理情報」の中に含まれる(下位の)「情報単位」には、それら3者を含む「情報単位」は存在しない。
そして、「ビデオタイトルセット管理情報」には、「VOB位置情報テーブル」を含む「PGC情報」が含まれるから、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」の3者を含む「情報単位」には、「VOB位置情報テーブル」も含まれる。
エ 本件訂正後の請求項1に係る発明では、「前記複数の情報集合のうち第1の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報と、第2の情報集合に含まれるプレイリスト指定情報とが、同一のプレイリスト情報を指定可能であ」ることによって、本件特許明細書の【0024】に記載される「同一のプレイリスト情報を、プリコマンド又はポストコマンドとの組み合わせを変えることによって若しくは複数のプレイリスト指定情報によって使い回すことによって、全体として必要な記録容量を削減できる」という効果を実現するが、上記ウで検討したように、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」の3者を含む「情報単位」には、「VOB位置情報テーブル」が含まれ、これら3者からなる「情報単位」が「VOB位置情報テーブル」を使い回す構成とはなっていない。
オ 上記(5-1)の相違点2~5は、本件訂正後の請求項1に係る発明と、乙9発明とのファイル構成や情報配置に関する上記ア~ウのような差異に基づくものであり、本件訂正後の請求項1に係る発明は、当該差異によって上記エのような効果を奏するものであるから、当該相違点2~5は、実質的な差異と認められる。
そして、相違点2~5に関して、乙9発明の「ビデオタイトルセット管理情報」に含まれる「VOB位置情報テーブル」、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」に関する情報の四者のうち、「VOB位置情報テーブル」を「オブジェクトデータファイル」に複数格納する一方、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」、「前処理コマンド」、「後処理コマンド」については情報集合として纏めて「ディスク情報ファイル」に複数格納することが設計的事項の範囲内の事項ということもできない。
また、乙9文献及び乙8文献に、それを示唆ないしは教示するか、動機付けとなるような記載事項は存在していない。
したがって、相違点1について論ずるまでもなく、乙9発明、乙9文献に記載された技術事項、乙8文献に記載された技術事項に基づいて、本件訂正後の請求項1に係る発明をなすことが容易に想到し得たということはできない。
(5-3)小括
以上のとおり、本件訂正後の請求項1に係る発明は、乙9発明及び乙8文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
(6)訂正要件について(無効の抗弁3について)
上記(4)、(5)で検討したように、乙8文献、乙9文献に基づいて新規性、進歩性が欠けているとすることはできないことから、新規性、進歩性の欠如により、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
(7)本件訂正後の請求項1に係る発明の独立特許要件についてのまとめ
以上のとおりであるから、上記(2)において認定した本件訂正後の請求項1に係る発明は、上記(1)に示される無効の抗弁1~3の理由によっては、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではない。
また、無効の抗弁1~3には、乙8発明に基づく進歩性欠如を理由とする抗弁はないが、本件訂正後の請求項1に係る発明は、乙8発明、乙9文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということもできないから、乙8発明に基づく進歩性の欠如により、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由も見いだせない。
他に、本件訂正後の請求項1に係る発明について、独立特許要件を否定する理由を発見しない。
(8)本件訂正後の請求項2、3、6~9、11、12に係る発明の独立特許要件について
上記(7)のとおり、本件訂正後の請求項1に係る発明については特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないところ、本件訂正後の請求項1に係る発明の「情報記録媒体」を引用したり、当該「情報記録媒体」を再生または記録再生する「情報再生装置」、「情報記録再生装置」ないしこれらの「装置」に備えられた「プログラム」、「情報再生方法」、「情報記録再生方法」に係る特許発明として特定した上記本件訂正後の請求項2、3、6~9、11、12に係る発明についても同様に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件訂正は、本件訂正後の請求項2、3、6~9、11、12に係る発明についての独立特許要件を満たしているといえる。
(9)独立特許要件についてのまとめ
上記(7)、(8)のとおりであるから、本件訂正は、本件訂正後の請求項1~3、6~9、11、12に係る発明についての独立特許要件を満たしているから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-390089