特許訂正審判
2023-390019
情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報再生装置及び方法、情報記録再生装置及び方法、記録又は再生制御用のコンピュータプログラム、並びに制御信号を含むデータ構造
- 審判番号
- 2023-390019
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2002-009627
- 登録番号
- 3659498
- 請求日
- 2023年02月16日
- 審決日
- 2023年08月01日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】パイオニア 株式会社
- 【請求人代理人】岡田 誠
- 【請求人代理人】濱田 慧
- 【請求人代理人】齋藤 真司
- 【請求人代理人】吉井 将太郎
- 【請求人代理人】大石 幸雄
- 【請求人代理人】阪 和之
- 【請求人代理人】田原 拓永
- 審判長/審判官
- 審判長 五十嵐 努
- 審判官 川崎 優
- 審判官 高橋 宣博
- 分類
- P141 .851-Y (G11B) / P141 .856-Y (G11B) / P141 .537-Y (G11B) / P141 .113-Y (G11B) / P141 .121-Y (G11B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第3659498号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第3659498号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9、11、12〕、〔4、10〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第3659498号(以下「本件特許」という。)は、2002年(平成14年)1月18日を出願日とする特願2002-009627号の請求項1~13に係る発明について、平成17年3月25日に特許権の設定登録がなされ、令和4年1月18日に特許権の存続期間満了によって権利登録が抹消されたものである。その後、令和5年2月16日に審判請求人パイオニア株式会社より、本件訂正審判が請求された。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第3659498号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、6~9、11、12〕及び〔4、10〕について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである。(下線部分は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが一又は複数記録される情報記録媒体であって、」
とあるのを、
「 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3、6~9、11及び12も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に、
「 情報記録媒体上に、論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルを一又は複数記録する情報記録装置であって、」
とあるのを、
「 情報記録媒体上に、論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルを複数記録する情報記録装置であって、」
に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項10も同様に訂正する)。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項1~3、6~9、11、12について、請求項2~3、6~9、11、12は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~3、6~9、11、12に対応する訂正後の請求項1~3、6~9、11、12は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
次に、訂正前の請求項4、10について、請求項10は、請求項4を直接的に引用しているものであるから、訂正事項2によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項4、10に対応する訂正後の請求項4、10は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 一群の請求項1~3、6~9、11、12について
上記一群の請求項についての訂正は、訂正事項1に係る訂正である。
(1) 訂正の目的の適否について
訂正事項1に係る訂正は、請求項1における「情報記録媒体」に記録される「タイトル」の数について、「一又は複数」との択一的記載における要素を削除するものであるから、訂正前の請求項1を減縮しようとするものである。
同様に、訂正後の請求項2、3、6~9、11及び12は、訂正後の請求項1における「情報記録媒体」に記録される「タイトル」の数について、「一又は複数」との択一的記載における要素を削除することにより、訂正前の請求項2、3、6~9、11及び12をさらに減縮しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件の明細書の段落【0076】には、「図7において、光ディスク100には、例えば映画1本、テレビ番組1本などの論理的に大きなまとまりであるタイトル200が、一又は複数記録されている。」との記載がある。(なお、下線は合議体が付した。)
ここで、「光ディスク100」は請求項1における「情報記録媒体」に相当することから、「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体」との構成を備えることは願書に添付した明細書に記載した事項であり、訂正事項1は特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項1は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について判断する必要があるところ、これについては、後記「4 独立特許要件について」において判断する。
3 一群の請求項4、10について
上記一群の訂正に関する訂正は、訂正事項2に係る訂正である。
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項2に係る訂正は、請求項4における「情報記録装置」が情報記録媒体上に記録する「タイトル」の数について、「一又は複数」との択一的記載における要素を削除するものであるから、訂正前の請求項4を減縮しようとするものである。
同様に、訂正後の請求項10は、訂正後の請求項4における「情報記録装置」が情報記録媒体に記録する「タイトル」の数について、「一又は複数」との択一的記載における要素を削除することにより、訂正前の請求項10をさらに減縮しようとするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件の明細書には、段落【0098】~【0113】に情報記録再生装置の記録系の動作についての記載があり、具体的には段落【0105】に「TSオブジェクトデータD1を使用して光ディスク100上に論理的に構成する各タイトルの情報(例えば、プレイリストの構成内容等)は、ユーザインタフェース720から、タイトル情報等のユーザ入力I2として、システムコントローラ520に入力される。」との記載、段落【0111】に「フォーマッタ608からの選択出力は、ディスクイメージデータD5として変調器606に送出され、変調器606により変調されて、光ピックアップ502を介して光ディスク100上に記録される(ステップS27)。」との記載があり、発明の効果として段落【0220】に「以上詳細に説明したように本発明によれば、例えばインタラクティブ再生や特殊再生を可能ならしめるような複雑且つ大量のコンテンツ情報からなる一又は複数のタイトルを、当該情報記録媒体上に効率的に記録可能となり、更に比較的容易にしてそのうち所望のものを効率的に再生可能となる。」との記載がある。
したがって、情報記録装置が「情報記録媒体上に、論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルを複数記録する」構成を備えることは願書に添付した明細書に記載した事項であり、訂正事項2は特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について判断する必要があるところ、これについては、後記「4 独立特許要件について」において判断する。
4 独立特許要件について
(1)はじめに
本件特許については、東京地方裁判所に損害賠償等請求事件(令和4年(ワ)第15703号、以下「本件侵害事件」という。)が係属しているところ、当該侵害事件では、いわゆる無効の抗弁(以下「本件無効抗弁」という。)がなされている。そして、本件無効抗弁は、本件特許の請求項4、請求項1を引用する請求項6に係る発明に対して主張されている。他方で、当審が独立特許要件を判断する対象となる請求項は、一群の請求項1~3、6~9、11、12及び一群の請求項4、10である。
このように、本件無効抗弁に係る請求項と上記の一群の請求項1~3、6~9、11、12及び一群の請求項4、10とは、請求項4、6において重複している。
また、下記(3)のとおり、当審が独立特許要件を判断する対象となる訂正後の請求項である、
・各々が請求項1の「情報記録媒体」を引用する請求項6の「情報再生装置」、請求項7の「情報再生方法」、請求項8の「情報記録再生装置」、請求項9の「情報記録再生方法」、並びに請求項6を引用する請求項11の「請求項6記載の情報再生装置に備えられたコンピュータを制御する再生制御用のコンピュータプログラム」、請求項8を引用する請求項12の「請求項8記載の情報記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録再生制御用のコンピュータプログラム」、
・請求項4の「情報記録装置」並びに請求項4を引用する請求項10の「請求項4記載の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラム」、
は、それぞれ一群の請求項を構成するものであるところ、これらの請求項を特定する事項の記載からすると、実質的には請求項1の「情報記録媒体」に係る特許発明を引用したり、「情報記録装置」、「情報再生装置」、「情報記録再生装置」ないしこれらの「装置」に備えられた「プログラム」、「情報再生方法」、「情報記録再生方法」に係る特許発明として特定したものといえる。
そうすると、本件無効抗弁は、一群の請求項1~3、6~9、11、12及び一群の請求項4、10の全てと関連性があるといえる。
そこで、以下、本件無効抗弁に係る無効理由(以下「本件無効理由」という。)を、一群の請求項1~3、6~9、11、12及び一群の請求項4、10に対して検討することとする。
(2)本件無効理由の概要
本件無効理由の概要は、次のとおりである。
ア 無効理由1(本件特許の請求項4、請求項1を引用する請求項6に係る発明についての、乙8文献に基づく新規性欠如)
イ 無効理由2(本件特許の請求項4、請求項1を引用する請求項6に係る発明についての、乙9文献及び乙8文献に基づく進歩性欠如)
ウ 無効理由3(本件特許の請求項4、請求項1を引用する請求項6に係る発明についてのサポート要件違反)
エ 無効理由4(本件特許の請求項4、請求項1を引用する請求項6に係る発明についての明確性要件違反)
乙8文献:特開2000- 82276号公報
乙9文献:特開2001-143269号公報
(3)本件訂正発明の認定
本件訂正後の請求項〔1~3、6~9、11、12〕、請求項〔4、10〕に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」などといい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、本件訂正後の請求項〔1~3、6~9、11、12〕、請求項〔4、10〕に記載された次のとおりのものと認められる(下線は訂正箇所を示す。また、符号は合議体が付した。以下、「構成A」ないし「構成E」等という。)
「【請求項1】
A 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、
B 一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータファイルと、
C 該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納するプレイリスト情報ファイルと、
D 前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイルと
を備えており、
E 前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される
A ことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記ディスク情報ファイルは、前記複数の情報集合をタイトル別にテーブル形式で格納することを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記オブジェクトデータは、前記コンテンツ情報から夫々構成される複数の部分ストリームを含んでなる全体ストリームが、物理的にアクセス可能な単位であると共に前記コンテンツ情報の断片を夫々格納するパケット単位で多重化されてなり、
前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための他の再生制御情報として、多重化される複数のパケットと前記複数の部分ストリームとの対応関係を定義する対応定義情報を格納するオブジェクト情報ファイルを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体から前記記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報再生装置であって、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取手段と、
該読取手段により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取手段により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする情報再生装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体から前記記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報再生方法であって、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取工程と、
該読取工程により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取工程により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生工程と
を備えたことを特徴とする情報再生方法。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体に前記タイトルを一又は複数記録し且つ該記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報記録再生装置であって、
前記オブジェクトデータファイルを記録する第1記録手段と、
前記プレイリスト情報ファイルを記録する第2記録手段と、
前記ディスク情報ファイルを記録する第3記録手段と、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取手段と、
該読取手段により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取手段により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生手段と
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録媒体に前記タイトルを一又は複数記録し且つ該記録されたタイトルの少なくとも一部を再生する情報記録再生方法であって、
前記オブジェクトデータファイルを記録する第1記録工程と、
前記プレイリスト情報ファイルを記録する第2記録工程と、
前記ディスク情報ファイルを記録する第3記録工程と、
前記情報記録媒体から情報を物理的に読み取る読取工程と、
該読取工程により読み取られた情報に含まれる前記再生制御情報及び前記プレイリスト情報に基づいて、前記読取工程により読み取られた情報に含まれる前記オブジェクトデータを再生する再生工程と
を備えたことを特徴とする情報記録再生方法。
【請求項11】
請求項6記載の情報再生装置に備えられたコンピュータを制御する再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記再生手段の少なくとも一部として機能させる再生制御用のコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項8記載の情報記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記第1記録手段、前記第2記録手段、前記第3記録手段及び前記再生手段の少なくとも一部として機能させる記録再生制御用のコンピュータプログラム。」
「【請求項4】
情報記録媒体上に、論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルを複数記録する情報記録装置であって、
一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータファイルを記録する第1記録手段と、
該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納するプレイリスト情報ファイルを記録する第2記録手段と、
前記オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでなる情報集合を複数格納するディスク情報ファイルを記録する第3記録手段と
を備えており、
前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される
ことを特徴とする情報記録装置。
【請求項10】
請求項4記載の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記第1記録手段、前記第2記録手段及び前記第3記録手段の少なくとも一部として機能させることを特徴とする記録制御用のコンピュータプログラム。」
(4)乙8文献、乙9文献に記載された発明
(4-1)乙8文献の記載事項
乙8文献である特開2000-82276号公報には以下の記載がある。(下線は当審において付した。)
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばDVD(デジタルビデオディスク)記録再生装置に用いて有効な情報記録方法及び記録媒体及び再生装置に関する。」
イ 「【0013】図1はこの発明の一実施の形態に係るディスク記録再生装置の全体的な構成図である。図2には、図1の光ディスク(DVD-RAM)のデータ記録領域とそこに記録されるデータの記録トラックとの対応関係を示し、図3には図2の光ディスクに記録されている情報(データ記録エリア又はDVDビデオのボリウム空間の内容)の階層構造の一例を示している。
【0014】まず、光ディスクについて説明する。図2において、光ディスク10は、記録層17が設けられた一対の透明基板14を接着層20で貼り合わせた構造である。各基板14は0.6mm厚のポリカーボネイトで成形されており、接着層20は例えば40μm厚の紫外線硬化性樹脂で構成されている。これら一対の基板14を、記録層17が接着層20の面上で接触するように貼り合わせ、1.2mm厚の大容量光ディスク10が構成されている。22は中心穴であり、24はクランプエリアである。25は情報エリアであり、26はリードアウトエリア、27はリードインエリア、28はデータ記録エリアである。情報エリア25の記録層には記録トラックが例えばスパイラル状に連続して形成されている。連続トラックは物理セクタに分割され、このセクタには連続番号が付されている。このセクタを記録単位としている。
・・・
【0016】図4は情報エリア25の構造を有している。この構造の論理フォーマットは、たとえば標準規格の1つであるISO9660およびユニバーサルディスクフォーマット(UDF)ブリッジに準拠して定められている。
【0017】データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は、ボリュームおよびファイル構造の情報のための空間(ボリューム/ファイル構造)と、DVD規格のアプリケーションのための空間(DVDビデオ領域)と、この規格のアプリケーション以外のための空間(他記録エリア)を含む。ボリュームスペース28は、多数のセクタに物理的に分割され、物理的セクタには連続番号が付される。このボリュームスペース28に記録されるデータの論理アドレスは、ISO9660およびUDFブリッジで定められるように、論理セクタ番号を意味している。ここでの論理セクタサイズは、物理セクタの有効データサイズと同様に、2048バイトである。論理セクタ番号は、物理セクタ番号の昇順に対応して連続番号が付加され。なお、論理セクタと異なり、物理セクタにはエラー訂正情報等の冗長な情報が付加されている。
【0018】ボリュームスペース28は階層構造を有しており、ボリューム/ファイル構造領域、1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域、および他の記録領域を含む。これら領域は、論理セクタの境界上で区分されている。1論理セクタは2048バイトと定義され、1論理ブロックも2048バイトと定義される。したがって、1論理セクタは1論理ブロックと対等に定義される。
・・・
【0021】各ビデオタイトルセットVTSには、MPEG規格により圧縮されたビデオデータ(後述するビデオパック)、所定規格により圧縮されあるいは非圧縮のオーディオデータ(後述するオーディオパック)、およびランレングス圧縮された副映像データ(後述する副映像パック;1画素が複数ビットで定義されたビットマップデータを含む)とともに、これらのデータを再生するための情報(後述するナビゲーションパック;プレゼンテーション制御情報PCIおよびデータサーチ情報DSIを含む)が格納されている。
【0022】ビデオタイトルセットVTSも、ビデオマネージャーVMGと同様に、複数のファイルで構成される。各ファイルは、ビデオタイトルセット情報VTSI、ビデオタイトルセットメニュー用オブジェクトセットVTSM_VOBS、ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBS、ビデオタイトルセット情報のバックアップVTSI_BUPを含んでいる。
・・・
【0024】ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSは、1以上のビデオオブジェクトVOBの集まりを定義している。各VOBは1以上のセルの集まりを定義している。そして、1以上のセルの集まりによって、プログラムチェーンPGCが構成される。
・・・
【0026】図5は、光ディスク10に記録される情報(データファイル)のディレクトリ構造を例示している。ルートディレクトリの下にビデオタイトルセットVTSのサブディレクトリとオーディオタイトルセットATSのサブディレクトリが繋がっている。そして、ビデオタイトルセットVTSのサブディレクトリ中に、種々なビデオファイル(VMGI、VMGM、VTSI、VTSM、VTS等のファイル)が配置されて、各ファイルが整然と管理されるようになっている。特定のファイル(たとえば特定のVTS)は、ルートディレクトリからそのファイルまでのパスを指定することで、アクセスできる
【0027】DVDーRAM(DVDーRW)ディスク10またはDVDーRディスク10は、上記のディレクトリ構造を持つようにプリフォーマットしておき、このプリフォーマット済みディスク10をDVDビデオ録画用の未使用ディスク(生ディスク)として市販することができる。」
ウ 「【0032】図6は、ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSに含まれる情報の階層構造を示す。
【0033】各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成される。そして、各VOBUは、ナビゲーションパック(NVパック)を先頭としビデオパック(Vパック)、副映像パック(SPパック)およびオーディオパック(Aパック)の集合体(パック列)として構成されている。すなわち、VOBUは、あるNVパックから次のNVパックの直前まで記録される全パックの集まりとして定義される。
・・・
【0041】上記のようにビデオファイルは、階層構造となっており、1つのファイルは複数のプログラムチェーンで構成され、1つのプログラムチェーンは、複数のプログラムで構成されており、1つのプログラムは、複数のセルで構成され、1つのセルは、複数のビデオオブジェクトユニットで構成されている。また、VOBUは、複数の様々な種類のデータからなっているパックによって構成されている。パックは1つ以上のパケットとパックヘッダで構成されている。
【0042】また、このビデオオブジェクト(VOB)は、PGC単位で管理データPGCIに対応している。このPGCI内には、セルを管理するセル再生情報テーブル(C_PBIT)をもち、このセル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され、実際のセルの再生アドレスは、C_PBIT内のセル再生情報(C_PBI)として記録されている。」
エ 「【0066】VTSの先頭に配置されたビデオタイトルセット情報VTSIには、ビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT;必須)と、ビデオタイトルセットのパートオブタイトル(たとえばプログラムのチャプター)用のタイトルサーチポインタテーブル(VTS_PTT_SRPT;必須)と、ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブル(VTS_PGCIT;必須)と、ビデオタイトルセットメニュー用のプログラムチェーン情報ユニットテーブル(VTSM_PGCI_UT;VTSM_VOBSが存在するときは必須)と、ビデオタイトルセットタイムマップテーブル(VTS_TMAPT;オプション)と、ビデオタイトルセットメニュー用のセルアドレステーブル(VTSM_C_ADT;VTSM_VOBSが存在するときは必須)と、ビデオタイトルセットメニュー用のビデオオブジェクトユニットアドレスマップ(VTSM_VOBU_ADMAP;VTSM_VOBSが存在するときは必須)と、ビデオタイトルセットセルアドレステーブル(VTS_C_ADT;必須)と、ビデオタイトルセット用のビデオオブジェクトユニットアドレスマップ(VTS_VOBU_ADMAP;必須)とが、この順番で記述されている。
・・・
【0070】図13は、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報テーブルVTSI_PGCITの内容を示す。
【0071】このビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報テーブル情報(VTS_PGCITI)と、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタ(VTS_PGCI_SRP#1~VTS_PGCI_SRP#n)と、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報(VTS_PGCI)とが含まれている。
【0072】なお、複数設けられたビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIの順序は、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP#1~VTS_PGCI_SRP#nの順序と無関係に設定されている。したがって、たとえば同一のプログラムチェーン情報VTS_PGCIを1以上のプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRPで指し示すことが可能となっている。
【0073】図14は、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIの内容を示す。プログラムチェーン情報(PGCI)は、プログラムチェーン一般情報(PGC_GI;必須)、プログラムチェーンコマンドテーブル(PGC_CMDT;オプション)、プログラムチェーンプログラムマップ(PGC_PGMAP;次のC_PBITが存在するときは必須)、セル再生情報テーブル(C_PBIT;オプション)、およびセル位置情報テーブル(C_POSIT;前記C_PBITが存在するときは必須)によって構成されている。
【0074】図15は、セル再生情報テーブルC_PBITの内容を示す。このセル再生情報テーブルC_PBITは、最大255個のセル再生情報(C_PBIn;#n=#1~#255)を含んでいる。」
オ 「【0093】図18は、プログラムチェーン一般情報PGC_GIの内容を示す。
【0094】プログラムチェーン一般情報PGC_GIには、プログラムチェーンの内容(PGC_CNT)と、プログラムチェーンの再生時間(PGC_PB_TM)と、プログラムチェーンのユーザ操作制御情報(PGC_UOP_CTL)と、プログラムチェーンオーディオストリームの制御テーブル(PGC_AST_CTLT)と、プログラムチェーン副映像ストリームの制御テーブル(PGC_SPST_CTLT)と、プログラムチェーンのナビゲーション制御情報(PGC_NV_CTL)と、プログラムチェーンの副映像パレット(PGC_SP_PLT)と、プログラムチェーンのコマンドテーブルの開始アドレス(PGC_CMDT_SA)と、プログラムチェーンのプログラムマップの開始アドレス(PGC_PGMAP_SA)と、プログラムチェーン内のセルの再生情報テーブルの開始アドレス(C_PBIT_SA)と、プログラムチェーン内のセルの位置情報テーブルの開始アドレス(C_POSIT_SA)とが記載されている。
・・・
【0102】プログラムチェーンのコマンドテーブルの開始アドレスPGC_CMDT_SAは、PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである。」
カ 図2には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000001.jpg]
」
キ 図4には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000002.jpg]
」
ク 図6には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000003.jpg]
」
ケ 図13には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000004.jpg]
」
コ 図14には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000005.jpg]
」
サ 図15には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000006.jpg]
」
シ 図18には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000007.jpg]
」
(4-2)乙8文献に記載された発明
ア 上記(4-1)のア、イ、カ、キから、乙8文献には、記録媒体に関して、
DVD記録再生装置に用いて有効な記録媒体であって、(【0001】)、
DVD-RAM(DVD-RW)ディスクまたはDVD-Rディスクである光ディスク10のデータ記録領域として、データ記録エリア28があり、(【0013】、【0014】、【0027】図2)
データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域を含み、各ビデオタイトルセットVTSには、ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データとともに、これらのデータを再生するための情報が格納されている(【0017】、【0018】、【0021】、図4)
ことが記載されているといえる。
イ 上記(4-1)のイ、ウ、キ、クから、乙8文献には、
1以上のビデオタイトルセットVTSは、複数のファイルで構成され、各ファイルは、ビデオタイトルセット情報VTSI、ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSを含んでおり、VTSのサブディレクトリ中に、ファイルVTSIが配置され、(【0022】、【0026】、図4)
VTSTT_VOBSは、1以上のビデオオブジェクトVOBの集まりを定義し、各VOBは1以上のセルの集まりを定義し、1以上のセルの集まりによってプログラムチェーンPGCが構成され、(【0024】、図4、図6)、
VTSTT_VOBSに含まれる情報として、各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成され、各VOBUは、ナビゲーションパックを先頭としビデオパック、副映像パックおよびオーディオパックの集合体として構成されている(【0032】、【0033】、図6)
ことが記載されているといえる。
次に、上記(4-1)のウ、エ、オ、コ、サから、乙8文献には、
VOBは、PGC単位で管理データPGCIに対応し、PGCI内には、セルを管理するセル再生情報テーブルC_PBITをもち、このセル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され、実際のセルの再生アドレスは、C_PBIT内のセル再生情報C_PBIとして記録されており、(【0042】、図15)
C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでいる(【0074】)
といえ、
ここで、VTSIにはビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITが記述されており、(【0066】、図13)
VTS_PGCITには、複数設けられたビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれており、(【0071】、【0072】、図13)
各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI、プログラムチェーンコマンドテーブルPGC_CMDT、プログラムチェーンプログラムマップPGC_PGMAP、セル再生情報テーブルC_PBITおよびセル位置情報テーブルC_POSITによって構成されている(【0073】、図14)
ことが記載されているといえる。
したがって、乙8文献には、セル再生順番の情報に関して、
VTSIに記述されているビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれており、
各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI、プログラムチェーンコマンドテーブルPGC_CMDT、プログラムチェーンプログラムマップPGC_PGMAP、セル再生情報テーブルC_PBITを含んでおり、C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでおり、セルの再生アドレスは、C_PBIに記録されており、セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生される
ことが記載されているといえる。
ウ 上記(4-1)のエ、オ、ケ、シから、乙8文献には、
VTS_PGCITには、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP#1~VTS_PGCI_SRP#nが含まれており、複数設けられたVTS_PGCIをVTS_PGCI_SRPで指し示すものであり、(【0071】、【0072】、図13)
PGC_GIには、プログラムチェーンのコマンドテーブル、すなわち、PGC_CMDTの開始アドレスPGC_CMDT_SAが記載され、(【0094】、図18)
PGC_CMDT_SAは、PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである、(【0102】)
ことが記載されているといえる。
上記ア~ウ及び(4-1)カ~シの図2ないし図18を総合勘案すると、乙8文献には以下の発明(以下、「乙8発明」という。)が記載されているものと認められる。
「DVD記録再生装置に用いて有効な記録媒体であって、
DVD-RAM(DVD-RW)ディスクまたはDVD-Rディスクである光ディスク10のデータ記録領域として、データ記録エリア28があり、
データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域を含み、各ビデオタイトルセットVTSには、ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データとともに、これらのデータを再生するための情報が格納されており、
1以上のビデオタイトルセットVTSは、ビデオタイトルセット情報VTSI、ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSを含んでおり、VTSは複数のファイルで構成され、VTSのサブディレクトリ中にファイルVTSIが配置され、
VTSTT_VOBSは、1以上のビデオオブジェクトVOBの集まりを定義し、各VOBは1以上のセルの集まりを定義し、1以上のセルの集まりによってプログラムチェーンPGCが構成され、
VTSTT_VOBSに含まれる情報として、各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成され、各VOBUは、ナビゲーションパックを先頭としビデオパック、副映像パックおよびオーディオパックの集合体として構成され、
VTSIに記述されているビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれており、
各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI、プログラムチェーンコマンドテーブルPGC_CMDT、プログラムチェーンプログラムマップPGC_PGMAP、セル再生情報テーブルC_PBITを含んでおり、C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでおり、セルの再生アドレスは、C_PBIに記録されており、セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され、
VTS_PGCITには、ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRPが複数含まれており、複数設けられたVTS_PGCIをVTS_PGCI_SRPで指し示すものであり、
PGC_GIには、PGC_CMDTの開始アドレスPGC_CMDT_SAが記載され、
PGC_CMDT_SAは、PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである、
記録媒体。」
(4-3)乙9文献の記載事項
乙9文献である特開2001-143269号公報には以下の記載がある。(下線は合議体が付した。)
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報信号が記録された光ディスクに関し、中でも光ディスクにディジタル動画データ、オーディオデータ、グラフィックスデータを含むオブジェクトを記録する光ディスク記録方法に関する。」
イ 「【0030】(1.1)光ディスクの論理構造
図3はディスクの論理構造を示す図である。図3においては、物理セクタはセクタアドレスにより昇順に配置されており、セクタアドレスに含まれる識別情報により上部からリードイン領域と、リードイン領域に続いてボリューム領域と、ボリューム領域に続いてリードアウト領域と大別される。
・・・
【0032】図3に示すように、ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割される。・・・
【0033】図4はファイル領域の説明図である。図4に示すように、ファイル領域にはビデオマネージャ(Video Manager)と複数のビデオタイトルセット(Video TitleSet)が格納される。これらは複数の連続ファイルからなり上記のファイルシステム管理情報により、記録箇所が算出される。このように連続ファイルである理由は、動画データのデータサイズは膨大であり、これを一本のファイルにすると、そのファイルサイズが1GBを越えてしまうからである。
【0034】ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納する。映画アプリケーションにおいてグループ化される複数のタイトルとは、同一映画の劇場公開版やノーカット版がある場合がこれに相当する。何故なら劇場公開版やノーカット版といったタイトルは共有する映像データが多いため、グループ化して管理するほうが効率良く映像を活用できるからである。」
ウ 「【0038】ビデオマネージャには複数のビデオタイトルセットに格納される全てのタイトルから、ユーザが再生すべきタイトルを選択するためのメニューに関する情報が格納される。以下、ビデオタイトルセット及びビデオマネージャについて詳細を説明する。
(1.1.1)論理構造-ビデオタイトルセット
図5はビデオタイトルセットのデータ構造の説明図である。
【0039】ビデオタイトルセットは、複数のビデオオブジェクト(VOB:Video Object)と、複数のビデオオブジェクトの再生順序を管理するビデオタイトルセット管理情報とを格納する。
(1.1.1.1)ビデオタイトルセット-ビデオオブジェクト(VOB)『ビデオオブジェクト(VOB)』はディジタル動画、ディジタル音声、イメージデータ、これらの管理情報を含むことによりマルチメディア化されたデータである。尚、本例はインタラクティブソフト『推理ゲーム』であるから、図5に示される個々のVOB#1、2、3、4・・・・は、操作者の操作指示によって関係者に質問するシーン、事件現場を捜索するシーン、容疑者を尾行するシーン等、各々が映像のワンシーン等に相当する。
【0040】『ビデオオブジェクト(VOB)』のデータ構造は、複数のVOBユニット(VOBU)が先頭から時系列順に配列された構成を持つ。VOBユニット(VOBU)は、約0.5秒~約1.0秒程度の再生データであり、図5の矢印先に詳細構成を示すように、管理情報パック、動画パック、オーディオパックA~C、副映像パックA~Bといった、複数種別のパックデータより構成される。パックデータはそれぞれ2KByteのデータサイズであり、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になる。また、これら種類別に再統合されたディジタルデータ列をエレメンタリストリームと称し、VOBを複数のエレメンタリストリームから構成されるプログラムストリーム、あるいはシステムストリームと称することもある。」
エ 「【0080】(1.1.1.2)ビデオタイトルセット-ビデオタイトルセット管理情報
ビデオタイトルセット管理情報は、上述したビデオオブジェクト群の複数の再生順序を管理する情報が格納される。DVDではビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータをプログラムチェーン(PGC)と称する。すなわち、本例の『推理ゲーム』を格納するビデオタイトルセットであれば、ビデオタイトルセット管理情報は、初級、中級、上級の各コースが選択された場合にどういうようにシーン展開すべきかを規定するプログラムチェーン(PGC)が複数格納されることになる。
【0081】図16はビデオタイトルセット管理情報の内部構造を示す図である。図16の参照符号a5が示すように、ビデオタイトルセット管理情報は、ビデオタイトルセット管理テーブル、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルから構成される。『ビデオタイトルセット管理テーブル』は、ビデオタイトルセット管理情報のヘッダ情報であり、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルの格納位置へのポインタが格納されている。
【0082】『ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル』は、PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定する。本例であれば、『推理ゲーム』における初級、中級、上級の各コースと、エントリとなるPGC情報とを対応づけて格納している。
【0083】『PGC管理情報テーブル』は、参照符号a6に示すように、ビデオタイトルセットに格納される全てのビデオオブジェクトに対する複数のPGC情報#1,#2,#3,#4・・・・・#nを格納している。各PGC情報は1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており、異なるPGC情報により同一のビデオオブジェクトの再生を記述することも可能である。このため、同一のビデオオブジェクトに対して複数の再生順序を指定することが可能になる。例えば、図5のビデオタイトルセットを例に説明すれば、PGC情報にビデオオブジェクトの再生順序がVOB#1、VOB#2、VOB#3、VOB#4の順序で記述されていれば、ビデオオブジェクトはVOB#1、VOB#2、VOB#3、VOB#4の順序で再生される。また別のPGC情報にビデオオブジェクトの再生順序がVOB#3、VOB#2、VOB#1、VOB#4の順序で記述されていれば、ビデオオブジェクトはVOB#3、VOB#2、VOB#1、VOB#4の順序で再生される。本例の『推理ゲーム』では、異なるPGCを用意することによりビデオオブジェクトに複数の再生順序を指定できる特徴を利用し、異なるストーリ展開を、ストーリ毎に異なるPGCを用意することにより実現している。
【0084】次に、PGC情報のデータ構造について以下説明する。
(1.1.1.2.1)ビデオタイトルセット管理情報-PGC情報
参照符号a6に示すようにPGC情報は、参照符号a9に示す『PGC連結情報』と、参照符号a7に示す『VOB位置情報テーブル』と、参照符号a8に示す『PGCコマンドテーブル』とを含んでいる。
【0085】『PGC連結情報』には、自身のPGC情報と連結する前後のPGC情報の指定情報を格納している。ディスク再生装置は1つのPGC情報による再生が完了すれば、『PGC連結情報』に従って、次のPGC情報を決定し、決定したPGC情報に切り替え、再生制御を継続することになる。『VOB位置情報テーブル』には、シーン展開において読み出すべきビデオオブジェクト(VOB)が光ディスク上の何処に記録しているかが記述してある。
【0086】『PGCコマンドテーブル』には、『VOB位置情報テーブル』に付随したナビゲーション制御用のコマンドが格納されている。ディスク再生装置は、『VOB位置情報テーブル』に基づくVOBの読み出し前及び読み出し後にここに記述されたコマンドを実行する。以下『格納ビデオオブジェクト位置情報テーブル』と『PGCコマンドテーブル』のデータ構造についてさらに詳細を説明する。」
オ 「【0087】(1.1.1.2.1.1)PGC情報-VOB位置情報テーブル
図17は『VOB位置情報テーブル』及びPGCコマンドテーブルの詳細な内部構成を示している。参照符号a7で示すように、『VOB位置情報テーブル』には、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納されている。各VOBの位置情報は、参照符号a9が示すように対象とするVOBの再生時間、ビデオタイトルセット内の格納位置へのオフセット、VOBを構成する論理ブロック数を示している。これにより、ディスク再生装置はビデオオブジェクト(VOB)の読出時に、ビデオオブジェクト(VOB)が格納されている全ての論理ブロックの論理ブロック番号を算出することができる。
【0088】また、VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序をしめしている。図17の場合、VOB#2位置情報、VOB#4位置情報、VOB#6位置情報、VOB#8位置情報が順に格納されており、これは、この格納順序で連続再生されることを示している。図17を例とした『VOB位置情報テーブル』とビデオオブジェクトの記録箇所との関係を、図18、図20を用いてさらに補足して説明する。
【0089】図18は『VOB位置情報テーブル』とビデオオブジェクトの光ディスク上の記録箇所との関係を模式的に示す図である。また、図20は『VOB位置情報テーブル』によるビデオオブジェクト(VOB)の再生順序を示す説明図である。図18においてVOB#2、VOB#4、VOB#6、VOB#8はハッチングに示されている記録区間y101、y102、y103、y104に格納されている。これらの記録区間の開始位置『START』、終了位置『END』を指示する情報が『VOB位置情報』である。」
カ 「【0090】(1.1.1.2.1.2)PGC情報-PGCコマンドテーブル
図17により示されるように『PGCコマンドテーブル』は、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を『前処理コマンド』、『後処理コマンド』の2種類に分類するためのインデックス情報から構成される。コマンドは種類別に連続して格納されており、インデックス情報は、それぞれ前処理コマンド群a11の先頭へのポインタ、後処理コマンド群a12への先頭へのポインタである。
【0091】コマンドの分類は、再生装置によるその実行タイミングにより行われる。『前処理コマンド』はPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、『後処理コマンド』はPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群である。尚、具体的な例を図21に示す。図21は図20が示すPCG情報によるビデオオブジェクトの連続再生が行われる際の、前処理コマンド群a11と後処理コマンド群a12の実行タイミングを示している。
【0092】前処理コマンドと後処理コマンドにはハイライトコマンドの説明の際に図15を参照して説明した設定系コマンドを設定できる。例えば、前処理コマンド群a11として、即値『1』『2』『3』と、レジスタR1,R2,R3とをオペランドに記載したレジスタ操作コマンド『SetReg R1,1』、レジスタ操作コマンド『SetReg R2,2』、レジスタ操作コマンド『SetReg R3,3』を前処理コマンドフィールドに記述しておくと、PGCによるビデオオブジェクトの再生が行われる前のタイミングで、汎用レジスタR1,R2,R3にそれぞれ相異なる初期値『1』『2』『3』を設定することをディスク再生装置に指示することができる。
・・・
【0096】図19において、1行目の『Link』コマンドは、オペランドに指定されたPGC番号のプログラムチェーンに再生進行を分岐させるコマンドである。すなわち、この『Link』コマンドが実行されれば、ディスク再生装置は、現在保持しているPGC情報によるビデオオブジェクトの再生を強制終了し、PGC情報を『Link』コマンドにより指定されるPGC情報に変更し、変更したPGC情報に従って再生進行を継続することになる。このコマンドは、主に、前述したハイライトコマンドで利用され、ユーザがメニューのメニュー項目の選択確定により再生進行の分岐を実行させるために利用される。
【0097】尚、ハイライトコマンド等で分岐系コマンドが実行され、再生に用いられるPGC情報が切り替わる場合、取り決めとして、前述した後処理コマンドは実行されない。これはPGC情報による再生を完了しておらず、全てのビデオオブジェクトの再生を完了していないからである。また図19の2行目の『SetRegLink』コマンドは、分岐コマンド『Link』、レジスタ操作コマンド『SetReg』を組み合わせたコマンドである。即ちレジスタ操作コマンド『SetReg』のように、レジスタの内容に対して代入/加算/減算などの操作を行ない、分岐コマンド『Link #n』のように指定されたプログラムチェーンへ分岐する。
【0098】このコマンドも主にハイライトコマンドとして利用され、例えば、『推理ゲーム』であれば、探偵に眼鏡を手にとるか、ペンを手に取るかをユーザに選択させるメニュー項目を表示させ、選択したメニュー項目に応じて、前述したようなユーザの行動をフラグとして管理するレジスタに値を設定し、さらに、選択したメニュー項目が対応する映像シーンへの分岐を実行させることができる。」
キ 図3には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000008.jpg]
」
ク 図4には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000009.jpg]
」
ケ 図5には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000010.jpg]
」
コ 図16には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000011.jpg]
」
サ 図17には以下の記載がある。
「
[図:0001403589000012.jpg]
」
(4-4)乙9文献に記載された発明
ア 上記(4-3)のア、イ、キ、クから、乙9文献には、情報信号が記録された光ディスク(【0001】)に関して、
リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とに大別されるディスクの論理構造において、ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割され、(【0030】、【0032】、図3)
ファイル領域にはビデオマネージャと複数のビデオタイトルセットが格納され、(【0033】、図4)
ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納する(【0034】)
ことが記載されているといえる。
イ 上記(4-3)のウ、ケから、
ビデオタイトルセットは、複数のビデオオブジェクトVOBと、複数のビデオオブジェクトの再生順序を管理するビデオタイトルセット管理情報とを格納し、(【0039】、図5)
ビデオオブジェクトVOBのデータ構造は、複数のVOBユニットVOBUが先頭から時系列順に配列された構成を持ち、VOBUは、管理情報パック、動画パック、オーディオパック、副映像パックといった、複数種別のパックデータより構成され、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になる(【0040】)
ことが記載されているといえる。
ウ 上記(4-3)のエ、オ、コ、サから、ビデオオブジェクトVOBの再生順序を指定するデータに関して、
ビデオタイトルセット管理情報は、上述したビデオオブジェクト群の複数の再生順序を管理する情報が格納され、DVDでは、ビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータをプログラムチェーン(PGC)と称し、(【0080】)
ビデオタイトルセット管理情報は、ビデオタイトルセット管理テーブル、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルから構成され、(【0081】、図16)
ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブルは、PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定するものであり、(【0082】、図16)
PGC管理情報テーブルは、ビデオタイトルセットに格納される全てのビデオオブジェクトに対する複数のPGC情報を格納し、各PGC情報は1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており、(【0083】、図16)
PGC情報は、PGC連結情報と、VOB位置情報テーブルと、PGCコマンドテーブルとを含んでおり、(【0084】、図16)
VOB位置情報テーブルには、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納されており、各VOBの位置情報は、対象とするVOBの再生時間、ビデオタイトルセット内の格納位置へのオフセット、VOBを構成する論理ブロック数を示しており、(【0087】、図17)
VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序をしめしており、(【0088】)
VOB位置情報はVOBの記録区間の開始位置START、終了位置ENDを指示する情報である(【0089】)
ことが記載されているといえる。
エ 上記(4-3)のカから、上記ウのPGC情報に関して、
PGCコマンドテーブルは、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を前処理コマンド、後処理コマンドの2種類に分類するためのインデックス情報から構成され、(【0090】)
前処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、後処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群である、(【0091】)
ことがいえる。
さらに、(4-3)の上記カから、
前処理コマンドと後処理コマンドには設定系コマンドを設定でき、例えば、即値と、レジスタとをオペランドに記載したレジスタ操作コマンドSetRegを前処理コマンドフィールドに記述しておくと、PGCによるビデオオブジェクトの再生が行われる前のタイミングで、汎用レジスタにそれぞれ異なる初期値を設定することをディスク再生装置に指示するものであり、(【0092】)
Linkコマンドは、オペランドに指定されたPGC番号のプログラムチェーンに再生進行を分岐させるコマンドであり、ユーザがメニューのメニュー項目の選択確定により再生進行の分岐を実行させるために利用され、(【0096】)
SetRegLinkコマンドは、分岐コマンドLink、レジスタ操作コマンドSetRegを組み合わせたコマンドであり、レジスタ操作コマンドSetRegのように、レジスタの内容に対して代入/加算/減算などの操作を行ない、分岐コマンドLink #nのように指定されたプログラムチェーンへ分岐するものであり、ユーザに選択させるメニュー項目を表示させ、選択したメニュー項目に応じて、ユーザの行動をフラグとして管理するレジスタに値を設定し、さらに、選択したメニュー項目が対応する映像シーンへの分岐を実行させるものである、(【0097】、【0098】)
ことが記載されている。
そうすると、乙9文献には、前処理コマンドと後処理コマンドとして設定される設定系コマンドとして、SetRegコマンド、Linkコマンド、LinkコマンドとSetRegコマンドを組み合わせたSetRegLinkコマンドなどがあることがいえる。
上記ア~エ及び上記(4-3)のキ~サの図3ないし図17を総合勘案すると、乙9文献には以下の発明(以下、「乙9発明」という。)が記載されているものと認められる。
「情報信号が記録された光ディスクであって、
リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とに大別されるディスクの論理構造において、ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割され、
ファイル領域にはビデオマネージャと複数のビデオタイトルセットが格納され、
ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納し、
ビデオタイトルセットは、複数のビデオオブジェクト(VOB)と、複数のビデオオブジェクトの再生順序を管理するビデオタイトルセット管理情報とを格納し、
ビデオオブジェクトVOBのデータ構造は、複数のVOBユニットVOBUが先頭から時系列順に配列された構成を持ち、VOBUは、管理情報パック、動画パック、オーディオパック、副映像パックといった、複数種別のパックデータより構成され、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になるものであり、
ビデオタイトルセット管理情報は、上述したビデオオブジェクト群の複数の再生順序を管理する情報が格納され、DVDでは、ビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータをプログラムチェーン(PGC)と称し、
ビデオタイトルセット管理情報は、ビデオタイトルセット管理テーブル、ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル、PGC管理情報テーブルから構成され、
ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブルは、PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定するものであり、
PGC管理情報テーブルは、ビデオタイトルセットに格納される全てのビデオオブジェクトに対する複数のPGC情報を格納し、各PGC情報は1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており、
PGC情報は、PGC連結情報と、VOB位置情報テーブルと、PGCコマンドテーブルとを含んでおり、
VOB位置情報テーブルには、再生すべき複数のビデオオブジェクトの位置情報が格納されており、各VOBの位置情報は、対象とするVOBの再生時間、ビデオタイトルセット内の格納位置へのオフセット、VOBを構成する論理ブロック数を示しており、
VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序を示しており、
VOB位置情報はVOBの記録区間の開始位置START、終了位置ENDを指示する情報であり、
PGCコマンドテーブルは、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を前処理コマンド、後処理コマンドの2種類に分類するためのインデックス情報から構成され、
前処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、後処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群であり、
前処理コマンドと後処理コマンドとして設定される設定系コマンドとして、SetRegコマンド、Linkコマンド、LinkコマンドとSetRegコマンドを組み合わせたSetRegLinkコマンドなどがある、
光ディスク。」
(5)本件訂正発明1と乙8発明との対比及び判断(無効理由1について)
(5-1)本件訂正発明1と乙8発明とを対比する。
ア 構成Aについて
乙8発明の「DVD記録再生装置に用いて有効な記録媒体」である「DVD-RAM(DVD-RW)ディスクまたはDVD-Rディスクである光ディスク10」は、「データ記録領域としてデータ記録エリア28があり、データ記録エリア28は、ボリュームスペースとして割り当てられ、ボリュームスペース28は1以上のビデオタイトルセットVTS#nからなるDVDビデオ領域を含」むものであるから、ビデオタイトルセットVTSは1つの光ディスク10に複数記録されているといえる。
また、「各ビデオタイトルセットVTSには」、「ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データとともに、これらのデータを再生するための情報が格納されている」ことから、これらのデータを格納しているVTSは、構成Aの「論理的に一つのまとまりのある情報単位であるタイトル」ということができる。
そうすると、乙8発明の上記VTSを複数記録している「光ディスク10」は、構成Aにおいて特定される「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体」に相当する。
イ 構成Bについて
上記アのとおり、乙8発明の上記「VTSには、ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データ」「が格納されており」、「VTSは、ビデオタイトルセット情報VTSI、ビデオタイトルセットタイトル用ビデオオブジェクトセットVTSTT_VOBSを含んでおり」、「VTSTT_VOBSに含まれる情報として、各セル84は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成され、各VOBUは、ナビゲーションパックを先頭としビデオパック、副映像パックおよびオーディオパックの集合体として構成され」る。
ここで、本件特許明細書の【0008】には、「本発明の情報記録媒体によれば、オブジェクトデータファイルは、一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納する。ここに「一連のコンテンツ情報」とは、例えば主映像情報(ビデオデータ)、音声情報(オーディオデータ)、副映像情報(サブピクチャデータ)等から構成される。」という記載があることから、乙8発明の上記「VTS」に格納される「ビデオデータ、オーディオデータ、副映像データ」及び「ビデオパック、副映像パックおよびオーディオパックの集合体として構成され」る「各VOBU」は、構成Bの「一連のコンテンツ情報」及び「(一連のコンテンツ情報をなす)オブジェクトデータ」に相当する。
ただし、構成Bの「オブジェクトデータファイル」はファイルとして構成されているのに対して、乙8発明の「各VOBU」を含む「VTS」を含む「DVDビデオ領域」は、オブジェクトデータを格納する領域ではあるが、ファイルとして構成されているかどうかは特定されていない点で相違する。
ウ 構成Cについて
乙8発明の「VTSTT_VOBSに含まれる」「1以上のVOBUにより構成され」る「セル」は、構成Cの「該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータ」と、オブジェクトデータを格納する領域に格納されたオブジェクトデータである点で共通する。
次に、乙8発明の「VTS」に含まれる「ビデオタイトルセット情報VTSI」に記述されている「ビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCITには、複数のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCIが含まれており、各VTS_PGCIは、プログラムチェーン一般情報PGC_GI、セル再生情報テーブルC_PBITを含んでおり、C_PBITは、最大255個のセル再生情報C_PBInを含んでおり、セルの再生アドレスは、C_PBIに記録されており、セル再生順番は、C_PBIT内に記述されている順番で再生され」る。
そうすると、セルはC_PBIT内に記述される複数のC_PBIの順番で再生されるといえるから、C_PBITは構成Cの「オブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報」に相当するといえる。
さらに、乙8発明の「C_PBIT」を含む「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報VTS_PGCI」は、「VTSIに記述されているビデオタイトルセットのプログラムチェーン情報テーブルVTS_PGCIT」「に複数」「含まれて」いることから、VTS_PGCITに複数含まれるVTS_PGCIに関し、VTS_PGCIに対応して含まれているC_PBITは、VTS_PGCITに複数含まれているといえる。
そうすると、乙8発明の上記「VTS_PGCIT」は構成Cの「プレイリスト情報を複数格納するプレイリスト情報ファイル」に対応するといえる。
ただし、上記イの点に加えて、構成Cの「プレイリスト情報ファイル」はファイルとして構成されているのに対して、乙8発明の上記「VTS_PGCIT」は、C_PBITを格納する領域ではあるが、ファイルとして構成されるかどうかについては特定されていない点で相違する。
エ 構成Dについて
乙8発明の「ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタVTS_PGCI_SRP」は、「複数設けられたVTS_PGCIを」「指し示す」ものであり、また、上記ウのとおり、VTS_PGCIに対応してC_PBITが含まれていることから、VTS_PGCI_SRPを用いてC_PBITを指定することができるといえる。
そうすると、乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」は、構成Dの(i)の「プレイリスト指定情報」に相当する情報を含むといえる。
一方、乙8発明において、VTS_PGCIに含まれるPGC_GIには、「PGC_CMDTの開始アドレスPGC_CMDT_SA」が含まれており、PGC_CMDT_SAは「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンドのための記述エリアである」ことから、VTS_PGCIに含まれるPGC_CMDT_SAから指し示されるPGC_CMDTは「PGC再生前に実行されるプリコマンド、PGC再生後に実行されるポストコマンドおよびセル再生後に実行されるセルコマンド」を含むものといえる。
そうすると、乙8発明のVTS_PGCIは、構成Dの(ii)の「プリコマンド情報」及び(iii)の「ポストコマンド情報」を含むといえる。
ここで、乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」はVTS_PGCIを指し示すことで結果的にC_PBITを指定すること、複数の「VTS_PGCI_SRP」が「VTS_PGCIT」に含まれていることを踏まえると、乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」は、構成Dの「情報集合」のうち、(i)の「プレイリスト指定情報」に相当する情報を含み、かつ(ii)の「プリコマンド情報」及び(iii)の「ポストコマンド情報」を指定する情報を含むものであって、かつ「VTS_PGCIT」は、「VTS_PGCI_SRP」を複数格納するといえる。
以上のことから、乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」と構成Dの「情報集合」とは、「プレイリスト指定情報」を含む点で共通するものの、構成Dの「情報集合」は「プリコマンド情報」及び「ポストコマンド情報」を含んでいるのに対して、乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」は「プリコマンド情報」自体ないし「ポストコマンド情報」自体を含むわけではない点で相違する。
さらに、上記イ、ウの点に加えて、乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」を複数格納する「VTS_PGCIT」は、構成Dの「プレイリスト指定情報」を含む「情報集合」を複数格納する点で構成Dの「ディスク情報ファイル」と共通するものの、構成Dの「ディスク情報ファイル」はファイルとして構成されており、かつ構成Cの「プレイリスト情報ファイル」とは別個のファイルであるのに対して、乙8発明の「VTS_PGCIT」は、ファイルとして構成されているかどうかは不明であり、かつ上記ウのとおり、構成Cの「プレイリスト情報ファイル」に対応する構成でもある点で相違する。
オ 構成Eについて
上記アのとおり、構成Eの「タイトル」に相当する乙8発明の「VTS」は「VTSI」を含む。また、「VTSI」は「VTS_PGCIT」を記述し、「VTS_PGCIT」は構成Dの「情報集合」に対応する複数の「VTS_PGCI_SRP」を格納している。
そうすると、乙8発明の「VTS」に格納される「VTS_PGCI_SRP」は、構成Dの「プレイリスト指定情報」「を含んでなる情報集合」に対応するところ、「プレイリスト指定情報」は、構成Cのとおり、「オブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定する」ことから、タイトルの少なくとも一部を論理構成するものといえ、複数のVTS_PGCI_SRPを用いることで、タイトルを論理構成する場合があるものと認められる。
そうすると、本件訂正発明1と乙8発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
A 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、
B’ 一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータ格納領域と、
C’ 該オブジェクトデータ格納領域に格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納するための領域と、
D’ 前記オブジェクトデータ格納領域に格納されたオブジェクトデータの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報を含んでなる情報集合を複数格納するための領域と
を備えており、
E 前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される
A ことを特徴とする情報記録媒体。
(相違点1)
オブジェクトデータ格納領域、プレイリスト情報を複数格納するための領域、及び情報集合を複数格納するための領域として、
本件訂正発明1は、構成Bの「オブジェクトデータファイル」、構成Cの「プレイリスト情報ファイル」、構成Dの「ディスク情報ファイル」を別個に有するのに対して、
乙8発明の「VOBU」を含む「VTS」を含む「DVDビデオ領域」、「VTS_PGCIT」はファイルとして構成されるかどうかは特定されておらず、かつ「VTS_PGCIT」は「プレイリスト情報」及び「情報集合」の両者を含む点。
(相違点2)
オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、
本件訂正発明1の「情報集合」は、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでいるのに対して、
乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」は、「プレイリスト指定情報」を含むものの、「プリコマンド情報」自体及び「ポストコマンド情報」自体を含むものではない点。
(5-2-1)相違点1についての検討
乙8発明の「VTS_PGCIT」は「ビデオタイトルセット情報VTSI」に記述されるテーブルであるところ、VTSIがファイルとして構成される以上、VTS_PGCITはファイルに含まれるテーブルにすぎず、ファイルではないといえる。
そうすると、本来ファイルではないVTS_PGCITをファイルとして構成するには、そのような改変を行うための何らかの示唆が必要であるといえるが、そのような示唆は乙8文献には記載されていない上に、乙8発明のDVD-RAM、DVD-RW、DVD-Rといった光ディスクのデータ記録エリアにおける技術的前提でもない。
さらに、仮に「VTS_PGCIT」をファイルとして構成した場合、この「VTS_PGCIT」からなるファイルは、本件訂正発明1の構成Cの「プレイリスト情報ファイル」と構成Dの「ディスク情報ファイル」に含まれる情報を1つのファイルにおいて含むことになる。
一方、本件訂正発明1の構成Cの「プレイリスト情報ファイル」と構成Dの「ディスク情報ファイル」は、別のファイルとして構成されている。
以上の点から、相違点1は形式的なものではなく、実質的なものである。
(5-2-2)相違点2についての検討
乙8文献には「VTS_PGCI_SRP」は、「プレイリスト指定情報」を含むものの、「プリコマンド情報」自体及び「ポストコマンド情報」自体を含むように構成することは記載されておらず、また乙8文献におけるDVD-RAM、DVD-RW、DVD-Rといった光ディスクのデータ記録エリアにおける技術的前提でもない。
してみると、本件訂正発明1の「情報集合」と乙8発明の「VTS_PGCI_SRP」は実質的に相違するものである。
そして、本件訂正発明1は、このような構成をとることで、本件特許明細書の【0024】に記載される「同一のプレイリスト情報を、プリコマンド又はポストコマンドとの組み合わせを変えることによって若しくは複数のプレイリスト指定情報によって使い回すことによって、全体として必要な記録容量を削減できる」という効果を実現するものといえる。
(5-3)小括
したがって、本件訂正発明1は本件特許出願前に公開された乙8文献に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
(6)本件訂正発明1と乙9発明との対比及び判断(無効理由2について)
(6-1)本件訂正発明1と乙9発明とを対比する。
ア 構成Aについて
乙9発明の「情報信号が記録された光ディスク」は「リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とに大別されるディスクの論理構造」を具備するといえるから、上記「光ディスク」は「ボリューム領域」を有するといえる。さらに、「ボリューム領域は、さらにボリューム管理領域とファイル領域に分割され、ファイル領域にはビデオマネージャと複数のビデオタイトルセットが格納され、ビデオタイトルセットは、タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して格納し」ていることから、上記「光ディスク」は「タイトルと称される1つ以上のDVDアプリケーションをグループ化して記録」しているといえ、上記「光ディスク」は、構成Aにおいて特定される「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体」に相当する。
イ 構成Bについて
乙9発明の「ビデオタイトルセット」は「複数のビデオオブジェクト(VOB)」を格納し、「VOBのデータ構造は、複数のVOBユニットVOBUが先頭から時系列順に配列された構成を持ち、VOBUは、管理情報パック、動画パック、オーディオパック、副映像パックといった、複数種別のパックデータより構成され、種類別のパックデータを集めて再統合することにより、それぞれ、動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列になるものであ」ることから、VOBは動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列から構成されるといえる。
ここで、本件特許明細書の【0008】には、「本発明の情報記録媒体によれば、オブジェクトデータファイルは、一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納する。ここに「一連のコンテンツ情報」とは、例えば主映像情報(ビデオデータ)、音声情報(オーディオデータ)、副映像情報(サブピクチャデータ)等から構成される。」という記載があることから、乙9発明の上記「ビデオタイトルセット」に格納され、「動画データ、音声データ、副映像データ、制御データを構成するディジタルデータ列」から構成される複数の「VOBU」ないしこれらを含む「VOB」は、構成Bの「一連のコンテンツ情報」及び「(一連のコンテンツ情報をなす)オブジェクトデータ」に相当するといえる。
ただし、構成Bの「オブジェクトデータファイル」はファイルとして構成されているのに対して、乙9発明の「VOB」を含む「ビデオタイトルセット」を記録する「ファイル領域」の部分は、ファイルとして構成されているかどうかは特定されていない点で相違する。
ウ 構成Cについて
上記イのとおり、乙9発明の「VOBU」ないし「VOB」は、構成Cの「該オブジェクトデータファイルに格納されたオブジェクトデータ」に対応する。
乙9発明の「ビデオオブジェクト群の再生順序を指定するデータ」である「プログラムチェーン(PGC)」、すなわち「PGC情報」は、「1つ以上のビデオオブジェクトの再生順序を記述しており」、「VOB位置情報テーブルと、PGCコマンドテーブル」を含んでいる。
また、「VOB位置情報テーブル」には、「再生すべき複数のビデオオブジェクト」すなわちVOB「の位置情報が格納されており、各VOBの位置情報は、対象とするVOBの再生時間、ビデオタイトルセット内の格納位置へのオフセット、VOBを構成する論理ブロック数を示しており、VOB位置情報のテーブル内のエントリー順位は再生順序を示して」いる。
そうすると、「VOB位置情報テーブル」は構成Cと同様に「オブジェクトデータの再生シーケンスを」「規定する」といえるから、「VOB位置情報テーブル」は構成Cの「論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報」に相当するといえる。
さらに、乙9発明の「PGC管理情報テーブル」は「複数のPGC情報を格納し」ていることから、構成Cの「プレイリスト情報を複数格納するプレイリスト情報ファイル」に対応する。
ただし、プレイリスト情報を複数格納するにあたり、構成Cの「プレイリスト情報ファイル」はファイルとして構成されるのに対して、乙9発明の「PGC管理情報テーブル」はファイルとして構成されているかどうかは特定されていない点で相違する。
エ 構成Dについて
乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」は、「PGC管理情報テーブルに格納される複数のプログラムチェーン群のインデックスであり、タイトル毎に第一に実行されるプログラムチェーンの格納位置へのポインタを指定する」ところ、「PGC管理情報テーブル」は「複数のPGC情報を格納し」ていることから、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」は「PGC情報を指定する」ものといえる。
そうすると、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」は、構成Dの(i)の「プレイリスト指定情報」に相当する。
一方、乙9発明の「PGC情報」は「PGCコマンドテーブル」を含んでおり、「PGCコマンドテーブルは、複数のコマンド群と、これらのコマンド群を前処理コマンド、後処理コマンドの2種類に分類するためのインデックス情報から構成され」るものであって、「前処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が行われる前に連続実行されるコマンド群であり、後処理コマンドはPGCに属する全てのビデオオブジェクト群の再生が完了した時に連続実行されるコマンド群であ」ることから、PGC情報は構成Dの(ii)の「プリコマンド情報」及び(iii)の「ポストコマンド情報」を含むといえる。
そうすると、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」と構成Dの「情報集合」とは、「プレイリスト指定情報」を含む点で共通するものの、構成Dの「情報集合」は「プリコマンド情報」自体及び「ポストコマンド情報」自体を含んでいるのに対して、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」は「プリコマンド情報」及び「ポストコマンド情報」を含むPGC情報を指定する情報を含むに過ぎず、「プリコマンド情報」自体及び「ポストコマンド情報」自体を含むわけではない点で相違する。
さらに、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」は、構成Dの「プレイリスト指定情報」を含む「情報集合」を複数格納する点では、構成Dの「ディスク情報ファイル」と共通するものの、構成Dの「ディスク情報ファイル」はファイルとして構成されており、かつ構成Cの「プレイリスト情報ファイル」とは別個のファイルであるのに対して、乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」は、ファイルとして構成されているかどうかは不明であり、かつ上記ウの「PGC管理情報テーブル」ととともに「ビデオタイトルセット管理情報」に含まれている点で相違する。
オ 構成Eについて
構成Eの「前記タイトル」すなわち構成Aの「タイトル」に相当する乙9発明の「タイトル」を1つだけ含むような「ビデオタイトルセット」に含まれる、「ビデオタイトルセット管理情報」を構成する「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」は、構成Dの「プレイリスト指定情報」「を含んでなる情報集合」に対応するところ、「プレイリスト指定情報」は、構成Cのとおり、「オブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定する」ことから、タイトルを論理構成するものといえる。
そうすると、本件訂正発明1と乙9発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
A 論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体であって、
B’ 一連のコンテンツ情報をなすオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータ格納領域と、
C’ 該オブジェクトデータ格納領域に格納されたオブジェクトデータの再生シーケンスを、論理的にアクセス可能なプレイリストの単位で規定するプレイリスト情報を複数格納するための領域と、
D’ 前記オブジェクトデータ格納領域に格納されたオブジェクトデータの再生を制御するための再生制御情報として、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報を含んでなる情報集合を複数格納するための領域と
を備えており、
E 前記タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される
A ことを特徴とする情報記録媒体。
(相違点1)
オブジェクトデータ格納領域、プレイリスト情報を複数格納するための領域、及び情報集合を複数格納するための領域として、
本件訂正発明1は、構成Bの「オブジェクトデータファイル」、構成Cの「プレイリスト情報ファイル」、構成Dの「ディスク情報ファイル」を別個に有するのに対して、
乙9発明の複数の「VOB」を記録する「ファイル領域」、「PGC管理情報テーブル」、「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」はファイルとして構成されるかどうかは特定されておらず、かつ「PGC管理情報テーブル」と「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」はいずれも「ビデオタイトルセット管理情報」に含まれる点。
(相違点2)
オブジェクトデータファイルの再生を制御するための再生制御情報として、
本件訂正発明1の「情報集合」は、(i)前記プレイリスト情報ファイルに格納された複数のプレイリスト情報のうち、再生すべきプレイリストを規定する一のプレイリスト情報を指定するプレイリスト指定情報、(ii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生前に実行すべきコマンドを示すプリコマンド情報及び(iii)前記一のプレイリスト情報に基づく再生後に実行すべきコマンドを示すポストコマンド情報の三者を含んでいるのに対して、
乙9発明の「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」は、「プリコマンド情報」及び「ポストコマンド情報」を含むPGC情報を指定する情報を含むにすぎず、「プリコマンド情報」及び「ポストコマンド情報」を含むわけではない点。
(6-2-1)相違点1についての検討
乙9発明の「PGC管理情報テーブル」や「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」は、ともに「ビデオタイトルセット管理情報」に含まれる。
ここで、上記「ビデオタイトルセット管理情報」は、ビデオタイトルセットに含まれており、かつプログラムチェーンに関する情報を含むという点で、乙8発明におけるビデオタイトルセットVTSに含まれており、かつビデオタイトルセットプログラムチェーン情報を含む「ビデオタイトルセット情報VTSI」に相当するものである。
ところで、乙8発明においては、VTSIはファイルとして構成されることから、乙9発明における「ビデオタイトルセット管理情報」もファイルとして構成されるといえる。
そうすると、乙8文献に接した当業者ならば、乙9発明において、ビデオタイトルセット管理情報というファイルに含まれる「PGC管理情報テーブル」や「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」を、まとめて1つのファイルとして構成することは容易になし得たといえる。
しかしながら、「PGC管理情報テーブル」や「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタテーブル」を、本件訂正発明1の構成C、Dのようにそれぞれ別のファイルとして構成することは、乙9文献、乙8文献のいずれにも記載されておらず、かつ当業者が適宜なし得る事項であるということもできない。
(6-2-2)相違点2についての検討
乙9発明のPGC情報を指定することで、「プリコマンド情報」及び「ポストコマンド情報」を指定する情報を含むような「ビデオタイトルセット部タイトルサーチポインタ」が、さらに「プリコマンド情報」自体や「ポストコマンド情報」自体を含むようにすることは、上記(5-2-2)の相違点2についての検討と同様に、乙9文献や乙8文献におけるDVD-RAM、DVD-RW、DVD-Rといった光ディスクのデータ記録エリアにおける技術的前提でなく、また乙9文献及び乙8文献には記載されていない。
そして、本件訂正発明1は、このような構成をとることで、本件特許明細書の【0024】に記載される「同一のプレイリスト情報を、プリコマンド又はポストコマンドとの組み合わせを変えることによって若しくは複数のプレイリスト指定情報によって使い回すことによって、全体として必要な記録容量を削減できる」という効果を実現するものといえる。
(6-3)小括
以上のとおり、本件訂正発明1は、乙9発明及び乙8文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできず、本件訂正発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
(7)本件訂正発明1のサポート要件について(無効理由3について)
本件訂正発明1においては、上記構成Aのとおり、「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体」と特定されており、この「情報記録媒体」は、構成Dのとおり「情報集合を複数格納する」ものであって、構成Eのとおり「タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される」ものであることからみて、上記「情報記録媒体上にタイトルを一つ記録し、タイトルが一つの情報集合により論理構成される場合」は生じず、本件特許明細書の段落【0024】に記載される、「複雑且つ大量のコンテンツ情報からなる一又は複数のタイトルを効率的に記録可能と」するという課題を解決し、「同一のプレイリスト情報を、プリコマンド又はポストコマンドとの組み合わせを変えることによって若しくは複数のプレイリスト指定情報によって使い回すことによって、全体として必要な記録容量を削減できる」という効果を実現するものといえる。
したがって、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものといえる。
(8)本件訂正発明1の明確性要件について(無効理由4について)
本件訂正発明1においては、上記構成Aのとおり、「論理的に一まとまりの情報単位であるタイトルが複数記録される情報記録媒体」と特定されており、この「情報記録媒体」は、構成Dのとおり「情報集合を複数格納する」ものであって、構成Eのとおり「タイトルは、一つ以上の前記情報集合により論理構成される」ものであることからみて、情報記録媒体上にタイトルは複数記録され、タイトルは一つ以上の情報集合により論理構成されることから、当業者は、タイトルは情報記録媒体上に記録した複数の情報集合により論理構成されることを理解することができる。
したがって、本件訂正発明1は、発明が明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものといえる。
(9)本件訂正発明1の独立特許要件についてのまとめ 以上のとおりであるから、(3)において認定した本件訂正発明1は、(2)に示される本件無効理由によっては、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではない。
また、本件訂正発明1について、他に独立特許要件を否定する理由を発見しない。
(10)本件訂正発明2~3、6~9、11、12、4、10の独立特許要件について
上記(9)のとおり、本件訂正発明1については特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないところ、本件訂正発明1の「情報記録媒体」を引用したり、「情報記録装置」、「情報再生装置」、「情報記録再生装置」ないしこれらの「装置」に備えられた「プログラム」、「情報再生方法」、「情報記録再生方法」に係る特許発明として特定した上記本件訂正発明についても同様に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件訂正は、本件訂正発明2~3、6~9、11、12、4、10についての独立特許要件を満たしているといえる。
(11)独立特許要件についてのまとめ
上記(9)、(10)のとおりであるから、本件訂正は、本件訂正発明についての独立特許要件を満たしているから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1、2は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-390019