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特許訂正審判

2024-390081

遊技機

審判番号
2024-390081
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2019-233141
登録番号
7193860
請求日
2024年07月29日
審決日
2024年10月01日
公報発行日
2025年02月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】京楽産業. 株式会社
  • 【請求人代理人】古部 次郎
  • 【請求人代理人】伊與田 幸穂
  • 【請求人代理人】尾形 文雄
審判長/審判官
  • 審判長 渋谷 知子
  • 審判官 三橋 健二
  • 審判官 澤田 真治
分類
P141 .853-Y (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項特許法126条6項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7193860号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第7193860号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許第7193860(以下「本件特許」という。)は、令和1年12月24日に特願2019-233141として出願され、令和4年11月7日付けで特許査定がなされ、同年12月13日に特許権の設定登録がなされ、令和6年7月29日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の明細書(以下「本件特許明細書」という。)及び特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 本件訂正審判請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。なお、下線は訂正箇所を示す。 1 訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1に 「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」及び「前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」とあるのを、 「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」及び「前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」に訂正する。 2 訂正事項2 本件特許明細書の段落【0006】に 「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」及び「前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」とあるのを、 「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」及び「前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」に訂正する。 第4 訂正の適否についての判断 1 訂正事項1について (1)特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的) ア 本件特許請求の範囲の請求項1における「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」の「記憶手段」は、「判定情報を保留記憶として記憶する」ものと特定されている。しかしながら、遊技機の分野における技術常識からは、「保留記憶」として記憶されるのは、「特別遊技を行うか否か」の「判定」に用いられる乱数値等の情報であるところ、訂正前の「前記判定に基づく判定情報」との記載では、「保留記憶」として記憶される「判定情報」にどのような情報が含まれるのか明瞭でなく、「特別遊技を行うか否か」の「判定」に用いられる乱数値等の情報が含まれるのか判然とせず、具体的にどのような「判定情報」であるのか、明瞭であるとはいえなかった。 イ 一方、本件特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、「保留記憶として記憶する記憶手段」について、次のように記載されている。なお、下線は合議体が付した。 「【0088】 〔遊技制御部による始動口スイッチ処理〕 図9は、図8のS802に示したスイッチ処理のうちの始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。 この始動口スイッチ処理は、第1始動口121における入賞に対する処理と、第2始動口122における入賞に対する処理とが順次行われる。図9を参照すると、遊技制御部200は、まず、第1始動口121に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211がONとなったか否かを判断する(S901)。第1始動口スイッチ211がONとなったならば、次に遊技制御部200は、第1始動口121の入賞における未変動分の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(S902)。図9に示す例では、上限値を4個としている。保留数U1が上限値に達している場合は(S902でNo)、それ以上未変動分の入賞を保留することができないので、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。 【0089】 一方、保留数U1が上限値未満である場合(S902でYes)、遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による判定のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(S903)。ここでは、第1始動口121の入賞なので、特別図柄抽選のための乱数値が取得される。このとき取得される乱数値は、S801の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により、後の特別図柄処理において特別図柄抽選の結果が確定される。ここにいう乱数値としては、大当たり、小当たりまたははずれを決定する大当たり乱数値、大当たりの種類(大当たり遊技の終了後における時短状態か時短無状態、高確率状態と低確率状態、長当たり、短当たり)を決定する図柄乱数値(大当たり図柄乱数値)、図柄変動における変動パターンを特定するための変動パターン乱数値、はずれのときに後述のリーチ演出を実行可能な変動パターン(変動時間)にするか否かを決定するリーチ乱数値、等が含まれる。」 「【0179】 図22(a)に示すように、RAM203は、大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数を記憶する特別図柄保留記憶領域としての記憶領域204を備えている。この記憶領域204は、第1始動口121の保留数と第2始動口122の保留数の最大値に対応する8つの記憶部を有している(各保留数の上限値が4の場合)。具体的に説明すると、記憶領域204は、第1記憶部204a、第2記憶部204b、第3記憶部204c、第4記憶部204d、第5記憶部204e、第6記憶部204f、第7記憶部204g、第8記憶部204hを有している。」 ウ 上記のイの記載からして、本件明細書等には「遊技制御部200の乱数取得部231は、今回の入賞による判定のための乱数値を取得し、RAM203に格納」し、「乱数値としては、大当たり、小当たりまたははずれを決定する大当たり乱数値・・・・等が含まれ」、「RAM203は、大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数を記憶する特別図柄保留記憶領域としての記憶領域204を備えている」と記載されていることから、本件特許請求の範囲の請求項1の「保留記憶として記憶する記憶手段」は、本件明細書等の「大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数を記憶する特別図柄保留記憶領域としての記憶領域204」を備えた「RAM203」に対応し、本件特許請求の範囲の請求項1の「保留記憶」は、本件明細書の「入賞による判定のための乱数値」(大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数)に対応すると解される。 エ また、本件明細書等には、「判定」について、次のように記載されている。 「【0063】 特別図柄判定部234は、特別図柄の変動開始時に、後述する図20に示すような乱数テーブルを用いて、特別図柄抽選の抽選結果が「大当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「大当たりに当選していない場合での小当たりかはずれか」を判定する。すなわち、乱数取得部231は、検知手段である第1始動口スイッチ211または第2始動口スイッチ212により遊技球の通過が検知されたことを契機として特別図柄に関する乱数値を取得し、特別図柄判定部234は、取得した乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技(大当たり遊技等)を行うか否かを判定する。なお、前述した特別図柄の抽選(大当たり抽選)は、乱数取得部231および特別図柄判定部234における処理のことをいう。」 オ 上記のエの記載から、本件特許請求の範囲の請求項1における「始動条件の成立に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、」「前記判定の結果に応じて特別図柄を変動表示させてから停止表示させる変動表示手段と、を有し、」の「判定」は、「特別図柄判定部234は、特別図柄の変動開始時に」、「乱数テーブルを用いて、特別図柄抽選の抽選結果が「大当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「大当たりに当選していない場合での小当たりかはずれか」を判定する」、すなわち、「第1始動口スイッチ211または第2始動口スイッチ212により遊技球の通過が検知されたことを契機として特別図柄に関する乱数値を取得し、特別図柄判定部234は、取得した乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技(大当たり遊技等)を行うか否かを判定する」(【0063】)ことの「判定」に対応すると解される。 よって、本件特許請求の範囲の請求項1における「前記判定に基づく判定情報」は、上記の本件明細書等に記載の「判定」についての対応関係を踏まえると、「特別図柄抽選の抽選結果が「大当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「大当たりに当選していない場合での小当たりかはずれか」を判定」したことに基づく情報、すなわち、「いずれかの当たりに当選したか否かの判定情報」を意味することとなる。 カ ここで、上記のオに従えば、本件特許請求の範囲の請求項1の「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」の「判定情報を保留記憶として記憶する」ときの「保留記憶」も、「いずれかの当たりに当選したか否かの判定情報」を意味することになるが、このとき、上記のウで述べた、本件特許請求の範囲の請求項1の「保留記憶」が、本件明細書等の「入賞による判定のための乱数値」に対応することとの間に、不合理を生じていた。 キ そうすると、訂正事項1における訂正のうち「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」とする訂正(以下「訂正事項1-1」という。)は、「判定情報」が、「前記判定に用いられる」ものであることを特定することで、いずれかの当たりに当選したか否かの判定に用いられる「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)に対応するものであることを明らかにし、上記のカの不合理をなくすものであり、かつ、上記のアで述べた点について、「保留記憶として記憶」される「判定情報」との関係を明瞭にするものである。 ク 一方で、上記のキで述べたように、訂正事項1-1によって「判定情報」が、いずれかの当たりに当選したか否かの判定に用いられる「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数)に対応することを明瞭にすると、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1の「前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」との記載部分は、「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)の「内容を示唆する情報表示を表示させることが可能」であることを意味することとなるが、「乱数値」はそれ自身はランダムな数を意味するにとどまるから、このとき「前記判定情報の内容」が意味するもの、すなわち、「乱数値」の「内容」が意味するものが明瞭でないとともに、「乱数値」の「内容を示唆する情報」も、乱数値の何を示唆する情報であるか、明瞭ではないこととなる。 ケ このため、訂正事項1における訂正のうち、上記クで指摘した記載部分を「前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能」とする訂正(以下「訂正事項1-2」という。)をすることによって、当該記載部分は、上記のキの対応関係を踏まえると、「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)に「基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」という意味に解すことができるから、「前記判定情報に基づく内容を示唆」は、「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)に基づく判定の内容の示唆、すなわち、「特別図柄抽選の抽選結果が」「大当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「大当たりに当選していない場合での小当たりかはずれか」の示唆に対応するものと理解でき、「内容を示唆する情報」が意味するものが明瞭になった。 コ そして、上記のケの理解によれば、「前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能」であることは、本件明細書等の次の記載 「【0091】 そして、本実施の形態の演出制御部300は、事前判定処理によって判定された乱数の判定結果(事前判定結果)に基づいて、特別図柄処理によって乱数が判定され、その判定結果が報知されるよりも前に、その判定結果を示唆する予告演出を行うことができる。この予告演出は、例えば、始動口における入賞により乱数の取得が既に行われているが特別図柄処理によって乱数の判定が未だ行われていない入賞球(保留球)の発生に応じて、画像表示部114に表示される保留表示演出(後述)等を用いて行われる。この事前判定に基づく予告演出により、予告演出に係る事前判定に対応する保留球に関して、その後に特別図柄処理による乱数の判定が行われた際の判定結果が遊技者に示唆される。これによって、遊技者は、保留球に対して期待を抱きながら遊技を行うことができる。事前判定に基づく予告演出の詳細については後述する。」 において、「特別図柄処理によって乱数が判定され、・・・・その判定結果を示唆する予告演出を行うことができ」、「この予告演出は、・・・・保留表示演出・・・・等を用いて行われる」こととも、整合する。 サ そうすると、訂正事項1は、訂正事項1-1により「前記判定に用いられる判定情報」とすることで、「判定情報」が「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)に対応することを明瞭にし、「判定情報を保留記憶として記憶する」ときの「保留記憶」が「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)に対応することとの間の不合理をなくし、「前記判定に用いられる判定情報」と「保留記憶として記憶」される「判定情報」との関係を明瞭にするとともに、訂正事項1-2により「前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示」とすることで、「判定情報」の「内容の示唆」が、「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)」に基づく内容の示唆に対応するものとなり、「判定情報」について「内容を示唆する情報表示」が意味するものを明瞭にするものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)特許法第126条第5項及び6項に規定する要件(新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無) 上記の(1)に示したとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の記載を、本件明細書等の記載に基づいて、「前記判定に用いられる判定情報」とすることで、「判定情報」が「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)に対応することを明瞭にするとともに、「前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示」とすることで、示唆する「内容」が、本件明細書等に記載された、「入賞による判定のための乱数値」(取得された乱数値)」に基づく「判定結果」に対応するものとして、「内容を示唆する情報表示」が意味するものを明瞭にするものであるから、本件明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 また、訂正事項1に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 2 訂正事項2について (1)特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的) 訂正事項2は、本件明細書の【0006】について、訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う訂正である。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)特許法第126条第5項及び6項に規定する要件(新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無) 訂正事項1に係る本件特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の範囲と整合させるために行う明細書の訂正である訂正事項2は、本件明細書等により導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項の導入をするものではなく、本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。 また、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正である訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項及び6項の規定に適合する。 3 独立特許要件について 訂正事項1、2は、上記1(1)、2(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 第5 まとめ 以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-390081

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