特許訂正審判
2024-390079
遊技機
- 審判番号
- 2024-390079
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-233435
- 登録番号
- 7148086
- 請求日
- 2024年07月29日
- 審決日
- 2024年10月08日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】京楽産業. 株式会社
- 【請求人代理人】古部 次郎
- 【請求人代理人】伊與田 幸穂
- 【請求人代理人】尾形 文雄
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 審判官 澤田 真治
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7148086号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7148086号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7148086号(以下「本件特許」という。)は、令和1年12月24日に出願され、令和4年9月27日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和6年7月29日に本件訂正審判の請求がなされた。
第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件特許の訂正の内容は、次のとおりである。
1 訂正事項1について
(1)訂正事項1(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」及び「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」と記載されているのを、「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」及び「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」に訂正する。
以下、上記訂正事項1を、訂正事項1-1と訂正事項1-2に分けて検討する。
[訂正事項1-1]
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」と記載されているのを、「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」に訂正する。
[訂正事項1-2]
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」と記載されているのを、「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」に訂正する。
2 訂正事項2
本件特許の明細書の段落【0006】に「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」及び「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」と記載されているのを、「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」及び「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」に訂正する。
以下、上記訂正事項2を、訂正事項2-1と訂正事項2-2に分けて検討する。
[訂正事項2-1]
本件特許の明細書の段落【0006】に「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」と記載されているのを、「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」に訂正する。
[訂正事項2-2]
本件特許の明細書の段落【0006】に「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」と記載されているのを、「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」に訂正する。
第4 訂正の適否についての判断
1 訂正の目的
(1)訂正事項1-1について
訂正事項1-1は、特許請求の範囲の請求項1における、
「遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段から送信されたコマンドに応じた演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記主制御手段は、
始動条件の成立に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段と、
前記判定の結果に応じて特別図柄を変動表示させてから停止表示させる変動表示手段と、を有し、
前記演出制御手段は、
前記特別図柄の変動表示および停止表示に伴い、特定図柄を変動表示させてから停止表示させる変動演出を実行可能であり、
・・・、
前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり、」
との記載において、「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」とあるのを、「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」に訂正するものである。
訂正前の請求項1に記載の「前記判定に基づく判定情報」における「前記判定」は、当該記載の直後に記載の「前記判定の結果に応じて特別図柄を変動表示させてから停止表示させる変動表示手段」と同様、「特別遊技を行うか否かを判定する判定手段」における「判定」を指し、「特別遊技を行うか否かを判定する判定手段」でなされ、その「結果に応じて特別図柄を変動表示させてから停止表示」がされる「特別遊技を行うか否か」の「判定」に基づく「判定情報」が、「保留記憶」として記憶されることとなる。
しかし、遊技機の分野における技術常識からは、「保留記憶」として記憶されるのは、「特別遊技を行うか否か」の「判定」に用いられる乱数値等の情報であるところ、訂正前の「前記判定に基づく判定情報」との記載では、「保留記憶」として記憶される「判定情報」にどのような情報が含まれるのか明瞭でなく、「特別遊技を行うか否か」の「判定」に用いられる乱数値等の情報が含まれるのか判然としない。
そうすると、訂正事項1-1は、「前記判定に基づく判定情報」を「前記判定に用いられる判定情報」と訂正することで、「保留記憶」として記憶される「判定情報」が、「特別遊技を行うか否か」の「判定」に用いられる乱数値等の情報であることを明瞭にすることにより、特許請求の範囲に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものといえ、本件特許の明細書の段落【0062】の「取得された乱数値は、特別図柄判定部234による判定に用いられる」、段落【0063】の「特別図柄判定部234は、取得した乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技(大当たり遊技等)を行うか否かを判定する」との記載とも整合する。
したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)訂正事項1-2について
訂正事項1-2は、上記(1)のとおりの特許請求の範囲の請求項1の記載において、「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」とあるのを、「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり」に訂正するものである。
上記(1)で検討したとおり、「判定情報」は、「特別遊技を行うか否か」の「判定」に用いられる乱数値等の情報であることを踏まえると、「判定情報の内容を示唆する」ことは、乱数値等の情報の内容を示唆することであると理解できる。
ここで、乱数値等の情報の内容を示唆することは、当該乱数値に対応する変動表示の内容(当否抽選結果等)を示唆することである、あるいは、当該乱数値自体の内容(数字等)を示唆することであるなどと解釈し得て、訂正前の請求項1の「実行中の変動表示に係る前記判定情報の内容を示唆する情報表示」がいかなる表示となるのか、必ずしも明瞭ではない。
そして、訂正事項1-2は、「判定情報の内容を示唆する」を「判定情報に基づく内容を示唆する」と訂正することで、「情報表示」は、「実行中の変動表示」に係る「内容」(当否抽選結果等)を「示唆」する表示であって、当該「内容」は、「判定情報」である乱数値等の情報に「基づく」ものであることを明瞭にするものといえ、本件特許の明細書の段落【0090】の「事前判定処理とは、始動口における入賞により乱数の取得が既に行われているが後述する特別図柄処理によって乱数の判定が未だ行われていない入賞球(保留球)について、特別図柄処理によって乱数が判定されるよりも前にその乱数の判定を行う(事前判定)処理である」、段落【0440】の「画像表示部114には、特別図柄変動制御部233(図5等参照)により特別図柄が変動表示中(装飾図柄41の変動表示中)となっていることを示す変動画像51が表示される」、段落【0441】の「変動画像51は、事前判定処理による事前判定結果に基づいて、例えば色や模様や形状等(以下、「色など」と記載)の表示態様が変化し、大当たりの当選の期待度を報知または示唆する」との記載とも整合する。
したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(3)訂正事項2-1について
訂正事項2-1は、本件特許の明細書の段落【0006】における、
「上記の目的を達成する本発明は、次のような遊技機として実現される。この遊技機(例えば、パチンコ遊技機100)は、遊技の進行を制御する主制御手段(例えば、遊技制御部200)と、前記主制御手段(例えば、遊技制御部200)から送信されたコマンドに応じた演出を制御する演出制御手段(例えば、演出制御部300)と、を備え、前記主制御手段(例えば、遊技制御部200)は、始動条件の成立に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する判定手段(例えば、特別図柄判定部234)と、前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)と、前記判定の結果に応じて特別図柄を変動表示させてから停止表示させる変動表示手段(例えば、特別図柄変動制御部233)と、を有し、前記演出制御手段(例えば、演出制御部300)は、前記特別図柄の変動表示および停止表示に伴い、特定図柄を変動表示させてから停止表示させる変動演出を実行可能であり、・・・、前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり、・・・」
との記載において、「前記判定に基づく判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」とあるのを、「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段(例えば、RAM203)」に訂正するものであって、上記(1)の訂正事項1-1と同様の理由により、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項2-1に係る訂正は、訂正事項1-1に係る訂正により請求項1を訂正することに伴い、本件特許の明細書の段落【0006】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものといえる。
以上から、訂正事項2-1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(4)訂正事項2-2について
訂正事項2-2は、本件特許の明細書の段落【0006】の記載において、「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報の内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり、」とあるのを、「前記特別遊技が実行される期待度が異なる複数の表示態様のうちの何れかの表示態様により表示して前記判定情報に基づく内容を示唆する情報表示を表示させることが可能であり、」に訂正するものであって、上記(2)の訂正事項1-2と同様の理由により、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項2-2に係る訂正は、訂正事項1-2に係る訂正により請求項1を訂正することに伴い、本件特許の明細書の段落【0006】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものといえる。
以上から、訂正事項2-2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
2 特許法第126条第5項に規定する要件
(1)訂正事項1-1について
訂正事項1-1に係る「前記判定に用いられる判定情報」との技術的事項は、上記1(1)で検討した段落【0062】及び【0063】の記載に基づくものといえ、「前記判定に用いられる判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」との技術的事項は、本件特許の明細書の段落【0179】の「図22(a)に示すように、RAM203は、大当たり乱数抽選により取得した大当たり乱数を記憶する特別図柄保留記憶領域としての記憶領域204を備えている。」との記載に基づくものといえるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1-1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(2)訂正事項1-2について
訂正事項1-2に係る技術的事項は、上記1(2)で検討した段落【0090】、【0440】及び【0441】の記載に基づくものといえるから、特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1-2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正事項2-1及び2-2について
訂正事項2-1及び2-2も、上記(1)及び(2)と同様の理由により、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 特許法第126条第6項に規定する要件
(1)訂正事項1-1について
訂正事項1-1に係る訂正は、上記1(1)で検討したとおり、訂正前の「前記判定に基づく判定情報」との記載では、「保留記憶」として記憶される「判定情報」にどのような情報が含まれるのか明瞭でなかったのを、「特別遊技を行うか否か」の「判定」に用いられる乱数値等の情報であることを明瞭にすることにより特許請求の範囲に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象を変更するものでもない。
したがって、訂正事項1-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項1-2について
訂正事項1-2に係る訂正は、上記1(2)で検討したとおり、訂正前の「判定情報の内容を示唆する」との記載では、「実行中の変動表示に係る前記判定情報の内容を示唆する情報表示」がいかなる表示となるのか、必ずしも明瞭でなかったのを、「情報表示」は、「実行中の変動表示」に係る「内容」(当否抽選結果等)を「示唆」する表示であって、当該「内容」は、「判定情報」である乱数値等の情報に「基づく」ものであることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項1-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項2-1及び2-2について
訂正事項2-1及び2-2も、上記(1)及び(2)と同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 特許法第126条第7項に規定する要件
訂正事項1-1、1-2、2-1及び2-2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正後の請求項1に係る発明について、特許法第126条第7項の規定に適合するか否かについての判断を要しない。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1-1、1-2、2-1及び2-2(訂正事項1及び2)は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は適法にされたものであるから、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
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