特許訂正審判
2024-390075
人力駆動車用のブレーキ制御装置
- 審判番号
- 2024-390075
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-140350
- 登録番号
- 7429620
- 請求日
- 2024年07月26日
- 審決日
- 2024年09月20日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 シマノ
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 横山 幸弘
- 審判官 平城 俊雅
- 分類
- P141 .841-Y (B62L) / P141 .853-Y (B62L) / P141 .854-Y (B62L) / P141 .855-Y (B62L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7429620号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7429620号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第7429620号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、令和2年8月21日を出願日とする出願であって、令和6年1月31日にその特許権の設定登録がなされ、令和6年7月26日付けで特許権者である株式会社シマノにより本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7429620号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求による訂正の内容は次のとおりである。(審決注:下線部分が訂正箇所である。)
1 訂正事項1
明細書の段落【0040】の「本実施形態では、本実施形態では、外部の部材72は、ブレーキ操作装置12に設けられる。」との記載を、「本実施形態では、外部の部材72は、ブレーキ操作装置12に設けられる。」に訂正する。
2 訂正事項2
明細書の段落【0050】の「第6手順では、第1尖端部48をブレーキ作動装置14に設けられるシール部材70の膜部50に貫通させる。」との記載を、「第6手順では、第1尖端部48をブレーキ作動装置14に設けられるシール部材70の膜部70Aに貫通させる。」に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0051】の「第4手順と第5手順または第5手順は同時に行われてもよい。」との記載を、「第4手順と第5手順または第6手順は同時に行われてもよい。」に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0056】の「この場合、例えば、第1接続部22および第2接続部24がブレーキホース36を含む場合、ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22を閉鎖するようにしてもよい。」との記載を、「この場合、例えば、第1接続部22および第2接続部24がブレーキホース36を含む場合、ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22および第2接続部24を閉鎖するようにしてもよい。」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前明細書の段落【0040】には「本実施形態では、本実施形態では、外部の部材72は、ブレーキ操作装置12に設けられる。」と記載されている。
しかし、この記載は、「本実施形態では、本実施形態では、」と同じ言葉が繰り返し記載されているため日本語として不明瞭な記載である。
訂正事項1は、同じ言葉が繰り返される「本実施形態では、本実施形態では、」との記載を、繰り返さないように「本実施形態では、」に訂正することで、明瞭な日本語とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項1は、上記(1)で検討したとおり、同じ言葉が繰り返される記載を繰り返さないようにする訂正にすぎず、実質上意味が変わるものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、上記(1)で検討したとおり、同じ言葉が繰り返される記載を繰り返さないようにする訂正であって、実質上意味が変わるものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前明細書の段落【0050】には「第6手順では、第1尖端部48をブレーキ作動装置14に設けられるシール部材70の膜部50に貫通させる。」と記載されている。
ここで、訂正前明細書段落【0039】の「好ましくは、外部のシール部材70は、膜部70Aを備える。好ましくは、外部のシール部材70は、第1シール部材44と同様の構造を有する。第1尖端部48は、貫通孔48Aを備える。貫通孔48Aは、第1尖端部48が外部のシール部材70を貫通した状態において、第3接続部26と外部のシール部材70が設けられる装置との間において流体が流通できるように構成される。好ましくは、第1シール部材44および第2シール部材46の少なくとも1つは、膜部50を備える。膜部50は、第2尖端部72Aを有する外部の部材72によって貫通可能に構成される。」との記載及び図7~8から、膜部は、第1尖端部48に貫通される外部のシール部材70が備える膜部70Aと第2尖端部72Aに貫通される膜部50の2種類があると理解できる。
してみると、訂正前明細書の段落【0050】の「第6手順では、第1尖端部48をブレーキ作動装置14に設けられるシール部材70の膜部50に貫通させる。」との記載は、シール部材70の膜部70Aのことか、第1シール部材44又は第2シール部材46の膜部50のことか不明瞭な記載である。
訂正事項2は、訂正前明細書の段落【0050】の「第6手順では、第1尖端部48をブレーキ作動装置14に設けられるシール部材70の膜部50に貫通させる。」との記載を、「第6手順では、第1尖端部48をブレーキ作動装置14に設けられるシール部材70の膜部70Aに貫通させる。」に訂正することで、段落【0050】の記載を段落【0039】及び図7~8の記載に整合させるとともに、シール部材70の膜部70Aであることを明瞭にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
上記(1)で検討したとおり、段落【0039】及び図7~8から、第1尖端部48が貫通する膜部は、シール部材70の膜部70Aであることが理解できるから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2は、請求項1~18には記載されていない、明細書中の図番のみを訂正するものであるから、訂正事項2の訂正内容は特許請求の範囲に記載される発明特定事項の解釈に影響を及ぼすものではない。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正前明細書の段落【0051】には「第4手順と第5手順または第5手順は同時に行われてもよい。」と記載されている。
しかし、この記載は、「第5手順または第5手順」と同じ手順を選択肢としているため不明瞭な記載である。
訂正事項3は、「第4手順と第5手順または第5手順は同時に行われてもよい。」との記載を、「第4手順と第5手順または第6手順は同時に行われてもよい。」に訂正することで、選択肢を明瞭とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正前明細書の段落【0051】には「第4手順は、第5手順の後、または、第6手順の後に行われてもよい。第4手順と第5手順または第5手順は同時に行われてもよい。」と記載されている。
訂正前明細書の段落【0051】の記載は、第4手順、第5手順、及び第6手順からなる3つの手順に関して記載していることは明らかであって、第4手順と他の一つの手順が同時に行われる組み合わせは、「第4手順と第5手順」及び「第4手順と第6手順」の2通りしかないから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
請求項1~18に係る発明は、「ブレーキ制御装置」という物の発明であり、訂正事項3は、製造の時系列に関する訂正であるため、その訂正内容が特許請求の範囲に記載される発明特定事項の解釈に影響を及ぼすものでもない。
したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前明細書の段落【0056】には、「この場合、例えば、第1接続部22および第2接続部24がブレーキホース36を含む場合、ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22を閉鎖するようにしてもよい。この場合、例えば、圧着させた部分を切除することによって、第1接続部22および第2接続部24が開放される。」と記載されている。
しかし、「この場合、例えば、第1接続部22および第2接続部24がブレーキホース36を含む場合、ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22を閉鎖するようにしてもよい。」との記載では、ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22を閉鎖していることは理解できるが、第2接続部24に関して、第1接続部と同様に一部を圧着させて閉鎖するようにしているのかが分からず不明瞭である。
ここで、訂正前明細書の段落【0056】の「ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22を閉鎖する」との記載、及び「圧着させた部分を切除することによって、第1接続部22および第2接続部24が開放される。」との記載から、第2接続部24に関して、第1接続部と同様にブレーキホース36の一部を圧着させて閉鎖するようにしていることが理解できる。
してみると、訂正事項4は、訂正前明細書段落【0056】の「この場合、例えば、第1接続部22および第2接続部24がブレーキホース36を含む場合、ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22を閉鎖するようにしてもよい。」との記載を、「この場合、例えば、第1接続部22および第2接続部24がブレーキホース36を含む場合、ブレーキホース36の一部を圧着させて第1接続部22および第2接続部24を閉鎖するようにしてもよい。」に訂正することで、明瞭な記載とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
上記(1)で検討したとおり、訂正前明細書の段落【0056】の記載から、第2接続部24に関して、第1接続部と同様にブレーキホース36の一部を圧着させて閉鎖するようにしていることが理解できるから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正前明細書の段落【0056】に記載されているシール部材を備えていないブレーキ制御装置を含み得る、特許請求の範囲の請求項1に係る発明について検討すると、請求項1には、第1接続部22および第2接続部24がブレーキホース36を含むという事項が記載されていないため、訂正事項4は、請求項1に係る発明の発明特定事項の解釈に影響を及ぼすものではない。
したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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