特許拒絶査定不服審判
2024-009669
レーダシステム、レーダシステムのためのアンテナアレイ、車両、及びレーダシステムを操作するための方法
- 審判番号
- 2024-009669
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-506071
- 請求日
- 2024年06月10日
- 審決日
- 2026年02月25日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】出口 智也
- 審判長/審判官
- 審判長 濱野 隆
- 審判官 井海田 隆
- 審判官 柳 重幸
- 分類
- P18 .113-Z (G01S) / P18 .121-Z (G01S) / P18 .575-Z (G01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-506071「レーダシステム、レーダシステムのためのアンテナアレイ、車両、及びレーダシステムを操作するための方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月 3日国際公開、WO2022/023296、令和 5年 8月17日国内公表、特表2023-535510〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)7月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年7月29日、独国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 3月10日 :翻訳文の提出
令和6年 1月10日付け:拒絶理由通知書
同年 2月20日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月15日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月24日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 9月 4日付け:前置報告書
同年10月10日 :上申書の提出
第2 令和6年6月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月10日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年6月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年2月20日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項6の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項5の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「【請求項6】
オブジェクト(18)について少なくとも1つの監視領域(14)を監視するレーダシステム(12)のためのアンテナアレイ(22)であって、
各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号(30)を送信するように用いることができる複数の送信アンテナ(26)を備え、
送信されたレーダ信号(30)のエコー(44)を受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナ(28)を備える、アンテナアレイ(22)であって、
少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の各位相中心(32)が、仮想の送信機縦軸(34)上に配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の位相中心(32)が、前記送信機縦軸(34)から送信機横間隔(36)で配置され、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記位相中心(32)を通って、前記送信機縦軸(34)に垂直に走る仮想の送信機横軸(38)が、前記送信機縦軸(34)の前記少なくとも2つの送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記送信機縦軸(34)に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸(38)からベース間隔(40)に位置し、
前記送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記各仮想の送信機横軸(38)間の送信機縦間隔(42)が、ベース間隔より大きいものであり、
前記ベース間隔(40)が、前記送信アンテナ(26)を用いて送信された前記レーダ信号(30)の波長λの半分に対応するものであり
前記送信アンテナ(26)及び受信アンテナ(28)の構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸(54a、54b)上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイ(50)を実現するように、前記レーダシステム(12)の方向操作モードにおいて用いられ、
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、互いに前記ベース間隔(40)で配置され、及び/又は
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)より大きい間隔(56a、56b、56c、56d)で配置され、及び/又は
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)の整数倍に対応する間隔(56a、56b、56c、56d)で配置される、
ことを特徴とするアンテナアレイ(22)。」
(2) 本件補正後
「【請求項5】
オブジェクト(18)について少なくとも1つの監視領域(14)を監視するレーダシステム(12)のためのアンテナアレイ(22)であって、
各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号(30)を送信するように用いることができる複数の送信アンテナ(26)を備え、
送信されたレーダ信号(30)のエコー(44)を受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナ(28)を備える、アンテナアレイ(22)であって、
少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の各位相中心(32)が、仮想の送信機縦軸(34)上に配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の位相中心(32)が、前記仮想の送信機縦軸(34)から送信機横間隔(36)で配置され、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る前記仮想の送信機横軸(38)からベース間隔(40)に位置し、
前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記各仮想の送信機横軸(38)間の送信機縦間隔(42)が、前記ベース間隔(40)より大きいものであり、
前記ベース間隔(40)が、前記送信アンテナ(26)を用いて送信された前記レーダ信号(30)の波長λの半分に対応するものであり、
前記送信アンテナ(26)及び受信アンテナ(28)の構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸(54a、54b)上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイ(50)を実現するように、前記レーダシステム(12)の方向操作モードにおいて用いられ、
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、互いに前記ベース間隔(40)で配置され、及び/又は
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)より大きい間隔(56a、56b、56c、56d)で配置され、及び/又は
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)の整数倍に対応する間隔(56a、56b、56c、56d)で配置されるものであり、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記仮想の送信機横軸(38)間に配置される、
ことを特徴とするアンテナアレイ(22)。」
2 補正の目的
(1) 本件補正のうち本件補正後の請求項5についてする補正は、次のアからエの補正事項からなる。下線は補正箇所を示す。
ア 補正事項1
本件補正前の
「少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の位相中心(32)が、前記送信機縦軸(34)から送信機横間隔(36)で配置され、」
という記載を
「少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の位相中心(32)が、前記仮想の送信機縦軸(34)から送信機横間隔(36)で配置され、」
と補正すること。
イ 補正事項2
本件補正前の
「前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記位相中心(32)を通って、前記送信機縦軸(34)に垂直に走る仮想の送信機横軸(38)が、前記送信機縦軸(34)の前記少なくとも2つの送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記送信機縦軸(34)に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸(38)からベース間隔(40)に位置し、」
という記載を
「前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る前記仮想の送信機横軸(38)からベース間隔(40)に位置し、」
と補正すること。
ウ 補正事項3
本件補正前の
「前記送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記各仮想の送信機横軸(38)間の送信機縦間隔(42)が、ベース間隔より大きいものであり、」
という記載を、
「前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記各仮想の送信機横軸(38)間の送信機縦間隔(42)が、前記ベース間隔(40)より大きいものであり、」
と補正すること。
エ 補正事項4
「少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)」の「更なる仮想の送信機横軸(38)」について、「前記仮想の送信機縦軸(34)上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記仮想の送信機横軸(38)間に配置される」ことを限定すること。
(2) 本件補正のうち、本件補正後の請求項5についてする補正は、補正事項1~3による、明瞭でない記載の釈明を目的とする補正を含むと同時に、補正事項4による、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正も含んでいると認められる。
(3) そして、本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項5に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
(4) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含む。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正後の請求項5に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項5に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成A、構成B、構成C1~C6、構成D1~D4に分説する。また、参考図として、本願の【図4】及び【図5】に部材名を記入したものを掲載する。
<本件補正発明の分説>
X オブジェクト(18)について少なくとも1つの監視領域(14)を監視するレーダシステム(12)のためのアンテナアレイ(22)であって、
A 各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号(30)を送信するように用いることができる複数の送信アンテナ(26)を備え、
B 送信されたレーダ信号(30)のエコー(44)を受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナ(28)を備える、アンテナアレイ(22)であって、
C1 少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の各位相中心(32)が、仮想の送信機縦軸(34)上に配置され、
C2 少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の位相中心(32)が、前記仮想の送信機縦軸(34)から送信機横間隔(36)で配置され、
C3 前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る前記仮想の送信機横軸(38)からベース間隔(40)に位置し、
C4 前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記各仮想の送信機横軸(38)間の送信機縦間隔(42)が、前記ベース間隔(40)より大きいものであり、
C5 前記ベース間隔(40)が、前記送信アンテナ(26)を用いて送信された前記レーダ信号(30)の波長λの半分に対応するものであり、
D1 前記送信アンテナ(26)及び受信アンテナ(28)の構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸(54a、54b)上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイ(50)を実現するように、前記レーダシステム(12)の方向操作モードにおいて用いられ、
D2 少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、互いに前記ベース間隔(40)で配置され、及び/又は
D3 少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)より大きい間隔(56a、56b、56c、56d)で配置され、及び/又は
D4 少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)の整数倍に対応する間隔(56a、56b、56c、56d)で配置されるものであり、
C6 前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記仮想の送信機横軸(38)間に配置される、
X ことを特徴とするアンテナアレイ(22)。
<参考図>
【図4】
[図:0001437759000001.jpg]
【図5】
[図:0001437759000002.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの監視領域のオブジェクトを監視するためのレーダシステムであって、
各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号を少なくとも1つの監視領域に送信するように用いることができる複数の送信アンテナを備え、
送信されたレーダ信号のエコーを受信し、エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナを備え、
送信アンテナ及び受信アンテナに接続され、送信アンテナを制御する送信信号を生成するように用いることができ、且つ、レーダ信号を用いて検出されたオブジェクトに関連するオブジェクト情報を受信信号から確認するように用いることができる、少なくとも1つの制御及び評価装置を備える、レーダシステムに関する。
【0002】
さらに、本発明は、オブジェクトについて少なくとも1つの監視領域を監視するレーダシステムのためのアンテナアレイであって、
各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号を送信するように用いることができる複数の送信アンテナを備え、
送信されたレーダ信号のエコーを受信し、エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナを備える、アンテナアレイに関する。
…(中略)…
【0005】
[先行技術文献]
独国特許出願公開第102018118238号明細書から、レーダ装置を操作する方法及びレーダ装置が知られている。この方法は、監視領域に送信信号を送信するように、互いに間隔を空けて配置された少なくとも2つの送信アンテナを用いることを含む。必要であれば、少なくとも1つの受信アレイ要素を用いて、監視される領域に存在する少なくとも1つのオブジェクトによって反射されたエコー信号が受信される。少なくとも1つのオブジェクト情報が、エコー信号から確認される。レーダ装置は、同じ送信信号を同時に送信するように少なくとも2つの送信アンテナ要素が用いられ、レーダ装置に対する少なくとも1つのオブジェクトの距離及び/又は速度が対応するエコー信号から確認される距離操作モード、又は互いに区別可能な送信信号を送信するように少なくとも2つの送信アンテナ要素が用いられ、適切に区別可能なエコー信号が送信アンテナ要素に割り当てられ、オブジェクトの少なくとも1つの方向成分が確認される方向操作モードのいずれかで操作される。
【0006】
本発明は、レーダシステムの検出範囲と方向決定のための角度分解能という点でレーダシステムの性能が改善される、冒頭に言及された種類のレーダシステム、アンテナアレイ、車両及び方法を設計する目的に基づく。
【0007】
本発明によれば、この目的は、レーダシステムにおいて、
少なくとも2つの隣接する送信アンテナの各位相中心が、仮想の送信機縦軸上に配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心が、送信機縦軸から送信機横間隔で配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心を通って、送信機縦軸に垂直に走る仮想の送信機横軸が、送信機縦軸の少なくとも2つの送信アンテナのうちの1つの位相中心を通って、送信機縦軸に垂直に走る仮想の送信機横軸からベース間隔に位置し、
送信機縦軸上の少なくとも2つの隣接する送信アンテナの各仮想の送信機横軸間の送信機縦間隔が、ベース間隔より大きい、
ことで達成される。
【0008】
本発明によれば、少なくとも2つの送信アンテナが送信機縦軸に沿って配置される。少なくとも1つのさらなる送信アンテナが送信機縦軸の隣に配置される。送信機縦軸の隣に配置された少なくとも1つの送信アンテナは、他の2つの送信アンテナのうち少なくとも1つの対象送信機横軸の隣からもベース間隔で配置されている。
…(中略)…
【0011】
さらなる有利な実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる送信アンテナの送信機横軸は、送信機縦軸上で隣接する少なくとも2つの送信アンテナの送信機横軸間に配置されてよい。この通り、送信アンテナ構成はさらにコンパクトに実現され得る。
…(中略)…
【0031】
さらなる有利な実施形態によれば、ベース間隔は、送信アンテナを用いて送信されたレーダ信号の波長の半分、特に公差のプラスマイナスに対応してよい。これにより、レーダシステムの方向操作モードにおける送信機で明確に向けられたレーダ信号(distinctly directed radar signals)が実現され得る。加えて、方向操作モードにおいて明確な角度測定をすることができる。
…(中略)…
代わりに又は加えて、送信アンテナの少なくとも幾つかと受信アンテナの少なくとも幾つかは、有利には共通のアンテナアレイとして実現されてよい。これにより、送信アンテナ及び受信アンテナは共に製造され、組み立てられることができる。
…(中略)…
【0051】
本発明によれば、
少なくとも2つの隣接する送信アンテナの各位相中心が、仮想の送信機縦軸上に配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心が、送信機縦軸から送信機横間隔で配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心を通って、送信機縦軸に垂直に走る仮想の送信機横軸が、送信機縦軸の少なくとも2つの送信アンテナのうちの1つの位相中心を通って、送信機縦軸に垂直に走る仮想の送信機横軸からベース間隔に位置し、また、
送信機縦軸上の少なくとも2つの隣接する送信アンテナの各仮想の送信機横軸間の送信機縦間隔が、ベース間隔より大きい、
ことで、目的がアンテナアレイのためにさらに達成される。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2020-56780号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 【0001】~【0017】
「【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高分解能が得られるマイクロ波又はミリ波を含む波長の短いレーダ送信信号を用いたレーダ装置の検討が進められている。また、屋外での安全性を向上させるために、車両以外にも、歩行者を含む物体(ターゲット)を広角範囲で検知するレーダ装置(広角レーダ装置)の開発が求められている。
【0003】
また、レーダ装置として、受信ブランチに加え、送信ブランチにも複数のアンテナ素子(アレーアンテナ)を備え、送受信アレーアンテナを用いた信号処理によりビーム走査を行う構成(MIMO(Multiple Input Multiple Output)レーダと呼ぶこともある)が提案されている。
【0004】
MIMOレーダでは、送受信アレーアンテナにおけるアンテナ素子の配置を工夫することにより、最大で送信アンテナ素子数と受信アンテナ素子数との積に等しい仮想的な受信アレーアンテナ(以下、仮想受信アレー、または仮想受信アレーアンテナと呼ぶ)を構成できる。これにより、少ない素子数によってアレーアンテナの実効的な開口長を増大させる効果がある。
…(中略)…
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、アンテナ1素子あたりの開口長および仮想受信アレーアンテナの開口長を拡大できる、改善されたレーダ装置の提供に資する。
…(中略)…
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、アンテナ1素子あたりの開口長および仮想受信アレーアンテナの開口長を拡大できる、改善されたレーダ装置を提供できる。
…(中略)…
【発明を実施するための形態】
【0012】
例えば、レーダ装置として、パルス波を繰り返し発信するパルスレーダ装置が知られている。広角範囲において車両/歩行者を検知する広角パルスレーダの受信信号は、近距離に存在するターゲット(例えば車両)と、遠距離に存在するターゲット(例えば歩行者)とからの複数の反射波が混合された信号となる。このため、(1)レーダ送信部では、低いレンジサイドローブとなる自己相関特性(以下、低レンジサイドローブ特性と呼ぶ)を有するパルス波又はパルス変調波を送信する構成が要求され、(2)レーダ受信部では、広い受信ダイナミックレンジを有する構成が要求される。
【0013】
広角レーダ装置の構成として、以下の2つの構成が挙げられる。
【0014】
一つ目の構成は、パルス波又は変調波を狭角(数度程度のビーム幅)の指向性ビームを用いて、機械的又は電子的に走査してレーダ波を送信し、狭角の指向性ビームを用いて反射波を受信する構成である。この構成では、高分解能を得るためには走査回数が増加するので、高速移動するターゲットに対する追従性が劣化する。
【0015】
二つ目の構成は、受信ブランチにおいて、複数のアンテナ(複数のアンテナ素子)で構成されるアレーアンテナによって反射波を受信し、アンテナ素子間隔に対する受信位相差に基づく信号処理アルゴリズムによって反射波の到来角を推定する手法(Direction of Arrival (DOA) estimation)を用いる構成である。この構成では、送信ブランチでの送信ビームの走査間隔を間引いたとしても、受信ブランチにおいて到来角を推定できるので、走査時間の短縮化を図ることができ、1つ目の構成と比較して追従性が向上する。例えば、到来方向推定方法には、行列演算に基づくフーリエ変換、逆行列演算に基づくCapon法及びLP(Linear Prediction)法、又は、固有値演算に基づくMUSIC(Multiple Signal Classification)及びESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)が挙げられる。
【0016】
また、受信ブランチに加え、送信ブランチでも複数のアンテナ素子を用いてビーム走査を行うMIMOレーダは、時分割、周波数分割又は符号分割を用いて多重した信号を複数の送信アンテナ素子から送信し、周辺物体で反射された信号を複数の受信アンテナ素子で受信し、受信信号の各々から、多重された送信信号を分離して受信する。
【0017】
さらに、MIMOレーダでは、送受信アレーアンテナにおけるアンテナ素子の配置を工夫することにより、最大で送信アンテナ素子数と受信アンテナ素子数との積に等しい仮想的な受信アレーアンテナ(仮想受信アレー、又は、仮想受信アレーアンテナ)を構成できる。これにより、送信アンテナ素子数と受信アンテナ素子数との積で示される伝搬路応答を得ることができ、送受信アンテナ素子間隔を適切に配置することで、少ない素子数によってアレーアンテナの実効的な開口長を仮想的に拡大し、角度分解能の向上を図ることができる。」
(イ) 【0027】~【0035】、【図1】
「【0027】
<実施の形態1>
本開示の一態様によれば、仮想受信アレーアンテナの開口長を拡げつつ、不要なグレーティングローブの発生を抑えることができるレーダ装置が提供される。また、アンテナ素子にサブアレーアンテナ構成を用いて、アンテナ素子の指向性利得を向上できるレーダ装置が提供される。
…(中略)…
【0030】
[レーダ装置10の構成]
図1は、本実施の形態に係るレーダ装置10の構成の一例を示すブロック図である。レーダ装置10は、レーダ送信部(送信ブランチまたはレーダ送信回路とも称する)100と、レーダ受信部(受信ブランチまたはレーダ受信回路とも称する)200と、基準信号生成部(基準信号生成回路)300と、制御部(制御回路)400と、を有する。
【0031】
レーダ装置10は、例えば、時分割多重方式を用いたMIMOレーダである。即ち、レーダ装置10のレーダ送信部100において、複数の送信アンテナが時分割で切り替えられ、時分割多重された異なるレーダ送信信号が送出される。また、レーダ装置10のレーダ受信部200において、時分割多重された各送信信号を分離することにより受信処理が行われる。しかしながら、レーダ装置10の構成は、これに限定されない。例えば、レーダ装置10のレーダ送信部100において、複数の送信アンテナから周波数分割多重された異なる送信信号が送出され、レーダ受信部100において、周波数分割多重された各送信信号を分離することにより受信処理が行われる構成でもよい。また、同様に、例えば、レーダ装置10のレーダ送信部100において、複数の送信アンテナから符号分割多重された異なる送信信号が送出され、レーダ受信部100において、符号分割多重された各送信信号を分離することにより受信処理が行われる構成でもよい。以下においては、時分割多重方式を用いるレーダ装置10を例にとって説明する。
【0032】
レーダ送信部100は、基準信号生成部300から受け取る基準信号に基づいて高周波(無線周波数:Radio Frequency)のレーダ信号(レーダ送信信号)を生成する。そして、レーダ送信部100は、複数の送信アンテナ素子#1~#Ntを時分割で切り替えて、レーダ送信信号を送信する。
【0033】
レーダ受信部200は、ターゲット(図示せず)において反射されたレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ素子#1~#Naを用いて受信する。レーダ受信部200は、基準信号生成部300から受け取る基準信号を用いて、下記の処理動作を行うことで、レーダ送信部100と同期した処理を行う。レーダ受信部200は、各受信アンテナ素子202において受信した反射波信号を信号処理し、少なくともターゲットの有無検出又は方向推定を行う。なお、ターゲットは、レーダ装置10が検出する対象の物体であり、例えば、車両(2輪、3輪、及び4輪を含む)又は人を含む。
【0034】
基準信号生成部300は、レーダ送信部100及びレーダ受信部200のそれぞれに接続されている。基準信号生成部300は、基準信号をレーダ送信部100及びレーダ受信部200に供給し、レーダ送信部100及びレーダ受信部200の処理を同期させる。
【0035】
制御部400は、レーダ送信部100が生成するパルス符号、レーダ送信部100による可変ビーム制御において設定する位相、及び、レーダ送信部100が信号を増幅するレベルを、レーダ送信周期Tr毎に設定する。そして、制御部400は、パルス符号を指示する制御信号(符号制御信号)、位相を指示する制御信号(位相制御信号)、及び、送信信号の増幅レベルを指示する制御信号(送信制御信号)を、レーダ送信部100に出力する。また、制御部400は、レーダ送信部100における送信サブアレー#1~#Nの切替(レーダ送信信号の出力切替)タイミングを指示する出力切替信号を、レーダ受信部200に出力する。」
「【図1】
[図:0001437759000003.jpg]
」
(ウ) 【0036】~【0047】、【図2】
「【0036】
[レーダ送信部100の構成]
図2は、本実施の形態に係るレーダ送信部100の構成の一例を示すブロック図である。レーダ送信部100は、レーダ送信信号生成部(レーダ送信信号生成回路)101と、送信周波数変換部(送信周波数変換回路)105と、電力分配器(電力分配回路)106と、送信増幅部(送信増幅回路)107と、送信アレーアンテナ108と、を有する。
【0037】
なお、以下では、符号化パルスレーダを用いたレーダ送信部100の構成を一例として示すが、これに限定されず、例えば、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダの周波数変調を用いたレーダ送信信号に対しても同様に適用可能である。
【0038】
レーダ送信信号生成部101は、基準信号生成部300から受け取る基準信号を所定数倍したタイミングクロック(クロック信号)を生成し、生成したタイミングクロックに基づいてレーダ送信信号を生成する。そして、レーダ送信信号生成部101は、制御部400からの所定のレーダ送信周期Tr毎の符号制御信号に基づいて、レーダ送信周期Trにてレーダ送信信号を繰り返し出力する。
【0039】
レーダ送信信号は、y(kt,M)=I(kT,M)+jQ(kt,M)で表される。ここで、jは虚数単位を表し、kは離散時刻を表し、Mはレーダ送信周期の序数を表す。また、I(kT,M)及びQ(kT,M)は、第M番目のレーダ送信周期における離散時刻kTにおけるレーダ送信信号(kT,M)の同相成分(In-Phase成分)、及び直交成分(Quadrature成分)をそれぞれ表す。
【0040】
レーダ送信信号生成部101は、符号生成部(符号生成回路)102と、変調部(変調回路)103と、LPF(Low Pass Filter)104とを含む。
【0041】
符号生成部102は、レーダ送信周期Tr毎の符号制御信号に基づいて、第M番目のレーダ送信周期における符号長Lの符号系列の符号an(M)(n=1,…,L)(パルス符号)を生成する。符号生成部102において生成される符号an(M)には、低レンジサイドローブ特性が得られるパルス符号が用いられる。符号系列としては、例えば、Barer符号、M系列符号、Gold符号が挙げられる。なお、符号生成部102で生成される符号an(M)は、同一の符号であっても、異なる符号が含まれる符号であってもよい。
【0042】
変調部103は、符号生成部102から出力される符号an(M)に対してパルス変調(振幅変調、ASK(Amplitude Shift Keying)、またはパルスシフトキーイング)又は位相変調(PSK:Phase Shift Keying)を行い、変調信号をLPF104へ出力する。
【0043】
LPF104は、変調部103から出力される変調信号のうち、所定の制限帯域以下の信号成分を、ベースバンドのレーダ送信信号として送信周波数変換部105へ出力する。
【0044】
送信周波数変換部105は、LPF104から出力されるベースバンドのレーダ送信信号を、所定のキャリア周波数(RF:Radio Frequency)帯でのレーダ送信信号に周波数変換する。
【0045】
電力分配器106は、送信周波数変換部105から出力される無線周波数帯のレーダ送信信号をNt個に分配し、各送信増幅部107へ出力する。
【0046】
送信増幅部107(107-1~107-Nt)は、制御部400から指示されるレーダ送信周期Tr毎の送信制御信号に基づいて、出力されるレーダ送信信号を所定レベルに増幅して出力するか、或いは送信出力をオフとする。
【0047】
送信アレーアンテナ108は、Nt個の送信アンテナ素子#1~#Nt(108-1~108-Nt)を有する。各送信アンテナ素子#1~#Ntは、それぞれ、個別の送信増幅部107-1~107-Ntに接続され、個別の送信増幅部107-1~107-Ntから出力されるレーダ送信信号を送信する。」
「【図2】
[図:0001437759000004.jpg]
」
(エ) 【0056】~【0063】、【図6】
「【0056】
[レーダ受信部200の構成]
図6は、本実施の形態に係るレーダ受信部200の構成の一例を示すブロック図である。レーダ受信部200は、受信アレーアンテナ202と、Na個のアンテナ素子系統処理部(アンテナ素子系統処理回路)201(201-1~201-Na)と、方向推定部(方向推定回路)214と、を有する。
【0057】
受信アレーアンテナ202は、Na個の受信アンテナ素子#1~#Na(202-1~202-Na)を有する。Na個の受信アンテナ素子202-1~202-Naは、測定ターゲット(物体)を含む反射物体に反射したレーダ送信信号である反射波信号を受信し、受信した反射波信号を、それぞれ、対応するアンテナ素子系統処理部201-1~201-Naへ受信信号として出力する。
【0058】
各アンテナ素子系統処理部201(201-1~201-Na)は、受信無線部(受信無線回路)203と、信号処理部(信号処理回路)207とを有する。受信無線部203及び信号処理部207は、基準信号生成部300から受け取る基準信号を所定数倍したタイミングクロック(基準クロック信号)を生成し、生成したタイミングクロックに基づいて動作することにより、レーダ送信部100との同期を確保する。
【0059】
受信無線部203は、増幅器(増幅回路)204と、周波数変換器(周波数変換回路)205と、直交検波器(直交検波回路)206と、を有する。具体的には、第z番目の受信無線部203において、増幅器204は、第z番目の受信アンテナ素子#zから受け取る受信信号を所定レベルに増幅する。ここで、z=1,…,Nrである。次いで、周波数変換器205は、高周波帯域の受信信号をベースバンド帯域に周波数変換する。次いで、直交検波器206は、ベースバンド帯域の受信信号を、I信号及びQ信号を含むベースバンド帯域の受信信号に変換する。
【0060】
各信号処理部207は、第1のAD変換部(AD変換回路)208、第2のAD変換部(AD変換回路)209と、相関演算部(相関演算回路)210と、加算部(加算回路)211と、出力切替部(出力切替回路)212と、Nt個のドップラ解析部(ドップラ解析回路)213-1~213-Ntと、を有する。
【0061】
第1のAD変換部208は、直交検波器206からI信号を入力する。第1のAD変換部208は、I信号を含むベースバンド信号に対して、離散時間でのサンプリングを行うことにより、I信号をデジタルデータに変換する。
【0062】
第2のAD変換部209は、直交検波器206からQ信号を入力する。第2のAD変換部209は、Q信号を含むベースバンド信号に対して、離散時間でのサンプリングを行うことにより、Q信号をデジタルデータに変換する。
【0063】
ここで、第1のAD変換部208及び第2のAD変換部209のサンプリングでは、レーダ送信信号における1つのサブパルスの時間Tp(=Tw/L)あたり、Ns個の離散サンプルが行われる。すなわち、1サブパルスあたりのオーバーサンプル数はNsとなる。」
「【図6】
[図:0001437759000005.jpg]
」
(オ) 【0130】
「【数19】
…(中略)…
ここで、λは送信周波数変換部105から出力されるRF信号のキャリア周波数の波長である。」
(カ) 【0132】~【0136】、【図9】
「【0132】
[レーダ装置10におけるアンテナ配置]
以上の構成を有するレーダ装置10における送信アレーアンテナ108および受信アレーアンテナ202の配置について説明する。
【0133】
図9は、実施の形態1に係るアンテナ配置の一例を示す図である。送信アレーアンテナ108を構成する送信アンテナ素子の総数Ntは3以上であり、受信アレーアンテナ202を構成する受信アンテナ素子の総数Naは4以上である。送信アレーアンテナ108および受信アレーアンテナ202のいずれも、第1軸方向に沿って配置される。図9において、例えば、第1軸方向および第2軸方向は、それぞれ水平方向および垂直方向である。
【0134】
ここで、第1軸方向の基本間隔を、dH(半波長程度)とする。図9に示されるように、Nt個の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#Ntは、第1軸に沿って第1の間隔Dtで等間隔に配置される。Dtは、基本間隔dHの正の整数倍である。即ち、ある正の整数ntにより、Dt=nt×dHと表される。なお、Nt個の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#Ntを送信アンテナ素子群、送信アンテナ群と呼ぶ。
【0135】
また、図9に示されるように、Na個の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#Naは、それぞれ、隣の受信アンテナ素子との間隔Dr(1)~Dr(Na-1)で不等間隔に配置される。間隔Dr(n)(1≦n≦Na-1)は、受信アンテナ素子Rx#nの右隣の受信アンテナ素子Rx#n+1との間隔を表し、Dr(n)=(nr(n)×nt+1)dHと表される。ここで、nr=[nr(1),nr(2),…,nr(Na-1)]は、中央に位置する1つまたは2つの値を1とし、その両隣に0または1ずつ増加させた値の列が対称に並ぶ数列である。Na=4の場合、例えば、nr=[2,1,2]である。Na=5の場合、例えば、nr=[2,1,1,2]である。Na=6の場合、例えば、nr=[2,1,1,1,2]、nr=[2,2,1,2,2]、またはnr=[3,2,1,2,3]である。1≦n<Na-1を満たす正の整数nに対して、nr(n)=nr(Na-n)が成り立ち、Dr(n)についても、同様にDr(n)=Dr(Na-n)が成り立つ。つまり、図9の受信アレーアンテナ202の配置は、中央部分が狭い間隔であり、端部は広い間隔である。なお、Na個の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#Naを受信アンテナ素子群、または、受信アンテナ群と呼ぶ。
【0136】
受信アレーアンテナ108および受信アレーアンテナ202は、図9に示す点を位相中心として、アンテナ素子の開口長(図示なし)を第1軸方向および第2軸方向に拡げることができる。これにより、水平方向および垂直方向のビーム幅を絞り、高いアンテナ利得を得ることができる。各アンテナ素子には、サブアレーアンテナ構成を用いてもよく、さらに、サブアレーアンテナ素子にアレーウエイトをかけてサイドローブを抑制してもよい。」
「【図9】
[図:0001437759000006.jpg]
」
(キ) 【0139】~【0142】、【図11】
「【0139】
レーダ装置10における素子数がNt個の送信アレーアンテナ108及び素子数がNa個の受信アレーアンテナ202が第1軸に沿って配置される場合について、以下に複数の例を示す。
【0140】
<実施の形態1のバリエーション1>
本実施の形態のバリエーション1では、送信アンテナ素子の数が4個、受信アンテナ素子の数が4個の場合のアンテナ配置と、それを用いた到来方向推定手法とについて説明する。
【0141】
図11は、実施の形態1のバリエーション1に係るアンテナ配置の一例を示す図である。図11に示される第1軸方向および第2軸方向は、例えば、それぞれ、水平方向および垂直方向である。なお、第1軸方向に垂直な破線によって区切られた間隔は、第1軸方向の基本間隔dHを表す。以降の図においても、同様の破線によって第1軸方向の基本間隔dHが表される場合がある。送信アレーアンテナ108aの配置および受信アレーアンテナ202aの配置によって、仮想受信アレーアンテナVAA1の配置が構成される。
【0142】
図11において、送信アレーアンテナ108aを構成する送信アンテナ素子の総数Ntは4個であり、4個の送信アンテナ素子は、それぞれ、Tx#1~Tx#4で示される。送信アンテナ素子Tx#1~Tx#4は、第1軸方向にDt=2×dHの間隔で等間隔に配置される。ここで、第1軸方向の基本間隔dHは、例えば、dH=0.5λである。受信アレーアンテナ202aを構成する受信アンテナ素子Rxの総数Naは4個であり、4個の受信アンテナ素子は、それぞれ、Rx#1~Rx#4で示される。受信アンテナ素子Rx#1~Rx#4は第1軸方向にDr=[5,3,5]×dHの間隔で配置される。図11に示される例においては、nr=[2,1,2]である。」
「【図11】
[図:0001437759000007.jpg]
」
(ク) 【0163】~【0165】、【図16】
「【0163】
<実施の形態1のバリエーション3>
本実施の形態のバリエーション3のアンテナ配置は、本実施の形態のバリエーション1と類似のアンテナ配置である。送信アレーアンテナ108dのアンテナ素子の総数が3個、受信アレーアンテナ202dのアンテナ素子の総数が4個の場合のアンテナ配置について説明する。
【0164】
図16は、実施の形態1のバリエーション3に係るアンテナ配置の一例を示す。図16に示される第1軸方向および第2軸方向は、例えば、それぞれ、水平方向および垂直方向である。送信アレーアンテナ108dおよび受信アレーアンテナ202dの配置によって、仮想受信アレーアンテナVAA4の配置が構成される。
【0165】
図16において、送信アンテナ素子の総数Ntは3個であり、それぞれ、Tx#1~Tx#3で示される。送信アンテナ素子Tx#1~Tx#3は、Dt=2×dHの間隔で第1軸方向に等間隔に配置される。ここで、第1軸方向の基本間隔dHは、例えば、dH=0.5λである。受信アンテナ素子の総数Naは4個であり、それぞれ、Rx#1~Rx#4で示される。受信アンテナ素子Rx#1~Rx#4は、Dr=[5,3,5]×dHの間隔で第1軸方向に配置される。これは、nr=[2,1,2]の場合に相当する。」
「【図16】
[図:0001437759000008.jpg]
」
(ケ) 【0184】~【0189】、【図20】
「【0184】
(実施の形態2-2次元配置)
本実施の形態に係るレーダ装置は、実施の形態1に係るレーダ装置10と基本構成が共通するので、図1を援用して説明する。
【0185】
本実施の形態では、各アンテナ素子にサブアレーアンテナ構成を用いて、アンテナ素子の指向性利得を高め、2次元の方向に仮想受信アレーアンテナの開口長を拡げ、不要なグレーティングローブの発生を抑えることで誤検出リスクを低減し、所望の指向性パターンを実現することができる、レーダ装置10を提供する。
【0186】
[レーダ装置10におけるアンテナ配置]
実施の形態2においては、実施の形態1の送信アレーアンテナ108および受信アレーアンテナ202のアンテナ配置を含み、2次元の方向に配置されるアンテナ配置と、そのアンテナ配置を用いた到来方向推定手法について説明する。2次元の方向にアンテナ素子を配置することによって、2次元の到来方向推定が可能となる。
【0187】
図20は、実施の形態2に係るアンテナ配置の一例を示す図を示す。図20に示される第1軸方向および第2軸方向は、例えば、それぞれ、水平方向および垂直方向である。なお、第1軸方向に垂直な破線によって区切られた間隔は、第1軸方向の基本間隔dHを表す。また、第2軸方向に垂直な破線によって区切られた間隔は、第2軸方向の基本間隔dVを表す。以降の図においても、同様の破線によって、第1軸方向と第2軸方向のそれぞれの基本間隔が表される場合がある。図20において、送信アレーアンテナ108gを構成する送信アンテナ素子の総数Ntは6個である。受信アレーアンテナ202gを構成する受信アンテナ素子の総数Naは8個であり、8個の受信アンテナ素子は、それぞれ、Rx#1~Rx#8で示される。送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6および受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8によって構成される仮想受信アレーアンテナVAA7の仮想アンテナの総数は48であり、それぞれ、VA#1~VA#48で示される。ここで、第1軸方向と第2軸方向とは直交する。第1軸方向の基本間隔dHは、例えば、dH=0.5λである。また、第2軸方向の基本間隔dVは、例えば、dV=0.68λである。
【0188】
図20において、送信アンテナ素子Tx#1~#3と受信アンテナ素子Rx#1~#4の配置は、実施の形態1のバリエーション3と同じ配置である。即ち、送信アンテナ素子Tx#1~Tx#3は、Dt=dHの間隔で第1軸方向に等間隔に配置される。また、受信アンテナ素子Rx#1~Rx#4は、Dr=[3,2,3]×dHの間隔で第1軸方向に配置される。これは、nr=[2,1,2]の場合に相当する。さらに、送信アンテナ素子Tx#4~Tx#6は、送信アンテナ素子Tx#1~#3と同様に配置される。また、受信アンテナ素子Rx#5~Rx#8は、受信アンテナ素子Rx#1~Rx#4と同様に配置される。
【0189】
送信アンテナ素子Tx#4~Tx#6と受信アンテナ素子Rx#5~Tx#8の配置は、それぞれ、送信アンテナ素子Tx#1~Tx#3と受信アンテナ素子Rx#1~Rx#4に対して、第1軸方向および第2軸方向にずらして配置してもよい。例えば、図20に示されるように、送信アンテナ素子Tx#4~Tx#6は、それぞれ、送信アンテナ素子Tx#1~Tx#3に対して、第1軸方向にdHの間隔、第2軸方向にdVの間隔ずらして配置される。また、受信アンテナ素子Rx#5~Rx#8は、それぞれ、受信アンテナ素子Rx#1~Rx#4に対して、第1軸方向にdHの間隔、第2軸方向に2dVの間隔ずらして配置される。」
「【図20】
[図:0001437759000009.jpg]
」
イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
(ア) 実施の形態1と実施の形態2の関係
段落【0184】には、「本実施の形態に係るレーダ装置は、実施の形態1に係るレーダ装置10と基本構成が共通するので、図1を援用して説明する。」との記載がある。
そうすると、引用文献1には、段落【0027】~【0047】、【0056】~【0063】、【図1】、【図2】及び【図6】に実施の形態1として記載された技術事項について、「送信アレーアンテナ108」及び「受信アレーアンテナ202」を、実施の形態2における「送信アレーアンテナ108g」及び「受信アレーアンテナ202g」に置き換えた技術事項も記載されていると認められる。
(イ) 認定事項1
a 引用文献1の段落【0187】には、実施の形態2に係るアンテナ配置について、「図20において、送信アレーアンテナ108gを構成する送信アンテナ素子の総数Ntは6個である。受信アレーアンテナ202gを構成する受信アンテナ素子の総数Naは8個であり、8個の受信アンテナ素子は、それぞれ、Rx#1~Rx#8で示される。送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6および受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8によって構成される仮想受信アレーアンテナVAA7の仮想アンテナの総数は48であり、それぞれ、VA#1~VA#48で示される。」との記載がある。
b また、引用文献1の段落【0004】には、背景技術として、「MIMOレーダでは、送受信アレーアンテナにおけるアンテナ素子の配置を工夫することにより、最大で送信アンテナ素子数と受信アンテナ素子数との積に等しい仮想的な受信アレーアンテナ(以下、仮想受信アレー、または仮想受信アレーアンテナと呼ぶ)を構成できる。」との記載がある。
これらの記載を総合すると、引用文献1においては、実施の形態2に係るレーダ装置10における「送信アレーアンテナ108g」及び「受信アレーアンテナ202g」が、「送受信アンテナアレイ」を構成していると認められる(以下「認定事項1」という。)。
(ウ) 認定事項2
前記(ア)において示した事項を踏まえて段落【0032】、【0033】の記載を見ると、段落【0187】~【0189】及び【図20】に記載されている「送信アレーアンテナ108g」及び「受信アレーアンテナ202g」について、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「認定事項2」という。)。
<認定事項2>
「 レーダ送信部100は、複数の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6を時分割で切り替えて、レーダ送信信号を送信するものであり、
レーダ受信部200は、ターゲットにおいて反射されたレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8を用いて受信し、受信した反射波信号を信号処理し、少なくともターゲットの有無検出又は方向推定を行うものであり、ターゲットは、レーダ装置10が検出する対象の物体であること。」
(エ) 認定事項3
a 段落【0188】には、実施の形態2のアンテナ配置について、「図20において、送信アンテナ素子Tx#1~#3と受信アンテナ素子Rx#1~#4の配置は、実施の形態1のバリエーション3と同じ配置である。」と記載されている。段落【0166】において、実施の形態1のバリエーション3について「実施の形態1のバリエーション3においても、バリエーション1と同様に、図16に示される点を位相中心として、送信アレーアンテナ108dおよび受信アレーアンテナ202dの各アンテナ素子の開口長を第1軸方向および第2軸方向に拡げることができる。」と記載されていることを踏まえると、実施の形態2のアンテナ配置について、送信アンテナ素子Tx#1~#3と受信アンテナ素子Rx#1~#4は、いずれも【図20】に示される点を位相中心として配置されているといえる。
b 前記aにおいて示した事項及び段落【0187】~【0189】の記載を踏まえると、【図20】から次の(a)~(h)の事項が見て取れる(以下、順に「認定事項3(a)」、「認定事項3(b)」などという。)。ここで、送信アレーアンテナ202g、受信アレーアンテナ202g及び仮想受信アレーアンテナVAA7は、それぞれ、第1軸を横軸、第2軸を縦軸とする平面に配置されていることから、これらの平面上の直線は、第1軸方向及び第2方向の基本単位をそれぞれdH、dVとする座標で表現する。例えば、送信アンテナ素子Tx#1を通り第1軸と平行な直線をdV=1と表す。
<認定事項3(a)~(h)>
(a) 2つの隣接する送信アンテナ素子Tx#1、Tx#2の各位相中心が、dV=1の直線上に配置されていること。
(b) 送信アンテナ素子Tx#5の位相中心が、dV=1の直線から第2軸方向にdVの間隔で配置されていること。
(c) 送信アンテナ素子Tx#5の位相中心を通って、dV=1の直線に垂直に走るdH=3の直線が、dV=1の直線上の送信アンテナ素子Tx#1を通ってdV=1の直線に垂直に走るdH=2の直線からdHの間隔に位置すること。
(d) dV=1の直線上の2つの隣接する送信アンテナ素子Tx#1とTx#2の間隔が2dHであること。
(e) 仮想受信アレーアンテナVAA7において、仮想アンテナVA#1~VA#48のうち少なくとも2つの隣接する仮想アンテナVA#1、VA#2がdV=1の直線上に配置されていること。
(f) 2つの隣接する仮想アンテナVA#3、VA#4が、互いにdHの間隔で配置されていること。
(g) 2つの隣接する仮想アンテナVA#1、VA#2が、互いに2dHの間隔で配置されていること。
(h) 送信アンテナ素子Tx#5の位相中心を通るdH=3の直線が、dV=1の直線上で隣接する2つの送信アンテナ素子Tx#1、Tx#2のそれぞれの位相中心を通ってdV=1の直線に垂直に走る2つの直線であるdH=2の直線とdH=4の直線の間に配置されること。
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施の形態2(【図20】)に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
送信アレーアンテナ108g及び受信アレーアンテナ202gによって構成される送受信アンテナアレイであって、(認定事項1)
送信アレーアンテナ108gは、6個の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6によって構成され、(段落【0187】)
受信アレーアンテナ202gは、8個の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8によって構成され、(段落【0187】)
レーダ送信部100は、複数の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6を時分割で切り替えて、レーダ送信信号を送信するものであり、(認定事項2)
レーダ受信部200は、ターゲットにおいて反射されたレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8を用いて受信し、受信した反射波信号を信号処理し、少なくともターゲットの有無検出又は方向推定を行うものであり、ターゲットは、レーダ装置10が検出する対象の物体であり、(認定事項2)
レーダ装置10は、レーダ送信部100と、レーダ受信部200と、を有するものであり、(段落【0030】)
送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6及び受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8によって仮想受信アレーアンテナVAA7が構成され、仮想受信アレーアンテナVAA7の仮想アンテナは、それぞれ、VA#1~VA#48で示され、(段落【0187】)
第1軸を横軸、第2軸を縦軸とする平面上の直線を、第1軸方向及び第2方向の基本単位をそれぞれdH、dVとする座標で表現するとき、
第1軸方向の基本間隔dHは、dH=0.5λであり、(段落【0187】)
2つの隣接する送信アンテナ素子Tx#1とTx#2の各位相中心が、dV=1の直線上に配置され、(認定事項3(a))
送信アンテナ素子Tx#5の位相中心が、dV=1の直線から第2軸方向にdVの間隔で配置され、(認定事項3(b))
送信アンテナ素子Tx#5の位相中心を通って、dV=1の直線に垂直に走るdH=3の直線が、dV=1の直線上の送信アンテナ素子Tx#1を通ってdV=1の直線に垂直に走るdH=2の直線からdHの間隔に位置し、(認定事項3(c))
dV=1の直線上の2つの隣接する送信アンテナ素子Tx#1、Tx#2の間隔が2dHであり、(認定事項3(d))
仮想受信アレーアンテナVAA7において、仮想アンテナVA#1~VA#48のうち少なくとも2つの隣接する仮想アンテナVA#1、VA#2がdV=1の直線上に配置されており、(認定事項3(e))
2つの隣接する仮想アンテナVA#3、VA#4が、互いにdHの間隔で配置されており、(認定事項3(f))
2つの隣接する仮想アンテナVA#1、VA#2が、互いに2dHの間隔で配置されており、(認定事項3(g))
送信アンテナ素子Tx#5の位相中心を通るdH=3の直線が、dV=1の直線上で隣接する2つの送信アンテナ素子Tx#1、Tx#2のそれぞれの位相中心を通ってdV=1の直線に垂直に走る2つの直線であるdH=2の直線とdH=4の直線の間に配置される、(認定事項3(h))
送受信アンテナアレイ。」
(3) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点(アンテナアレイ)
a(a) 引用発明における「ターゲット」は、「レーダ装置10が検出する対象の物体」であるから、本件補正発明における「オブジェクト(18)」に相当する。
(b) 引用発明における「レーダ送信部100」は、「複数の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6を時分割で切り替えて、レーダ送信信号を送信するもの」であり、「レーダ受信部200」は、「ターゲットにおいて反射されたレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8を用いて受信し、受信した反射波信号を信号処理し、少なくともターゲットの有無検出又は方向推定を行うもの」である。ここで、「レーダ送信信号を送信[し]」、「ターゲットにおいて反射されたレーダ送信信号」「を信号処理し」、「ターゲットの有無検出又は方向推定を行う」ということは、実質的には、レーダ送信信号を送信した先の領域を監視しているといえる。このとき、「レーダ送信信号を送信した先の領域」が本件補正発明における「少なくとも1つの監視領域(14)」に相当する。
(c) 引用発明における「レーダ装置10」は、「レーダ送信部100」と、「レーダ受信部200」を有するものであるから、前記(a)及び(b)を踏まえると、引用発明における「レーダ装置10」は、本件補正発明における「オブジェクト(18)について少なくとも1つの監視領域(14)を監視するレーダシステム(12)」に相当する。
b(a) 引用発明における「送受信アンテナアレイ」は、「送信アレーアンテナ108g」及び「受信アレーアンテナ202g」によって構成されるものである。
(b) 引用発明における「送信アレーアンテナ108g」は「6個の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6によって構成され[る]」ものである。
(c) 引用発明における「受信アレーアンテナ202g」は、「8個の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8によって構成され[る]」ものである。
前記(a)~(c)と、前記a(b)を踏まえると、引用発明における「レーダ装置10」は、レーダ送信信号の送信とターゲットにおいて反射されたレーダ送信信号の受信に「送受信アンテナアレイ」を用いるものである。そうすると、引用発明における「送受信アンテナアレイ」は、「レーザ装置10」のためのものであるといえる。
c 前記a及びbを総合すると、「アンテナアレイ」の発明である本件補正発明と「送受信アンテナアレイ」の発明である引用発明は、「オブジェクトについて少なくとも1つの監視領域を監視するレーダシステムのためのアンテナアレイ」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aの観点(複数の送信アンテナについて)
a 構成Aは、「各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号(30)を送信するように用いることができる複数の送信アンテナ(26)」を備えることである。
b(a) 引用発明においては、「ターゲットにおいて反射されたレーダ送信信号である反射波信号」「を信号処理し、少なくともターゲットの有無検出又は方向推定を行う」ものであるから、引用発明における「レーダ送信信号」は、本件補正発明における「対象レーダ信号(30)」に相当する。
(b) 引用発明においては、「レーダ送信部100」が、「複数の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6を時分割で切り替えて、レーダ送信信号を送信するもの」であるから、引用発明における「複数の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6」は、「レーダ送信信号」を送信するように用いることができるものである。ここで、「複数の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6を時分割で切り替えて、レーダ送信信号を送信する」際に、送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6のそれぞれを対応する送信信号を用いて制御していることは明らかである。
(c) 前記(a)及び(b)をまとめると、本件補正発明における「複数の送信アンテナ(26)」と、引用発明における「複数の送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6」は、「各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号を送信するように用いることができる複数の送信アンテナ」である点において一致する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号を送信するように用いることができる複数の送信アンテナ」を備える点において一致する。
(ウ) 構成Bの観点(複数の受信アンテナについて)
a 構成Bは、「送信されたレーダ信号(30)のエコー(44)を受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナ(28)」を備えることである。
b(a) 引用発明における「反射波信号」は、「ターゲットにおいて反射されたレーダ送信信号」であるから、前記b(a)も踏まえると、本件補正発明における「送信されたレーダ信号(30)のエコー(44)」に相当する。
(b) 引用発明においては、「レーダ受信部200」は、「反射波信号」を、「複数の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8を用いて受信し、受信した反射波信号を信号処理[する]」ものであるから、引用発明における「複数の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8」は、反射波信号を受信し、受信した反射波信号を対応する受信信号に変換するように用いることができるものであるといえる。
(c) 前記(a)及び(b)をまとめると、本件補正発明における「複数の受信アンテナ(28)」と、引用発明における「複数の受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8」は「送信されたレーダ信号のエコーを受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナ」である点において一致する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「送信されたレーダ信号のエコーを受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナ」を備える点において一致する。
(エ) 構成C1~C6の観点
a 構成C1~C6は、送信アンテナの配置について、次の事項を特定するものである。
「(C1) 少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の各位相中心(32)が、仮想の送信機縦軸(34)上に配置され、
(C2) 少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の位相中心(32)が、前記仮想の送信機縦軸(34)から送信機横間隔(36)で配置され、
(C3) 前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る前記仮想の送信機横軸(38)からベース間隔(40)に位置し、
(C4) 前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記各仮想の送信機横軸(38)間の送信機縦間隔(42)が、前記ベース間隔(40)より大きいものであり、
(C5) 前記ベース間隔(40)が、前記送信アンテナ(26)を用いて送信された前記レーダ信号(30)の波長λの半分に対応するものであり、」
「(C6)前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記仮想の送信機横軸(38)間に配置される」こと。
b 次の<引用発明>の欄に記載した引用発明の各構成は、それぞれ、対応する<本件補正発明>の欄に記載した本件補正発明の構成に相当する。
ここで、本件補正発明において「縦軸」及び「横軸」という語句が用いられているが、本件補正発明の<参考図>(【図4】)に示されているように、本件補正発明における「縦軸」は、図面上は横方向に延びた軸のことであり、「横軸」は、図面上は縦方向に延びた軸のことであるから、通常の用法とは反対である。要するに、本件補正発明において、「縦」や「横」という事項そのものに特別の技術的意味があるものではなく、せいぜい直交する二方向を規定するために用いられた語句にすぎないことに留意する必要がある。「縦間隔」及び「横間隔」についても同様である。 <引用発明> <本件補正発明>
送信アンテナ素子Tx#1、Tx#2 少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)
dV=1の直線 仮想の送信機縦軸(34)
送信アンテナ素子Tx#5 少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)
dVの間隔 送信機横間隔(36)
dH=3の直線 更なる仮想の送信機横軸(38)
送信アンテナ素子Tx#1 少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)のうちの1つ
dH=2の直線 前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る前記仮想の送信機横軸(38)
基本間隔dH ベース間隔(40)
送信アンテナ素子Tx#1、Tx#2の間隔 送信機縦間隔(42)
dH=2の直線とdH=4の直線 前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記仮想の送信機横軸(38)
c 構成C1の観点
引用発明においては、「2つの隣接する送信アンテナ素子Tx#1とTx#2の各位相中心が、dV=1の直線上に配置され[る]」ものである。前記bを踏まえると、引用発明においては、「少なくとも2つの隣接する送信アンテナの各位相中心が、仮想の送信機縦軸上に配置される」といえる。
d 構成C2の観点
引用発明においては、「送信アンテナ素子Tx#5の位相中心が、dV=1の直線から第2軸方向にdVの間隔で配置され[る]」ものである。前記bを踏まえると、引用発明においては、「少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心が、前記仮想の送信機縦軸から送信機横間隔で配置される」といえる。
e 構成C3の観点
引用発明においては、「送信アンテナ素子Tx#5の位相中心を通って、dV=1の直線に垂直に走るdH=3の直線が、dV=1の直線上の送信アンテナ素子Tx#1を通ってdV=1の直線に垂直に走るdH=2の直線からdHの間隔に位置[する]」ものである。前記bを踏まえると、引用発明においては、「少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心を通って、仮想の送信機縦軸に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸が、前記仮想の送信機縦軸上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナのうちの1つの前記位相中心を通って、前記仮想の送信機縦軸に垂直に走る前記仮想の送信機横軸からベース間隔に位置する」といえる。
f 構成C4の観点
引用発明においては、「dV=1の直線上の2つの隣接する送信アンテナ素子Tx#1、Tx#2の間隔が2dHであ[る]」ものである。ここで、2dHはdHより大きいことから、前記bを踏まえると、引用発明においては、「前記仮想の送信機縦軸上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナの前記各仮想の送信機横軸間の送信機縦間隔が、前記ベース間隔より大きい」といえる。
g 構成C5の観点
引用発明においては、「第1軸方向の基本間隔dHは、dH=0.5λであ[る]」ものである。ここで、引用文献1の段落【0130】における「ここで、λは送信周波数変換部105から出力されるRF信号のキャリア周波数の波長である。」との記載及び技術常識を踏まえると、引用発明における「第1軸方向の基本間隔dH」は、「レーダ送信信号」の波長の半分に対応するものであることは明らかである。前記(イ)b(a)及び前記bも踏まえると、引用発明においては、「前記ベース間隔が、前記送信アンテナを用いて送信された前記レーダ信号の波長λの半分に対応する」といえる。
h 構成C6の観点
引用発明においては、「送信アンテナ素子Tx#5の位相中心を通るdH=3の直線が、dV=1の直線上で隣接する2つの送信アンテナ素子Tx#1とTx#2のそれぞれの位相中心を通ってdV=1の直線に垂直に走る2つの直線であるdH=2の直線とdH=4の直線の間に配置される」ものである。前記bを踏まえると、引用発明においては、「前記少なくとも1つの更なる送信アンテナの前記更なる仮想の送信機横軸が、前記仮想の送信機縦軸上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナの前記仮想の送信機横軸間に配置される」といえる。
i 前記c~hをまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「 少なくとも2つの隣接する送信アンテナの各位相中心が、仮想の送信機縦軸上に配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心が、前記仮想の送信機縦軸から送信機横間隔で配置され、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナの前記位相中心を通って、前記仮想の送信機縦軸に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸が、前記仮想の送信機縦軸上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナのうちの1つの前記位相中心を通って、前記仮想の送信機縦軸に垂直に走る前記仮想の送信機横軸からベース間隔に位置し、
前記仮想の送信機縦軸上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナの前記各仮想の送信機横軸間の送信機縦間隔が、前記ベース間隔より大きいものであり、
前記ベース間隔が、前記送信アンテナを用いて送信された前記レーダ信号の波長λの半分に対応するものであり、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナの前記更なる仮想の送信機横軸が、前記仮想の送信機縦軸上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナの前記仮想の送信機横軸間に配置される」ものである点。
(オ) 構成D1の観点
a 構成D1は、バーチャル受信アンテナアレイについて、次の事項を特定するものである。
「 前記送信アンテナ(26)及び受信アンテナ(28)の構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸(54a、54b)上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイ(50)を実現するように、前記レーダシステム(12)の方向操作モードにおいて用いられ[る]」こと。
b 次の<引用発明>の欄に記載した引用発明の各構成は、それぞれ、対応する<本件補正発明>の欄に記載した本件補正発明の構成に相当する。
<引用発明> <本件補正発明>
仮想受信アレーアンテナVAA7 バーチャル受信アンテナアレイ(50)
仮想アンテナVA#1、VA#2 少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)
dV=1の直線 少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸(54a、54b)
c(a) 引用発明においては、「送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6及び受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8によって仮想受信アレーアンテナVAA7が構成され」、「仮想受信アレーアンテナVAA7において、仮想アンテナVA#1~VA#48のうち少なくとも2つの隣接する仮想アンテナVA#1、VA#2がdV=1の直線上に配置され[る]」ものである。前記bを踏まえると、引用発明においては、「前記送信アンテナ及び受信アンテナの構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイを実現する」といえる。
(b) また、「送信アンテナ素子Tx#1~Tx#6及び受信アンテナ素子Rx#1~Rx#8」が、「レーダ装置10」(本件補正発明の「レーダシステム(12)」に相当する)においてレーダ送信部100及びレーダ受信部200として用いられた際に、「仮想受信アレーアンテナVAA7」が構成されることになるということは、技術常識より明らかである。
d 以上の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の構成D1の観点における一致点及び一応の相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成D1の観点における一致点
「前記送信アンテナ及び受信アンテナの構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイを実現するように、前記レーダシステムにおいて用いられる」ものである点。
(b) 構成D1の観点における一応の相違点
本件補正発明においては、
バーチャル受信アンテナアレイを実現するように、「レーダシステム(12)の方向操作モードにおいて用いられ[る]」ものであるのに対して、
引用発明においては、
バーチャル受信アンテナアレイを実現するように、「レーダシステムにおいて用いられる」ものではあるが、「方向操作モードにおいて用いられる」ものであるか否か不明である点。
(カ) 構成D2~D4の観点
a(a) 構成D2は、バーチャル受信アンテナアレイについて、「少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、互いに前記ベース間隔(40)で配置され[る]」ことを特定するものである。
(b) 引用発明においては、「2つの隣接する仮想アンテナVA#3、VA#4が、互いにdHの間隔で配置されて[いる]」ものである。引用発明における「dHの間隔」は、本件補正発明における「ベース間隔(40)」に相当するものであるから、引用発明においては、「少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、互いに前記ベース間隔で配置される」といえる。
b(a) 構成D3は、バーチャル受信アンテナアレイについて、「少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)より大きい間隔(56a、56b、56c、56d)で配置され[る]」ことを特定するものである。
(b) 引用発明においては、「2つの隣接する仮想アンテナVA#1、VA#2が、互いに2dHの間隔で配置されて[いる]」ものである。ここで、引用発明における「dHの間隔」は、本件補正発明における「ベース間隔(40)」に相当するものであるから、2dHの間隔は、本件補正発明における「前記ベース間隔(40)より大きい間隔(56a、56b、56c、56d)」に相当する。
(c) したがって、引用発明においては、「少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、前記ベース間隔より大きい間隔で配置される」といえる。
c(a) 構成D4は、バーチャル受信アンテナアレイについて、「少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)の整数倍に対応する間隔(56a、56b、56c、56d)で配置される」ことを特定するものである。
(b) 引用発明においては、「2つの隣接する仮想アンテナVA#1、VA#2が、互いに2dHの間隔で配置されて[いる]」ものである。ここで、引用発明における「dHの間隔」は、本件補正発明における「ベース間隔(40)」に相当するものであるから、2dHの間隔は、本件補正発明における「前記ベース間隔(40)の整数倍に対応する間隔(56a、56b、56c、56d)」に相当する。
(c) したがって、引用発明においては、「少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、前記ベース間隔の整数倍に対応する間隔で配置されるものである」といえる。
d 前記a~cをまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、互いに前記ベース間隔で配置され、及び
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、前記ベース間隔より大きい間隔で配置され、及び
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、前記ベース間隔の整数倍に対応する間隔で配置される」ものである点。
イ 一致点及び一応の相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び一応の相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。
(ア) 一致点
「 オブジェクトについて少なくとも1つの監視領域を監視するレーダシステムのためのアンテナアレイであって、
各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号を送信するように用いることができる複数の送信アンテナを備え、
送信されたレーダ信号のエコーを受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナを備える、アンテナアレイであって、
少なくとも2つの隣接する送信アンテナの各位相中心が、仮想の送信機縦軸上に配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナの位相中心が、前記仮想の送信機縦軸から送信機横間隔で配置され、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナの前記位相中心を通って、前記仮想の送信機縦軸に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸が、前記仮想の送信機縦軸上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナのうちの1つの前記位相中心を通って、前記仮想の送信機縦軸に垂直に走る前記仮想の送信機横軸からベース間隔に位置し、
前記仮想の送信機縦軸上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナの前記各仮想の送信機横軸間の送信機縦間隔が、前記ベース間隔より大きいものであり、
前記ベース間隔が、前記送信アンテナを用いて送信された前記レーダ信号の波長λの半分に対応するものであり、
前記送信アンテナ及び受信アンテナの構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイを実現するように、前記レーダシステムにおいて用いられ、
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、互いに前記ベース間隔で配置され、及び
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、前記ベース間隔より大きい間隔で配置され、及び
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素が、前記ベース間隔の整数倍に対応する間隔で配置されるものであり、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナの前記更なる仮想の送信機横軸が、前記仮想の送信機縦軸上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナの前記仮想の送信機横軸間に配置される、
アンテナアレイ」である点。
(イ) 一応の相違点
本件補正発明においては、
バーチャル受信アンテナアレイを実現するように、「レーダシステム(12)の方向操作モードにおいて用いられ[る]」ものであるのに対して、
引用発明においては、
バーチャル受信アンテナアレイを実現するように、「レーダシステムにおいて用いられる」ものではあるが、「方向操作モードにおいて用いられる」ものであるか否か不明である点
(4) 判断
ア 一応の相違点についての検討
上記一応の相違点について検討する。引用発明は「レーダ装置10」におおいて用いられる「送受信アンテナアレイ」の発明であるところ、送受信アンテナアレイがレーダ装置においてどのように用いられるかは、送受信アンテナアレイの自体の構成を限定するものではないから、上記一応の相違点は実質的な相違点ではない。
また、仮に実質的な相違点であるとして検討しても、送受信アンテナアレイが、方向推定部を備えたレーダ装置において用いられることは、引用文献1の段落【0015】などに記載されているとおり、ごく一般的に行われている事項であるから、上記一応の相違点に係る構成は当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、本件補正発明は、引用発明と同一であり、少なくとも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 審判請求書における請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
請求人は、本件補正発明に関して、審判請求書の18~23ページにおいて、概略次の主張をしている。
引用文献1は、本件補正後の請求項1に記載された技術的特徴を開示するものではなく、その示唆すらされておらず、その動機付けとなる作用効果について開示及び示唆すらされていない。
引用文献1には、本件補正後の請求項1に記載された上記技術的特徴の開示及び示唆もされておらず、その動機付けとなる効果に関しても記載及び示唆されていないことから、引用文献1に記載された発明を組み合わせたとしても、引用文献1に記載された発明から、本願の請求項1に記載された技術的特徴についての技術的思想を容易に想到することができない。
本件補正発明(本件補正後の請求項5に係る発明)に関しても同様である。
すなわち、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明とは構成及び作用効果が相違するとともに、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
(イ) 請求人の主張についての検討
上記主張は、引用発明に対する本件補正発明の新規性及び進歩性に関する主張であるが、前記アにおいて検討したとおり、本件補正発明は、引用発明と同一であり、少なくとも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、審判請求書における請求人の上記主張は採用できない。
ウ 上申書における請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
上申書において、請求人は、本件補正後の請求項5を次のとおり補正する補正案を提示し、当該補正案における請求項5に係る発明は新規性及び進歩性を有する旨主張する。下線は補正箇所を示す。
「【請求項5】
オブジェクト(18)について少なくとも1つの監視領域(14)を監視するレーダシステム(12)のためのアンテナアレイ(22)であって、
各送信信号を用いて制御可能であり、且つ、対象レーダ信号(30)を送信するように用いることができる複数の送信アンテナ(26)を備え、
送信されたレーダ信号(30)のエコー(44)を受信し、前記エコーを対応する受信信号に変換するように用いることができる複数の受信アンテナ(28)を備える、アンテナアレイ(22)であって、
少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の各位相中心(32)が、仮想の送信機縦軸(34)上に配置され、
少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の位相中心(32)が、前記仮想の送信機縦軸(34)から送信機横間隔(36)で配置され、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)のうちの1つの前記位相中心(32)を通って、前記仮想の送信機縦軸(34)に垂直に走る前記仮想の送信機横軸(38)からベース間隔(40)に位置し、
前記仮想の送信機縦軸(34)上の前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記各仮想の送信機横軸(38)間の送信機縦間隔(42)が、前記ベース間隔(40)より大きいものであり、
前記ベース間隔(40)が、前記送信アンテナ(26)を用いて送信された前記レーダ信号(30)の波長λの半分に対応するものであり、
前記送信アンテナ(26)及び受信アンテナ(28)の構成は、少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、少なくとも1つの仮想のアレイ縦軸(54a、54b)上に配置されるバーチャル受信アンテナアレイ(50)を実現するように、前記レーダシステム(12)の方向操作モードにおいて用いられ、
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、互いに前記ベース間隔(40)で配置され、及び
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)より大きい間隔(56a、56b、56c、56d)で配置され、及び
少なくとも2つの隣接するバーチャル受信アレイ要素(52)が、前記ベース間隔(40)の整数倍に対応する間隔(56a、56b、56c、56d)で配置されるものであり、
前記少なくとも1つの更なる送信アンテナ(26)の前記更なる仮想の送信機横軸(38)が、前記仮想の送信機縦軸(34)上で隣接する前記少なくとも2つの隣接する送信アンテナ(26)の前記仮想の送信機横軸(38)間に配置される、
ことを特徴とするアンテナアレイ(22)。」
(イ) 請求人の主張についての検討
前記(3)ア(カ)における検討を踏まえると、上記補正案における請求項5に係る発明と、引用発明の一致点及び一応の相違点は、前記(3)イにおいて示した一致点及び一応の相違点と完全に一致し、その一応の相違点についての判断は前記アにおいて示したとおりである。
したがって、上記補正案における請求項5に係る発明は、引用発明と同一であり、少なくとも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上申書における請求人の上記主張は採用できない。
エ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明と同一であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。また、少なくとも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものでもある。
したがって、本件補正により請求項5についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(4)エのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項6(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由のうち、理由4(新規性の欠如)及び理由5(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由4(新規性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由5(進歩性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2020-56780号公報
3 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1の記載事項及び引用発明の認定は、前記第2の3(2)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)のアからエに示した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明と同一であり、少なくとも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明と同一であり、少なくとも、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当するため、又は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-009669