特許拒絶査定不服審判
2024-011040
転写ユニットおよび部品実装装置
- 審判番号
- 2024-011040
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-045501外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年07月03日
- 審決日
- 2024年10月28日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人栄光事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H05K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 45501「転写ユニットおよび部品実装装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月27日出願公開、特開2021-150324〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月16日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 5年11月 7日付け 拒絶理由通知書
令和 6年 1月12日 意見書・手続補正書
4月 5日付け 拒絶査定
7月 3日 審判請求書
以下では、令和6年4月5日付け拒絶査定を「原査定」という。
第2 本願発明
本願の請求項1~8に係る発明は、令和6年1月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。なお、後の参照の便宜のため、本願発明を以下のA~Hに分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
【請求項1】
A ペーストが貯留された転写皿と、
B 前記転写皿内でペーストに対して相対移動することで前記転写皿の底面にペーストの薄膜体を形成するスキージと、
C 前記転写皿内のペーストを冷却する冷却手段と、
D 前記転写皿を保持するとともに、下面に前記冷却手段が接触して設けられた転写皿保持部材と、
E 前記転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサと、
F 前記温度センサによって検出される前記転写皿保持部材の温度に基づいて前記冷却手段を制御するコントローラと、
G を備えた
H 転写ユニット。
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の概要は、以下のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1~8に係る発明は、以下の引用文献2に記載された発明並びに引用文献1及び引用文献3に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2014-53347号公報
引用文献2.特開2018-41841号公報
引用文献3.特開平11-110052号公報
第4 文献の記載内容
原査定で引用された特開2014-53347号公報(以下「引用文献1」という。)、特開2018-41841号公報(以下「引用文献2」という。)及び特開平11-110052号公報(以下「引用文献3」という。)、並びに、当審で新たに引用する特開2015-104769号公報(以下「引用文献4」という。)及び特開2011-108930号公報(以下「引用文献5」という。)の記載事項は、以下に示すとおりである。
1 引用文献2の記載内容
引用文献2の記載は、以下の(1)に示すとおりであり、該記載から以下の(2)に示す発明を認定する。
(1)引用文献2の記載
引用文献2には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付した(以下同様)。
「【0001】
本発明は、粘性剤温調装置、搭載装置、基板装置の製造方法に関する。」
「【0005】
本発明は、回転台における環状軸受と接触する部分と、粘性剤が配置される部分と、が径方向にずれている構成と比べ、粘性剤の温度を短時間で所望の温度に調整できるようにすることを目的とする。」
「【0020】
製造装置10は、さらに、半導体素子12を接合するための接合剤G(粘性剤の一例)をプリント配線基板44に供給する接合剤供給装置110と、供給部13から素子位置決め部20へ半導体素子12を移送する移送装置50と、素子位置決め部20で位置決めされた半導体素子12を基板位置決め部40で位置決めされたプリント配線基板44へ移送する移送装置60(移送機構の一例)と、を備えている。」
「【0035】
接合剤温調装置112は、図2及び図4に示されるように、駆動モータ150(駆動部の一例)と、台160と、環状軸受170と、温調部180(制御部の一例)と、回転皿120(回転台の一例)と、調整部材130と、を有している。」
「【0037】
(台160)
台160は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属材料など、熱伝導率が比較的高い材料で構成され、且つ板状に形成されている。台160には、環状軸受170及び回転皿120の下部128が配置される凹部162が形成されている。この凹部162は、平面視にて略円形状(台160の側面で弦として切り取られた円形状)に形成されている。略円形状の凹部162の平面視における円中央部には、駆動モータ150の駆動軸152が通る通し穴164(穴の一例)が形成されている。この通し穴164は、台160を上下方向に貫通している。」
「【0044】
(回転皿120)
回転皿120は、図2及び図4に示されるように、上面120A側に溝部124を有する円盤状に構成されている。この回転皿120は、前述のように、平面視における中央部が駆動軸152に固定されている。そして、回転皿120は、駆動モータ150が駆動軸152を回転駆動することで、一方向(図3(A)における時計周り方向(矢印D方向))へ回転するようになっている。なお、回転皿120は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属材料など、熱伝導率が比較的高い材料で構成されている。
【0045】
回転皿120の下部128は、図2に示されるように、その下部128よりも上側の部分よりも、小径の円板状とされている。この下部128が、環状軸受170上に重なるように、台160の凹部162内に配置されている。
【0046】
回転皿120の溝部124は、図3(A)に示されるように、平面視にて円環状(リング状)に形成されている。この円環状の溝部124によって、接合剤Gが配置される配置空間(配置部)が形成されている。この配置空間は、図2に示されるように、溝部124の底面124A(表面の一例)と、溝部124の外周側の外周壁124Bと、溝部124の内周側の内周壁124Cと、で囲まれた空間となっている。この配置空間に配置された接合剤Gは、外周壁124Bと内周壁124Cとの間で、溝部124の底面124A上に配置された状態となっている。」
「【0050】
(温調部180)
温調部180は、台160の温度を調整(制御)する機能を有している。具体的には、本実施形態では、温調部180は、台160の温度を、室温(28℃)から予め定められた温度(例えば18℃)に低下させる。すなわち、温調部180は、台160を予め定められた温度(例えば18℃)に冷却する。
【0051】
具体的には、温調部180は、図2及び図4に示されるように、ペルチェ素子182と、ヒートシンク184と、ファン186(送風機)と、を有している。
【0052】
ペルチェ素子182は、環状軸受170の周方向の一部に対して、回転皿120の軸方向(Z方向)に重なる位置で、台160の下面160Bに接触して配置されている。ペルチェ素子182は、台160の下面160Bに接触する面が冷却面182Aとされ、冷却面182Aとは反対側の面が放熱面182Bとされている。ヒートシンク184は、ペルチェ素子182の放熱面182Bに取り付けられている。さらに、ファン186がヒートシンク184に取り付けられている。
【0053】
温調部180では、ペルチェ素子182の冷却面182Aで台160の下面160Bを冷却して、台160の温度を制御する。この台160と回転皿120との間で、環状軸受170を介して熱移動が生じ、回転皿120が冷却される。
【0054】
一方、ペルチェ素子182の放熱面182Bから放出された熱は、ヒートシンク184に伝わって拡散される。さらに、ファン186がヒートシンク184へ送風することで、ヒートシンク184が強制冷却される。」
「【0058】
移動機構144が転写ピン142をプリント配線基板44に対して、X方向、Y方向に相対移動させた後、転写ピン142を下方(-Z方向)に降下させることで、転写ピン142は、底面142Aに付着させた接合剤Gをプリント配線基板44に塗布するようになっている。すなわち、転写ピン142は、回転皿120に配置された接合剤Gをプリント配線基板44に転写するようになっている。なお、移動機構144としては、例えば、Y方向及びZ方向に移動可能な二軸ロボットが用いられる。」
「【0059】
(調整部材130)
調整部材130は、接合剤Gの厚さを調整する部材である。具体的には、調整部材130は、図3(A)(B)及び図5に示されるように、ヘッド部材131と、ヘッド部材131に連結されたアーム部材133と、を有している。
【0060】
ヘッド部材131は、図3(A)に示されるように、平面視にて回転皿120の回転方向(矢印D方向)及び半径方向(矢印Y方向)に対して傾斜して設けられた傾斜板132(案内部の一例)と、傾斜板132における回転方向の下流端部に接続され、傾斜板132の傾斜により接合剤Gが回転皿120の外周側に流れるのを制限する制限板134(制限部の一例)と、を有している。
【0061】
具体的には、傾斜板132と制限板134とは、図5及び図6(A)(B)(C)に示されるように、連結板136によって接続されている。連結板136は、傾斜板132における回転方向の下流端部と、制限板134における回転方向の下流端部とを連結している。すなわち、制限板134は、連結板136を介して、傾斜板132における回転方向の下流端部に接続されており、連結板136が、傾斜板132と制限板134とを接続する接続部をなしている。
【0062】
ヘッド部材131は、さらに、傾斜板132の上端、制限板134の上端及び連結板136の上端に接続された上板138と、傾斜板132における回転方向の上流端部に接続された側板139と、平面視にて上板138に対するアーム部材133側に設けられアーム部材133と連結される連結部137と、を有している。連結部137に形成された通し孔137Aに差し通されたネジ(図示省略)がアーム部材133にねじ止めされることで、ヘッド部材131がアーム部材133に固定されている。
【0063】
傾斜板132は、余剰の接合剤Gを塞き止めると共に、傾斜板132の底面132Aが、回転皿120の接合剤Gの上面に接触することで、該接合剤Gをならして、該接合剤Gの厚さを一定にする機能を有している。傾斜板132の底面132Aと回転皿120の上面との距離(隙間)は、例えば、50μmとされており、半導体素子12の何れの辺の長さよりも短くされている。」
「【0087】
本実施形態では、温調部180のペルチェ素子182が台160を予め定められた温度(例えば18℃)に冷却する(図2参照)。台160が冷却されると、台160に接触する環状軸受170の転動体174を介して回転皿120が冷却される。回転皿120が冷却されることで、接合剤Gが冷却される。」
(2)引用発明の認定
前記(1)の記載から、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明をa~rに分説し、「構成a」のようにして参照する。
「a 粘性剤温調装置であって、(【0001】)
b 粘性剤の温度を短時間で所望の温度に調整できるようにすることを目的とし、(【0005】)
c 半導体素子12を接合するための接合剤Gは、粘性剤の一例であり、(【0020】)
d 接合剤温調装置112は、台160と、温調部180と、回転皿120と、調整部材130と、を有し、(【0035】)
e 台160には、回転皿120の下部128が配置される凹部162が形成され、(【0037】)
f 回転皿120は、溝部124を有し、(【0044】)
g 円環状の溝部124によって、接合剤Gが配置される配置空間が形成され、(【0046】)
h 温調部180は、台160の温度を調整(制御)する機能を有し、(【0050】)
i 温調部180は、台160を予め定められた温度に冷却し、(【0050】)
j 温調部180は、ペルチェ素子182を有し、(【0051】)
k ペルチェ素子182は、台160の下面160Bに接触して配置され、(【0052】)
l ペルチェ素子182の冷却面182Aで台160の下面160Bを冷却して、台160の温度を制御し、(【0053】)
m 転写ピン142は、回転皿120に配置された接合剤Gをプリント配線基板44に転写するようになっており、(【0058】)
n 調整部材130は、接合剤Gの厚さを調整する部材であり、ヘッド部材131を有し、(【0059】)
o ヘッド部材131は、傾斜板132を有し、アーム部材133に固定され(【0060】、【0062】)
p 傾斜板132は、傾斜板132の底面132Aが、回転皿120の接合剤Gの上面に接触することで、該接合剤Gをならして、該接合剤Gの厚さを一定にする機能を有し、(【0063】)
q 温調部180のペルチェ素子182が台160を予め定められた温度に冷却し、台160が冷却されると、回転皿120が冷却され、回転皿120が冷却されることで、接合剤Gが冷却される、(【0087】)
r 粘性剤温調装置。(【0001】)」
2 引用文献1の記載内容
引用文献1の記載は、以下の(1)に示すとおりであり、該記載から以下の(2)に示す技術を認定する。
(1)引用文献1の記載
引用文献1には、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、フラックスや半田等を部品に転写する転写装置に関する発明である。」
「【0016】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
図1に示すように、部品実装機10のセット台11には、転写装置12が着脱可能にセットされている。この転写装置12には、フラックス、半田、導体ペースト、接着剤のいずれかの流動物を溜める金属製(例えば鉄製)の転写槽13と、この転写槽13を載せるターンテーブル14が設けられ、ターンテーブル14がモータ(図示せず)等によって回転駆動されることで、ターンテーブル14と一体的に転写槽13が回転するようになっている。」
「【0021】
また、転写槽13の外周面の近傍には、転写槽13の温度を検出する非接触型の温度センサ26が設けられ、この温度センサ26の出力信号が温度制御装置28(温度制御手段)に入力され、転写槽13の温度を検出することで転写槽13内の流動物の温度を検出するようになっている。温度制御装置28には、転写槽13内の流動物の目標温度(例えば使用する流動物の種類に応じた適正温度範囲内の温度)を設定する操作スイッチや操作パネル等の目標温度設定部27(目標温度設定手段)が設けられている。この温度制御装置28は、温度センサ26で検出した転写槽13の温度(転写槽13内の流動物の温度の情報)と目標温度設定部27で設定した目標温度とに基づいて加熱冷却装置20の熱電素子32に流す電流値を制御して転写槽13の温度を調整することで転写槽13内の流動物の温度を調整する。」
(2)文献1技術の認定
前記(1)の記載から、引用文献1には以下の技術(以下「文献1技術」という。)が記載されていると認められる。
「転写装置12には、フラックス、半田、導体ペースト、接着剤のいずれかの流動物を溜める金属製の転写槽13が設けられ、転写槽13の温度を検出する非接触型の温度センサ26が設けられ、この温度センサ26の出力信号が温度制御装置28(温度制御手段)に入力され、転写槽13の温度を検出することで転写槽13内の流動物の温度を検出するようになっており、この温度制御装置28は、温度センサ26で検出した転写槽13の温度(転写槽13内の流動物の温度の情報)に基づいて転写槽13の温度を調整することで転写槽13内の流動物の温度を調整すること。」
3 引用文献3の記載内容
引用文献3の記載は、以下の(1)に示すとおりであり、該記載から以下の(2)に示す技術を認定する。
(1)引用文献3の記載
引用文献3には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラックス槽の温度制御装置に係り、とくに回路基板の半田ディップ槽による半田ディップの際にそれに先立ってフラックスを塗布するフラクサーに用いて好適なフラックス槽の温度制御装置に関する。」
「【0014】フラックス槽10の側面であって断熱材12が取付けられていない部分に温度制御ユニット15が取付けられている。この温度制御ユニット15はペルチェ素子から構成されている。ペルチェ素子15から成る温度制御ユニットは等価的に図2および図3に示される。そしてこのようなペルチェ素子15のフラックス槽10の壁面と接触する部分とは反対側の部分には放熱板16が取付けられている。しかもこのようなペルチェ素子15と放熱板16とを覆うようにカバー17が取付けられている。
【0015】上記フラックス槽10内のフラックス11の温度を検出するために温度センサ20が設けられている。この温度センサ20はコントローラ21の入力側に接続されるようになっている。そしてコントローラ21によって上記ペルチェ素子から成る温度制御ユニット15に対する電流の切換え制御を行なうようになっている。」
「【0021】このように本実施の形態は、ペルチェ素子15を用いてフラックス槽10内のフラックス11の温度コントロールを行なうようにしたものである。フラックス11はフラックス槽10内に収納されており、しかもフラックス槽10は一般にはステンレス鋼板等の金属板から構成されている。そしてフラックス槽10内のフラックス11の温度を計るために温度センサ20が取付けられている。
【0022】温度センサ20によって測定されたフラックス11の温度は温度コントローラ21に入力される。温度コントローラ21はフラックス11の温度が設定値より高い場合には、ペルチェ素子15のフラックス槽10の壁面に接触している部分が冷却面になるように図5に示すように切換えスイッチ25を切換える。反対にフラックス11の温度が設定値より低い場合には、ペルチェ素子15のフラックス槽10に接触している側の面が発熱面になるように図4に示すように切換えスイッチ25を切換える。」
「【0025】このような温度制御装置をフラックス槽10に備えることにより、従来のように加温用のヒータと冷却用の冷凍サイクルの2種類の温度制御手段を設ける必要がなくなるために、設置場所が少なくて済み、これによってフラックス槽の大きさをコンパクトにすることが可能になる。またこのような温度制御装置はペルチェ素子を用いるものであって、ソリッドステートで加温と冷却とを行なうものであるために、機械的に作動する部分がなく、メインテナンスの必要がなく、動作不良の発生頻度が大幅に少なくなる。また構造が簡潔で可動部分を有しないことから、温度制御装置を安価に構成することが可能になる。」
(2)文献3技術の認定
前記(1)の記載から、引用文献3には以下の技術(以下「文献3技術」という。)が記載されていると認められる。
「フラックス槽の温度制御装置において、フラックス槽10の側面に温度制御ユニット15が取付けられ、この温度制御ユニット15はペルチェ素子から構成されており、フラックス槽10内のフラックス11の温度を検出するために温度センサ20が設けられ、ペルチェ素子15を用いてフラックス槽10内のフラックス11の温度コントロールを行なうようにしたものであり、温度センサ20によって測定されたフラックス11の温度は温度コントローラ21に入力され、温度コントローラ21はフラックス11の温度が設定値より高い場合には、ペルチェ素子15のフラックス槽10の壁面に接触している部分が冷却面になるように切換えスイッチ25を切換え、反対にフラックス11の温度が設定値より低い場合には、ペルチェ素子15のフラックス槽10に接触している側の面が発熱面になるように切換えること。」
4 引用文献4の記載内容
引用文献4の記載は、以下の(1)に示すとおりであり、該記載から以下の(2)に示す技術を認定する。
(1)引用文献4の記載
引用文献4には、以下の記載がある。
「【0021】
以下、本発明に係る研磨テーブルおよび研磨装置の実施形態を図1乃至図6を参照して説明する。図1乃至図6において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係る研磨装置の主要部を示す模式的正面図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル1と、研磨対象物である半導体ウエハ等の基板Wを保持して研磨テーブル1上の研磨パッド2に押圧する研磨ヘッド3と、研磨パッド2上に研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給ノズル5とを備えている。」
「【0024】
次に、本発明に係る研磨テーブル1の構成を図2乃至図6を参照して説明する。
図2は、研磨テーブル1の第1の態様を示す模式的断面図である。図2に示すように、研磨パッド2を支持する研磨テーブル1は、中空のテーブル軸1aに接続されている。テーブル軸1aの周囲を囲むように、研磨テーブルモータ11が設置されている。研磨テーブルモータ11はモータ台12によって支持されている。研磨テーブル1の下面には、複数のペルチェ素子13A,13B,13Cが固定されている。各ペルチェ素子13A,13B,13Cは、導線14を介してロータリコネクタ15の回転側ユニットに接続されている。ロータリコネクタ15は、研磨テーブル1の中空のテーブル軸1aの下端部に設けられている。各導線14は、研磨テーブル1の下面側から中空のテーブル軸1aの内部を通ってロータリコネクタ15の回転側ユニットまで延びている。また、ロータリコネクタ15の固定側ユニットには導線16が接続され、導線16によって電源、信号源等に接続されている。
【0025】
ペルチェ素子13A,13B,13Cは、2種類の金属の接合部に電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するというペルチェ効果を利用した板状の半導体素子であり、直流電流を流すと、一方の面が吸熱し、反対面に発熱が起こる。電流の極性を逆転させると、その関係が反転し高精度の温度制御に適している。図2に示す例においては、研磨テーブル1に接触しているペルチェ素子の上面が吸熱面、下面が放熱面(発熱面)になっており、下面にフィン13fが設けられている。ペルチェ素子に供給する電流の極性を逆転させることにより、ペルチェ素子の上面が放熱面(加熱面)、下面が吸熱面になる。また、研磨テーブル1の下面には、複数の温度センサ17A,17Bが固定されている。各温度センサ17A,17Bは、導線14を介してロータリコネクタ15の回転側ユニットに接続されている。各導線14は、研磨テーブル1の下面側から中空のテーブル軸1aの内部を通ってロータリコネクタ15の回転側ユニットまで延びている。図2において、モータ台12の内側であって、点線で示すラインLより上が回転側、下が固定側である。」
「【0028】
また、研磨テーブル1の下面に接触している温度センサ17A,17Bにより、研磨テーブル1の下面の温度を測定し、温度センサ信号を温調器32に送る。温調器32には、上位のコントローラから目標温度設定信号が入力されている。温調器32は、目標温度設定信号と温度センサ信号とからペルチェ素子13A,13B,13Cへ電源供給をすべきか否かを判断し、ペルチェ素子13A,13B,13Cへの電源供給制御信号をペルチェ電源ドライバ31に送る。このように、温度センサ17A,17Bにより研磨テーブル1の温度を測定しつつペルチェ素子13A,13B,13Cへの電源供給の電圧・電流の正方向・逆方向制御を行うことにより、研磨テーブル1および研磨パッド2の表面(研磨面)2aを所定の温度に制御することができる。また、温調器32からペルチェ電源ドライバ31に各ペルチェ素子毎の電源供給制御信号を送ることにより各ペルチェ素子13A,13B,13Cをそれぞれ個別に温度調節することができる。」
図2
「
[図:0001419253000001.jpg]
」
(2)文献4技術の認定
前記(1)の記載から、引用文献4には以下の技術(以下「文献4技術」という。)が記載されていると認められる。
「研磨パッド2を支持する研磨テーブル1を備えた研磨装置において、研磨テーブル1の下面には、複数のペルチェ素子13A,13B,13Cが固定され、研磨テーブル1に接触しているペルチェ素子の上面が吸熱面、下面が放熱面になっており、研磨テーブル1の下面には、複数の温度センサ17A,17Bが固定され、研磨テーブル1の下面に接触している温度センサ17A,17Bにより、研磨テーブル1の下面の温度を測定すること。」
5 引用文献5の記載内容
引用文献5の記載は、以下の(1)に示すとおりであり、該記載から以下の(2)に示す技術を認定する。
(1)引用文献5の記載
引用文献5には、以下の記載がある。
「【0003】
半導体レーザ素子から発せられるレーザ光の発光強度と波長は半導体レーザ素子の素子温度に依存するため、従来よりペルチェ素子等の温度調節手段を用いて半導体レーザ素子の加熱及び冷却を適宜行い、素子温度を所定の温度域に維持することが行われている(特許文献1参照)。
【0004】
図5に半導体レーザ素子を用いた従来のレーザ式ガス分析装置の光源部20の概略構成を示す。光源部20の筐体部26内の底部には台座部21が設けられており、その上面に半導体レーザ素子22が固定されている。半導体レーザ素子22の下面にはペルチェ素子23及び温度センサ24が接しており、各電子部品は制御部25により制御される。制御部25は各電子部品の駆動回路、CPU、メモリ等を備え、メモリには半導体レーザ素子22が所定波長のレーザ光を効率よく発振することができる温度である設定温度、ペルチェ素子23に流す電流の大きさに対応した加熱制御値及び冷却制御値が記憶されている。筐体部26には窓27が設けられており、半導体レーザ素子22から発せられたレーザ光は窓27から出射し、分析対象のガスに照射される。
【0005】
図6に従来のレーザ式ガス分析装置における半導体レーザ素子22の温度制御処理に関するフローチャートの一例を示す。制御部25はこの図に示す温度制御処理を所定時間毎に繰り返し実行する。この温度制御処理では、まず、温度センサ24により半導体レーザ素子22の素子温度を測定する(ステップS21)。次に、測定された素子温度とメモリに記憶されている設定温度を比較する(ステップS22)。ここで、測定された素子温度の方が高い場合、ペルチェ素子23による加熱動作を弱めるべきか冷却動作を強める(又は開始する)べきかを判断し(ステップS23)、前者であれば加熱制御値を小さくし(ステップS25)、後者であれば冷却制御値を大きくする(ステップS26)。
逆に、測定された素子温度の方が設定温度よりも低い場合には、ペルチェ素子23による加熱動作を強める(又は開始する)べきか冷却動作を弱めるべきかを判断し(ステップS24)、前者であれば加熱制御値を大きくし(ステップS27)、後者であれば冷却制御値を小さくする(ステップS28)。」
図5
「
[図:0001419253000002.jpg]
」
(2)文献5技術の認定
前記(1)の記載から、引用文献5には以下の技術(以下「文献5技術」という。)が記載されていると認められる。
「ペルチェ素子の温度調節手段を用いて半導体レーザ素子の加熱及び冷却を行う際に、半導体レーザ素子22の下面にはペルチェ素子23及び温度センサ24が接しており、温度センサ24により半導体レーザ素子22の素子温度を測定すること。」
6 周知技術の認定
前記2(2)及び3(2)に示した文献1技術及び文献3技術から、次の技術事項は当業者にとって周知技術であったと認められる。
「フラックス、半田、導体ペースト、接着剤等の流動物の温度制御を行う際に、温度センサを用いて温度を検出すること」
第5 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。
1 発明特定事項A及びGについて
引用発明の「接合剤G」は、「粘性剤の一例」(構成c)であるから、本願発明の「ペースト」に相当する。
また、引用発明の「回転皿120」は「溝部124を有し」(構成f)、該「溝部124」は「接合剤Gが配置される」(構成g)から、引用発明の「回転皿120」には「接合剤G」が貯留されるといえる。
そして、「回転皿120に配置された接合剤G」は「プリント配線基板44に転写」(構成m)される。
したがって、引用発明の「回転皿120」は、本願発明の「転写皿」に相当し、本願発明と引用発明とは、「ペーストが貯留された転写皿」を備える点で一致する。
2 発明特定事項B及びGについて
引用発明の「調整部材130」は、「接合剤Gの厚さを調整する部材であり、ヘッド部材131を有」する(構成n)。
また、引用発明の「ヘッド部材131」は、「傾斜板132」を有し(構成o)、「傾斜板132」は、「傾斜板132の底面132Aが、回転皿120の接合剤Gの上面に接触することで、該接合剤Gをならして、該接合剤Gの厚さを一定にする機能を有し」ている(構成p)。ここで、接合剤Gをならすことは、薄膜体を形成するといえ、この形成は、回転皿120内で行われると認められる。
そして、接合剤Gをならす際、「ヘッド部材131」が「アーム部材133に固定され」(構成o)、「回転皿120に配置された接合剤G」(構成m)が回転すると認められるから、「調整部材130」は「接合剤G」に対して、相対移動するといえる。
したがって、引用発明の「調整部材130」は、本願発明の「スキージ」に相当し、本願発明と引用発明とは、「前記転写皿内でペーストに対して相対移動することで前記転写皿の底面にペーストの薄膜体を形成するスキージ」を備える点で一致する。
3 発明特定事項C及びGについて
引用発明では、「温調部180のペルチェ素子182が台160を予め定められた温度に冷却し、台160が冷却されると、回転皿120が冷却され、回転皿120が冷却されることで、接合剤Gが冷却される」(構成q)から、「ペルチェ素子182」は「接合剤G」を冷却するといえる。
また、「接合剤G」は「回転皿120」に貯留される(前記1)。
したがって、引用発明の「ペルチェ素子182」は、本願発明の「冷却手段」に相当し、本願発明と引用発明とは、「前記転写皿内のペーストを冷却する冷却手段」を備える点で一致する。
4 発明特定事項D及びGについて
引用発明の「ペルチェ素子182」は、「台160の下面160Bに接触して配置され」(構成k)る。
また、引用発明の「台160」には、「回転皿120の下部128が配置される凹部162が形成され」(構成e)るから、「台160」は「回転皿120」を保持すると認められる。
したがって、引用発明の「台160」は、本願発明の「転写皿保持部材」に相当し、本願発明と引用発明とは、「前記転写皿を保持するとともに、下面に前記冷却手段が接触して設けられた転写皿保持部材」を備える点で一致する。
5 発明特定事項E及びGについて
引用発明は、「前記転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサ」を備えることは特定されていない。
6 発明特定事項F及びGについて
引用発明の「温調部180」は、「ペルチェ素子182」を有し(構成j)、「ペルチェ素子182の冷却面182Aで台160の下面160Bを冷却して、台160の温度を制御」(構成l)する。ここで、引用発明の「温調部180」は、「台160の温度を調整(制御)する機能を有」(構成h)し、「台160を予め定められた温度に冷却」(構成i)するから、当然、台160の温度に基づいて、該「ペルチェ素子」を制御するための構成を備えていると認められる。そして、該制御するための構成を「コントローラ」と称することは任意である。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記転写皿保持部材の温度に基づいて前記冷却手段を制御するコントローラ」を備える点で一致する。
他方、引用発明は、「前記転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサ」を備えるか否か不明であること(前記5)に付随して、転写皿保持部材の温度について、「前記温度センサによって検出される」ことも特定されていない。
7 発明特定事項Hについて
引用発明において、「転写ピン142は、回転皿120に配置された接合剤Gをプリント配線基板44に転写するようになって」(構成m)いるから、引用発明は「転写ユニット」であるといえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「転写ユニット」である点で一致する。
8 前記1~7によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
〈一致点〉
「ペーストが貯留された転写皿と、
前記転写皿内でペーストに対して相対移動することで前記転写皿の底面にペーストの薄膜体を形成するスキージと、
前記転写皿内のペーストを冷却する冷却手段と、
前記転写皿を保持するとともに、下面に前記冷却手段が接触して設けられた転写皿保持部材と、
前記転写皿保持部材の温度に基づいて前記冷却手段を制御するコントローラと、
を備えた転写ユニット。」
〈相違点〉
本願発明は、「前記転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサ」を備えるのに対して、引用発明は、「前記転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサ」を備えることは特定されていない。
これに付随して、転写皿保持部材の温度について、本願発明は、「前記温度センサによって検出される」のに対して、引用発明は、「前記温度センサによって検出される」ことも特定されていない。
第6 当審の判断
1 相違点についての判断
引用発明は、「粘性剤の温度」を「調整できるようにする」(構成b)ために、「台160の温度を調整(制御)する」(構成h)ものであるから、台160の温度を検出する手段が必要なことは明らかである。
そして、流動物の温度制御を行う際に、温度センサを用いて温度を検出することは周知技術(前記第4、6)であるから、引用発明において、粘性剤の温度を調整する際に、温度センサを用いて温度を検出すること、すなわち、台160の温度を検出する手段として、温度センサを用いることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎず、格別のことではない。
そして、引用発明の「ペルチェ素子182」は、「台160の下面160Bに接触して配置され」(構成k)るところ、文献4技術(前記第4、4(2))及び文献5技術(前記第4、5(2))に例示されるように、温度センサを、ペルチェ素子等の温度調節手段と同じく測定対象物における下面に配置することは慣用手段であるから、該慣用手段を引用発明の台160に採用することも、当業者が適宜設計し得た事項である。
したがって、引用発明において、「前記転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサ」を備えるようにして、転写皿保持部材の温度について「前記温度センサによって検出される」ようにすることで、本願発明のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
2 効果についての判断
本願発明の効果として、ペーストの粘度調節を適切に行うことができ、さらには、ペーストへの異物の混入を防ぐことで、製品の良品率を向上させること(明細書の【0009】、【0067】及び【0072】)が挙げられる。
しかしながら、当該効果は、「エア吹付け手段」を用いないことで得られる効果であると認められる(明細書の【0005】及び【0067】)ところ、引用発明も「エア吹付け手段」を用いないものであるから、引用発明から当業者が予想できた範囲のものであり、格別顕著なものということはできない。
3 請求人の主張についての判断
(1)請求人は、本願発明について、次のア及びイのように主張している。
ア 審判請求書5頁2行~11行
「本願の請求項1に係る発明は、転写皿を保持するとともに、下面に冷却手段が接触して設けられた転写皿保持部材と、転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサと、温度センサによって検出される転写皿保持部材の温度に基づいて冷却手段を制御するコントローラと、を備えている。また、本願の請求項8に係る発明は、上記構成を有する本願の請求項1に係る転写ユニットを備えた部品実装装置である。
したがって本願発明によれば、上述した格別の作用効果が得られるものであるす。特に、本願発明では冷却手段が接触する箇所、すなわち転写皿保持部材の下面を温度センサで直接検出するため、温度管理をより精確に行ってペーストの粘度調整を適切に行うことができるというきわめて有用な作用効果が得られる。」
(上記記載における「上述した格別の作用効果が得られるものであるす。」は、「上述した格別の作用効果が得られるものである。」の誤記と認める。)
イ 審判請求書5頁12行~6頁9行
「これに対し、各引用文献にはそれぞれ上記事項が記載されているが、本願発明が有する上記特徴的構成、すなわち転写皿保持部材の下面に対して冷却手段を接触させるとともに該下面に温度センサを取り付けること、冷却手段が接触する転写皿保持部材の下面の温度を温度センサによって検出し、検出した温度に基づいて冷却手段を制御することについては開示も示唆もなされていない。
より詳しく述べると、審査官殿は引用文献2に開示の台160が本願の転写皿保持部材に相当すると指摘されているが、台160と本願における転写皿保持部材は、接合剤(ペースト)を貯留する回転皿120(転写皿)を保持(下受け)する点で共通する。その一方で、引用文献1には本願の転写皿、引用文献2の回転皿120に相当し得る転写槽13について開示されているものの、この転写槽13を保持(下受け)する部材については一切開示されていない。また、引用文献2の台160と引用文献1の転写槽13は機能、目的、用途が異なるため相当する関係にない。さらに、引用文献1に開示の発明は、転写槽13の温度を温度センサ26で検出しており、引用文献2とは温度の検出対象が異なる。したがって、引用文献1,2を組み合わせて本願発明を想到することは、いわゆる当業者であっても容易ではない。
次に引用文献3に開示の発明も同様に、本願の転写皿保持部材、引用文献2の台160に相当する部材が開示されていない。また、引用文献1に開示の発明は、フラックス槽10に収納されたフラックス11に温度センサ20を浸漬させて温度を計るように構成されており、引用文献2とは温度の検出対象が異なる。したがって、引用文献2,3を組み合わせて本願発明を想到することは、いわゆる当業者であっても容易ではない。
以上説明したように、引用文献1,3には転写皿を保持する転写皿保持部材に相当する部材について開示されていない。したがって、引用文献1-3に基づいて、引用文献2に開示の台160(本願の転写皿保持部材に相当)に温度センサ取り付けて台160の温度を検出するという技術的思想は、いわゆる当業者であっても容易に想到できない。」
(2)前記(1)の請求人の主張について検討する。
ア 前記(1)アの主張について検討すると、以下のとおりである。
(ア)前記(1)アでは、本願発明が「冷却手段が接触する箇所、すなわち転写皿保持部材の下面を温度センサで直接検出するため、温度管理をより精確に行ってペーストの粘度調整を適切に行うことができるというきわめて有用な作用効果が得られる」と主張している。
(イ)前記(ア)の主張のうち、「ペーストの粘度調整を適切に行うことができる」点については、前記2で示したとおり、引用発明から当業者が予想できた範囲のものであり、格別顕著なものということはできない。
したがって、以下では、「転写皿保持部材の下面を温度センサで直接検出するため、温度管理をより精確に行」うことができる旨の効果について検討を行う。
(ウ)明細書の【0009】及び【0072】には、本願発明の効果として、ペーストの粘度調節を適切に行うことができ、製品の良品率を向上させることできる旨が記載されている。
また、明細書の【0067】には、ペーストの粘度調節を適切に行うことができ、さらには、ペーストへの異物の混入を防ぐことで、製品の良品率を向上させることできる旨が記載されている。
しかしながら、これらの段落のいずれにも、「転写皿保持部材の下面を温度センサで直接検出するため、温度管理をより精確に行」うことができることについては記載されていない。
(エ)明細書の【0036】には、ブロック体22の下面側に温度センサ53が取り付けられ、温度センサ53はブロック体22の温度を検出することで、転写皿内のペーストの温度を間接的に検出する旨が記載されている。
しかしながら、「転写皿保持部材の下面を温度センサで直接検出する」ことにより、温度管理をより精確に行」うことができることについては記載されていない。
(オ)前記(ウ)及び(エ)によれば、「転写皿保持部材の下面を温度センサで直接検出するため、温度管理をより精確に行」うことができるという効果は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書から自明な効果でもないと認められる。
(カ)前記(オ)の結論は、明細書のその他の部分を参照しても左右されない。
したがって、前記(1)アにおける請求人の主張は採用できない。
イ 前記(1)イについては、引用発明に対して上記周知技術を適用することに阻害要因を見いだすことはできず、引用発明において、「前記転写皿保持部材の下面に取り付けられた温度センサ」を備えるようにして、転写皿保持部材の温度について、「前記温度センサによって検出される」ようにすることは、前記1に示したとおり、当業者にとって容易になし得ることであり、その効果は前記2のとおり格別のものではないので、請求人の主張は採用できない。
4 以上より、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
前記第6のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-011040