特許拒絶査定不服審判
2024-007272
ショベル
- 審判番号
- 2024-007272
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-558309外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年04月30日
- 審決日
- 2026年01月06日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (E02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-558309「ショベル」拒絶査定不服審判事件〔令和 元年6月13日国際公開、WO2019/112059〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)12月7日(パリ条約による優先権主張 2017年(平成29年)12月7日、日本)を国際出願日とする日本語特許出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和4年 8月25日付け:拒絶理由通知書
同年10月31日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 1月17日付け:拒絶理由通知書
同年 5月25日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月 5日付け:拒絶理由通知書
同年11月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 1月23日付け:拒絶査定
同月30日 :原査定の謄本の送達
同年 4月30日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年 5月16日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」という。)
同年 7月18日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、令和7年7月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されたものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載され、アタッチメントが搭載される上部旋回体と、
目標施工面の向きと前記上部旋回体の向きとに基づいて前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるようにアクチュエータを制御する正対制御を自動的に実行する制御装置と、を備える、
ショベル。」
第3 当審における拒絶の理由
当審拒絶理由は、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特許第5624101号公報
引用文献2:特開2008-106440号公報
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1記載事項
本願の優先日前である平成26年11月12日に発行された特許第5624101号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同じ。)。
「【0001】
本発明は、掘削機械の表示システム及びこれを備えた掘削機械並びに及び掘削機械の表示システムに用いる掘削機械の表示用コンピュータプログラムに関する。」
「【0017】
本実施形態において、掘削機械としての油圧ショベル100は、本体部としての車両本体1と作業機2とを有する。車両本体1は、上部旋回体3と走行装置5とを有する。上部旋回体3は、機関室3EGの内部に、図示しない動力発生装置及び油圧ポンプ等の装置を収容している。機関室3EGは、上部旋回体3の一端側に配置されている。
【0018】
本実施形態において、油圧ショベル100は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関を動力発生装置としているが、油圧ショベル100はこのようなものに限定されない。油圧ショベル100は、例えば、内燃機関と発電電動機と蓄電装置とを組み合わせた、いわゆるハイブリッド方式の動力発生装置を備えるもの等であってもよい。
【0019】
上部旋回体3は、運転室4を有する。運転室4は、上部旋回体3の他端側に載置されている。すなわち、運転室4は、機関室3EGが配置されている側とは反対側に配置されている。運転室4内には、図6に示す、表示入力装置38及び操作装置25が配置される。これらについては後述する。走行装置5は、上部旋回体3を搭載している。走行装置5は、履帯5a、5bを有している。走行装置5は、図示しない油圧モータが駆動し、履帯5a、5bが回転することにより走行して、油圧ショベル100を走行させる。作業機2は、上部旋回体3の運転室4の側方側に取り付けられている。」
「【0022】
作業機2は、ブーム6とアーム7とバケット9とブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とチルトシリンダ13とを有する。・・・」
「【0035】
図6に示すように、油圧ショベル100は、操作装置25と、作業機用電子制御装置26と、作業機制御装置27と、掘削機械の表示システム(以下、適宜表示システムという)101を備える。操作装置25は、作業機操作装置31と、作業機操作検出部32と、走行操作装置33と、走行操作検出部34とを有する。作業機操作装置31は、オペレータが作業機2を操作するための装置であり、例えば、ジョイスティック又は操作レバーである。また、作業機操作部材3 1及び作業機操作検出部32は、2組(図6では1組のみ図示)ある。運転室4内の図示しないオペシートの左右各々に作業機操作部材31が設置されている。例えば右に設置された作業機操作部材31を操作することで、バケット9及びブーム6を動作させることができ、左に設置された作業機操作部材31を操作することで、アーム7及び上部旋回体3を動作させることができる。作業機操作検出部32は、作業機操作装置31の操作内容を検出して、検出信号として作業機用電子制御装置26へ送る。」
「【0037】
図6に示すように、作業機用電子制御装置26は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)の少なくとも一方を含む作業機側記憶部35及びCPU(Central Processing Unit)等の演算部36を有している。作業機用電子制御装置26は、主として作業機2を制御する。作業機用電子制御装置26は、作業機操作装置31の操作に応じて作業機2を動作させるための制御信号を生成して、作業機制御装置27に出力する。作業機制御装置27は比例制御弁37を有しており、作業機用電子制御装置26からの制御信号に基づいて比例制御弁37が制御される。作業機用電子制御装置26からの制御信号に応じた流量の作動油が比例制御弁37から流出し、ブームシリンダ10、アームシリンダ11及びバケットシリンダ12の少なくとも1つに供給される。図1に示すブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12及びチルトシリンダ13は、比例制御弁37から供給された作動油に応じて駆動される。その結果、作業機2が動作する。」
「【0040】
表示制御装置39は、表示システム101の各種の機能を実行する。表示制御装置39は、RAM及びROMの少なくとも一方を含む記憶部43、CPU等の処理部44を有する電子制御装置である。記憶部43は、作業機データを記憶している。作業機データは、上述したブーム6の長さL1、アーム7の長さL2、連結部材8の長さL3及びバケット9の長さL4を含む。バケット9が交換された場合、作業機データとしての連結部材8の長さL3、バケット9の長さL4は、交換されたバケット9の寸法に応じた値が入力部41から入力され記憶部43に記憶される。また、作業機データは、ブーム6の傾斜角度θ1と、アーム7の傾斜角度θ2と、バケット9の傾斜角度θ3とのそれぞれの最小値及び最大値を含む。処理部44は、記憶部43に記憶された本実施形態に係る掘削機械の表示用コンピュータプログラムを読み出して実行することにより、案内画面を表示したり、油圧ショベル100のオペレータにバケット9の操作を案内するための姿勢情報を表示部42に表示させたりする。」
「【0044】
また、複数の設計面45(図8では1つのみに符号を付している)から目標作業対象として選択された目標面70は、他の設計面45と異なる色で表示される。なお、図8の正面図53aでは、油圧ショベル100の現在位置が、油圧ショベル100を背面から見たアイコン61で示されているが、他のシンボルによって示されてもよい。また、正面図53aは、油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報を含んでいる。油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報は、正対コンパス73として表示される。正対コンパス73は、例えば、矢印形状の指針73Iが矢印R方向に回転して、目標面70に対する正対方向と油圧ショベル100を旋回させるべき方向又はバケット9を第3軸AX3に対して傾斜させる方向を案内するための絵柄又はアイコンといった姿勢情報である。姿勢情報とは、バケット9の姿勢に関する情報であり、絵柄、数値又は数字等を含む。なお、油圧ショベル100を目標面70に正対させるために、走行装置5を動作させて油圧ショベル100を移動し目標面70に正対させてもよい。油圧ショベル100のオペレータは、正対コンパス73により、目標面70への正対度を確認することができる。正対コンパス73は、目標面70への正対度に応じて回転し、油圧ショベル100又はバケット9が目標面70と正対すると、例えば、オペレータから見て指針73Iの指示方向が画面42Pの上方に向くようになっている。例えば、図8に示すように指針73Iが三角形形状の場合、三角形の頂点が指している方向が、より上方を示すほど、油圧ショベル100又はバケット9が目標面70に、より正対していることを示す。このため、オペレータは、指針73Iの回転角度に基づいて油圧ショベル100を操作することにより、容易に油圧ショベル100又はバケット9を目標面70に対して正対させることができる。
【0045】
粗掘削画面53の側面図53bは、目標面70とバケット9の刃先9Tとの位置関係を示す画像と、目標面70とバケット9の刃先9Tとの間の距離を示す距離情報とを含む。具体的には、側面図53bは、目標面線79と、側面視による油圧ショベル100のアイコン75とを含む。目標面線79は目標面70の断面を示す。目標面線79は、図7に示すように、バケット9の刃先9Tの現在位置を通る平面77と設計面45との交線80を算出することにより求められる。交線80は、表示制御装置39の処理部44が求める。バケット9の刃先9Tの現在位置を求める方法については後に説明する。」
「【0091】
このようにすることで、油圧ショベル100のオペレータは、指針73Iを目視しながら指針73Iが画面上方に向くようにバケット9又は上部旋回体3等を操作すればよいので、バケット9を目標面70に対して容易に正対させることができる。また、バケット9の傾きの向き(軸AXNに対するバケット9の幅方向中心軸CLbの傾き)と指針73Iが傾く向きとの関係を上述したようにして表示することにより、バケット9が目標面70と正対するように第2軸AX2の中心軸を中心として回動する方向(図16の場合、TILR方向)と、指針73Iの回転方向(図16の場合、R方向)とが一致する。なお、図16の場合、指針73Iの回転方向がL方向になると、バケット9 が目標面70と正対するように第2軸AX2の中心軸を中心として回動する方向は、TILLで示す方向になり、両者は一致する。このため、オペレータは、指針73Iの動作を確認すれば、バケット9を目標面70に正対させる際の操作方向を直感的に把握することができるので、作業効率及び作業の正確度が向上する。なお、バケット9が目標面70に対して正対するとは、バケット9の刃先列91TGが、目標面70と平行になることをいう。より具体的には、刃先列ラインLBTと上述した交線CPLとが平行になることをいう。」
「【0093】
本実施形態において、処理部44は、バケット9の刃先9Tが目標面70に正対する前と、正対した後とで、表示部42の画面42Pに表示する正対コンパス73の表示態様を異ならせる。処理部44は、例えば、刃先9Tが目標面70に正対した場合には、正対コンパス73の色を正対前と異ならせたり、正対コンパス73の濃淡を変えたり、正対コンパス73を点滅させたりする。このようにすることで、油圧ショベル100のオペレータは、バケット9の刃先9Tと目標面70とが正対したことを確実に認識できるので、作業の効率が向上する。また、バケット9の刃先9Tが目標面70に正対した場合、正対コンパス73のデザインの態様を正対前と変えて表示してもよい。例えばバケット9の刃先9Tが目標面70に正対した場合、姿勢情報としての正対コンパス73を、「正対完了」を意味するような文字に変えて表示したり、正対完了を直観できる所定のマークを姿勢情報として表示させたりしてもよい。また、姿勢情報として、正対コンパス73の代わりに又は正対コンパス73とともに、刃先傾斜角度θdに相当する数字を表示部4 2の画面42Pに表示させてもよい。オペレータは、表示された刃先傾斜角度θdの大きさがゼロに近くなるように、油圧ショベル100を操作してバケット9を目標面70に対して正対させることができる。」
「【図1】
[図:0001432543000001.jpg]
」
「【図6】
[図:0001432543000002.jpg]
」
「【図8】
[図:0001432543000003.jpg]
」
(2)引用文献1記載事項から把握できる事項
上記引用文献1記載事項から、次の技術事項を認定できる。
上記(1)【0040】から、「バケット9が交換された場合、・・・交換されたバケット9の寸法に応じた値が入力部41から入力され記憶部43に記憶される」ので、「油圧ショベル100が交換可能なパケット9を搭載」していることが把握できる。
(3)引用発明1
上記(1)の引用文献1記載事項及び上記(2)の認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
[引用発明1]
車両本体1と作業機2とを有し、車両本体1は、上部旋回体3と走行装置5とを有する、掘削機械としての油圧ショベル100において((1)【0017】)、
走行装置5は、上部旋回体3を搭載しており、作業機2は、上部旋回体3の運転室4の側方側に取り付けられており((1)【0019】)、
作業機2は、交換可能なパケット9を有しており((1)【0022】、(2))、
オペレータが、作業機操作部材31を操作すると、作業機用電子制御装置26が制御信号を生成して作業機制御装置27に出力することにより、上部旋回体3を動作させる事ができ((1)【0035】、【0037】)、
油圧ショベル100のオペレータにバケット9の操作を案内するための姿勢情報を表示部42に表示させるにあたり((1)【0040】)、
油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報であって、矢印形状の指針73Iが矢印R方向に回転して、目標面70に対する正対方向と油圧ショベル100を旋回させるべき方向を第3軸AX3に対して傾斜させる方向を案内するための絵柄又はアイコンといった姿勢情報である、正対コンパス73を表示させ((1)【0044】)、
オペレータは、指針73Iの回転角度に基づいて油圧ショベル100を操作することにより、容易に油圧ショベル100を目標面70に対して正対させることができ((1)【0044】)、
処理部44は、バケット9の刃先9Tが目標面70に正対する前と、正対した後とで、表示部42の画面42Pに表示する正対コンパス73の表示態様を異ならせる((1)【0093】)、
掘削機械の表示システム及びこれを備えた掘削機械((1)【0001】。
2 引用文献2
(1)引用文献2記載事項
本願の優先日前である平成20年5月8日に発行された特開2008-106440号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルのフロント制御装置に係り、特に、掘削面での掘削,仕上げ,土羽打ちなどの作業の開始時のフロント作業機の位置合わせのための油圧ショベルのフロント制御装置に関する。」
「【0008】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、フロント作業機で掘削や仕上げ, 土羽打ちなどの作業を行なうに際し、かかる作業の開始時での位置合わせを容易にすることができるようにした油圧ショベルの位置合わせ制御装置を提供することにある。」
「【0025】
即ち、図1において、1~複数の目標作業面を表示する、例えば、液晶モニタのような表示装置10と、複数の目標作業面から掘削などの作業対象とする目標作業面を選択する作業面選択装置11と、目標作業面での作業モードを選択する作業モード選択装置12と、作業開始点へのバケット1c(図2)の位置合わせ制御を行なうフロント位置合わせモードの作業を行なわせるためのフロント位置合わせモード選択スイッチ9と、角度検出器8a~8dが設けられ、これら表示装置10,作業面選択装置11,作業モード選択装置12,フロント位置合わせモード選択スイッチ9及び角度検出器8a~8dの出力情報が制御ユニット7に供給されることにより、油圧アクチュエータ3a~3fの動作を制御して作業を行なうための開始点(目標位置)へのバケット1cの位置合わせ制御を行なうフロント位置合わせ制御装置が構成されている。」
「【0030】
フロント位置合わせモード選択スイッチ9は、操作室13(図2)での操作パネルあるいは操作レバーのグリップ上に設けられたスイッチなどの入力手段であって、これが操作されることにより、フロント位置合わせ制御の開始を制御ユニット7に出力し、フロント位置合わせ制御の開始を制御ユニット7に指示するものである。表示部に表示される目標作業面に関する情報から、作業面選択装置11の操作により、作業対象の目標作業面に関する情報が選択され、作業モード選択装置12によって作業モードが選択された後、フロント位置合わせモード選択スイッチ9が操作されると、油圧ショベル1がこの選択された作業対象の目標作業面を選択された作業モードで作業する。
・・・
【0032】
図3(a)~(c)において、A面は点c,d,h,gを角部とする水平面状の面とし、B面も点a,b,f,eを角部とする水平面状の面とする。これらA,B面間が作業対象とする目標作業面Cであり、点b,c,g,fを角部とする傾斜面に掘削するものとする。この目標作業面CのB面側の境界線が角部bから角部fまでの線(以下、境界線b-fという)であり、A面側の境界線が角部cから角部gまでの線(以下、境界線c-gという)である。
【0033】
目標作業面Cに対する作業モードとして、上記のように、掘削モードと仕上げモードと土羽打ちモードとがあるが、いずれの作業モードにおいても、その作業開始するときには、油圧ショベル1のバケット1cの先端がこの目標作業面Cの作業を開始する位置に位置合わせされる。このバケット1cの先端が位置合わせされる位置は、目標作業面Cの上記の境界線b-f、あるいは境界線c-gである。以下、かかる位置を目標位置という。この目標位置は作業を開始する境界線b-f、あるいは境界線c-g上に設定される。
【0034】
この実施形態は、表示部10で目標作業面Cを選択し、作業モード選択装置12でこの目標作業面Cでの作業モードを選択して、フロント位置合わせモード選択スイッチ9を操作すると、この目標作業面Cに関する情報をもとに、制御ユニット7が流量制御弁5a~5fを制御することにより、油圧アクチュエータ3a~3fを制御し、ブーム1aやアーム1b,バケット1cなどのフロント作業機1Aを動作させて、バケット1cの先端をこの目標作業面C の作業を開始する境界線b-f、もしくは境界線c-g上の目標位置に移動させるものである。この場合、選択された作業モードに応じて、この目標位置でのバケット1cの姿勢も設定される。」
「【0036】
図4(a)は目標作業面Cよりも高いB面上に油圧ショベル1があって、下向きに傾斜した目標作業面Cを掘削する場合を示すものであって、かかる状態で掘削モード選択ボタン12aで掘削モードが選択されたときのフロント位置合わせ制御では、バケット1cの先端部(爪先)の目標位置がA面側の境界線c-g上に設定される。この目標作業面Cの掘削作業は、バケット1cがこの目標位置から矢印方向に掘削開始することによって行なわれる。
・・・
【0038】
図4(a)の場合、バケット1cの複数の爪先の先端を結ぶ直線が境界線c-gと一致するように、また、図4(b)の場合、バケット1cの複数の爪先の先端を結ぶ直線が境界線b-fと一致するように、夫々バケット1cの向きが設定されるが、これは上部旋回体1を回動させることにより、なされるものである。
【0039】
なお、掘削モードでのフロント位置合わせ制御では、目標位置のみが制御対象となり、バケット1cの姿勢は制御の対象外となる。」
「【0051】
図7において、フロント位置合わせ制御動作を行なわせる場合には、作業面選択装置11を操作して表示部10に表示される作業対象とする目標作業面C(図3)を選択し、作業モード選択装置12を操作して作業モードを選択する。フロント位置合わせ制御動作ではなく、通常の作業を行なわせる場合には、これらの操作は行なわれない。
【0052】
これらいずれの状態においても、操作レバー装置4a~4fが操作されると、それらの操作に応じた操作信号が制御ユニット7に供給される(ステップ100)。」
「【0054】
作業面選択装置11や作業モード選択装置12の操作が行なわれており、フロント位置合わせモード選択スイッチ9が操作されている場合には(ステップ110の“Yes”)、ブーム角度検出器8aの検出出力(ブーム1aの現状の回動角)やアーム角度検出器8bの検出出力(アーム1bの現状の回動角),バケット角度検出器8cの検出出力(バケット1cの現状の回動角)や上部旋回体角度検出器8dの検出出力(上部旋回体1dの現状の回動角)が制御ユニット7に取り込まれ、これらブーム1a,アーム1b,バケット1c及び上部旋回体1dの現状の状態(回動角)が検出される(ステップ120)。」
「【0058】
以上のように、各選択装置11,12からの上記の情報を取り込んだ(ステップ130)後、制御ユニット7は、これら情報を基に、作業モード選択装置12で選択された作業モードでバケット1cの爪先もしくは奥側先端が目標位置に設定されるときのブーム1a,アーム1b及びバケット1cからなるフロント作業機1Aの全体的な姿勢や上部旋回体1dの向きを演算して求め(ステップ140)、かかる姿勢や向きを取るためのブーム1aやアーム1b,バケット1c,上部旋回体1d(以下、これらを回動部材という)の目標角度を演算して求る(ステップ150)。
【0059】
ここで、選択された作業モードが作業モード選択装置12で掘削仕上げモード選択ボタン12bが操作されて掘削モードであるときには、フロント作業機1Aの姿勢は、図4(a)または(b)に示すように、バケット1cの爪先が境界線c-g上または境界線b-f上の目標位置にあるときの姿勢である。また、選択された作業モードが作業モード選択装置12で仕上げモード選択ボタン12bが操作されて第1の仕上げモードであるときには、フロント作業機1Aの姿勢は、図5(a)の(イ)または(ロ)に示すように、バケット1cの爪先が境界線b-f上または境界線c-g上の目標位置にあるときの姿勢であり、作業モード選択装置12で仕上げモード選択ボタン12cが操作されて第2の仕上げモードであるときには、フロント作業機1Aの姿勢は、図5(b)の(イ)または(ロ)に示すように、バケット1cの奥側先端が境界線c-g上または境界線b-f上の目標位置にあるときの姿勢である。さらに、作業モード選択装置12で土羽打ちモード選択ボタン12dが操作されて土羽打ちモードであるときには、フロント作業機1Aの姿勢は、図6(a),(b)に示すように、バケット1cの奥側先端が境界線c-g上または境界線b-f上の目標位置にあるときの姿勢である。
【0060】
以下では、これらブーム1aやアーム1b,バケット1c,上部旋回体1d,走行モータ14a,14bを回動部材という。
【0061】
そして、ステップ100で入力された操作レバー装置4a~4fからの操作信号による回動部材の回動角を求めて、これら回動部材毎に、その角度が夫々の目標角度に近づくか否かを判定する(ステップ160)。
【0062】
これら回動部材のうちで、操作信号による回動により、その角度が目標位置から遠ざかる回動部材があれば(ステップ160の“No”)、この回動部材に対しては、入力された操作信号を零として(ステップ190)、作動させず(ステップ200)、ステップ100に戻る。
【0063】
操作信号による回動により、その角度が目標位置から近づく回動部材に対しては(ステップ160の“Yes”)、その回動部材の角度が回動速度の減速領域に入ったか否かを判定し(ステップ170)、減速領域に入っていなければ(ステップ170の“No”)、ステップ100で入力された操作信号に応じて該当する回動部材を回動させ(ステップ200)、減速領域に入っていなければ(ステップ170の“Yes”)、ステップ100で入力された操作信号に応じて回動角に減速係数α(<1)を乗算して実際の回動角を低減する減速制御を行ない(ステップ180)、低減した回動角だけ回動させる(ステップ200)。
【0064】
ここで、ステップ170での減速領域とは、現在の角度と目標角度の関係がある一定の値以下になった領域をいう。このような領域では、操作レバー装置4a~4fのいずれか、例えば、ブーム操作レバー装置4aで最大の操作がなされて、最大のブーム操作信号が制御ユニット7に出力された場合、これでブーム1aが回動されると、その角度がその目標角度を超えてしまう状態になる。これを防止するために、減速領域に入った回動部材に対しては、減速制御を行なうものである。この減速制御は、減速領域内でこの回動部材の現在の角度と目標角度との差が小さくなるほど、減衰係数αを小さくしていき、回動角を小さくし、現在の角度と目標角度とが等しくなると、あるいはほとんど等しくなると、減衰係数を零にする。
【0065】
以上のようにして、フロント位置合わせ制御が行なわれて、各回動部材が、その角度がそれらの該当する目標角度となるように、夫々の操作レバー装置4a~4fの操作に応じて回動し、それらの回動が減速領域に入ると、その回動角が順次低減されていって徐々に目標角度に近づくことになり、角度が目標角度になると、停止することになる。」
「【0072】
上記実施形態では、フロント位置合わせモード選択スイッチ9 が押されて、かつ操作レバー装置4a~4fのいずれかが操作された場合にのみ、フロント位置合わせ制御の処理動作が行なわれるものとしたが、フロント位置合わせモード選択スイッチ9が押されている期間に自動的にバケット1cが目標位置に設定される姿勢になるように、フロント位置合わせ制御が行なわれるようにしてもよい。」
「【図2】
[図:0001432543000004.jpg]
」
「【図3】
[図:0001432543000005.jpg]
」
「【図7】
[図:0001432543000006.jpg]
」
(2)引用文献2技術事項
上記(1)の引用文献2記載事項から、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されている。
[引用文献2技術事項]
目標作業面での作業モードを選択する作業モード選択装置12と、作業開始点へのバケット1cの位置合わせ制御を行なうフロント位置合わせモードの作業を行なわせるためのフロント位置合わせモード選択スイッチ9と、角度検出器8a~8dが設けられ、フロント位置合わせモード選択スイッチ9及び角度検出器8a~8dの出力情報が制御ユニット7に供給されることにより、油圧アクチュエータ3a~3fの動作を制御して作業を行なうための開始点へのバケット1cの位置合わせ制御を行なうフロント位置合わせ制御装置が構成されており((1)【0025】)、
フロント位置合わせモード選択スイッチ9が押されている期間に自動的にバケット1cが目標位置に設定される姿勢になるように、フロント位置合わせ制御の開始を制御ユニット7に指示し、フロント位置合わせ制御が行なわれ((1)【0030】、【0072】)、
バケット1cの先端が位置合わせされる位置が、目標作業面Cの境界線b-f、あるいは境界線c-gに目標位置として設定され((1)【0033】)、
フロント位置合わせモード選択スイッチ9を操作すると、この目標作業面Cに関する情報をもとに、バケット1cの先端をこの目標作業面Cの作業を開始する境界線b-f、もしくは境界線c-g上の目標位置に移動させ((1)【0034】)、
バケット1cの複数の爪先の先端を結ぶ直線を境界線c-g又は境界線b-fと一致するように、夫々バケット1cの向きが、上部旋回体1を回動させることにより設定され((1)【0038】)、
かかる姿勢や向きを取るための上部旋回体1dの目標角度を演算して求めている((1)【0058】)、
掘削面での掘削,仕上げ,土羽打ちなどの作業の開始時のフロント作業機の位置合わせのための油圧ショベルのフロント制御装置((1)【0001】)
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明1を対比する。
ア 引用発明1の「走行装置5」、「上部旋回体3」及び「目標面70」は、各々本願発明の「下部走行体」、「上部旋回体」及び「目標施工面」に相当する。
イ 引用発明1の「油圧ショベル100」と「掘削機械」は、後記する相違点をのぞき、ともに本願発明の「ショベル」に相当する。
ウ 引用発明1の「上部旋回体3」は、走行装置5に搭載され、かつ、オペレータが、作業機操作部材31を操作して動作させることができるものなので、走行装置5に旋回可能に搭載されているものと把握できる。また、引用発明1の「ショベル100」が搭載する「パケット9」は交換可能な状態で、上部旋回体3に取り付けられた作業機2が有しているものなので、本願発明の「アタッチメント」に相当する。すると、本願発明の「上部旋回体」と引用発明1の「上部旋回体3」は、「前記下部走行体に旋回可能に搭載され、アタッチメントが搭載される」ものである点で一致する。
エ 引用発明1の「油圧ショベル100」の「表示部42」は、矢印形状の指針73Iが矢印R方向に回転して、目標面70に対する正対方向と油圧ショベル100を旋回させるべき方向を第3軸AX3に対して傾斜させる方向を案内するための絵柄又はアイコンといった姿勢情報である正対コンパス73を表示している。そして、オペレータが指針73Iの回転角度に基づいて油圧ショベル100を操作することにより容易に油圧ショベル100を目標面70に対して正対させることができ、オペレータは、作業機操作部材31を操作すると、作業機用電子制御装置26は、制御信号を生成して、作業機制御装置27に出力することで、上部旋回体3を動作させる。すると、引用発明1の「作業機制御装置27」は、油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるために上部旋回体3を動作させる制御装置といえる。ここで、油圧ショベル100が、上部旋回体3を旋回動作するために制御されるアクチュエータを有していることは自明である。さらに、「オペレータ」が表示された「正対コンパス73」の「指針73Iに基づいて油圧ショベル100を操作することにより」「油圧ショベル100を目標面70に対して正対させ」ていることからすると、オペレータが作業中に指針73Iに基づいて作業しており、掘削作業中に油圧ショベル100を目標面70に対して正対する状態を維持することが好ましいことは明らかなので、「オペレータ」が「前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるように」「作業機操作部材31を操作する」ことにより「作業機制御装置27」が「上部旋回体3」を制御をしていることも自明である。
したがって、本願発明の「制御装置」と引用発明1の「作業機制御装置27」は、「目標施工面の向きと前記上部旋回体の向きとに基づいて前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるようにアクチュエータを制御する正対制御を実行」する「制御装置」である点で一致する。
オ 引用発明1の「油圧ショベル100」は、「上部旋回体3」と「作業機制御装置27」を含むので、上記ウ及びエを踏まえると、本願発明の「ショベル」と同じく「上部旋回体」と「制御装置」を備えている。
(2)すると、本願発明と引用発明1は、
[一致点]
「下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載され、アタッチメントが搭載される上部旋回体と、
目標施工面の向きと前記上部旋回体の向きとに基づいて前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるようにアクチュエータを制御する正対制御を実行する制御装置と、を備える、
ショベル。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明の「制御装置」は「目標施工面の向きと前記上部旋回体の向きとに基づいて前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるようにアクチュエータを制御する正対制御を自動的に実行する」ものであるのに対し、引用発明1の「作業機制御装置27」は、「オペレータ」が、「指針73Iの回転角度に基づいて」「作業機操作部材31を操作」して「作業機用電子制御装置26が制御信号を生成して作業機制御装置27に出力することにより、上部旋回体3を動作させ」ることにより「油圧ショベル100」を「目標面70に対して正対させる」ものではあるものの、「正対制御を自動的に実行する」ものとはいえない点。
2 相違点に関する判断
上記引用文献2技術事項のとおり、
掘削面での掘削,仕上げ,土羽打ちなどの作業の開始時のフロント作業機の位置合わせのために、フロント位置合わせモード選択スイッチ9が押されている期間に自動的にバケット1cが目標位置に設定される姿勢になるように、フロント位置合わせ制御の開始を制御ユニット7に指示し、フロント位置合わせ制御が行なわれて、上部旋回体1を回動させる油圧ショベルのフロント制御装置、
が公知である。
ここで、本願発明の「正対制御」の技術的意味を確認すると、【0052】に「・・・上部旋回体3を目標施工面に正対させる制御を「正対制御」と称する。正対制御では、マシンガイダンス装置50は、バケット6の爪先の左端の座標点と目標施工面との間の鉛直距離である左端鉛直距離と、バケット6の爪先の右端の座標点と目標施工面との間の鉛直距離である右端鉛直距離とが等しくなった場合に、ショベル100が目標施工面に正対していると判断する」との記載があるので、本願発明の「正対制御」は、バケット6のツメ先の左右の端と目標施工面が等距離になるように上部旋回体3を目標施工面に正対させる制御を意味している。すると、引用文献2技術事項の「バケット1cの複数の爪先の先端を結ぶ直線を境界線c-g又は境界線b-fと一致するように、夫々バケット1cの向きが、上部旋回体1を回動させる」制御は、バケット1cの爪先の両端と境界線c-g又は境界線b-fとの鉛直距離が等距離といえるので、本願発明の「正対制御」を充足する。
そして、引用文献2技術事項が、作業の開始時のフロント作業機の位置合わせのための技術であるとしても、フロント位置合わせ制御を自動的に実行する技術であり、バケットを掘削作業面に対する目標位置に設定して掘削作業を行う技術である点で引用発明1と目的及び機能が共通する。また、マニュアル作業を自動化することは、機械分野においては一般的な課題であるから、両者の課題も共通するといえる。よって、引用発明1におけるオペレータによる作業に代えて引用文献2技術事項のフロント位置合わせ制御技術を採用して本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
3 小括
本願発明は、引用発明1及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 令和7年7月18日に提出された意見書について
1 審判請求人の主張
審判請求人は、令和7年7月18日に意見書を提出して、特に(4-2)において、概略以下のとおり主張している。
[主張1]
本願の請求項1に係る発明は、「目標施工面の向きと前記上部旋回体の向きとに基づいて前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるようにアクチュエータを制御する正対制御を自動的に実行する制御装置」を特徴としています。
この特徴により、本願の請求項1に係る発明は、「ショベル100を目標施工面に正対させる際にショベル100の操作者が感じる煩わしさを低減できる」といった効果をもたらします。
これに対し、引用文献1及び2はいずれも、本願の請求項1に係る発明における上述の特徴を開示も示唆もしていません。
[主張2]
引用文献2は、フロント位置合わせ制御が行われている限り、バケット1cが目標位置から遠ざかる動きが行われる場合、操作信号が零になる構成を開示するのみであり(段落[0062]参照)、すなわち、バケット1cが目標位置にある状態が維持されるように操作レバー装置4a~4fによる操作を無効にする(アクチュエータを制御できないようにする)構成を開示するのみであり、バケット1cが目標位置にある状態が維持されるようにアクチュエータを制御する構成を開示しておらず、本願の請求項1における「前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるようにアクチュエータを制御する正対制御」を示唆することもありません。
2 審判請求人の主張に対する検討
(1)主張1について
上記第5の2で検討したとおり、引用発明1におけるオペレータによる作業に代えて引用文献2技術事項のフロント位置合わせ制御技術を採用して本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、引用発明1及び引用文献2技術事項のいずれも上部旋回体の掘削面に対する角度合わせ制御を容易にする技術であるから、本願発明の「前記上部旋回体が前記目標施工面に正対している状態が維持されるようにアクチュエータを制御する正対制御を自動的に実行する」との効果も、引用文献1及び引用文献2の記載から当業者が予測できる程度のものにすぎない。
したがって、審判請求人の上記主張1は採用できない。
(2)主張2について
ア 引用文献2技術事項では「フロント位置合わせモード」における上部旋回体1の回動制御を引用しており、審判請求人が主張2の根拠にしている引用文献2の【0062】は「掘削モード」(【0059】)に関する記載であって、審判請求人の主張2は、引用文献2技術事項と異なるモードの記載に基づく主張である。そして、引用文献2技術事項における「フロント位置合わせモード」では、「目標作業面Cに関する情報をもとに」「上部旋回体1dの目標角度を演算して求めて」「上部旋回体1を回動させ」ているから、上記第5の2で検討したとおり、引用発明1の制御に対して引用文献2技術事項の「フロント位置合わせモード」におけるフロント位置合わせ制御を採用することにより本願発明の正対制御を行うことは当業者が容易に想到し得る。よって、審判請求人の主張2は採用できない。
イ なお、「掘削モード」である図4記載のフローチャートについて検討したとしても、「掘削モード」において、「回動部材のうちで、操作信号による回動により、その角度が目標位置から遠ざかる回動部材があれば(ステップ160の“No”)、この回動部材に対しては、入力された操作信号を零として(ステップ190)、作動させず」(【0062】)、「操作信号による回動により、その角度が目標位置から近づく回動部材に対しては(ステップ160の“Yes”)、その回動部材の角度が回動速度の減速領域に入ったか否かを判定し(ステップ170)、減速領域に入っていなければ(ステップ170の“No”)、ステップ100で入力された操作信号に応じて該当する回動部材を回動させ(ステップ200)、減速領域に入っていなければ(ステップ170の“Yes”)、ステップ100で入力された操作信号に応じて回動角に減速係数α(<1)を乗算して実際の回動角を低減する減速制御を行ない(ステップ180)、低減した回動角だけ回動させる(ステップ200)」(【0063】)ことによって、「フロント位置合わせ制御が行なわれて、各回動部材が、その角度がそれらの該当する目標角度となるように、夫々の操作レバー装置4a~4fの操作に応じて回動し、・・・徐々に目標角度に近づくことになり、角度が目標角度になると、停止することになる」(【0065】)ので、結果として「上部旋回体1」が目標角度に維持するように自動的に制御されることになる。よって、依然として、引用文献2の記載に基づいて相違点に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得る。
この点からみても審判請求人の主張2は採用できない。
第7 むすび
上記のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-007272