特許拒絶査定不服審判
2024-009411
ショベル、ショベルの制御装置
- 審判番号
- 2024-009411
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-556187
- 請求日
- 2024年06月05日
- 審決日
- 2026年05月26日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】住友建機株式会社
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 殿川 雅也
- 審判官 門 良成
- 分類
- P18 .121-Z (E02F) / P18 .575-Z (E02F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-556187「ショベル、ショベルの制御装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年5月22日国際公開、WO2020/101007、令和3年9月30日国内公表、再表2020/101007〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)11月14日(優先権主張 2018年(平成30年)11月14日 (JP)日本)を国際出願日とする日本語特許出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和5年 4月28日付け:拒絶理由通知書
同年 7月18日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月 6日付け:拒絶理由通知書
同年12月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 2月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 3月 5日 :原査定の謄本の送達
同年 6月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
また、2018年(平成30年)11月14日を、以下「優先日」という。
第2 令和6年6月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月5日に提出された手続補正書による補正を却下する。
[理由]
1 本件補正
令和6年6月5日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の、すなわち、令和5年12月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし10へと補正するものである(下線は補正箇所を示すため当審において付した。)。
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記上部旋回体に設けられ、所定の外部装置から所定の指令を受信すると、トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、又は、ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記制御を制限し、前記安定度が前記所定基準より下回っている場合、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する、
ショベル。
【請求項2】
前記制御装置は、前記安定度が前記所定基準より下回っている場合、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御し、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなった場合、前記制御の制限を解除する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
空間認識装置により前記トレーラを認識する、又は、外部からの信号により前記トレーラを認識する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記制御装置は、自身の制御下で前記下部走行体が自動走行している場合に、前記安定度を評価し、前記安定度が前記所定基準を下回ったと判定する場合に、当該ショベルが不安定状態であることを示す注意喚起情報を出力する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項5】
前記制御装置は、前記トレーラが当該ショベルの後方にあるときに、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面までの間に障害物が存在するか否かを判定し、当該ショベルが前記トレーラの上面に乗っているときに、当該ショベルの位置から前記トレーラの後方までの間に障害物が存在するか否かを判定する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項6】
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路に関する所定条件が成立しているか否かを判定する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路を前記外部装置の表示部に表示させるための指令を前記外部装置に送信する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項8】
前記制御装置は、前記所定の指令が受信された後の当該ショベルの動作状況を予め区分される複数のステップごとに前記外部装置の表示部に表示させるための指令を前記外部装置に送信する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項9】
前記下部走行体を駆動する走行アクチュエータ及び前記上部旋回体を駆動する旋回アクチュエータを含む、複数のアクチュエータと、
ショベルの周囲の様子を認識する空間認識装置を備え、
前記制御装置は、前記アクチュエータの動作開始前において、前記空間認識装置の取得情報に基づきショベルから所定範囲内に人が存在すると判断された場合に、前記アクチュエータを動作不能とする、
請求項1に記載のショベル。
【請求項10】
前記下部走行体を駆動する走行アクチュエータ及び前記上部旋回体を駆動する旋回アクチュエータを含む、複数のアクチュエータと、
ショベルの周囲の様子を認識する空間認識装置と、を備え、
前記制御装置は、前記アクチュエータの動作開始前において、前記空間認識装置の取得情報に基づきショベルから所定範囲内に人が存在すると判断されると、前記所定の信号が受信されても前記アクチュエータを駆動させない、
請求項1に記載のショベル。
【請求項11】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、を備えるショベルの制御装置であって、
所定の外部装置から所定の指令を受信すると、トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる制御を行い、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、又は、ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記制御を制限し、前記安定度が前記所定基準より下回っている場合、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する、
ショベルの制御装置。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記上部旋回体に設けられ、所定の外部装置から所定の指令を受信すると、トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる第1の制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記第1の制御を制限し、前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する、又は、ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記第1の制御を制限すると共に、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する第2の制御を行い、前記安定度が前記所定基準より下回っている状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する、
ショベル。
【請求項2】
空間認識装置により前記トレーラを認識する、又は、外部からの信号により前記トレーラを認識する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記制御装置は、自身の制御下で前記下部走行体が自動走行している場合に、前記安定度を評価し、前記安定度が前記所定基準を下回ったと判定する場合に、当該ショベルが不安定状態であることを示す注意喚起情報を出力する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記制御装置は、前記トレーラが当該ショベルの後方にあるときに、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面までの間に障害物が存在するか否かを判定し、当該ショベルが前記トレーラの上面に乗っているときに、当該ショベルの位置から前記トレーラの後方までの間に障害物が存在するか否かを判定する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項5】
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路に関する所定条件が成立しているか否かを判定する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項6】
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路を前記外部装置の表示部に表示させるための指令を前記外部装置に送信する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
前記制御装置は、前記所定の指令が受信された後の当該ショベルの動作状況を予め区分される複数のステップごとに前記外部装置の表示部に表示させるための指令を前記外部装置に送信する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項8】
前記下部走行体を駆動する走行アクチュエータ及び前記上部旋回体を駆動する旋回アクチュエータを含む、複数のアクチュエータと、
ショベルの周囲の様子を認識する空間認識装置を備え、
前記制御装置は、前記アクチュエータの動作開始前において、前記空間認識装置の取得情報に基づきショベルから所定範囲内に人が存在すると判断された場合に、前記アクチュエータを動作不能とする、
請求項1に記載のショベル。
【請求項9】
前記下部走行体を駆動する走行アクチュエータ及び前記上部旋回体を駆動する旋回アクチュエータを含む、複数のアクチュエータと、
ショベルの周囲の様子を認識する空間認識装置と、を備え、
前記制御装置は、前記アクチュエータの動作開始前において、前記空間認識装置の取得情報に基づきショベルから所定範囲内に人が存在すると判断されると、前記所定の信号が受信されても前記アクチュエータを駆動させない、
請求項1に記載のショベル。
【請求項10】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、を備えるショベルについて、所定の外部装置から所定の指令を受信すると、トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる第1の制御を行う、ショベルの制御装置であって、
当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記第1の制御を制限し、前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する、又は、ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記第1の制御を制限すると共に、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する第2の制御を行い、前記安定度が前記所定基準より下回っている状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する、
ショベルの制御装置。」
2 補正の適否
(1)請求項1に係る補正事項
ア 本件補正のうち、請求項1に係る補正事項(以下「補正事項1」という。)は、以下の事項からなる。
(ア)本件補正前の請求項1の「前記下部走行体を走行させる制御」について、この「制御」を、本件補正後の請求項1では「第1の制御」と称することにしたとともに、「当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合」に、本件補正前の請求項1では「前記制御を制限」していたところを、本件補正後の請求項1では、さらに、「前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」制御を付加することにより、「前記下部走行体を走行させる制御」の制御内容を限定した補正。以下、この補正を「補正事項1-1」という。
(イ)本件補正前の請求項1の「前記下部走行体を走行させる制御」における「制御」及び「前記アタッチメントを制御する」における「制御」を、本件補正後の請求項1では各々「第1の制御」及び「第2の制御」と称することにしたとともに、「ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合」に、本件補正前の請求項1では「前記制御を制限」して「前記安定度が前記所定基準より下回っている場合、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御」していたのを、本件補正後の請求項1では、さらに、「前記安定度が前記所定基準より下回っている状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」制御を付加することにより、「前記下部走行体を走行させる制御」の制御内容を限定した補正。以下、この補正を「補正事項1-2」という。
イ 補正事項1の補正目的
(ア)補正事項1のうち補正事項1-1は、上記ア(ア)のとおり、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記下部走行体を走行させる制御」について、「前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」制御を付加して限定的に減縮する補正であって、ショベルの制御に係る技術分野を変更するものではなく、「操作者がショベルのキャビンに乗車することなくトレーラへの積み込み作業や積み下ろし作業を行うことが可能な技術を提供する」(本願の願書に最初に添付した明細島の【0006】を参照。)との解決しようとする課題を変更するものにもあたらないから、補正事項1-1は、全体として特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ)補正事項1のうち補正事項1-2は、上記ア(イ)のとおり、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記下部走行体を走行させる制御」について、「前記安定度が前記所定基準より下回っている状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」制御を付加して限定的に減縮する補正であって、ショベルの制御に係る技術分野を変更するものではなく、「操作者がショベルのキャビンに乗車することなくトレーラへの積み込み作業や積み下ろし作業を行うことが可能な技術を提供する」(本願の願書に最初に添付した明細島の【0006】を参照。)との解決しようとする課題を変更するものにもあたらないから、補正事項1-2は、全体として特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ 補正事項1が、当初明細書等の記載内でされた補正であること
補正事項1が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下、各々を「当初明細書」、「当初特許請求の範囲」、及び「当初図面」といい、これらをまとめて「当初明細書等」という。)の記載内の事項であるかを検討する。
(ア)補正事項1のうち、補正事項1-1は、当初明細書の【0198】に「また、走行制御部302Aは、後述する監視部303により、ショベル100の位置からトレーラの上面(荷台)の所定の積み込み目標位置までの走行経路に関する所定条件(以下、「積み込み走行経路条件」)が成立していないと判定された場合、走行経路の安全性が確保されていないため、自動積み込み制御を中止してよい。」、及び、【0199】に「尚、自動積み込み制御の中止には、一時的な停止が含まれ、阻害要因が取り除かれたことが判断された場合、再開されてもよい。後述する自動積み下ろし制御の中止についても同様である。」と記載されていることから導かれる事項であって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でされた補正である。
(イ)補正事項1のうち、補正事項1-2は、当初明細書の【0198】に「また、走行制御部302Aは、後述する監視部303によりショベル100の姿勢に関する安定度(以下、「姿勢安定度」)が所定基準を下回っている判定された場合、ショベル100の転倒等の可能性があるため、自動積み込み制御を中止してよい。但し、走行制御部302Aは、例えば、アタッチメントATの姿勢に起因してショベル100の姿勢安定度が所定基準を下回っている場合・・・(中略)・・・アタッチメントAT(ブーム4、アーム5、及びバケット6)を自動制御し、ショベル100の姿勢安定度が所定基準より高くなるようにしてもよく、この場合、自動積み込み制御を継続してよい。」、及び、【0199】に「尚、自動積み込み制御の中止には、一時的な停止が含まれ、阻害要因が取り除かれたことが判断された場合、再開されてもよい。後述する自動積み下ろし制御の中止についても同様である。」と記載されていることから導かれる事項であって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でされた補正である。
(ウ)したがって、補正事項1-1及び補正事項1-2からなる補正事項1は、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
本件補正前の請求項1に係る補正、すなわち、補正事項1が、上記イのとおり、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当することから、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。
(2)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)の請求項1に記載したとおりのものである。
(3)引用文献
ア 引用文献1
(ア)引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の優先日前に発行された、米国特許出願公開第2017/0247033号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当審において付した。以下同じ。)。
「[0001] The present disclosure generally relates to a system for controlling operation of a machine. More particularly, the present disclosure relates to a perception system for an autonomous machine.」
(当審訳:[0001] 本開示は、概して、機械の動作を制御するためのシステムに関する。より詳細には、本開示は、自律機械のための知覚システムに関する。)
「[0002] Heavy industrial mobile machinery used in applications such as, but not limited to, construction, mining, agriculture, and forestry are typically transported to a work-site using transportation vehicles such as trucks, haulers, and trailers.」
(当審訳:[0002] 建設、採鉱、農業、および林業などであるがこれらに限定されない用途で使用される重い産業用移動機械は、典型的には、トラック、運搬車、およびトレーラなどの輸送車両を使用して作業現場に輸送される。)
「[0025] Although the exemplary machine 100 is embodied as a drill in the illustrated embodiment of FIG.1, it will be appreciated that the other types of machines such as, for e.g., but not limited to, shovels, diggers, buckets, hydraulic excavators, motor graders, and the like can be optionally used in lieu of the drill disclosed herein to implement the embodiments of the present disclosure. Moreover, for purposes of the present disclosure, the machine 100 may be regarded as an autonomous machine. However, in alternative embodiments of the present disclosure, the machine 100 can optionally be embodied in the form of a manually-operated machine, or a machine that is operable in both manual and autonomous mode for e.g., a semi-autonomous mode.」
(当審訳:[0025] 例示的な機械100は、図1に示す実施形態ではドリルとして具現化されているが、本開示の実施形態を実施するために、本明細書に開示するドリルの代わりに、例えば、限定するものではないが、ショベル、掘削機、バケット、油圧掘削機、モータグレーダなどの他のタイプの機械を任意選択的に使用できることが理解されよう。さらに、本開示の目的のために、機械100は自律機械とみなすことができる。しかしながら、本開示の代替的な実施形態では、機械100は、任意選択的に、手動で操作される機械、又は手動モード及び自律モードの両方、例えば半自律モードで操作可能な機械の形態で具現化することができる。)
「[0028] As shown in FIG.1, the machine 100 may also include a cab 128 having a door 130.The door 130 may be configured to allow access to an operator for entering and exiting the cab 128. As such, the cab 128 could be sized and shaped to house an operator of the machine 100 when operating the machine 100 in a manual or a semi-autonomous mode. However, the present disclosure relates to autonomously actuating movement of the machine 100 in relation to the towing vehicle 102, and in particular, actuating movement of the machine 100 for autonomously loading or autonomously unloading the machine 100 from the towing vehicle 102 in accordance with embodiments disclosed herein.」
(当審訳:[0028] 図1に示されるように、機械100はまた、ドア130を有する運転室128を含んでもよい。ドア130は、運転室128に出入りするためのオペレータへのアクセスを可能にするように構成されてもよい。そのようにして、運転室128は、手動または半自律モードで機械100を動作させるときに機械100のオペレータを収容するようなサイズおよび形状であってもよい。しかしながら、本開示は、牽引車両102に対する機械100の動作を自律的に作動させることに関し、特に、本明細書に開示される実施形態に従って、牽引車両102から機械100を自律的に積み降ろしするための機械100の移動を作動させることに関する。)
「[0029] In an embodiment as shown in FIG.1, the towing vehicle 102 is embodied in the form of a low-boy trailer having a bed 132 on which the machine 100 is shown loaded.」
(当審訳:[0029] 図1に示される実施形態では、牽引車両102は、機械100が搭載されて示される荷台132を有する低ボーイトレーラの形態で具現化される。)
「[0030] The machine 100 includes a perception system shown and generally indicated by numeral ‘200’. Further explanation pertaining to the perception system 200 will now be made in conjunction with FIG.2. As shown in FIG.2, the perception system 200 is disposed in communication with the drive system 108, the transmission system 110, the articulation system 112, the work implement 114, and the ground engaging members 116 of the machine 100. In addition, it is also contemplated that in embodiments of the present disclosure, the perception system 200 may be further disposed in communication with a steering system 118, and a brake system 120 of the machine 100 as shown in FIG.2. As such, the steering system 118 disclosed herein is coupled to the ground engaging members 116, and subject to commands from the controller 204, can be used to operatively allow a steering of the ground engaging members 116 relative to the frame 106 of the machine 100.Likewise, the brake system 120 is also operatively coupled to the ground engaging members 116, and subject to commands of the controller 204, can be used to operatively retard a rotational speed of one or more ground engaging members 116.」
(当審訳:[0030] 機械100は、数字「200」によって全体的に示される知覚システムを含む。次に、知覚システム200に関するさらなる説明を図2と併せて行う。図2に示されるように、知覚システム200は、機械100の駆動システム108、伝達システム110、関節システム112、作業器具114、及び地面係合部材116と通信するように配置される。加えて、本開示の実施形態では、知覚システム200は、図2に示されるように機械100のステアリングシステム118及びブレーキシステム120と通信するように更に配置されてもよいことも想定される。そのようにして、本明細書に開示されるステアリングシステム118は、地面係合部材116に連結され、コントローラ204からのコマンドを受けて、機械100のフレーム106に対する地面係合部材116の操舵を動作可能に可能にするために使用されることができる。同様に、ブレーキシステム120は、また地面係合部材116に連結され、コントローラ204からのコマンドを受けて、1つ以上の地面係合部材116の回転速度を動作可能に遅延させるために使用されることができる。)
「[0031] Referring to FIG.2, the perception system 200 includes multiple sensors 202a, 202b (collectively hereinafter denoted by numeral ‘202’). Although two sensors 202 are shown in the illustrated embodiment of FIG.2, in other embodiments, fewer or more number of sensors 202 can be implemented in the perception system 200 depending on specific requirements of an application. These sensors 202 are configured to determine characteristics of an environment 134 associated with the machine 100 (refer to FIG.1). Such characteristics of an environment 134 may include for e.g., terrain features of a given work site, but is not limited thereto. It is hereby contemplated that in embodiments of the present disclosure, the sensors 202 can further determine structural characteristics of the towing vehicle 102 as well. As such, in embodiments disclosed herein, it should be noted that the structural characteristics of the towing vehicle 102 also form part of the characteristics of the environment 134 associated with the machine 100 and are hence, determined by the sensors 202 for controlling movement of the machine 100 described herein.」
(当審訳:[0031] 図2を参照すると、知覚システム200は、複数のセンサ202a、202b (以下、まとめて符号「202」で示す)を含む。2つのセンサ202が図2の図示された実施形態に示されているが、他の実施形態では、アプリケーションの特定の要件に応じて、より少ない又はより多い数のセンサ202を知覚システム200に実装することができる。これらのセンサ202は、機械100(図1参照)に関連付けられた環境134の特性を決定するように構成される。環境134のそのような特性は、例えば、所与の作業現場の地形特徴を含み得るが、それに限定されない。これにより、本開示の実施形態では、センサ202は、牽引車両102の構造的特徴も更に決定することができることが企図される。このように、本明細書に開示される実施形態では、牽引車両102の構造的特性はまた、機械100に関連する環境134の特性の一部を形成し、したがって、本明細書で説明される機械100の移動を制御するためのセンサ202によって決定されることに留意されたい。)
「[0032] In an embodiment of this disclosure, it is contemplated that the sensors 202 could include at least range sensors 202a and perception sensors 202b. Although one range sensor 202a and one perception sensor 202b are shown in the illustrated embodiment of FIG.2, the sensors 202 could include fewer or more number of each type of sensor 202a, 202b disclosed herein. As an example, the range sensors 202a could include one or more devices such as, but not limited to, hall-effect sensors, a light detection and ranging system (LIDAR), a radio detection and ranging system (RADAR), a sound navigation and ranging system (SONAR), and the like. Additionally or optionally, the perception sensors 202 could include one or more visual cameras, but is not limited thereto.」
(当審訳:[0032] 本開示の一実施形態では、センサ202は少なくとも距離センサ202aおよび知覚センサ202bを含むことができると考えられる。1つの距離センサ202aおよび1つの知覚センサ202bが、図2の図示される実施形態に示されるが、センサ202は、本明細書に開示されるセンサ202a、202bの各タイプのより少ないまたはより多い数を含み得る。例として、距離センサ202aは、限定はしないが、ホール効果センサ、光検出および測距システム(LIDAR)、無線検出および測距システム(RADAR)、音響ナビゲーションおよび測距システム(SONAR)などの1つまたは複数のデバイスを含み得る。)
「[0034] In an embodiment of this disclosure, it is contemplated that the sensors 202 can detect the presence of the towing vehicle 102 on the job site 104. Additionally or optionally, the sensors 202 can detect an orientation of the towing vehicle 102 on the job site 104. In a preferable embodiment, the sensors 202 can further detect a loading end 136 of the towing vehicle 102. As shown in the illustrated embodiments of FIGS.1, 5 and 6, the loading end 136 of the vehicle is characterized by the presence of a ramp 138 whose one end 140 is hingedly supported on the bed 132 of the towing vehicle 102 while another end 142 is configured to rest on the work surface 122 of the job site 104. However, in alternative embodiments, it should be noted that the ‘loading end’ can be implemented by way of numerous other structures or configurations of the towing vehicle 102 that can be used for allowing the machine 100 to be propelled thereon and hence, to be loaded onto or unloaded from the towing vehicle 102.」
(当審訳:[0034] 本開示の一実施形態では、センサ202は、現場104上の牽引車両102の存在を検出することができることが企図される。追加的または任意選択的に、センサ202は、現場104上の牽引車両102の向きを検出することができる。好ましい実施形態では、センサ202は、牽引車両102の積載端136をさらに検出することができる。図1、図5及び図6の例示的な実施形態に示すように、車両の積載端136は、一端140が牽引車両102の荷台132上にヒンジ式に支持され、他端142が現場104の作業面122上に載置されるように構成されたランプ138が存在することを特徴とする。しかしながら、代替実施形態では、「積載端」は、機械100がその上で推進され、したがって、牽引車両102上に積載される、またはそこから荷降ろしされることを可能にするために使用され得る、牽引車両102の多数の他の構造または構成によって実装されることができることに留意されたい。)
「[0037] As shown in FIG.2, the perception system 200 further includes a controller 204 that is communicably coupled to each of the sensors 202. The controller 204 is configured to actuate movement of the machine 100 in relation to the towing vehicle 102 based on the characteristics of the environment 134 determined by the sensors 202. As disclosed earlier herein, the structural characteristics of the vehicle also form part of the characteristics of the environment 134 associated with the machine 100. Therefore, in embodiments of the present disclosure, it can be contemplated by persons skilled in the art to provide various inputs in the form of 3-dimensional (3D) terrain maps, GPS data, but not limited thereto to the controller 204. Such inputs could be pre-fed into the controller 204. In addition to the pre-fed input/s, signals could be provided, in real-time, from the sensors 202 to the controller 204 for actuating movement of the machine 100 in relation to the towing vehicle 102.」
(当審訳:[0037] 図2に示されるように、知覚システム200は、センサ202の各々に通信可能に結合されたコントローラ204をさらに含む。コントローラ204は、センサ202によって決定された環境134の特性に基づいて、牽引車両102に対する機械100の移動を作動させるように構成される。本明細書で先に開示したように、車両の構造的特性はまた、機械100に関連付けられた環境134の特性の一部を形成する。したがって、本開示の実施形態では、3次元(3D)地形図、GPSデータの形態の様々な入力をコントローラ204に提供することが当業者によって企図され得るが、それらに限定されない。そのような入力は、コントローラ204に事前に供給され得る。事前に供給された入力に加えて、牽引車両102に対する機械100の移動を作動させるために、センサ202からコントローラ204にリアルタイムで信号が提供され得る。)
「[0039] In embodiments of the present disclosure, the controller 204 is also configured to determine a path of travel for the machine 100 on the basis of the determined characteristics of the environment 134. Further, in one embodiment, the sensors 202 may be configured to beneficially detect obstacles associated with the towing vehicle 102. In such an embodiment, the controller 204 is further configured to determine a path of travel for the machine 100 on the basis of the detected obstacles. For example, the sensors 202 may detect the presence of a side rails 506 (shown in the illustrated embodiments of FIGS.5 and 6) on the towing vehicle 102. The controller 204 may accordingly navigate the machine 100 by appropriately commanding the drive system 108, the steering system 118, the braking system, and the articulation system 112 so that the machine 100 is avoided from coming into contact or colliding with the side rails 506 of the towing vehicle 102.」
(当審訳:[0039] 本開示の実施形態では、コントローラ204はまた、環境134の決定された特性に基づいて機械100の移動経路を決定するように構成される。さらに、一実施形態では、センサ202は、牽引車両102に関連付けられた障害物を有益に検出するように構成されてもよい。そのような実施形態では、コントローラ204は、検出された障害物に基づいて機械100の移動経路を決定するようにさらに構成される。例えば、センサ202は、牽引車両102上のサイドレール506(図5及び図6の図示された実施形態に示される)の存在を検出してもよい。コントローラ204は、それに応じて、機械100が牽引車両102のサイドレール506と接触又は衝突することが回避されるように、駆動システム108、操舵システム118、制動システム、及び関節システム112に適切に命令することによって機械100をナビゲートしてもよい。)
「[0040] For the purposes of the present disclosure, the terms “obstacles’ disclosed herein can be regarded as being inclusive of obstacles in the environment 134 and also obstacles presented by the towing vehicle 102 itself to the movement of the machine 100. Moreover, although it is disclosed herein that the side rails 506 are obstacles presented by the towing vehicle 102 to the machine 100, various other objects and/or structures present in the environment 134 can additionally be regarded as falling within the purview of the terms ‘obstacles’ disclosed herein. For example, a width and/or length of the bed 132 in the towing vehicle 102 may present constraints or limitations to the movement of the machine 100 when loading or unloading the machine 100 from the towing vehicle 102 and hence, spaces beyond such width and/or length of the bed 132 can also be categorically understood as being representative of ‘obstacles’ by the controller 204 of the present disclosure. Hence, it should be noted that one or more determined characteristics of the environment 134 including, but not limited to, structural characteristics of the vehicle can also manifest themselves into ‘obstacles’ with regards to a movement of the machine 100 relative to the towing vehicle 102. Notwithstanding anything contained in this document, persons skilled in the art will therefore acknowledge that the ‘obstacles’ can be any type of obstacle obtained during a determination of the characteristics associated with the environment 134, such determined characteristics of the environment 134 also including one or more structural characteristics of the towing vehicle 102.」
(当審訳:[0040] 本開示の目的のために、本明細書で開示される「障害物」という用語は、環境134内の障害物と、牽引車両102自体によって機械100の移動に対して提示される障害物とを含むものとみなすことができる。さらに、本明細書では、サイドレール506は、牽引車両102によって機械100に対して提示される障害物であると開示されているが、環境134内に存在する様々な他の物体及び/又は構造物も、本明細書で開示される「障害物」という用語の範囲内に入るものとみなすことができる。例えば、牽引車両102内の荷台132の幅および/または長さは、牽引車両102から機械100を積み降ろしするときに機械100の移動に対する制約または制限を提示し得、したがって、荷台132のそのような幅および/または長さを超える空間もまた、本開示のコントローラ204によって「障害物」を表すものとして分類的に理解され得る。したがって、車両の構造的特性を含むがこれに限定されない環境134の1つまたは複数の決定された特性はまた、牽引車102に対する機械100の移動に関して「障害物」として現れる可能性があることに留意されたい。本明細書に含まれるものにかかわらず、当業者であれば、「障害物」は、環境134に関連する特性の決定中に得られる任意のタイプの障害物とすることができ、そのような決定された環境134の特性は、牽引車102の1つまたは複数の構造的特性も含むことを認識するであろう。)
「[0064] With use of embodiments disclosed herein, vendors owning fleets of such machines may do away with operators previously required to transport vehicles to a job site. Moreover, embodiments herein also help vendors from engaging their operators with the added burden of loading and unloading machine/s onto and from a towing vehicle. With implementation of embodiments disclosed herein, several machines known to persons skilled in the art can be beneficially rendered autonomous with regards to the functions of loading and unloading the machines onto and from the towing vehicles. With regards to the drilling industry, use of embodiments disclosed herein can assist many vendors to entail reduced costs, at least in part, due to the autonomous transportation of the machines so as to be loaded onto or unloaded from the towing vehicles.」
(当審訳:[0064] 本明細書に開示される実施形態を使用すると、そのような機械の車団を所有するベンダは、現場に車両を輸送するために以前に必要とされたオペレータをなくすことができる。さらに、本明細書の実施形態はまた、牽引車両上への/からの1つまたは複数の機械の積み降ろし作業といった追加の負担にオペレータを従事させずに済むようにベンダを支援する。本明細書に開示される実施形態の実装により、当業者に知られているいくつかの機械は、牽引車両への機械の積み降ろしの機能に関して自律的に有利にすることができる。掘削産業に関して、本明細書に開示される実施形態の使用は、牽引車両に積み込まれるかまたは牽引車両から降ろされるように機械を自律的に輸送することに少なくとも部分的に起因して、多くのベンダがコストの低減を伴うことを支援することができる。)
「
[図:0001437755000001.jpg]
」(図1)
「
[図:0001437755000002.jpg]
」(図2)
「
[図:0001437755000003.jpg]
」(図5)
「
[図:0001437755000004.jpg]
」(図6)
(イ)引用文献1記載事項から把握できる事項
a 上記(ア)[0030]の「機械100は、数字「200」によって全体的に示される知覚システムを含む」との記載を踏まえると、上記(ア)図2から、「知覚システム200が、機械100に搭載されて」いることが看取できる。
b 上記(ア)[0028]の「牽引車両102から機械100を自律的に積み降ろしするための機械100の移動を作動させることに関する」との記載、及び、上記(ア)[0034]の「図1、図5及び図6の例示的な実施形態に示すように、車両の積載端136は、一端140が牽引車両102の荷台132上にヒンジ式に支持され、他端142が現場104の作業面122上に載置されるように構成されたランプ138が存在することを特徴とする」との記載を踏まえると、上記(ア)図5から、機械100が、牽引車両102の荷台132と現場104の間にあるランプ138上にあって、牽引車両102の後方から荷台132に向けた矢印方向に移動していることが看取できるから、「機械100が、牽引車両102の後方から牽引車両102の荷台132に移動することにより積み込まれ」る様子が把握できる。
c 上記bを踏まえると、図6から、機械100が、牽引車両102の荷台132と現場104の間にあるランプ138上にあって、荷台132から牽引車両102の後方に向けた矢印方向に移動していることが看取できるから、機械車両100が、「牽引車両102の荷台132から牽引車両102の後方に移動することにより積み降ろされ」る様子が把握できる。
(ウ)引用発明1
上記(ア)の引用文献1記載事項及び上記(イ)の引用文献1記載事項から把握できる事項によれば、引用文献1には、次の自律機械のための知覚システムに関する発明が記載されている。
[引用文献1記載の自律機械のための知覚システムに関する発明]
ショベルとして使用される機械100は((ア)[0025])、
手動モード及び自律モードの両方、例えば半自律モードで操作可能であり((ア)[0025])、
機械100が、牽引車両102の後方から牽引車両102の荷台132に移動することにより積み込まれ、又は、牽引車両102の荷台132から牽引車両102の後方に移動することにより積み降ろされ((イ)b、c)、
知覚システム200は、機械100に搭載されており((イ)a)、
知覚システム200は、複数のセンサ202を含み、機械100の駆動システム108、伝達システム110、関節システム112、作業器具114、及び地面係合部116と通信するように配置されており((ア)[0030]、[0031])、
知覚システム200は、センサ202の各々に通信可能に結合されたコントローラ204をさらに含み((ア)[0037])、
センサ202は、現場104上の牽引車両102の存在を検出し、牽引車両102の向き、積載端136、牽引車両102に関連付けられた障害物を検出するように構成され((ア)[0034]、[0039])、
コントローラ204は、荷台132を有する低ボーイトレーラである牽引車両102から機械100を自律的に積み降ろしするための移動を作動させるものであって、センサ202によって決定された環境134の特性に基づいて、牽引車両102に対する機械100の移動を作動させるように構成され、さらに、検出された障害物に基づいて機械100の移動経路を決定するようにさらに構成されており、機械100が牽引車両102のサイドレール506と接触又は衝突することが回避されるように、駆動システム108、操舵システム118、制動システム、及び関節システム112に適切に命令することによって機械100をナビゲートし((ア)[0028]、[0029]、[0037]、[0039])、
牽引車両上への、又は、牽引車両上からの、1つまたは複数の機械の積み降ろし作業といった追加負担にオペレータを従事させずに済むようにベンダを支援する((ア)[0064])、
自律機械のための知覚システム200((ア)[0001])。
上記引用文献1記載の自律機械のための知覚システムに関する発明は、ショベルである機械100が、知覚システム200を搭載し、知覚システム200が、センサ202と通信可能なコントローラ204をさらに含む。したがって、上記引用文献1記載の自律機械のための知覚システムに関する発明から、次の「ショベル」に関する発明(以下「引用発明1」という。)を把握できる。
[引用発明1]
手動モード及び自律モードの両方、例えば半自律モードで操作可能であり、
、
牽引車両102の後方から牽引車両102の荷台132に移動することにより積み込まれ、又は、牽引車両102の荷台132から牽引車両102の後方に移動することにより積み降ろされる、ショベルとして使用される機械100であって、
知覚システム200を搭載し、
知覚システム200は、複数のセンサ202を含み、機械100の駆動システム108、伝達システム110、関節システム112、作業器具114、及び地面係合部116と通信するように配置されており、
知覚システム200は、センサ202の各々に通信可能に結合されたコントローラ204をさらに含み、
センサ202は、現場104上の牽引車両102の存在を検出し、牽引車両102の向き、積載端136、牽引車両102に関連付けられた障害物を検出するように構成され、
コントローラ204は、荷台132を有する低ボーイトレーラである牽引車両102から機械100を自律的に積み降ろしするための移動を作動させるものであって、センサ202によって決定された環境134の特性に基づいて、牽引車両102に対する機械100の移動を作動させるように構成され、さらに、検出された障害物に基づいて機械100の移動経路を決定するようにさらに構成されており、機械100が牽引車両102のサイドレール506と接触又は衝突することが回避されるように、駆動システム108、操舵システム118、制動システム、及び関節システム112に適切に命令することによって機械100をナビゲートし、
牽引車両上への、又は、牽引車両上からの、1つまたは複数の機械の積み降ろし作業といった追加負担にオペレータを従事させずに済むようにベンダを支援する、
ショベルとして使用される機械100。
イ 引用文献2
(ア)引用文献2記載事項
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の優先日前に発行された、特開2010-198519号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械周囲の障害物を監視する周囲監視装置に係わり、特に、作業機械の運転者への危険度提示及び危険回避に関するものである。」
「【実施例1】
【0021】
作業機械の一例である油圧ショベルの概観を図1に示す。油圧ショベルは、垂直方向にそれぞれ回動するブーム1a,アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント作業機1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとで構成される。上部旋回体1dには、運転室1fが備えられている。フロント作業機1Aのブーム1aの基端は上部旋回体1dの前部に支持されている。ブーム1a,アーム1b,バケット1c,上部旋回体1d及び下部走行体1eはそれぞれブームシリンダ3a,アームシリンダ3b,バケットシリンダ3c,旋回モータ3d(図1には図示しない)及び左右の走行モータ3e,3f(図示しない)の各アクチュエータによりそれぞれ駆動される。また、ブーム1a,アーム1b,バケット1c,上部旋回体1dは、それぞれの回動角を検出する角度検出器8a,8b,8c,8dを備える。更に、機械の後方にカメラ13aを設置して後方シーンを撮影し、ミリ波レーダ(距離センサ)14aを設置して機械後方から障害物までの距離を計測する。また、機械の右側方にカメラ13bを設置して右側方シーンを撮影し、距離センサ14b(図示しない)を設置して機械右側方から障害物までの距離を計測する。
【0022】
図2は、作業機械の一例である油圧ショベルの作業における動作と処理の流れの手順例を示す説明図である。図2の説明例では距離センサとしてカメラ13aとミリ波レーダ14aを用いた例である。
【0023】
ある時間1701において、カメラ13aはシーンを撮影し、機械が掘削を開始1702すると障害物検知手段600が撮影したシーンを用いて画像処理1706を行い、掘削作業中1703の障害物の有無を検知する。一方、ミリ波レーダ14aは、機械の作業中は常時センシング1712を行っている。そこで、掘削作業中1703は、画像処理した結果1706である障害物有無と障害物の種別(人物か人物以外)、及び、ミリ波レーダ14aの障害物の距離データを統合(フュージョン)して、障害物有無と種別と障害物までの距離データの結果を出力1707する。運転員は、この結果をモニタや音声で確認し、操作変更時(後進や旋回等)に変更方向の周囲の危険度を確認しながら機械の操作を行う。
【0024】
いま、右側方の動作位置範囲内に人物が存在してフロント作業機を右旋回1704(フロント作業機1Aの信号1708、及び、カメラ画像を用いたオプティカルフロー1709で確認)した場合、人物と接触する可能性が高いので、接触を回避する制御1710としてフロント作業機を停止して、人物の安全を確保することを行う。また、右側方の動作位置範囲内に物体が存在した場合、接触を回避する制御1710としてフロント作業機1Aをゆっくり操作する。この時、接触回避制御の後は、カメラ13aの撮影シーンを用いた障害物検知手段600も停止させ、掘削開始時に再開してもよい。
【0025】
一方、後方の移動動範囲内(当審注:「後方の移動範囲内」の誤記と認める。)に人物が存在して下部走行体が後進1705した場合、人物と接触する可能性が高いので、接触を回避する制御1711として下部走行体の移動を停止して、人物の安全を確保することを行う。
【0026】
ここで、カメラ13aでの検知は掘削中のみの例で示したが、機械の作業中は常時センシングを行ってもよい。
【0027】
本発明の実施例を図3に示す。図3において、画像処理装置90は、障害物検出手段600,障害物と機械の位置関係算出手段1100,接触危険度算出手段1200,警報レベル決定手段1300,警報出力手段1400,機械状態取り込み手段700で構成する。
【0028】
画像処理装置90における処理は、カメラ13aが機械の後方シーンを撮影すると、障害物検出手段600がカメラ13aの撮影シーンを用いて画像処理を行い、作業機械周囲の作業者や物体等の障害物の存在有無を検出する。障害物検出手段600で障害物が存在した場合、障害物と機械の位置関係算出手段1100は、機械本体から障害物と機械までの距離や方向の位置関係を算出し、接触危険度算出手段1200が、障害物と機械の位置関係算出手段1100が算出した位置関係と機械状態取り込み手段700が取り込んだ作業機械の掘削や旋回や移動等の姿勢変更等の動作から障害物の接触危険度レベルを算出する。その後、警報レベル決定手段1300は、接触危険度算出手段1200が算出した障害物の接触危険度レベルから警報レベルを決定して警報出力手段1400に出力すると、警報出力手段1400はレベルに応じた警報内容をモニタや音声等の出力装置1500へ出力する。運転員は、出力装置1500の結果を目視や音声で把握して機械の操作を判断する。」
「【0032】
運転員は、出力装置1500の結果を目視や音声で把握して機械の操作を判断するが、もし、運転員が他の操作に気を取られて出力装置1500を見落とした場合、機器操作状態判断手段1600は、接触危険度算出手段1200で算出した接触危険度と機械状態取り込み手段700が取り込んだ作業機械の状態から掘削や旋回や移動等の姿勢変更等を判断し、更に、警報レベル決定手段1300で決定した警報レベルから機器の操作状態を判断すると、接触回避制御手段1700が、機器操作状態判断手段1600の判断結果に応じて機器操作を制御して後進や旋回時の速度を落としたり、停止したりして接触を回避する制御信号を出力する。すると、機器制御信号出力手段1800は、接触回避制御手段1700の出力を機器に送信して作業機械の操作を制御する。これにより、人物等への接触が回避されて安全が確保でき、しかも、必要最低限での機械操作が可能となり、作業効率が向上できる。」
「【0050】
図13は、機械状態取り込み手段700の内部例を示す説明図である。まず、ステップ701はブーム1aの回動角を検出する角度検出器8aの出力θ1を取込み、ステップ705が先端座標を算出するパラメータとする。次に、ステップ702はアーム1bの回動角を検出する角度検出器8bの出力θ2を取込み、ステップ705が先端座標を算出するパラメータとする。続いて、ステップ703は、バケット1cの回動角を検出する角度検出器8cの出力θ3を取込み、ステップ705が先端座標を算出するパラメータとする。
最後に、ステップ704は、上部旋回体1dの回動角を検出する角度検出器8dの出力θ4を取込み、ステップ705が先端座標を算出するパラメータとする。ステップ705は、θ1,θ2,θ3,θ4からバケット1cの先端座標を算出すると、ステップ706がフロント作業機1Aの大きさ(長さ)及び下部走行体1eからの上部旋回体1dの旋回方向を算出する。これにより、作業範囲50b及び50dがフロント作業機1Aと連動して算出できるため、作業効率のよい作業範囲での周囲監視が実現できる。」
「【図1】
[図:0001437755000005.jpg]
」
(イ)引用文献2記載事項から把握できる事項
上記(ア)【0021】の「作業機械の一例である油圧ショベルの概観を図1に示す。油圧ショベルは、垂直方向にそれぞれ回動するブーム1a,アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント作業機1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとで構成される。」、「上部旋回体1dには、運転室1fが備えられている。」、「フロント作業機1Aのブーム1aの基端は上部旋回体1dの前部に支持されている。」との記載を踏まえると、上記(ア)【図1】から、「ブーム1a、アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント作業機1Aの基端が上部旋回体1dの前部に支持され、上部旋回体1dには運転席1fが備えられ、上部旋回体1dが下部走行体1eの上部に位置して」いることが看取できる。
(ウ)引用発明2
上記(ア)の引用文献2記載事項及び(イ)の引用文献2記載事項から把握できる事項から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
[引用発明2]
垂直方向にそれぞれ回動するブーム1a,アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント作業機1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとで構成された作業機械である油圧ショベルであって((ア)【0021】)、
ブーム1a、アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント作業機1Aの基端が上部旋回体1dの前部に支持され、上部旋回体1dには運転席1fが備えられ、上部旋回体1dが下部走行体1eの上部に位置しており((イ))、
機械後方にカメラ13aを設置して後方シーンを撮影し、ミリ波レーダ(距離センサ)14aを設置して機械後方から障害物の距離を計測し((ア)【0021】)、
カメラ13aは、シーンを撮影して障害物の有無を検知し、後方の移動範囲内に人物が存在して下部走行体が後進した場合、接触を回避する制御として下部走行体の移動を停止し((ア)【0023】、【0025】)、
機械の作業中は、常時センシングを行ってもよく((ア)【0026】)、
人物等への接触が回避されて安全が確保できる((ア)【0032】)、
油圧ショベル。
ウ 周知例1
(ア)周知例1記載事項
当審において新たに引用され、本願の優先日前に発行された、特開平11-131530公報(以下「周知例1」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベル等の走行制御を行うのに好適に用いられる建設機械の走行制御装置に関する。」
「【0021】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は油圧ショベル等の作業車両を簡単なスイッチ操作のみで直進走行させることができ、走行時におけるオペレータの負担を減らして疲労感等を確実に軽減できるようにした建設機械の走行制御装置を提供することを目的としている。
【0022】また、本発明の他の目的は、例えば直進走行の途中でも必要に応じてステアリング操作を簡単に行うことができ、走行時の操作性を大幅に向上できるようにした建設機械の走行制御装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、走行用の油圧モータにより走行駆動される作業車両と、前記油圧モータを油圧源に接続する油路の途中に設けられ、外部からの指令信号により中立位置から切換位置に切換えられる走行用の方向制御弁と、前記作業車両を走行させるときに操作され、該方向制御弁に対し前記作業車両の走行速度を操作量に応じて可変に制御するための指令信号を出力する走行用の遠隔操作手段と、常時は中立位置におかれ、中立位置から切換操作されたときに前記方向制御弁に対し前記作業車両を定速走行させるための指令信号を出力する定速走行用の切換手段とからなる構成を採用している。
【0024】上記構成により、作業車両を定速走行させるときには切換手段を中立位置から切換操作するだけで、方向制御弁を中立位置から切換位置に自動切換でき、油圧源からの圧油を走行用の油圧モータに方向制御弁を介して給排することにより、作業車両を実質的に一定の速度で直進走行させることができる。また、切換手段を中立位置に戻したときには、遠隔操作手段を操作することにより操作量に応じた指令信号を方向制御弁に出力でき、操作量に対応した速度で作業車両を走行駆動することができる。」
「【0064】さらに、オペレータが操作レバー24の操作量を操作レバー24′側よりも大きくすることによ
り、油圧ショベルを図6中の矢示C方向へとステアリング(旋回走行)でき、操作レバー24′の操作量を操作レバー24側よりも大きくしたときには、図6中の矢示D方向にステアリングすることができる。」
「【0068】この結果、方向制御弁21,21′はパイロットポンプ18からの圧力でフルストロークするように切換位置(ロ)に切換わり、油圧ポンプ16,16′からの圧油を左,右の油圧モータ10,10′に大流量で給排させることにより、左,右の油圧モータ10,10′を実質的に等しい速度で矢示A方向に回転駆動でき、油圧ショベルを一定の速度で直進させるように前進側に自動走行できる。」
「【0070】従って、本実施の形態によれば、切換スイッチ43を開成位置から閉成位置に切換操作することにより、油圧ショベルを前進方向または後進方向に定速で直進させるように自動走行することができ、直進走行時の操作性を大幅に向上できると共に、オペレータの負担を減らし疲労感等を確実に軽減することができる。」
「【0090】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、作業車両の走行速度を操作量に応じて可変に制御するための指令信号を方向制御弁に出力する走行用の遠隔操作手段と、作業車両を定速走行させるための指令信号を方向制御弁に出力する定速走行用の切換手段とを備える構成としたから、作業車両を定速走行させるときには切換手段を切換操作することにより、方向制御弁を中立位置から走行用の切換位置に一定のストロークで切換えることができると共に、油圧源からの圧油を走行用の油圧モータに方向制御弁を介して給排でき、作業車両を実質的に一定の速度で走行させることができる。従って、切換手段の切換操作により作業車両の走行制御を簡単に行うことができ、走行時の操作性を大幅に向上できると共に、オペレータの負担を減らし、疲労感等を確実に軽減することができる。」
(イ)周知例1技術事項
上記(ア)から、周知例1には、次の技術事項(以下「周知例1技術事項」という。)が記載されていると認められる。
[周知例1技術事項]
簡単なスイッチ操作のみで直進走行させることができ、走行時におけるオペレータの負担を減らして疲労感等を確実に軽減できるようにされており、一定の速度で直進させるように前進側に自動走行できる油圧ショベルであって((ア)【0021】、【0068】)、
外部からの指令信号により中立位置から切換位置に切換えられる走行用の方向制御弁と、前記作業車両を走行させるときに操作され、該方向制御弁に対し前記作業車両の走行速度を操作量に応じて可変に制御するための指令信号を出力する走行用の遠隔操作手段と、前記作業車両を定速走行させるための指令信号を出力する定速走行用の切換手段とからなる構成を採用し((ア)【0023】)、
遠隔操作手段を操作することにより操作量に応じた指令信号を方向制御弁に出力でき、操作量に対応した速度で作業車両を走行駆動することができる((ア)【0024】)、
油圧ショベル。
エ 周知例2
(ア)周知例2記載事項
当審において新たに引用され、本願の優先日前に発行された、特開2002-345058号公報(以下「周知例2」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、作業機械の操作部を送受信機により遠隔操作することを可能にした遠隔操作システムに関する。」
「【0004】この作業機械は、例えばブルドーザ、油圧ショベル、ダンプトラックやクローラキャリア等の自律走行機であり、一般に、これらの走行機の全ての操縦操作等が429MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線を使って遠隔操作される。」
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、土工工事に使用される作業機械における電波の利用にあたっては、他の無線局に対する干渉妨害や、他の無線局から発射された電波による混信妨害等により通信が不可能になったり、効率的な通信ができなくなり、或いは無人作業機が誤作動して事故を生じないようにするため、40MHz帯及び72MHz帯などの一般的なレジャーラジコン専用の周波数を除く429MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線が広く多用されている。
【0008】この種のラジコン無線にあっては、妨害電波等を未然に防止するための電波法に基づいて周波数帯や送信電力などが規定されており、無人作業機を遠隔操作するときに使用される特定小電力無線の実用到達距離は、見通しのよい平坦地において、操縦指令信号、操作指令信号などの所要のデータ信号を送信する操作器から約150~200m程度の半径内に制約される。従って、無人作業機を運転や制御をする場合に、作業対象物や作業機械の位置関係等が目視により監視できないほどの遠隔距離、或いは電波伝搬路上の障害物等により電波が遮蔽され減衰が大きくなる場所などでは、上述のごとき特定小電力無線による遠隔操作が不可能となり、特に土砂崩れ、岩盤崩落等による災害の現場では実用的ではない。
【0009】本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、電波法に基づく周波数帯や送信出力などを満足する特定小電力無線の適用範囲内で、通信距離を延長して無線制御による遠隔操作を可能にした作業機械の遠隔操作装置を提供することにある。」
「【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係る作業機械の遠隔操作システムを概念的に示している。なお、同図において上記従来技術と実質的に同じ部材には同一の符号を付している。本発明の基本的な構成として、ラジコンによる遠隔操作を行う遠隔操作装置は電波法に基づく、例えば429MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線を使用して、制御対象となる無人作業機械である油圧ショベル1に対して機外から無線操縦できる送信部2と、油圧ショベル1に搭載された受信機3とを備えている。この送信部2はオペレータにより操作される操作器2aと、同操作器2a及び前記受信機3の中間の通信を行う外部発信中継機である外部発信器4とを備えている。同外部発信器4は伝送範囲の拡張、信号の増幅及び変調等の機能を有している。」
「【0041】本図示例によれば、油圧ショベル、ブルドーザ及びクローラトラックの6台の無人作業機械1,…,1に対応して、各無人作業機械1ごとに設定された異なる周波数帯域の電波を送信する送信部2がそれぞれ設けられている。この送信部2には操作器2a及び外部発信器4の中間に第1及び第2多重伝送手段16-1,16-2が約800m程度の間隔をもって配されている。この第1多重伝送手段16-1の入力側には信号線6を介して各操作器2aが接続されており、同第1多重伝送手段16-1の出力側は単一の信号線6を介して第2多重伝送手段16-2の入力側と接続している。その第2多重伝送手段16-2の出力側は信号線6を介して各外部発信器4と接続している。
【0042】いま、各操作器2aのレバー等を操作すると、その制御・操作信号等が上述のごとく各操作器2aの内部で変換処理され、その制御・操作用のデータ信号は信号線6を介して前記第1多重伝送手段16-1へと伝送される。同第1多重伝送手段16-1では、所要のデータ信号を総合して単一の信号線6を介して前記第2多重伝送手段16-2に送り出し、その第2多重伝送手段16-2では、これらの総合されたデータ信号を各無人作業機械1ごとのデータ信号に分離して信号の増幅、変調等を行ったのち、信号線6を介して対応する所要の外部発信器4へと伝送する。
【0043】各外部発信器4ではデータ信号の増幅や変調等を行って、同データ信号を各無人作業機械1ごとに設定された異なる周波数帯域の特定小電力無線をもって、対応する各無人作業機械1へと送信する。それらの周波数帯域の電波は各無人作業機械1に搭載された受信機3により受信される。その受信した信号は、上述のごとく受信機3の内部で変換処理されて制御器7へと送られる。同制御器7では、前記受信機3からのデータ信号を動作プログラムの対応する動作命令信号に変換処理して、例えば油圧ショベルのバケット等の所要の操作部8へと出力する。同操作部8は、オペレータの操作により入力される前記操作器2aからの指令信号に従って作動する。
【0044】これにより、同時に制御・操作がなされる制御対象となる同一機種、或いは異なる機種の無人作業機械1に対して、互いに異なる周波数帯を利用する複数の操作器2aにより効率的な遠隔操作をすることができる。従って、大型の建設・土木などの作業現場にあって、同じ通信領域内に複数台の無人作業機械1が混在しているとき、各無人作業機械1に対して同時に無線操作を行っても、他の無線局に対して干渉妨害を与えたり、他の無線局による混信妨害により通信が妨げられ、或いは各無人作業機械1が誤作動することなく妨害電波等を未然に防止できるようになり、各無人作業機械1に対する通信が安定化して、無線による遠隔制御・操作が確実に行なわれる。」
(イ)周知例2技術事項
上記(ア)から、【0043】記載の「操作部8」が【0001】記載の「操作部」に対応することを踏まえると、周知例2には、次の技術事項(以下「周知例2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
[周知例2技術事項]
各操作器2aのレバー等を操作すると、データ信号を、信号線6を介して対応する所要の外部発信器4へと伝送し、外部発信器4ではデータ信号の増幅や変調等を行って、同データ信号を各無人作業機械1ごとに設定された異なる周波数帯域の特定小電力無線をもって、対応する各無人作業機械1へと送信し、それらの周波数帯域の電波は無人作業機械1に搭載された受信機3により受信されて、受信した信号は、制御器7に送られて、同制御器7では、データ信号を動作命令信号に変換処理して所要の操作部8へと出力し、同操作部8は、オペレータの操作により入力される前記操作器2aからの指令信号に従って作動することにより((ア)【0042】、【0043】)、
操作部8を遠隔操作する((ア)【0001】)、
自律走行機である油圧ショベル((ア)【0004】)。
オ 周知技術
上記周知例2技術事項における「各操作器2aのレバー等を操作」して電送される「データ信号」は、「油圧ショベル」に電波で電送されて「油圧ショベル」を「遠隔操作」するための信号であるから、油圧ショベルの「外部からの指令信号」といえる。
そうすると、上記周知例1技術事項及び周知例2技術事項から、次の技術が周知の技術(以下「周知技術」という。)であったと認められる。
[周知技術]
外部からの指令信号を受信して操作されて、自動走行又は自律走行する油圧ショベル。
(4)対比
ア 本件補正発明と引用発明1を対比する。
(ア)本件補正発明の「ショベル」と引用発明1の「ショベルとして使用される機械100」は、ともに「ショベル」である点で一致する。
(イ)a 引用発明1の「牽引車両102」は「低ボーイトレーラ」であるから、「トレーラ」といえる。また、引用発明1の「コントローラ204」は、「知覚システム200」に含まれて、「機械100」に搭載されている。
そうすると、引用発明1の「機械100」が「牽引車両102の後方から牽引車両102の荷台132に移動することにより積み込まれ、又は、牽引車両102の荷台132から牽引車両102の後方に移動することにより積み降ろされる」ように「駆動システム108、操舵システム118、制動システム」に適切に命令する「コントローラ204」は、ショベルに備えられた制御装置であって、ショベルをトレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて走行させる制御を行う制御装置といえる。
b したがって、本件補正発明の「ショベル」と引用発明1の「ショベルとして使用される機械100」は、「トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる第1の制御を行う制御装置」を備える点で一致する。
(ウ)a 引用発明1の「牽引車両102」の「荷台132」の上面は、本件補正発明の「トレーラの上面」に相当する。
b 引用発明1の「センサ202」は、「牽引車両102」の存在及び向き、「積載端136」及び「障害物」を検出し、引用発明1の「コントローラ204」は、「センサ202」によって検出された「障害物」に基づいて「機械100」の移動経路を決定して「駆動システム108、操舵システム118、制動システム」に適切に命令することによって、「機械100」をナビゲートする制御装置であるから、本件補正発明の「制御装置」に対応する。
c さらに、引用発明1の「機械100」は、「牽引車両102の後方から牽引車両102の荷台132に移動することにより積み込まれ、又は、牽引車両102の荷台132から牽引車両102の後方に移動することにより積み降ろされ」る移動を、「自律的」にするものである。
d そして、引用発明1の「障害物」及び「牽引車両102のサイドレール506」は、「機械100」が接触又は衝突する原因であって、これらを検出して後続の処理を行うことは、「機械100」が走行する経路の安全性が確保されていないと判定したものといえる。さらに、引用発明1の「機械100」が「牽引車両102」の「荷台132」への積み込み、又は、「荷台132」からの積み降ろしにあたり、「障害物」及び「牽引車両102のサイドレール506」の存在を検出して移動経路を決定又は接触又は衝突を回避することは、「機械100」の位置から「牽引車両102」の「荷台132」の上面への、又は、「機械100」の位置から「牽引車両102」の後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合に、危険を回避することといえる。
e 上記b及びdによれば、本件補正発明の「制御装置」と引用発明1の「コントローラ204」は、「当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記第1の制御を制限し、前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、危険を回避」する制御をする点で共通する。
イ 本件補正発明と引用発明1を対比するにあたり、本件補正発明の制御条件及び制御内容を確認すると、本件補正発明の「ショベル」が備える「制御装置」は、次の二つの制御内容のうちいずれか一つの制御内容のみを制御する発明を包含する。
(ア)当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記第1の制御を制限し、前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する制御。
(イ)ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記第1の制御を制限すると共に、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する第2の制御を行い、前記安定度が前記所定基準より下回っている状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する制御。
ウ したがって、本件補正発明と引用発明1は、
[一致点]
「トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる第1の制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、危険を回避する制御を行う、
ショベル」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
本件補正発明の「ショベル」が「下部走行体」と、「前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体」と、「前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメント」とを備えて、「制御装置」が「前記上部旋回体」に設けられているのに対し、引用発明1の「ショベルとして使用される機械100」は、「下部走行体」、「上部旋回体」及び「アタッチメント」を備える点について特定されておらず、「コントローラ204」が設けられる位置も特定されていない点。
[相違点2]
本件補正発明の「制御装置」が、「所定の外部装置から所定の指令を受信すると」、「前記下部走行体を走行させる第1の制御」を行うのに対して、引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」は、所定の外部装置から所定の指令を受信する特定がされていない点。
[相違点3]
「ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合」にする制御について、本件補正発明の「制御装置」は、「前記第1の制御を制限し、前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」制御をするのに対し、引用発明1の「コントローラ204」は、本件補正発明のように制御内容が特定されていない点。
(5)判断
ア 相違点1について
引用発明2の「油圧ショベル」を構成する「上部旋回体1d」及び「下部走行体1e」は、本件補正発明の「上部旋回体」及び「下部走行体」に相当する。
そして、引用発明2の「油圧ショベル」の「フロント作業機1A」が備える「ブーム1a、アーム1b及びバケット1c」が「アタッチメント」といえるものであるか明らかでないが、作業車両においてバケット等をアタッチメントとして構成することは、例示するまでもない技術常識である。
また、コントローラを設ける位置を上部旋回体にすることは、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎない。さらに、引用発明2の「油圧ショベル」では「運転席1f」が「上部旋回体1d」に備えられており、制御装置が運転席付近に設けられることは通常の形態であることからも、コントローラを設ける位置を上部旋回体にすることは、当業者が適宜なし得た程度の事項といえる。
したがって、引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」において、引用発明2の「油圧ショベル」の構成を採用することにより、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
イ 相違点2について
「外部からの指令信号を受信して操作されて、自動走行又は自律走行する油圧ショベル」は、上記(2)オに記載したとおり周知技術である。
そして、自律的に積み降ろし制御する引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」に対して、同様に自動走行又は自律走行する「ショベル」の技術分野に属する上記周知技術のごとき、外部からの指令信号を受信して操作する自動走行又は自律走行する油圧ショベルの制御技術を採用することにより、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
ウ 相違点3について
引用発明2の「油圧ショベル」は、移動方向に人物等の「障害物」を検出すると、接触を回避する制御として下部走行体の移動を停止する(下部走行体を走行させる制御を制限する)ことにより、人物等の障害物との接触が回避されて安全が確保できるものである。そして、引用発明2では、機械の作業中は、常時センシングを行ってもよいものとされていることから、停止原因である障害物が除去されれば、後続のセンシングによって障害物がないことを検出することにより、下部走行体の移動の停止をやめる(制御の制限を解除する)ことは当然のことである。
そして、引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」と引用発明2の「油圧ショベル」は、「ショベル」との技術分野が共通し、障害物との接触又は衝突を回避して安全を確保する機能が共通することから、引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」に引用発明2の制御技術を適用する動機付けがある。
したがって、引用発明1及び引用発明2に基づいて相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のものである。
エ 本件補正発明の効果
そして、本件補正発明が奏する効果も、引用発明1、引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
(6)小括
本件補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない
(7)審判請求書における審判請求人の主張について
ア 令和6年6月5日に提出された審判請求書の3.3-3.において、審判請求人は、概略以下のように主張している。
(ア)引用文献1は、機械100の動作がコントローラ204により自律的に制御され、機械100を牽引車両102の荷台132に積み込むこと(段落0062,0063参照)が開示されているに過ぎず、本願発明のように、「前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記第1の制御を制限し、前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」ことや「前記制御装置は、・・・ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記第1の制御を制限すると共に、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する第2の制御を行い、前記安定度が前記所定基準より下回っている状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」ことは全く開示されておらず示唆もされていない。
(イ)引用文献3にも、上記点は、開示されておらず示唆もされていない。
イ 主張に関する検討
本件補正発明が、
「前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記第1の制御を制限し、前記走行経路の安全性が確保されていない状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」こと(制御内容1)、
及び、
「前記制御装置は、・・・ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記第1の制御を制限すると共に、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する第2の制御を行い、前記安定度が前記所定基準より下回っている状態が取り除かれた場合、前記第1の制御の制限を解除する」こと(制御内容2)、
の一方の制御内容のみの制御をする発明を包含することは、上記(4)イで検討したとおりである。
そして、前者の制御内容1について、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たことは、上記(5)ウで検討したとおりである。
したがって、審判請求人の上記ア(ア)は採用できず、上記ア(イ)の主張も上述の判断に影響をもたらさない。
3 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし11に係る発明は、令和5年12月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されたものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(1)に記載された請求項1の記載により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由
拒絶査定された本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(上記第2の1(1)の請求項1を参照。)は、令和5年10月6日付けで通知した拒絶理由(以下「原査定の拒絶の理由」という。)の対象とされた、令和5年7月18日に提出された手続補正書で補正された請求項2をさらに減縮した発明である。
そして、原査定の拒絶の理由は、次の理由を含む。
(進歩性)この出願の請求項2に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.米国特許出願公開第2017/0247033号明細書
2.特開2010-198519号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項は、上記第2の[理由]2(3)ア及びイに記載したとおりである。
4 対比・判断
(1)対比
本願発明は、前記第2の[理由]2(1)ア(ア)及び(イ)の検討からすると、本件補正発明から、「第1の制御」及び「第2の制御」に係る限定事項を削除したものであるが、念のため、改めて対比する。
ア 本願発明と引用発明1を対比する。
(ア)上記第2の[理由]2(4)ア(ア)及び(イ)を踏まえると、本願発明の「ショベル」と引用発明1の「ショベルとして使用される機械100」は、ともに「ショベル」であって、「トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる制御を行う制御装置」を備える点で一致する。
(イ)上記第2の[理由]2(4)ア(ウ)を踏まえると、本願発明の「制御装置」と引用発明1の「コントローラ204」は、「当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、危険を回避」する点で一致する。
イ 本願発明と引用発明1を対比するにあたり、本願発明の制御条件及び制御内容を確認すると、本願発明の「ショベル」が備える「制御装置」は、「前記下部走行体を走行させる制御」に関連して、次の二つの制御内容のうちいずれか一つの制御内容のみを制御する発明を包含する。
(ア)当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記制御を制限する制御。
(イ)ショベルの姿勢に関する安定度が所定基準より下回っていると判定する場合、前記制御を制限し、前記安定度が前記所定基準より下回っている場合、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御。
ウ したがって、本願発明と引用発明1は、
[一致点]
「下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記上部旋回体に設けられ、所定の外部装置から所定の指令を受信すると、トレーラの荷台へ向けて、又は、トレーラの荷台からトレーラの後方領域へ向けて、前記下部走行体を走行させる制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、危険を回避する制御を行う、
ショベル。」
である点で一致し、上記第2の[理由]2(4)ウの相違点1、相違点2に加えて、次の相違点3’で相違する。
[相違点3’]
「ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合」にする制御について、本願発明の「制御装置」は、「前記制御を制限」するのに対し、引用発明1の「コントローラ204」は、本願発明のように制御内容が特定されていない点。
(2)判断
ア 相違点1及び相違点2について
上記第2の[理由]2(5)ア及びイで検討したとおりであって、引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」において、引用発明2の「油圧ショベル」の構成を採用することにより、相違点1に係る構成とすること、及び、自律的に積み降ろし制御する引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」に対して、上記周知技術のごとき、外部からの指令信号を受信して操作する自動走行又は自律走行する油圧ショベルの制御技術を採用することにより、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
イ 相違点3’について
引用発明2の「油圧ショベル」は、移動方向に人物等の「障害物」を検出すると、接触を回避する制御として下部走行体の移動を停止する(下部走行体を走行させる制御を制限する)ことにより、人物等の障害物との接触が回避されて安全が確保できるものである。
そして、引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」と引用発明2の「油圧ショベル」は、「ショベル」との技術分野が共通し、障害物との接触又は衝突を回避して安全を確保する機能が共通することから、引用発明1の「ショベルとして利用される機械100」に引用発明2の制御技術を適用する動機付けがある。
したがって、引用発明1及び引用発明2に基づいて相違点3’に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のものである。
ウ 本願発明の効果
そして、本願発明が奏する効果も、引用発明1、引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
(3)小括
本願発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
5 令和5年12月14日に提出された意見書における主張について
(1)令和5年12月14日に提出された意見書の4において、審判請求人は、概略以下のとおり主張している。
[主張]
本願発明「前記安定度が前記所定基準より下回っている場合、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する」点は、引用文献1-7に全く記載されておらず示唆もされていない。
(2)主張に関する検討
上記第2の[理由]2(7)イで検討したとおり、
「前記制御装置は、当該ショベルの位置から前記トレーラの上面又は前記トレーラの後方の所定位置までの走行経路の安全性が確保されていないと判定する場合、前記制御を制限」すること(制御内容1’)、
及び、
「前記制御装置は、・・・前記安定度が前記所定基準より下回っている場合、前記安定度が前記所定基準に対して相対的に高くなるように、前記アタッチメントを制御する」こと(制御内容2’)、
の一方の制御内容のみの制御をする発明を包含する。
そして、前者の制御内容1’について、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たことは、上記4(2)イで検討したとおりである。
したがって、審判請求人の上記主張は、本願発明は当業者が容易に発明できたものとした上述の判断に影響をもたらさない。
第4 むすび
上記第3のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-009411