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特許拒絶査定不服審判

2024-016481

アスファルトフィニッシャ

審判番号
2024-016481
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-057822
請求日
2024年10月15日
審決日
2026年05月13日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】住友建機株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
審判長/審判官
  • 審判長 川俣 洋史
  • 審判官 殿川 雅也
  • 審判官 門 良成
分類
P18 .121-Z (E01C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-57822「アスファルトフィニッシャ」拒絶査定不服審判事件〔令和4年10月13日出願公開、特開2022-154675〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年3月30日を出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年12月25日付け:拒絶理由通知書 令和6年 4月26日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月16日 :原査定の謄本の送達) 同年10月15日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年4月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「 【請求項1】 トラクタと、 前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、 前記ホッパ内の前記舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、 前記コンベアにより搬送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、 前記トラクタの後部に上下に移動可能な態様で連結され、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、 前記トラクタの後部、又は前記スクリードに設けられ、前記スクリードを、前記舗装材の敷き均しのための、地面に相対的に近い第1の状態と、地面との接触を抑制するための、地面から相対的に離れた第2の状態との間で切り替えるように上下に移動させるための操作部と、を備える、 アスファルトフィニッシャ。」 第3 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 3.特開2016-70057号公報 第4 当審の判断 1 引用文献、引用発明 (1)引用文献3 ア 前記第3の原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に発行された特開2016-70057号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同じ。)。 「【0036】 図1は、路面を作成するための道路舗装機1を示している。道路舗装機は、移動方向Fにおいて左から右に、材料ホッパー2、オペレータキャビン3、横型ディストリビュータ4、さらに舗装スクリード5を備えている。材料ホッパー2から、表面材料は、コンベアシステム(図示せず)により横型ディストリビュータ4に供給され、横型ディストリビュータ4は舗装スクリード5の前に表面材料を拡げ、舗装スクリード5により表面材料を最終的に圧縮する。 【0037】 道路舗装機1のオペレータキャビン3は、操作モジュール7を備えた操作ステーション6を備えている。操作ステーション6の隣にはシート8があり、シート8上にオペレータが座り、操作モジュール7により道路舗装機1の種々の操作機能を調節することができる。図1は、さらに操作モジュール7内に設置されたセンサ部9を示す。センサ部9は、オペレータがオペレータキャビン3内にいる間、操作モジュール7の方にオペレータが接近することを検出するように構成されている。操作モジュール7において、制御部10はセンサ部9のそばに設置される。制御部10は、機能的にセンサ部9に接続され、それによりオペレータが操作モジュール7の方に接近していることが方位センサにより検出されたときに、制御部10が操作機能を作動させる操作コマンドを自動的に生成するように設計されている。 【0038】 図1は、さらに道路舗装機1の駆動部11の概略を示している。駆動部11は、ディーゼルエンジンとして設計されることができる。駆動部11は、いくつかのワークユニット12a、12b、12cに機能的に接続されており、これらのワークユニット12a、12b、12cは駆動部11の操作に応じて道路舗装機1が特定の操作機能を実施するように設計されている。駆動部11から各ワークユニット12a、12b、12cへの動力伝達は、例えば、トランスファーケースとして設計されている、図1による電力ディストリビュータ13を介して生じることができる。図1によるワークニット12a、12b、12cと駆動部11との間には直接の機能的な接続があるけれども、ワークニット12a、12b、12cは、駆動部11から分離されることもでき、それにより、それらの少なくとも一部が、駆動部11の状態/方法に応じて、制御部11により自動的に作動されることができる。 【0039】 図1は、さらに、操作モジュール7に設置された制御部10が道路舗装機1の駆動部11に接続されていることを示している。制御部10は、操作モジュール7に関連したオペレータキャビン3におけるオペレータの位置決めに応じて、道路舗装機1の駆動部11の操作を作動するように構成されており、それにより、とりわけ、操作モジュール7の方へオペレータの所定距離の接近があったときに、制御部10により、駆動部11の始動プロセスが自動的に開始される。その結果、追加の接触式ボタンを押すことは、駆動部11を始動するのに必要がない。 【0040】 ワークユニット12a、12b、12cは、とりわけ材料ホッパー2、横型ディストリビュータ4および道路舗装機1の油圧システム(図示せず)、および/または舗装スクリード5の操作機能を調節する。 【0041】 図2は、図1の操作モジュール7の概略図を示している。操作モジュール7は、種々のボタン14を備えており、これらのボタン14はボタンを押すことにより操作され、道路舗装機1の異なる操作機能を作動するための操作コマンドを実行することができる。ボタン14の下には、操作モジュール7の中にセンサ部9がある。センサ部9は種々のセンサ15を備えている。図2によれば、ボタン14は、センサ15とともに、各作動部16を構成する。各作動部16は、ボタン押圧による接触式か、あるいはセンサ15を介した非接触式の方法により、操作コマンドを制御部に送信して、道路舗装機1の関連操作機能を作動させるように構成されている。したがって、操作コマンドは、オペレータ、すなわち、オペレータのいずれかの身体の一部分が操作モジュール7、とりわけ各ボタン14に近づくと、ボタン14を押すか、センサ15による検出を介する非接触式の方法により、作動部16を介して実施されることができる。 【0042】 ボタン14および/またはセンサ15により制御部10に送信された操作コマンドは、道路舗装機1の関連操作機能を作動させるために制御部10により使用される。図2において、制御部10は、継続して動作コンポーネント17に機能的に接続される。動作コンポーネント17は、道路舗装機1の種々の操作機能を実施する。動作コンポーネント17の1つは、例えば、図1に示す駆動部11であることができる。図2によれば、駆動部11は、ボタンの押圧による接触式および/またはオペレータの身体の一部分の接近による各センサ15の非接触式方法により、作動部16の1つにより調節されることができる。 【0043】 図3は、図1に示す道路舗装機と実質的に同じ構造を有する道路舗装機1’を示す。図3に示す道路舗装機1’は、図1に示す道路舗装機に追加して、舗装スクリード5’上に固定された2つの操作モジュール7’を備えている。2つの操作モジュール7’がこの変形態様に示されているが、1つの操作モジュール7’のみを舗装スクリード5’に取り付けられたものでもよい。操作モジュール7’は、舗装スクリード5’の操作を調節、とりわけ舗装スクリードの加熱、圧縮、振動および/または平滑化パラメータを設定するように構成されている。例えば、平滑シリンダ18およびリフトシリンダ19は、舗装スクリード5’の動きを調節するために操作モジュール7’により制御されることができる。」 「【図1】 [図:0001436759000001.jpg] 」 「【図3】 [図:0001436759000002.jpg] 」 イ 前記ア【0043】の「図3は、図1に示す道路舗装機と実質的に同じ構造を有する道路舗装機1’を示す。図3に示す道路舗装機1’は、図1に示す道路舗装機に追加して、舗装スクリード5’上に固定された2つの操作モジュール7’を備えている。」との記載から、図3に示す道路舗装機1’の、2つの操作モジュール7’以外の構成は、図1に示す道路舗装機と同じであるといえる。 ウ 前記ア【図1】の、オペレータキャビン3、駆動部11、ワークユニット12a、12b、12cを有するユニットを「ユニットA」とすると、前記ア【0036】の「道路舗装機は、移動方向Fにおいて左から右に、材料ホッパー2、オペレータキャビン3、横型ディストリビュータ4、さらに舗装スクリード5を備えている。」との記載をふまえると、移動方向Fにおいて、前から後ろに、材料ホッパー2、ユニットA、横型ディストリビュータ4、舗装スクリード5を備えるといえる。 エ 前記ア【図3】から、操作モジュール7’が、舗装スクリード5’の後部に設けられることが看取できる。 オ 前記ア~エをふまえると、引用文献3には下記の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 「前から後ろに、材料ホッパー2、ユニットA(オペレータキャビン3、駆動部11、ワークユニット12a、12b、12cを有するユニット)、横型ディストリビュータ4、舗装スクリード5’を備える道路舗装機1’であって(イ、ウ)、 材料ホッパー2から、表面材料は、コンベアシステムにより横型ディストリビュータ4に供給され、横型ディストリビュータ4は舗装スクリード5の前に表面材料を拡げ、舗装スクリード5’により表面材料を最終的に圧縮し(【0036】)、 ワークユニット12a、12b、12cは、材料ホッパー2、横型ディストリビュータ4および道路舗装機1の油圧システム、および/または舗装スクリード5’の操作機能を調節し(【0040】)、 操作モジュール7’が、舗装スクリード5’の後部に設けられ(エ)、舗装スクリード5’の操作を調節するように構成されており、リフトシリンダ19が、舗装スクリード5’の動きを調節するために制御される(【0043】)、 道路舗装機1’」 (2)引用文献6 ア 原査定で引用された、本願の出願前に発行された特開2015-59401号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0031】 同図において、アスファルトフィニッシャ1は、前輪2aと後輪2bに支持された車体3と、該車体3のパワーユニット4内に搭載されているエンジン5(図1参照)の動力で走行する自走式の車両(走行車両)6と、該車両6の前部に設けられたアスファルト合材を収容するためのホッパ装置7と、前記車両6の後部に車体3の幅方向(図1で上下方向、図2で紙面に垂直な方向)に向けて支持されているスクリュ(送出装置)8と、前記ホッパ装置7の底部とスクリュ8との間において前記車体3にその前後方向(図1、図2で左右方向)に沿って設けられているコンベア(フィーダ装置)9と、前端を車両6の前後方向における中央の両側部に回動自在に支持され、後端部をシリンダ10で車体3に上下動可能に支持されているレベリングアーム11と、該レベリングアーム11の後端に支持され、かつ、シリンダ(図示せず)で上下に回動可能となっている車両6の幅方向に伸縮自在のスクリード装置12と、操縦装置14を有する運転席15とを備えている。なお、このアスファルトフィニッシャ1の構成は、従来のアスファルトフィニッシャの構成と基本的に同一になっている。 【0032】 図3は図1及び図2に示したアスファルトフィニッシャ1に搭載された発電機制御装置を構成しているパワー系統の回路図である。同図において、同図において、この制御系では、道路舗装機械であるアスファルトフィニッシャ1の全体を、決められた手順に従って制御するためのコントローラ20を備えている。該コントローラ20は、主としてマイクロコンピュータからなる。」 「【0036】 また、発電機用油圧モータ27は、高速回転と低速回転の2段階に切り替え可能な2速油圧モータである。そして、コントローラ20は、運転席に配置された運転席パネル29のスイッチ30a及スイッチ30bの2つのスイッチが共にオフ状態のときには未施工モードで負荷が少ないと判断して発電機用油圧モータ27を高速で回転させるモードに切り替え、反対に、スイッチ30a及スイッチ30bの2つのスイッチが共にオン状態に切り替えると施工モードで負荷が大きいと判定し、発電機用油圧モータ27を低速で回転させるモードとなるように、施工の負荷に応じて電磁比例弁104及び電機用油圧モータ27を制御するようになっている。なお、本実施例では、アスファルトフィニッシャ1における施工負荷に応じて加熱能力を切り替えるために、発電機用油圧モータ27の回転を高速・低速の2段階に切り替えているが、必ずしも2段階でなく、2段階以上の多段階であってもよい。 【0037】 また、本実施例では、前記スイッチ30aは、スクリュ8及びコンベア9の動作を制御させるための信号をコントローラ20に入力するためのスイッチであり、コントローラ20は、スイッチ30aがオン操作されるとスクリュ105及びコンベア107の作動を開始させ、オフ操作されると停止させる。前記スイッチ30bは、スクリード装置12の動作を制御させるための信号をコントローラ20に入力するためのスイッチであり、コントローラ20は、スイッチ30bがオン操作されると、スクリード装置12を路面上に下げて締め固め走行を行う施工モードに切り替え、オフ操作されるとスクリード装置12を上昇させて路面から離す休止モードに切り換えるようになっている。」 イ 前記アから、引用文献6には下記の事項が記載されており、当該事項はアスファルトフィニッシャの分野において周知の技術(以下「周知技術」という。)であると認められる。 「シリンダで上下に回動可能となっているスクリード装置を備えるアスファルトフィニッシャにおいて(【0031】)、スイッチがオン操作されると、スクリード装置を路面上に下げて締め固め走行を行う施工モードに切り替え、オフ操作されるとスクリード装置を上昇させて路面から離す休止モードに切り換える(【0037】)技術」 2 対比 本願発明と引用発明3を対比する。 (1)前者の「アスファルトフィニッシャ」と後者の「道路舗装機1’」は、道路の舗装する材料として通常アスファルトを用いることをふまえると、「アスファルトフィニッシャ」である点で一致する。 (2)後者の「ユニットA」は、「材料ホッパー2」、「横型ディストリビュータ4」、「舗装スクリード5’」と共に「道路舗装機1’」を構成するものであって、「材料ホッパー2、横型ディストリビュータ4および道路舗装機1の油圧システム、および/または舗装スクリード5の操作機能を調節」する「ワークユニット12a、12b、12c」、「駆動部11」を有するから、前者の「トラクタ」に相当する。 (3)後者の「材料ホッパー2」は、「ユニットA」よりも前に位置し、「表面材料」を「横型ディストリビュータ4」に供給するものであって、道路舗装機のホッパーには材料が供給されるとの技術常識、前記(2)をふまえると、前者の「前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパ」に相当する。 (4)後者の「コンベアシステム」は、「表面材料」を「材料ホッパー2」から、「ユニットA」の後ろに位置する「横型ディストリビュータ4」に供給するものであるから、前者の「前記ホッパ内の前記舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベア」に相当する。 (5)後者の「横型ディストリビュータ4」は、「ユニットA」の後ろに位置する「舗装スクリード5」の前に表面材料を拡げるものであって、道路舗装機において、コンベヤ装置によりスクリード前方中央部に運ばれた材料をスクリード前面へ均一に送る装置として、スクリューを使用することは技術常識であるので、前者の「前記コンベアにより搬送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュ」に相当する。 (6)後者の「舗装スクリード5’」は、「リフトシリンダ19」によりその動きを調節されるから、上下方向の動きを調節されるものであるといえる。 また、後者の「舗装スクリード5’」は、「ワークユニット12a、12b、12c」によりその「操作機能」を調節されるから、「ワークユニット12a、12b、12c」を有する「ユニットA」と接続されているといえる。 さらに、後者の「舗装スクリード5’」は、「横型ディストリビュータ4」により「拡げ」られた「表面材料」を「最終的に圧縮」し、「ユニットA」の後ろに位置するものである。 そうすると、後者の「舗装スクリード5’」は、前者の「前記トラクタの後部に上下に移動可能な態様で連結され、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリード」に相当する。 (7)後者の「操作モジュール7’」は、「ユニットA」の後ろに位置する「舗装スクリード5’」の「後部に設けられ」、「舗装スクリード5’」の動きを調節するために「リフトシリンダ19」を制御するものであるから、上下方向の動きを調節するものであるといえる。 そうすると、前者の「操作部」と後者の「操作モジュール7’」は、「前記トラクタの後部、又は前記スクリードに設けられ、前記スクリードを上下に移動させるための操作部」である点で一致する。 (8)後者の「道路舗装機1’」は、「材料ホッパー2、ユニットA(オペレータキャビン3、駆動部11、ワークユニット12a、12b、12cを有するユニット)、横型ディストリビュータ4、舗装スクリード5’を備える」ものであるから、前記(1)~(7)をふまえると、前者の「アスファルトフィニッシャ」と後者の「道路舗装機1’」は、「トラクタと、ホッパと、スクリュと、スクリードと、操作部と、を備える」ものである点で一致する。 (9)以上のとおりであるから、本願発明と引用発明3は、 「トラクタと、 前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、 前記ホッパ内の前記舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、 前記コンベアにより搬送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、 前記トラクタの後部に上下に移動可能な態様で連結され、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、 前記トラクタの後部、又は前記スクリードに設けられ、前記スクリードを上下に移動させるための操作部と、を備える、 アスファルトフィニッシャ。」 で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明は、「操作部」が「前記スクリードを、前記舗装材の敷き均しのための、地面に相対的に近い第1の状態と、地面との接触を抑制するための、地面から相対的に離れた第2の状態との間で切り替えるように上下に移動させるため」のものであるのに対し、引用発明3の「操作モジュール7’」は「舗装スクリード5’」の上下方向の動きを調節するものであるといえるものの、具体的な動きが不明である点。 3 判断 (1)相違点1について ア 前記1(2)イに示したとおり、シリンダで上下に回動可能となっているスクリード装置を備えるアスファルトフィニッシャにおいて、スイッチがオン操作されると、スクリード装置を路面上に下げて締め固め走行を行う施工モードに切り替え、オフ操作されるとスクリード装置を上昇させて路面から離す休止モードに切り換える技術は周知の技術である。 イ 引用発明3と周知技術は、共にアスファルトフィニッシャの技術分野に属する技術であって、スイッチの操作によりシリンダによりスクリード装置を上下移動させる機能が共通している。 また、引用発明3は「リフトシリンダ19」の制御によって、「舗装スクリード5’」の上下方向の動きを調節するものであるといえるところ、この上下方向の動きに何ら制限もないことから、引用発明3の「舗装スクリード5’」の上下方向の具体的な動きとして、周知技術を採用し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜設計し得た事項である。 ウ また、本願発明の効果も、引用発明3、及び周知技術から、当業者が予測し得る程度のものといえる。 (2)令和6年10月15日に提出された審判請求書の主張について ア 審判請求人の主張の概要 審判請求人は、令和6年10月15日に提出された審判請求書の3.において、概略次の主張をしている。 (ア)「引用文献6には、アスファルトフィニッシャ運転席パネル29にスクリード装置12を上下させるためのスイッチ30b(本願発明1の「操作部」に対応)が設けられることが開示されているだけであり、本願発明1のように、「操作部」が「前記トラクタの後部、又は前記スクリードに設けられ」ること・・・は全く開示されておりませんし示唆もされておりません。」 (イ)「例えば、アスファルトフィニッシャのオペレータは、駐機位置までの移動時に運転席の操作部を操作し、スクリードを上げた状態にすることで、路盤の損傷を防止することができ、駐機位置に到着した後に、運転席の操作部を操作し、スクリードを下げた状態にすることで、降車することができ、その後、駐機中に下がった状態のスクリードからアスファルトフィニッシャに乗車することができ、乗車後の作業場所への移動時に、運転席で操作部を操作し、スクリードを上げた状態にすることで、路盤の損傷を防止することができます。そのため、引用文献1~4の何れかに対して、運転席に設けられる操作部(引用文献6のスイッチ30b)を適用することによって、路盤の損傷を防止し且つオペレータの降車及び乗車のためにスクリードを上下させるための自動化が既に実現されており、運転席に設けられる操作部を、本願発明1のように、「前記トラクタの後部、又は前記スクリードに設けられ、前記スクリードを、前記舗装材の敷き均しのための、地面に相対的に近い第1の状態と、地面との接触を抑制するための、地面から相対的に離れた第2の状態との間で切り替えるように上下に移動させるための操作部」に置換したり・・・する必然性や動機付けが全く存在し得ません。」 (ウ)「アスファルトフィニッシャの駐機中には、アスファルトフィニッシャは稼働しておらず且つ作業場所とは異なる駐機場所に移動済みであることから、スクリードが下がった状態であっても路盤を損傷させることがないという認識が当業者にとっての出願時の技術常識であり、本願発明の明細書の記載(段落0038,0118,0135参照)のように、駐機状態でも路盤の損傷を防止する必要があるような状況(例えば、作業場所で一時的に駐機するような状況)でのオペレータの乗車及び降車に対応する必要性に関する課題は、出願時において、当業者には全く認識されていないものです。そのため、引用文献1~4の何れかに対して、運転席に設けられる操作部(例えば、引用文献6のスイッチ30b)を適用する際に、本願発明1のように、「前記トラクタの後部、又は前記スクリードに設けられ、前記スクリードを、前記舗装材の敷き均しのための、地面に相対的に近い第1の状態と、地面との接触を抑制するための、地面から相対的に離れた第2の状態との間で切り替えるように上下に移動させるための操作部」に置換したり・・・する必然性や動機付けが全く存在し得ません。」 イ 審判請求人の主張についての見解 (ア)前記ア(ア)の主張について 本願発明(審判請求書に記載の「本願発明1」に対応する。)のように、「操作部」が「前記トラクタの後部、又は前記スクリードに設けられ」ることは、前記2(7)に示したとおり引用発明3に記載されており、この点は相違点とならない。 そして、前記(1)に示したとおりであるから、当該主張は採用できない。 (イ)前記ア(イ)、(ウ)の主張について 前記1(2)イに示したとおり、シリンダで上下に回動可能となっているスクリード装置を備えるアスファルトフィニッシャにおいて、スイッチがオン操作されると、スクリード装置を路面上に下げて締め固め走行を行う施工モードに切り替え、オフ操作されるとスクリード装置を上昇させて路面から離す休止モードに切り換える技術は周知の技術であって、スクリード装置を上昇させて路面から離す休止モードでは路盤の損傷を防止することができることは明らかであるので、周知技術は、「駐機状態でも路盤の損傷を防止する必要があるような状況(例えば、作業場所で一時的に駐機するような状況)でのオペレータの乗車及び降車に対応する必要性に関する課題」を解決することができるといえる。 また、引用発明3には明示されていないものの、アスファルトフィニッシャの技術分野において、確実に路盤を損傷させないようにするという課題は当然に認識されているといえるので、引用発明3に「駐機状態でも路盤の損傷を防止する必要があるような状況(例えば、作業場所で一時的に駐機するような状況)でのオペレータの乗車及び降車に対応する必要性に関する課題」を解決することができる周知技術を採用する動機付けはあるといえるし、引用発明3は「リフトシリンダ19」の制御によって、「舗装スクリード5’」の上下方向の動きを調節するものであるといえるところ、この上下方向の動きに何ら制限もないことから、周知技術を採用することに阻害要因は認められない。 そして、前記(1)に示したとおりであるから、当該主張は採用できない。 なお、本願発明はアスファルトフィニッシャの発明であって、審判請求人が主張する、駐機位置と乗り降りの関係は、アスファルトフィニッシャの構成等を何ら特定するものではないから、審判請求人の当該主張は採用できない。 (ウ)よって、審判請求人の前記アの主張は、前記2、3の判断を左右するものでなく採用できない。 4 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明3、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 したがって、結論のとおり審決する。

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2024-016481

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