特許拒絶査定不服審判
2024-005330
プロセス流体圧力トランスミッタのための高圧カプセル及びヘッダー
- 審判番号
- 2024-005330
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-518296
- 請求日
- 2024年03月29日
- 審決日
- 2025年05月29日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ローズマウント インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人 津国
- 審判長/審判官
- 審判長 道祖土 新吾
- 審判官 谷垣 圭二
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .121-Z (G01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-518296号「プロセス流体圧力トランスミッタのための高圧カプセル及びヘッダー」拒絶査定不服審判事件〔令和3年4月1日国際公開、WO2021/061409、令和4年11月22日国内公表、特表2022-548989号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)9月10日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2019年9月23日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。以下、2019年9月23日を「優先日」という。
令和4年 5月17日 :翻訳文の提出
令和5年 5月26日付け:拒絶理由通知書
同年 9月 7日 :意見書、手続補正書の提出
同年11月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年12月 5日 :原査定の謄本の送達)
令和6年 3月29日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 5月24日付け:前置報告書
同年 7月23日 :上申書の提出
2 本願発明の認定等
(1) 本願発明の認定と分説
本願の請求項1~12に係る発明は、令和6年3月29日に提出された手続補正書により補正された請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりのものであると認める。
なお、請求項1の記載は、令和6年3月29日に提出された手続補正書により補正されていない。
ここで、検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Eまでに分説する。分説するにあたり、適宜改行を加えて表記した。
また、参考図として、本願の【図4】を符号の説明とともに示す。
<本願発明>
「【請求項1】
(構成X) プロセス流体圧力トランスミッタのための圧力カプセル/ヘッダーアセンブリであって、
(構成A) アイソレータプラグであって、その第一の端部に分離ダイアフラムを、そして該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有し、該第一の端部を該第二の端部に流体結合する充填流体通路を有する、アイソレータプラグと;
(構成B) 圧力センサを保持するように構成されている第一の端部、及び該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有するヘッダーであって、該第一の端部から該第二の端部へ延びる少なくとも1つの電気相互接続を有する、ヘッダーと;
(構成C) 該ヘッダーの外表面周りに配置される二軸支持リングであって、該二軸支持リング及び該ヘッダーは、それらの間にテーパー状の干渉境界面を画定する、二軸支持リングと、
を含み、
(構成D) 該ヘッダーは、第一の溶接部で該アイソレータプラグに溶接され、
(構成E) 該二軸支持リングは、該ヘッダーの該第二の端部から間隔をおいた場所で該アイソレータプラグに溶接される、
(構成X) 圧力カプセル/ヘッダーアセンブリ。」
<参考図(【図4】)>
[図:0001428681000001.jpg]
300:システム 202:プロセスコネクタ
204:プロセス流体入口 206:分離ダイアフラム
314:アイソレータプラグ 315:第一の端部
317:第二の端部 318:ヘッダー
319:充填流体通路 320:ヘッダー溶接部
322:二軸支持リング 324:ヘッダーの外径
326:矢印によって示される方向 328:誇張された角度
330:リング溶接部
(2) 本願発明に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願発明の技術上の意義の概略を理解するために、本願明細書の発明の詳細な説明の記載等を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は審判合議体が付したものである。
ア 本願発明の技術分野、背景技術についての記載
「【技術分野】
【0001】
背景
工業プロセス流体圧力トランスミッタは、化学、パルプ、石油、製薬、食品及び/又は他の流体処理プラントにおいて、スラリー、液体、蒸気又はガスのような工業プロセス流体の圧力を測定するために使用される。工業プロセス流体圧力トランスミッタはしばしば、プロセス流体の近くに、又は野外応用で設置される。しばしば、これらの野外応用は、そのようなトランスミッタの設計者に難題を与える、苛酷かつ変化する環境条件の影響を受ける。
【0002】
多くのプロセス流体圧力トランスミッタ内の検知要素はしばしば、静電容量に基づく又は抵抗に基づくセンサである。分離ダイアフラムは一般的に、プロセス流体を電気的に活性の検知要素から隔離するために使用され、それによって、時には、刺激が強い、腐食性の、汚れている、汚染されている又は極めて高温になる場合があるプロセス流体が、圧力トランスミッタの電気部品と相互作用するのを防ぐ。
【0003】
一般的に、プロセス流体は、分離ダイアフラムに対して作用して、ダイアフラムの後ろにある実質的に非圧縮性の充填流体を動かす、またはそうでなければ移動させる分離ダイアフラムの反れを発生させ、それが圧力センサの検知ダイアフラムの付随する動きを発生させる。圧力センサは、加えられる圧力によって変わる静電容量又は抵抗のような電気的特徴を有する。電気的特徴は、プロセス流体圧力に関連する出力信号を提供するために、プロセス流体圧力トランスミッタ内部の測定回路機構を使用して測定される。出力信号はさらに、既知の業界標準の通信プロトコルに従ってフォーマットされ、プロセス通信ループを介して他の野外装置又はプロセスコントローラへ送られることができる。
【0004】
インラインプロセス流体圧力トランスミッタは一般的に、プロセス流体圧力源に結合され得る単一のプロセス流体圧力入口を有し、そしてプロセス流体圧力の示度を提供する。この示度は、ゲージ示度のような気圧に対するもの、又は絶対圧力測定のような真空に対するものであることができる。高い最大作業圧力(MWP)の影響を受けるインライン圧力トランスミッタは、特有の設計上の難題を提示する。最大作業圧力の単一の適用に耐えることができる構造を単に提供するだけでは、最大作業圧力まで及びそれを超える反復変位による疲労に耐えるのに十分に堅牢でない場合がある。したがって、海底油井及びガス井のような成長する高圧市場にとって、そのような環境におけるより高圧での長時間使用に適したインラインプロセス流体圧力トランスミッタを提供することが望ましい。」
イ 本願発明の解決しようとする課題についての記載
「 【0012】
図3は、従来技術に従うインラインプロセス流体圧力トランスミッタの一部分の概略図である。図3は、プロセス流体入口204を通って入るプロセス流体の源に据え付けられる、そうでなければ結合されるように構成されているプロセスコネクタ202を有するプロセス部分200を例示する。プロセス流体は、分離ダイアフラム206を圧迫し、そしてプロセス流体の圧力は、分離ダイアフラムの動きを、ひいては通路208内部の分離流体の動きを引き起こす。通路208は、圧力センサ212が内部に存在するチャンバ210に流体結合される。したがって、プロセス流体が分離ダイアフラム206を圧迫すると、そのような圧力は、充填流体を通じて圧力センサ212に伝達され、そこで該圧力が検知される。見ることができるように、アイソレータプラグ214は、雄ネジ216を介してプロセスコネクタ202内部でねじ係合されるように構成されている。」
「【図3】
[図:0001428681000002.jpg]
」
「【0013】
圧力センサ212は、ヘッダー218に据え付けられる。ヘッダー218は、圧力センサ212をチャンバ210内部に閉じ込めるように、焼きばめプロセスによってアイソレータプラグ214内に取り付けられる。最後に、溶接部220が、ヘッダー218をアイソレータプラグ214の上方領域215に接着及びシールするために、ヘッダー218の端部周りに適用される。以下でより詳細が記載されるように、従来技術の構成に改善を加えることができる。より具体的には、本明細書に提供される態様は、より高い作業圧力範囲を提供するだけではなく、それを製造の容易さ及びより高い内部品質を伴って行う、高圧カプセル及びヘッダー設計の提供を容易にするであろうと考えられる。以下でより詳細に説明されるように、改善は、溶接部疲労及び/又はガラスシール圧縮に対処することができると考えられる。
【0014】
図3を参照して説明された従来技術の設計は、洗浄性に関して言えば、部分的にはより深いピンウェルのため、難題となる可能性がある。ガラス被覆(glassing)にひびが入った場合、そのようなひびが入ったガラスは、アセンブリから汚染物質を適切に洗浄することをより困難にする。熱焼きばめからの残留応力と組み合わせて溶接部220(図3に示されている)を生成するプロセスの間に生じる高い熱応力は、ヘッダーバルク材料において表面ひびの形成をもたらす。そのようなひびの潜在的な生成は、通常、すべての部品がカプセル製造の最後に100%視覚によって検査されて、酷くひびが入ったいかなるユニットも、再加工される又は廃棄されることなく生産のさらに先に進むのを防ぐ必要がある。溶接プロセスの間に生じる可能性がある別の困難は、ポート(図3に示される充填管222のような)をシールするろう付けが、その溶接部への近接に起因して、ろう付けが本質的にはリフローするような温度まで、加熱される可能性があるということである。これは望ましくなく、そしてろう付け接合のための最良の実践であるとみなされない。
【0015】
先の設計及びそのような設計によって提供される難題の理解の下、本発明の態様は、熱焼きばめ作業をなくすだけでなく、ヘッダーのガラス被覆及び/又はろう付けに有害な影響を及ぼす可能性がはるかに低い場所へ、ヘッダー/アイソレータプラグ溶接部を動かす。」
ウ 本願発明の構成についての記載
「【0016】
図4は、本発明の態様に従うインラインプロセス流体圧力トランスミッタのための高圧カプセル及びヘッダー設計の概略図である。システム300は、システム200といくつかの類似点を有し、そして同様の構成要素は、同様に番号が付されている。示されているように、システム300は、プロセス流体入口204を有するプロセスコネクタ202及び分離ダイアフラム206を含む。加えて、アイソレータプラグ314は、分離ダイアフラム206に近接した第一の端部315、及び第一の端部315から間隔をおいて配置された第二の端部317を有する。充填流体通路319は、第一の端部315を第二の端部317に流体結合する。アイソレータプラグ314は、アイソレータプラグ214(図3に示されている)がプロセスコネクタ202と係合するのとほぼ同じ方法で、プロセスコネクタ202とねじ係合するように構成されている。しかしながら、ヘッダー318がアイソレータプラグ314に結合される手法は、図3に示される設計とは有意に異なる。特に、ヘッダー318は、アイソレータプラグ314の第二の端部317に近接したヘッダー溶接部320で、アイソレータプラグ314に溶接される。一つの態様では、溶接部320は、レーザー溶接部である。もう一つの態様では、溶接部320は、プロジェクション溶接部であってもよい。さらに別の態様では、溶接部320は、レーザー溶接部とプロジェクション溶接部との組み合わせである。好ましくは、溶接部320は、完全溶け込み溶接部である。しかしながら、本明細書において記載される態様は、溶接部320が部分溶け込み溶接される場合に実施されることもできる。
【0017】
溶接部320は、ヘッダー318を一周してアイソレータプラグ314にシールする。ゆえに、ヘッダー溶接部320は、ヘッダー318とアイソレータプラグ314との間の境界面を完全に制限する連続溶接部である。溶接部320は、二軸支持リング322がアセンブリ上に設置される前に生成される。
【0018】
ヘッダー318は、圧力センサがプロセス流体圧力に動作可能に結合されるように、圧力センサを保持する、またはそうでなければ据え付けるように構成されている。ヘッダー318はまた、ガラス又は別の好適な高圧材料でシールされた1つ又は複数の高圧電気フィードスルーを含む。さらに、ヘッダー318はまた、プロセス流体圧力トランスミッタの組み立ての間に充填流体が通路319内に導入されるのを可能にするように構成されている、充填流体通路を含む。
【0019】
ひとたびヘッダー溶接部320が生成されたら、二軸支持リング322は、矢印326によって示される方向にヘッダー318の外径324上をスライドされ、次にそれがプラグ314に接触するまでヘッダー318上で押し下げられる。加えて、誇張された角度328によって示されるように、ヘッダー318の外径と二軸支持リング322の内径との間の境界面は、テーパー状の締まりばめを生成するように構成されており、そして自動ロック式(self-locking)テーパー角度を提供する。一つの態様では、この自己ロック式テーパー角度は、軸方向1フィート当たり半径方向に約1/4インチである。二軸支持リング322がヘッダー318を覆うように設置されると、支持リング322は、溶接部320に近接し、かつヘッダー318の上部表面から間隔をおいて配置されたリング溶接部330でアイソレータプラグ314に溶接される。」
3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性の欠如の理由の要旨は、次のとおりである。
本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特表平11-504710号公報
引用文献2:特開2014-194388号公報
4 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
(1) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(特表平11-504710号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は審判合議体が付したもので、後記ウにおいて引用発明の認定に直接用いる記載を示す。
(ア) 【特許請求の範囲】
「1. プロセスラインに接続することができ、上記プロセスラインの圧力に応答する出力を供給するトランスミッタであつて、
その内部に形成された内部空所に向けて延在する開口の周りの壁を形成するハウジングと、
上記圧力を検知するためのセンサと、
上記センサに接続されて上記出力を供給する回路と、
上記開口内にマウントされており、上記プロセスライン内の流体を上記内部空所から隔離する隔離組立体であつて、
上記開口内に配置されて、上記ハウジングに結合された隔離プラグであって、通路を介して上記プラグの遠方端に上記圧力を結合するダイヤフラムをその内部に有する隔離プラグ、
上記センサを保持するセンサ空洞を形成するようにプラグの上記遠方端に結合され、上記通路から上記圧力を受けるヘッダ、および
上記隔離プラグおよび上記ヘッダに結合されたリング部材より成る隔離組立体とを具備した圧力トランスミッタ。
2. 上記ヘッダを上記プラグの遠方端に結合する第1の環状溶接部と、
上記リング部材を上記ヘッダに結合する第2の環状溶接部と、
上記リング部材を上記隔離プラグに結合する第3の環状溶接部とをさらに有する請求の範囲1に記載された圧力トランスミッタ。
3. 第1の端部から第2の端部に延在する中ぐり穴(ボア)を有するコネクタであつて、上記コネクタは上記第1の端部において上記プロセスラインに接続可能であり、且つ上記第2の端部において上記隔離プラグに結合される請求の範囲1に記載された圧力トランスミッタ。
4. 環状溶接部が上記コネクタの上記第2の端部を上記プラグに接続する請求の範囲3に記載された圧力トランスミッタ。
5. 上記ヘッダを貫通して延在する第2の通路が第2の圧力を上記センサに結合する請求の範囲1に記載された圧力トランスミッタ。
6. 上記ヘッダと上記リング部材との対向表面間に形成された凹所が第2の通路に開通し、上記第2の圧力に結合する請求の範囲5に記載された圧力トランスミッタ。
7. 上記プラグ内に形成された第3の通路が上記第2の通路と流体的に連通する請求の範囲5に記載された圧力トランスミッタ。
8. 上記壁面はねじ部分に沿つて上記プラグに螺合し、上記第3の通路は上記ネジ部分から離れた開口を有する請求の範囲7に記載された圧力トランスミッタ。
9. 上記第2の通路の開口の周りで、その第1の端部をエポキシでヘッダに結合されたチューブは、上記センサ空洞内で上記センサを支持し、上記第2の圧力を上記センサに結合する請求の範囲5に記載された圧力トランスミッタ。
(後略)」
(イ) 8頁10行~9頁4行、【図1】
「 好ましい実施例の詳細な説明
この発明の隔離マウント組立体12を有するトランスミッタ10が、第1図に示されている。トランスミッタ10は、ベース16を有するハウジング14と、ネジ19でベース16に結合されたハウジング・アダプタ17と、本体拡大部18を含んでいる。ハウジング・アダプタ17は、この発明の隔離マウント組立体を受入れる開口20を含んでいる。隔離マウント組立体12と、以下に記載するトランスミッタ10の他の構成部品とを除いたとすると、開口20は本体拡大部18の内部に形成された内部空所22に通じている。
隔離マウント組立体12は、ここでは矢印24によつて示されるプロセス流体が内部空所22に浸入することを阻止する。一般に、プロセス・パイプ(図示されない)には、柔軟な隔離ダイヤフラム26と接触するように、プロセス流体24が流れている。プロセス流体24は隔離ダイヤフラム26に圧力を及ぼす。通路28内に供給された相当量の充満流体は、同様に充満流体で満たされているセンサ空洞32に具備された圧力センサ30にプロセス流体圧力を伝達する。
リード線36は圧力センサ30を前置回路38に接続し、次いでリード線40を介してトランスミッタ回路42に順に接続する。先行技術によって知られているように、外部直流電源44は、ポート48を通してトランスミッタ10内に導入される撚り線対46を介し、トランスミッタ回路42に電力を供給する。撚り線対46は、リード線52を介してトランスミッタ回路42に接続されている端子ブロック50上で終端している。カバー54A、54Bは端子ブロック50とトランスミッタ回路42に各々アクセスすることを許容する。
図示された実施例において、圧力センサ30は、センサ空洞32内で圧力に応答する歪みゲージ(図示されない)を有する既知の半導体タイプのものである。」
「【図1】
[図:0001428681000003.jpg]
」
(ウ) 9頁15行~10頁10行、【図2】
「 第2図は、隔離マウント組立体12と、この発明の目的のためには、ハウジング14の一部とみなされるハウジング・アダプタ17とを図示している。なお、この実施例においては、ハウジング・アダプタ17は隔離マウント組立体12を受入れているが、ハウジング・アダプタ17がハウジング14とは分離可能な部材である必要はないことは、理解されねばならない。換言すれば、仮にベース16が隔離マウント組立体12を受入れるように適当に設計されるならば、隔離マウント組立体12は直接ベース16に固定することができる。
ハウジング・アダプタ17は開口20の形状を定める環状壁62を提供する。図示された実施例において、隔離マウント組立体12は、コネクタ64、隔離プラグ66、ヘッダ68、及び環状のヘッダリング70を含み、その各々はステンレス鋼(SST 316)のような適当な耐腐食金属から作られている。外向きネジすなわち雄ネジ72は、隔離プラグ66に設けられており、また隔離マウント組立体12をハウジングアダプタ17にマウントするために、壁62の内表面76上の内向きネジすなわち雌ネジ74と螺合する。好ましくは、雄ネジ72および雌ネジ74は、この螺合接触に沿つて炎抑止経路が形成されることを保証するための、(螺合による)密接合を与えるクラス1のネジである。
コネクタ64は、トランスミッタ10をプロセス流体24のソースに接続するための手段を提供する。コネクタ/隔離プラグ間の継ぎ目構造体67は、コネクタ64を隔離プラグ66に結合する。図示された実施例では、コネクタ/隔離プラグ間の継ぎ目構造体67は、環状の溶接部82と補強ネジ80より成つている。ネジ80は隔離プラグ66の延長部86上に形成された対応するネジ84と螺合する。隔離ダイヤフラム26は、既知の方法で延長部分86に結合され、充満流体をプロセス流体24から隔離する。」
「【図2】
[図:0001428681000004.jpg]
」
(エ) 10頁11行~11頁16行、【図3】
「 次に、第3図を参照すると、環状の溶接部82はコネクタ64と隔離プラグ66のおのおの相対向する面90、92を結合する。好ましくは、図示されるように、相対する面90、92は環状形状であり、コネクタ64と隔離プラグ66内におのおの設けられた溝94、96から形成される。表面90、92の内部環状端部が実質的に整列されるように、溝94、96は配置される。表面90、92の内部の環状端部を整列することによつて、相対する平面90、92の間の応力集中は最小化され、それによつて環状溶接部82によつて形成された継ぎ目構造体を強化している。
環状溶接部100は、センサ空洞32を形成するために、ヘッダ68を隔離プラグ66の端部102に結合する。好ましくは、端部102は延長リング部104を含み、一方、ヘッダ68も延長リング部105を有する。延長リング部104は、延長リング部105の上で、凹んだ外部環状面108に面する環状面106を形成する。ヘッダ68を隔離プラグ66の端面102に整列させるために、図示されたように、各々の側壁が重なり合うように延長リング部104、105は精密加工されている。
圧力センサ30は、絶対圧力用トランスミッタの場合は、例えばシリコーンRTVコンパウンドのような既知の方法で、ヘッダ68に固定される。その一つが120で図示される複数の穴を通して導体122が配線され、該導体122は圧力センサ30と前置回路基板38に電気的に接続される。ガラスシール124は、金属ヘッダ68から導体122を電気的に絶縁すると共に、これを確実に固定する。油が充満されたチューブ(管)126は、ヘッダ68の中にろう接合され、センサ空洞32と通路28を充満流体で満すための、センサ空洞32へのアクセスを提供する。充満された後に、油が充満したチューブ126は溶接により封止される。センサ空洞32内に配設されたスペーサ128はセンサ空洞32の容積を減らし、それによつて充満流体の量を減らしている。
環状の溶接部134、136は、ヘッダリング70をヘッダ68と隔離プラグ66に結合する。ヘッダリング70と、環状溶接部100、134及び136とが隔離プラグ/ヘッダ継ぎ目構造体101を構成しいる。ヘッダリング70と環状溶接部134、136とが環状溶接部100を補強するので、ヘッダ68は隔離プラグ66により強固に固定される。希望する場合、内部空所22をより確かに隔離し、かつシールするために、ヘッダリング70と共に、Oリングシール140がハウジング・アダプタ17の内面と接触するように使用されることができる。」
「【図3】
[図:0001428681000005.jpg]
」
(オ) 11頁16行~同頁下から2行
「第1図にもどり、その内部に前置回路基板38を固定し、さらに内部空所22をシールするために、ハウジング・アダプタ17の空洞146の内部にポッティング材144が配置される。
上述のように、隔離マウント組立体12は、内部空所22をプロセス流体24から隔離する。内部空所22に入るプロセス流体24のためのもつとも可能性の高い流路が、隔離ダイヤフラム26から始まつてセンサ空洞32を通して延在するように、コネクタ/隔離プラグ継ぎ目構造体67と隔離プラグ/ヘッダ継ぎ目構造体101が補強されているので、隔離マウント組立体12は特に高圧に応用するのに適している。しかし、仮にプロセス流体24がセンサ空洞32に入るならば、それによつてセンサ30が誤動作を生ずるであろう。トランスミッタ回路42はセンサ30の誤動作を検出して警報表示をなし、プロセス流体24がヘッダ68を腐食させてしまって内部空所22に浸入する前に、トランスミッタ10の問題点をオペレータに通知する。」
イ 引用文献1の図面の記載から認定した事項
(ア) 認定事項1
前記ア(ウ)において摘記した図2から、引用文献1には、次の事項(以下「認定事項1」という。)が記載されていると認められる。
<認定事項1>
「隔離プラグ66は、上下方向に沿って間隔をおいて配置された二つの端部を有しており、下方の端部において隔離ダイヤフラム26を有しており、下方の端部と上方の端部が流体結合する通路28を有していること。」
(イ) 認定事項2
前記ア(ウ)、(エ)において摘記した図2、図3から、引用文献1には、次の事項(以下「認定事項2」という。)が記載されていると認められる。
<認定事項2>
「ヘッダ68は、上下方向に沿って間隔をおいて配置された二つの端部を有しており、下方の端部において圧力センサ30が保持されており、下方の端部から上方の端部へ延びる導体122を有していること。」
(ウ) 認定事項3
前記ア(ウ)、(エ)において摘記した図2、図3から、引用文献1には、次の事項(以下「認定事項3」という。)が記載されていると認められる。
<認定事項3>
「環状のヘッダリング70は、ヘッダ68の外表面周りに配置されていること。」
(エ) 認定事項4
前記ア(エ)において摘記した図3から、引用文献1には、次の事項(以下「認定事項4」という。)が記載されていると認められる。
<認定事項4>
「環状の溶接部134は、ヘッダ68の上方の端部において、ヘッダリング70をヘッダ68に結合するものであり、環状の溶接部136は、ヘッダ68の上方の端部から間隔をおいた場所において、ヘッダリング70を隔離プラグ66に結合するものであること。」
ウ 引用発明の認定
前記アにおいて摘記した事項及び前記イにおいて認定した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所等を括弧内に示した。
<引用発明>
「 プロセスラインに接続することができ、上記プロセスラインの圧力に応答する出力を供給するトランスミッタであって、(摘記事項(ア))
トランスミッタ10は、隔離マウント組立体12を有し、ベース16を有するハウジング14と、ネジ19でベース16に結合されたハウジング・アダプタ17と、本体拡大部18を含んでおり、(摘記事項(イ))
ハウジング・アダプタ17は、隔離マウント組立体を受入れる開口20を含んでおり、開口20は本体拡大部18の内部に形成された内部空所22に通じており、(摘記事項(イ))
隔離マウント組立体12は、プロセス流体が内部空所22に浸入することを阻止するものであり、(摘記事項(イ))
プロセス・パイプには、柔軟な隔離ダイヤフラム26と接触するように、プロセス流体24が流れており、プロセス流体24は隔離ダイヤフラム26に圧力を及ぼすものであり、(摘記事項(イ))
通路28内に供給された相当量の充満流体は、同様に充満流体で満たされているセンサ空洞32に具備された圧力センサ30にプロセス流体圧力を伝達するものであり、(摘記事項(イ))
隔離マウント組立体12は、コネクタ64、隔離プラグ66、ヘッダ68、及び環状のヘッダリング70を含み、(摘記事項(ウ))
隔離プラグ66は、上下方向に沿って間隔をおいて配置された二つの端部を有しており、下方の端部において隔離ダイヤフラム26を有しており、下方の端部と上方の端部が流体結合する通路28を有しており、(認定事項1)
ヘッダ68は、上下方向に沿って間隔をおいて配置された二つの端部を有しており、下方の端部において圧力センサ30が保持されており、下方の端部から上方の端部へ延びる導体122を有しており、(認定事項2)
環状のヘッダリング70は、ヘッダ68の外表面周りに配置されており、(認定事項3)
環状溶接部100は、センサ空洞32を形成するために、ヘッダ68を隔離プラグ66の端部102に結合するものであり、(摘記事項(エ))
圧力センサ30は、ヘッダ68に固定され、複数の穴を通して導体122が配線され、該導体122は圧力センサ30と前置回路基板38に電気的に接続され、(摘記事項(エ))
環状の溶接部134、136は、ヘッダリング70をヘッダ68と隔離プラグ66に結合するものであり、(摘記事項(エ))
環状の溶接部134は、ヘッダ68の上方の端部において、ヘッダリング70をヘッダ68に結合するものであり、環状の溶接部136は、ヘッダ68の上方の端部から間隔をおいた場所において、ヘッダリング70を隔離プラグ66に結合するものである、(認定事項4)
トランスミッタ。」
(2) 引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項の認定
ア 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2(特開2014-194388号公報)には、以下の事項が記載されている。
なお、下線は審判合議体において付したものである。
(ア) 【0001】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出素子を収容した受圧空間に液体を封入した液封入式の圧力センサに関する。」
(イ) 【0014】~【0020】、【図1A】、【図1B】
「【0014】
図1A及び図1Bは、本発明に係る圧力センサの第1の実施形態を示し、この圧力センサ1は、圧力検出素子2と、べース4と、べース4に対向して配置された受け部材5と、べース4と受け部材5とで挟持されたダイアフラム6と、ダイアフラム6を挟持した状態のべース4及び受け部材5をさらに挟持(保持)する挟持部材(保持部材)22とを備える。ベース4とダイアフラム6との間の受圧空間7には、オイル等の絶縁性の液体(封入液)が封入される。」
「【図1A】
[図:0001428681000006.jpg]
」
「【図1B】
[図:0001428681000007.jpg]
」
「【0015】
圧力検出素子2は、受圧空間7の内部でベース4に固定される。受け部材5とダイアフラム6との間には圧力導入空間としての加圧空間8が形成され、加圧空間8には冷媒等が流入する流入管3の内部空間が連通する。
【0016】
ベース4は、例えばプレス加工により成形され、周縁部(つば部)4cの内側から上方に膨出する膨出部を備え、下部が開口する蓋状に形成されている。この膨出部は、周縁部4cの内側から立ち上がる側面部4d及び側面部4dに連続して設けられた上面部4eより成る。べース4の膨出部下面(すなわち上面部4eの下面)には、圧力検出素子2が接着等により固定される。
【0017】~【0018】
(省略)
【0019】
挟持部材22は、ダイアフラム6を挟持した状態のべース4及び受け部材5の外径より若干大きい内径を備えた円筒部22bと、円筒部22bの上部に外周部22cを介して連続して形成され、円筒部22bの中心軸方向に傾斜するように設けられた傾斜部22aとを備えており、ベース4の膨出部肩部と受け部材5の周縁部5aとを挟持(保持)することにより、べース4及び受け部材5が互いに離間するのを防止する。傾斜部22aは円錐台の側面形状を呈している。外周部22cは、挟持部材22の中心軸に対して垂直な平面を備えている。
【0020】
挟持部材22でベース4及び受け部材5を挟持するにあたっては、挟持部材22の円筒部22bをベース4側からベース4及び受け部材5の周縁部4c、5aの外周に装着し、傾斜部22aの内面がベース4の膨出部の肩部(すなわち側面部4dの傾斜部分)と当接・係合した状態で、挟持部材22の外周部22cと、受け部材5の、周縁部5aの下面に、ベース4と受け部材5とが互いに押圧される方向に荷重Fを加えた状態で、円筒部22bの下部が受け部材5の周縁部5aの側面にレーザー溶接等によって溶接接合される(溶接部15)。ベース4と受け部材5とが互いに押圧される方向に荷重を加えた状態で挟持部材22を溶接接合することで、繰り返し圧力に対する耐久性が向上する。」
イ 引用文献2技術事項の認定
前記アにおいて摘記した事項から、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2技術事項」という。)。
<引用文献2技術事項>
「圧力検出素子を収容した受圧空間に液体を封入した液封入式の圧力センサにおいて、(【0001】)
圧力センサ1は、圧力検出素子2と、べース4と、べース4に対向して配置された受け部材5と、べース4と受け部材5とで挟持されたダイアフラム6と、ダイアフラム6を挟持した状態のべース4及び受け部材5をさらに挟持(保持)する挟持部材(保持部材)22とを備え、(【0014】)
ベース4とダイアフラム6との間の受圧空間7には、オイル等の絶縁性の液体(封入液)が封入されており、(【0014】)
圧力検出素子2は、受圧空間7の内部でベース4に固定され、(【0015】)
ベース4は、周縁部(つば部)4cの内側から上方に膨出する膨出部を備え、この膨出部は、周縁部4cの内側から立ち上がる側面部4d及び側面部4dに連続して設けられた上面部4eより成り、(【0016】)
挟持部材22は、ダイアフラム6を挟持した状態のべース4及び受け部材5の外径より若干大きい内径を備えた円筒部22bと、円筒部22bの上部に外周部22cを介して連続して形成され、円筒部22bの中心軸方向に傾斜するように設けられた傾斜部22aとを備えており、傾斜部22aは円錐台の側面形状を呈しており、(【0019】)
挟持部材22でベース4及び受け部材5を挟持するにあたっては、挟持部材22の円筒部22bをベース4側からベース4及び受け部材5の周縁部4c、5aの外周に装着し、傾斜部22aの内面がベース4の膨出部の肩部(すなわち側面部4dの傾斜部分)と当接・係合した状態にして、ベース4と受け部材5とが互いに押圧される方向に荷重を加えた状態で挟持部材22を溶接接合することで、繰り返し圧力に対する耐久性が向上すること。(【0020】)」
5 当審の判断
(1) 本願発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア) 構成Xの観点について
a 構成Xは「プロセス流体圧力トランスミッタのための圧力カプセル/ヘッダーアセンブリ」の発明であることを特定するものである。
b 引用発明の「トランスミッタ」は、「プロセスラインに接続することができ、上記プロセスラインの圧力に応答する出力を供給する」ものであるところ、「圧力センサ30」には「プロセス流体圧力」が「伝達」されるから、引用発明の「トランスミッタ」は、本願発明の「プロセス流体圧力トランスミッタ」に相当する。
c(a) 引用発明の「コネクタ64、隔離プラグ66、ヘッダ68、及び環状のヘッダリング70を含[む]」「隔離マウント組立体12」は、ヘッダ68を含む組立体であるから、ヘッダーアセンブリであるといえる。
(b) 引用発明においては、「隔離プラグ66」の「通路28内」に「相当量の充満流体」が「供給され」ており、この「充満流体」が、「同様に充満流体で満たされているセンサ空洞32に具備された圧力センサ30にプロセス流体圧力を伝達する」から、引用発明の「隔離マウント組立体12」は、「プロセス流体圧力を伝達する」「充満流体」が封入されており、圧力カプセルであるといえる。
(c) 前記(a)及び(b)を踏まえると、引用発明の「隔離マウント組立体12」は、本願発明の「圧力カプセル/ヘッダーアセンブリ」に相当する。
d 引用発明において、「隔離マウント組立体12は、プロセス流体が内部空所22に浸入することを阻止するもの」であるところ、上記「内部空所22」は「トランスミッタ10」の「本体拡大部18の内部に形成された」ものであることを踏まえると、「隔離マウント組立体12」は、「トランスミッタ10」のためのものであるといえる。
e したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの観点について、次の点において一致する。
「プロセス流体圧力トランスミッタのための圧力カプセル/ヘッダーアセンブリ」の発明である点。
(イ) 構成Aの観点について
a 構成Aは「アイソレータプラグであって、その第一の端部に分離ダイアフラムを、そして該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有し、該第一の端部を該第二の端部に流体結合する充填流体通路を有する、アイソレータプラグ」を含むことを特定するものである。
b 引用発明の「隔離プラグ66」は、本願発明の「アイソレータプラグ」に相当するところ、引用発明の「隔離プラグ66」の「下方の端部」及び「上方の端部」は、それぞれ本願発明の「アイソレータプラグ」の「第一の端部」及び「第二の端部」に相当するから、引用発明の「上下方向に沿って間隔をおいて配置された二つの端部を有して[いる]」「隔離プラグ66」は、本願発明の「該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有[する]」「アイソレータプラグ」に相当する。
c 引用発明の「隔離ダイヤフラム26」は、本願発明の「分離ダイアフラム」に相当するから、引用発明の「隔離プラグ66」が「下方の端部において隔離ダイヤフラム26を有して[いる]」ことは、本願発明の「アイソレータプラグ」が「その第一の端部に分離ダイアフラムを」有することに相当する。
d 引用発明において、「通路28内に」「相当量の充満流体」が「供給され[ている]」ことを踏まえると、引用発明の「隔離プラグ66」が「有して[いる]」「下方の端部と上方の端部が流体結合する通路28」は、本願発明の「アイソレータプラグ」が「有する」「該第一の端部を該第二の端部に流体結合する充填流体通路」に相当する。
e したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの観点について、次の点において一致する。
「アイソレータプラグであって、その第一の端部に分離ダイアフラムを、そして該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有し、該第一の端部を該第二の端部に流体結合する充填流体通路を有する、アイソレータプラグ」を含む点。
(ウ) 構成Bの観点について
a 構成Bは「圧力センサを保持するように構成されている第一の端部、及び該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有するヘッダーであって、該第一の端部から該第二の端部へ延びる少なくとも1つの電気相互接続を有する、ヘッダー」を含むことを特定するものである。
b 引用発明の「ヘッダ68」は、本願発明の「ヘッダー」に相当するところ、引用発明の「ヘッダ68」の「下方の端部」及び「上方の端部」は、それぞれ本願発明の「ヘッダー」の「第一の端部」及び「第二の端部」に相当するから、引用発明の「上下方向に沿って間隔をおいて配置された二つの端部を有して[いる]」「ヘッダ68」は、本願発明の「第一の端部、及び該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有するヘッダー」に相当する。
c 引用発明の「圧力センサ30」は、本願発明の「圧力センサ」に相当するから、引用発明の「下方の端部において圧力センサ30が保持されて[いる]」ことは、本願発明の「第一の端部」が「圧力センサを保持するように構成されている」ことに相当する。
d 引用発明において、「圧力センサ30は、ヘッダ68に固定され、複数の穴を通して導体122が配線され、該導体122は圧力センサ30と前置回路基板38に電気的に接続され[る]」ことを踏まえると、引用発明の「ヘッダ68」が「有して[いる]」「下方の端部から上方の端部へ延びる導体122」は、本願発明の「ヘッダー」が「有する」「該第一の端部から該第二の端部へ延びる少なくとも1つの電気相互接続」に相当する。
e したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの観点について、次の点において一致する。
「圧力センサを保持するように構成されている第一の端部、及び該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有するヘッダーであって、該第一の端部から該第二の端部へ延びる少なくとも1つの電気相互接続を有する、ヘッダー」を含む点。
(エ) 構成Cの観点について
a 構成Cは「該ヘッダーの外表面周りに配置される二軸支持リングであって、該二軸支持リング及び該ヘッダーは、それらの間にテーパー状の干渉境界面を画定する、二軸支持リング」を含むことを特定するものである。
b 引用発明の「ヘッダ68の外表面周りに配置されて[いる]」「環状のヘッダリング70」は、本願発明の「該ヘッダーの外表面周りに配置される二軸支持リング」に相当する。
c したがって、本願発明と引用発明は、構成Cの観点について、次の(a)に示す点において一致し、次の(b)に示す点において相違する。
(a) 構成Cの観点での一致点
「該ヘッダーの外表面周りに配置される二軸支持リング」を含む点。
(b) 構成Cの観点での相違点
本願発明においては、「該二軸支持リング及び該ヘッダーは、それらの間にテーパー状の干渉境界面を画定する」のに対して、
引用発明においては、「ヘッダリング70」と「ヘッダ68」が「環状の溶接部134」により「結合」されている点。
(オ) 構成Dの観点について
a 構成Dは「該ヘッダーは、第一の溶接部で該アイソレータプラグに溶接され[る]」ことを特定するものである。
b 引用発明の「ヘッダ68を隔離プラグ66の端部102に結合する」「環状溶接部100」は、本願発明の「該ヘッダー」が「該アイソレータプラグに溶接され[る]」「第一の溶接部」に相当する。
c したがって、本願発明と引用発明は、構成Dの観点について、次の点において一致する。
「該ヘッダーは、第一の溶接部で該アイソレータプラグに溶接される」点。
(カ) 構成Eの観点について
a 構成Eは「該二軸支持リングは、該ヘッダーの該第二の端部から間隔をおいた場所で該アイソレータプラグに溶接される」ことを特定するものである。
b 引用発明においては、「ヘッダリング70」は、「ヘッダ68の上方の端部から間隔をおいた場所において」、「環状の溶接部136」により「隔離プラグ66」と「結合」しており、このことは、本願発明における「該二軸支持リングは、該ヘッダーの該第二の端部から間隔をおいた場所で該アイソレータプラグに溶接される」ことに相当する。
c したがって、本願発明と引用発明は、構成Eの観点について、次の点において一致する。
「該二軸支持リングは、該ヘッダーの該第二の端部から間隔をおいた場所で該アイソレータプラグに溶接される」点。
イ 一致点及び相違点の認定
前記アの対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記の(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「プロセス流体圧力トランスミッタのための圧力カプセル/ヘッダーアセンブリであって、
アイソレータプラグであって、その第一の端部に分離ダイアフラムを、そして該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有し、該第一の端部を該第二の端部に流体結合する充填流体通路を有する、アイソレータプラグと;
圧力センサを保持するように構成されている第一の端部、及び該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有するヘッダーであって、該第一の端部から該第二の端部へ延びる少なくとも1つの電気相互接続を有する、ヘッダーと;
該ヘッダーの外表面周りに配置される二軸支持リングと、
を含み、
該ヘッダーは、第一の溶接部で該アイソレータプラグに溶接され、該二軸支持リングは、該ヘッダーの該第二の端部から間隔をおいた場所で該アイソレータプラグに溶接される、圧力カプセル/ヘッダーアセンブリ」である点。
(イ) 相違点
本願発明においては、「該二軸支持リング及び該ヘッダーは、それらの間にテーパー状の干渉境界面を画定する」のに対して、
引用発明においては、「ヘッダリング70」と「ヘッダ68」が「環状の溶接部134」により「結合」されている点。
(2) 相違点の検討
ア 引用発明の自明の課題
引用文献1には、「隔離マウント組立体12は特に高圧に応用するのに適している。」との記載があることを踏まえると(前記4(1)ア(オ)を参照)、引用発明においては、「プロセス流体圧力」が高い場合の耐久性の向上を自明の課題としているといえる。
イ 引用文献2技術事項
引用文献2技術事項は、「挟持部材22」が「円筒部22bの中心軸方向に傾斜するように設けられた傾斜部22a」を備えており、「傾斜部22aは円錐台の側面形状を呈しており」、「傾斜部22aの内面がベース4の膨出部の肩部(すなわち側面部4dの傾斜部分)と当接・係合した状態にして、ベース4と受け部材5とが互いに押圧される方向に荷重を加えた状態で挟持部材22を溶接接合することで、繰り返し圧力に対する耐久性が向上すること」を開示するものである(前記4(2)イを参照)。
ウ 引用文献2技術事項の適用
引用文献1には、「ヘッダリング70と環状溶接部134、136とが環状溶接部100を補強するので、ヘッダ68は隔離プラグ66により強固に固定される。」との記載があることを踏まえると(前記4(1)ア(エ)を参照)、引用発明の「ヘッダリング70」は、環状溶接部を介して「ヘッダ68」を「隔離プラグ66」に「固定」するための補強部材として機能していると認められるところ、前記アに示した引用発明の自明の課題を解決するために、環状溶接部による補強だけでなく、引用文献2技術事項に倣って、引用発明の「ヘッダリング70」の側面形状を円錐台にして、「ヘッダ68」にも傾斜部を設けて、これらが当接・係合した状態となるようにすることは、当業者にとって自明な設計変更にすぎないというべきである。
そして、「ヘッダリング70」の円錐台と、「ヘッダ68」の傾斜部が当接・係合することにより、「ヘッダリング70」と「ヘッダ68」の間には、「テーパー状の干渉境界面」が「画定」されるから、前記相違点に係る本願発明の構成が導かれることになる。
エ 総合評価
以上ア~ウの検討結果から、引用発明において、引用文献2技術事項を適用することにより、前記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 請求人の主張について
ア 審判請求書における主張の概要
請求人は審判請求書において、概ね次の主張をしている。
引用発明は、ヘッダーの上部における焼ばめ及び溶接が、ヘッダーバルク材料において表面ひびを生じさせ、それによって製造の途中で徹底的な目視検査を必要とし、充填管のような部品を保持するろう付けをリフローさせる可能性もあるという問題を考慮して構築されていない。
仮に上記問題が考慮されたとしても、引用発明においては、ヘッダリング70をヘッダ68に固定する環状溶接部134が、請求項1に記載されたテーパー状の干渉境界面の代わりとして使用されているから、当業者は、引用文献1の構成を完全に再設計する必要があることは明らかであり、本願発明において要求されているように、ヘッダーの上部から離れた位置に配置された第一の溶接部と組み合わせてテーパー状の干渉境界面で形成される締りばめを使用することに想到する可能性は低い。
さらに、上記問題が考慮された場合、当業者は、ひびが生じにくい他の好ましくない材料を使用すること、又は溶接が行われた後に充填管や電気ケーブル等の溶接された部品を取り付けることを試みるが、上記試みは、部品を取り付けることの困難さを増大させ、ひびが生じにくい材料に関連したコストを増大させる。
したがって、当業者であっても、引用文献1の教示を利用して請求項1に記載された構成に想到できない。さらに、引用文献2が引用文献1の欠陥を是正するとは思料できない。
イ 請求人の主張に対する判断
引用発明が、ヘッダーの上部における焼ばめ及び溶接に伴う問題を考慮していないとしても、前記(2)アにおいて説示したとおり、引用発明においては、「プロセス流体圧力」が高い場合の耐久性の向上を自明の課題としているといえるから、引用文献2技術事項を適用する契機はあるというべきであり、かかる自明の課題を解決するために、環状溶接部による補強だけでなく、引用文献2技術事項に倣って、引用発明の「ヘッダリング70」の側面形状を円錐台にして、「ヘッダ68」にも傾斜部を設けて、これらが当接・係合した状態となるようにすることは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。
また、本願発明の構成Cは、「テーパー状の干渉境界面を画定する」と規定しているのであって、「テーパー状の干渉境界面で形成される締りばめを使用すること」まで規定していないから、この点についての請求人の主張は、請求項1の記載から離れたところのものである。
さらに、部品取付けの困難さ、材料関連コストの増大に係る主張は、具体性に欠き、引用発明に引用文献2技術事項を適用する際の妨げになるとは認められない。
したがって、請求人の前記主張は採用できない。
(4) 上申書に示された補正案について
ア 補正案の内容
請求人は、令和6年7月23日に提出された上申書において、請求項1について以下の補正案を提示している(請求項9についても同様である)。
<請求項1の補正案>
「 プロセス流体圧力トランスミッタのための圧力カプセル/ヘッダーアセンブリであって、
アイソレータプラグであって、その第一の端部に分離ダイアフラムを、そして該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有し、該第一の端部を該第二の端部に流体結合する充填流体通路を有する、アイソレータプラグと;
圧力センサを保持するように構成されている第一の端部、及び該第一の端部から間隔をおいて配置された第二の端部を有するヘッダーであって、該第一の端部から該第二の端部へ延びる少なくとも1つの電気相互接続を有する、ヘッダーと;
該ヘッダーの外表面周りに配置される二軸支持リングであって、該二軸支持リング及び該ヘッダーは、それらの間にテーパー状の締まりばめであるテーパー状の干渉境界面を画定する、二軸支持リングと、
を含み、
該ヘッダーは、第一の溶接部で該アイソレータプラグに溶接され、該二軸支持リングは、該ヘッダーの該第二の端部から間隔をおいた場所で該アイソレータプラグに溶接される、圧力カプセル/ヘッダーアセンブリ。」
イ 補正案の検討
上記補正案は、要するに、「テーパー状の干渉境界面」を、「テーパー状の締まりばめであるテーパー状の干渉境界面」に限定するものであるが、テーパー状の締まりばめにより二つの部材をはめあい固定する手法は、周知なものであるから、かかる限定によっても前記(2)エにおいて説示した結論が変わることはない(例えば、円すい部品に適用する円すいはめあい方式について規定した日本工業規格 JIS B0616-1996(1996年1月31日)を参照。)。
6 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-005330