特許拒絶査定不服審判
2023-004327
分析センサの予測寿命
- 審判番号
- 2023-004327
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-515508
- 請求日
- 2023年03月14日
- 審決日
- 2024年08月13日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ローズマウント インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人 津国
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 渡▲辺▼ 純也
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 分類
- P18 .121-WZ (G01N) / P18 .536-WZ (G01N) / P18 .537-WZ (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条4項1号特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-515508「分析センサの予測寿命」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月26日国際公開、WO2020/061020、令和 4年 1月 4日国内公表、特表2022-500662〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)9月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年(平成30年)9月21日、(US)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 3年 5月12日提出:翻訳文、出願審査請求書
令和 4年 6月 1日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 8月25日提出:意見書、手続補正書
令和 4年11月11日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 5年 3月14日提出:審判請求書、手続補正書
令和 5年12月12日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 5月10日提出:意見書、手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。ここで、各構成単位冒頭「A」などは当審にて付した分説番号であり、以下前記構成単位について前記分説番号を用い「構成A」などということがある(後記引用発明についても同様。)。
「A プロセス流体のpHを検知するように構成されたpHセンサと、
B プロセス流体のpHの指示を生成するように構成された測定回路であって、前記pHセンサに結合された測定回路と、
C 前記測定回路に結合され、プロセス流体のpHの指示を受け取り、プロセス流体のpHの指示に基づいてオフセットを含むセンサ関連出力を計算するように構成されたプロセッサと、
D 前記センサ関連出力及び基準値に基づいて前記pHセンサの劣化速度を特定するように構成された診断構成要素であって、前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される、診断構成要素と
E を含む、プロセス分析システム。」
第3 原査定/当審における拒絶の理由
1 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献2に記載された周知技術に基づいて、その出願の優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。
引用文献1:特開平4-132948号公報
引用文献2:特開平2-161347号公報
2 当審における拒絶の理由の概要
令和5年12月12日付けで当審が通知した拒絶理由は、この出願の請求項1に係る発明について、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず(当審拒絶理由1)、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない(当審拒絶理由2)、というものを含むものである。
さらに、当該拒絶理由においては、以下の点を付記している。
「<付記>
上記当審拒絶理由1,2で示したとおり、本願発明1~17は、サポート要件、実施可能要件を満たしていないため、原査定の理由(進歩性)については判断を留保する。
なお、請求人は、令和5年3月14日に提出された審判請求書において、「引用文献1に記載されたセンサー標準液校正時の不斉電位は、請求項1に記載されたオフセットとは異なり、オフセットを含むセンサ関連出力を引用文献1は開示も示唆もしていません。」と主張しているが、pHセンサにおいて、不斉電位とは、ネルンストの式におけるオフセットを意味することは、一般的に知られている事項(例えば、特開2001-66298号公報の【0008】、特開2001-242134号公報の【0009】・【0010】等参照。)である。さらに、本願明細書【0020】には、本願発明のpHセンサの健康寿命として使用される最大オフセットの例示として、60mVが推奨されることが記載されているところ、査定時の引用文献1(特開平4-132948号公報の第4図参照。)記載のpH計における不斉電位の正常値の範囲も±60mV未満に設定されており、同様のしきい値が設定されていることからも、本願発明における「オフセット」と引用文献1に記載の「不斉電位」とはpHセンサにおいて技術的に同じ数値を示すものであると認められる点、付言する。」
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された特開平4-132948号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
(引1-ア)「<産業上の利用分野>
本発明は、ガラス電極や比較電極等から成るpHセンサーを用いて被測定液のpH値を測定する構成から成るpH計(pH測定器)に係るものであり、詳しくはpHセンサー(以下「センサー」という)の寿命予測を例えばμP(マイクロコンピュータ)等の演算処理装置を用いて行い、それを表示することができる寿命予測表示付pH計に関するものである。」(第1頁右欄第1~9行)
(引1-イ)「<従来の技術>
従来のpH計にあっては、センサー標準液校正時等に、そのセンサーの起電力(スパン、不斉電位)及びそのときの応答時間について測定・観測し、このときの値が所定の値以下になったときにセンサーについて必要な判断をするようにしていた。」
(引1-ウ)「<作用>
比較電極の液絡部が目づまりしてくると起電力の低下と応答遅れが生じてくるが、標準液で校正したときと各種サンプル水に浸漬したときとではその特性が変る。このために、起電力と応答時間のみ観測しているだけではセンサーの交換時期を判断することは不十分となる。そして前記液絡部が目ずまりしてくると不斉電位が増加することとなるが、この値は、例えば水道水や純水等では標準校正液に比べて大きな値となる。そこで比較電極のインピーダンス測定を行うことによって、今まで分らなかった比較電極の劣化要因の1つである液絡部の目づまりを知る必要がある。
そのために、センサー標準液校正時の起電力(スパン、不斉電位)及び応答時間に関するデータ、センサー使用開始時からの標準液校正時毎の経過時間のデータ、及び連続的に又は間欠的に比較電極のインピーダンスを測定しセンサー使用開始からの一定時間毎のデータ、の夫々を記憶して、その上で、起電力、応答時間、比較電極のインピーダンスについて、その正常値の範囲を定めて、センサー使用開始時からの夫々の値の時間経過から、定められた正常値の範囲を越えるであろう時間を計算して寿命予測表示する。」(第2頁左下欄第4行~右下欄第7行)
(引1-エ)「 第1図において、1は容器2内の被測定液3のpH値を測定するために設けられたセンサーであり、ここでは例えば、ガラス電極1a、比較電極1b、測温体1c、液アース1d等から成る。」(第2頁右下欄第14~17行)
(引1-オ)「演算処理装置6は、例えば、第2図に示すように構成することができる。例えば、演算に必要な情報を記憶するROM6aと、操作キー7を用いて設定された情報を入力する設定入力I/F(インターフェイス)6bと、A/D5からの測定信号を入力する測定人力I/F6cと、センサー標準液校正時の起電力及び応答時間に関するデータやセンサー使用開始時からの標準液校正時毎の経過時間のデータや連続的に又は間欠的に測定してセンサー使用開始からの一定時間毎の比較電極のインピーダンスのデータ等を記憶する記憶要素(RAM)6dと、各入力値や記憶されたデータを用いてセンサー使用開始時からの夫々の値の時間経過から、定められた正常値の範囲を越えるであろう時間を計算するCPU(演算処理部)6e、及びCPUで計算した情報を表示部8において寿命予測表示するために出力する表示出力I/F6f等から構成することができる。」(第3頁左上欄第7行~右上欄第4行)
(引1-カ)「従って、このような構成において、通常の測定時は、センサー1の情報がpH計プリアンプ4、A/D5を介して演算処理装置6で必要な計算が施されて表示部8で表示される。」(第3頁右上欄第13~16行)
(引1-キ)「そして、標準液校正時等にあっては、起電力、応答時間及び比較電極インピーダンスの個々について、第4図のようなフローに従って処理されることとなる。
演算処理装置6において第5図に示すような、横軸に経過時間T(センサー使用開始を“0”と置く)、縦軸にY(起電力、応答時間及び比較電極インピーダンス)をとったときの標準液校正時のデータnnに基づく特性(寿命推定カーブ)が求められる(起電力、応答時間及び比較電極インピーダンスは相互に特性がからんでいるが、扱いは独立して扱う)。
この第5図の関係から最短時間を寿命とすることができる。即ち、図の縦軸のYH~YLが正常範囲、YH以上及びYL以下は異常範囲としたとき、例えばno、n1、n2の3点(これ以上であってもよいことはいうまでもない)のデータを使用して、YL(勿論YLについても言える。但し図においてはYLとなる)を横切るまでの時間(第4図中の表の内一番短い時間を寿命表示することとなる時間)、即ち寿命推定経過時間Txを求める(予測計算)ことができる。
その求め方の例は、例えば“起電力VS経時時間”を見るカーブとしたときの当該3点データ使用時についてその演算式は、
Y=aT2+bT+c
(但しa、b、cは定数)となる。そして、この式における定数a、b、cを求めることで寿命推定経過時間Txを求めることができることとなる。
“インピーダンスVS経過時間”、“応答時間VS経過時間”についても同様となる。」(第3頁右上欄第17行~右下欄第7行)
(引1-ク)「<発明の効果>
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
センサーの寿命予測を行うことにより、特にプロセス用として使用しているpH計にあっては、不良となる前にセンサーを交換することができるようになったために、信頼性が大幅に向上する。勿論作業の効率化も果せる」(第3頁右下欄第8~15行)
(引1-ケ)「4.図面の簡単な説明
第1図は本発明の寿命予測表示付pH計の具体的実施例であるブロック構成図、第2図乃至第5図は本発明の説明に供する図、第6図は従来の技術の説明に供する図である。
1・・・pHセンサー(以下「センサー」と略称する)、2・・・容器、3・・・被測定液、4・・・pH計プリアンプ、5・・・A/D(アナログ・デジタル変換回路)、6・・・演算処理装置」、7・・・外部設定入力手段(操作キー)、8・・・表示部。」(第3頁右下欄第16行~第4頁左上欄第5行)
(引1-コ)「第1図
[図:0001418600000001.jpg]
」
(引1-サ)「第4図
[図:0001418600000002.jpg]
」
(引1-シ)「第5図
[図:0001418600000003.jpg]
」
(2)認定事項
上記(1)の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
(認定事項1)
上記(引1-ア)、(引1-ケ)の記載と(引1-コ)の第1図の記載によれば、寿命予測表示付pH計は、pHセンサーと演算処理装置6が含まれている。
(認定事項2)
上記(引1-カ)には、「通常の測定時は、センサー1の情報がpH計プリアンプ4、A/D5を介して演算処理装置6で必要な計算が施されて表示部8で表示される。」と記載されている。そして、(引1-ア)の「pHセンサー(以下「センサー」という)」との記載を踏まえると、「センサー1」は、pHセンサーのことであり、被測定液のpH値を測定するためのものであるから、「演算処理装置6で必要な計算が施されて表示部8で表示される」ものは、pH値であるといえる。また、「センサー1の情報がpH計プリアンプ4、A/D5を介して演算処理装置6」へ送られて「計算が施されて」いることから、pHセンサーと演算処理装置6は結合されているといえる。さらに、(引1-オ)の「演算処理装置6は、・・・CPU(演算処理部)6e・・・等から構成することができる。」との記載から、演算処理装置6は、CPU(演算処理部)6eを備えており、上記のような計算は、CPU(演算処理部)6eにおいて実行されるものであるといえる。よって、以下の事項が導かれる。
「被測定液のpH値を計算するように構成された演算処理装置6のCPU(演算処理部)6eであって、前記pHセンサーに結合された演算処理装置6のCPU(演算処理部)6e。」
(認定事項3)
上記(引1-オ)には、「演算処理装置6は、・・・センサー標準液校正時の起電力及び応答時間に関するデータ・・・を記憶する記憶要素(RAM)6dと、・・・CPU(演算処理部)6e、・・・から構成することができる。」と記載されており、記憶要素(RAM)6dに記憶された「センサー標準液校正時の起電力及び応答時間に関するデータ」は、センサー標準液構成時のpHセンサーの情報からCPU(演算処理部)6eにおいて計算が施されたデータであるといえる。そして、センサー標準液校正時においては、一般的に、pHが既知の標準液をpHセンサーで測定し、得られたpH値に基づいて、起電力及び応答時間等を特定して、pHセンサーを校正するものである。したがって、「センサー標準液校正時の起電力及び応答時間に関するデータ」の計算を実施するにあたっては、被測定液のpH値を用いることから、上記(認定事項1)における「被測定液のpH値を計算するように構成された演算処理装置6のCPU(演算処理部)6e」とは電気的に結合され、pH値を受け取っているといえる。なお、(引1-イ)の「センサー標準液校正時等に、そのセンサーの起電力(スパン、不斉電位)及びそのときの応答時間について測定・観測し」との記載から、「センサー標準液校正時の起電力」は、「センサー標準液校正時の起電力(スパン、不斉電位)」といえる。
そうすると、以下の事項が導かれる。
「被測定液のpH値を計算するように構成された演算処理装置6のCPU(演算処理部)6eに結合され、被測定液のpH値を受け取り、被測定液のpH値に基づいて起電力(スパン、不斉電位)を計算するように構成された演算処理装置6のCPU(演算処理部)6e。」
(認定事項4)
上記(引1-キ)には、「演算処理装置6において第5図に示すような、横軸に経過時間T(センサー使用開始を“0”と置く)、縦軸にY(起電力、応答時間及び比較電極インピーダンス)をとったときの標準液校正時のデータnnに基づく特性(寿命推定カーブ)が求められる・・・この第5図の関係から最短時間を寿命とすることができる。即ち、図の縦軸のYH~YLが正常範囲、YH以上及びYL以下は異常範囲としたとき、例えばno、n1、n2の3点・・・のデータを使用して、YL・・・を横切るまでの時間・・・即ち寿命推定経過時間Txを求める(予測計算)ことができる。」と記載されている。そして、当該記載及び(引1-シ)のグラフから、演算処理装置6のCPU(演算処理部)6eにおいて、no(経過時間T=0(センサー使用開始時))、n1(T=T1)、n2(T=T2)の3点の起電力(スパン、不斉電位)に基づいてpHセンサーの寿命推定カーブを特定する処理が行われているといえる。
また、(引1-キ)、(引1-シ)の記載から、寿命推定カーブに基づく関数を外挿して得られた起電力(スパン、不斉電位)が事前に選択されたYLと比較されて、寿命推定経過時間Txが求められるといえる。
よって、以下の事項が導かれる。
「no(経過時間T=0(センサー使用開始時))、n1(T=T1)、n2(T=T2)の3点の起電力(スパン、不斉電位)に基づいてpHセンサーの寿命推定カーブを特定するように構成される演算処理装置6のCPU(演算処理部)6eであって、寿命推定カーブに基づく関数を外挿して得られた起電力(スパン、不斉電位)が事前に選択されたYLと比較される、演算処理装置6のCPU(演算処理部)6e。」
(3)引用発明
上記(1)、(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「a 被測定液のpH値を測定する構成から成るpHセンサーと演算処理装置6が含まれる寿命予測表示付pH計において、(引1-ア)、(認定事項1)
演算処理装置6は、CPU(演算処理部)6e等で構成され、(引1―オ)
上記CPU(演算処理部)6eは、
b 前記pHセンサーに結合され、被測定液のpH値を計算するように構成され、(認定事項2)
c 被測定液のpH値を受け取り、被測定液のpH値に基づいて起電力(スパン、不斉電位)を計算するように構成され、(認定事項3)
d no(経過時間T=0(センサー使用開始時))、n1(T=T1)、n2(T=T2)の3点の起電力(スパン、不斉電位)に基づいてpHセンサーの寿命推定カーブを特定するように構成され、寿命推定カーブに基づく関数を外挿して得られた起電力(スパン、不斉電位)が事前に選択されたYLと比較されるものである、(認定事項4)
e 寿命予測表示付pH計。(引1-ア)」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された特開平2-161347号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(引2-ア)「〔産業上の利用分野〕
本発明は、試料中のpH(水素イオン)、Na、K又はその他のイオン濃度を測定し、測定結果に基づいてプロセス制御を行うようにしたプロセス用イオン測定装置に関するものである。」(第2頁左上欄第19行~右上欄第3行)
(引2-イ)「 第1図はプロセス用pH測定装置を示し、第2図は前記装置の動作を説明するためのフローチャートである。」(第3頁右上欄第17~19行)
(2)引用文献2に記載された技術事項(周知技術1)
上記(1)によれば、pH測定装置をプロセス用として用いて、プロセス制御の対象である試料(流体)のpH値を測定することが記載されており、このプロセス制御の対象である試料(流体)のことは一般にプロセス流体とも呼ばれることから、引用文献2には、以下の技術事項が記載されており、当該技術事項は周知技術(以下、「周知技術1」という。)であるといえる。
「pH測定装置をプロセス用として用い、プロセス流体のpH値を測定するように構成すること。」
第5 原査定の拒絶の理由(進歩性)について
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)構成aの「pHセンサー」は、構成Aの「pHセンサ」に相当する。また、構成aの「被測定液」は、構成Aの「プロセス流体」とは、「流体」という点において共通する。
そうすると、引用発明の「被測定液のpH値を測定する構成から成るpHセンサー」は、本願発明の「流体のpHを検知するように構成されたpHセンサ」に相当する。
(2)CPU(演算処理部)は(電子)回路があるものであるから、引用発明の「CPU(演算処理部)6e」にも回路があるといえ、そして、構成bの「pH値」は、構成Bの「pHの指示」に相当し、構成bの「計算」は、構成Bの「生成」に相当する。
そうすると、構成bの「前記pHセンサーに結合され、被測定液のpH値を計算するように構成され」た「CPU(演算処理部)6e」は、構成Bの「流体のpHの指示を生成するように構成され」「前記pHセンサに結合された測定回路」に相当する。
(3)引用発明の「CPU(演算処理部)6e」は、プロセッサであり、構成cの「起電力(スパン、不斉電位)」は、pHセンサーから出力される起電力のことであるから、構成Cの「オフセットを含むセンサ関連出力」とは、「センサ関連出力」という点において共通する。
そうすると、構成cの「被測定液のpH値を受け取り、被測定液のpH値に基づいて起電力(スパン、不斉電位)を計算するように構成され」た「CPU(演算処理部)6e」は、構成Cの「前記測定回路に結合され、流体のpHの指示を受け取り、流体のpHの指示に基づいてセンサ関連出力を計算するように構成されたプロセッサ」に相当する。
(4)構成dの「起電力(スパン、不斉電位)」は、構成Dの「センサ関連出力」に相当する。そして、構成Dの「基準値」に関して、本願明細書の【0018】や特許請求の範囲の【請求項8】の記載から、以前のセンサ関連出力を含むものであるといえる。そうすると、構成dの「no(経過時間T=0(センサー使用開始時))、n1(T=T1)、n2(T=T2)の3点の起電力(スパン、不斉電位)」は、以前の起電力(スパン、不斉電位)を含んでいるから、構成Dの「センサ関連出力及び基準値」に相当する。
また、構成Dの「劣化速度」に関して、本願明細書には、「次いで、診断構成要素356は、(pH勾配のような)センサ関連出力及び(pH勾配のような)以前のセンサ関連出力又は新しいセンサ用の公知の基準点(たとえば、理論的には、新しいセンサはpH単位変化あたり59.16mVのpH勾配をもつべきである)に基づいて、関数406(たとえば、最小二乗適合回帰)を外挿することにより、pHセンサの劣化速度を特定する。」(【0018】参照。)、「図4Aは関数406を線形として示すが、経時的なセンサの劣化速度は線形でない場合があることは言及されるべきである。」(【0021】)と記載されており、これらの記載を踏まえると、本願発明において、「劣化速度」は、関数406を外挿することにより特定される関数自体であるといえる。そうすると、構成dの「寿命推定カーブ」は、構成Dの「劣化速度」に相当する。さらに、構成dの「YL」は、起電力(スパン、不斉電位)が正常範囲か異常範囲かを決める境界値のことであるから、構成Dの「性能しきい値」に相当する。
以上のことから、引用発明の「no(経過時間T=0(センサー使用開始時))、n1(T=T1)、n2(T=T2)の3点の起電力(スパン、不斉電位)に基づいてpHセンサーの寿命推定カーブを特定するように構成され、寿命推定カーブに基づく関数を外挿して得られた起電力(スパン、不斉電位)が事前に選択されたYLと比較されるものである」「CPU(演算処理部)6e」は、本願発明の「前記センサ関連出力及び基準値に基づいて前記pHセンサの劣化速度を特定するように構成され」「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される」「診断構成要素」として機能しているといえる。
(5)構成eの「寿命予測表示付pH計」は、pH値を測定して、被測定液を分析するためのシステムであるといえるから、構成Eの「プロセス分析システム」とは、「分析システム」という点において共通する。
(6)以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「A’ 流体のpHを検知するように構成されたpHセンサと、
B’ 流体のpHの指示を生成するように構成された測定回路であって、前記pHセンサに結合された測定回路と、
C’ 前記測定回路に結合され、流体のpHの指示を受け取り、流体のpHの指示に基づいてセンサ関連出力を計算するように構成されたプロセッサと、
D 前記センサ関連出力及び基準値に基づいて前記pHセンサの劣化速度を特定するように構成された診断構成要素であって、前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される、診断構成要素と
E’ を含む、分析システム。」
【相違点1】
pHを検知する流体が、本願発明は、「プロセス」流体であるのに対し、引用発明では、被測定液が「プロセス」流体かどうか不明な点。
【相違点2】
センサ関連出力が、本願発明は、「オフセット」を含むのに対し、引用発明では、起電力(不斉電位)が「オフセット」に該当するか不明な点。
2 判断
以下、相違点について検討する。
(1)相違点1について
上記第4 2(2)で説示したとおり、「pH測定装置をプロセス用として用い、プロセス流体のpH値を測定するように構成すること」(周知技術1)は、周知の技術である。
そして、引用発明の「pH計」も、上記第4 1(1)の(引1―ク)に「プロセス用として使用しているpH計」と記載されているように、pHを検知する流体として「プロセス用」であることも想定されていることから、上記周知技術1を踏まえて、pH計をプロセス用として用い、プロセス流体のpH値を測定するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(2)相違点2について
上記第4 1(1)の(引1-ア)の記載から、引用発明のpHセンサーは、ガラス電極や比較電極等からなるpHセンサーであり、一般に、ガラス電極法と呼ばれる手法により、被測定液のpH値を測定するものである。そして、ガラス電極法において、不斉電位とは、オフセットを意味することであることは、当業者にとって周知の事項(令和5年12月12日付けで当審が通知した拒絶理由の付記にて提示された特開2001-66298号公報の【0008】参照。)である。
また、オフセットに関して、本願明細書においては、「ネルンストの式を使用して、pHセンサのオフセット及び勾配を決定することができる。理論的には、pH7.00でのオフセットは0mVであるべきであり、勾配はpH単位変化あたり59.16mVであるべきである。」(【0020】参照。)と記載されているが、ガラス電極法で用いられるネルンストの式におけるオフセット(理論的にはpH7.00でゼロであるべき値)は、不斉電位と呼ばれていることも、当業者にとって周知の事項(同じく当審が通知した拒絶理由の付記にて提示された特開2001-242134号公報の【0009】、【0010】参照。)である。
さらに、オフセットのしきい値に関して、本願明細書においては、「オフセットは較正中に傾向を示すことができ、最大オフセットがしきい値として使用され、たとえば、製造業者は60mVの最大オフセットを推奨した。」(【0020】参照。)と記載されているが、上記第4 1(1)の(引1-サ)のブロック構成図中の記載から、引用発明の不斉電位において、正常値から異常値と判断される値、つまり、しきい値は60mVと設定されており、これは、本願発明におけるオフセットと同じ値である。このことからも、本願発明のオフセットと引用発明の不斉電位が技術的に同じ数値を示すものであるといえる。
そして、上記点を踏まえると、引用発明の「起電力(不斉電位)」は、本願発明の「オフセット」のことであり、引用発明の「起電力(スパン、不斉電位)」は、本願発明の「オフセットを含むセンサ関連出力」といえる。
したがって、相違点2は、実質的な相違点とは認められない。
(3)作用効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び上記周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(4) 審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、令和5年3月14日提出の審判請求書において以下の事項を主張している。
主張:「 請求項1は、オフセットを含むセンサ関連出力及び基準値に基づいてpHセンサの劣化速度を特定することを特徴とします。
引用文献1に記載されたセンサー標準液校正時の不斉電位は、請求項1に記載されたオフセットとは異なり、オフセットを含むセンサ関連出力を引用文献1は開示も示唆もしていません。
また、引用文献1は、オフセットを含むセンサ関連出力に基づいてpHセンサの劣化速度を特定することも開示も示唆もしていません。引用文献1では、pHセンサの全てのパラメータについて一定時間のデータが収集され、使用開始からの各値の時間経過に基づいて、所定の正常値範囲を超える時間が算出され、平均余命が表示されます。
引用文献2~4も、オフセットを含むセンサ関連出力及び基準値に基づいてpHセンサの劣化速度を特定することを開示も示唆もしていません。
従って、引用文献1に引用文献2~4を組み合わせても、請求項1に容易に想到することはできません。
よって、補正後の請求項1及び請求項1に直接又は間接的に従属する請求項2~10は、進歩性を有すると思料致します。」
イ 審判請求人の主張についての検討
上記(2)で検討したとおり、引用発明の「起電力(不斉電位)」は、本願発明の「オフセット」のことであり、引用発明の「起電力(スパン、不斉電位)」は、本願発明の「オフセットを含むセンサ関連出力」である。そして、引用発明においても、センサ関連出力及び基準値に基づいてpHセンサの劣化速度を特定しているといえる。
よって、上記主張は採用できない。
3 小括
以上、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。
第6 当審拒絶理由について
1 本願明細書の記載
本願明細書及び図面には、以下の事項が記載されている。
「【0009】
この劣化に適応し、センサの交換が必要な時期を正確に把握又は推定するために、センサの劣化速度を知ることは有益であり得る。所与のプロセス分析センサの劣化速度は、較正中又はプロセス動作中に特定することができる。較正中又はプロセス動作中に、pHなどの流体特性が検出される。次いで、pH勾配の傾向、オフセット、pHガラスインピーダンス、又は基準インピーダンスなどのセンサ関連出力が、流体の特性(たとえば、pH)に基づいて計算される。これらのセンサ関連出力は、較正中又はプロセス中(すなわち、動作中)のいずれかで取得することができる。センサ関連出力は、以前のセンサ関連出力、又は新しいセンサ用の公知の基準点と比較される。次いで、センサ関連出力及び/又は基準点に最小二乗適合回帰などの統計分析を適用して、センサの劣化速度を計算することができる。劣化速度は、センサの健康寿命を特定するために使用することができる。たとえば、劣化速度は、センサがしきい値として事前に選択された許容できない精度のポイントまで劣化するまでの時間を計算するために使用することができる。センサが許容できない精度のポイント(すなわち、事前に選択されたしきい値)を超えて劣化すると、センサは欠陥があり、修理又は交換が必要であると判断される。」
「【0020】
図4Aは、pHセンサについてのpH勾配劣化を示す例示的なグラフである。グラフ400は、較正プロセス、たとえば、以下に記載される較正プロセスにおいて収集された較正点(たとえば、401、402、403、及び404)を読み込むことができる。グラフ400は、X軸408及びY軸410を含む。Y軸410は、(pH7からのpH単位変化あたりmVの出力によって決定される)pH勾配を示す。X軸408は、時間の進行を示す。較正中、pHセンサは、公知の値のpH(たとえば、4.00、7.00、又は10.00)を有する緩衝液に曝される。ネルンストの式を使用して、pHセンサのオフセット及び勾配を決定することができる。理論的には、pH7.00でのオフセットは0mVであるべきであり、勾配はpH単位変化あたり59.16mVであるべきである。図4Aに示されたように、グラフ400は、較正点401、402、403、及び404を示す。較正点401では、時間値は2であり、pH勾配はpH単位変化あたり約59mVである。較正点402では、時間値は4であり、pH勾配はpH単位変化あたり約54mVである。較正点403では、時間値は6であり、pH勾配はpH単位変化あたり約49mVである。そして、較正点404の時間値は8であり、pH勾配はpH単位変化あたり約44mVである。グラフ400は、事前に選択された性能しきい値405も示す。プロセッサ354は、(測定回路352からのpH又はmVの指示に基づいて)所与の較正時間での勾配を計算する。次いで、診断構成要素356は、(pH勾配のような)センサ関連出力及び(pH勾配のような)以前のセンサ関連出力又は新しいセンサ用の公知の基準点(たとえば、理論的には、新しいセンサはpH単位変化あたり59.16mVのpH勾配をもつべきである)に基づいて、関数406(たとえば、最小二乗適合回帰)を外挿することにより、pHセンサの劣化速度を特定する。この関数を外挿することにより、診断構成要素356は、それを405のような事前に選択されたしきい値と比較して、pHセンサの健康寿命(すなわち、センサの劣化がしきい値を満たすとき)を予測することができる。さらに、最大オフセットは健康寿命の指示として使用することができる。オフセットは較正中に傾向を示すことができ、最大オフセットがしきい値として使用され、たとえば、製造業者は60mVの最大オフセットを推奨した。」
「【0022】
図4Bは、pHセンサについてのpHセンサ基準被覆を示す例示的なグラフである。グラフ450は、プロセス中に収集された基準点(たとえば、451、452、453、454、455、456、457、458、及び459)を読み込むことができる。グラフ450は、X軸466及びY軸468を含む。Y軸468は、キロオーム単位で測定されたインピーダンスを示す。X軸466は、時間の進行を示す。インピーダンスは、特にセンサが被覆されると、時間とともに増加する。被覆された基準電極接合部は、応答の遅延、測定ドリフト、及び測定の不正確さを引き起こす可能性がある。この値はプロセス中に測定され、一実施形態では、データは継続的に取得され、ユーザは、プロセス分析センサシステムが任意の不健康又は厄介な傾向を判断した場合に通知される。図4Bは基準インピーダンスを使用するpHセンサ基準被覆を示すが、pH電極インピーダンスも測定され、pHセンサの健康寿命を特定するために使用され得ることが考えられる。」
「【図4A】
[図:0001418600000004.jpg]
」
「【図4B】
[図:0001418600000005.jpg]
」
2 当審拒絶理由1(サポート要件)について
(1)当審の判断
本願発明の「診断構成要素」に関して、「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される」ことが記載されている。
しかしながら、この点において、本願明細書の実施例においては、pH勾配、pHセンサ基準被覆の劣化速度に基づく関数を外挿して性能しきい値と比較する例は記載されているが、その他のセンサ関連出力、特に、オフセットの劣化速度に基づく関数を外挿して性能しきい値と比較する例は記載されていない。そして、オフセットの値からどのようにセンサの予測健康寿命を特定できるのか、発明の詳細な説明において記載されていない。なお、仮に、本願発明のオフセットが、上記第5 2(2)で説示したガラス電極法における不斉電位と異なる場合、出願時の技術常識を踏まえても、オフセットの値からどのようにセンサの予測健康寿命を特定するのかが明らかでない。
よって、本願発明の「診断構成要素」に関して、「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される」ことについて、発明の詳細な説明に記載されていないことから、本願発明の課題を解決できることを認識できるものではない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、令和6年5月10日提出の意見書で、「上記ご指摘を受けまして、補正後の請求項1において、「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される、」との記載、補正後の請求項11において、「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力を事前に選択された性能しきい値と比較するステップと、」との記載に補正を行いました。劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較されることは、段落0020及び図4A等に明記されているため、本願発明1,11は、発明の詳細な説明に記載したものであると思料致します。従って、理由1(サポート要件)に規定する要件は満たされたものと思料致します。」と主張するのみである。
イ 請求人の主張に対する当審の判断
上記主張は、オフセットの値からどのようにしてセンサの予測健康寿命を特定することができるのかを明らかにしたものではないことから、上記(1)で述べた判断を覆すことはできない。
(3)小括
したがって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないことから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
3 当審拒絶理由2(実施可能要件)について
(1)当審の判断
上記2(1)で検討したとおり、本願発明の「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される」点に関して、発明の詳細な説明には、pH勾配、pHセンサ基準被覆の劣化速度に基づく関数を外挿して性能しきい値と比較する実施例しか記載されておらず、オフセット等のセンサ関連出力からどのようにセンサの予測健康寿命を特定できるのか発明の詳細な説明において記載も示唆もされていないし、発明の詳細な説明から自明のことでもない。
よって、発明の詳細な説明は、本願発明の「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される」点について、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、令和6年5月10日提出の意見書で、「上記ご指摘を受けまして、補正後の請求項1において、「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較される、」との記載、補正後の請求項11において、「前記劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力を事前に選択された性能しきい値と比較するステップと、」との記載に補正を行いました。劣化速度に基づく関数を外挿して得られた前記センサ関連出力が事前に選択された性能しきい値と比較されることは、段落0020及び図4A等に明記されているものと思料致します。従って、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明1,11及び本願発明1,11を引用する本願発明2~10,12~17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるものと思料致します。」と主張するのみである。
イ 請求人の主張に対する当審の判断
上記主張は、オフセットの値からどのようにしてセンサの予測健康寿命を特定することができるのかを明らかにしたものではないことから、上記(1)で述べた判断を覆すことはできない。
(3)小括
したがって、発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、また、その発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていないものである。そして、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-004327