特許拒絶査定不服審判
2024-005261
クリーニング部材と帯電装置
- 審判番号
- 2024-005261
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-161038外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年03月28日
- 審決日
- 2025年07月29日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社イノアックコーポレーション
- 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G03G) / P18 .537-WZ (G03G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-161038「クリーニング部材と帯電装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月11日出願公開、特開2021- 39257〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年9月4日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 4月26日付け:拒絶理由通知書
同年 7月 4日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月13日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年10月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 1月 9日付け:補正の却下の決定、
拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月16日 :原査定の謄本の送達)
同年 3月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 9月18日付け:拒絶理由通知書
同年11月13日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月18日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和7年 3月 6日 :意見書の提出
なお、当審において通知した令和6年12月18日付け拒絶理由通知書(最後)を、以下「当審拒絶理由通知書」という。
第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年11月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
電子写真装置の帯電ローラに当接して該帯電ローラの表面をクリーニングする弾性体と、外周面に前記弾性体が設けられたシャフトと、を有するクリーニング部材において、
前記弾性体は、ポリウレタン発泡体からなり、
前記ポリウレタン発泡体は、セル膜が除去されていると共に、JIS K 6401による見掛け密度が50~100kg/m3、前記当接する表面に露出している骨格の数が6~20個/1.5mmであり、前記当接する表面に露出している骨格の径が40~70μmであり、JIS K 6400-1に基づくセル数が50~100個/25mmであり、
前記シャフトは、棒状体であって前記クリーニング部材の芯材であることを特徴とするクリーニング部材。」
第3 当審拒絶理由通知書において指摘した拒絶理由の概要
当審拒絶理由通知書において指摘した拒絶理由の概要は、本願発明に対する次の理由を含むものである。
1.(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1記載の発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2.(サポート要件)本願発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
引用文献1.特開2011-203594号公報
<周知技術を示す文献>
引用文献2.特開2012-88405号公報
引用文献3.特開2012-88630号公報
引用文献4.特開2009-156995号公報
引用文献6.特開2019-61095号公報
第4 進歩性欠如について
1 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定
(1)引用文献1に記載された事項
本願の出願前の平成23年10月13日に発行され、当審拒絶理由通知書で引用した特開2011-203594号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法、並びに、清掃装置及び清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用したものが多用されてきたが、コロナ放電現象を利用した帯電装置の場合には、オゾンや窒素酸化物が発生する。これに対して、導電性の帯電ロールを感光体に直接接触させて感光体の帯電を行う接触帯電方式はオゾンや窒素酸化物の発生が大幅に少なく、電源効率もよいことから、最近では主流となっている。
このような接触帯電方式の帯電装置では、帯電ロールが感光体に常時接触しているため、帯電ロール表面に異物の付着による汚れが発生しやすい。帯電ロールの表面に付着した異物は、帯電ロールの表面抵抗値にムラを生じさせ、帯電のバラツキを生じる。
帯電ロールの汚染形態は、画像密度の偏り、上流に位置するクリーニング部材の部分的な欠け・へたり等による被クリーニング材料のすり抜け、異物の混入などにより、筋状・帯状・点状といった汚染ムラを呈する。このような局所的な汚染部位に静電潜像を形成した場合、汚染されていない部位に比較し相対的に低電位部位を形成するため、出力上も画像スジ・帯状カブリ・濃度ムラ・色点といった画像欠陥を伴うこととなる。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、長期に渡り優れた画質が得られる画像形成装置及び画像形成方法、並びに、長期に渡り被清掃部材の汚染ムラが抑制される被清掃部材の清掃装置及び清掃方法を提供することを目的とする。」
イ 「【0011】
(画像形成装置の構成)
図1に本実施形態で使用される画像形成装置10の一例を示す。
図1に示す画像形成装置10は、4連タンデム方式のカラー複写機であり、図示のように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット11(11Y,11M,11C,11K)が中間転写ベルト30の移動方向に沿って並設されている。
【0012】
画像形成ユニット11には、像保持体としての感光体ドラム12(12Y,12M,12C,12K)が設けられており、この感光体ドラム12としては、例えば、表面にOPC(organic photoconductor)等からなる感光体層が被覆された導電性の円筒体が用いられ、図示しないモータにより、図中の矢印方向(右回転方向)へ所定のプロセススピードで回転駆動される。
感光体ドラム12のほぼ真上には、感光体ドラム12の表面を帯電する帯電ロール(接触帯電器)14(14Y,14M,14C,14K)を備えた帯電装置が配置され、さらに感光体ドラム12の上方には、帯電装置により帯電された感光体ドラム12の表面にレーザー光Lを照射し静電潜像を形成する露光装置13(13Y,13M,13C,13K)が配設されている。
感光体ドラム12の右側方には、現像装置15(15Y,15M,15C,15K)が隣接配置されており、現像装置15には、感光体ドラム12上に形成された静電潜像をY,M,C,Kの各色のトナー像に現像する現像ロール16(16Y,16M,16C,16K)が設けられている。
・・・
【0016】
中間転写ベルト30の右側方には、用紙搬送路40を挟んで二次転写ロール36が対向配置されている。この二次転写ロール36と中間転写ベルト30の接触部が二次転写部T2とされ、二次転写ロール36には負極性の二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写ロール36は、二次転写バックアップロール34に補助され、中間転写ベルト30に一次転写されたトナー像を二次転写部T2で用紙Pに二次転写する。また、中間転写ベルト30を回転支持する二次転写バックアップロール34の右上方には、二次転写後に中間転写ベルト30上に残留する転写残トナーを除去する中間転写ベルトクリーナ38が設けられている。
・・・
【0019】
次に、上記構成の画像形成装置10に搭載された帯電ロール14と、帯電ロール14をクリーニングするクリーニングロール100について詳細に説明する。
図2に示すように、感光体ドラム12の上方部には、感光体ドラム12と接触するように帯電ロール14が配置されている。この帯電ロール14は、導電性のシャフト14Aの周囲に帯電層14Bが形成されたものであり、シャフト14Aが回転可能に支持されている。帯電ロール14の右上部には、帯電ロール14の表面に接触するロール状のクリーニング部材であるクリーニングロール100が設けられている。このクリーニングロール100は、シャフト100Aの周囲に弾性層(スポンジ層)100Bが形成されたものであり、シャフト100Aが回転可能に支持されている。
クリーニングロール100は帯電ロール14に所定の荷重で押圧され、弾性層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形して接触部101を形成している。感光体ドラム12は、図示しないモータによって図2の矢印A方向(時計回転方向)に回転駆動され、感光体ドラム12の回転により帯電ロール14が矢印B方向(反時計回転方向)に従動回転する。また、帯電ロール14の回転によりクリーニングロール100が矢印C方向(時計回転方向)に従動して回転する(連れ回る)。」
ウ 「【0028】
〔クリーニングロール〕
図2において、クリーニングロール100は、シャフト100Aを構成する芯材と、この芯材の周面に形成される弾性層100Bを構成する多孔質弾性層から形成され、上述したように、帯電ロール14の表面に接触して配設されている。
・・・
【0029】
多孔質弾性層は、所定のセル密度で形成されたロール状のスポンジであり、例えばエーテル系ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリオレフィンフォーム、メラミンフォーム、マイクロポリマー等が用いられる。多孔質弾性層としては、ポリウレタンフォームが好ましい。
・・・
【0031】
クリーニングロールの弾性層を多孔質弾性層とする場合、セル数は、10~100個/25mmであることが好ましく、30~85個/25mmであることがより好ましく、45~75個/25mmであることがさらに好ましい。セル数が上記範囲内であると、帯電ロール上に過剰に付着したトナーや外添剤などの異物をセル内に取り込みやすく、さらには取り込んだ異物を凝集させて塊として帯電ロールを介して感光体へ再転移しやすくなるため、帯電ロールの異物の蓄積を抑制する観点で好ましい。
なお、セル数は、発泡体を形成する際に使用される発泡剤、整泡剤の種類、量によって制御される。
また、セル数は、断面顕微鏡写真を観察して、単位長さあたりのセル数をカウントして求める。
・・・
【0034】
弾性層を多孔質弾性層とする場合、セル径は、200~3,000μmであることが好ましく、250~900μmであることがより好ましく、300~600μmであることがさらに好ましい。セル径が上記範囲内であると、供給された研磨剤粒子、並びに、離型剤及び/又は固体潤滑剤の移動(以下、均一化能力という場合がある。)に優れるので好ましい。
ここで、セル径はレーザー顕微鏡などで表面観察し、測定する。なお、セル柱とセル柱との最大と最小の平均値をセル径とした。
【0035】
弾性層を多孔質弾性層とする場合、圧縮永久歪の点で、密度が10~150kg/m3であることが好ましく、25~125kg/m3であることがより好ましく、40~90kg/m3であることがさらに好ましい。
弾性層の密度はJIS K7222に基づき測定される値であり、発泡剤等の量を調整することにより、発泡倍率を調整することで制御される。なお、前記発泡倍率は、得られた筒状の弾性層の質量を体積で除することにより求める。具体的には、(発泡した弾性層の重量/発泡樹脂の外形)から求められる。」
エ 「【0099】
(弾性ロール(クリーニングロール)の製造)
(クリーニングロール(1)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ320N、密度70kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅10mm 厚さ2.5mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ5.5mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(1)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は10.5mm(d/R比:1.50)、カット面の形成角度は38度、フォーム硬度は320Nであった。
【0100】
(クリーニングロール(2)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬度320N、密度70kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅10mm 厚さ1.6mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ4.1mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(2)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は7.3mm(d/R比:1.04)、カット面の形成角度は38度、フォーム硬度は320Nであった。
【0101】
(クリーニングロール(3)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬度320N、密度70kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅10mm 厚さ2.5mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ7.2mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(3)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は12.2mm(d/R比:1.74)、カット面の形成角度は38度、フォーム硬度は320Nであった。
【0102】
(クリーニングロール(4)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬度390N、密度80kg/m3、セル数95個/25mm、セル径250μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅15mm 厚さ1.6mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ7.3mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(4)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は10.5mm(d/R比:1.50)、カット面の形成角度は64度、フォーム硬度は390Nであった。
【0103】
(クリーニングロール(5)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ205N、密度30kg/m3、セル数26個/25mm、セル径972μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅15mm 厚さ3.2mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ4.1mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(5)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は10.5mm(d/R比:1.50)、カット面の形成角度は64度、フォーム硬度は205Nであった。
【0104】
(クリーニングロール(6)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ205N、密度30kg/m3、セル数26個/25mm、セル径972μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅6mm 厚さ4.0mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ2.5mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(6)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は10.5mm(d/R比:1.50)、カット面の形成角度は25度、フォーム硬度は205Nであった。
【0105】
(クリーニングロール(7)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬度390N、密度80kg/m3、セル数95個/25mm、セル径250μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅12mm 厚さ4.5mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ3.6mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(7)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は12.6mm(d/R比:1.80)、カット面の形成角度は25度、フォーム硬度は390Nであった。
【0106】
(クリーニングロール(8)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ320N、密度70kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅16mm 厚さ2.5mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ5.5mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(8)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は10.5mm(d/R比:1.50)、カット面の形成角度は24度、フォーム硬度は320Nであった。
【0107】
(クリーニングロール(9)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ320N、密度70kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅6.5mm 厚さ2.5mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ5.5mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(9)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は10.5mm(d/R比:1.50)、カット面の形成角度は76度、フォーム硬度は320Nであった。
・・・
【0110】
(クリーニングロール(12)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ320N、密度70kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅10mm 厚さ1.1mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ4.5mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(12)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は6.7mm(d/R比:0.96)、カット面の形成角度は38度、フォーム硬度は320Nであった
【0111】
(クリーニングロール(13)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ320N、密度70kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅10mm 厚さ2.5mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ7.8mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(13)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は12.8mm(d/R比:1.83)、カット面の形成角度は38度、フォーム硬度は320Nであった
【0112】
(クリーニングロール(14)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬さ190N、密度70kg/m3、セル数50個/25mm、セル径480μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅10mm 厚さ2.5mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ5.5mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(14)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は10.5mm(d/R比:1.50)、カット面の形成角度は38度、フォーム硬度は190Nであった。
【0113】
(クリーニングロール(15)の製造)
JIS K6400-2 D法で測定したフォーム硬度415N、密度140kg/m3、セル数60個/25mm、セル径420μmのウレタンフォームを用いて、以下の手順でクリーニングロールを作製した。
まずこの連泡構造としたウレタンフォームを、断面が幅10mm 厚さ1.6mmの長方形となるように帯状にカットし、SUS303からなる外径φ4.1mm、長さ332mmの芯材の端部から5mmの位置を始点として螺旋状に貼付し、終端部5mm手前に達したところで余りのウレタンフォームを切り離し、クリーニングロール(15)を得た。このとき、クリーニングロールの最外径は7.3mm(d/R比:1.04)、カット面の形成角度は38度、フォーム硬度は415Nであった。」
(2)引用文献1の記載から把握できる事項
前記(1)エに挙げられる各クリーニングロールは、いずれも「連泡構造としたウレタンフォーム」からなるものであるから、引用文献1に記載のクリーニングロールのウレタンフォームは、連泡構造であると認められる。
(3)引用文献1に記載の発明
前記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「被清掃部材の汚染ムラが抑制される被清掃部材の清掃装置及び清掃方法を提供することを目的とし(【0005】)、
感光体ドラム12の表面を帯電する帯電ロール14を備えた帯電装置が配置され、帯電装置により帯電された感光体ドラム12の表面にレーザー光Lを照射し静電潜像を形成する露光装置13が配設され、現像装置15には、感光体ドラム12上に形成された静電潜像をY,M,C,Kの各色のトナー像に現像する現像ロール16が設けられ、中間転写ベルト30に一次転写されたトナー像を二次転写部T2で用紙Pに二次転写する構成の画像形成装置10に搭載された帯電ロール14をクリーニングするクリーニングロール100であって(【0012】、【0016】、【0019】)、
クリーニングロール100は、シャフト100Aを構成する芯材と、この芯材の周面に形成される弾性層100Bを構成する多孔質弾性層から形成され、帯電ロール14の表面に接触して配設され(【0028】)、
多孔質弾性層は、ポリウレタンフォームであり(【0029】)、
ウレタンフォームは連泡構造であり(前記(2))
クリーニングロールの弾性層を多孔質弾性層とする場合、セル数は、10~100個/25mmであることが好ましく、45~75個/25mmであることがさらに好ましく、セル数が上記範囲内であると、帯電ロール上に過剰に付着したトナーや外添剤などの異物をセル内に取り込みやすく、さらには取り込んだ異物を凝集させて塊として帯電ロールを介して感光体へ再転移しやすくなるため、帯電ロールの異物の蓄積を抑制する観点で好ましく、セル数は、断面顕微鏡写真を観察して、単位長さあたりのセル数をカウントして求めるものであり(【0031】)、
セル径は、200~3,000μmであることが好ましく、250~900μmであることがより好ましく、300~600μmであることがさらに好ましく、セル径が上記範囲内であると、供給された研磨剤粒子、並びに、離型剤及び/又は固体潤滑剤の移動に優れるので好ましく(【0034】)、
弾性層を多孔質弾性層とする場合、圧縮永久歪の点で、密度が40~90kg/m3であることが好ましく、弾性層の密度はJIS K7222に基づき測定される値である(【0035】)、
クリーニングロール100。」
2 周知技術
(1)引用文献2
本願の出願前の平成24年5月10日に発行され、当審拒絶理由通知書で引用した特開2012-88405号公報には、以下の記載がある。
「【0018】
ウレタンフォームは、ポリオール類に、例えば発泡剤としての水、触媒としてのトリエチレンジアミンおよびオクタン酸スズなどを加えて混合した後、ポリイソシアネート類を配合し、発泡させて製造できる。このとき、水、触媒の配合量、撹拌条件、ポリオール類の組成およびポリイソシアネート類の組成等を適宜変更して、所定のセル数および硬さを有する発泡体を製造できる。
そして、上記ウレタンフォームに除膜処理を施して連通気泡型の発泡体とすることができる。ただし、必ずしも除膜処理は必要でなく、除膜処理を行わなくても、ウレタンフォームを連通気泡型とすることができる。除膜処理なしのウレタンフォームは、熱処理工程での条件を制御することで連通気泡型に製造することができる。」
(2)引用文献3
本願の出願前の平成24年5月10日に発行され、当審拒絶理由通知書で引用した特開2012-88630号公報には、以下の記載がある。
「【0047】
そして、上記成形型の成形キャビティ内に、スポンジ弾性層14の形成材料(ポリウレタンフォーム用組成物等)を注入し、発泡硬化させてベーススポンジ弾性層を軸体の周囲に一体成形した後、脱型する。ベーススポンジ弾性層は、硬さの異なる表面部14c、内部14dは未だ形成されていない。
・・・
【0049】
図2に示すように、各セルに、適度の連通性をもたせるには、例えば、上記脱型後に、スポンジロール10を軸体12を中心に回転させながら、ノズル等を用いて高圧の気体(空気や窒素等のガス)をベーススポンジ弾性層に噴射する。これにより、高圧の気体が軸体12の抵抗によってベーススポンジ弾性層内に拡散し、発泡セルと発泡セルの間のセル膜が破れ、セル間を連通させることができる。」
(3)引用文献4
本願の出願前の平成21年7月16日に発行され、当審拒絶理由通知書で引用した特開2009-156995号公報には、以下の記載がある。
「【0043】
次に、代表としてポリウレタン発泡体の製造方法について説明する。
・・・
【0045】
-除膜工程-
以上のように発泡させることにより形成されたセルは、セル膜を粉砕して、連泡構造とすることにより、弾性層の圧力損失を1mmH2O以上10mmH2O以下にする制御することができる。」
(4)周知技術1
前記(1)~(3)の記載を踏まえると、本件出願前に以下の技術は一般に広く知られた周知の技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。
<周知技術1>
「ウレタンフォームの気泡を連通させるためにセル膜を除去する技術」
(5)引用文献6
本願の出願前の平成31年4月18日に発行され、当審拒絶理由通知書で引用した特開2019-61095号公報には、以下の記載がある。
ア 「【0029】
芯体の外周面に1つ以上の発泡弾性層を螺旋状に配置した清掃部材を、表面が移動する(例えば回転駆動する)帯電部材に対して接触させることで、帯電部材の表面を清掃することが従来から行われている。
このような清掃部材による清掃は、清掃部材の発泡弾性層が帯電部材の表面を払拭すると共に異物を掻き取ることにより行われる。
・・・
【0030】
本実施形態における清掃部材は、芯体102の外周面に、二重螺旋状に配置された2つ発泡弾性層104を有し、2つ発泡弾性層104が、帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Smよりも小さい平均骨格径D1を有する第1の発泡弾性層104Aと、帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Sm以上の平均骨格径D2を有する第2の発泡弾性層104Bと、からなる。
帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Smよりも小さい平均骨格径D1を有する第1の発泡弾性層104Aは、その骨格径の小ささから帯電部材の表面の凹凸に入り込み易いこと、また、骨格径に由来する柔軟性をもって、主として、帯電部材の表面(特に凹部)の異物を掻き取りに寄与するものと考えられる。
また、帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Sm以上の平均骨格径D2を有する第2の発泡弾性層104Bは、その骨格径の大きいことに由来する剛性により、主として、帯電部材の表面に残る異物、及び、第1の発泡弾性層104Aによって掻き取られたものの表面に残った異物を、面内で均すように機能するものと考えられる。
・・・
【0034】
本実施形態において、発泡弾性層104Aの平均骨格径D1は、帯電部材の表面(特に凹部)の異物を掻き取り易くするため、帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Smに対して0.3倍以上0.8倍以下であることが好ましく、0.5倍以上0.7倍以下であることがより好ましい。
また、帯電部材の表面の異物を掻き取るための剛性を得るため、平均骨格径D1は、帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Smに対して0.3倍以上であることが好ましい。同様の理由から、平均骨格径D1は、30μm以上であることがより好ましい。」
イ 「【0110】
以上の工程により、芯体の外周面に二重螺旋状に配置された2つの発泡弾性層を有するクリーニングロール1を得た。
得られたクリーニングロール1における、平均骨格径D1及びD2、発泡弾性層の幅WC及びWD、螺旋角度θA及びθB、離間距離d、厚みTA及びTBは、下記表1に示す。
【0111】
<クリーニングロール2~10の作製>
短冊になるよう切り出した発泡弾性部材2及び発泡弾性部材6を、適宜、下記表1に記載の発泡弾性部材に変えた以外は、クリーニングロール1の作製と同様にして、芯体の外周面に二重螺旋状に配置された2つの発泡弾性層を有するクリーニングロール2~11を得た。
得られたクリーニングロール2~11における、平均骨格径D1及びD2、発泡弾性層の幅WC及びWD、螺旋角度θA及びθB、離間距離d、厚みTA及びTBは、下記表1に示す。
・・・
【0116】
【表1】
[図:0001427505000001.jpg]
」
ウ 前記イ【0110】の「2つの発泡弾性層を有するクリーニングロール1」、「得られたクリーニングロール1における、平均骨格径D1及びD2」との記載を踏まえれば、表1から、クリーニングロールにおける発泡弾性層の平均骨格径D1として40、60、70μmの値が見て取れる。
(6)出願時の技術水準
前記(5)ア~ウより、帯電部材表面を清掃する清掃部材の分野においては、次のとおりの出願時の技術水準が認められる。
「芯体の外周面に1つ以上の発泡弾性層を螺旋状に配置した清掃部材を、表面が移動する(例えば回転駆動する)帯電部材に対して接触させることで、帯電部材の表面を清掃する清掃部材において、清掃部材は、帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Smよりも小さい平均骨格径D1を有する第1の発泡弾性層104Aと、帯電部材の表面における凹凸の平均間隔Sm以上の平均骨格径D2を有する第2の発泡弾性層104Bと、からなり、帯電部材の表面の異物を掻き取るための剛性を得るため、平均骨格径D1は、30μm以上であることが好ましく、その発泡弾性層の平均骨格径D1として40、60、70μmが用いられること」
3 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「画像形成装置10」は、「感光体ドラム12の表面を帯電する帯電ロール14を備えた帯電装置が配置され、帯電装置により帯電された感光体ドラム12の表面にレーザー光Lを照射し静電潜像を形成する露光装置13が配設され、現像装置15には、感光体ドラム12上に形成された静電潜像をY,M,C,Kの各色のトナー像に現像する現像ロール16が設けられ、中間転写ベルト30に一次転写されたトナー像を二次転写部T2で用紙Pに二次転写する構成」のものであるから、電子写真方式の装置であることは明らかである。よって、引用発明の「画像形成装置10」は、本願発明の「電子写真装置」に相当する。
イ 引用発明の「帯電ロール14」、「弾性層100B」、「シャフト100A」及び「クリーニングロール100」は、その機能からみて、本願発明の「帯電ローラ」、「弾性体」、「シャフト」及び「クリーニング部材」に相当する。
ウ 引用発明の「クリーニングロール100」は、シャフト100Aを構成する芯材と、この芯材の周面に形成される「弾性層100B」を構成する多孔質弾性層から形成されるものであるところ、引用発明の「クリーニングロール100」は「帯電ロール14の表面に接触して配設され」、「画像形成装置に搭載された帯電ロール14をクリーニングする」ものであるから、上記(ア)も踏まえると、本願発明の「弾性体」と引用発明の「弾性層100B」は、「電子写真装置の帯電ローラに当接して該帯電ローラの表面をクリーニングする」するという機能において一致する。
エ 前記ウより、本願発明の「クリーニング部材」と引用発明の「クリーニングロール100」は、「電子写真装置の帯電ローラに当接して該帯電ローラの表面をクリーニングする弾性体と、外周面に前記弾性体が設けられたシャフトと、を有する」ものである点で一致する。
オ 引用発明の「弾性層100Bを構成する多孔質弾性層」は、「ポリウレタンフォーム」であるから、本願発明の「弾性体」と引用発明の「弾性層100B」は、「ポリウレタン発泡体からな」るものである点で一致する。
カ JIS K 6401(https://kikakurui.com/k6/K6401-2011-01.html)によると、「6 試験方法」の「6.3 見掛け密度」に、「見掛け密度の測定は,JIS K 7222による。」とされているから、引用発明の「「JIS K7222に基づき測定される値である」「密度」」は、本願発明の「JIS K 6401による見掛け密度」に相当する。
キ 引用発明の「弾性層の密度」は「JIS K7222に基づき測定される値である」ことと、前記オ、カを踏まえると、本願発明の「ポリウレタン発泡体」と引用発明の「ポリウレタンフォーム」は、「JIS K 6401による見掛け密度が定められている」ものである点で共通する。
ク 本願発明の「シャフト」と、引用発明の「シャフト100A」は、その用語からみて「棒状体」のものである点で一致する。また、引用発明の「シャフト100A」は、芯材から構成され、この芯材の周面に弾性層100Bが形成されたものが「クリーニングロール100」であるから、本願発明の「シャフト」と引用発明の「シャフト100A」とは、「外周面に前記弾性体が設けられた」シャフトであって「棒状体であって前記クリーニング部材の芯材である」点で一致する。
したがって、本願発明と引用発明は、以下の一致点、相違点を有する。
<一致点>
「電子写真装置の帯電ローラに当接して該帯電ローラの表面をクリーニングする弾性体と、外周面に前記弾性体が設けられたシャフトと、を有するクリーニング部材において、
前記弾性体は、ポリウレタン発泡体からなり、
前記ポリウレタン発泡体は、JIS K 6401による見掛け密度が定められており、
前記シャフトは、棒状体であって前記クリーニング部材の芯材であることを特徴とするクリーニング部材。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明の「ポリウレタン発泡体」は、「前記当接する(当審注:「電子写真装置の帯電ローラに当接する」、以下同じ。)表面に露出している骨格の数が6~20個/1.5mm」であり、「前記当接する表面に露出している骨格の径が40~70μmであり」、「JIS K 6400-1に基づくセル数が50~100個/25mmであ」るのに対して、引用発明の「ポリウレタンフォーム」は、断面顕微鏡写真を観察して、単位長さあたりのセル数をカウントして求めたセル数が10~100個/25mmであることが好ましく、45~75個/25mmであることがさらに好ましいとされるとともに、セル径は、200~3,000μmであることが好ましく、250~900μmであることがより好ましく、300~600μmであることがさらに好ましいものであるが、表面に露出している骨格の数及び骨格の径は明らかでない点。
<相違点2>
JIS K 6401による見掛け密度が、本願発明の「ポリウレタン発泡体」は「50~100kg/m3」であるのに対して、引用発明の「ポリウレタンフォーム」は「40~90kg/m3」であって、一部重複するものの、数値範囲が異なる点。
<相違点3>
本願発明の「ポリウレタン発泡体」は、「セル膜が除去されている」ものであるのに対して、引用発明の「ポリウレタンフォーム」は、セル膜の除去に関して不明である点。
(2)判断
ア 相違点1について
(ア)本願発明の数値範囲の技術上の意義について
本願明細書の【0022】には「さらに、前記帯電ローラ45と当接するポリウレタン発泡体(弾性体21、21A)の表面に露出している骨格の数が6~20個/1.5mmであることにより、前記帯電ローラ45の表面に残っているトナーを良好に清掃することができる。特に、前記帯電ローラ45の表面の面粗度(JIS B 0601:2001準拠)がRz5~15μmの範囲とされた場合でも、良好に清掃することができる」と、同【0025】には「前記帯電ローラ45に当接するポリウレタン発泡体(弾性体21、21A)の表面に露出している骨格bの径(太さ)dは、40~70μmが好ましい。骨格bの径(太さ)dは、太すぎる場合、前記帯電ローラ45の表面の微細な凹間に入り込んだトナーを掻き出しにくくなり、反対に細過ぎる場合、耐久性が低下するようになるため、40~70μmの範囲が好ましい。特に、前記帯電ローラ45の表面の面粗度(JIS B 0601:2001準拠)が5~15μmの範囲にある場合でも、効率よく清掃することができるようになる。」と、同【0027】には「弾性体21、21Aを構成するポリウレタン発泡体のセル数(JIS K 6400-1準拠)は、50~100個/25mmが好ましい。セル数が少なすぎると、セルは骨格により形成されるため、相対的に骨格数が減少し、清掃性(ブラシ効果)が悪くなり、逆に多すぎると目詰まりの原因になり、何れの場合もクリーニング性が低下するようになる。」と記載されている。これによれば、セル数、骨格の径、骨格の数は、帯電ローラの表面の清掃性、耐久性等が向上する点に技術上の意義があると解される。しかしながら、帯電ローラの表面の具体的な清掃性や耐久性は、技術常識を踏まえれば、帯電ローラと当接するクリーニング部材を構成するポリウレタンの硬さ等の物性や帯電ローラへの当接圧やローラ同士の相対速度等の使用の形態、また、使用するトナーの粒径や帯電ローラの面粗度等の清掃の対象の物性が相互に影響し、クリーニング部材の表面性状のみによって決まるものではないと認められる。
そうすると、本願発明の各パラメータの数値範囲に、臨界的な意義は認めらない。
(イ)セル数について
引用発明の「セル数」は、「10~100個/25mm」、さらに好ましくは「45~75個/25mm」であり、引用発明の「ポリウレタンフォーム」の「セル数」と本願発明の「ポリウレタン発泡体」の「セル数」の数値範囲は、一部重複し、本願発明と一致する部分を有するものである。また、引用発明の「セル数」がこの範囲内であると、「帯電ロール上に過剰に付着したトナーや外添剤などの異物をセル内に取り込みやすく、さらには取り込んだ異物を凝集させて塊として帯電ロールを介して感光体へ再転移しやすくなるため、帯電ロールの異物の蓄積を抑制する観点で好まし」いのであるから、引用発明の「セル数」を、帯電ロール上に過剰に付着した異物を取り込むとの清掃性の観点から、JIS K 6400-1に基づく値を50~100個/25mmとなすことは、単なる数値範囲の最適化であって、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内の事項である。
(ウ)骨格の数について
また、本願明細書の段落【0027】には「セル数が少なすぎると、セルは骨格により形成されるため、相対的に骨格数が減少し」との記載もあるとおり、セルは骨格の間に形成されるという技術常識からすれば、セル数と骨格数が正の相関関係を有することは、明らかである。そうすると、前記(イ)のとおり、引用発明の「ポリウレタンフォーム」の「セル数」を清掃性の観点から、JIS K 6400-1に基づく値を50~100個/25mmとした場合、引用発明の「ポリウレタンフォーム」の「骨格数」も、本願発明の数値範囲「6~20個/1.5mm」を満たす蓋然性が高いといえる。仮に異なる値であるとしても、引用発明の「ポリウレタンフォーム」の「骨格数」を、清掃性の観点から本願発明の数値範囲「6~20個/1.5mm」なすことは、単なる数値範囲の最適化であって、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内の事項である。
(エ)骨格の径について
前記(ウ)と同様に、セルは骨格の間に形成されるという技術常識からすれば、同じセル数であれば、セル径と骨格の径とは、負の相関関係を有することは明らかである。
そして、引用発明の「ポリウレタンフォーム」は、「供給された研磨剤粒子、並びに、離型剤及び/又は固体潤滑剤の移動に優れる」との観点から「セル径」を好ましい範囲に最適化しているものであるから、引用発明の「ポリウレタンフォーム」の「セル」を形成する骨格の径も、同時に最適化されるものであるといえる。かつ、前記1(4)ウに示すように、引用発明のごとき帯電部材の清掃部材の分野において、発泡弾性層の平均骨格径として40μm、60μm、70μmが使用されていることからすれば、「40~70μm」という数値範囲とすることに格段の困難性はなく、当業者が通常の創作能力の発揮の範囲内でなし得る設計的事項といえる。
(オ)前記(イ)~(エ)により、相違点1に係る発明特定事項は、いずれも業者が通常の創作能力の発揮の範囲内でなし得る設計的事項といえ、かつまた、前記(ア)のとおり、格別の臨界的な意義を見出すこともできない。
よって、引用発明において、相違点1に係る発明特定事項となすことは、当業者が容易になし得るものである。
イ 相違点2について
引用発明の「ポリウレタンフォーム」の「密度」は、「圧縮永久歪の点で」「40~90kg/m3」であり、引用発明の「ポリウレタンフォーム」の「密度」と本願発明の「ポリウレタン発泡体」の「見掛け密度」の数値範囲は、一部重複し、一致する部分を有するものであるところ、その周辺の数値とすることは、ポリウレタンフォームの硬さや当接圧等に応じて当業者が通常の創作能力を発揮して適宜変更し得る程度の事項であり、50~100kg/m3とすることは、単なる数値範囲の好適化にすぎない。
よって、引用発明において、相違点2に係る発明特定事項となすことは、当業者が容易になし得るものである。
ウ 相違点3について
前記1(2)のとおり、「ウレタンフォームの気泡を連通させるためにセル膜を除去する技術」は周知技術であるから、引用発明の「連泡構造」の「ポリウレタンフォーム」を、周知技術を用いて形成することでセル膜を除去されたものとして、相違点3に係る発明特定事項とすることは当業者に格段の困難性はない。
エ 前記ア~ウのとおりであるから、引用発明において、前記相違点1~3に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
オ 本願発明の奏する効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
(3)請求人の主張の検討
ア 請求人による令和7年3月6日付け意見書の主張
請求人は、令和7年3月6日提出の意見書の(2)a.において、概略、次のとおり主張する。なお、意見書における項目に合わせて各主張を主張(イ)、主張(ロ)・・・などと呼ぶ。
(ア)主張(イ)
本願発明1と引用発明1Aとの相違点は、一体不可分のひとまとまりの構成であり、3つの相違点とすることは適切ではない。
(イ)主張(ロ)
引用文献6に開示された技術は、公開日から本願の出願日までは半年しか経っておらず、周知技術であるとは到底言えない。
(ウ)主張(ハ)
本願の図5に示す表より、セル膜が除去された実施例1、2は、圧縮応力が他の実施例3~7よりも低いにもかかわらずクリーニング性は他の実施例3~7よりも圧倒的に優れていることが判るから、本願発明は、セル膜が除去されていることにより、有利な効果を有する。
(エ)主張(ニ)
引用文献1及び引用文献6に接した「本願未知の」当業者が容易に想到し得るのは、引用発明1Aのクリーニングロールとして、引用文献6に記載の平均骨格径D1の発泡弾性体と平均骨格径D2の発泡弾性体を清掃部材に併用する「併用技術」を適用するところまでであり、かつまた、本願発明の「骨格の径が40~70μm」なる事項には技術的意義があり、単なる設計事項ではない。
(オ)主張(ホ)
相違点3に関して、「ウレタンフォームの気泡を連通させるためにセル膜を除去する技術」が周知だったとしても、もともと連通構造のウレタンフォームに対して前記技術を適用する理由はなく、わざわざ非連通構造のウレタンフォームを準備した上で除膜処理を行う合理的な理由もない。
イ 請求人の主張の検討
(ア)主張(イ)について
a 本願発明と引用発明との相違点は、一体不可分のひとまとまりの構成であり、3つの相違点とすることは適切ではないとの請求人の主張は、技術的課題の解決の観点に対してなんら具体的な説明を伴うものではない。
b そして、本願発明と引用発明との相違点のうち、相違点3は、連泡構造の形成手段に関するものであり、後記(ウ)でも述べるとおり、当該事項の有無がクリーニング性に直接影響するともいえないから、骨格の数や密度と関係があるとしても、課題の解決の観点からみて一体不可分とまではいえない。
また、相違点2に関し、引用発明においては、「ポリウレタンフォーム」の密度は「40~90kg/m3」で本願発明の「50~100kg/m3」と一部重複し、本願発明と一致する部分もあるという、引用発明との構成の近接性という観点からみて、これを本願発明の「50~100kg/m3」とすることの容易想到性について、相違点1に係る、引用発明の「セル数」と「セル径」から、本願発明の「骨格の径」と「骨格の数」を導く容易想到性と別個に検討することに不合理はない。
c そして、前記(2)の判断においては、上記の観点にもとづき検討事項を整理して提示するために相違点を3つとしたものであるが、その上で、全体として相違点1~3に係る構成とすることは当業者が容易に想到するものであると判断したのである。
d したがって、本願発明と引用発明の相違点が、一つでなければ適切ではないというものではないし、相違点が3つあるからといって、一体不可分に判断していないというものでもない。
e よって、請求人の主張は採用できない。
(イ)主張(ロ)について
当審拒絶理由通知においては、引用文献6に開示された技術に基づいて、本願出願当時のポリウレタン発泡体の骨格の径としてどの程度の数値を取り得るのか、本願出願時の技術水準として示したものであるから、引用文献6と本願の出願日までの期間の長短は問題とならない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(ウ)主張(ハ)について
セル膜が除去された実施例1,2と、他の実施例3~7とは、セル膜が除去されたか否かだけではなく、セル数、密度、骨格径、骨格数のいずれも異なり、同じ構造でセル膜の有無のみが異なるような比較実験を行っているものではない。
したがって、請求人の主張は、根拠が乏しく、セル膜を除去したこと自体に有利な効果を有するとの効果を参酌することはできない。
(エ)主張(ニ)について
前記(イ)でも述べたとおり、当審拒絶理由通知においては、引用文献6に開示された技術に基づいて、本願出願当時のポリウレタン発泡体の骨格の径としてどの程度の数値を取り得るのか、本願出願時の技術水準として示したものであり、出願前に用いられていた、40μm、60μm、70μmといった数値からみて、引用発明のポリウレタン発泡体の骨格の径として、当該数値付近の範囲となすことは当業者に容易であると判断したものであって、引用文献6記載の発明との組み合わせを判断したものではない。
また、当審拒絶理由通知においては、前記(2)ア(ア)で述べたとおり、骨格の径を好適とすることに全く技術的意義がないとしたものではなく、40~70μmとの上限下限に臨界的意義がないとの判断から、単なる数値範囲の最適化としたものである。
これに対し、請求人の主張は、具体的な理由を伴わず、また、当審拒絶理由通知における拒絶の理由を正解しないものであるから、採用できない。
(オ)主張(ホ)について
相違点3の判断においては、前記(2)ウのとおり、引用発明の「連泡構造」のポリウレタンフォームがどのように形成されたか不明であるところ、セル膜を除去するという周知技術で形成したものとすることは当業者に格段の困難性はないとしたものであるから、引用発明の連通構造にさらにセル膜を除去するという周知技術を適用するとか、引用発明をわざわざ非連通に戻すという判断を必要とするものではない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(カ)まとめ
以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。
4 小括
前記より、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 サポート要件違反について
1 発明の詳細な説明の記載
本願の発明の詳細な説明には次のとおりの記載がある。
(1)「【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ等に代表される電子写真装置では、帯電ローラに当接して該帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニング部材が設けられている。図6は、電子写真装置の構造を模式的に示す図である。符号81は感光ドラム、83は帯電ローラ、85はクリーニング部材、87はレーザー発信機、89はトナー供給装置、91はブレード、93は転写ベルト、Pは用紙である。クリーニング部材85は、帯電ローラ83の表面に付着した残留トナーや紙粉等の微粒子を除去するために設けられ、シャフト85aと、該シャフト85aの外周に設けられた弾性体85bとよりなり、弾性体85bが帯電ローラ83の表面に押し付けられた状態で回転し、帯電ローラ83の表面の微粒子を弾性体85bで除去する。回転するクリーニング部材85は、駆動部がなく、帯電ローラ83の駆動回転に従って従動する。
【0003】
クリーニング部材85の弾性体85bとして、ポリウレタン発泡体からなるものがある(特許文献1)。ポリウレタン発泡体は、多孔質のため、帯電ローラの表面の微粒子を、ポリウレタン発泡体の表面の微細な孔(セル)で捕集することができる。
【0004】
また、クリーニング部材85として、シャフトの外周面に、繊維の太さ2デール以下、繊維の密度20000本/cm2以上のブラシを放射状に設けたブラシローラがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-297690号公報
【特許文献2】特開2002-221883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のポリウレタン発泡体を用いるクリーニング部材は、帯電ローラの表面の微少な凹に残ったトナーを充分に清掃するのが難しく、長期にわたって良好な画像品質を確保するのが難しかった。なお、前記弾性体85bにメラミン樹脂発泡体を用いるものもあるが、メラミン樹脂発泡体はポリウレタン発泡体よりも高価であった。
【0007】
一方、ブラシローラからなるクリーニング部材は、長期使用によって繊維が倒れ込み、良好なクリーニング性(清掃性)を長期にわたって維持するのが難しかった。さらに、ブラシローラは、ポリウレタン発泡体を用いるものに比べて高価であった。
【0008】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、帯電ローラの表面に対するクリーニング性が良好であり、かつブラシローラと比べて安価であって、繊維の倒れ込みによる問題がないクリーニング部材と、そのクリーニング部材を用いる帯電装置の提供を目的とする。」
(2)「【0016】
クリーニング部材10、10Aは、シャフト11、11Aと、シャフト11、11Aの外周面に設けられた弾性体21、21Aとからなる。シャフト11、11Aにおいて、弾性体21、21Aが設けられる範囲(長さ)は、クリーニング部材10、10Aが取り付けられる機器に応じて異なる。
・・・
【0020】
第1実施形態及び第2実施形態のクリーニング部材10、10Aにおける弾性体21、21Aは、前記帯電ローラ45と当接する表面が裁断あるいは研磨によって切断面とされたポリウレタン発泡体からなる。ポリウレタン発泡体は、JIS K 6401による見掛け密度が50~100kg/m3、前記帯電ローラ45と当接する表面に露出している骨格の数が6~20個/1.5mmである。
【0021】
弾性体21、21Aを構成するポリウレタン発泡体の見掛け密度が50~100kg/m3であることにより、前記帯電ローラ45に対する弾性体21、21Aの弾性圧着が良好になり、前記帯電ローラ45と当接するポリウレタン発泡体(弾性体21、21A)の表面に露出しているポリウレタン発泡体の骨格による清掃が良好なものになる。
【0022】
さらに、前記帯電ローラ45と当接するポリウレタン発泡体(弾性体21、21A)の表面に露出している骨格の数が6~20個/1.5mmであることにより、前記帯電ローラ45の表面に残っているトナーを良好に清掃することができる。特に、前記帯電ローラ45の性能向上により、前記帯電ローラ45の表面の面粗度(JIS B 0601:2001準拠)がRz5~15μmの範囲とされた場合でも、良好に清掃することができる。
・・・
【0025】
また、前記帯電ローラ45に当接するポリウレタン発泡体(弾性体21、21A)の表面に露出している骨格bの径(太さ)dは、40~70μmが好ましい。骨格bの径(太さ)dは、太すぎる場合、前記帯電ローラ45の表面の微細な凹間に入り込んだトナーを掻き出しにくくなり、反対に細過ぎる場合、耐久性が低下するようになるため、40~70μmの範囲が好ましい。特に、前記帯電ローラ45の表面の面粗度(JIS B 0601:2001準拠)が5~15μmの範囲にある場合でも、効率よく清掃することができるようになる。
・・・
【0027】
弾性体21、21Aを構成するポリウレタン発泡体のセル数(JIS K 6400-1準拠)は、50~100個/25mmが好ましい。セル数が少なすぎると、セルは骨格により形成されるため、相対的に骨格数が減少し、清掃性(ブラシ効果)が悪くなり、逆に多すぎると目詰まりの原因になり、何れの場合もクリーニング性が低下するようになる。セル数の具体的な測定は、厚み10mm以上、幅及び長さ100mm以上の試験片を用意し、倍率が5倍以上の拡大鏡を用い、試験片の表面の直線上における10mm間に存在するセルの個数nを3箇所で数え、n個の平均値(個/10mm)を2.5倍して、セル数N個/25mmを算出する。」
(3)「【実施例】
【0029】
直径5mm、長さ230mmの鉄製シャフトを用い、図5に示す複数の実施例と複数の比較例のクリーニング部材を作製した。図5の「弾性体の形状」欄における「巻き品」は、両面が切断(裁断)面からなる幅5mmの短冊状の弾性体の片面に両面接着テープを貼り付けた2本の弾性体テープを、シャフトの外面に、傾き26°で巻き付けた螺旋状のものを示し、一方、「研磨品」は、四角柱状の弾性体に、接着剤が塗布されたシャフトを挿通して弾性体の外周を円筒状に研磨したものを示す。
【0030】
各実施例及び各比較例のクリーニング部材について、弾性体の表面を0.5mm圧縮した時の圧縮応力を測定した。測定方法は、ローラの軸の両端をVブロックで受けて固定し、フォースゲージの先端に直径50mmの端子を取り付け、弾性体の表面に対して直角に端子を0.5mm食い込ませた時の5sec後のフォースゲージの値(圧縮応力)を測定した。
また、各実施例と各比較例のクリーニング部材について、次のようにクリーニング性を測定した。
(1)アクリル板(210×297mm)の表面をブラスト処理してRz=20μmの表面粗さにする。
(2)厚み25μmのPETフィルムの中央部を50mm角に打ち抜き、アクリル板へセットする。
(3)打抜いた箇所にトナーをまぶし、金属製のスキージーでアクリル板上に塗膜を形成する。厚みは平均25μm(MAX15~MIN35μm)。膜厚はマイクロスコープの深度合成により測定する。トナー膜上から下地のアクリル板が見えない事。
(4)クリーニング部材の保持用装置の台座に、アクリル板をトナー膜が上向きとなるようにしてセットする。クリーニング部材の保持用装置は、台座部の両端に上向きに支持部が設けられ、支持部には、クリーニング部材のシャフトの両端を保持するシャフト保持部が、クリーニング部材の高さを調節可能に設けられている。シャフト保持部は、シャフト(クリーニング部材)を回転できるように保持する構造からなる。
(5)シャフト保持部に、クリーニング部材のシャフトを取り付ける。
(6)クリーニング部材の弾性体がアクリル板の表面に0.5mm食い込むように、クリーニング部材の高さを調節する。
(7)クリーニング部材の弾性体をアクリル板の表面に0.5mm食い込ませた状態で、一方向へクリーニング部材を固定箇所で5回転させてアクリル板の表面をクリーニングする。
(8)クリーニング部材を上方へ移動してアクリル板から離し、再びアクリル板をクリーニング開始時の元の位置に戻す。
(9)その後(5)~(7)を繰り返して合計5回アクリル板の表面をクリーニングする。
(10)5回クリーニングした後のアクリル板の表面をマイクロスコープで観察し、200倍に拡大した画面範囲の1275μm×1750μmに残存するトナー粒子の個数をカウントし、その残存個数の値でクリーニング性を判断する。
【0031】
また、各実施例及び各比較例の測定結果にしたがって総合評価を行った。総合評価は、クリーニング性が110個未満の場合に「◎」、110~140個未満の場合に「〇」、140個以上の場合に「×」とした。
【0032】
<実施例1>
実施例1の主な構成と測定結果は次のとおりである。
弾性体の材質:PUF-1、ポリウレタン発泡体、除膜品、品名;MF-DS、イノアックコーポレーション製
弾性体の形状:巻き品
シャフトへの巻き付け前の弾性体の厚み:2.35mm
シャフトへの巻き付け後の弾性体の厚み:2.24mm
ポリウレタン発泡体のセル数:90個/25mm
ポリウレタン発泡体の密度:83kg/m3
ポリウレタン発泡体の骨格径:42.4μm
ポリウレタン発泡体の骨格数:16個/1.5mm
圧縮応力:0.019kgf
クリーニング性(トナー粒子の残存個数):78個
【0033】
実施例1のクリーニング部材は、螺旋状に巻き付けた弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:83kg/m3、ポリウレタン発泡体の骨格径:42.4μm、ポリウレタン発泡体の骨格数:16個/1.5mmであるため、トナー粒子の残存個数が78個と少なく、クリーニング性が良好であり、総合評価が「◎」となった。
【0034】
<実施例2>
実施例2のクリーニング部材は、実施例1における弾性体を「巻き品」から、研磨によって外径9.3mm(肉厚2.15mm+シャフト5mm)の円筒状「研磨品」に変更した以外、実施例1と同様である。
実施例2のクリーニング部材は、円筒状の弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:83kg/m3、ポリウレタン発泡体の骨格径:42.4μm、ポリウレタン発泡体の骨格数:16個/1.5mmであるため、トナー粒子の残存個数が80個と少なく、クリーニング性が良好であり、総合評価が「◎」となった。
【0035】
<実施例3>
実施例3の主な構成と測定結果は次のとおりである。
弾性体の材質:PUF-2、ポリウレタン発泡体、セル膜有り、品名;SM-55、イノアックコーポレーション製
弾性体の形状:巻き品
シャフトへの巻き付け前の弾性体の厚み:2.35mm
シャフトへの巻き付け後の弾性体の厚み:2.15mm
ポリウレタン発泡体のセル数:55個/25mm
ポリウレタン発泡体の密度:57kg/m3
ポリウレタン発泡体の骨格径:61.0μm
ポリウレタン発泡体の骨格数:10個/1.5mm
圧縮応力:0.023kgf
クリーニング性(トナー粒子の残存個数):105個
【0036】
実施例3のクリーニング部材は、螺旋状に巻き付けた弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:57kg/m3、ポリウレタン発泡体の骨格径:61.0μm、ポリウレタン発泡体の骨格数:10個/1.5mmであるため、トナー粒子の残存個数が105個と少なく、クリーニング性が良好であり、総合評価が「◎」となった。
【0037】
<実施例4>
実施例4のクリーニング部材は、実施例3における弾性体を「巻き品」から、研磨によって外径9.3mm(肉厚2.15mm+シャフト5mm)の円筒状「研磨品」に変更した以外、実施例3と同様である。
実施例4のクリーニング部材は、円筒状の弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:57kg/m3、ポリウレタン発泡体の骨格径:61.0μm、ポリウレタン発泡体の骨格数:10個/1.5mmであるため、トナー粒子の残存個数が99個と少なく、クリーニング性が良好であり、総合評価が「◎」となった。
【0038】
<実施例5>
実施例5の主な構成と測定結果は次のとおりである。
弾性体の材質:PUF-3、ポリウレタン発泡体、セル膜有り、品名;EP-70S、イノアックコーポレーション製
弾性体の形状:巻き品
シャフトへの巻き付け前の弾性体の厚み:2.35mm
シャフトへの巻き付け後の弾性体の厚み:2.22mm
ポリウレタン発泡体のセル数:66個/25mm
ポリウレタン発泡体の密度:70kg/m3
ポリウレタン発泡体の骨格径:81.8μm
ポリウレタン発泡体の骨格数:8個/1.5mm
圧縮応力:0.025kgf
クリーニング性(トナー粒子の残存個数):117個
【0039】
実施例5のクリーニング部材は、螺旋状に巻き付けた弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:70kg/m3、ポリウレタン発泡体の骨格径:81.8μm、ポリウレタン発泡体の骨格数:8個/1.5mmであるため、トナー粒子の残存個数が117個と少なく、クリーニング性が良好であり、総合評価が「〇」となった。
【0040】
<実施例6>
実施例6のクリーニング部材は、実施例5における弾性体を「巻き品」から、研磨によって外径9.3mm(肉厚2.15mm+シャフト5mm)の円筒状「研磨品」に変更した以外、実施例5と同様である。
実施例6のクリーニング部材は、円筒状の弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:70kg/m3、ポリウレタン発泡体の骨格径:81.8μm、ポリウレタン発泡体の骨格数:8個/1.5mmであるため、トナー粒子の残存個数が122個と少なく、クリーニング性が良好であり、総合評価が「〇」となった。
【0041】
<実施例7>
実施例7は、実施例5と同一のポリウレタン発泡体をシャフトに巻き付けた後、ポリウレタン発泡体の表面を研磨した例であり、他の構成は実施例5と同様である。研磨後の弾性体の厚みは2.16mmである。
実施例7のクリーニング部材は、螺旋状に巻き付けた弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:70kg/m3、ポリウレタン発泡体の骨格径:81.8μm、ポリウレタン発泡体の骨格数:8個/1.5mmであるため、トナー粒子の残存個数が134個と少なく、クリーニング性が良好であり、総合評価が「〇」となった。
【0042】
<比較例1>
比較例1の主な構成と測定結果は次のとおりである。
弾性体の材質:PUF-5、ポリウレタン発泡体、セル膜有り、品名;EZQ-S、イノアックコーポレーション製
弾性体の形状:巻き品
シャフトへの巻き付け前の弾性体の厚み:2.35mm
シャフトへの巻き付け後の弾性体の厚み:1.18mm
ポリウレタン発泡体のセル数:20個/25mm
ポリウレタン発泡体の密度:13kg/m3
ポリウレタン発泡体の骨格径:121.5μm
ポリウレタン発泡体の骨格数:4個/1.5mm
圧縮応力:0.006kgf
クリーニング性(トナー粒子の残存個数):300個
【0043】
比較例1のクリーニング部材は、螺旋状に巻き付けた弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:13kg/m3と低く、ポリウレタン発泡体の骨格径:121.5μmと太く、ポリウレタン発泡体の骨格数:4個/1.5mmと少ないため、トナー粒子の残存個数が300個と多く、クリーニング性に劣り、総合評価が「×」となった。
【0044】
<比較例2>
比較例2の主な構成と測定結果は次のとおりである。
弾性体の材質:PUF-6、ポリウレタン発泡体、除膜品、品名;MF-60、イノアックコーポレーション製
弾性体の形状:巻き品
シャフトへの巻き付け前の弾性体の厚み:2.35mm
シャフトへの巻き付け後の弾性体の厚み:2.04mm
ポリウレタン発泡体のセル数:58個/25mm
ポリウレタン発泡体の密度:30kg/m3
ポリウレタン発泡体の骨格径:41.5μm
ポリウレタン発泡体の骨格数:12個/1.5mm
圧縮応力:0.009kgf
クリーニング性(トナー粒子の残存個数):140個
【0045】
比較例2のクリーニング部材は、螺旋状に巻き付けた弾性体が、ポリウレタン発泡体の密度:30kg/m3と低いため、圧縮応力が低く、トナー粒子の残存個数が140個と多くなり、クリーニング性に劣り、総合評価が「×」となった。
【0046】
<比較例3>
比較例3の主な構成と測定結果は次のとおりである。
弾性体の材質:繊維積層品、ポリエチレン繊維品、品名;PES2-80、イノアックコーポレーション製
弾性体の形状:巻き品
シャフトへの巻き付け前の弾性体の厚み:2.50mm
シャフトへの巻き付け後の弾性体の厚み:2.16mm
骨格径(繊維径):24.0μm
骨格数(繊維数):30個/1.5mm
圧縮応力:0.106kgf
クリーニング性(トナー粒子の残存個数):191個
【0047】
比較例3のクリーニング部材は、螺旋状に巻き付けた弾性体が、骨格数(繊維数)30個/1.5mmと多い繊維積層品からなるため、圧縮応力が高く、柔軟性がなくなることから、トナー粒子の残存個数が191個と多くなり、クリーニング性に劣り、総合評価が「×」となった。
【0048】
このように、本発明のクリーニング部材は、クリーニング性が良好であり、かつブラシローラと比べて安価であって、繊維の倒れ込みによる問題がないものである。
また、高精細な帯電装置は、帯電ローラの面粗度がRz5~15μmと細かく、トナーの粒径が3~8μmと細かいために、高精細な画質が得られる一方で、トナーが帯電ローラの表面の凹部に溜まり易く、従来のクリーニング部材では、クリーニングし難かった。
本発明のクリーニング部材は、このような、高精細な帯電装置に用いられる帯電ローラ用のクリーニング部材として特に有用である。また、本発明のクリーニング部材を帯電ローラに組み合わせた帯電装置は、ブラシローラを使うものに比べて安価である。」
(4)「【図5】
[図:0001427505000002.jpg]
」
2 特許請求の範囲の記載
請求項1の記載は、前記第2に示すとおりであり、「前記ポリウレタン発泡体は、セル膜が除去されていると共に、JIS K 6401による見掛け密度が50~100kg/m3、前記当接する表面に露出している骨格の数が6~20個/1.5mmであり、前記当接する表面に露出している骨格の径が40~70μmであり、JIS K 6400-1に基づくセル数が50~100個/25mmであり」との記載を含むものである。
したがって、本願発明は、ポリウレタン発泡体のセル膜が除去されているものに限定されている。
3 サポート要件の判断
(1)前記1(1)より、本願発明は、ポリウレタン発泡体を用いるクリーニング部材は、帯電ローラの表面の微少な凹に残ったトナーを充分に清掃するのが難しく、長期にわたって良好な画像品質を確保するのが難しかった、との認識に基づいて、帯電ローラの表面に対するクリーニング性が良好であり、かつブラシローラと比べて安価であって、繊維の倒れ込みによる問題がないクリーニング部材の提供を、解決しようとする課題とするものと認められる。
(2)ここで、前記1(3)及び(4)に示すとおり、発明の詳細な説明には、クリーニング部材の弾性体のうち、除膜品としてそのクリーニング性を比較実験したのは、実施例1、その研磨品である実施例2、及び比較例2のみである。
また、これら実施例1、2は、弾性層の骨格の径、骨格数、セル数などの各値として段落【0032】に示す特定の値を有し、かつ、装置条件として段落【0030】に示す特定の条件下でトナーの残存個数なるクリーニング性を確認したにすぎない。
(2)しかしながら、帯電ローラ表面に対する具体的なクリーニング性能は、技術常識を踏まえれば、帯電ローラに当接するクリーニング部材を構成するポリウレタンの硬さや厚み等の物性や帯電ローラへの当接圧やローラ同士の相対速度等の使用の形態、また、使用するトナーの粒径や帯電ローラの面粗度等の清掃の対象の物性が相互に影響し、クリーニング部材の表面性状のみによって決まるものではない。また、前記1(1)~(4)をみても、除膜品のクリーニングロールとして特定の値を有するもので得られた性能がその他の値でも当然に妥当するとの根拠が、発明の詳細な説明に示されるものでもないし、そのような根拠が技術常識ともいえない。
(3)そうすると、発明の詳細な説明に開示された特定の装置条件下でクリーニング性が確認されたクリーニングロールを、出願時の技術常識に照らしても、「前記ポリウレタン発泡体は、セル膜が除去されていると共に、JIS K 6401による見掛け密度が50~100kg/m3、前記当接する表面に露出している骨格の数が6~20個/1.5mmであり、前記当接する表面に露出している骨格の径が40~70μmであり、JIS K 6400-1に基づくセル数が50~100個/25mmであり」との請求項に係る発明の範囲まで拡張ないし一般化することはできない。
(4)したがって、本願発明は、前記(1)に示した発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているものである。
4 請求人の主張の検討
(1)請求人による令和7年3月6日付け意見書の主張
請求人は、令和7年3月6日提出の意見書の(2)b.において、次のとおり主張する。
「帯電ローラの表面に対するクリーニング性が良好であり、かつブラシローラと比べて安価であって、繊維の倒れ込みによる問題がないクリーニング部材と、そのクリーニング部材を用いる帯電装置の提供」なる課題が出願当初の請求項1に係る発明、すなわち、弾性体がポリウレタン発泡体であり、ポリウレタン発泡体の見掛け密度が50~100kg/m3であり、ポリウレタン発泡体の骨格の数が6~20個/1.5mmであることで解決できることは、本願明細書に接した当業者であれば十分に認識でき、これを否定する特段の事情はない。
例えば、特定の硬さのポリウレタン発泡体を使用する場合において、本願発明の特定事項(特に見掛け密度及び骨格の数)を満足するポリウレタン発泡体であれば、本願発明の特定事項(特に見掛け密度及び骨格の数)を満足しないポリウレタン発泡体と比較して、クリーニング性が良好になるであろうことは、本願明細書に接した当業者であれば理解し得ることであり、除膜に関しても、本願の実施例の結果からすれば、除膜によるクリーニング性能の向上が確認できるのであって、これを否定する特段の事情(除膜が本願の課題を解決できない程度にクリーニング性能を悪化する証拠)があるわけではない。」
(2)請求人の主張の検討
ア 前記3で示したとおり、ポリウレタン発泡体の見掛け密度及び骨格の数の数値範囲は、前記1(3)及び(4)によれば、特定の条件下の数例で良好なクリーニング性を示した実験で使用された数値を包含するものにすぎず、他の装置条件や発泡体の要素を変えたものなどの多くの実験がなされているわけではない。
イ ここで、ポリウレタン発泡体が同じ密度であっても、例えば、帯電ローラへの当接圧に応じて、圧縮応力及びクリーニング性能が異なることは技術常識であって、前記1(2)【0027】を踏まえれば、装置条件上クリーニング性が低ければ、骨格数を増やして清掃性を高くする必要があり、クリーニング性が高ければ、骨格数を減らして目詰まりを減じる必要が生じるものと理解できる。そうすると、骨格数の好適とされる数値範囲の上限下限も当然に装置条件上のクリーニング性に応じて変わり得るものと理解できる。
したがって、前記1(3)及び(4)の実施例から直ちに、ポリウレタン発泡体の見掛け密度や骨格の数の数値範囲内における全ての数値に対して、装置条件等が変わろうとも顕著なクリーニング性を示すことが、当業者に認識できるとはいえない。
また、ポリウレタン発泡体の骨格の径やセル数についても同様のことがいえる。
ウ これに対して、請求人の主張は、なんら根拠を示すことなく、前記3(1)で示した課題がポリウレタン発泡体の見掛け密度が50~100kg/m3であり、ポリウレタン発泡体の骨格の数が6~20個/1.5mmであることで解決できることは、本願明細書に接した当業者であれば十分に認識できるとしたものであって、採用できない。
エ なお、本願の発明の詳細な説明は、ポリウレタン発泡体の見掛け密度及び骨格の数、骨格の径、セル数それぞれの数値範囲に格別の臨界的意義を持つことの裏付けを示すものではなく、その他の条件によっては良好なクリーニング性を示すものとして用いられ得ることを示したにとどまるものであることから、前記3のとおり判断したものである。
他方、請求人の主張は、本願発明は、その他の条件によっては良好なクリーニング性を示すものとして用いられ得るとの限度で課題を解決できるものであるとの主張と理解することも可能であるが、その場合であっても、前記第4で示したとおり、当該数値範囲を定めることは単なる数値範囲の好適化であると認められる。
5 小括
したがって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
第6 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
また、本願発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本願は、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない。
したがって、他の請求項を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-005261