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特許拒絶査定不服審判

2025-005339

遊技機

審判番号
2025-005339
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-043045
請求日
2025年04月07日
審決日
2026年05月14日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社平和
  • 【請求人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 秋田 将行
  • 審判官 山崎 仁之
  • 審判官 齋藤 智也
分類
P18 .572-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 43045「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 9月29日出願公開、特開2023-137050〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和4年3月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和6年 2月14日付け:拒絶理由通知書 同年 4月16日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月19日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年 9月25日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月12日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (令和7年 1月 7日 :原査定の謄本の送達) 令和7年 4月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和7年4月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年4月7日にされた手続補正を却下する。 [理由](補正の適否の判断) 1 本件補正について(補正の内容) 令和7年4月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和6年4月16日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲に、 (本件補正前) 「【請求項1】 遊技結果を示すのに用いられる演出図柄と、前記演出図柄以外の演出画像を表示可能な遊技機であって、 前記演出画像は、第1演出画像と、第2演出画像と、第3演出画像と、を含み、 前記第1演出画像は、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 前記第2演出画像は、前記第1演出画像と異なる表示態様で所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 前記第3演出画像は、前記第1演出画像及び前記第2演出画像と異なる表示態様の画像であり、 前記第1演出画像を表示してから所定時間が経過したときに前記第2演出画像を表示可能であり、 前記第3演出画像は、 前記第1演出画像を表示するときに表示可能であるとともに、前記第2演出画像を表示するときに表示可能であり、 前記第1演出画像又は前記第2演出画像の一方に重畳し、他方に重畳しないように表示可能である ことを特徴とする遊技機。」 とあったものを、 審判請求時に提出された手続補正書の特許請求の範囲における、 (本件補正後) 「【請求項1】 遊技結果を示すのに用いられる演出図柄と、前記演出図柄以外の演出画像を表示可能な遊技機であって、 前記演出画像は、第1演出画像と、第2演出画像と、第3演出画像と、を含み、 前記第1演出画像は、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 前記第2演出画像は、前記第1演出画像と異なる表示態様で所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 前記第3演出画像は、前記第1演出画像及び前記第2演出画像と異なる表示態様の画像であり、 前記第1演出画像を表示してから所定時間が経過したときに前記第2演出画像を表示可能であり、 前記第3演出画像は、 前記第1演出画像を表示するときに表示可能であるとともに、前記第2演出画像を表示するときに表示可能であり、 前記第2演出画像に重畳し、前記第1演出画像に重畳しないように表示可能であり、 前記第2演出画像に重畳する領域の縦の幅が前記第2演出画像に重畳しない領域の縦の幅よりも短い ことを特徴とする遊技機。」 と補正するものである(下線は補正箇所を示すために当審合議体が付した。)。 2 補正の適否 (1) 補正事項 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第3演出画像」について、本件補正前には「第1演出画像」と「第2演出画像」のうち、「第3演出画像」と重畳する一方と、重畳しない他方を特定していなかったものを、「第2演出画像」が「第3演出画像」に重畳し、「第1演出画像」が「第3演出画像」に重畳しないことを特定して限定する補正と、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第3演出画像」と「第2演出画像」について、本件補正前には両者の重畳する幅について特定がなかったものを、「前記第3演出画像」は「前記第2演出画像に重畳する領域の縦の幅が前記第2演出画像に重畳しない領域の縦の幅よりも短い」と特定して限定する補正を目的とするものである。 (2) 補正目的 本件補正は、上記(1)のとおり、本件補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 (3) 新規事項 本件補正により特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「本件当初明細書等」という。)の【0541】、【0543】、【図45】等の記載からみて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 本件補正発明の独立特許要件 上記2(2)で述べたとおり、本件補正により特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下で検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1に(本件補正後)として記載したとおりのものであるところ、本件補正発明について以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 (本件補正発明) 「【請求項1】 A 遊技結果を示すのに用いられる演出図柄と、前記演出図柄以外の演出画像を表示可能な遊技機であって、 B 前記演出画像は、第1演出画像と、第2演出画像と、第3演出画像と、を含み、 B1 前記第1演出画像は、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 B2 前記第2演出画像は、前記第1演出画像と異なる表示態様で所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 B3 前記第3演出画像は、前記第1演出画像及び前記第2演出画像と異なる表示態様の画像であり、 C 前記第1演出画像を表示してから所定時間が経過したときに前記第2演出画像を表示可能であり、 D 前記第3演出画像は、 D1 前記第1演出画像を表示するときに表示可能であるとともに、前記第2演出画像を表示するときに表示可能であり、 D2 前記第2演出画像に重畳し、前記第1演出画像に重畳しないように表示可能であり、 D3 前記第2演出画像に重畳する領域の縦の幅が前記第2演出画像に重畳しない領域の縦の幅よりも短い E ことを特徴とする遊技機。」 (2) 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願日前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2021-180782号公報(令和3年11月25日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同じ。)。 ア 記載事項 「【0314】 [基本的な画像表示の演出例] 次に、図17から図20を用いて、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける基本的な演出に関して説明を行う。図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図であり、図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。図19は、大当り遊技を実行している状態を表した図であり、図20は特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。 【0315】 (通常遊技状態の演出表示例) 《装飾図柄》 図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図である。画面の略中央領域に3つの数字が遊技者に対して明瞭に確認できる態様にて表示されている。この3つの図柄は「装飾図柄(P801)」(「装図」とも呼ぶ)と呼ばれており、特別図柄抽選の結果に対応して表示される演出的な表示物であり、特別図柄の変動表示に合わせて変動表示される。なお、図17中では数字のみで表現しているが、各数字にキャラクタ画像などの装飾画像を伴って表示される場合もある。また、各数字に装飾画像を伴って表示するよう構成する場合には、遊技状態によって装飾画像や各数字の表示態様を相違させてもよい。そのように構成することによって、遊技者は現在の遊技状態を判別し易くなる。」 「【0372】 最後に、画面右上の簡易装図P802の下部に表示されている「右打ち」および右側矢印記号は、「打ち分け報知(P830)」(「推奨発射位置報知」などとも呼ばれる)に係る画像表示である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中は、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することが推奨される遊技状態であるため、「右打ち報知(P832)」(「右打ち」の文字列、および右側矢印記号の表示)が実行されている。」 「【0510】 一方、演出表示装置P80の右側の遊技領域(右側領域P501R)には、図33に示すように上から作動口P741、普通電動役物P770に係る第2始動入賞口P721、第1始動入賞口711B、大入賞口P751が配置され、演出表示装置P80の右側の遊技領域に向けて発射された遊技球が入賞可能となっている。」 「【0553】 (長時間チャンス状態の演出例) 図36は、第2-1実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて遊技者に最も有利となる遊技状態(最も大当り遊技を獲得しやすい遊技状態)の「長時間チャンス状態」における演出例を示している。第2-1実施例のぱちんこ遊技機Pでは「長時間チャンス状態」において、「4連続バトル演出」を行う(特定期間が「5分」のとき、かつ普通図柄抽選が「長時間チャンス状態」の開始後に連続して5回実行されるとき)。 【0554】 前述したように、第2-1実施例のぱちんこ遊技機Pは、低確率/高ベース状態である特定遊技の第1特別図柄のはずれ変動中である特定期間(N分)に、N回の普通図柄抽選が受けられるようになっており、特定期間が5分である場合の「長時間チャンス状態」においては、1回の普通図柄抽選に対して1回の普通図柄演出を行い、第2-1実施例のぱちんこ遊技機Pでは4回の「バトル演出」と1回の「ファイナルチャンス」演出(短時間チャンス状態と共通の演出)が実行される。 【0555】 図36の画面の例では、「4連続バトル演出」の3回目の「バトル演出」が実行されている状態を示している。より具体的には、画面上部左側の演出モード表示P840において「4連続バトル」演出であることを示す「連続バトル」の演出モードタイトルを表示させており、残り遊技回数表示P841として、現在3回目の「バトル演出」が実行されており、遊技者に間接的に残り2回の「バトル演出」(3回目を含む)と「ファイナルチャンス」が残っていることを示唆している。 ・・・ 【0559】 普通図柄の簡易装図P802の下方には、打ち分け報知P830として右打ち報知P832が表示されている。「長時間チャンス状態」および「短時間チャンス状態」では、第1特別図柄のはずれ変動の変動表示期間中の限られた時間に作動口P741へ入球させて普通図柄抽選を受ける必要があるため、普通図柄抽選を設計の意図通りの回数受けられずに特定期間が経過してしまうことを防止するため、特別図柄の変動表示期間中に普通図柄の変動に関する制御または普通電動役物770の作動に関する制御が行われなくなった場合、3秒程度の比較的短い時間後に右打ち報知P832を強調する態様に切り替えて、遊技者に遊技球を右側領域P501Rに発射させ、作動口P741へ入球させることを促す報知を行うようにしてもよい。 【0560】 「バトル演出」において、遊技者側キャラクタが勝利すると、図37に示すように「普通電動役物開放演出」が行われる。「普通電動役物開放演出」では、第2始動入賞口P721を模した画像と、「狙って」の文字列等を表示して、第2始動入賞口P721に向けて遊技球を発射させることを促す演出が行われる。普通電動役物770は、「第2始動入賞口P721に対する1球の遊技球の入球」または「所定時間の作動期間の経過」を終了条件としているため、第2-1実施例のぱちんこ遊技機では、「普通電動役物開放演出」において、普通電動役物の作動期間と略対応するインジケータ表示(発射推奨期間表示)を第2始動入賞口P721を模した画像の下方に表示し、遊技者に第2始動入賞口P721に入球可能となっている期間を示している。」 「【図17】 [図:0001437039000001.jpg] 」 「【図36】 [図:0001437039000002.jpg] 」 「【図37】 [図:0001437039000003.jpg] 」 イ 認定事項 (ア) 認定事項1 引用文献1の「前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中は、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することが推奨される遊技状態であるため、「右打ち報知(P832)」(「右打ち」の文字列、および右側矢印記号の表示)が実行されている。」(【0372】)、「図36の画面の例では、「4連続バトル演出」の3回目の「バトル演出」が実行されている状態を示している。」(【0555】)、「普通図柄の簡易装図P802の下方には、打ち分け報知P830として右打ち報知P832が表示されている。」(【0559】)との記載、及び、「バトル演出」が実行されている状態を示している【図36】に照らせば、引用文献1には、「4連続バトル演出」の3回目の「バトル演出」が実行されている状態において、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することを推奨する打ち分け報知P830として、「右打ち」の文字列、および右側矢印記号からなる右打ち報知P832が表示されることが記載されていると認められる(以下「認定事項1」という。)。 (イ) 認定事項2 引用文献1には「「バトル演出」において、遊技者側キャラクタが勝利すると、図37に示すように「普通電動役物開放演出」が行われる。「普通電動役物開放演出」では、第2始動入賞口P721を模した画像と、「狙って」の文字列等を表示して、第2始動入賞口P721に向けて遊技球を発射させることを促す演出が行われる。」(【0560】)と記載されている。 また、図37からは、「第2始動入賞口P721を模した画像」の背後に「白抜きの右向き矢印の画像」が表示されていること、及び、打ち分け報知P830として右打ち報知P832が表示されていることが見てとれる。 以上のことから、引用文献1には、「バトル演出」において、遊技者側キャラクタが勝利すると、第2始動入賞口P721に向けて遊技球を発射させることを促す第2始動入賞口P721を模した画像と、第2始動入賞口P721を模した画像の背後に白抜きの右側矢印の画像と、打ち分け報知P830として右打ち報知P832が表示されることが記載されていると認められる(以下「認定事項2」という。)。 ウ 引用発明 上記アの記載事項、及び、上記イの認定事項によれば、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「特別図柄抽選の結果に対応した装飾図柄が表示され、(【0315】) 「4連続バトル演出」の3回目の「バトル演出」が実行されている状態において、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することを推奨する打ち分け報知P830として、「右打ち」の文字列、および右側矢印記号からなる右打ち報知P832が表示され、(認定事項1) 「バトル演出」において、遊技者側キャラクタが勝利すると、右側領域P501Rに配置された第2始動入賞口P721に向けて遊技球を発射させることを促す第2始動入賞口P721を模した画像と、第2始動入賞口P721を模した画像の背後に白抜きの右側矢印の画像と、打ち分け報知P830として右打ち報知P832が表示される、(【0510】、認定事項2) ぱちんこ遊技機P(【0314】)」 (3) 対比 分説にしたがい、本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 特定事項Aについて 引用発明の「ぱちんこ遊技機P」における「特別図柄抽選の結果に対応した装飾図柄」は、本件補正発明の「遊技結果を示すのに用いられる演出図柄」に相当する。 また、引用発明の「ぱちんこ遊技機P」は、「装飾図柄」以外に、「右打ち報知P832」、「第2始動入賞口P721を模した画像」、「白抜きの右向き矢印の画像」を表示するものであり、これは本件補正発明の「前記演出図柄以外の演出画像」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Aに相当する構成を備える。 イ 特定事項B、B1について 引用発明の「右打ち報知P832」は「遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することを推奨する表示」であり、これは本件補正発明の「前記第1演出画像は、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像」であることに相当する。 よって、引用発明の「右打ち報知P832」は本件補正発明の「第1演出画像」に相当するから、引用発明は、本件補正発明の特定事項B、B1に相当する構成を備える。 ウ 特定事項B、B2について 引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」について、右側領域P501Rに配置された第2始動入賞口P721に向けて遊技球を発射させることを促す「第2始動入賞口P721を模した画像」の背後に表示されること、及び、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することを推奨する「右打ち報知P832」においても右側矢印記号が表示されることに照らせば、「白抜きの右側矢印の画像」が右側領域P501Rに遊技球を発射することを推奨する画像であることは明らかである。そして、引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」が右側領域P501Rに遊技球を発射することを推奨する画像であることは、本件補正発明の「前記第2演出画像は」、「所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像」であることに相当する。 さらに、引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」は「右打ち報知P832」とは表示態様が異なる。 よって、引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」は本件補正発明の「第2演出画像」に相当するから、引用発明は、本件補正発明の特定事項B、B2に相当する構成を備える。 エ 特定事項B、B3について 引用発明の「第2始動入賞口P721を模した画像」は、「右打ち報知P832(本件補正発明の「第1演出画像」)」、及び、「白抜きの右側矢印の画像(本件補正発明の「第2演出画像」)」と表示態様が異なる。 よって、引用発明の「第2始動入賞口P721を模した画像」は本件補正発明の「第3演出画像」に相当するから、引用発明は、本件補正発明の特定事項B、B3に相当する構成を備える。 オ 特定事項Cについて 引用発明の「右打ち報知P832」は「「4連続バトル演出」の3回目の「バトル演出」が実行されている状態」において表示されるものであり、「白抜きの右側矢印の画像」は「「バトル演出」において、遊技者側キャラクタが勝利」すると表示されるものである。これより、引用発明は、3回目の「バトル演出」において「右打ち報知P832(本件補正発明の「第1演出画像」)」を表示した後、「バトル演出」において遊技者側キャラクタが勝利したときに、「白抜きの右側矢印の画像(本件補正発明の「第2演出画像」)」が表示されるものであり、これは本件補正発明の「前記第1演出画像を表示してから所定時間が経過したときに前記第2演出画像を表示可能」であることに相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Cに相当する構成を備える。 カ 特定事項D、D1について 引用発明の「第2始動入賞口P721を模した画像(本件補正発明の「第3演出画像」)」は、「バトル演出」において、遊技者側キャラクタが勝利すると、「右打ち報知P832(本件補正発明の「第1演出画像」)」及び「白抜きの右側矢印の画像(本件補正発明の「第2演出画像」)」とともに表示されており、これは本件補正発明の「前記第3演出画像は、」「前記第1演出画像を表示するときに表示可能であるとともに、前記第2演出画像を表示するときに表示可能」であることに相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項D、D1に相当する構成を備える。 キ 特定事項D、D2について 引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」は「第2始動入賞口P721を模した画像」の背後に表示されることから、「第2始動入賞口P721を模した画像(本件補正発明の「第3演出画像」)」は「白抜きの右側矢印の画像(本件補正発明の「第2演出画像」)」に重畳しているといえ、これは本件補正発明の「前記第3演出画像は、」「前記第2演出画像に重畳し、」「表示可能」であることに相当する。 また、引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」と「右打ち報知P832」は離れて表示されており、これは本件補正発明の「前記第3演出画像は、」「前記第1演出画像に重畳しないように表示可能」であることに相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項D、D2に相当する構成を備える。 ク 特定事項Eについて 引用発明の「ぱちんこ遊技機P」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Eに相当する構成を備える。 (4) 一致点及び相違点 上記(3)の検討を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、 <一致点> 「A 遊技結果を示すのに用いられる演出図柄と、前記演出図柄以外の演出画像を表示可能な遊技機であって、 B 前記演出画像は、第1演出画像と、第2演出画像と、第3演出画像と、を含み、 B1 前記第1演出画像は、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 B2 前記第2演出画像は、前記第1演出画像と異なる表示態様で所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 B3 前記第3演出画像は、前記第1演出画像及び前記第2演出画像と異なる表示態様の画像であり、 C 前記第1演出画像を表示してから所定時間が経過したときに前記第2演出画像を表示可能であり、 D 前記第3演出画像は、 D1 前記第1演出画像を表示するときに表示可能であるとともに、前記第2演出画像を表示するときに表示可能であり、 D2 前記第2演出画像に重畳し、前記第1演出画像に重畳しないように表示可能である、 E ことを特徴とする遊技機。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点>(特定事項D、D3について) 本件補正発明は「前記第3演出画像は、」「前記第2演出画像に重畳する領域の縦の幅が前記第2演出画像に重畳しない領域の縦の幅よりも短い」のに対し、引用発明では「第2始動入賞口P721を模した画像」と「白抜きの右側矢印の画像」との重畳している幅をどのようにしているか不明である点。 (5) 判断 上記相違点について検討する。 本件当初明細書の【0006】に、発明が解決しようとする課題について「ところで、右打ち指示報知演出の演出画像と他の演出画像とを同時期に表示可能とした場合に、右打ち指示報知演出の演出画像の視認性が低下して、遊技の興趣が低下するおそれがある。」と記載されていることから、本件補正発明は「第3演出画像」が「第2演出画像」に重畳して表示されても、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像である「第2演出画像」の視認性を低下させないことを解決すべき課題とするものと認められる。 一方で、本件補正発明の相違点に係る構成は、「第3演出画像」における「第2演出画像に重畳する領域の縦の幅」と「第2演出画像に重畳しない領域の縦の幅」を比較して、前者の方が短いことを特定するものであるが、この特定は「第3演出画像」が「第2演出画像」とどの程度重畳するかを示すものではあるものの、「第2演出画像」における「第3演出画像」と重畳しない領域の幅、すなわち「第2演出画像」を視認可能な領域の幅を特定しているものではない。たとえば、「第3演出画像」が「第2演出画像」を全て覆って視認できないように重畳しても、「第3演出画像」の縦の幅が「第2演出画像」の縦の幅の2倍以上あれば、特定事項D、D3を充足することとなる。そのため、本件補正発明の相違点に係る構成は、「第3演出画像」が「第2演出画像」に重畳して表示されても、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像である「第2演出画像」の視認性を低下させないという解決すべき課題に対して、何らかの技術的意義があるものとは認められない。 そして、引用発明においても「第2始動入賞口P721を模した画像」と「白抜きの右側矢印の画像」とが重畳する幅及び重畳しない幅は、各画像の相対的な視認性の良否という以上の何らかの技術的意義があるとは認められないから、引用発明において、各画像の視認性を考慮し、「第2始動入賞口P721を模した画像」が「白抜きの右側矢印の画像」に重畳する領域の縦の幅を重畳しない領域の縦の幅より短くすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎないというべきである。 したがって、引用発明の「第2始動入賞口P721を模した画像」と「白抜きの右側矢印の画像」の重畳している幅について設計的変更を加え、「第2始動入賞口P721を模した画像」が「白抜きの右側矢印の画像」に重畳する領域の縦の幅を重畳しない領域の縦の幅より短くすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 (6) 審判請求人の主張 審判請求人は、審判請求書において、第3演出画像が第2演出画像に重畳する領域の縦の幅(a)が、第2演出画像に重畳しない領域の縦の幅(b)よりも短いことで(a<b)、本件補正発明は、第2演出画像が第3演出画像により一部隠れたとしても、第2演出画像の視認性を確保することができるという作用効果を発揮するものである旨主張する。 しかしながら、上記(5)に示したとおり、第3演出画像が第2演出画像に重畳する領域の縦の幅が、第2演出画像に重畳しない領域の縦の幅よりも短いことを特定することによっては、「第2演出画像」において「第3演出画像」と重畳しない領域の幅、すなわち「第2演出画像」を視認可能な領域の幅を特定しているとはいえないため、第2演出画像の視認性を確保することができるという作用効果を発揮するものとはいえない。 よって、審判請求人の主張は採用できない。 (7) 小括 したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび(補正の却下の決定のむすび) 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしていないものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は(以下「本願発明」という。)、令和6年4月16日提出の手続補正書により補正された、上記第2の1に(本件補正前)として記載したとおりのものであるところ、本願発明について以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 (本願発明) 「【請求項1】 A 遊技結果を示すのに用いられる演出図柄と、前記演出図柄以外の演出画像を表示可能な遊技機であって、 B 前記演出画像は、第1演出画像と、第2演出画像と、第3演出画像と、を含み、 B1 前記第1演出画像は、所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 B2 前記第2演出画像は、前記第1演出画像と異なる表示態様で所定領域に向けて遊技球を発射することを促す画像であり、 B3 前記第3演出画像は、前記第1演出画像及び前記第2演出画像と異なる表示態様の画像であり、 C 前記第1演出画像を表示してから所定時間が経過したときに前記第2演出画像を表示可能であり、 D 前記第3演出画像は、 D1 前記第1演出画像を表示するときに表示可能であるとともに、前記第2演出画像を表示するときに表示可能であり、 D2’ 前記第1演出画像又は前記第2演出画像の一方に重畳し、他方に重畳しないように表示可能である E ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。 「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規性)及び●理由2(進歩性)について ・請求項:1 ・引用文献等:1 <引用文献等一覧> 1.特開2021-180782号公報」 3 引用文献 (1) 引用文献1の記載事項及び認定事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項、認定事項は、上記第2の3(2)ア、イに示したとおりである。 (2) 引用発明 引用発明は、上記第2の3(2)ウに示したとおりである。 4 対比・判断 (1) 特定事項A~D1、Eについて 上記第2の3(3)ア~カ、クにおいて、本件補正発明の特定事項A~D1、Eについて示したのと同様に、引用発明は、本願発明の特定事項A~D1、Eに相当する構成を有する。 (2) 特定事項D、D2’について 引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」は「第2始動入賞口P721を模した画像」の背後に表示されることから、「第2始動入賞口P721を模した画像(本願発明の「第3演出画像」)」は「白抜きの右側矢印の画像(本願発明の「第2演出画像」)」に重畳しているといえ、これは本願発明の「前記第3演出画像は、」「前記第1演出画像又は前記第2演出画像の一方に重畳し」「表示可能」であることに相当する。 また、引用発明の「白抜きの右側矢印の画像」と「右打ち報知P832」は離れて表示されており、これは本願発明の「前記第3演出画像は、」「前記第1演出画像又は前記第2演出画像の」「他方に重畳しないように表示可能」であることに相当する。 よって、引用発明は、本願発明の特定事項D、D2’に相当する構成を有する。 (3) 対比・判断 上記(2)の検討を踏まえると、引用発明は本願発明の特定事項A~Eに相当する構成を全て有するから、本願発明と引用発明とは相違するところがなく、本願発明は引用発明である。 また、本願発明と引用発明の間に相違する点があるとしても、設計上の微差に過ぎず、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 第4 むすび(結論) 以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-005339

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