特許拒絶査定不服審判
2024-017443
気密構造
- 審判番号
- 2024-017443
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-165041
- 請求日
- 2024年10月31日
- 審決日
- 2026年03月23日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社竹中工務店
- 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 土屋 真理子
- 審判官 有家 秀郎
- 分類
- P18 .575-Z (E04B) / P18 .121-Z (E04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-165041「気密構造」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月11日出願公開、特開2022- 57007〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願は、令和2年9月30日を出願日とする出願であって、手続の概要は、以下のとおりである。
(1)令和6年 4月26日付け; 拒絶理由通知
(2) 同年 6月27日受付; 意見書・手続補正書の提出
(3) 同年 8月15日付け; 拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月27日; 謄本送達)
(4) 同年10月31日受付; 審判請求書・手続補正書の提出
第2 令和6年10月31日受付で提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年10月31日受付で提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は特許請求の範囲の補正を含み、本件補正の前後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
(1)本件補正前
「【請求項1】
気密室の壁、天井及び床を形成する複数のパネル材と、
隣り合う前記パネル材によって形成される目地に沿って配置されて前記目地を被覆し前記パネル材の表面に溶着された長尺部材であるシート材と、
を備えた気密構造。」
(2)本件補正後
「【請求項1】
気密室の壁、天井及び床を形成する複数のパネル材と、
隣り合う前記パネル材によって形成される目地に沿って、前記目地に跨る部分のみに配置されて前記目地を被覆し前記パネル材の表面に溶着された長尺部材であるシート材と、
を備えた気密構造。」
2 本件補正の適否
(1)補正目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明について、「隣り合う前記パネル材によって形成される目地に沿って配置」される「長尺部材であるシート材」に関し、「前記目地に跨る部分のみに」配置されるという事項を、追加して限定する補正であるから、請求項1についての補正の目的としては、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認める。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができたか否かについて、以下に判断する。
(2)本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1(2)に示した、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるべきものである。
(3)引用文献等
ア 原査定で引用された文献
令和6年8月15日付けの原査定において、請求項1に係る発明について引用された文献は、以下の文献である。
(ア)引用文献1; 特開2004-52248号公報
(イ)引用文献2; 特開平8-158549号公報
(ウ)引用文献3; 特開2007-262698号公報
イ 当審において新たに提示する文献
周知技術あるいは技術常識を検討するうえで、当審において以下の文献を、新たに提示する。
なお、原査定において請求項4について引用された引用文献4(特開2001-207560号公報)との区別を考慮し、新たに提示する文献の引用文献番号は、引用文献5以降とする。
(ア)引用文献5; 特開2017-201100号公報
(イ)引用文献6; 特開2016-125204号公報
(ウ)引用文献7; 特開2019-15030号公報
(エ)引用文献8; 特開2013-32694号公報
(オ)引用文献9; 特開2001-200619号公報
(カ)引用文献10; 特開2007-70877号公報
(キ)引用文献11; 特開2016-102395号公報
(4)引用文献1の記載及び引用発明
ア 記載及び図示
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、次の記載及び図示がある(下線は当審において付した。以下、同様。)。
(ア)「【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~図4は第1の実施形態を示し、図1は建物の概略的縦断側面図、図2~図4は気密室を構成する内装材の縦断側面図である。
・・・・(中略)・・・・。
【0027】
図2に示すように、気密室26は、リビング、応接間、寝室等の居住室であって、例えば、合板、石膏ボード、合成樹脂パネル等の内装下地材28を繋ぎ合わせることにより内装体としての床29、壁30及び天井31が構成されている。さらに、内装下地材28の継ぎ目28a(目地)にはコーキング、パテ等のシール材32が充填され、継ぎ目28aの隙間を封止している。さらに、壁30及び天井31の内装下地材28の内面には内装材33が密着した状態に設けられている。また、床29にはフローリング材34が敷設されている。
【0028】
気密室26には当然のことながらドアを有する出入口、窓等(図示しない)が設けられているが、出入口、窓等の外周縁部と内装下地材28との結合部においてもコーキング、パテ等のシール材32によって封止され、躯体内空間18と空気の流通がない気密構造である。
・・・・(中略)・・・・。
【0030】
なお、合板、石膏ボード、合成樹脂パネル等の内装下地材28を繋ぎ合わせ、その内装下地材28の継ぎ目28a(目地)にコーキング、パテ等のシール材32を充填する代りに、図3に示すように、内装下地材28を二重に重ね合わせた二重張り構造とし、継ぎ目28a(目地)を互いにずらした目地ずらし構造とした状態で内装材33を貼り合せてもよい。さらに、図4に示すように、内装下地材28の内面に空気非透過性のフィルムやテープ等のシート材からなるシール材35を敷設した状態で、内装材33を貼り合わせてもよい。」
(イ)【図2】
「
[図:0001435751000001.jpg]
」
(ウ)【図4】
「
[図:0001435751000002.jpg]
」
ウ 記載された発明
上記アより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠とした段落番号を括弧書きで付した。
<引用発明>
例えば、合板、石膏ボード、合成樹脂パネル等の内装下地材28を繋ぎ合わせることにより内装体としての床29、壁30及び天井31とし、(【0027】)
内装下地材28の継ぎ目28a(目地)にはコーキング、パテ等のシール材32を充填して、継ぎ目28aの隙間を封止し、(【0027】)
壁30及び天井31の内装下地材28の内面には内装材33が密着した状態に設けられ、床29にはフローリング材34が敷設される、気密室26において、(【0027】)
内装下地材28を繋ぎ合わせた継ぎ目28a(目地)にコーキング、パテ等のシール材32を充填する代りに、(【0030】)
内装下地材28の内面に空気非透過性のフィルムやテープ等のシート材からなるシール材35を敷設した状態で、内装材33を貼り合わせてもよい、(【0030】)
気密室26の気密構造。(【0028】)
(5)その余の引用文献の記載、技術常識及び周知技術
ア 引用文献2
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2には、次の記載及び/又は図示がある。
「【0014】断熱板1は、垂木4(図2参照)間のピッチ(垂木4の中心間の間隔)の整数倍に対応する幅を有する方形の板状物で、高い断熱性と必要な強度を有するものであればどのようなものでもよいが、合成樹脂発泡体で構成されたものが好ましい。合成樹脂発泡体で構成された断熱板1としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂等の発泡板が挙げられるが、強度的に優れ、吸湿性も小さいことから、独立気泡の押し出し発泡板が好ましく、特に発泡倍率が20倍~50倍のポリスチレンの押し出し発泡板が好ましい。
【0015】気密フィルム2としては、結露するおそれの高い湿った空気を遮断できる、柔軟なフィルムもしくはシート状物であればどのようなものでもよいが、合成樹脂フィルムもしくはシートが好ましい。具体的には、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムもしくはシートを用いることが好ましい。
【0016】上記断熱板1と気密フィルム2とは、例えば接着剤もしくは熱融着等によって一体に貼り合わされて複合断熱板Aを構成している。気密フィルム2は、断熱板1に一体に貼り合わされていることで、複合断熱パネルAにおいて断熱板1を補強する機能を発揮し、複合断熱板Aの耐曲げ応力性を向上させる。そして、この補強力が十分な場合、従来用いられてきた野地板を省略して省力化を図ることができる。また、このように気密フィルム2と断熱板が一体に貼り合わされていることは、気密フィルム2のたるみを防止し、降雨時に雨水が溜ってしまうことを防止するものでもある。」
イ 引用文献3
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献3には、次の記載及び/又は図示がある。
(ア)「【0011】
本発明で用いる断熱パネル4は、図3に示すように、上下二枚の金属外皮1、2の間に断熱材3を充填して介在させることによって、サンドイッチパネルとして形成したものである。金属外皮1、2は厚み0.27~1.6mm程度の金属板をロール加工や折り曲げ加工するなどして形成されるものである。この場合、金属板としてはステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板(商品名「ガルバリウム鋼板」)、塗装鋼板、塩化ビニル樹脂被覆鋼板などの各種の金属板を用いることができる。金属外皮1と金属外皮2の厚みは同一であっても異なっていても良い。また、断熱材3としては厚み20~120mm程度のものを用いることができる。この場合、無機質断熱材としてはロックウールやグラスウールなどを用いることができ、樹脂断熱材としてはウレタンフォームやスチレンフォームやフェノールフォームやポリイソシアヌレートフォームなどを用いることができる。金属外皮1、2と断熱材3とは接着して一体化することができる。さらに、断熱パネル4の一つの端部には嵌合凸部10が全長に亘って形成されていると共に断熱パネル4の他の一つの端部には嵌合凹部11が全長に亘って形成されている。残りの二つの端部には嵌合凸部10や嵌合凹部11が形成されておらず、その端面は平坦に形成されている。
・・・・(中略)・・・・。
【0014】
防水シート6としては、防水性を有する軟質高分子材料、例えば、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の軟質熱可塑性合成樹脂の他、アスファルトや改質アスファルトや合成ゴム等により形成したものを用いることができる。これらの樹脂材料等を単独で形成するようにしても、1種以上の複数の樹脂材料を積層状態にして形成するようにしても良い。防水シート6は長期間の防水性や紫外線及びオゾンに対する耐久性などに優れたものであるが、中でも特に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂からなるものは、圧延等を利用することにより成形を容易に行え、熱融着できるので、経済性や施工性に優れ、好適に用いることができる。防水シート6の厚みは1~3mmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
そして、本発明のフラット屋根は以下のようにして形成することができる。まず、複数枚の断熱パネル4、4…を建物躯体5に略水平に、すなわち、断熱パネル4の面方向が略水平になるように載設する。建物躯体5は屋根の梁や母屋などであり、C型鋼やH型鋼などを配設して形成することができる。また、建物躯体5の長手方向と平行な方向において隣り合う断熱パネル4、4は、嵌合凸部10と嵌合凹部11とを嵌合することにより接続される。ここで、嵌合凸部10の先端面と嵌合凹部11の底面との間にパッキン12を介在させることにより、気密性や防水性を高めることができる。建物躯体5の長手方向と直交する方向において隣り合う断熱パネル4、4は、互いの端面を突き合わせて接続する。この時、施工誤差の吸収のために若干の隙間をあけて接続してもよい。また、隣接する断熱パネル4、4の接続された端部の上面間にはアルミニウム箔を用いた断熱テープ17(幅寸法は約50mm)を全長に亘って貼着することが望ましい。これにより、隣接する断熱パネル4、4の接続された端部間の隙間を断熱テープ17で塞いで気密性や断熱性を高めることができる。
【0016】
また、断熱パネル4の上側から建物躯体5までビスや釘などの固定具13aを打ち込むことにより、断熱パネル4を建物躯体5に固定することができる。また、固定された断熱パネル4に固定ディスク14を通して他の固定具13bを打ち込むことより断熱パネル4の上面に固定ディスク14を取り付ける。図5に示すように、固定ディスク14は、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂やフッ素樹脂等のホットメルト接着層16を表面に設けた金属製の円板であり、例えば、ステンレス鋼板製で直径約50mmの円板を用いることができる。そして、複数個の固定ディスク14を所定の間隔(約70cmピッチ)で配置した後、固定ディスク14の貫通孔14aに上側から固定具13bを通し、この固定具13bを断熱パネル4の上側から建物躯体5にまで打ち込むようにする。
【0017】
次に、図6(a)(b)に示すように、建物躯体5に固定した断熱パネル4、4…をシート下地として、その上面を覆うように防水シート6を敷設する。この場合、防水シート6を全ての断熱パネル4、4…の上に被せた後、固定ディスク14に対応する部分を熱風や電磁誘導等で加熱してホットメルト接着層16を溶融し、この後、再びホットメルト接着層16を固化又は硬化させることによって、防水シート6を固定ディスク14に接着して固定する。また、複数枚の防水シート6、6…を用いる場合は、隣接する防水シート6、6の端部同士(30~60mm)を重ね合せ、この部分を加熱した後、再びホットメルト接着層を固化又は硬化させることによって、防水シート6、6の端部を接着するのが好ましい。また、アスファルトや改質アスファルトを防水シート6として用いる場合は、断熱パネル4の上面と接着剤で接着する接着工法を採用することができる。このようにして防水シート6、6…を接合して一体化したシームレス工法により自由度が高く雨水などの浸入を完全に防止することができる。尚、防水シート6の接着には、公知の自動溶着機や溶剤溶着などを併用することができる。
・・・・(中略)・・・・。
【0019】
また、図1、2に示すように、本発明のフラット屋根の周囲の一例を示すと、上方に突出する周囲部40が形成されている。周囲部40は内壁断熱パネル42と外壁断熱パネル41と上部断熱パネル43とを建物躯体5に固定具44で取り付けることにより形成されている。内壁断熱パネル42と外壁断熱パネル41と上部断熱パネル43は上記シート下地用の断熱パネル4と同様のサンドイッチパネルで形成されている。内壁断熱パネル42の表面には上記と同様の防水シート6が設けられている。また、略水平の断熱パネル4と略鉛直の内壁断熱パネル42の接合部分には断面略L字状の接着金具45が設けられており、接着金具45のホットメルト接着層に断熱パネル4を覆う防水シート6の端部と内壁断熱パネル42を防水シート6の端部とを重ね合せて熱融着する。さらに、周囲部40の上端にアルミニウム製などの笠木46を取り付ける。このようにして本発明のフラット屋根を形成することができる。」
(イ)【図1】
「
[図:0001435751000003.jpg]
」
ウ 引用文献5
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献5には、次の記載及び/又は図示がある。
(ア)「【0016】
本発明は、構造用合板等の板材10を気密材の気密シートの代用にして使用する。気密シートはシート状のため、柔らかいが、それに代わる板材10は堅い特徴を有する。さらに、気密シートの継ぎ目は厚みの少ない気密テープ20Aで処理されることが多い、板材10になることで、気密テープ20A、気密パッキン20B、等の気密補助材20を継ぎ目に施工することができるため、立体的な気密処理が可能となることで性能が向上すると共に圧着不良に対する性能も向上する、更に、気密施工上で問題が発生する断熱空間40での空気層を発生させないためと、(防露性能の向上)構造体100の厚み全体に断熱材50を入れる事が望まれるので、特別な理由がない場合を除き全充填することを原則として高断熱化を図り、断熱材50を充填できる(断熱性能の向上は、都市部では形成される断熱空間の断熱材の厚みが薄い現状に比較してのこと)特徴の板材10を利用してさらに耐力、保持力、耐衝撃力の利点を兼用させることもできる。」
(イ)「【0030】
尚、板材10の継ぎ目に気密テープ20Aだけを施工し、気密パッキン20B等を省略しても良い、板材10の継ぎ目に着色して継ぎ目の確認を容易にすることができる。上記の板材10を使用することにより、柔らかい気密シートではできなかった木口面、室内側設置面の二方向の気密補助材20の取り付ける施工が可能となるため、更なる気密の性能が向上する手法を提供できる。気密パッキン20Bにシーリング等を採用すると制震ダンパーの原理の復元効果の利点が発生する。気密パッキン20Bを省略すると経年の振動等による気密性の低下にとっては不利になるので推奨できない。」
(ウ)【図5】
「
[図:0001435751000004.jpg]
」
(エ)【図6】
「
[図:0001435751000005.jpg]
」
エ 引用文献6
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献6には、次の記載及び/又は図示がある。
(ア)「【0034】
気密防水処理工程は、隣接配置された断熱複合パネル2,2間の目地部分に気密防水テープ5を貼る工程である。本実施形態では、図11に示すように、横方向に隣接配置された断熱複合パネル2,2間の縦方向の目地部分に気密防水テープを貼るとともに、1階部分と2階部分とで隣接配置された断熱複合パネル2,2間の横方向の目地部分、1階部分の断熱複合パネル2に隣接配置された桟木46との間の横方向の目地部分、および窓枠周りの開口部分44における目地部分にそれぞれ気密防水テープを貼る。これにより、隣接配置された断熱複合パネル2,2間の隙間が塞がれて高い気密性を確保することができる。また、万が一、溝部23等に雨水等が浸入した場合であっても建物4内への浸入を防ぐことができる。」
(イ)【図11】
「
[図:0001435751000006.jpg]
」
オ 引用文献7
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献7には、次の記載及び/又は図示がある。
(ア)「【0044】
また、配置部材20は、金属板と、この金属板の表面を被覆する樹脂層とで構成される。すなわち、配置部材20(第1部21および第2部22)は、防水シート30が固着される側の表面に、樹脂層を備えるものである。このように、金属板の表面を樹脂層で被覆することで、金属板の腐食を確実に防止することができる。また、防水シート30に対して、後述する溶着法および熱融着法を用いて確実に接合できるものとし得る。
・・・・(中略)・・・・。
【0048】
樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリ塩化ビニルであるのが好ましい。すなわち、後述する防水シート30を構成する樹脂と、同種または同一であることが好ましい。これにより、樹脂層と防水シート30との密着性を向上させることができる。さらに、ポリ塩化ビニルは、溶剤溶着性や熱融着性に優れるため、前記効果をより顕著に発揮させることができるとともに、配置部材20の腐食をより確実に防止することができる。」
(イ)「【0089】
このような防水シート30は、樹脂材料を含有する樹脂シートで構成される。
樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これにより、防水シート30の溶剤溶着性や熱融着性を優れたものとすることができる。」
(ウ)「【0111】
また、配置部材20と防水シート30との接合は、例えば、I)溶剤で配置部材20が備える樹脂層を溶融して接合する溶着法や、II)熱風ガンで樹脂層を溶融して接合する熱融着法を用いることで行われるが、以下、これらの方法について、それぞれ、説明する。
【0112】
I)溶着法
この溶着法としては、防水シート30の敷設に先立って、配置部材20が備える樹脂層を溶融状態とする刷毛溶着法と、防水シート30の敷設の後に、樹脂層を溶融状態とする注射溶着法とが挙げられる。
【0113】
(I-1)刷毛溶着法
この刷毛溶着法では、まず、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設するのに先立って、配置部材20の上面、すなわち、樹脂層の上面に、刷毛ブラシ等を用いて、溶剤(可溶性溶剤)を塗布(供給)する。これにより、樹脂層の上面が溶剤と接触し、その結果、溶融状態とされる。
【0114】
次いで、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設する。
次いで、防水シート30の上から配置部材20を、作業員の手等により押圧することで、防水シート30の下面を樹脂層の上面に固定させる。これにより、配置部材20および固定治具50を介して床部11および壁部12に防水シート30が接合される。
【0115】
なお、前記溶剤(可溶性溶剤)としては、樹脂層を溶融状態とし得るものであれば、特に限定されないが、樹脂層が塩化ビニル系樹脂を含む樹脂で構成される場合、例えば、テトラヒドロフラン(THF)ニトロベンゼン、四塩化炭素、ピリジン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、THFであることが好ましい。THFは、樹脂層を確実に溶融状態とし得るとともに、揮発性に優れた溶剤であるため、防水シート30の下面と配置部材20が備える樹脂層の上面とを強固に固定することができる。
【0116】
(I-2)注射溶着法
この注射溶着法では、まず、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設する。
【0117】
次いで、敷設された防水シート30に対して、配置部材20の上面、すなわち、樹脂層の上面と、防水シート30の下面との間に、注射器を用いて、注射器が備える注射針が防水シート30を貫通した状態として、溶剤を選択的に供給する。これにより、樹脂層の上面が溶剤と接触し、その結果、溶融状態とされる。
【0118】
次いで、注射針を防水シート30から抜いた後、防水シート30の上から配置部材20を、作業員の手等により押圧することで、防水シート30の下面を配置部材20が備える樹脂層の上面に固定させる。これにより、配置部材20および固定治具50を介して床部11および壁部12に防水シート30が接合される。
なお、前記溶剤としては、刷毛溶着法で説明したのと同様のものが用いられる。
【0119】
II)熱融着法
この熱融着法では、まず、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設するのに先立って、配置部材20と防水シート30の隙間に、熱風ガンを用いて、熱風を供給する。これにより、配置部材20の上面、すなわち、樹脂層の上面、および、防水シート30の下面が熱風により、溶融状態とされる。
【0120】
次いで、防水シート30の上から配置部材20を、作業員の手等により押圧することで、防水シート30の下面を配置部材20が備える樹脂層の上面に固定させる。これにより、配置部材20および固定治具50を介して床部11および壁部12に防水シート30が接合される。」
カ 引用文献8
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献8には、次の記載及び/又は図示がある。
「【0027】
防水構造1においては、塩化ビニルシートからなる防水シート20、ニトリルゴム系の接着剤17、及び構造用合板(または硬質木片セメント板)からなる断熱材押さえ板13の組み合わせとすることが好ましい。または、塩化ビニルシートからなる防水シート20、ネオプレーンゴム系の接着剤17、及び構造用合板(または硬質木片セメント板)からなる断熱材押さえ板13の組み合わせとすることが好ましい。
【0028】
パラペット3の内側面3aには、外部床2の上面から所定の高さ位置において、横方向に延在する溝部3bが形成されている。防水シート20は、この溝部3bの近傍まで敷設される。防水シート20の上端部20aは、内側面3aおよび溝部3bに沿って配置された防水鋼板18によって接着・固定される。この防水鋼板18は、溝部3bにおいて、ビス19によって外壁パネル10に対して固定される。防水鋼板18は、表面に塩ビコーティングが施されてなる。防水鋼板18は、溶剤を用いた溶着もしくは加熱による融着によって防水シート20を表面に接着し、これによって防水シート20を固定する。」
キ 引用文献9
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献9には、次の記載及び/又は図示がある。
「【0018】また、空気遮断シート(10)の表面全域から、パラペット(1b)の内面及び上端面にかけて防水シート(5)が配置される。この防水シート(5)における平場(1a)の外周縁部がシート接合板(6)の表面に、溶剤溶着、熱風融着、接着剤により気密状態に接着ないしは接合一体化される。更に必要に応じて、防水シート(5)と遮断シート(10)とが、所定位置において部分的に、接着ないしは接合一体化される。
・・・・(中略)・・・・。
【0023】防水シート(5)及び空気遮断シート(10)としては、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂からなるものの他、非加硫ゴム系シート、ゴムアスファルト系シート等の合成ゴムからなるものを好適に使用することができる。中でも、軟質ポリ塩化ビニル樹脂からなるものは、優れた接着性が得られる点で、より好適であり、またポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂からなるものは、燃焼時における有害ガスの発生を防止できるので、廃棄処理の点で、より好適である。
・・・・(中略)・・・・。
【0034】また防水シート(5)をシート接合板(6)に接合するための手段としては、エポキシ系、ウレタン系、ゴム系の接着剤を用いて接着する手段を好適に使用することができる。更に防水シート(5)とシート接合板(6)の接合面とが、共に同種の樹脂からなる場合には、溶剤溶着、熱風融着により十分な接着強度で接合一体化でき、特にシート(5)と接合板(6)の接合面とが、共に塩化ビニル樹脂からなる場合には、テトラヒドロフラン(THF)単独、あるいはTHFに塩化ビニル樹脂を溶解した溶剤を使用することができ、より一層優れた接着効果を得ることができる。」
ク 引用文献10
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献10には、次の記載及び/又は図示がある。
(ア)「【背景技術】
【0002】
従来、屋上、ベランダ、バルコニー、陸屋根、プール、水槽などの建造物を防水施工する構造としては、図3に示すように、平面床6aと立ち上がり壁6bとで構成される隅角部に断面L字状の固定片1を配置するとともに、平面床6aの所要箇所にディスク状の防水シート接合用の固定片11を配置し、また立ち上がり壁6bの上端部には帯状または断面L字状の固定片21を配置し、これらを皿ネジなどの固定具3によって平面床6a、立ち上がり壁6bのそれぞれに固定した後、固定片1、11、21を覆うように立ち上がり壁6bおよび平面床6aから合成樹脂製の防水シート5a、5bを敷設して、防水シート5a、5bと固定片1、11、21の所要部、および防水シート5a、5bどうしの重なり部を溶剤溶着あるいは熱融着によって接合する、いわゆる絶縁工法による防水シートの施工構造が採用されている。(特許文献1)」
(イ)「【0037】
<実施例1>
まず、平面床と立ち上がり壁とで形成された隅角部に、床側フランジ片と壁側フランジ片とからなり、床側フランジ片の所要箇所に4個の固定具孔が設けられた、厚さ1.5mm、各フランジ幅60mm、長さ2mの断面L字状のポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板を、床側フランジ片と平面床との間に接合剤を介在させることによって、建造物の隅角部に仮固定した。このとき、平面床は乾燥状態とした。接合剤は、ブチルゴム系両面粘着テープ(日本シーカ社製)を使用し、固定片の裏面、つまり平面床を仮固定する面に、幅35mm、長さ50mmのサイズで略等間隔に4箇所貼り付けた。これを第1工程とした。
【0038】
つぎに、立ち上がり壁に沿って、厚さ2mmのポリ塩化ビニル系樹脂からなる第1の防水シートを敷設するとともに、第1の防水シートと固定片における壁側フランジ片との所要部を溶剤溶着により接合した。これを第2工程とした。
【0039】
つぎに、皿ネジからなる固定具を固定具孔に挿通して、平面床に螺着し、固定片を平面床に固定した。これを第3工程とした。
【0040】
つぎに、平面床に沿って同じく厚さ2mmのポリ塩化ビニル系樹脂からなる第2の防水シートを敷設するとともに、第2の防水シートと固定片における床側フランジ片との所要部、および第2の防水シートと第1の防水シートとの重なり部どうしを溶剤溶着により接合した。これを第4工程とした。」
ケ 引用文献11
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献11には、次の記載及び/又は図示がある。
(ア)「【0023】
防水シート7は、屋根ユニット1Aに防水性を付与するためのものであり、屋根ユニット1Aの最上層に配置される。防水シート7は、例えばポリ塩化ビニルによって形成されるシート材である。また、防水シート7の材料としては、ポリ塩化ビニル以外に、アスファルト系シート、ゴムアスファルト系シート、ゴム系シート、ブチルゴム系シート、アクリルゴム系シート等の種々のシートを用いてもよい。なお、以下の説明では、防水シート7の固定態様として、主に全面接着工法による接着を例示するが、例えば、機械固定工法(例えば、絶縁工法、浮かし張り工法)、接着と機械固定の混合工法等による固定であってもよい。さらに、防水シート7に代えて、押さえボード6の上面にウレタン系塗膜防水を施してもよい。」
(イ)「【0029】
また、隣接する屋根ユニット1Aの上面側では、防水シート7間に生じる間隙が防水シート7と同一材料からなる防水テープ20によって塞がれる。図3に示されるように、まず、ビス14や、ワッシャー15によって防水シート7が損傷しないように、屋根ユニット1Aの押さえボード6に目地テープ21が接着される。そして、目地テープ21の上に防水シート7の端部を両側から被せた後、防水シート7と防水テープ20が溶着される。なお、押さえボード6に目地テープ21が接着されるためには、図3に示されるように、防水シート7の端部の目地テープ21と重なる領域が、工場等での製作時点で押さえボード6に接着されていない必要がある。」
(ウ)【図3】
「
[図:0001435751000007.jpg]
」
コ 技術常識及び周知技術
(ア)テープについて
a 例えば上記イに示した引用文献3の段落【0015】及び【図1】の右下方の部分には、アルミニウム箔を用いたものであるが、気密性を高める効果を有する「断熱テープ17」について、細長い長尺状のものである様子が、示されている。
b 例えば上記ウに示した引用文献5の段落【0016】、【0030】及び【図5】には、「気密テープ20A」について、細長い長尺状のものである様子が、示されている。
c 例えば上記エに示した引用文献6の段落【0034】及び【図11】には、「気密防水テープ5」について、細長い長尺状のものである様子が、示されている。
d 以上のとおり、気密及び/又は防水の技術分野において、「テープ」というと概して細長い長尺状の部材を指す場合が多いことは、技術常識である。
(イ)継ぎ目とテープとについて
a 例えば上記イに示した引用文献3の段落【0015】及び【図1】の右下方の部分には、アルミニウム箔を用いたものであるが、気密性を高める効果を有する「断熱テープ17」について、「隣接する断熱パネル4、4の接続された端部間」との関係では、当該「端部間」に沿って、当該「端部間」の部分のみに配置する様子が、示されている。
b 例えば上記ウに示した引用文献5の段落【0016】、【0030】及び【図5】、【図6】には、「気密テープ20A」について、「板材10の継ぎ目」との関係では、当該「継ぎ目」に沿って、当該「継ぎ目」の部分のみに配置する様子が、示されている。
c 例えば上記エに示した引用文献6の段落【0034】及び【図11】には、「気密防水テープ5」について、「隣接配置された断熱複合パネル2,2間の目地部分」との関係では、当該「目地部分」に沿って、当該「目地部分」のみに配置する様子が、示されている。
d 以上のとおり、気密及び/又は防水の技術分野において、「テープ」について継ぎ目との関係でみれば、概して継ぎ目に沿って、継ぎ目の部分のみに配置する場合が多いことは、技術常識である。
(ウ)シートの材質について
a 例えば上記アに示した引用文献2の段落【0015】には、「気密フィルム2」として、「ポリ塩化ビニル」のシートを用いることが、記載されている。
b 例えば上記イに示した引用文献3の段落【0014】には、「防水シート6」として、「軟質ポリ塩化ビニル樹脂」のものを用いることが、記載されている。
c 例えば上記オに示した引用文献7の段落【0089】には、「防水シート30」として、「塩化ビニル系樹脂」のものを用いることが、記載されている。
d 例えば上記カに示した引用文献8の段落【0027】には、「防水シート20」として、「塩化ビニルシート」を用いることが、記載されている。
e 例えば上記キに示した引用文献9の段落【0023】には、「防水シート(5)」及び「空気遮断シート(10)」として、「軟質ポリ塩化ビニル樹脂」からなるものを用いることが、記載されている。
f 例えば上記クに示した引用文献10の段落【0038】及び【0040】には、「第1の防水シート」及び「第2の防水シート」として、「ポリ塩化ビニル系樹脂」からなるものを用いることが、記載されている。
g 例えば上記ケに示した引用文献11の段落【0023】及び【0029】には、「防水シート7」及び「防水テープ20」として、「ポリ塩化ビニル」からなるものを用いることが、記載されている。
h 以上のとおり、気密及び/又は防水の技術分野において、シート及び/又はテープとして、塩化ビニル樹脂製のものが好適に用いられる場合が多いことは、技術常識である。
(エ)シートの接合について
a 例えば上記アに示した引用文献2には、「ポリ塩化ビニル」等の樹脂を用いた「気密フィルム2」を、「ポリ塩化ビニル」等の樹脂を用いた「板状物」である「断熱板1」に対して、「熱融着」によって「一体に貼り合わ」せることが、記載されている。
b 例えば上記イに示した引用文献3には、「軟質ポリ塩化ビニル樹脂」を用いた「防水シート6」について、「熱融着」すること(段落【0014】)、「塩化ビニル樹脂被覆鋼板」の「金属外皮」を有する「断熱パネル4」に設置した「塩化ビニル樹脂」の「ホットメルト接着層」を設けた「固定ディスク14」及び「断面略L字状の接着金具45」の表面に対して「加熱」による「溶融」を介して「熱融着」を行うこと(段落【0011】、【0016】~【0019】)、及び「溶剤溶着などを併用」すること(段落【0017】)が、記載されている。
c 例えば上記オに示した引用文献7には、「塩化ビニル系樹脂」のものを用いた「防水シート30」を、同種または同一の樹脂層を設けた金属板に対して、「溶着法および熱融着法を用いて確実に接合」すること(段落【0044】、【0048】及び【0089】)、及び、溶着法と熱融着法の具体的な説明(段落【0111】~【0120】)が、記載されている。
d 例えば上記カに示した引用文献8には、「塩化ビニルシート」を用いた「防水シート20」について、表面に塩ビコーティングが施された「防水鋼板18」に対して、「溶剤を用いた溶着もしくは加熱による融着」によって接着することが、記載されている。
e 例えば上記キに示した引用文献9には、「軟質ポリ塩化ビニル樹脂」を用いた「防水シート(5)」について、「シート接合板(6)」に対して、「溶剤溶着、熱風融着、接着剤により気密状態に接着ないしは接合一体化」することが、記載されている。
f 例えば上記クに示した引用文献10には、背景技術として、「合成樹脂製の防水シート」について、固定片に対して、及び防水シートどうしの重なり部について、「溶剤溶着あるいは熱融着によって接合する」ことが従来技術であったこと(段落【0002】)が、記載されている。また実施例として、「ポリ塩化ビニル系樹脂」を用いた「第1の防水シート」及び「第2の防水シート」について、ポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板を用いた固定片に対して、及びシート間の重なり部どうしを、「溶剤溶着」により接合すること(段落【0037】~【0040】)が、記載されている。
g 例えば上記ケに示した引用文献11には、「ポリ塩化ビニル」を用いた「防水シート7」及び「防水テープ20」について、「溶着」を行うことが、記載されている。
h 以上のとおり、気密及び/又は防水の技術分野において、好適に用いられる塩化ビニル樹脂製のシート及び/又はテープの接合について、重なり部及び板状物表面のいずれに対しても、融着及び/又は溶着による接合に適していることは、技術常識である。
(オ)周知技術
a 上記(エ)a及びbのとおり、気密及び/又は防水の技術分野において、シート材として塩化ビニル樹脂製のものを用い、板状部材の表面に対して熱融着により接合を行うことは、引用文献2及び引用文献3に例示される周知技術である。
b 上記aの事項が周知技術であることは、上記(エ)c~fに示した引用文献7~10によっても例証される。
c 引用文献3の段落【0017】で「溶剤溶着」に言及されていること、及び、引用文献7~10で熱による融着と同様に溶剤を用いた溶着が言及されていることから、気密及び/又は防水の技術分野において、シート材として塩化ビニル樹脂製のものを用い、板状部材の表面に対して溶剤を用いた溶着により接合を行うことも、周知技術である。
d 引用文献7~10で熱による融着と同様に溶剤を用いた溶着が言及されていること、上記(エ)gのとおり引用文献11において「テープ」についても「溶着」を行うことが記載されていること、及び、シート材が長尺状の「テープ」である場合に熱による融着や溶剤による溶着が特段不都合となる事情はないことから、上記a及びcの周知技術は、シート材が長尺状の「テープ」である場合にも適用できる周知技術であると、理解される。
(6)本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明において、「気密室26」の「内装体としての床29、壁30及び天井31」とするために繋ぎ合わせる「例えば、合板、石膏ボード、合成樹脂パネル等の内装下地材28」は、本願補正発明において、「気密室の壁、天井及び床を形成する複数のパネル材」に相当する。
引用発明において、「内装下地材28を繋ぎ合わせた継ぎ目28a(目地)」は、本願補正発明において、「隣り合う前記パネル材によって形成される目地」に相当する。
引用発明において、「空気非透過性のフィルムやテープ等のシート材からなるシール材35」のうち、「テープ」を用いたものは、「フィルム」を用いたものより細長い長尺状であることが、気密及び/又は防水の技術分野におけるテープについての技術常識(上記(5)コ(ア)d参照)から、明らかである。したがって、引用発明において、「空気非透過性」の「テープ」の「シート材からなるシール材35」は、本願補正発明において、「長尺部材であるシート材」に相当する。
引用発明において、「シート材からなるシール材35」は、「内装下地材28を繋ぎ合わせた継ぎ目28a(目地)にコーキング、パテ等のシール材32を充填する代りに」「内装下地材28の内面に」設けられるのであるから、該「シール材35」が「継ぎ目28a(目地)」を覆うように、「継ぎ目28a(目地)」を跨がる内面に設けられることは、明らかである。このように、引用発明において、「シート材からなるシール材35」が、「継ぎ目28a(目地)」を覆うように、「継ぎ目28a(目地)」を跨がる内面に設けられることが明らかであることは、本願補正発明において、「シート材」が「目地に跨る部分」に「配置」されて「目地を被覆」することに、相当する。
引用発明において、「気密室26の気密構造」は、本願補正発明において、「気密構造」に相当する。
以上を整理すると、本願補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致する。
<一致点>
「気密室の壁、天井及び床を形成する複数のパネル材と、
隣り合う前記パネル材によって形成される目地に跨る部分に配置されて前記目地を被覆する長尺部材であるシート材と、
を備えた気密構造。」
そして両者は、以下の点で相違する。
<相違点1>
「長尺部材であるシート材」の配置に関し、
本願補正発明においては、「目地に沿って、前記目地に跨る部分のみに」配置されると特定されているのに対し、
引用発明においては、そのように特定されていない点。
<相違点2>
「シート材」の「パネル材」への取り付けに関し、
本願補正発明においては、「前記パネル材の表面に溶着」されると特定されているのに対し、
引用発明においては、具体的にどのような取り付けを行っているか不明である点。
(7)相違点についての判断
本願補正発明と引用発明との、上記相違点1及び2について、判断する。
ア 相違点1について
本願補正発明と引用発明との相違点1について、判断する。
(ア)引用発明において、本願補正発明との対比において着目した、「空気非透過性」の「テープ」の「シート材からなるシール材35」を用いる場合は、「コーキング、パテ等のシール材32を充填して、継ぎ目28aの隙間を封止」する場合の「代り」となるものである。
そこでまず、引用発明において、「コーキング、パテ等のシール材32を充填して、継ぎ目28aの隙間を封止」している場合について、検討する。
引用発明において、「コーキング、パテ等のシール材32を充填して、継ぎ目28aの隙間を封止」している場合、「継ぎ目28a」以外の箇所についてみれば、「壁30及び天井31の内装下地材28の内面には内装材33が密着した状態に設けられ、床29にはフローリング材34が敷設され」ている。
ここで、引用発明において、「継ぎ目28a」以外の箇所について、「内装材33」や「フローリング材34」によって気密性を保つとは、合理的に考えられないし、そのようなことは引用文献1中においても説明されていない。
したがって、引用発明において、「継ぎ目28a」以外の箇所については、「内装材33」や「フローリング材34」によってではなく、「内装下地材28」自体によって、必要な程度の気密性を適宜に保つことができる前提であると、合理的に理解される。
(イ)次に、引用発明において、「空気非透過性」の「フィルム」の「シート材からなるシール材35」を設ける場合について、検討する。
「シート材からなるシール材35」として、「フィルム」として広範な面状ものを用いるのであれば、例えば引用文献1の【図4】に示されるように、「フィルム」によって「継ぎ目28a(目地)」の部分に限らず「内装下地材28の内面」を広く覆うことは、妥当であると理解される。
(ウ)次に、引用発明において、「空気非透過性」の「テープ」の「シート材からなるシール材35」を用いる場合について、検討する。
引用発明において、「シート材からなるシール材35」として「テープ」を用いたものは、「フィルム」を用いたものより細長い長尺状であることが、気密及び/又は防水の技術分野における「テープ」についての技術常識(上記(5)コ(ア)d参照)から、明らかであるところ、細長い長尺状の「テープ」を用いて、引用文献1の【図4】に示されるように、「継ぎ目28a(目地)」の部分に限らず「内装下地材28の内面」を広く覆うことは、不合理である。
また、「シート材からなるシート材35」を設ける目的は、そもそも「継ぎ目28a(目地)にコーキング、パテ等のシール材32を充填する」ことの「代り」であるから、「継ぎ目28a」以外の箇所について、「シート材からなるシート材35」を設けなくとも、必要な程度の気密性が保たれるのであれば、細長い長尺状の「テープ」の「シート材からなるシート材35」によって、「継ぎ目28a」以外の箇所を、必ずしも覆う必要性があるとはいえない。
そして、引用発明においては、上記(ア)に指摘したとおり、「継ぎ目28a」以外の箇所については、「内装下地材28」自体によって、必要な程度の気密性を適宜に保つことができる前提であると、合理的に理解される。
そうすると、引用発明において、「テープ」の「シート材からなるシート材35」を用いる場合、「継ぎ目28a」に「シール材32を充填する」代わりであることに着目して、「継ぎ目28a」の部分での気密性が保たれるように、細長い長尺状の「テープ」の「シート材からなるシート材35」を、「継ぎ目28a」に沿って、「継ぎ目28a」に跨がる部分のみに配置することは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。
(エ)なお、上記(5)コ(イ)dに示したように、気密及び/又は防水の技術分野において、「テープ」について継ぎ目との関係でみれば、概して継ぎ目に沿って、継ぎ目の部分のみに配置する場合が多いことは、技術常識である。
したがって、引用発明において、上記技術常識を考慮した場合にも、細長い長尺状の「テープ」の「シート材からなるシート材35」を、「継ぎ目28a」に沿って、「継ぎ目28a」に跨がる部分のみに配置することは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。
(オ)そして、引用発明において、上記(ウ)または(エ)のとおり、細長い長尺状の「テープ」の「シート材からなるシート材35」を、「継ぎ目28a」に沿って「継ぎ目28a」に跨がる部分のみに配置したことによる効果は、引用発明及び技術常識から予測される範囲を超える格別のものとはいえない。
(カ)よって、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の構成に相当する構成とすることは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。
イ 相違点2について
上記相違点2について、判断する。
(ア)相違点2に係る「溶着」について
「溶着」に関し、本願明細書には、次の記載がある。
「【0044】
図4に示すように、パネル20において塩ビ鋼板24を形成する塩化ビニルの樹脂24Bと、塩化ビニルのシート材40とは、互いに一体化されている。樹脂24Bとシート材40とは、溶着により一体化されている。
【0045】
樹脂24Bとシート材40との溶着幅W2は、一例として、樹脂24Bとシート材40との間に挿入して、樹脂24B及びシート材40を加熱する加熱コテ等の工具の幅に基づいて決定される。本実施形態においては、この幅W2は概ね20mm程度である。樹脂24B及びシート材40は、加熱されて溶融し、互いに溶着されて一体化する。
【0046】
なお、樹脂24Bとシート材40とを溶着する方法としては、樹脂24B及びシート材40を加熱コテで加熱する方法の他、樹脂24Bとシート材40との間に熱風を当てて加熱する方法を採用することができる。また、樹脂24Bとシート材40との間に溶剤を塗布することにより、化学的に溶着する方法を採用してもよい。
・・・・(中略)・・・・。
【0075】
<その他の実施形態>
本実施形態においては、パネル20の表面材として塩ビ鋼板24を用いているが、本発明の実施形態はこれに限らない。塩ビ鋼板24に代えて、鋼板24Aを用いない塩化ビニル等の樹脂パネルを用いてもよい。
【0076】
鋼板24Aを用いない場合においても、十分な剛性を備えた樹脂パネルを用いればよいし、耐火性能は、パネル基材22によって確保すればよい。
【0077】
また、パネル20は、シート材40が溶着できる材料を備えていればよく、シート材40(塩化ビニル)が溶着できる材料であれば、必ずしも樹脂24Bとして塩化ビニルを用いる必要はなく、その他の樹脂材料や金属材料等を適宜選択することができる。
【0078】
さらに、シート材40の材料としても、必ずしも塩化ビニルを用いる必要はなく、その他の樹脂材料を用いることができる。パネル20及びシート材40の材質は、互いに溶着させることができれば、特に限定されるものではない。」
上記本願明細書の記載より、相違点2に係る本願補正発明における「溶着」は、実施例としては、塩化ビニルのシート材が、パネルの最表層の塩化ビニル樹脂層に、加熱による溶融または溶剤の塗布による溶融で一体化するものを、いずれも含むと、理解される。
また、相違点2に係る本願補正発明における「溶着」に関し、パネルはシート材と同じ塩化ビニルでなく、他の樹脂材料や金属材料でもよいこと、及び、シート材は塩化ビニルでなく、他の樹脂材料でもよいことが、理解される。
(イ)上記(ア)の理解を踏まえた判断
上記(ア)の理解を踏まえて、判断する。
引用発明において、「テープ」の「シート材からなるシール材35」を用いる場合の材質、及び具体的な接合態様は、特段限定されていない。
そうすると、引用発明を出発点とする当業者は、引用発明を具体化するうえで、技術常識及び適宜の公知の技術を参酌して、「シート材からなるシール材35」の材質及び接合態様を決定する動機付けがある。
そして、上記(5)コ(オ)aに示したとおり、気密及び/又は防水の技術分野において、シート材として塩化ビニル樹脂製のものを用い、板状部材の表面に対して熱融着により接合を行うことは、引用文献2及び引用文献3に例示される周知技術である。
ここで、塩化ビニル樹脂製のシート材を用いて熱融着により接合を行う際、熱により塩化ビニル樹脂の一部が溶融することで融着が行われることが明らかであるから、上記周知技術における「熱融着」は、相違点2に係る本願補正発明における「溶着」に相当する。
そして、上述したとおり、引用発明を出発点とする当業者は、技術常識及び適宜の公知の技術を参酌して、「シート材からなるシール材35」の材質及び接合態様を決定する動機付けがあるから、引用発明において、上記引用発明2及び引用文献3に例示される周知技術を適用する動機付けがある。
したがって、引用発明において、上記引用文献2及び引用文献3に例示される周知技術を適用し、「テープ」の「シート材からなるシール材35」について、塩化ビニル製等のものが熱による溶融を介して「内装下地材28の内面」に接合されるものとして、上記相違点2に係る構成に相当する構成とすることは、当業者であれば想到容易である。
なお、相違点2に係る「溶着」について、加熱ではなく溶剤の塗布による溶着の場合について予備的に検討しても、上記(5)コ(オ)cに示した、引用文献3にも例示される「溶剤」を用いた「溶着」を行う周知技術に基づいて、当業者であれば想到容易である。
そして、そうしたことによる効果は、引用発明及び上記(5)コ(エ)hに示した技術常識から、格別顕著なものとはいえない。
(ウ)小括
よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の構成に相当する構成とすることは、引用文献2及び/又は引用文献3に例示される周知技術に基づいて、当業者であれば想到容易である。
ウ 相違点の判断のまとめ
上記ア及びイのとおりであるから、本願補正発明は、引用発明、引用文献2及び/又は引用文献3に例示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
(8)請求人の主張について
ア 請求人の主張
請求人は審判請求書において、概ね以下の旨を主張している。
引用文献1の【図4】の図示、段落【0030】における「内装下地材28の内面に敷設した」の記載、及び「テープ等のシート材からなるシール材35を敷設した状態で、内装材33を貼り合わせてもよい。」の記載より、引用発明においては、「テープ」の「シート材からなるシール材35」を用いた場合にも、「シール材35」は継ぎ目28aの部分だけでなく、内装下地材28の内面全面に広く敷設され、内装材33とを貼り合せる接着層として機能していると考えられる(請求人が述べる「理由1」~「理由3」)。
そして、引用発明において、長尺部材とした「シール材35」を継ぎ目28aに跨る部分のみに設けると、「内装材33」を密着させられない不陸が生じ、パテ処理などが必要となるから、当業者がそのような選択を行うことは想定し難い(請求人が述べる「理由4」~「理由5」)。
したがって、本願補正発明の相違点1に係る構成は、当業者が適宜になし得るものではない。
イ 請求人の主張についての検討
上記請求人の主張について検討する。
(ア)引用発明において、「シール材35」として、「フィルム」として広範な面状ものを用いるのであれば、上記(7)ア(イ)で指摘したとおり、例えば引用文献1の【図4】に示されるように、「フィルム」によって「継ぎ目28a(目地)」の部分に限らず「内装下地材28の内面」を広く覆うことは、妥当であると理解される。
しかしながら、引用発明において、「テープ」の「シール材35」を用いる場合は、上記(7)ア(ウ)で指摘したとおり、「テープ」の「シール材35」を「内装下地材28の内面」の全体に設ける必要はない。
(イ)請求人が主張する、接着層としての機能について検討する。
引用発明においては、「継ぎ目28a」に「シール材32」を充填して「シール材35」を用いない場合にも、壁や天井には「内装材33」が密着した状態で設けられ、床には「フローリング材34」が敷設されている。
そうすると、引用発明において、内装材33等を設けるために、「シール材35」に接着層としての機能を持たせて、壁、天井及び床の全面に「シール材35」を配置する必要があるとはいえない。
(ウ)請求人が主張する、内装材33等に生じる不陸や隙間について検討する。
引用発明において、内装材33やフローリング材34によって気密性を保つとは合理的に考えられないし、そのようなことは引用文献1中においても説明されていない。
そうすると、引用発明において、内装材33やフローリング材34は、あくまで内装のために設けられた部材であって、気密性を保持するためにわずかの隙間もなく配置することや、配置の隙間につながるわずかの不陸もない箇所に設置することが求められているものではない、と理解することが妥当である。
そして、あくまで内装のために設けられる内装材33やフローリング材34の設置のために、設置面にわずかの不陸もあってはならない、というものではない。
そのため、引用発明において、「フィルム」の「シール材35」を用いる場合に、フィルムを重ね合わせて気密に接合したことで若干不陸が生じる箇所があっても、内装のための適宜の内装材33やフローリング材34を設置するうえで、特段の不都合が生じるとはいえない。
同様に、引用発明において、「テープ」の「シール材35」を用いる場合に、「テープ」の厚さ分の不陸が気密室の内面のいかなる箇所でも生じないように、気密室の全面に隙間も重ね合わせ部分も一切ない完全な配置で「テープ」設けなければ、内装のための適宜の内装材33やフローリング材34を設置するうえで、特段の不都合が生じるとはいえない。
(エ)したがって、上記アの請求人の主張について考慮しても、本願補正発明の進歩性について、上記(7)の判断を変更すべき事情はない。
(9)独立特許要件のまとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができたものではない。
3 補正の却下の決定のまとめ
上記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願について
1 本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるべきものであり、その記載は、上記第2の1(1)に摘記したとおりである。
2 原査定の理由の概要
原査定において、本願発明についての拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
・進歩性欠如
本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、本願発明について、引用文献1、及び周知技術に関して原査定で示した引用文献2~3は、上記第2の2(3)~(8)で本願補正発明の進歩性について検討した際の引用文献1~3と同じである。
3 当審の判断
本願発明は、本願補正発明から一部の構成を省いたものである。
上記第2の2(2)~(9)に示したとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、本願補正発明から一部の構成を省いた本願発明もまた、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
なお、上記第2の2(3)イで示した、当審において新たに提示した引用文献5~11は、いずれも、上記第2の2(5)コに示す技術常識または周知技術を補足するために例示したものであるから、原査定の理由を実質的に変更するものではない。
したがって、本願発明は、原査定の理由のとおり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
4 本願についてのまとめ
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、本願のその余の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
第4 結び
上記第2のとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により、却下された。
そして、上記第3のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は、原査定の理由により、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-017443