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特許拒絶査定不服審判

2024-012185

建築構造物の測量システム、測量方法、及び、測量制御プログラム

審判番号
2024-012185
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-009154
請求日
2024年07月24日
審決日
2026年06月24日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社竹中工務店
  • 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 濱野 隆
  • 審判官 関口 英樹
  • 審判官 谷垣 圭二
分類
P18 .121-Z (G01C) / P18 .575-Z (G01C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第158条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 9154「建築構造物の測量システム、測量方法、及び、測量制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月10日出願公開、特開2021-117041〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年1月23日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和 5年 7月31日付け:拒絶理由通知書 同年 9月12日 :意見書、手続補正書の提出 同年11月28日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和 6年 1月29日 :意見書、手続補正書の提出 同年 4月24日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) ( 同年 5月 7日 :原査定の謄本の送達) 同年 7月24日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年7月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年7月24日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和6年7月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年9月12日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「 【請求項1】 建築構造物から所定距離以上離れて設定した複数の測量基準点の各々に設置した3Dスキャナにより、測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データを、単一の測量基準点から照射された電磁波が波紋状に拡散することに起因する、スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために合成する合成部と、 前記合成部で合成した点群データに基づくモデリング処理により、前記建築構造物の3Dデータを生成する生成部と、 前記生成部で生成した3Dデータ、及び前記建築構造物を構成する既存部材の位置の実測に基づいて、当該既存部材に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部と、を有する建築構造物の測量システム。」 (2) 本件補正後 「 【請求項1】 建築構造物から所定距離以上離れ、かつ測量対象物の周囲に均等配置した複数の測量基準点の各々に設置した3Dスキャナにより、同時に測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データを、単一の測量基準点から照射された電磁波が波紋状に拡散することに起因する、スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために合成する場合に、前記測量対象物の範囲において、全ての測量基準点で前記点群データを取得し得る指標位置である共通の基準位置に基づき合成する、合成部と、 前記合成部で合成した点群データに基づくモデリング処理により、前記建築構造物の3Dデータを生成する生成部と、 前記生成部で生成した3Dデータに基づいて、前記建築構造物を構成する既存部材に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部と、 を有する建築構造物の測量システム。」 2 補正の目的 (1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、次のア~エの補正事項を含むものである(下線は当合議体が付した。以下同じ。)。 ア 「複数の測量基準点」の「設定」について、 本件補正前は「建築構造物から所定距離以上離れて設定した」としていたものを、 本件補正後は、「建築構造物から所定距離以上離れ、かつ測量対象物の周囲に均等配置した」として、 「複数の測量基準点」の「設定」に係る態様の限定をすること。 イ 「測量対象物へ向けて電磁波を照射」するのが、本件補正後は「同時に」であるとして、照射のタイミングの限定をすること。 ウ 「スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために合成する合成部」について、本件補正後は、「前記測量対象物の範囲において、全ての測量基準点で前記点群データを取得し得る指標位置である共通の基準位置に基づき合成する、」として、「合成」に係る手法の限定をすること。 エ 「建築構造物を構成する既存部材」「に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部」について、 本件補正前は、「前記生成部で生成した3Dデータ、及び前記建築構造物を構成する既存部材の位置の実測に基づいて」「設定する」としていたものを、 本件補正後は、「前記生成部で生成した3Dデータに基づいて」「設定する」として、 「施工基準点」の「設定」に係る手法を変更すること。 (2) ここで、補正事項エについては、「前記建築構造物を構成する既存部材の位置の実測に基づいて」「設定する」ことを省くものであるから、「施工基準点」の「設定」に係る手法を限定するものではなく、いわゆる限定的減縮を目的とする補正であるとはいえない。 もっとも、補正事項エに関しては、令和5年11月28日付けの最後の拒絶理由通知書において以下のとおり指摘された新規事項の追加の拒絶理由を解消するためにした補正であると認められるから、この補正は、明りょうでない記載の釈明を目的としたものであると解する余地がないわけではない。 <令和5年11月28日付けの新規事項の追加の拒絶理由> 「請求項1は、補正により「・・・前記生成部で生成した3Dデータ、及び前記建築構造物を構成する既存部材の位置の実測に基づいて、・・・施工基準点を設定する・・・」との事項を含むものとなっている。ここで、当該事項は「前記生成部で生成した3Dデータ」、及び、「前記建築構造物を構成する既存部材の位置の実測」という2つに「基づいて」、「施工基準点」を「設定」する、ということになっているが、このようなことは本願の当初明細書等に記載されていない。 よって、上記補正は新規事項を追加したものである。」 (3) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (4) 以上のことから、前記(1)のエの補正事項については措くとして、前記(1)のア~ウの補正事項を含む請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むと認められるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明について ア 本件補正発明の認定 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 イ 本件補正発明の分説 検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Cまでに分説する。 なお、構成A-1とA-2は、いずれも「合成部」に係る事項を特定するものであるが、「点群データ」の取得に係る事項を特定する構成をA-1とし、合成に係る事項を特定する構成をA-2として、分けて整理した。 また、参考図として、本願の【図2】を符号の説明とともに掲載する。 <本件補正発明> A-1 建築構造物から所定距離以上離れ、かつ測量対象物の周囲に均等配置した複数の測量基準点の各々に設置した3Dスキャナにより、同時に測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データを、 A-2 単一の測量基準点から照射された電磁波が波紋状に拡散することに起因する、スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために合成する場合に、前記測量対象物の範囲において、全ての測量基準点で前記点群データを取得し得る指標位置である共通の基準位置に基づき合成する、合成部と、 B 前記合成部で合成した点群データに基づくモデリング処理により、前記建築構造物の3Dデータを生成する生成部と、 C 前記生成部で生成した3Dデータに基づいて、前記建築構造物を構成する既存部材に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部と、 X を有する建築構造物の測量システム。 <参考図> 【図2】 [図:0001438723000001.jpg] ウ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「 【0001】 本発明は、建築構造物を、3Dスキャナを用いて測量する建築構造物の測量システム、測量方法、及び、測量制御プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 建築構造物は、施工誤差や、固定荷重による変形を含む場合がある。このため、建築図面が存在したとしても、建築構造物の改修、及び、照明器具等の増設、といった作業を行う場合、建築構造物を実測することがある。このことは、競技場等の大空間建築構造物において、特に顕著となる。 【0003】 ところが、競技場等の大空間建築構造物における足場の組み立ては、多大な労力とコストがかかることであり、競技会の開催等の建物の運用を考慮した工事工程上の制約により、足場の組み立てが困難な場合がある。 【0004】 そこで、建築構造物を、地面(遠隔)から3Dスキャナで点群データを測量してモデリング処理することで3Dデータを取得し、3Dデータ上で、施工基準点を特定することが考えられる。施工基準点とは、例えば、競技場の照明器具の増設であれば、建築構造物を構成する部材において、照明器具の取り付け用架台(例えば、照明器具を据え付ける台座が設けられる軸状部材)を取り付ける位置である。 」 「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 しかしながら、遠隔の場所を3Dスキャナのスキャンにより点群データを取得する場合、遠ければ遠いほど、レーザ光の走査による点群データの測距点の間隔が広がり、所望数(所望の解像度)の点群データを得ることができない。 …(中略)… 【0010】 また、例えば、特許文献2には、複数の位置に3Dスキャナを移動させて設置して計測し、点群データを合成することが記載されているが、これは、所謂死角部分の補間であり、点群データの測距点の間隔の広がりに対する補間ではない。 【0011】 本発明は、3Dスキャナによる建築構造物の測量精度を向上させることができる建築構造物の測量システム、測量方法、及び、測量制御プログラムを得ることが目的である。」 「【課題を解決するための手段】 …(中略)… 【0015】 本発明によれば、3Dスキャナによるスキャン時の点群データの密度(ピッチ)は、遠ければ遠いほど粗くなる。これは、3Dスキャナから出力される電磁波が、波紋状に拡散するためである。建築構造物において、点群データを取得する場合、複数の測量基準点の各々に設置した3Dスキャナにより、測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データを合成することで、1箇所の測量による点群データ数よりも多く点群データを取得でき、例えば、合成により増加した点群データを用いてモデリング処理することにより、解像度の高い3Dデータを得ることができる。」 「【発明の効果】 【0022】 以上説明した如く本発明では、3Dスキャナによる建築構造物の測量精度を向上させることができるという効果を奏する。」 「【0039】 なお、各測量基準点30は、その数に応じて、測定範囲の周囲で適宜間隔を持って配置することが好ましい。例えば、図2に示される如く、測量基準点30が6箇所の場合は、測定範囲Aを中心として、互いに60°程度の間隔とすることが好ましい(測定範囲Aの周囲に均等配置)。なお、角度を均等に配置する必要はない。また、測定範囲Aからの距離を同一とする必要はない。」 「【図2】(符号の説明は当合議体が付したものである。) [図:0001438723000002.jpg] 」 「【0040】 ここで、本実施の形態(図2に示す3Dスキャナ38の配置形態)では、6箇所の測量基準点30のそれぞれに3Dスキャナ28を設置して、測定範囲Aを含むようにスキャンする構成としているが、スキャンデータは同時で取得する必要はないので、1台の3Dスキャナ28を順次、測量基準点30に順次移動し、各測量基準点30に位置決めしてスキャンするようにしてもよい。言い換えれば、3Dスキャナ28の数は、測量基準点30の数よりも少なくてもよい。 【0041】 図3(A)は、本実施の形態における6台の3Dスキャナ28を、それぞれ6箇所の測量基準点30に配置して、各3Dスキャナ28でスキャンしたときの点群データを示している。なお、図3(A)では、6台の3Dスキャナ28で、同時にスキャンしたときの点群データとして示しているが、前述のように、時系列でスキャンした各点群データを制御装置(例えば、PC「パーソナルコンピュータ」)上で合成してもよい。」 「【図3】(符号の説明は当合議体が付したものである。) [図:0001438723000003.jpg] 」 「【0044】 図3(B)に示すように、スキャン時の走査線の点群密度のピッチは、遠ければ遠いほど粗くなる。これは、3Dスキャナ28から出力される電磁波が、波紋状に拡散するためである。」 「【0046】 そこで、本実施の形態では、6箇所の測量基準点30から、それぞれ3Dスキャナ28によりスキャンして取得したそれぞれの点群データを合成する。 【0047】 本実施の形態では、1箇所の測量基準点30からの測量による点群データ数よりも多く点群データを取得できるため、当該合成により増加した点群データを用いてモデリング処理することにより、解像度の高い3Dデータを得ることができる ・・・(以下省略)」 「【0072】 ステップ112では、共通の基準位置(座標)に基づき、測量基準点30(P(1)~P(N))までの点群データを合成する。共通の基準位置とは、想定範囲Aにおいて、全ての測量基準点30で点群データを取得し得る位置に指標を設け、当該指標を共通の基準位置とすればよい。」 「【0077】 本実施の形態によれば、建物10の設備ベース16において、アーチトラス12Aの測量範囲A(図2、及び図4(A)の点線矩形枠参照)を定め、3Dスキャナを設置する測量基準点30の数を設定し、各測量基準点30での3Dスキャンによるスキャンを実行し、全ての測量基準点30における点群データを合成して、モデリング処理によって3Dデータを生成し、生成した3Dデータに対して照明器具24の配置計画を実行し、取付け基準点を設定すると共に、各取付け基準点の三次元座標を求め、この三次元座標を光波測距儀に登録するようにした。これにより、斜材22へのマーキングを精度よく行うことができる。」 「【図4】 [図:0001438723000004.jpg] 」 (2) 引用発明の認定 ア 引用文献1の記載事項 令和5年7月31日付けの拒絶理由通知書の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である、国際公開第2012/020696号(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 請求の範囲の請求項1、請求項3 「[請求項1] 測定対象物の点群位置データを取得する点群位置データ取得部と、 測定対象物の画像データを取得する画像データ取得部と、 第1の視点において前記点群位置データ取得部で取得された点群位置データあるいは前記第1の視点において前記画像データ取得部で取得された画像データと、前記第1の視点とは異なる第2の視点において前記画像データ取得部で取得された画像データとの対応関係を求める対応関係特定部と、 前記点群位置データ取得部が取得した点群位置データから三次元モデルを形成する三次元モデル形成部と、 前記三次元モデル形成部で形成された三次元モデルを画像表示装置に表示するための制御を行う三次元モデル表示制御部と を備え、 前記三次元モデル形成部は、前記対応関係特定部で特定された前記対応関係に基づき、前記第2の視点から見た向きの三次元モデルを形成することを特徴とする点群位置データ処理装置。」 「[請求項3] 前記対応関係特定部で特定された前記対応関係に基づき、前記第1の視点から得た点群位置データと前記第2の視点から得られた点群位置データとの座標の統合を行う座標統合部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の点群位置データ処理装置。」 (イ) 段落[0001]~[0002] 「[0001] 本発明は、点群位置データ処理技術に係り、手前の測定対象物の影になり点群位置データが得られなかった部分(オクルージョン部分)の点群位置データを効率よく取得する技術に関する。」 「[0002] 測定対象物の点群位置データから三次元形状を生成する技術が知られている。点群位置データでは、二次元画像と三次元座標とが結び付けされている。すなわち、点群位置データでは、測定対象物の二次元画像のデータと、この二次元画像に対応付けられた複数の測定点(点群)と、この複数の測定点の三次元空間中の位置(三次元座標)とが関連付けされている。点群位置データによれば、点の集合により測定対象物の外形を再現した三次元モデルを得ることができる。…(以下省略)」 (ウ) 段落[0007]~[0008] 「[0007] レーザースキャナを用いて点群位置データを得る場合、レーザースキャナから見て、ある対象物の背後の部分の点群位置データは、影となるので取得できない。この影の部分が生じる現象をオクルージョンという。この影となる取得できなかった部分の点群位置データは、以前は影であった部分にレーザー光を当てることができる位置に視点を変更し、再度のスキャニングを行うことで得ることができる。 [0008] しかしながら、この方法によってオクルージョンを解消するには、2つの視点から得られたそれぞれ数万点~数億点にもなる点群位置データを共通の座標系で取り扱うための位置合わせを行う処理が必要となる。この処理は、煩雑であり、また長い処理時間が必要となる。このため、再度の点群データの取得を行い、更にデータ処理を行った後で、オクルージョンが解消していないことが判明した場合、(1)再度レーザースキャナを現場に持ち込んでの作業を行わなくてはならず、その作業の手間が大変である、(2)時間が経過しているために現場の状況が変わっており、上述した位置合わせを行うことができない場合がある、(3)新たに点群位置データを取得し直しても、後処理を行わなくては、オクルージョンが解消したか否かを確認するすべがない、といった問題がある。」 (エ) 段落[0013] 「[0013] …(中略)… 請求項3に記載の発明によれば、第1の視点から得た点群位置データの座標系と第2の視点から得た点群位置データの座標系とが統合され、これら2つの視点から得られた2群の点群位置データに基づいた三次元モデルが算出される。これにより、第1の視点ではオクルージョンとなっているが第2の視点ではオクルージョンとなっていない部分、および第1の視点ではオクルージョンといなっていないが第2の視点ではオクルージョンとなっている部分が互い補完され、よりオクルージョンが減った三次元モデルが得られる。この三次元モデルは、回転して表示させた際に、オクルージョンとなる部分が減っているので、より実際の測定対象物の三次元構造を忠実に再現した三次元モデルとなる。」 (オ) 段落[0035]~[0038]、[図1] 「[0035]1.第1の実施形態 以下、発明を利用した点群位置データ処理装置の一例について、図面を参照して説明する。図1には、点群位置データ処理装置100が示されている。 …(中略)… [0037] 点群位置データ処理装置100には、点群位置データ取得装置101、画像取得装置102、GPS(Global Positioning System)装置103、画像表示装置104、操作入力装置105が接続されている。点群位置データ取得装置101は、後述するレーザースキャナである。点群位置データ取得装置101は、測定対象物にレーザ光を照射し、その反射光を検出することで点群位置データを取得する。画像取得装置102は、CCDやCMOSイメージセンサを利用した撮影装置であり、点群位置データの取得対象となる測定対象物の外観画像を撮影し、その画像データを取得する。」 「 [図1] [図:0001438723000005.jpg] 」 「[0038] GPS装置103は、ナビゲーションシステム等に利用されている位置特定装置であり、GPS信号を受信し、それに基づいて位置データを取得する。画像表示装置104は、点群位置データ処理装置100を構成するパーソナルコンピュータのディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)である。操作入力装置105は、点群位置データ処理装置100を構成するパーソナルコンピュータの操作入力装置(キーボード、マウス入力装置等のポインティングデバイス)である。操作入力装置105は、画像表示装置104と連動して公知のGUI(Graphical User Interface)を利用しての点群位置データ処理装置100の操作が可能とされている。」 (カ) 段落[0039]~[0043] 「[0039] 点群位置データ処理装置100は、点群位置データ取得部111、画像データ取得部112、対応関係特定部113、三次元モデル形成部114、三次元モデル表示制御部115、座標統合部116、オクルージョン検出部117、新視点位置算出部118、ガイド表示制御部119を備えている。 [0040] 点群位置データ取得部111は、点群位置データ取得装置101から出力される点群位置データを受け付け、それを点群位置データ取得装置100内に取り込む。画像データ取得部112は、画像取得装置102から出力される画像データを受け付け、点群位置データ取得装置100内に取り込む。対応関係特定部113は、第1の視点において取得した測定対象物の点群位置データ(あるいは第1の視点において測定対象物を撮影することで得た画像データ)と、前記第1の視点とは異なる第2の視点において取得した画像データとの対応関係を求める処理を行う。なお、対応関係特定部113の機能の詳細については後述する。三次元モデル形成部114は、点群位置データ取得部111が取得した点群位置データに基づいて、三次元モデルを形成する。三次元モデル形成部114の機能の詳細については後述する。 [0041] ここでいう三次元モデルというのは、測定対象物の輪郭線を線図として表現した測定対象物の三次元構造を視覚化した図面である。輪郭線というのは、測定対象物の外観を視覚的に把握するために必要な、当該測定対象物の外形を形作っている線(outline)のことである。具体的には、折れ曲がった部分や急激に曲率が小さくなっている部分が輪郭線となる。輪郭線は、外側の輪郭の部分のみが対象となるとは限らず、凸状に飛び出している部分を特徴付ける縁の部分や、凹状に引っ込んでいる部分(例えば、溝構造の部分)を特徴づける縁の部分も対象となる。輪郭線により所謂線図が得られ、対象物の外観が把握し易い画像表示を行うことができる。 [0042] 三次元モデル表示制御部115は、画像表示装置104に測定対象物の三次元モデルを表示するための制御を行う。この三次元モデルには、第1の視点から得られた点群位置データに基づく三次元モデル、更に第1の視点から得られた点群位置データおよび第2の視点から得られた点群位置データに基づいて形成された三次元モデルが含まれる。座標統合部116は、点群位置データ取得装置101を第1の視点の位置に置き、その位置で取得した測定対象物の第1の点群位置データと、点群位置データ取得装置101を第1の視点とは異なる第2の視点の位置に置き、その位置で取得した測定対象物の第2の点群位置データとを扱うための共通の座標系(統合された座標系)得るための演算を行う。この演算は、対応関係特定部113で特定された2つの視点から得られた画像同士の対応関係に基づいて行われる。座標統合部116の機能の詳細については後述する。 [0043] オクルージョン検出部117は、オクルージョンとして認識すべき部分を検出する。オクルージョン検出部117の詳細については後述する。新視点位置算出部118は、オクルージョンが解消(あるいはより軽減)される新たな視点を三次元モデルが表示された画面上に表示する。新視点位置算出部118の詳細については後述する。ガイド表示制御部119は、精度や誤差の点で再度の点群位置データの取得が必要な領域を画像表示装置104上に三次元モデルと共に表示する。」 (キ) 段落[0044]~[0060]、[図2] 「[0044] 以下、対応関係特定部113、座標統合部116、オクルージョン検出部117、新視点位置算出部118について詳細に説明する。まず、説明の前提となる点群位置データを測定する状態の具体的な一例を説明する。図2には、点群位置データを測定する状況の一例が概念的に示されている。図2には、図1の点群位置データ処理装置100として機能するノート型のパーソナルコンピュータ130が示されている。パーソナルコンピュータ130には、点群位置データ取得装置の一例である三次元レーザースキャナ131が接続されている。図2には、まず、測定を行う第1の視点となる第1の設置位置132に三次元レーザースキャナ131を配置して点群位置データの取得を行い、次に第2の視点となる第2の設置位置133に、三次元レーザースキャナ131を設置し、再度の点群位置データの取得を行おうとする場合の例が示されている。なお、三次元レーザースキャナ131は、図1の点群位置データ取得装置101の機能に加えて、画像取得装置102、GPS装置103の機能を備えている。 [0045] 図2には、第1の設置位置132に三次元レーザースキャナ131を配置した状況において、三次元レーザースキャナ131側から見て、手前側に測定対象物134が位置し、その後(後ろ側)に測定対象物135が位置している状況が示されている。また、第1の設置位置132から見て、測定対象物134の背後に隠れる位置に測定対象物136が位置している状態が示されている。」 「[図2](符号の説明は当合議体が付したものである。) [図:0001438723000006.jpg] 」 「[0046](対応関係特定部) …(中略)… 対応関係特定部113は、三次元レーザースキャナ131を第1の設置位置132に設置した場合に取得された測定対象物134~136の点群位置データ(または画像データ)と、三次元レーザースキャナ131を第2の設置位置133に設置した場合に取得される測定対象物134~136の画像データとの対応関係(相関関係)を求める。」 [0047] 上記の対応関係も求める方法として、「単写真標定」、「相互標定」、「ステレオマッチング」が挙げられる。これらの方法は、その一つを用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。上記の対応関係を求める処理は、図2の第1の設置位置(第1の視点)132から測定対象物134~136を見た場合に得られる画像の画像データを取り扱うのに利用される座標系(第1の座標系)(X、Y、Z)と、第2の設置位置(第2の視点)133から測定対象物134~136を見た場合に得られる画像の画像データを取り扱うのに利用される座標系(第2の座標系)(x、y、z)との対応関係を明らかにする処理と捉えることができる。 [0048] ここで、「単写真標定」を用いた場合は、第1の視点において既に得られている点群位置データと第2の視点から撮影することで得た画像データとに基づき、上記の対応関係を算出する処理が行われる。…(中略)… [0049] (単写真標定) 単写真標定とは、1枚の写真の中に写された基準点に成り立つ共線条件を用いて、写真を撮影したカメラの位置(X0、Y0、Z0)およびカメラの傾き(ω,φ,κ)を求め、写真座標x、yと地上座標X、Y、Zの間の関係を求める技術である。共線条件とは、投影中心、写真像および地上の対象物が一直線上にあるという条件である。また、カメラの位置(X0、Y0、Z0)とカメラの傾き(ω、φ、κ)は外部標定要素と呼ばれる。 [0050] ここでは、単写真標定の原理を用いて、第1の設置位置132(第1の視点)から対象物134~136を見た場合の第1の座標系と、第2の設置位置133(第2の視点)から対象物134~136を見た場合の第2の座標系との関係を求める方法を説明する。この場合、第1の設置位置において測定対象物134~136の点群位置データが取得されている状態で、第2の設置位置133から三次元レーザースキャナ131が備えている画像取得装置102(CCDカメラ)による画像の取得を行い、その上で以下の演算を行う。 [0051] まず、第1の座標系をX、Y、Z、第2の座標系をx、y、z、とし、第2の設置位置133において、画像取得装置102を各座標軸の正方向に対して左回りにそれぞれ κ、φ、ωだけ順次回転させた向きで撮影を行ったものとする。 [0052] ここで、第1の設置位置132において得られた点群位置データおよび第2の設置位置133から撮影した撮影画像の中から共通する4点を選択する。この4点は、2つの座標系の対応関係を求める足掛かりとなる共通座標点であり、測定対象物の中から特徴点となる部分が選択される。…(中略)… [0053] そして、4点の画像座標と対応する基準点の3次元座標を数1に示す2次の射影変換式に代入し、観測方程式を立ててパラメ-タb1~b8を求める。 [0054] [図:0001438723000007.jpg] [0055] 数1のパラメータb1~b8を用いて、下記の数2から外部標定要素(X0、Y0、Z0)を求める。 [図:0001438723000008.jpg] [0056] 次に、単写真標定の原理より、(X,Y,Z)に対応する、傾いた画像取得装置102の座標系(xp、yp、zp)を以下の数3から求める。数3では、数2で求まった画像取装置の傾き(ω、φ、κ)を代入し、回転行列の計算をして、パラメータa11~a33を求める。 [0057] [図:0001438723000009.jpg] [0058] 求まったパラメータa11~a33と数2で求まったカメラの位置(X0、Y0、Z0)、および(X,Y,Z)を、投影中心、写真像および対象物が一直線上にあるという以下の数4の共線条件式に代入し、座標(x、y)を求める。ここで、cは画面距離(焦点距離)、a11~a33は、3×3回転行列の要素として現される画像取得装置102の傾きであり、Δx、Δyは、画像取得装置102内部の標定補正項である。 [0059] [図:0001438723000010.jpg] [0060] こうして、図2の第1の設置位置(第1の視点)132から測定対象物134~136を見た場合の座標系(第1の座標系)(X、Y、Z)と、第2の設置位置(第2の視点)133から測定対象物134~136を見た場合の座標系(第2の座標系)(x、y、z)との対応関係が算出される。なお、上記の算出方法では、zとZの関係が求めていないが、第1の設置位置132と第2の設置位置133とが水平面内における位置の違いであるある場合、z=Zであるので、上記の方法で問題は生じない。」 (ク) 段落[0084] 「[0084](三次元モデル形成部) 以下、図1の三次元モデル形成部114の機能について説明する。図3には、三次元モデル形成部114のブロック図が示されている。三次元モデル形成部114は、非面領域除去部201、面ラベリング部202、輪郭線算出部203を備えている。以下、これら各機能部について説明する。…(以下省略)」 (ケ) 段落[0101]~[0106] 「[0101] 輪郭線算出部203は、隣接する面の点群位置データに基づき、輪郭線を算出(推定)する。以下、具体的な算出方法について説明する。輪郭線算出部203は、間に非面領域を挟む隣接する面同士の交線を求め、それを輪郭線とする処理を行う。この際、隣接する面の間の非面領域に局所平面をフィッティングさせ、この局所平面を複数繋ぐことで、非面領域を複数の局所平面によって近似する方法を採用することもできる。これは、複数の局所平面により構成される多面体で非面領域を近似したものと捉えることができる。この場合、隣接する面から局所平面をつないでゆき、最後に隣接した局所平面同士の交線を輪郭線として算出する。輪郭線が算出されることで、測定対象物の輪郭の画像が明確となる。 [0102] 次に、二次元エッジ算出部204について説明する。以下、二次元エッジ算出部204で行われる処理の一例を説明する。まず、対象物からの反射光の強度分布に基づいて、ラプラシアン、プリューウィット、ソーベル、キャニーなどの公知のエッジ抽出オペレータを用いて、セグメント化(区分け)された面に対応する二次元画像の領域内からエッジを抽出する。すなわち、二次元エッジは、面内の濃淡の違いにより認識されるので、この濃淡の違いを反射光の強度の情報から抽出し、その抽出条件に閾値を設けることで、濃淡の境目をエッジとして抽出する。次に、抽出されたエッジを構成する点の三次元座標の高さ(z値)と、その近傍の輪郭線(三次元エッジ)を構成する点の三次元座標の高さ(z値)とを比較し、この差が所定の閾値以内の場合には、当該エッジを二次元エッジとして抽出する。すなわち、二次元画像上で抽出されたエッジを構成する点が、セグメント化された面上にあるか否かを判定し、面上にあると判定された場合にそれを二次元エッジとする。 [0103] 二次元エッジの算出後、輪郭線算出部203が算出した輪郭線と二次元エッジ算出部204が算出した二次元エッジとを統合する。これにより、点群位置データに基づくエッジの抽出が行われる。このエッジの抽出により、測定対象物を視認する際における測定対象物の外観を構成する線が抽出される。これにより、測定対象物の線図のデータが得られる。 [0104] 具体的な例として、例えば、測定対象物として建物が選択し、この建物の点群位置データに基づいて、線図のデータを得た場合を説明する。この場合、当該建物の外観、外壁の模様、窓等の輪郭が線図のデータとして表現される。…(中略)… [0105] 座標統合部で2つの視点からの座標を統合した統合座標が算出された場合、以上述べた三次元モデル形成部114における三次元モデルの形成をこの統合座標上で行うことで、2つの視点から得た点群位置データに基づく三次元モデルが得られる。…(中略)… [0106](座標統合部) 図1に戻り、座標統合部116の機能について説明する。座標統合部116は、対応関係特定部113において求められた2つの座標系の間の関係に基づいて、統合された座標系を算出する。一般的には、座標統合部116は、対応関係特定部113において求められた2つの座標系の間の対応関係に基づいて、一方の座標系を他方の座標系に変換する。これにより、一方の座標系で取り扱われている三次元モデルのデータを他方の座標系でも取り扱えることができるようになる。あるいは両方の座標系で取り扱われている点群位置データを統合された座標系で取り扱うことができるようになる。」 (コ) 段落[0108]、[図6] 「[0108](新視点位置算出部) 新視点位置算出部118は、オクルージョン検出部117が検出したオクルージョンが解消される視点を算出する。図6は、オクルージョンが解消される新たな視点を算出する方法の一例を示す原理図である。図6には、第1の視点におけるオクルージョンとなる部分が示されている。この例の場合、まず視点1から見て、オクルージョンを発生させる手前側のエッジAの座標と、視線の先にある奥側の面の位置Bの座標に基づき、位置Aと位置Bの中間点の位置Cの座標を算出する。次いで、第1の視点と位置Cを一辺とする直角二等辺三角形を設定し、第2の視点の座標を算出する。この方法によれば、スキャンビームに対する法線の方向からの新たな点群位置データの測定が可能となり、第1の視点におけるオクルージョンを解消することができる。」 「[図6] [図:0001438723000011.jpg] 」 (サ) 段落[0110]~[0111]、[図2](再掲) 「[0110](動作例1) 以下、図2の場合を例に挙げ、動作の一例を説明する。まず、図2の第1の設置位置132(第1の視点)に三次元レーザースキャナ131を配置し、図示する測定対象物の点群位置データを取得する。…(中略)… [0111] 次に、図2の第2の設置位置133に三次元レーザースキャナ131を移動させ、内蔵した画像取得装置(CCDカメラ)によって、測定対象物の撮影を行う。…(以下省略)」 「[図2](再掲) [図:0001438723000012.jpg] 」 (シ) 段落[0121]~[0125]、[図4] 「[0121] (動作例3) 以下、第1の視点から得た点群位置データと第2の視点から得た点群位置データとに基づき、三次元モデルを形成する場合の例を図2の場合に基づいて説明する。まず、第1の設置位置132おいて、測定対象物134~136の点群位置データ(正確にいうと、オクルージョンが発生するので、測定対象物136の点群位置データは取得できない)を取得し、測定対象物の三次元モデルを形成する(図4(A)参照)。 [0122] 次に、レーザースキャナ131を第2の設置位置133に移動させ、測定対象物134~136の画像を撮影する。そして、第1の設置位置132において取得した点群位置データと第2の設置位置133において取得した画像データとの対応関係を「単写真標定」を利用して算出する。 [0123] この後、第1の設置位置132において取得した点群位置データ(第1の点群位置データ)と上記「単写真標定」を用いて算出した対応関係とに基づき、第2の設置位置133の視点から見た三次元モデルの表示を得る(図4(B)参照)。次いで、第2の設置位置133において測定対象物134~136の点群位置データ(第2の点群位置データ)を取得する。 [0124] この後、座標統合部116において、上記の「単写真標定」を用いて算出した対応関係に基づき、第1の点群位置データを扱う第1の座標系と第2の点群位置データを扱う第2の座標系とを統合した統合座標系を算出する。そして、統合座標系を用いて第1の点群位置データと第2の点群位置データとを統合的に取り扱うことで、第1の点群位置データと第2の点群位置データとに基づく三次元モデルを形成する。 [0125] この第1の点群位置データと第2の点群位置データとに基づく三次元モデルを画面上に表示した場合の一例が図4(C)に示されている。この場合、図2の測定対象物136が見える第2の設置位置133において得た点群位置データも利用されて三次元モデルが形成されるので、測定対象物136はオクルージョン部分とならない。また、図4(A)の視点に当該三次元モデルを回転させた場合に、第1の設置位置132おいて得られた点群位置データに基づく三次元モデル部分が見えるので、第2の設置位置133から死角となる部分がオクルージョンとならず、表示される。」 「[図4](符号の説明は当合議体が付したものである。) [図:0001438723000013.jpg] 」 イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定 引用文献1の[0037]、[図1]には、点群位置データ処理装置100と、点群位置データ取得装置101、画像取得装置102、GPS装置103、画像表示装置104、操作入力装置105が接続される構成が開示されている。これらは協同して点群位置データを処理する「点群位置データ処理システム」を構成するものと認められる(認定事項1)。 ウ 引用発明の認定 前記アにおいて摘記した事項及び前記イにおいて認定した事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「点群位置データ処理技術に係り、手前の測定対象物の影になり点群位置データが得られなかった部分(オクルージョン部分)の点群位置データを取得し、([0001]) 第1の視点から得た点群位置データの座標系と第2の視点から得た点群位置データの座標系とが統合され、これら2つの視点から得られた2群の点群位置データに基づいた三次元モデルが算出されることにより、第1の視点ではオクルージョンとなっているが第2の視点ではオクルージョンとなっていない部分、および第1の視点ではオクルージョンとなっていないが第2の視点ではオクルージョンとなっている部分が互い補完され、よりオクルージョンが減った三次元モデルが得られる、([0013]) 点群位置データ処理システムであって(認定事項1)、 点群位置データ処理装置100には、点群位置データ取得装置101、画像取得装置102、GPS(Global Positioning System)装置103、画像表示装置104、操作入力装置105が接続されており、([0037]) 点群位置データ取得装置101は、レーザースキャナであり、測定対象物にレーザ光を照射し、その反射光を検出することで点群位置データを取得するものであり、([0037]) 画像取得装置102は、CCDやCMOSイメージセンサを利用した撮影装置であり、点群位置データの取得対象となる測定対象物の外観画像を撮影し、その画像データを取得するものであり、([0037]) 点群位置データ処理装置100は、点群位置データ取得部111、画像データ取得部112、対応関係特定部113、三次元モデル形成部114、三次元モデル表示制御部115、座標統合部116、オクルージョン検出部117、新視点位置算出部118、ガイド表示制御部119を備えており、([0039]) 点群位置データ取得部111は、点群位置データ取得装置101から出力される点群位置データを受け付け、それを点群位置データ取得装置100内に取り込むものであり、([0040]) 対応関係特定部113は、第1の視点において取得した測定対象物の点群位置データと、前記第1の視点とは異なる第2の視点において取得した画像データとの対応関係を求める処理を行うものであり([0040])、 三次元モデル形成部114は、点群位置データ取得部111が取得した点群位置データに基づいて、三次元モデルを形成するものであり、([0040]) 三次元モデル表示制御部115は、画像表示装置104に測定対象物の三次元モデルを表示するための制御を行うものであり、この三次元モデルには、第1の視点から得られた点群位置データおよび第2の視点から得られた点群位置データに基づいて形成された三次元モデルが含まれ、([0042]) 座標統合部116は、点群位置データ取得装置101を第1の視点の位置に置き、その位置で取得した測定対象物の第1の点群位置データと、点群位置データ取得装置101を第1の視点とは異なる第2の視点の位置に置き、その位置で取得した測定対象物の第2の点群位置データとを扱うための共通の座標系(統合された座標系)を得るための演算を行うものであり、([0042]) オクルージョン検出部117は、オクルージョンとして認識すべき部分を検出するものであり、([0043]) 新視点位置算出部118は、オクルージョンが解消(あるいはより軽減)される新たな視点を三次元モデルが表示された画面上に表示するものであり、([0043]) ガイド表示制御部119は、精度や誤差の点で再度の点群位置データの取得が必要な領域を画像表示装置104上に三次元モデルと共に表示するものであり、([0043]) 点群位置データを測定する状況においては、まず、測定を行う第1の視点となる第1の設置位置132に三次元レーザースキャナ131を配置して点群位置データの取得を行い、次に第2の視点となる第2の設置位置133に、三次元レーザースキャナ131を設置し、再度の点群位置データの取得を行うものであり、([0044]) 前記対応関係特定部113においては、第1の設置位置132において得られた点群位置データおよび第2の設置位置133から撮影した撮影画像の中から共通する4点を選択し、この4点は、2つの座標系の対応関係を求める足掛かりとなる共通座標点であり、測定対象物の中から特徴点となる部分が選択されるものであり、([0052]) 三次元モデル形成部114は、非面領域除去部201、面ラベリング部202、輪郭線算出部203を備えており、([0084]) 二次元エッジの算出後、輪郭線算出部203が算出した輪郭線と二次元エッジ算出部204が算出した二次元エッジとを統合することにより、点群位置データに基づくエッジの抽出が行われ、このエッジの抽出により、測定対象物を視認する際における測定対象物の外観を構成する線が抽出され、これにより、測定対象物の線図のデータが得られ、([0103]) 具体的な例として、例えば、測定対象物として建物が選択され、この建物の点群位置データに基づいて、線図のデータを得た場合、当該建物の外観、外壁の模様、窓等の輪郭が線図のデータとして表現され、([0104]) 座標統合部で2つの視点からの座標を統合した統合座標が算出された場合、三次元モデル形成部114における三次元モデルの形成をこの統合座標上で行うことで、2つの視点から得た点群位置データに基づく三次元モデルが得られ、([0105]) 座標統合部116は、対応関係特定部113において求められた2つの座標系の間の関係に基づいて、統合された1つの座標系を算出するものであり、一般的には、座標統合部116は、対応関係特定部113において求められた2つの座標系の間の対応関係に基づいて、一方の座標系を他方の座標系に変換することにより、一方の座標系で取り扱われている三次元モデルのデータを他方の座標系でも取り扱えることができるようになり、あるいは両方の座標系で取り扱われている点群位置データを統合された座標系で取り扱うことができるようになる、([0106]) 点群位置データ処理システム(認定事項1)。」 (3) 引用文献3、4の記載事項及び周知技術1の認定 ア 引用文献3に記載された事項 引用文献3(特開2017-223541号公報)には、次の記載がある。 「【0008】 本発明は、測距光を射出する測距発光部と、反射測距光の受光結果に基づき測距を行う測距部と、前記測距光と既知の関係でレーザポインタ光を照射するポインタ光発光部と、前記測距光の射出方向を検出する測角部と、前記測距発光部、前記測距部、前記ポインタ光発光部を含み水平方向、鉛直方向に回転可能な望遠鏡部、該望遠鏡部を回転させる回転駆動部と、既知の座標系を有する図面データが格納された記憶部を有する制御演算部とを具備し、該制御演算部は、前記測距光を所要の範囲で回転照射し、該測距光毎の測距結果と方向角検出結果に基づき3次元の点群データを取得し、該3次元の点群データと前記図面データとに共通した点の測定結果を基に前記3次元の点群データを前記図面データとマッチングさせ、該図面データ上で指定された測設点に対して前記レーザポインタ光を照射させる様構成されたレーザスキャナに係るものである。」 「【0023】 3次元計測器12には、レーザーポインタ(図示せず)が内蔵されており、視準先をレーザーポインタで照射することにより図1に示すようにマーキングロボット14でマーキング(墨出し)すべき墨位置をマークポイントPとして据付面16に提示する。」 「【0047】 次に、図4のフローチャートを用い、前記レーザスキャナ1を用いた3次元の点群データの取得、測設点の指示処理について説明する。 【0048】 STEP:01 先ず、前記レーザスキャナ1を任意の位置に設置、前記整準部3により整準を行う。 【0049】 STEP:02 次に、前記水平回転駆動部5により前記托架部7を水平回転させ、前記鉛直回転駆動部12により前記望遠鏡部9を鉛直回転させ、前記レーザスキャナ1により測定範囲を走査し、測定対象物の3次元の点群データを取得する。 【0050】 STEP:03 3次元の点群データが取得されると、前記制御演算部17は、測定結果の中から既知の点に設けられたプリズム、或は配管のボルト孔等の既知の座標を有する測定点等を選択し、既知点の測定結果を基に測定対象物に対する前記レーザスキャナ1の設置位置を既知化する。又、既知点の測定結果を基に図面データの座標系(図面座標系)に於ける前記レーザスキャナ1の位置を演算する。 【0051】 尚、該レーザスキャナ1が直交する2の壁面に近接して設けられている場合は、前記レーザスキャナ1を水平方向に全周回転させて壁面を走査し、該レーザスキャナ1と各壁面との距離をそれぞれ求め、該距離を基に図面座標系に於ける前記レーザスキャナ1の位置を演算してもよい。又、該レーザスキャナ1を既知の座標を有する基準点に設置する場合には、STEP:03の工程は省略することができる。 【0052】 STEP:04 前記制御演算部17は、前記レーザスキャナ1の図面座標系に於ける位置に基づき、点群データを図面データとマッチングさせ、点群データの座標を図面座標系へと変換する。 【0053】 STEP:05 図面データを基に所定の測設点が指定されると、前記制御演算部17は、測設点の図面座標系の座標を点群データの座標系に座標変換する。前記制御演算部17は、前記水平回転駆動部5を駆動し、前記托架部7を水平回転させ前記望遠鏡部9を指示された測設点へと向ける。該望遠鏡部9の水平方向が前記測設点と一致すると、前記水平回転駆動部5を停止し、停止状態を維持する。次に、前記制御演算部17は、前記鉛直回転駆動部12を駆動させ、前記望遠鏡部9を高速で鉛直回転させると共に、前記ポインタ光発光部27に前記レーザポインタ光26をパルス発光させる。尚、この場合の回転速度は、前記レーザポインタ光26を視認した場合に残像が維持される程度以上とするのが好ましい。」 「[図4] [図:0001438723000014.jpg] 」 イ 引用文献4に記載された事項 引用文献4(特開2007-118165号公報)には、次の記載がある。 「【0041】 次に、上記の如く構成された施工支援システム10を使用し、据付位置(墨位置)の提示からマーキングまでの施工支援方法の作業の流れを説明する。尚、設計図面はCAD図面を使用する例で説明すると共に、設置物を天井壁面(据付面)に据え付ける例で説明する。 【0042】 図7は、施工支援方法の作業全体の流れを示した作業フロー図であり、図8は図7の主要作業を更に詳細に説明する作業フロー図である。図7に示すように、施工のために製作した既存のCAD図面を設計図面とする(ステップ1)。このCAD図面に据付位置を記載すると共に、据付位置情報を抽出する(ステップ2)。このステップ2については、本出願人が既に出願した特願2004-235250の施工支援方法に沿って行うことが好ましい。即ち、先ず施工対象が表されたCAD図面を所定の画面に表示し、表示したCAD図面中に複数の墨位置(据付位置)に対応する複数の特定記号からなるパターンを配置させる。そして、このようなパターンが配置されたCAD図面に基づいて、所定の座標基準を基準とした複数の墨位置の寸法量を求めて墨位置寸法量の一覧を作成し、この一覧を出力する。この場合、座標基準が複数存在する場合には、各座標基準ごとにレイヤ(画層)を振り分けて、各画層ごとに墨位置の寸法量を求めて出力する。 【0043】 ステップ2で得られた据付位置の三次元座標情報を三次元計測器12へ入力する(ステップ3)。この入力方法としては、図8に示すように、図示しないCAD装置から電子野帳18へ据付位置の三次元座標情報を読み込む(ステップ3-1)。そして、三次元計測器12に電子野帳18を接続することにより、三次元座標情報を三次元計測器12に入力する(ステップ3-2)。尚、図8では、三次元計測器12への電子野帳18の接続は次に説明する座標系統一ステップ(ステップ4-1~ステップ4-4)の後で行っているが、座標系統一の前に行ってもよい。 【0044】 次に、据付け作業を行う施工現場の任意の位置に三次元計測器12を設置して、設計図面の三次元座標系と施工現場における三次元計測器12の三次元座標系を一致させる(ステップ4)。座標系の統一は、図8に示すように、三次元計測器12での座標系の方向を設定することで行う(ステップ4-1)。即ち、設計図面の座標系が地軸と平行かどうかを確認し(ステップ4-2)、平行な場合には現場の基準点2点を計測し、設計図面における据付位置の三次元座標と現場の三次元座標との関係を座標変換により一致させる(ステップ4-2)。平行でない場合には、現場の基準点3点を計測し、同様に座標変換により一致させる(ステップ4-4)。 【0045】 次に、入力された据付位置の三次元座標情報に基づいて三次元計測器12により据付位置を視準して視準先をレーザーポインタにより提示すると共に提示位置を三次元計測する(ステップ5)。即ち、図8に示すように、据付位置の設計値方向へ三次元計測器12の望遠鏡12Aの向きを変え、内蔵されたレーザーポインタにて据付位置(視準先)を提示する(ステップ5-1)。これにより、マーキングロボット14でマーキングするマークポイントが提示される。」 ウ 周知技術1の認定 前記ア及びイに摘記した引用文献3及び4の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) <周知技術1> 「建築構造物の既存部材に対して増設部材を取り付ける作業を行う際、3Dスキャナ等の計測手段を用いて取得した測定対象物の3次元データに基づいて、取り付けのための基準点をレーザ光等により対象物に提示すること。」 (4) 引用文献12~14の記載事項及び技術常識1の認定 ア 引用文献12に記載された事項 新たに引用する引用文献12(国際公開第2017/033692号)には、次の記載がある。 「[0033] <第1実施形態> 以下、本発明の第1実施形態を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図6は本発明に係る3次元形状データの作成方法の好ましい実施形態を示す。 3次元形状データの作成方法に用いるシステムでは図1に示されるように、測定対象物Wは基準軸線C上に設置され、第1~第4の3Dスキャナー10A~10Dは基準軸線Cに対して垂直な同一平面上において基準軸線Cを中心にして相互に90°間隔をあけた方向から基準軸線Cを指向しかつ取得すべき点群が第1~第4の3Dスキャナー10A~10Dのスキャン領域の端部において重畳するように設定されている。 [0034] 3Dスキャナー10A~10Dは図2に示されるように、赤外線レーザーの出射部11と反射光を受光する受光部12及びRGBカメラ13から構成されている。 [0035] 測定対象物Wの3次元形状データを作成する場合、図1に示されるように、測定対象物Wを基準軸線C上に載置した後、3Dスキャナー10A~10Dの各々によって測定対象物Wの外表面の3D形状を1フレームだけ測定する。 [0036] 測定は演算処理装置20によって本例の3Dスキャナー10A~10Dを初期化し(演算処理装置20は複数の3Dスキャナー毎に設けてもよい)、3Dスキャナー10A~10Dの赤外線レーザーによるスキャンによってスキャナーの赤外線レーザーの出射部11と受光部12から測定対象物Wの外表面までの距離をデプス画像として得る。このデプス画像は例えば640×480画素で、各画素は例えば13ビットの精度を有する。画素の数値は赤外線レーザーの出射部11と受光部12から測定対象物W外表面までの奥行きをmm単位で表したもので、各画素は測定対象物Wの外表面の1点に対応する。3Dスキャナー10A~10Dを中心とする3次元座標系においてX軸(水平方向)、Y軸(垂直方向)、Z軸(奥行き方向)の座標値を計算することができる。つまり、画素の数値はZ軸の値に相当し、X軸及びY軸の座標値は画像座標と3Dスキャナー10A~10Dの視野角および奥行き(Z値)から求めることができる。 [0037] ここで、演算処理装置20について説明する。 図3に示すように、演算処理装置20は、測定対象物Wの3次元形状データを取得する手段の実施の一形態であるとともに、点群データを結合することによって合成3次元形状データを作成する手段の実施の一形態である。すなわち、演算処理装置20は、測定対象物Wの3次元形状データを取得する手段としての機能および点群データを結合することによって合成3次元形状データを作成する手段としての機能の両方を具備するものである。 演算処理装置20は、主として制御部21、入力部22、表示部23等を具備する。 [0038] 制御部21は、測定対象物Wの3次元形状データを取得するプログラム、点群データを結合することによって合成3次元形状データを作成するプログラム、3Dスキャナー10A~10Dの動作を制御するためのプログラム等の種々のプログラムを格納する格納手段、これらのプログラムを展開する展開手段、これらのプログラムに従って所定の演算を行う演算手段、演算結果等を記憶する記憶手段等を具備する。 制御部21は、より具体的にはCPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。 なお、本実施例の制御部21は専用品であるが、市販のパソコン又はワークステーション等を用いて達成することも可能である。 [0039] 制御部21は、3Dスキャナー10A~10Dに接続され、3Dスキャナー10A~10Dの動作(撮像、所定のパターンの投影等)の制御に係る信号を送信することが可能であるとともに、3Dスキャナー10A~10Dが撮像した画像に係るデータを取得することが可能である。」 「[図1] [図:0001438723000015.jpg] 」 「[0048] <第2実施形態> 次に、本発明の第2実施形態に係る3次元形状データの作成方法及び3次元形状データ作成装置について図7~図14を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の箇所(例えば、3Dスキャナーの構成、動作など)については、説明を省略することがある。」 「[0060] 例えば、第2実施形態において、高速処理化するために、演算処理装置を複数の3Dスキャナー毎に独立して設けるとともに、3Dスキャナーのスキャンタイミングを演算処理装置それぞれに設定できるものとなっている場合、演算処理装置内部それぞれの時計の時間は、一旦揃えておいたとしても、時間が経過すると、それぞれ微小時間ずれていることがある。第2実施形態の3Dスキャナー31A~34Bの8台を例に取って考えると、例えば、図14に示すような状態が想定できる。ここで、図14には、同時刻に演算処理装置それぞれに各3Dスキャナーへスキャンする命令を送信するように設定しておき、該時刻に命令を送信した際、3Dスキャナー31Aでのスキャン開始時間から完了時間までの1秒間(フレーム数30)を軸として、他の3Dスキャナーでのスキャン開始時間から完了時間までの1秒間(フレーム数30)を示している。 [0061] 3Dスキャナー31Aにおけるある時間のタイミングでのフレームを点群データとして採用する場合、他の3Dスキャナーから得られる点群データは、できる限り、実際の時間と同時又は最近接している時間における点群データを採用することが好ましい。そこで、例えば、演算処理装置の制御部に組み込まれた3次元形状データ作成プログラムを実行させて、図14に示した時間軸60における3Dスキャナー31Aのスキャンデータにおけるフレーム61を採用させるように設定した場合、3Dスキャナー31Bのスキャンデータにおいては、時間軸60に最近接しているフレーム62を採用する決定を行う。同様に、3Dスキャナー32Aのスキャンデータにおいてはフレーム63、3Dスキャナー32Bのスキャンデータにおいてはフレーム64、3Dスキャナー33Aのスキャンデータにおいてはフレーム65、3Dスキャナー33Bのスキャンデータにおいてはフレーム66、3Dスキャナー34Aのスキャンデータにおいてはフレーム67、3Dスキャナー34Bのスキャンデータにおいてはフレーム68、を採用する決定を行う。 [0062] これらの採用するフレーム61~68が決定した後、演算処理装置の制御部は、各スキャンデータから各フレーム61~68における点群データを取得し、第2実施形態と同様の方法で合成3次元形状データを作成することが可能である。これにより、複数の3Dスキャナーでスキャンするタイミングのずれがあったとしても、時間軸上、合致する又は最も近い点群データ同士を結合することになるので、点群データ同士の形状のずれがない又はずれを最小限に抑えることができる。したがって、同時にスキャンした場合と差異がない又はほとんどない合成3次元形状データを作成することができる。特に、動姿勢の測定対象物(移動中の物体、運動中の動物など)表面のスキャン領域をスキャンして、各3Dスキャナー31A~34Bについて、所定時間又は所定のフレーム数を得るまで連続して行うことによって、動きを静止させることが困難な赤ちゃん、ペット、運動中の人物、移動中の物体などの動姿勢の測定対象物について動きの一部を切り取った静止姿勢の3次元形状データを作成することが可能となる。さらに、本変形例によれば、動姿勢の測定対象物の連続した動きを一連の3次元形状データにすることもできるので、得られた一連の3次元形状データを連続再生すれば、モニター等に3次元動画として表示することも可能である。 [0063] また、3Dスキャナーの1秒間にスキャンできるフレーム数は、実際には、25~30のようにばらつくことがある。したがって、第2実施形態において、高速処理化するために、演算処理装置を複数の3Dスキャナー毎に独立して設けている場合、上記変形例と同様、複数の3Dスキャナーでスキャンするタイミングにずれが生じることがある。このような場合においても、上記変形例と同様に、基本となる3Dスキャナーにおけるある時間のタイミングでのフレームにおける情報から基本の点群データを取得し、他の3Dスキャナーから得られる点群データのうち、該基本の点群データの実際の時間と同時又は最近接している時間における点群データを採用すればよい。これにより、上記変形例と同様、複数の3Dスキャナーでスキャンするタイミングのずれがあったとしても、時間軸上、合致する又は最も近い点群データ同士を結合することになるので、点群データ同士の形状のずれがない又はずれを最小限に抑えることができる。したがって、同時にスキャンした場合と差異がない又はほとんどない合成3次元形状データを作成することができる。 」 「[図14] [図:0001438723000016.jpg] 」 イ 引用文献13に記載された事項 新たに引用する引用文献13(特表2005-532631号公報)には、次の記載がある。 「【0019】 図1は画像生成システム100の一例を示すブロック図である。画像生成システム100はスキャナ104と通信する計算システム102を備える。計算システム102は、命令の実行、計算、データの記憶、データの検索、および、スキャナ104との通信の実行が可能な任意の装置であってもよい。」 「【図1】 [図:0001438723000017.jpg] [図:0001438723000018.jpg] 」 「【0022】 スキャナ104は、測位システム112、ポイントスキャナ114およびカラースキャナ116であってもよい。測位システム112はスキャナ104の物理的位置決めを行う任意のシステムであってもよい。スキャナ位置情報はスキャナ104の地理上の位置、勾配および向きを含むようにしてもよい。例示の測位システム112は衛星による測位システム120および勾配方向センサ122を備える。」 「【0025】 ポイントスキャナ114は、オブジェクトの幾何学的3次元電子画像のポイントクラウド表示を展開するためにオブジェクトの測定が可能な任意の装置であってもよい。例えば、ポイントスキャナ114は、オブジェクト上の異なる点に選択的に向けられるレーザ光を備えるものであってもよい。反射されたレーザ光に基づいて、スキャナ104と点との間の距離を決定することも可能である。この距離を用いてオブジェクトの表面上の点を表す幾何学的な点データを生成することも可能である。レーザスキャナの一例として、オーストリアのRieglレーザ計測システムGmbH社により製造されたLMS-Zシリーズの地上用3Dスキャナがある。 【0026】 ポイントスキャナ114に含まれるプロセッサはポイントクラウドを形成する幾何学的な点を決定し、記録することも可能である。例えば、オブジェクト上の各々の点とスキャナ104との間の距離を用いてポイントクラウドを決定することも可能である。測定された距離に基づく点記録用ソフトウェアの例として、RiSCANソフトウェアがあり、このソフトウェアはオーストリアのRieglレーザ計測システムGmbH社から入手することができる。 【0027】 カラースキャナ116はオブジェクトの色を表すパラメータを検知することが可能な任意の装置であってもよい。カラースキャナ116はオブジェクトに対して光ビームを選択的に指向することも可能である。オブジェクトからのビーム光の反射に基づいて、カラーパラメータを決定してもよい。検出されたパラメータは、ピクセルと呼ばれることもある色点であってもよい。ポイントスキャナ114内のプロセッサは色点を決定し、記録することも可能である。 【0028】 ポイントスキャナ114を用いて収集された幾何学的な点の形での画像データはオブジェクトの幾何学的形状を表わすことができる。カラースキャナ116を用いて収集された色点(すなわちピクセル)の形の画像データはオブジェクトのカラーを表わすことが可能となる。本願明細書で使用されているように、“画像データ”という用語は幾何学的な点と色点との組み合わせを意味するものである。 【0029】 ポイントスキャナ114とカラースキャナ116とは同期作動して画像データを収集する2つの独立した走査装置であってもよい。幾何学的な点は走査範囲内の色点と関連づけることも可能である。例えば、ポイントスキャナ114は、カラースキャナ116が出射したレーザ光から5センチメートル離れた光ビームを出射することができる。カラースキャナ116はオブジェクトの所定領域の範囲内のカラー“ライン”を走査するラインセンサであってもよい。個々のカラーラインは、カラースキャナ116によりオブジェクト上へ投影される所定の幅の縦に延伸された光ビームの幅と長さとによって画定される。例えば、カラーセンサは、所定の幅と高さの垂直方向または水平方向の矩形領域である所定領域の範囲内を走査することができる。この矩形領域は、矩形領域全体が完全に走査されてしまうまで、連続的に走査されるさらに狭い縦に延伸するカラー領域(カラーラインなど)に分割することも可能である。カラーラインの測定値は、色点を含む色点データの検出の結果得られる。 【0030】 色点を検出する時間は幾何学的な点の検出時間よりも長くすることができる。したがって、走査中に、カラースキャナ116はラインセンサとして働いて、ある時間の間、オブジェクト上の所定領域内の色点(ピクセル)ラインを検出することができる。同じ時間中に、ポイントスキャナ114は同じ領域内の個々の幾何学的な点を検出することができる。次いで、計算システム102は所定領域で検出した色点ラインを同じ所定領域で検出した幾何学的な点と関連づけて、画像データを形成することができる。 【0031】 上記とは別に、カラースキャナ116は所定領域を走査して、所定数の色点を収集することができる。同時に、ポイントスキャナ114は同じ領域で所定数の幾何学的な点を検出することができる。カラースキャナ116による所定領域の走査のほうが長い時間をかけることができるため、より少数の色点がキャプチャされて、より多数の幾何学的な点との関連づけを行うことができる。後程論じるように、色点間の空隙を塗りつぶすこともできる。ポイントスキャナ114とカラースキャナ116の処理を同期させることにより、計算システム102はオブジェクトの走査画像をキャプチャすることができる。 【0032】 動作中、ビルなどの走査対象オブジェクトに隣接する第1の地理上の位置にスキャナ104を配置することができる。“走査する”または“走査される”という用語は、スキャナ104の地理上の再配置を行うことなく所定時間中にスキャナ104が収集するオブジェクトおよび/またはスキャナ104と関連する任意のデータを含むものと広く解釈することが望ましい。“複数の走査”という用語は、データを収集するスキャナ104の異なる空間的位置を意味する。 【0033】 走査中、スキャナ104のナビゲーション座標、勾配、および向きを測位システム112によって決定し、計算システム102へ出力することができる。ナビゲーション座標の決定は、走査中複数の異なる基準位置をとることも可能である。この基準位置を用いて平均基準位置を算出することができる。次いで、基準位置のナビゲーション座標を用いてスキャナ104の地理上の位置を記述することができる。 【0034】 さらに、ポイントスキャナ114はオブジェクトを走査し、ポイントクラウドの形で幾何学的な点データを生成することができる。同時に、カラースキャナ116はオブジェクトを走査し、色点データを生成することができる。幾何学的な点データと色点データとは画像データとして計算システム102により同期してキャプチャすることができる。したがって、計算システム102によって少なくとも1つの幾何学的な点を少なくとも1つの色点と関連づけることができる。」 「【図2】 [図:0001438723000019.jpg] 」 「【0036】 図2は、オブジェクト204の周辺のスキャナ104(図1)の複数の地理上の位置202を示す1例である。図示の例ではオブジェクト204はビルである。地理上の位置202(したがって異なる走査)の数は、走査中のオブジェクトの幾何学的形状に基づいて決定することができる。十分な走査を行うことにより、毎回の走査中にスキャナ104が収集した幾何学的な点データと色点データとのオーバーラップ部分が得られる。 【0037】 図2で、三角形206上の点を表す3つの地理上の位置が走査対象位置として特定される。三角形206の範囲内にオブジェクト204の境界を完全に取り囲むように三角形206のサイズが定められる。オブジェクト204の形状および/または異なる表面に基づいて、3回の走査を行うことができる。しかし、オブジェクトの表面全体を精密にキャプチャするために追加の走査を必要とする場合もある。ポイントスキャナ114がレーザスキャナである場合、スキャナ104の視野方向内に存在しないオブジェクト204の表面領域は単なる3回の走査では表わすことができない場合がある。したがって、オブジェクトの種々の特徴の視野方向にスキャナ104の空間的位置決めを行ってもよく、さらに、追加走査の視野方向にスキャナ104の空間的位置決めを行ってもよい。」 ウ 引用文献14に記載された事項 新たに引用する引用文献14(中国特許出願公開第105910556号明細書)には、次の記載がある。なお、括弧内は当審訳を示す。 「 [図:0001438723000020.jpg] 」 (1. トウモロコシ植株の葉面積の垂直分布情報を抽出する方法であって、以下の工程を含む: S1:レーザレーダによりトウモロコシ植株の三次元点群を取得し、複数視点点群の配准(位置合わせ)を行う工程 S2:三次元点群の法線を算出し、法線差分法を用いて、クラスタリング処理によりトウモロコシ葉片の反射点群を抽出する工程 S3:抽出された葉片反射点群をボクセル化し、各ボクセルにおけるレーザ伝播経路に基づきボクセル属性を決定する工程 S4:グリッド高さに従って植株を複数の水平層に分割し、ボクセル属性に基づき各層のレーザ截獲率および透過率を算出する。また、レーザ入射角を算出し、葉片分布を表す G 関数を構築する工程 S5:レーザ入射角、截獲率、透過率、G関数および各水平層の高さに基づいて、葉面積垂直分布モデルを構築し、各水平層の葉面積を算出して葉面積の垂直分布を得る工程 2. ステップ S1 において、スキャン対象となる植株に対して、 等距離かつ等角度でレーザレーダを設置し、 スキャン視野角を360°×317°とし、対象植物の周囲に6個のターゲット球を配置し、 また、多視点点群の位置合わせ(配准)を行う前に、多重散乱点や粗大誤差点を除去する。) 「 [図:0001438723000021.jpg] [図:0001438723000022.jpg] 」 ([0014]点群の位置合わせ(配准)とは、複数のスキャン地点から取得した点群同士の座標系の間に変換行列を構築し、位置および距離の変換を行うことを意味する。 [0015]ステップS1において、スキャン対象の植株に対して レーザレーダを等距離・等角度に配置し、視野角を360°×317°とする(図2a、2b)。異なる観測位置間の点群データの結合精度を確保するため、植物周囲に6個のターゲット球を配置する。) 「 [図:0001438723000023.jpg] 」 ([0052]好ましくは、ステップS1において、スキャン対象となる植株に対し、レーザレーダを等距離・等角度で設置し、視野角を360°×317°とする(図2a、図2b参照)。 異なる観測地点間の点群データの結合精度を確保するため、対象植物の周囲に6個のターゲット球を配置する。 多視点点群の位置合わせ(多站点云配准)を行う前に、まず 多重散乱点群および粗差点群(外れ値)を除去する。 多重散乱点群および粗差点群の除去に際しては、まずトウモロコシ植株が存在する立体空間の外部にある点群を除去し、その後、点群の強度情報を利用して土壌表面の反射点群を除去する。 点群の位置合わせ(配准)とは、二つの観測地点の点群座標に対し、回転および剛体変換を行うことで変換行列を構築し、位置と距離の変換を行う作業を意味する。 [0053] RiScanソフトウェアを用いて複数地点のデータを位置合わせし、結合する。また、多重散乱点や粗大誤差点を除去するためにC++プログラムを作成した。) 「図2(a) [図:0001438723000024.jpg] 」 エ 技術常識1の認定 前記ア~ウに摘記した引用文献12~14の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識1」という。) <技術常識1> 「対象物の形状に応じて対象物の周囲の複数箇所に計測範囲の一部を重複させつつレーザスキャナを均等設置し、得られた複数の点群データを合成することで、死角を回避して対象物の3次元形状データを取得可能であること。」 (5) 引用文献8、15の記載事項及び技術常識2の認定 ア 引用文献8に記載された事項 引用文献8(特開2019-117191号公報)には、次の記載がある。 「【0006】 (走査不能領域の存在) …(中略)… (点群データの密度ばらつき) 同様に、従来の装置を土木建設現場で用いる場合、従来の装置は、ミラーを水平軸回りに定速度で高速に回転させるとともに、本体を垂直軸回りに回転させて、レーザー光を周囲に放射状に照射して走査する。この場合、装置の近傍と遠端とでは、単位面積あたりのレーザー光の点群密度が大きく異なるため、測距精度を満足するために、測定回数や測定時間が増大する。」 「【0007】 (点群データの密度ばらつき) 同様に、従来の装置を土木建設現場で用いる場合、従来の装置は、ミラーを水平軸回りに定速度で高速に回転させるとともに、本体を垂直軸回りに回転させて、レーザー光を周囲環境に投射する構造であるため、一定間隔の時間で測距を行うことによって得られる点群データは、測定を行う領域によって密度にばらつきが生じる。例えば、道路舗装の出来形を確認する際には、従来の装置の設置場所から近い領域においては、点群データ密度は高いが、遠くに行くにしたがって点群データの密度は低くなる。これは、三次元レーザー光走査装置の回転中心から放射状にレーザー光が投射されるため、装置から測定対象面までの距離によって、レーザー光の間隔が大きく広がってしまうからである。つまり、従来の装置と測定対象面である道路とのtanθの傾きがθによって大きく異なるためである。 【0008】 一方、道路の出来形の確認には、規定の広さに何点以上の点群データを要するという基準が定められており、この水準以上の精度を必要とする。求められる精度を満たすように、測定可能な最遠端領域で点群データの密度が規定以上になるようにすると、こんどは、従来の装置の近傍の点群データの密度が過密となり、取得する点群データ量は、必要以上となってしまうアンバランスが生ずる。」 イ 引用文献15に記載された事項 新たに引用された引用文献15(特開2012-88778号公報)には次の記載がある。 「【0010】 …(中略)… 本発明に係る電気集塵装置の設計システムは、第1には、電気集塵装置を設置するエリアの複数の測定位置に配置され各測定位置を中心とした複数の点群画像を生成するレーザースキャン測定器と、前記エリアに配置された基準点ターゲットと、前記複数の点群画像同士を、各点群画像に表れる前記基準点ターゲットの座標を基準として合成することにより前記エリアの合成点群画像を生成する点群画像生成部と、前記合成点群画像と、電気集塵装置のCADモデルとを重ねて描画するCADデータ生成部と、を有する電気集塵装置の設計システムであって、前記エリアにおける前記測定位置は、前記電気集塵装置の設置位置の近傍周囲において、前記エリアの他の領域より多く配置されたことを特徴とする電気集塵装置の設計システム。」 「【0012】 また、点群画像は、パルス状に照射されるレーザー光の照射角と反射光の戻り時間に基づいて生成されるが、測定中は照射角の変化の割合、すなわち角速度は一定であるため、レーザー光を反射する構造物等がレーザースキャン測定器から遠くなるほど、その構造物に対する分解能が低下する。またレーザースキャン測定器から構造物等までの距離が遠くなるほど途中に障害物が介在する確率が高くなり構造物等に対する死角が増えることになる。このためその構造物等のデータに欠損が生じて構造物等を詳細に把握することができず、構造物等と電気集塵装置との干渉の有無を確認することが困難となる。よって上述のように測定位置を、電気集塵装置の設置位置の近傍周囲に多く配置させることにより、電気集塵装置の近傍周囲にある構造物等に対する分解能を向上させるとともに構造物等に対する死角を抑制する。」 ウ 技術常識2の認定 前記ア及びイに摘記した引用文献8、15の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識2」という。) <技術常識2> 「対象物の周囲に設置するスキャン装置の計測範囲を重複させることで、点群密度を確保し、分解能の低下を補うことができること。」 (6) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成A-1の観点 a 構成A-1は、「建築構造物から所定距離以上離れ、かつ測量対象物の周囲に均等配置した複数の測量基準点の各々に設置した3Dスキャナにより、同時に測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データ」を取得することを特定するものである。 b 引用発明における「測定対象物」は、本件補正発明における「測量対象物」に相当する。また、引用発明における「測定対象物」の「具体的な例として」「選択」された「建物」は、本件補正発明における「建築構造物」に相当する。 c 引用発明における「三次元レーザースキャナ131」は、本件補正発明における「3Dスキャナ」に相当する。 d 引用発明の「点群位置データを測定する状況」においては、「まず、測定を行う第1の視点となる第1の設置位置132に三次元レーザースキャナ131を配置して点群位置データの取得を行い、次に第2の視点となる第2の設置位置133に、三次元レーザースキャナ131を設置し、再度の点群位置データの取得を行う」から、引用発明1の「第1の設置位置132」や「第2の設置位置133」は、本件補正発明における「測量基準点」に相当する。 e また、引用発明において、「測定対象物として建物が選択」された場合、「この建物の点群位置データに基づいて、線図のデータを得た場合、当該建物の外観、外壁の模様、窓等の輪郭が線図のデータとして表現され」ることを踏まえると、前記「第1の設置位置132」や「第2の設置位置133」は、建物の内部や建物に密着した位置に設定されていると考えるのは適当ではなく、「建物の外観」を測定できる程度に建物から離れた位置に設置するべきものであり、これらの「設置位置」(測量基準点)は「建物」(建築構造物)から所定距離以上離れていることは明らかである。 したがって、引用発明の「第1の設置位置132」及び「第2の設置位置133」は、本件補正発明の「建築構造物から所定距離以上離れ」た「複数の測量基準点」に相当する。 f そして、引用発明において、「測定を行う第1の視点となる第1の設置位置132に三次元レーザースキャナ131を配置して点群位置データの取得を行い、次に第2の視点となる第2の設置位置133に、三次元レーザースキャナ131を設置し、再度の点群位置データの取得を行う」ことは、本件補正発明において、「3Dスキャナにより」、「測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データ」を取得することに相当する。 g 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成A-1の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)のとおりである。 (a) 構成A-1の観点における一致点 「建築構造物から所定距離以上離れた複数の測量基準点に設置した3Dスキャナにより、測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データ」を取得する点。 (b) 構成A-1の観点における相違点 本件補正発明においては、 「複数の測量基準点」が「測量対象物の周囲に均等配置した」ものであり、 「3Dスキャナ」が当該「測量基準点」の「各々に設置した」もの(すなわち複数台設置)であり、 「測量対象物へ向け[た]」「電磁波」の「照射」が「同時に」行われるものであるのに対して、 引用発明においては、 第1の視点と第2の視点が測量対象物の周囲に均等配置されているか否かは不明であり、 1台の三次元レーザースキャナを移動させて計測するものであるため、複数の測量基準点の各々に3Dスキャナが常時設置されているわけではなく、 測量対象物へ向けた電磁波の照射が同時に行われるものではない点。 (イ) 構成A-2の観点 a 構成A-2は、「単一の測量基準点から照射された電磁波が波紋状に拡散することに起因する、スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために合成する場合に、前記測量対象物の範囲において、全ての測量基準点で前記点群データを取得し得る指標位置である共通の基準位置に基づき合成する、合成部」を有することを特定するものである。 b 引用発明における「座標統合部116」は、「点群位置データ取得装置101を第1の視点の位置に置き、その位置で取得した測定対象物の第1の点群位置データと、点群位置データ取得装置101を第1の視点とは異なる第2の視点の位置に置き、その位置で取得した測定対象物の第2の点群位置データとを扱うための共通の座標系(統合された座標系)を得るための演算を行うものであり」、「両方の座標系で取り扱われている点群位置データを統合された座標系で取り扱うことができるようになる」ものである。 c ここで、引用発明において、「第1の点群位置データ」及び「第2の点群位置データ」はそれぞれ「第1の視点から得た点群位置データの座標系」及び「第2の視点から得た点群位置データの座標系」という別々の座標系において座標値が記述されているところ、「座標統合部116」により「点群位置データを統合」すると、これらの別々の座標系における座標値は、「共通の座標系(統合された座標系)」における座標値に変換されることは明らかである。 d そうすると、引用発明の「共通の座標系(統合された座標系)」の原点は、本件補正発明の「共通の基準位置」に相当する。 e また、引用発明の「座標統合部116」により「第1の点群位置データ」及び「第2の点群位置データ」を「統合」することは、本件補正発明の「前記点群データ」を「共通の基準位置に基づき合成する」ことに相当する。 f したがって、引用発明の「座標統合部116」は、本件補正発明の「前記点群データ」を「共通の基準位置に基づき合成する、合成部」に相当する。 g 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成A-2の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)のとおりである。 (a) 構成A-2の観点における一致点 「点群データを共通の基準位置に基づき合成する、合成部」を有する点 (b) 構成A-2の観点における相違点 本件補正発明においては、 「合成部」が、「単一の測量基準点から照射された電磁波が波紋状に拡散することに起因する、スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために」合成するものであり、 「共通の基準位置」が、「前記測量対象物の範囲において、全ての測量基準点で前記点群データを取得し得る指標位置」であるのに対して、 引用発明においては、 「座標統合部116」は、「手前の測定対象物の影になり点群位置データが得られなかった部分(オクルージョン部分)の点群位置データを取得」するためのものであり、 「共通の座標系(統合された座標系)」の原点は、「測定対象物」の範囲において、全ての「設置位置」で「点群データを取得し得る指標位置」であるかどうか不明である点。 (ウ) 構成Bの観点 a 構成Bは、「前記合成部で合成した点群データに基づくモデリング処理により、前記建築構造物の3Dデータを生成する生成部」を有することを特定するものである。 b 引用発明における「三次元モデル形成部114」は、「点群位置データ取得部111が取得した点群位置データに基づいて、三次元モデルを形成する」ものであるとともに、「座標統合部116は、対応関係特定部113において求められた2つの座標系の間の関係に基づいて、統合された1つの座標系を算出し、座標統合部で2つの視点からの座標を統合した統合座標が算出された場合、この統合座標上で…三次元モデルの形成を行う」ものであり、すなわち、統合された点群位置データから三次元モデルを形成するものであるから、本件補正発明における「合成した点群データに基づくモデリング処理により、…3Dデータを生成する生成部」に相当する。 c また、構成A-1の検討で述べたとおり、引用発明の測定対象物は「建物等」である。 d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Bの観点における一致点は以下のとおりである。 「前記合成部で合成した点群データに基づくモデリング処理により、前記建築構造物の3Dデータを生成する生成部」を有する点。 (エ) 構成Cの観点 a 構成Cは、「前記生成部で生成した3Dデータに基づいて、前記建築構造物を構成する既存部材に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部」を有することを特定するものである。 b 引用発明には、生成した三次元モデルに基づいて、何らかの「施工基準点を設定する」機能や構成については、開示も示唆もされていない。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Cの観点における一致点はなく、相違点は以下のとおりである。 本件補正発明は、「生成した3Dデータに基づいて、前記建築構造物を構成する既存部材に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部」を有するのに対して、 引用発明は、そのような設定部を有しない点。 (オ) 構成Xの観点 a 構成Xは、「建築構造物の測量システム」の発明であることを特定するものである。 b 引用発明は、「点群位置データ処理システム」であるところ、その測定対象物は「建物」であり、建物の点群位置データを取得して三次元形状を生成するものである以上、本件補正発明における「建築構造物の測量システム」に相当する。 c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Xの観点における一致点は、以下のとおりである。 「建築構造物の測量システム」の発明である点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す点において一致し、(イ)に示す点において相違する。 (ア) 一致点 「建築構造物から所定距離以上離れた複数の測量基準点に設置した3Dスキャナにより、測量対象物へ向けて電磁波を照射して計測した前記建築構造物の点群データを取得し、共通の基準位置に基づき合成する、合成部と、 前記合成部で合成した点群データに基づくモデリング処理により、前記建築構造物の3Dデータを生成する生成部と、 を有する建築構造物の測量システム。」である点。 (イ) 相違点 [相違点1] 本件補正発明においては、 複数の測量基準点が「測量対象物の周囲に均等配置した」ものであり、 3Dスキャナが当該測量基準点の「各々に設置した」もの(すなわち複数台設置)であり、 3Dスキャナから測量対象物へ向けた電磁波の照射が「同時に」行われるものであり、 「合成部」が「単一の測量基準点から照射された電磁波が波紋状に拡散することに起因する、スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために合成する場合に、前記測量対象物の範囲において、全ての測量基準点で前記点群データを取得し得る指標位置である共通の基準位置に基づき合成する」のに対して、 引用発明においては、 「第1の視点」と「第2の視点」が測定対象物の周囲に均等配置されているか否かは不明であり、 1台の「三次元レーザースキャナ131」を移動させて計測するものであるため、「第1の設置位置132」や「第2の設置位置133」(複数の測量基準点)の各々に3Dスキャナが常時設置されているわけではなく、 「三次元レーザースキャナ131」から測定対象物へ向けたレーザーの照射が同時に行われるものではなく、 「合成部」が本件補正発明の構成A-2のような合成を行うものではない点。 [相違点2] 本件補正発明は、「前記生成部で生成した3Dデータに基づいて、前記建築構造物を構成する既存部材に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部」を有するのに対して、 引用発明は、そのような設定部を有しない点。 (7) 判断 前記相違点について検討する。 ア 相違点1の検討 (ア) 3Dスキャナの設置態様と照射タイミングについて a 引用発明は、「測定対象物として建物が選択」されることを想定し、「まず、測定を行う第1の視点となる第1の設置位置132に三次元レーザースキャナ131を配置して点群位置データの取得を行い、次に第2の視点となる第2の設置位置133に、三次元レーザースキャナ131を設置し、再度の点群位置データの取得を行う」ことにより、「手前の測定対象物の影になり点群位置データが得られなかった部分(オクルージョン部分)の点群位置データを取得」して、「第1の視点ではオクルージョンとなっているが第2の視点ではオクルージョンとなっていない部分、および第1の視点ではオクルージョンとなっていないが第2の視点ではオクルージョンとなっている部分が互い補完され、よりオクルージョンが減った三次元モデルが得られる」ようにしたものである。 b ここで、「対象物の形状に応じて対象物の周囲の複数箇所に計測範囲の一部を重複させつつレーザスキャナを均等設置し、得られた複数の点群データを合成することで、死角を回避して対象物の3次元形状データを取得可能であること」は、当業者にとって技術常識(前記技術常識1)である。 c 引用発明においても、「よりオクルージョンが減った三次元モデル」を得る際に、計測に必要な時間の短縮化等の自明な課題意識に基づいて、前記技術常識1を念頭に、対象物の周囲の複数箇所に3Dスキャナを均等配置して計測を行うようにすることは、当業者が適宜なし得た設計変更にすぎないというべきである。 d 加えて、複数の3Dスキャナから「同時に」点群データを取得することも、計測の効率化や時間軸のズレの抑制等の観点から当業者が適宜選択し得た設計事項にすぎない。 e この点に関し、本願明細書の記載及び技術常識に照らしても、3Dスキャナを均等配置し、かつ同時にデータを取得することにより得られる効果について、本願明細書から読み取れるものはなく、むしろ、スキャナの配置について「角度を均等に配置する必要はない」(段落【0039】)、計測のタイミングについて「スキャンデータは同時で取得する必要はないので、1台の3Dスキャナ28を順次、測量基準点30に順次移動し、各測量基準点30に位置決めしてスキャンするようにしてもよい」(段落【0040】)と記載されていることを踏まえると、3Dスキャナの設置態様と照射タイミングについて、前記相違点1に係る本件補正発明のごとく構成することに格別の技術上の意義があるとは認められない。 (イ) 「合成部」が行う合成の内容について a 引用発明において、「点群位置データ取得装置101は、レーザースキャナであり、測定対象物にレーザ光を照射し、その反射光を検出することで点群位置データを取得するもの」であるから、「第1の設置位置132」や「第2の設置位置133」(「測量基準点」に相当)のそれぞれから照射された「レーザ光」(電磁波)が波紋状に拡散することは自明である。 b ここで、「対象物の周囲に設置するスキャン装置の計測範囲を重複させることで、点群密度を確保し、分解能の低下を補うことができること」も、当業者にとって技術常識(前記技術常識2)である。 c 前記(ア)において説示したとおり、引用発明において前記技術常識1を念頭に複数の3Dスキャナを配置した場合には、3Dスキャナの計測範囲が重複するような配置とすることは当業者が当然配慮すべき事項であるところ、前記技術常識2を踏まえると、かかる重複により点群密度が確保され、分解能の低下を補うことができるのであるから、単一の測量基準点から照射された場合に比して点群密度のピッチの粗さが補間されることになる。 d したがって、前記相違点1に係る本件補正発明における「単一の測量基準点から照射された電磁波が波紋状に拡散することに起因する、スキャン時の走査線の点群密度のピッチの粗さを補間するために合成する」という構成については、引用発明において複数の3Dスキャナの配置構成を採用した場合に通常達成される程度のものである。 e そして、引用発明の「座標統合部116」により「第1の点群位置データ」及び「第2の点群位置データ」を「統合」するに際し、「共通の座標系(統合された座標系)」の原点(「共通の基準位置」に相当)を「第1の設置位置132」及び「第2の設置位置133」(「測量基準点」に相当)の「全て」で「点群位置データ」を取得し得る指標位置となるように設定し、これに基づき「統合」(合成)することは、データの整合性を取るために当業者が適宜なし得た設計事項である。 (ウ) 相違点1の検討のまとめ 前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、引用発明において相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2の検討 (ア) 前記ア(ア)aにおいて述べたとおり、引用発明は、建物等の測定対象物の点群位置データを取得して三次元モデルを生成するものである。 (イ) ここで、「建築構造物の既存部材に対して増設部材を取り付ける作業を行う際、3Dスキャナ等の計測手段を用いて取得した測定対象物の3次元データに基づいて、取り付けのための基準点をレーザ光等により対象物に提示すること」は、当業者にとって周知の技術事項(前記周知技術1)である。 (ウ) 引用発明においては、「建物」の「輪郭」を「表現」するために「三次元モデルの形成」を行うものであるところ、「建物」には、既存部材に対して新たに部材を取り付けて増設することが通常想定されるから、かかる取り付け作業を行うに先立った「建物」の既存部材の形状特定にも適用可能なものである。 (エ) そうすると、引用発明において、生成された三次元モデルを利用し、前記周知技術1に基づいて、本件補正発明のごとく「建築構造物を構成する既存部材に対して作業をするときの施工基準点を設定する設定部」をさらに設けることは、当業者が容易になし得たことである。 (オ) したがって、引用発明において相違点2に係る本件補正発明の構成を備えることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1~2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張内容 請求人は、審判請求書において、概ね以下のように主張する。 a 引用文献1~11には、構成A-1及び構成A-2に対応する構成についての記載や示唆はない。 b 複数の3Dスキャナを均等配置することは、点群データを合成する際の計算処理を簡略化できる点で優れている。 c 大型空間構造物(アーチトラス構造物等)の場合、風や振動等により時間軸に起因する位置変動が起こり得ることは周知であり、これを考慮して複数の測量基準点から同時に電磁波を照射して点群データを得ることは、事前に想定して対処する上で有用である。 d したがって、本件補正発明は引用文献から容易に想到し得るものではない。 (イ) 請求人の主張についての検討 請求人の主張は、要するに、前記相違点1に係る本件補正発明の構成は、いずれの引用文献にも開示されていないというものであるが、相違点1についての当合議体の判断は、前記アにおいて説示したとおりである。 また、点群データを合成する際の計算処理の簡略化、風や振動等により時間軸に起因する位置変動に対処できるという効果に関する主張は、本願明細書の記載に基づかないものであるし、これらの効果はいずれも当業者が予測し得ない顕著な効果であるとはいえない。 以上のことから、請求人の主張は採用できない。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、周知技術1、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(7)オのとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 令和5年7月31日付けで通知された拒絶理由の概要 原査定は、令和5年11月28日付けで通知された拒絶理由(最後の拒絶理由)に基づいてなされたものであるところ、審査の過程において、令和5年7月31日付けで通知された拒絶理由(最初の拒絶理由)があり、その概要は次のとおりである。 ここで、審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においてもその効力を有するから(特許法158条)、上記最初の拒絶理由に対して、請求人には意見を述べる機会が既に与えられたといえる。 理由1(進歩性の欠如) 本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.国際公開第2012/020696号(主たる引用文献) 引用文献2.特開2019-15096号公報(周知技術を示す文献) 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及びウにおいて示したとおりである。 また、周知技術1は、前記第2の3(3)ウにおいて認定したとおりであり、技術常識1及び2は、前記第2の3(4)エ及び(5)ウにおいて認定したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から、(1)3Dスキャナの配置を「測量対象物の周囲に均等配置した」ものとする限定を省き、(2)計測のタイミングを「同時に」行うものとする限定を省き、(3)設定部が設定する施工基準点を、「前記生成部で生成した3Dデータに基づいて、前記建築構造物を構成する既存部材に対して作業をするときの施工基準点」から「前記生成部で生成した3Dデータ、及び前記建築構造物を構成する既存部材の位置の実測に基づいて、当該既存部材に対して作業をするときの施工基準点」に変更したものである。 本件補正発明は、前記第2の3(7)において説示したとおり、引用発明、周知技術1、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることに照らすと、本願発明も、同様の理由により引用発明、周知技術1、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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