2024-003276
回路基板の製造方法
- 審判番号
- 2024-003276
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-165553外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年02月26日
- 審決日
- 2024年11月05日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】イソラ・ユーエスエイ・コーポレイション
- 【請求人代理人】松谷 道子
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】大釜 典子
- 分類
- P18 .121-WY (H05K) / P18 .57 -WY (H05K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第5項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 6項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)5月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年5月18日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願の一部を令和3年10月7日に新たな特許出願としたものであって、令和5年1月10日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年10月19日付けで拒絶査定がされたものである。これを不服として、令和6年2月26日に本件審判の請求がされ、同時に手続補正がされた。
第2 令和6年2月26日の手続補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年2月26日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
令和6年2月26日の手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和5年7月18日に補正された特許請求の範囲の請求項1~20の記載を、補正後の請求項1~19の記載に補正するものであり、補正前後の請求項の記載は、それぞれ次のとおりである。(下線部は、補正箇所である。)
[補正前の請求項]
【請求項1】
(i)第1の平面および第2の平面を有する平面誘電材料層と、第1の平面および第2の平面を有する第1の銅箔シートと、を含む平面状シートを準備する工程であって、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面は、前記平面誘電材料層の前記第1の平面と接しており、前記第1の銅箔シートの第1の平面および第2の平面のそれぞれは、接着強化層を含み、該接着強化層は、表面の粗さを低減させる接着強化方法によって形成される、平面状シートを準備する工程と、
(ii)回路パターンを含む内層シートを形成するために、所定の場所に回路パターンの銅を残したまま前記第1の銅箔シートの不要な部分を除去して、前記第1の銅箔シートに回路パターンを形成する工程であって、接着強化層は、前記回路パターンが形成された後には前記回路パターンに形成されない、回路パターンを形成する工程と、
を含む、プリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
誘電材料層が前記回路パターンの第2の平面に接着するように、前記誘電材料層が前記内層シートに積層される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接着強化法を用いて、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面に接着強化層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の接着強化法を用いて、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面に前記接着強化層を形成し、第2の接着強化法を用いて、前記第1の銅箔シートの第2の平面に前記接着強化層を形成し、前記第1の接着強化法と前記第2の接着強化法とは異なる接着強化法である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接着強化層は、約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面の表面粗さは、約1.5ミクロン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の銅箔シートの前記第2の平面の表面粗さは、約2.5ミクロン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記回路パターンは、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面に対応する底壁と、前記第1の銅箔シートの前記第2の平面に対応する天壁と、側壁と、を含み、
前記側壁は、接着強化層を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記内層シートは、複数の伝送線路を有する回路パターンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記平面状シートは、第1の平面と第2の平面とを有する第2の銅箔シートを含み、前記第2の銅箔シートの第1の平面は、前記平面誘電材料層の第2の平面と接し、前記第2の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面のそれぞれは、接着強化層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
回路パターンが前記第2の銅箔シートに形成され、接着強化層は、前記第2の銅箔シートの前記回路パターンが形成された後には前記第2の銅箔シートの前記回路パターンに形成されない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
レイアップが、少なくとも1つの内層シートをプリプレグ上に積み重ねることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面の粗さは同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および第2の平面の粗さは、約0.1~約6.0ミクロンの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の銅箔シートおよび前記第2の銅箔シートはそれぞれ、1オンスの銅箔、1/2オンスの銅箔および1/4オンスの銅箔から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の銅箔シートは、10~400ミクロンの厚さを有する銅箔シートである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の銅箔シートの少なくとも1つの前記接着強化層がコーティングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記回路パターンは、約25~約250ミクロンの幅を有する複数の伝送線路を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面に同時に前記接着強化層を付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記平面状シートは、樹脂被覆銅、銅被覆プリプレグまたはCステージ積層板から選択される、請求項1に記載の方法。
[補正後の請求項]
【請求項1】
(i)第1の平面および第2の平面を有する平面誘電材料層と、第1の平面および第2の平面を有する第1の銅箔シートと、を含む平面状シートを準備する工程であって、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面は、前記平面誘電材料層の前記第1の平面と接しており、前記第1の銅箔シートの第1の平面および第2の平面のそれぞれは、接着強化層を含み、該接着強化層は、約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さを有する、
平面状シートを準備する工程と、
(ii)回路パターンを含む内層シートを形成するために、所定の場所に回路パターンの銅を残したまま前記第1の銅箔シートの不要な部分を除去して、前記第1の銅箔シートに回路パターンを形成する工程であって、接着強化層は、前記回路パターンが形成された後には前記回路パターンに形成されない、回路パターンを形成する工程と、
を含む、プリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
誘電材料層が前記回路パターンの第2の平面に接着するように、前記誘電材料層が前記内層シートに積層される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接着強化法を用いて、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面に接着強化層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の接着強化法を用いて、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面に前記接着強化層を形成し、第2の接着強化法を用いて、前記第1の銅箔シートの第2の平面に前記接着強化層を形成し、前記第1の接着強化法と前記第2の接着強化法とは異なる接着強化法である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面の表面粗さは、約1.5ミクロン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の銅箔シートの前記第2の平面の表面粗さは、約2.5ミクロン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記回路パターンは、前記第1の銅箔シートの前記第1の平面に対応する底壁と、前記第1の銅箔シートの前記第2の平面に対応する天壁と、側壁と、を含み、
前記側壁は、接着強化層を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記内層シートは、複数の伝送線路を有する回路パターンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記平面状シートは、第1の平面と第2の平面とを有する第2の銅箔シートを含み、前記第2の銅箔シートの第1の平面は、前記平面誘電材料層の第2の平面と接し、前記第2の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面のそれぞれは、接着強化層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
回路パターンが前記第2の銅箔シートに形成され、接着強化層は、前記第2の銅箔シートの前記回路パターンが形成された後には前記第2の銅箔シートの前記回路パターンに形成されない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
レイアップが、少なくとも1つの内層シートをプリプレグ上に積み重ねることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面の粗さは同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および第2の平面の粗さは、約0.1~約6.0ミクロンの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の銅箔シートおよび前記第2の銅箔シートはそれぞれ、1オンスの銅箔、1/2オンスの銅箔および1/4オンスの銅箔から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の銅箔シートは、10~400ミクロンの厚さを有する銅箔シートである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の銅箔シートの少なくとも1つの前記接着強化層がコーティングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記回路パターンは、約25~約250ミクロンの幅を有する複数の伝送線路を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の銅箔シートの前記第1の平面および前記第2の平面に同時に前記接着強化層を付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記平面状シートは、樹脂被覆銅、銅被覆プリプレグまたはCステージ積層板から選択される、請求項1に記載の方法。
2 補正の目的について
本件補正の請求項1に係る補正は、補正前の請求項1の「前記第1の銅箔シートの第1の平面および第2の平面のそれぞれは、接着強化層を含み、該接着強化層は、表面の粗さを低減させる接着強化方法によって形成される」の「該接着強化層は、表面の粗さを低減させる接着強化方法によって形成される」との記載を、「該接着強化層は、約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さを有する」との記載に変更するものである。
(1)本件補正の請求項1に係る上記補正が、特許請求の範囲の減縮に該当するか、具体的には、補正後の「該接着強化層は、約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さを有する」が、補正前の「該接着強化層は、表面の粗さを低減させる接着強化方法によって形成される」を減縮したものか検討する。
補正後の接着強化層の上記「約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さ」について、請求項1には、接着強化する前の銅箔シートの表面粗さ(Rz粗さ)は特定されていない。そして、技術常識を踏まえると、接着強化前の一般的な銅箔シートは、必ず「約5.0ミクロンのRz粗さ」より大きい表面粗さを有するものではないから(なお、発明の詳細な説明には、「一般に、処理前の銅箔は、約0.4~約6.0μm、好ましくは約2.5μm以下の表面粗さ(Rz)を有する。」(【0016】)との記載もある。)、上記「約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さ」との記載は、銅箔シートの表面粗さを低減させる方法によって得られることを意味するものとはいえない。
また、「接着強化層」について、発明の詳細な説明には、「さらに、接着強化方法は、通常、接着強化前の表面粗さと比較して、接着強化銅箔表面の粗さを減少させる。」(【0017】)との記載がある一方で、「本明細書で用いられている「接着強化層」という用語は、改善された剥離強度によって証明されるように、隣接する誘電材料層に接着する銅箔シートの能力を改善するために、および/または、銅箔表面へのフォトレジスト材料の接着を改善するために、何らかの方法で改質された銅箔シートの表面を指す。」(【0018】)、「接着強化層は、誘電材料層に対するその接着性を改善するために、銅箔シートの表面を処理するかまたは改質するための当技術分野において周知の任意の方法によって形成されてもよい。方法としては、銅箔表面にシランまたは他の材料を塗布すること、銅箔表面の酸化物処理(oxide treatment)、化学洗浄などの化学的方法を含む。方法としては、マイクロエッチ処理(micro-etch treatments)、軽石処理(pumice treatment)などの機械的方法も含む。」(【0019】)とも記載され、接着強化層を形成する方法には、銅箔表面の粗さを増加させる方法も含み得ると解される。そのため、「接着強化層」との記載は、銅箔シートの表面粗さを低減させる方法によって形成されたことを意味するとはいえない。
以上によれば、補正後の「該接着強化層は、約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さを有する」との事項は、銅箔シートの表面粗さを低減させる方法以外の方法によって形成される接着強化層も含み得ると解されるから、補正前の「該接着強化層は、表面の粗さを低減させる接着強化方法によって形成される」との事項を減縮したものには当たらない。
よって、本件補正の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮には該当しない。
(2)補正後の請求項1の「該接着強化層は、約0.25~約5.0ミクロンのRz粗さを有する」との事項は、補正前の請求項5に記載されたものである。補正前の請求項5は、請求項1の記載を引用しているから、補正前の請求項5に係る発明は、「該接着強化層は、表面の粗さを低減させる接着強化方法によって形成される」ものであるところ、前記(1)のとおり、補正後の請求項1に係る発明は、銅箔シートの表面粗さを低減させる方法によって形成されたもの以外のものを含むから、補正後の請求項1は、補正前の請求項1を削除して、補正前の請求項5を新たな請求項1としたものではない。
よって、本件補正の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除には該当しない。
(3)本件補正の請求項1に係る補正が、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正、第4号に掲げる明瞭でない記載の釈明に該当しないことも明らかである。
(4)したがって、本件補正の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。
3 まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
令和6年2月26日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項1~20に係る発明は、令和5年7月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項(前記第2、1[補正前の請求項])により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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