特許拒絶査定不服審判
2024-010588
排水処理方法
- 審判番号
- 2024-010588
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-185013
- 請求日
- 2024年06月26日
- 審決日
- 2026年01月06日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日鉄エンジニアリング株式会社
- 【請求人代理人】松沼 泰史
- 【請求人代理人】大浪 一徳
- 【請求人代理人】勝俣 智夫
- 【請求人代理人】山口 洋
- 【請求人代理人】堀田 耕一郎
- 【請求人代理人】山口 健吾
- 【請求人代理人】飯田 恭宏
- 【請求人代理人】井口 翔太
- 審判長/審判官
- 審判長 原 賢一
- 審判官 金 公彦
- 審判官 市川 篤
- 分類
- P18 .55 -WYF(C02F) / P18 .572-WYF(C02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第5項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-185013「排水処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月15日出願公開、特開2021- 58853、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年10月8日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 5年 3月 8日付け:拒絶理由通知
同年 7月13日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月11日付け:拒絶理由通知(最後)
令和 6年 1月24日 :意見書、手続補正書の提出
同年 3月22日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
同年 6月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年11月 5日 :上申書の提出
第2 令和6年6月26日に提出された手続補正書による補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和6年6月26日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について補正するものを含む補正であって、特許請求の範囲についての補正は、本件補正前の特許請求の範囲の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の記載に補正するものである。
(1) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、令和6年1月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水を、可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子と1,4-ジオキサン分解菌を含む活性汚泥を用いて生物処理する排水処理方法であって、前記生物処理において、水理学的滞留時間を4日以上とし、
前記可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子を4.2×106(copies/mL)以上含有する活性汚泥となるように生物処理し、
前記生物処理において、前記活性汚泥に含まれる1,4-ジオキサン分解菌として、全菌数に占める1,4-ジオキサン分解菌の構成としてポリメラーゼ連鎖反応増幅産物の塩基配列のGreengenesデータベースによるシークエンス解析とSilva Living Treeデータベースによるシークエンス解析から、MycrobacteriumとPseudonocardiaを少なくとも含む1,4-ジオキサン分解菌を用いることを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
種汚泥と前記難分解性有機物排水の混合液における前記種汚泥の濃度を8000mg/L以上とすることを特徴とする請求項1に記載の排水処理方法。
【請求項3】
前記水理学的滞留時間を8日以上とすることにより、前記可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子を6.0×107(copies/mL)以上含有する活性汚泥となるように生物処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水処理方法。
【請求項4】
前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水と前記活性汚泥の混合液中において、前記可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子または前記1,4-ジオキサン分解菌を増やすことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の排水処理方法。
【請求項5】
前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水を生物処理する温度は、30℃以上35℃以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の排水処理方法。
【請求項6】
前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水と前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水の生物処理によって生成した処理水を分離することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の排水処理方法。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲
本件補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりのものである(当審注:下線は補正箇所であり、当審が付与した。)。
「【請求項1】
1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水を、可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子と1,4-ジオキサン分解菌を含む活性汚泥を用いて生物処理する排水処理方法であって、前記生物処理において、水理学的滞留時間を4日以上、または、汚泥滞留時間を60日以上とし、
前記可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子を4.2×106(copies/mL)以上含有する活性汚泥となるように生物処理し、
前記生物処理において、前記活性汚泥に含まれる1,4-ジオキサン分解菌として、全菌数に占める1,4-ジオキサン分解菌の構成としてポリメラーゼ連鎖反応増幅産物の塩基配列のGreengenesデータベースによるシークエンス解析とSilva Living Treeデータベースによるシークエンス解析から、MycrobacteriumとPseudonocardiaを少なくとも含む1,4-ジオキサン分解菌を用いることを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
種汚泥と前記難分解性有機物排水の混合液における前記種汚泥の濃度を8000mg/L以上とすることを特徴とする請求項1に記載の排水処理方法。
【請求項3】
前記水理学的滞留時間を8日以上とすることにより、前記可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子を6.0×107(copies/mL)以上含有する活性汚泥となるように生物処理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水処理方法。
【請求項4】
前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水と前記活性汚泥の混合液中において、前記可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子または前記1,4-ジオキサン分解菌を増やすことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の排水処理方法。
【請求項5】
前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水を生物処理する温度は、30℃以上35℃以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の排水処理方法。
【請求項6】
前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水と前記1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水の生物処理によって生成した処理水を分離することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の排水処理方法。」
2 本件補正の適否
(1) 補正事項
本件補正による特許請求の範囲の補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の「1,4-ジオキサンを含む難分解性有機物排水を、可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ遺伝子と1,4-ジオキサン分解菌を含む活性汚泥を用いて生物処理する排水処理方法」の「前記生物処理」が、「水理学的滞留時間を4日以上」とするものであったのを、「水理学的滞留時間を4日以上、または、汚泥滞留時間を60日以上」とするものに補正するものである。
(2) 補正の目的について
本件補正は、請求項を削除するものではないから、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものには該当しない。
また、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る「排水処理方法」の「生物処理」の日数に関する発明特定事項が、「水理学的滞留時間を4日以上」とするもののみであったのを、「水理学的滞留時間を4日以上、または、汚泥滞留時間を60日以上」として、「水理学的滞留時間を4日以上」とするもののほかに、新たに「汚泥滞留時間を60日以上」とするものを選択し得るようにしたものであるから、「排水処理方法」の「生物処理」の日数に関する発明特定事項の選択肢を追加するものといえるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当しない。
更に、本件補正前の請求項1の記載が誤記を含むものとはいえないから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものにも該当しないし、本件補正前の請求項1の記載が不明確であるともいえないので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
(3) 請求人の主張について
ア 請求人の、令和6年6月26日に提出した審判請求書における本件補正による特許請求の範囲の補正に関する主張は、概略、以下のとおりである。
本件補正による特許請求の範囲の補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、図面に記載した事項の範囲内のものであるから、適法なものである(【本願発明が特許されるべき理由】2.(1))。
イ 以下、前記アの主張について検討すると、請求人は、前記審判請求書において、本件補正による特許請求の範囲の補正が、特許法第17条の2第5項に掲げる事項を目的とするものであることを何ら主張していない。
そして、本件補正は、請求項1に係る「排水処理方法」の「生物処理」の日数に関する発明特定事項の選択肢を追加するものといえるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しないことは、前記(2)に記載したとおりである。
してみれば、本件補正が適法なものとはいえないので、前記アの主張は採用できない。
(4) 小括
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものである。
3 補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願の特許請求の範囲に係る発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲に係る発明は、令和6年1月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(1)に記載したとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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