特許拒絶査定不服審判
2024-001934
タグコンテンツおよびソーシャルネットワークコンテンツに基くクラウドで実行されたミニゲームをランク付けするシステムおよび方法
- 審判番号
- 2024-001934
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-055184
- 請求日
- 2024年02月02日
- 審決日
- 2024年09月24日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ソニー・インタラクティブエンタテインメント エルエルシー
- 【請求人代理人】鈴木 正剛
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 渋谷 知子
- 分類
- P18 .575-Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第44条、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 55184「タグコンテンツおよびソーシャルネットワークコンテンツに基くクラウドで実行されたミニゲームをランク付けするシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月28日出願公開、特開2022- 95765〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願分割の経緯の概略
本願は、令和4年3月30日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、平成25年12月24日(パリ条約による優先権主張、外国庁受理2012年12月26日、2013年2月27日、米国)に出願した特願2013-264924号を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の現実の出願日を示す。また、以下、2012年12月26日を「優先日」という。
最先の出願 :特願2013-264924号(平成25年12月24日)
第1世代分割:特願2019-110116号(令和 元年 6月13日)
第2世代分割:特願2020- 39588号(令和 2年 3月 9日)
本願 :特願2022- 55184号(令和 4年 3月30日)
2 本願の手続の経緯の概略
本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 4月 6日 :上申書、手続補正書の提出
令和5年 4月11日付け:拒絶理由通知書
同年 7月18日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年10月 3日 :原査定の謄本の送達)
令和6年 2月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年2月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年2月2日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年2月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年7月18日にされた手続補正後をいう。)の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「【請求項1】
ゲームクラウドシステムを用いて実行される方法であって、
ウェブサイト上で、ゲームクラウドシステムを通じて格納された複数の実行可能なミニゲームを提供し、
前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれがゲームの部分に基づいて作成され、
前記ゲームのプレイがなされたときに前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれが作成されて状態データがキャプチャされて前記実行可能なミニゲームのそれぞれに関連付けられ、
前記実行可能なミニゲームは、前記ウェブサイトにアクセスしている一人以上のユーザによりプレイ可能なものであり、
前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれは、前記ゲームのそれぞれの部分から定義され、
前記部分は、前記ゲームのプレイおよび行われたゲームアクションに関する前記状態データの少なくとも一部によって識別され、前記部分は、前記ゲームのプレイよりも短く、かつ、前記ゲームの開始ポイントと終了ポイントとを有し、
前記状態データは、前記実行可能なミニゲームの実行可能なプレイを可能とするために用いられ、
前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれはウェブサイトを介して共有されてかつ前記ゲームクラウドで実行されるものである、方法。」
(2) 本件補正後の請求項1
「【請求項1】
A ゲームクラウドシステムを用いて実行される方法であって、
B ウェブサイト上で、ゲームクラウドシステムを通じて格納された複数の実行可能なミニゲームを提供し、
C 前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれがゲームの部分に基づいて作成され、かつ、前記ゲームとは別個に格納されており、
D 前記ゲームのプレイがなされたときに前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれが作成されて状態データがキャプチャされて前記実行可能なミニゲームのそれぞれに関連付けられ、
E 前記実行可能なミニゲームは、前記ウェブサイトにアクセスしている一人以上のユーザによりプレイ可能なものであり、
F 前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれは、前記ゲームのそれぞれの部分から定義され、
G 前記部分は、前記ゲームのプレイおよび行われたゲームアクションに関する前記状態データの少なくとも一部によって識別され、前記部分は、前記ゲームのプレイよりも短く、かつ、前記ゲームの開始ポイントと終了ポイントとを有し、
H 前記状態データは、前記実行可能なミニゲームの実行可能なプレイを可能とするために用いられ、
I 前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれはウェブサイトを介して共有されてかつ前記ゲームクラウドで実行されるものである、方法。」
(なお、符号A等は、分説のために当審合議体が付した。以下、符号A等を付した事項を「構成A」等という。)
2 補正の目的
本件補正は、
本件補正前の「複数の実行可能なミニゲームのそれぞれ」が、「前記ゲームとは別個に格納されて[いる]」ことを限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
(2) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、優先日前に発行された文献である特開2012-65831号公報(2012年4月5日公開、以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審において付与したものである。
(ア) 【0001】
「【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、プログラム及び情報記憶媒体に関する。」
(イ) 【0021】~【0028】、【図1】
「【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンピュータネットワークの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、インターネットなどのコンピュータネットワーク16には、いずれもコンピュータを中心に構成されたクラウドサービス10、動画像管理システム12、クライアント14(14-1~14-n)、が接続されている。そして、クラウドサービス10、動画像管理システム12、クライアント14は、互いに通信可能になっている。
【0022】
クライアント14は、クラウドサービス10や動画像管理システム12のユーザが利用するコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ、ゲームコンソール、テレビ受像器、携帯型ゲーム装置、携帯情報端末、などである。そして、クライアント14は、例えば、CPU等の制御装置、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブ等の記憶装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、ゲームコントローラ、タッチパッド、マウス、キーボード、マイク等の入力装置、ネットワークボード等の通信装置、DVD-ROMやBlu-ray(登録商標)ディスクなどの光ディスク(コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体)を読み取る光ディスクドライブ、等を備えている。
【0023】
また、本実施形態に係るクライアント14は、ウェブブラウザ及びクラウドサービス10用のプラグインプログラムが予めインストールされており、これらのアプリケーションプログラムが実行される。クライアント14は、ウェブブラウザを通じてクラウドサービス10や動画像管理システム12が提供する各種サービスを受ける。クラウドサービス用プラグインプログラムの詳細については後述する。
【0024】
動画像管理システム12は、例えば、クライアント14やクラウドサービス10から受け付ける動画像を登録したり、クライアント14からの要求に応じてクライアント14に動画像の配信を行ったりするコンピュータシステムである。
【0025】
クラウドサービス10は、例えば、本発明の一実施形態に係る情報処理システムとして機能する分散コンピューティング環境であり、互いに通信可能に接続されている複数台のWebアプリケーションサーバ、複数台のデータベースサーバ、複数台のストレージデバイス、などを含んで構成されている。クラウドサービス10に含まれるサーバは、例えば、CPU等の制御部、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである記憶部、ネットワークボードなどの通信インタフェースである通信部、を含んで構成されている。これらの要素は、バスを介して接続される。
【0026】
クラウドサービス10を利用するクライアント14は、クラウドサービス10内に存在するサーバやストレージデバイスなどのリソースの所在を特に意識することなく、クラウドサービス10が提供する各種サービスを利用することができる。
【0027】
本実施形態では、クライアント14が、ウェブブラウザを通じてクラウドサービス10にアクセスし、ユーザID及びパスワードを入力してから、その後に所定のURLにアクセスすると、クライアント14のディスプレイに所定のURLに対応する画面が表示される。なお、ユーザID及びパスワードを入力した後は、クラウドサービス10は、例えば、クッキーを参照することによりクライアント14を利用するユーザのユーザIDを特定することができるようになっている。
【0028】
本実施形態では、例えば、あるユーザ(ユーザA)がクライアント14からシューティングゲームの開始要求をクラウドサービス10に送信すると、クラウドサービス10はそのゲームの実行を開始する。そして、このゲームが実行されている間、クラウドサービス10は、このゲームのプレイ内容を表すフレーム画像を、順次、ユーザAのクライアント14にストリーミング配信する。そして、ユーザAのクライアント14のディスプレイにはブラウザを介してこのフレーム画像が順次表示される。以下、このようにして順次ストリーミング配信されるフレーム画像群から構成される動画像を実況動画像と呼ぶこととする。ユーザAは、実況動画像を見ながら、ゲームコントローラのボタンを押下するなどしてゲームを楽しむことができる。」
「【図1】
[図:0001420059000001.jpg]
」
(ウ) 【0029】、【0030】、【図2】
「【0029】
図2に、ユーザAのクライアント14のディスプレイに表示されるゲーム画面20の一例を示す。ゲーム画面20には、上述の実況動画像が表示される。本実施形態では、ゲーム画面20に、シューティングゲームにおいてプレイヤが操作する戦闘機等を表すプレイヤオブジェクト22、プレイヤオブジェクト22から発射される弾丸を表す弾丸オブジェクト24、プレイヤオブジェクト22が倒すべき敵を表す敵オブジェクト26が含まれている。ユーザAは、ゲームコントローラのボタンを押下するなどの、キー入力を行うことにより、シューティングゲームにおけるプレイヤオブジェクト22の移動や弾丸オブジェクト24の発射等の操作を行うことができる。ユーザAは、迫り来る敵オブジェクト26をかわしながら、敵オブジェクト26に向けて弾丸オブジェクト24を発射して、敵オブジェクト26を倒していく。
【0030】
本実施形態では、上述のシューティングゲームは、ゲームの進行段階に対応する複数のゲームステージから構成されている。そして、ユーザAがゲームステージをクリアする、あるいは、ゲームオーバーとなる、などのイベントが発生した際に、クラウドサービス10は、そのゲームステージの開始時点からイベント発生時点までのゲームのプレイ内容を表す動画像(以下、この動画像をリプレイ動画像と呼ぶこととする。)を動画像管理システム12に登録する。このようにして、本実施形態では、既にユーザAによりプレイされたシューティングゲームのプレイ内容を表すリプレイ動画像が動画像管理システム12に登録される。そして、別のユーザ(ユーザB)がクライアント14から動画像管理システム12にこのリプレイ動画像の再生要求を送信すると、動画像管理システム12は、このリプレイ動画像をユーザBのクライアント14にストリーミング配信する。」
「【図2】
[図:0001420059000002.jpg]
」
(エ) 【0031】、【図3】
「【0031】
図3に、ユーザBのクライアント14のディスプレイに表示されるリプレイ動画像表示画面28の一例を示す。リプレイ動画像表示画面28には、上述のリプレイ動画像が表示される。また、リプレイ動画像表示画面28には、リプレイ動画像の再生位置に応じた状況への復帰(リプレイ動画像の再生位置に応じた状況からのゲームの実行)を要求するための復帰リンク30が含まれている。また、リプレイ動画像表示画面28には、動画像の再生を制御するための各種ボタン及び動画像が再生されるに従って左から右へ移動するノブ32が配置されている。リプレイ動画像の再生中にユーザBが復帰リンク30をクリックすると、クライアント14は、この再生位置に応じた状況からのゲームの実行要求をクラウドサービス10に送信する。すると、クラウドサービス10は、この状況からのゲームの実行を開始する。そして、このゲームが実行されている間、クラウドサービス10は、このゲームのプレイ内容を表す実況動画像をユーザBのクライアント14にストリーミング配信する。そして、ユーザBのクライアント14では、図2と同様のゲーム画面20が表示されることとなる。そして、ユーザBは、このゲームを、ユーザBが指定した再生位置に応じた状況から楽しむことができる。」
「【図3】
[図:0001420059000003.jpg]
」
(オ) 【0032】~【0036】、【図4】
「【0032】
図4は、本実施形態に係るクラウドサービス10とクライアント14との関係の一例を示す概念図である。本実施形態に係るクラウドサービス10では、例えば、管理プロセス34、サービス提供プロセス36、エミュレータ38が実行される。また、クラウドサービス10に含まれるストレージデバイス等の記憶装置には、予め、各種ゲームプログラムのイメージファイルが記憶されている。ゲームプログラムには、ゲームの識別子であるゲームIDが関連付けられている。
【0033】
サービス提供プロセス36は、例えば、クラウドサービス10に含まれるサーバが、ショッピングサイトやSNS(Social Networking Service)等、クラウドサービス10が提供する種々のサービスを実現するプログラムを起動することで生成されるプロセスである。
【0034】
管理プロセス34は、例えば、クラウドサービス10に含まれるサーバが、クラウドサービス10に含まれるサーバやストレージデバイスにインストールされている管理プログラムを起動することで生成されるプロセスであり、エミュレータ38の所在管理処理、エミュレータ38の起動処理及び停止処理、クライアント14からの要求に応じたクライアント14とエミュレータ38との接続処理及び切断処理、などを実行する。
【0035】
エミュレータ38は、例えば、クラウドサービス10に含まれるサーバやストレージデバイスに記憶されているゲームプログラムを実行するための仮想マシンとして機能するプロセスである。エミュレータ38は、管理プロセス34が、クライアント14からの要求に応じて、クラウドサービス10に含まれるサーバやストレージデバイスにインストールされているエミュレータプログラムを起動することにより生成される。そして、管理プロセス34は、クライアント14からの要求に応じて、クライアント14により指定されたゲームプログラムのイメージファイルを読み込み、エミュレータ38にロードする。このことによって、エミュレータ38上でゲームプログラムが実行されることとなる。なお、エミュレータ38が、クライアント14により指定されたゲームプログラムを自プロセスにロードするようにしてもよい。
【0036】
また、エミュレータ38は、例えば、クライアント14や管理プロセス34からの要求に応じて、エミュレータ38が管理しているエミュレートされたメモリイメージやレジスタ(例えば、プログラムカウンタ等)、エミュレータ38上で動作するゲームプログラムによる入出力アクセスログ、エミュレータ38上で実行されるCPU命令やGPU命令のログなどを出力する。」
「【図4】
[図:0001420059000004.jpg]
」
(カ) 【0039】~【0055】、【図5】、【図6】
「【0039】
図5は、本実施形態に係るクラウドサービス10で実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、図5には、以下の説明と特に関係がある機能が示されているにすぎず、本実施形態に係るクラウドサービス10では、図5に示す機能以外の機能も実現されている。図5に示すように、本実施形態に係るクラウドサービス10は、機能的には、例えば、エミュレータ管理部40、ゲーム実行部42、リプレイ動画像管理部44、データ記憶部46、復帰データ生成部48、ゲーム状況監視部50、復帰要求受付部52、再生位置特定部54、ゲーム状況データ取得部56、を含んで構成される。データ記憶部46は、例えば、クラウドサービス10に含まれるサーバに含まれるメモリやハードディスクドライブ、ストレージデバイス、などといった記憶装置を主として実現される。また、ゲーム実行部42は、例えば、エミュレータ38で実現される機能に対応する。その他の要素は、例えば、管理プロセス34で実現される機能に対応する。
【0040】
クラウドサービス10は、上述のようにコンピュータを中心に構成されており、プログラムを実行することにより、図5に示す各機能要素が実現されるようになっている。また、このプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどの通信ネットワークを介してクラウドサービス10に供給される。
【0041】
エミュレータ管理部40は、本実施形態では、例えば、クライアント14からの要求に応じてエミュレータ38を起動したり停止したりする。また、エミュレータ管理部40は、クライアント14からの要求に応じた、クライアント14とエミュレータ38との接続処理及び切断処理を実行する。また、エミュレータ管理部40は、起動したエミュレータ38へのゲームプログラムのイメージファイルのロードも行う。また、エミュレータ管理部40は、エミュレータ38の所在管理処理も実行する。
【0042】
ゲーム実行部42は、本実施形態では、例えば、エミュレータ38にロードされたゲームプログラムを実行する。
【0043】
本実施形態では、例えば、ユーザAがクライアント14からシューティングゲームの開始要求をクラウドサービス10に送信すると、クラウドサービス10のエミュレータ管理部40が、この開始要求に応じて、エミュレータ38を起動し、起動したエミュレータ38にシューティングゲームのイメージファイルをロードする。そして、ゲーム実行部42が、ロードされたシューティングゲームを開始する。
【0044】
ゲーム実行部42は、本実施形態では、シューティングゲームの開始以降、所定のゲーム更新時間(例えば、1/60秒)毎に、ゲームの状況を示すゲーム状況データを更新するゲーム状況データ更新処理、更新後のゲーム状況データに基づいてゲームのプレイ内容を表すフレーム画像を生成するフレーム画像生成処理、生成されたフレーム画像をクライアント14に送信するフレーム画像送信処理、の順に、これら3つの処理を実行する。すなわち、ゲーム実行部42は、ゲーム更新時間間隔で、上述の3つの処理を順次実行するという処理を繰り返し実行する。
【0045】
本実施形態では、ゲーム実行部42は、ゲーム状況更新処理において、例えば、プレイヤオブジェクト22、弾丸オブジェクト24、敵オブジェクト26、それぞれの位置や向きを示すゲーム状況データを更新する処理を実行する。また、本実施形態では、ゲーム実行部42は、ゲーム状況更新処理において、更新後のオブジェクト間の衝突判定処理や、衝突判定結果に基づく、ゲームステージクリア判定処理、ミス判定処理なども併せて実行する。
【0046】
また、本実施形態では、ゲーム実行部42は、フレーム画像生成処理において、例えば、更新後のオブジェクト群の位置や向きを示すゲーム状況データに基づいてフレーム画像を生成する処理を実行する。また、本実施形態では、ゲーム実行部42は、フレーム画像送信処理において、例えば、生成されたフレーム画像を生成時刻順に順序付けられているフレーム画像の識別子であるフレームIDに関連付けてクライアント14に送信する。
【0047】
本実施形態では、クライアント14は、クラウドサービス10から順次送信されるフレーム画像を受信する。そして、クライアント14は、受信したフレーム画像が含まれるゲーム画面20をディスプレイに表示出力する。本実施形態では、クライアント14は、関連付けられているフレームID順にフレーム画像を表示出力する。そして、表示出力されるフレーム画像は、順次更新される。このようにして、実況動画像がクラウドサービス10からクライアント14へストリーミング配信される。
【0048】
また、本実施形態では、ゲームの実行中に、クライアント14が、ユーザによるボタンの押下などのキー入力を受け付けた際に、入力に応じたキー情報(例えば、押下されたボタンの種別を示す信号)を、クラウドサービス10に送信する。そして、クラウドサービス10のゲーム実行部42は、このキー情報に応じたゲーム状況データの更新(例えば、押下されたボタンが示す方向へのプレイヤオブジェクト22の移動、プレイヤオブジェクト22からの弾丸オブジェクト24の発射等)を実行する。
【0049】
リプレイ動画像管理部44は、本実施形態では、例えば、ゲーム実行部42がフレーム画像を生成した際に、そのフレーム画像を、生成時刻順に順序付けられているフレーム画像の識別子であるフレームIDに関連付けてデータ記憶部46に出力する。
【0050】
復帰データ生成部48は、本実施形態では、例えば、所定の復帰データ生成間隔(例えば、5秒間隔)で、リプレイ動画像の再生位置に応じた状況への復帰(リプレイ動画像の再生位置に応じた状況からのゲームの実行)に用いられる復帰データ58を生成して、データ記憶部46に出力する(図6参照)。図6は、復帰データ58の一例を示す図である。本実施形態では、復帰データ生成部48は、ゲームステージが開始される際に、そのゲームステージの開始時点の復帰データ58を生成して、データ記憶部46に出力する。そのため、データ記憶部46には、ゲームステージの開始時における復帰データ58が記憶されることとなる。図6に示すように、復帰データ58は、例えば、上述のリプレイ動画像の識別子である動画像IDと、プレイされているゲームの識別子であるゲームIDと、ゲームステージの開始時点からの経過時間を示す経過時間データと、そのときのゲームの状況を示すゲーム状況データ(図6には、本実施形態におけるゲーム状況データの一例として、経過時間データに対応する時点における、シューティングゲームを実行しているエミュレータ38が管理しているメモリイメージの内容やレジスタの値を示すスナップショットデータが示されている。)と、を含んでいる。復帰データ58に含まれる経過時間データによって、復帰データ58とリプレイ動画像に含まれるフレーム画像とは関連付けられていることとなる。
【0051】
本実施形態では、復帰データ生成部48は、復帰データの生成タイミングが到来した際に、その時点におけるエミュレータ38のメモリイメージの内容やレジスタの値を取得する。そして、復帰データ生成部48は、リプレイ動画像の識別子である動画像IDと、プレイされているゲームの識別子であるゲームIDと、ゲームステージの開始時点から復帰データの生成タイミングまでの時間を示す経過時間データと、取得した内容に対応するスナップショットデータと、を含む復帰データ58を生成する。
【0052】
このようにして、本実施形態では、ゲーム実行部42が実況動画像をクライアント14にストリーミング配信している際に、同時進行で、リプレイ動画像管理部44によるフレーム画像のデータ記憶部46への出力、及び、復帰データ生成部48による復帰データ58の生成出力が行われることとなる。また、本実施形態では、ゲームの実行中に、その実行中のゲームの現況を示すスナップショットデータが順次生成されることとなる。
【0053】
ゲーム状況監視部50は、例えば、ゲーム実行部42が実行しているシューティングゲームのゲーム処理の進行状況を監視する。本実施形態では、予め、各ゲームステージの終了時点のフレーム画像、及び、ゲームオーバー時点のフレーム画像がデータ記憶部46に記憶されている。以下、これらのフレーム画像を判定画像と呼ぶこととする。本実施形態では、ゲーム状況監視部50は、例えば、ゲーム実行部42により生成されるフレーム画像を監視する。そして、ゲーム状況監視部50は、公知の画像処理技術を用いて、監視されたフレーム画像と、データ記憶部46に記憶されているいずれかの判定画像とが一致していることを確認した際に、ゲームステージが終了した、又は、ゲームオーバーとなったということを判定する。このようにして、本実施形態では、ゲームステージの終了時点やゲームオーバー時点を検出することができるようになっている。
【0054】
そして、本実施形態では、ゲーム状況監視部50は、ゲームステージが終了した際、及び、ゲームオーバーとなった際に、リプレイ動画像管理部44にその旨を通知する。すると、リプレイ動画像管理部44は、この通知を受け付けた際に、それまでにデータ記憶部46に出力された、そのゲームステージの開始時点から上述の通知を受け付けた時点までの1又は複数のフレーム画像、及び、上述の動画像IDが含まれるリプレイ動画像を生成する。このリプレイ動画像に含まれるフレーム画像はフレームIDに関連付けられている。
【0055】
そして、リプレイ動画像管理部44は、リプレイ動画像を動画像管理システム12に送信する。すると、動画像管理システム12はこのリプレイ動画像を受信して、動画像管理システム12に含まれるハードディスクドライブ等の記憶装置に出力する。このようにして、リプレイ動画像が動画像管理システム12に登録される。」
「【図5】
[図:0001420059000005.jpg]
」
「【図6】
[図:0001420059000006.jpg]
」
(キ) 【0056】~【0061】
「【0056】
本実施形態では、動画像管理システム12は、ユーザBのクライアント14から、検索条件となる文字列を受け付けた際に、その検索条件に合致するリプレイ動画像の概要の一覧画面(図示せず)を生成して、ユーザBのクライアント14に送信する。そして、ユーザBのクライアント14は、この一覧画面を受信して、ディスプレイに表示出力する。そして、ユーザBが一覧画面のうちから上述のリプレイ動画像の概要が示されている部分をクリックすると、ユーザBのクライアント14は、このリプレイ動画像の再生要求を動画像管理システム12に送信する。そして、動画像管理システム12は、この再生要求を受信する。そして、動画像管理システム12は、この再生要求に応じて、対応するリプレイ動画像に対応するリプレイ動画像表示画面28を生成して、ユーザBのクライアント14に送信するとともに、リプレイ動画像のストリーミング配信を開始する。
【0057】
本実施形態では、ユーザBのクライアント14は、リプレイ動画像表示画面28を動画像管理システム12から受信した際に、ユーザBのクライアント14にインストールされているクラウドサービス10用のプラグインプログラムがクラウドサービス10に対して、受信したリプレイ動画像の動画像IDを送信して、受信したリプレイ動画像に対応する復帰データ58が存在するか否かを問い合わせる。そして、復帰データ58が存在する旨をクラウドサービス10から受信すると、プラグインプログラムが、図3に示すように、リプレイ動画像表示画面28内に、復帰リンク30を埋め込む。
【0058】
ユーザBが、リプレイ動画像表示画面28に配置されている、再生、スロー再生、早送り、巻き戻し、一時停止、等の、動画像の再生を制御するためのボタンをクリックすると、クライアント14は、対応する信号を動画像管理システム12に送信する。すると、動画像管理システム12は、この信号を受信して、信号に応じた動画像の再生制御を行う。また、ユーザBが、マウス等を用いてノブ32を移動する操作を実行すると、クライアント14は、移動後の位置に対応する再生位置を示す信号を動画像管理システム12に送信する。そして、動画像管理システム12は、この信号が示す再生位置からのリプレイ動画像の再生を行う。
【0059】
ここで、リプレイ動画像の再生中に、ユーザBが復帰リンク30をクリックすると、クライアント14は、再生されているリプレイ動画像の動画像IDと再生時点のフレーム画像のフレームIDとの組合せに関連付けられた、そのフレーム画像に対応する状況への復帰要求(すなわち、そのフレーム画像に対応する状況からのゲームの実行要求)であるゲーム復帰要求をクラウドサービス10に送信する。すると、クラウドサービス10の復帰要求受付部52が、このゲーム復帰要求を受け付ける。
【0060】
そして、再生位置特定部54は、受け付けた動画像ID、及び、フレームIDに基づいて、復帰リンク30がクリックされた時点におけるそのリプレイ動画像の再生位置(例えば、ゲームステージの開始時点からの経過時間やフレーム数等)を特定する。そして、再生位置特定部54は、このゲーム復帰要求に関連付けられている動画像IDに基づいて、プレイされているゲームを特定する。また、再生位置特定部54は、ゲームステージの開始時点から、復帰要求受付部52が受け付けたゲーム復帰要求に関連付けられているフレームIDのフレーム画像が再生されたタイミングまでの時間(以下、復帰時経過時間と呼ぶ。)もしくは復帰時経過時間よりも短い時間を示し、かつ、復帰時経過時間に最も近い時間を示す経過時間データに関連付けられているスナップショットデータを特定する。
【0061】
そして、ゲーム状況データ取得部56が、本実施形態では、例えば、再生位置特定部54により特定されたスナップショットデータを取得する。そして、エミュレータ管理部40が、新規のエミュレータ38を起動するとともに、ユーザBのクライアント14とこのエミュレータ38との接続処理を実行する。そして、エミュレータ管理部40が、再生位置特定部54により特定されたゲームのイメージファイルをこのエミュレータ38にロードする。そして、ゲーム実行部42が、スナップショットデータが示す状況からのシューティングゲームの実行を開始する。ゲーム実行部42は、具体的には、例えば、ゲーム状況データ取得部56が取得したスナップショットデータに応じた、シューティングゲームを実行しているエミュレータ38が管理しているメモリイメージの内容やレジスタの値の設定を行った上で、上述のシューティングゲームの実行を開始する。このようにして、そして、ユーザBは、ユーザBのクライアント14で、復帰リンク30がクリックされたタイミングでのリプレイ動画像の再生位置に応じた状況から開始されるシューティングゲームを楽しむことができる。」
(ク) 【0071】
「【0071】
また、例えば、クラウドサービス10が、上述の動画像管理システム12が提供するサービスを提供するようにしてもよい。また、クラウドサービス10が、クライアント14から受け付けるキー情報をその受け付けたタイミングを示すデータと関連付けてキーログとしてデータ記憶部46に出力してもよい。そして、リプレイ動画像管理部44が、キーログに基づいてリプレイ動画像に含まれる各フレーム画像を生成して、クライアント14にストリーミング配信するようにしてもよい。」
(ケ) 【0073】
「【0073】
また、例えば、リプレイ動画像管理部44が、リプレイ動画像を生成する際に、ユーザAのクライアント14から、リプレイ動画像を生成するフレーム画像の範囲を指定する情報を受け付けてもよい。そして、リプレイ動画像管理部44は、指定された範囲のフレーム画像を含んで構成されるリプレイ動画像を生成してもよい。そして、リプレイ動画像管理部44は、指定された範囲外のフレーム画像に対応する復帰データ58をデータ記憶部46から削除するようにしてもよい。」
イ 引用発明の認定
(ア)a 前記ア(ア)~(キ)には、「クラウドサービス10」の「情報処理方法」の発明が記載されていると認められる。
b 前記ア(ク)には、上記「情報処理方法」の別の実施形態として、「クラウドサービス10が、上述の動画像管理システム12が提供するサービスを提供する」ことが記載されている。
c 前記ア(ケ)には、上記「情報処理方法」の別の実施形態として、「リプレイ動画像」が「ユーザAのクライアント14から」「指定された範囲のフレーム画像を含んで構成される」ものであることが記載されている。
(イ) 前記(ア)を踏まえると、引用文献1には、前記(ア)b及びcの「情報処理方法」の別の実施形態に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「情報処理方法であって、(【0001】)
いずれもコンピュータを中心に構成されたクラウドサービス10、動画像管理システム12、クライアント14(14-1~14-n)、が、インターネットなどのコンピュータネットワーク16に接続されており、(【0021】)
クラウドサービス10が 、上述の動画像管理システム12が提供するサービスを提供するようにしてもよく、(【0071】)
クライアント14は、クラウドサービス10や動画像管理システム12のユーザが利用するコンピュータであり、ウェブブラウザを通じてクラウドサービス10や動画像管理システム12が提供する各種サービスを受け、(【0022】、【0023】)
動画像管理システム12は、クライアント14やクラウドサービス10から受け付ける動画像を登録したり、クライアント14からの要求に応じてクライアント14に動画像の配信を行ったりするコンピュータシステムであり、(【0024】)
クラウドサービス10は、情報処理システムとして機能する分散コンピューティング環境であり、(【0025】) クラウドサービス10に含まれるストレージデバイス等の記憶装置には、予め、各種ゲームプログラムのイメージファイルが記憶されており,(【0032】)
クラウドサービス10は、機能的には、エミュレータ管理部40、ゲーム実行部42、リプレイ動画像管理部44、データ記憶部46、復帰データ生成部48、ゲーム状況監視部50、復帰要求受付部52、再生位置特定部54、ゲーム状況データ取得部56、を含んで構成され、(【0039】)
データ記憶部46は、クラウドサービス10に含まれるサーバに含まれるメモリやハードディスクドライブ、ストレージデバイス、などといった記憶装置を主として実現され、(【0039】)
エミュレータ管理部40は、クライアント14からの要求に応じてエミュレータ38を起動したり停止したりし、起動したエミュレータ38へのゲームプログラムのイメージファイルのロードも行い、(【0041】)
ゲーム実行部42は、エミュレータ38にロードされたゲームプログラムを実行し、(【0042】)
ユーザAがクライアント14からシューティングゲームの開始要求をクラウドサービス10に送信すると、クラウドサービス10のエミュレータ管理部40が、この開始要求に応じて、エミュレータ38を起動し、起動したエミュレータ38にシューティングゲームのイメージファイルをロードし、ゲーム実行部42が、ロードされたシューティングゲームを開始し、(【0043】)
ゲーム実行部42は、シューティングゲームの開始以降、所定のゲーム更新時間(例えば、1/60秒)毎に、ゲームの状況を示すゲーム状況データを更新するゲーム状況データ更新処理、更新後のゲーム状況データに基づいてゲームのプレイ内容を表すフレーム画像を生成するフレーム画像生成処理、生成されたフレーム画像をクライアント14に送信するフレーム画像送信処理、の順に、これら3つの処理を実行し、(【0044】)
ゲーム実行部42は、ゲーム状況更新処理において、プレイヤオブジェクト22、弾丸オブジェクト24、敵オブジェクト26、それぞれの位置や向きを示すゲーム状況データを更新する処理を実行し、(【0045】)
リプレイ動画像管理部44は、ゲーム実行部42がフレーム画像を生成した際に、そのフレーム画像を、生成時刻順に順序付けられているフレーム画像の識別子であるフレームIDに関連付けてデータ記憶部46に出力し、(【0049】)
復帰データ生成部48は、所定の復帰データ生成間隔(例えば、5秒間隔)で、リプレイ動画像の再生位置に応じた状況への復帰(リプレイ動画像の再生位置に応じた状況からのゲームの実行)に用いられる復帰データ58を生成して、データ記憶部46に出力し、(【0050】)
復帰データ58は、上述のリプレイ動画像の識別子である動画像IDと、プレイされているゲームの識別子であるゲームIDと、ゲームステージの開始時点からの経過時間を示す経過時間データと、そのときのゲームの状況を示すゲーム状況データ(ゲーム状況データの一例として、経過時間データに対応する時点における、シューティングゲームを実行しているエミュレータ38が管理しているメモリイメージの内容やレジスタの値を示すスナップショットデータ)と、を含んでおり、復帰データ58に含まれる経過時間データによって、復帰データ58とリプレイ動画像に含まれるフレーム画像とは関連付けられており、(【0050】)
このようにして、ゲーム実行部42が実況動画像をクライアント14にストリーミング配信している際に、同時進行で、リプレイ動画像管理部44によるフレーム画像のデータ記憶部46への出力、及び、復帰データ生成部48による復帰データ58の生成出力が行われ、(【0052】)
ゲーム状況監視部50は、ゲームステージが終了した際、及び、ゲームオーバーとなった際に、リプレイ動画像管理部44にその旨を通知し、リプレイ動画像管理部44は、この通知を受け付けた際に、それまでにデータ記憶部46に出力された、そのゲームステージの開始時点から上述の通知を受け付けた時点までの1又は複数のフレーム画像、及び、上述の動画像IDが含まれるリプレイ動画像を生成し、(【0054】)
リプレイ動画像管理部44が、リプレイ動画像を生成する際に、ユーザAのクライアント14から、リプレイ動画像を生成するフレーム画像の範囲を指定する情報を受け付けてもよく、リプレイ動画像管理部44は、指定された範囲のフレーム画像を含んで構成されるリプレイ動画像を生成してもよく、リプレイ動画像管理部44は、指定された範囲外のフレーム画像に対応する復帰データ58をデータ記憶部46から削除するようにしてもよく、(【0073】)
リプレイ動画像管理部44は、リプレイ動画像を動画像管理システム12に送信し、動画像管理システム12はこのリプレイ動画像を受信して、動画像管理システム12に含まれるハードディスクドライブ等の記憶装置に出力し、このようにして、リプレイ動画像が動画像管理システム12に登録され、(【0055】)
動画像管理システム12は、ユーザBのクライアント14から、検索条件となる文字列を受け付けた際に、その検索条件に合致するリプレイ動画像の概要の一覧画面を生成して、ユーザBのクライアント14に送信し、ユーザBのクライアント14は、この一覧画面を受信して、ディスプレイに表示出力し、ユーザBが一覧画面のうちから上述のリプレイ動画像の概要が示されている部分をクリックすると、ユーザBのクライアント14は、このリプレイ動画像の再生要求を動画像管理システム12に送信し、動画像管理システム12は、この再生要求に応じて、対応するリプレイ動画像に対応するリプレイ動画像表示画面28を生成して、ユーザBのクライアント14に送信するとともに、リプレイ動画像のストリーミング配信を開始し、(【0056】)
ユーザBのクライアント14は、リプレイ動画像表示画面28を動画像管理システム12から受信した際に、受信したリプレイ動画像の動画像IDを送信して、受信したリプレイ動画像に対応する復帰データ58が存在するか否かを問い合わせ、復帰データ58が存在する旨をクラウドサービス10から受信すると、リプレイ動画像表示画面28内に、復帰リンク30を埋め込み、(【0057】)
リプレイ動画像の再生中に、ユーザBが復帰リンク30をクリックすると、クライアント14は、再生されているリプレイ動画像の動画像IDと再生時点のフレーム画像のフレームIDとの組合せに関連付けられた、そのフレーム画像に対応する状況への復帰要求(すなわち、そのフレーム画像に対応する状況からのゲームの実行要求)であるゲーム復帰要求をクラウドサービス10に送信し、クラウドサービス10の復帰要求受付部52が、このゲーム復帰要求を受け付け、(【0059】)
再生位置特定部54は、受け付けた動画像ID、及び、フレームIDに基づいて、復帰リンク30がクリックされた時点におけるそのリプレイ動画像の再生位置(例えば、ゲームステージの開始時点からの経過時間やフレーム数等)を特定し、再生位置特定部54は、このゲーム復帰要求に関連付けられている動画像IDに基づいて、プレイされているゲームを特定し、再生位置特定部54は、ゲームステージの開始時点から、復帰要求受付部52が受け付けたゲーム復帰要求に関連付けられているフレームIDのフレーム画像が再生されたタイミングまでの時間(以下、復帰時経過時間と呼ぶ。)もしくは復帰時経過時間よりも短い時間を示し、かつ、復帰時経過時間に最も近い時間を示す経過時間データに関連付けられているスナップショットデータを特定し、(【0060】)
ゲーム状況データ取得部56が、再生位置特定部54により特定されたスナップショットデータを取得し、エミュレータ管理部40が、新規のエミュレータ38を起動するとともに、ユーザBのクライアント14とこのエミュレータ38との接続処理を実行し、エミュレータ管理部40が、再生位置特定部54により特定されたゲームのイメージファイルをこのエミュレータ38にロードし、ゲーム実行部42が、スナップショットデータが示す状況からのシューティングゲームの実行を開始し、具体的には、ゲーム状況データ取得部56が取得したスナップショットデータに応じた、シューティングゲームを実行しているエミュレータ38が管理しているメモリイメージの内容やレジスタの値の設定を行った上で、上述のシューティングゲームの実行を開始し、このようにして、ユーザBは、ユーザBのクライアント14で、復帰リンク30がクリックされたタイミングでのリプレイ動画像の再生位置に応じた状況から開始されるシューティングゲームを楽しむことができる、(【0061】)
情報処理方法。」
(3) 対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Aについて
a 引用発明の「情報処理方法」は、「コンピュータを中心に構成されたクラウドサービス10」を用いた「情報処理方法」である。
b ここで、引用発明の「クラウドサービス10」は、「情報処理システムとして機能する」から、本件補正発明の「クラウドシステム」に相当する。
c また、引用発明の「クラウドサービス10」は、「ユーザAがクライアント14からシューティングゲームの開始要求をクラウドサービス10に送信すると、クラウドサービス10のエミュレータ管理部40が、この開始要求に応じて、エミュレータ38を起動し、起動したエミュレータ38にシューティングゲームのイメージファイルをロードし、ゲーム実行部42が、ロードされたシューティングゲームを開始[する]」ものであるから、前記bを踏まえると、本件補正発明の「ゲームクラウドシステム」に相当する。
d 前記a~cをまとめると、本件補正発明と引用発明は「ゲームクラウドシステムを用いて実行される方法」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Bについて
a(a) 引用発明においては、「クライアント14」は、「ウェブブラウザを通じてクラウドサービス10や動画像管理システム12が提供する各種サービスを受け[ている]」ところ、「動画像管理システム12は、ユーザBのクライアント14から、検索条件となる文字列を受け付けた際に、その検索条件に合致するリプレイ動画像の概要の一覧画面を生成して、ユーザBのクライアント14に送信し、ユーザBのクライアント14は、この一覧画面を受信して、ディスプレイに表示出力[する]」ものである。
(b) そして、引用発明においては、「ユーザBが一覧画面のうちから上述のリプレイ動画像の概要が示されている部分をクリックすると」、「動画像管理システム12は、この再生要求に応じて、対応するリプレイ動画像に対応するリプレイ動画像表示画面28を生成して、ユーザBのクライアント14に送信[し]」、「ユーザBのクライアント14は、リプレイ動画像表示画面28を動画像管理システム12から受信した際に、受信したリプレイ動画像の動画像IDを送信して、受信したリプレイ動画像に対応する復帰データ58が存在するか否かを問い合わせ、復帰データ58が存在する旨をクラウドサービス10から受信すると、リプレイ動画像表示画面28内に、復帰リンク30を埋め込[む]」ものである。
(c) さらに、引用発明においては、「リプレイ動画像の再生中に、ユーザBが復帰リンク30をクリックすると」、「ユーザBは、ユーザBのクライアント14で、復帰リンク30がクリックされたタイミングでのリプレイ動画像の再生位置に応じた状況から開始されるシューティングゲームを楽しむことができ[る]」ものである。
(d) したがって、前記(a)~(c)をまとめると、引用発明においては、ウェブブラウザに、リプレイ動画像の概要の一覧画面を表示し、その表示された一覧画面から一つを選択することでリプレイ動画像表示画面28を表示し、当該画面に埋め込まれた復帰リンク30をクリックすることで、クリックしたときのリプレイ動画像の再生位置から、そのゲームを開始させるものである。
b(a) 引用発明の「クラウドサービス10」「に含まれるハードディスクドライブ等の記憶装置」「に登録されている」「複数のリプレイ動画像」は、「ユーザAのクライアント14から」「指定された範囲のフレーム画像」であり、「ゲーム実行部42」が「所定のゲーム更新時間(例えば、1/60秒)毎に」生成した「ゲームのプレイ内容を表す」「複数のフレーム画像」「を含んで構成され[た]」ものである。
(b) また、引用発明の「クラウドサービス10」の「データ記憶部46」に出力された「復帰データ58」は、「ユーザAのクライアント14から」「指定された範囲の」「復帰データ」であり、「ゲーム実行部42」が「所定のゲーム更新時間(例えば、1/60秒)毎に」更新した「ゲームの状況を示すゲーム状況データ」に基づいて、「復帰データ生成部48」が、「所定の復帰データ生成間隔(例えば、5秒間隔)で」「生成し[た]」ものである。
(c) そうすると、「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」は、ユーザAのクライアント14から指定された範囲のものであるから、ゲームステージ全部ではなく一部に対応するものと理解される。
(d) そして、指定された範囲のリプレイ動画像の再生位置から開始するゲームは、指定された範囲の「リプレイ動画像」の再生位置に対応する「復帰データ58」に含まれるゲーム状況データ(スナップショットデータ)に基づいて、ゲームのイメージファイルがロードされてゲームを実行しているエミュレータ38が管理しているメモリイメージの内容やレジスタの値の設定を行うことで実行されるから、「クラウドサービス10に含まれるストレージデバイス等の記憶装置に」「予め」「記憶され[た]」「各種ゲームプログラムのイメージファイル」と、前記指定された範囲の「リプレイ動画像」と、前記指定された範囲内の「復帰データ58」とからなるものといえる。
(e) ここで、本件補正発明の「ミニゲーム」に関して、本願明細書には、次の記載がある
「【0038】
1つの実施形態では、ミニゲームを定義するゲームコードは、そこからミニゲームが作成されたフルゲームと同一のコードでありうる。ミニゲームプロセッサ172によるミニゲームの作成の間、ゲーム状態を含むことが可能なゲームプレイメタデータが、フルゲームのゲームコードのどの部分が実行可能なミニゲームを作るのに必要とされるかを識別するのに使用される。フルゲームのコードの部分が全て識別されたとき、ミニゲームを定義するコードを、1つの実施形態では、フルゲームのゲームコードへのポインタまたは参照により定義することが可能である。ポイントおよび/または参照を用いることで、それぞれの製作されたミニゲームに関する新しいコードパッケージを作成する必要が減少される。」
(f) 前記(e)を踏まえると、本件補正発明の「ミニゲーム」は、「フルゲームのゲームコードへのポインタまたは参照により定義[される]」ものであり、フルゲームのゲームコード自体は含まないと解釈されるから、そうすると、前記(d)に示された、ゲームステージの途中からゲームを実行させるのに必要な、「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」が、本件補正発明の「ミニゲーム」に相当する。
(g) また、引用発明の、複数の「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」は、いずれも「クラウドサービス10」に登録されたものであるから、本件補正発明の「ゲームクラウドシステムを通じて格納された複数の実行可能なミニゲーム」に相当する。
(h) そして、前記aに示したとおり、引用発明においては、ウェブブラウザに、「リプレイ動画像」の一覧画面や、「復帰データ58」に対応する復帰リンク30を埋め込んだリプレイ動画像表示画面28を表示するのであるから、このことは、本件補正発明の「ウェブサイト上で、ゲームクラウドシステムを通じて格納された複数の実行可能なミニゲームを提供[する]」ことに相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「ウェブサイト上で、ゲームクラウドシステムを通じて格納された複数の実行可能なミニゲームを提供[する]」点において一致する。
(ウ) 構成Cについて
a 前記(イ)b(a)及び(b)を踏まえると、引用発明の、複数の「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」は、本件補正発明の「ゲームの部分に基づいて作成され[た]」「複数の実行可能なミニゲームのそれぞれ」に相当する。
b そして、引用発明においては、複数の「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」は、前記(イ)b(g)を踏まえると、いずれも「クラウドサービス10」に登録されているところ、「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」は、「各種ゲームプログラム」とは異なるデータであるから「各種ゲームプログラム」とは別個に格納されていることは自明であり、このことは、本件補正発明の「前記ゲームとは別個に格納されて[いる]」「前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれ」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれがゲームの部分に基づいて作成され、かつ、前記ゲームとは別個に格納されて[いる]」点において一致する。
(エ) 構成Dについて
引用発明において、「ゲーム実行部42」が「シューティングゲームの開始以降、所定のゲーム更新時間(例えば、1/60秒)毎に」更新した「ゲームの状況を示すゲーム状況データ」「(経過時間データに対応する時点における、シューティングゲームを実行しているエミュレータ38が管理しているメモリイメージの内容やレジスタの値を示すスナップショットデータ)」は、本件補正発明の「前記ゲームのプレイがなされたときに」「キャプチャされ[た]」「状態データ」に相当するから、前記(イ)b(a)及び(b)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記ゲームのプレイがなされたときに前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれが作成されて状態データがキャプチャされて前記実行可能なミニゲームのそれぞれに関連付けられ[ている]」点において一致する。
(オ) 構成Eについて
a 前記(イ)を踏まえると、引用発明の「ユーザB」は、本件補正発明の「前記ウェブサイトにアクセスしている一人以上のユーザ」に相当する。
b したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記実行可能なミニゲームは、前記ウェブサイトにアクセスしている一人以上のユーザによりプレイ可能なものであ[る]」点において一致する。
(カ) 構成Fについて
前記(イ)b(a)~(c)を踏まえると、本件補正発明の「ミニゲーム」に相当する、引用発明の「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」は、ゲームステージ全部ではなく一部に対応するから、本件補正発明と引用発明は、「前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれは、前記ゲームのそれぞれの部分から定義され[ている]」点において一致する。
(キ) 構成Gについて
a 前記(イ)b(b)を踏まえると、引用発明においては、「復帰データ58」は、「ゲームの状況を示すゲーム状況データ」に基づいて、「復帰データ生成部48」が、「所定の復帰データ生成間隔(例えば、5秒間隔)で」「生成し[た]」ものから、「ユーザAのクライアント14から」「指定された範囲外のフレーム画像に対応する復帰データ58をデータ記憶部46から削除[した]」ものであるから、「復帰データ58」の「ゲーム状況データ」から、「ユーザAのクライアント14から」「指定された範囲」が識別し得るものと理解される。
b また、引用発明の「ゲーム状況データ」は、「スナップショットデータ」以外に、「プレイヤオブジェクト22、弾丸オブジェクト24、敵オブジェクト26、それぞれの位置や向きを示す」データとされており、これらのオブジェクトの位置や向きのデータは、ゲームのプレイ及び行われたゲームアクションに関するものであるから、本件補正発明の「前記ゲームのプレイおよび行われたゲームアクションに関する前記状態データ」に相当する。
c そして、引用発明においては、「ユーザAのクライアント14から」「指定された範囲」は、「ゲームステージの開始時点から」「ゲームステージが終了した際、及び、ゲームオーバーとなった際」「の通知を受け付けた時点までの」範囲よりも短いものであり、指定された範囲が、開始ポイント及び終了ポイントを有していることも明らかである。
d 前記a~cを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記部分は、前記ゲームのプレイおよび行われたゲームアクションに関する前記状態データの少なくとも一部によって識別され、前記部分は、前記ゲームのプレイよりも短く、かつ、前記ゲームの開始ポイントと終了ポイントとを有し[ている]」点において一致する。
(ク) 構成Hについて
a 引用発明の「復帰データ58」は、「ゲームステージの開始時点からの経過時間を示す経過時間データと、そのときのゲームの状況を示すゲーム状況データ(ゲーム状況データの一例として、経過時間データに対応する時点における、シューティングゲームを実行しているエミュレータ38が管理しているメモリイメージの内容やレジスタの値を示すスナップショットデータ)」を含んでいるところ、「ゲームステージの開始時点から、復帰要求受付部52が受け付けたゲーム復帰要求に関連付けられているフレームIDのフレーム画像が再生されたタイミングまでの時間(以下、復帰時経過時間と呼ぶ。)もしくは復帰時経過時間よりも短い時間を示し、かつ、復帰時経過時間に最も近い時間を示す経過時間データに関連付けられているスナップショットデータを特定し」、「ゲーム実行部42が、スナップショットデータが示す状況からのシューティングゲームの実行を開始し[ている]」ものである。
b ここで、前記(エ)に示したとおり、引用発明の「ゲーム状況データ」、すなわち、「スナップショットデータ」が、本件補正発明の「状態データ」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記状態データは、前記実行可能なミニゲームの実行可能なプレイを可能とするために用いられ[る]」点において一致する。
(ケ) 構成Iについて
引用発明においては、「クラウドサービス10」と、「クライアント14(14-1~14-n)、が、インターネットなどのコンピュータネットワーク16に接続されており」、「クライアント14」は、「ウェブブラウザを通じてクラウドサービス10」「が提供する各種サービスを受け[ている]」ものであり、「クラウドサービス10」の「ゲーム実行部42が、スナップショットデータが示す状況からのシューティングゲームの実行を開始し[ている]」ものであることを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記複数の実行可能なミニゲームのそれぞれはウェブサイトを介して共有されてかつ前記ゲームクラウドで実行されるものである」点において一致する。
(コ) 小括
以上のとおり、本件補正発明と引用発明は、全ての点において一致するから、本件補正発明は引用文献1に記載された発明である。また、もし仮に相違点があったとしても、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもある。
イ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張の内容
請求人は、審判請求の理由において、概略次の主張をしている。
引用文献1には、「リプレイ動画像の再生位置に応じた状況から実行されるゲーム」をゲームプログラムとは別個に格納することは何ら開示も示唆もされていない。
ユーザにより指定されるまでは開始位置も終了位置も確定していない「リプレイ動画像の再生位置に応じた状況から実行されるゲーム」を、予めゲームとは別個に格納しておくことは原理的に不可能である。
(イ) 請求人の主張についての検討
前記(ア)の主張について検討する。
請求人は、ユーザにより指定されるまでは開始位置も終了位置も確定していない「リプレイ動画像の再生位置に応じた状況から実行されるゲーム」を、予めゲームとは別個に格納しておくことは原理的に不可能であると主張しているが、本件補正発明の「ミニゲーム」に相当する、引用発明の「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」は、前記ア(イ)b(a)及び(b)に示したとおり、プレイヤーであるユーザBでなく、「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」の作成者であるユーザAにより範囲が指定されて開始位置及び終了位置のいずれも確定しているものであるから、当該主張は認められない。
そして、前記ア(ウ)bに示したとおり、引用発明の「リプレイ動画像」及び「復帰データ58」が、「各種ゲームプログラム」とは別個に格納されていることは当業者にとって自明である。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(4) 独立特許要件の判断についてのまとめ
前記(3)において検討したとおり、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正の適否についてのまとめ
前記3において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2に示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年7月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由3(新規性の欠如)及び理由4(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由3(新規性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由4(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2012-65831号公報(主たる引用文献)
3 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定は、前記第2の3(2)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、「複数の実行可能なミニゲームのそれぞれ」が「前記ゲームとは別個に格納されて[いる]」という限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、当該構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(3)において説示したとおり、引用文献1に記載された発明であるか、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も、引用文献1に記載された発明であるか、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するから、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-001934