特許拒絶査定不服審判
2023-022212
コンテクストデジタルメディア処理システム及び方法
- 審判番号
- 2023-022212
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-564132
- 請求日
- 2023年12月27日
- 審決日
- 2024年09月17日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ソニー・インタラクティブエンタテインメント エルエルシー
- 【請求人代理人】森下 賢樹
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 林 毅
- 審判官 大塚 俊範
- 分類
- P18 .561-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F) / P18 .537-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第36条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-564132「コンテクストデジタルメディア処理システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月21日国際公開、WO2019/221834、令和 3年 9月 2日国内公表、特表2021-523480〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)4月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年5月16日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月15日付け:拒絶理由通知書
令和5年 3月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 6月21日付け:拒絶理由(最後)通知書
令和5年 8月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年10月19日付け:拒絶査定
令和5年 12月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年12月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年12月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項9の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項9】
ユーザーに表示される画像又は映像としてソースからライブコンテンツを受信するステップと、
複数のコンテクスト情報ソースを用いて前記画像又は映像をリアルタイムで処理して前記ライブコンテンツ内のコンテクスト情報を特定するステップであって、前記複数のコンテクスト情報ソースは、キーワード又はフレーズを検出するための光学式文字認識と、関連する画像について検索エンジンを用いた逆画像検索と、機械学習を用いて前記画像内の特徴を認識するシーン検出、特徴検出及びランドマーク検出のうちの1つ以上と、のうちのいずれかを含む、ステップと、
前記コンテクスト情報の評価を実行するステップであって、前記評価は、前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点を使用して、前記コンテクスト情報を関連性について評価するものである、ステップと、
前記コンテクスト情報に基づいて、第三者の補足コンテンツについてインターネットの検索を実行するステップであって、前記補足コンテンツについての前記検索は、前記コンテクスト情報の前記評価に基づいて、検索用語を改善するために信頼スコアにしたがってコンテクスト情報を重み付けすることにより決定される検索の入力を用いる、ステップと、
前記ソース又は受信装置のうちの少なくとも一方で用いるために前記補足コンテンツをリアルタイムで送信するステップと、
を含み、
前記関連性は、あるキーワードがフレームのバッチ内のいくつかのフレームにわたって繰り返されるときの繰り返しの頻度であり、
前記信頼スコアは、検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との関連性を示すものであり、
前記共通点は、検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との共通点でありもっとも関連性のあることとして機能し、
前記コンテクスト情報の評価を実行するステップは、前記頻度が高いほど関連性がより高いと評価し、
前記信頼スコアおよび前記共通点は、補足コンテンツがメディアのコンテクスト情報にどれだけ密接に対応するかを示す重み付けを行うことを特徴とする方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年8月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項9の記載は次のとおりである。
「 ユーザーに表示される画像又は映像としてソースからライブコンテンツを受信するステップと、
複数のコンテクスト情報ソースを用いて前記画像又は映像をリアルタイムで処理して前記ライブコンテンツ内のコンテクスト情報を特定するステップであって、前記複数のコンテクスト情報ソースは、キーワード又はフレーズを検出するための光学式文字認識と、関連する画像について検索エンジンを用いた逆画像検索と、機械学習を用いて前記画像内の特徴を認識するシーン検出、特徴検出及びランドマーク検出のうちの1つ以上と、のうちのいずれかを含む、ステップと、
前記コンテクスト情報の評価を実行するステップであって、前記評価は、前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点を使用して、前記コンテクスト情報を関連性について評価するものである、ステップと、
前記コンテクスト情報に基づいて、第三者の補足コンテンツについてインターネットの検索を実行するステップであって、前記補足コンテンツについての前記検索は、前記コンテクスト情報の前記評価に基づいて、検索用語を改善するために信頼スコアにしたがってコンテクスト情報を重み付けすることにより決定される検索の入力を用いる、ステップと、
前記ソース又は受信装置のうちの少なくとも一方で用いるために前記補足コンテンツをリアルタイムで送信するステップと、
を含み、
前記関連性は、あるキーワードがフレームのバッチ内のいくつかのフレームにわたって繰り返されるときの繰り返しの頻度であり、
前記コンテクスト情報の評価を実行するステップは、前記頻度が高いほど関連性がより高いと評価することを特徴とする方法。」
2 補正の適否
(1)新規事項
本件補正は、請求項9に「前記共通点は、検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との共通点でありもっとも関連性のあることとして機能し、」との事項を追加する補正を含むものであって、当該補正は、「前記共通点」を具体的に特定しようとする補正と認められる。
また、本件補正後の請求項9の記載「前記コンテクスト情報の評価を実行するステップであって、前記評価は、前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点を使用して、前記コンテクスト情報を関連性について評価するものである、ステップ」によれば、「前記共通点」とは、「前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された」ものと認められる。
そうすると、本件補正は請求項9に、「前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された」「共通点」が、「検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との共通点でありもっとも関連性のあることとして機能」するものであることを追加する補正を含むものといえる。
ここで、当該「前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された」「共通点」について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には、次のように記載されている。
「 【0008】
本明細書で開示のシステム及び方法は様々なソースから生データを蓄積し、データソースにわたる信頼スコア及び共通点に基づいて結果を重み付けすることができる。これらのシステム及び方法は、最も強力な(もっとも関連性のある)コンテクスト結果に基づいて補足コンテンツをリアルタイムでインターネット検索することができる。補足コンテンツが見つかった場合、捕捉コンテンツはディスプレイ内でオーバーレイを用いて現在表示されているメディアの表示を拡張することができる。補足コンテンツを表示するための他の代替的なオプション(以下により詳述するように、捕足コンテンツをモバイル装置に送信すること等)を利用できる。」
「 【0012】
ライブメディアから抽出されたコンテクスト情報は、補足コンテンツを特定するための検索の入力として用いることができる。検索の前に、ライブメディアから抽出されたコンテクスト情報をその関連性について評価することができる。一般に、コンテクスト情報は、複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点(commonality)を用いて評価することができる。場合によっては、コンテクスト情報は検索用語を、そして最終的には結果を改善するために信頼スコアにしたがって重み付けすることもできる。」
「 【0042】
このプロセスは、複数のコンテクスト情報ソースから見つかった生のコンテクスト情報を、複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点を用いて評価するステップ306を含むことができる。」
当初明細書等において、「前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された」「共通点」について記載があるのは上記3箇所のみであるが、いずれの箇所にも、「前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された」「共通点」が「検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との共通点でありもっとも関連性のあることとして機能」するものであることは、記載も示唆もなく、そのことが本願優先日前における技術常識とも認められない。
なお、請求人は、審判請求書において、請求項9に係る本件補正に関して、「上記の補正は、明細書の段落[0008]、[0013]、[0027]、[0032]等の記載に基づいており、いわゆる新規事項の追加に該当しないことは明らかであると考えます。」と主張する。
ここで、当初明細書等の【0013】、【0027】及び【0032】は、次のとおりのものである。
「 【0013】
上述したように、検索を通じて特定された補足コンテンツは一般に、ライブメディアに関連するコンテンツ、とりわけそのコンテクスト上の関連性に基づいて選択されたコンテンツとして記述される。1つの例では、補足コンテンツはビデオゲームに関連する参照コンテンツを含む。使用に際しては、ユーザーがゲーム機(又は他の装置)でビデオゲームをプレイするときに、ビデオゲームの出力がコンテクスト情報のために処理される。このコンテクスト情報は、インターネット検索を通じて補足コンテンツを検索するために用いられる。参照コンテンツが見つかった場合、ビデオゲームのためのオーバーレイが作成され、ゲーム機によりグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)に表示される。一部の実施形態では、GUIはリンク又はビデオの形態の補足コンテンツを含むが、これらの例は本質的に非限定であることが明らかである。そのため、一部の実施形態では、ユーザーはゲーム内環境においてチュートリアル、ヘルプガイド及びGUI上の他の補足コンテンツにアクセスすることができる。他の例示の実施形態では、GUIがモバイル装置上に存在するアプリケーションを介して提供されるため、ユーザーはそれらのモバイル装置で閲覧することができ、ゲームプレイを覆い隠さない。さらに別の実施形態では、ゲーム機がヘッドセット等の仮想現実ハードウェアを含む場合に、GUIを拡張現実オーバーレイとして提供することができる。そのため、本明細書で開示するユーザー装置はヘッドセットやコントローラ等のVRハードウェアを含むことができる。」
「 【0027】
逆画像検索によりフレーム内で見つかったコンテンツに対応するコンテンツを有する第三者のリソース(又は本明細書に記載のローカルリポジトリ/知識ベース)から画像が特定された場合、逆画像検索において見つかった画像が少ないか又は画像が見つからないような場合とは反対に(例えば、信頼スコアが低いか又は無い)、そのフレームは関連性があると考えられ(例えば、捕足コンテンツを検索した場合に結果を返す可能性が高い)、より高い信頼スコアを返し得る。」
「 【0032】
一部の実施形態では、データ収集分析システム102は、補足コンテンツに基づいて第2の種類の信頼スコアリング及び/又は重み付けを行うことができる。この信頼スコアリング及び/又は重み付けは、補足コンテンツがメディアのコンテクスト情報にどれだけ密接に対応するかを示す。他の場合には、補足コンテンツは採点されないが、行われた検索の結果から生の形式で取得される。」
当初明細書等の【0008】、【0013】、【0027】及び【0032】のいずれにも、「共通点」が「検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との共通点でありもっとも関連性のあることとして機能」するものであることは、記載も示唆もなく、請求人による上記主張は採用することができない。
よって、請求項9に係る補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。
したがって、請求項9に係る補正を含む本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(2)独立特許要件
ア 補正の目的
請求項9に係る補正は、本件補正前の請求項9に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)を特定するために必要な事項である「共通点」について、「前記共通点は、検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との共通点でありもっとも関連性のあることとして機能し、」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項9に係る発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正発明が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
イ 明確性要件
本件補正発明の「前記共通点は、検索を通じて特定された補足コンテンツとライブメディアから抽出されたコンテクスト情報との共通点であり」との構成によれば、「共通点」は、「検索を通じて特定された補足コンテンツ」と「コンテクスト情報」との「共通点」であるところ、「検索」の後において特定される事項と認められる。
一方、本件補正発明の「前記コンテクスト情報の評価を実行するステップであって、前記評価は、前記複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点を使用して、前記コンテクスト情報を関連性について評価するものである、ステップ」及び「前記コンテクスト情報に基づいて、第三者の補足コンテンツについてインターネットの検索を実行するステップであって、前記補足コンテンツについての前記検索は、前記コンテクスト情報の前記評価に基づいて、検索用語を改善するために信頼スコアにしたがってコンテクスト情報を重み付けすることにより決定される検索の入力を用いる」との構成によれば、「検索」は「共通点」を使用した「評価」に基づいて実行されるものである。
そうすると、本件補正発明は、「検索」の後に特定される「共通点」を使用した「評価」に基づいて前記「検索」が実行されることとなり、「検索」と「共通点」の特定との先後関係に明らかな矛盾がある。
そして、明細書及び図面には、当該「検索」と「共通点」の特定との先後関係に係る矛盾を解消するような記載はなく、当然ながら、そのことが本願優先日前における技術常識から自明とも認められない。
よって、本件補正発明は、特許請求の範囲の記載だけではなく、明細書及び図面の記載を考慮し、また、当業者の本願優先日前における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。
したがって、本件補正後の請求項9に係る発明は、明確ではないので、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
3 本件補正についてのむすび
よって、請求項9に係る補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項に違反し、また、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年12月27日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年8月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項9に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項9に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、この出願の請求項1ないし17に係る発明は、「コンテクスト情報の評価」において、「信頼スコア」及び「共通点」をどのように使用するのか、並びに、「共通点」の役割が、明確でなく、特許法第36条第2項に規定する要件を満たしていないので特許を受けることができない、というものである。
3 判断
本願発明の
「前記コンテクスト情報の評価を実行するステップであって、前記評価は、複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点を使用して、前記コンテクスト情報を関連性について評価するものである、ステップ」
によれば、「前記コンテクスト情報の評価」については、
a 複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出された信頼スコア及び共通点が使用されること、及び
b 前記コンテクスト情報を関連性について評価するものであること
の2つの事項が特定されている。
そして、本願発明の「前記複数のコンテクスト情報ソースは、キーワード又はフレーズを検出するための光学式文字認識と、関連する画像について検索エンジンを用いた逆画像検索と、機械学習を用いて前記画像内の特徴を認識するシーン検出、特徴検出及びランドマーク検出のうちの1つ以上と、のうちのいずれかを含む」によれば、上記aの「複数のコンテクスト情報ソース」は、「キーワード又はフレーズを検出するための光学式文字認識と、関連する画像について検索エンジンを用いた逆画像検索と、機械学習を用いて前記画像内の特徴を認識するシーン検出、特徴検出及びランドマーク検出のうちの1つ以上と、のうちのいずれかを含む」ものである。
また、本願発明の「前記関連性は、あるキーワードがフレームのバッチ内のいくつかのフレームにわたって繰り返されるときの繰り返しの頻度であり」及び「前記コンテクスト情報の評価を実行するステップは、前記頻度が高いほど関連性がより高いと評価し」によれば、上記bの「関連性」は、「あるキーワードがフレームのバッチ内のいくつかのフレームにわたって繰り返されるときの繰り返しの頻度」であり、その「頻度」が高いほど「関連性がより高い」と「評価」されるものである。
以上を総合すると、本願発明における「前記コンテクスト情報の評価」は、
a’ 「キーワード又はフレーズを検出するための光学式文字認識と、関連する画像について検索エンジンを用いた逆画像検索と、機械学習を用いて前記画像内の特徴を認識するシーン検出、特徴検出及びランドマーク検出のうちの1つ以上と、のうちのいずれかを含む」ものである「複数のコンテクスト情報ソース」にわたって算出された「信頼スコア」及び「共通点」とが使用されるものであり、
b’ コンテクスト情報を、「あるキーワードがフレームのバッチ内のいくつかのフレームにわたって繰り返されるときの繰り返しの頻度」である「関連性」について「評価」するものであって、「頻度」が高いほど「関連性がより高い」と「評価」する、
というものである。
ここで、b’に特定される、フレームに含まれる「キーワード」の「頻度」が高いほど「関連性がより高い」と「評価」することについて、a’により算出される「信頼スコア」及び「共通点」をどのように用いるのか、請求項9には何ら記載がない。
なお、明細書は補正されていないところ、明細書の【0008】、【0012】及び【0042】には、「共通点」について、上記[理由]2(1)で摘記した事項が記載されている。
この記載によれば、明細書には、「共通点」が「信頼スコア」とともに、「複数のコンテクスト情報ソースにわたって算出」されること、及び、「コンテクスト情報」を「評価」して「重み付け」を行うことが記載されているが、「共通点」自体の定義についての記載はないため、「評価」及び「重み付け」における「共通点」の役割が不明である。また、明細書には、フレームに含まれる「キーワード」の「頻度」が高いほど「関連性がより高い」と「評価」することに対して、「信頼スコア」及び「共通点」をどのように使用するのかについて何ら記載がない。なお、明細書の【0026】の記載「キーワード及び/又はフレーズの信頼スコアは頻度に基づくことができる。」によれば、「信頼スコア」が「キーワード」の「頻度」すなわち「関連性」に基づいた事項であると認められるが、逆に、「信頼スコア」が、「キーワード」の「頻度」が高いほど「関連性が高い」と「評価」することに使用されているとは認められず、また、「共通点」については、「キーワード」の「頻度」との関係についてすら、明細書には記載がない。
そして、フレームに含まれる「キーワード」の「頻度」が高いほど「関連性がより高い」と「評価」することについて「信頼スコア」及び「共通点」(特に、「共通点」)をどのように使用するのかが、本願優先日前における技術常識とも認められない。
よって、本願発明は、特許請求の範囲の記載だけではなく、明細書及び図面の記載を考慮し、また、当業者の本願優先日前における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。
4 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、次の主張をしている。
「補正後の請求項1、9および13には「「信頼スコア」がどのような値であるのか」、「「共通点」の役割」、「信頼スコア及び共通点をどのように使用するか」が明確に記載されています。よって、指摘された拒絶理由は解消したものと思料します。」
しかしながら、本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本件補正後の請求項の記載に基づく上記主張は採用することができない。
5 まとめ
以上のとおりであるから、請求項9に係る発明は、明確ではない。
第4 むすび
以上のとおり、請求項9に係る発明は、特許法第36条第2項に規定する要件を満たしていないため特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-022212