2024-000780
包装体
- 審判番号
- 2024-000780
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-105983外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年01月17日
- 審決日
- 2025年10月14日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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この出願(以下「本願」という。)は、令和元年6月6日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
同年 5月30日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
同年 8月10日 :意見書の提出
同年11月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月14日 :原査定の謄本の送達)
第2 本願発明
本願の請求項1~7に係る発明は、令和5年3月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】たんぱく質、脂質、炭水化物の栄養素を含み、25℃での粘度が3,500mPa・s以上22,000mPa・s以下であり、かつ、熱量が2.5kcal/mL以上4.5kcal/mL以下である高カロリー栄養組成物と、当該高カロリー栄養組成物を充填し、かつ容量が40~60mLである容器とを有し、前記容器は、片手で握れる大きさであり、前記容器は、高さが105mm以下および幅が84mm以下であり、前記容器は、袋状をなし高カロリー栄養組成物が充填される容器本体を有し、前記容器本体は、その平面視形状が長方形状をなし、底部が内側に折り込まれた折込部を有するスタンディングタイプのパウチ容器である、包装体。」
第3 原査定の概要
原査定における拒絶の理由の概要は、次の理由を含むものである。
拒絶理由(進歩性)
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献5に記載された事項、及び周知技術に基いて、その出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2019/017006号
2.特開2005-229879号公報
3.特開2010-30632号公報(周知技術を示す文献)
4.登録実用新案第3074620号公報(周知技術を示す文献)
5.河内まき子、“AIST日本人の手の寸法データ”、[online]、2012年、国立研究開発法人産業技術総合研究所、取得先<URL:https://www.airc.aist.go.jp/dhrt/hand/index.html>
第4 当審の判断
1 引用文献に記載された事項及び発明等
(1) 引用文献1について
ア 引用文献1の記載
原査定における拒絶の理由で引用された引用文献1には、次の記載がある(下線は当審において付与したものであり、「・・・」は省略を示す。以下同様。)。
「[0001] 本発明は、主に経口または経管により栄養素を補給するための高カロリー栄養組成物および包装体に関する。」
「[0021] 図1に示すように、包装体1は、容器10と、この容器10内に充填された高カロリー栄養組成物(図示せず)とを有する。」
「[0122]<<容器>>容器10は、本実施形態では、ストロー付きアルミパウチであり、上述した高カロリー栄養組成物が充填され、この高カロリー栄養組成物を持ち運び(輸送)する際、および、摂取する際の容器としての機能を併せ持つ。[0123] この容器10は、図1に示すように、袋状をなし高カロリー栄養組成物が充填される容器本体30と、容器本体30の上端部に設けられ、容器本体30に連通する開口部20と、開口部20に着脱可能に設けられた蓋体25とを有している。[0124] 容器本体30は、本実施形態では、平面視形状が長方形状をなし、両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼットタイプのパウチ容器であり、その容量が100mLとなるように、その高さA120mm×幅B80mm×ガゼット幅21mmに設定されている。[0125] この容器本体30に、熱量が2.5kcal/mL以上4.5kcal/mL以下の高カロリー栄養組成物が充填されており、その充填量が100mLとなっている。そのため、例えば、朝食、昼食および夕食の三食に、包装体1により、容器本体30内に充填されている高カロリー栄養組成物を取得することで、750kcal以上1350kcal以下のエネルギーの取得が可能である。したがって、包装体1による高カロリー栄養組成物の三食の摂取によって、高齢者が1日で取得することが望ましいエネルギー量を満足することができる。よって、高カロリー栄養組成物を摂取する摂取者(高齢者)は、容器本体30に充填されている、100mLと言う少量の高カロリー栄養組成物を食するだけで、高齢者が1日で取得することが望ましいエネルギー量が達成される。[0126] なお、容器10(容器本体30)は、その容量が上記のように100mLである場合に限らず、50mL~200mL程度の容量を有するものであってもよい。かかる範囲内の容量を有するものであれば、持ち運びも容易であり、かつ、望ましいとされるエネルギー量を取得することができる。・・・[0130] この開口部20は、その内口径(直径)が、本実施形態では、8.33mmに設定されている。内口径(開口径)をかかる大きさに設定し、さらに、例えば、25℃での粘度が3,500mPa・s以上17,000mPa・s以下である高カロリー栄養組成物を容器本体30に充填することで、摂取者は、液だれを生じさせることなく、容器本体30の押圧により、高カロリー栄養組成物を、開口部20を介して容器本体30から容易に排出させて、経口により高カロリー栄養組成物を摂取者が取得する(食する)ことができる。また、この際、開口部20から50mL/min以上60mL/min以下の速度で、高カロリー栄養組成物を排出するとき、容器本体30を押圧する吐出圧力を好ましくは20kPa以下、より好ましくは10kPa以下に設定することができる。これにより、高齢者のように握力が低下した摂取者であっても、手による容器本体30の押圧により、開口部20を介して、容器本体30から高カロリー栄養組成物を排出させて、食することができる。」
「[0135] また、高カロリー栄養組成物を充填する容器10、すなわち、包装体1が備える容器10としては、本実施形態で説明した、ストロー付きアルミパウチに、限定されず、例えば、他の公知の容器が用いられ、この容器としては、テトラパック、カート缶、ガラス容器、金属缶、プラスチック容器等が挙げられる。」
「[請求項1] たんぱく質、脂質、炭水化物を含む栄養素を含有し、熱量が2.5kcal/mL以上4.5kcal/mL以下である高カロリー栄養組成物であって、前記たんぱく質は、コラーゲンペプチドおよび乳清たんぱく質を含み、前記乳清たんぱく質の重量含有量を1.0としたとき、前記コラーゲンペプチドの重量含有量が1.0以上26.0以下であることを特徴とする高カロリー栄養組成物。[請求項2] 25℃での粘度が3,500mPa・s以上17,500mPa・s以下である請求項1に記載の高カロリー栄養組成物。・・・[請求項8] 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の高カロリー栄養組成物と、前記高カロリー栄養組成物を充填した容器とを有することを特徴とする包装体。」
「[図1][図:0001429437000001.jpg]」
イ 引用文献1の記載から認定できる事項
上記アに示した[0021]、[0122]、[0123]、[0124]、[0130]の記載を踏まえれば、[請求項8]に記載されている「高カロリー栄養組成物と、前記高カロリー栄養組成物を充填した容器とを有することを特徴とする包装体」には、[0021]に記載の「包装体1は、容器10と、この容器10内に充填された高カロリー栄養組成物・・・とを有する」構成と、[0122]に記載の「容器10は、・・・ストロー付きアルミパウチであり」という構成、[0123]に記載の「容器10は、・・・袋状をなし高カロリー栄養組成物が充填される容器本体30・・・を有している。」という構成、[0124]に記載の「容器本体30は、本実施形態では、平面視形状が長方形状をなし、両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼットタイプのパウチ容器であり、その容量が100mLとなるように、その高さA120mm×幅B80mm×ガゼット幅21mmに設定されている」という構成、[0130]に記載の「手による容器本体30の押圧により、・・・容器本体30から高カロリー栄養組成物を排出させて、食することができる」という構成を備えた包装体1が含まれると認められる。
ウ 引用発明
上記ア及びイから、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「たんぱく質、脂質、炭水化物を含む栄養素を含有し、熱量が2.5kcal/mL以上4.5kcal/mL以下であり、25℃での粘度が3,500mPa・s以上17,500mPa・s以下である高カロリー栄養組成物と、前記高カロリー栄養組成物を充填した容器10とを有する包装体1であって、容器10は、ストロー付きアルミパウチであり、容器10は、袋状をなし高カロリー栄養組成物が充填される容器本体30を有し、容器本体30は、平面視形状が長方形状をなし、両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼットタイプのパウチ容器であり、その容量が100mLとなるように、その高さA120mm×幅B80mm×ガゼット幅21mmに設定され、手による容器本体30の押圧により、容器本体30から高カロリー栄養組成物を排出させて、食することができる、包装体1。」
(2) 引用文献2について
ア 引用文献2の記載
原査定における拒絶の理由で引用された引用文献2には、次の記載がある。
「【0022】[実施例](1)高栄養ゼリー状食品の製造原料として、鶏肉10部、タマネギ2部、サラダ油12部、醤油0.3部、食塩0.1部、カラギナン0.5部、粉末寒天0.1部、分離大豆蛋白(蛋白質含量90%)3.5部、デキストリン2部及び清水69.5部を用意した。続きを表示(全15行)次に、攪拌機付きニーダーで鶏肉及びタマネギをサラダ油の配合の一部でソテーし、これに残りのサラダ油と清水に混合分散した醤油、食塩、カラギナン、粉末寒天、分離大豆蛋白及びデキストリンを加えて攪拌混合した後、コミトロール(アーシャル社製、モデルナンバー1700、200ブレード)でペースト化処理した。続いて、前記ペースト化処理した原料をカップ型の耐熱性合成樹脂製容器(70ml容量)に60gずつ充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、熱水式レトルト中で120℃で20分間加熱殺菌した後、冷却して、容器入り高栄養ゼリー状食品を得た。製した高栄養ゼリー状食品は、製品100g当たりカロリーが150kcal、並びに蛋白質が9gであり、その固さは、7×103N/m2であった。(2)液状調味料の製造醸造酢30部、ブドウ糖果糖液糖10部、食塩5部、キサンタンガム0.3部、香辛料0.1部及び清水54.6部をミキサーに投入して混合しpH4.0の液状調味料を得た。この液状調味料を合成樹脂製のフィルム包装に充填密封してパウチ入り液状調味料を得た。この液状調味料の品温20℃における粘度は、2.0×10-1Pa・sであった。(3)高栄養ゼリー状食品キットの製造(1)で製した容器入り高栄養ゼリー状食品と(2)で製したパウチ入り液状調味料を80mm×80mm×30mmの化粧箱に入れて、高栄養ゼリー状食品キットを製した。(4)咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法(3)で製した高栄養ゼリー状食品キットから、容器入り高栄養ゼリー状食品(内容量60g、品温20℃)を開封して取り出し、皿に盛り付けた。次に、パウチ入り液状調味料(内容量15g、品温20℃)を開封し、皿に盛り付けた高栄養ゼリー状食品の上からかけて、咀嚼・嚥下困難者に食事として提供した。この咀嚼・嚥下困難者用食事を摂食し、その咀嚼のしやすさを評価したところ、口腔内でざらついたりべたついたりすることなく、嚥下しやすい食事であった。」
イ 引用文献2に記載の事項
上記アから、引用文献2には以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「咀嚼・嚥下困難者用食事として提供する、高栄養ゼリー状食品を60gとすること。」
(3) 引用文献3及び引用文献4、並びに周知技術について
ア 引用文献3の記載
原査定における拒絶の理由で引用された引用文献3には、次の記載がある。
「【0017】本実施形態のパウチ容器1は、略四角形の正面フィルム2及び背面フィルム3のそれぞれの底縁部に底フィルム4の縁部がシールされて底スタンディング部6が形成され、これら正面フィルム2及び背面フィルム3の両側端縁部同士および上端縁部同士がシールされてなり、上部に注出口としてのスパウト8が設けられているスタンディングタイプのパウチ容器である。」
「【0021】パウチ容器1の底スタンディング部6は、中央に折り線5を有する底フィルム4を正背面フィルム2,3の下端縁部にシールして形成され、内容物充填前のパウチ容器1では折り線5に沿って底フィルム4がV字形に折り畳まれ、またパウチ容器1に内容物を満杯まで充填した状態では底スタンディング部6が図2(c)に示すように、底面視楕円形をなすように広がるようになっている。・・・」
「【図1】[図:0001429437000002.jpg]」
イ 引用文献4の記載
原査定における拒絶の理由で引用された引用文献4には、次の記載がある。
「【0012】図1に、本考案の容器に充填されるゼリー飲料の製造工程の一例を示す。この工程は、緑茶抽出工程を経て抽出された緑茶抽出液に、他の各成分を添加して加熱下で溶解し、これをスパウト付きレトルトパウチまたはソフトパウチに充填し、レトルト殺菌及び検査を行うステップからなる。【0013】図2は上記のゼリー飲料が充填された容器1を示す。容器1はゼリー飲料を収容する袋体2と、袋体2に取り付けられたキャップ3とを備えている。袋体2は、アルミニウム箔と耐熱性樹脂シートとが積層されたガスバリヤ性シートによって形成されている。袋体2の底部は幅広となっており、これにより容器1が自立可能である。」
「【0016】袋体2は、金属箔の両面に樹脂シートが積層された略長方形の形状を有する3枚のガスバリヤ性シート10、20、30からなる。側面を形成する2枚のガスバリヤ性シート10、20のそれぞれの両長辺端部11、11′、21、21′は、互いに所定の巾で融着されて側端部41、41′をなし、それぞれの一方側短辺端部12、22は、互いに所定の形状で融着されて上端部42をなす。また、それぞれの他方側短辺端部13、23は、底面を形成する1枚のガスバリヤ性シート30の両長辺端部33、33′とそれぞれ楕円の円弧状に融着されて底端部43をなし、底面を形成するガスバリヤ性シート30の両短辺34、34′が、それぞれ中央で折り重ねられ所定の巾で側端部41、41′の底端部43側にそれぞれ挟まれて一体に融着されて楕円形状の幅広の底部44を形成している。以上のように形成され、ゼリー飲料が充填された袋体2は、全体が可撓性を有し、自立することができる。」
「【図2】[図:0001429437000003.jpg]【図3】[図:0001429437000004.jpg]【図4】[図:0001429437000005.jpg]」
ウ 周知技術について
上記ア及びイの記載を踏まえれば、以下の事項は周知の技術(以下単に「周知技術」という。)であると認められる。
「底フィルムが折り畳まれた底スタンディング部を有し、スパウトが設けられているスタンディングタイプのパウチ容器。」
(4) 引用文献5について
ア 引用文献5の記載
原査定における拒絶の理由で引用された引用文献5には、次の記載がある。
「被験者は、18~64歳の健常な日本人です。」((1)調査の概要の3.被験者の概要)
「[図:0001429437000006.jpg]」((2)寸法項目一覧のL07.手掌長第5指)
「[図:0001429437000007.jpg]」((2)寸法項目一覧のB03.手幅)
「[図:0001429437000008.jpg]」((2)寸法項目一覧のB04.最大手幅)
イ 引用文献5に記載の事項
上記アから、引用文献5には以下の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「日本人における、手掌長第5指の平均値が85.0mm、手幅の平均値が79.8mm、最大手幅の平均値が99.5mmであること。」
(5) 引用文献6について
ア 引用文献6の記載
当審において新たに引用する引用文献6(国際公開第2016/080420号)には、次の記載がある。
「[0040] 以下、本明細書において、「液状乳化物製品」は、液状乳化物を容器に充填した容器入りの食品をいう。[0041] 図1図示のように、スパウト付きガゼットパウチ容器2は、一対の軟包装シート8、8の上縁部及び両側縁部をヒートシールすると共に、軟包装シート8、8の下端部において、両者の間に折込部5aを介して折り込まれる軟包装シートからなるガゼットシート9の周縁を、軟包装シート8、8の下端部の内面に、ヒートシールすることで、折込部5aを介して折畳み可能なガゼット部5が形成されるパウチ3と、パウチ3に装着されるスパウト6を備えている。スパウト6を介して前記の液状乳化物を充填すること、他の食品や食器や調理器具に注出すること、容器をリキャップすることが可能である。[0042]・・・また、図2図示のように、スパウト付きガゼットパウチ容器2は、ガゼット部5を幅Dの方向に展開している自立可能な容器であることが好ましい。」
「[0047] また、本実施形態のスパウト付きガゼットパウチ容器2では、例えば、パウチ3の幅Wが70~150mm(好ましくは75mm~125mm、より好ましくは100mm~120mm、さらに好ましくは110mm~120mm)、高さHが90~200mm(好ましくは95mm~180mm、より好ましくは115~150mm、さらに好ましくは130mm~150mm)、奥行Dが25~70mm(好ましくは25mm~65mm、より好ましくは50mm~62mm、さらに好ましくは53~60mm)である。このような寸法であった場合、片手で取り扱いやすく(持ちやすく)、容器に充填した前記の液状乳化物を大量にも少量にも注出しやすい(液状乳化物の注出量を制御しやすい)からである。ここで、パウチ3の幅Wは、下縁シール部3bの長さであり、高さHは、第二の側縁シール部3dの高さであり、奥行D(図2)は、ガゼット部5の奥行である。[0048] また、本実施形態のスパウト付きガゼットパウチ容器2では、例えば、容量が50~500mL(好ましくは50~400mL、より好ましくは100~300mL、さらに好ましくは200~300mL)であって、第二の側縁シール部3dに、第一の側縁シール部3cに向けて湾曲している湾曲部4が形成されていることが好ましい。このような容量であった場合、手が小さめの使用者でも片手で無理なく取り扱いやすく、容器に充填した前記の液状乳化物を大量にも少量にも注出しやすいからである。・・・。」
「実施例5[0099] この実施例では、品種の同一の液状乳化物を、寸法の異なるスパウト付きガゼットパウチ容器に充填し、複数種の液状乳化物製品を製造して、それぞれの容器の使用面(最初に開封する場合における開けやすさ、片手での取り扱いやすさ(持ちやすさ)、用途や用量を制御した注出しやすさ(注ぎやすさ)等)について検証した。ここで、液状乳化物として、合成クリーム(「明治北海道十勝フレッシュ100」(商品名))を使用した。[0100] 具体的には、スパウト6が装着されたスパウト装着部3eの傾斜角度R1を45度に設定し、パウチ3の幅W、高さH、奥行D、湾曲部4の形成位置、軟包装シート8の傾斜角度R2の好ましい条件等を勘案し、表5に示す通り、寸法の異なるスパウト付きガゼットパウチ容器2を製造した。そして、液状乳化物(合成クリーム)を、寸法の異なるスパウト付きガゼットパウチ容器に充填し、各種の液状乳化物製品1を製造した。[表5][図:0001429437000009.jpg]・・・[0103]<検証の結果>上記の寸法の異なるスパウト付きガゼットパウチ容器の何れでも、液状乳化物を収容・注出する容器として、最初に開封する場合における開けやすさ、片手での取扱いやすさ(持ちやすさ)、用途や用量を制御した注出しやすさ(注ぎやすさ)に優れた構造となっており、実際に、液状乳化物を大量にも少量にも注出しやすく、液状乳化物の適量を容易に注ぐことができた。つまり、本発明の寸法の異なるスパウト付きガゼットパウチ容器では、最初に開封する場合において開けやすく、片手で取扱いやすく(持ちやすく)、用途や用量を制御して注出しやすい(注ぎやすい)ことを確認できた。」
「[図1][図:0001429437000010.jpg][図2][図:0001429437000011.jpg]」
イ 引用文献6に記載の事項
上記アの特に[0040]~[0042]、[0099]、[0100]、[0103]、[図1]、及び[図2]を踏まえれば、引用文献6には以下の「引用文献6記載事項1」が記載されていると認められる。
「スパウト付きガゼットパウチ容器2であって、折込部5aを介して折畳み可能なガゼット部5が形成されるパウチ3と、パウチ3に装着されるスパウト6を備え、ガゼット部5を幅Dの方向に展開している自立可能な容器であり、内容量50mL、幅W80mm、高さH100mmであり、片手での取扱いやすさ(持ちやすさ)に優れた、スパウト付きガゼットパウチ容器2。」
また、上記アの特に[0047]及び[0048]から、引用文献6には以下の「引用文献6記載事項2」が記載されていると認められる。
「スパウト付きガゼットパウチ容器2において、パウチ3の幅Wが70~150mm、高さHが90~200mmであった場合、片手で取り扱いやすく(持ちやすく)、容量が50~500mLであった場合、手が小さめの使用者でも片手で無理なく取り扱いやすいこと。」
2 対比
(1) 本願発明と引用発明を対比する。
ア 高カロリー栄養組成物について
引用発明の「たんぱく質、脂質、炭水化物を含む栄養素を含有し、熱量が2.5kcal/mL以上4.5kcal/mL以下であり、25℃での粘度が3,500mPa・s以上17,500mPa・s以下である高カロリー栄養組成物」は、本願発明の「たんぱく質、脂質、炭水化物の栄養素を含み、25℃での粘度が3,500mPa・s以上22,000mPa・s以下であり、かつ、熱量が2.5kcal/mL以上4.5kcal/mL以下である高カロリー栄養組成物」に相当する。
イ 容器について
引用発明の「前記高カロリー栄養組成物を充填した容器10」と、本願発明の「当該高カロリー栄養組成物を充填し、かつ容量が40~60mLである容器」は、「当該高カロリー栄養組成物を充填した容器」である限りにおいて一致する。
また、引用発明の「容器10は、袋状をなし高カロリー栄養組成物が充填される容器本体30を有」する構成は、本願発明の「前記容器は、袋状をなし高カロリー栄養組成物が充填される容器本体を有」する構成に相当する。
ウ 容器本体について
引用発明の「容器本体30は、平面視形状が長方形状をなし、両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼットタイプのパウチ容器であ」る構成は、本願発明の「前記容器本体は、その平面視形状が長方形状をなし、底部が内側に折り込まれた折込部を有するスタンディングタイプのパウチ容器である」構成と、「前記容器本体は、その平面視形状が長方形状をなし、内側に折り込まれた折込部を有するパウチ容器である」限りにおいて一致する。
エ 包装体について
引用発明の「高カロリー栄養組成物と、前記高カロリー栄養組成物を充填した容器10とを有する包装体1」は、本願発明の「高カロリー栄養組成物と、当該高カロリー栄養組成物を充填」した「容器とを有」する「包装体」に相当する。
(2) 本願発明と引用発明は次の点で一致し、相違する。
ア 一致点
「たんぱく質、脂質、炭水化物の栄養素を含み、25℃での粘度が3,500mPa・s以上22,000mPa・s以下であり、かつ、熱量が2.5kcal/mL以上4.5kcal/mL以下である高カロリー栄養組成物と、当該高カロリー栄養組成物を充填した容器とを有し、前記容器は、袋状をなし高カロリー栄養組成物が充填される容器本体を有し、前記容器本体は、その平面視形状が長方形状をなし、内側に折り込まれた折込部を有するパウチ容器である、包装体。」
イ 相違点
容器及び容器本体について、本願発明は「容量が40~60mLである容器」であり、「前記容器は、片手で握れる大きさであり、前記容器は、高さが105mm以下および幅が84mm以下であり、」「前記容器本体は、」「底部が内側に折り込まれた折込部を有するスタンディングタイプのパウチ容器である」のに対して、引用発明は「容器本体30」が「両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼットタイプのパウチ容器であり、その容量が100mLとなるように、その高さA120mm×幅B80mm×ガゼット幅21mmに設定され」ている点。
3 判断
(1) 相違点について
まず、容器10の容量について検討する。上記1(1)アに示した引用文献1の[0126]には、「容器10(容器本体30)は、その容量が上記のように100mLである場合に限らず、50mL~200mL程度の容量を有するものであってもよい。かかる範囲内の容量を有するものであれば、持ち運びも容易であり、かつ、望ましいとされるエネルギー量を取得することができる」と記載されていることから、容量を50mL程度に変更することに何ら困難性はない。
次に、容器10の容量に応じた容器10の高さ及び幅寸法について検討する。引用発明は、「容量が100mLとなるように、その高さA120mm×幅B80mm×ガゼット幅21mmに設定され」ているものであるところ、この容器の容量を上述のように50mL程度に変更した場合、容器の高さや幅寸法を小さくする設計変更も通常行われる。ここで、上記1(5)イに示した引用文献6記載事項1に鑑みると、引用発明1の容器の容量を50mL程度に設計変更とした際の容器の大きさとして、高さ100mm、幅80mmとすることに困難性はない。
さらに、容器10の形態について検討する。上記1(1)アに示した引用文献1の[0135]には、「包装体1が備える容器10としては、本実施形態で説明した、ストロー付きアルミパウチに、限定されず、例えば、他の公知の容器が用いられ、この容器としては、テトラパック、カート缶、ガラス容器、金属缶、プラスチック容器等が挙げられる」と記載されており、容器10の形態はストロー付きアルミパウチに限定されないと理解できる。この点を踏まえれば、引用発明と同種のストロー付きパウチであって、上記1(3)ウで周知技術として示した、底フィルムが折り畳まれた底スタンディング部を有する、スパウトを備えたスタンディングタイプのパウチを採用することに困難性はない。また、上記引用文献6記載事項1から明らかなように、底部に折込部を備えたスタンディングタイプのパウチにおいて、容量50mL、高さ100mm、幅80mmの寸法を設定することにも、困難性はない。
そして、容量50mL、高さ100mm、幅80mmのスタンディングタイプのパウチが、片手で握れる大きさであることは、上記1(4)イに示した引用文献5記載事項や引用文献6記載事項1及び2からも明らかなように、当業者にとって自明なことである。
以上から、引用発明において、引用文献1の記載及び周知技術を参酌し、引用文献5記載事項並びに引用文献6記載事項1及び2から自明な事項を踏まえれば、上記相違点に係る本願発明における発明特定事項とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
(2) 効果について
本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献1の記載及び周知技術の奏する作用効果や、引用文献5記載事項並びに引用文献6記載事項1及び2から自明な事項から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(3) 請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書の「(3-2)相違点1に対する審査官の判断について」において、以下のとおり主張する。
「しかしながら、引用文献2の段落[0022]には、・・・とあり、引用発明2の高栄養ゼリー状食品の重量は100gです。よって、引用発明2のカップ型の耐熱性合成樹脂製容器の容量は100mLを超えているものと思われます。仮にペースト化処理した原料をカップ型の耐熱性合成樹脂製容器に60g充填しているとしても、そのまま提供されるわけではなく、パウチ入り液状調味料15gを加えて食事として提供するものなので、審査官の上記認定・判断は妥当ではないと思われます。加えて、引用発明2の高栄養ゼリー状食品は、カップ型の耐熱性合成樹脂製容器(70ml容器)の開口部をイージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封される容器に充填されたものと、それとは別に、合成樹脂製のフィルム包装に充填密封される液状調味料とがセットとされたもの(高栄養ゼリー状食品キット)であるので、引用発明1の容器構成とは全く異なり、食品としての提供方法も全く異なるものであります。したがって、引用発明2の高栄養ゼリー状食品キットにならっても、引用発明1の容器の容量を40~60mLの範囲内とすることには容易に想到できません。」(以下「主張1」という。)
上記主張1について検討すると、原査定において引用文献2は、高カロリー栄養組成物の一回分の摂取量として60g、すなわち50mL程度の容量が一般的に用いられていることを示すものであって、引用発明に引用文献2に記載された容器構成を適用するものではない。また、上記(1)での検討のとおり、容器の容量を40~60mLの範囲内とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
よって、上記主張1は採用できない。
イ また、請求人は、審判請求書の「(3-3)相違点2および相違点3に対する審査官の判断について」において、以下のとおり主張する。
「審査官は、・・・と判断していますが、この判断は妥当でないと思料いたします。まず、審査官は、手で押圧して喫食可能な容器を片手で握れる大きさとすることが慣用的に行われている事項であることについて、何らの証拠も示していません。手で押圧して喫食可能な容器を片手で握れる大きさとする場合、直立可能なものでは、容器の高さが105mm以下および容器の幅が84mm以下であるものは提示されておらず(引用文献3のパウチ容器は縦寸法が130~190mmであり、引用文献4の容器はゼリー飲料を150ml充填しているので、それぞれ本願発明1よりも大型の容器であることが理解できる。)、さらに、充填容量が小さい容器では、下記[図1]のように直立不可能なチューブ式にすることが一般的です。【図1】・・・したがいまして、引用発明1に基いて、平面視形状が長方形状を成し、底部が内側に折り込まれた折込部を有するスタンディングタイプのパウチ容器において、片手で握ることができ、かつ、高さが105mm以下、幅が84mm以下の容器に想到することは容易なことではありません。」
さらに、審査官は、・・・と判断しています。・・・また、その引用文献5には、一般的な男性、女性の手の各部の大きさしか記載されていません。よって、たとえ引用発明1および引用発明5に接した当業者であっても、容器を片手で握れる大きさとし、容器の高さを105mm以下とし、かつ、容器の幅を84mm以下とすることには容易に想到できません。」(以下「主張2」という。)
上記主張2について検討すると、引用文献1の[0122]~[0126]及び[図1]には、容器の構成について説示されており、[0124]において容器本体30がガゼットタイプのパウチ容器であることが示され、[0125]においてその容量として100mLの例が記載されていると理解できる。その上で[0126]において、容量を100mLに限らず50mL~200mLとすることが示されていることを踏まえれば、[0124]に示されたガゼットタイプのパウチ容器を50mL~200mLとすることが可能であると、当業者であれば理解できる。また、ガゼットタイプのパウチ容器を50mLのような小容量とする際に技術的な困難性が生じるような技術常識は確認できない。
そして、上記(1)での検討のとおり、容器を片手で握れる大きさとし、容器の高さを105mm以下とし、かつ、容器の幅を84mm以下とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
よって、上記主張2は採用できない。
ウ さらに、請求人は、審判請求書の「(3-4)相違点4に対する審査官の判断について」において、以下のとおり主張する。
「しかしながら、引用発明3は容器の容量を100~300mLとすることで適度な大きさとされた発明であり(段落[0019])、引用発明4の容器の容量は150mlであり(段落[0018])、本願発明1のように容量が40~60mLであり、かつ、高さが105mm以下および幅が84mm以下である容器をスタンディングタイプにすることについては引用文献3,4に記載も示唆もありません。また、審査官は、・・・と判断していますが、引用発明2~4における容量等の値は本願発明1の容量等の値とは全く異なるものです。よって、引用文献2~4に容量等の値について記載があったとしても、引用文献1にこれらを採用する動機付けに関する記載がなく、引用発明2~4の値は本願発明1の値とは異なるため、審査官の上記判断は妥当でないと考えます。さらに、引用発明1~4のいずれにも、片手で握れる大きさであり容量が40~60mLであり、かつ、高さが105mm以下および幅が84mm以下である容器をスタンディングタイプにすることについては示唆がないため、当業者が引用発明1~4に基いて本願発明1の相違点4に係る発明特定事項に想到するのは容易なことではありません。」(以下「主張3」という。)
上記主張3について検討すると、上記(1)での検討と同様に、原査定において引用文献3及び引用文献4はスタンディングタイプのパウチが周知であることを示すために引用されたものであって、容量を適用するものではない。また、上記イで述べたとおり、引用文献1の[0124]に示されたガゼットタイプのパウチ容器を、[0126]に示された50mL~200mLの容量とすることが可能であると、当業者であれば理解できる。加えて、上記(1)で検討したように、引用文献1の[0135]には、ストロー付きアルミパウチに限定されないことが記載されており、上記1(3)ウで周知技術として示した、スパウトを備えたスタンディングタイプのパウチを採用することに困難性はない。加えて、スタンディングタイプのパウチを50mLのような小容量とする際に技術的な困難性が生じるような技術常識は確認できない。
そして、上記(1)での検討のとおり、容量が40~60mLであり、かつ、高さが105mm以下および幅が84mm以下である容器をスタンディングタイプにすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
よって、上記主張3は採用できない。
(4) 小括
上記(1)~(3)から、本願発明は、引用発明、引用文献1の記載、引用文献2記載事項、引用文献5記載事項、引用文献6記載事項1及び2、並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-000780