特許拒絶査定不服審判
2025-002179
包装袋
- 審判番号
- 2025-002179
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-151250
- 請求日
- 2025年02月12日
- 審決日
- 2026年06月16日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】TOPPANホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】黒木 義樹
- 【請求人代理人】鈴木 洋平
- 【請求人代理人】和田 謙一郎
- 【請求人代理人】阿部 寛
- 審判長/審判官
- 審判長 岩谷 一臣
- 審判官 笹木 俊男
- 審判官 稲葉 大紀
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-151250「包装袋」拒絶査定不服審判事件〔令和4年3月22日出願公開、特開2022-45582〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月9日を出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和6年 2月16日付け:拒絶理由通知
令和6年 4月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 7月17日付け:拒絶理由通知(最後)
令和6年 9月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年11月 7日付け:補正の却下の決定
令和6年11月 7日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和6年11月12日 :原査定の謄本の送達)
令和7年 2月12日 :審判請求書の提出
第2 本願発明について
本願の請求項に係る発明は、令和6年4月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、以下に記載のとおりのものである。
「【請求項1】
シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、
包装袋は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、
前側胴部及び後ろ側胴部は、左右の側端部でシールされており、
胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であり、
上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封予定線が設けてあり、
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、
この底部によって包装袋は自立が可能であって、
前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられており、
フラップは、包装袋上方からフラップの高さ位置を超えて連続するフラップ後面フィルムと、包装袋下方から分岐の高さ位置を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、シーラント層同士が対向して重ね合わせられて、フラップの側端部はシールされ、フラップの先端部はシールまたは折り返しによって閉じられて形成されており、
フラップにはその先端部から順に、
幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、
次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、開閉はチャックテープの雄雌形状の嵌合によるものであって、その一部には弱嵌合部を設けてあり、
さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあり、
水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔ており、
前記チャックテープの弱嵌合部は、前記フラップの側端部から、前記チャックテープの嵌合部の幅方向の長さの35/150以上且つ55/150以下の位置に設けられているかまたは前記幅方向における前記チャックテープの中央部に設けられている、
ることを特徴とする、包装袋。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の内容を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2~6に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[引用文献等一覧]
1.国際公開第2008/146915号
2.特開2015-147620号公報
3.特開2020-55568号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2009-166853号公報(周知技術を示す文献)
5.国際公開第2017/119449号(周知技術を示す文献)
6.特開2005-231677号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
引用文献1には、以下の記載がある(なお、下線は当審において付与した。また、「・・・」は記載の省略である。以下同様。)。
「技術分野
[0001] 本発明は、消費者が生鮮食品等の固形具材を、レトルト処理済の液状食品が充填されているパウチ内に投入し、電子レンジで加熱調理することにより、その固形具材を用いた料理を手軽に美味しく調理できるようにするパウチ詰液状食品に関する。特に、白菜やブロッコリー等の野菜を用いた美味しい加熱料理を、電子レンジ加熱を利用して家庭で手軽に作れるようにするパウチ詰液状食品に関する。」
「符号の説明
[0032] 1 パウチ詰液状食品
10 パウチ
11 側縁シール部
12 上縁シール部
13 ジッパー部
14 ジッパーシール部
15 ノッチ
16 ノッチ
17 蒸気抜き機構
18 弱化シール部
19 切欠
20 固形具材
21 内容物の上端
30 液状食品
31 液面
32 内容物の下端
40 説明表示
50 平板」
「[0055] 次に、電子レンジ加熱調理用の本発明のパウチ詰液状食品1を構成するパウチ10について説明する。
[0056] 図1に示す様に、パウチ10は、底面にマチができるようにプラスチックフィルムを折り曲げて重ね合わせ、両側縁部及び上縁部をヒートシールして側縁シール部11及び上縁シール部12を形成したスタンディングパウチからなる平袋状のレトルトパウチであり、パウチ10の片面の上縁シール部12の近傍には、ジッパー部13が設けられている。
[0057] ジッパー部13の外方もヒートシールされてジッパーシール部14が形成されており、このジッパーシール部14近傍の側縁シール部11において、ジッパー部13より上の部分に、引き裂きによりジッパーシール部14を切除し、ジッパー部13を開口可能とするためのノッチ15が形成されている。このようにジッパーシール部14をジッパー部13の外方に設けることにより、レトルト処理の間にジッパー部13が開口することなく、密封状態を維持することが可能となる。
[0058] また、側縁シール部11において、ジッパー部13と上縁シール部12との間には、料理の取出用開口部を引き裂きにより形成するためのノッチ16が形成されている。このノッチ16が形成されていると、このノッチ16からパウチ10の上端部を引き裂いて開口してパウチ10の料理を皿にあけることができる。加熱調理後のパウチ10は大変熱くなっていて、ジッパー部13を開封してパウチ10の料理を皿にあける場合に比べて、より安全にパウチ10の料理を皿にあけることができる。また、内容物を一気に皿に移すことにより内容物が攪拌されるので、料理の加熱ムラを容易に解消することが可能となる。
[0059] また、パウチ10の表面には、電子レンジ加熱時にパウチ10が過度に膨張して破裂することを防止する蒸気抜き機構17が設けられている。蒸気抜き機構17としては、従来より電子レンジ対応包装袋で使用されているものを設けることができ、例えば、側縁シール部11の近傍に、弱化シール部18を設け、その弱化シール部18内に切欠19を形成したものとする。また、パウチ10の蒸気抜き機構17としては、密封されていたジッパー部13が電子レンジ加熱時にパウチ10が膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整してもよい。」
「[0079] パウチ詰液状食品1の製造方法としては、上縁シール部12が未シール状態のパウチ10を用意し、それに液状食品30を充填して、上縁シール部12をヒートシールし、レトルト処理を施せばよい。レトルト処理は、常法により、好ましくは当該食品の中心部の品温を120℃で4分間相当の加熱する又はこれと同等以上の効力を有する条件で加圧加熱殺菌処理すればよい。」
「[図1]
[図:0001437954000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001437954000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001437954000003.jpg]
」
(2)引用文献1から認定できる事項
ア [0056]の「底面にマチができるようにプラスチックフィルムを折り曲げて重ね合わせ、両側縁部及び上縁部をヒートシールして側縁シール部11及び上縁シール部12を形成したスタンディングパウチ」及び図1、2の記載から、パウチ10は、「シーラント層を備えるフィルムからな」るものといえる。
イ 図1~3の記載から以下の事項が看取される。
(ア)「パウチ10」の上部には、斜め上に突き出したフラップ部が形成され、当該フラップ部に「ジッパー部13」が設けられていること。
(イ)当該フラップ部は、「パウチ10」の上方からフラップ部の根本位置を超えて連続するフィルムと、「パウチ10」の下方から当該根本位置を超えて連続するフィルムとが対向して重ね合わされ、その側縁及び先端が、それぞれ「側縁シール部11」と「ジッパーシール部14」とにより閉じられて形成されたものであること。
ウ 上記イ(ア)、(イ)をまとめると、引用文献1の「パウチ10」は、以下の構造を有していると認められる。
「パウチ10の上部には、斜め上方に突き出したフラップ部が形成され、当該フラップ部にジッパー部13が設けられており、
当該フラップ部は、パウチ10の上方からフラップ部の根元位置を超えて連続するフィルムと、パウチ10の下方から前記根元位置を超えて連続するフィルムとが対向して重ね合わせられて、その側縁及び先端が、それぞれ側縁シール部11とジッパーシール部14とによって閉じられて形成されたものであること。」
(3)引用文献1に記載の発明
上記(1)及び(2)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。なお、カッコ内は特に参照した箇所である。
[引用発明]
「底面にマチができるようにプラスチックフィルムを折り曲げて重ね合わせ、両側縁部及び上縁部をヒートシールして側縁シール部11及び上縁シール部12を形成した平袋状のスタンディングパウチであるパウチ10であって、([0056])
当該パウチ10は、シーラント層を備えるフィルムを有し、(上記(2)ア)
側縁シール部11において、ジッパー部13と上縁シール部12との間には、料理の取出用開口部を引き裂きにより形成するためのノッチ16が形成されており、([0058])
パウチ10の片面の上縁シール部12の近傍には、ジッパー部13が設けられていて、ジッパー部13の外方もヒートシールされてジッパーシール部14が形成されており、このジッパーシール部14近傍の側縁シール部11において、ジッパー部13より上の部分に、引き裂きによりジッパーシール部14を切除し、ジッパー部13を開口可能とするためのノッチ15が形成され、([0056]、[0057])
パウチ10の表面には、電子レンジ加熱時にパウチ10が過度に膨張して破裂することを防止する蒸気抜き機構17が設けられており、当該蒸気抜き機構17は、側縁シール部11の近傍に設けた、弱化シール部18内に切欠19を形成したものであり、([0059])
パウチ10の上部には、斜め上方に突き出したフラップ部が形成され、当該フラップ部にジッパー部13が設けられており、
当該フラップ部は、パウチ10の上方からフラップ部の根元位置を超えて連続するフィルムと、パウチ10の下方から前記根元位置を超えて連続するフィルムとが対向して重ね合わせられて、その側縁及び先端部が、それぞれ側縁シール部11とジッパーシール部14とによって閉じられて形成されたものであり、(上記(2)ウ)
パウチ詰液状食品1の製造方法としては、上縁シール部12が未シール状態のパウチ10を用意し、それに液状食品30を充填して、上縁シール部12をヒートシールし、レトルト処理を施されるものである、([0079])
パウチ10。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
「【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容可能なパウチ、および、そのパウチに内容物が充填された内容物封入パウチに関する。」
「【0007】
〔1〕本発明に従うパウチの一形態は、内容物を収容可能な内部空間を形成する袋本体部と、前記袋本体部に形成され、前記内部空間を開放する開口部と、前記開口部を開閉するファスナーとを備え、前記ファスナーは、高嵌合強度部および低嵌合強度部を有し、前記低嵌合強度部は、前記高嵌合強度部よりも嵌合強度が低く、前記ファスナーの雄型および雌型の少なくとも一方が潰された部分である。」
「【0023】
第2側方シール部82は、袋20において第2側方縁26を含む所定範囲の部分をシールする。上方シール部83は、上縁27を含む所定範囲の部分をシールする。
上方シール部83は、上縁27に形成されている。上方シール部83は、ファスナー100を密封している。下方シール部84は、下縁28を含む底ガゼット50の所定範囲の部分をシールしている。易開封シール部85は、袋本体部40を形成する二枚のシートをシールしている。易開封シール部85は、イージーピール性を有する。易開封シール部85は、第1開口部43を密封する。易開封シール部85は、ファスナー100に対して内部空間29側に位置している。」
「【0048】
図9に示されるように、パウチ10は、内部空間29に内容物200および具材500が投入された状態で、ファスナー100が再封される。パウチ10は、ファスナー100が再封された後、電子レンジで加熱される。内容物封入パウチ1は、加熱されることにより、内部空間29で蒸気が発生する。このため、内容物封入パウチ1は、内部空間29の圧力、すなわち内圧が上昇する。内容物封入パウチ1の内圧が上昇することにともない、内容物封入パウチ1には、互いに対向してパウチ10の内部空間29を形成するシートを離間させようとする力が作用する。また、内容物封入パウチ1の内圧が上昇することにともない、内容物封入パウチ1には、高嵌合強度部110の嵌合状態を解除させようとする力(以下、「嵌合解除力」)が作用する。」
「【0050】
図10に示されるように、内容物封入パウチ1は、嵌合解除力が高嵌合強度部110の嵌合強度を上回る前に、低嵌合強度部120が開封する。これにより、低嵌合強度部120を介して外部へと排出される蒸気の排出速度が、内部空間29で発生する蒸気の発生速度を上回る。このため、内容物封入パウチ1の内圧の上昇が穏やかになり、やがて内圧の上昇は停止する。なお、低嵌合強度部120の開封をきっかけとして、高嵌合強度部110の一部の嵌合状態が解除される。」
「【0067】
(4)パウチ10は、易開封シール部85を有する。易開封シール部85は、第1開口部43を密封する。易開封シール部85は、ファスナー100に対して内部空間29側に位置している。このため、第2開口部61から袋20の内部空間29に内容物200をいれるときに、内容物200がファスナー100に付着するおそれが低減される。」
「【図2】
[図:0001437954000004.jpg]
」
「【図3】
[図:0001437954000005.jpg]
」
「【図9】
[図:0001437954000006.jpg]
」
「【図10】
[図:0001437954000007.jpg]
」
(2)引用文献2から看取される事項
図10の記載から、「低嵌合強度部120」は、「ファスナー100」の略中央に設けられていることが看取される。
(3)引用文献2に記載された事項
上記(1)の段落【0007】、【0048】及び【0050】並びに上記(2)から、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認める。
「雄型と雌型の嵌合による開閉可能なファスナーを有する内容物封入パウチにおいて、ファスナーの略中央部を低嵌合強度として蒸気抜きとすること。」
3 周知技術
(1)引用文献4の記載
「【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に食材を投入して、あらかじめ充填された調味液等とともに電子レンジで加熱調理するための包装袋に関する。」
「【0015】
図2に示すように、ジッパー部9のジッパー部材8は、共通のベース部8Aに互いに係合する係合突起8B及び8Cが取り付けられて形成されている。そして、各係合突起8B、8Cが互いに対向するようにベース部8Aが折り曲げられて、端部が前面部材2Aの内面に熱融着等の手段で固定されている。ベース部8Aの折り曲げられた中間部8Dは薄く形成されており、開封時に容易に切断されるようになっている。」
「【0030】
また、ジッパー部9は、ジッパー部材8のベース部8Aによって水密性が保持されているので、開封前の輸送時等に、調味液A等の充填された内容物が係合突起8B、8Cに接触することが防止される。」
「【図2】
[図:0001437954000008.jpg]
【図3】
[図:0001437954000009.jpg]
【図4】
[図:0001437954000010.jpg]
」
(2)引用文献5の記載
「技術分野
[0001] 本発明は、ジッパーテープ、袋体、および袋体の製造方法に関するものである。」
「[0058] <第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を図8から図10に基づいて説明する。
・・・。
図8および図9において、第二実施形態の袋体1は、ガゼット袋からなる袋本体10と、袋本体10に取り付けられたジッパーテープ20とを備える。
・・・
[0059] ジッパーテープ20は、雄部材21および雌部材22を有する。雌部材22の雌側帯状基部22Aは、係合部23に対してイージーピール層22C2とは反対側、つまり、収納空間10C側へ、雄側帯状基部21Aの一縁よりも延長された延長部22Eを有する。
・・・
[0062] 袋体1では、内圧が増大した際には、図1から図7に示す第一実施形態と同様に、第二接合部22D2がフィルム11Bから剥離して内圧がリークされる。この際、第二領域22Gでは、フィルム11Aからの剥離が生じない。このことにより、係合部23は、収納空間10Cとは延長部22Eにより隔離された状態が維持されている。」
「[0069] <第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態を図12Aおよび図12Bに基づいて説明する。
第四実施形態は、ジッパーテープ20の構造が第一実施形態と異なるもので、他の構成は第一実施形態と同じである。・・・
・・・
[0071] 第四実施形態の袋体1の使用方法、製造方法および製造装置は第一実施形態と同じである。
第四実施形態では、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aが連結部24を介して互いに連結されているので、被包装物が流動性の高い物質であっても、被包装物の流出を防止することができる。しかも、連結部24を切り離すことで、被包装物を容易に取り出すことができる。
雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aには、それぞれ連結部24との間に突起状部25が形成されているから、連結部24を容易に切断することができる。」
「[図9]
[図:0001437954000011.jpg]
」
「[図12A]
[図:0001437954000012.jpg]
」
(3)引用文献6の記載
「【技術分野】
【0001】
本発明は、チャックテープ付き袋に関し、特に袋本体が立体形状を有し、自立性を備えると共に、その上部にチャックテープが、その接着速度が低下するようなこともなく安定して熱接着され、また、内容物の充填適性などが損なわれることもなく、良好な再封性が付与されたチャックテープ付き袋に関する。」
「【0041】
図3、図4に示したチャックテープ付き袋200は、前記図1、図2に示したチャックテープ付き袋100の構成において、前記上下のガセット部3a、3bのそれぞれの前後の襞状部4a、4b、4c、4dのうち、前記延長部5を設けた襞状部4bを除く3箇所の襞状部4a、4c、4dの外側端縁部に補強シール部12a、12b、12cを追加して設けると共に、前記延長部5を設けた襞状部4bには、チャックテープ20の下側で延長部5の下縁部から襞状部4bの上縁部に相当する部分に、その前側の襞状部4aの上側端縁部に設けた補強シール部12aと略重なる高さ位置に水平方向に剥離可能な弱シール部9を追加して設けて、チャックテープ20が袋の内部と隔離されるように構成したものであり、前記補強シール部12a、12b、12cと剥離可能な弱シール部9を追加して設けた以外は、全て前記図1、図2に示したチャックテープ付き袋100と同様に形成して構成したものである。
【0042】
このような構成を採ることにより、前記図1、図2に示した構成のチャックテープ付き袋100で得られる作用効果に加えて、先ず、前記剥離可能な弱シール部9を設けることにより、チャックテープ20が袋の内部と隔離されるので、内容物が液状や粉状のものであっても、少なくとも袋の最初の開封前に内容物がチャックテープ20に触れることがなくなり、内容物の安全性が維持されると共に、内容物がチャックテープ20の嵌合部などに付着してチャックテープ20の機能を阻害することも防止することができる。・・・」
「【図3】
[図:0001437954000013.jpg]
【図4】
[図:0001437954000014.jpg]
」
(4)引用文献2、4~6に記載された周知技術
上記(1)~(3)、並びに、上記2(1)の段落【0023】、【0067】及び図2の記載からみて、以下の点は周知技術(以下、単に「周知技術」という。)であると認める。
「初回開封前にチャックテープの嵌合部に対する内容物の付着を防ぐため、チャックテープの内方に水密接合部を形成すること。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「パウチ10」は、「シーラント層を備え」ており、「電子レンジ加熱時」の「蒸気抜き機構17が設けられて」いるから、本願発明の「シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋」に相当する。
引用発明の「パウチ10」は、「上縁シール部12を形成した平袋状のスタンディングパウチであ」り、「側縁シール部11において、ジッパー部13と上縁シール部12との間には、料理の取出用開口部を引き裂きにより形成するためのノッチ16が形成されており、」「上縁シール部12が未シール状態のパウチ10を用意し、それに液状食品30を充填して、上縁シール部12をヒートシールし、レトルト処理を施されるものである」から、当該「パウチ10」は、本願発明の「上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封予定線が設けてあ」る構成と、「上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封部が設けてあ」る限りにおいて一致する。
引用発明の「フラップ部」は、その形状ないし構造に鑑みれば、本願発明の「フラップ」に相当する。
また、引用発明の「パウチ10」は、「底面にマチができるようにプラスチックフィルムを折り曲げて重ね合わせ、両側縁部及び上縁部をヒートシールして側縁シール部11及び上縁シール部12を形成した平袋状のスタンディングパウチであ」るから、本願発明の「包装袋は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、前側胴部及び後ろ側胴部は、左右の側端部でシールされており」「胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、この底部によって包装袋は自立が可能であ」る構成を有している。
引用発明の「パウチ10の上部には、斜め上方に突き出したフラップ部が形成され」「当該フラップ部は、パウチ10の上方からフラップ部の根元位置を超えて連続するフィルムと、パウチ10の下方から前記根元位置を超えて連続するフィルムとが対向して重ね合わせられて、その側縁及び先端部が、それぞれ側縁シール部11とジッパーシール部14とによって閉じられて形成されたもの」という事項は、その形状ないし構造に鑑みれば、本願発明の「前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられており、フラップは、包装袋上方からフラップの高さ位置を超えて連続するフラップ後面フィルムと、包装袋下方から分岐の高さ位置を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、シーラント層同士が対向して重ね合わせられて、フラップの側端部はシールされ、フラップの先端部はシールまたは折り返しによって閉じられて形成されており」という事項に相当する。
また、引用発明の「ジッパーシール部14近傍の側縁シール部11において、ジッパー部13より上の部分に、引き裂きによりジッパーシール部14を切除し、ジッパー部13を開口可能とするためのノッチ15が形成され」ている事項は、本願発明の「フラップにはその先端部から順に、幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、開閉はチャックテープの雌雄形状の嵌合によるものであ」る構成と、「フラップにはその先端部から順に、幅方向にフラップの開封部が設けてあり、次に幅方向の開閉部が設けてあ」る限りにおいて一致する。
引用発明の「パウチ詰液状食品1の製造方法としては、上縁シール部12が未シール状態のパウチ10を用意し、それに液状食品30を充填して、上縁シール部12をヒートシールし、レトルト処理を施されるものである」という事項は、本願発明の「胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であ」る構成と、「胴部の上辺は、充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であ」る限りにおいて一致する。
そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、
包装袋は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、
前側胴部及び後ろ側胴部は、左右の側端部でシールされており、
胴部の上辺は、充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であり、
上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封部が設けてあり、
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、
この底部によって包装袋は自立が可能であって、
前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられており、
フラップは、包装袋上方からフラップの高さ位置を超えて連続するフラップ後面フィルムと、包装袋下方から分岐の高さ位置を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、シーラント層同士が対向して重ね合わせられて、フラップの側端部はシールされ、フラップの先端部はシールまたは折り返しによって閉じられて形成されており、
フラップにはその先端部から順に、
幅方向にフラップの開封部が設けてあり、
次に幅方向の開閉部が設けてある、包装袋。」
[相違点1]
胴部の開封部及びフラップの開封部について、本願発明では、「開封予定線」であるのに対し、引用発明では、開封予定線については特定されていない点。
[相違点2]
フラップに設けられた幅方向の開閉部について、本願発明では、「開閉はチャックテープの雄雌形状の嵌合によるものであって、その一部には弱嵌合部を設けてあり、」「前記チャックテープの弱嵌合部は、前記フラップの側端部から、前記チャックテープの嵌合部の幅方向の長さの35/150以上且つ55/150以下の位置に設けられているかまたは前記幅方向における前記チャックテープの中央部に設けられている」のに対し、引用発明は、ジッパー部13がかかる構成を有しておらず、蒸気抜き機構17は別途、側縁シール部11の近傍に形成されている点。
[相違点3]
本願発明は、「チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあり、水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔て」ているのに対し、引用発明は、かかる構成を有していない点。
[相違点4]
胴部の上辺の充填用開口部からの充填方法について、本願発明では、「機械充填」と特定されているのに対し、引用発明では、機械充填か否かが不明な点。
第6 判断
1 相違点1について
包装用パウチの上部を側縁部に設けられたノッチを起点に幅方向に引き裂いて開口させるための構造において、ノッチを起点とする開封予定線を印刷したり、該ノッチを起点とするミシン目やハーフカット等の開封予定線を設けることは、例示するまでもなく本願出願前における慣用技術である。
そして、当該慣用技術を参酌して、引用発明のパウチ10に対し、ノッチ15、16を起点とする上記開封予定線を配置することで、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
2 相違点2について
引用文献1には、「パウチ10の蒸気抜き機構17としては、密封されていたジッパー部13が電子レンジ加熱時にパウチ10が膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整してもよい」(段落[0059])との記載があるから、当該示唆されている構成を採用するに際し、上記第4の2(3)に引用文献2記載事項として示した「雄型と雌型の嵌合による開閉可能なファスナーを有する内容物封入パウチにおいて、ファスナーの略中央部を低嵌合強度として蒸気抜きとすること」を採用することで、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 相違点3について
上記第4の3(4)に周知技術として示したように、「初回開封前にチャックテープの嵌合部に対する内容物の付着を防ぐため、チャックテープの内方に水密接合部を形成すること」は周知であるから、引用発明において、その内容物に応じて周知技術を採用することで、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
4 相違点4について
内容物の充填を機械充填で行うことは、本願出願時において例示するまでもない慣用技術であり、当該相違点4に係る本願発明の構成を得ることは、当業者が適宜なし得たことである。
5 効果の検討
相違点1~4を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
6 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、以下の点を主張する。
(1)主張1
「(d)しかしながら、引用文献1に記載のパウチ詰液状食品が有するパウチ10は、ジッパー部13を備えているにもかかわらず、水密接合部によって、ジッパー部13と内容物収納空間を隔てる点に関する記載および示唆はありません。
そのため、引用文献1に接したものが、たとえば、引用文献4-6を参照して、水密接合部を設けるための動機付けは引用文献1にはありません。」
(2)主張2
「(e)また、本願発明1では、チャックテープの弱嵌合部は、フラップの側端部から、チャックテープの嵌合部の幅方向の長さの35/150以上且つ55/150以下の位置に設けられているかまたは幅方向におけるチャックテープの中央部に設けられています。これにより、たとえば、本願明細書の段落0178の表2から理解されますように、通蒸時のチャック開放音を小さくすることと、内容物の取り出しやすさを両立することが可能です。・・・
引用文献1の段落0059には、「パウチ10の蒸気抜き機構17として、密封されていたジッパー部13が電子レンジ加熱時にパウチ10が膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整してもよい」旨が記載されています。
しかしながら、上記段落0059の記載は引用文献1の図1に示された蒸気抜き機構17の他の例として記載されているにすぎず、引用文献1には、通蒸時における音に関する記載および示唆もありません。そのため、引用文献1には、通蒸時のチャック開放音を小さくすることと、内容物の取り出しやすさを両立する点に関する記載も示唆もないと言わざるをえません。
よって、引用文献1に接したものが、例えば引用文献2、3等を参照して、パウチ10の蒸気抜き機構17として機能するようにジッパー部の嵌合を調整する箇所を、本願請求項1に規定している位置に設けるための動機付けは引用文献1にはありません。」
(3)主張3
「(f)・・・本願発明1では、水密接合部が設けられていることで、蒸気抜きのための弱嵌合部がチャックテープに設けられていても、前述したような庫内の汚れを防止することが可能です。引用文献1には、前述したように、そもそもジッパー部に内容物が付着することに関する記載およびそれを防止するための水密接合部に関する記載はないことから、弱嵌合部および水密接合部を採用したことに伴う上記効果に関する記載も引用文献1にはないと言わざるを得ません。このような観点でも、引用文献2-6を更に参照して、嵌合部および水密接合部を組み合わせて採用するための動機付けは引用文献1にはないと考えます。」
(4)検討
ア 主張1、3について
ジッパー部に内容物が付着しないように水密接合部を内容物との間に設けることは、上記第4の(3)に周知技術として示したとおり周知であり、当業者は、引用発明においてもジッパー部13に内容物が付着するという課題は当然想定されることであるから、引用発明において上記周知技術を適用しようとする動機は十分にあるといえる。したがって、主張1、3は採用できない。
イ 主張2について
引用文献1の示唆に基づきジッパー部の嵌合を調整して蒸気抜き機構とするにあたり、引用文献2の構成を採用すれば、チャックテープ部の中央部に弱嵌合部が存在することになり、その弱嵌合部をあえてジッパー部の端部付近とすることは考えられない。また、引用文献2の【0051】~【0056】には、内圧の上昇にともなうパウチの開封時に発生する音の大きさを小さくできる旨の記載もある。
一方で、本願明細書の【0178】【表2】の実施例及び比較例の数値をみても、本願発明で特定する数値範囲が、通蒸時のチャック開放音と内容物の取り出しやすさが両立している範囲であるとはいえない。したがって、主張2は採用できない。
7 小括
よって、本願発明は、当業者が、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術、に基いて容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-002179