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特許無効審判

2023-800005

医薬製剤

審判番号
2023-800005
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2016-550378
登録番号
6244038
請求日
2023年01月13日
審決日
2025年06月18日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】東亜薬品 株式会社
  • 【請求人代理人】古城 春実
  • 【請求人代理人】牧野 知彦
  • 【被請求人】興和 株式会社
  • 【被請求人代理人】弁理士法人アルガ特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 原田 隆興
  • 審判官 吉田 佳代子
  • 審判官 田中 耕一郎
分類
P1113.121-ZAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第134条の2第6項、特許法第134条の2第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第135条
データ出所
審決公報(XML)

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上記当事者間の特許第6244038号発明「医薬製剤」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6244038号の特許請求の範囲を、令和6年10月28日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕について訂正することを認める。 特許第6244038号の請求項1~7、9、10に係る発明についての特許を無効とする。 特許第6244038号の請求項8に係る発明についての本件審判の請求を却下する。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 主な手続の経緯 本件特許第6244038号(以下「本件特許」という。)は、平成27年9月25日(優先権主張 平成26年9月25日)に出願され、平成29年11月17日に特許権の設定登録がなされたものである。 これに対して、請求人から、令和5年1月13日提出の審判請求書によって、本件特許の全ての請求項1乃至10に係る発明の特許を無効にする、審判請求費用は被請求人の負担とする、との審決を求める旨の本件特許無効審判が請求された。 以後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和5年 5月22日 審判事件答弁書及び訂正請求書の提出 (被請求人) 同年 8月18日 弁駁書の提出(請求人) 同年11月29日付け 審理事項通知書 令和6年 2月 1日 口頭審理陳述要領書の提出 (請求人及び被請求人) 同年 2月13日 口頭審理陳述要領書(その2)の提出 (請求人) 同年 2月15日 口頭審理 同年 3月 7日 上申書の提出(請求人) 同年 4月 2日 上申書の提出(被請求人) 同年 4月25日付け 審尋(請求人宛) 同年 5月24日 上申書の提出(請求人) 同年 6月21日 上申書の提出(被請求人) 同年 8月21日付け 審決の予告 同年10月28日 上申書及び訂正請求書の提出 (被請求人) 同年12月24日 弁駁書の提出(請求人) 以下において、請求人が、令和6年3月7日、令和6年5月24日に提出した上申書、令和5年8月18日、令和6年12月24日に提出した弁駁書を、それぞれ「請求人上申書1」、「請求人上申書2」、「弁駁書1」、「弁駁書2」という。 また、被請求人が提出した審判事件答弁書を「答弁書」といい、令和6年4月2日、令和6年6月21日、令和6年10月28日に提出した上申書を、それぞれ「被請求人上申書1」、「被請求人上申書2」、「被請求人上申書3」という。 なお、令和5年5月22日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第134条の2第6項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正請求について 1 訂正の内容 令和6年10月28日提出の訂正請求書による訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は、「特許第6244038号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求める。」というものであり、本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。 2 訂正事項 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物が、波長300~335nmの光線を遮断する包装体に収容されてなる、医薬製剤。」と記載されているのを、 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物が、一次包装体に収容されてなり、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、医薬製剤。」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「包装体の」と記載されているのを、「一次包装体の」と訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「一次包装体が、紫外線の透過を妨げる物質を含有する容器である」と記載されているのを、「一次包装体が、紫外線の透過を妨げる物質を含有する容器であり、前記紫外線の透過を妨げる物質が、前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるよう当該光線を遮断するように含有されている」と訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7に「袋を備える」と記載されているのを、「袋を更に備える」と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項9に、 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、波長300~335nmの光線を遮断する包装体に収容する工程を含む、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の水性組成物中での光安定性を向上させる方法。」と記載されているのを、 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、一次包装体に収容する工程を含み、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の水性組成物中での光安定性を向上させる方法。」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項10に、 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、波長300~335nmの光線を遮断する包装体に収容する工程を含む、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の保存方法。」と記載されているのを、 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、一次包装体に収容する工程を含み、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の保存方法。」と訂正する。 3 一群の請求項について 訂正事項1~3に係る訂正前の請求項1~7に関し、請求項2~7は、請求項1の記載を引用する関係にあり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正され、請求項3~7は、請求項2の記載を引用する関係にあり、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して請求項3~7が訂正され、請求項4~7は、請求項3の記載を引用する関係にあり、訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して請求項4~7が訂正されるから、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第134条の2第3項に規定する「一群の請求項」である。 4 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1において、「波長300~335nmの光線を遮断する包装体に収容されてなる、医薬製剤。」と記載されているのを、「一次包装体に収容されてなり、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、医薬製剤。」に訂正するものであって、訂正前では特定していなかったリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量を「水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%」に限定するとともに、任意の「包装体」を「内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する」「一次包装体」であって、「前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値」であるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る特許発明の発明特定事項である水性組成物について、訂正前では特定していなかったリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量を「水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%」に限定するとともに、任意の「包装体」を「内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する」「一次包装体」であって、「前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値」であるものに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 すなわち、段落【0028】には、「水性組成物中の前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量は特に限定されず、適用疾患や患者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定すればよいが、優れた薬理作用を得る観点から、水性組成物全容量に対して、一般式(1)で表される化合物のフリー体に換算して0.01~10w/v%含有するのが好ましく、0.02~8w/v%含有するのがより好ましく、0.04~6w/v%含有するのが特に好ましい。中でも、一般式(1)で表される化合物としてリパスジルを用いる場合においては、優れた薬理作用を得る観点から、水性組成物全容量に対して、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を、フリー体に換算して0.05~5w/v%含有するのが好ましく、0.1~3w/v%含有するのがより好ましく、0.1~2w/v%含有するのが特に好ましい。」と記載され(下線は当審合議体による。以下同様。)、段落【0037】には、「流通時や保管時のみならず、使用時においても一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の分解を抑制する観点から、少なくとも一次包装体が、後述する波長範囲の光線を遮断するのが好ましい。」と記載され、段落【0050】には、「なお、本明細書において「光線を遮断する包装体」には、当該包装体の一部分のみが光線を遮断する場合も含まれる。このような包装体としては、その内表面を基準として、内表面の総面積に対し10%以上の部分が光線を遮断する部分であるのが好ましく、30%以上の部分が光線を遮断する部分であるのがより好ましく、50%以上の部分が光線を遮断する部分であるのがさらに好ましく、70%以上の部分が光線を遮断する部分であるのが特に好ましい。」と記載され、段落【0046】には、「本明細書において、前記波長範囲の「光線を遮断する」とは、当該波長範囲の光線の透過率の平均値が40%以下であることを意味する。従って、例えば「波長300~335nmの光線を遮断する包装体」とは、波長300~335nmの光透過率の平均値が40%以下である包装体を意味する。」、「なお、包装体の、前記波長範囲の光線の透過率の平均値は、光に対する安定性をより向上させる観点から、30%以下であるのが好ましく、25%以下であるのがより好ましく、20%以下であるのがさらに好ましく、15%以下であるのがさらにより好ましく、10%以下であるのがさらにより好ましく、5%以下であるのが特に好ましい。」及び「なお、本明細書において、特定の波長範囲の光透過率の平均値の測定は、分光光度計を用いて当該範囲内において0.5nm毎に、空気中での包装体の光透過率を測定した後、その平均値を算出することにより測定することができる。」と記載されている。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載された「包装体の」を、「一次包装体の」に訂正するものであって、任意の「包装体」を「一次包装体」に限定するものであるから、上記(1)で説示したのと同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項2について、段落【0037】には、「流通時や保管時のみならず、使用時においても一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の分解を抑制する観点から、少なくとも一次包装体が、後述する波長範囲の光線を遮断するのが好ましい。」と記載されているから、訂正事項2は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項3において、「一次包装体が、紫外線の透過を妨げる物質を含有する容器であり、前記紫外線の透過を妨げる物質が、前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるよう当該光線を遮断するように含有されている」との記載により、訂正後の請求項3に係る発明における紫外線の透過を妨げる物質を限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項3は、訂正後の請求項3に係る発明における紫外線の透過を妨げる物質を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 すなわち、段落【0037】、【0050】、【0046】には、上記(1)ウで説示した事項が記載されており、段落【0047】には、「前記波長範囲の光線を遮断する具体的な手段としては特に限定されないが、・・・例えば、包装体中に、前記波長範囲の光線を遮断する物質を含有せしめる方法(例えば、ガラスや樹脂に前記波長範囲の光線を遮断する物質を添加し、これを容器形状に成形する方法等)・・・等が挙げられる。」と記載されているから、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正事項1及び2のうち「一次包装体」と特定する訂正に伴い、請求項1及び2を引用する訂正前の請求項7に係る発明における医薬製剤を、一次包装体の他に更に二次包装体を備えるものにする訂正であり、それ自体の記載内容が他の記載との関係において不合理を生じている記載を正すものであるから、訂正事項4は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項4について、段落【0038】には、「包装体として、一次包装体と二次包装体の両者を備える態様である場合は、一般式(1)で表される化合物の有する薬理作用を有利に利用する観点から、一次包装体が点眼剤用容器であり、二次包装体が点眼剤包装袋である態様が好ましい。」と記載されているから、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものである。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、請求項8を削除するというものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。 (6)訂正事項6について ア 訂正の目的について 訂正事項6は、訂正前の請求項9において、「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、一次包装体に収容する工程を含み、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の水性組成物中での光安定性を向上させる方法。」との記載により、訂正後の請求項9に係る発明における水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量及び包装体を限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項6は、訂正前の請求項9に係る水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量及び包装体を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 すなわち、段落【0028】、【0037】、【0050】、【0046】には、上記(1)ウで説示した事項が記載されている。 したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (7)訂正事項7について ア 訂正の目的について 訂正事項7は、訂正前の請求項10において、「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、波長300~335nmの光線を遮断する包装体に収容する工程を含む、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の保存方法。」と記載されているのを、 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、一次包装体に収容する工程を含み、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の保存方法。」に訂正するものであって、訂正後の請求項10に係る発明における水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量及び包装体を限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項7は、訂正前の請求項10に係る水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量及び包装体を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 すなわち、段落【0028】、【0037】、【0050】、【0046】には、上記(1)ウで説示した事項が記載されている。 したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 5 独立特許要件について 全ての請求項に対して特許無効審判が請求されているので、特許法第134条の2第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件(独立特許要件)は課されない。 6 まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであって、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件に適合するものである。 よって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕について訂正することを認める。 第3 訂正発明 上記第2のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の請求項1~10に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、請求項の番号に従い、「訂正発明1」~「訂正発明10」といい、まとめて「訂正発明」ということもある。)。 「【請求項1】 リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物が、一次包装体に収容されてなり、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、医薬製剤。 【請求項2】 一次包装体の内部が視認可能である、請求項1記載の医薬製剤。 【請求項3】 一次包装体が、紫外線の透過を妨げる物質を含有する容器であり、前記紫外線の透過を妨げる物質が、前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるよう当該光線を遮断するように含有されている、請求項1又は2記載の医薬製剤。 【請求項4】 一次包装体が、紫外線の透過を妨げる物質を含有する部材を備える容器である、請求項1~3のいずれか1項記載の医薬製剤。 【請求項5】 一次包装体が、ポリオレフィン系樹脂製容器である、請求項1~4のいずれか1項記載の医薬製剤。 【請求項6】 一次包装体が、ポリエステル系樹脂製容器である、請求項1~4のいずれか1項記載の医薬製剤。 【請求項7】 二次包装体として、紫外線の透過を妨げる物質を含有する袋を更に備える、請求項1~6のいずれか1項記載の医薬製剤。 【請求項8】(削除) 【請求項9】 リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、一次包装体に収容する工程を含み、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の水性組成物中での光安定性を向上させる方法。 【請求項10】 リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、一次包装体に収容する工程を含み、 水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%であり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の保存方法。」 第4 当事者の主張、及び、提出した証拠方法、並びに、参考文献 1 請求人の主張する無効理由、及び、提出した証拠方法 (1)請求人の主張する無効理由 請求人は、請求人が提出した、審判請求書、弁駁書1、口頭審理陳述要領書、請求人上申書1、請求人上申書2、弁駁書2によれば、特許第6244038号の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、以下の無効理由を主張し、証拠方法として、甲第1号証~甲第47号証(枝番を含む。以下、各々、「甲1」、「甲2」・・・「甲47」といい、合わせて「甲号証」ということがある。)を提出している。 なお、口頭審理において、請求人の主張する無効理由1等を条文ごとに区分して、無効理由1-1等の枝番を付している(第1回口頭審理調書参照)。 (1-1)審判請求書における無効理由の概要 以下において、審判請求書における「本件発明」は、「訂正発明」と読み替えた。 ア 無効理由1-1(本件特許の請求項1~10に対するサポート要件違反) 訂正発明1~10はいずれも、特許請求の範囲の記載が、下記の点で、本件特許の明細書の発明の詳細な説明(以下「発明の詳細な説明」という。)に記載したものではない。よって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明における「包装体」のうち、いかなる包装体が訂正発明の作用効果を奏することができるのかが理解できない。 (イ)訂正発明における「包装体」が「波長300~335nmの光透過率の平均値が10%以下である包装体」を意味するものであったとしても、その根拠が明細書に記載されていない。 イ 無効理由1-2(本件特許の請求項1~10に対する明確性要件違反) 訂正発明1~10はいずれも、下記の点で、特許請求の範囲の記載により、特許を受けようとする発明が明確ではない。よって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明における「光線を遮断する」について、遮断の程度が特許請求の範囲に記載されておらず、また、遮断の程度を測定する方法が特定されていない。 (イ)訂正発明における「光透過率の平均値」について、測定方法により異なり得るにもかかわらず、測定方法が定義されていない。 ウ 無効理由1-3(本件特許の請求項1~10に対する実施可能要件違反) 訂正発明1~10はいずれも、下記の点で、これらの発明を実施することができる程度に、明細書に必要な事項を記載しているとは認められない。よって、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明における「包装体」のうち、いかなる包装体が訂正発明の作用効果を奏することができるのかが理解できない。 (イ)訂正発明における「包装体」が「波長300~335nmの光透過率の平均値が10%以下である包装体」を意味するものであったとしても、その根拠が明細書に記載されていない。 エ 無効理由2-1(本件特許の請求項2~7に対するサポート要件違反) 訂正発明2~7はいずれも、特許請求の範囲の記載が下記の点で、発明の詳細な説明に記載したものではない。よって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明2の「包装体」が一次包装体に限定されていないから、訂正発明2は、「包装体の内部が視認可能である」という課題が解決できているとはいえない。 オ 無効理由2-2(本件特許の請求項2~7に対する明確性要件違反) 訂正発明2~7はいずれも、下記の点で、特許請求の範囲の記載により、特許を受けようとする発明が明確ではない。よって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明2における「包装体の内部が視認可能である」について、「視認可能」の程度が特許請求の範囲に記載されておらず、どのような態様であれば権利範囲に含まれるのかが不明確である。 カ 無効理由3-1(本件特許の請求項1、5、6及び8~10に対する新規性欠如) 訂正発明1、5、6、8~10はいずれも、甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項2号に該当し、無効とすべきである。 キ 無効理由3-2(本件特許の請求項1、5、6及び8~10に対する進歩性欠如) 訂正発明1、5、6、8~10はいずれも、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 ク 無効理由4(本件特許の請求項1及び5~10に対する進歩性欠如) 訂正発明1、5~10はいずれも、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 ケ 無効理由5(本件特許の請求項1~10に対する進歩性欠如) 訂正発明1~10はいずれも、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (1-2)弁駁書1における無効理由の概要 請求人は、弁駁書1において、審判請求書の請求の理由に、以下の無効理由を追加する補正をし、当該補正は、口頭審理期日における補正許否の決定により、許可された(第1回口頭審理調書参照)。また、追加された無効理由を、以下、無効理由6-1~6-3とする。 ア 無効理由6-1(本件特許の請求項1~10に対するサポート要件違反) 訂正発明1~10はいずれも、特許請求の範囲の記載が、下記の点で、発明の詳細な説明に記載したものではない。よって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明における「前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり」について、明細書に測定方法が記載されておらず、当該構成要件を充足する場合に訂正発明の効果を奏することが確認されていないし、このことが技術常識でもない。 イ 無効理由6-2(本件特許の請求項1~10に対する明確性要件違反) 訂正発明1~10はいずれも、下記の点で、特許請求の範囲の記載により、特許を受けようとする発明が明確ではない。よって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明における「前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり」について、測定方法や測定箇所が明確でないから、権利範囲が不明確である。 ウ 無効理由6-3(本件特許の請求項1~10に対する実施可能要件違反) 訂正発明1~10はいずれも、下記の点で、これらの発明を実施することができる程度に、明細書に必要な事項を記載しているとは認められない。よって、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (ア)訂正発明における「前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり」について、明細書に測定方法が記載されておらず、当該構成要件を充足する場合に訂正発明の効果を奏することが確認されていないし、このことが技術常識でもない。 (2)提出した証拠方法 甲1:特許第6244038号公報(本件特許) 甲2:Current Eye Research,2014年、Vol.39,No.8,pp.813~822 甲3:“透過性-ヘーズ(曇価)・光線透過率”、株式会社DJKのウェブサイト、2022年12月24日検索、https://www.djklab.com/service/bussei-510/(合議体注:甲3の左下余白には、「https://www.djklab.com/service/koubunshibussei/510」と印刷されているが、現在アクセスできる同内容のアドレスは前記のとおり。) 甲4の1:特願2016-550378号に対する平成29年6月8日付け拒絶理由通知書 甲4の2:特願2016-550378号の平成29年9月27日付け意見書 甲5:製剤研究報告書(特許6244038号の無効審判に向けた検討-包装体(紙箱及び投薬袋)の光透過率の測定-)、東亜薬品株式会社作成、2022年12月22日 甲6:第十六改正日本薬局方解説書、東京廣川書店発行、2011年、A-16頁、A-28頁 甲7:「新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドラインについて」、厚生省薬務局審査課長通知、平成9年5月28日薬審第422号 甲8:粉体工学会誌、2007年、Vol.44,No.5,pp.367~376 甲9の1:「広範囲抗菌点眼剤 指定医薬品処方せん医薬品 オゼックス(R)(合議体注:(R)は、原文では上付きの丸囲みされたRである。以下同じ。)点眼液0.3%」の医薬品インタビューフォーム、2007年7月(改訂第2版)、表紙、5頁、7頁 甲9の2:「指定医薬品処方せん医薬品 広範囲抗菌点眼剤 ガチフロ(R)0.3%点眼液」の医薬品インタビューフォーム、2007年8月(改訂第4版)、表紙、7頁、9頁 甲9の3:「広範囲抗菌点眼剤 処方せん医薬品 ベガモックス(R)点眼液0.5%」の医薬品インタビューフォーム、2013年12月改訂(第6版)、表紙、5~6頁 甲10:“川本眼科だより”、川本眼科のウェブサイト、2004年9月30日、https://www.kawamotoganka.com/tayori/768/ 甲11:点眼剤、株式会社南山堂発行、1984年6月20日、29~30頁 甲12:栗田隆、「点眼薬の安定性」、眼科New Insight 第2巻、“点眼薬-常識と非常識-”、1996年3月10日(第2刷)、15~23頁 甲13:製剤研究報告書(特許6244038号の無効審判に向けた検討-点眼剤容器の光透過率の測定-)、東亜薬品株式会社作成、2022年12月22日 甲14:特開平9-24085号公報 甲15:国際公開第2010/010715号 甲16:不服2010-16817号の特許審決公報、2012年3月30日 (以上、審判請求書に添付。) 甲17:製剤研究報告書(特許6244038号の無効審判に向けた検討-種々の容器を用いたリパスジルの光安定性の評価-)、東亜薬品株式会社作成、2023年8月17日 甲18の1:「抗アレルギー点眼剤 パタノール(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2023年1月改訂(第11版)、表紙、4頁、6頁 甲18の2:「緑内障・高眼圧症治療剤 ベタキソロール点眼液0.5%「SW」」の医薬品インタビューフォーム、2020年4月改訂(第6版)、表紙、4頁 甲18の3:「緑内障・高眼圧症治療剤 ミケラン(R)LA点眼液1%ミケラン(R)LA点眼液2%」の医薬品インタビューフォーム、2022年3月改訂(第10版)、表紙、4頁、7頁 甲19:製剤研究報告書(特許6244038号の無効審判に向けた検討-一次包装体の光透過率の測定-)、東亜薬品株式会社作成、2023年8月17日 (以上、弁駁書1に添付。) 甲20:薬剤学、2015年1月1日、Vol.75,No.1,pp.65~71(合議体注:発行年月については、https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jpstj/75/1/_contents/-char/ja参照) 甲21:病院薬学、1998年、Vol.24,No.6,pp.595~600 甲22:「グラナテック点眼液0.4%」の医薬品製造販売承認申請書、興和株式会社、平成25年10月10日申請 甲23:「新医薬品の製造又は輸入の承認申請に際し承認申請書に添付すべき資料の作成要領について」、厚生労働省医薬局審査管理課長通知、平成13年6月21日医薬審発第899号、平成15年7月1日薬食審査発第0701004号一部改正、平成16年5月25日薬食審査発第0525003号一部改正 甲24:「安定性試験ガイドラインについて」、厚生省薬務局新医薬品課長通知、平成6年4月21日薬新薬第30号、平成9年5月28日薬審第422号一部改正、平成9年5月28日薬審第425号一部改正、平成11年4月8日医薬審第666号一部改正 甲25:第十六改正日本薬局方、平成23年3月24日、目次、3~21頁 甲26:河嶋洋一、「点眼薬の設計思想」、眼科New Insight 第2巻、“点眼薬-常識と非常識-”、1996年3月10日(第2刷)、6~9頁 甲27:「ケタス点眼液,アイビナール点眼液(イブジラスト)に関する資料」、杏林製薬株式会社、萬有製薬株式会社、目次、1~2頁 甲28:「医薬品関連医療事故防止対策の強化・徹底について」、厚生労働省医薬食品局長通知、平成16年6月2日薬食発第0602009号 甲29:「○眼科用薬製造(輸入)承認基準について」、厚生省薬務局長通知、昭和61年7月29日薬発第623号 甲30:PDA Journal of GMP and Validation in Japan,2001年、Vol.3,No.2,pp.97~103 甲31:医薬品の包装設計、杉原 正泰編著、株式会社南山堂発行、1984年10月20日、290~291頁 (以上、口頭審理陳述要領書に添付。) 甲32:製剤研究報告書(特許6244038号の無効審判に向けた検討-一次包装体(シュリンクフィルムを備えた容器)の光透過率の測定-)、東亜薬品株式会社作成、2024年3月6日 (以上、請求人上申書1に添付。) 甲33の1:「抗アレルギー点眼剤 パタノール(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2009年12月改訂(新様式第5版)、表紙、6頁、7頁 甲33の2:「抗アレルギー点眼剤 パタノール(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2023年1月改訂(第11版)、表紙、7頁 甲34の1:「角結膜上皮障害治療用点眼剤 ヒアレイン(R)点眼液0.1% ヒアレイン(R)ミニ点眼液0.1% ヒアレイン(R)点眼液0.3%ヒアレイン(R)ミニ点眼液0.3%」の医薬品インタビューフォーム、2010年11月(改訂第7版)、表紙、29頁 甲34の2:「角結膜上皮障害治療用点眼剤 日本薬局方 精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液ヒアレイン(R)点眼液0.1% ヒアレイン(R)ミニ点眼液0.1% ヒアレイン(R)点眼液0.3% ヒアレイン(R)ミニ点眼液0.3%」の医薬品インタビューフォーム、2018年7月(改訂第11版)、表紙、31頁 甲35の1:「プロスタグランジンF2α誘導体 緑内障・高眼圧症治療剤 処方箋医薬品 キサラタン(R)点眼液0.005%」の医薬品インタビューフォーム、2014年10月改訂(第10版)、表紙、9頁 甲35の2:「プロスタグランジンF2α誘導体 緑内障・高眼圧症治療剤 ラタノプロスト点眼液 処方箋医薬品注) キサラタン(R)点眼液0.005%」の医薬品インタビューフォーム、2021年9月作成(第1版)、表紙、11頁 甲36の1:「炭酸脱水酵素阻害剤/β-遮断剤配合剤 緑内障・高眼圧症治療剤 コソプト(R)配合点眼液」の医薬品インタビューフォーム、2014年8月改訂(改訂第9版)、表紙、36頁 甲36の2:「炭酸脱水酵素阻害剤/β-遮断剤配合剤 緑内障・高眼圧症治療剤 日本薬局方ドルゾラミド塩酸塩・チモロールマレイン酸塩点眼液 処方箋医薬品注) コソプト(R)配合点眼液 コソプト(R)ミニ配合点眼液」の医薬品インタビューフォーム、2022年2月改訂(第20版)、表紙、9頁 甲37の1:「アドレナリンα2受容体作動薬 緑内障・高眼圧症治療剤 アイファガン(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2013年5月(改訂第4版)、表紙、38頁 甲37の2:「アドレナリンα2受容体作動薬 緑内障・高眼圧症治療剤 アイファガン(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2020年10月改訂(第7版)、表紙、10頁 甲38の1:「プロスタグランジンF2α誘導体 緑内障・高眼圧症治療剤 劇薬、処方せん医薬品(・・・)タプロス(R)点眼液0.0015% 劇薬、処方せん医薬品(・・・)タプロス(R)ミニ点眼液0.0015%」の医薬品インタビューフォーム、2014年4月(改訂第9版)、表紙、42頁 甲38の2:「プロスタグランジンF2α誘導体 緑内障・高眼圧症治療剤 タフルプロスト点眼液 劇薬、処方せん医薬品注) タプロス(R)点眼液0.0015% タプロス(R)ミニ点眼液0.0015%」の医薬品インタビューフォーム、2022年1月(第16版)、表紙、9頁 甲39の1:「ドライアイ治療剤(ムチン/水分分泌促進点眼剤) 処方せん医薬品(・・・)ジクアス(R)点眼液3%」の医薬品インタビューフォーム、2014年1月(改訂第6版)、表紙、35頁 甲39の2:「ドライアイ治療剤(ムチン/水分分泌促進点眼剤) 処方箋医薬品(・・・)ジクアス(R)点眼液3%」の医薬品インタビューフォーム、2019年11月(改訂第12版)、表紙、36頁 甲40の1:「抗アレルギー点眼剤 アレジオン(R)点眼液0.05%」の医薬品インタビューフォーム、2014年8月(第3版)、表紙、35頁 甲40の2:「抗アレルギー点眼剤 アレジオン(R)点眼液0.05%」の医薬品インタビューフォーム、2021年3月(第10版)、表紙、36頁 甲41の1:「眼圧下降剤 処方せん医薬品 エイゾプト(R)懸濁性点眼液1%」の医薬品インタビューフォーム、2014年2月改訂(第7版)、表紙、42頁 甲41の2:「眼圧下降剤 処方せん医薬品 エイゾプト(R)懸濁性点眼液1%」の医薬品インタビューフォーム、2021年7月改訂(第10版)、表紙、7頁 甲42の1:「広範囲抗菌点眼剤 処方せん医薬品(・・・)クラビット(R)点眼液1.5%」の医薬品インタビューフォーム、2011年5月(新様式第1版)、表紙、36頁 甲42の2:「広範囲抗菌点眼剤 日本薬局方 レボフロキサシン点眼液 処方箋医薬品注) クラビット(R)点眼液0.5% クラビット(R)点眼液1.5%」の医薬品インタビューフォーム、2023年7月(第12版)、表紙、8頁 甲43の1:「非ステロイド性抗炎症点眼剤 ブロナック(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2012年8月(改訂第8版)、表紙、10頁 甲43の2:「非ステロイド性抗炎症点眼剤 日本薬局方 ブロムフェナクナトリウム点眼液 ブロナック(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2020年1改訂(第9版)、表紙、38頁 甲44の1:「H1ブロッカー点眼剤 リボスチン(R)点眼液0.025%」の医薬品インタビューフォーム、2013年8月改訂(新様式第10版)、表紙、6頁 甲44の2:「H1ブロッカー点眼剤 リボスチン(R)点眼液0.025%」の医薬品インタビューフォーム、2023年4月改訂(新様式第12版)、表紙、6頁 甲45の1:「広範囲抗菌点眼剤 指定医薬品、処方せん医薬品 クラビット(R)点眼液0.5%」の医薬品インタビューフォーム、2007年1月(新様式第5版)、表紙、6頁 甲45の2:「広範囲抗菌点眼剤 日本薬局方 レボフロキサシン点眼液 処方箋医薬品注) クラビット(R)点眼液0.5% クラビット(R)点眼液1.5%」の医薬品インタビューフォーム、2023年7月(第12版)、表紙、8頁 (以上、請求人上申書2に添付。) 甲46:製剤研究報告書(特許6244038号の無効審判に向けた検討-一次包装体(シュリンクフィルムを備えた容器)の光透過率の測定(2)-)、東亜薬品株式会社作成、2024年12月19日 甲47:製剤研究報告書(特許6244038号の無効審判に向けた検討-シュリンクフィルムを備えない容器の光透過率の測定-)、東亜薬品株式会社作成、2024年12月19日 (以上、弁駁書2に添付。) なお、上記甲号証のうち、甲4の1、甲4の2、甲5、甲13、甲17~甲19、甲32、甲33の2、甲34の2、甲35の2、甲36の2、甲37の2、甲38の2、甲39の2、甲40の2、甲41の2、甲42の2、甲43の2、甲44の2、甲45の2、甲46、甲47の公開日又は作成日は本件特許の出願後であり、甲20、甲35の1の公開日は本件特許の優先日後であり、甲3、甲22、甲27の公開日は不明である。また、甲42の2と甲45の2は同じである。 2 被請求人の主張、及び、提出した証拠方法 被請求人は、被請求人が提出した、答弁書、口頭審理陳述要領書及び被請求人上申書1~3によれば、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、請求人の本件特許が無効であるとの主張には理由がない旨を主張し、証拠方法として、乙第1号証~乙第31号証(枝番を含む。)(以下、各々、「乙1」、「乙2」・・・「乙31」といい、合わせて「乙号証」ということがある。)を提出している。 (証拠方法) 乙1:“紫外(UV)、可視(Vis)、近赤外(NIR)分光光度計積分球付属装置によるプラスチックの透過率測定”、株式会社UBE科学分析センター、令和5年4月30日検索、https://www.ube.co.jp/usal/documents/c013_510.htm 乙2:応用物理、2015年2月10日、Vol.84,No.2,pp.164-169(合議体注:発行年月日については、https://www.jstage.jst.go.jp/browse/oubutsu/84/2/_contents/-char/ja参照) 乙3:Chem.Pharm.Bull.、1980年、Vol.28,No.9,pp.2665~2671 乙4:プレフォーミュレーションと薬物物性試験、株式会社廣川書店発行、平成2年1月15日、267-271頁 乙5の1:PHARM TECH JAPAN、2006年、Vol.22,No.10,p.133(1967) 乙5の2:「代謝性強心剤 ユビデカレノン錠5mg「サワイ」 ユビデカレノン錠10mg「サワイ」」の医薬品インタビューフォーム、2020年4月改訂(第5版)、全文 乙5の3:第十八改正日本薬局方、令和3年6月7日厚生労働省告示第220号、1749頁、1750頁(合議体注:発行年月日については、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html参照) 乙6:「トシル酸トスフロキサシン一水和物」の安全データシート、FUJIFILM、改訂日2020年4月2日 乙7:第十八改正日本薬局方、令和3年6月7日、685頁、686頁 乙8:「指定医薬品 処方せん医薬品 持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤 クラリチン(R)錠10mg クラリチン(R)レディタブ(R)錠10mg クラリチン(R)ドライシロップ1%」の医薬品インタビューフォーム、2008年1月作成(改訂第8版)、表紙、2頁、4頁 乙9:「アレルギー性疾患治療剤 指定医薬品 アレロック(R)錠2.5 5」の医薬品インタビューフォーム、2008年10月作成、表紙、2頁、4頁 乙10:「抗炎症・鎮痛・解熱剤 ブルフェン(R)錠100 ブルフェン(R)錠200 ブルフェン(R)顆粒20%」の医薬品インタビューフォーム、2012年5月改訂(第7版)、表紙、2頁、3頁 乙11:「経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤 指定医薬品 ロキソニン(R)パップ100mg ロキソニン(R)テープ50mg ロキソニン(R)テープ100mg」の医薬品インタビューフォーム、2008年7月(第7版)、表紙、2頁、4頁 乙12:「抗炎症・鎮痛・解熱剤 劇薬 ニフラン(R)錠75mg」の医薬品インタビューフォーム、2013年9月改訂(第9版)、表紙、7頁、10頁 乙13:「注意欠陥/多動性障害治療剤(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤) ストラテラ(R)カプセル5mg ストラテラ(R)カプセル10mg ストラテラ(R)カプセル25mg」の医薬品インタビューフォーム、2011年10月(改訂第5版)、表紙、2頁、5頁 乙14:「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 デュロキセチン塩酸塩カプセル サインバルタ(R)カプセル20mg サインバルタ(R)カプセル30mg」の医薬品インタビューフォーム、2012年2月(改訂第4版)、表紙、3頁、4頁 乙15:「蛋白リン酸化酵素阻害剤 エリル(R)点滴静注液30mg」の医薬品インタビューフォーム、2010年5月(改訂第10版)、表紙、4~6頁 (以上、答弁書に添付。) 乙16:実験成績証明書、興和株式会社作成、2024年1月24日 乙17:「医薬品製造販売指針 2015」、株式会社じほう発行、2015年3月30日、56、66~76、96頁 乙18:「安定性試験ガイドラインの改定について」、厚生労働省医薬局審査管理課長通知、平成15年6月3日医薬審発第0603001号 乙19:「医薬品の承認申請について」、厚生労働省医薬品食品局長通知、平成26年11月21日薬食発1121第2号 乙20:「○医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき安定性試験成績の取扱いについて」、厚生省薬務局審査・新医薬品課長連名通知、平成3年2月15日薬審第43号 乙21:第十七改正日本薬局方、平成28年3月7日、9、16頁 (以上、口頭審理陳述要領書に添付。) 乙22:点眼剤の一次包装体の断面図、興和株式会社作成、令和6年3月25日 乙23:第十六改正日本薬局方、平成23年3月24日、4頁 乙24:調査報告書、興和株式会社作成、令和6年3月28日 乙25:“アルコンファーマ株式会社業務開始について”、ノバルティスのウェブサイト、2017年4月3日、https://www.novartis.com/jp-ja/news/pb20170403 乙26:“点眼ボトルの製造元追加のご案内”、ノバルティスのウェブサイト、2019年4月、https://www.drs-net.novartis.co.jp/siteassets/common/pdf/veg/an/an_veg_anufacturer_20190417.pdf 乙27:“パタノール(R)点眼液0.1% 点眼ボトルの製造元追加のご案内”、ノバルティスのウェブサイト、2018年4-5月、https://www.drs-net.novartis.co.jp/siteassets/common/pdf/pat/an/an_pat_201805.pdf (以上、被請求人上申書1に添付。) 乙28:見解書、興和株式会社作成、令和6年6月20日 (以上、被請求人上申書2に添付。) 乙29:「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインについて」、厚生省薬務局審査課長通知、平成9年6月23日薬審第539号 乙30:実験成績証明書、興和株式会社作成、2024年10月17日 乙31:ヤマユー総合カタログ、馬野化学容器株式会社、2024年9月26日検索、インターネット<https://yamayu-umano.co.jp/ycm/wp-content/uploads/2022/02/yamayu_general_catalog_v23s_link.pdf> (以上、被請求人上申書3に添付。) なお、上記乙号証のうち、乙5の2~乙7、乙16、乙21、乙22、乙24~乙28、乙30の公開日又は作成日は本件特許の出願後であり、乙2、乙17、乙19の公開日は本件特許の優先日後である。 また、乙1、乙31の公開日は不明である。 3 当審合議体が提示する参考文献 当審合議体は、口頭審理を併合した関連事件(無効2023-800004号事件)において、当事者が提出した証拠方法のうち、以下を参考文献として提示する。 なお、令和6年8月21日付け審決の予告において、参考文献として提示することについて意見を求めたが、両当事者から特段の意見はなかった。 参考04甲4(合議体注:無効2023-800004号事件において提出された甲第4号証と同じである。以下同じ。):Michael J. Akers,“Drug Delivery:Parenteral Route”,Encyclopedia of PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY,Third Edition,Volume 2,James Swarbrick編,PharmaceuTech,Inc.発行、2007年、pp.1266~1278 参考04甲5:栗田隆、「点眼薬の安定性」、眼科New Insight 第2巻、“点眼薬-常識と非常識-”、株式会社メジカルビュー社発行、1996年3月10日(第2刷)、15~23頁 参考04甲6:点眼剤、株式会社南山堂発行、1984年6月20日、29~30頁 参考04甲7:第十六改正日本薬局方解説書、東京廣川書店発行、2011年、A-107~A-112頁 参考04甲9:第十六改正日本薬局方解説書、東京廣川書店発行、2011年、B-621~B-644頁 参考04甲10の1:「抗アレルギー点眼剤パタノール(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2009年12月改定(新様式第5版)、表紙、6~8頁 参考04甲10の2:「角結膜上皮障害治療用点眼剤ヒアレイン(R)点眼液0.1% ヒアレイン(R)ミニ点眼液0.1% ヒアレイン(R)点眼液0.3% ヒアレイン(R)ミニ点眼液0.3%」の医薬品インタビューフォーム、2010年11月(改訂第7版)、表紙、29~30頁 参考04甲10の3:「プロスタグランジンF2α誘導体 緑内障・高眼圧症治療剤 処方せん医薬品 キサラタン(R)点眼液0.005%」の医薬品インタビューフォーム、2012年7月(改訂第9版)、表紙、7~10頁 参考04甲10の4:「炭酸脱水酵素阻害剤/β-遮断剤配合剤 緑内障・高眼圧症治療剤 コソプト(R)配合点眼液」の医薬品インタビューフォーム、2014年8月改訂(改訂第9版)、表紙、36~37頁 参考04甲10の5:「アドレナリンα2受容体作動薬 緑内障・高眼圧症治療剤 アイファガン(R)点眼液0.1%」の医薬品インタビューフォーム、2013年5月(改訂第4版)の表紙、38~40頁 参考04甲10の6:「プロスタグランジンF2α誘導体 緑内障・高眼圧症治療剤 劇薬、処方せん医薬品(・・・)タプロス(R)点眼液0.0015% 劇薬、処方せん医薬品(・・・)タプロス(R)ミニ点眼液0.0015%」の医薬品インタビューフォーム、2013年10月(改訂第8版)の表紙、40~41頁 参考04甲10の7:「ドライアイ治療剤(ムチン/水分分泌促進点眼剤)処方せん医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること)ジクアス(R)点眼液3%」の医薬品インタビューフォーム、2014年9月(改訂第7版)の表紙、35~36頁 参考04甲10の8:「抗アレルギー点眼剤 アレジオン(R)点眼液0.05%」の医薬品インタビューフォーム、2014年8月(第3版)の表紙、35~36頁 参考04甲13:病院薬学、1998年、Vol.24,No.6,pp.595-600 参考04甲14:「グラナテック点眼液0.4%」の医薬品製造販売承認申請書、興和株式会社、平成25年10月10日申請 参考04甲15:「新医薬品の製造又は輸入の承認申請に際し承認申請書に添付すべき資料の作成要領について」、厚生労働省医薬局審査管理課長通知、平成13年6月21日医薬審発第899号、平成15年7月1日薬食審査発第0701004号一部改正、平成16年5月25日薬食審査発第0525003号一部改正 参考04甲16:「安定性試験ガイドラインについて」、厚生省薬務局新医薬品課長通知、平成6年4月21日薬新薬第30号、平成9年5月28日薬審第422号一部改正、平成9年5月28日薬審第425号一部改正、平成11年4月8日医薬審第666号一部改正 参考04甲17:第十六改正日本薬局方、平成23年3月24日、目次、3~21頁 参考04乙1(無効2023-800004号事件における乙第1号証。以下同じ。):「○点眼剤用プラスチック容器の規格及び試験法について」、厚生省薬務局長通知、平成8年3月28日薬発第336号 参考04乙3:「アレルギー性結膜炎治療剤ケタス(R)点眼液0.01%」の医薬品インタビューフォーム、2019年2月改訂(第7版) 参考04乙4:「散瞳剤 フェニレフリン塩酸塩点眼液ネオシネジンコーワ5%点眼液」の医薬品インタビューフォーム、2020年8月改訂(第5版) 参考04乙5の1:ゼリア新薬工業株式会社「AZ抗菌 エーゼット抗菌目薬」の外箱、2013年頃 参考04乙5の2:参天製薬株式会社「サンテ40」の外箱、2013年頃 参考04乙5の3:ノバルティスファーマ株式会社「サジデンAL点眼薬」の外箱、2012年頃 参考04乙5の4:「アイビット目薬CL」の外箱、2010年頃 参考04乙5の5:「Newマイティア(R)CLクール」の外箱、2013年頃 参考04乙5の6:ライオン株式会社「スマイル40メディクリア」の外箱、2013年頃 参考04乙5の7:久光製薬株式会社「眼涼アルファースト(R)EX」の外箱、2012年頃 参考04乙5の8:第一三共ヘルスケア株式会社「NEW AG EYES COOL」の外箱、2012年頃 参考04乙5の9:「アニッシュ抗菌」の外箱、2015年5月頃 参考04乙5の10:佐藤製薬株式会社「ノアール(R)SG」の外箱、2014年1月頃 参考04乙6:点眼薬容器の製品情報、阪神グループ、2023年検索 参考04乙7の1:特開2005-247802号公報 参考04乙7の2:特開2005-255688号公報 参考04乙7の3:特開2007-23020号公報 参考04乙7の4:特開2012-144509号公報 参考04乙7の5:特開2013-10755号公報 参考04乙7の6:特開2013-10756号公報 参考04乙7の7:特開2013-227343号公報 参考04乙7の8:国際公開第2013/129315号 参考04乙7の9:特開2002-293746号公報 参考04乙8の1:「Lubcar Eye Drops」の商品紹介ウェブページ、2023年検索 参考04乙8の2:「Eye Drops 10ml Ocutears」の商品紹介ウェブページ、2023年検索 参考04乙8の3:「MOXED-KT Eye Drops」の商品紹介ウェブページ、2023年検索 参考04乙8の4:「EYE/EAR FLOMED-D Eye Drop」の商品紹介ウェブページ、2023年検索 なお、上記参考文献のうち、参考04乙3、参考04乙4の公開日は本件特許の出願後である。 また、参考04甲10の7、参考04乙5の1~参考04乙5の8、参考04乙5の10の公開日は本件特許の優先日前であると推認され、参考04乙5の9の公開日は本件特許の優先日後であると推認され、参考04甲14、参考04乙6、参考04乙8の1~参考04乙8の4の公開日は不明である。 第5 証拠の記載事項 1 甲号証の記載事項 甲2、甲7~甲9の3、甲11~甲15、甲18の1~甲19、甲22~甲26、甲30~甲47には、以下の記載がある。下線は当審で付したものもある。外国語で記載されたものについては、当審合議体による訳文を記載する。 甲2 (甲2a)813頁の「要約」 「要約 目的:実験動物の眼圧(IOP)、眼球分布、及び房水動態に対する選択的Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤であるK-115の局所点眼を評価すること。 方法:K-115によるキナーゼ阻害を生化学的アッセイにより測定した。 アルビノのウサギとサルにおいて、K-115の局所点眼後、眼圧計を使用してIOPをモニタリングした。[14C]K-115の眼内分布は、全頭オートラジオグラフィーによって測定された。水流量は蛍光光度法により測定した。総流出能力とブドウ膜強膜流出は、それぞれ2レベル定圧灌流とフルオレセインイソチオシアネートデキストランを使用する灌流技術によって測定された。 結果:生化学的アッセイにより、K-115がROCKに対して選択的かつ強力な阻害効果を有することが示された。ウサギでは、K-115の局所点眼注入により、用量依存的にIOPが有意に低下した。局所点眼の1時間後に最大のIOP低下が観察され、0.5%でベースラインIOPから8.55±1.09mmHg(平均±SE)の低下であった。サルでは、局所点眼の2時間後に最大のIOP低下が観察され、0.4%でベースラインIOPから4.36±0.32mmHgの低下であり、0.005%ラタノプロストよりも有意に強かった。全頭オートラジオグラフィーでは、同側の眼に[14C]K-115を点眼してから15分後に放射能レベルが最大になることが示された。0.4%K-115の単回点眼は房水流量またはブドウ膜強膜流出には影響を示さなかったが、溶媒で処理したウサギの眼と比較して従来の流出能力を2.2倍大幅に増加させた。 結論:これらの結果は、選択的で強力なROCK阻害剤であるK-115点眼液が新規で強力な抗緑内障薬であることを示した。」 (甲2b)814頁左欄下から8行~右欄6行 「K-115の化学構造を図1に示す。K-115は当研究所で合成したものである。Y-27632は、Calbiochem社(カリフォルニア州サンディエゴ)から、HA-1077はEnzo Life Science社(ニューヨーク州ファーミングデール)から購入した。・・・局所点眼試験のため、K-115は臨床に用いる保存剤を含有する溶媒に溶解した。 [14C]K-115(・・・)(図1)は、Quotient Bioreseach社(・・・)によって合成され、K-115点眼薬のビヒクルに溶解された。」 「 [図:0001435519000001.jpg] 図1 K-115及び[14C]K-115の化学構造。*位置は14Cによって均一にラベルされている。」 (甲2c)814頁右欄本文7~815頁左欄10行 「キナーゼ阻害アッセイ 組換えROCK(ROCK1及びROCK2)、タンパク質キナーゼA(PKA触媒α/PPKACA)、及びカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(CaMKII)は、Carna Biosciences(神戸、日本)から購入した。精製タンパク質キナーゼC(PKC)は、Promega(マディソン、WI)から購入した。ROCK1(0.75ng/μL)及びROCK2(0.5ng/μL)は、100mmol/LのKCl、10mmol/LのMgCl2、0.1mmol/LのEGTA、30μmol/LのLong S6 キナーゼ基質ペプチド、及び、1μmol/LのATP含む全量40μLの50mmol/LのTris-HCl緩衝液(pH7.5)中で、様々な濃度のK-115、Y-27632、又は、HA-1077とともに25℃90分間でインキュベートした。・・・インキュベーション後、40μLのKinase-Glo発光キナーゼアッセイ溶液(Promega、マディソン、WI)を加え、25℃で10分間維持し、ルミノメーターを使用して相対光単位(RLU)を測定した。試験化合物がない場合のRLUを100%(コントロール値)に設定し、酵素も化合物もない場合のRLUを0%(規標準値)に設定した。そして、各濃度の試験化合物を添加したRLUから反応率(コントロールに対する%)を計算し、SAS(・・・)を使用したロジスティック回帰分析によって50%阻害濃度(IC50)を決定した。」 (甲2d)815頁左欄13~15行 「ウサギを用いた実験では、50μLの溶媒若しくは濃度0.0625%、0.125%、0.25%又は0.5%のK-115を片眼に点眼した。」 (甲2e)816頁右欄本文1~18行 「結果 K-115によるキナーゼ阻害 K-115のキナーゼ阻害特性を評価した。K-115はROCKに対して阻害効果を示した。ROCK2(0.019μmol/L;95%CI 0.017-0.021μmol/L)に対するK-115の50%阻害濃度(IC50)は、ROCK1に対するもの(0.051μmol/L;95%CI 0.041-0.064μmol/L)よりも2.68倍低かった (阻害効果が高かった)。・・・これらの結果は、K-115がROCKに対して非常に選択的で強力な阻害剤であることを示している。結果は表1にまとめられている。」 (甲2f)816頁右欄下から5行~818頁左欄15行 「サルの眼におけるIOP測定 サルでは、0.1%から0.4%の濃度でK-115を局所点眼すると、用量依存的にIOPが低下した(図3A-C)。K-115の投与2時間後に最大IOPの減少が観察された。対照的に、ラタノプロストの局所点眼はIOPを低下させ、最大効果は投与後4時間で観察された(図3D)。初期値と比較したIOP低下(平均±SE)は、それぞれ0.1%、0.2%、0.4%K-115で2.29±0.24mmHg(p<0.05、初期値に対するダネットの多重比較)、3.28±0.28mmHg(p<0.01)、4.36±0.32mmHg(p<0.001)、0.005%ラタノプロストで2.50±0.16mmHg(p<0.01)であった(図3E)。さらに、K-115は用量依存的に眼圧低下の持続時間を示し、0.4%群では点眼後6時間まで有意な低下効果が観察された。0.2%及び0.4%のK-115は、サルの眼においてラタノプロストと比較して強力かつ迅速な眼圧低下効果を示した。」 (甲2g)817頁 Figure 3 「 [図:0001435519000002.jpg] 図3 K-115の局所投与がサルの眼のIOPに及ぼす影響。K-115又はラタノプロストを片方の眼に点眼した。反対側の眼は治療しなかった(n=8)。IOPの変化の経時変化。(A)0.1%、(B)0.2%、(C)0.4%K-115、(D)0.005%ラタノプロスト。投与前及び点眼後の各時点でのIOPは、点眼側 (●) の結果と比較され、各時点での治療眼及び未治療眼(○)の結果と比較された。データは平均値(mmHg)±SEである。所見の有意性はダネットの多重比較検定によって評価された。点眼側の初期(0時間)値と比較した*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。(E)最大眼圧低下。データは平均値(mmHg)±SEである。所見の有意性はダネットの多重比較検定によって評価された。***p<0.001はラタノプロストに対するものである。」(合議体注:図中の外国語は翻訳を省略した。) (甲2h)821頁左欄20~25行 「まとめると、選択的かつ強力なROCK阻害剤であるK-115は、局所点眼による流出能力の増大によって眼圧を低下させる効果があることが示された。この新しい作用機序は、緑内障治療における単独療法だけでなく併用療法によるIOP管理にも応用されるであろう。」 甲7 (甲7a)別紙のタイトル 「新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドライン」 (甲7b)別紙の「1 一般的事項」の「(1)目的」及び「(2)使用する光源」 「1 一般的事項 (1)目的 新原薬及び新製剤については,曝光によって許容できない変化が起こらないことを示すために,新原薬及び新製剤が本来有する光に対する特性を評価しなければならない。通例,親ガイドライン通知のロットの選定の項に記されたとおりに選ばれた1ロットについて光安定性試験を再度実施しなければならないこともある。試験を繰り返すかどうかは最初の資料作成時に明らかにされた光安定性の特性及び変更した内容による。 本ガイドラインは本来,新原薬及び新製剤を承認申請する際に必要とされる光安定性に関する情報を得ることを目的としている。投薬後(使用時)の光安定性及び親ガイドライン通知の適用対象外である承認申請のための光安定性については,本ガイドラインは適用されない。また,科学的根拠により,その妥当性が明示される場合には他の方法を採用してもよい。 光安定性試験は,次に示すような試験を必要に応じて系統的に行うことが望ましい。 ア 原薬についての試験 イ 直性包装を除いたむき出しの製剤についての試験 必要な場合には ウ 直接包装に入れた製剤についての試験 更に必要な場合には エ 市販包装形態の製剤についての試験 製剤の試験をどこまで行うかは,別添1の「製剤の光安定性試験結果の判定フローチャート」にそって,曝光試験による変化が許容できるかどうかを評価して決める。許容できる変化とは,承認申請者によって妥当性が示された限度内の変化をいう。光によって変化しやすい原薬及び製剤の表示については,各国又は各地域の規定にしたがう必要がある。 (2)使用する光源 光安定性試験には,次に示す2つのオプションの光源のいずれかを用いることができる。承認申請者は,局所的な温度変化の影響を最小にするように適切な温度制御を行うか,又は同じ条件下に遮光した対照試料を置いた試験を行わなければならない。正当な理由がある場合には,この限りでない。承認申請者は,オプション1及び2のいずれの光源も,その波長分布特性の規格は,光源の製造者が示すものを受け入れてよい。 ア オプション1 D65又はID65の放射基準に類似の出力を示すように設計された光源。例えば,可視光と紫外放射の両方の出力を示す昼光色蛍光ランプ,キセノンランプ,ハロゲンランプ等がある。 D65は,ISO10977(1993)に規定されている屋外の昼光の標準として国際的に認められたものである。 ID65は,それと同等の室内の間接的な昼光の標準である。320nm以下に放射エネルギーを有意に持つ光源については,適切なフィルターを付けてそのような放射エネルギーを除去してもよい。 イ オプション2 このオプションを採用する場合には,次の白色蛍光ランプと近紫外蛍光ランプによる照射を同一の試料を用いて行わなければならない。 [1](合議体注:原文では1の丸囲みである。以下同じ。)ISO10977(1993)に類似の出力を示す白色蛍光ランプ [2]320~400nmにスペクトル分布をもち,350~370nmに放射エネルギーの極大を示す近紫外蛍光ランプ。 320~360nm及び360~400nmの波長域のそれぞれに有意な量の放射エネルギーを示すものであること。 (3)試験の実施方法 光安定性を確証するための試験(以下「確証試験」という。)では,原薬と製剤の結果を直接比較できるように,試料を,総照度として120万lux・hr以上及び総近紫外放射エネルギーとして200W・h/m2以上の光に曝されなければならない。 規定された曝光量が得られていることを確認するために,試料はバリデートされた化学光量測定システムとならべて曝光するか,又はキャリブレート済みの放射計又は照度計を用いた曝光量測定結果により設定された適切な期間,曝光してもよい。化学光量測定システムの一例である[キニーネ化学光量測定システム]を別添2に示す。 なお,観察された変化の全体に対して熱に起因する変化がどの程度寄与しているかを評価する目的で,遮光した試料(例えば,アルミホイルで包んだ試料)を対照として用いる場合には,それらの対照試料を測定する試料と並べて置くべきである。」 (甲7c)別紙の「3 製剤の安定性試験」 「3 製剤の光安定性試験 製剤についての試験は,通例,まず完全にむき出しにした製剤での試験から始め,次に必要に応じて直接包装の製剤,さらには市販される包装(市販包装)の製剤での試験を行うように逐次的に進めるべきである。その製剤が曝光の影響を受けないことを実証できるまで試験を進めなければならない。製剤は,1(3)試験の実施方法に記載されている条件で曝光しなければならない。」 (甲7d)別添1の「製剤の光安定性試験結果の判定フローチャート」 「 [図:0001435519000003.jpg] 」 甲8 (甲8a)タイトル 「固体医薬品の安定性評価-光安定性を中心として-」 (甲8b)368頁右欄~369頁左欄の「[5]光安定性試験」 「[5]光安定性試験 1966年11月にICHにおいて合意された「光安定性試験ガイドライン」に基づいて,国際的に共通した試験が実施されている。 目的:新原薬及び新製剤が,曝光によって許容できない変化が起こらないことを示すために,これらが本来有する光に対する特性を評価する。 光源:以下に示すオプションの光源のいずれかを用いる。 ア オプション1 D65(ISO 10997(1993))に規定されている屋外の昼光の標準光源)又はID65(D65と同等の室内の間接的な昼光の標準光源)の放射基準に類似の出力を示すように設計された光源。 [例]昼光色蛍光ランプ,キセノンランプ,ハロゲンランプ等。 イ オプション2 ISO 10997に類似の出力を示す白色蛍光ランプ及び所定の近紫外ランプ 光照射:光安定性を確証するための試験(確証試験)では,総照度として120万lx・h以上及び総近紫外放射エネルギーとして200W・h/m2 ロット数:1ロット」 甲9の1 (甲9の1a)5頁「3.有効成分の各種条件下における安定性」の「(2)液体状態における安定性」の表7 「 [図:0001435519000004.jpg] 」 (甲9の1b)7頁「3.製剤の各種条件下における安定性」の表8 「 [図:0001435519000005.jpg] 」 甲9の2 (甲9の2a)7頁「3.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000006.jpg] 」 (甲9の2b)9頁「5.製剤の各種条件下における安定性」の「(2)加速試験、苛酷試験」の項 「 [図:0001435519000007.jpg] 」 甲9の3 (甲9の3a)5頁「3.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000008.jpg] 」 (甲9の3b)6頁「3.製剤の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000009.jpg] 」 甲11 (甲11a)29頁1~下から4行 「1.点眼容器の種類 容器について日本薬局方 通則32~36では次のように規定している。 ・・・ 36 しゃ光した容器とは,光の透過を防ぐ容器又は光の透過を防ぐ包装を施した容器をいう. --------------------------------------- 1)材質 容器の本体にはガラス製のものとプラスチック製のものがあり,ノズルやキャップの材質については表2-1のとおりである.」 (甲11b)30頁の表2-1 「 [図:0001435519000010.jpg] 」 甲12 (甲12a)16頁の表1 「 [図:0001435519000011.jpg] 」 (甲12b)20頁「点眼瓶・包装の選択」の項 「 点眼薬の安定性の確保は,・・・特に,光による影響に対しては「遮光」により安定性を維持することも必要である。薬物がどの波長に特に不安定かにより,適切な遮光波長特性を持つ点眼瓶や遮光袋の選択がなされることになる。」 (甲12c)21頁「点眼薬の安定性は点眼瓶内での話である」の項、表3 「 点眼瓶の材質としては,通常,ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート(PC)などが使用される。これらは,ガス,水分,光に対する透過性がそれぞれ異なる[表3]。また容器中に架橋剤,活性剤,可塑剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,着色剤,未反応のプラスチックモノマーなどを含むため,これらの溶出により製剤の安定性も影響を受ける。したがって点眼薬の中味を別の点眼瓶に移すことは,薬物の安定性そのものの変化につながるため,非常識なことと考えてよい。」 「 [図:0001435519000012.jpg] 」 (甲12d)23頁2~5行 「 表4をみると,遮光保存の必要な製品が意外に多いことがわかる。したがって,外箱に入っている間はよいが,開封後は保管場所に注意を払う必要がある。ただし,遮光保存をうたっていない製品についても,直射日光の下に置かないほうがよいことはいうまでもない。」 (甲12e)18頁「IV.安定性を向上させる工夫」の項 「 点眼薬の大半は水性点眼液であるため,常に加水分解の脅威にさらされている。また点眼容器も透明に近いため,光の影響を受けやすい。通常,1本の点眼液は数週間にわたって使用されるが,使用のたびに,空気が出入りすると酸化を受けやすくなる。点眼薬の設計にあたっては,このような安定性によって不利に働く条件を克服する工夫が必要となる。」 (甲12f)20頁「着色と含量低下」の項 「 機器分析とは異なり,点眼薬の着色現象は,それが目にみえる変化であるだけに注目されやすい。しかし,点眼薬がたとえ着色しても,薬物の量自体はほとんど減っていないこともある。・・・」 甲13 (甲13a)3/8頁「2.1 試験材料の選定について」 「 [図:0001435519000013.jpg] 」 (甲13b)3/8頁「2.1.1 試験検体[1]」(合議体注:[1]は1の丸囲みである。以下同じ。)~6/8頁「2.1.8 試験検体[8]」 「2.1.1 試験検体[1] 名称 :パタノール点眼液0.1% 有効成分:オロパタジン塩酸塩 ・・・ 容器の材質:ポリエチレン 2.1.2 試験検体[2] 名称:ヒアレイン点眼液0.1% 有効成分:精製ヒアルロン酸ナトリウム ・・・ 容器の材質:ポリエチレン 2.1.3 試験検体[3] 名称 :キサラタン点眼液0.005% 有効成分:ラタノプロスト ・・・ 容器の材質:ポリエチレン 2.1.4 試験検体[4] 名称 :コソプト配合点眼液 有効成分:ドルゾラミド塩酸塩,チモロールマレイン酸塩 ・・・ 容器の材質:ポリエチレン 2.1.5 試験検体[5] 名称 :アイファガン点眼液0.1% 有効成分:ブリモニジン酒石酸塩 ・・・ 容器の材質:ポリエチレン 2.1.6 試験検体[6] 名称 :タプロス点眼液0.0015% 有効成分:タフルプロスト ・・・ 容器の材質:ポリプロピレン 2.1.7 試験検体[7] 名称 :ジクアス点眼液3% 有効成分:ジクアホソルナトリウム ・・・ 容器の材質:ポリエチレン 2.1.8 試験検体[8] 名称 :アレジオン点眼液0.05% 有効成分:エピナスチン塩酸塩 ・・・ 容器の材質:ポリエチレン」 (甲13c)7/8頁「3. 試験方法」 「 [図:0001435519000014.jpg] 」 (甲13d)8/8頁「4. 結果及び考察」 「 [図:0001435519000015.jpg] [図:0001435519000016.jpg] 」 甲14 (甲14a) 「【0010】次にこの注射用水溶液は通常ろ過等の除菌処理され、アンプル、バイアルまたはプレフィルドシリンジ(あらかじめ薬液が充填されたシリンジ)等の容器に充填され、必要に応じてさらに加熱滅菌等の処理が施される。一方、本発明の波長350nmの透過率が10%以下である容器としては、例えば素材がガラスであれば、通常アンプル等のガラス容器は珪素化合物(例えばSiO2 )、ホウ素化合物(例えばB2 O 3)、ナトリウム化合物(例えばNa2 O)、アルミニウム化合物(例えばAl2 O 3)、カルシウム化合物(例えばCaO)、バリウム化合物(例えばBaO)、カリウム化合物(例えばK2 O)等で構成されるが、この組成物の中に酸化鉄(例えばFe2 O 3)、酸化チタン(TiO2 )等の遮光剤となる物質を添加して、着色性のアンプル、バイアルやプレフィルドシリンジに加工することにより得られる。例えば、このような着色性アンプル、バイアルやプレフィルドシリンジの容器において、0.2~0.8%程度の酸化鉄(例えばFe2 O 3)、0.5~4%程度の酸化チタン(TiO2 )のいずれか1種または0.5%程度の酸化鉄(例えばFe2 O 3)と2.8%程度の酸化チタン(TiO2 )の2種を含有するものであればよい。 【0011】また被覆材としては、まずフィルム等の被覆剤が本発明の波長350nmの透過率が10%以下であるものを選択する。これらのフィルムは例えばポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のフィルムを多層にすることにより、またはインクを配合することにより、その目的とする遮光性能を有している。これらのフィルムをラベルとしてアンプル、バイアルまたはプレフィルドシリンジ等に巻き付けて被覆することにより波長350mmの透過率が10%以下である被覆剤で被覆されたアンプル、バイアルまたはシリンジ等の容器として調整できる。 【0012】このようにして得られる波長350nmの光の透過率が10%以下である容器において、例えば波長600mmの透過率が図1、図3および図4に示す通り50%以上であるものは内容物を肉眼的に確認できることから、より好ましい形態として実施でき、このような容器に充填した塩酸ファスジル水溶液注射剤は、光安定性の良好なものとして提供できる。」 (甲14b) 「【0013】 【実施例】 ・・・ 【0014】 【実施例1】 特開平6-340659号公報に記載の方法により得られた塩酸ファスジル30g、及び塩化ナトリウム16gを2000mlの水に溶解し、除菌ろ過して塩酸ファスジル注射用水溶液2000mlを調製した。これを、ガラス容器重量に対して酸化鉄(Fe2 O3 )0.5%、酸化チタン(TiO2 )2.8%を含有した2ml用ガラスアンプルに2mlずつ充填、溶封し、本発明の塩酸ファスジル水溶液注射剤を500アンプル製造した。 【0015】 なお、このアンプルの光透過性曲線を波長200~700nmにて調査した結果図1に示す通りであって、波長350nmの透過率は4%であった。」 (甲14c)【図1】 「 [図:0001435519000017.jpg] 」 (甲14d) 「【0024】このことから、塩酸ファスジル注射用水溶液は波長350nmの光の透過率が10%以下、好ましくは5%以下である容器に充填することにより安定化し得たものである。 【0025】 【発明の効果】以上の結果から、波長350nmの光の透過率が10%以下である容器に充填した塩酸ファスジル水溶液注射剤は、120万Lux・hr(3000Luxの光を連続400時間照射)の光に対しても塩酸ファスジル注射用水溶液の変化を防止でき、安定化された塩酸ファスジル注射剤を得ることができた。」 甲15 (甲15a) 「[0072][例5](S)-1-(4-クロロ-5-イソキノリンスルホニル)-3-(メチルアミノ)ピロリジン1塩酸塩水溶液の製造及び包装 以下の実施例において、遮光容器白としては万国0号原色(馬野化学容器株式会社)、遮光容器黄としては万国1号黄体色(馬野化学容器株式会社)、遮光容器青としては万国1号ルリ(馬野化学容器株式会社)、紫外線遮光透明袋としてはUV合掌背貼袋透明(岡田紙業株式会社)、紫外線遮光橙色袋としてはUV合掌背貼袋透明(岡田紙業株式会社)、紫外線遮光灰色袋としてはスモークSF-003(株式会社東洋マーク製作所)を袋状にしたもの、紫外線遮光濃灰色袋としてはダークスモークSF-002(株式会社東洋マーク製作所)を袋状にしたものを使用した。」 (甲15b) 「[0080][表6] [図:0001435519000018.jpg] [0081] 全ての実施例において、光照射後の(S)-1-(4-クロロ-5-イソキノリンスルホニル)-3-(メチルアミノ)ピロリジン純度は、比較例に比較して向上した。また、より350nm以下の紫外線の透過率が低い遮光容器及び紫外線遮光袋を使用すること及び遮光容器と紫外線遮光袋を併用することにより、光照射後の(S)-1-(4-クロロ-5-イソキノリンスルホニル)-3-(メチルアミノ)ピロリジン純度が向上することが分かった。 [0082] このことから、(S)-1-(4-クロロ-5-イソキノリンスルホニル)-3-(メチルアミノ)ピロリジン又は薬理学的に許容されるその塩を含有する水溶液を350nm以下の紫外線の透過率が40%以下の容器に充填するか、あるいは(S)-1-(4-クロロ-5-イソキノリンスルホニル)-3-(メチルアミノ)ピロリジン又は薬理学的に許容されるその塩を含有する水溶液を充填した容器を350nm以下の紫外線の透過率が10%以下の袋に入れることにより安定化され得ることが分かった。また、350nm以下の紫外線をより遮断する容器又は袋を使用すること及び遮光容器と紫外線遮光袋を併用することにより、(S)-1-(4-クロロ-5-イソキノリンスルホニル)-3-(メチルアミノ)ピロリジン又は薬理学的に許容されるその塩を含有する水溶液がさらに安定化され得ることが分かった。」 甲18の1 (甲18の1a)4頁「III-2.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000019.jpg] 」 甲18の2 (甲18の2a)4頁「2.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000020.jpg] 」 甲18の3 (甲18の3a)4頁「2.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000021.jpg] 」 甲19 (甲19a)3/5頁「1. 要旨」 「 [図:0001435519000022.jpg] 」 (甲19b)3/5頁「2.1 試験検体」 「名称 :タプロス点眼液0.0015% 有効成分 :タフルプロスト ・・・ 容器の材質:ポリプロピレン ラベル :ポリエチレンテレフタレート」 (甲19c)4/5頁「3. 試験方法」 「 [図:0001435519000023.jpg] 」 (甲19d)4/5頁~5/5頁「4. 結果及び考察」 「 [図:0001435519000024.jpg] [図:0001435519000025.jpg] 」 甲22 (甲22a)1~2頁の表 「 [図:0001435519000026.jpg] [図:0001435519000027.jpg] 」 (甲22b)11頁1行~12頁3行 「 [図:0001435519000028.jpg] ・・・ [図:0001435519000029.jpg] [図:0001435519000030.jpg] 」 甲23 (甲23a)1頁5~6行 「新医薬品の製造又は輸入の承認申請に際し承認申請書に添付すべき資料(以下「承認申請書に添付すべき資料」という。)の作成については,下記によることとした・・・」 (甲23b)1頁「第一 趣旨」の項 「・・・「コモン・テクニカル・ドキュメント(国際共通化資料)」(以下「CTD」という。)が合意された。・・・」 (甲23c)1~2頁「第三 承認申請書に添付すべき資料の構成」の項 「I.承認申請書に添付すべき資料は以下の要領でまとめること。 ・・・ 2.第2部(資料概要) ・・・ (3)品質に関する概括資料 ・・・ 3.第3部(品質に関する文書)(・・・) ・・・ II.第2部から第5部までの資料は,CTDに関するガイドラインに基づき作成すること。」 (甲23d)別紙3の目次「第2部 CTDの概要(サマリー)」の項 「2.3 品質に関する概括資料 緒言 2.3.S 原薬(品名,製造業者) ・・・ 2.3.S.7 安定性(品名,製造業者) ・・・ 2.3.P 製剤(品名,剤型) ・・・ 2.3.P.8 安定性(品名,剤型)」 (甲23e)別紙3の目次「第3部 品質に関する文書」の項 「3.1 第3部目次 3.2 データ又は報告書 3.2.S 原薬(品名,製造業者) ・・・ 3.2.S.7 安定性(品名,製造業者) ・・・ 3.2.P 製剤(品名,剤型) ・・・ 3.2.P.8 安定性(品名,剤型)」 甲24 (甲24a)別紙「安定性試験ガイドライン」の「1.まえがき」の項 「1.まえがき ・・・ (3) 新有効成分含有医薬品について,やむを得ず製剤のみを承認申請する場合においても,原薬に関する安定性試験成績を提出する。」 (甲24b)別紙「安定性試験ガイドライン」の「3.原薬の安定性試験」の項 「3.原薬の安定性試験 (1) 一般的事項 原薬の安定性に関する資料は,その医薬品の安定性に関する基礎的な情報を得るために欠くことのできないものである。」 (甲24c)別紙「安定性試験ガイドライン」の「4.製剤の安定性試験」の項 「4.製剤の安定性試験 (1) 一般的事項 製剤の安定性試験は,原薬の反応性及び特性,並びに原薬の安定性試験の成績を十分考慮に入れて実施する。保存中に生ずると予測される変化及び安定性試験の対象となる測定項目の選定根拠を添付資料に記載する。」 (甲24d)別紙「安定性試験ガイドライン」の「6.用語の定義」の項 「・・・ (注7)製剤の加速試験において,中間的な条件での加速試験を実施するのは例えば,次のような品質の変化があった場合である。 ・・・ 2 特定の分解生成物が規格値を超えた場合 3 pHが規格値を逸脱した場合 ・・・ 5 色,相分離,再懸濁性,1回当りの噴霧量,ケーキング,硬度等が規格から逸脱した場合 ・・・」 (甲24e)「別記」の項 「別記 測定項目 承認申請書の規格及び試験方法欄に設定する項目のうち,保存により影響を受け易いと判断される項目のほか,医薬品の物性に関する変化,製剤特性に関する変化等安定性を検討するために有効な試験項目について行うことを原則とする。 長期保存試験,加速試験及び苛酷試験のそれぞれの目的に応じた試験項目について行う。 例えば,下記のような項目が挙げられる。 1)原薬については,含量(力価),分解生成物の量,性状,溶状,光学的純度等 2)製剤については,含量(力価),分解生成物の量,性状,製剤の有する特性等 ・・・」 甲25 (甲25a)3頁左欄 「通則 ・・・ 5 日本薬局方の医薬品の適否は,その医薬品各条の規定,通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する.・・・」 (甲25b)4頁右欄~5頁左欄 「・・・ 37 容器とは,医薬品を入れるもので,栓,ふたなども容器の一部である.容器は内容医薬品に規定された性状及び品質に対して影響を与える物理的,化学的作用を及ぼさない. ・・・ 41 遮光とは,通常の取扱い,運搬又は保存状態において,内容医薬品に規定された性状及び品質に対して影響を与える光の透過を防ぎ,内容医薬品を光の影響から保護することができることをいう. ・・・」 (甲25c)9頁左欄~右欄 「製剤総則 [1]製剤通則 ・・・ (6)添加剤は,製剤に含まれる有効成分以外の物質で,有効成分及び製剤の有効性を高める,製剤化を容易にする,品質の安定化を図る,又は使用性を向上させるなどの目的で用いられる.製剤には,必要に応じて,適切な添加剤を加えることができる.ただし,用いる添加剤はその製剤の投与量において薬理作用を示さず、無害でなければならない。また,添加剤は有効成分の治療効果を妨げるものであってはならない. ・・・ (10)製剤の容器・包装は,製剤の品質確保と共に,適正な使用及び投与時の安全確保に適したものとする.空気中の酸素などから製剤の品質を保護するために,脱酸素剤を装てんすることや,容器などに低気体透過性の材料を用いることができる. 湿気が品質に影響を与えるおそれのある製剤では,乾燥剤を装てんすることや,容器などに水分透過の少ない材料を用いるなど防湿包装とすることができる. また,水分の蒸散により品質が変化するおそれのある製剤では,容器などに低水蒸気透過性の材料を用いることができる. 一回使用量ずつ包装したものは分包品と称する. (11)製剤は,別に規定するもののほか,室温で保存する.製剤の品質に光が影響を与える場合,遮光して保存する.」 (甲25d)15頁右欄~16頁左欄「6.1 点眼剤」の項 「6.1 点眼剤 ・・・ (3)本剤を製するに用いる溶剤,又は本剤に添付された溶解液などは,本剤の使用に際して無害なものでなければならない.また,本剤の治療効果を妨げるものであってはならない. 溶剤を分けて次の2種類とする. (i)水性溶剤:水性点眼剤の溶剤には,精製水又は適切な水性溶剤を用いる.添付する溶解液には,滅菌精製水又は滅菌した水性溶剤を用いる. (ii)非水性溶剤:非水性点眼剤の溶剤には,通例,植物油を用いる.また,適切な有機溶媒も非水性溶剤として用いることができる. (4)本剤又は本剤に添付された溶解液などには,別に規定するもののほか,着色だけを目的とする物質を加えてはならない. (5)本剤には,涙液と等張にするため塩化ナトリウム又はそのほかの添加剤を,また,pHを調節するため酸又はアルカリを加えることができる. (6)本剤及び添付された溶解液などは,別に規定するもののほか,無菌試験法(4.06)に適合する. (7)本剤で多回投与容器に充てんするものは,微生物の発育を阻止するに足りる量の適切な保存剤を加えることができる. ・・・ (11)本剤に用いる容器は,通例,点眼剤の不溶性異物検査法(6.11)の試験に支障をきたさない透明性のある気密容器とする.製剤の品質に水分の蒸散が影響を与える場合は,低水蒸気透過性の容器を用いるか,又は低水蒸気透過性の包装を施す.」 甲26 (甲26a)9頁「II.点眼薬の製剤設計」の項、図2 「II.点眼薬の製剤設計 ・・・通常の製剤設計は前述の角膜透過性への影響を十分考慮し,図2のような流れでなされる。このフローチャートに沿って,前述したように水性点眼薬の開発を第一にめざすわけであるが,ここでは水性点眼薬において処方される等張化剤,緩衝剤,可溶化剤,安定化剤,防腐剤,粘稠化剤についての概略を説明する。」 「 [図:0001435519000031.jpg] 」 甲30 (甲30a)97頁右欄1~5行 「一般に点眼剤は直接容器のほとんどがプラスチック製であり,その素材の多くは水蒸気透過の小さいポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)が使用されているが,・・・」 甲31 (甲31a)290頁下から14~最終行 「・・・最近,やはり透明性の良いUPとPETが使用されているが,同じ形の瓶で,PCとUP,PETの透湿性を比較すると,表8-5のようになり,PCの透湿性を1とすると,UPが半分,PETでは3分の1となる.20℃,65%RHでこの瓶の経時透湿は表8-6のようになる.PCの場合は明らかに水分の飛びが大きい.このためPC容器の場合は,ピロー包装するのが一般的である.こういった透湿性の面からPCに代わってUPやPET容器の使用が増加しつつある. 一方, 点眼剤は水溶液であるので,化学反応も進行しやすく, 成分の安定性も一般に固形製剤より悪い.酸化による分解反応にも十分に注意を払う必要があり,できる限り気体,特に酸素ガス透過の少ない容器が望ましい.プラスチック・フィルムでのガス透過性は,測定法により大幅に異なり一概に比較できないが,PCの酸素透過性を1としたときの,大よその比較を行うと,表8-7のようになる.PVCが最もすぐれ,PET,UPがこれに次ぎ,PC,PP,PEはやや劣っているといえる.」 (甲31b)291頁 表8-5~表8-7 「 [図:0001435519000032.jpg] 」 甲32 (甲32a)3/12頁「2.1 試験材料の選定について」 「 [図:0001435519000033.jpg] 」 (甲32b)3/12頁「2.1.1 試験検体[1]」(合議体注:[1]は1の丸囲みである。以下同じ。)~3/12頁「2.1.5 試験検体[5]」 「2.1.1 試験検体[1] 名称 :エイゾプト懸濁性点眼液1% 有効成分:プリンゾラミド ・・・ ボトルの材質:ポリエチレン 中栓の材質 :ポリエチレン 2.1.2 試験検体[2] 名称 :クラビット点眼液1.5% 有効成分:レボフロキサシン水和物 ・・・ 点眼容器の材質:ポリエチレン 2.1.3 試験検体[3] 名称 :ブロナック点眼液0.1% 有効成分:ブロムフェナクナトリウム水和物 ・・・ 容器本体の材質:ポリエチレン 中栓の材質 :ポリエチレン 2.1.4 試験検体[4] 名称 :レボスチン点眼液0.025% 有効成分:レボカバスチン塩酸塩 ・・・ 容器の材質:ポリエチレン 2.1.5 試験検体[5] 名称 :クラビット点眼液0.5% 有効成分:レボフロキサシン水和物 ・・・ 点眼容器の材質:ポリエチレン」 (甲32c)6/12頁「3. 試験方法」 「 [図:0001435519000034.jpg] 」 (甲32d)6/12頁~11/12頁「4.1 試験結果」 「 [図:0001435519000035.jpg] ・・・ [図:0001435519000036.jpg] ・・・ [図:0001435519000037.jpg] ・・・ [図:0001435519000038.jpg] ・・・ [図:0001435519000039.jpg] ・・・ [図:0001435519000040.jpg] 」 (甲32e)12/12頁「4.2 考察」 「 [図:0001435519000041.jpg] 」 甲33の1~甲45の2 (甲33の1~甲45の2) 本件特許の優先日当時において市販され、本件特許の出願後においても市販される種々の点眼剤であって、点眼剤容器の材質がポリエチレン又はポリプロピレンであるものについて、同じ点眼剤については、本件特許の優先日当時においても本件特許の出願後においても、インタビューフォームに記載される点眼剤容器の材質は変わらないことが記載されている。 甲46 (甲46a)3/9頁「2.1 試験材料の選定について」 「 [図:0001435519000042.jpg] [図:0001435519000043.jpg] [図:0001435519000044.jpg] 」 (甲46b)4/9頁「3. 試験方法」 「 [図:0001435519000045.jpg] 」 (甲46c)5/9頁~9/9頁「4.1 試験結果」 「 [図:0001435519000046.jpg] [図:0001435519000047.jpg] [図:0001435519000048.jpg] [図:0001435519000049.jpg] [図:0001435519000050.jpg] [図:0001435519000051.jpg] 」 (甲46d)9/9頁「4.2 考察」 「 [図:0001435519000052.jpg] 」 甲47 (甲47a)3/9頁「2.1 試験材料の選定について」 「 [図:0001435519000053.jpg] [図:0001435519000054.jpg] [図:0001435519000055.jpg] [図:0001435519000056.jpg] [図:0001435519000057.jpg] [図:0001435519000058.jpg] [図:0001435519000059.jpg] [図:0001435519000060.jpg] [図:0001435519000061.jpg] 」 (甲47b)7/9頁「3. 試験方法」 「 [図:0001435519000062.jpg] 」 (甲47c)7/9頁~9/9頁「4.1 試験結果」 「 [図:0001435519000063.jpg] [図:0001435519000064.jpg] [図:0001435519000065.jpg] [図:0001435519000066.jpg] 」 (甲47d)9/9頁「4.2 考察」 「 [図:0001435519000067.jpg] 」 2 乙号証の記載事項 乙5の2、乙8、乙9、乙13~15、乙17、乙18、乙20、乙22、乙29、乙30には、以下の記載がある。 乙5の2 (乙5の2a)7頁「4.製剤の各種条件下における安定性」の「4)無包装下の安定性」の項 「 [図:0001435519000068.jpg] 」 乙8 (乙8a)4頁「表III-4」 「 [図:0001435519000069.jpg] 」 乙9 (乙9a)4頁「有効成分の安定性」の項 「 [図:0001435519000070.jpg] 」 乙13 (乙13a)5頁「2.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000071.jpg] 」 乙14 (乙14a)4頁「2.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000072.jpg] 」 乙15 (乙15a)6頁「2.有効成分の各種条件下における安定性」の項 「 [図:0001435519000073.jpg] 」 乙17 (乙17a)65頁のタイトル 「第3章 医療用医薬品の製造販売承認申請書の作成」 (乙17b)70頁「4)成分及び分量又は本質欄の記載例」 「配合目的 (1)(合議体注:(1)は丸の中に1) 配合成分の配合目的を明らかにするため,有効成分,基剤,賦形剤等(・・・)の別を明確に記載することが必要である。 [図:0001435519000074.jpg] 」 (乙17c)73~74頁「容器の材質」の項 「容器又は被包(以下容器等という)については,直接の容器等及び中請医薬品の安定性を確保する上で重要な容器等の材質を記載する。(・・・)」 (乙17d)96頁「容器の記載の共通事項」の項 「(10)容器の記載(合議体注:(10)は丸の中に10) 容器(被包)は,製品の安定性と深く関連しており,品質管理面等から,直接の容器(被包)の材質等の記載が求められている。 その具体的記載内容としては,内袋を含めた直接の容器(被包)が明らかにされればよく,例えば,プラスチック容器であれば,プラスチックの主成分の種類(ポリエチレン,ポリ塩化ビニル等),特性(着色の有無等)を明らかにすれば,通常十分であり,プラスチック中の添加剤の記載は不要である。」 乙18 (乙18a)「安定性試験ガイドライン」の「1.1. ガイドラインの目的」の項 「1.1. ガイドラインの目的 本ガイドラインはICH安定性ガイドラインの改定版であり、EC、日本及び米国3極内において新有効成分含有医薬品の原薬及び製剤の承認申請を行うときに必要な安定性試験成績を示したものであり、3極以外の地域における承認申請や当該地域への輸出のための承認申請のための試験を対象とすることを必ずしも目的としているものではない. 本ガイドラインは、新有効成分含有医薬品の原薬及び製剤の安定性試験成績の主要部分を示したものである・・・」 (乙18b)「安定性試験ガイドライン」の「2.1. 原薬」の項 「2.1. 原薬 2.1.1. 一般的事項 原薬の安定性に関する資料は、その医薬品の安定性を系統的に評価するために欠くことのできないものである。」 (乙18c)「安定性試験ガイドライン」の「2.2. 製剤」の項 「2.2. 製剤 2.2.1. 一般的事項 製剤の正式な安定性試験は、原薬の挙動及び特性、原薬の安定性試験の成績並びに治験薬の処方検討から得られる経験を十分考慮に入れて計画する。保存中に生ずると予測される変化及び正式な安定性試験の対象となる測定項目の選定根拠を添付資料に記載する。」 (乙18d)「安定性試験ガイドライン」の「2. ガイドライン」の「2.2.7.1 一般的な製剤」の項 「2.2.7.1 一般的な製剤 ・・・ 一般に、製剤に関する「明確な品質の変化」とは、次に掲げる場合である。 ・・・ 2.特定の分解生成物が判定基準を超えた場合 3.外観、物理的項目及び機能性試験が判定基準から逸脱した場合(例えば、色、相分離、再懸濁性、ケーキング、硬度、1回当りの投与量)、・・・」 (乙18e)「安定性試験ガイドライン」の「3. 用語集」の項 「・・・ 製剤(Drug product) 剤形に処方され、市販される形の最終的な直接包装に容れられた医薬品 原薬(Drug substance) 未処方の医薬品有効成分であり、製剤を製造するためには添加剤とともに処方されうるもの。 ・・・」 乙20 (乙20a)1頁1~5行 「医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき安定性試験成績についての取扱いについては,・・・また,安定性試験実施方法のガイドラインについては別紙2としてとりまとめた・・・」 (乙20b)「別紙2 安定性試験実施方法のガイドライン」の「別記」 「測定項目 承認申請書の規格及び試験方法欄に設定する項目のうち、保存により影響を受け易いと判断される項目のほか、医薬品の物性に関する変化、製剤特性に関する変化等安定性を検討するために有効な試験項目について行うことを原則とする。 苛酷試験、長期保存試験及び加速試験のそれぞれの目的に応じた試験項目について行うこと。例えば、左記のような項目が挙げられる。 1)原薬については、含量(力価)、分解生成物の量、性状、溶状、光学的純度等 2)製剤については、含量(力価)、分解生成物の量、性状、製剤の有する特性等 3)製剤の剤形に応じて検討すべき項目の例 ・・・ pH・・液状製剤・・・等 重量変化・・プラスチック容器を用いた液剤・・・等 ・・・」 (乙20c)「別紙2 安定性試験実施方法のガイドライン」の「4 苛酷試験」 「4 苛酷試験 ・・・ 保存条件・・・ 製剤:温度(*5)、湿度(*8)及び光(*7)の三条件を考慮し、条件を設定すること。・・・ 測定項目・・承認申請書の規格及び試験方法の欄に設定する試験項目のうち保存により影響を受け易い項目並びにその他分解生成物の検索及び品質管理上必要と判断される項目(*11)(別記に例示) ・・・」 乙22 (乙22a)1頁 「 [図:0001435519000075.jpg] 」 乙29 (乙29a)別紙の「3.不純物に関する検討事項について」の項 「 [図:0001435519000076.jpg] 」 (乙29b)別紙の「6.不純物の安全性の確認」の項 「 [図:0001435519000077.jpg] 」 乙30 (乙30a)「3.実験方法」の項 「 [図:0001435519000078.jpg] [図:0001435519000079.jpg] 」 (乙30b)「4.結果」の項 「 [図:0001435519000080.jpg] ・・・ [図:0001435519000081.jpg] 」 3 参考文献の記載事項 当審が提示する参考04甲4、参考04甲7、参考04甲9~参考04甲10の8、参考04乙1、参考04乙3~参考04乙8の4には、以下の記載がある。下線は当審で付したものもある。外国語で記載されたものについては、当審合議体による訳文を記載する。 参考04甲4 (参考04甲4a)1266頁左欄1~14行 「イントロダクション 小容量注入(SVI)は、「100mlよりも少ない容量を含むことがラベルされた容器にパッケージされた注射」を意味すると米国薬局方24[1]において定義されている。したがって、バイアル、アンプル、シリンジ、カートリッジ、ボトルといったあらゆる100mlよりも少ない容器にパッケージされるすべての無菌製品は、ここに分類される。スクイズ可能なプラスチック容器にパッケージされた点眼のための製品は、注射というより眼に局所的に適用されるものであるが、容器サイズが100mlよりも少ないという点において小容量注入に分類される(・・・)。」 (参考04甲4b)1267頁左欄2段落 「眼科用製品(9) 眼科用医薬品には、眼の角膜表面に局所的に投与される溶液、懸濁液、ゲル、または軟膏の薬物が含まれる。眼科用製品には、LVIサイズの洗浄液も含まれる。緑内障、感染症、炎症、その他の目の病気を治療するための眼科用医薬品製品には、さまざまな種類がある。眼科用製品は無菌である必要があるが、局所的に適用されるため、発熱物質を含まない必要はない。点眼のための溶液及び懸濁液は、通常、簡単に投与できるよう、スクイズ可能な低密度ポリエチレン容器にパッケージされる。」 (参考04甲4c)1276頁左欄1段落 「パッケージング パッケージングシステムは明らかに非経口製品の不可欠な部分であり、製品製剤の物理的および化学的安定性の長期的な保護と維持を提供する。パッケージングは、医薬品のより便利な送達 (例: シリンジ、デュアルチャンバーバイアル) を提供し、薬物投与のより適切な制御 (例: カートリッジ) を提供することにより、薬物送達ツールとしても使用できる。パッケージングは粒子汚染の主な原因であり、製品の物理的および化学的劣化に寄与する可能性がある。パッケージング成分が製品に浸出したり、製品が吸着または吸収される可能性がある。パッケージングシステムの主な種類は、ガラス、ゴム、プラスチックである。眼科軟膏用の金属チューブについてはここでは扱わない。主なSVIパッケージングシステムには、ガラス密封アンプル、ゴム密封バイアル、プレフィルドシリンジ、カートリッジ及びガラス又はプラスチック製の小容量および大容量ボトルが含まれる。」 (参考04甲4d)1277頁左欄最終段落 「プラスチック プラスチックパッケージは、点眼薬の剤形にとって常に重要であり、注射剤の剤形でも一般的になっている。プラスチックボトルは、人々が目に薬の液滴を適用できるようにするために使用される。LVI用のプラスチックボトルは長年使用されてきた。SVI用のプラスチック製バイアルは、次代を担うものとなる可能性がある。プラスチックパッケージはコスト削減、ガラス破損によるトラブルの解消、使いやすさの向上などのメリットがある。他のパッケージシステムと同様に、プラスチック配合物は製品と相互作用し、物理的および化学的安定性の問題を引き起こす可能性がある。プラスチック配合物はゴム配合物ほど複雑ではなく、その成分の浸出性の可能性が低い傾向がある。しかし、可塑剤浸出液は、LVIバッグや投与装置に使用されるポリ塩化ビニル容器などのポリマーでよく知られている。眼科製品に最も一般的に使用されるプラスチックポリマーは低密度ポリエチレンである。他のSVIでは、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリアミド (ナイロン)、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニルなどのコポリマーと同様に、ポリオレフィン配合物が広く使用されている。」 参考04甲7 (参考04甲7a)A-107頁「6.1 点眼剤」の項 「(1)点眼剤は,結膜嚢などの眼組織に適用する,液状,又は用事溶解若しくは用事懸濁して用いる固形の無菌製剤である.[注3](2)本剤を製するには,通例,有効成分に添加剤を加え,溶剤などに溶解若しくは懸濁して一定容量としたもの,又は有効成分に添加剤を加えたものを容器に充てんする.・・・」 (参考04甲7b)A-112頁7~18行 「容器:点眼用の容器として種々の形の点眼瓶が考案されているが,微生物侵入阻止性,透湿性,透ガス性,耐薬品性,成形性,透明性などに注意が必要である.・・・ プラスチック製のものは,加熱減菌ができないこと,可塑性添加剤の溶出,通気性,透湿性の可能性があること,水分の揮散や一部の薬品,添加物などを吸着するなどの欠点を有するものであるが,最近はかなり透明性の高い樹脂が開発され,繁用されている.点眼剤に用いられる容器の素材としてポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート,ポリアクリレート),ポリカーポネートが用いられている.」 (参考04甲7c)A-112頁26~29行 「[日局](合議体注:原文では「日局」の四角囲み。以下同じ。)でも[13局](合議体注:原文では「13局」の四角囲み。以下同じ。)から一般試験法にプラスチック製医薬品容器試験法が収載され,安全性に関する各種の試験法が記載されている.特に点眼剤用プラスチック容器は,平成8年3月28日薬発第336号で点眼剤用プラスチック製容器の規格及び試験法が定められている.」 参考04甲9 (参考04甲9a)B-640頁の「解説」の3~21行 「(1)プラスチック製医薬品容器試験法への流れ 今日プラスチックは医療の場において,ディスポーザプル製品としての注射筒,各種カテーテルやチュープなどの例をあげるまでもなく,容器,用具並びに包装材料,更には着衣などの各種雑貨を含めた幅広い分野に普及し,定着している. そのなかで,プラスチックを用いた医療容器は,形態としてブリスター包装,ストリップシート,ユニットパック包装,ボトルタイプ,シリンジタイプ,バッグなどがあり,錠剤,カプセル剤,散剤,顆粒剤,坐剤,液剤,シロップ剤,点眼薬,ローション剤,注射剤などの容器として用いられている.また,用いられる素材も多種多様で,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン酢酸ビニル共重合体,エチレンビニルアルコール共重合体,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリスチレン,ポリカーポネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリ酢酸ビニル,環状ポリオレフィンなどである. 従来,わが国におけるプラスチック容器に関する規定は,[8局]より導入された「輸液用プラスチック容器試験法」と昭和48年9月26日薬発第958号「点眼プラスチック容器及び試験法」があり,特に「輸液用プラスチック容器試験法」は,[日局]に唯一収載されたプラスチック容器に関する試験法であったため,輸液として用いる注射剤に使用する内容500ml以上のポリエチレン製,ポリプロピレン製又はポリ塩化ビニル製容器を対象としたものであったにもかかわらず,「点眼用プラスチック容器及び試験法」をはじめ,薬事法第42条に基づいて規定された各種医療用具基準や輸液以外の他の医薬品容器の化学的・生物学的安全性の判断基準として利用されてきた.」 (参考04甲9b)B-641頁6~10行 「最近,外国薬局方や国際的な規格基準との調和がすすめられているが,外国の代表的な薬局方である[USP],[EP]では,プラスチック容器の規定が輸液に限定されていない. このような現状を踏まえて,[日局]では[13局]から輸液用容器のみではなく,すべての医薬品製剤を対象としたプラスチック製医薬品容器の基本要件と試験法を明確化することとなった.」 参考04甲10の1~参考04甲10の8 (参考04甲10の1~参考04甲10の8) 本件特許の優先日当時、種々の点眼剤において、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの容器が用いられていることが記載されている。 参考04甲10の1 (参考04甲10の1a)表紙 「 [図:0001435519000082.jpg] 」 (参考04甲10の1b)7頁の項目「3」 「 [図:0001435519000083.jpg] 」 参考04甲10の3 (参考04甲10の3a)8頁の項目「3」 「 [図:0001435519000084.jpg] 」 参考04乙1 (参考04乙1a)1頁2~5行、10~14行 「・・・今般,第一三改正日本薬局方一般試験法「プラスチック製医薬品容器試験法」が定められたこと及び参考情報「プラスチック製医薬品容器」が示されたことを踏まえ、通知の点眼剤用プラスチック容器の規格及び試験法を別添のように改め、・・・ 記 「点眼剤用プラスチック容器の規格及び試験法」は、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレン又はポリプロピレンを材質とする点眼剤用容器に適用する。これら以外の材質の容器、添加剤を変更する等の場合には、日局の参考情報「プラスチック製医薬品容器」に準拠し、試験項目等を規定すること。」 参考04乙3 (参考04乙3a)6頁の項目「5」 「 [図:0001435519000085.jpg] 」 (参考04乙3b)30頁の項目「5」 「 [図:0001435519000086.jpg] 」 参考04乙4 (参考04乙4a)5頁の項目「10」の「(4)」 「 [図:0001435519000087.jpg] 」 参考04乙5~参考04乙8の4 (参考04乙5~乙8の4) 本件特許の優先日当時、種々の点眼剤において、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどの容器が用いられていることが記載されている。 4 上記1~3の記載事項をまとめると、以下のとおりである。 ア 医薬としての使用が予定されている化学物質を有効成分とする医薬品を製造し、販売し、又は使用するためには、当該化学物質からなる「原薬」の安定性試験成績及び「製剤」の安定性試験成績を含む資料を添付した申請書類を提出し、薬事承認を受ける必要がある(甲23a~e、甲24a~d、乙18a~d、乙20a、b)。 イ 「液体製剤」の承認申請に必要な安定性試験は、「原薬」、「賦形剤などの添加剤」及び「容器の材質等」を特定してなされる(乙18e、参考04甲7a)(参考:甲22a、甲22b(公開日不明)、乙17b~d(優先日後公知))。 ウ 「原薬」の承認申請に必要な安定性試験と「液体製剤」の承認申請に必要な安定性試験は、それぞれ独立した試験であるから、「原薬」の安定性にかかわらず、「液体製剤」自体の安定性試験結果を承認申請書に添付しなければならないことに変わるところはない(甲23a~e、甲24a~c、甲24e、乙18a~c、乙20b)。 エ 製剤の設計変更に関し、薬事承認を受けるためには、日本薬局方に則って、添加剤や容器について検討することに変わりはなく、日本薬局方に適合するまで試行錯誤を繰り返す(甲25a~d、甲26a)。 オ 医薬品を収容できる容器の材質には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)といった種々のものが知られている(甲11b、甲12b、甲30a、参考04甲4b、d、参考04甲7a、参考04甲9a、参考04甲10の1~参考04甲10の8、参考04乙1a、参考04乙5の1~参考04乙5の8、参考04乙5の10、参考04乙7の1~参考04乙7の9)(参考:甲22b、参考04乙8の1~参考04乙8の4、参考04乙6(公開日不明)、乙17d(優先日後公知)、参考04乙3a、参考04乙3b、参考04乙4a(出願後公知))。 カ 遮光保存をうたっていない点眼薬についても、直射日光を避けるなどの遮光保存が求められるものであって(甲12d)、薬物がどの波長に特に不安定かにより,適切な遮光波長特性を持つ点眼瓶や遮光袋の選択がなされる(甲12b)。ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが使用される点眼瓶(プラスチック製容器)には、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれることがある(甲12c)。 なお、プラスチック製容器中に添加剤が含まれていたとしてもその旨が明記されないのが実情である(乙17c、乙17d(優先日後公知))。 キ 1mLあたりリパスジル塩酸塩水和物4.896mg(リパスジルとして4.0mg)を含有する点眼剤である製剤(グラナテック点眼液0.4%)は、精製水を含む組成物であって、滅菌済みの紫外線吸収剤含有ポリプロピレン(PP)製の容器に充てんされて、承認審査に付された(甲22a、甲22b(公開日不明))。当該点眼剤である製剤(グラナテック点眼液0.4%)は、ポリプロピレン(PP)製容器に充てんされたときよりも、紫外線吸収剤含有ポリプロピレン(PP)製容器に充てんされたときの方が光に安定である(合議体が職権により探知した、甲22の医薬品製造販売承認申請書に対応する審議結果報告書(平成26年9月11日 医薬食品局審査管理課、https://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400129/270072000_22600AMX01307_A100_1.pdf)の4頁「(2)製剤」の「1)」及び「4)」。)。 ク 上記イ~エについては、「医薬品(医薬製剤)」の承認審査に関する本件特許の優先日当時の技術常識として、両当事者間に争いがないことが確認されている事項である(第1回口頭審理調書)。 ケ 2014年の売上上位1~13位の薬事承認を受けた医薬品(点眼剤)を収容するための、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)を材質とする容器や、これに更にラベルやシュリンクフィルムを有する容器は、甲13、甲19、甲32、甲46、甲47の試験を行った時期において当業者に容易に入手可能なものとして流通していたものであって、内表面は以下の(ア)に示すとおりであり、当該流通時における容器の「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」は、以下の(イ)及び(ウ)に示すように、容器本体全体又は一次包装体の約70%の部分において最も高い部分で9.7%、すなわち、10%を超えないものも一定の程度で存在していた。 (ア)甲13、甲19、甲32、甲46、甲47に記載された容器は、本体部分の内表面のみに凹凸などが設けられていることはうかがえないことから内表面は外表面と同じ形状であると推認され、また、点眼剤容器のキャップ部分は、通常着色されて光透過性がほぼないことに加え、キャップ部分に対応する内表面は本体部分と比べてごくわずか(乙22a)であることから、点眼薬の容器における内表面は、当該容器のキャップ部分を除いた本体部分の外表面とほぼ同じ面積であるといえる。 (イ)甲13、甲19、甲32、甲46、甲47に記載されたポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)を材質とする医薬品を収容できる容器における、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される、波長300~335nmの光線の透過率の平均値は、以下のとおりである。 甲13の試験検体4、5(ラベルなし:市販の点眼剤容器からラベルを剥がしたもの)については、容器本体全体において最も透過率の平均値が高い部分で0.2%である。 甲32の試験検体1~5(ラベル及びシュリンクフィルムあり)については、容器本体全体において最も透過率の平均値が高い部分で9.2%である。 甲46の試験検体1~5(甲13の試験検体1~3、7、8、ラベル及びシュリンクフィルムあり)については、容器本体全体において最も透過率の平均値が高い部分で2.8%である。 甲47の試験検体1~4(シュリンクフィルムなし)については、容器本体全体において最も透過率の平均値が高い部分で6.6%である。 甲47の試験検体5~7(シュリンクフィルムなし)については、一次包装体の約70%の部分の透過率の平均値が、最も高い部分で9.7%である。 甲13の試験検体1~3、7、8(ラベルなし:市販の点眼剤容器からラベルを剥がしたもの)については、容器本体全体において最も透過率の平均値が高い部分で32.7%である。 甲13の試験検体6(ラベルなし:市販の点眼剤容器からラベルを剥がしたもの:通常の流通時における形態ではない)については、容器本体全体において最も透過率の平均値が高い部分で74.1%である。 甲19の試験検体(甲13の試験検体6(ラベルあり))については、容器本体全体において最も透過率の平均値が高い部分で21.2%である。 (ウ)ラベルによって光線の透過は妨げられるものであるから、ラベルが付された試験検体の透過率は、ラベルが付されない試験検体の透過率よりも低いものとなることは当業者に自明である。 コ 甲13、甲19、甲32の試験を行った時期に入手可能であった容器の材質と、本件特許の優先日前に入手可能であった容器の材質とは、対応するインタビューフォームの記載からみて、同じ材質であると推認される(甲33の1~甲45の2)。 サ 点眼剤の光安定性を評価するための試験は、D65ランプや白色蛍光灯を用いて、総照度として60万lux・hr、120万lux・hr、240万lux・hrといった光を照射して行われている(甲7b、甲8b、甲9の1b、甲9の2b、甲9の3b、乙8a、乙13a、乙14a、乙15a、参考04甲10の3a)。 なお、本件特許の出願後においても、同様の条件で試験が行われている(乙5の2a、参考04乙3a)。 シ 点眼剤の安定性を評価するための指標として、分解生成物、pH、色、重量変化といった種々の性状や特性の変化が用いられている(甲24d、乙18d、乙20b、乙20c)。 第6 無効理由1~6についての当審の判断 以下のとおり、無効理由1~6(第4の1(1)参照)について、無効理由1-1~1-3、2-1、2-2、6-1~6-3には理由がなく、無効理由3-1、3-2、4、5には理由がある。 事案に鑑み、以下、 無効理由1-2、無効理由2-2及び無効理由6-2(第6-1:明確性要件違反)、 無効理由1-1、無効理由2-1及び無効理由6-1(第6-2:サポート要件違反)、 無効理由1-3及び無効理由6-3(第6-3:実施可能要件違反)、 無効理由3-1、無効理由3-2、無効理由4及び無効理由5(第6-4:新規性欠如、進歩性欠如) の順に検討する。 第6-1 明確性要件違反(無効理由1-2、無効理由2-2及び無効理由6-2)について 1 特許法第36条第6項第2号(明確性)の判断手法 特許法第36条第6項第2号は、特許請求の範囲の記載に関して、特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定する。この趣旨は、特請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には、特許の付与された発明の技術的範囲が不明確となり、第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得るため、これを防止することにあるものと解される。そして、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、本件特許の明細書及び図面とを考慮し、本件出願時の技術常識にも照らして、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断すべきものである。 以下、この観点に立って判断する。 2 判断 (1)訂正発明1について 訂正発明1は、「光線を遮断」の程度が「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるとなるように当該光線を遮断する」と特定され、「光線を遮断」の程度の指標である「光線の透過率の平均値」を測定する方法が「波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される」と特定されている。 ここで、訂正発明1における「波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値」は、本件特許の明細書【0046】の記載からみて、上市されている一般的な分光光度計により測定される値であることが理解できる。 また、訂正発明1における「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分」は、「光透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する」によって特定されるものであるところ、一般に、一次包装体の光透過率を測定する際には、一次包装体の全体を一度に測定するのではなく、測定可能な小区分ごとに測定するものであるから、訂正発明1における「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分」は、「光透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する」に当てはまる小区分を合計したものであって、当該合計される小区分に対応する「内表面」の合計面積が、「内表面の総面積に対し50%以上」であることを意味すると解される。 ここで、訂正発明1における「内表面」は、本件特許の明細書【0047】の「包装体の表面(包装体の内側、外側のうち少なくとも一方の面)」という記載からみて、一次包装体の内側の表面を意味するものである。 そうすると、当業者は、「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する」ことは、「一次包装体」の全体を「波長300~335nmの光線の透過率」を測定可能な小区分に区分し、小区分ごとの光透過率の平均値を算出し、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する」に当てはまる小区分に対応する「内表面」の合計面積が、「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上」であることを意味すると理解することができる。 したがって、訂正発明1は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (2)訂正発明2について 訂正発明2は、訂正発明1の医薬製剤が「一次包装体の内部が視認可能である」ことを特定するものである。 ここで、本件特許の明細書【0051】には、「視認可能」について、「包装体は、その内部が肉眼等で視認可能(観察可能)であるのが好ましい。内部が視認可能であれば、医薬製剤の製造工程において異物混入の有無等の検査が可能となる、医薬製剤の使用者が内容物(水性組成物)の残量を確認できる等のメリットが生ずる。」と記載されている。 そうすると、訂正発明2における「一次包装体の内部が視認可能である」とは、異物混入や内容物の残量が確認できる程度に包装体の内部が外から肉眼で観察可能であることを意味するといえるし、このことは、技術常識に反するともいえない。 したがって、訂正発明2は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (3)訂正発明3~7、9、10について 訂正発明3~7は、訂正発明1又は訂正発明2を引用するものである。 訂正発明9、10は、訂正発明1と同じ発明特定事項を有するものである。 そうすると、上記(1)及び(2)の説示と同様に、訂正発明3~7、9、10は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから、訂正発明1~7、9、10について、特許請求の範囲の記載が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 3 明確性に関する請求人の主張とそれに対する判断 上記2で述べたように、訂正発明1~7、9、10の特許請求の範囲の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないが、さらに、請求人の主張についても検討する。 請求人は、弁駁書1及び口頭審理陳述要領書(その2)において、包装体がシュリンクフィルムを付した包装体を意味するのか否かも分からないし、シュリンクフィルムを付した場合が含まれる包装体のどの部分を「前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分とする」かによって、構成要件を満たしたり満たさなかったりするから、訂正発明1の「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上」の測定方法が不明である旨主張する(弁駁書1の6頁14~25行、口頭審理陳述要領書(その2)4頁16行~5頁5行)。 しかしながら、本件特許の明細書【0047】によれば、当業者は、一次包装体は、容器外側面に巻き付けられる遮光部材であるシュリンクフィルムを有することがあることを理解できるし、シュリンクフィルムを有する容器の光透過率の平均値は、シュリンクフィルムがない容器と同じ測定方法によって測定できることも理解できるから、上記2(1)で説示したように、当業者は、一次包装体の全体に対する50%以上の部分が所定の光線の透過率となるように光線を遮断することについて、その測定方法を含めた技術的な意味を理解できるといえる。 したがって、上記請求人の主張は採用することができない。 4 小括 以上のとおりであるから、訂正発明1~7、9、10に係る特許は、無効理由1-2、2-2、6-2によって無効とすることはできない。 第6-2 サポート要件違反(無効理由1-1、無効理由2-1及び無効理由6-1)について 1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の判断手法 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(いわゆるサポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 この点を踏まえて、以下、検討する。 2 本件特許の明細書の記載 本件特許の明細書には、以下に示す事項が記載されている。 ア 「【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明者らは、ハロゲン化イソキノリン誘導体であるリパスジルを眼科用剤等として製剤化するに当たり、まずはリパスジルの光安定性を評価した。しかるところ、リパスジルそのものは光に対して極めて安定であることが明らかとなった。有機化合物の光安定性はその構造に依存し、状態(固体、液体等)には依存しないと考えられる。眼科用剤等は、通常、水を含有する組成物(水性組成物)であるが、リパスジルは、水性組成物に配合しても光安定性に問題は生じないものと予想された。 【0010】 しかしながら、本発明者らが更に検討したところ、極めて意外なことに、リパスジル自体は光に対して安定であるにも拘わらず、これを水性組成物中に配合せしめることによって光に対して不安定化し、曝光によって徐々に分解物が増加することが明らかとなった。 そこで、本発明は、リパスジル等のハロゲン化イソキノリン誘導体の、水性組成物中での光に対する安定性を改善する技術を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明者らは、前記課題を解決するため更に鋭意検討したところ、リパスジルの水性組成物中での光分解が300nm付近の波長の光線の照射に起因しており、水性組成物を当該波長の光線を遮断する包装体に収容することで、光安定性の改善された医薬製剤とすることができることを見出し、本発明を完成した。」 イ 「【0046】 本明細書において、前記波長範囲の「光線を遮断する」とは、当該波長範囲の光線の透過率の平均値が40%以下であることを意味する。従って、例えば「波長300~335nmの光線を遮断する包装体」とは、波長300~335nmの光透過率の平均値が40%以下である包装体を意味する。 なお、包装体の、前記波長範囲の光線の透過率の平均値は、光に対する安定性をより向上させる観点から、30%以下であるのが好ましく、25%以下であるのがより好ましく、20%以下であるのがさらに好ましく、15%以下であるのがさらにより好ましく、10%以下であるのがさらにより好ましく、5%以下であるのが特に好ましい。 なお、本明細書において、特定の波長範囲の光透過率の平均値の測定は、分光光度計を用いて当該範囲内において0.5nm毎に、空気中での包装体の光透過率を測定した後、その平均値を算出することにより測定することができる。分光光度計としては例えば、U-3900(日立ハイテクノロジーズ(株))が挙げられる。」 ウ 「【0047】 前記波長範囲の光線を遮断する具体的な手段としては特に限定されないが、例えば、前記波長範囲の光線を遮断する物質を利用する方法が挙げられ、より詳細には、例えば、包装体中に、前記波長範囲の光線を遮断する物質を含有せしめる方法(例えば、ガラスや樹脂に前記波長範囲の光線を遮断する物質を添加し、これを容器形状に成形する方法等);包装体の表面(包装体の内側、外側のうち少なくとも一方の面)に前記波長範囲の光線を遮断する物質を含有する部材(例えば、フィルム等)を備えさせる方法(例えば、樹脂に前記波長範囲の光線を遮断する物質を添加して熱収縮フィルムとし、これを容器外側面に巻き付ける方法等);包装体の表面(包装体の内側、外側のうち少なくとも一方の面)に前記波長範囲の光線を遮断する物質を塗布する方法;前記波長範囲の光線を遮断する物質を包装体の主な材料とする方法(例えば、容器を主に金属、厚紙で構成する方法等)等が挙げられる。 【0048】 前記波長範囲の光線を遮断する物質としては特に限定されないが、包装体の内部を視認可能にし得る点から、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線の透過を妨げる物質が好ましい。具体的には例えば、紫外線散乱剤としては、酸化チタン;酸化亜鉛等が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、・・・などが挙げられる。前記波長範囲の光線を遮断する物質としては例えば、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて前記波長範囲の光線を遮断し得るように設定すればよい。前記波長範囲の光線を遮断する物質としては、酸化チタン;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。 【0049】 前記波長範囲の光線を遮断する物質を包装体の材料や部材に含有せしめる場合、その配合割合は、当該物質の種類や、包装体、別部材の材質等によって異なるが、例えば、包装体の材料や別部材中に、0.001~50質量%、好ましくは0.002~25質量%、特に好ましくは0.01~10質量%程度とすればよい。 【0050】 なお、本明細書において「光線を遮断する包装体」には、当該包装体の一部分のみが光線を遮断する場合も含まれる。このような包装体としては、その内表面を基準として、内表面の総面積に対し10%以上の部分が光線を遮断する部分であるのが好ましく、30%以上の部分が光線を遮断する部分であるのがより好ましく、50%以上の部分が光線を遮断する部分であるのがさらに好ましく、70%以上の部分が光線を遮断する部分であるのが特に好ましい。 【0051】 包装体は、その内部が肉眼等で視認可能(観察可能)であるのが好ましい。内部が視認可能であれば、医薬製剤の製造工程において異物混入の有無等の検査が可能となる、医薬製剤の使用者が内容物(水性組成物)の残量を確認できる等のメリットが生ずる。 本明細書において「内部が視認可能」とは、少なくとも包装体外表面の一部分から内部が視認可能な状態を言う(例えば、通常、略円柱状である点眼剤用容器の側面がシュリンクフィルム等により見通せなくなっていても、底面が視認可能であれば「内部が視認可能」と言える。)。 なお、視認可能性は、包装体が一定以上の透明性を有しておればよく、具体的には例えば、可視光領域(450~750nm)の光透過率の平均値が30%程度以上(より好適には、40%程度以上;特に好適には、50%程度以上)確保されていればよいが、これに限定されるものではない。」 エ 「【実施例】 【0056】 次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 なお、以下の試験例において、リパスジル1塩酸塩2水和物は、例えば国際公開第2006/057397号パンフレット記載の方法により製造することが出来る。 また、以下の試験例において、HPLCを用いたリパスジル及びその類縁物質の測定は、カラムとしてODSカラムを、移動相として0.01モル/L リン酸緩衝液とアセトニトリルを、検出器として紫外吸光光度計(波長:280nm)をそれぞれ用いて行った。 【0057】 [試験例1]リパスジルの光安定性の評価 リパスジルの光に対する安定性を、曝光による分解物の生成の有無を確認することにより評価した。 すなわち、粉末状のリパスジル1塩酸塩2水和物をガラスシャーレに3mm以下の厚さになるように広げた後、光安定性試験装置(LT-120A:ナガノサイエンス(株))を用いて、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が40万、80万又は120万lux・hrとなるように照射した。 【0058】 リパスジルの光分解物の生成の有無を確認するため、曝光前後のサンプルにつきリパスジルの類縁物質の増加の有無を評価した。類縁物質は、HPLCを用いて、リパスジルのピーク面積に対する、類縁物質のピーク面積の比率(%)として評価した。 結果を表1に示す。 【0059】 【表1】 [図:0001435519000088.jpg] 【0060】 表1記載の結果の通り、積算照射量の増加にも拘わらず、リパスジルの類縁物質の量は実質的に増加せず、光分解物の生成は認められなかった。 以上の試験結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、光に対して極めて安定であることが明らかとなった。」 オ 「 【0061】 [試験例2]水性組成物中でのリパスジルの光安定性の評価 リパスジルを水性組成物中に配合した場合の光に対する安定性を、試験例1と同様、曝光による分解物の生成の有無を確認することにより評価した。 すなわち、100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、ベンザルコニウム塩化物 0.002g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、これをポリプロピレン製の透明の容器に収容した。その後、光安定性試験装置(LT-120A:ナガノサイエンス(株))を用いて、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が30万、60万又は120万lux・hrとなるように照射した。 【0062】 リパスジルの光分解物の生成の有無を確認するため、リパスジルの類縁物質の増加の有無を評価した。類縁物質は、HPLCを用いて、リパスジル及びその類縁物質に由来する総ピーク面積に対する面積百分率(%)として評価した。 結果を表2に示す。 【0063】 【表2】 [図:0001435519000089.jpg] 【0064】 表2記載の結果の通り、積算照射量の増加に比例して類縁物質量が増加し、曝光による分解物が生成することが明らかとなった。なお、光源としたD65蛍光ランプは300nm以上の波長の光線を照射するものである。 有機化合物の光分解反応は化合物中の特定の結合の強度に依存し、ひいては化合物の構造に依存する。そのため、光に対する安定性(光分解のされ易さ)は、通常は有機化合物の状態(固体、液体等)によらず同様の傾向を示すはずである。しかしながら、試験例1及び2の結果から、意外なことにリパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、そのもの自体は光に対して安定であるが、水性組成物中に配合することによってはじめて光に対して不安定化する性質を有することが明らかとなった。」 カ 「 【0065】 [試験例3]水性組成物中でのリパスジルの分解の原因となる光線の波長の確認 その1 試験例2で確認された水性組成物中でのリパスジルの光分解につきその原因となる光線の波長を、特定の範囲の波長を有する光線を照射し、曝光による分解物の生成の有無を確認することにより確認した。 すなわち、100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.0612g(リパスジルのフリー体として0.05g)、ホウ酸 1.19g、塩化カリウム 0.42g、ベンザルコニウム塩化物 0.002g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.7)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、これをポリプロピレン製の透明の容器に収容した。その後、光学フィルターを備えた分光照射装置(分光ユニット:HSU-100S、光源:MAX-302FBD、いずれも朝日分光(株))を用いて、概ね270~335nm、320~395nm、370~435nm、430~470nm、470~530nm、525~575nm、570~630nm、625~675nm又は660~740nmの範囲の波長を有する光線を、25℃の条件下で照射した。なお、いずれの波長の光線も、照射エネルギーを約15W・h/m2とした。 【0066】 リパスジルの光分解物の生成の有無を確認するため、試験例1と同様の方法によりリパスジルの類縁物質の増加の有無を評価した。 結果を表3に示す。 【0067】 【表3】 [図:0001435519000090.jpg] 【0068】 表3記載の結果の通り、370nm以上の波長の光線の照射では類縁物質の増加は認められず、それより短波長側、特に270~335nmの光線の照射で類縁物質の顕著な増加が認められた。 なお、医薬品の保存安定性を確認する試験の一つに光安定性試験があるが、当該試験のガイドラインでは光源としてD65光源を用いることが定められている。D65光源は、ISO10977(1993)に規定されている屋外の昼光の標準として国際的に認められたものであり、300~830nmの波長域の分光分布の値で規定されている。これらのことから、医薬品について通常想定される保存条件下においては、300nm以上の波長の光を考慮すれば十分であると考えられる。 以上の点から、リパスジルに代表される、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物の光安定性を確保するうえでは、特に300~335nmの波長の光線を遮断することが重要であると結論付けられた。」 キ 「 【0069】 [試験例4]水性組成物中でのリパスジルの分解の原因となる光線の波長の確認 その2 水性組成物を以下の2種のものに変更し、照射した光線の波長を270~335nm、320~395nm又は370~435nmとしたほかは試験例3と同様の方法により試験を実施した。 <水性組成物A> 100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.0612g(リパスジルのフリー体として0.05g)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、塩化カリウム 0.78g、ベンザルコニウム塩化物 0.002g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.7)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、水性組成物Aとした。 <水性組成物B> 100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.0612g(リパスジルのフリー体として0.05g)、塩化カリウム 0.98g、ベンザルコニウム塩化物 0.002g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.7)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、水性組成物Bとした。 結果を表4に示す。 【0070】 【表4】 [図:0001435519000091.jpg] 【0071】 表4記載の結果の通り、水性組成物の組成の相違に拘わらず、370nm以上の波長の光線の照射では類縁物質の増加は認められず、それより短波長側、特に270~335nmの光線の照射で類縁物質の顕著な増加が認められた。 以上の試験例3及び4の試験結果から、リパスジルに代表される、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物の光安定性を確保するうえでは、その組成に拘わらず、特に300~335nmの波長の光線を遮断することが重要であると結論付けられた。」 ク 「 【0072】 [試験例5]紫外線吸収剤を配合したプラスチック製容器(一次包装体)に収容した水性組成物中のリパスジルの安定化の確認 試験例3及び4で得られた結果を基に、リパスジルを含有する水性組成物を、紫外線吸収剤を配合した容器に収容することにより安定化することを試みた。 すなわち、100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、ベンザルコニウム塩化物 0.002g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、これを下記の紫外線吸収剤を配合したポリプロピレン製の点眼剤用容器に収容し、光安定性試験装置(LT-120A:ナガノサイエンス社)を用いて、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が120万lux・hrとなるように照射した。 【0073】 曝光前後のサンプルにつきリパスジルの類縁物質を試験例1と同様の方法により評価した。 結果を表5に示す。 【0074】 <紫外線吸収剤を配合したプラスチック製容器> ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を練り込んだポリプロピレン製の点眼剤用容器を用いた。容器の光透過率の平均値は、300~335nmで平均7.2%(なお、300~370nmで平均6.7%;270~335nmで平均11.7%;270~370nmで平均9.8%;300~395nmで平均10.2%;270~395nmで平均11.8%)であった。 当該容器は外見上ほぼ透明であり、内容物を視認できる状態であった(例えば、可視光領域(450~750nm)での光透過率は全ての波長において65%を超えており、平均76.2%であった。)。 なお、光透過率は、分光光度計(U-3900:日立ハイテクノロジーズ)を用い、容器を切断して板状片とした後、光が略垂直に入射するよう光路上にセットしたうえで、0.5nm毎に測定した。光透過率の平均値は、所定の波長範囲内の0.5nm毎の光透過率の平均値として算出した。 【0075】 【表5】 [図:0001435519000092.jpg] 【0076】 表5記載の結果より、リパスジルを含有する水性組成物を300~335nmでの光透過率の平均値が7.2%(なお、300~370nmで平均6.7%;270~335nmで平均11.7%;270~370nmで平均9.8%;300~395nmで平均10.2%;270~395nmで平均11.8%)の容器に収容することにより、水性組成物中のリパスジルの光安定性が改善することが明らかとなった。 【0077】 [試験例6]紫外線散乱剤を配合したシュリンクフィルムを備えた容器(一次包装体)に収容した水性組成物中のリパスジルの安定化の確認 試験例5と同様、リパスジルを含有する水性組成物を、紫外線散乱剤を配合した容器に収容することにより安定化することを試みた。 すなわち、紫外線吸収剤を配合した容器の代わりに下記の紫外線散乱剤を配合したシュリンクフィルムを備えた容器を使用し、また、光源としてD65蛍光ランプの代わりに白色蛍光灯(病院の調剤室等で利用されている。)を用いたほかは、試験例5と同様の方法により、試験を実施した。 結果を表6に示す。 【0078】 <紫外線散乱剤を配合したシュリンクフィルムを備えた容器> 紫外線散乱剤として酸化チタン40~45質量%を練り込んだ白色のシュリンクフィルム(熱収縮フィルム)((株)岩田レーベル)を、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤等を含有しない通常のポリプロピレン製点眼剤用容器の側面に、常法に従って巻きつけたものを用いた。酸化チタンを含有するシュリンクフィルムの光透過率の平均値は、300~335nmで平均0.3%(なお、300~370nmで平均0.4%;270~335nmで平均0.1%;270~370nmで平均0.3%;300~395nmで平均0.4%;270~395nmで平均0.3%)であった。 当該シュリンクフィルムは透明では無いため、そのままでは容器側面からは内容物を視認できる状態でなかった(例えば、可視光領域(450~750nm)での光透過率は、平均1.1%であった。)ため、容器側面の下半分に、幅5mm程のスリットを設け、内容物量を視認できるようにした(この部分では光線を遮断できない状態であった。)。また、容器底面にはシュリンクフィルムが巻きつけられていないため、底面からは内容物を視認できる状態にあった。 なお、光透過率は、分光光度計(U-3900:日立ハイテクノロジーズ)を用い、0.5nm毎に測定した。光透過率の平均値は、所定の波長範囲内の0.5nm毎の光透過率の平均値として算出した。 【0079】 【表6】 [図:0001435519000093.jpg] 【0080】 表6記載の結果より、リパスジルを含有する水性組成物を300~335nmでの光透過率の平均値が0.3%(なお、300~370nmで平均0.4%;270~335nmで平均0.1%;270~370nmで平均0.3%;300~395nmで平均0.4%;270~395nmで平均0.3%)の容器に収容することにより、水性組成物中のリパスジルの光安定性が改善することが明らかとなった。 【0081】 試験例5、6の結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、波長300~335nmの光線を遮断する包装体に収容することにより、水性組成物中の一般式(1)で表される化合物の光安定性が改善することが確認された。 【0082】 なお、試験例5、6で使用した容器の代わりに、二次包装体として、紫外線吸収剤を配合したポリエチレン製の透明の点眼剤投薬袋((株)生産日本社)を用いても同様の結果を得ることができる。 なお、当該点眼剤投薬袋の光透過率の平均値は、300~335nmで平均0.4%;300~370nmで平均1.4%;270~335nmで平均0.2%;270~370nmで平均0.9%;300~395nmで平均3.6%;270~395nmで平均2.7%であった。 また、当該容器は外見上白色半透明であり、内容物を視認できる状態であった(例えば、可視光領域(450~750nm)での光透過率は全ての波長において45%を超えており、平均70.6%であった。)。」 ケ 「 【0083】 [試験例7]保存試験 その1 表7に示す処方の水性組成物を常法により調製した後、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製、又はポリ塩化ビニル(PVC)製の容器に入れて医薬製剤を製した。 得られた各医薬製剤を、60℃で3ヶ月間保存し、保存前後での色差(ΔYI)を色差計(分光測色計CM-700d:コニカミノルタセンシング(株))を用いて測定し、ΔYIの値が5以上のものを×、5未満のものを○と評価した。 結果を表8に示す。 【0084】 【表7】 [図:0001435519000094.jpg] 【0085】 【表8】 [図:0001435519000095.jpg] 【0086】 表8記載の結果の通り、リパスジルを含有する水性組成物をポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等のポリオレフィン系樹脂製容器に収容した場合、高温で長期間保存した場合においてもΔYIの値は低く抑えられていたのに対し、ポリ塩化ビニル(PVC)製の容器に収容した場合、ΔYIの値は高くなった。 【0087】 [試験例8]保存試験 その2 表9に示す処方の水性組成物を常法により調製した後、ポリエチレン(PE)製又はポリプロピレン(PP)製の容器に入れて医薬製剤を製した。 得られた各医薬製剤を、60℃で3ヶ月間保存し、保存前後での色差(ΔYI)を色差計(分光測色計CM-700d:コニカミノルタセンシング(株))を用いて測定し、ΔYIの値が5以上のものを×、5未満のものを○と評価した。 結果を表10に示す。 【0088】 【表9】 [図:0001435519000096.jpg] 【0089】 【表10】 [図:0001435519000097.jpg] 【0090】 表10記載の結果の通り、水性組成物の処方を変更した場合であっても、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等のポリオレフィン系樹脂製容器に収容した場合、高温で長期間保存した場合においてもΔYIの値は低く抑えられていた。 【0091】 以上の試験例7、8の結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物をポリオレフィン系樹脂製容器に収容した場合、ΔYIが低く抑えられ、保存安定性に優れることが明らかとなった。」 コ 「 【0092】 [試験例9]保存試験 その3 表11に示す処方の水性組成物を常法により調製した後、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、又はポリ塩化ビニル(PVC)製の容器に入れて医薬製剤を製した。 得られた各医薬製剤を、0℃で2日間保存した後、結晶析出の有無を目視により評価した。なお、結晶析出が認められない場合を○、結晶析出が認められた場合を×とした。 結果を表12に示す。 【0093】 【表11】 [図:0001435519000098.jpg] 【0094】 【表12】 [図:0001435519000099.jpg] 【0095】 表12記載の結果の通り、リパスジルを含有する水性組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)製等のポリエステル系樹脂製容器に収容した場合、低温で保存した場合においても結晶析出が認められなかったのに対し、ポリ塩化ビニル(PVC)製の容器に収容した場合、結晶析出が認められた。 【0096】 [試験例10]保存試験 その4 表13に示す水性組成物を常法により調製した後、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の容器に入れて医薬製剤を製した。 得られた医薬製剤を、0℃で21日間保存した後、結晶析出の有無を目視により評価した。なお、結晶析出が認められない場合を○、結晶析出が認められた場合を×とした。 結果を表14に示す。 【0097】 【表13】 [図:0001435519000100.jpg] 【0098】 【表14】 [図:0001435519000101.jpg] 【0099】 表14記載の結果の通り、水性組成物の処方を変更した場合であっても、ポリエチレンテレフタレート(PET)製等のポリエステル系樹脂製容器に収容した場合、低温で保存した場合においても結晶析出が認められなかった。 【0100】 以上の試験例9、10の結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物をポリエステル系樹脂製容器に収容した場合、低温で保存した場合でも相対的に結晶が析出し難く、保存安定性に優れることが明らかとなった。」 3 訂正発明の課題について 訂正発明の課題は、上記2アの【0010】から、「リパスジルの水性組成物中での光に対する安定性を改善する」ことであると認める。 4 判断 (1)訂正発明1について ア 訂正発明1は、「水性組成物中のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量が、水性組成物全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%」である「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物が、一次包装体に収容」された「医薬製剤」であって、「前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である」ことを特定したものである。 イ ここで、本件特許の明細書には、リパスジルを含有する水性組成物(100mL当たりリパスジルのフリー体0.4gを含む。)を300~335nmの光線の遮断の程度が不明なポリプロピレン製の透明の容器に収容し、300nm以上の光線を照射した場合に、積算照射量の増加に比例して、類縁物質が1.29%、1.95%及び3.67%と増加したこと(上記2オの試験例2)、及び添加物の異なる3種類のリパスジルを含有する水性組成物(100mL当たりリパスジルのフリー体0.05gを含む。)に対して、270~335nmの光線を照射した場合に、類縁物質が4.22%、3.95%及び3.47%増加し、320~395nmの光線を照射した場合に、類縁物質が1.23%、1.07%及び1.02%増加したのに対し、370nm以上の光線を照射した場合に、類縁物質がいずれも0.05%増加にとどまった(上記2カの試験例3、上記2キの試験例4)ことが記載されていることから、リパスジルを含有する水性組成物は、曝光によって分解物(類縁物質)を生じ、特に類縁物質が増加する270~395nmの光に対して不安定であるといえる。 ウ また、本件特許の明細書【0047】~【0051】(上記2ウ)には、容器の遮光性は、一次包装体である容器自体に紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線の透過を妨げる物質を含有せしめることや、紫外線の透過を妨げる物質を添加した熱収縮フィルムを、容器外側面に巻き付ける方法等で実現できることが記載されている。 エ そして、本件特許の明細書には、300~335nmの光線の光透過率の平均値を7.2%に遮断する紫外線吸収剤を配合した容器(上記2クの試験例5)、又は、300~335nmの光線の光透過率の平均値を0.3%に遮断する紫外線散乱剤を配合したシュリンクフィルムを有するスリットを設けた容器(上記2クの試験例6)に、リパスジルを含有する水性組成物を収容して、270~335nmの光線を照射した場合に、類縁物質がそれぞれ0.55%又は0.28%の増加にとどまったこと(上記2クの試験例5、6)が記載されていることから、内容物が視認できるように、容器の一部が遮光されていない部分(スリット)があっても、類縁物質が増加する波長領域である300~335nmの光線を遮断する容器に収容し、曝光量を低減させるほど、リパスジルの分解物(類縁物質)の生成を抑制できることが確認されているといえる。 オ さらに、本件特許の明細書【0046】には、「光線を遮断する」ことが「光線の透過率の平均値が40%以下であることを意味する」こと、及び、「包装体の、前記波長範囲の光線の透過率の平均値は、光に対する安定性をより向上させる観点から」「10%以下であるのがさらにより好まし」いことが記載されている(上記2イ)が、訂正発明1における「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上」及び「波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下」という数値限定については、上記イ~エに説示したとおり、リパスジルを含有する水性組成物の曝光量を低減させるほど、分解物(類縁物質)の生成を抑制できるというものであって、当該透過率の平均値は低いほど好ましく、当該透過率の平均値が低い部分の面積の割合は大きいほど好ましいことが開示されるだけであるから、当該数値限定に臨界的意義があるとはいえない。 カ そうすると、容器に収容されたリパスジルを含有する水性組成物において、当該容器が波長270~395nmの光線をある程度遮断することさえできれば、リパスジルの曝光による分解物(類縁物質)を抑制するという課題を解決できることを当業者は認識できるといえる。 したがって、発明の詳細な説明全体の記載及び技術常識を踏まえれば、当業者は、訂正発明1が「リパスジルの水性組成物中での光に対する安定性を改善する」という課題を解決できることを認識できるといえる。 (2)訂正発明2~7、9、10について 訂正発明2~7は、訂正発明1を引用するものである。 訂正発明9、10は、訂正発明1と同じ発明特定事項を有するものである。 そうすると、上記(1)の説示と同様に、当業者は、訂正発明2~7、9、10が、「リパスジルの水性組成物中での光に対する安定性を改善する」という課題を解決できることを認識できるといえる。 5 サポート要件に関する請求人の主張とそれに対する判断 上記4で述べたように、発明の詳細な説明全体の記載を踏まえれば、当業者は、訂正発明が「リパスジルの水性組成物中での光に対する安定性を改善する」という課題を解決できることを認識できるといえるが、さらに、請求人の主張についても検討する。 請求人は、口頭審理陳述要領書(その2)において、本件訂正発明における透過率(遮断率)にかかる測定方法は不明であり、むしろ、実現不可能というべきであって、包装体の容器は、厚みやフィルムの印刷状態などで透過率は異なるから、このうちどの部分が同様な透過率であるのかを事前に見極めて、その部分毎に細かく切り出し、これを測定するということは現実的に不可能である旨(5頁12~25行)、及び、本件特許の明細書及び乙16の実験には、紫外線吸収剤等が含まれた包装体を用いた場合しか記載されていないのに対し、訂正発明は、包装体が紫外線吸収剤などの紫外線の透過を妨げる物質を含有した容器であることが特定されていないから、訂正発明はサポート要件を満たさない旨(6頁9行~7頁15行)、主張する。 しかしながら、第6-1の2(1)で説示したように、本件訂正発明における透過率(遮断率)にかかる測定方法は、当業者が明確に理解でき、また実現可能であるし、上記4(1)ウ、エで説示したように、波長270~395nmの光線を遮断する手段としては、一次包装体である容器自体が紫外線吸収剤等を含むものに限られず、容器に収容されたリパスジルを含有する水性組成物において、当該容器が波長270~395nmの光線をある程度遮断することさえできれば、リパスジルの曝光による分解物(類縁物質)を抑制するという課題を解決できることを当業者は認識できる。 したがって、上記請求人の主張は採用することができない。 6 小括 以上のとおりであるから、訂正発明1~7、9、10に係る特許は、無効理由1-1、2-1、6-1によって無効とすることはできない。 第6-3 実施可能要件違反(無効理由1-3及び無効理由6-3)について 1 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)の判断手法 発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するためには、物の発明についてはその物を生産できること及び使用できることを、方法の発明についてはその方法を使用できることを、技術常識を参酌した当業者が理解できる程度に、発明の詳細な説明が明確かつ十分に記載したものである必要がある。 この点を踏まえて、以下、検討する。 2 訂正発明1についての判断 発明の詳細な説明の試験例5、6には、リパスジルの類縁物質の生成を確認するため、リパスジルを含有する水性組成物を、300nm~335nmでの光透過率の平均値が7.2%である紫外線吸収剤を配合したポリプロピレン製容器、又は、同平均値が0.3%であるシュリンクフィルムを巻きつけたポリプロピレン製容器に収容したことが記載されている(上記第6-2の2ク)。ここで、当該光透過率の平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定されたものである(上記第6-2の2イ)。 また、350nm以下の光の透過率が10%以下の容器は、当業者が容易に作成することができた容器である(甲14a~甲14c)。 さらに、上記第5の4ケ(イ)によれば、本件特許の優先日前に上市された、2014年の売上上位1~13位までの薬事承認を受けた医薬品の容器のうち、いくつかの容器は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での容器の光透過率を分光光度計で測定した後に算出される光透過率の平均値(%)が、容器本体全体又は一次包装体の約70%の部分において最も高い部分で9.7%、すなわち、10%を超えないものであったこと、及び、2014年当時に薬事承認を受けた医薬品の容器の材質が、本件特許の優先日前から現在に至るまでの間に大きく変化したことを裏付ける事実は見あたらないことから、容器全体又はほぼ全体において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する容器は、本件特許の優先日前から容易に入手可能であって、当業者が通常用いていたものであることが強く推認される。 そうすると、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らし、当業者は、訂正発明1の医薬製剤を製造でき、また使用できることを理解できるといえるから、発明の詳細な説明は、当業者が訂正発明1を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 3 訂正発明2~7についての判断 内部が視認可能であるスリットを有する容器、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)を材質とする容器(ポリオレフィン系樹脂製容器)、更にラベル(紫外線の透過を妨げる物質を含有する部材)やシュリンクフィルム(紫外線の透過を妨げる物質を含有する袋)を有する容器は、本件特許の優先日前から容易に入手可能であって、当業者が通常用いていたものである(甲19d、甲32d、甲46d、甲47d)。 また、ポリエステル系樹脂製容器は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)とともに、医薬品を収容できる容器の材質として、広く流通しているものである(上記第5の4オ)。 したがって、上記2の説示も踏まえると、発明の詳細な説明は、当業者が訂正発明2~7を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 4 訂正発明9、10についての判断 発明の詳細な説明には、リパスジルを含有する水性組成物をポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等のポリオレフィン系樹脂製容器やポリエチレンテレフタレート(PET)製等のポリエステル系樹脂製容器に収容した場合に、リパスジルの保存安定性が優れることが記載されている(上記第6-2の2ケ、コ)。 また、上記2で説示したように、容器全体又一次包装体の約70%の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する容器は、本件特許の優先日前から容易に入手可能であった。 そうすると、当業者は、訂正発明9の光安定性を向上させる方法や訂正発明10の保存方法は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、容易に入手可能な当該光線を遮断する容器を用いることによっておのずと実施できるものであることを理解する。 したがって、上記2の説示も踏まえると、発明の詳細な説明は、当業者が訂正発明9、10を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 5 実施可能要件に関する請求人の主張とそれに対する判断 実施可能要件に関する請求人の主張は、上記第6-2の5で説示した「サポート要件に関する請求人の主張」とおおむね同じである。 したがって、上記第6-2の5で説示したのと同様に、上記請求人の主張は採用することができない。 6 小括 以上のとおりであるから、訂正発明1~7、9、10に係る特許は、無効理由1-3、6-3によって無効とすることはできない。 第6-4 新規性欠如(無効理由3-1)及び進歩性欠如(無効理由3-2、無効理由4及び無効理由5)について 1 甲2発明の認定 甲2a~cによれば、甲2には、以下の発明が記載されていると認められる。 「下記の構造式で表されるK-115を含有する局所点眼液。 [図:0001435519000102.jpg] 」(以下「甲2発明1」という。) 「下記の構造式で表されるK-115を、K-115点眼薬のビヒクルに溶解させる工程からなる、K-115を含有する局所点眼液製造方法。 [図:0001435519000103.jpg] 」(以下「甲2発明2」という。) 2 訂正発明1について (1)対比 訂正発明1と甲2発明1とを対比する。 甲2発明1の「K-115」は、その構造式からみて、「4-フルオロ-5-[[(2S)-2-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル]スルホニル]イソキノリン」の1塩酸塩2水和物、すなわちリパスジルの1塩酸塩2水和物である(本件特許の明細書【0021】~【0024】)から、訂正発明1の「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」に相当する。 甲2発明1の「局所点眼液」と訂正発明1の「水性組成物」は、「組成物」である点に限り、一致する。 したがって、訂正発明1と甲2発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する組成物。」 <相違点> 相違点1 訂正発明1は、組成物が「水性組成物」であるのに対し、甲2発明1では、対応する事項が特定されていない点。 相違点2 訂正発明1は、組成物が、「一次包装体に収容されてなり、 前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である、医薬製剤」であるのに対し、甲2発明1では、対応する事項が特定されていない点。 相違点3 訂正発明1は、組成物中の「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量」が、組成物「全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%」であるのに対し、甲2発明1では、対応する事項が特定されていない点。 (2)当審の判断 ア 相違点1について 甲2には、様々な濃度のK-115を組換えROCKという酵素とともにTris-HCl緩衝液(pH7.5)中でインキュベートすることによって、組換えROCKに対する50%阻害濃度(IC50)を決定したこと(甲2c、甲2e)、K-115が選択的かつ強力なROCK阻害剤(甲2h)であって、動物実験において眼圧を低下させる効果が確認されたこと(甲2a、甲2d、甲2f~甲2h)が記載されている。 ここで、「Tris-HCl緩衝液(pH7.5)」は、トリスヒドロキシメチルアミノメタンと塩酸を含む水性組成物であって、当該分野において生体分子を用いる実験においてよく用いられる緩衝液であることは、当業者に明らかな技術的事項である。 そうすると、甲2に接した当業者は、甲2に記載された「K-115」は水性組成物となりうるもので、水性組成物中にあることでROCK阻害活性(眼圧低下効果)を発揮する化合物であると理解する。 一方、甲2には「K-115」を含む組成物が「油性組成物」であることは記載されておらず、「K-115」を含む組成物を「油性組成物」とすることが技術常識であったという事情も見あたらない。 したがって、甲2に記載された「K-115」を含む組成物は、動物実験(甲2f~甲2h)で用いられた組成物も含めて、いずれも「水性組成物」であると解することが相当であって、承認審査に付されたリパスジル製剤が精製水を含む組成物であること(上記第5の4キ)とも整合するものである。 したがって、相違点1は、実質的な相違点ではない。 相違点1が実質的な相違点であるとしても、甲2には、「K-115」が水性組成物中でROCK阻害活性を示すことが記載されている(甲2c、甲2e)から、当業者は、相違点1に係る訂正発明1の構成に容易に到達し得たといえる。 イ 相違点2について 甲2には、組成物が所定の光線を遮断する一次包装体に収容されていることは記載されていない。 そうすると、相違点2は、実質的な相違点である。 したがって、訂正発明1は、甲2に記載された発明ではない。 一般に、医薬としての使用が予定されている化学物質は、当該化学物質を有効成分とする医薬品を製造し、販売し、又は使用することを前提とするものであって、当該化学物質を有効成分とする医薬品を製造し、販売し、又は使用するためには、当該化学物質からなる「原薬」の安定性試験成績及び「製剤」の安定性試験成績を含む資料を添付した申請書類を提出し、薬事承認を受ける必要があることは、当業者に自明の事項である(上記第5の4ア、ウ)。 また、ある化学物質を有効成分とする「製剤」の承認申請に必要な安定性試験には、「原薬」、「賦形剤などの添加剤」及び「容器の材質等」を特定する必要があることは、当業者の技術常識であり(上記第5の4イ、ク)、安定性試験には、光に対する安定性の試験が含まれており、特に「製剤の光安定試験」では、「その製剤が曝光の影響を受けないことを実証できるまで」、容器の変更と安定性試験を繰り返し行う必要があることも当業者の技術常識である(甲7a~甲7d、甲8a、甲8b、甲9の1a、甲9の2a、甲9の3a)(参考:甲18の1a、甲18の2a、甲18の3a(出願後公知))。 さらに、リパスジルは、抗緑内障薬という点眼薬としての使用が予定されていた化学物質である(甲2a、甲2b)。 そうすると、リパスジルを有効成分とする「点眼薬」という「製剤」として薬事承認を受けるためには、当業者には、リパスジルが曝光の影響を受けないことを実証できる「点眼剤用容器」を選択しようとする強い動機付けがある。 ここで、訂正発明1の一次包装体は、ラベルやシュリンクフィルムの有無について特定されていないから、任意のラベルやシュリンクフィルムを有する態様を包含するものであるところ、容器の遮光性は、本件特許の明細書【0047】~【0051】(上記第6-2の2ウ)に記載されているように、一次包装体である容器自体に紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線の透過を妨げる物質を添加した熱収縮フィルムを、容器外側面に巻き付ける方法等で実現できるものであるし、本件特許の明細書をみても、訂正発明1における「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上」及び「波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下」という数値限定に臨界的意義があるとはいえないことは、上記第6-2の4(1)オで説示したとおりである。 そして、上記第6-3の2で説示したように、容器全体又は一次包装体の約70%の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する容器は、本件特許の優先日前から容易に入手可能であって、当業者が通常用いていたものであることが強く推認される。 そうすると、当業者は、甲2発明1において、リパスジルを有効成分とする点眼薬に用いる容器の材質として、種々の材質を検討し(上記第5の4エ)、当業者に容易に入手可能なものとして流通していた波長300~335nmを含む紫外線の透過が抑制された容器を選択し、相違点2に係る訂正発明1の構成に容易に到達し得たといえる。 ウ 相違点3について リパスジルの1塩酸塩2水和物の分子量は「395.88」であって、リパスジルの濃度「4.0mg/1mL」は、リパスジルについて「組成物100mL当たりのフリー体として0.4g」、すなわち「組成物全容量に対して、フリー体換算で0.4w/v%」と同義であるから、リパスジルの1塩酸塩2水和物の濃度「4.896mg/1mL」(0.4896w/v%)は、リパスジルのフリー体の濃度「4.0mg/1mL」(0.4w/v%)に相当する(甲22aの審議結果報告書の2頁目)。 そうすると、甲2において眼圧低下の活性を示した「0.4%の濃度のK-115」は、リパスジルについて組成物全容量に対するフリー体の濃度として換算するとおよそ「0.3268w/v%」(=0.4(%)×0.4(リパスジルの濃度(w/v%))/0.4896(リパスジルの1塩酸塩2水和物(K-115)の濃度(w/v%))となる。同様にして、リパスジルの1塩酸塩2水和物である「K-115」の濃度(w/v%)は、組成物全容量に対するフリー体の濃度(w/v%)として換算することができる。 したがって、甲2には、K-115(リパスジル1塩酸塩2水和物)の濃度を、0.0625%(0.051w/v%)(合議体注:括弧内は、組成物全容量に対するフリー体の濃度(w/v%)に換算した値。以下同じ。)、0.125%(0.102w/v%)、0.25%(0.204w/v%)、0.5%(0.409w/v%)としてウサギに局所点眼した場合においても、0.1%(0.082w/v%)、0.2%(0.163w/v%)、0.4%(0.327w/v%)としてサルに局所点眼した場合においても、用量依存的に眼圧(IOP)が低下したことが記載されているといえる(甲2a、甲2d、甲2f、甲2g)。 そうすると、甲2には、組成物中にリパスジルがフリー体換算で0.05~5w/v%であることが実質的に記載されているといえる。 したがって、相違点3は、実質的な相違点ではない。 相違点3が実質的な相違点であるとして、以下、検討する。 点眼剤における有効成分の濃度は、所望の効果を奏することが期待できる範囲において当業者が設定する設計事項であるところ、一般に、ヒトに適用することを前提とする点眼液を調製するにあたり、ウサギやサルの用量に基づいて、有効成分の濃度を設計することは、当業者に自明の技術的事項である。 そうすると、K-115が用量依存的に眼圧(IOP)を低下させるという甲2に記載の知見に接した当業者は、ヒトにおける眼圧低下作用の向上を期待して、ウサギやサルの用量に基づいて、眼圧低下作用が期待される濃度を設計しようとするのが自然であるから、甲2に開示されたリパスジルの濃度である「0.0625%(0.051w/v%)、0.125%(0.102w/v%)、0.25%(0.204w/v%)、0.5%(0.409w/v%)」や「0.1%(0.082w/v%)、0.2%(0.163w/v%)、0.4%(0.327w/v%)」に基づいて、相違点3に係る訂正発明1の構成に容易に到達し得たといえる。 エ 効果について (ア)本件特許の明細書の記載 a リパスジルの類縁物質 本件特許の明細書の試験例1には、粉末状のリパスジル1塩酸塩2水和物は、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が40万、80万又は120万lux・hrとなるように照射しても、リパスジルの類縁物質の量は実質的に増加しなかったことから、光に対して極めて安定であることが明らかとなったことが記載されている(上記第6-2の2エ)。 本件特許の明細書の試験例2には、リパスジル1塩酸塩2水和物を0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)を含有する水性組成物を、ポリプロピレン製の透明の容器に収容し、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が30万、60万又は120万lux・hrとなるように照射したところ、曝光前では0.17%であった類縁物質が、曝光後では1.29%、1.95%又は3.67%となったことが記載されている (上記第6-2の2オ)。 本件特許の明細書の試験例5には、リパスジル1塩酸塩2水和物を0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)で含有する水性組成物を、300~335nmでの光透過率の平均値が7.2%である紫外線吸収剤を配合したポリプロピレン製の点眼剤用容器に収容し、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が120万lux・hrとなるように照射したところ、曝光前では0.11%であった類縁物質が、曝光後では0.55%となったことが記載されている(上記第6-2の2ク)。 本件特許の明細書の試験例6には、リパスジル1塩酸塩2水和物を0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)で含有する水性組成物を、300~335nmでの光透過率の平均値が0.3%である酸化チタンを含有するシュリンクフィルムを巻き付け、容器側面の下半分に、幅5mm程のスリットを設け、内容物量を視認できるようにしたポリプロピレン製の点眼剤用容器に収容し、光源としてD65蛍光ランプの代わりに白色蛍光灯を用いたほかは、試験例5と同様の方法により、試験を実施したところ、曝光前では0.13%であった類縁物質が、曝光後では0.28%となったことが記載されている(上記第6-2の2ク)。 そうすると、本件特許の明細書には、類縁物質の量についての本件特許の明細書の試験例2、5、6からみて、リパスジルパスジル1塩酸塩2水和物を含有する水性組成物に対して、300nm以上の波長の光線を照射するD65蛍光ランプ又は白色蛍光灯を光源として、25℃の条件下で積算照射量が120万lux・hrとなるように照射した場合に、ポリプロピレン製の透明の容器(試験例2)を用いた場合(類縁物質の量3.67%)と比較して、300~335nmでの光透過率の平均値が7.2%である紫外線吸収剤を配合したポリプロピレン製の点眼剤用容器(試験例5)を用いた場合(類縁物質の量0.55%)や、300~335nmでの光透過率の平均値が0.3%である酸化チタンを含有するシュリンクフィルムを巻き付け、容器側面の下半分に、幅5mm程のスリットを設け、内容物量を視認できるようにしたポリプロピレン製の点眼剤用容器(試験例6)を用いた場合(類縁物質の量0.28%)を用いた場合の方が、相対的に類縁物質が生じ難いこと、すなわち、類縁物質の量の点で光安定性に優れることが記載されているといえる。 b 色の変化 本件特許の明細書の試験例7、8には、リパスジル1塩酸塩2水和物を0.4896g(フリー体として0.4g)含有する水性組成物を、ポリオレフィン系樹脂製容器であるポリエチレン(PE)製容器又はポリプロピレン(PP)製容器、若しくは、ポリ塩化ビニル(PVC)製容器に収容し、60℃で3ヶ月保存し、保存前後での色差(ΔYI)により評価したことが記載されている(上記第6-2の2ケ)。 本件特許の明細書の試験例9、10には、リパスジル1塩酸塩2水和物を0.4896g(フリー体として0.4g)含有する水性組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)製容器又はポリ塩化ビニル(PVC)製容器に収容し、0℃で21日間保存し、保存後の析出の有無について評価したことが記載されている(上記第6-2の2コ)。 そうすると、本件特許の明細書には、所定の容器に収容することによって、所定の温度での保存したときの色差や析出の程度が異なることが記載されているといえる。 (イ)効果についての判断 a 上記(ア)aの効果について 上記第5の4カで説示したように、遮光保存をうたっていない点眼薬についても、直射日光を避けるなどの遮光保存が求められるものであって、薬物がどの波長に特に不安定かにより,適切な遮光波長特性を持つ点眼瓶や遮光袋の選択がなされることが一般的であったことから、当業者は薬物の安定性を損なう光の波長が存在し得ることを認識していたといえる。一方、薬物の安定性を向上させる光の波長が存在し得ることを認識していたという特段の事情は見あたらない。 また、本件特許の明細書において光に対する安定性を評価するために設定した、300nm以上の波長の光線を照射するD65蛍光ランプや白色蛍光灯を光源として積算照射量が120万lux・hrとなるように照射するという条件は、薬事承認を受けるために求められる薬物の光に対する安定性を評価するための周知の条件の一つである(上記第5の4サ)。 そうすると、300nm以上の波長の光線を照射するD65蛍光ランプや白色蛍光灯を光源として積算照射量が120万lux・hrとなるように照射した場合において、300nm以上の波長の光をある程度遮断できる容器に収容することによって、透明の容器に収容した場合より光による劣化を抑制できるという上記(ア)aの効果は、当業者が予測し得る程度の効果である。 また、上記(ア)aの効果については、上記イで説示したように、リパスジルを有効成分とする「点眼薬」という「製剤」として薬事承認を受けるためには、当業者は「容器の材質」を検討して特定した「製剤」の安定性試験を行う必要があるから、上記(ア)aの効果は、当業者が必ず行う「製剤」の光安定性試験によっておのずと明らかになる性質を確認したに過ぎないものでもある。 b 上記(ア)bの効果について 上記(ア)bの試験例7~10において用いられている容器が訂正発明において特定される「透過率の平均値」を備えることは記載されていない。また、上記試験例7~10は、「60℃で3ヶ月間保存」又は「0℃で21日間」で保存したときの安定性を評価するものであるが、曝光の程度は不明である。そうすると、試験例7~10に示される効果を訂正発明1の効果として参酌することはできない。 c 効果についての小括 したがって、本件特許の明細書に記載された効果は、訂正発明1の進歩性の存在を推認できるような効果とまではいえない。 オ まとめ 以上のとおりであるから、訂正発明1は、甲2に記載された発明とはいえないが、訂正発明1は、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 訂正発明2~7について 訂正発明2は、訂正発明1の一次包装体の内部が視認可能であることを特定するものである。 訂正発明3は、訂正発明1の一次包装体が紫外線の透過を妨げる物質を含有する容器であることを特定するものであって、前記紫外線の透過を妨げる物質が、前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるよう当該光線を遮断するように含有されていることを特定するものである。 訂正発明4は、訂正発明1の一次包装体が紫外線の透過を妨げる物質を含有する部材を備える容器であることを特定するものである。 訂正発明5は、訂正発明1の一次包装体がポリオレフィン系樹脂製容器であることを特定するものである。 訂正発明6は、訂正発明1の一次包装体がポリエステル系樹脂製容器であることを特定するものである。 訂正発明7は、訂正発明1において、二次包装体として、紫外線の透過を妨げる物質を含有する袋を更に備えることを特定するものである。 訂正発明2~7は、訂正発明1を更に特定するものであるから、甲2に記載された発明ではない。 ここで、本件特許の優先日当時において、医薬品を収容できる容器の材質として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)といった種々のものが知られており(上記第5の4オ~キ)、一般に、遮光保存をうたっていない点眼薬についても、直射日光を避けるなどの遮光保存が求められるものであって、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが使用される点眼瓶(プラスチック製容器)には、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれることがあることは、当業者に知られた技術的事項である(上記第5の4カ)。 また、甲19、甲32、甲46には、容易に入手可能なものとして流通していたポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)を材質とする容器(ポリオレフィン系樹脂製容器)や、これに更にラベル(紫外線の透過を妨げる物質を含有する部材)やシュリンクフィルム(紫外線の透過を妨げる物質を含有する袋)を有する容器が、内部が視認可能であるスリットを有することも記載されている(甲19d、甲32d、甲46d)。 そうすると、上記2(2)の説示を踏まえると、当業者は、甲2発明1において、リパスジルを有効成分とする点眼薬に用いる容器の材質として、種々の材質を検討し(上記第5の4エ)、当業者に容易に入手可能なものとして流通していた内部が視認可能であるスリットを有するポリオレフィン系樹脂製容器やポリエステル系樹脂製容器を選択し、また、紫外線の透過を妨げる物質を含有する部材や袋を備えるものとして、訂正発明2~7の構成に容易に到達し得たといえる。 そして、その効果も格別なものとはいえない。 したがって、訂正発明2~7は、甲2に記載された発明とはいえないが、訂正発明2~7は、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 訂正発明9について (1)対比 訂正発明9と甲2発明2とを対比する。 甲2発明2の「K-115」は、その構造式からみて、「4-フルオロ-5-[[(2S)-2-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル]スルホニル]イソキノリン」の1塩酸塩2水和物、すなわちリパスジルの1塩酸塩2水和物である(本件特許の明細書【0021】~【0024】)から、訂正発明9の「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」に相当する。 甲2発明2の「局所点眼液」と訂正発明9の「水性組成物」は、「組成物」である点に限り、一致する。 甲2発明2の「局所点眼液製造方法」における局所点眼液は、通常、製造直後ではなく必要時に使用されるものであるから、必要となるときまでは何らかの容器に収容されて保管されるものである。そうすると、甲2発明2の「局所点眼液製造方法」に「容器に収容する工程」が含まれることは自明である。 したがって、訂正発明9と甲2発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する組成物を容器に収容する工程を含む、方法。」 <相違点> 相違点4 訂正発明9は、組成物が「水性組成物」であるのに対し、甲2発明2では、対応する事項が特定されていない点。 相違点5 「容器に収容する工程を含む、方法」について、訂正発明9では、容器が「前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である」「一次包装体」であり、方法が「水性組成物中での光安定性を向上させる方法」であるのに対し、甲2発明2では、容器の材質が特定されない「局所点眼液製造方法」である点。 相違点6 訂正発明9は、組成物中の「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量」が、組成物「全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%」であるのに対し、甲2発明2では、対応する事項が特定されていない点。 (2)当審の判断 ア 相違点4について 相違点4は、相違点1と実質的に同じである。 したがって、上記2(2)アで説示したように、相違点4は、実質的な相違点ではないか、相違点4が実質的な相違点であるとしても、甲2には、「K-115」が水性組成物中でROCK阻害活性を示すことが記載されている(甲2c、甲2e)から、当業者は、相違点4に係る訂正発明9の構成に容易に到達し得たといえる。 イ 相違点5について 相違点5のうち、容器に関する部分については、上記2(1)で説示した訂正発明1についての相違点2と実質的に同じである。 そうすると、上記2(2)イで説示したのと同様に、相違点5は、実質的な相違点である。 したがって、訂正発明9は、甲2に記載された発明ではない。 そして、相違点5のうち、容器に関する部分については、上記2(2)イで説示したように、リパスジルを有効成分とする「点眼薬」という「製剤」として薬事承認を受けるためには、当業者には、リパスジルが曝光の影響を受けないことを実証できる「点眼剤用容器」を選択しようとする強い動機付けがあるし、容器全体又は一次包装体の約70%の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する容器は、本件特許の優先日前から容易に入手可能であって、当業者が通常用いていたものであることが強く推認されるものである。 また、相違点5のうち、「水性組成物中での光安定性を向上させる方法」の部分については、発明の詳細な説明には、リパスジルを含有する水性組成物をポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等のポリオレフィン系樹脂製容器やポリエチレンテレフタレート(PET)製等のポリエステル系樹脂製容器に収容した場合に、リパスジルの保存安定性が優れることが記載されている(上記第6-2の2ケ、コ)ことから、相違点5の「光安定性を向上させる方法」は、上記の当業者が通常用いていた容器を用いることによっておのずと達成されるものであるといえる。 そうすると、当業者は、甲2発明2において、リパスジルを有効成分とする点眼薬に用いる容器の材質として、種々の材質を検討し(上記第5の4エ)、当業者に容易に入手可能なものとして流通していた波長300~335nmを含む紫外線の透過が抑制された容器を選択し、相違点5に係る訂正発明9の構成に容易に到達し得たといえる。 ウ 相違点6について 相違点6は、相違点3と実質的に同じである。 したがって、上記2(2)ウで説示したのと同様に、相違点6は、実質的な相違点ではないか、相違点6が実質的な相違点であるとしても、K-115が用量依存的に眼圧(IOP)を低下させるという甲2に記載の知見に接した当業者は、ヒトにおける眼圧低下作用の向上を期待して、ウサギやサルの用量に基づいて、眼圧低下作用が期待される濃度を設計しようとするのが自然であるから、甲2に開示されたリパスジルの濃度に基づいて、相違点6に係る訂正発明9の構成に容易に到達し得たといえる。 エ 効果について 上記2(2)エ(ア)で説示したように、本件特許の明細書には、類縁物質の量や色の変化を指標としてリパスジルの安定性を評価したことが記載されている。 しかしながら、上記2(2)エ(イ)で説示したのと同様に、本件特許の明細書に記載された効果は、いずれも「光安定性を向上させる方法」に係る訂正発明9の進歩性の存在を推認できるような効果とまではいえない。 オ 小括 したがって、訂正発明9は、甲2に記載された発明とはいえないが、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 訂正発明10について (1)対比 訂正発明10と甲2発明2とを対比する。 甲2発明2の「K-115」は、その構造式からみて、「4-フルオロ-5-[[(2S)-2-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル]スルホニル]イソキノリン」の1塩酸塩2水和物、すなわちリパスジルの1塩酸塩2水和物である(本件特許の明細書【0021】~【0024】)から、訂正発明10の「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」に相当する。 甲2発明2の「局所点眼液」と訂正発明10の「水性組成物」は、「組成物」である点に限り、一致する。 甲2発明2の「局所点眼液製造方法」における局所点眼液は、通常、製造直後ではなく必要時に使用されるものであるから、必要となるときまでは何らかの容器に収容されて保管されるものである。そうすると、甲2発明2の「局所点眼液製造方法」に「容器に収容する工程」が含まれることは自明である。 したがって、訂正発明10と甲2発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する組成物を容器に収容する工程を含む、方法。」 <相違点> 相違点7 訂正発明10は、組成物が「水性組成物」であるのに対し、甲2発明2では、対応する事項が特定されていない点。 相違点8 「容器に収容する工程を含む、方法」について、訂正発明10では、容器が「前記一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断するものであり、 前記平均値は、波長300~335nmの範囲内において0.5nm毎に空気中での包装体の光透過率を分光光度計で測定した後にその平均値を算出することにより測定される値である」「一次包装体」であり、方法が「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の保存方法」であるのに対し、甲2発明2では、容器の材質が特定されない「局所点眼液製造方法」である点。 相違点9 訂正発明10は、組成物中の「リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量」が、組成物「全容量に対して、フリー体換算で0.05~5w/v%」であるのに対し、甲2発明2では、対応する事項が特定されていない点。 (2)当審の判断 ア 相違点7について 相違点7は、相違点1と実質的に同じである。 したがって、上記2(2)アで説示したように、相違点7は、実質的な相違点ではないか、相違点7が実質的な相違点であるとしても、甲2には、「K-115」が水性組成物中でROCK阻害活性を示すことが記載されている(甲2c、甲2e)から、当業者は、相違点7に係る訂正発明10の構成に容易に到達し得たといえる。 イ 相違点8について 相違点8のうち、保存方法に関する部分について検討する。 一般に、局所点眼液は、通常、製造直後ではなく必要時に使用されるものであるから、必要となるときまでは何らかの容器に収容されて保存されるものである。 そうすると、相違点8における「保存方法」は、甲2発明2との対比において相違点にならない。 相違点8のうち、容器に関する部分について検討すると、容器に関する部分については、上記2(1)で説示した訂正発明1についての相違点2と同様に判断される。 そうすると、上記2(2)イで説示したのと同様に、相違点8は、実質的な相違点である。 したがって、訂正発明10は、甲2に記載された発明ではない。 そして、上記のとおり、相違点8は相違点2と同様に判断されるから、上記2(2)イで説示したように、リパスジルを有効成分とする「点眼薬」という「製剤」として薬事承認を受けるためには、当業者には、リパスジルが曝光の影響を受けないことを実証できる「点眼剤用容器」を選択しようとする強い動機付けがあるし、容器全体又は一次包装体の約70%の部分において波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する容器は、本件特許の優先日前から容易に入手可能であって、当業者が通常用いていたものであることが強く推認されるものである。 そうすると、当業者は、甲2発明2において、リパスジルを有効成分とする点眼薬に用いる容器の材質として、種々の材質を検討し(上記第5の4エ)、当業者に容易に入手可能なものとして流通していた波長300~335nmを含む紫外線の透過が抑制された容器を選択し、相違点8に係る訂正発明10の構成に容易に到達し得たといえる。 ウ 相違点9について 相違点9は、相違点3と実質的に同じである。 したがって、上記2(2)ウで説示したように、相違点9は、実質的な相違点ではないか、相違点9が実質的な相違点であるとしても、K-115が用量依存的に眼圧(IOP)を低下させるという甲2に記載の知見に接した当業者は、ヒトにおける眼圧低下作用の向上を期待して、ウサギやサルの用量に基づいて、眼圧低下作用が期待される濃度を設計しようとするのが自然であるから、甲2に開示されたリパスジルの濃度に基づいて、相違点9に係る訂正発明10の構成に容易に到達し得たといえる。 エ 効果について 上記2(2)エ(ア)で説示したように、本件特許の明細書には、類縁物質の量や色の変化を指標としてリパスジルの安定性を評価したことが記載されている。 しかしながら、上記2(2)エ(イ)で説示したのと同様に、本件特許の明細書に記載された効果は、いずれも「保存方法」に係る訂正発明10の進歩性の存在を推認できるような効果とまではいえない。 オ 小括 したがって、訂正発明10は、甲2に記載された発明とはいえないが、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 新規性及び進歩性に関する被請求人の主張とそれに対する判断 (1)被請求人の主張 被請求人は、答弁書1、口頭審理陳述要領書、被請求人上申書2及び被請求人上申書3において、概略、以下のように主張する。 ア リパスジルそのもの自体(リパスジル単独)は曝光下において類縁物質が生成しにくいものであったことから、水性組成物に含有させて曝光した場合も類縁物質が生成しにくいものと予想されるところ、その予想に反し、水性組成物に含有させて曝光した場合にリパスジルが徐々に分解して分解物(類縁物質)が増加するという課題は、本発明者らが初めて見いだしたものであって、当該課題を解決するために検討した結果、リバスジルをフリー体換算で0.05~5w/v%含有する水性組成物中におけるリパスジルの光分解が300nm付近の波長の光線の照射に起因すること、及び、内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する一次包装体に、リパスジルを含有する水性組成物を収容することによって、曝光された場合における分解が抑制される医薬製剤とすることを見いだしたものであるのに対し、いずれの甲号証をみても、当該課題もその解決手段も開示も示唆もなく、所定の一次包装体に水性組成物を収容する動機づけにはならない。 点眼薬の薬事承認申請を受けるために、曝光された場合に有効成分が不安定になる光線の波長を見出すこと又は記載することが必要という事実は一切ないから、薬事承認申請を受けるための試験を当業者が行った場合に、所定の一次包装体に収容することと、水性組成物中のリバスジルの光安定性を向上させ、曝光によって生じる分解を抑制する効果との関連性がおのずと理解されるというようなことは決してない。 したがって、訂正発明は、曝光されても水性組成物の分解が抑制されるという格別の効果を奏するから、新規性及び進歩性を有する(答弁書1の8~20頁「(3)無効理由3~4(新規性、進歩性)について」の項、口頭審理陳述要領書7~13頁「2)無効理由3~5(新規性、進歩性)について」の項、被請求人上申書3の8~11頁「第3」の(3)」及び「(5)」)。 イ 甲32(実験は2024年)、甲13(実験は2021年)に記載の試験検体は、本件特許の優先日(2014年3月28日)当時の試験検体と比較すると、製造元や外観が変化していること(乙24~乙27)、及び、インタビューフォーム(IF)中の容器の材質の記載に変更がない場合であっても、承認事項の範囲内である限り、容器の仕様が変更されることがあるから、甲32、甲13に記載の試験検体は、本件特許の優先日当時に存在した容器とはいえないし、仮に容器の仕様に変更がないものが存在していたとしても、甲13、甲32をもって、本件特許の優先日当時に存在した容器の多くが、訂正発明において特定されるものに該当するということを示す合理的な根拠にそもそもならない(被請求人上申書1の5~12頁「第3 その他の事項について」の項)。 そもそもIFには容器材質以外の光透過率に影響を与え得る要素は必ずしも全てが表示されていないから、本件優先日前と最新のIFをいくら見比べて容器の材質の記載に変更がないことを確認したとしても、容器材質以外の光透過性に影響を与え得る要素に変更があったこと・なかったことの確認とはならない(被請求人上申書2の「6.上申の内容」で引用する乙28の3頁4段落)。 ウ 本件特許出願以前から、新有効成分含有医薬品の製造承認申請における安定性試験で分解生成物が1.0%以上存在する場合には、構造決定や安全性確認が必要になることがあるものであるところ(乙29)、乙30(実験成績証明書)の表B及び図Aに示すように、請求項1、9、10で特定する「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が10%超である場合(追加比較例1~4)には、その他の点について本件訂正発明1、9、10の構成を満足していたとしても、120万Lux・hrの光線を照射したときの類縁物質量が1.0%以上となったのに対し、本件特許明細書の表5~6には、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が0.3%、7.2%であれば、120万Lux・hrの光線を照射した場合であっても類縁物質量が1.0%未満になる(試験例6のサンプル:0.28%(曝光前との差0.15%)、試験例5のサンプル:0.55%(曝光前との差0.44%))ことが示されているから、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下」という数値限定はハッキリとした臨界的な意義である(被請求人上申書3の6~8頁「第3」の「(2)」)。 エ 甲13において測定されている容器8種のうちの6種は、請求項1、9、10で特定する「波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下」ではないし、乙30(実験成績証明書)の追加比較例1~4で用いた容器(一次包装体)も、請求項1、9、10で特定する「波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下」ではないことからみて、本件特許出願前において、上記透過率の平均値が10%を超えるものもよく知られていたところであるから、甲2発明1において、リバスジルを有効成分とする点眼薬に用いる容器として、当業者に容易に入手可能な容器を選択した場合に、本件訂正発明1の構成に必ず到達するなどという合理性は一切ない(被請求人上申書3の8頁「第3」の「(3)」)。 (2)被請求人の主張についての当審の判断 ア 上記(1)アの主張について 点眼薬の薬事承認申請を受けるために、曝光された場合に有効成分が不安定になる光線の波長を見出すこと又は記載することが必要であるか否かにかかわらず、リパスジルの水性組成物中における光安定性については、光に対する安定性を含む承認審査の要求を満たすために、当業者が必ず行う「製剤」の光安定性試験によっておのずと明らかになる性質を確認したに過ぎないものである(上記2(2)エ(イ)a)。 また、訂正発明は、リパスジルの水溶液を所定の容器に収容した発明であるから、訂正発明の効果の評価は、リパスジルの水溶液を所定の容器に収容した発明が奏するであろうと予測できる効果と比較して行うべきである(最三小判令和元年8月27日(平成30年(行ヒ)第69号))。そうすると、訂正発明の効果の評価は、甲2発明1又は甲2発明2から容易に到達し得る、リパスジルの水溶液を所定の容器に収容した発明が奏するであろうと予測できる効果と比較すべきであって、リパスジルそのもの自体(リパスジル単独)が奏する効果と比較して評価すべきではない。 したがって、上記被請求人の(1)アの主張は採用することができない。 イ 上記(1)イの主張について 紫外線吸収剤を配合した容器や遮光袋などの遮光手段を設けた容器は、優先日当時において当業者に周知の技術的事項であった(甲12、甲15)といえるから、甲13及び甲32に記載の容器の材質に変更があるとしても、訂正発明の進歩性の判断を左右しない。 また、本件特許の明細書の記載をみても、訂正発明において特定される容器が、特別な製造方法により製造されるものではなく、特別入手困難なものでもないことがうかがえるから、訂正発明において特定される容器は、本件特許の優先日当時において多く存在し、当業者が容易に入手可能なものであったといえる。 したがって、上記被請求人の(1)イの主張は採用することができない。 ウ 上記(1)ウの主張について 本件特許の明細書に記載された試験例5、6のうち、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が最も大きいのは、試験例6の「7.2%」である。 しかしながら、本件特許の明細書には、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が試験例6の「7.2%」を超えていても、10%以下の場合であれば、類縁物質量について、曝光前との差が1.0%以下となることは記載されていない。 また、乙30(実験成績証明書)の表B及び図Aをみると、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」の値が低いほど、光安定性についての効果である類縁物質の量が抑えられることは読み取れるけれども、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」の値「10%」を境にして、光安定性についての効果である類縁物質の量が大きく変わるようなものではない。 さらに、被請求人が提示する追加比較例1~4のうち、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が最も小さい追加比較例1の「13.7%」と、本件特許の明細書に記載された試験例6の「7.2%」との間「7.2%~13.7%」には、無数の値が存在するところ、特に「10%」を臨界値とすべき技術的に意味のある理由は見あたらない。 そうすると、新有効成分含有医薬品の製造承認申請における安定性試験で分解生成物が1.0%以上存在する場合には、構造決定や安全性確認が必要になることがあるのであれば、当業者は、それを満たすべく好適な容器を選択するための通常の安定性試験を行って、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下」という数値限定を容易に設定できるといえる。 したがって、上記被請求人の(1)ウの主張は採用することができない。 エ 上記(1)エの主張について 甲13において測定されている容器8種のうちの2種(試験検体4、5)は、請求項1、9、10で特定する「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値が10%以下」である(甲13d)から、甲13、甲32、甲46、甲47によれば、本件特許の出願前において、「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が10%を超えるものだけでなく、10%以下のものも当業者が容易に入手可能なものとしてよく知られていたといえるし、甲32の試験検体1~5(ラベル及びシュリンクフィルムあり)の容器や、甲46の試験検体1~5(甲13の試験検体1~3、7、8、ラベル及びシュリンクフィルムあり)の容器のように、ラベルやシュリンクフィルムなどで透過率を下げた容器も含めれば、当業者がごく一般的に入手できるものといえる(上記第5の4ケ(イ))。 そうすると、甲2発明1において、リバスジルを有効成分とする点眼薬に用いる容器として、当業者にとって容易に入手可能な容器を選択した場合に、訂正発明1の構成に「必ず」到達するとはいえないとしても、実際に、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が「10%以下」である容器が当業者にとって容易に入手可能であった以上、甲2発明1において、「波長300~335nmの光線の透過率の平均値」が「10%以下」の容器を用いることに困難性は認められない。 したがって、上記被請求人の(1)エの主張は採用することができない。 7 小括 以上のとおりであるから、訂正発明1~7、9、10は、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(無効理由3-2、4、5)。 第7 むすび 以上のとおり、訂正発明1~7、9、10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 また、請求項8は、本件訂正により存在しないものとなったため、請求項8に係る発明についての本件無効審判請求は、不適法な請求であって補正をすることができないものとなったから、特許法第135条の規定により却下すべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-800005

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