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特許異議申立

2023-701396

廃石膏ボードの処理方法

審判番号
2023-701396
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-205928
登録番号
7303729
請求日
2023年12月28日
審決日
2024年07月30日
公報発行日
2024年08月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社トクヤマ
  • 【権利者代理人】塩入 明
  • 【権利者代理人】塩入 みか
  • 【異議申立人】金澤 毅
審判長/審判官
  • 審判長 光本 美奈子
  • 審判官 長谷川 真一
  • 審判官 瀬下 浩一
分類
P1651.121-Y (B09B) / P1651.537-Y (B09B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7303729号発明「廃石膏ボードの処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7303729号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7303729号の請求項1~4に係る特許についての出願は、令和元年11月14日に出願され、令和5年6月27日に特許権の設定登録がされ、同年7月5日に特許掲載公報が発行された。その後、令和5年12月28日に特許異議申立人である金澤 毅(以下「申立人」という。)により、全請求項に係る特許について特許異議の申立てがなされたものである。 第2 本件発明及び本件明細書の記載 1 本件発明 本件発明は、次のとおりの発明(以下、請求項番号にしたがって「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」ということもある。)である。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 廃石膏ボードを破砕し破砕物とする第1の破砕ステップと、 前記第1の破砕ステップの後に、篩により破砕物を粉粒体と塊状体に篩い分けする篩い分けステップと、 篩い分けステップで得られた塊状体を磁選し、鉄を除去する磁選ステップと、 鉄を除去済みの塊状体をさらに破砕する第2の破砕ステップと、 第2の破砕ステップで得られた破砕物をさらに篩い分けし、石膏及び石膏よりも高比重の異物の混合物と、紙とに篩い分けする紙分離ステップと、 篩い分けステップで得られた粉粒体と、紙分離ステップで得られた混合物を、エアテーブル式の比重選別機により、石膏よりも高比重の異物を高比重成分、石膏を低比重成分として分離する比重分離ステップとを、この順に行う、廃石膏ボードの処理方法。 【請求項2】 廃石膏ボードの少なくとも一部が、石膏プラスター付き廃石膏ボードであることを特徴とする、請求項1に記載の廃石膏ボードの処理方法。 【請求項3】 前記第1の破砕ステップをせん断破砕機により行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の廃石膏ボードの処理方法。 【請求項4】 前記比重分離ステップで得られた石膏をか焼し、半水石膏及び/又はIII型無水石膏とするか焼ステップと、 か焼ステップで得られた半水石膏及び/又はIII型無水石膏を水に溶解し、二水石膏粒子が析出したスラリーとする析出ステップと、 析出ステップで得られたスラリーから二水石膏粒子を分離する固液分離ステップ、とをさらに行うことを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の廃石膏ボードの処理方法。」 2 本件明細書の記載 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 廃石膏ボードから石膏を回収する場合、砂、砂利などの異物を石膏から分離する必要がある。回収した石膏をそのまま土壌改良材などとする場合でも、砂や砂利の混入は好ましくない。特許文献1のようにスラリーから二水石膏粒子を析出させる場合、砂や砂利は石膏スラリーを送液するポンプのインペラ、析出槽の撹拌羽根、処理装置の配管、弁などを摩耗させる。砂や砂利が残り石膏が通過するように乾式で篩をかけることは、石膏粉が篩の開口を塞ぐために難しい。空気流により砂や砂利を石膏から分級することは、サイクロンなどの比較的大がかりな装置を必要とする。 【0006】 この発明の課題は、廃石膏ボードに含まれる砂や砂利等の重量異物を取り除くことにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 この発明は、廃石膏ボードを破砕し破砕物とする第1の破砕ステップと、 破砕物を、石膏と、石膏よりも高比重の異物とに分離する分離ステップを行い、 分離ステップではエアテーブル式の比重選別機を用い、異物を高比重成分、石膏を低比重成分として分離することを特徴とする。 【0008】 この発明では、石膏と重量異物を、サイズの違いではなく、廃石膏ボード由来の石膏は比重が小さいことを利用し、比重の違いにより分離する。そして比重による選別の前に、第1の破砕ステップで廃石膏ボードを破砕する。比重による選別では、エアテーブル式の比重選別機を用い、気流とデッキの振動を用いて選別する。このためサイクロンなどに比べ小型の装置で選別できる。」 「【実施例】 【0017】 図1,図2に実施例を示す。図1は、廃石膏ボードの処理工程を示す。受け入れた廃石膏ボード中には石膏プラスター付きのものが混入している。廃石膏ボードは石膏と紙を質量比で10:1等の比で含み、石膏と紙は回収する価値があり、砂や砂利の混入量は不定である。受け入れた廃石膏ボードを、2軸のせん断型破砕機から成る1次破砕機2により破砕する。砂や砂利を含むボードでも、せん断破砕機を用いると、容易に破砕できる。1次破砕により廃石膏ボードは、砂や砂利などの重量異物と破砕された石膏とから成る粉粒体と、廃石膏ボードが塊状に破砕された塊状体(ボード片)とに分かれる。 【0018】 1次破砕での破砕物を、振動篩等の篩4により、粉粒体と塊状体とに篩い分ける。篩い分けの目的は、石膏と重量異物の分離ではなく、粉粒体と塊状体の分離なので、乾式で容易に篩い分けができる。また篩の種類は任意である。篩4の目開きは、塊状体が篩下へ通過せず、かつ石膏粉による目詰まりが生じないように定める。例えば目開き6mmの篩では、石膏粉による目詰まりは生じず、かつ塊状体は篩下には見られなかった。目開きを2mmよりも小さくすると、石膏粉による目詰まりの可能性が増し、目開きを10mmよりも大きくすると塊状体が篩下に混入する可能性が増す。これらのことから、目開きは例えば2mm以上10mm以下とし、好ましくは4mm以上10mm以下とし、最も好ましくは4mm以上8mm以下とする。 【0019】 篩4を通過した成分(篩下成分)を、エアテーブル式の比重選別機12に供給する。しかしここでは、篩4上に残った塊状体の処理を先に説明する。塊状体中に含まれる金具等の鉄を除くことが好ましいので、磁選機6により鉄を除く。次いで、2次破砕機8により1次破砕後の塊状体を2次破砕する。2次破砕機8には、ハンマー破砕機、ロール破砕機、ピンロール破砕機等が好ましく、2次破砕により塊状体は粉粒体に破砕され、石膏と紙及び重量異物の混合物となる。2次破砕による破砕物を、篩10により、篩下の石膏及び重量異物と篩上の紙片とに分離する。紙片は石膏の粉粒体及び重量異物よりも平面視でのサイズが大きいので、篩10により分離できる。篩10の種類は任意で、振動篩などに限らず、ピンロール破砕機に附属のスクリーンなどでも良い。篩10の目開きは篩4と同様に、2mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは4mm以上10mm以下とし、最も好ましくは4mm以上8mm以下とする。 【0020】 篩10を通過した石膏と重量異物の混合物を、篩4の篩下成分と共に、比重選別機12に供給する。比重選別機12の構造は図2に示す。多孔板、スクリーン等から成り、水平面から傾斜し、かつ風が通るデッキ(盤面)28に、上記の混合物を載せる。送風機30によりデッキ28の下から上へ風を通し、石膏を揺動させる。また加振機32によりデッキ28を振動させる。加振する方向を図2の黒矢印で示し、デッキ28上の混合物に、斜め上側への衝撃が加わるように加振する。比重が小さい石膏は、気流により揺動し、デッキ28の振動の影響を余り受けず、デッキ28の下側へ移動する。これに対して、重量異物は振動によりデッキ28から跳ね上げられ、デッキ28の上側へ移動する。また石膏の微粉は風に乗って上方へ移動し、図示しない集塵機により集塵する。このようにして石膏と砂や砂利等の重量異物を簡易に分離する。 【0021】 このようなエアテーブル式の比重選別機は一般に市販されており、適宜のものを使用できる。例えば、ジェイテック株式会社製のT-10型やBX-110型等、MM Nagata Coal Tech株式会社製のNCTAT013、富士鋼業株式会社製のVS1500H型、原島電機工業製のMH-510シリーズやMH-310シリーズ、株式会社松岡エンジニアリング製のGSシリーズ、GSDシリーズ、原田産業株式会社製のSH型、SHB型等のエアテーブル式比重選別機が使用できる。 ・・・ 【0024】 実施例では、一次破砕機2により廃石膏ボードを破砕し、篩4により、石膏と重量異物を含む粉粒体と、塊状体とに分離する。石膏と重量異物を分離するのではなく、粉粒体と塊状体とを分離するので、篩の目詰まり無しに分離できる。篩4上の塊状体を2次破砕し、篩10により紙片の状態の紙を分離する。篩4の篩下成分と、篩10の篩下成分を、エアテーブル式の比重選別機12により選別する。廃石膏ボード由来の石膏粉粒体は比重が小さく、砂や砂利と比重が異なるため、気流とデッキ28の振動により、これらを分離できる。」 「【符号の説明】 【0026】 2 1次破砕機 4 篩 6 磁選機 8 2次破砕機 10 篩 12 エアテーブル式比重選別機 14 か焼機 16 混合槽 18 析出槽 20 送液ポンプ 22 篩 24 固液分離装置 28 デッキ 30 送風機 32 加振機 ・・・ 【図2】 [図:0001413349000001.jpg] 」 第3 異議申立ての概要及び証拠方法 1 異議申立ての概要 (1)申立理由1(進歩性欠如) 本件発明1~4は、下記2の甲1に記載された発明及び甲2~8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件発明1~4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(サポート要件違反) 本件特許に係る出願は、本件発明1~4についての特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 (3)申立理由3(明確性違反) 本件特許に係る出願は、本件発明1~4についての特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 2 証拠方法の一覧 申立人は、次の甲第1号証~甲第8号証を提出した。甲第1号証~甲第8号証を、以下「甲1」~「甲8」ともいう。 甲第1号証:特開2002-11373号公報 甲第2号証:平成21年度環境省請負業務 平成21年度廃石膏ボードの再資源化促進方策検討業務調査報告書、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部、平成22年3月、第18頁~24頁 甲第3号証:特開2008-178807号公報 甲第4号証:特開2000-70915号公報 甲第5号証:特開2003-320311号公報 甲第6号証:特開2006-159052号公報 甲第7号証:特開2001-48634号公報 甲第8号証:特開2018-39727号公報 第4 甲号証等の記載 1 甲1の記載 甲1には、次の記載がある。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 石膏ボード廃材を破砕する一次破砕装置と、前記一次破砕装置で生じた一次破砕材を石膏と石膏付き紙とに分別する一次分別装置と、前記一次分別装置で分別された石膏付き紙を破砕する二次破砕装置と、前記二次破砕装置で生じた二次破砕材を石膏と紙とに分別する二次分別装置とを備えたことを特徴とする石膏ボード破砕分別設備。 【請求項2】 前記一次破砕装置が一軸式剪断破砕装置であり、前記二次破砕装置が二軸ローラ式破砕装置である請求項1記載の石膏ボード破砕分別設備。 【請求項3】 前記一次分別装置および前記二次分別装置が二段式傾斜振動篩である請求項1または2記載の石膏ボード破砕分別設備。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、石膏ボードの廃材を破砕して石膏分と紙分とに分離する設備に関する。 ・・・ 【0007】本発明が解決しようとする課題は、石膏ボード廃材を石膏と紙とに分離するのに最適な装置を用いて、石膏廃材からの石膏と紙の分離率をより高めることにある。」 「【0013】 【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態である破砕分別設備の各装置の配置を示す平面図、図2は同正面図、図3は石膏ボード廃材の破砕分別作業工程を示すフローチャートである。 【0014】本実施形態の破砕分別設備10は、投入された石膏ボード廃材を破砕する一次破砕装置11と、一次破砕装置11で生じた一次破砕材を石膏と紙とに分別する一次分別装置12と、一次分別装置12で分別された石膏付き紙を破砕する二次破砕装置13と、二次破砕装置13で生じた二次破砕材を石膏と紙とに分別する二次分別装置14と、一次分別装置11および二次分別装置14で分別された石膏を回収する石膏収納容器15、二次分別装置14で分別された紙を回収する紙収納容器16などを備えている。 【0015】また、一次分別装置11で生じた一次破砕材を一次分別装置12に送給するためにスクリューコンベア17およびオートフィーダ18が設けられ、一次分別装置12および二次分別装置14で分別された石膏、紙をそれぞれ石膏収納容器15、紙収納容器16へ送給するスクリューコンベア19,20が設けられている。 【0016】ここで、図3を参照して、破砕分別設備10を用いた石膏ボード廃材の破砕分別工程について説明する。なお、図3において二点鎖線で囲まれた領域が、石膏ボード破砕分別設備10による破砕分別作業工程を示している。 【0017】家屋の解体工事現場や建築現場などで発生する石膏ボード廃材を回収し、計量、異物混入の確認、除去を行った後、一次破砕装置11に投入して、一次破砕する。このとき生成する一次破砕材は、最大外径が50mm以下となる程度とし、石膏とこれを挟持する紙とが分別する状態になるまで破砕する。 【0018】一次破砕装置11で生じた一次破砕材は、スクリューコンベア17で上方へ送給されオートフィーダ18を経由して一次分別装置12に投入され、石膏と紙(一部石膏が残存している)とに一次分別され、石膏はスクリューコンベア19によって石膏収納容器15へ収納され、石膏付き紙は二次破砕装置13へ投入され、二次破砕される。二次破砕装置13で生じた二次破砕材は直ちに二次分別装置14に投入され、ここで二次分別され、石膏と紙とに分別される。 【0019】二次分別装置14で分別された石膏はスクリューコンベア19によって石膏収納容器15内へ投入され、紙はスクリューコンベア20によって紙収納容器16内へ投入される。石膏収納容器15に回収された石膏は、回収石膏として再利用するか、安定型処分場まで運搬して埋立処分され、紙収納容器16に回収された紙は回収紙として再利用される。 【0020】このように、破砕分別設備10を使用することにより、投入された石膏ボード廃材は、一次破砕装置11および二次破砕装置13で段階的に破砕され、これらの破砕工程の後に配置された一次分別装置12、二次分別装置14を経由して石膏と紙とに分別されていくため、石膏と紙の分離率を高めることができる。 【0021】とくに、石膏収納容器15に回収される石膏中に混入している紙の含有率が従来より大幅に減少し、最終的に分離された石膏の熱しゃく減量を5%以下とすることができるため、安定型処分場への埋立処分が可能となる。また、分離された石膏と紙は、互いの成分の混入が少なくそれぞれの物性が向上するので、有効に再生利用することができる。」 「【0022】本実施形態の破砕分別設備10においては、一次破砕装置11として、図4~6に示すような、一軸式剪断破砕装置を用いている。この一軸式剪断破砕装置は、モータ21によって回転する切断刃22、投入用ホッパ23、横送り用スクリューコンベア24、一次破砕材の排出口25などを備え、上部に配置された投入用ホッパ23から投入された石膏ボード廃材を切断刃22で破砕し、横送り用スクリューコンベア24で横送りした後、排出口25から一次破砕材として排出する。 【0023】一次破砕装置11として一軸式剪断破砕装置を用いることにより、石膏や紙を圧潰することなく破砕できるため、この後の分別工程で石膏と紙を分別しやすくなる。」 「【0025】二次破砕装置13として二軸ローラ式破砕装置を用いることにより、石膏付き紙を破砕するときに、紙は破断することなく石膏のみを細片に破砕することができるので、二次分別装置14で紙と石膏とを確実に篩い分けすることができる。 【0026】さらに、破砕分別装置10においては、一次分別装置12、二次分別装置14として二段式傾斜振動篩を用いている。この二段式傾斜振動篩は、それぞれ、約30度に傾斜させた状態で上下2段に配置された上段篩12a,14aおよび下段篩12b,14bと、これらに振動を与える振動装置(図示せず)などによって構成されている。 【0027】一次分別装置12は、オートフィーダ18から投入される一次破砕材を上段篩12aおよび下段篩12bによって篩い分ける。上段篩12aと下段篩12bを通過して落下した石膏は石膏用ホッパ30によって集められ、スクリューコンベア19によって石膏収納容器15内へ送給される。上段篩12aおよび下段篩12bを通過しなかった石膏と石膏付き紙は二次破砕装置13の投入用ホッパ23へ投入される。 【0028】本実施形態では、一次分別装置12を構成する上段篩12aの篩目を25mmとし、下段篩12bの篩目を10mmとしている。一次破砕装置11で破砕された後の一次破砕材の大きさが10mm以下のものには紙はほとんど含まれないので石膏として回収する。下段篩12bを通過した破砕材はほぼ全量が石膏であり、上段篩12aおよび下段篩12bを通過しなかった破砕材は10mmを超える大きな石膏または石膏付き紙であるので、二次破砕装置13で二次破砕する。 【0029】二次分別装置14は、二次破砕装置13で生じた二次破砕材を上段篩14aおよび下段篩14bによって紙と石膏とに分別する。この二次分別装置14においても、上段篩14aの篩目を25mmとし、下段篩14bの篩目を10mmとしている。上段篩14aと下段篩14bを通過して落下した石膏は石膏用ホッパ30で集められ、スクリューコンベア19によって石膏収納容器15内へ送給される。上段篩14aおよび下段篩14bを通過しなかった破砕材は石膏をほとんど含まない紙となるので、紙用ホッパ31によって集められ、スクリューコンベア20によって紙収納容器16内へ送給される。」 「【図3】 [図:0001413349000002.jpg] 」 2 甲2の記載 甲2には、次の記載がある。 (1)「 [図:0001413349000003.jpg] 」(第18頁) (2)「 [図:0001413349000004.jpg] ・・・ [図:0001413349000005.jpg] 」(第19頁) (3)「 [図:0001413349000006.jpg] 」(第20頁) 3 甲3の記載 甲3には、次の記載がある。 「【請求項1】 高速旋回される多段方式の鎖の打撃によって被破砕物を破砕処理する縦型円筒状の破砕室を有し、且つ、この破砕室の下部に熱風又は空気を旋回流として供給し得る手段を備えた下部供給口を有する鎖打撃式破砕乾燥機において、下部供給口から空気を供給しながら、石膏、紙、釘等の複合廃棄物からなる廃石膏ボードを破砕し、比重の軽い石膏及び紙は上記空気と共に上方から回収し、次いで篩い分けにより石膏と紙に分離回収し、比重の重い釘等の金属分は破砕機下から分離回収することを特徴とする廃石膏ボードの分離回収方法。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は鎖打撃式破砕機を用いて、廃石膏ボードの破砕、乾燥、分離回収を同時に行うことが出来、各構成分を分離回収することにより、リサイクルが可能となる廃石膏ボードの分離回収方法に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかし篩い分けオーバー品として回収される紙は、石膏との分離が不充分なため、リサイクルが難しいという問題がある。又、建築廃材として出される石膏ボードについては、水分が多いと言うこともあり、乾燥機が別に必要となる。 【0004】 上記問題を解消するため、本発明は、廃石膏ボードのリサイクルに鎖打撃式破砕乾燥機を使って、破砕、乾燥、分離を同時に行うことにより、設備機械の台数を減らし、紙と石膏の分離を向上させ、紙のリサイクルを図れる廃石膏ボードの分離回収方法を提供することを課題とした。」 「【0011】 図1及び図2は、本分離回収方法で使用する鎖打撃式破砕乾燥機であるが、ベース1上に駆動部本体2を取付け、その上に破砕乾燥容器3を固定する。破砕乾燥容器3内には主軸4を垂直に配置し、主軸には、鎖取付けホルダー5を取付け、鎖6はシャックル等で簡単に取付け出来るようになっている。 【0012】 鎖6は、主軸を高速で回転した際、放射状に広がり、供給口7においては、被処理物は供給スクリュー等の定量供給装置で供給され、次いで被処理物を細かく破砕し、破砕しながら、石膏、釘、紙に分離される。 【0013】 破砕分離された被処理物は、比重の重い釘は下部排出口8から、比重の軽い細かく砕かれた石膏と紙は、容器下部に設けてある熱風供給口8から供給される熱風と共に上部排出口9から排出される。 【0014】 被処理物の供給口7は、破砕容器内での紙と石膏の分離が充分に行なわれるように滞留時間をとるため、容器中位置より下方に設けてある。そして、熱風供給口8は、熱風が旋回流となるよう胴体接線方向に設けてあり、容器内で熱風と被処理物が混合、接触し、被処理物のいない中心部からの吹き抜けを防ぐことにより、効率良く熱交換されるよう配慮されている。これらにより、被処理物の乾燥が速やかに進み、破砕、分離が充分に行われて排出することが出来る。 【0015】 一方、図3に示すように、熱風発生炉14で作られる熱風と共に鎖打撃式破砕乾燥機10の上部から排出される石膏と紙は、サイクロン11にて回収され、サイクロン下に配置された篩い12により、石膏粉と紙に分別回収される。又、サイクロンから排出される熱風中にも微細な石膏粉が含まれているので、バグフィルタ13により回収され、石膏のリサイクルに回される。 【0016】 ダンパ15は、破砕容器内の風速が速すぎて充分な破砕のための滞留時間がとれない場合に絞るために使用する。なお、図3中、16は廃石膏供給スクリュー、17は釘等の異物回収箱、18は排気ファンを示す。 【0017】 以上のことにより、鎖打撃式破砕乾燥機を使って、廃石膏ボードの石膏と紙と釘に分離回収する事が出来、石膏のリサイクルは勿論のこと、紙のリサイクルも可能となる。」 「【図1】 [図:0001413349000007.jpg] 」 「【図3】 [図:0001413349000008.jpg] 」 4 甲4の記載 甲4には、次の記載がある。 「【請求項1】 建築廃材として発生した石膏ボードを所定粒度以下に破砕して、石膏ボード選別原料とする破砕工程と、該石膏ボード選別原料を所定粒度範囲の1又は複数の慣性選別原料に選別する振動篩工程と、該慣性選別原料から有機質物を除去するための1又は複数の慣性選別工程とからなることを特徴とする石膏ボードのリサイクル処理方法。 【請求項2】 上記破砕工程で破砕された石膏ボード選別原料から磁力を利用して磁性金属を選別除去する磁力選別工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の石膏ボードのリサイクル処理方法。 【請求項3】 上記慣性選別工程で有機質物を除去された慣性選別原料から非磁性金属を除去するための非磁性金属検知工程をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の石膏ボードのリサイクル処理方法。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、建築廃材として発生する石膏ボード等を再生資源として再利用するために破砕選別するリサイクル処理方法及び装置に関する。」 「【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従来の装置の問題点に鑑みてなされたもので、建築廃材として発生した石膏ボードを、粒径による選別(振動篩)だけでなく、比重による選別(慣性選別)を行うことで、石膏原料、紙類及び金属類に効率よく高精度かつ高純度で選別し、また、破砕サイズによって分別することで、需要者の要求に合わせた精度又は純度の再生石膏製品を供給可能とし、さらに、磁力選別及び金属検知によって、釘や鋲として混入している鉄・ステンレスなどの磁性金属はもちろん、非磁性金属、例えば非鉄金属の銅・アルミニウムなどが混入している場合でも各種金属を高精度除去して異なる物質ごとの選別処理を可能とし、一台の破砕機のみで細破砕処理可能とすることで、低コスト及び省スペースを実現し、焼却処理を不要とすることで環境資源の保護に貢献し、且つ量的時間的処理能力及び石膏原料の回収歩留りを大幅に向上させた石膏ボードのリサイクル処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の石膏ボードのリサイクル処理方法は、建築廃材として発生した石膏ボードを所定粒度以下に破砕して、石膏ボード選別原料とする破砕工程と、該石膏ボード選別原料を所定粒度範囲の1又は複数の慣性選別原料に選別する振動篩工程と、該慣性選別原料から有機質物を除去するための1又は複数の慣性選別工程とからなることを特徴とする。 【0010】上記破砕工程で破砕された石膏ボード選別原料から磁力を利用して磁性金属を選別除去する磁力選別工程を行うことで鉄やステンレス等の磁性金属を効率良く除去でき、選別の精度及び純度を高めることができる。 【0011】上記慣性選別工程で有機質物を除去された慣性選別原料から非磁性金属を除去するための非磁性金属検知工程を行うことで、銅やアルミニウム等の非磁性金を効率良く除去でき、選別の精度及び純度を高めることができる。」 「【0028】図1において、134は本発明の石膏ボードのリサイクル処理方法及び装置の選別原料である石膏ボードである。 【0029】136は、該選別原料134を所定サイズ以下、例えば6~10mm以下の石膏ボード選別原料に破砕するための破砕機である。この破砕機136は選別原料134を所定サイズ以下に破砕できるものであれば適用可能であるが、例えば、スクリューとカッタを具備した構造の破砕機が好適に用いられる。この形式の破砕機によれば、スクリューによって圧送されてきた選別原料をカッタ(回転刃)によって破砕するので、選別原料134を所定サイズ以下に確実に破砕できる有利さがある。 【0030】138は、該破砕機136により破砕された該選別原料134から磁性金属140を選別するための磁力選別機であり、142は該磁性金属140が除かれた該選別原料134を1又は複数の慣性選別原料、例えば、粒度2mm未満の粉体選別原料と粒度2~10mmの粒体選別原料とに選別するための振動篩である。 【0031】また、この振動篩142においては、破砕機136を通過したにもかかわらず、例えば硬い金属と一緒に処理されたために所定サイズ以下に破砕されなかった大きいサイズのままの未破砕選別原料も選別されるが、この未破砕選別原料は再度破砕する必要があるため、破砕機136に再び投入される。この未破砕選別原料は所定サイズ以下に破砕されない限り、繰り返し破砕機136に投入される。 【0032】そのため、破砕機136を一台設置してあれば、選別原料134を所定サイズ以下に確実に破砕することができ、破砕機136を複数台設置する必要がないというメリットがある。 【0033】144は、該振動篩142により選別された粉体選別原料から有機質物156を選別するための粉体慣性選別機であり、146は該振動篩142により選別された粒体選別原料から有機質物156を選別するための粒体慣性選別機である。 【0034】148は、該粉体慣性選別機144により該有機質物156が除かれた該粉体選別原料から非磁性金属150を検知除去するための金属検知機である。149は、該粒体慣性選別機146により該有機質物156が除かれた該粒体選別原料から非磁性金属150を検知除去するための金属検知機である。なお、該金属検知機148及び149は、非磁性金属150を検知除去する作用を有すればよいもので、公知の金属検知機を適用することができる。 【0035】152は、該金属検知機148により非磁性金属150を除いた再生石膏粉体製品で、154は、同様に該金属検知機149により非磁性金属150を除いた再生石膏粒体製品である。」 「【0047】図2において、50は慣性選別機である。該慣性選別機50は、架台52上に取りつけられた架枠54に設けられている。56は該架枠54に設置された送風手段、例えば、送風ファン装置で、該送風ファン装置56の上方に設けられた選別移動床58の下面に空気を送る作用を行う。55は該送風ファン装置56のための風胴である。該選別移動床58は、図示したごとく、適宜傾斜して設けられる。この傾斜角度は必要に応じて適宜設定される。60は該送風ファン装置56を駆動するためのモータである。 【0048】該選別移動床58の両側部及び上端部には枠体62が設けられ、該選別移動床58と枠体62によって振動箱64が形成されている。前記架枠54の上面の上端部及び下端部にはそれぞれ上端支持柱(図示せず)及び下端支持柱(図示せず)が立設されている。該枠体62の側面上端部は上部アーム(図示せず)によって該上端支持柱に吊持されている。該枠体62の側面下端部は下部アーム(図示せず)によって該下端支持柱に吊持されている。 【0049】66は偏心クランクで、振動機68を介してモータ70によって駆動される。該偏心クランク66の先端部は該振動箱64の上端下面部に連結されている。したがって、該偏心クランク66の偏心運動により、該振動箱64及び選別移動床58は、上端及び下端方向に振動可能とされている。 【0050】72は該振動移動床の上面に選別原料を投入するための原料投入口である。74は該選別移動床58の上端部に形成された比重の大きい重量物の排出口である。76は該選別移動床58の下端部に形成された比重の小さい軽量物の排出口である。 【0051】図2において、78は該選別移動床58の下端部に設けられた集塵配管で、その下部には集塵風量を調節する集塵風量調節板80が設置されている。82は原料投入口72の下部に連設された投入原料の飛散を防止するフードである。84はファン装置56に連通する小クズ出口である。」 「【図1】 [図:0001413349000009.jpg] 」 「【図2】 [図:0001413349000010.jpg] 」 5 甲5の記載 甲5には、次の記載がある。 「【0020】この廃家電製品の処理方法は、廃家電製品11を所定の大きさに破砕する破砕工程1と、前記破砕工程1で破砕された破砕物から風力選別により発泡樹脂12を取り出す第1風力選別工程2と、前記第1風力選別工程2で発泡樹脂12を取り出された破砕物から磁気選別により鉄系金属13を取り出す磁力選別工程3と、前記磁力選別工程3で鉄系金属13が取り出された破砕物から渦電流選別により非鉄金属14を取り出す渦電流選別工程4と、前記渦電流選別工程4で非鉄金属14が取り出された破砕物から被覆銅線15を分離する被覆銅線分離工程5と、前記被覆銅線分離工程5で被覆銅線15を分離された破砕物から風力選別により小塊状金属16を取り出す第2風力選別工程6と、前記第2風力選別工程6で小塊状金属16が取り出された破砕物から振動篩により微小な銅線17を取り出す篩い選別工程7とを有している。」 「【0028】前記被覆銅線分離工程5は、前工程で非鉄金属14が回収された破砕物から被覆銅線分離装置を用いて被覆銅線15を分離する工程である。 【0029】ここで使用する被覆銅線分離装置は、図3に示すエアテーブル型乾式比重形状分離装置である。」 (当審注:段落【0029】の「図3」は、「図2」の誤記と判断した。) 「【0030】エアテーブル型乾式比重形状分離装置21は、破砕物を選別するためのテーブル22と、このテーブル22に振動を付与するための振動付与手段(図示せず)と、前記テーブル22に対して空気を供給する空気供給手段(図示せず)を有している。 【0031】前記テーブル22は、一端側に破砕物投入部23が設けられ、他端側に破砕物排出部24が設けられ、前記破砕物投入部23から投入された破砕物がテーブル面上を移動して前記破砕物排出部24から排出されるようにしてある。 【0032】テーブル22のテーブル面は、破砕物投入部23側から破砕物排出部24側に向かって下向きに傾斜するとともに、テーブル上での破砕物の移動方向と略直交する方向の一方の側に下向きに傾斜している。 【0033】また、テーブル22は前記振動付与手段によって、破砕物の移動方向と略直交する方向で略水平方向に振動する。 【0034】さらに、テーブル面には空気吹き出し孔が貫設され、この空気吹き出し孔には空気供給手段からの空気が供給されて、上昇空気流28が形成されている。 【0035】なお、テーブル面には、破砕物の移動方向と略直交する方向に配設された複数のリッフル23が設けられており、破砕物の急激な移動を防いでいる。 【0036】このようなエアテーブル型乾式比重形状分離装置21のテーブル面に破砕物を投入すると、比重及び形状の点から上昇空気流28の影響が小さく、テーブル面による摩擦力の大きい物体は、テーブル面の振動による運搬力によって振動方向の傾斜上方に移動し、上方回収部26から回収される。一方、比重及び形状の点から上昇空気流28の影響が大きい等によってテーブル面による摩擦力の小さい物体は、テーブル面を滑落して振動方向の傾斜下方に移動し、下方回収部27から回収される。」 「【図1】 [図:0001413349000011.jpg] 」 「【図2】 [図:0001413349000012.jpg] 」 6 甲6の記載 甲6には、次の記載がある。 「【請求項1】 フィルム状物、銅線、水に濡れると見掛け比重が変化する材料を含むプラスチック系残さ物から、少なくとも前記フィルム状物、前記銅線、前記水に濡れると見掛け比重が変化する材料を乾式選別手段によって予め除去した後に、湿式選別手段によりプラスチックの比重差による材種選別を行うことを特徴とする再利用可能プラスチック生産方法。 【請求項2】 前記乾式選別手段として、風力選別とエアテーブルを併用することを特徴とする請求項1記載の再利用可能プラスチック生産方法。 【請求項3】 前記乾式選別手段として、前記風力選別の後に前記エアテーブルを配置することを特徴とする請求項2記載の再利用可能プラスチック生産方法。 【請求項4】 前記乾式選別手段として、前記風力選別および前記エアテーブルの前に篩いを行うことを特徴とする請求項2記載の再利用可能プラスチック生産方法。 【請求項5】 前記乾式選別の前に、粉砕機による粉砕を行うことを特徴とする請求項1記載の再利用可能プラスチック生産方法。」 「【0008】 実施の形態1. 図1~9は実施の形態1を示す図で、図1は家電機器やOA機器起源のプラスチック系残さ物から再利用可能なプラスチックを回収する回収方法を示す図、図2は粉砕機5の構成を示す図、図3は風力選別機6の構成を示す図、図4は高磁力磁選機の構成を示す図、図5は篩い機4の構成を示す図、図6は風力選別機2の構成を示す図、図7は風力選別機2を用いた実験結果の一例を示す図、図8はエアテーブル3の構成を示す図、図9は風力選別とエアテーブルを併用した場合の実験結果の一例を示す図である。」 「【0023】 これは木片や、硬めのクッション材やウレタンフォームなど見掛け比重が0.1~0.8程度と比較的大きい軽質物が風力選別では精度良く除去できないためである。このような物を除去するために図8に示すようなエアテーブル3を併用する。 【0024】 図8に示すように、エアテーブル3では比重が0.1以下の極めて軽い物はテーブル上で風に吹かれて舞い上がり挙動が安定しないが、比重が0.1以上であれば比重差により精度良く軽質物を分離することができる。」 「【図1】 [図:0001413349000013.jpg] 」 「【図8】 [図:0001413349000014.jpg] 」 7 甲7の記載 甲7には、次の記載がある。 「【0003】第2の従来技術の概要はプラスター系セッコウモルタルの再生である。即ち、セッコウモルタルは古くからプラスターとして塗り壁用左官材料が知られておりこれらは焼セッコウとしてCaSO41/2H2Oを使用する方法が主流であり、「ニカワ質」の凝結遅延剤を加えて、凝結時間を調整してプラスター系セッコウモルタルとして、消石灰を用いる所謂漆喰壁よりも速硬性のモルタル壁工事に使用されてきた。これが古くなり塗り替えのときの古壁からの廃棄セッコウを回収しこれを再焼成して焼セッコウ(半水セッコウ)として利用するものである。」 「【0006】第2の従来技術は、主としてセッコウプラスターの古壁を取り壊した廃棄セッコウを回収し、再焼成するものであるが、わざわざそのためにトラックをまわして回収し、特定場所に集める手間運賃も高く、再焼成するには、焼成設備も設置しなければならず、埋め立て処分等の弊害を防止するメリットはあるが、セッコウプラスタ-再生品としては、コストは新品よりも可成高くつくので、採算には乗らないという問題点がある。」 8 甲8の記載 甲8には、次の記載がある。 「【請求項1】 (a)出発原料とする二水石膏を湿式焼成又は乾式焼成して半水石膏にする半水化工程、 (b)前記半水石膏を再結晶化反応槽内の水性スラリーへ供給する仕込み工程、 (c)前記半水石膏を水和・再結晶化させて前記原料とする二水石膏とは別の結晶形態である改質二水石膏とする再結晶化工程、 (d)前記改質二水石膏の一部を前記再結晶化反応槽より抜き出す抜き出し工程を有する二水石膏の連続式改質方法であって、 少なくとも前記(b)乃至(d)の工程を連続的又は間歇的に行うこと、 前記(b)の仕込み工程における前記半水石膏の供給量と、前記(d)の抜き出し工程における前記改質二水石膏の抜き出し量とをいずれも、一時間当り、前記再結晶化反応槽内の全石膏量の20%以下にすること、 前記(c)の再結晶化工程において、前記再結晶化反応槽中で水性スラリーが固液分離しないよう均一になるように攪拌しつつ一定の温度に保持すること、 前記(c)の再結晶化工程において、前記再結晶化反応槽中における水性スラリーの温度を、90℃以下にすること、 前記(c)の再結晶化工程において、前記再結晶化反応槽中に種晶となる二水石膏を供給すること、かつ、 前記種晶となる二水石膏を、前記再結晶化反応槽とは別系統の、半水石膏スラリーから再結晶化して二水石膏を得る反応槽で、前記半水化工程で焼成して一旦半水石膏とした後の半水石膏の一部を用い、半水石膏スラリーから再結晶化して得ること、 を特徴とする二水石膏の連続式改質方法。 ・・・ 【請求項12】 さらに、前記(c)の再結晶化工程において、再結晶化した二水石膏スラリーを前記再結晶化反応槽から抜き出した後に、(e)不溶性不純物の少ない、粒径の大きい二水石膏を分別する分別工程、を設けた請求項1~11のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。 【請求項13】 前記(e)の分別工程において、不溶性不純物の少ない、粒径の大きい二水石膏を分別するための、二水石膏を水中で撹拌及び静置し、その沈降速度の速い大きい結晶を分離する工程と、前記で分別した二水石膏を脱水・洗浄して最終生成物とする脱水洗浄工程とを設ける請求項12に記載の二水石膏の連続式改質方法。」 「【0015】 以下、好ましい形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明で改質の対象とする二水石膏は、石膏製品の原料として広く用いられているものをいずれも使用できる。具体的には、天然石膏、合成石膏、種々の化学プロセスの副産物として得られる各種の副生石膏、廃石膏型、或いは一戸建て、集合住宅若しくはマンション等の新築や解体時に発生する石膏ボード廃材に由来する廃石膏など、二水石膏であれば、いずれのものも原料として使用できる。本発明では、上記に挙げたような原料とする二水石膏(以下、「原料石膏」と呼ぶ)を、簡易な連続処理方法で、各種用途に最適な石膏原料として利用が可能な、これまで一般的には得ることができなかった大きな結晶粒径を有する純度の高い粒径の揃った二水石膏に改質する。本発明の方法は、少なくとも、上記に挙げたような原料石膏を焼成して半水石膏にする半水化工程と、上記半水石膏を再結晶反応槽内の水性スラリーへ供給する仕込み工程と、上記半水石膏を水性スラリー中で水和・再結晶化して、原料石膏とは別の結晶形態の改質二水石膏(以下、改質二水石膏と呼ぶ)にする再結晶化工程と、上記改質二水石膏の一部を上記再結晶反応槽より抜き出す抜き出し工程とを有する。そして、上記再結晶化工程において、上記再結晶化反応槽中で、水性スラリーの固形分と液分が分離せず、均一分散するように撹拌しつつ、一定の温度(好ましくは、80℃よりも高く、かつ、90℃以下の温度)に保持して再結晶化する。本発明では、上記再結晶化反応槽への半水石膏の供給量及び再結晶化した改質二水石膏の抜き出し量が実質的に等量になるよう制御し、連続して又は間歇して供給及び抜き出しを行い(好ましくは、一時間当りの供給量及び抜き出し量のいずれもが再結晶反応槽内の全石膏量の20%以下となるようにする)、連続処理によって上記半水石膏を水和・再結晶化して改質二水石膏にする。以下、詳述する。」 第5 申立理由1(進歩性欠如)についての当審の判断 1 甲1に記載された発明 甲1の段落【0013】~【0023】、図3の石膏ボード廃材の破砕分別作業工程についての記載、及び、同段落【0025】~【0029】の一次分別装置と二次分別装置についての記載に着目して整理すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲1発明> 「投入された石膏ボード廃材を一軸式剪断破砕装置で破砕する一次破砕工程と、 一次破砕工程で生じた一次破砕材を石膏と石膏付き紙とに篩い分けする一次分別工程と、 一次分別工程で分別された石膏付き紙を破砕する二次破砕工程と、 二次破砕工程で生じた二次破砕材を石膏と紙とに篩い分けする二次分別工程と、 一次分別工程及び二次分別工程で分別された石膏を回収する工程と を備えた石膏ボード廃材の破砕分別方法であって、 一次分別工程及び二次分別工程が、二段式傾斜振動篩を用いるものであり、 一次分別工程の二段式傾斜振動篩は、上段篩の篩目が25mmであり、下段篩の篩目が10mmであり、一次破砕装置で破砕された後の一次破砕材の大きさが10mm以下のものには紙はほとんど含まれないので、下段篩を通過した破砕材はほぼ全量が石膏として回収され、上段篩及び下段篩を通過しなかった破砕材は10mmを超える大きな石膏または石膏付き紙であり、 二次分別工程の二段式傾斜振動篩は、上段篩の篩目が25mmであり、下段篩の篩目が10mmであり、下段篩を通過して落下した石膏は石膏用ホッパで集められ、上段篩及び下段篩を通過しなかった破砕材は石膏をほとんど含まない紙となるので、紙用ホッパによって集められる 石膏ボード廃材の破砕分別方法。」 2 対比・判断 (1)甲1発明との対比・判断 ア 対比 甲1発明と本件発明1を対比する。 甲1発明の「投入された石膏ボード廃材を一軸式剪断破砕装置で破砕する一次破砕工程」は、本件発明1の「石膏ボードを破砕し破砕物とする第1の破砕ステップ」に相当し、甲1発明の「石膏ボード廃材の破砕分別方法」は、本件発明1の「廃石膏ボードの処理方法」に相当する。 また、本件明細書の段落【0018】には、「1次破砕での破砕物を、振動篩等の篩4により、粉粒体と塊状体とに篩い分ける。」、「目開きを10mmよりも大きくすると塊状体が篩下に混入する可能性が増す。」と記載されており、目開きが10mm以下の篩の上には塊状体が篩い分けられると認められるところ、甲1発明の「一次破砕工程で生じた一次破砕材を石膏と紙とに篩い分けする一次分別工程」の下段篩の篩目は10mmであるから、甲1発明において、下段篩を通過しなかった「10mmを超える大きな石膏または石膏付き紙」は、本件発明1の「塊状体」に相当し、甲1発明において、下段篩を通過した「石膏」は、本件発明1の「粉粒体」に相当するといえる。そうすると、甲1発明の「一次破砕工程で生じた一次破砕材を石膏と石膏付き紙とに篩い分けする一次分別工程」は、本件発明1の「第1の破砕ステップの後に、篩により破砕物を粉粒体と塊状体に篩い分けする篩い分けステップ」に相当し、甲1発明の「一次分別工程で分別された石膏付き紙を破砕する二次破砕工程」は、本件発明1の「塊状体をさらに破砕する第2の破砕ステップ」に相当する。 さらに、甲1発明の「二次破砕工程で生じた二次破砕材を石膏と紙とに篩い分けする二次分別工程」は、本件発明1の「第2の破砕ステップで得られた破砕物をさらに篩い分けし、石膏・・・と、紙とに篩い分けする紙分離ステップ」に相当する。 そして、甲1発明は、「一次分別工程及び二次分別工程で分別された石膏を回収する工程」を有するものであるところ、本件発明1も、「篩い分けステップで得られた粉粒体と、紙分離ステップで得られた混合物」が回収されているといえるから、両者は、「篩い分けステップで得られた粉粒体と、紙分離ステップで得られた混合物が回収される回収ステップ」を有する点で一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「廃石膏ボードを破砕し破砕物とする第1の破砕ステップと、 前記第1の破砕ステップの後に、篩により破砕物を粉粒体と塊状体に篩い分けする篩い分けステップと、 塊状体をさらに破砕する第2の破砕ステップと、 第2の破砕ステップで得られた破砕物をさらに篩い分けし、石膏と、紙とに篩い分けする紙分離ステップと、 篩い分けステップで得られた粉粒体と、紙分離ステップで得られた混合物が回収される回収ステップとを、この順に行う、 廃石膏ボードの処理方法。」 <相違点1> 本件発明1は、篩い分けステップで得られた塊状体を磁選し、鉄を除去する磁選ステップを有するのに対して、甲1発明は、そのような磁選ステップを有さない点。 <相違点2> 本件発明1は、紙分離ステップで紙と篩い分けられた石膏は、石膏よりも高い比重の異物との混合物として存在することを特定すると共に、回収ステップで回収されたものを、エアテーブル式の比重選別機により、石膏よりも高比重の異物を高比重成分として、また、石膏を低比重成分として分離する比重分離ステップを有するのに対して、甲1発明は、紙分離ステップで紙と篩い分けられた石膏は、石膏よりも高い比重の異物との混合物として存在することは特定されておらず、エアテーブル式の比重選別機により、石膏よりも高比重の異物を高比重成分として、また、石膏を低比重成分として分離する比重分離ステップを有さない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点2についてまず検討する。 甲3の段落【0003】には、「廃石膏ボードのリサイクルに鎖打撃式破砕乾燥機を使って、破砕、乾燥、分離を同時に行うことにより、設備機械の台数を減らし、紙と石膏の分離を向上させ、紙のリサイクルを図れる廃石膏ボードの分離回収方法」が記載されており、同段落【0011】~【0014】、図1には、上記分離回収方法で用いる鎖打撃式破砕乾燥機では、回転する鎖によって、被処理物は細かく破砕されながら、石膏、釘、紙に分離され、比重の重い釘は下部排出口から排出され、比重の軽い細かく砕かれた石膏と紙は、容器下部に設けてある熱風供給口から供給される熱風と共に上部排出口から排出される旨記載されている。 そして、前記鎖打撃式破砕乾燥機は、空気を用いた比重選別機であり、石膏は、低比重成分として分離され、石膏より高比重である釘は、高比重成分として分離されるものと認められる。 しかしながら、甲1には、回収ステップで回収された石膏が石膏よりも高比重の異物との混合物として存在することは記載されておらず、甲1発明は、一次破砕工程の後に、篩による一次分別工程や二次分別工程等の複数の工程を経て、石膏が回収されるものである。一方、甲3で比重分離に用いられる鎖打撃式破砕乾燥機は、設備機械の台数を減らすために、破砕、乾燥、分離を同時に行う装置であり、エアテーブル式の比重選別機を備えるものでもない。 してみれば、甲1及び甲3の記載に接した当業者が、甲1発明において回収ステップで回収されたものに、同一装置内で破砕と比重選別が連続的に行われる甲3に記載の鎖打撃式破砕乾燥機内の比重選別部分のみを破砕部分から分離して適用して、エアテーブル式の比重分離機等で比重分離を行うことを想起するとはいえない。 また、甲4の段落【0008】には、建築廃材として発生した石膏ボードを、粒径による選別(振動篩)だけでなく、比重による選別(慣性選別)を行うことで、石膏原料、紙類及び金属類に効率よく高精度かつ高純度で選別するリサイクル処理方法が記載され、同段落【0047】~【0051】、図2には、上記慣性選別は、選別移動床58と、選別移動床58の下面に空気を送る送風ファンとを備えた慣性選別機50で行われ、比重の大きい重量物は、選別移動床58の上端部に設けられた排出口74から排出され、比重の小さい軽量物は、選別移動床58の下端部に設けられた排出口76から排出され、同段落【0033】、図1には、慣性選別では、振動篩142により選別された粒体選別原料から有機質物156の選別が行われることが記載されている。 ここで、甲4に記載された慣性選別機50は、エアテーブル式の比重選別機と認められるところ、慣性選別機50は、粉体選別原料から、有機質物とそれ以外のものを分離するものであり、甲4の【0008】~【0009】、【0011】の記載から、有機質物は、紙であり、紙以外のものは、石膏原料と金属類と認められるから、慣性選別機50は、紙と、石膏原料を含むものとを分離するものであるといえる。そして、紙と石膏原料を、このような慣性選別機で分離する場合、紙が低比重成分側に分離され、石膏が高比重成分側に分離されると認められる。 そうすると、甲4には、「エアテーブル式の比重選別機により、石膏よりも高比重の異物を高比重成分、石膏を低比重成分として比重分離ステップ」が記載も示唆もされていない。 さらに、甲5、甲6は、エアテーブル式の比重選別機が周知であることを示す文献であり、甲2は、相違点1に関する文献であるところ、甲2、甲5、甲6のいずれにも、「エアテーブル式の比重選別機により、石膏よりも高比重の異物を高比重成分、石膏を低比重成分として分離する比重分離ステップ」については記載も示唆もされていない。 また、甲7、甲8にも、そのような比重分離ステップを甲1発明に採用する動機付けとなる記載はない。 してみれば、甲1発明において、甲2、甲4~甲8に記載された事項に基づいて、相違点2の構成を導くことは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 ウ 本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1を包含し、さらに特定事項を追加したものであるから、上記イで検討したのと同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 (2)申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書の第27~28頁において、廃石膏ボードの破砕物について、石膏部分と、紙等の異物や比重の大きい異物とを分離する際に、比重の違いにより分離することは、甲3及び甲4の記載から本件特許の出願日前の周知慣用技術であり、破砕物を比重により分離する分離装置として、エアテーブル式の比重選別機も甲5及び甲6の記載から本件特許の出願日前既に周知の技術であるから、甲1に記載された発明において、一次破砕材から分離した石膏や、二次破砕材から分離した石膏について、エアテーブル式の比重選別機により異物を高比重成分として分離することは当業者であれば容易に想到しうることである旨主張する。 しかしながら、甲4には、石膏よりも高比重の異物を高比重成分、石膏を低比重成分として分離することは記載されておらず、甲3には、破砕機能と比重分離機能とが一体である装置が開示されるに過ぎないことは、上記(1)イで検討したとおりである。また、甲5は廃家電製品からの、甲6はプラスチック系残さ物のエアテーブル式の比重選別機による分離を記載するものであって、廃石膏ボードからの分離を記載するものでもない。 以上のとおりであるから、甲3~甲6の記載をもって、甲1に記載された発明において、エアテーブル式の比重選別機により、石膏を低比重成分に、異物を高比重成分に分離することを当業者が容易になし得たとする申立人の主張は採用できない。 (3)小括 以上のとおり、本件発明1~4は、甲1に記載された発明、及び、甲2~甲8に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものであるとすることはできないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるとはいえない。 第6 申立理由2(サポート要件違反)についての当審の判断 1 判断手法について 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する、いわゆるサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 2 発明の課題 本件発明の解決しようとする課題は、本件明細書の段落【0006】の記載を参酌すると「廃石膏ボードに含まれる砂や砂利等の重量異物を取り除くこと」と認められる。 3 判断 本件明細書の段落【0007】には、「この発明は、廃石膏ボードを破砕し破砕物とする第1の破砕ステップと、破砕物を、石膏と、石膏よりも高比重の異物とに分離する分離ステップを行い、分離ステップではエアテーブル式の比重選別機を用い、異物を高比重成分、石膏を低比重成分として分離することを特徴とする。」との記載があり、同段落【0008】には、「この発明では、石膏と重量異物を、サイズの違いではなく、廃石膏ボード由来の石膏は比重が小さいことを利用し、比重の違いにより分離する。そして比重による選別の前に、第1の破砕ステップで廃石膏ボードを破砕する。比重による選別では、エアテーブル式の比重選別機を用い、気流とデッキの振動を用いて選別する。」との記載がある。 また、本件明細書の段落【0020】、図2には、エアテーブル式の比重選別機における比重分離の具体的なメカニズムとして、デッキ28上の混合物に、斜め上側への衝撃が加わるように加振すると、比重が小さい石膏は、気流により揺動し、デッキ28の振動の影響を余り受けず、デッキ28の下側へ移動するのに対して、重量異物は振動によりデッキ28から跳ね上げられ、デッキ28の上側へ移動し、石膏と砂や砂利等の重量異物を簡易に分離できる旨の説明がある。 そして、上記段落【0007】の記載から、廃石膏ボード由来の石膏は重量異物より比重が小さいことが読み取れるから、第1の破砕ステップで得られた破砕物には、少なくとも、比重の小さい石膏と、石膏よりも高比重の異物が含まれると認められ、このような破砕物を含むものを、エアテーブル式の比重選別機を用いて、石膏が低比重成分となるように設定して分離を行った場合、上記段落【0020】の記載されたメカニズムに従って、比重が小さい石膏と、石膏よりも比重が大きな異物の分離が行われることが当業者であれば理解できる。 そして、本件発明1には、第1の破砕ステップで得られた破砕物を含む、篩い分けステップで得られた粉粒体と、紙分離ステップで得られた混合物を、エアテーブル式の比重選別機により、石膏よりも高比重の異物を高比重成分、石膏を低比重成分として分離する比重分離ステップが特定されているから、本件発明1は、石膏ボードに含まれる砂や砂利等の重量異物を取り除くことができるもの、すなわち、発明の課題を解決できるものといえる。 そうすると、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。 よって、本件出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものとはいえない。 また、本件発明1を引用する本件発明2~4についても同様である。 4 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書の第31~32頁において、本件発明は、「第1の破砕ステップや、篩い分けステップ、磁選ステップ、第2の破砕ステップ、紙分離ステップ、比重分離ステップの各ステップにおける具体的な操業、分離条件は特定されておらず、あらゆる操業、分離条件の場合を包含する。しかしながら、例えば、第1の破砕ステップ、第2の破砕ステップにおける破砕の程度により得られる破砕物のサイズ等の状態は変化し、また磁選ステップ、紙分離ステップ、比重分離ステップの分離条件により分離できるものは変化する。このため、各ステップの具体的な操業、分離条件が特定され、当業者に分かるように記載されていないと、「廃石膏ボードに含まれる砂や砂利等の重量異物を取り除く」との課題を解決できないことは明らかである。」と主張する。 しかしながら、各ステップの具体的な操業、分離条件が特定されていなかったとしても、第1の破砕ステップで得られた破砕物には、少なくとも、石膏と、石膏よりも高比重の異物が含まれると認められ、このような破砕物を含むものを、エアテーブル式の比重選別機を用いて、石膏が低比重成分となるように設定して分離を行った場合には、比重が小さい石膏と、石膏よりも比重が大きな異物とを分離できると認められるから、本件発明は、「廃石膏ボードに含まれる砂や砂利等の重量異物を取り除く」という発明の課題を解決できるものといえる。 よって、上記申立人の主張は採用できない。 5 小括 以上で検討したとおり、本件発明1~4は、発明の詳細な説明及び技術常識に基づいて、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。 第7 申立理由3(明確性要件違反)についての当審の判断 1 判断手法 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 2 判断 本件発明1は、「エアテーブル式の比重選別機」により比重分離を行うものであるところ、本件明細書の段落【0020】、図2には、「エアテーブル式の比重選別機」の具体的な構造や動作が示されており、その具体的な製品についても、同段落【0021】に記載されている。 そうすると、本件発明1における「エアテーブル式の比重選別機」と、そうでないものはとは、当業者であれば、容易に区別できると解されるから、本件発明1が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 また、本件発明1を引用する本件発明2~4についても同様である。 3 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書の第33頁において、「本件特許明細書[0020]、[0021]、図2にエアテーブル式の比重選別機の説明がなされているものの、特許発明1では、単に「エアテーブル式の比重選別機」と規定するのみであり、本件特許明細書に開示された構成を有する選別機を意味しているのか、エアテーブルを有する各種比重選別機を指しているのかが明らかではない。」と主張する。 しかしながら、上記2でも記載したとおり、本件明細書には、「エアテーブル式の比重選別機」の具体的な構造や動作が示されており、その具体的な製品も示されているから、当業者であれば、本件発明の「エアテーブル式の比重選別機」とそうでないものとは、容易に区別できると解される。 よって、上記申立人の主張は採用できない。 4 小括 以上で検討したとおり、本件発明1~4は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないから、本件特許に係る出願は、本件発明1~4についての特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものとはいえない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、申立人による特許異議申立書の理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701396

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