特許異議申立
2023-701386
改良型アンプル蒸発装置およびベッセル
- 審判番号
- 2023-701386
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-532935
- 登録番号
- 7299891
- 請求日
- 2023年12月27日
- 審決日
- 2024年03月19日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】インテグリス・インコーポレーテッド
- 【権利者代理人】園田・小林弁理士法人
- 【異議申立人】木下 淳
- 審判長/審判官
- 審判長 河本 充雄
- 審判官 松井 裕典
- 審判官 金 公彦
- 分類
- P1651.121-Y (C23C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7299891号発明「改良型アンプル蒸発装置およびベッセル」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7299891号の請求項1~8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7299891号の請求項1~8に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)12月13日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年12月14日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする国際出願であり、令和 5年 6月20日にその特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行され、その後、同年12月27日に、その請求項1~8に係る特許を対象として、特許異議申立人木下 淳(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされたものである。
第2 本件発明
異議申立ての対象である本件特許の請求項1~8に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明1」、「本件特許1」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリであり、前記ベッセル本体が、多重ベッセル本体アセンブリの内部空間を画成し、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のそれぞれが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、多重ベッセル本体アセンブリと、
前記第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材と、
前記第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている、複数のベント付き支持トレイであり、前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイを備え、前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備える、蒸発装置アセンブリ。
【請求項2】
前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の上側リム開口と対合するように構成された下側基底リムを備える、請求項1に記載の蒸発装置アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のベッセル本体が、前記第2のベッセル本体の長手方向高さより高い長手方向高さを有する、請求項1に記載の蒸発装置アセンブリ。
【請求項4】
前記第1のベッセル本体の第1の長手方向高さが、前記第2のベッセル本体の長手方向高さと等しい、請求項1に記載の蒸発装置アセンブリ。
【請求項5】
蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリであり、前記ベッセル本体が、多重ベッセル本体アセンブリの内部空間を画成し、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のそれぞれが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、多重ベッセル本体アセンブリと、
前記第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材と、
前記第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている、複数のベント付き支持トレイであり、前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイを備え、前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより低い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備える、蒸発装置アセンブリ。
【請求項6】
蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリであり、前記ベッセル本体が、多重ベッセル本体アセンブリの内部空間を画成し、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のそれぞれが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、多重ベッセル本体アセンブリと、
前記第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材と、
前記第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイを備え、前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備え、
前記基底部材の近くに配置された少なくとも1つの支持トレイが、前記少なくとも1つの支持トレイの外面周りに配置されたO-リングを備える、蒸発装置アセンブリ。
【請求項7】
前記支持トレイのそれぞれが、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および一体に積層されたこれら薄膜の組合わせから構成される群から選択された耐蝕コーティングを有する、請求項1に記載の蒸発装置アセンブリ。
【請求項8】
蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
第1および第2のベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリであり、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁、ベッセル本体リム開口、および側壁内面によって画成される内部空間を有する多重ベッセル本体アセンブリと、
前記第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材と、
前記第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている、複数のベント付き支持トレイであり、前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイを備え、前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備え、
前記支持トレイのそれぞれが、金属酸化物、金属窒化物、及び積層構造内のこれらコーティングの組合わせから構成される群から選択された耐蝕コーティングを有する、蒸発装置アセンブリ。」
第3 申立人による特許異議の申立理由の概要
1 特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)(申立理由1)
(1)請求項1~5に係る発明は、甲第1~3、6、7号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)請求項6、8に係る発明は、甲第1~4、6、7号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)請求項7に係る発明は、甲第1~3、5~7号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
特許異議申立書の記載からは、甲第1号証が主引用文献であることは把握できるものの、甲第2~7号証(特に甲第2、3号証)が主引用文献であるのか、副引用文献であるのか、その両方であるのか定かでない。
そこで、特許異議申立書全体の記載を鑑み、甲第1~3号証については主引用文献及び副引用文献の両方、甲第4~7号証については副引用文献として扱い、以下判断を行う。
また、請求項1~5に係る発明が特許法第29条第2項の規定に違反にしてされたものであるか否かの判断にあたっては、甲1~3、6、7号証に記載された発明及び技術的事項に加え、念のため、甲第4、5号証に記載された技術的事項も考慮して判断を行う。
同様に、請求項6、8に係る発明が特許法第29条第2項の規定に違反にしてされたものであるか否かの判断にあたっては、甲第5号証に記載された技術的事項も考慮して、請求項7に係る発明が特許法第29条第2項の規定に違反にしてされたものであるか否かの判断にあたっては、甲第4号証に記載された技術的事項も考慮して、それぞれ判断を行う。
2 証拠方法
甲第1号証:特表2015-519478号公報
甲第2号証:特表2006-503178号公報
甲第3号証:特開2001-59178号公報
甲第4号証:特開2008-112994号公報
甲第5号証:国際公開第2007/132824号
甲第6号証:特表2011-530660号公報
甲第7号証:特表2013-509736号公報
(以下、各甲号証を略して、「甲1」などという。)
第4 当審の判断
当審は、上記申立理由1には理由がないと判断する。
その理由は以下のとおりである。
1 申立理由1(進歩性欠如)について(甲1を主引用文献とする場合)
(1)甲1~7に記載の事項(「・・・」は省略を表す。下線は当審にて付与した。)
ア 甲1に記載の事項
(ア)「【請求項1】
内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、
複数の試薬支持トレイと、を備え、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、底面と、を有する支持表面を含み、
前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成される、システム。
【請求項2】
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、前記底面より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記底面の下のガスは、前記底面から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルが、前記底面の下から前記上面の上へと向かう前記ガス流にとっての唯一の通路を提供するように、前記1以上の内壁に密接に係合するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の試薬支持トレイの各々は、側壁をさらに含み、前記側壁は全体として前記支持表面の外周を包囲し、前記側壁は前記支持表面の前記外周に沿って前記1以上の内壁と密接に係合するように構成される、請求項2に記載のシステム。
・・・
【請求項16】
前記複数の試薬支持トレイは、複数のトレイであって、そのうちの少なくともいくつかが互いに異なる高さを有するトレイを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記気化器容器は、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイにおいて前記ソース試薬材料から生成される試薬蒸気と混ぜ合わせて混合ガスを形成するための、前記内部容積へのキャリアガスの供給を受け入れるように構成された入口ポートと、前記気化器容器から前記混合ガスを排出するように構成された出口ポートと、をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
・・・
【請求項20】
前記気化器容器は、蓋体内に本体を含み、前記入口ポート及び前記出口ポートは前記蓋体に関連付けられる、請求項17に記載のシステム。」
(イ)「【0008】
[0008] 本開示は、気化器容器装置及びシステム、ならびに化学蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)及びイオン注入プロセスに用いられるソース試薬材料の気化のための関連手法に関する。特定の実施形態において、気化器容器は、ウェーハ又は他のオブジェクトのバッチに対する試薬蒸気の蒸着及び注入を可能にするように、単一ウェーハ又は単一オブジェクトの場合に比べて多くの量の蒸気流を生成するように構成される。
・・・
【0010】
[0010] 本開示の実施形態によれば、システムは、内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、内部容積内で垂直方向に積層可能に構成された複数の試薬支持トレイと、を含む。複数の試薬支持トレイの各々は、試薬支持トレイのスタックを形成するように内部容積内で垂直方向に積層可能に構成される。複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタック中の隣接する試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、該ガス流が、試薬支持トレイのスタックにおける複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、特定の試薬支持トレイ内のソース試薬材料と相互に作用するように構成される。」
(ウ)「【0020】
[0043] 図1は、本開示に係る特定の例示的実施形態の気化器装置100及び関連するコンポーネントの側面断面図である。気化器容器100は、本体102及び蓋体104を含む。蓋体104は、キャリアガス流(図1においては不図示)を受け入れるように構成された入口ポート106を含む。蓋体104は、キャリアガスと試薬蒸気(同じく図1においては不図示)との混合物を生成し得る出口ポート108も含む。クランプ、ボルト又はその他のデバイスを用いて蓋体104が本体102に固定されると、本体102及び蓋体104によって気化器容器100の閉鎖された内部容積105が規定される。
【0021】
[0044] 図1の特定の例示的実施形態においては、略同一サイズの複数の試薬支持トレイ110、120、130及び140が受け入れられる。試薬支持トレイ110、120、130及び140は、試薬蒸気103を生成するように構成された、又はそのように期待されたソース試薬材料101の供給を受け入れるように構成される。
【0022】
[0045] ソース試薬材料101は固体ソース試薬材料を含み得る。・・・
【0023】
[0046] 複数の試薬支持トレイ110、120、130及び140の各々は、図2~図6に示されるように異なるサイズであってもよいことが理解されるべきであり、このことは図2を参照してさらに説明される通りである。さらに、図1及び図2ともに、複数の試薬支持トレイ110、120、130及び140が4つの個別の試薬支持トレイを含むことを示しているが、任意の数の試薬支持トレイを使用してよい。
【0024】
[0047] 試薬支持トレイ110、120、130及び140、並びに、気化器容器100は、ソース試薬材料の加熱を促進するように熱伝導性材料から構成されてもよい。・・・
【0031】
[0054] また、複数の試薬支持トレイ110、120、130及び140の構成の実施形態をさらに説明するため、試薬支持トレイ120を単に支持トレイ120と呼び、支持トレイ120の下に積層される試薬支持トレイ110を下部支持トレイ110と呼ぶ。同様に、支持トレイ120の上に積層される試薬支持トレイ130を上部支持トレイ130と呼ぶ。この命名は、以下の説明を簡単にする上で、試薬支持トレイ110、120、130及び140の垂直スタック内における試薬支持トレイ110、120及び130の相対位置を区別するために用いられる。また、気化器容器100内を流れるガスは、キャリアガス流107、試薬蒸気103及び混合ガス109を含み得るが、説明を簡単にするため、以下において、気化器容器100内のガス流を混合ガス109と呼ぶ。」
(エ)「【0088】
[00111] 図15~図20は、気化器容器内に配置される試薬支持トレイのスタック中に組み合わされた同一又は異なる寸法の試薬支持トレイの特定の例示的実施形態の組み合わせの側面断面図である。図15~図20の例に示されるように、試薬支持トレイのスタックは、高さが高いトレイであっても低いトレイであっても、同じ高さの試薬支持トレイを含んでよく、あるいは、異なる高さのトレイの様々な組み合わせや配列を含んでよい。第1の高さを有する1以上の試薬支持トレイ(例えば、高いトレイ)と、第2の高さを有する1以上の試薬支持トレイ(例えば、低いトレイ)の組み合わせは、第1の高さを有する1以上の試薬支持トレイ内に受け入れられるべき第1試薬ソース材料に由来する第1試薬蒸気の第1の割合と、複数の試薬支持トレイのうちの第2の高さを有する1以上のトレイ内に受け入れられるべき第2試薬ソース材料に由来する第2試薬蒸気の第2の割合とに基づいて選択し得る。また、ある特定のソース試薬材料を気化器容器の下層に位置付けること、気化器の高さの上層に位置付けること、あるいは1以上の他の試薬ソース材料の高さと高さの間に挿入することに利点がある場合もある。
【0089】
[00112] 以下の例において、試薬支持トレイは、第1の高さと第2の高さという2つの異なる高さの試薬支持トレイのみを含み得るものと仮定する。ただし、第3の高さ、第4の高さ等を含むトレイ高さの範囲であって、図1~図6又は本記載のいずれかの場所で表されたものよりも高い又は低い高さを含み得るトレイ高さの範囲が可能であることが理解されるべきである。また、試薬支持トレイのスタックは、第1の高さの試薬支持トレイを最大3つ、又は第2の高さの試薬支持トレイを最大6つ含む一方、各高さのトレイをこれより多く又は少なく含むことも可能である。試薬支持トレイは、図1~図9を参照して説明されたようなチャネルを含む仕切りを含んでよい。試薬支持トレイは、図10~図12を参照して説明されたような両側に交互に位置付けられたガス流開口を含んでよい。試薬支持トレイは、図13及び14を参照して説明されたような中空でない突起又はチャネルを有する突起を含んでよい。試薬支持トレイは、他の構成であってもよい。さらに、試薬支持トレイは異なる特徴を有するトレイの組み合わせを含んでもよい。
【0090】
[00113] 様々な試薬支持トレイのスタックの例を説明するため、図15は、全て第1の高さの(例えば、高い)3つの試薬支持トレイ1510、1520及び1530を含む試薬支持トレイのスタック1500を示す。図16は、全て第2の高さの(例えば、低い)6つの試薬支持トレイ1610、1620、1630、1640、1650及び1660を含む試薬支持トレイのスタック1600を示す。つまり、試薬支持トレイのスタックは同じ高さの試薬支持トレイのみを含んでよい。
【0091】
[00114] あるいは、試薬支持トレイのスタックは異なる高さの試薬支持トレイを含んでよい。図17は、第1の高さの(例えば、高い)2つの試薬支持トレイ1710及び1720と、第2の高さの(例えば、低い)2つの試薬支持トレイ1730及び1740とを含む試薬支持トレイのスタック1700を示す。図17は、同数の同じ高さの試薬支持トレイを示しており、第2の高さの試薬支持トレイ1730及び1740が第1の高さの試薬支持トレイ1710及び1720の上に位置付けられることを示しているが、試薬支持トレイは必ずしもこのように選択又は積層される必要はない。例えば、図18は、第2の高さの(例えば、低い)2つの試薬支持トレイ1810及び1820が第1の高さの(例えば、高い)2つの試薬支持トレイ1830及び1840の下に積層された試薬支持トレイのスタック1800を示す。図19は、第2の高さの(例えば、低い)4つの試薬支持トレイ1920、1930、1940及び1950の下に第1の高さの(例えば、高い)の試薬支持トレイ1910を含む試薬支持トレイのスタック1900を示す。あるいは、第1の高さの試薬支持トレイ1910は試薬支持トレイ1920、1930、1940及び1950の上に位置付けられてもよい。さらに、異なる高さの試薬支持トレイが交互に配置されてもよい。従って、図20に示すように、試薬支持トレイのスタック2000は、第2の高さの(例えば、高い)2つ/4つの試薬支持トレイ2020及び2040の間に交互に配置された第2の高さの(例えば、低い)2つの試薬支持トレイ2010及び2030を含み得る。従って、用途、気化器容器のサイズ、ソース材料の利用可能性、混合ガス内に含まれるべきソース材料の所望の割合等に基づいて、限定されることなく、数、高さ及び特徴の点であらゆるトレイの組み合わせを使用し得る。」
(オ)「【図1】
[図:0001409189000001.jpg]
【図2】
[図:0001409189000002.jpg]
【図3】
[図:0001409189000003.jpg]
」
(カ)「【図17】
[図:0001409189000004.jpg]
【図18】
[図:0001409189000005.jpg]
」
イ 甲2に記載の事項
(ア)「【請求項1】
ソース材料の蒸発および配送のための蒸気配送システムであって、
a)アンプル底部と、側壁と、着脱自在の上端部とを含み、内部アンプル室を形成するアンプルと、
b)前記アンプルに連通して結合されたガス入口およびガス出口と、
c)前記内部アンプル室内に配置された少なくとも1つのソース材料容器であって、容器底部および側壁を含み、容器キャビティを形成する容器と、
d)少なくとも前記容器底部に配置され、前記容器底部を通して通路を提供する複数の孔付き突出部であって、前記容器キャビティ内に延伸する孔付き突出部と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記内室内に配置され、前記容器底部を通って延伸し、かつ前記ガス入口に連通して結合した内部ガス搬送部材をさらに備える、請求項1に記載の蒸気配送システム。
・・・
【請求項5】
前記複数の孔付き突出部は、前記容器側壁に配置されている、請求項2に記載の蒸気配送システム。
・・・
【請求項7】
前記内室に配置された複数の垂直に積重された容器を含む、請求項5に記載の蒸気配送システム。」
(イ)「【0008】
発明の概要
本発明は、半導体製造用途のために特定の有用性を有する固体および液体ケミカルソースを蒸発させるための蒸発器システムおよび方法に関する。
・・・
【0018】
本発明の一の実施形態による、図1に示す蒸発器は、先行技術による蒸発器の欠陥を克服する。この蒸発器配送システム10には、たとえば、銀、銀合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉛、ニッケルクラッド、ステンレス鋼、黒鉛および/またはセラミック材料などの適切な熱伝導材料で製作されるアンプル12が含まれる。アンプルには、内室を形成する底部14および側壁16が含まれる。アンプルは、図示の円筒形状など、アンプルを通してキャリヤガスの均一なフローを容易にする任意の形状とすることができる。アンプルベースの好ましい形状は、正確に機械加工された容器に対して、1インチの1/1000~3/1000の隙間のみを許す非常に厳しい許容値にまで機械加工された円筒形状である。容器の取り付けには壁が極めて平行であることを必要とするが、これは、容器の側壁がそれぞれアンプルベースの内壁と良好な熱接触を有することを保証するためである。理解できるように、容器とアンプル内壁とのむらのない接触を保証するために必要な厳重な許容値のゆえに、容器ユニットの取り付けおよび取り外しプロセスには、簡単な取り付けを可能とするために、ベースおよび容器それぞれの加熱および/または冷却を必要とする可能性がある。
・・・
【0020】
複数の垂直に積重された容器22が、アンプルの内室内に配置されている。積重された容器は、容易な洗浄および補充のために互いに分離可能でアンプルから着脱自在である。内部キャリヤガス部材23がアンプル内に配置されているが、この内部キャリヤガス部材23は、キャリヤガス入口20に接続(溶接)され、内室の底部および垂直に積重された容器における最も下側の容器の下にキャリヤガスを導く。図1において、内部キャリヤガス部材23は、各容器キャビティ27(図3に示す)および容器底部24を通過している。しかしながら、内部キャリヤガス部材が容器底部と交差する箇所で漏れのない封止を保証するために、特にソース材料が液体の場合には、封止用O-リング38(図5に示す)を容器間に配置してもよいことを理解すべきである。各容器(トレイ)側壁の上端面で容器間を封止するために、外側O-リングを追加することもまた考えられる。」
(ウ)「【図1】
[図:0001409189000006.jpg]
」
ウ 甲3に記載の事項
(ア)「【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。図4は、実施例のMOCVD装置に用いる原料供給装置の断面図である。図中、1は原料容器、2はMOCVD用の固体の有機金属化合物(MO)原料、30a、30b、30cは原料を収納する小容器すなわち原料収納カートリッジ、4は原料容器1内に連通するキャリアガスの導入路、5は原料容器1のフランジ、6は原料収納カートリッジに連通しかつ原料ガスが混入ガスの送出路、7は加熱用のオーブンを表す。この原料容器、原料収納カートリッジ等の実施例の原料供給装置に使用する材質はステンレスなどMO原料に対して不活性な材質とする。
【0017】実施例の原料供給装置では、原料容器1内に複数段例えば3段の原料収納カートリッジ30a、30b、30cが互いに接続されて設けてある。円筒形の原料収納カートリッジの各々にはその底部31にステンレス製のシャーレ状の受け皿32が載置されている。シャーレ32の平坦な底部32aにはパウダー状の原料2が均一の深さで載置されている。一般的には固体原料の形態はパウダー状であるが、一度溶融して固化したディスク状でもよい。後者の場合、表面積は小さくなるがその表面からガス化が進むため、原料の表面積はシャーレ底が露出するまで一定となる。この結果、濃度一定のガスを長時間供給でき、原料使用効率がよい。
【0018】シャーレ32は各原料収納カートリッジの底部31の中央にスペーサ32を介して着脱自在に載置され、シャーレ32の底部32a及び側壁の外側面と、カートリッジの底部31及び側壁の内側面との間にガス通路300が形成されている。さらに、原料収納カートリッジの底部32中央には、気体を導入又は導出する開口33が設けられている。各原料収納カートリッジの上部周縁には上部ネジ部34が設けられている。カートリッジの円形蓋部35の中央に気体導出開口33が設けられている。原料収納カートリッジ30aと蓋部35とは、カートリッジの上部ネジ部34と蓋部35の下部ネジ部36とにより、螺合している。蓋部35の外径は原料収納カートリッジ30aの外径より大きいので、蓋部35の外縁部は原料容器のフランジ5の座部55に係止できる構造となっている。すなわち蓋部35の外縁部により、原料収納カートリッジは、原料容器1に対し着脱自在に結合される。このように、結合した原料収納カートリッジごと、各原料収納カートリッジごと、シャーレごと、と交換が容易に構成されている。
【0019】原料収納カートリッジ30aの下部周縁には下部ネジ部36が設けられている。原料収納カートリッジ30aの下部ネジ部36と、原料収納カートリッジ30bの上部ネジ部34とが螺合している。同様に、原料収納カートリッジ30bの下部周縁には下部ネジ部36が設けられ、その下部ネジ部36と、最下段の原料収納カートリッジ30cの上部ネジ部34とが螺合している。このように、原料収納カートリッジはその蓋とともに、原料収納カートリッジ同士を結合する手段として上下部ネジ部34,36を備えている。
【0020】固体原料を気化装置に装填する場合は、原料収納カートリッジの各々のシャーレ32に固体原料を一様に載置して、順にカートリッジ及び蓋部35を螺合し、一体となった原料収納カートリッジを、その蓋部35の外縁部が原料容器のフランジ5の座部55に係止するように、原料容器1に固定し、ガスケット40を入れて、ガスの送出路6が設けられた容器蓋50へボルト締めする。このように、容器はボルト締めなどの手段により開閉可能とすることでカートリッジごとの原料交換が可能である。さらにガスケット及びキャリアガス入出部分に設けたバルブにより、完全に外気と遮断可能となっている。」
(イ)「【図4】
[図:0001409189000007.jpg]
【図5】
[図:0001409189000008.jpg]
」
エ 甲4に記載の事項
(ア)「【0012】
図1および2は、少なくとも1つの突起が容器の基部から延びている本発明の容器の1つの態様のそれぞれ分解側面図と断面図を提供する。図1および2において、容器は蓋12、基部14、側壁16、およびそれぞれ蓋12と基部14の近くに位置された1組の封止装置13および15を有する容器10である。容器10は形状が実質的に円筒形であるように示されるが、容器は、例えば中空の正方形又は矩形管として形作られてよいということが理解される。シール、o-リング、ガスケット、挿入物などであってよい封止装置13および15は、容器10を減圧又は持続的な圧力に維持することを可能とするために用いられ得てそして金属あるいは高分子物質で構成され得る。
【0013】
もう一つの方法として、蓋12及び/又は基部14は、封止装置13および15の1つあるいは両方の必要性はないが気密又は耐圧封止装置を形成するために側壁16上に配列されてよい。蓋12は、1つ以上の留め具19、例えば図1に示されるようなねじ又はピンを介して側壁16上に固定されてよい。もう一つの態様において、蓋12は、蓋12を配列し且つ側壁16(図示せず)上に固定されることを可能とする補助的な凹部に相当する溝を介して側壁16上に固定されてよい。さらに他の態様において、蓋12は側壁の上に溶接、固着、接着剤、又は他の手段を介して固定され得る。位置合わせを確かにしかつ蓋と側壁との間の及び/又は側壁と基部が取り外し可能である態様での基部との間に取り付けるために位置合わせピン(開示せず)が用いられてよい。」
(イ)「【図1】
[図:0001409189000009.jpg]
【図2】
[図:0001409189000010.jpg]
」
オ 甲5に記載の事項
(ア)「[0001] 本発明は、例えばCVD装置、エッチング装置等の半導体製造装置に適用して好適な、チャンバ内、容器内、通路内、管内あるいは室内等の実質的に閉じた空間を加熱し、また冷却する加熱装置に関する。
・・・
[0018] 図1に示すように、基板処理装置1は、投入された半導体ウェーハに所望の環境下で所望の処理を施すための空間(チャンバ内部空間)23を形成する処理チャンバ11と蓋部12、チャンバ内部空間23内において処理対象のウェーハが載置されるサセプタ14、処理ガス等をチャンバ内部空間23に供給する給気管17、チャンバ内部空間23の気体を排気する排気管19、及び、チャンバ内部空間23を加熱する本発明に係る加熱ユニット100を有する。
・・・
[0024] 加熱ユニット100は、チャンバ内部空間23を加熱して所定の高温環境とするための加熱装置である。特に本実施形態の加熱ユニット100は、チャンバ内部空間23を適切に加熱することに加えて、基板処理装置1の保守等の時に、処理チャンバ11及びその内部空間23を短期間に急速に冷却でき、これにより、次の高温処理のための準備や所望のメンテナンス処理を迅速に効率よく行えるようになっているものである。
[0025] 図示のごとく、本実施形態の加熱ユニット100は、処理チャンバ11の内壁に沿った円筒形状の装置であり、その上下両端は開口した状態となっている。
加熱ユニット100は、アウターシェル111、インナーシェル112及び面状発熱体113を有する。
[0026] アウターシェル111及びインナーシェル112は、各々円筒形状に形成された一対の金属板である。アウターシェル111及びインナーシェル112は、面状発熱体113を間に介在させた状態で、すなわち面状発熱体を挟み込んだ状態で、上端部及び下端部が各々相互に接合される。これにより、加熱ユニット100の本体が構成される。この構成により、面状発熱体113は、アウターシェル111及びインナーシェル112により完全に被覆された状態となり、すなわちアウターシェル111とインナーシェル112とで形成される内部空間に面状発熱体113が封入された状態となり、面状発熱体113がチャンバ内部空間23に供給された処理ガス等に曝されることが防止される。
・・・
[0035] アウターシェル111及びインナーシェル112は、伝熱効率が高ぐ処理ガスに対して耐腐食性を有する材料により形成される。具体的には、例えばステンレス鋼材(例えばSUS316)あるいはアルミニウム板材(例えばA5052)等が好適であるが、チタン、アルミニウム合金、ニッケルコバルト合金、あるいは、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化珪素の何れかからなるセラミックス等であってもよい。また、耐腐食性をコーティングによって確保することも可能であり、その場合のコーティング材料としては、アルミナ(Al2O3)、SiC、AlN、Si3N4あるいはY2O3等が好ましい。」
(イ)「[図1]
[図:0001409189000011.jpg]
」
カ 甲6に記載の事項
(ア)「【0022】
本体110は、中間部117と反対側の端部112,114を含む。一実施形態では、端部112の外面113a、及び端部112の内面112aは、徐々に小さな外径を呈するよう内方に向かってテーパー付けされている。端部114は、徐々に増大する内径を呈するよう外方に向かって広がっている。随意選択的に、端部114の環状の外面114a及び内面の両方を外方に向かって広げることが可能である。しかし、図1Aに示すように、格納容器の実施形態100aでは、端部114の外面114aは、本体110の中央部117の外面113と同じ直径にすることが可能であり、この場合には、端部114において本体の内面114bのみが外方に向かって広がって徐々に増大する内径を呈するようになっている。端部112の内面は、内面115と同じ直径にすることが可能であり、この場合には外面113aのみが内方に向かってテーパー付けされる。好適には、端部112のテーパー付けされた外面の傾斜は、端部114の広がった内面114bの外方に向かう傾斜と一致し、格納容器100aの各本体の端面の嵌め合いによる係合が容易となるようになっている。端部112,114の構成の目的は、適当な個数の本体を結合させることにより長さを変更することができる格納容器アセンブリが提供されるように、2つ又は3つ以上の容器本体110を端と端とが接続される態様で共に組み付ける手段を提供することにある。ここで、複数の本体が結合された場合、リザーバ、すなわち各本体のボア111は、互いに結合されて、連続した内部空間を提供する。広がった表面114bは、外方に向かって広がり、テーパー付けされた表面113aは、約3°から約10°の角度で内方へ傾斜し、典型的には、圧入された結合部の摩擦係合によって安定した構造が提供される。
・・・
【0024】
ここで図2及び図3を参照する。第2の実施形態では、格納容器200は、弧状の内面211及び概してU字形状の横断面を有する概して長手方向に延びる本体210を含む。該弧状の内面211は、蒸発させるべき材料(例えば、Cu,Al,In,Ga,Se及びその類)等の金属)を収容するためのリザーバを画定する。該本体210は好適には、シングルピース式モノリシック構造のものであり、好適にはpBN又はpBN被覆黒鉛から作製される。本体210は、長手方向に延びる直線状フランジ部分214,215、及び弧状の末端フランジ部分212,213を含む。末端フランジ部分212,213は、それぞれ、1つ又は2つ以上のアパーチャ219,218を含む。直線状フランジ部分214,215は、それぞれ、1つ又は2つ以上のアパーチャ216,217を含む。アパーチャ218,219は、ネジ、ボルト(図示せず)及びその類の固定具を受容するよう構成されており、及び必要に応じて長さを変更することができる格納容器アセンブリを形成するために個々の本体210の端と端との取り外し可能な組み立てを容易にするよう互いを位置合わせするよう構成されている。この場合、個々の本体210の内面211により画定されるリザーバが互いに連結されて連続した内部空間が提供される。随意選択的に、本体210の一端が、長手方向に延びる弧状フランジ205を含み、該本体210の他端が、後述する理由のため、該フランジ205と結合する構成及び寸法を有する弧状凹部206を含むことが可能である。カバープレート220(図3)は、本体210の上部に取り付けられるような構成及び寸法を有するものである。カバープレートは、直線状フランジ部分214と整列するよう構成された1つ又は2つ以上のアパーチャ226と、本体210の直線状フランジ部分215と整列するよう構成された1つ又は2つ以上のアパーチャ227とを含み、本体210に対するプレート220の取り外し可能な取り付けが可能となるよう固定具(ネジ、ボルトその他)を受容するようようになっている。プレート220は、蒸気の放出を可能にする複数のアパーチャ222を含む。
【0025】
図2Aは、本体210a,210bをその間に配置したガスケット230と共に端と端とを接続するアセンブリを示している。該ガスケットは好適には、黒鉛(Grafoil(登録商標)タイプのガスケット等)から作製され、弧状の末端フランジ212,213と一致する三日月形を有するものである。好適には、ガスケット230は、該ガスケットに覆い被さる長手方向に延びる弧状フランジ205によって溶融材料との接触から保護される。該ガスケットはまた、接続した個々の本体が末端フランジ212,213において「溶着する」のを阻止する。さもないと、蒸発した金属が本体間の接続部に堆積することにより該溶着が生じることになる。」
(イ)「【図1】
[図:0001409189000012.jpg]
」
(ウ)「【図2】
[図:0001409189000013.jpg]
【図2A】
[図:0001409189000014.jpg]
」
キ 甲7に記載の事項
(ア)「【0031】
[0042]例示された固体前駆体送出組立体100の例示的動作は、引き続き図5を参照して次に説明される。動作に向けて組立体100を用意するために、前駆体物質が、容器102の第1の前駆体チャンバ140および第2の前駆体チャンバ142内に初期配置される。より詳細には、前駆体物質は、第1の前駆体チャンバ140内の第2の分配器板150の上部に(例えば、第1の注入口112などを介して)配置され、前駆体物質は、(例えば、第2の注入口114などを介して)第2の前駆体チャンバ142内の第3の分配器板152の上部に配置される。(第1の前駆体チャンバ140をほぼ画定する)第1の分配器板148および第2の分配器板150のほぼ一定の位置は、第1の前駆体チャンバ140内に配置された前駆体物質の上方に上部空間をもたらすことができる。同様に、(第2の前駆体チャンバ142をほぼ画定する)第2の分配器板150および第3の分配器板152のほぼ一定の位置は、第2の前駆体チャンバ142内に配置された前駆体物質の上方に上部空間をもたらすことができる。
・・・
【0038】
[0049]加えて、例示された固体前駆体送出組立体100のマルチチャンバ構成は、前駆体物質のより効率的なおよび/または完全な消耗もたらすのを助けることができる。例えば、例示された実施形態では、より大量の前駆体物質が、搬送ガスが第1の前駆体チャンバ140から第2の前駆体チャンバ142へ通過するときに搬送ガスの減少した飽和要求(diminished saturation requirements)を示すように第2の前駆体チャンバ142よりも第1の前駆体チャンバ140に置かれてもよい。搬送ガスは、概して、第1の前駆体チャンバ140を去った後にすでに搬送ガス中に揮発される前駆体物質をたくさん有し、それによって飽和の上掛けが、第2の前駆体チャンバ 142内で必要とされるに過ぎない。したがって、容器102を去る(出口108を通じ た)搬送ガスの気化した前駆体物質の大部分は、第1の前駆体チャンバ140からのもの であり、第2の前駆体チャンバ142からはそれほどでない。より多くの前駆体物質が、 第2の前駆体チャンバ142からではなく第1の前駆体チャンバ140から減らされる( すなわち、第1の前駆体チャンバ140内の前駆体物質は、第2の前駆体チャンバ142 内の前駆体物質よりも実質的に速い速度で減る)ので、より大量の前駆体物質が、第2の 前駆体チャンバ142内よりも第1の前駆体チャンバ140に配置されてもよく、それに よってチャンバ140と142は共に、最終的にほぼ同じ時間で減らされる。例えば、第 1の前駆体チャンバ140は、約75グラムの前駆体物質で満たされてもよく、第2の前 駆体チャンバ142は、約25グラムの前駆体物質で満たされてもよい。
【0039】
[0050]他の例示的実施形態では、固体前駆体送出組立体は、第1の前駆体チャンバに置 くことができるより大量の前駆体物質を収容するために、第2の前駆体チャンバより大き いサイズに作製された第1の前駆体チャンバを備えてもよい。例えば、固体前駆体送出組 立体は、(これに限定するものではないが)第1の前駆体チャンバと第2の前駆体チャン バの容積の割合、約2:1、約3:1、約4:1などを有してもよい。」
(イ)「【図5】
[図:0001409189000015.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
ア 甲1(上記(1)ア(ア))には、請求項1、2を直列的に引用する請求項4として、以下のシステムが記載されている。
「内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、
複数の試薬支持トレイと、を備え、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、底面と、を有する支持表面を含み、
前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成され、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、前記底面より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記底面の下のガスは、前記底面から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達し、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、側壁をさらに含み、前記側壁は全体として前記支持表面の外周を包囲し、前記側壁は前記支持表面の前記外周に沿って前記1以上の内壁と密接に係合するように構成される、
システム。」
イ 上記アの「気化器容器」に関し、上記(1)ア(ウ)で摘記した【0020】には「気化器容器200は、本体202及び蓋体204を含む」点が記載されている。
ウ また、上記アの「気化器容器」に関し、【図2】からは、気化器容器200の本体202の上部に開口が設けられる点、開口の周縁にフランジ状のリムを備える点、開口の上に蓋体204が設けられる点、気化器容器200が円筒状である点が看取できる。(以下の図は、【図2】に当審で説明を加筆したものである。)
[図:0001409189000016.jpg]
エ 上記アの「気化器容器」に関し、上記(1)ア(ア)で摘記した【請求項17】には「気化器容器は、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイにおいて前記ソース試薬材料から生成される試薬蒸気と混ぜ合わせて混合ガスを形成するための、前記内部容積へのキャリアガスの供給を受け入れるように構成された入口ポートと、前記気化器容器から前記混合ガスを排出するように構成された出口ポートと、をさらに含む」点が記載されている。
オ 上記アの「試薬支持トレイ」に関し、上記(1)ア(ア)で摘記した【請求項16】には「複数の試薬支持トレイは、複数のトレイであって、そのうちの少なくともいくつかが互いに異なる高さを有するトレイを備える」点が記載されている。
カ 上記オの「互いに異なる高さを有するトレイ」の具体例として、上記(1)ア(エ)で摘記した【0091】には「第1の高さの(例えば、高い)2つの試薬支持トレイ1710及び1720と、第2の高さの(例えば、低い)2つの試薬支持トレイ1730及び1740とを含」み、「第2の高さの試薬支持トレイ1730及び1740が第1の高さの試薬支持トレイ1710及び1720の上に位置付けられる」点が記載されているから、第1の高さは、第2の高さより高いといえる。
キ また、上記オの「互いに異なる高さを有するトレイ」の具体例として、上記(1)ア(エ)で摘記した【0091】には「第2の高さの(例えば、低い)2つの試薬支持トレイ1810及び1820が第1の高さの(例えば、高い)2つの試薬支持トレイ1830及び1840の下に積層された試薬支持トレイ」が記載されているから、第1の高さは、第2の高さより高いといえる。
ク 上記アの「試薬支持トレイ」及び「チャネル」に関し、上記(1)ア(ア)で摘記した【請求項3】には「前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルが、前記底面の下から前記上面の上へと向かう前記ガス流にとっての唯一の通路を提供する」点が記載されている。
ケ 上記ア~カ、クを踏まえると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、
複数の試薬支持トレイと、を備え、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、底面と、を有する支持表面を含み、
前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成され、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、前記底面より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記底面の下のガスは、前記底面から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達し、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルが、前記底面の下から前記上面の上へと向かう前記ガス流にとっての唯一の通路を提供し、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、側壁をさらに含み、前記側壁は全体として前記支持表面の外周を包囲し、前記側壁は前記支持表面の前記外周に沿って前記1以上の内壁と密接に係合するように構成され、
前記気化器容器は、本体及び蓋体を含み、
前記本体の上部に開口が設けられ、
前記開口の周縁にフランジ状のリムを備え、
前記開口の上に蓋体が設けられ、
前記気化器容器が円筒状であり、
前記気化器容器は、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイにおいて前記ソース試薬材料から生成される試薬蒸気と混ぜ合わせて混合ガスを形成するための、前記内部容積へのキャリアガスの供給を受け入れるように構成された入口ポートと、前記気化器容器から前記混合ガスを排出するように構成された出口ポートと、をさらに含み、
前記複数の試薬支持トレイは、複数のトレイであって、そのうちの少なくともいくつかが互いに異なる高さを有するトレイを備え、
第1の高さの2つの試薬支持トレイと、第2の高さの2つの試薬支持トレイとを含み、第2の高さの試薬支持トレイが第1の高さの試薬支持トレイの上に位置付けられ、
第1の高さは、第2の高さより高い、
システム。」
コ また、上記ア~オ、キ、クを踏まえると、甲1には、次の発明(以下、「甲1’発明」という。)が記載されているといえる。
「内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、
複数の試薬支持トレイと、を備え、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、底面と、を有する支持表面を含み、
前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成され、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、前記底面より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記底面の下のガスは、前記底面から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達し、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルが、前記底面の下から前記上面の上へと向かう前記ガス流にとっての唯一の通路を提供し、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、側壁をさらに含み、前記側壁は全体として前記支持表面の外周を包囲し、前記側壁は前記支持表面の前記外周に沿って前記1以上の内壁と密接に係合するように構成され、
前記気化器容器は、本体及び蓋体を含み、
前記本体の上部に開口が設けられ、
前記開口の周縁にフランジ状のリムを備え、
前記開口の上に蓋体が設けられ、
前記気化器容器が円筒状であり、
前記気化器容器は、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイにおいて前記ソース試薬材料から生成される試薬蒸気と混ぜ合わせて混合ガスを形成するための、前記内部容積へのキャリアガスの供給を受け入れるように構成された入口ポートと、前記気化器容器から前記混合ガスを排出するように構成された出口ポートと、をさらに含み、
前記複数の試薬支持トレイは、複数のトレイであって、そのうちの少なくともいくつかが互いに異なる高さを有するトレイを備え、
第1の高さの2つの試薬支持トレイと、第2の高さの2つの試薬支持トレイとを含み、第2の高さの試薬支持トレイが第1の高さの試薬支持トレイの下に位置付けられ、
第1の高さは、第2の高さより高い、
システム。」
(3)本件発明1について
ア 対比
(ア)甲1発明の「ソース試薬材料」は、「気化器容器」の「加熱」(【0024】)により「気化」されるものであり、「ソース試薬材料101は固体ソース試薬材料を含み得る」(【0022】)ものである。
また、以下に示すとおり、固体が気化する現象は「蒸発」といえるものであり、かつ、「ソース試薬材料」は「試薬蒸気」(【請求項17】)の原料となっているものであることから、甲1発明の「ソース試薬材料」、「気化」は、それぞれ、本件発明1の「蒸発原料物質」、「蒸発」に相当する。
じょう‐はつ【蒸発】
1 液体または固体がその表面において気化する現象。「水分が―する」
2 転じて、動機を明らかにしないまま不意にいなくなり、家族と音信を絶ってしまうこと。
[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]
(イ)甲1発明の「システム」は、「気化器容器」、「試薬支持トレイ」といった部品を組み合わせて、すなわちアセンブルして構成されたシステムであるから、「アセンブリ」であるといえる。そのため、甲1発明の、「ソース試薬材料」を「気化」させて「試薬蒸気」とし、「キャリアガス」を「試薬蒸気と混ぜ合わせて混合ガスを形成」し、「出口ポート」から「排出」する「システム」は、本件発明1の「蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリ」に相当する。
(ウ)本件発明1の「ベッセル本体」と、甲1発明の「気化器容器」の「本体」は、いずれも内部空間に「トレイ」を収容するものであるから、甲1発明の「気化器容器」の「本体」は、本件発明1の「ベッセル本体」に相当する。
また、甲1発明の気化器容器の「内部容積」は、本件発明1の「内部空間」に相当する。さらに、甲1発明の気化器容器は「円筒状」であるので、その「内部容積」は円筒状、すなわち、内径を有する形状であるといえる。
そのため、甲1発明の円筒状の「内部容積」は、本件発明1の「内径を有する内部空間」に相当する。
(エ)甲1発明の「気化器容器」の「本体」の「内壁」の内面は、それぞれ、本件発明1の「側壁内面」に相当する。また、甲1発明の「気化器容器」の「開口」は、本件発明1の「ベッセル本体リム開口」に相当する。
(オ)上記(ウ)~(エ)を踏まえると、本件発明1の「前記ベッセル本体が、多重ベッセル本体アセンブリの内部空間を画成し、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のそれぞれが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、多重ベッセル本体アセンブリ」と、甲1発明の「気化器容器は、本体」「を含み」、円筒状の「内部容積」を有し、「本体の上部に開口が設けられ」る「気化器容器」は、「ベッセル本体が、」「内部空間を画成し、前記ベッセル本体」「が、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体」「が、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、」「ベッセル本体」の点で共通している。
(カ)本件発明1の「前記第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材」と、甲1発明の、「気化器容器は」「蓋体を含み、」「開口の上に蓋体が設けられ」る点は、「リム開口上に配置される、蓋部材」の点で共通している。
(キ)甲1発明の「気化器容器」の「内部容積へのキャリアガスの供給を受け入れるように構成された入口ポート」及び「気化器容器から前記混合ガスを排出するように構成された出口ポート」は、キャリアガス及び混合ガスが気化器容器の外部から内部へ、あるいは、内部から外部へ移動する際に通る、すなわち連通するポートであるから、本件発明1の「ベッセル本体」「の前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、」「ベッセル本体」「の前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口」に相当する。
(ク)本件発明1の「複数のベント付き支持トレイ」の「ベント」について、「ベント」は以下に示すとおり通気孔を意味する語句であり、さらに本件明細書の【0014】に「垂直に積み重ねられたトレイには、キャリヤガスがそれを通って流れる複数の突起または貫通チューブ30が設けられている」との記載があり、貫通チューブとは内側に孔のある管であるので、「ベント」はガスが流れる貫通チューブであると理解できる。
他方、甲1発明は、「少なくとも1つのチャネル」を備えた「試薬支持トレイ」を備えている。ここで「チャネル」は「試薬支持トレイ」の「底面の下から」「試薬支持トレイ」の「上面の上へと向かう前記ガス流にとっての唯一の通路を提供」するものであるから、「試薬支持トレイ」を底面の下から上面の上へと貫通しているものであることがわかる。そのため、甲1発明の「試薬支持トレイ」を貫通し「ガス流」の「通路」となる「チャネル」は、本件発明1の「ベント」に相当する。
また、「少なくとも1つ」には「複数」の場合が含まれるので、甲1発明の「少なくとも1つのチャネル」を備えた「試薬支持トレイ」は、本件発明1の「複数のベント付き支持トレイ」に相当する。
ベント【vent】
1 壁などの穴。空気・煙・蒸気などを抜くための通気孔。開孔。
2 原子炉で、原子炉圧力容器や原子炉格納容器内の圧力が異常に上昇した場合に、内部の気体を排出し、圧力を降下させること。→ウエットベント→ドライベント
3 →ベンツ
[デジタル大辞泉 <URL:https://dictionary.goo.ne.jp/word/ベント/>]
(ケ)甲1発明の「気化器容器は、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイにおいて前記ソース試薬材料から生成される試薬蒸気と混ぜ合わせて混合ガスを形成するための、前記内部容積へのキャリアガスの供給を受け入れるように構成された入口ポートと、前記気化器容器から前記混合ガスを排出するように構成された出口ポートと、をさらに含」んでいるから、試薬支持トレイは、入口ポートと出口ポートの間の流路に試薬蒸気を供給する構成であるといえる。
そうすると、甲1発明の「複数の試薬支持トレイ」は、入口ポートと出口ポートとの間に延在する流路内に試薬蒸気を支持するように適合されているといえるから、本件発明1の「複数のベント付き支持トレイ」とは、「前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている」点で共通する。
(コ)甲1発明の、「第1の高さの2つの試薬支持トレイと、第2の高さの2つの試薬支持トレイとを含み、第2の高さの試薬支持トレイが第1の高さの試薬支持トレイの上に位置付けられ、第1の高さは、第2の高さより高い」点は、本件発明1の「第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し」に相当する。
(サ)上記(ア)~(コ)を踏まえると、本件発明1と甲1発明は
「蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
ベッセル本体が、内部空間を画成し、前記ベッセル本体が、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体が、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、ベッセル本体と、
前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記ベッセル本体の前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備える、蒸発装置アセンブリ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1が、「少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」と、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有」するのに対し、甲1発明では、第1の高さの2つの試薬支持トレイ及び第2の高さの2つの試薬支持トレイは、単一の気化器容器の本体に配置されている点。
<相違点2>
本件発明1が、「第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材」を備えるのに対し、甲1発明の本体は、底部開口及び基底部材を備えるか否か不明である点
<相違点3>
本件発明1は、「第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材」を備えるのに対し、甲1発明の蓋体は本体の開口の上に設けられているものの、本体は単一であり、第1と第2に分かれていない点。
<相違点4>
トレイが、本件発明1では、「トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている」のに対し、甲1発明では、そのような配置となっているか否か不明である点。
イ 判断
前記アの相違点1から検討する。
(ア)本件発明1は、多重ベッセル本体アセンブリが第1および第2のベッセル本体を備え、第1のベッセル本体に側壁高さの高いトレイが、第2のベッセル本体に側壁高さの低いトレイがそれぞれ収容されるものである。
(イ)これに対し、甲1発明には、本体を2つに分割し、一方には第1の高さの試薬支持トレイを、他方には第2の高さの試薬支持トレイを配置するという技術思想は、記載も示唆もされておらず、甲1発明から、上記相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは困難である。
(ウ)念のため、甲2~7についても検討する。
a 甲2(【0020】及び【図1】)には、上方が開口した容器状のアンプル12(本件発明1のベッセル本体に対応)内に複数の容器22(本件発明1のトレイに対応)が収容されることが記載されているものの、アンプル12が分割される点や容器22の高さが異なる点は記載も示唆もされていない。
b 甲3(【0017】及び【図4】)には、内部に受け皿32(本件発明1のトレイに対応)を収容した小容器30a、30b、30c(本件発明1のベッセル本体に対応)が設けられ、小容器30a、30b、30cが互いに接続されていること(以下、「甲3に記載された事項」という。)が記載されているものの、甲3で小容器30a、30b、30cが分割されているのは、構造的に、小容器30a、30b、30cを分割しなければ、小容器30a、30b、30cの内部に受け皿32を設置できないからであって、本体を分割構造とせずとも試薬支持トレイを本体内部に設置可能な甲1発明において、甲3に記載された事項を適用する動機はないといえる。
また仮に、甲3に記載された事項を甲1発明に適用した場合についても検討すると、甲3に記載された事項では、小容器1つにつき受け皿は1つであるので、甲3に記載された事項を甲1発明に適用した場合では4分割された本体202毎に4つのトレイ1710、1720、1730、1740が1つずつ配置されることになる。これに対し、本件発明1では「第1ベッセル本体」に収容されるのは「第1の組のトレイ」とされており、組、つまり複数個のトレイであることから、甲1発明に甲3に記載された事項を適用したとしても、相違点1に係る本件発明1の構成は得られない。
c 甲4(【0012】及び【0013】)には、容器にOリング(封止装置13、15)を設けることが記載されているが、蒸発装置の容器を分割する点については記載も示唆もされていない。
d 甲5([0035])には、加熱装置のインナーシェル及びアウターシェルに耐腐食性のコーティングを施すことが記載されているものの、蒸発装置の容器を分割する点については記載も示唆もされていない。
e 甲6(【0024】及び【0025】)には、格納容器200が本体210a、210bを接続して構成され、本体210は、蒸発させるべき材料を収容するリザーバを画定する内面211を備えること(以下、「甲6に記載された事項」という。)が記載されている。
そして甲6の蒸発させるべき材料を収容するリザーバを備える本体210a、210bは、甲1発明における試薬支持トレイに対応するものであるから、甲6に記載された事項を甲1発明に適用したとしても、試薬支持トレイが複数のトレイを接続して構成されるものとなるに留まり、甲1発明の本体を分割する構成とはならないことから、上記相違点1に係る本件発明1の構成は得られない。
f 甲7(【0031】)には、容器102が第1の前駆体チャンバ140と第2の前駆体チャンバ142とを備え、第1の前駆体チャンバ140内に第2の分配器板150が、第2の前駆体チャンバ142内に第3の分配器板152が配置されること(以下、「甲7に記載された事項」という。)が記載されているものの、容器102(本件発明1の本体に対応)が複数に分割される点は記載されていないし、第2の分配器板150及び第3の分配器板152(本件発明1のトレイに対応)の高さが異なる点も記載されていない。そのため、甲7に記載された事項を甲1発明に適用したとしても、上記相違点1に係る本件発明1の構成は得られない。
(エ)してみれば、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
本件発明1は、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明2~4、7について
本件発明2~4、7はいずれも本件発明1の記載を引用し、本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2~4、7は、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明5について
ア 対比
(ア)本件発明5は、本件発明1の「第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し」との特定事項が、「第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより低い第1のトレイ側壁高さを有し」とされている以外は共通している。
そこで、上記(3)ア(ア)~(ケ)に記載された「本件発明1」、「甲1発明」を、それぞれ「本件発明5」、「甲1’発明」と読み替えて援用する。
(イ)甲1’発明の「第1の高さの2つの試薬支持トレイと、第2の高さの2つの試薬支持トレイとを含み、第2の高さの試薬支持トレイが第1の高さの試薬支持トレイの下に位置付けられ、第1の高さは、第2の高さより高い」点は、本件発明5の「第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより低い第1のトレイ側壁高さを有し」に相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、本件発明5と甲1’発明は
「蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
ベッセル本体が、内部空間を画成し、前記ベッセル本体が、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、ベッセル本体と、
前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記ベッセル本体の前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより低い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備える、蒸発装置アセンブリ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点5>
本件発明5が、「少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」と、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより低い第1のトレイ側壁高さを有」するのに対し、甲1’発明では、第1の高さの2つの試薬支持トレイ及び第2の高さの2つの試薬支持トレイは、単一の気化器容器の本体に配置されている点。
<相違点6>
本件発明5が、「第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材」を備えるのに対し、甲1’発明の本体は、底部開口及び基底部材を備えるか否か不明である点
<相違点7>
本件発明5は、「第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材」を備えるのに対し、甲1’発明の蓋体は本体の開口の上に設けられているものの、本体は単一であり、第1と第2に分かれていない点。
<相違点8>
トレイが、本件発明5では、「トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている」のに対し、甲1’発明では、そのような配置となっているか否か不明である点。
イ 判断
前記アの相違点5から検討する。
相違点5は、相違点1と同様の内容であることから、上記(3)イに記載した理由と同様の理由により、甲1’発明から、相違点5に係る本件発明5の構成に想到することは困難である。
そのため、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は甲1’発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
本件発明5は、甲1’発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明6について
ア 対比
(ア)本件発明6は、本件発明1の「トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている、複数のベント付き支持トレイであり」との特定事項を備えず、かつ、「前記基底部材の近くに配置された少なくとも1つの支持トレイが、前記少なくとも1つの支持トレイの外面周りに配置されたO-リングを備える」との特定事項を備える点以外は、本件発明1と発明特定事項が共通している。
そこで、上記(3)ア(ア)~(コ)に記載された「本件発明1」を「本件発明6」と読み替えて援用する。
(イ)上記(ア)を踏まえると、本件発明6と甲1発明は
「蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
ベッセル本体が、内部空間を画成し、前記ベッセル本体が、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、ベッセル本体と、
前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記ベッセル本体の前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記多重ベッセル本体アセンブリの前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備える、蒸発装置アセンブリ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点9>
本件発明6が、「少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」と、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有」するのに対し、甲1発明では、第1の高さの2つの試薬支持トレイ及び第2の高さの2つの試薬支持トレイは、単一の気化器容器の本体に配置されている点。
<相違点10>
本件発明6が、「第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材」を備えるのに対し、甲1発明の本体は、底部開口及び基底部材を備えるか否か不明である点
<相違点11>
本件発明6は、「第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材」を備えるのに対し、甲1発明の蓋体は本体の開口の上に設けられているものの、本体は単一であり、第1と第2に分かれていない点。
<相違点12>
本件発明6は、基底部材の近くに配置された少なくとも1つの支持トレイが、前記少なくとも1つの支持トレイの外面周りに配置されたO-リングを備えるのに対し、甲1発明は、そのような構成を有していない点。
イ 判断
前記アの相違点9から検討する。
相違点9は、相違点1と同様の内容であることから、上記(3)イに記載した理由と同様の理由により、甲1発明から、相違点9に係る本件発明6の構成に想到することは困難である。
そのため、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
本件発明6は、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明8について
ア 対比
(ア)本件発明8は、本件発明1の「少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリであり、前記ベッセル本体が、多重ベッセル本体アセンブリの内部空間を画成し、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のそれぞれが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、多重ベッセル本体アセンブリと」との特定事項が、本件発明8では「第1および第2のベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリであり、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁、ベッセル本体リム開口、および側壁内面によって画成される内部空間を有する多重ベッセル本体アセンブリと」と特定されていること、及び、本件発明8では「支持トレイのそれぞれが、金属酸化物、金属窒化物、及び積層構造内のこれらコーティングの組合わせから構成される群から選択された耐蝕コーティングを有する」との特定事項を備える点以外は、本件発明1と発明特定事項が共通している。
そこで、上記(3)ア(ア)~(エ)、(カ)~(ケ)に記載された「本件発明1」を「本件発明8」と読み替えて援用する。
(イ)上記(ア)で援用した上記(3)ア(ウ)~(エ)を踏まえると、本件発明8の「ベッセル本体のそれぞれが、側壁、ベッセル本体リム開口、および側壁内面によって画成される内部空間を有する多重ベッセル本体アセンブリ」と、甲1発明の「気化器容器は、本体」「を含み」、「前記本体が内径を有する内部空間を有し、」「本体の上部に開口が設けられ」る「気化器容器」は、「ベッセル本体」「が、側壁、ベッセル本体リム開口、および側壁内面によって画成される内部空間を有する」「ベッセル本体」の点で共通している。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、本件発明8と甲1発明は
「蒸発原料物質を蒸発させ送出する蒸発装置アセンブリであって、
ベッセル本体が、側壁、ベッセル本体リム開口、および側壁内面によって画成される内部空間を有するベッセル本体と、
前記リム開口上に配置される、蓋部材と、
前記ベッセル本体の前記内部空間と流体連通するように配置されたガス入口およびガス出口であり、前記ガス入口が、前記ベッセル本体の前記内部空間へ第1のガスを供給するように適合されている、ガス入口およびガス出口と、
第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
を備える、蒸発装置アセンブリ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点13>
本件発明8が、「第1および第2のベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」と、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有」するのに対し、甲1発明では、第1の高さの2つの試薬支持トレイ及び第2の高さの2つの試薬支持トレイは、単一の気化器容器の本体に配置されている点。
<相違点14>
本件発明8が、「第1のベッセル本体の底部開口の下に配置され、前記底部開口を閉鎖する基底部材」を備えるのに対し、甲1発明の本体は、底部開口及び基底部材を備えるか否か不明である点
<相違点15>
本件発明8は、「第2のベッセル本体の前記リム開口上に配置された蓋部材であり、前記第2のベッセル本体が、前記第1のベッセル本体の前記リム開口上に配置される、蓋部材」を備えるのに対し、甲1発明の蓋体は本体の開口の上に設けられているものの、本体は単一であり、第1と第2に分かれていない点。
<相違点16>
トレイが、本件発明8では、「トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている」のに対し、甲1発明では、そのような配置となっているか否か不明である点。
<相違点17>
本件発明8は、支持トレイのそれぞれが、金属酸化物、金属窒化物、及び積層構造内のこれらコーティングの組合わせから構成される群から選択された耐蝕コーティングを有するのに対し、甲1発明の試薬支持トレイは、そのような構成を有していない点。
イ 判断
前記アの相違点13から検討する。
相違点13は、相違点1と同様の内容であることから、上記(3)イに記載した理由と同様の理由により、甲1発明から、相違点13に係る本件発明8の構成に想到することは困難である。
そのため、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
本件発明8は、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 申立理由1(進歩性欠如)について(甲2又は3を主引用文献とする場合)
(1)本件発明1、5、6、8について
上記1(3)イ、上記1(5)イ、上記1(6)イ、上記1(7)イで述べたように、甲1~7には、本件発明1、6の「少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」と、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有」する点(相違点1、9)、本件発明5の「少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」と、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより低い第1のトレイ側壁高さを有」する点(相違点5)、本件発明8の「第1および第2のベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」と、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有」する点(相違点13)が記載されていない。
そのため、甲2又は3を主引用文献とした場合も、甲1を主引用文献とした場合と同様に、本件発明1、5、6、8の上記の点は得られないことから、本件発明1、5、6、8は、甲2、3に記載された発明及び甲1、4~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~4、7について
本件発明2~4、7はいずれも本件発明1を引用し、本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2~4、7は、甲2、3に記載された発明及び甲1、4~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
3 申立人の主張について
(1)申立人は、特許異議申立書において、おおむね以下の主張をしている。(下線は当審が付与した)
「4-3-1.本件特許発明1
・・・
(1b)少なくとも第1および第2の、長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリであり、前記ベッセル本体が、多重ベッセル本体アセンブリの内部空間を画成し、前記ベッセル本体のそれぞれが、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成される内部空間を有し、前記ベッセル本体のそれぞれが、前記ベッセル本体の内径を有し、側壁内面を有する、多重ベッセル本体アセンブリと、
・・・
(1f)トレイ外周側壁が、前記内部空間内に、前記多重ベッセル本体アセンブリの内径と接するように配置されている、複数のベント付き支持トレイであり、前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイを備え、前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有し、複数のベント付き支持トレイが、前記ガス入口と前記ガス出口との間に延在する流路内に蒸発原料物質を支持するように適合されている、複数のベント付き支持トレイと
・・・
構成要件(1b)について
・・・
構成要件(1f)と合わせて考えると、構成要件(1b)は例えば第1号証の図2において気化器容器200(多重ベッセル本体アセンブリに該当)を試薬支持トレイ210と220を収容する第1のベッセル本体と試薬支持トレイ230と240を収容する第2のベッセル本体に分割したベッセル本体アセンブリを記載するものである。このような分割構成は保守を容易にする目的で通常行われることであり、本件明細書には特別な効果は記載されておらず、したがって設計的事項にすぎない。構成要件(1b)に記載された多重ベッセル本体アセンブリは、第1号証の気化器容器を2分割した場合に必然的に生じる形態にすぎず、ベッセル本体を多重にすることは設計的事項にすぎない。
よって、甲第1号証における「内部容積内で垂直方向に積層可能に積層された複数の試薬指示トレイとを含み、概内部容積は本体202及び蓋体204によって閉鎖され、側壁およびベッセル本体リム開口によって画成されるベッセル本体」は本件特許発明1の構成要件(1b)に該当する。
なお、甲第1号証の段落[0010]には、内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器200と、内部容積内で垂直方向に積層可能に積層された複数の試薬支持トレイとを含む気化器容器装置が記載されている。
一方、甲第3号証には、シャーレ状部材を有する固体原料を載せるための小容器と小容器を保持する原料容器とを備える供給装置が記載されている([請求項1])。図4中、30a、30b、30cは原料を収容する小容器、すなわち原料収容カートリッジ([0016])である。実施例の原料供給装置では、原料容器1内に複数段、例えば三段の原料収納カートリッジ30a、30b、30cが互いに接続されて設けられ、円筒形の原料収納カートリッジの各々にはその底部31にステンレス製のシャーレ状の受け皿32が載置されている([0017])。これらの記載により、小容器、すなわち原料収納カートリッジのそれぞれは構成要件(1b)のベッセル本体に該当し、これらが螺合された原料収納カートリッジの組は構成要件(1b)の多重ベッセル本体アセンブリに該当し、受け皿は構成要件(1f)のトレイに該当する。よって、甲第3号証には多重ベッセルと、各ベッセルに載置される多段トレイとが記載されている。なお、甲第3号証の原料収納カートリッジの組を甲第1号証の気化器容器に適用するに際しては、甲第3号証の原料容器1は必要ない。
甲第1号証における「内部容積内で垂直方向に積層可能に積層された複数の試薬支持トレイ」に、甲第3号証に記載の「複数段の原料収納カートリッジの組」を適用して、本件特許発明1の構成要件(1b)の「長手方向に結合され、共通の長手方向軸を有するベッセル本体を備える多重ベッセル」とすることは設計的事項である。
・・・
構成要件(1f)について
甲第1号証の段落[0041]には、気化器容器200内に受け入れられる複数の試薬支持トレイ210、220、230及び240は異なる寸法を有してよく、複数の試薬支持トレイ210、220、230及び240のスタックの最下端に位置する試薬支持トレイ210及び220は第1の深さ241を有し、この第1の深さは試薬支持トレイ230および240の第2の深さ243よりも大きいことが記載されている([図2]および[図17])。また、段落[0088]~[0091]にはトレイ側壁高さについて様々な場合が例示されている。
一方、甲第6号証には、適当な個数の本体を結合させることにより格納容器アセンブリの長さを変更できることが記載されている。また、甲第7号証には2段チャンバ(原料支持トレイ)について、下段の大きさ、すなわち、高さを上段の大きさ、すなわち、高さより大きくすることが記載されている([0039])。また、その効果も記載されており([0038]および[0053])、本件特許明細書[0021]および[0025]に記載されている効果を開示している。
これら記載より、本件特許発明1の構成要件(1f)において、第1の組のトレイの側壁高さを第2の組のトレイの側壁高さより高くすることは容易に想到可能である。
・・・
上記のように、本件特許発明1は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・・・
4-3-5.本件特許発明5
(i)構成要件(5a)~(5e)は、構成要件(1a)~(1e)と同じであるから、4-3-1に記載のとおり、甲第1号証は構成要件(5a)~(5e)に該当する。
・・・
上記のように、本件特許発明5は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・・・
4-3-6.本件特許発明6
(i)構成要件(6a)~(6e)は、構成要件(1a)~(1e)と同じであるから、4-3-1に記載のとおり、甲第1号証は構成要件(6a)~(6e)に該当する。
構成要件(6f)について
構成要件(1f)と同様に、第1の組のトレイの側壁高さを第2の組のトレイの側壁高さより高くすることは容易に想到可能である。
・・・
上記のように、本件特許発明6は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・・・
4-3-8.本件特許発明8
(i)構成要件(8a)~(8e)は、構成要件(1a)~(1e)と同じであるから、4-3-1に記載のとおり、甲第1号証は構成要件(8a)~(8e)に該当する。
構成要件(8f)について
構成要件(1f)と同様に、第1の組のトレイの側壁高さを第2の組のトレイの側壁高さより高くすることは容易に想到可能である。
・・・
上記のとおり、本件特許発明8は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」(特許異議申立書32頁5行~42頁5行)
(2)申立人の主張に対する当審の判断
ア 甲1の試薬支持トレイの個数は、(本件発明の図面【図4B】に図示された10個のトレイよりも遙かに数の少ない)4個程度の少数であるため、本体が分割されていなくとも試薬支持トレイの本体への収容・取り出しに手間がかかるとはいえない。そのため、本体を分割構成にして本体1つあたりのトレイ数を例えば2個にしても、収容・取り出しにかかる手間は減るとはいえない。むしろ、分割した本体をボルト等で結合・分割する手間が新たに生じるため、分割構成にすることにより、保守の手間は容易化ではなく増加するものと見込まれる。そのため、甲1のような4個程度のトレイを有する装置において、「分割構成が保守容易化のために通常行われること」であるとはいえない。
イ 仮に、申立人の主張するように、分割構成が保守容易化のために通常行われることであったとしても、本体の一方には第1の高さの試薬支持トレイを、本体の他方には第2の高さの試薬支持トレイと配置するという、高さに応じたトレイの配置分けまでは、通常行われることであるとはいえない。
そのため、仮に、分割構成が保守容易化のために通常行われることであり、これに基づき甲1発明の本体を分割したとしても、甲1発明は、「前記第1のベッセル本体内に、かつ前記第2のベッセル本体内に配置された第2の組のトレイの下に配置された第1の組のトレイ」と、を備え、「前記第1の組のトレイのそれぞれが、前記第2の組のトレイの第2のトレイ側壁高さより高い第1のトレイ側壁高さを有」するという本件発明1の特定事項は得られない。
ウ また、甲3に記載された事項を甲1発明に適用したとしても本件発明1の構成は得られないこと、甲6に記載された事項を甲1発明に適用したとしても、試薬支持トレイが複数のトレイを接続して構成されるものとなるに留まり、本件発明1の「第1および第2の」「ベッセル本体を備える多重ベッセル本体アセンブリ」との構成は得られないことは、上記1(3)イ(エ)において検討したとおりである。
エ また、上記ア~ウにおいて検討した内容は、本件発明5、6、8についても同様である。
オ 上記ア~エの検討によれば、構成要件(1b)が設計的事項であり、構成要件(1f)は容易に想到可能であるため、本件特許発明1、5、6、8は、甲第1~4、6、7号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得るものであるとの申立人の主張は採用できない。
第5 むすび
上記第4で検討したとおり、本件特許1~8は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、上記申立理由1では、本件特許1~8を取り消すことはできない。
また、他に本件特許1~8を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-701386