特許異議申立
2023-701366
帳票連続紙
- 審判番号
- 2023-701366
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-170587
- 登録番号
- 7304782
- 請求日
- 2023年12月25日
- 審決日
- 2024年03月26日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】TOPPANホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】松沼 泰史
- 【異議申立人】松浦 喜多男
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 脇岡 剛
- 審判官 吉田 美彦
- 分類
- P1651.121-Y (G06K) / P1651.55 -Y (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7304782号発明「帳票連続紙」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7304782号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1.手続の経緯
特許第7304782号の請求項1、2に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和元年9月19日に出願されたものであって、その後の手続の概要は、次のとおりである。
令和5年 3月24日付け :拒絶理由通知
令和5年 5月16日 :意見書及び補正書の提出
令和5年 6月16日付け :特許査定
令和5年 6月29日 :特許権の設定登録
令和5年 7月 7日 :特許掲載公報の発行
令和5年12月25日 :特許異議の申立て
(特許異議申立人 松浦 喜多男)
第2.本件特許発明
特許第7304782号の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ本件特許発明1、本件特許発明2という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる帳票連続紙であって、
ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを備えてなるRFIDラベルが、各帳票紙片の一方の紙面にそれぞれ貼付され、
全ての帳票紙片の一方の紙面において、前記RFIDラベルが同一の位置に貼付され、
隣接する一対の帳票紙片相互で、該帳票紙片の一方の紙面における前記ICチップの配置を同一とし、さらに、前記一対の帳票紙片を、該一対の帳票紙片と前記帳票連続紙の長手方向における前記ICチップの配置が相互に異なる他の一対の帳票紙片と連続させてなるものであることを特徴とする帳票連続紙。
【請求項2】
前記RFIDラベルは、全て同じ構成であり、
前記一対の帳票紙片における前記RFIDラベルと、前記他の一対の帳票紙片における前記RFIDラベルとは、何れか一方が何れか他方に対して180度回転した状態で貼付されている、
請求項1記載の帳票連続紙。」
第3.申立理由の概要及び証拠
1.申立理由の概要
特許異議申立人(以下、「申立人」という。)による申立理由の概要、及び、申立人が提出した証拠は次のとおりである。(特許異議申立書第1頁「(1)申立ての理由の要約」、第3頁「(3)申立ての根拠」、第12頁「(5)むすび」など)
(1)申立理由1(特許法第29条第2項)
ア.請求項1について
本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第2号証の記載事項、または、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ.請求項2について
本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)申立理由2(特許法第17条の2第3項)
令和5年5月16日付けの手続補正書により補正された本件特許請求の範囲の請求項2の記載事項は、当初明細書等に記載された事項の範囲内でない。
2.証拠方法
甲第1号証:特許6475470号公報
甲第2号証:特開2012-048478号公報
甲第3号証:特開2009-163327号公報
第4.甲号証の記載事項
1.甲第1号証
(1)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられるものであって、ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを備えてなるRFIDラベルが、各帳票紙片の一側紙面に夫々貼付された帳票連続紙において、
前記帳票紙片に貼付されるRFIDラベルの、該帳票紙片に対する貼付位置が、一つ置きの帳票紙片相互で異なるようにし、
さらに一つ置きの帳票紙片相互で異なるRFIDラベルの貼付位置は、複数の帳票紙片を蛇腹状に折り重ねた状態で、少なくとも各RFIDラベルのICチップが重ならない位置であると共に、
隣接する一対の帳票紙片相互で、該帳票紙片に対するRFIDラベルの貼付位置を同一とし、さらに、前記一対の帳票紙片を、該一対の帳票紙片と前記RFIDラベルの貼付位置が相互に異なる他の一対の帳票紙片と連続させてなるものであることを特徴とする帳票連続紙。
・・(中略)・・
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するものであって、蛇腹状に折り重ねた状態でRFIDラベルのICチップが受ける圧力を低減し、そのICチップの破損を抑制することができる帳票連続紙を提案するものである。
・・(中略)・・
【0025】
本実施例1にあって、帳票連続紙1には、連続する各帳票紙片5a,5bにRFIDラベル11が貼付される。RFIDラベル11は、図5のように、RFIDインレット12と粘着シート13とから構成されている。ここで、RFIDインレット12は、図示しない合成樹脂製フィルム上に、ICチップ15と該ICチップ15に接続されたアンテナ16とが配設されてなる。このRFIDインレット12は、図示しない入出力装置(リーダ・ライタ装置)との間で、電磁波を利用してコマンドやデータ等の信号を非接触で送受信できる非接触型の電池レスタイプであり、前記ICチップ15が具備するメモリに、前記入出力装置と交信されるコマンドやデータ等が記憶される。前記アンテナ16には、ダイポールアンテナやメアンダラインアンテナ等の小型のものを適用できる。そして、このアンテナ16は、RFIDインレット12の通信に使用する電磁波に応じて、そのアンテナ長さなどが適宜設定される。
・・(中略)・・
【0027】
ここで、本実施例1に用いる全てのRFIDラベル11は、粘着シート13の略中央部分にRFIDインレット12が配置されている。そのため、後述するように複数のRFIDラベル11が上下方向で重なった場合には、これらRFIDラベル11を構成する夫々のRFIDインレット12およびICチップ15が上下方向で重なる。
【0028】
このようなRFIDラベル11は、図1のように、上記の帳票連続紙1を構成する各帳票紙片5a,5bの表紙面(又は裏紙面)に夫々一個づつ貼付される。本実施例1では、各帳票紙片5a,5bにRFIDラベル11を夫々貼付する位置として、相互に異なる二つの貼付位置31a,31bが位置設定されている。そして、一のミシン目4を介して隣接する一対の第一帳票紙片5a,5aに、前記貼付位置31a,31aが夫々設定され、また、他のミシン目4を介して隣接する他の一対の第二帳票紙片5b,5bに、前記貼付位置31b,31bが夫々設定されている。すなわち、一対の第一帳票紙片5a,5aでは、その各紙面上の同一位置に貼付位置31a,31aが定められ、一対の第二帳票紙片5b,5bでは、その各紙面上の同一位置に貼付位置31b,31bが定められている。本実施例1の帳票連続紙1は、こうした一対の第一帳票紙片5a,5aと一対の第二帳票紙片5b,5bとが交互に連続されてなるものであり、各第一帳票紙片5aの貼付位置31aと各第二帳票紙片5bの貼付位置31bとにRFIDラベル11が夫々貼付されてなる。
・・(中略)・・
【0039】
上述したように本実施例1の構成は、一対の第一帳票紙片5aと一対の第二帳票紙片5bとを交互に連続させたものであり、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5b相互で異なる貼付位置31a,31bに夫々RFIDラベル11が貼付されることから、一つ置きの帳票紙片5a,5b相互でRFIDラベル11の貼付位置が異なる。本構成によれば、各帳票紙片5a,5bを蛇腹状に折り重ねた状態で、一つ置きの帳票紙片5a,5bは前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなるものの、貼付位置31a,31bが異なることから、夫々に貼付したRFIDラベル11,11が上下方向で重ならない。そして、本実施例1の構成では、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる第一帳票紙片5a,5a間または第二帳票紙片5b,5b間に、三つの帳票紙片5a,5bが介在することから、上下方向で重なるRFIDラベル11,11間には四枚の基材(帳票紙片の紙材)が介在し、該介在する基材数が上述した従来構成に比して増加する。このように本実施例1の構成によれば、各帳票紙片5a,5bを蛇腹状に折り重ねた状態で、上下方向で重なるRFIDラベル11の数を少なくすることができ、各RFIDラベル11のICチップ15に上下方向から作用する圧力を低減できる。したがって、前記蛇腹状に折り重ねた場合に、各RFIDラベル11のICチップ15が前記圧力により破損してしまうことを、可及的に抑制できる。
さらに、本実施例1の構成では、各帳票紙片5a,5bに設定した貼付位置31a,31bが、前後方向の一方のミシン目4寄りに設定されていることから、蛇腹状に折り重ねた場合に、隣合う帳票紙片5a,5bが互いに前後逆向きとなる。そのため、複数のRFIDラベル11が上下方向で重なることによる局部的な厚み増加を抑制できる。さらに、これら貼付位置31aと貼付位置31bとが、前後方向で異なる位置に夫々設定されていることから、前記した局部的な厚み増加を一層抑制できる。このように局部的な厚み増加を抑制できることによって、保管時や運搬時などで、蛇腹状に折り重ねた状態の帳票連続紙1を複数積み重ねた場合に、崩れ難くなり、該保管や運搬の際の作業性を向上できる。」
「【図1】
[図:0001409184000001.jpg]
【図3】
[図:0001409184000002.jpg]
【図4】
[図:0001409184000003.jpg]
【図5】
[図:0001409184000004.jpg]
【図12】
[図:0001409184000005.jpg]
」
(2)甲1発明
ア.上記段落0025、0027の記載及び図1、5によると、上記【請求項1】の「帳票連続紙」に貼付される全ての「RFIDラベル」は、ICチップの配置が同じであると解されるところ、甲第1号証には、「ICチップの配置が同じRFIDラベルを用い」ることが記載されていると認められる。
イ.前記ア.と上記【請求項1】の記載からして、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられるものであって、ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを備えてなるRFIDラベルが、各帳票紙片の一側紙面に夫々貼付された帳票連続紙において、
ICチップの配置が同じRFIDラベルを用い、
前記帳票紙片に貼付されるRFIDラベルの、該帳票紙片に対する貼付位置が、一つ置きの帳票紙片相互で異なるようにし、
さらに一つ置きの帳票紙片相互で異なるRFIDラベルの貼付位置は、複数の帳票紙片を蛇腹状に折り重ねた状態で、少なくとも各RFIDラベルのICチップが重ならない位置であると共に、
隣接する一対の帳票紙片相互で、該帳票紙片に対するRFIDラベルの貼付位置を同一とし、さらに、前記一対の帳票紙片を、該一対の帳票紙片と前記RFIDラベルの貼付位置が相互に異なる他の一対の帳票紙片と連続させてなるものであることを特徴とする帳票連続紙。」
2.甲第2号証
(1)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
近年、非接触で情報の読み出しおよび書き込みが可能なICタグを製品に付して、市場で必要なさまざまな情報の管理を可能にすることが行われている。このようなICタグ製品は、例えば、書籍、運送、流通、荷物の取り扱い等の分野で利用されている。
【0003】
ところで、ICタグ製品を製造する際に用いられるインレットは、一般にアンテナ上にICチップ(例えば厚みが150μm~250μm)を実装した構成からなっている。このため、ICチップの部分が凸状に盛り上がった形状となっている。このため、従来のインレットを用いて枚葉状のICタグ製品を製造した場合、枚葉状のICタグ製品を積層した際、ICチップに対応する部分が局所的に突出して凹凸が形成されることとなる。このため、このような凹凸が原因となって、ICチップに局所荷重が加わり、ICチップが破損したりキズ等が生じたりするという問題がある。
・・(中略)・・
【0017】
図1および図2に示すように、本実施の形態による帯状インレット10は、帯状に延びる細長いインレット基材11と、インレット基材11上に長手方向に沿って等間隔に設けられた多数のアンテナコイル20と、各アンテナコイル20に実装されたICチップ12とを備えている。また、ICチップ12上に、ICチップ12を覆う表面保護層13が設けられている。
・・(中略)・・
【0020】
また、各アンテナコイル20は、ICタグ製品50(図6)となった場合に、ブースターアンテナ52と重なるブースターアンテナ対応部26と、ブースターアンテナ対応部26に隣接して設けられ、ブースターアンテナ52と重ならないブースターアンテナ非対応部27とからなっている(図1の左側のアンテナコイル20を参照)。この場合、アンテナコイル20のICチップ実装部22は、いずれもブースターアンテナ非対応部27に位置し、すなわちICチップ12がブースターアンテナ非対応部27に設けられることが好ましい。とりわけICチップ実装部22を、コイル部21の各辺のうち、ブースターアンテナ52から最も離れた端辺28上に配置することが更に好ましい。このようにすることにより、ICチップ12がブースターアンテナ52と重なることを防止し、ICチップ12がブースターアンテナ52と重なった場合に生じるインピーダンスの整合が取れなくなる不具合を防止している。
・・(中略)・・
【0049】
その後、各ICタグラベル40を離型紙31から分離して、紙等からなる製品用基材51に順次貼着することにより、図6に示すICタグ製品50が得られる。この際、ICタグラベル40は、ICタグラベルの連続体30に形成されたICタグラベル40の順番に従って、連続的に離型紙31から分離されて、各製品用基材51に対して貼着される。
【0050】
その後、このようにして作製された枚葉状のICタグ製品50は、図9に示すように、作製された順番に積層される。したがって、通常、ICタグラベルの連続体30に形成されたICタグラベル40の順番と、このようにして積層されたICタグ製品50におけるICタグラベル40の順番とが一致する。
【0051】
ところで、本実施の形態においては、一のアンテナコイル20上のICチップ12は、他のアンテナコイル20上のICチップ12とその実装位置が異なっている。とりわけ、本実施の形態においては、3つのアンテナコイル20によってアンテナコイルグループGが形成されており、一のグループG内においては、ICチップ12の実装位置が、各アンテナコイル20同士の間で互いに異なっている。このことにより、図9に示すように、ICタグ製品50を積層した際、少なくとも互いに隣接するICタグ製品50のICチップ12の位置が重なることがない。これにより、積層されたICタグ製品50表面に、局所的に凹凸が発生することを緩和することができる。この結果、ICチップ12に局所的に荷重が加わることによりICチップ12が破損したり、ICチップ12にキズが発生したりする不具合を防止することができる。
【0052】
以上説明したように本実施の形態によれば、一のアンテナコイル20上のICチップ12は、他のアンテナコイル20上のICチップ12とその実装位置が異なっている。このことにより、枚葉状のICタグ製品50を製造した後、このICタグ製品50を積層した際、ICチップ12に対応する部分が局所的に突出する現象を軽減することができる。これにより、ICチップ12に局所的に荷重が加わることを防止し、ICチップ12が破損したり、ICチップ12に傷が生じたりすることを軽減することができる。」
「【図1】
[図:0001409184000006.jpg]
【図9】
[図:0001409184000007.jpg]
」
(2)甲2技術
ア.上記段落0003、0049、0050の記載及び図9によると、甲第2号証には、「ICタグラベル40を、枚葉状の製品用基材51の同一の位置に貼着する」ことが記載されているといえる。
イ.上記段落0049ないし0052の記載及び図1によると、甲第2号証には、「ICタグラベル40におけるICチップ12の実装位置を複数設定することにより、ICタグ製品50におけるICチップ12の配置を周期的に相違させ、これにより、ICタグ製品50を積層した際、ICチップ12に対応する部分が局所的に突出する現象を軽減する」ことが記載されているといえる。
ウ.上記ア、イのとおりであるから、甲第2号証には、次の公知技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
「ICタグラベル40を、枚葉状の製品用基材51の同一の位置に貼着するとともに、各ICタグラベル40におけるICチップ12の実装位置を複数設定することにより、ICタグ製品50におけるICチップ12の配置を周期的に相違させ、これにより、ICタグ製品50を積層した際、ICチップ12に対応する部分が局所的に突出する現象を軽減する。」
3.甲第3号証
(1)甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子を有するタグテープ、このタグテープを供給可能な無線タグカートリッジ、及びこの無線タグカートリッジを用いてタグラベルを作成するタグラベル作成装置に関する。
・・(中略)・・
【0008】
本発明の目的は、異形形状を抑制して形状の均一化を図れるとともに、通信安定性を向上できるタグテープ、このタグテープを備えた無線タグカートリッジ、及びこのタグテープを用いるタグラベル作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとをそれぞれ有する複数の無線タグ回路素子を、テープ長手方向に沿って配列したタグテープであって、前記複数の無線タグ回路素子は、前記IC回路部が、テープ幅方向一端側の第1端部領域に位置するように配置された少なくとも1つの第1無線タグ回路素子と、前記IC回路部が、テープ幅方向他端側の第2端部領域に位置するように配置された少なくとも1つの第2無線タグ回路素子とを含み、前記第1無線タグ回路素子のテープ幅方向における中心線と、前記第2無線タグ回路素子のテープ幅方向における中心線とが、同一直線上となるように配置したことを特徴とする。
【0010】
IC回路部とタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子をタグテープに設ける場合、タグアンテナの厚み方向寸法は小さいのに対し、IC回路部の厚み方向寸法は比較的大きい。したがって、タグテープのうちIC回路部が存在する部位は、他の部位よりもテープ全体厚みが局所的に大きくなり膨らんだ形状となる。この結果、テープ幅方向一端側にIC回路部が揃うようにすべての無線タグ回路素子を配置すると、タグテープの全体にわたって当該テープ幅方向一端側が膨らんだ不均一な形状(いわゆる異形形状)となる。特にロール形状に巻回した場合にはその傾向が顕著となる。
・・(中略)・・
【0012】
このとき、第1無線タグ回路素子と第2無線タグ回路素子とでIC回路部の位置はテープ幅方向に逆側となるが、それら第1無線タグ回路素子と第2無線タグ回路素子とはテープ幅方向中心線が同一直線上にある。したがって、タグラベル作成装置側のアンテナから無線タグ回路素子のタグアンテナへ通信を行うときの、アンテナ同士の相対位置の変動が少なく、通信安定性を向上することができる。
・・(中略)・・
【0015】
第3発明は、上記第2発明において、前記第1及び第2無線タグ回路素子は、互いに同一形状を備えており、前記第2無線タグ回路素子は、前記第1無線タグ回路素子をテープ面に沿って180度回転させた態様で配置されていることを特徴とする。
【0016】
同一形状の無線タグ回路素子を用い、テープ面に沿ってある向きで配置して第1無線タグ回路素子とし、テープ面に沿って180度回転させて配置したものを第2無線タグ回路素子とする。このように、同一形状の共通の無線タグ回路素子を配置向きを逆にして配置することで第1及び第2無線タグ回路素子の配置を実現し、テープ全体の異形形状を抑制することができる。
・・(中略)・・
【0086】
また、図示する例においては、いずれのアンテナ基材90においても、保護部材72はテープ搬送方向に対して各アンテナ基材90の中央位置に配置されている。すなわち、全てのアンテナ基材90自体はそれぞれ各部の寸法及び配置構造が実質的に一致するほぼ同一形状のものであって、タグテープ101内における保護部材72のテープ幅方向の配置が逆になっている(つまりテープ面に沿って交互に180°回転させて向きを変えている)だけとなっている。」
「【図7】
[図:0001409184000008.jpg]
」
(2)甲3技術
甲第3号証の上記記載及び図面によると、甲第3号証には、次の公知技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。
「情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子を有するタグテープにおいて、同一構成の無線タグ回路素子を、交互に180゜回転させて配置することで、異形形状を抑制して形状の均一化を図れるとともに、通信安定性を向上できる。」
第5.当審の判断
1.申立理由1(特許法第29条第2項)について
(1)本件特許発明1について
ア.対比
(ア)甲1発明の「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる」「帳票連続紙」は、本件特許発明1の「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる帳票連続紙」に相当する。
(イ)甲1発明の「ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを備えてなるRFIDラベルが、各帳票紙片の一側紙面に夫々貼付」されることは、本件特許発明1の「ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを備えてなるRFIDラベルが、各帳票紙片の一方の紙面にそれぞれ貼付」されることに相当する。
(ウ)甲1発明において、「前記帳票紙片に貼付されるRFIDラベルの、該帳票紙片に対する貼付位置」が異なれば、帳票紙片上でのICチップの配置も異なることは明らかであるから、甲1発明の「隣接する一対の帳票紙片相互で、該帳票紙片に対するRFIDラベルの貼付位置を同一とし、さらに、前記一対の帳票紙片を、該一対の帳票紙片と前記RFIDラベルの貼付位置が相互に異なる他の一対の帳票紙片と連続」させることは、本件特許発明1の「隣接する一対の帳票紙片相互で、該帳票紙片の一方の紙面における前記ICチップの配置を同一とし、さらに、前記一対の帳票紙片を、該一対の帳票紙片と前記帳票連続紙の長手方向における前記ICチップの配置が相互に異なる他の一対の帳票紙片と連続」させることに相当する。
(エ)上記のとおりであるから、本件特許発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、また、相違する。
【一致点】
「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる帳票連続紙であって、
隣接する一対の帳票紙片相互で、該帳票紙片の一方の紙面における前記ICチップの配置を同一とし、さらに、前記一対の帳票紙片を、該一対の帳票紙片と前記帳票連続紙の長手方向における前記ICチップの配置が相互に異なる他の一対の帳票紙片と連続させてなるものであることを特徴とする帳票連続紙。」
【相違点】
本件特許発明1は、「全ての帳票紙片の一方の紙面において、前記RFIDラベルが同一の位置に貼付され」るのに対して、甲1発明は、「前記帳票紙片に貼付されるRFIDラベルの、該帳票紙片に対する貼付位置が、一つ置きの帳票紙片相互で異なる」点で相違する。
イ.判断
上記相違点について検討する。
甲1発明は、甲第1号証の段落0007、0028、0039の記載によると、蛇腹状に折り重ねた状態でRFIDラベルのICチップが受ける圧力を低減し、そのICチップの破損を抑制する帳票連続紙を提案することを課題とするものであり、当該課題を解決するための手段として、「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ね」たとき、「ICチップの配置が同じRFIDラベル」を用いて、「前記帳票紙片に貼付されるRFIDラベルの、該帳票紙片に対する貼付位置が、一つ置きの帳票紙片相互で異なる」ようにする構成を備えるものと認められる。
また、甲第1号証の段落0039の記載によると、甲1発明の作用効果の1つは、各帳票紙片5a、5bを蛇腹状に折り重ねた状態で、一つ置きの帳票紙片5a、5bは前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなるものの、貼付位置31a、31bが異なることから、夫々に貼付したRFIDラベル11、11が上下方向で重ならず、また、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる第一帳票紙片5a、5a間または第二帳票紙片5b、5b間に、三つの帳票紙片5a、5bが介在することから、上下方向で重なるRFIDラベル11、11間には四枚の基材(帳票紙片の紙材)が介在し、該介在する基材数が上述した従来構成に比して増加することにより、各帳票紙片5a、5bを蛇腹状に折り重ねた状態で、上下方向で重なるRFIDラベル11の数を少なくすることができ、各RFIDラベル11のICチップ15に上下方向から作用する圧力を低減できるとともに、前記蛇腹状に折り重ねた場合に、各RFIDラベル11のICチップ15が前記圧力により破損してしまうことを、可及的に抑制できる、というものである。
一方、甲2技術は、「ICタグ製品50を積層した際、ICチップ12に対応する部分が局所的に突出する現象を軽減する」ために「各ICタグラベル40におけるICチップ12の実装位置を複数設定する」ものであり、また、甲3技術は、「無線タグ回路素子を有するタグテープ」において「異形形状を抑制して形状の均一化を図れるとともに、通信安定性を向上」するために、「同一構成の無線タグ回路素子を、交互に180゜回転させて配置する」ものといえるところ、甲2技術及び甲3技術のいずれも、「帳票紙片」に係るものでも、「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ね」られる「帳票連続紙」に係るものでもないため、甲1発明と、甲2技術又は甲3技術とは、同一の技術分野に属するものとはいえず、甲1発明に甲2技術又は甲3技術を適用する動機付けは認められない。
また、本件特許発明1は、「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる帳票連続紙」であることを前提に、相違点に係る「全ての帳票紙片の一方の紙面において、前記RFIDラベルが同一の位置に貼付され」るという構成を備えるものであるが、甲2技術及び甲3技術は、前述のとおり、「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる帳票連続紙」に係るものではないため、相違点に係る「全ての帳票紙片の一方の紙面において、前記RFIDラベルが同一の位置に貼付され」るとの構成はおろか、「RFIDラベル」を「帳票紙片」の紙面に貼付する位置を何ら具体的に開示するものではない。すなわち、甲第2号証の「製品用基材51」は、「ICタグラベル40」を貼り付けて「IDタグ製品50」とするための基材にすぎず、「ICタグ製品50」又は「製品用基材51」の一面が「帳票」として使用されることは甲第2号証には記載も示唆もない。また、甲第2号証の「IDタグ製品50」が本件特許発明1の「RFIDラベル」に相当し、当該「IDタグ製品50」が「帳票紙片」又は「帳票連続紙」の紙面に貼付して使用されることが想定されるとしても、甲第2号証はその貼付位置を具体的に特定するものではない。同様に、甲第3号証も、「帳票」について何ら記載又は示唆するものではない。
よって、甲1発明に甲2技術又は甲3技術を適用しても本件特許発明1の構成には到達しない。
さらに、仮に甲1発明に、相違点に係る本件特許発明1の「全ての帳票紙片の一方の紙面において、前記RFIDラベルが同一の位置に貼付され」るという構成を採用した場合には、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる第一帳票紙片5a、5a間または第二帳票紙片5b、5b間には、甲1発明における従来技術(甲第1号証の【図12】)と同様に、2枚の基材(帳票紙片の紙材)しか介在しない構成となるため、甲1発明が奏する「前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる第一帳票紙片5a、5a間または第二帳票紙片5b、5b間に、三つの帳票紙片5a、5bが介在することから、上下方向で重なるRFIDラベル11、11間には四枚の基材(帳票紙片の紙材)が介在し、該介在する基材数が上述した従来構成に比して増加する」との作用効果が失われることになる。また、甲第2号証及び甲第3号証には、当該作用効果を捨象してまで甲2技術又は甲3技術を適用することを示唆する記載はない。よって、甲1発明に甲2技術又は甲3技術を適用することには技術的な阻害要因があるといわざるを得ない。
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明、及び、甲2技術又は甲3技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件特許発明2について
上記(1)で説示したとおり、本件特許発明1は、甲1発明、及び、甲2技術又は甲3技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て含むものであるから、本件特許発明1と同様の理由により、甲1発明、及び、甲2技術又は甲3技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないといえる。
したがって、本件特許発明2は、甲1発明、及び、甲2技術又は甲3技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)申立人の主張について
申立人は、異議申立書において、次の主張をしている。
「甲1号発明、及び甲2号証に記載の発明は、帳票紙片の積層時に、ICチップの配設部位の膨らみが重なり合うことによる不具合を防止する、という点で課題が共通しています。このため、甲1号発明に、甲2号証に記載の発明を採用し、甲1号発明に係る帳票連続紙1において、RFIDラベル11を全ての帳票紙片5a,5bの同一の位置に貼付しつつ、ICチップ15の実装位置の相違する複数種類のRFIDラベル11を使用して、本件特許発明1のように構成することは、当業者ならば容易になし得ることです。
また、甲1号発明、及び甲3号証に記載の発明は、ICチップの配設部位の膨らみが重なり合うことによる不具合を防止する、という点で課題が共通しています。このため、甲1号発明に、甲3号証に記載の発明を採用し、甲1号発明に係る帳票連続紙1において、全てのRFIDラベル11を前後左右にずらすことなく貼付するとともに、何れか一方が何れか他方に対して180度回転した状態で貼付することで、本件特許発明1のように構成することは、当業者ならば容易になし得ることです。」(特許異議申立書第10頁)
上記申立人の主張について検討する。
上記主張によると、申立人は、甲1発明と甲2技術及び甲3技術とが同じ技術分野に属していることを前提に、甲1発明に、甲2技術又は甲3技術を適用して各本件特許発明とすることは容易である旨主張していると認められるものの、上記(1)イで説示したとおり、甲2及び甲3に記載のものはそもそも「帳票紙片」に係るものでも「連続する複数の帳票紙片を備え、各帳票紙片が蛇腹状に折り重ね」られる「帳票連続紙」に係るものではないため、属する技術分野が異なるというべきであるところ、上記主張はその前提において誤りである。また、上記(1)イで説示したとおり、甲1発明に甲2技術又は甲3技術を適用しても本件特許発明1及び2には到達しないし、上記相違点に係る構成を採用することには技術的な阻害要因がある。
したがって、本件特許発明1は、甲1発明、及び、甲2技術又は甲3技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、上記申立人の主張は認められない。
(4)まとめ
上記(1)ないし(3)のとおりであるから、上記第3.1.(1)の申立理由1には理由がない。
2.申立理由2(特許法第17条の2第3項)について
(1)当初明細書等の記載事項
本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、次の記載及び図面がある。
「【0021】
本実施形態の帳票連続紙10では、図1および図2に示すように、隣接する一対の第1帳票紙片20A,20A相互で、第1帳票紙片20A,20Aの一方の紙面20aにおけるICチップ32の配置を同一とする。さらに、本実施形態の帳票連続紙10は、一対の第1帳票紙片20A,20Aを、その一対の第1帳票紙片20A,20AとICチップ32の配置が相互に異なる一対の第2帳票紙片20B,20Bと連続させてなるものである。すなわち、図1および図2に示すように、一対の第1帳票紙片20A,20Aでは、一方の紙面20aにて、第1帳票紙片20A,20Aの一方の端部(一方の短辺20b(一方のミシン目21)側の端部)において、第1帳票紙片20Aの一方の短辺20b(一方のミシン目21)側にICチップ32が配置されている。また、一対の第2帳票紙片20B,20Bでは、一方の紙面20aにて、第2帳票紙片20B,20Bの一方の端部(一方の短辺20b(一方のミシン目21)側の端部)において、第2帳票紙片20Bの他方の短辺20c(他方のミシン目21)側にICチップ32が配置されている。これに伴って、第1帳票紙片20Aと第2帳票紙片20Bでは、アンテナ33の向きが互いに異なっている(逆向きとなっている)。
・・(中略)・・
【0027】
本実施形態の帳票連続紙10は、帳票連続紙10を構成する長尺帯状の矩形紙に、一定の間隔でミシン目21を形成し、予め製造されたRFIDラベル30を、貼付位置41A,41Bにそれぞれ貼付することによって製造することができる。すなわち、RFIDラベル30を貼付位置41A,41Bに貼り付ける工程以外は、従前の製造工程を適用可能である。そして、RFIDラベル30を貼付する工程では、所定の貼付装置を用い、前記貼付位置41A,41Bをセットすることにより実施可能である。このように、本実施形態の帳票連続紙10は、製造に要するコスト上昇を抑制しつつ、比較的容易かつ安定して製造することが可能である。
」
「【図1】
[図:0001409184000009.jpg]
【図2】
[図:0001409184000010.jpg]
」
(2)当初明細書等に記載された「RFIDラベル」の構造について
上記段落0021の記載及び図1、2によると、「一対の帳票紙片における前記RFIDラベル」と、「他の一対の帳票紙片における前記RFIDラベル」とは、「何れか一方が何れか他方に対して180度回転した状態で貼付されている」ことが記載されているといえる。
そして、本願優先日前の技術常識によると、帳票連続紙等において、異なる種類のRFIDラベルを用いる場合には、同一のRFIDラベルを用いる場合と比べて、製造コストは上昇するものであるところ、上記段落0027の記載によると、本件特許発明2の解決しようとする課題には、「製造に要するコスト上昇を抑制しつつ、比較的容易かつ安定して製造すること」が含まれていると認められることからすると、当初明細書等に記載された「一対の帳票紙片における前記RFIDラベル」と「他の一対の帳票紙片における前記RFIDラベル」とは、同じ構造であって、何れか一方が何れか他方に対して180度回転した状態で貼付されているものであると解するのが合理的である。
したがって、当初明細書等には、「前記RFIDラベルは、全て同じ構成であり、前記一対の帳票紙片における前記RFIDラベルと、前記他の一対の帳票紙片における前記RFIDラベルとは、何れか一方が何れか他方に対して180度回転した状態で貼付されている」ことが記載されていると認められる。
よって、令和5年5月16日付けの手続補正書による補正は、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内でしたものである。
(3)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、次の主張をしている。
「令和5年5月16日付けの手続補正書にて、特許請求の範囲に追加された請求項2の記載事項は、当初明細書等に記載されたものでなく、また、当初明細書等の記載事項から直接的かつ一義的に導き出せるものでもありません。
・・(中略)・・
・・本件の図2に開示された逆向きのアンテナ33は、(イ)同一構成のRFIDラベルを180度回転させて貼付することによっても実現可能ですが、(ロ)逆向きのアンテナを備えた異なる構成のRFIDラベルを貼付することによっても実現可能です。本件の当初明細書等の記載からは、(イ)と(ロ)のどちらによって逆向きのアンテナ33が実現されているか特定できず、(イ)と(ロ)の二通りの解釈が可能であるため、(イ)の構成を一義的に導くことはできないと考えます。したがって、(イ)の構成を請求項2に追加した上記補正は、当初明細書等の記載事項の範囲内でなされたものではありません。」(特許異議申立書第11頁、第12頁)
上記申立人の主張について検討すると、上記(2)で説示したとおりであるから、当初明細書等には、「前記RFIDラベルは、全て同じ構成であり、前記一対の帳票紙片における前記RFIDラベルと、前記他の一対の帳票紙片における前記RFIDラベルとは、何れか一方が何れか他方に対して180度回転した状態で貼付されている」ことが記載されていると認められる。
なお、仮に、申立人が主張するように、当初明細書等の記載が「(イ)と(ロ)の二通りの解釈が可能である」場合には、当初明細書等の記載には、上記(イ)と上記(ロ)という二通りの選択的事項が記載されていることになり、本件請求項2に係る事項は、当初明細書等に記載されている当該選択的事項の一方である(イ)を特定したものにすぎない。
したがって、令和5年5月16日付けの手続補正書による補正は、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内でしたものである。
よって、上記申立人の主張は認められない。
(4)まとめ
上記(1)ないし(3)のとおりであるから、上記第3.1.(2)の申立理由2には理由がない。
第6.むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701366