特許異議申立
2023-700434
電子インタフェースを備えた電子カード
- 審判番号
- 2023-700434
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-156762
- 登録番号
- 7162576
- 請求日
- 2023年04月26日
- 審決日
- 2024年04月25日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】アップル インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
- 【異議申立人】真角 侑子
- 審判長/審判官
- 審判長 須田 勝巳
- 審判官 山崎 慎一
- 審判官 吉田 美彦
- 分類
- P1651.55 -YAA(G06K) / P1651.537-YAA(G06K) / P1651.121-YAA(G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第36条、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第3項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7162576号発明「電子インタフェースを備えた電子カード」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7162576号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2~6〕、〔15〕について訂正することを認める。
特許第7162576号の請求項1、7~18に係る特許を維持する。
特許第7162576号の請求項2~6についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7162576号の請求項1~18に係る特許についての出願は、令和1年8月29日(パリ条約による優先権主張 2018年9月27日(以下、「優先日」という。)、2019年3月6日 ともに米国)の出願であって、令和4年10月20日にその特許権の設定登録がされ、同年10月28日に特許掲載公報が発行されたものである。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 4月26日 :特許異議申立人真角侑子(以下「申立人」と
いう。)による請求項1~18に係る特許に
対する特許異議の申立て
令和5年 7月21日付け:取消理由通知書
令和5年10月24日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和5年11月14日付け:訂正拒絶理由通知書
令和5年12月26日 :特許権者による意見書及び手続補正書の提出
令和6年 1月16日付け:訂正請求があった旨の通知書(特許法第12
0条の5第5項)
令和6年 2月15日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年10月24日に提出された訂正請求書は、令和5年12月26日提出の手続補正書によって補正された。以下、令和5年12月26日提出の手続補正書によって補正された訂正請求書を、「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を、「本件訂正」という。
本件訂正は、特許第7162576号(以下、「本件特許」という。)の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~18について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項1-1~1-5及び訂正事項2のとおりである(なお、下線は訂正部分を示す。)。
(1)訂正事項1-1
本件訂正前の請求項2を削除する。
(2)訂正事項1-2
本件訂正前の請求項3を削除する。
(3)訂正事項1-3
本件訂正前の請求項4を削除する。
(4)訂正事項1-4
本件訂正前の請求項5を削除する。
(5)訂正事項1-5
本件訂正前の請求項6を削除する。
(6)訂正事項2
本件訂正前の請求項15に「前記第2のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する」とあるのを、「前記第1のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する」と訂正する。
2 訂正の適否についての判断
(1)一群の請求項2~6について
ア 一群の請求項
本件訂正前の請求項2~6は、訂正前の請求項3は訂正前の請求項2を、訂正前の請求項4~6は、訂正前の請求項3をそれぞれ引用しているから、本件訂正前の請求項2~6に対応する訂正後の請求項〔2~6〕は、一群の請求項である。
そして、本件訂正請求は、一群の請求項ごとにされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。
イ 訂正事項1-1~1-5について
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-1~1-5は、それぞれ訂正前の請求項2~6を削除するというものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に定める特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1-1~1-5は、それぞれ訂正前の請求項2~6を削除するというものであるから、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条6項に定める実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにはあたらない。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-1~1-5は、それぞれ訂正前の請求項2~6を削除するというものであるから、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項に定める、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと認める。
(2)請求項15について
訂正事項2は、訂正前の請求項15についてするものであり、特許法120条の5第3項の規定に適合する。
ア 訂正事項2について
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項15における「前記第2のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する」との記載が、「前記第1のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する」の誤記であることを訂正するものであって、特許法120条の5第2項ただし書2号に定める誤記又は誤訳の訂正を目的とするものと認める。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項15における誤記を訂正するものであるから、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条6項に定める実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにはあたらない。
(ウ)願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項15の誤記を訂正するものであるから、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項に定める、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと認める。
(3)独立特許要件について
本件においては、本件訂正前の全ての請求項について特許異議の申立てがされているので、本件訂正に関して、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(4)申立人の意見書における主張について
申立人は、令和6年2月15日付け意見書において、本件訂正の適否について、特に意見を述べていない。
(5)むすび
以上のとおり、本件訂正に係る訂正事項1-1~1-5及び訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書1号ないし2号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔2-6〕、〔15〕について、本件訂正請求書による本件訂正を認める。
第3 訂正後の本件特許発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正により訂正された請求項1~18に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明18」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~18に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、各構成要件の前に付した、「1A」等の記号は、説明のために当審で付加したものであり、それぞれ、「構成要件1A」などということがある。
1 本件特許発明1
1A:電子IDカードであって、
1B:第1の面及び第2の面を有し、前記第1の面に延在する第1の凹部を
画定する金属基板と、
1C:前記金属基板の前記第2の面に沿って配設された強磁性膜と、
1D:前記第1の凹部内に少なくとも部分的に配設された集積回路と、
1E:前記金属基板上に配設された第1のコーティング層であって、
前記金属基板の前記第1の面に延在し、ポリマーと前記ポリマー内
に分散された顔料とを含む不透明な第1の層と、
前記不透明な第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であ
って、
前記第1の層より高い硬度を有し、
前記電子IDカードの外面を画定し、
0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記
第2の層と、
を含む第1のコーティング層と、
1F:前記第1のコーティング層を通って前記金属基板内に延在する第2の
凹部によって少なくとも部分的に画定されるレーザ形成レリーフ特徴
部であって、
前記不透明な第1の層が前記第2の凹部の壁の第1の部分を画定し
、
前記第2の層が前記第2の凹部の前記壁の第2の部分を画定し、
前記金属基板が前記第2の凹部の前記壁の第3の部分を画定する、
レーザ形成レリーフ特徴部と、
を備える、電子IDカード。
2 本件特許発明2
(削除)
3 本件特許発明3
(削除)
4 本件特許発明4
(削除)
5 本件特許発明5
(削除)
6 本件特許発明6
(削除)
7 本件特許発明7
前記電子IDカードが、前記第1の面を囲む第1のセットの面取り縁部を画定し、
前記電子IDカードが、前記第2の面を囲む第2のセットの面取り縁部を画定する、請求項1に記載の電子IDカード。
8 本件特許発明8
前記強磁性膜が裏張り層に取り付けられ、
第1の面取り縁部が、少なくとも部分的に、前記強磁性膜及び前記裏張り層内に形成された傾斜縁部によって画定され、
前記第1の面取り縁部が、前記強磁性膜と前記裏張り層の前記傾斜縁部と一致する、請求項7に記載の電子IDカード。
9 本件特許発明9
前記レーザ形成レリーフ特徴部が、
前記第2の凹部の底部を画定する凹状マーキング特徴部によって更に画定される、
請求項1に記載の電子IDカード。
10 本件特許発明10
前記電子IDカードが4つの角を持つ矩形であり、各角が丸みを帯びた形状を有し、
前記丸みを帯びた形状が、不均一な曲率半径を持つスプライン形状である、
請求項1に記載の電子IDカード。
11 本件特許発明11
前記金属基板上に配設された第2のコーティング層であって、
前記金属基板の前記第2の面に延在し、前記ポリマーと前記ポリマー内に分散された前記顔料とを含む不透明な第3の層と、
前記不透明な第3の層に延在する第4の層と、
を含む第2のコーティング層をさらに備える、請求項1に記載の電子IDカード。
12 本件特許発明12
前記第2のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する、請求項11に記載の電子IDカード。
13 本件特許発明13
13A:電子IDカードであって、
13B:金属層を含む基板であって、
前記基板の第1の面に形成された段付き領域と、
前記基板の第2の面に形成された第1の凹部と、を画定し、前記第
2の面は前記第1の面の反対にある基板と、
13C:前記段付き領域内に少なくとも部分的に配設された強磁性膜と、
13D:前記第1の凹部内に少なくとも部分的に配設された集積回路と、
13E:前記基板上に配設されたコーティング層であって、
前記基板の前記第1の面又は前記基板の前記第2の面の少なくとも
1つに延在し、ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含
む不透明な第1の層と、
前記不透明な第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であ
って、
前記第1の層より高い硬度を有し、
前記電子IDカードの外面を画定し、
0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記
第2の層と、
を含むコーティング層と、
13F:前記コーティング層を通って前記基板内に延在する第2の凹部によ
って少なくとも部分的に画定されるレーザ形成レリーフ特徴部であ
って、
前記不透明な第1の層が前記第2の凹部の壁の第1の部分を画定
し、
前記第2の層が前記第2の凹部の前記壁の第2の部分を画定し、
前記基板が前記第2の凹部の前記壁の第3の部分を画定する、レ
ーザ形成レリーフ特徴部と、
を備える、電子IDカード。
14 本件特許発明14
前記コーティング層が第1のコーティング層であり、
前記第1のコーティング層が前記基板の前記第1の面に延在し、
前記電子IDカードが第2のコーティング層をさらに含み、前記第2のコーティング層が
前記基板の前記第2の面に延在し、前記ポリマーと前記ポリマー内に分散された前記顔料とを含む不透明な第3の層と、
前記不透明な第3の層に延在し、前記透明ポリマーを含む第4の層と、
を含む、請求項13に記載の電子IDカード。
15 本件特許発明15
前記第1のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する、請求項14に記載の電子IDカード。
16 本件特許発明16
前記段付き領域が前記基板の外側基板縁部に延在する、請求項13に記載の電子IDカード。
17 本件特許発明17
前記基板がポリマーシートに結合したチタンシートから形成され、
前記チタンシートと前記ポリマーシートを合わせた厚さは1mm未満である、
請求項13に記載の電子IDカード。
18 本件特許発明18
前記段付き領域が前記基板の前記第1の面内に形成されたレーザ研磨領域であり、
前記第1の凹部が前記基板の前記第2の面内に形成されたレーザ研磨領域である、請求項13に記載の電子IDカード。
第4 異議申立の概要
申立人は、本件特許の請求項1~18に係る発明は、以下の1~3に示す理由により取り消すべきものである旨、また、以下の証拠(甲第1号証~甲第16号証)を提出し、本件特許の請求項1~18に係る発明は、以下の4に示す理由により、取り消すべきものである旨主張する。
1 特許法17条の2第3項
本件訂正前特許発明1~18に係る特許は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであり、同法113条1号の規定により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由1」という。
2 特許法36条6項1号
(1)理由2-1
本件訂正前の請求項1、13の「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。
本件訂正前の請求項1、13の「不透明な第1の層」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。
本件訂正前の請求項1又は請求項13を直接または間接的に引用する本件訂正前の請求項2~12、請求項14~18も同様であり、したがって本件訂正前の本件特許発明1~18についての特許は、同法36条6項1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由2-1」という。
(2)理由2-2
本件訂正前の請求項2の「前記不透明な第1の層の前記ポリマーが、前記ウレタンプライマにより前記金属基板に接着されたウレタンを含み」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。
本件訂正前の請求項2を直接または間接的に引用する本件訂正前の請求項3~6も同様であり、したがって本件訂正前の本件特許発明2~6についての特許は、同法36条6項1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由2-2」という。
(3)理由2-3
本件訂正前の請求項5の「前記接触プレートが、前記端子電極アレイを囲む導電層を更に含む」との規定は、当業者が本件特許明細書の記載から発明の課題が解決できることを認識できるものではなく、本件訂正前の請求項5は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。
したがって本件訂正前の本件特許発明5についての特許は、同法36条6項1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由2-3」という。
(4)理由2-4
本件訂正前の請求項6の「前記接触プレートが、誘電材料から形成されたプレート基板を含み」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。
したがって本件訂正前の本件特許発明6についての特許は、同法36条6項1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由2-4」という。
3 特許法36条6項2号
(1)理由3-1
本件訂正前の請求項1、13の「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さ」の意義が不明確である。
本件訂正前の請求項1、13の「不透明な第1の層」の意義が不明確である。
本件訂正前の請求項1、13の「前記第1の層より高い硬度」の意義が不明確である。
本件訂正前の請求項1又は請求項13を直接または間接的に引用する本件訂正前の請求項2~12、請求項14~18も同様であり、したがって本件訂正前の本件特許発明1~18についての特許は、同法36条6項2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由3-1」という。
(2)理由3-2
本件訂正前の請求項2の「前記不透明な第1の層の前記ポリマーが、前記ウレタンプライマにより前記金属基板に接着されたウレタンを含み」の意義が不明確である。
本件訂正前の請求項2を直接または間接的に引用する本件訂正前の請求項3~6も同様であり、したがって本件訂正前の本件特許発明2~6についての特許は、同法36条6項2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由3-2」という。
(3)理由3-3
本件訂正前の請求項6の「誘電材料」の意義が不明確である。
したがって本件訂正前の本件特許発明6についての特許は、同法36条6項2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由3-3」という。
(4)理由3-4
本件訂正前の請求項15の「前記第2のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する」の意義が不明確である
したがって本件訂正前の本件特許発明15についての特許は、同法36条6項2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由3-4」という。
4 特許法29条2項
(1)理由4-1(甲第1号証に基づく進歩性欠如)
本件特許の請求項1~18に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証~甲第16号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~18に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるので、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由4-1」という。
(2)理由4-2(甲第1号証に基づく進歩性欠如)
本件特許の請求項5に係る発明は、甲第1号証、並びに甲第14号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるので、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。
以下、この特許異議申立理由を、「理由4-2」という。
(証拠)
甲第1号証 韓国登録特許第10-1699412号公報
甲第2号証 特開2000-94874号公報
甲第3号証 特開2005-234829号公報
甲第4号証 特開平11-161758号公報
甲第5号証 特開2001-150849号公報
甲第6号証 特開2004-223764号公報
甲第7号証 特表2006-512686号公報
甲第8号証 特表2017-525601号公報
甲第9号証 韓国公開特許第10-2018-0022000号公報
甲第10号証 特開2002-137579号公報
甲第11号証 特開2003-58851号公報
甲第12号証 特開平11-78313号公報
甲第13号証 特開2015-201061号公報
甲第14号証 特開平6-183189号公報
甲第15号証 特開2018-98415号公報
甲第16号証 特表2017-537417号公報
以降において、上記甲第1号証~甲第16号証の各々を、「甲1」~「甲16」という場合がある。
第5 取消理由通知の概要
訂正前特許請求の範囲の請求項1~18に対して、当審が通知した、令和5年7月21日付けの取消理由通知(以下、「取消理由通知」という。)の要旨は、次のとおりである。
1 サポート要件について
本件請求項1~18に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(1)訂正前の請求項1~18に対して
ア 本件特許の請求項1には、「前記金属基板上に配設された第1のコーティング層であって、/前記金属基板の前記第1の面に延在し、ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な第1の層と、/前記不透明な第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であって、/前記第1の層より高い硬度を有し、/前記電子IDカードの外面を画定し、/0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層と、/を含む第1のコーティング層」(以下、「引用記載1」という。なお、「/」は、改行を示すものとして当審で付加したものであり、以下同様である。)と記載されているところ、引用記載1のうち、「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」(以下、「引用記載2」という。)に直接対応する記載が、本件特許明細書の発明の詳細な説明にみあたらない。
してみれば、引用記載2と明細書記載事項1との間には、これらが関連するものであること以上に、直接、引用記載2の意味する事項が記載されているとはいえず、引用記載2を含む、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本件特許発明1」といい、請求項2~18に記載された発明をそれぞれ、「本件特許発明2」~「本件特許発明18」などという。)は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
本件特許発明1を直接又は間接的に引用する、本件特許発明2~12についても同様である。
さらに、同じく引用記載2を含む本件特許発明13についても同様であり、本件特許発明13を直接又は間接的に引用する、本件特許発明14~18についても同様である。
イ 本件特許の請求項1には、上記引用記載1が記載されているところ、引用記載1のうち、「ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な第1の層」(以下、「引用記載3」という。)に直接対応する記載が、本件特許明細書の発明の詳細な説明にみあたらない。
引用記載3を含む本件特許発明1は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
本件特許発明1を直接又は間接的に引用する、本件特許発明2~12についても同様である。
さらに、同じく引用記載3を含む本件特許発明13についても同様であり、本件特許発明13を直接又は間接的に引用する、本件特許発明14~18についても同様である。
(2)訂正前の請求項2~6に対して
本件特許の請求項2には、「前記不透明な第1の層の前記ポリマーが、前記ウレタンプライマにより前記金属基板に接着されたウレタンを含み」(以下、「引用記載4」という。)と記載されているところ、引用記載4に直接対応する記載が、本件特許明細書の発明の詳細な説明にみあたらない。
してみれば、引用記載4を含む本件特許発明2は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
本件特許発明2を直接又は間接的に引用する、本件特許発明3~6についても同様である。
2 明確性について
本件請求項1~18にかかる特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(1)訂正前の請求項1~18に対して
引用記載3の意味するところは不明確である。
すなわち、引用記載3において、「不透明な」とは、どの程度の不透明さをいうものか、不明確である。
また、ポリマー内に分散される顔料の粒度分布や含有量等については、本件特許明細書の記載を参酌しても、明らかでなく、本件特許発明1は不明確である。
本件特許発明1を直接又は間接的に引用する、本件特許発明2~12についても同様である。
さらに、同じく引用記載3を含む本件特許発明13についても同様であり、本件特許発明13を直接又は間接的に引用する、本件特許発明14~18についても同様である。
(2)訂正前の請求項2~6に対して
引用記載4の意味するところは不明確である。
すなわち、引用記載4のうち、特に「第1の層の前記ポリマーが、…中略…ウレタンを含」むとは、具体的にどのようなことを意味するものか、本件特許明細書の記載を参酌しても、明らかでなく、本件特許発明2は不明確である。
本件特許発明2を直接又は間接的に引用する、本件特許発明3~6についても同様である。
(3)訂正前の請求項15に対して
本件特許の請求項15には、「前記第2のコーティング層の少なくとも一部が前記強磁性膜に延在する」(以下、「引用記載5」という。)と記載されているところ、引用記載5の「第2のコーティング層」及び「強磁性膜」が、互いに反対にある「第1の面」及び「第2の面」のいずれにあることを意味するものか、不明確といわざるを得ない。
したがって、引用記載5を含む本件特許発明15は、不明確である。
第6 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)サポート要件について
ア 本件特許発明1~18について
(ア)「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」について
a 本件特許明細書の記載事項
本件特許明細書には、次の記載が認められる。(下線は当審で付加。以下同様。)
「【0040】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、二部コーティング又は多層コーティングでコーティングされた金属基板を有する電子カードに関する。コーティング層(1つ以上の個別の層又は部品で構成されている)は、電子カードにセラミック材料の外観及び/又は触感を与えるように特別に配合され得る。例えば、コーティング層は、添加物の特定の配合と、触覚にセラミックのような触感を与える表面粗さとを有し得る。コーティング層はまた、電子カードに均一な外観を与えるために使用され、カードの様々な機能要素を隠し得る。例えば、コーティング層は、コーティングの下に配置される強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックを隠すために使用され得る。場合によっては、強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックは、電子カードに形成された段付き領域、凹部、又はポケットに配置され、コーティング層で被覆又はコーティングされる。
…中略…
【0082】
場合によっては、コーティング層333a、334aは、上述したように、ポリマー及び顔料を含み得る、ポリマー層、着色層、又は顔料層など、第1の層354に形成される第2の層356を含む。場合によっては、第2の層356は、透明である、半透明である、及び/又は透明ポリマーから形成される透明層であり得る。透明ポリマーは、下にある第1の層より高い硬度及び/又は耐摩耗性を有し得る。例えば、第2の層356は、アクリレートポリマー又はエポキシポリマーを含み得る。第2の層356は、UV光源への暴露により硬化するUV硬化性材料を含み、硬化外面を形成し得る。第2の層356は、ナノスケールの無機材料又はダイヤモンド材料などのフィラー材料を含み得る。ナノスケールのフィラー材料の直径は、100nm未満又は50nm未満であり得る。いくつかの実施例では、第2の層356は、ダイヤモンド様炭素(DLC)コーティング又は他の同様のコーティング材料を含む。例えば、コーティング層333a、334aの第2の層356は、1μm~50μmの範囲の厚さを有する四面体アモルファス炭素材料を含み得る。
…中略…
【0086】
特定のテクスチャを提供するように、強磁性スタックが処理され得る。テクスチャは、電子カード300aの他の部分のテクスチャに対応する所望の外観及び/又は手触りを提供し得る。例えば、強磁性スタックは、強磁性膜に結合された2つ以上のポリカーボネートシートから形成され得る。強磁性スタックは、強磁性スタックの外面にテクスチャを刻印する加熱テクスチャプレートで押圧され得る。場合によっては、刻印テクスチャの表面粗さは、0.3~1.0μmRaの範囲である。一例では、刻印テクスチャは、約0.5μmRa以上の表面粗さを有する。」
b 本件特許請求の範囲と本件特許明細書との対比
上記aの記載事項によれば、本件特許明細書には、次の事項(以下、「明細書記載事項1」という。)が記載されているといえる。
「触覚にセラミックのような触感を与える表面粗さとを有し得るコーティング層は、電子カードに均一な外観を与えるために使用され(【0040】)、コーティング層は、第1の層に形成される第2の層を含み(【0082】)、特定のテクスチャを提供するように、強磁性スタックが処理され、当該テクスチャは、電子カード300aの他の部分のテクスチャに対応する所望の外観及び/又は手触りを提供し得、刻印テクスチャの表面粗さは、0.3~1.0μmRaの範囲である(【0086】)こと。」
特許請求の範囲の請求項1に記載された、「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」(以下、「特許請求の範囲記載事項1」という。)については、直接の記載は本件特許明細書に記載が認められないものの、明細書記載事項1における、「第2の層」が、特許請求の範囲記載事項1の「前記第2の層」に対応することが理解される。
また、明細書記載事項1によれば、「触覚にセラミックのような触感を与える表面粗さとを有し得るコーティング層」は、「電子カードに均一な外観を与えるために使用され」るとともに、当該「コーティング層」は、「第1の層に形成される第2の層を含」むこと、及び、「特定のテクスチャを提供するように、強磁性スタックが処理され、当該テクスチャは、電子カード300aの他の部分のテクスチャに対応する所望の外観及び/又は手触りを提供し得」るとともに、「刻印テクスチャ」、すなわち、「強磁性スタックが処理され」ることによって生ずる、「テクスチャ」の「表面粗さ」が「0.3~1.0μmRaの範囲である」ことが理解される。
してみれば、「触覚にセラミックのような触感を与える表面粗さとを有し得るコーティング層」が、「電子カードに均一な外観を与える」機能を有する以上、「刻印テクスチャ」と同様の、「0.3~1.0μmRaの範囲である」表面粗さを有し、当該「コーティング層」の一部である「第2の層」の表面粗さが「0.3~1.0μmRaの範囲である」ことも、上記明細書記載事項1から読み取ることができるといえる。
c 小括
以上検討したとおり、特許請求の範囲記載事項1については、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものといえるから、取消理由通知のうち、上記1(1)アに示した事項についての取消理由は解消した。
(イ)「ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な第1の層」について
a 本件特許明細書の記載事項
本件特許明細書には、次の記載が認められる。
「【0040】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、二部コーティング又は多層コーティングでコーティングされた金属基板を有する電子カードに関する。コーティング層(1つ以上の個別の層又は部品で構成されている)は、電子カードにセラミック材料の外観及び/又は触感を与えるように特別に配合され得る。例えば、コーティング層は、添加物の特定の配合と、触覚にセラミックのような触感を与える表面粗さとを有し得る。コーティング層はまた、電子カードに均一な外観を与えるために使用され、カードの様々な機能要素を隠し得る。例えば、コーティング層は、コーティングの下に配置される強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックを隠すために使用され得る。場合によっては、強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックは、電子カードに形成された段付き領域、凹部、又はポケットに配置され、コーティング層で被覆又はコーティングされる。
…中略…
【0072】
図3A~3Cは、電子カード300a、300b、300cの断面図であり、これは、図1Bに示す電子カード100の断面B-Bに対応し得る。図3Aに示すように、電子カード300aは、コーティング又はコーティング層333a、334aでコーティングされた基板302aを含む。図3A及び本明細書で説明される他の図を参照して説明されるように、コーティング層は、コーティング、マスキング層、又はマスキングと称される場合がある。コーティング層333a、334a、基板302a、強磁性要素330a、裏張り層333aの説明は、他の図を参照して説明した他の実施形態にも適用することができ、これら及び他の要素の重複する説明は、明確化のために省略又は短縮される場合がある。
…中略…
【0081】
いくつかの実施例では、コーティング層333a、334aの第1の層354は、ポリマー材料内に分散された顔料を有するポリマー材料から形成され得る。第1の層354は、本明細書では、ポリマー層、着色層、及び/又は顔料層と称される場合もある。ポリマー層内に分散された顔料粒子は、酸化チタン(TiO2、Ti2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄(Fe3O4)などの金属酸化物を限定ではなく含む無機顔料粒子であり得る。場合によっては、顔料は、酸化アルミニウム、コバルト、銅、又は消費者製品での使用に適した他の顔料のうちの1つ以上を含む。粒子は、0.1μm~10μm又は0.1μm~1μmの範囲のサイズを有し得る。ポリマー層は、他の添加剤を更に含み得る。
…中略…
【0091】
図3Cは、別の例示的な電子カード300cを示す。電子カード300cは、他の電子カードの実施形態に関して本明細書で説明される要素及び特徴を含んでもよく、明確化のためその説明は省略する。図3Cは、電子カード300cの前面及び背面の略全て又はほぼ全てにわたって延在するコーティング層333c、334cを有する電子カード300cを示す。図3Cに示すように、コーティング層334cは、強磁性要素330c及び裏張り層332cを含む強磁性スタックを含む背面に延在する。前述したように、強磁性スタックは、電子カード300cの磁気領域を画定し得る(例えば、図1Bの領域124を参照)。強磁性要素330cにコーティング層334cを延在させることにより、強磁性要素330cを視界から隠し得る。場合によっては、コーティング層334cは、電子カード300cの磁気領域と隣接又は周囲領域との間の遷移部にわたって連続的及び/又は均一な視覚的外観を提供し得る。コーティング層334cは、強磁性要素330cと電子カード300cの隣接部分との間の遷移部を隠し得るが、追加のマーキング又は印がコーティング層334c上又は中に形成され、強磁性要素330cの磁気領域又は縁部、及び/又は強磁性要素330cによって画定される磁気領域内の符号化領域の境界のおおよその位置を示し得る。
…中略…
【0093】
コーティング層334cは通常、コーティング層334c内に分散された顔料を含む少なくとも1つの層又は領域を含み、下にある基板302c及び/又は強磁性要素330cを隠す又はマスキングするのを助ける。コーティング層333c、334cの厚さは、少なくとも部分的に顔料の色に依存する場合がある。例えば、暗い顔料は、明るい又は白い顔料よりも薄いコーティングで、下にある要素又はコンポーネントを隠し得る。」
b 本件特許請求の範囲と本件特許明細書との対比
上記aの記載事項によれば、本件特許明細書には、次の事項(以下、「明細書記載事項2」という。)が記載されているといえる。
「コーティング層は電子カードに均一な外観を与えるために使用され、カードの様々な機能要素を隠し、コーティングの下に配置される強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックを隠すために使用され(【0040】)、
電子カード300aは、コーティング又はコーティング層333a、334aでコーティングされた基板302aを含み、コーティング層は、コーティング、マスキング層、又はマスキングと称される場合があり(【0072】、図3A)、
コーティング層333a、334aの第1の層354は、ポリマー材料内に分散された顔料を有するポリマー材料から形成され(【0081】)、
強磁性要素330cにコーティング層334cを延在させることにより、強磁性要素330cを視界から隠し(【0091】)、
コーティング層334cは通常、コーティング層334c内に分散された顔料を含む少なくとも1つの層又は領域を含み、下にある基板302c及び/又は強磁性要素330cを隠す又はマスキングするのを助けること(【0093】)。」
特許請求の範囲の請求項1に記載された、「ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な第1の層」(以下、「特許請求の範囲記載事項2」という。)については、直接の記載は本件特許明細書に記載が認められないものの、明細書記載事項2における、「第1の層354」が、特許請求の範囲記載事項2の「前記第1の層」に対応することが理解される。
また、明細書記載事項2によれば、「コーティング層」は「カードの様々な機能要素を隠し、コーティングの下に配置される強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックを隠すために使用され」るとともに、「コーティング、マスキング層、又はマスキングと称される場合があ」って、「強磁性要素330cにコーティング層334cを延在させることにより、強磁性要素330cを視界から隠」す機能があり、「下にある基板302c及び/又は強磁性要素330cを隠す又はマスキングするのを助ける」機能も有するものであることが理解される。
また、「第1の層354」は、「コーティング層333a、334a」に存在することも理解されることから、当該「コーティング層333a、334a」の有する上記機能が、上記「第1の層354」においても機能することが理解される。
してみれば、特許請求の範囲記載事項2において、「不透明な」との事項は、上記明細書記載事項2において、「コーティングの下に配置される強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックを隠」したり、「視界から隠」したり、「基板302c及び/又は強磁性要素330cを隠す又はマスキング」したりすることを意味するものと理解されるから、特許請求の範囲記載事項2は、明細書記載事項2から読み取ることができるといえる。
c 小括
以上検討したとおり、特許請求の範囲記載事項2については、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものといえるから、取消理由通知のうち、上記1(1)イに示した事項についての取消理由は解消した。
(ウ)むすび
以上検討したとおり、取消理由通知において、訂正前請求項1~18に対して指摘した、上記第5の1(1)ア及びイの点に関するサポート要件違反については、本件特許発明1及び同様の記載を含む本件特許発明13について解消した。
また、本件特許発明1を直接又は間接的に引用する本件特許発明2~12、及び本件特許発明13を直接又は間接的に引用する本件特許発明14~18についても、同様に取消理由通知で指摘したサポート要件違反について解消した。
イ 本件特許発明2~6について
訂正前請求項2~6について指摘した、上記第5の1(2)の点に関するサポート要件違反については、訂正事項1-1~1-5によって訂正前の請求項2~6が削除されたため解消した。
(2)明確性要件について
ア 本件特許発明1~18について
本件特許発明1~18について指摘した、上記第5の2(1)の点に関する明確性要件違反については、上記(1)ア(イ)において検討したとおり、「ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な第1の層」との記載のうち、「不透明な」とは、本件特許明細書の上記明細書記載事項2を参酌して、「コーティングの下に配置される強磁性膜、強磁性ストリップ、又は強磁性スタックを隠」したり、「視界から隠」したり、「基板302c及び/又は強磁性要素330cを隠す又はマスキング」したりすることを意味するものと理解されるから、第3者に不測の不利益を与えるほどに不明確とまではいえず、本件特許発明1及び同様の記載を含む本件特許発明13は、第3者に不測の不利益を与えるほどに不明確とまではいえない。
本件特許発明1を直接または間接的に引用する本件特許発明2~12、及び本件特許発明13を直接または間接的に引用する本件特許発明14~18についても同様であり、取消理由通知において、本件特許発明1~18について指摘した上記第5の2(1)の点に関する明確性要件違反について解消した。
イ 本件特許発明2~6について
本件特許発明2~6について指摘した、上記第5の2(2)の点に関する明確性要件違反については、訂正事項1-1~1-5によって訂正前の請求項2~6が削除されたため解消した。
ウ 本件特許発明15について
訂正事項2により、訂正前の請求項15において特定された「前記第2のコーティング層」は、訂正後の本件特許発明15において、「前記第1のコーティング層」となった。
これにより、上記第5の2(3)で指摘した事項は、互いに反対にある「第1の面」及び「第2の面」のうち、「第1の面」(請求項14)にあることが明確となり、取消理由通知において、本件特許発明1~18について指摘した上記第5の2(3)の点に関する明確性要件違反について解消した。
2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人が主張する、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断を以下に示す。
(1)理由1について
上記1(1)ア(ア)及び(イ)、並びに上記1(2)アにおいて検討したとおり、「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」との記載、及び、「不透明な第1の層」との記載は、いずれも当初明細書等の記載の範囲内のものと認められ、したがって、申立人の主張する理由1については、理由が無い。
(2)理由2-3について
本件特許発明5は、訂正事項1-4によって削除されたので、申立人の主張する理由2-3については、理由が無い。
(3)理由2-4について
本件特許発明6は、訂正事項1-5によって削除されたので、申立人の主張する理由2-4については、理由が無い。
(4)理由3-3について
本件特許発明6は、訂正事項1-5によって削除されたので、申立人の主張する理由3-3については、理由が無い。
(5)理由3-4について
本件特許発明15は、訂正事項2によって訂正され、上記1(2)ウにおいて検討したとおり、申立人の主張する理由3-4については理由が無い。
(6)理由4-1について
ア 各甲号証の記載
(ア)甲第1号証の記載事項及び甲1発明
甲第1号証には、次の事項が記載されている。
a 「
[図:0001413299000001.jpg]
」
(当審訳:
技術分野
[0001]
本発明は金属カードに関することで、さらに詳しくは多様な種類の金属シートに対して絶縁層を形成した後転写方式で模様を形成することで多様な金属素材を採用することができるようにすることはもちろん金属カードの製作時間を縮めさせて外観図美麗にできる金属カード及び金属カード製造方法に関する。
背景技術
[0002]
一般的に利用されているカードの種類では、金融圏で使われる現金カード、直払いカード、クレジットカード、証券カードなどのような金融カードを含めて、各種ショッピングモールや移動通信社及び病院などで使われるメンバーシップ会員カード、図書館、学校、会社などで使われる身分証明カードなどがある。)
b 「
[図:0001413299000002.jpg]
」
(当審訳:
発明が解決しようとする課題
[0013]
本発明は多様な種類の金属シートに対して絶縁層を形成した後転写方式で模様を形成することで多様な金属素材を採用することができるようにすることはもちろん金属カードの製作時間を縮めさせて外観図美麗にできる金属カード及び金属カード製造方法を提供することをその目的にする。
課題解決手段
[0014]
上記した目的を果たすための本発明による金属カード製造方法は、金属板材をカードサイズに打ち抜きして金属シートを形成する段階;前記金属シートの上下面に絶縁層を形成する段階;及び前記絶縁層の外部面の中で全面に転写方式で模様または塗色を形成する段階;を具備して、前記絶縁層はウレタン樹脂をコーティングして形成されることを特徴とする。
発明の効果
[0015]
上記した本発明は多様な種類の金属に対して絶縁層を形成した後転写方式で模様を形成することで多様な金属素材を採用することができるようにすることはもちろん金属カードの製作時間を縮めさせて外観図美麗にできる効果を引き起こす。)
c 「
[図:0001413299000003.jpg]
[図:0001413299000004.jpg]
」
(当審訳:
発明を実施するための具体的内容
[0017]
本発明は多様な種類の金属に対して絶縁層を形成した後転写方式で模様を形成することで、多様な金属素材を採用することができるようにすることはもちろん金属カードの製作時間を縮めさせて外観図美麗にさせる。
[0018]
このような本発明による金属カード製作過程を図1及び図2を参照して詳細に説明する。
[0019]
本発明によってカード製造者は金属カードを製作しようとする金属板材を選定する。前記金属板材は銀合金(92.5%)、チタン、ステンレス、銅合金などの中でいずれか一つに選定されうる。この選定された金属板材に対してカード製造者は金属シート打ち抜き及び前処理を移行する。
[0020]
<金属シート打ち抜き及び前処理過程>
[0021]
前記金属板材が選定されると、図1の(a)に図示したところのように前記金属板材(100)の上下面に対してデザインパターンが形成されるように腐食させる(200段階)。
[0022]
前記デザインパターンが形成された金属板材(100)を図1の(b)に図示したところのようにカードサイズと形状に打ち抜きして金属シート(102)を生成する(202段階)。
[0023]
前記カードサイズに形成された金属シート(102)に図1の(c)に図示したところのようにあらかじめ定められた領域、すなわち磁気記録領域、サインパネル、ホログラム、ICチップなどの取付部材を取り付けるための取付領域(1041~1043)をエッチングして加工する(204段階)。
[0024]
前記打ち抜きと取付領域エッチングが完了した金属シート(102)に願わないような跡を無くすため、図1の(d)に図示したところのように金属シート(102)の表面に髪の毛のように行く縞模様(ヘアライン)を形成するかサンディングするか熱処理するなどの表面処理を移行して、その後表面を洗浄するクリーニングなどで構成される絶縁層形成前前処理過程を実行する(206段階)。
[0025]
以後前記表面処理及び洗浄が完了した金属シート(102)の上下面に対して図1の(e)に図示したところのように絶縁層(1061、1062)を形成する(208段階)。
[0026]
前記絶縁層(1061、1062)は、カードに取り付けるICチップなどが金属素材のカードに取り付ける時に正常に勧作しなくなるのを防止するために、金属シート(102)の上下面に形成される。ここに本発明では金属シート(102)の上下面に絶縁層(1061、1062)を形成して、この絶縁層(1061、1062)の素材では後工程である転写印刷のための素材を採用する。すなわち、前記絶縁層形成物質では金属に対する接着力信頼性があって、転写印刷が可能で、表面絶縁性が維持されて、シルク印刷も可能な性質を有することが要求されて、本発明ではこのような性質をすべて満足するウレタン樹脂を採用する。特に前記ウレタン樹脂は金属シート(102)に塗布される場合に多孔性表面を形成して、その多孔性表面は転写インクを吸収するので表面が緻密な金属表面に比べて高い品位の転写印刷ができるようにする。これにより金属シート(102)に対する前処理が完了する。)
d 「
[図:0001413299000005.jpg]
[図:0001413299000006.jpg]
」
(当審訳:
[0028]
<前処理された金属シートに対するカード製作過程>
[0029]
上記したところのように前処理が完了した金属シート(102)に対して、カード製造者は図1の(f)に図示したところのように絶縁層(1061、1062)の表面全体に対して全面模様を印刷して全面模様層(1081、1082)を形成して、前記印刷では転写印刷方式が採用されることができる(210段階)。さらに説明すると、前記全面模様のためにカード製造者は製作しようとするカードのデザインに対応される転写用印刷紙を製作してこれを絶縁層(1061、1062)が形成された金属シート(102)の表面に熱圧着して転写用印刷紙に形成された全面模様を金属シート(102)の絶縁層(1061、1062)で転写させる。特に前記転写用印刷紙に塗布される転写インクは浸透性が強い印刷を使用することが望ましい。また前記転写印刷方式はグラデーションなどのような模様の形成ができるようにして、印刷品質を高めて高品位のカード製作ができるようにする。
[0030]
以後前記全面模様層(1081、1082)の表面に図1の(g)に図示したところのように部分模様(110)を形成して部分模様層(1101、1102)を形成して、前記部分模様層(1101、1102)は表面に光沢を付与するかエッチング処理するか印刷することで、レーザーマーキング、ダイヤカッティング、シルク印刷などの方式が採用されることができる(212段階)。特に前記部分模様は会社のロゴなどになりうる。
[0031]
前記部分模様層(1101、1102)まで形成されると、前記カード製造者は図1の(h)に図示したところのように前記金属シート(102)の上下面をハードコーティングしてハードコーティング層(1121、1122)を形成して、このハードコーティングでは熱硬化性樹脂を塗布して熱硬化するか光硬化性樹脂を塗布して光硬化することなどの方式が採用されることができる(214段階)。
[0032]
このようにハードコーティング層(1121、1122)が形成されると、前記カード製造者は図1の(i)に図示したところのように取付部材取付領域(1041、1042、1043)に対してレーザー加工などを行って接着性を強化させる(216段階)。
[0033]
以後前記カード製造者は前記レーザー加工された取付部材取付領域(1041、1042、1043)に取付部材(1141、1142、1143)を接着剤などを使用して取り付けることで、カード製造を完了する(218段階)。前記取付部材は磁気記録領域、サインパネル、ICチップ、ホログラムなどになりうる。
[0034]
<金属カードの構成>
[0035]
本発明の望ましい実施例によって製作された金属カードの構成を図3を参照して説明する。
[0036]
前記金属カード(300)は金属シート(302)と絶縁層(3061、3062)と全面模様層(3081、3082)と部分模様層(3101、3102)とハードコーティング層(3121、3122)と取付部材(3141、3142、3143、3144)で構成される。
[0037]
前記金属シート(302)は銀合金(92.5%)、チタン、ステンレス、銅合金の中でいずれか一つとして美麗で独特の質感を提供する。前記金属シート(302)の上下面には絶縁層(3061、3062)が形成されて、前記絶縁層(3061、3062)はウレタン樹脂により形成されて絶縁はもちろん転写またはシルク印刷の時の印刷品質を高める。前記絶縁層(3061、3062)の外部面には全面模様層(3081、3082)が形成されて、この全面模様層(3081、3082)は転写印刷方式により形成されてグラデーションなどのような高品位のイメージを形成する。前記全面模様層(3081、3081)の外部面には部分模様層(3101、3102)が形成されて、この部分模様層(3101、3102)はレーザーマーキング、ダイヤカッティング、シルク印刷などの方式により形成されて部分模様を形成する。前記部分模様層(3101、3102)の外部面にはハードコーティング層(3121、3122)が形成されて、前記ハードコーティング層(3121、3122)は熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が熱硬化または光硬化されて形成される。前記ハードコーティング層(3121、3122)の外部面には取付部材(3141~3144)が取り付けられ、前記取付部材(3141~3144)は磁気記録領域、サインパネル、ICチップ、ホログラムなどである。)
e 「図1
[図:0001413299000007.jpg]
」
f 「図3
[図:0001413299000008.jpg]
」
g 上記a~fの記載事項から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「身分証カードなどとして用いられる、ICチップが取り付けられた矩形形状の金属カード300であって([0002]、[0037]、図3(a))、
上面にICチップ3144を取り付けるための取付領域がエッチングによって形成され、下面に磁気記録領域3141を取り付けるための取付領域1041であって、金属シート302の短辺側の外側縁部まで延在する取付領域1041がエッチングによって形成された、チタンなどからなる金属シート302と([0023]、[0033]、[0037]、図1(c))、
金属シート302の下面に形成された取付領域1041に接着剤などを使用して取り付けられた磁気記録領域3141と([0033]、[0037]、図3(b))、
金属シート302の上面に形成された取付領域に取り付けられたICチップ3144であって、その上面に、複数の端子電極からなる端子電極アレイを支持する電極基板が配置されたICチップ3144と([0033]、[0037]、図3(a))、
金属シート302の上下面に形成された絶縁層3061、3062であって、金属に対する接着力信頼性があるウレタン樹脂により形成された絶縁層3061、3062と([0025]~[0026]、[0036]~[0037]、図3(a))、
絶縁層3061、3062の外部面に形成された全面模様層3081、3082であって、転写印刷方式により絶縁層3061、3062の表面全面に対して全面模様が形成された全面模様層3081、3082と([0029]、[0036]~[0037]、図3(a))、
全面模様層3081、3082の外部面に形成された部分模様層3101、3102であって、レーザーマーキングなどの方式により会社のロゴなどの部分模様が形成された部分模様層3101、3102と([0030]、[0036]~[0037]、図1(g)、図3(a))、
部分模様層3101、3102の外部面に形成されたハードコーティング層3121、3122であって、光硬化性樹脂が光硬化されて形成されるハードコーティング層3121、3122と([0031]、[0036]~[0037]、図3(a))、
を備える、金属カード300。」
(イ)甲第2号証~甲第4号証の記載事項
甲2~甲4には、概ね、ICチップを内蔵したICカードにおいて、ステンレス板などの金属からなるカード基材の両面に、ポリビニルアルコールなどのバインダー樹脂と、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの無機フィラーと、を含むインク受容層を設けること(甲2:【0001】、【0019】~【0022】、【0047】)、非接触ICカードにおいて、カード表面にメタリック色を施すと同時に、下層側の磁気ストライプの隠蔽機能をももたせるようにするために、外装シート5の表面に、ウレタン樹脂等をバインダーとし、アルミニウム及びその合金、銅及びその合金、金、銀、亜鉛、ニッケル等の金属粉末を顔料とするメタリック系塗料で形成される印刷層8を形成すること(甲3:【0018】、【0021】~【0023】、【0026】、【図2】)、及び、非接触ICカードにおいて、磁気記録層6を隠蔽するために、金属等からなる基材シート5上に設けられた磁気記録層6の上に隠蔽層7を形成すること(甲4:【0018】~【0019】、【図2】)、その隠蔽層7は、酸化チタン等の酸化物やAl等の金属粒子を塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステルなどの樹脂によってインキ化して各種印刷法により塗膜として得ることができること(同【0023】、【0040】)などが記載されているといえる。
(ウ)甲第5号証の記載事項及び甲5発明
甲第5号証には、次の事項が記載されている。
a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ID、定期券、各種プリペイドカードなどに使用されるラミネートカードに関し、更に詳しくは前記ラミネートカードの耐久性向上に係るものである。
…中略…
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ラミネートカードに使用される熱可塑性樹脂は、一般的に表面硬度が低く、前記の保護層としての機能が不十分で、カードの使用あるいは日常的な取扱いにより、カード表面に傷がつき美観を損なうという問題があった。
【0004】従って、本発明の目的は、カードの表面硬度を向上させ、日常的な取扱い並びに長期の使用に際しても、美観を損なうことがなく、しかもリサイクル可能な高耐久性カードを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂を積層してなるラミネートカードにおいて、前記の課題解決のために、カード表面に表面硬度や機械的強度が高い保護層を形成したことを特徴とするラミネートカードである。
【0006】また、本発明は、前記ラミネートカードにおいて、前記保護層として紫外線硬化型樹脂またはアクリル系樹脂を用いたことを特徴とするラミネートカードである。
【0007】また、本発明は、前記ラミネートカードにおいて、前記保護層の積層の際に、保護層の表面に規則的な凹凸などの所要の形状を付与するか、保護層の中心線表面荒さを0.3μm以上としたことを特徴とするラミネートカードである。
…中略…
【0010】
【作用】本発明に保護層として用いられる紫外線硬化型樹脂は、たとえば、グリシジルメタクリレートのように二重結合とエポキシ基を有する化合物に、光増感剤や開始剤を混合した液体で、紫外線の作用で高分子化することにより固化する。しかも、多官能性化合物なので、固化反応の過程で三次元構造を形成し、高い機械的強度を発現する。
【0011】従って、これを前記ラミネートカードに塗布することにより、高強度で傷がつき難く耐磨耗性が高い保護層が得られる。また、紫外線の作用で硬化することから、適当なパターンを介して露光処理をすることにより、保護層表面に微細な凹凸を付与することも可能である。
…中略…
【0014】本発明のラミネートカードにおいては、前記のように保護層表面に規則的な凹凸や適度の表面粗さを付与することが可能である。保護層表面に凹凸をつけることにより、保護層と他の物体との間に擦過がおきた場合でも、こすられるのは凸部の頂点だけなので、表面全体に傷が及ぶことが少なくなるという効果が得られる。
【0015】また、ICカードにおいては、カード内部にICチップなどが配置されているため、ICチップなどの形状がカード表面に凹凸となって浮き出すことがあるが、凹凸を有する保護層をICカードに適用することにより、これを目立たなくして外観を向上する効果も得られる。
【0016】そして、本発明のラミネートカードにおいては、中心線表面粗さが、0.3μm以上であることが必要である。その理由は、これ以下の中心線表面粗さでは、十分な傷対策及び外観改善効果が得られないからである。
…中略…
【0018】図1は、本発明による非接触ICカードの一例の断面を示す図である。カード基体1は、硬質塩化ビニル樹脂もしくはポリエチレンテレフタレートからなり、中央部にICベアチップ2と、リーダライタと通信を行うための金属製のアンテナコイル3が埋設配置されている。基体1の裏表両面には、印刷層4が形成されていて、更にその上には、アクリル系樹脂もしくは紫外線硬化型樹脂からなる保護層5が形成されている。
【0019】図2は、図1における印刷層4及び保護層5の部分を拡大して示した図である。この保護層の表面には、凹凸がストライプ状に施してあり、その深さは10μm、ピッチは20μmである。保護層にアクリル系樹脂を使用した場合は、保護層となるアクリル系樹脂フィルムを積層する際に、表面に凹凸を設けた治具でアクリル系樹脂フィルムを加熱圧着して凹凸を表面に転写するという方法で、保護層の凹凸を形成した。
【0020】保護層に紫外線硬化型樹脂を使用した場合は、スピンコートで紫外線硬化型樹脂をカード表面に塗布した後、ストライプ状のパターンを介して露光することで凹凸を形成した。この場合、スプレイ塗布を行うことも可能で、紫外線硬化型樹脂が十分に固化する前であれば、アクリル系樹脂の場合と同様の方法で凹凸を転写することも可能である。
【0021】また、アクリル系樹脂を使用する場合では、前記治具表面の凹凸加工を換えることで、保護層表面に地模様を形成することも可能であり、紫外線硬化型樹脂を使用する場合では、露光に使用するパターンを換えることで、同様に保護層表面に地模様を形成できる。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、取扱い際し、表面に傷がつき難く、傷が生じても傷が目立たないラミネートカードを得ることができる。また、本発明によるICカードは、高耐久性を備え、材質上もリサイクルが可能である。なお、実施の形態では、非接触ICカードを示したが、この他のラミネートカード全般についても本発明を適用できる。」
b 「図1
[図:0001413299000009.jpg]
」
c 「図2
[図:0001413299000010.jpg]
」
d 上記a~cの記載事項によると、甲5には次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されているといえる。
「ID、定期券、各種プリペイドカードなどに使用される高耐久性のラミネートカードであって(【0001】、【0004】)、
カード表面に表面硬度や機械的強度が高い保護層を設け(【0005】)、
前記保護層として紫外線硬化型樹脂またはアクリル系樹脂を用いたことを特徴とし(【0006】)、
前記保護層の中心線表面荒さを0.3μm以上とし(【0007】)、
前記保護層表面に規則的な凹凸や適度の表面粗さを付与することが可能であって、前記保護層表面に凹凸をつけることにより、保護層と他の物体との間に擦過がおきた場合でも、こすられるのは凸部の頂点だけなので、表面全体に傷が及ぶことが少なくなるという効果を有し(【0014】)、
中心線表面粗さが、0.3μm以上であることによって、十分な傷対策及び外観改善効果を有し(【0016】)、
基体1の裏表両面には、印刷層4が形成されていて、更にその上には、アクリル系樹脂もしくは紫外線硬化型樹脂からなる保護層5が形成されており(【0018】)、
表面に傷がつき難く、傷が生じても傷が目立たないラミネートカード(【0022】)。」
(エ)甲第6号証
甲6には、概ね、磁気カード、ICカードなどのプラスチックカードであって、センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のプラスチックカードにおいて、その保護層、紫外線硬化型アクリレートを主成分とする水性エマルジョン系インクを用いて形成すること(【0006】、【0010】)、および、紫外線照射によるアクリルの光重合結合により保護層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上できること(【0011】)などが記載されているといえる。
(オ)甲第7号証~甲第10号証
甲7~甲10には、概ね、チタンシートなどの金属を包含するトランザクションカード1において、トランザクションカード1の両面それぞれの4つのエッジのすべてを面取りエッジとすること(甲7:【0050】、【0070】)、および、そのようなトランザクションカード1は、各トランザクションカード1のまわりに金属的な「フレーム」を備えたトランザクションカード1を生成するために被覆がエッジで除去されるので、面取りされたエッジは金属的な色合いを有するものとなること(同【0070】)、(1)金属層を有する取引カード10であって、ベース金属16上に陽極酸化層14及びハードコート層12が順次積層された取引カード10において、レーザー光線の照射によって、ハードコート層1及び2陽極酸化層14の選択された部分を除去することによって、金属カード上に多色グラデーションが可能になり、これはベース金属仕上げ自体を含む場合があること(甲8:【0023】、【0033】、【図1B】)、(2)金属層を有する取引カード10であって、ベース金属16上に陽極酸化層14及びハードコート層12が順次積層された取引カード10において、そのハードコート層12を、UV硬化性アクリレートなどの適切な担体を有するナノ粒子から形成することができること(同【0023】、【0025】、【図1】)、及び、(3)金属層を有する取引カード10において、そのベース金属16をチタンで構成してもよいこと(同【0029】)、金属カードの製造方法において、金属シート110の表面に塗装層112を形成した後、レーザー加工方式で、塗装層112及び金属シート110の金属表面を除去することによって、各種文字、図、ロゴなどを示す模様溝114を形成すること(甲9:[0050]~[0053]、図1)、並びに、クレジットカードやプリペイドカード、会員証等を含む種々のカードにおいて、カード基材1の上に微細な紋様を有する地紋被覆層2及び保護層3を設けた後、保護層3の上方からレーザービームを照射して、保護層3、地紋被覆層2及びカード基材1の表面を除去することにより、所望の記号等を示す刻印溝4を形成すること(甲10:【0007】、【0024】、【図1】)などが記載されているといえる。
(カ)甲第11号証
甲11には、概ね、基材4の表面に、共通データ印刷層5、保護層6及びオーバーコート層8が順に積層構成されたICカード1において、その共通データ印刷層5をウレタン系のグラビアインクなどを印刷して形成すること(甲11:【0013】、【図5】)などが記載されているといえる。
(キ)甲第12号証
甲12には、概ね、クレジットカードやキャッシュカード等のカード製品の周縁部を、その全域にわたって面取りする方法及び装置(甲12:【0002】、【0005】、【図3】)などが記載されているといえる。
(ク)甲第13号証
甲13には、概ね、四隅を丸面取りした長方形の薄板状を成すICカード90(甲13:【0022】、【図2】)などが記載されているといえる。
(ケ)甲第14号証~甲第15号証
甲14~甲15には、概ね、基板1上に外部接続用端子2が形成されたICカード用のICモジュールにおいて、静電気除去のために、基板1の側端面から基板1の外部接続端子部の周囲を囲むように延長形成した導体部8を形成すること(甲14:【0014】~【0016】、【図5】、【図6】)、及び、背最技術として、基材上にめっき触媒を所望のパターンで印刷し、無電解めっきを行うことでエッチングレジストを形成せずに所望の形状の金属層を形成する方法において、一般に無電解めっきは析出速度が遅く生産性が低いため、無電解めっきの後に電解めっきが行われていること(甲15:【0002】~【0003】)などが記載されているといえる。
(コ)甲第16号証
甲16には、概ね、任意の適切な金属からなる基材層210を有する取引カード100において、レーザーによる彫刻によって、基材層210の中に伸びるポケット225bを形成し、そのポケット225bに磁気ストライプ、マイクロチップなどを収容すること(【0025】~【0026】、【0035】、【図2】)などが記載されているといえる。
イ 本件特許発明1について
(ア)甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
a 構成要件1Aについて
甲1発明の「金属カード300」は、「身分証カードなどとして用いられる、ICチップが取り付けられた」ものであるところ、本件特許発明1の「電子IDカード」に相当する。
したがって、甲1発明は、構成要件1Aの「電子IDカードであ」るとの構成を有する。
b 構成要件1Bについて
甲1発明の、「上面」及び「下面」は、それぞれ“第1面”及び“第2面”といい得る。
甲1発明の、「上面」には、「ICチップ3144を取り付けるための取付領域がエッチングによって形成され」るものであるところ、当該「エッチングによって形成され」る「取付領域」は、“第1の面に延在する第1の凹部”といい得る。
そして、甲1発明の「チタンなどからなる金属シート302」は、“金属基板”といい得ることから、甲1発明は、構成要件1Bの「第1の面及び第2の面を有し、前記第1の面に延在する第1の凹部を画定する金属基板」との構成を有する。
c 構成要件1Cについて
甲1発明の「金属シート302の下面」には、「磁気記録領域3141」が「取り付けられ」るところ、当該「磁気記録領域3141」は、構成要件1Cの「強磁性膜」に相当し、上記bの認定を踏まえると、甲1発明は、構成要件1Cの「前記金属基板の前記第2の面に沿って配設された強磁性膜」との構成を有する。
d 構成要件1Dについて
甲1発明の「ICチップ3144」は、構成要件1Dの「集積回路」相当するといえ、上記bの認定を踏まえれば、甲1発明は、構成要件1Dの「前記第1の凹部内に少なくとも部分的に配設された集積回路」との構成を有する。
e 構成要件1Eについて
甲1発明の「金属シート302の上下面に形成された絶縁層3061、3062であって、金属に対する接着力信頼性があるウレタン樹脂により形成された絶縁層3061、3062」は、構成要件1Eの「前記金属基板の前記第1の面に延在し、ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な第1の層」に対し、下記の点(相違点1)で相違するものの、“前記金属基板の前記第1の面に延在する第1の層”である点で一致する。
また、甲1発明の「部分模様層3101、3102の外部面に形成されたハードコーティング層3121、3122であって、光硬化性樹脂が光硬化されて形成されるハードコーティング層3121、3122」は、構成要件1Eの「前記不透明な第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であって、前記第1の層より高い硬度を有し、前記電子IDカードの外面を画定し、0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」に対し、下記の点(相違点2)で相違するものの、“前記金属基板上に配設された第1のコーティング層であって、前記第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であって、前記電子IDカードの外面を画定する、前記第2の層”である点で一致する。
そして、甲1発明の「金属シート302の上下面に形成された絶縁層3061、3062であって、金属に対する接着力信頼性があるウレタン樹脂により形成された絶縁層3061、3062」及び「部分模様層3101、3102の外部面に形成されたハードコーティング層3121、3122であって、光硬化性樹脂が光硬化されて形成されるハードコーティング層3121、3122」は、両層によって、「金属シート302」をコーティングしているといえることから、甲1発明は、構成要件1Eに対し、下記の点(相違点1、2)で相違するものの、“前記金属基板上に配設された第1のコーティング層であって、前記金属基板の前記第1の面に延在する第1の層と、前記第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であって、前記電子IDカードの外面を画定する、前記第2の層と、を含む第1のコーティング層”である点で一致する。
f 構成要件1Fについて
甲1発明の、「レーザーマーキングなどの方式により会社のロゴなどの部分模様が形成された部分模様層3101、3102」に形成される、当該「会社のロゴなどの部分模様」は、「レーザーマーキングなどの方式により」形成されるものであるから、構成要件1Fの「前記第1のコーティング層を通って前記金属基板内に延在する第2の凹部によって少なくとも部分的に画定されるレーザ形成レリーフ特徴部であって、前記不透明な第1の層が前記第2の凹部の壁の第1の部分を画定し、前記第2の層が前記第2の凹部の前記壁の第2の部分を画定し、前記金属基板が前記第2の凹部の前記壁の第3の部分を画定する、レーザ形成レリーフ特徴部」に対し、下記の点(相違点3)で相違するものの、“レーザ形成レリーフ特徴部”である点で一致する。
g 一致点及び相違点
上記a~fの対比から、本件特許発明1と甲1発明とは次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
1A:電子IDカードであって、
1B:第1の面及び第2の面を有し、前記第1の面に延在する第1の凹部を画定する金属基板と、
1C:前記金属基板の前記第2の面に沿って配設された強磁性膜と、
1D:前記第1の凹部内に少なくとも部分的に配設された集積回路と、
1E’:前記金属基板上に配設された第1のコーティング層であって、
前記金属基板の前記第1の面に延在する第1の層と、
前記第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であって、
前記電子IDカードの外面を画定する、前記第2の層と、
を含む第1のコーティング層と、
1F’:レーザ形成レリーフ特徴部と、
を備える、電子IDカード。
〈相違点1〉
本件特許発明1の「第1の層」が、「ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な」層であるのに対し、甲1発明の「金属シート302の上下面に形成された絶縁層3061、3062」が、ポリマーと前記ポリマー内に分散された顔料とを含む不透明な層であることが特定されていない点。
〈相違点2〉
本件特許発明1の「第2の層」が、「前記第1の層より高い硬度を有」するとともに、「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する」ものであるのに対し、甲1発明の「絶縁層3061、3062の外部面に形成された全面模様層3081、3082」が、「金属シート302の上下面に形成された絶縁層3061、3062」より高い硬度であること、及び、0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有することが特定されていない点。
〈相違点3〉
本件特許発明1の「レーザ形成レリーフ特徴部」が、「前記第1のコーティング層を通って前記金属基板内に延在する第2の凹部によって少なくとも部分的に画定される」ものであって、「前記不透明な第1の層が前記第2の凹部の壁の第1の部分を画定し、前記第2の層が前記第2の凹部の前記壁の第2の部分を画定し、前記金属基板が前記第2の凹部の前記壁の第3の部分を画定する」ものであるのに対し、甲1発明の「部分模様層3101、3102」は、「レーザーマーキングなどの方式により会社のロゴなどの部分模様が形成された」ものである点。
(イ)相違点に関する当審の判断
事案に鑑み、先に相違点2について検討する。
本件特許発明1の「第1のコーティング層」に含まれる「前記不透明な第1の層に延在し、透明ポリマーを含む第2の層であって、前記第1の層より高い硬度を有し、前記電子IDカードの外面を画定し、0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」は、当該「第2の層」が「電子IDカード」の外面に露出されて、「電子カードにセラミック材料の外観及び/又は触感を与えるよう」な効果を奏するものである。
一方、甲1発明の「ハードコーティング層3121、3122」は、その下に「転写印刷方式により絶縁層3061、3062の表面全面に対して全面模様が形成された全面模様層3081、3082」や「部分模様層3101、3102」などが形成されるものであるから、少なくとも、セラミック材料の外観及び/又は触感を与えるよう」(本件特許明細書段落【0040】)な効果を奏するよう考慮されたものとはいえない。
一方、本件優先日前公知の、甲第5号証には、上記ア(ウ)dに示した、甲5発明が記載されているものの、当該甲5発明の「カード表面」に設けられる「表面硬度や機械的強度が高い保護層」は「中心線表面粗さが、0.3μm以上であることによって、十分な傷対策及び外観改善効果を有」するものであって、「前記保護層表面に凹凸をつけることにより、保護層と他の物体との間に擦過がおきた場合でも、こすられるのは凸部の頂点だけなので、表面全体に傷が及ぶことが少なくなるという効果」を奏するものでしかなく、また甲1発明において、当該甲5発明の「保護層」を設けることの動機付けが存在したとまではいうことができない。
また、甲2~4及び甲6~13にも、上記相違点2に係る構成は記載されておらず、とりわけ、相違点2のうち、「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する」よう構成することが、本件優先日時点における周知技術であったとする証拠もない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)及び甲第2号証~甲第16号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
ウ 本件特許発明7~12について
本件特許発明7~12は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記イと同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
エ 本件特許発明13~18について
本件特許発明13は、甲1発明との間で少なくとも上記相違点2の点において相違するものであり、上記イと同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明14~18は、本件特許発明13の発明特定事項を全て含む発明であるから、同様に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
オ むすび
以上検討したとおり、本件特許発明1及び7~18は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第16号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、申立人の主張する理由4-1は理由が無い。
(7)申立人意見書について
申立人は、申立人意見書において、概ね、請求項1及び13に記載された、(1)「0.3μmから1.0μmRaの範囲の表面粗さを有する、前記第2の層」及び(2)「不透明な第1の層」は、本件特許明細書に記載が無く、また審査段階の補正で加わった事項であるので、出願当初の明細書等に新たな技術的事項を加えるものである旨の主張を行っているが、上記第6の1(1)及び(2)で説示したとおり、いずれの事項も本件特許明細書に記載された事項であり、かつ、不明確とはいえないため、申立人意見書の主張は採用の限りではない。
3 むすび
以上示したとおり、本件請求項1及び7~18に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1及び7~18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
第7 むすび
以上のとおり、請求項1及び7~18に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1及び7~18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2~6に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2~6に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700434