特許拒絶査定不服審判
2016-014377
情報処理システム、ゲームシステム、情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法
- 審判番号
- 2016-014377
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-004155
- 請求日
- 2016年09月26日
- 審決日
- 2017年08月21日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】任天堂株式会社
- 【請求人代理人】河野 英仁
- 【請求人代理人】河野 登夫
- 【請求人代理人】石原 盛規
- 審判長/審判官
- 審判長 高瀬 勤
- 審判官 山田 正文
- 審判官 土谷 慎吾
- 分類
- P18 .121-WY (G06K) / P18 .55 -WY (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 4155「情報処理システム、ゲームシステム、情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月25日出願公開、特開2015-118711、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月1日に出願した特願2012-126323号(原出願)の一部を平成27年1月13日に新たな特許出願としたものであって、平成28年2月18日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月12日付けで手続補正がされ、同年6月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年9月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年5月22日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年7月18日付けで手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年6月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1-6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献A-Bに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
A.特開2007-316981号公報
B.特開2005-352538号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1)平成28年9月26日付けでした手続補正(以下、「本件補正」という。)は、下記Aの点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2)本件出願の下記Bの請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用例は、末尾の「引用文献等一覧」参照)
A.理由1)について
・備考
本件補正による補正後の請求項1~5の各項にはいずれにも、「人の顔が検出された状態が持続されている間、」「データ送受信を許可」する旨記載されている。
これに対して、請求人が補正の根拠としている本願の明細書段落【0050】には、「処理部10はカメラ22による撮像画像から人の顔を検出する顔検出処理を行い、制限処理部31は、顔が検出された場合に近距離無線通信部21によるICタグ50との通信を許可し、顔が検出されない場合に通信を許可しない。」と記載されているのみであり、当該記載は、「人の顔が検出された状態が持続されている間、」「データ送受信を許可」することが記載されているとは認められない。
そして他に、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」と記す。)には、「人の顔が検出された状態が持続されている間、」「データ送受信を許可」することを表す記載があるものとも認められない。
また、「人の顔が検出された状態が持続されている間、」「データ送受信を許可」することは、当初明細書等の記載からみて自明な事項でもない。
したがって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
B.理由2)について
請求項1~5について引用例1
引 用 文 献 等 一 覧
引用例1:特開2010-72891号公報
第4 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成29年7月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
近距離無線により情報処理装置との間でデータの送受信処理を行う第1無線通信部を有する通信器と、
近距離無線により前記通信器との間でデータの送受信処理を行う第2無線通信部、撮像した画像を入力するカメラ、前記カメラから入力される画像から人の顔を検出する顔検出処理部、前記顔検出処理部の検出結果に応じて前記第2無線通信部の処理を制限する制限部、並びに、該制限部により処理が制限されていない前記第2無線通信部の処理結果に応じてゲームに係る情報処理を行う情報処理部を有する情報処理装置
を備え、
前記情報処理装置は、ゲームに係る情報処理に応じて前記第2無線通信部による前記通信器との通信が必要となった場合に、ユーザに自らの顔を前記カメラで撮像するよう促すメッセージを表示部に表示し、前記カメラによる撮像を開始し、
前記制限部は、
前記カメラから入力される画像から前記顔検出処理部により人の顔が検出された場合に、前記第2無線通信部による前記通信器とのデータ送受信を許可し、
前記カメラから入力される画像から前記顔検出処理部により人の顔が検出されていない場合に、前記第2無線通信部による前記通信器とのデータ送受信を許可しない、
情報処理システム。」
そして、本願発明2は、実質的に本願発明1を「ゲームシステム」として記載したもの、本願発明3は、実質的に本願発明1を「情報処理装置」として記載したもの、本願発明4,5はそれぞれ、実質的に本願発明1を「情報処理プログラム」、「情報処理方法」として記載したものである。
第5 引用例、引用発明等
1.引用例について
当審拒絶理由通知に引用された引用例1には、図面とともに次の事項が記載されている。
a)「【0001】
本発明は、例えば、オフィスビル、マンション、病院などの入場が制限される入場制限エリアのエントランス等において入場管理を行う装置に関する。」(【0001】の記載。)
b)「【0008】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る認証装置100の配置例を示す。
図1に示すように、本実施の形態に係る認証装置100は、入場が制限される入場制限エリア500への入場口の近傍に配置され、入場制限エリア500への入場を試行する者の認証を行い、入場制限エリア500への入場の可否を判断する。
入場制限エリア500への入場口には、電気錠を備えた電気錠付き扉400が配置されている。電気錠付き扉400は、本人認証に成功し、認証装置100からの指示がない限り閉鎖状態を維持して入場制限エリア500への入場を制限する。
また、認証装置100には、カメラ200とカードリーダ300が設けられている。
カメラ200は、通行者の顔を撮影する。
カードリーダ300は、通行者のICカード等のカードから認証用情報を読み出す。
なお、本実施の形態では、通行者の顔を撮影するカメラ200を用いる例を説明するが、通行者(カードの利用者)の生体情報を取得する他の手段を用いてもよい。例えば、通行者の指紋、瞳の中の虹彩、手のひらや指の血管の形等を利用するようにしてもよい。
【0009】
図2は、本実施の形態に係る認証装置100の構成例を示す。
【0010】
カメラ画像入力部101は、生体情報の例である通行者の顔部のカメラ画像情報をカメラ200から入力する。カメラ画像入力部101は、生体情報入力部の例である。
カード情報入力部102は、カードリーダ300で読み取られた通行者のカードの認証用情報を入力する。
【0011】
認証部103は、カード情報入力部102で入力された認証用情報と登録情報記憶部104に記憶されている登録情報とを照合して、通行者の認証を行う。
認証部103は、カメラ画像入力部101による通行者の顔部のカメラ画像の入力を許可するとともに、カード情報入力部102による認証用情報の入力を禁止しておき、カメラ画像入力部101により通行者の顔部のカメラ画像が入力された際に、カード情報入力部102の認証用情報の入力を許可し、カード情報入力部102により認証用情報が入力された場合に、カメラ画像による認証を行うことなく、認証用情報を用いたカード認証を行う。
【0012】
登録情報記憶部104は、カードの認証用情報と照合するための、予め登録された登録情報を記憶する。
通行情報記憶部105は、認証部103による認証結果、認証日時、カメラ画像入力部101により入力されたカメラ画像等の通行者の認証に関する情報を記憶する。通行情報記憶部105は、情報記憶部の例である。
表示部106は、認証結果等を通行者に表示する。
電気錠制御部107は、認証に成功した場合に、電気錠付き扉400の電気錠を開錠する。
【0013】
次に、図3のフローチャートを用いて、本実施の形態に係る認証装置100の動作例を説明する。
【0014】
まず、認証部103は、初期状態として、カードリーダ300及びカード情報入力部102を制御して、カード読み取りを禁止する(ST301)とともに、カメラ200及びカメラ画像入力部101を制御して顔検出(通行者の顔部の撮影)を許可する(ST302)。
次に、入場制限エリア500に入場するために通行者が認証装置100の前に立ち認証装置100の操作を試みると、カメラ200が通行者の顔部を撮影し、カメラ画像入力部101がカメラ画像を入力し、認証部103は、通行者を検出する(ST303でYES)。
次に、認証部103は、カードリーダ300及びカード情報入力部102を制御して、カード読み取りを許可する(ST304)。
つまり、カメラ200により通行者の顔が撮影されないと通行者はカードリーダ300に認証用情報を読み込ませることができず、カード認証を開始することができない。
【0015】
通行者がカードリーダ300にカードの認証用情報を読み込ませると、カード情報入力部102がカードリーダ300から認証用情報を取得し、認証部103に認証用情報を渡す(ST305でYES)。
次に、認証部103は、カード情報入力部102から取得した認証用情報に対応する登録情報を登録情報記憶部104から読み出す(ST306)。
次に、認証部103は、認証用情報と登録情報とを照合してカード認証を行う(ST307)。
カード認証に成功した場合(ST308でYES)は、認証部103は電気錠制御部107に開錠を指示し、電気錠制御部107が電気錠付き扉400の電気錠を開錠する(ST309)。
一方、カード認証に失敗した場合(ST308でNO)は、認証部103は所定のエラー処理を行う(ST310)。
なお、認証に成功した場合も失敗した場合も、表示部106から認証結果を通知する。
また、認証部103は、認証結果、認証日時、カメラ画像入力部101により入力されたカメラ画像等の通行者の認証に関する情報を通行情報記憶部105に出力し、通行情報記憶部105がこれら情報を記憶する(ST311)。」(【0008】-【0015】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。)
そして、上記摘記事項a)、b)の記載によれば、「認証装置100」と「通行者のカード」により入場管理を行う装置が形成されているといえる。
上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、認証装置として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「認証装置100には、カメラ200とカードリーダ300が設けられ、
カメラ200は、通行者の顔を撮影し、
カードリーダ300は、通行者のICカード等のカードから認証用情報を読み出し、
カメラ画像入力部101は、通行者の顔部のカメラ画像情報をカメラ200から入力し、
カード情報入力部102は、カードリーダ300で読み取られた通行者のカードの認証用情報を入力し、
認証部103は、カード情報入力部102で入力された認証用情報と登録情報記憶部104に記憶されている登録情報とを照合して、通行者の認証を行い、
認証部103は、カメラ画像入力部101による通行者の顔部のカメラ画像の入力を許可するとともに、カード情報入力部102による認証用情報の入力を禁止しておき、カメラ画像入力部101により通行者の顔部のカメラ画像が入力された際に、カード情報入力部102の認証用情報の入力を許可するものであり、
認証装置100の動作例は、
まず、認証部103は、初期状態として、カードリーダ300及びカード情報入力部102を制御して、カード読み取りを禁止するとともに、カメラ200及びカメラ画像入力部101を制御して顔検出(通行者の顔部の撮影)を許可し、
次に、入場制限エリア500に入場するために通行者が認証装置100の前に立ち認証装置100の操作を試みると、カメラ200が通行者の顔部を撮影し、カメラ画像入力部101がカメラ画像を入力し、認証部103は、通行者を検出し、
次に、認証部103は、カードリーダ300及びカード情報入力部102を制御して、カード読み取りを許可することにより、カメラ200により通行者の顔が撮影されないと通行者はカードリーダ300に認証用情報を読み込ませることができず、カード認証を開始することができず、
通行者がカードリーダ300にカードの認証用情報を読み込ませると、カード情報入力部102がカードリーダ300から認証用情報を取得し、認証部103に認証用情報を渡すものである、
認証装置100と通行者のカードにより入場管理を行う装置。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「認証装置100」は認証情報の処理を行うものであるから、情報処理装置といい得るものである。
引用発明の「通行者のカード」は、「認証装置100」の「カードリーダ300」により認証情報を読み出されるものであるから、「カードリーダ300」との間でデータの通信を行う通信部を有していることは明らかであり、本願発明1の「近距離無線により情報処理装置との間でデータの送受信処理を行う第1無線通信部を有する通信器」と「情報処理装置との間でデータの通信処理を行う第1通信部を有する通信器」である点では共通するといえる。
イ.引用発明の「カードリーダ300」は、「通行者のICカード等のカードから認証用情報を読み出」すものであるから、「カード」との間でデータの通信を行う通信部を有していることは明らかであり、本願発明1の「近距離無線により前記通信器との間でデータの送受信処理を行う第2無線通信部」と「前記通信器との間でデータの通信処理を行う第2通信部」である点では共通するといえる。
したがって、引用発明の「カードリーダ300が設けられ」た「認証装置100」は、本願発明1の「近距離無線により前記通信器との間でデータの送受信処理を行う第2無線通信部」「を有する情報処理装置」と「前記通信器との間でデータの通信処理を行う第2通信部」「を有する情報処理装置」である点では共通するといえる。
ウ.引用発明の「カメラ200」は本願発明1の「撮像した画像を入力するカメラ」に相当し、引用発明の「カメラ200」が設けられた「認証装置100」は、本願発明1の「撮像した画像を入力するカメラ」「を有する情報処理装置」に相当する。
エ.引用発明は、「カメラ画像入力部101は、通行者の顔部のカメラ画像情報をカメラ200から入力」し、「認証部103は、」「カメラ画像入力部101により通行者の顔部のカメラ画像が入力」されるものであるから、引用発明の「カメラ画像入力部101」が「カメラ200」から入力したカメラ画像情報から通行者の顔部を検出し「認証部103」へ出力しているのは明らかであり、引用発明の「カメラ画像入力部101」は、本願発明1の「前記カメラから入力される画像から人の顔を検出する顔検出処理部」に相当する。
したがって、引用発明の「認証装置100」が「カメラ画像入力部101」を有することは、本願発明1の「前記カメラから入力される画像から人の顔を検出する顔検出処理部」「を有する情報処理装置」に相当する。
オ.引用発明の「認証部103」は、「カメラ画像入力部101により通行者の顔部のカメラ画像が入力された際に、カード情報入力部102の認証用情報の入力を許可するもの」であり、「カメラ200により通行者の顔が撮影されないと通行者はカードリーダ300に認証用情報を読み込ませることができ」ないものであるから、引用発明の「認証部103」は、本願発明1の「前記顔検出処理部の検出結果に応じて前記第2無線通信部の処理を制限する制限部」と「前記顔検出処理部の検出結果に応じて前記第2通信部の処理を制限する制限部」である点では共通するといえる。
したがって、引用発明の「認証装置100」が「認証部103」を有することは、本願発明1の「前記顔検出処理部の検出結果に応じて前記第2無線通信部の処理を制限する制限部」「を有する情報処理装置」と「前記顔検出処理部の検出結果に応じて前記第2通信部の処理を制限する制限部」「を有する情報処理装置」である点では共通するといえる。
カ.引用発明の「認証装置100」は、「認証部103は、カードリーダ300及びカード情報入力部102を制御して、カード読み取りを許可」しカード認証を行うものであるから、認証部103によりカード読み取りが制限されていないカードリーダ300の出力に応じてカード認証処理を行う処理部を有するといえ、本願発明1の「該制限部により処理が制限されていない前記第2無線通信部の処理結果に応じてゲームに係る情報処理を行う情報処理部を有する情報処理装置」と「該制限部により処理が制限されていない前記第2通信部の処理結果に応じて情報処理を行う情報処理部を有する情報処理装置」である点では共通するといえる。
キ.引用発明の「認証部103」は、「カメラ画像入力部101による通行者の顔部のカメラ画像の入力を許可するとともに、カード情報入力部102による認証用情報の入力を禁止しておき、カメラ画像入力部101により通行者の顔部のカメラ画像が入力された際に、カード情報入力部102の認証用情報の入力を許可するもの」であり、通行者の顔部のカメラ画像が入力されなければ、カード情報入力部102の認証用情報の入力を許可しないのは明らかであるから、本願発明1の「前記制限部は、
前記カメラから入力される画像から前記顔検出処理部により人の顔が検出された場合に、前記第2無線通信部による前記通信器とのデータ送受信を許可し、
前記カメラから入力される画像から前記顔検出処理部により人の顔が検出されていない場合に、前記第2無線通信部による前記通信器とのデータ送受信を許可しない」ことに相当する。
ク.引用発明の「認証装置100と通行者のカードにより入場管理を行う装置」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「情報処理システム」に相当する。
したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。
〈一致点〉
「情報処理装置との間でデータの通信処理を行う第1通信部を有する通信器と、
前記通信器との間でデータの通信処理を行う第2通信部、撮像した画像を入力するカメラ、前記カメラから入力される画像から人の顔を検出する顔検出処理部、前記顔検出処理部の検出結果に応じて前記第2通信部の処理を制限する制限部、並びに、該制限部により処理が制限されていない前記第2通信部の処理結果に応じて情報処理を行う情報処理部を有する情報処理装置、
を備え、
前記制限部は、
前記カメラから入力される画像から前記顔検出処理部により人の顔が検出された場合に、前記第2無線通信部による前記通信器とのデータ送受信を許可し、
前記カメラから入力される画像から前記顔検出処理部により人の顔が検出されていない場合に、前記第2無線通信部による前記通信器とのデータ送受信を許可しない、
情報処理システム。」
〈相違点1〉
情報処理装置と通信器との間で行われるデータの通信処理が、本願発明1は、「近距離無線」により「データの送受信処理を行う」ものであり、「通信器」の「第1通信部」は「近距離無線により情報処理装置との間でデータの送受信処理を行う第1無線通信部」であり、「情報処理装置」の「第2通信部は「近距離無線により前記通信器との間でデータの送受信処理を行う第2無線通信部」であるのに対し、引用発明は、「通行者のカード」は、「認証装置100」の「カードリーダ300」により認証情報を読み出されるものであるものの、その読み出しに近距離無線を用いるとは限定されていない点。
〈相違点2〉
情報処理部が行う情報処理が、本願発明1は、「ゲームに係る情報」であるのに対し、引用発明は、カード認証の処理である点。
〈相違点3〉
本願発明1は、「前記情報処理装置は、ゲームに係る情報処理に応じて前記第2無線通信部による前記通信器との通信が必要となった場合に、ユーザに自らの顔を前記カメラで撮像するよう促すメッセージを表示部に表示し、前記カメラによる撮像を開始」するものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有さない点。
(2)相違点3についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、相違点3に係る本願発明1の「前記情報処理装置は、ゲームに係る情報処理に応じて前記第2無線通信部による前記通信器との通信が必要となった場合に、ユーザに自らの顔を前記カメラで撮像するよう促すメッセージを表示部に表示し、前記カメラによる撮像を開始」するという構成は、入場管理を行う装置に関する上記引用例1には記載されておらず、また、本願の原出願の出願日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.請求項2-5について
本願発明2-5は、本願発明2は、実質的に本願発明1を「ゲームシステム」として記載したもの、本願発明3は、実質的に本願発明1を「情報処理装置」として記載したもの、本願発明4,5はそれぞれ、実質的に本願発明1を「情報処理プログラム」、「情報処理方法」として記載したものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 当審拒絶理由について
1.特許法第17条の2第3項について
当審では、請求項1-5の「人の顔が検出された状態が持続されている間、」「データ送受信を許可」するという点は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年7月18日付けの補正において、「人の顔が検出された場合に、前記第2無線通信部による前記通信器とのデータ送受信を許可」すると補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
2.特許法第29条第2項について
当審では、請求項1-5について引用例1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとの拒絶の理由を通知しているが、上記「第6 対比・判断」の欄に記載のように、この拒絶の理由は解消した。
第8 原査定についての判断
平成29年7月18日付けの補正により、補正後の請求項1-5はいずれも、実質的に「ゲームに係る情報処理に応じて前記第2無線通信部による前記通信器との通信が必要となった場合に、ユーザに自らの顔を前記カメラで撮像するよう促すメッセージを表示部に表示し、前記カメラによる撮像を開始」するという技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Bには記載されておらず、本願の原出願の出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-5は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Bに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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