特許異議申立
2023-701356
二酸化炭素回収装置、及び二酸化炭素回収方法
- 審判番号
- 2023-701356
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-126094
- 登録番号
- 7309983
- 請求日
- 2023年12月21日
- 審決日
- 2024年03月22日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社タクマ
- 【権利者代理人】沖中 仁
- 【異議申立人】金田 綾香
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 河本 充雄
- 審判官 松井 裕典
- 分類
- P1651.121-Y (B01D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7309983号発明「二酸化炭素回収装置、及び二酸化炭素回収方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7309983号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7309983号の請求項1~4に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和4年8月8日に出願され、令和5年7月7日にその特許権の設定登録がされ、同年同月18日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~4に係る特許に対し、令和5年12月21日に特許異議申立人 金田 綾香(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱することによって前記二酸化炭素を放散させて回収する二酸化炭素回収装置であって、
前記吸収液を収容する処理塔と、
前記吸収液を、除塵処理された排ガスとの熱交換により、前記二酸化炭素を放散可能な40~90℃に加熱する加熱器と、
を備え、
前記処理塔は、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放散させる再生塔とを含み、
前記加熱器は、前記再生塔の下部に装着される伝熱ジャケットを備え、
前記吸収塔と前記再生塔との間で前記吸収液が循環されるように前記吸収塔と前記再生塔とが接続され、
前記伝熱ジャケットには前記除塵処理された排ガスが導入される二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記再生塔内を減圧する減圧手段を備える請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記加熱器は、前記排ガスが外側表面に接触されるとともに、熱媒が内部に通流される伝熱管を備え、
前記伝熱管の外側表面温度が前記排ガスの露点よりも高くなるように設定される請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
前記加熱器は、前記排ガスが外側表面に接触されるとともに、熱媒が内部に通流される伝熱管を備え、
前記伝熱管は、耐腐食性の材料で構成され、
前記伝熱管の外側表面温度が前記排ガスの露点以下となるように設定される請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第17号証(以下、「甲1」~「甲17」という。)を提出し、以下の理由により、請求項1~4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
(1)申立理由1(進歩性)
本件発明1は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲3~甲12、甲17に記載された周知技術に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、本件発明2は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲3~甲14、甲17に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明3、4は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲3~甲12、甲15~甲17に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
[証拠方法]
甲1:特開2012-30222号公報
甲2:特開2011-224472号公報
甲3:特開2015-211969号公報
甲4:特開2020-148373号公報
甲5:実開昭60-102236号公報
甲6:特開2004-292298号公報
甲7:特開2018-176027号公報
甲8:特開2019-115872号公報
甲9:特開2015-81760号公報
甲10:実願昭56-175444号(実開昭58-83673号)のマイクロフィルム
甲11:特開平5-71885号公報
甲12:橋本健治、外7名、「現代化学工学」、産業図書株式会社、2003年2月28日、272~273ページ
甲13:特開2007-841号公報
甲14:特開2005-270814号公報
甲15:国際公開第2013/058211号
甲16:特開2011-237137号公報
甲17:特開2020-98080号公報
第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等
1 甲1(特開2012-30222号公報)
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。
「【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の化学吸収法における二酸化炭素分離回収装置の概略図である。
・・・」
「【0048】
<分離回収方法>
本発明の二酸化炭素の分離回収方法について説明する。本発明における二酸化炭素の分離回収方法は前述した二酸化炭素吸収材を用いることが最大の特徴である。具体的には、本発明における二酸化炭素吸収材に、二酸化炭素を含有するガスを10℃~50℃で接触させることにより二酸化炭素を吸収させ、その後に、前記二酸化炭素吸収材を加熱することにより二酸化炭素を分離回収する方法が最も好ましい。特に、二酸化炭素吸収材を溶液状態で取り扱う場合には、従来の化学吸収法と同様の装置、設備によって分離回収を行なうことが可能である。従来の化学吸収法における装置の概要を図1に示す。図1において、二酸化炭素を含む混合ガスは必要に応じて加湿冷却された後、ガス供給口14を通って吸収塔11へ供給される。吸収塔11へ押し込められた混合ガスはノズル12から供給される吸収液と下部充填部13で向流接触させられ、混合ガス中の二酸化炭素は吸収液により吸収除去され、脱二酸化炭素ガスは上部の排出口19から排出される。吸収液再生塔117では、再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生され、熱交換器18と冷却器16により冷却され吸収塔へ戻される。吸収液から分離された二酸化炭素は、再生塔還流冷却器116により冷却され、気液分離器114にて二酸化炭素に同伴した水蒸気を凝縮分離され、回収二酸化炭素排出ライン115より排出され回収される。
【0049】
さらに、本発明の二酸化炭素吸収材を使用して、二酸化炭素の分離回収を行なう上で、加熱により二酸化炭素を放出させる際の温度を低くすることが可能となる。二酸化炭素の放出時の温度を低くすることは、再生加熱器の負荷を低減させ、昇温に必要なエネルギーの低減もでき、省エネルギーでの分離回収が可能となる。また、熱交換又はヒートポンプによって未利用の廃熱を利用することも可能となる。ただし、吸収時の温度よりも高くしなければならないため、好ましい放出時の二酸化炭素吸収材の加熱温度としては、60.0℃以上100.0℃以下である。さらにより好ましい範囲としては、65.0℃以上95.0℃以下である。」
「【符号の説明】
【0077】
11 吸収塔
12、112 ノズル
13、111 下部充填部
14 排ガス供給口
15、17 吸収液循環ポンプ
16 冷却器
18 熱交換器
・・・
117 吸収液再生塔
・・・」
「【図1】
[図:0001409178000001.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
ア 上記(1)の【0020】の記載によれば、図1は、二酸化炭素分離回収装置の概略図であるところ、同【0048】には、図1において、二酸化炭素を含む混合ガスは、ガス供給口14を通って吸収塔11へ供給され、吸収塔11へ押し込められた混合ガス中の二酸化炭素は吸収液により吸収除去され、吸収液再生塔117では、再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生され、熱交換器18と冷却器16により冷却され吸収塔へ戻され、吸収液から分離された二酸化炭素は、再生塔還流冷却器116により冷却され、気液分離器114にて二酸化炭素に同伴した水蒸気を凝縮分離され、回収二酸化炭素排出ライン115より排出され回収されることが記載されている。
そうすると、甲1には、ガス供給口14を通って供給された二酸化炭素を含む混合ガス中の二酸化炭素を吸収液により吸収除去する吸収塔11と、再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生される吸収液再生塔117とを備え、再生された吸収液は、熱交換器18と冷却器16により冷却され吸収塔へ戻され、吸収液から分離された二酸化炭素は、再生塔還流冷却器116により冷却され、気液分離器114にて二酸化炭素に同伴した水蒸気を凝縮分離され、回収二酸化炭素排出ライン115より排出され回収される、二酸化炭素分離回収装置が記載されているといえる。
イ 上記(1)の【図1】に記載されている番号「11」、「117」、「15」、「18」は、同【0077】の記載から、それぞれ「吸収塔」、「吸収液再生塔」、「吸収液循環ポンプ」、「熱交換器」であるところ、同【図1】から、吸収塔11と吸収液再生塔117とは、吸収液循環ポンプ15及び熱交換器18を介して、実線矢印でつながっていることが見て取れる。
そうすると、吸収塔11内の吸収液は、吸収液循環ポンプ15及び熱交換器18を介して、吸収液再生塔117に供給されているといえる。
ウ 以上から、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガス供給口14を通って供給された二酸化炭素を含む混合ガス中の二酸化炭素を吸収液により吸収除去する吸収塔11と、
再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生される吸収液再生塔117とを備え、
吸収塔11内の吸収液は、吸収液循環ポンプ15及び熱交換器18を介して、吸収液再生塔117に供給され、
再生された吸収液は、熱交換器18と冷却器16により冷却され吸収塔へ戻され、
吸収液から分離された二酸化炭素は、再生塔還流冷却器116により冷却され、気液分離器114にて二酸化炭素に同伴した水蒸気を凝縮分離され、回収二酸化炭素排出ライン115より排出され回収される、二酸化炭素分離回収装置。」
2 甲2(特開2011-224472号公報)
甲2には、以下の記載がある。
「【請求項1】
ボイラから排出される排ガスから排熱を回収する熱回収器と、排ガスを二酸化炭素(CO2)吸収塔内でアミン吸収液と接触させて排ガス中のCO2を吸収し、該CO2を吸収した吸収液を加熱してCO2再生塔内でCO2を放出させ、CO2放出後の吸収液をリボイラを介して昇温したのち、CO2吸収塔に循環するCO2化学吸収設備とを備えた排ガス処理システムであって、前記熱回収器で回収する熱を、前記CO2化学吸収設備のCO2再生塔からリボイラへ送られる吸収液に与える熱交換手段を有していることを特徴とするCO2化学吸収設備を備えた排ガス処理システム。」
「【実施例】
【0013】
図1は、本発明の排ガス処理システムの一実施例を示す説明図である。図4、5に示す従来のシステムと異なる点は、リボイラ30の給液配管35に熱媒ヒータ36を設け、ボイラ1の空気予熱器3出口の熱回収器4と、上記熱媒ヒータ36との間に、熱媒が通る伝熱管が構成される熱媒循環ライン高温側12a、熱媒循環ライン低温側12b、および熱媒循環ポンプ13を設け、熱回収器4と熱媒ヒータ36の間に伝熱管を介して熱媒を循環させるようにした点である。
・・・
【0015】
本実施例では、リボイラ給液配管35に設けられた熱媒ヒータ36と熱回収器4との間を熱媒循環ライン12a、bを通って熱媒循環ポンプ13により熱媒が循環され、熱回収器4で熱交換して温度上昇した熱媒により、リボイラ給液配管35を通る再生アミン液が加熱される。このようにリボイラ30に供給する再生アミン吸収液35を熱回収器4の熱を回収した熱媒を使用して予熱することにより、リボイラ30に必要なスチーム量を低減することが可能となり、運転コストが低減できる。
【0016】
本発明の他の実施例を図2に示す。図2の基本構成は図1と同様であるが、図2では、ボイラ1からの排ガスで熱回収する熱回収器4に、再生塔26の下部に設けたトレイ55に溜められた吸収液が熱媒循環ライン低温側12bに設けた再生用アミン吸収液循環ポンプ15により熱回収器4に送られ、熱回収して高温になった吸収液が熱媒循環ライン12aを介してリボイラ30に送液される構成となっている。この実施例によれば、リボイラ30に供給する再生アミン吸収液35を、熱回収器4の熱を使用して直接予熱することにより、リボイラ30に必要なスチーム量を低減することができ、運転コストが低減できると共に、図1のような熱媒ヒータ36を設ける必要がないので、装置の設置コストも低減できる。
・・・
【0018】
しかし、本発明の図1、図2の実施例では、再生塔26からリボイラ30に供給する再生アミン吸収液35を予熱することから、再生塔26に供給するアミン吸収液の温度に影響を与えないため、熱回収器4でのアミン吸収液の予熱に制限を設ける必要がなく、ボイラ排ガスからの熱を効率的に利用することができる。」
「【図1】
[図:0001409178000002.jpg]
【図2】
[図:0001409178000003.jpg]
」
3 甲3(特開2015-211969号公報)
甲3には、以下の記載がある。
「【0020】
図1は、本発明に係る実施形態の排ガス処理システムの概要図である。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の排ガス処理システム10において、ボイラ11からの排ガス12は、脱硝装置13で排ガス12中の窒素酸化物(NOx)を除去した後、まずエアヒータAHに導かれてボイラ11に供給される空気を加熱する。その後排ガス12は、除塵装置である乾式の電気集塵機14に導入されて煤塵が除去される。次に、排ガス12は、脱硫装置15に導入されて硫黄酸化物(SOx)が除去される。次いで、排ガス12は冷却塔16で冷却された後、CO2回収装置17に導入されて、二酸化炭素を除去し、CO2吸収塔の塔頂部から浄化ガス18が系外である大気に放出される。なお、電気集塵機14で除去された煤塵は別途灰処理される。」
「【0039】
本実施例では、SO3ミストをCO2回収装置17に導入する前において、炭酸カルシウム噴霧装置31を電気集塵機14と脱硫装置15との間に設け、排ガス12中に炭酸カルシウム(CaCO3)を噴霧している。また、その噴霧した後流側の脱硫装置15の前流側に、排ガス温度を降下させる熱交換器32を設けている。本実施例に係る炭酸カルシウム噴霧装置31及び熱交換器32が、ミスト発生物質除去装置20として機能している。」
「【図4】
[図:0001409178000004.jpg]
【図5】
[図:0001409178000005.jpg]
【図6】
[図:0001409178000006.jpg]
」
4 甲4(特開2020-148373号公報)
甲4には、以下の記載がある。
「【0029】
二次燃焼炉32からの燃焼排ガスは、除塵装置34で除塵処理された後、熱媒体を用いた熱交換器等の熱回収装置35で熱回収することが好ましい。」
「【図1】
[図:0001409178000007.jpg]
」
5 甲5(実開昭60-102236号公報)
甲5には、以下の記載がある(なお、57の丸数字は「○57」と表記する)。
「○57実用新案登録請求の範囲
還元炉内へ還元ガスを循環供給する循環流路に、上記還元炉の後段に位置する乾式の除塵機と同除塵機の後段に位置し循環還元ガスの熱回収を行なう熱交換器とを設け、かつ前記除塵機の内部にはセラミツクフイルタを設けていることを特徴とする還元炉の循環還元ガス処理装置。」(1ページ左欄1~7行)
6 甲6(特開2004-292298号公報)
甲6には、以下の記載がある。
「【0044】
製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱としては、例えば、焼結成品クーラーからの排熱(約350℃)、焼結主排気ガス(約280℃)、熱風炉排ガス(約230℃)、焼結主排気ガス(約180℃)、高炉スラグの水砕に用いた排水(約90℃)といった製鉄プロセスには利用が困難な低品位の熱エネルギーを挙げることができるが、これらに制限されるべきものではない。すなわち、現在の製鉄所(製鉄プラント)では、副生ガスのCOGやLDGから水素リッチガスに水蒸気改質するための酸素燃焼併用の水蒸気改質装置などを用いて高純度の水素を回収すると同時に水素回収後の排ガスを製鉄プラント内の転炉等に利用するなど、より高度化・複雑化してきている。したがって、製鉄所(製鉄プラントないしプロセス)に組み込まれた設備を介して発生する低品位排熱に関しても本実施形態の分離回収方法の低品位排熱に含まれるものである。好ましくは、焼結成品クーラーからの排熱温度以下の低品位排熱を利用または活用するのが望ましい。該焼結成品クーラーからの排熱(約350℃)温度を超えるものは、製鉄所の構成にもよるが、現在のエネルギー回収技術が非常に進んだ製鉄プラントでは、既に高品位熱源として有効利用されているためである。なお、具体的な温度(数値)を規定しなかったのは、焼結成品クーラーでの設定条件や、焼結成品クーラーからの排熱を化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するプロセス(ないし設備)まで運ぶ距離や外気温等の変化により、該化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するプロセスで利用または活用に供される際の温度も若干の変動があるためである。より好ましくは、再生塔での化学吸収液の加熱温度(120℃前後)よりもなるべく高い温度の排熱を利用又は活用して蒸気加熱するのが望ましい。これは、化学吸収液と排熱の温度差が大きい程、熱交換に必要な設備を小さくすることが可能であり、しいてはCO2の分離回収コストを低減できるからである。」
「【図1】
[図:0001409178000008.jpg]
」
7 甲7(特開2018-176027号公報)
甲7には、以下の記載がある。
「【0025】
再生タンク40は、筒状の区画部材43によって、上流側空間44と下流側空間45とに区画されている。このうち上流側空間44は、再生タンク40のうち導入口41の側(上流側)に形成された空間となっている。下流側空間45は、再生タンク40のうち導出口42の側(下流側)に形成された空間であり、上流側空間44よりも下流側に形成されている。
・・・
【0032】
図1に示すように、上流側空間44には、リッチ液4を加熱するヒータ48(加熱部)が設けられている。ヒータ48は、リッチ液4に接してリッチ液4を加熱するヒータ本体49と、ヒータ本体49を支持し、再生タンク40に取り付けるヒータ取付部50と、を有している。本実施の形態では、ヒータ本体49が、上流側空間44内に挿入されており、ヒータ取付部50は、区画部材43の突出部46開口部47に取り付けられている。なお、ヒータ48は、電気ヒータであることが好適であり、リッチ液4を直接的に加熱してもよく、若しくは、油などの媒体を介してリッチ液4を間接的に加熱してもよい。あるいは、ヒータ48は、電気ヒータではなく、高温蒸気を用いてリッチ液4を加熱するようなヒータであってもよい。また、ヒータ48は、ヒータ本体49が筒状に形成された筒型ヒータ、コイル状に形成されたコイル型ヒータ、ヒータ取付部50がフランジ式になっているフランジヒータ、または、ヒータ取付部50がねじ込み式になっているねじ込みヒータであってもよい。さらには、ヒータ48は、再生タンク40の上方から上流側空間に挿入された投げ込み式ヒータであってもよい。」
「【図1】
[図:0001409178000009.jpg]
」
8 甲8(特開2019-115872号公報)
甲8には、以下の記載がある。
「【0019】
再生塔30は、再生塔30に収容された再生部30a(充填層またはトレイ)を有している。この再生部30aは、向流型気液接触装置として構成されており、リッチ液4を加熱してリッチ液4から二酸化炭素を放出させる。より具体的には、再生塔30の上部に供給されたリッチ液4は、再生部30a内を下降する。一方、再生塔30の下部には、ヒータ33が設けられており、再生塔30の下部に貯留されたリーン液5がヒータ33によって加熱されてリーン液5から蒸気が生成される。生成された蒸気は再生部30a内を上昇する。再生部30aにおいて、リッチ液4と蒸気とが気液接触して、リッチ液4が加熱されてリッチ液4から二酸化炭素が放出される。二酸化炭素を放出したリッチ液4はリーン液5になる。このようにして再生塔30において吸収液が再生される。」
「【図1】
[図:0001409178000010.jpg]
」
9 甲9(特開2015-81760号公報)
甲9には、以下の記載がある。
「【0030】
この熱交換装置1は、図1に示すように、例えば腐食性の強い流体である熱交換対象物2を収容する、耐食性に優れたチタン系金属材料からなる熱交換容器10と、熱交換容器10の外周面に巻き回された、内部を熱媒が流通する複数の熱媒流通管20とを備えている。
そして、この実施形態1では、熱交換容器10を構成するチタン系金属材料として純チタン(JIS2種チタン)が用いられている。」
「【図1】
[図:0001409178000011.jpg]
」
10 甲10(実願昭56-175444号(実開昭58-83673号)のマイクロフィルム)
甲10には、以下の記載がある。
「第1図(A)に高粘性流体タンクのタンク・ジヤケツト式熱交換装置が示されており、タンク(1)の外周を囲むジヤケツト(2)と断熱材(3)を設け、スチ-ム、温水等の加熱流体(a)を例えば矢示のようにジヤケツト(2)中に通し、その加熱流体(a)とタンク(1)中の高粘性流体(b)間で熱交換して、さらに、タンク(1)内に攪拌機(4)を配設し、自然対流が期待できない高粘性流体(b)を強制的に攪拌して伝熱する構造になつており、また、第1図(B)に示すタンク・コイル式熱交換装置は、加熱流体(a)を通すコイル(2′)と攪拌機(4)とをタンク(1)内に配設した構造になつている。」(明細書1ページ下から3行~2ページ9行)
「
[図:0001409178000012.jpg]
」
11 甲11(特開平5-71885号公報)
甲11には、以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体を熱媒体として用い、熱交換を行なわせる装置に関し、特に250~300℃ないしはそれ以上の高温で熱交換操作するために、高温の熱媒体を流すのに適したジャケットやコイル等の熱媒体導管を備えた装置に関する。」
「【図1】
[図:0001409178000013.jpg]
」
12 甲12(橋本健治、外7名、「現代化学工学」、産業図書株式会社、2003年2月28日、272~273ページ)
甲12には、以下の記載がある。
「図6.2(a)に槽型反応器の構造を示す.槽型反応器には,攪拌翼が取り付けられ,器内の反応流体は十分に混合攪拌されて,反応物質の濃度,温度は器内の各点で均一とみなせる.また,反応熱の除去(補給)のために,図に示すように槽外壁にジャケットを付けたり,あるいは槽内にコイルを設けスチームあるいは熱媒体を流す.」(272ページ下から5行~最下行)
「
[図:0001409178000014.jpg]
」(273ページ)
13 甲17(特開2020-98080号公報)
甲17には、以下の記載がある。
「【0028】
廃棄物焼却処理施設1において、ボイラ3は、焼却炉2での廃棄物の焼却に伴い発生した高温の排ガスから熱を回収して高圧蒸気を発生する。節炭器4は、ボイラ3で熱回収された後の排ガスから更に熱を回収する。集塵器5は、節炭器4で熱回収された後の排ガスに含まれるダスト等を除去する。集塵器5でダスト等が除去された後の低温の排ガスの熱は、熱交換器6を含む廃熱回収システム20によって回収される。」
「【図1】
[図:0001409178000015.jpg]
」
なお、甲13~甲16については、本件発明2~4に対する周知技術として提示された文献であるから、摘記を省略する。
第5 申立理由1(進歩性)について
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「二酸化炭素を含む混合ガス」は、本件発明1の「二酸化炭素含有ガス」に相当する。
また、甲1発明の「二酸化炭素分離回収装置」は、「ガス供給口14を通って供給された二酸化炭素を含む混合ガス中の二酸化炭素を吸収液により吸収除去」し、「再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生され」、「吸収液から分離された二酸化炭素は、再生塔還流冷却器116により冷却され、気液分離器114にて二酸化炭素に同伴した水蒸気を凝縮分離され、回収二酸化炭素排出ライン115より排出され回収される」ものであるから、二酸化炭素を含む混合ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、二酸化炭素が吸収された吸収液を加熱することによって二酸化炭素を分離させて、すなわち、放散させて、回収しているといえる。
そうすると、甲1発明の「二酸化炭素分離回収装置」と本件発明1の「二酸化炭素回収装置」とは、「二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱することによって前記二酸化炭素を放散させて回収する」ものである点で一致し、甲1発明の「二酸化炭素分離回収装置」は、本件発明1の「二酸化炭素回収装置」に相当する。
イ 甲1発明の「吸収塔11」は、「ガス供給口14を通って供給された二酸化炭素を含む混合ガス中の二酸化炭素を吸収液により吸収除去する」ものであるから、二酸化炭素を吸収液に吸収させるものであるといえる。
そうすると、甲1発明の「ガス供給口14を通って供給された二酸化炭素を含む混合ガス中の二酸化炭素を吸収液により吸収除去する吸収塔11」は、本件発明1の「前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔」に相当する。
ウ 甲1発明の「吸収液再生塔117」は、「再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生される」ものである。
そして、上記アの検討によれば、甲1発明の「二酸化炭素分離回収装置」は、二酸化炭素が吸収された吸収液を加熱することによって二酸化炭素を分離させて、すなわち、放散させて、回収しているものである。
そうすると、甲1発明の「吸収液再生塔117」は、二酸化炭素を吸収した吸収液を、再生加熱器110により加熱することによって、吸収液から二酸化炭素を放散させるものであるといえる。
したがって、甲1発明の「再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生される吸収液再生塔117」は、本件発明1の「前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放散させる再生塔」に相当する。
エ 上記イ及びウの検討を参酌すると、甲1発明の「吸収塔11」と「吸収液再生塔117」とは、いずれも、処理液を収容するものであり、かつ、処理塔といえるから、甲1発明の「二酸化炭素分離回収装置」と、本件発明1の「二酸化炭素回収装置」とは、「吸収塔」と「再生塔」とを含み、「前記吸収液を収容する処理塔」を備えている点で一致する。
オ 甲1発明の「二酸化炭素分離回収装置」においては、「再生加熱器110による加熱により下部充填部111で吸収液が再生される」ものであるから、「再生加熱器110」は、吸収液を加熱して再生させるものであるといえる。
また、上記アの検討によれば、甲1発明の「二酸化炭素分離回収装置」は、二酸化炭素が吸収された吸収液を加熱することによって二酸化炭素を分離させて、すなわち、放散させて、回収するものである。
以上から、甲1発明の「再生加熱器110」は、吸収液を、二酸化炭素を放散可能な温度、すなわち、放出可能な温度に加熱するものであるといえる。
一方、本件発明1の「加熱器」は、「前記吸収液を、除塵処理された排ガスとの熱交換により、前記二酸化炭素を放散可能な40~90℃に加熱する」ものである。
そうすると、甲1発明の「再生加熱器110」と、本件発明1の「加熱器」とは、吸収液を、二酸化炭素を放散可能な温度に加熱するものである点で共通する。
カ 甲1発明において、「吸収塔11内の吸収液は、吸収液循環ポンプ15及び熱交換器18を介して、吸収液再生塔117に供給され、再生された吸収液は、熱交換器18と冷却器16により冷却され吸収塔へ戻される」ものであるから、「吸収塔11」と「吸収液再生塔117」との間で「吸収液」が循環されるように「吸収塔11」と「吸収液再生塔117」とが接続されているといえる。
そうすると、甲1発明と本件発明1とは、「前記吸収塔と前記再生塔との間で前記吸収液が循環されるように前記吸収塔と前記再生塔とが接続され」ている点で一致する。
キ 以上から、本件発明1と甲1発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱することによって前記二酸化炭素を放散させて回収する二酸化炭素回収装置であって、
前記吸収液を収容する処理塔と、
前記吸収液を、前記二酸化炭素を放散可能な温度に加熱する加熱器と、
を備え、
前記処理塔は、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放散させる再生塔とを含み、
前記吸収塔と前記再生塔との間で前記吸収液が循環されるように前記吸収塔と前記再生塔とが接続される二酸化炭素回収装置。」
<相違点>
相違点1:「加熱器」について、本件発明1は、「前記吸収液を、除塵処理された排ガスとの熱交換により、前記二酸化炭素を放散可能な40~90℃に加熱する」ものであって、「前記再生塔の下部に装着される伝熱ジャケットを備え」、「前記伝熱ジャケットには前記除塵処理された排ガスが導入される」であるのに対し、甲1発明は、そのような構成を有していない点。
(2)相違点1についての判断
ア 甲2(上記第4 2の【請求項1】、【0013】、【0015】、【0016】、【0018】)には、ボイラから排出される排ガスから排熱を回収する熱回収器と、排ガスを二酸化炭素(CO2)吸収塔内でアミン吸収液と接触させて排ガス中のCO2を吸収し、該CO2を吸収した吸収液を加熱してCO2再生塔内でCO2を放出させ、CO2放出後の吸収液をリボイラを介して昇温したのち、CO2吸収塔に循環するCO2化学吸収設備とを備えた排ガス処理システムにおいて、熱回収器の熱によって吸収液を直接予熱することによってボイラ排ガスからの熱を効率的に利用できることが記載されている。
そして、甲3(上記第4 3の【0020】、【0039】、【図4】~【図6】)には、排ガス12を除塵装置である乾式の電気集塵機14に導入して煤塵を除去し、排ガス12をCO2回収装置17に導入する前に、排ガス12の温度を熱交換器で降下させることが記載され、甲4(上記第4 4の【0029】、【図1】)には、二次燃焼炉32からの燃焼排ガスを、除塵装置34で除塵処理した後、熱媒体を用いた熱交換器等の熱回収装置35で熱回収することが好ましいことが記載され、甲5(上記第4 5の実用新案登録請求の範囲)には、乾式の除塵機と同除塵機の後段に位置し循環還元ガスの熱回収を行なう熱交換器とを設けることが記載され、甲17(上記第4 13の【0028】、【図1】)には、集塵器5でダスト等が除去された後の低温の排ガスの熱を、熱交換器6を含む廃熱回収システム20によって回収することが記載されている。
また、甲6(上記第4 6の【0044】、【図1】)には、再生塔での化学吸収液を、排熱を利用又は活用して蒸気加熱するのが望ましく、排熱としては、例えば、焼結成品クーラーからの排熱(約350℃)、焼結主排気ガス(約280℃)、熱風炉排ガス(約230℃)、焼結主排気ガス(約180℃)、高炉スラグの水砕に用いた排水(約90℃)といった製鉄プロセスには利用が困難な低品位の熱エネルギーを挙げることができるが、これらに制限されるべきものではないこと、甲7(上記第4 7の【0032】、【図1】)には、再生タンク40の上流側空間44には、リッチ液4を加熱するヒータ48(加熱部)を設けること、ヒータ48は、ヒータ本体49が筒状に形成された筒型ヒータ、コイル状に形成されたコイル型ヒータ、ヒータ取付部50がフランジ式になっているフランジヒータ、または、ヒータ取付部50がねじ込み式になっているねじ込みヒータであってもよいこと、さらには、ヒータ48は、再生タンク40の上方から上流側空間に挿入された投げ込み式ヒータであってもよいことが記載され、甲8(上記第4 8の【0019】、【図1】)には、再生塔30の下部に、ヒータ33が設けられ、再生塔30の下部に貯留されたリーン液5がヒータ33によって加熱されてリーン液5から蒸気が生成されることが記載されている。
さらに、甲9(上記第4 9の【0030】、【図1】)には、熱交換装置1は、耐食性に優れたチタン系金属材料からなる熱交換容器10と、熱交換容器10の外周面に巻き回された、内部を熱媒が流通する複数の熱媒流通管20とを備えていること、甲10(上記第4 10の1ページ下から3行~2ページ9行、第1図)、高粘性流体タンクのタンク・ジヤケツト式熱交換装置において、タンク(1)の外周を囲むジヤケツト(2)が設けられていること、甲11(上記第4 11の【0001】、【図1】)には、気体を熱媒体として用い、熱交換を行なわせる装置において、高温の熱媒体を流すのに適したジャケットやコイル等の熱媒体導管を備えること、甲12(上記第4 12の272ページ下から5行~最下行、図6.2(a))には、槽型反応器における反応熱の除去(補給)のために、槽外壁にジャケットを付けたり,あるいは槽内にコイルを設けスチームあるいは熱媒体を流すことが記載されている。
イ しかし、相違点1に係る本件発明1の構成である「除塵処理された排ガスが導入され」、「前記再生塔の下部に装着される伝熱ジャケットを備え」る「加熱器」は、甲2~甲12、甲17には記載されていないし、甲13~甲16にも記載されていない。
そうすると、甲1発明に甲2~甲17に記載された事項を適用しても、相違点1に係る本件発明1の構成は得られない。
したがって、引用発明1に甲2~甲17に記載された事項を適用し、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)申立人の主張について
ア 申立人は、特許異議申立書の24ページ4行~26ページ11行において、構成要件1Cの「吸収液を、除塵処理された排ガスとの熱交換により加熱する」構成は、甲1発明に甲2記載事項及び周知技術(甲3~甲5、甲17)を適用することにより、当業者が容易に想到し得るものであり、構成要件1Eの「加熱器」として「伝熱ジャケット」を使用することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない(甲6~甲12)。
さらに、甲2には、ボイラ1からの排ガスで熱回収する熱回収器4に、再生塔26内の吸収液(再生アミン吸収液35)が送られ、熱回収器4の熱を使用して吸収液を直接予熱する実施例が記載されており(【0016】、【図2】)、つまり、甲2には、二酸化炭素を吸収した吸収液を、熱媒体を介さずに排ガスによって直接的に加熱する構成が記載されており、また、甲2には、この実施例によれば、再生アミン吸収液35を熱回収器4の熱を使用して直接予熱することにより、運転コストが低減できることが記載されている(【0016】)。
そうすると、構成要件1C及び構成要件1Eを満たす構成において甲2に記載された技術事項を適用し、二酸化炭素を吸収した吸収液を排ガスによって直接的に加熱するために「伝熱ジャケットに除塵処理された排ガスを導入する」ことは、当業者にとって至極当然の技術常識であり、また、本件発明1において、「再生塔が除塵処理された排ガスによって直接的に加熱される」ことでより効率的に廃熱を利用することができ、エネルギーコストを低く抑えることができるという効果は、甲2発明の効果と同質のものであり、当業者であれば予測し得る範囲内の効果であるといえるから、甲2に記載された事項及び甲3~12に記載された周知技術を甲1発明に適用することにより、構成要件1Gの「伝熱ジャケットには除塵処理された排ガスが導入される」構成を導き出すことは、当業者が容易に想到し得るものである旨主張している。
イ しかし、甲2の排ガス処理システムにおいて、熱回収器4は、空気余熱器3と集塵装置5との間に設けられているから(【図1】、【図2】参照)、再生塔26の下部に装着されるものではないし、除塵処理した排ガスを導入するものでもない。
そうすると、甲1発明における「再生加熱器110」を、相違点1に係る本件発明1の構成である「除塵処理された排ガスが導入され」、「前記再生塔の下部に装着される伝熱ジャケットを備え」る「加熱器」とするためには、甲2の排ガスシステムにおいて、空気余熱器3と集塵装置5との間に設けられている熱回収器4を集塵装置5と入替え、その熱回収器4と媒熱ヒータ36とを伝熱ジャケットに替え、さらに、その伝熱ジャケットを再生塔26の下部に装着した構成(以下、「甲2記載事項から得られた構成」という。)とした上で、甲1発明に適用することとなる。
ここで、上記甲2記載事項から得られた構成は、本件特許の出願当時において公知であるとはいえない。
また、上記(2)で検討したとおり、相違点1に係る本件発明1の構成である「除塵処理された排ガスが導入され」、「前記再生塔の下部に装着される伝熱ジャケットを備え」る「加熱器」は、甲2~17のいずれの文献にも記載されておらず、甲1発明に甲2~甲17に記載された事項を適用しても、相違点1に係る本件発明1の構成は得られないから、引用発明1に甲2~甲17に記載された事項を適用し、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(4)小括
以上によれば、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲17に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲17に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、申立理由1は理由がない。
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701356