特許異議申立
2023-701293
ドライペットフード
- 審判番号
- 2023-701293
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-192270
- 登録番号
- 7288132
- 請求日
- 2023年12月06日
- 審決日
- 2024年09月19日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ユニ・チャーム株式会社
- 【権利者代理人】松沼 泰史
- 【権利者代理人】宮本 龍
- 【権利者代理人】佐藤 彰雄
- 【権利者代理人】▲高▼梨 航
- 【異議申立人】大薮 恭平
- 審判長/審判官
- 審判長 古屋野 浩志
- 審判官 西田 秀彦
- 審判官 立澤 正樹
- 分類
- P1651.537-YAA(A23K) / P1651.536-YAA(A23K) / P1651.113-YAA(A23K) / P1651.121-YAA(A23K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7288132号発明「ドライペットフード」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7288132号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。
特許第7288132号の請求項1-7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7288132号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和4年11月30日に出願され、令和5年5月29日にその特許権の設定登録がされ、同年6月6日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。
令和5年12月 6日 :特許異議申立人大藪恭平(以下「申立人」と いう。)による特許異議の申立て
6年 3月 4日付け:取消理由通知
6年 5月 7日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
6年 8月 8日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年5月7日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「水分含有量が3~12質量%である膨化粒を含むドライペットフードであって、
油脂の含有量が、前記ドライペットフードの全量に対して10質量%以上であり、
下記測定条件における、前記ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.08%以上である、ドライペットフード。
(測定条件)
(1)濾紙面積420×600mm2の濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)の質量を測定する。
(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上に、前記濾紙を広げて載置する。
(3)前記トレイ上に広げた前記濾紙の上に前記ドライペットフード500gを満遍なく広げて載置する。
(4)前記ドライペットフードを載置した前記トレイを、37℃に加温した電気オーブン内に30分間静置する。
(5)前記電気オーブンから前記トレイを取り出し、前記濾紙の質量を測定する。
(6)下記計算式より、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を算出する。
ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する、請求項2~7も同様に訂正する。)
より詳細には、訂正事項1に係る訂正は、
(ア)訂正前の「cm2」を、訂正後の「mm2」に訂正すること、
(イ)訂正前の「濾紙」を、訂正後の「濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)」に訂正すること、
(ウ)訂正前の「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した紙の質量/(前記(1)で測定した濾紙の質量)]×100」を、訂正後の「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」に訂正することを含んでおり、上記(ア)~(ウ)のとおり訂正する訂正事項を、以下、訂正事項1(ア)~訂正事項1(ウ)といい、まとめて訂正事項1という。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0007】を、
「 上記目的を達成するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]水分含有量が3~12質量%である膨化粒を含むドライペットフードであって、
油脂の含有量が、前記ドライペットフードの全量に対して10質量%以上であり、
下記測定条件における、前記ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.06%以上である、ドライペットフード。
(測定条件)
(1)濾紙面積420×600mm2の濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)の質量を測定する。
(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上に、前記濾紙を広げて載置する。
(3)前記トレイ上に広げた前記濾紙の上に前記ドライペットフード500gを満遍なく広げて載置する。
(4)前記ドライペットフードを載置した前記トレイを、37℃に加温した電気オーブン内に30分間静置する。
(5)前記電気オーブンから前記トレイを取り出し、前記濾紙の質量を測定する。
(6)下記計算式より、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を算出する。
ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100
[2]前記膨化粒が、ネスティングインデックス0.25mmのLフィルターを使用して測定される算術平均面粗さSaが14μm以上である面を有する粒を含む、前記[1]に記載のドライペットフード。
[3]前記油脂の融点が、30~40℃である、前記[1]又は[2]に記載のドライペットフード。
[4]前記ドライペットフードの表面にしみ出す物質が、トリグリセリド及びタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、前記[1]~[3]のいずれか一つに記載のドライペットフード。
[5]パウダー状嗜好性向上剤を、前記ドライペットフードの全量に対して3.0質量%以上含む、前記[1]~[4]のいずれか一つに記載のドライペットフード。
[6]L*a*b*表色系におけるL*値が、21~33である、請求項1に記載のドライペットフード。
[7]小麦粉を、前記ドライペットフードの全量に対して30質量%以上含む、前記[2]に記載のドライペットフード。」に訂正する。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0021】を、
「(37℃油脂しみ出し率の測定条件)
(1)濾紙面積420×600mm2の濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)の質量を測定する。
(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上に、前記濾紙を広げて載置する。
(3)前記トレイ上に広げた前記濾紙の上に前記ドライペットフード500gを満遍なく広げて載置する。
(4)前記ドライペットフードを載置した前記トレイを、37℃に加温した電気オーブン内に30分間静置する。
(5)前記電気オーブンから前記トレイを取り出し、前記濾紙の質量を測定する。
(6)下記計算式より、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を算出する。
ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0023】を、
「(25℃油脂しみ出し率の測定条件)
(1)濾紙面積420×600mm2の濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)の質量を測定する。
(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上に、前記濾紙を広げて載置する。
(3)前記トレイ上に広げた前記濾紙の上に前記ドライペットフード500gを満遍なく広げて載置する。
(4)前記ドライペットフードを載置した前記トレイを、常温(25℃)にて30分間静置する。
(5)前記濾紙の質量を測定する。
(6)下記計算式より、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を算出する。
ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0057】を、
「[油脂しみ出し率の評価]
ペットフード粒体(1)及び(2)について、下記測定条件にしたがってドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を測定した。結果を表2に示す。
(測定条件)
(1)濾紙面積420×600mm2の濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)の質量を、電子天秤(製品名:METTLER AE200;日本シイベルヘグナー株式会社製)を用いて測定した。
(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ(製品名:トレーコンテナー;岐阜プラスチック工業株式会社製)上に、前記濾紙を広げて載置した。
(3)前記トレイ上に広げた前記濾紙の上に、表2に示す量のペットフード粒体(1)又は(2)を満遍なく広げて載置した。
(4)前記ドライペットフードを載置した前記トレイを、37℃に加温した電気オーブン内に30分間静置した、若しくは常温(25℃)にて30分間静置した。
(5)前記電気オーブンから前記トレイを取り出す、若しくは常温(25℃)にて30分間静置した前記トレイを取り、前記濾紙の質量を測定する。
(6)下記計算式より、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を算出する。
ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[表2に示す前記ドライペットフードの質量]×100」に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
(ア)訂正事項1(ア)について
訂正事項1(ア)に係る訂正は、訂正前の明らかな誤記である「cm2」を、訂正後の「mm2」に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(イ)訂正事項1(イ)について
訂正事項1(イ)に係る訂正は、訂正前の「濾紙」について、何ら特定されていないものから、訂正後の「濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)」と特定して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ)訂正事項1(ウ)について
a 訂正前の「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)/(前記(1)で測定した濾紙の質量)]×100」の計算式(以下、単に「訂正前の計算式」という。)の記載では、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率」が、どのような場合でも100%を超えることとなり、請求項1の「下記測定条件における、前記ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.08%以上である」のうちの、0.08%~100%までの部分が、どのような技術的意味を有しているのか不明瞭であった。
また、訂正前の計算式は、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率」を求めようとする式であるにもかかわらず、「油脂しみ出し量」の「ペットフードの質量」に対する割合を求める式となっていない。すなわち、計算式には、(前記(5)で測定した濾紙の質量)と(前記(1)で測定した濾紙の質量)との差分から油脂しみ出し量を特定する点が含まれておらず、また、油脂しみ出し量の、対象としたペットフードの質量(500g)に対する割合を求める式となっていない。一方、本件特許の明細書の段落【0059】の【表2】において、「油脂しみ出し率(%)」は、「重量比」との記載から「油脂しみ出し量(g)」を「粒の量(g)」で除していることは明らかであり、「油脂しみ出し量(g)」は、油脂のしみ出し前後での濾紙の重量差により求められていると推認できる。
したがって、訂正前の計算式の内容は不合理であり、本件特許の明細書の上記段落の記載との関係において不明瞭となっていた。
b 本件特許の明細書の段落【0059】の【表2】の記載、及び、しみ出し量(g)が、油脂のしみ出し前後での濾紙の重量差により求められていると推認できることに照らすと、訂正後の油脂しみ出し率について、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」(以下、単に「訂正後の計算式」という。)と記載することは、合理的であり、明細書の上記段落の記載との関係においても明瞭である。
そうすると、訂正前の計算式を、訂正後の計算式に訂正することは、訂正前の計算式の内容を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
なお、特許権者が提出した乙1~4にも見られるように、食品分野において油脂等の「しみ出し率」が、しみ出した油脂等の質量を算出するとともに、当該しみ出した油脂等の質量を、対象となる食品の質量で除して算出されることは、技術常識であるから、油脂しみ出し率に係る訂正後の計算式の記載は、技術常識とも整合するものである。
c 以上のとおりであるから、訂正事項1(ウ)に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アで示したとおり、訂正事項1(ア)~(ウ)に係る訂正は、誤記の訂正、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
(ア)訂正事項1(ア)について
本件特許の明細書の段落【0057】に記載された「濾紙(ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)」は、濾紙サイズが、mm2単位であることが明らかであること、また、本件特許の明細書の段落【0021】等に「(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上に、前記濾紙を広げて載置する。」と記載されているとおり、上記濾紙が、外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上で広げて載置されるものであることをふまえると、測定の際に用いる濾紙の濾紙面積の単位について、本来は、「mm2」であったことを導き出せる。
(イ)訂正事項1(イ)について
本件特許の明細書の段落【0057】には、「濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)」との記載がある。
(ウ)訂正事項1(ウ)
本件特許の明細書の段落【0059】【表2】には、「油脂しみ出し率(%)」とは、「重量比」であって、「油脂しみ出し量(g)」を「粒の量(g)」で除しとしたものとなることは明らかであり、また、油脂のしみ出し量を求める手段として、しみ出し前後での濾紙の重量差により特定されることも自明であって、これらに照らすと、測定の対象をドライペットフードの質量(500g)とした場合において、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」との式を導き出せる。
よって、訂正事項1(ア)~(ウ)に係る訂正は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載されているといえる。
したがって、訂正事項1(ア)~(ウ)に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
以上のとおりであるから、訂正事項1(ア)~(ウ)に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2~5について
ア 訂正の目的
訂正事項2~5に係る訂正は、上記訂正事項1に係る、請求項1~7の記載の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。
よって、訂正事項2~5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2~5に係る訂正は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126項第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項2~5に係る訂正は、上記ア及びイで判断したことをふまえれば、本件明細書等に記載されているといえるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項2~5に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
3 独立特許要件について
本件においては、訂正前の請求項1~7について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項1~7に係る訂正事項1~5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
4 訂正の単位について
訂正前の請求項1~7について、請求項2~7は、請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正され、請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
5 申立人の主張について
申立人は、特許権者が提出した乙第1号証乃至乙第4号証は、何れもヒト用の食品であり、かかるヒト用の食品をもってペットフード食品分野の技術常識を認定することは適切でなく、また、「油脂しみ出し率」には、種々の算出方法があり(「油脂しみ出し加重比率」、「しみ出し面積比率」)、「[(油脂吸着濾紙質量)-(濾紙質量)]/[測定試料重量]×100」に一義的に特定されるということはできない旨主張する。(申立人意見書2頁526行)
しかしながら、乙第1号証乃至乙第4号証がヒト用の食品に関するしみ出し率であるとしても、しみ出し率という物性を算出する上では変わりはないから、食品分野におけるしみ出し率として上記計算式は技術常識といえる。なお、特許権者は、乙号証によりペットフード食品分野の技術常識を認定しようとするものではない。
また、申立人は、文献を示しつつ、「油脂しみ出し率」の算出方法は一義的に特定されるものではない旨主張するが、申立人が示すものは、「油脂しみ出し加重比率」、「油脂しみ出し面積比率」であって、「油脂しみ出し率」ではない。
そして、上記技術常識とともに、本件明細書等の段落【0059】の【表2】の記載から推認できる、「油脂しみ出し率(%):重量比」を算出する式をふまえれば、訂正後の計算式に、訂正できるといえる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
6 訂正の適否のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1~3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
令和6年5月7日にした本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~7に係る発明(以下「本件訂正発明1」等といい、本件訂正発明1~7をまとめて「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
水分含有量が3~12質量%である膨化粒を含むドライペットフードであって、
油脂の含有量が、前記ドライペットフードの全量に対して10質量%以上であり、
下記測定条件における、前記ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.08%以上である、ドライペットフード。
(測定条件)
(1)濾紙面積420×600mm2の濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)の質量を測定する。
(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上に、前記濾紙を広げて載置する。
(3)前記トレイ上に広げた前記濾紙の上に前記ドライペットフード500gを満遍なく広げて載置する。
(4)前記ドライペットフードを載置した前記トレイを、37℃に加温した電気オーブン内に30分間静置する。
(5)前記電気オーブンから前記トレイを取り出し、前記濾紙の質量を測定する。
(6)下記計算式より、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を算出する。
ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100
【請求項2】
前記膨化粒が、ネスティングインデックス0.25mmのLフィルターを使用して測定される算術平均面粗さSaが14μm以上である面を有する粒を含む、請求項1に記載のドライペットフード。
【請求項3】
前記油脂の融点が、30~40℃である、請求項1に記載のドライペットフード。
【請求項4】
前記ドライペットフードの表面にしみ出す物質が、トリグリセリド及びタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1に記載のドライペットフード。
【請求項5】
パウダー状嗜好性向上剤を、前記ドライペットフードの全量に対して3.0質量%以上含む、請求項1に記載のドライペットフード。
【請求項6】
L*a*b*表色系におけるL*値が、21~33である、請求項1に記載のドライペットフード。
【請求項7】
小麦粉を、前記ドライペットフードの全量に対して30質量%以上含む、請求項2に記載のドライペットフード。」
第4 特許異議申立書に記載された特許異議申立理由の概要、取消理由通知に記載した取消理由の概要、及び証拠について
1 異議申立理由の概要
特許異議申立書の4~9頁、28頁24行~29頁4行をふまえると、申立人が主張する異議申立理由の要旨は、次のとおりである。
(1)サポート要件違反(特許法36条6項1号)
訂正前の請求項1~7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(2)実施可能要件違反(特許法36条4項1号)
本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、訂正前の本件請求項1~7に係る発明を実施できる程度に明確且つ十分に記載されておらず、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(3)明確性要件違反(特許法36条6項2号)
訂正前の請求項1~7に係る発明は、発明を特定できる程度に明確ではなく、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(4)新規性欠如(特許法29条1項3号)
訂正前の請求項1~4、7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
訂正前の請求項1、3、5~7に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
訂正前の請求項1、3、4、7に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であって、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(5)進歩性欠如(特許法29条2項)
訂正前の請求項1~7に係る発明は、甲第1号証~甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1~7に係る特許に対して、当審が令和6年3月4日付けで通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)サポート要件違反(特許法36条6項1号)
本件特許の請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は取り消すべきものである。
(2)実施可能要件違反(特許法36条4項1号)
本件特許の請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は取り消すべきものである。
(3)明確性要件違反(特許法36条6項2号)
本件特許の請求項1~7に係る特許は、下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は取り消すべきものである。
3 証拠
特許異議申立人が提示した証拠は以下のとおりである。
甲第1号証:特開2019-97416号公報
甲第2号証:国際公開第2017/056275号
甲第3号証:特開2018-93731号公報
第5 証拠について
1 甲第1号証
(1)甲第1号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第1号証には、以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。
ア「【0001】
本発明はキャットフードに関する。
【0002】
ネコの栄養食基準を満たす総合栄養食として、水分含量が約10重量%以下の、いわゆるドライフードが生産・販売されている。ドライフードは保存性に優れ、栄養成分を容易に調整でき、安価であることなどから、キャットフードとして主流である。」
イ「【0008】
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
本明細書において、ペットフード粒体とは、ペットフードの一部または全部として用いられる粒の集合を意味する。本明細書において、ペットフード粒体を構成する粒を「フード粒」ともいう。
本明細書において、油脂を「コーティングする」とは、油脂をフード粒の表面に付与して、フード粒に付着させることを意味し、付与した油脂の一部または全部がフード粒に浸み込む(含浸される)場合を含む。」
ウ「【0013】
本実施形態に係るキャットフードに含まれる膨化粒の水分含有量は12質量%以下であり、3~12質量%が好ましく、5~12質量%がより好ましく、8~10質量%が更に好ましい。水分含有量が前記範囲の下限値以上であると、十分な吸水性が得られる。一方、水分含有量が前記範囲の上限値以下であると、十分な嗜好性が得られる。」
エ「【0019】
[原料]
本実施形態に係るキャットフードは上記の物性を満たすものであればよく、原料は限定されない。キャットフードの製造において公知の原料を用いることができる。
粉体原料の例としては穀類(トウモロコシ、小麦、米、大麦、燕麦、ライ麦等)、豆類(脱脂大豆、丸大豆等)、デンプン類(小麦デンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン等)、植物性タンパク質(コーングルテンミール、大豆タンパク等)、肉類(鶏肉、牛肉、豚肉、鹿肉、ミール類(チキンミール、豚ミール、牛ミール、これらの混合ミール)等)、魚介類(魚肉、ミール類(フィッシュミール)等)、野菜類、粉状の添加物(ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、フレーバー原料、繊維、着色料、嗜好剤等)が挙げられる。
ミール類とは肉類または魚介類を圧縮させ細かく砕いた粉体を意味する。
嗜好剤としては、動物原料エキス、植物原料エキス、酵母エキス(ビール酵母エキス、パン酵母エキス、トルラ酵母エキス)、酵母(ビール酵母、パン酵母、トルラ酵母等)の乾燥物等が挙げられる。
【0020】
粉体原料に添加する液体原料として、必要に応じて水、油脂類、液糖、嗜好剤溶液、香料、着色剤等の液体原料を用いることができる。また膨化粒の乾燥後に、油脂類、調味料、嗜好剤、香料等を含む液体原料(コーティング剤)をコーティングしてもよい。
油脂類は植物性油脂でもよく、動物性油脂(鶏油、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、乳性脂肪等)でもよい。コーティング剤は動物性油脂を含むことが好ましく、特に牛脂を含むことが好ましい。
【0021】
原料の配合は特に限定されない。得ようとするフード粒の栄養組成を満たすとともに、良好な成形性が得られるように設定することが好ましい。
穀類55~75質量%、肉類10~25質量%、魚介類5~15質量%、ビタミン・ミネラル類2~5質量%、油脂類2~20質量%、残りはその他の成分、合計100質量%。」
オ「【0059】
[乾燥工程]
こうして得られる粒を、所定の水分含量となるまで必要に応じて乾燥して膨化粒(フード粒)を得る。ドライタイプのフード粒を製造する場合、乾燥工程は必須である。
例えば、エクストルーダーから排出される粒の水分含量は10~20質量%である。この程度の水分を含んでいると良好な成形性が得られやすい。
エクストルーダーから排出される粒の温度は、エクストルーダー内での加熱温度に依存する。例えば90~150℃である。
エクストルーダーから排出された粒を乾燥する方法は公知の方法を適宜用いることができる。例えば、粒に熱風を吹き付けて乾燥させる熱風乾燥法、減圧乾燥法、油中でフライする方法等が挙げられる。例えばコンベア式の熱風乾燥機を用いた熱風乾燥法が好ましい。
乾燥条件(温度、時間)は、粒の成分の熱変性を生じさせずに、粒の温度を100℃以上に昇温させて粒中の水分を蒸発させ、所望の水分含量に調整できる条件であればよい。
例えば、熱風乾燥機で乾燥させる場合、粒に接触させる熱風の温度は100~140℃が好ましく、100~110℃がより好ましい。乾燥時間は特に限定されず、例えば5~20分間程度で行われる。」
カ「【0062】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1、2に示す装置を用いてペットフード粒体を製造した。
ダイプレート12内の流路の最小内径rは5mm、第2の開口部の内径Rは18mm、距離Dは18mmとした。R/rの比は3.6である。最小内径部12cの出口および第2の開口部12bの出口はいずれも円形とした。
まずプレコンディショナーを用いて、表1に示す配合で、原料を混合し、温水とスチームを加えて90~100℃で3分間加熱処理して原料混合物(水分含有量20~26質量%)を得た。
次いで、得られた原料混合物をエクストルーダーに供給し、混練しながら120~135℃で30秒間の加熱処理を施し、混練物をダイプレートから排出して切断することにより、直径8mm、厚さ3.5mmの円柱状のフード粒を成型した。
その後、得られたフード粒を乾燥機によって約90~110℃で約60分間で乾燥して、水分含有量を8質量%に調整した。
乾燥後、真空コート法によりコーティング用油脂をペットフード全体(外添剤も含む)に対して5質量%のコーティング量でコート処理してペットフード粒体を得た。
【0063】
[実施例2]
まずプレコンディショナーを用いて、表1に示す配合で、原料を混合し、90~100℃で3分間加熱処理し、エクストルーダーを用いて、直径5~15mm、厚み2~5mmの丸型フード粒と、内径5~15mm、外径2~5mm(異形度1.2~5)の四葉型フード粒との混合物となるように造粒した。押出しによる造粒の際に120~135℃で30秒間加熱処理した。その後、得られたフード粒を乾燥機によって約90~110℃で約60分で乾燥した。
次いで、乾燥後のフード粒に対して、粗牛脂、調味料及び香料を含むコーティング剤をペットフード全体(外添剤も含む)に対して5質量%のコーティング量でコート処理を施し、ペットフードを得た。」
キ「【0065】
【表1】
[図:0001417632000001.jpg]
」
(2)甲第1号証に記載された発明
上記(1)より、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「キャットフードにおいて、
キャットフードに含まれる膨化粒の水分含有量は3~12質量%であり、
油脂類2~20質量%であり、
ドライタイプのフード粒である、
キャットフード。」
2 甲第2号証
(1)甲第2号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第2号証には、以下の記載がある。
ア「[0001] 本発明はペットフードに関する。より詳しくは、ペットが食後に嘔吐してしまうことが低減されたペットフードに関する。」
イ「[0012] 本発明のペットフードは、水分含有量が6~15質量%であり、8~15質量%が好ましく、8~12質量%がより好ましい。水分含有量が前記範囲の下限値以上であることにより、フード粒表面の隙間が埋まることなく、十分な吸水性が得られる。一方、水分含有量が前記範囲の上限値以下であることにより、十分な嗜好性および嘔吐抑制効果が得られる。」
エ「[0040]<原料>
フード粒の原料は、飼料として使用可能なものであればよい。ペットフードの製造において公知の原料を適用できる。例えば、穀類(トウモロコシ、小麦、米等)、豆類(丸大豆等)、植物性タンパク質(コーングルテンミール、大豆タンパク等)、肉類(鶏肉、牛肉、豚肉、鹿肉、ミール類(チキンミール、豚ミール等)等)、魚介類(魚肉、ミール類(フィッシュミール)等)、野菜類、添加剤(ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、フレーバー原料、繊維、着色料、嗜好性向上剤等)、外添剤(油脂、嗜好性向上剤等)等が挙げられる。ミール類とは肉類または魚介類を圧縮させ細かく砕いた粉末物を意味する。
外添剤とは、原料混合物が粒状に成形(造粒)された後に、添加(コーティング)される成分を意味する。
[0041] 本実施形態において、造粒したフード粒に、外添剤として、油脂をコーティングしてもよい。フード粒が油脂コーティングを有する場合、吸水効果を得つつ、ペットフードのカロリーを調整することができ、嘔吐抑制効果を得つつ、嗜好性を向上されることができる。
コーティングする油脂は、植物性油脂でもよく、動物性油脂でもよい。油脂は1種類でもよく、2種以上を併用してもよい。
コーティングする油脂は、35℃以上に融点を有する油脂が好ましい。コーティングする油脂の融点が上記の範囲であると、ペットフードの保存中に油脂の浸み出しが生じ難い。35℃以上に融点を有する油脂の例としては、動物性油脂では牛脂(融点35~55℃)、豚脂(融点28~48℃)、鶏脂(融点30~40℃)等、植物性油脂ではパーム油(融点27~50℃)等、またはこれらを含む油脂の混合物が挙げられる。油脂は1種類でもよく、2種以上を併用してもよい。
油脂のコーティング量は、ペットフード全体(外添剤も含む)対して、3~20質量%が好ましく、4~16質量%がより好ましい。油脂のコーティング量が上記の範囲内であると、嗜好性と適切な油脂摂取量とのバランスが得られやすい。
・・・
[0043] フード粒に油脂をコーティングした後に、外添剤として、粉状(パウダー)または液状の嗜好性向上剤をコーティングしてもよい。
嗜好性向上剤としては、動物性原料分解物、植物性原料分解物、酵母エキス、酵母、魚介類、アミノ酸、核酸等が挙げられる。嗜好性向上剤は1種でもよく、2種以上を用いてもよい。
嗜好性向上剤の添加量は、ペットフード全体(外添剤も含む)対して、0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
[0044] 原料の配合は特に限定されない。得ようとするフード粒の栄養組成を満たすとともに、良好な成形性が得られるように設定することが好ましい。
ドライタイプのフード粒の配合(外添剤も含む)の例を以下に示す。
(ドライタイプのフード粒の配合例)
穀類、豆類、デンプン類の合計10~70質量%、肉類および魚介類の合計15~45質量%、植物性タンパク質0~20質量%、外添剤3~20質量%、残りはその他の成分。
[0045]<ペットフードの製造方法>
[造粒工程]
造粒工程では、原料混合物を造粒してフード粒を得る。原料を混合して原料混合物とする方法、および該原料混合物を粒状に成形(造粒)する方法は、公知の方法を用いることができる。
例えばエクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法を好適に用いることができる。
エクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法は、例えば「小動物の臨床栄養学 第5版」(Michael S. Hand、Craig D. Thatcher, Rebecca L. Remillard, Philip Roudebusg、Bruce J. Novotny 編集、Mark Morris Associates 発行;2014年;p.209~p.215)に記載されている方法等が適用できる。」
(2)甲第2号証に記載された発明
上記(1)より、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「ペットフードにおいて、
水分含有量が6~15質量%であり、
油脂のコーティング量は、ペットフード全体対して、3~20質量%であり、
ドライタイプのフード粒である、
ペットフード。」
3 甲第3号証
(1)甲第3号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第3号証には、以下の記載がある。
ア「【0001】
本発明は、犬や猫な
どのペットの健康維持のためのペットフードに関する。」
イ「【0017】
また、本発明のペットフードは脂肪を含有する。脂肪としては、食用の油脂を特に制限なく用いることができ、動物性油脂及び植物性油脂の何れか1種のみでも良く、両方を用いても良い。脂肪の具体例として、牛脂、豚脂、馬脂、乳脂、魚油等の動物性油脂;コーン油、サラダ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、ナタネ油、亜麻仁油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマワリ油等の植物性油脂等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの脂肪の中でも特に魚油、亜麻仁油は、これらに豊富に含まれるω3脂肪酸に抗炎症作用、抗酸化作用があり、腎臓病の予防・進行抑制に有用であるため、本発明で好ましく用いられる。
【0018】
本発明のペットフードにおける脂肪の含有量は、ペットへのエネルギー補強、栄養バランス、嗜好性、ペットフード特にドライペットフード製造時の成形加工性などの観点から、ペットフードの全質量に対して乾物換算で10~15質量%であり、好ましくは12~15質量%である。ペットフードにおける脂肪の含有量が10質量%未満では、1日のエネルギー要求量を満たすためにペットフードの給与量が多くなりすぎるおそれがあり、脂肪の含有量が15質量%を超えると、総コレステロールやALPなどの上昇を招くおそれがある。本発明において、ペットフードにおける脂肪の含有量とは、飼料分析基準第3章3.2に記載の酸分解ジエチルエーテル抽出法に従って測定された値(粗脂肪量)である。
・・・
【0021】
本発明のペットフードにおける水分含量は、ドライタイプの場合はペットフードの全質量に対して、好ましくは5~10質量%、さらに好ましくは8~10質量%である。一般に、ペットフードは水分含量が少ない順に、ドライタイプ、セミモイストタイプ、モイストタイプ(ウエットタイプ)に大別され、本発明のペットフードは何れのタイプにも適用可能であるが、特に製造コストの観点から、ドライタイプが好ましい。本発明において、ペットフードにおける水分の含有量とは、常圧加熱乾燥法に従って測定された値である。
・・・
【0025】
前記常温固形油脂としては、常温で固形状を呈する油脂であって、融点35℃以上の油脂が好ましく、融点35~50℃の油脂がより好ましい。常温固形油脂としては、例えば、鶏脂、牛脂又はそれらの混合物を挙げることができる。常温固形油脂の前記原材料成形体への付着方法は特に制限されず、例えば、常温固形油脂をその融点以上の温度に加熱して溶融し、その溶融した油脂を、滴下法、噴霧法等によって前記原材料成形体に付着させる方法が挙げられる。常温固形油脂の原材料成形体に対する付着量は、該原材料成形体の全質量に対し、好ましくは0.5~5質量%、さらに好ましくは1~3質量%である。」
ウ「【0032】
〔実施例1〕
下記表1に示す配合のペットフードを製造した。具体的には、ミキサーを用いて各原料を十分に混合した後、その混合物をエクストルーダー(ウェンガー社製、X-185)に供給し、温度120℃、圧力12kg/cm2の条件で加圧加熱押出し処理し、膨化発泡させたものをカッターにて切断して、直径5mm、長さ10mmの円柱状の粒を造粒し、ドライヤーにて乾燥して、ペットフードを製造した。実施例1のドッグフードにおける主要3成分の含有量は下記表1の通りであった。
【0033】
【表1】
[図:0001417632000002.jpg]
」
(2)甲第3号証に記載された発明
上記(1)より、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲3発明)
「ペットフードにおいて、
脂肪の含有量は、ペットフードの全質量に対して乾物換算で10~15質量%であり、
水分含量は、ペットフードの全質量に対して、5~10質量%、であり、
円柱状の粒を造粒し、ドライヤーにて乾燥した、ドライタイプのものである、
ペットフード。」
第6 当審の判断
1 取消理由通知(令和6年3月4日付け)に記載した取消理由について
(1)サポート要件について
ア 検討・判断
訂正前の請求項1に記載の「油脂しみ出し率」は、段落【0057】に記載の「油脂しみ出し率」と、段落【0059】に記載の「油脂しみ出し率」のいずれかと対応するものであるのか、それとも、両方と対応するものであるのか、判然とせず不明瞭であるから、訂正前の請求項1に係る発明、及び請求項1を引用して記載する請求項2~7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないと理解し、サポート要件を満たしていないと判断したものである。
しかしながら、本件訂正により、本件訂正発明1の「油脂しみ出し率」は、段落【0057】に記載の「油脂しみ出し率」、段落【0059】に記載の「油脂しみ出し率」のいずれとも対応するものとなり、対応関係は明瞭となり、その結果、本件訂正発明1~7は、発明の詳細な説明に記載したものと理解できる。
イ 申立人の主張
申立人は、出願時の技術常識に照らしても、ペットフードの一粒当たりの重量、一面の表面積、表面の態様(動物性油脂及び一部嗜好性向上剤のコーティングを二回していること)について何ら特定がされていない訂正後本件発明1の範囲まで、訂正後の発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、また、出願時の技術常識に照らしても、ペットフードの一粒当たりの重量、一面の表面積、表面の態様 (動物性油脂及び一部嗜好性向上剤のコーティングを二回していること)について何ら特定がされていない訂正後本件発明1の範囲の記載は、課題を解決する手段が請求項に反映されていない旨主張する。(申立人意見書11頁5行~12頁3行)
本件発明の課題は、発明の詳細な説明の段落【0006】の記載からみて、一般的なペットフードと組成及び構成が大きく異ならず、かつ、嗜好性が向上した嗜好性が良好なドライペットフードを提供することである。
そこで、発明の詳細な説明をみると、段落【0018】には、ドライペットフードは、水分含有量が3~12質量%である膨化粒を含む点が記載されており、段落【0019】には、油脂の含有量が、ドライペットフードの全量に対して10質量%以上とすること、また、油脂の含有量が10質量%以上であると、ドライペットフードの組成や構成が一般的であっても、嗜好性が良好となりやすいことが記載されている。
また、段落【0020】には、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(「37℃油脂しみ出し率」)については、0.08%以上がより好ましいことが記載され、段落【0059】【表2】には、油脂しみ出し率が、0.08%以上となっている例(試験例2)が記載されており、嗜好性が向上されている点が示されている。
以上の記載をふまえれば、訂正後本件発明1には、課題を解決する手段が反映されているといえる。
なお、発明の詳細な説明には、上記のとおり、油脂の含有量が10質量%以上であれば、ドライペットフードの組成や構成が一般的であってもよいことが示されており、ペットフードの一粒当たりの重量、一面の表面積、表面の態様が本件訂正発明1において特定されていないからといって、課題を解決する手段が反映されていないとはいえない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
本件訂正発明1を引用して記載する本件訂正発明2~7についても同様である。
ウ 小括
したがって、本件訂正発明1~7は、サポート要件をみたす。
(2)実施可能要件について
ア 検討・判断
訂正前の請求項1~7に係る発明は、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.08%以上」とするものであるところ、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率」は、訂正前の請求項1の(6)に記載の計算式に基づくと、一般的に考えて、100%を超えるものとなる。そして、訂正前の請求項1に係る発明のうち、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率」が、0.08%以上100%以下のドライペットフードについては、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、使用をすることができる程度の記載があるとはいえないことから、実施可能要件を満たしていないと判断したものである。
しかしながら、本件訂正発明1~7は、物の発明であるところ、本件訂正により、請求項1に記載の「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率」の訂正前の計算式が明瞭にされるとともに、請求項1に記載の「油しみ出し率」と明細書に記載の「油脂しみ出し率」との対応関係が明瞭にされたことで、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率」が、0.08%以上100%以下のドライペットフードについても、発明の詳細な説明に、当業者が発明の詳細な説明の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、使用できる程度の記載があるといえることとなった。
イ 申立人の主張
申立人は、測定に供するペットフード粒体の質量に応じてペットフード粒体の単位質量当たりの油脂しみ出し率が異なる以上、当業者は、訂正後本件発明1にかかるペットフードを製造するためには、測定に供するペットフード粒体が500gちょうどのときの油脂しみ出しを都度、測定する必要があり、過度の試行錯誤を要するものである。また、測定に供するペットフード粒体の一粒当たりの重量、一面の表面積、表面の態様に応じてペットフード粒体の単位質量当たりの油脂しみ出し量が異なる以上、当業者は、訂正後本件発明1にかかるヘットフードを製造するためには、測定に供するペットフード粒体の条件を検討し、500gちょうどのときの油脂しみ出し率を都度、測定する必要があり、過度の試行錯誤を要するものである。さらに、訂正後本件発明1にかかるペットフードであって、一面の表面積が異なり、動物性油脂及び一部嗜好性向上剤を2回コート処理していないペットフードを製造するためには、油脂しみ出し率の算出条件を都度検討する必要があり、過度の試行錯誤を要するものである。よって、訂正後本件発明1にかかるペットフード粒体を、当業者が訂正後発明の詳細な説明の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、 使用できる程度の記載であるとはいえない旨主張する。(申立人意見書6頁下から4行~10頁14行)
しかしながら、訂正後の発明の詳細な説明の段落【0044】~【0052】には、本件訂正発明1のドライペットフードの具体的な製造工程が記載されており、また、段落【0054】~【0058】には、ペットフードの具体例(試験例2)が示されるとともに、嗜好性評価結果が良好であることが示されている。
したがって、本件訂正発明1について、発明の詳細な説明は、発明の詳細な説明の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、 使用できる程度の記載を有しているといえる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
本件訂正発明1を引用して記載する本件訂正発明2~7についても同様である。
ウ 小括
したがって、本件訂正発明1~7について、発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしている。
(3)明確性要件について
ア 検討・判断
訂正前の請求項1は、「濾紙」の種類が特定されていないため「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.08%以上」との特定事項は、多義的に解され、また、「下記測定条件における、前記ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.08%以上である」のうち、0.08%~100%までを含む部分の技術的意味を理解することができず、さらに、「420×600cm2」との記載が不明確であったことから、明確性要件を満たしていないと判断したものである。
しかしながら、本件訂正により、請求項1の記載は、明確になった。
イ 申立人の主張
申立人は、猫1頭が1日で摂食するべットフードの摂食量をもって嗜好性を評価する上で、ドライペットフード(500g)の単位質量当たりの油脂しみ出し率がどのような技術的意味を有するのかを当業者が理解できず、また、訂正後本件実施例の試験例2及び試験例3のペットフード粒体は同じペットフード粒体( 1 )であるにも関わらず、測定に供するべットフード粒体の質量に応じて、ペットフード粒体の単位質量当たりの油脂しみ出し率が異なるから、ドライベットフードの質量(500g)で除することで算出された油脂しみ出し率が、どのような技術的意味を有するのかを当業者が理解できず、さらに、出願時の技術常識を考慮すると発明特定事項が不足していることが明らかであり、訂正後請求項1の記載は不明確である旨主張する。(申立書12頁下から5行~14頁3行)
a しかしながら、訂正後の請求項1の「(測定条件)」の(6)には、「ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」と記載されているとおり、「油脂しみ出し率」は、油脂しみ出し量、すなわち、「[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]」を、単位質量である「ドライペットフード(500g)」で除して100をかけた数値(%)と定義されている。油脂しみ出し率(%)は、ドライペットフードにおける油脂のしみ出し量の、単位質量に対するしみ出しの程度を示していることは明らかであり、また、本件明細書等を参酌すれば、油脂しみ出し率(%)を高くすることで、ドライペットフードの嗜好性を向上させるという技術的意義を有していると理解できるから、訂正後の請求項1の記載は明確である。
なお、本件明細書等の段落【0058】を参酌すると、嗜好性は、ペットフードの摂取量を測定することで評価していると理解できるものの、「ドライペットフードの質量(500g)」が、猫1頭が1日で摂食するべットフードの摂食量とは関連が無いことは明らかである。
b 本件明細書等の段落【0059】の【表2】の「試験例2」及び「試験例3」の「粒の量(g)」の条件については、それぞれ「500g」及び「250g」となっている。そして、「粒の量(g)」が異なれば、同じ濾紙面積の濾紙の上に載置する粒の載置状況も異なるのであるから、他の測定条件が同じであったとしても、「試験例2」と「試験例3」との間で、油脂しみ出し率の算出結果に差異が生じることも自然なことであるが、このような差異が生じることをふまえても、「油脂しみ出し率」の技術的意義については、上記aで説明したとおり理解できるものであるから、訂正後の請求項1の記載も明確である。
c 以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。
本件訂正発明1を引用して記載する本件訂正発明2~7についても同様である。
ウ 小括
したがって、訂正後の請求項1~7の記載は、明確性要件を満たしている。
第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許法29条第2項(進歩性欠如)について
申立人は、甲1~甲3を提出し、各々を主引用例とし、進歩性が欠如している旨主張している。
1 本件訂正発明1について
(1)対比
本件訂正発明1と甲1発明、甲2発明及び甲3発明とを対比すると、
ア 甲1発明の「キャットフード」、甲2発明の「ペットフード」、甲3発明の「ペットフード」は、いずれも本件訂正発明1の「膨化粒」に相当する。
甲1発明の「膨化粒」、甲2発明の「フード粒」、甲3発明の「円柱状の粒」は、いずれも本件訂正発明1の「膨化粒」に相当する。
イ 甲1発明の「キャットフードに含まれる膨化粒の水分含有量は3~12質量%」であること、
甲2発明の「水分含有量が6~12質量%」であること、
甲3発明の「水分含量は、ペットフードの全質量に対して、5~10質量%」であることは、いずれも本件訂正発明1の「水分含有量が3~12質量%である」ことに相当する。
ウ 甲1発明の「油脂類10~20質量%」であること、
甲2発明の「油脂のコーティング量は、ペットフード全体対して、10~20質量%であ」ること、
甲3発明の「脂肪の含有量は、ペットフードの全質量に対して乾物換算で10~15質量%であ」ることは、いずれも本件訂正発明1の「油脂の含有量が、前記ドライペットフードの全量に対して10質量%以上」であることに相当する。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明、甲2発明及び甲3発明それぞれとの、一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「水分含有量が3~12質量%である膨化粒を含むドライペットフードであって、
油脂の含有量が、前記ドライペットフードの全量に対して10質量%以上である、ドライペットフード。」
(相違点)
「ドライペットフード」の「油脂しみ出し率」について、
本件訂正発明1では、下記測定条件における、前記ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率が0.08%以上であ」って、
「(測定条件)」が、
「(1)濾紙面積420×600mm2の濾紙(製品名:ADVANTEC 定性濾紙No.1 600×600;Toyo Roshi Kaisha,Ltd.製)の質量を測定する。
(2)外形寸法が、間口W705mm、奥行D462mm、高さH57mmのプラスティック製のトレイ上に、前記濾紙を広げて載置する。
(3)前記トレイ上に広げた前記濾紙の上に前記ドライペットフード500gを満遍なく広げて載置する。
(4)前記ドライペットフードを載置した前記トレイを、37℃に加温した電気オーブン内に30分間静置する。
(5)前記電気オーブンから前記トレイを取り出し、前記濾紙の質量を測定する。
(6)下記計算式より、ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率を算出する。
ドライペットフードの表面の油脂しみ出し率(%)=[(前記(5)で測定した濾紙の質量)-(前記(1)で測定した濾紙の質量)]/[前記ドライペットフードの質量(500g)]×100」と特定されているのに対して、
甲1発明、甲2発明及び甲3発明、いずれにおいても、そのような特定がされていない点。
イ 検討・判断
甲1発明、甲2発明及び甲3発明のいずれにも、相違点に係る本件訂正発明1の構成は、記載も示唆もされていない。
また、甲1発明、甲2発明及び甲3発明、それぞれにおける水分含有量及び、油脂の含有量から、油脂しみ出し率が0.08%以上と解する技術常識も存在しない。
したがって、甲1発明、甲2発明及び甲3発明のいずれにおいても、相違点に係る本件訂正発明1の構成とすることはできない。
ウ 小括
したがって、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2発明及び甲3発明のいずれに基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明2~7について
本件訂正発明2~7は、本件訂正発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、本件訂正発明2~7は、甲1発明、甲2発明及び甲3発明のいずれに基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明1~7は、甲1発明、甲2発明及び甲3発明のいずれに基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701293