特許異議申立
2018-700901
プロバイオティクス微生物を含有するペットフード調製物
- 審判番号
- 2018-700901
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-537122
- 登録番号
- 特許第6321376号(P6321376)
- 請求日
- 2018年11月09日
- 審決日
- 2019年06月06日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ネステク ソシエテ アノニム
- 【権利者代理人】長谷川 芳樹
- 【権利者代理人】黒川 朋也
- 【権利者代理人】清水 義憲
- 【権利者代理人】池田 成人
- 【権利者代理人】酒巻 順一郎
- 【権利者代理人】戸津 洋介
- 【権利者代理人】阿部 寛
- 【異議申立人】山▲崎▼ 浩一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 秋田 将行
- 審判官 有家 秀郎
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.113-ZC (A23K) / P1651.121-ZC (A23K) / P1651.536-ZC (A23K) / P1651.537-ZC (A23K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6321376号発明「プロバイオティクス微生物を含有するペットフード調製物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
特許第6321376号の請求項3ないし11に係る特許を取り消す。
同請求項1ないし2に係る特許を維持する。
理由
第1 手続の経緯
特許第6321376号の請求項1~11に係る特許についての出願は、平成23年11月2日(パリ条約による優先権主張2010年11月5日、欧州特許出願第10190118号)を国際出願日とする出願であって、平成30年4月13日にその特許権の設定登録がされ、平成30年5月9日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許について、平成30年11月9日に特許異議申立人 山▲崎▼浩一郎(以下、「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし11に対して特許異議の申立てがされた。
本件特許について、平成31年2月6日(発送日)に取消理由を通知し、期間を指定して特許権者に意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。
第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし11に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
炎症性障害の予防又は治療用のペットフード組成物を製造する方法であって、
前記ペットフード組成物は、1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含み、
前記方法は、前記プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含み、
前記熱処理は約90~150℃、約5~30秒の高温処理であり、
前記プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・テルモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、
方法。
【請求項2】
前記プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)NCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)NCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)NCC2461、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)NCC4007、ストレプトコッカス・テルモフィルス(Streptococcus thermophilus)NCC2019、ストレプトコッカス・テルモフィルス(Streptococcus thermophilus)NCC2059、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)NCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCC3009、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)ACA-DC6002(NCC1825)、エシェリヒア・コリ・ニッスル(Escherichia coli Nissle)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)NCC15、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)NCC2287、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
免疫防御不全に関連する障害の予防又は治療用のペットフード組成物を製造する方法であって、
前記ペットフード組成物は、1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含み、
前記方法は、前記プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含み、
前記熱処理は約80~90℃で約20分~40分実施され、
前記プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、
方法。
【請求項4】
前記プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NCC3001、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)NCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)NCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)NCC2461、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)NCC4007、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約4~40重量%の脂肪、約12~70重量%の炭水化物、及び約12~約50重量%のタンパク質を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約10~20重量%の脂肪、約30~60重量%の炭水化物、及び約20~約35重量%のタンパク質を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約0.5~40重量%の食物繊維をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ペットフード組成物は、ペットフード、ペット用栄養食、ペット用サプリメント、ペット用トリート、及びペット用フードトイ(例えば、咀嚼可能で摂取可能な玩具)からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ペットフード組成物は、プレバイオティクス(例えば、オリゴフルクトース、イヌリン)をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ペットフード組成物における少なくとも90%のプロバイオティクスが非複製性である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ペットフード組成物は、1日量当たり約0.005mg~1000mgの非複製性微生物を含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。」
第3 取消理由の概要
当審において、請求項3ないし11に係る特許に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
1 本件特許の請求項3及び4,8ないし11に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第7号証(国際公開第2010/130660号)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2 本件特許の請求項3及び4,8ないし11に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第7号証(国際公開第2010/130660号)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
3 本件特許の請求項5ないし11に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第7号証(国際公開第2010/130660号)に記載された発明及び文献1ないし3(特表2007-523634号公報、特開2009-159856号公報、特開平6-62763号公報)に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
4 本件特許の請求項3及び8ないし11に係る発明は、本件特許の出願前かつ優先権主張日前に頒布された甲第2号証(特開2008-245569公報)に記載された発明及び甲第5号証(「乳酸菌の抗アレルギー作用とアレルギー軽減用ペットフード素材としての利用性」、飛田啓輔他)並びに文献1(特表2007-523634号公報)に示される周知技術に基いて、その出願前かつ優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
5 本件特許の請求項5ないし11に係る発明は、本件特許の出願前かつ優先権主張日前に頒布された甲第2号証(特開2008-245569公報)に記載された発明及び甲第5号証(「乳酸菌の抗アレルギー作用とアレルギー軽減用ペットフード素材としての利用性」、飛田啓輔他)並びに文献1ないし3(特表2007-523634号公報、特開2009-159856号公報、特開平6-62763号公報)に示される周知技術に基いて、その出願前かつ優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
第4 証拠
1 申立人が提出した証拠等
申立書とともに提出された証拠、及びその他の証拠は、以下のとおりである。
(1)甲第1号証: 国際公開第2006/028164号(平成18年3月16日国際公開)
(2)甲第2号証: 特開2008-245569公報(平成20年10月16日公開)
(3)甲第3号証:「Anti-inflammatory activity of probiotic Bifidobacterium:Enhancement of IL-10 production in peripheral blood mononuclear cells from ulcerative colitis patients and inhibition of IL-8 secretion in HT-29 cells」(Imaoka A.et.al.,World Journal of Gastroenterology,2008,Vol.14,No.16,pages 2511-2516)
(4)甲第4号証:「In Vitro Th1 Cytokine-Independent Th2 Suppressive Effects of Bifidobacteria」(Iwabuchi N.et.al.,Microbiology and Immunology,2007,Vol.51,No.7,pages 649-660)
(5)甲第5号証:「乳酸菌の抗アレルギー作用とアレルギー軽減用ペットフード素材としての利用性」(飛田啓輔他、ミルク サイエンス、2010年、第59巻第1号、第49~57頁、日本酪農科学会、平成22年4月10日発行)
(6)甲第6号証:「Heat-Treated Lactobacillus crispatus KT Strains Reduce Allergic Symptoms in Mice」(Tobita K.et.al.,Journal of Agricultural and Food Chemistry,2009,Vol.57,pages 5586-5590)
(7)甲第7号証: 国際公開第2010/130660号(平成22年11月18日国際公開)
(8)甲第8号証: 国際出願 PCT/EP2010/056287号(国際公開第2010/130660号)の優先権証明書、欧州特許庁
(9)甲第9号証: 「Suppressive Effects of Bifidobacterium breve Strain M-16V on T-Helper Type 2 Immune Responses in a Murine Model」(Inoue Y.et.al.,Biological and Pharmaceutical Bulletin,2009,Vol.32,No.4,pages 760-763)
(10)文献1: 特表2007-523634号公報(平成19年8月23日公表)
(11)文献2: 特開2009-159856号公報(平成21年7月23日公開)
(13)文献3: 特開平6-62763号公報(平成6年3月8日公開)
(14)参考資料1:特表2012-526749号公報(甲第7号証に対応する日本語の特許公表公報)
2 証拠に記載された事項
(1)甲第1号証
甲第1号証は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、段落番号は【】で囲い、段落番号と段落中の本文との間には改行を挿入した。
(ア)技術分野
「【0001】
本発明は、乳酸菌抗アレルギー活性の高温処理に対する安定化方法、乳酸菌抗アレルギー活性の高温処理に対する安定化組成物、及び、安定化した乳酸菌抗アレルギー活性を有する飲料等の飲食品及びその製造方法に関する。」
(イ)背景技術
「・・・・(中略)・・・・
【0007】
一方で、乳酸菌等が、Th1免疫を増強することはIL12やIFN・ガンマーなどの産生を介してマクロファージやキラーT細胞、NK細胞の細胞性免疫の活性化を意味し、ウイルスや細菌感染、ガンの発生に対して抵抗することにつながることが分かっている。具体的にはマクロファージが産生するIL-12は未分化のヘルパーT細胞のTh1細胞への分化、単球・マクロファージ・NK細胞の活性化を通して、外敵・ガンに対する抵抗性を獲得させる。従って強いIL-12産生を誘導することのできる乳酸菌株は免疫賦活剤として使用することができることが示唆されている(キャンサー・イムノロジー・イムノセラピー、2000年、第49巻、157頁;特開平7-228536号公報;特開2002-80364号公報)。
・・・・(中略)・・・・・
【0011】
しかしながら、最近流通している容器詰飲料等、多くの飲食品においては、その製造過程や流通過程、或いは、飲食時に高温加熱処理が行われるため、その際に乳酸菌菌体の物性に変化が生じて、抗アレルギー活性が影響を受けるとの問題がある。したがって、従来においては、高温加熱処理が行われる飲食品に対しては、乳酸菌の抗アレルギー活性の利用が制約を受けるとの問題があった。しかし、従来においては、高温加熱処理が行われる飲食品に対しては、そのような問題があるということのみならず、乳酸菌の抗アレルギー能に対する高温加熱処理の影響についての検討もなされないまま、利用されないできた。」
(ウ)発明が解決しようとする課題、及び課題を解決するための手段
「発明が解決しようとする課題
【0014】
本発明の課題は、その製造過程や流通過程、或いは、飲食時に高温加熱処理が行われる飲食品、更には高温処理後の常温保存下での飲食品に対しても適用が可能な、すなわち、高温処理に対して乳酸菌の抗アレルギー活性を維持することが可能な、乳酸菌抗アレルギー活性の高温処理に対する安定化方法、乳酸菌抗アレルギー活性の高温処理に対する安定化組成物、及び、安定化した乳酸菌抗アレルギー活性を有する飲料等の飲食品及びその製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
【0015】
本発明者は、高温処理を行う飲食品における乳酸菌の抗アレルギー活性について鋭意研究する中で、乳酸菌とポリフェノール類を併存させることにより、乳酸菌の抗アレルギー活性が高温処理を行った場合でも、その活性を安定的に維持することができることを見い出し、発明を完成するに至った。」
(エ)実施例1
「実施例1
【0041】
アスコルビン酸3gを溶解させた80℃の温水3.5kgで緑茶葉(かぶせ茶・玉露を主とする)100gを約6分間抽出した。抽出液をメッシュに通して茶葉を取り除き、遠心分離した。その上清に重曹を5g、アスコルビン酸を3g加え、水を加えて12kgにした。本緑茶液を基本緑茶(1)とし、(1)にポリフェノン70A(三井農林株式会社)を8g添加したものを基本緑茶+ポリフェノン70A(2)、遠心分離後の抽出液上清を(1)の2倍量使用したものを茶葉抽出液2倍緑茶(3)、(1)における遠心分離前の抽出液にPVPPを18g添加・攪拌し、遠心分離した上清を使用したものをPVPP処理緑茶(4)とした。
【0042】
(1)~(4)のpHは6.0~7.0であり、また、(1)~(4)の総ポリフェノール量を、標準液に没食子酸エチルを用いた酒石酸鉄法にて定量した。(参考文献:茶業研究報告第71号(1990)茶の分析法 タンニン値の比色定量法)。定量した結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
サンプル 総ポリフェノール量(mg/100ml)
基本緑茶(1) 57.5
基本緑茶+ポリフェノン70A(2) 122
茶葉抽出液2倍緑茶(3) 111
PVPP処理緑茶(4) 9.93
【0044】
上記緑茶(1)~(4)に乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株乾燥菌体(加熱死菌:キリンビール(株)機能食品カンパニーより入手)を、0.02%添加し、UHT殺菌を行った。殺菌条件は、135℃、30秒と、137℃、30秒の条件で行い、500ml容ペットボトルにホットパック充填した。殺菌後の緑茶25mlより8000回転、10分間の遠心分離で乳酸菌の沈殿物を取得した。沈殿物をPBS(-)で洗浄後、再度遠心分離し、沈殿物を5mlのPBS(-)に懸濁した。
【0045】
乳酸菌のin vitroにおける抗アレルギー活性はマウス脾臓リンパ球と混合培養を行った際に、培地中に放出されるIL-12量を測定することによって行った。7-10週齢BALB/cマウス(チャールズリバー)にday0とday6に卵白アルブミン(OVA)1mgをアジュバントである水酸化アルミニウム 2mgと共に腹腔内注射した。Day13に解剖し、脾臓を単離・リンパ球を調製した。脾臓リンパ球をFCS(ロシュ)とOVAをそれぞれ終濃度10%及び1mg/mlになるように添加したRPM11640(SIGMA)培地で細胞濃度が2.5×106cells/mlになるように懸濁した。乳酸菌を上記培地に0.25μg/mlになるように添加し、1週間37℃、CO2濃度5%で培養した。遠心分離にて培養上清を回収し、Opt EIA ELISA Set(ベクトン・ディッキンソン)を用いてIL-12生産量を測定した。
【0046】
図4に各緑茶に混合した際の、UHT殺菌による抗アレルギー活性の変化を示す。殺菌前に対するUHT殺菌後の相対抗アレルギー活性を示す。両殺菌条件において、基本緑茶(1)と比較して基本緑茶+ポリフェノン70A(2)及び、茶葉抽出液2倍緑茶のUHT殺菌後の残存活性は10~20%高いい結果となった。PVPP処理緑茶(4)において残存抗アレルギー活性は基本緑茶(1)と比較して10~20%低い結果となった。残存抗アレルギー活性の高さと表1に示すポリフェノール含量(タンニン含量)に相関があると考えられた。」
(オ)図4の図示
図4には、次の図示がある。
上記図4の図示から、135℃30秒で加熱処理を行った場合、IL-12の放出量で見た相対活性が、殺菌前の100に対して、PVPP処理茶(4)と混合した場合には39.9まで減少するところ、基本緑茶(1)、基本緑茶+ポリフェノン70A(2)、又は茶葉抽出液2倍緑茶(3)に混合することで、56.2~77.7に維持できることが、見て取れる。
イ 甲第1号証に記載された発明の認定
甲第1号証には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「乳酸菌抗アレルギー活性の高温処理に対する安定化方法、及び、安定化した乳酸菌抗アレルギー活性を有する飲料等の飲食品及びその製造方法であり、
強いIL-12産生を誘導することができ、免疫賦活剤として使用することができる乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株を、135℃30秒で高温の加熱殺菌を行うに際して、
PVPP処理してポリフェノール量を100ml当たり9.93mgにしたPVPP処理緑茶(4)に混合した加熱殺菌では、IL-12の放出量で見た加熱殺菌前の抗アレルギー活性100に対して、加熱殺菌後の残存活性が39.9まで減少するところ、
ポリフェノール量を100ml当たり57.5mg~122mgの基本緑茶(1)、基本緑茶+ポリフェノン70A(2)、又は茶葉抽出液2倍緑茶(3)に混合することで、IL-12の放出量で見た加熱殺菌前の抗アレルギー活性100に対して、加熱殺菌後の残存活性を56.2~77.7に維持する、
方法。」
(2)甲第2号証
甲第2号証は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
ア 甲第2号証の記載
甲第2号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
Lactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株を60℃以上100℃未満の温度で、10分以上60分未満の時間、加熱処理を行うことを特徴とする、高抗アレルギー活性を有するLactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株の加熱処理菌体の製造方法。
【請求項2】
Lactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株の加熱処理が、Lactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株を培養した後、培養菌体を洗浄処理によって培地成分を除去した後、加熱処理を行うものであることを特徴とする請求項1記載の、高抗アレルギー活性を有するLactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株の加熱処理菌体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製造方法によって製造されたLactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株の加熱処理菌体。
【請求項4】
請求項1又は2記載の製造方法によって製造されたLactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株の加熱処理菌体を有効成分とする抗アレルギー用組成物。」
(イ)
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高抗アレルギー活性を有する乳酸菌組成物及び該乳酸菌の製造方法、特に、優れた抗アレルギー活性を有する乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株を加熱処理することにより、高い抗アレルギー活性を付与するとともに、安定した抗アレルギー活性を付与し、高抗アレルギー活性を有する乳酸菌菌体を製造する方法、及び、該高抗アレルギー活性を有する乳酸菌菌体を有効成分とする抗アレルギー用組成物に関する。」
(ウ)
「【0007】
一方で、乳酸菌等が、Th1免疫を増強することはIL12やIFN・ガンマーなどの産生を介してマクロファージやキラーT細胞、NK細胞の細胞性免疫の活性化を意味し、ウイルスや細菌感染、ガンの発生に対して抵抗することにつながることが分かっている。具体的にはマクロファージが産生するIL-12は未分化のヘルパーT細胞のTh1細胞への分化、単球・マクロファージ・NK細胞の活性化を通して、外敵・ガンに対する抵抗性を獲得させる。従って強いIL-12産生を誘導することのできる乳酸菌株は免疫賦活剤として使用することができることが示唆されている(キャンサー・イムノロジー・イムノセラピー、2000年、第49巻、157頁;特開平7-228536号公報;特開2002-80364号公報)。」
(エ)
「【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、抗アレルギー活性を有する乳酸菌の利用に際して、種々の製品形態で及び種々の利用対象において、その有効性を更に増大するために、該有効成分の抗アレルギー活性の増大と、より安定した抗アレルギー活性を有する乳酸菌を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決すべく、乳酸菌からなる高抗アレルギー活性を有する有効成分について鋭意検討する中で、優れた抗アレルギー活性を有する乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株について、特定の温度範囲で、特定時間加熱処理を施すことによって、飛躍的にその抗アレルギー活性を高めることができ、また、乳酸菌自体の活動を停止し、しかも加熱処理による菌体自体の変性を極力防止して、安定した高抗アレルギー活性を持つ有効成分を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。」
(オ)
「【0026】
(本発明により製造された乳酸菌の抗アレルギー作用)
アレルギーは、抗原刺激によりIgE抗体が産生され、IgE抗体の組織内のマスト細胞や血中の好塩基球表面のFcレセプターに結合し、次の抗原刺激(アレルゲンの再侵入)でマスト細胞や好塩基球表面に結合しているIgE抗体に認識され、IgE抗体間に架橋が形成され、この刺激を引き金としてマスト細胞や好塩基球がケミカルメディエーターを爆発的に遊離することによって諸症状が現れる。従って、アレルギーの治療・予防の為にIgEを抑制すること、そしてその為にはTh1免疫を増強しTh2免疫を抑制することが必要となる。本発明による乳酸菌は、マウスリンパ球を用いたin vitroの系において、Th1免疫の指標であるインターロイキン12(IL-12)産生を強く誘導するとともに、Th2免疫の指標であるインターロイキン4(IL-4)産生を強く抑制する。従って、本発明による乳酸菌は、Th1免疫を増強しTh2免疫を抑制することにより、IgE抗体産生を抑制するという作用機序に基づくアレルギーの治療・予防効果がある。
【0027】
(本発明における加熱処理)
本発明においては、L.paracasei KW3110株若しくはその変異株を、所定温度で、所定時間加熱処理して、その抗アレルギー活性の増大を図る。加熱温度としては、60℃以上100℃未満の温度が用いられ、加熱時間としては、10分以上60分未満の時間が採用される。特に、好ましくは、60~85℃、更に好ましくは、85℃前後の温度で、10分以上60分未満の加熱処理時間が好ましい。本発明における加熱処理は、培養した乳酸菌菌体を、懸濁状態で、所定温度で所定時間、加熱処理を施すが、かかる場合の加熱手段としては、一般に用いられる手段を用いることができ、特に限定されない。例えば、タンク内に懸濁した菌体を熱交換器によって加熱することができる。本発明において、乳酸菌菌体の加熱処理に際しては、培養した菌体を、例えば、遠心分離機或いはセラミック製膜等を用いて、洗浄処理し、培地成分を除去し、濃縮した菌体を懸濁液の状態として、加熱処理を行なうのが、その有効な加熱処理効果を得るために特に好ましい。遠心或いはセラミック製膜による洗浄処理には、かかる目的のために、通常用いられている遠心分離機やフィルターろ過機を用いることができる。
【0028】
(本発明の抗アレルギー用組成物)
本発明により製造された乳酸菌の抗アレルギー用組成物は、飛躍的に高められた高い抗アレルギー活性と、安定した高抗アレルギー活性を持ち、種々の製品形態で及び種々の利用対象において適合し、有効に利用することができる。例えば、本発明の加熱処理を施された乳酸菌は、本願発明の特定の加熱処理により、乳酸菌自体の活動を停止しているので、これを、抗アレルギー用組成物として、種々の飲食品等に添加した場合に、乳酸菌自体の生物活性による飲食品の本来の香味に対する影響を極力減少することができ、また、該抗アレルギー用組成物を種々の製剤形態に製剤化した場合にも、有効成分として安定した活性を維持することができる。」
(カ)
「【0033】
(飲食品配合による利用)
本発明により製造された乳酸菌の抗アレルギー用組成物は、飲食品に配合し、抗アレルギー機能を有する飲食品として用いることができる。本発明により製造された乳酸菌の抗アレルギー用組成物を飲食品に配合して用いるには、その有効成分の有効量を飲食品の製造原料段階或いは製造した製品の段階等で添加、配合する。ここで「有効成分の有効量」とは、個々の飲食品において通常喫食される量を摂取した場合に、下記のような範囲で有効成分が摂取されるような含有量をいう。
【0034】
すなわち、本発明における有効成分の飲食品への有効量の投与量または摂取量は、受容者、受容者の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等に依存して決定できる。例えば、本発明による有効成分を医薬として経口投与する場合、成人1人当たり0.1~100mg/kg体重(好ましくは1~10mg/kg体重)、非経口的に投与する場合は0.01~10mg/kg体重(好ましくは0.1~1mg/kg体重)の範囲で一日1~3回に分けて投与することができる。本発明による有効成分と組み合わせて用いる他の作用機序を有する薬剤も、それぞれ臨床上用いられる用量を基準として適宜決定できる。本発明における有効成分の飲食品への有効量の投与量または摂取量を、乳酸菌の菌数で表示すると、1日当たりの摂取量が5×109個以上が好ましく、より好ましくは1日あたり1×1010個以上、更に好ましくは5×1010個以上を摂取することが好ましい。したがって、通常1日あたり摂取される飲食品の量に合わせて、各々の食品あたりの含有させる乳酸菌の菌数が決定される。
【0035】
本発明においては、本発明により製造された乳酸菌の抗アレルギー用組成物の有効成分をそのまま、或いは前記のような製剤の形態で、飲食品に配合することができる。より具体的には、本発明の飲食品は、本発明の有効成分を適宜基材と配合して、そのまま飲食品として調製したもの、或いは、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類等を更に配合したもの、液状、半液体状若しくは固体状にしたもの、更には、一般の飲食品へ添加、配合したもの等、種々の利用形態を採ることができる。」
(キ)
「【0041】
(食品への配合)
また、本発明においては、本発明により製造された高抗アレルギー活性を有する乳酸菌を食品に配合して、抗アレルギー機能を持たせた食品として調製することができる。かかる飲食品として具体的には、プリン、クッキー、クラッカー、ポテトチップス、ビスケット、パン、ケーキ、チョコレート、ドーナツ、ゼリーなどの洋菓子、煎餅、羊羹、大福、おはぎ、その他の饅頭、カステラなどの和菓子、冷菓(飴等)、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば、きしめん等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品や、塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料、辛味料等の調味類や、明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品や、チーズ、ハードタイプのヨーグルト等の乳製品や、納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、餃子、シューマイ、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、サラダ等の各種総菜や、各種粉末(ビーフ、ポーク、チキン等畜産物、海老、帆立、蜆、昆布等水産物、野菜・果実類、植物、酵母、藻類等)や、油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したものや、粉末飲食品(インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、味噌汁等)等の各種食品が挙げることができるが、これらに特に制限されない。
【0042】
(飲料への配合)
本発明により製造された乳酸菌の高抗アレルギー活性の組成物は、特に飲料の形で用いて、毎日継続摂取することが可能であり、尚かつ該継続摂取することが可能な量で効能を発揮する抗アレルギー機能を有する飲料として提供することができる。本発明により製造された高抗アレルギー活性を有する乳酸菌を飲料へ配合する場合に、乳酸菌の配合量は適宜決定することができるが、通常、飲料として継続的に摂取することができる量で、乳酸菌のもつ抗アレルギー活性を充分に発揮するための配合量が採用される。本発明における有効成分の飲食品への有効量の投与量または摂取量を、乳酸菌の菌数で表示すると、1日当たりの摂取量が5×109個以上が好ましく、より好ましくは1日あたり1×1010個以上、更に好ましくは5×1010個以上を摂取することが好ましい。したがって、通常1日あたり摂取される飲料の量に合わせて、上記指標により、各々の飲料あたりに含有させる乳酸菌の菌数が決定される。例えば、1日あたり100gの飲料が摂取されるとすれば、飲料100gあたり109個以上の菌数を添加することが好ましい。一方、乳酸菌の添加で、飲料の香味や外観を損なわない範囲を考えると、1011個以下が好ましい。更に、5×1010個以下がより好ましい。したがって、抗アレルギー機能を有し、かつ、安定性があり、嗜好性、保存性が高い飲料の乳酸菌の濃度としては、飲料100g当たり、109~1011個の範囲のものが特に好ましい。なお、乳酸菌の菌体数と乾燥菌体重量の関係については、L.paracasei KW3110株では、菌体数1012個が乾燥菌体重量1gに相当する。」
(ク)
「【実施例1】
【0049】
<1.抗アレルギー活性測定方法>
乳酸菌のin vitroにおける抗アレルギー活性はマウス脾臓リンパ球と混合培養を行った際に、培地中に放出されるIL-12量を測定することによって行った。7-10週齢BALB/cマウス(チャールズリバー)にday0とday6に卵白アルブミン(OVA)1mgをアジュバンドである水酸化アルミニウム2mgと共に腹腔内注射した。Day13に解剖し、脾臓の単離・リンパ球を調製した。脾臓リンパ球をFCS(ロシュ)とOVAをそれぞれ終濃度10%及び1mg/mlになるように添加したRPMI1640(SIGMA)培地で細胞濃度が2.5×106cell/mlになるように懸濁した。乳酸菌を上記培地に0.25μg/mlになるように添加し、1週間37℃、CO2濃度5%で培養した。遠心分離にて培養上清を回収し、OptEIA ELISA(ベクトン・ディッキンソン)を用いてIL-12の測定は、を用いて測定した。
【0050】
(実験結果の表示)
試料のIL-12産生量をコントロールとしたL.paracasei KW3110株のそれと比較して、相対値として示した。
【0051】
(コントロール菌の作製)
MRS培地を用いて、37℃、48時間静置培養したものを、滅菌水で3回洗浄し、滅菌水に懸濁後100℃、30分処理し、殺菌した。これを凍結乾燥し、PBSに懸濁した。
【0052】
<2.試料L.paracasei KW3110株の調製:培養>
MRS培地と同程度の窒素源および炭素源、無機物を含む培地を、50Lタンクに投入し、120℃、20分の蒸気殺菌した。これにMRS培地で適度に増殖した乳酸菌体を添加し、32℃、60rpm、苛性ソーダでpH5.5に調整しながら48時間培養した。作製した培養液をとり、遠心洗浄し、菌体懸濁液を取得した。
【0053】
<3.加熱処理>
上記2.で得られた菌体懸濁液を各温度で調整した湯浴にて加熱し、菌体懸濁液が各温度に達してから各々の時間にサンプルを回収した。回収したサンプルを凍結乾燥し、IL-12産生活性評価に供した。
【0054】
<4.実験の結果>
上記実験の結果を、図1及び表1に示す。なお、本実験では、85℃の試験群では1回、60℃の試験群では2回、その他の実験群では3回ずつ実験を繰り返し、その平均値を示した。「非加熱」は培養液を洗浄した後、凍結乾燥したものを示す。
図1は、各加熱条件に対するIL-12産生量の割合(コントロールに対する割合)を示す、また、表1は各加熱条件に対するIL-12産生活性値(コントロールに対する相対値(%))を示す。」
(ケ)
表1には、「非加熱」のサンプルのIL-12産生平均値が「11.33」であるのに対し、「85℃」「30min」で加熱したサンプルのIL-12産生平均値が「140.81」と高いことが示されている。
イ 甲第2号証に記載された発明の認定
甲第2号証には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「高抗アレルギー活性を有する乳酸菌組成物の製造方法であり、
強いIL-12産生を誘導し、免疫賦活剤として使用することができる乳酸菌として、Lactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株を特定の温度範囲で、特定時間加熱処理を施すことによって、乳酸菌自体の活動を停止するとともに抗アレルギー活性を高め、
製造された乳酸菌の抗アレルギー用組成物は、飲食品に配合し、抗アレルギー機能を有する飲食品とし、
有効成分の飲食品への有効量の投与量または摂取量は、受容者、受容者の年齢および体重、症状、投与方法等に依存して決定できるが、例えば経口投与する場合、成人1人当たり好ましくは1~10mg/kg体重(L.paracasei KW3110株では、菌体数1012個が乾燥菌体重量1gに相当する)の範囲で一日1~3回に分けて投与することができ、
飲食品は、各種タンパク質、糖類、脂肪等を更に配合したもの等、種々の利用形態を採ることができ、
L.paracasei KW3110株の好適な加熱条件の一つは、85℃で30minである、
方法。」
(3)甲第3号証
甲第3号証は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
ア 甲第3号証の記載
甲第3号証には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、英文の後に、申立書に添付された翻訳を基礎とした仮訳を、括弧書きで付記した。
(ア)第2511頁、表題
「Anti-inflammatory activity of probiotic Bifidobacterium:Enhancement of IL-10 production in peripheral blood mononuclear cells from ulcerative colitis patients and inhibition of IL-8 secretion in HT-29 cells」
(プロバイオティックなビフィズス菌の抗炎症活性:潰瘍性大腸炎患者の末梢血単核細胞におけるIL-10産生の増強、及びHT-29細胞におけるIL-8分泌の阻害)
(イ)第2512頁左欄第26~32行
「MATERIALS AND METHODS
Bacteria and related preparations
Bifidobacterium bifidum strain Yakult(BbiY)and Bifidobacterium breve strain Yakult(BbrY)were grown in MRS broth(Becton,Dickinson and Company,Sparks,MD).Heat-killed BbiY or BbrY was prepared by heating bacteria resuspended in distilled water at 100℃ for 30 min,and then lyophilized.」
(材料と方法
細菌及び関連する調整物
ビフィドバクテリウム・ビフィダム ヤクルト株(BbiY)、及びビフィドバクテリウム・ブレーベ ヤクルト株(BbrY)は、MRSブロス(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー、スパークス、メリーランド)で生育させた。加熱殺菌したBbiY若しくはBbrYは、菌を100℃の蒸留水中で30分加熱して再懸濁させ、その後凍結乾燥して、調整した。)
(ウ)第2512頁左欄下から5~1行
「Peripheral blood mononuclear cells
Peripheral blood mononuclear cells(PBMNC)were isolated from peripheral blood of UC patients by Ficoll-Conray(Lymphosepar I;Immuno-Biological Laboratories,Takasaki,Japan)density gradient centrifugation.」
(末梢血単核細胞
末梢血単核細胞(PBMNC)は、UC患者の末梢血からフイコール-コンレイ(リンホセパールI、免疫生物研究所、高崎、日本)密度勾配遠心により単離した。)
(エ)第2513頁 図1の説明より
「Figure 1 Effects of probiotic bifidobacteria on IL-10 production in PBMNC.PBMNC were isolated from 9 ulcerative-colitis patients and incubated with heat-killed probiotic BbiY or BbrY(10μg/mL),or LPS.At forty-eight hours after incubation,the IL-10 concentration was determined by ELISA(mean ±SD,n=3).」
(図1 PBMNCにおけるIL-10産生に対するプロバイティックなビフィズス菌の影響。PBMNCは9人の潰瘍性大腸炎患者から単離し、加熱殺菌したBbiY若しくはBbrY(10μg/ml)、又はLPSと共にインキュベートした。48時間インキュベーションした後、IL-10濃度をELISAで測定した(平均±SD、n=3)。)
イ 甲第3号証に記載された発明の認定
甲第3号証には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「100℃で30分加熱し、
加熱殺菌したビフィドバクテリウム・ビフィダム ヤクルト株(BbiY)、又はビフィドバクテリウム・ブレーベ ヤクルト株(BbrY)を用いて、
潰瘍性大腸炎患者の末梢血単核細胞におけるIL-10産生を増強する、方法。」
(4)甲第4号証
甲第4号証は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
甲第4号証には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、英文の後に、申立書に添付された翻訳を基礎とした仮訳を、括弧書きで付記した。
(ア)第650頁右欄第27~39行
「Microorganisms.All strains used in this study are listed in Fig.1,and were obtained from the Morinaga Culture Collection(MCC,Morinaga Milk Industry Co.,Ltd.,Zama,Japan)and the American Type Culture Collection(ATCC;Manassas,Va,U.S.A.).These microorganisms were cultured for 16 hr at 37 C in Lactobacilli-MRS broth(DIFCO,Detroit,Mich.,U.S.A.).Microorganisms were collected by centrifugation and were washed twice with phosphate-buffered saline(PBS),and then were washed twice with sterile distilled water.The organisms were lyophilized and suspended in PBS,and were killed by heating at 100 C for 30 min.This stock suspension was stored at -80 C until use.」
(細菌。本研究に用いたすべての菌株を図1に示す。これらはモリナガカルチャーコレクション(MCC、森永乳業株式会社、座間、日本)、及びアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、マナサス、バージニア、米国)から取得した。これらの微生物はラクトバチルスMRS培地(DIFCO、デトロイト、ミシガン、米国)で16時間37℃で培養した。微生物は遠心分離で集菌し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄した後、滅菌蒸留水で2回洗浄した。微生物は凍結乾燥し、PBSに懸濁し、100℃で30分加熱することにより殺菌した。この懸濁液ストックは使用するまで-80℃で保存した。)
(イ)第652頁 図1の説明
「Fig.1.Production of IL-12p70 by murine splenic cells cultured with various microorganisms.Splenic cells from BALB/c mice were cultured with heat-killed microorganisms(1μg/ml)for 2 days.The levels of IL-12p70 in supernatants were measured using ELISA.Data are shown as mean ±SD of three independent experiments.Statistical analyses(Mann-Whitney U tests)indicated significant difference(P=0.0006)in IL-12 production between strains of bifidobacteria and those of the others.」
(図1 種々の細菌と共に培養したマウス脾臓細胞によるIL-12p70産生。BALB/cマウスは加熱殺菌された微生物(1μg/ml)と共に2日間培養された。上清中のIL-12p70のレベルをELISAを用いて測定した。データは3つの独立した実験の平均±SDで示した。統計的解析(マン・ホイットニーのU検定)により、ビフィズス菌菌株及び他の細菌との間のIL-12産生における有意差(P=0.0006)が示された。)
(ウ)第653頁 図2の説明
「Fig.2.Effect of heat-killed microorganism on OVA-induced total IgE,IL-4,IL-12p70,and IFN-γ production by OVA-sensitized BALB/c splenic cells.Splenic cells from OVA-sensitized mice were cultured with 100 μg/ml OVA in the absence(control)or presence of heat-killed bacterial cells(0.1-100 μg/ml).The levels of total IgE in supernatants on day 14 and cytokines on day 7 were measured using ELISA.Data are shown as mean ±SD of three independent experiments.Significant differences compared to control(*P<0.05,**P<0.01)and significant differences between BB536 and the other bacterial species at 1 μg/ml(#P<0.05,##P<0.01)were tested by ANOVA followed by Bonferroni multiple comparison test.」
(図2 OVA感作BALB/c脾臓細胞によるOVAで誘導される全IgE、IL-12p70、及びIFN-γ産生に対する加熱殺菌微生物の効果。OVA感作マウスからの脾臓細胞は、加熱殺菌細菌細胞(0.1-100μg/ml)の非存在下(コントロール)又は存在下で、100μg/mlのOVAと共にインキュベートされた。14日目の全IgE、及び7日目のサイトカイン類の上清中のレベルを、ELISAを用いて測定した。データは3つの独立した実験の平均±SDで示した。コントロールに対する有意差(*P<0.05、**P<0.01)、及び1μg/mlでのBB536と他の細菌種との間の有意差(#P<0.05、##P<0.01)をANOVAとそれに続くボンフェローニの多重比較検定により検討した。)
(5)甲第5号証
甲第5号証は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
甲第5号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)第49頁、表題
「乳酸菌の抗アレルギー作用とアレルギー軽減用ペットフード素材としての利用性」
(イ)第53頁左欄下から6行~第54頁左欄1行
「著者らは、Fig.2に示すようにマウス脾臓細胞培養系においてLactobacillus(L.)acidophilusおよびL.crispatusの標準菌株よりもTh1免疫応答を強く誘導する加熱処理L.crispatus KT-11株を、コナヒョウヒダニ抽出物の連続皮内投与によりアトピー性皮膚炎症状を発症したNC/Nga系マウスに経口投与すると、非投与マウスと比較してアレルギー症状の軽減、血清抗コナヒョウヒダニ特異IgEレベルの減少および脾臓IFN-γ+CD4+/IL-4+CD4+細胞比の上昇を観察した35)。また、Fig.3に示すようにL.crispatus KT-11株を添加したマウスパイエル板細胞培養系において、TLR2,NOD1およびNOD2の遺伝子発現量が無添加の場合と比較して有意に増加することを明らかにした35)。これらの結果は、腸管のパイエル板から取り込まれたL.crispatus KT-11株は、TLR2,NOD1あるいはNOD2を刺激することによりTh1免疫応答を増強し、Th1/Th2バランスの改善を介してアレルギー症状を軽減することを示唆するものであり、アレルギー性皮膚炎に苦しむペットのための抗アレルギー作用を有したペットフード素材としての利用が大いに期待される。」
(6)甲第6号証
甲第6号証は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
甲第6号証には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、英文の後に、申立書に添付された翻訳を基礎とした仮訳を、括弧書きで付記した。
(ア)第5586頁、表題
「Heat-Treated Lactobacillus crispatus KT Strains Reduce Allerbgic Symptoms in Mice」
(加熱処理したLactobacillus crispatus KT株はマウスのアレルギー症状を減弱する。)
(7)甲第7号証
甲第7号証は、本件特許の優先権主張日と、本件特許の現実の出願日との間に国際公表され公衆に利用可能となったものである。
ア 甲第7号証の記載
甲第7号証には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。なお対応和訳として、参考資料1に示される和文を、同参考資料1中の段落番号を添えて、括弧書きで付した。
(ア)明細書第1頁1~11行
Non-replicating micro-organisms and their immune boosting effect
(非複製性微生物及びそれらの免疫促進作用)
The present invention generally relates to the field of micro-organisms,in particular food grade bacteria.One embodiment of the present invention concerns non-replicating probiotics belonging to genera such as Lactobacillus,Bifidobacterium or combinations thereof,for example the species Lactobacillus paracasei,Lactobacillus rhamnosus,Bifidobacterium longum,Bifidobacterium lactis,Bifidobacterium breve or combinations thereof,and applications of these bacteria.One embodiment of the present invention relates to non-replicating probiotics and their use to prepare a composition to treat or prevent disorders that are related to a compromised immune defence.
(【0001】
本発明は一般に、微生物、特に、食物グレードの細菌の分野に関する。本発明の一実施形態は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)又はこれらの組合せなどの属、例えば、種ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)又はこれらの組合せに属する非複製性プロバイオティクス、及びこれらの細菌の用途に関する。本発明の一実施形態は、非複製性プロバイオティクス、及び欠陥のある免疫防御に関連する障害を治療又は予防するための組成物を調製するための非複製性プロバイオティクスの使用に関する。)
(イ)明細書第2頁16行~第3頁15行
A compromised immune defence may have many negative effects on a subject’s health and well-being.It may for example result in a greater risk for infections and/or in an increased severity of infections.It may also promote or reinforce immune deficiency related disorders,or lead to allergy.
(【0007】
欠陥のある免疫防御は、対象の健康及び満足な状態に対して多くのマイナスの作用を有し得る。欠陥のある免疫防御は、例えば、より大きな感染症の危険性及び/又は感染症の重症度の増加をもたらし得る。欠陥のある免疫防御はまた、免疫不全が関連する障害を促進若しくは強化し、又はアレルギーをもたらし得る。)
Strengthening the immune defence is therefore important for all subjects at all age groups to protect the body.In particular,this is important for those subjects whose immune system is compromised or transiently depressed such as the neonates,the elderly,the subject submitted to high stress conditions,the patients taking immunosuppressive drugs,patients under radiotherapy or chemotherapy,or subjects developing allergic diseases.
(【0008】
したがって、免疫防御を強化することは、体を保護するのに、全ての年齢群の全ての対象のために重要である。特に、新生児、高齢者、高ストレス状態に曝されている対象、免疫抑制薬を摂取している患者、放射線療法若しくは化学療法下にある患者、又はアレルギー性疾患を発症している対象などの、免疫系に欠陥のある、又は一時的に抑制されている対象にとって免疫防御を強化することは重要である。)
Natural defences against infections and immune deficiency related diseases imply,among others,that the host is able to mount efficient and rapid innate immune defences that include activation of macrophages and natural killer cells for example.In addition efficient immune defences also imply that the host is able to downregulate an overreaction of the immune system such as that occurring in allergy.
(【0009】
感染症及び免疫不全が関連する疾患に対する天然の防御は、とりわけ、宿主が、例えば、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞の活性化を含めた効率的及び急速な自然免疫防御を開始できることを意味する。さらに、効率的な免疫防御はまた、宿主が、アレルギーにおいて起こるものなどの、免疫系の過剰反応をダウンレギュレートすることができることを意味する。)
The killing activity of macrophages in response to phagocytosis of pathogens is usually accompanied by a transient boost in pro-inflammatory cytokines such as TNF-α,IL-6,IL-1,and IL-12(Shoda,L.,et al.,2000,Infection and Immunity 68:5139-5145).IL-12 produced by antigen presenting cells including macrophages activates natural killer cells to produce IFN-γ and promotes the development of acquired immune responses through the differentiation of IFN-γ-producing T helper cells.In addition,TNF-α and IFM-γ acting in an autocrine loop stimulate the killing activity of phagocytic cells(Soehnlein,O.,et al.,2008,Journal of Clinical Investigation 118:3491-3502).By contrast,IL-10 produced by many immune cell types inhibits the production of pro-inflammatory cytokines produced by macrophages and dendritic cells like IL-1,IL-6,IL-12 and TNF-α(Mosser,D.,and Zhang,X.,2008,Immunological Reviews 226:205-218).Specific live probiotic strains are known to stimulate pro-inflammatory cytokines in vitro such as IL-12 and TNF-α which is linked to an enhanced phagocytosis activity of rat peritoneal macrophages(Ishida-Fujii,K.,2007,Biosc.Biotechnol.Biochem 71:866-873).
(【0010】
病原体の食作用に応答するマクロファージの死滅活性は、炎症促進性サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-1、及びIL-12など)における一時的促進が通常伴う(Shoda,L.ら、2000、Infection and Immunity 68:5139~5145)。マクロファージを含めた抗原提示細胞によって産生されるIL-12は、ナチュラルキラー細胞を活性化してIFN-γを産生し、IFN-γ-産生ヘルパーT細胞の分化によって獲得免疫応答の発生を促進する。さらに、オートクリンループにおいて作用するTNF-α及びIFN-γは、食細胞の死滅活性を刺激する(Soehnlein,O.ら、2008、Journal of Clinical Investigation 118:3491~3502)。対照的に、多くの免疫細胞タイプによって産生されるIL-10は、マクロファージ及び樹状細胞によって産生される炎症促進性サイトカイン(IL-1、IL-6、IL-12及びTNF-αなど)の産生を阻害する(Mosser,D.及びZhang,X.、2008、Immunological Reviews 226:205~218)。特定の生きたプロバイオティクス菌株は、インビトロで、ラット腹腔マクロファージの増強された食作用活性に関連する炎症促進性サイトカイン(IL-12及びTNF-αなど)を刺激することが知られている(Ishida-Fujii,K.、2007、Biosc.Biotechnol.Biochem 71:866~873)。)
(ウ)明細書第4頁7行~同頁最終行
The prior art generally teaches that heat treatment of probiotics leads to a partial or complete loss of their health beneficial properties.Only in exceptional cases some health benefits tested were maintained(Verdu et al.,2004,Gastroenterology,127,p.826 ff.,Rousseaux,2007,Nature Medicine,13,p.35ff;Kamiya et al.,2006,Gut,55,191 ff.).
(【0015】
従来技術は、プロバイオティクスの熱処理が、プロバイオティクスの健康に有益な特性の部分的又は完全な損失をもたらすことを一般に教示する。例外的な場合においてのみ、試験したいくらかの健康上の利益が維持された(Verduら、2004、Gastroenterology、127、p.826ff.、Rousseaux、2007、Nature Medicine、13、p.35ff;Kamiyaら、2006、Gut、55、191ff.)。)
The present inventors were now surprised to see that the ability of probiotic strains to stimulate for example the production of pro-inflammatory cytokines by human cells can be enhanced after heat treatment.This effect has been observed for several lactobacilli and bifidobacteria.
(【0016】
プロバイオティクス菌株が、例えば、ヒト細胞による炎症促進性サイトカインの産生を刺激する能力は、熱処理後に増強されることがあることを、本発明者らは今や驚いたことに見出した。この作用は、いくつかのラクトバチルス属及びビフィドバクテリウム属について観察されてきた。)
Non-replicating probiotic micro-organisms have the advantage that they are far easier to handle than their live counterparts.Additionally,they are far more storage stable and need less stringent packaging conditions.
(【0017】
非複製性プロバイオティクス微生物は、生きた対応物よりも取り扱うことが非常に簡単であるという利点を有する。さらに、非複製性プロバイオティクス微生物は、非常により保存安定性であり、より厳密な包装条件を必要としない。)
Non-replicating probiotic micro-organisms would allow developing a large variety of functional foods which by their nature do not allow the addition of live probiotics without additional measures to protect them.This plays a role for example in the provision of cereal bars,fruit juices,UHT-drinks,shelf stable drinks,etc.
(【0018】
非複製性プロバイオティクス微生物によって、生きたプロバイオティクスを保護するさらなる手段なしでは、本来では生きたプロバイオティクスを加えることが可能とならない、多種多様の機能性食品の開発が可能となる。これは、例えば、シリアルバー、果汁、UHT飲料、保存安定性の飲料などの提供において役割を果たす。)
Further,for example in immuno-compromised customers,the use of live probiotics might be limited due to a potential risk to develop bacteremia.Here the inventors present a method to generate non viable bacteria with an in vitro immune boosting profile regardless of their initial immune profiles.Bacteria with no immune boosting profile when they are alive may be provided with an immune boosting profile;and bacteria with an immune boosting profile when they are alive may be provided with an enhanced immune boosting profile.
(【0019】
さらに例えば、免疫不全の顧客において、生きたプロバイオティクスの使用は、菌血症が発生する潜在的な危険性によって、限定されることがある。ここで本発明者らは、当初の免疫プロファイルに関わらず、インビトロの免疫促進プロファイルを有する生存していない細菌を生じさせる方法を提示する。生菌のときに免疫促進プロファイルを有さない細菌は、免疫促進プロファイルを伴って提供され得、生菌のときに免疫促進プロファイルを有する細菌は、増強された免疫促進プロファイルを伴って提供され得る。)
(エ)明細書第6頁4行~同頁10行
For example,bifidobacteria such as Bifidobacterium longum,Bifidobacterium lactis and Bifidobacterium breve or lactobacilli,such as Lactobacillus paracasei or Lactobacillus rhamnosus,may be rendered non-replicating by heat treatment,in particular low temperature/long time heat treatment.
(【0028】
例えば、ビフィドバクテリウム属(ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ラクティス及びビフィドバクテリウム・ブレーベなど)、又はラクトバチルス属(ラクトバチルス・パラカゼイ又はラクトバチルス・ラムノサスなど)は、熱処理、特に、低温/長時間熱処理によって非複製性にし得る。)
At least 95 weight %,preferably at least 97.5 weight %,even more preferred at least 99 weight % of the biomass of probiotics are non-replicating,and most preferred all probiotics are non-replicating.
(【0029】
プロバイオティクスのバイオマスの少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも99重量%は非複製性であり、全てのプロバイオティクスが非複製性であることが最も好ましい。)
(オ)明細書第6頁17行~第7頁8行
The probiotic may be selected from the group consisting of the genera lactobacilli,bifidobacteria or combinatians thereof,such as the species Lactobacillus paracasei,Lactobacillus rhamnosus,Bifidobacterium longum,Bifidobacterium lactis,Bifidobacterium breve or combinations thereof,for example the strains Lactobacillus paracasei NCC2461,Lactobacillus rhamnosus NCC4007,Bifidobacterium longum NCC3001,Bifidobacterium lactis NCC2818,Bifidobacterium breve NCC2950 or combinations thereof.
(【0032】
プロバイオティクスは、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属又はこれらの組合せ、例えば、種ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・ラムノサス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ又はこれらの組合せ、例えば、菌株ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950又はこれらの組合せからなる群から選択し得る。)
Bifidobacterium longum NCC3001 was deposited under the Budapest treaty as ATCC BAA-999 and may be obtained,e.g.,from Morinaga Milk Industry Co.Ltd.of Japan under the trade mark BB536.
(【0033】
ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001は、ブダペスト条約の元でATCC BAA-999として寄託されたが、例えば、日本の森永乳業株式会社から商標BB536で得ることができる。)
Bifidobacterium lactis NCC2818 was deposited under the Budapest treaty as CNCM I-3446.
(【0034】
ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818は、ブダペスト条約の元でCNCM I-3446として寄託された。)
Lactobacillus rhamnosus NCC4007 was deposited under the Budapest treaty as CGMCC 1.3724.
(【0035】
ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007は、ブダペスト条約の元でCGMCC1.3724として寄託された。)
Lactobacillus paracasei NCC2461 was deposited under the Budapest treaty as CNCM I-2116.
(【0036】
ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461は、ブダペスト条約の元でCNCM I-2116として寄託された。)
Bifidobacterium breve NCC2950(strain A)was deposited under the Budapest treaty as CNCM I-3865.
(【0037】
ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950(菌株A)は、ブダペスト条約の元でCNCM I-3865として寄託された。)
(カ)明細書第7頁下から3行~第8頁10行
Allergic diseases have steadily increased over the past decades and they are currently considered as epidemics by WHO.In a general way,allergy is considered to result from an imbalance between the Th1 and Th2 responses of the immune system leading to a strong bias towards the production of Th2 mediators.Therefore,allergy can be mitigated,down-regulated or prevented by restoring an appropriate balance between the Th1 and Th2 arms of the immune system.This implies the necessity to reduce the Th2 responses or to enhance,at least transiently,the Th1 responses.The latter would be characteristic of an immune boost response,often accompanied by for example higher levels of IFNγ,TNF-α and IL-12.(Kekkonen et al.,2008,World Journal oi Gastroenterology,14,1192-1203;Viljanen M.et al.,2005,Allergy,60,494-500)
(【0040】
アレルギー性疾患は過去数十年に亘り着実に増加してきており、WHOは、アレルギー性疾患を流行病と現在考えている。一般的に、アレルギーは、免疫系のTh1及びTh2応答の間のアンバランスに起因し、Th2メディエーターの産生への強力な偏りをもたらすと考えられている。したがって、免疫系のTh1及びTh2アームの間の適切なバランスを回復することによって、アレルギーを軽減、ダウンレギュレート又は予防することができる。これは、Th2応答を減少させ、又は少なくとも一時的に、Th1応答を増強する必要性を意味する。後者は、例えばより高いレベルのIFNγ、TNF-α及びIL-12を伴うことが多い免疫促進反応の特徴であろう。(Kekkonenら、2008、World Journal of Gastroenterology、14、1192~1203;Viljanen M.ら、2005、Allergy、60、494~500))
The present invention allows it to treat or prevent disorders that are related to a compromised immune defence.
(【0041】
本発明は、欠陥のある免疫防御に関連する障害を治療又は予防することを可能とする。)
(キ)明細書第8頁22行~第9頁4行
Likewise,the kind of composition that is prepared by the use of the present invention is not particularly limited.For example,it may be a pharmaceutical composition,a nutraceutical,a food additive,a pet food,a food product or a drink.
(【0045】
同様に、本発明の使用によって調製される組成物の種類は、特に限定されない。例えば、組成物は、医薬組成物、栄養補助食品、食品添加物、ペットフード、食料製品又は飲料でもよい。)
The composition of the present invention may be any kind of composition.The composition may be to be administered orally,enterally,parenterally(subcutaneously or intramuscularly),topically or ocularly,for example.
(【0046】
本発明の組成物は、任意の種類の組成物でもよい。組成物は、例えば、経口的、経腸的、非経口的(皮下又は筋肉内)、局所的又は目に投与し得る。)
For example it may be a composition selected from the group consisting of food compositions,food products including pet foods,drinks,nutritional formulas,feeding formulas,nutraceuticals,food additives,pharmaceutical compositions,cosmetical compositions,and medicaments.
(【0047】
例えば、組成物は、食品組成物、ペットフードを含めた食料製品、飲料、栄養調製乳、補給調製乳、栄養補助食品、食品添加物、医薬組成物、化粧組成物、及び医薬からなる群から選択される組成物でもよい。)
(ク)明細書第10頁1行~同頁23行
Prebiotics may be added.Prebiotics may support the growth of a probiotic before it is rendered non-replicating or,in case of ingestion,stimulate the growth of beneficial micro-organisms in the intestines.Prebiotics may also act synergistically with viable probiotic bacteria that are present in the composition and/or that may be added.
(【0053】
プレバイオティクスを加えてもよい。プレバイオティクスは、プロバイオティクスを非複製性にする前にプロバイオティクスの増殖をサポートし、又は摂取される場合、腸内の有益な微生物の増殖を刺激し得る。プレバイオティクスはまた、組成物中に存在し、及び/又は加えられてもよい、生存しているプロバイオティクス細菌と相乗的に作用し得る。)
”Prebiotic”means non-digostible food substances that promote the growth of health beneficial micro-organisms and/or probiotics in the intestines.They are not broken down in the stomach and/or upper intestine or absorbed in the GI tract of the person ingesting them,but they are fermented by the gastrointestinal microbiota and/or by probiotics.Prebiotics are for example defined by Glenn R.Gibson and Marcel B.Roberfroid,Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics,J.Nutr.1995 125:1401-1412.
(【0054】
「プレバイオティクス」とは、腸内の健康に有益な微生物及び/又はプロバイオティクスの増殖を促進する、消化できない食品を意味する。プレバイオティクスは、プレバイオティクスを摂取した人の胃及び/若しくは上部腸内で分解、又は消化管内で吸収されないが、プレバイオティクスは、胃腸の微生物叢及び/又はプロバイオティクスによって発酵する。プレバイオティクスは、例えば、Glenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.1995 125:1401~1412によって定義されている。)
The prebiotics that may be used in accordance with the present invention are not particularly limited and include all food substances that promote the growth of probiotics and/or healih beneficial bacteria in the intestines.Preferably,they may be selected from the group consisting of oligosaccharides,optionally containing fructose,galactose,mannose;dietary fibers,in particular soluble fibers,soy fibers;inulin;or mixtures thereof.Preferred prebiotics are fructo-oligosaccharides(FOS),galacto-oligosaccharides(GOS),isomalto-oligosaccharides(IMO),xylo-oligosaccharides(XOS),arabino-xylo oligosaccharides(AXOS),mannan oligosaccharides(MOS),oligosaccharides of soy,glycosylsucrose(GS),lactosucrose(LS),lactulose(LA),palatinose-oligosaccharides(PAO),malto-oligosaccharides,gums and/or hydrolysates thereof,pectins,starches,and/or hydrolysates thereof.
(【0055】
本発明によって使用し得るプレバイオティクスは特に限定されず、腸内でプロバイオティクス及び/又は健康に有益な細菌の増殖を促進する全ての食品が含まれる。好ましくは、プレバイオティクスは、フルクトース、ガラクトース、マンノースを任意選択で含有するオリゴ糖;食物繊維、特に、可溶性繊維、大豆繊維;イヌリン;又はこれらの混合物からなる群から選択し得る。好ましいプレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、イソマルトオリゴ糖(IMO)、キシロオリゴ糖(XOS)、アラビノキシロオリゴ糖(AXOS)、マンナンオリゴ糖(MOS)、大豆オリゴ糖、グリコシルスクロース(GS)、ラクトスクロース(LS)、ラクツロース(LA)、パラチノースオリゴ糖(PAO)、マルトオリゴ糖、ガム及び/又はその水解物、ペクチン、デンプン、及び/又はその水解物である。)
(ケ)明細書第12頁10行~第13頁3行
Those skilled in the art will be able to adjust the therapeutically effective dose and/or the prophylactic effective dose appropriately.
(【0062】
当業者であれば、治療有効用量及び/又は予防有効用量を適切に調節することができる。)
In general the composition of the present invention contains non-replicating probiotics in a therapeutically effective dose and/or in a prophylactic effective dose.
(【0063】
一般に、本発明の組成物は、非複製性プロバイオティクスを治療有効用量及び/又は予防有効用量で含有する。)
Typically,the therapeutically effective dose and/or the prophylactic effective dose is a bacterial mass that corresponds to about 104 to 1012 cfu per daily dose Consequently,the therapeutically effective and/or the prophylactic effective dose may be in the range of about 0,005mg-1000mg non-replicating probiotics per daily dose.
(【0064】
典型的には、治療有効用量及び/又は予防有効用量は、結果的に1日用量当たり約104~1012cfuに相当する細菌塊であり、治療有効用量及び/又は予防有効用量は、1日用量当たり約0,005mg~1000mgの非複製性プロバイオティクスの範囲でもよい。)
In terms of numerical amounts,the non-replicating probiotics may be present in the composition in an amount corresponding to between 102 and 1012 cfu/g of the dry composition.Obviously,non-replicating bacteria do not form colonies;consequently this term is to be understood as the amount of non replicating bacteria that is obtained from 102 and 1012 cfu/g replicating bacteria.This includes bacteria that are inactivated or dead or present as fragments such as DNA,cytoplasmic content or cell wall materials.In other words,the quantity of bacteria which the composition contains is expressed in terms of the colony forming ability of that quantity of bacteria as if all the bacteria were alive irrespective of whether they are,in fact,non replicating,such as inactivated or dead,fragmented or a mixture of any or all of these states.
(【0065】
数値量に関して、非複製性プロバイオティクスは、組成物中に102~1012cfu/g乾燥組成物に相当する量で存在し得る。明らかに、非複製性細菌は、コロニーを形成しない。結果的に、治療有効用量及び/又は予防有効用量という用語は、102~1012cfu/gの複製性細菌から得られる非複製性細菌の量と理解される。これには、不活性化された、又は死んだ、又はフラグメント(DNA、細胞質含量若しくは細胞壁の材料など)として存在する細菌が含まれる。すなわち、組成物が含有する細菌の量は、全ての細菌が、実際は不活性化された、又は死んだ、断片化された、又はこれらの状態の任意若しくは全ての混合物などの非複製性であろうとなかろうとに関わりなく、生きているかのように、細菌の量のコロニー形成能に関して表される。)
Preferably the probiotic is present in an amount equivalent to between 104 to 1010 cfu/g of dry composition,even more preferably in an amount equivalent to between 105 and 109 cfu/g of dry composition.
(【0066】
好ましくは、プロバイオティクスは、104~1010cfu/g乾燥組成物に相当する量で、よりさらに好ましくは105~109cfu/g乾燥組成物に相当する量で存在する。)
(コ)明細書第13頁14行~第14頁19行
The composition of the present invention may contain at least one protein source,at least one carbohydrate source and at least one lipid source.
(【0068】
本発明の組成物は、少なくとも1種のタンパク質源、少なくとも1種の炭水化物源及び少なくとも1種の脂質源を含有し得る。)
Any suitable dietary protein may be used,for example animal proteins(such as milk proteins,meat proteins and egg proteins);vegetable proteins(such as soy proteins,wheat proteins,rice proteins,and pea proteins);partial or total hydrolysates of these proteins,mixtures of free amino acids;or combinations thereof.If hydrolysed proteins are required,the hydrolysis process may be carried out as desired and as is known in the art.Milk proteins such as casein and whey,and soy proteins are particularly preferred.As far as whey proteins are concerned,the protein source may be based on acid whey or sweet whey or mixtures thereof and may include alpha-lactalbumin and beta-lactoglobulin in whatever proportions are desired.Preferably however,in particular if the composition is an infant feeding formula,the protein source is based on modified sweet whey.
(【0069】
任意の適切な食物タンパク質、例えば、動物性タンパク質(乳タンパク質、肉タンパク質及び卵タンパク質など);植物性タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、及びエンドウ豆タンパク質など);これらのタンパク質の部分的若しくは完全水解物、遊離アミノ酸の混合物;又はこれらの組合せを使用し得る。加水分解されたタンパク質が必要な場合は、加水分解工程を要望どおりに及び当技術分野において公知の通りに行い得る。乳タンパク質(カゼイン及びホエイなど)、並びに大豆タンパク質が特に好ましい。ホエイタンパク質に関する限り、タンパク質源は、酸ホエイ又はスイートホエイ又はこれらの混合物をベースとしてもよく、所望の割合でα-ラクトアルブミン及びβ-ラクトグロブリンが含まれてもよい。しかし好ましくは、特に組成物が乳幼児用補給調製乳である場合、タンパク質源は、加工スイートホエイをベースとする。)
If the composition of the present invention contains a protein source,then the amount of protein or protein equivalent in the composition is typically in the range of 1.6-7.5g/100kcal of the composition.
(【0070】
本発明の組成物がタンパク質源を含有する場合、組成物中のタンパク質又はタンパク質同等物の量は典型的には、1.6~7.5g/100kcal組成物の範囲である。)
In particular for nutritional formulas,the protein source should provide that the minimum requirements,for essential amino acid content are met.
(【0071】
特に栄養調製乳について、必須アミノ酸含量の必要最小限が満たされるタンパク質源を提供すべきである。)
If the composition contains a carbohydrate source,the kind of carbohydrate to be used is not particularly limited.Any suitable carbohydrate may be used,for example sucrose,lactose,glucose,fructose,corn syrup solids,maltodextrins,starch and mixtures thereof.Combinations of different carbohydrate sources may be used.The carbohydrates may preferably provide 30% to 80% of the energy of the composition.For example,the composition may comprise a carbohydrate source in an amount of 9-18g/100kcal of the composition.
(【0072】
組成物が炭水化物源を含有する場合、使用される炭水化物の種類は、特に限定されない。任意の適切な炭水化物、例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ固形物、マルトデキストリン、デンプン及びこれらの混合物を使用し得る。異なる炭水化物源の組合せを使用し得る。炭水化物は、組成物のエネルギーの30%~80%を好ましくは供給し得る。例えば、組成物は、9~18g/100kcal組成物の量の炭水化物源を含み得る。)
If the composition contains a lipid source,the kind of lipid to be used is not particularly limited.If the composition includes a lipid source,the lipid source may provide 5% to 70% of the energy of the composition.Long chain n-3 and/or n-6 polyunsaturated fatty acids,such as DHA,ARA and/or EPA may be added.A suitable fat profile may be obtained using a blend of canola oil,corn oil,high-oleic acid sunflower oil and medium chain triglyceride oil.The composition may comprise a lipid source in an amount of 1.5-7g/100kcal of the composition.
(【0073】
組成物が脂質源を含有する場合、使用される脂質の種類は特に限定されない。組成物が脂質源を含む場合、脂質源は、組成物のエネルギーの5%~70%を供給し得る。長鎖n-3及び/又はn-6多価不飽和脂肪酸(DHA、ARA及び/又はEPAなど)を加えてもよい。適切な脂肪プロファイルは、菜種油、トウモロコシ油、高オレイン酸ヒマワリ油及び中鎖トリグリセリド油のブレンドを使用して得ることができる。組成物は、1.5~7g/100kcal組成物の量の脂質源を含み得る。)
Dietary fibre may be added as well.They may be soluble or insoluble and in general a blend of the two types is preferred.Suitable sources of dietary fibre include soy,pea,oat,pectin,guar gum,arabic gum,fructooligosaccharides,galacto-oligosaccharides,sialyl-lactose and oligosaccharides derived from animal milks.A preferred fibre blend is a mixture of inulin with shorter chain fructo-oligosaccharides.
(【0074】
食物繊維もまた加えてもよい。食物繊維は可溶性又は不溶性でよく、一般に2つのタイプのブレンドが好ましい。食物繊維の適切な源には、大豆、エンドウ豆、カラスムギ、ペクチン、グアーガム、アラビアゴム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、シアリル-ラクトース及び動物乳由来のオリゴ糖が含まれる。好ましい繊維ブレンドは、イヌリンとより短鎖のフラクトオリゴ糖との混合物である。)
(サ)明細書第17頁25行~第21頁2行
Further advantages and features of the present invention are apparent from the following Examples and Figures.
(【0095】
本発明のさらなる利点及び特徴は、下記の実施例及び図から明らかである。)
Figure 1 shows the enhancement of in vitro cytokine secretion from human PBMCs stimulated with heat treated bacteria.
Figure 2 shows the percentage of diarrhea intensity observed in OVA-sensitized mice challenged with saline(negative control),OVA-sensitized mice challenged with OVA(positive control)and OVA-sensitized mice challenged with OVA and treated with heat-treated or live Bifidobacterium breve NCC2950.Results are displayed as the percentage of diarrhea intensity(Mean ± SEM calculated from 4 independent experiments)with 100% of diarrhea intensity corresponding to the symptoms developed in the positive control(sensitized and challenged by the allergen)group.
(【0096】
【図1】熱処理された細菌で刺激されたヒトPBMCからの、インビトロのサイトカイン分泌の増強を示す。
【図2】食塩水に曝露したOVA感作マウス(陰性対照)、OVAに曝露したOVA感作マウス(陽性対照)、及びOVAに曝露し、熱処理された又は生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950で処理したOVA感作マウスにおいて観察した下痢の激しさの割合を示す。結果を、下痢の激しさ(4つの独立の実験から計算した平均±標準誤差)の割合として示し、100%の下痢の激しさは、陽性対照(アレルゲンに感作及び曝露された)群において発生した症状に相当する。)
Examples:
(【実施例】)
Methodology
(【0097】
方法)
Bacterial preparations:
Five probiotic strains were used to investigate the immune boosting properties of non-replicating probiotics:3 bifidobacteria(B.longum NCC3001,B.lactis NCC2818,B.breve NCC2950)and 2 lactobacilli(L.paracasei NCC2461,L.rhamnosus NCC4007).
(細菌調製物:
5種のプロバイオティクス菌株を使用して、非複製性プロバイオティクスの免疫促進特性を調査した。3種のビフィドバクテリウム属(ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950)及び2種のラクトバチルス属(ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007)。)
Bacterial cells were grown on MRS in batch fermentation at 37°C for 16-18h without pH control.Bacterial cells were spun down(5,000 x g,4°C)and resuspended in phosphate buffer saline prior to be diluted in saline water in order to reach a final concentration of around 10E10 cfu/ml.B.longum NCC3001,B.lactis NCC2818,L.paracasei NCC2461,L.rhamncsus NCC4007 were heat treated at 85°C for 20 min in a water bath.B.breve NCC2950 was heat treated at 90°C for 30 minutes in a water bath.Heat treated bacterial suspensions were aliquoted and kept frozen at -80°C until use.Live bacteria were stored at -80°C in PBS-glycerol 15% until use.
(【0098】
バッチ発酵において細菌細胞を、pH対照なしで、MRS上で37℃にて16~18時間増殖させた。細菌細胞を遠心分離(5,000×g、4℃)し、リン酸緩衝生理食塩水に再懸濁させ、その後概ね10E10 cfu/mlの最終濃度に達するように食塩水に希釈した。ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007を、水浴中にて85℃で20分間熱処理した。ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950を、水浴中にて90℃で30分間熱処理した。熱処理された細菌の懸濁液を分取し、使用するまで-80℃で冷凍保存した。生細菌は、使用するまで-80℃でPBS-グリセロール15%中に保存した。)
In vitro immunoprofiling of bacterial preparations
(【0099】
細菌調製物のインビトロの免疫プロファイリング)
The immune profiles cf live and heat treated bacterial preparations(i.e.the capacity to induce secretion of specific cytokines from human blood cells in vitro)were assessed.Human peripheral blood mononuclear cells(PBMCs)were isolated from blood filters.After separation by cell density gradient,mononuclear cells were collected and washed twice with Hank’s balanced salt solution.Cells were then resuspended in Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM,Sigma)supplemented with 10% foetal calf serum(Bioconcept,Paris,france),1% L-glutamine(Sigma),1% penicillin/streptomycin(Sigma)and 0.1% gentamycin(Sigma).PBMCs(7x105 cells/well)were then incubated with live and heat treated bacteria(equivalent 7x106 cfu/well)in 48 well plates for 36h.The effects of live and heat treated bacteria were tested on PBMCs from 8 individual donors splitted into two separate experiments.After 36h incubation,culture plates were frozen and kept at -20°C until cytokine measurement.Cytokine profiling was performed in parallel(i.e.in the same experiment on the same batch of PBMCs)for live bacteria and their heat-treated counterparts.
(生細菌調製物及び熱処理された細菌調製物の免疫プロファイル(すなわち、インビトロで、ヒト血液細胞から特定のサイトカインの分泌を誘発する能力)を評価した。ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を、血液フィルターから単離した。細胞密度勾配による分離後に、単核細胞を集め、ハンクス平衡塩類溶液で2度洗浄した。次いで、細胞を、10%ウシ胎仔血清(Bioconcept、Paris、france)、1%L-グルタミン(Sigma)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)及び0.1%ゲンタマイシン(Sigma)を補充したIscove改変ダルベッコ培地(IMDM、Sigma)に再懸濁させた。次いで、PBMC(7×105の細胞/ウェル)を、生細菌及び熱処理された細菌(7×106当量cfu/ウェル)と共に48ウェルプレート中で36時間インキュベートした。生細菌及び熱処理された細菌の作用を、2つの別々の実験に分割した、8人の個々のドナーからのPBMC上で試験した。36時間のインキュベーション後、培養プレートを冷凍し、サイトカイン測定まで-20℃で保持した。サイトカインプロファイリングを、生細菌及びそれらの熱処理された対応物について並行で行った(すなわち、PBMCの同じバッチでの同じ実験において)。)
Levels of cytokines(IFN-γ,IL-12p40,TNF-α and IL-10)in cell culture supernatants after 36h incubation were determined by ELISA(R&D DuoSet Human IL-10,BD OptEIA Human IL12p40,BD OptEIA Human TNF,BD OptEIA Human IFN-γ)following manufacturer’s instructions.IFN-γ,IL-12p40 and TNF-α are proinflammatory cytokines,whereas IL-10 is a potent anti-inflammatory mediator.Results are expressed as means(pg/ml)+/- SEM of 4 individual donors and are representative of two individual experiments performed with 4 donors each.
(【0100】
36時間のインキュベーション後の細胞培養上清中のサイトカイン(IFN-γ、IL-12p40、TNF-α及びIL-10)のレベルを、製造者の指示に従ってELISA(R&D DuoSet Human IL-10、BD OptEIA Human IL12p40、BD OptEIA Human TNF、BD OptEIA Human IFN-γ)によって決定した。IFN-γ、IL-12p40及びTNF-αは、炎症促進性サイトカインであり、一方IL-10は、強力な抗炎症メディエーターである。結果を、4人の個々のドナーの平均(pg/ml)+/-標準誤差として表すが、各々4人のドナーで行う2つの個々の実験の代表である。)
In vivo effect of live and heat treated Bifidobacterium breve NCC2950 in prevention of allergic diarrhea
(【0101】
アレルギー性下痢症の予防における、生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950及び熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950のインビボ作用)
A mouse model of allergic diarrhea was used to test the Th1 promoting effect of B.breve NCC2950(Brandt E.B et al.JCI 2003;112(11):1666-1667).Following sensitization(2 intraperitoneal injections of Ovalbumin(OVA)and aluminium potassium sulphate at an interval of 14 days;days 0 and 14)male Balb/c mice were orally challenged with OVA for 6 times(days 27,29,32,34,36,39)resulting in transient clinical symptoms(diarrhea)and changes of immune parameters(plasma concentration of total IgE,OVA specific IgE,mouse mast cell protease 1,i.e MMCP- 1).Bifidobacterium breve NCC2950 live or heat treated at 90°C for 30min,was administered by gavage 4 days prior to OVA sensitization(days -3,-2,-1,0 and days 11,12,13 and 14)and during the challenge period(days 23 to 39).A daily bacterial dose of around 109 colony forming units(cfu)or equivalent cfu/mouse was used.
(アレルギー性下痢症のマウスモデルを使用して、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950のTh1促進作用を試験した(Brandt E.Bら、JCI2003;112(11):1666~1667)。感作(14日の間隔で、オボアルブミン(OVA)及び硫酸アルミニウムカリウムの2回の腹腔内注射;0日目及び14日目)後の雄のBalb/cマウスを、6回(27日目、29日目、32日目、34日目、36日目、39日目)OVAに経口的に曝露し、一過的臨床症状(下痢症)及び免疫パラメーターの変化(総IgE、OVA特異的IgE、マウス肥満細胞プロテアーゼ1、すなわち、MMCP-1の血漿濃度)がもたらされた。生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950又は90℃で30分間熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950を、OVA感作の4日前に(-3日目、-2日目、-1日目、0日目及び11日目、12日目、13日目及び14日目)、並びに曝露期間の間に(23~39日目)、胃管栄養法によって投与した。概ね109コロニー形成単位(cfu)又は当量cfu/マウスの1日当たり細菌量を使用した。)
Results
(【0102】
結果)
Induction of secretion of ’pro-inflammatory’ cytokines after heat treatment
(熱処理後の「炎症誘発性」サイトカインの分泌の誘発)
The ability of heat treated bacterial strains to stimulate cytokine secretion by human peripheral blood mononuclear cells(PBMCs)was assessed in vitro.The immune profiles based on four cytokines upon stimulation of PBMCs by heat treated bacteria were compared to that induced by live bacterial cells in the same in vitro assay.
(熱処理された菌種がヒト末梢血単核球細胞(PBMC)によるサイトカイン分泌を刺激する能力をインビトロで評価した。熱処理された細菌によるPBMCの刺激による4つのサイトカインに基づいた免疫プロファイルを、同じインビトロアッセイにおいて生細菌細胞によって誘発される免疫プロファイルと比較した。)
The heat treated preparations were plated and assessed for the absence of any viable counts.Heat treated bacterial preparations did not produce colonies after plating.
(【0103】
熱処理された調製物をプレーティングし、生菌数が存在しないことについて評価した。熱処理された細菌調製物は、プレーティング後にコロニーを産生しなかった。)
Live probiotics induced different and strain dependent levels of cytokine production when incubated with human PBMCs(Figure 1).Heat treatment of probiotics modified the levels of cytokines produced by PBMCs as compared to their live counterparts.Heat treated bacteria induced more pro-inflammatory cytokines(TNF-α,IFN-γ,IL-12p40)than their live counterparts do.By contrast heat treated bacteria induced similar or lower amounts of IL-10 compared to live cells(Figure 1).These data show that heat treated bacteria are more able to stimulate the immune system than their live counterparts and therefore are more able to boost weakened immune defences.In other words the in vitro data illustrate an enhanced immune boost effect of bacterial strains after heat treatment.
(【0104】
生きたプロバイオティクスは、ヒトPBMCと共にインキュベートされるときに、異なるレベル及び菌株依存レベルのサイトカイン産生を誘発した(図1)。プロバイオティクスの熱処理は、生きた対応物と比較すると、PBMCによって産生されるサイトカインのレベルを変更した。熱処理された細菌は、生きた対応物よりも炎症促進性サイトカイン(TNF-α、IFN-γ、IL-12p40)をより誘発した。対照的に、熱処理された細菌は、生細胞と比較して同様又はより低い量のIL-10を誘発した(図1)。熱処理された細菌が生きた対応物よりも免疫系をより刺激することができ、したがって弱体化した免疫防御をより促進できることをこれらのデータは示す。すなわち、インビトロデータは、熱処理後の菌種の増強された免疫促進作用を説明する。)
In order to illustrate the enhanced effect of heat-treated B.breve NCC2950(compared to live cells)on the immune system,both live and heat treated B.breve NCC2950 were tested in an animal model of allergic diarrhea.
(【0105】
(生細胞と比較した)熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950の、免疫系に対する増強された作用を説明するために、生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950及び熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950の両方を、アレルギー性下痢症の動物モデルにおいて試験した。)
As compared to the positive control group,the intensity of diarrhea was significantly and consistently decreased after treatment with heat treated B.breve NCC2950(41.1% ± 4.8)whereas the intensity of diarrhea was lowered by only 20 ± 28.3 % after treatment with live B.breve NCC2950.These results demonstrate that heat-treated B.breve NCC2950 exhibits an enhanced protective effect against allergic diarrhea than its live counterpart(Figure 2).
(【0106】
陽性対照群と比較して、下痢の激しさは、熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950による処理後に有意に及び一貫して減少(41.1%±4.8)し、一方では下痢の激しさは、生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950による処理後に20±28.3%のみ低下した。熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950が、その生きた対応物よりアレルギー性下痢に対して増強された保護作用を示すことをこれらの結果は示す(図2)。)
As a consequence,the ability of probiotics to enhance the immune defences was shown to be improved after heat treatment.
(【0107】
結果として、プロバイオティクスが免疫防御を増強する能力は、熱処理の後に改善することが示された。)
イ 甲第7号証に記載された技術的事項
(ア)
上記アの記載事項(サ)より、甲第7号証には、「ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007を、85℃で20分間熱処理し、またはビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950を、90℃で30分間熱処理して、免疫防御を増強する能力を改善した非複製性プロバイオティクスを調製する方法」という技術的事項が記載されている。
なお、上記ア記載事項(サ)の内容は、本件特許明細書の段落【0117】における【図8】及び【図9】の説明、及び段落【0132】-【0142】における実施例2についての説明と、翻訳による表記の違いを除き、同一である。
(イ)
上記アの記載事項(ア)及び(キ)より、甲第7号証には、調製した非複製性プロバイオティクスを用いて、「欠陥のある免疫防御に関連する障害を治療又は予防するための組成物」として「ペットフード」としての「組成物」を調製する方法、という技術的事項が記載されている。
(ウ)
上記アの記載事項(ケ)より、甲第7号証には、非複製性プロバイオティクスの用量について、「治療有効用量及び/又は予防有効用量は、当業者が適切に調節することができ、好ましくは105~109cfu/g乾燥組成物に相当する量でよく、1日用量当たり約0,005mg~1000mgの非複製性プロバイオティクスの範囲でもよい」という技術的事項が記載されている。
(エ)
上記アの記載事項(エ)より、甲第7号証には、「プロバイオティクスの少なくとも95重量%を非複製性とする」、という技術的事項が記載されている。
上記アの記載事項(ク)より、甲第7号証には、組成物に「フルクトースを含有するオリゴ糖、イヌリンといったプレバイオティクスを加える」、という技術的事項が記載されている。
上記アの記載事項(コ)より、甲第7号証には、組成物に「タンパク質源、炭水化物源、脂質源を含有させる」、という技術的事項が記載されている。
また、上記アの記載事項(コ)より、甲第7号証には、組成物に「食物繊維」を含有させる、という技術的事項が記載されている。
ウ 甲第7号証に記載された発明の認定
甲第7号証には、上記ア及びイを踏まえると、次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。
「ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007を、85℃で20分間熱処理し、またはビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950を、90℃で30分間熱処理して、免疫防御を増強する能力を改善した非複製性プロバイオティクスを調製し、
調製した非複製性プロバイオティクスを用いて、欠陥のある免疫防御に関連する障害を治療又は予防するためのペットフードとしての組成物を調製する方法であり、
治療有効用量及び/又は予防有効用量は、当業者が適切に調節することができ、好ましくは105~109cfu/g乾燥組成物に相当する量でよく、1日用量当たり約0,005mg~1000mgの非複製性プロバイオティクスの範囲でもよく、
プロバイオティクスの少なくとも95重量%を非複製性とし、
組成物にはフルクトースを含有するオリゴ糖、イヌリンといったプレバイオティクスを加え、
組成物にはタンパク質源、炭水化物源、脂質源、食物繊維を含有させる、方法。」
(8)甲第8号証
甲第8号証は、甲第7号証の国際特許出願に添付された優先権の証明書であり、その第1~第2頁によれば、欧州特許庁に2009年5月11日に、出願番号9159929号の出願がされた(以下、「特許出願A」という。)ことを示している。
また同第3頁には、当該特許出願Aの出願人として、本件特許の特許権者かつ出願人と同一の者が記載されており、それより以降の頁には特許出願Aの添付明細書、特許請求の範囲及び図面が添付されている。
ア 特許出願Aの添付明細書及び図面の記載
特許出願Aの添付明細書には、上記(7)アに見た甲第7号証の明細書と、下記の2点を除き、同一の記載がなされている。
(ア)上記(7)ア(オ)の中間部における「Bifidobacterium longum NCC3001 was deposited under the Budapest treaty as ATCC BAA-999 and may be obtained,e.g.,from Morinaga Milk Industry Co.Ltd.of Japan under the trade mark BB536.」(和訳;ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001は、ブダペスト条約の元でATCC BAA-999として寄託されたが、例えば、日本の森永乳業株式会社から商標BB536で得ることができる。)のうち、「and may be ...」以降の、日本における入手先の例についての付記がない。
(イ)上記(7)ア(オ)の末尾部における「Bifidobacterium breve NCC2950(strain A)was deposited under the Budapest treaty as CNCM I-3865.」(和訳;ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950(菌株A)は、ブダペスト条約の元でCNCM I-3865として寄託された。)の記載がなく、甲第7号証中で「Bifidobacterium breve NCC2950」と表記されている箇所が「Bifidobacterium breve strain A」(ビフィドバクテリウム・ブレーベ菌株A)と記載されている。
イ 特許出願Aの添付明細書に記載された発明
特許出願Aの添付明細書において、上記アに言及した2点を除き、上記(7)に見た甲第7号証と同一の記載がされていることから、特許出願Aの添付明細書には、次の発明(以下、「特許出願A発明」という。)が記載されていると認められる。
「ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007を、85℃で20分間熱処理し、またはビフィドバクテリウム・ブレーベ菌株Aを、90℃で30分間熱処理して、免疫防御を増強する能力を改善した非複製性プロバイオティクスを調製し、
調整した非複製性プロバイオティクスを用いて、欠陥のある免疫防御に関連する障害を治療又は予防するためのペットフードとしての組成物を調製する方法であり、
治療有効用量及び/又は予防有効用量は、当業者が適切に調節することができ、好ましくは105~109cfu/g乾燥組成物に相当する量でよく、1日用量当たり約0,005mg~1000mgの非複製性プロバイオティクスの範囲でもよく、
プロバイオティクスの少なくとも95重量%を非複製性とし、
組成物にはフルクトースを含有するオリゴ糖、イヌリンといったプレバイオティクスを加え、
組成物にはタンパク質源、炭水化物源、脂質源、食物繊維を含有させる、方法。」
(9)甲第9号証
甲第9号証は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
甲第9号証には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、英文の後に、申立書に添付された翻訳を基礎とした仮訳を、括弧書きで付記した。
(ア)第760頁、表題
「Suppressive Effects of Bifidobacterium breve Strain M-16V on T-Helper Type 2 Immune Responses in a Murine Model」
(マウスモデルにおける2型T-ヘルパー免疫応答に対するビフィドバクテリウム・ブレーベM-16V株の抑制効果)
(イ)第760頁右欄下から5~3行
「The organisms were lyophilized and suspended in PBS at 10mg/ml and then killed by heating the solution to 100℃ for 30 min.」
(生物は、凍結乾燥し、10mg/mlでPBSに懸濁した後、懸濁液を100℃で30分加熱することにより殺菌した。)
(ウ)第762頁右欄下第7~16行
「Effects of M-16V on Cytokine and IgE Production by OVA-Sensitized Splenocytes in Vitro To further investigate the mechanism by which M-16V suppresses the Th2 immune response and IgE production,we studied the effects on cytokines and IgE production when using various concentrations of heat-killed M-16V in vitro.Results indicated that M-16V suppressed the OVA-induced total IgE and IL-4 production and induced secretion of INF-γand IL-10 in OVA-immunized splenocytes in a dose-dependent manner(Figs.3a-c,e).」
(in vitroにおける、OVA感作した脾臓細胞によるサイトカイン及びIgE産生に対するM-16Vの効果 M-16VがTh2免疫応答及びIgE産生を抑制するメカニズムをさらに調べるために、in vitroにおける、加熱殺菌した種々の濃度のM-16Vを用いてサイトカイン及びIgE産生に対する効果を調べた。その結果、M-16Vは、OVA免疫脾臓細胞において、用量依存的に、OVAで誘導されるIgE及びIL-4産生を抑制し、IFN-γ及びIL-10の分泌を誘導した(Fig.3a-c,e)。)
(10)文献1
文献1は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
ア 文献1の記載
文献1には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0007】
本発明によれば、動物においてプロバイオティク活性を有する、切除及び洗浄されたイヌ科動物の胃腸管から単離することによって得られるビフィドバクテリア・グロボーサム(Bifidobacteria globosum)種の乳酸菌株が提供される。」
(イ)
「【0024】
(ビフィドバクテリア・グロボーサム(Bifidobacteria globosum)菌株)
本発明の第1の態様は、動物においてプロバイオティク活性を有する、切除及び洗浄されたイヌ科動物の胃腸管から単離することによって得られるビフィドバクテリア・グロボーサム株を含む。プロバイオティクは、宿主に有益な作用を及ぼす、生存微生物若しくは死んだ微生物、微生物の加工組成物、タンパク質若しくは炭水化物のようなそれらの構成成分、又は細菌発酵の精製画分である。プロバイオティク菌は、一般に生存細胞の形態で使用される。ただし、プロバイオティク菌が発現する有益な因子を含有する、死滅した培養物又は組成物のような非生存細胞にも拡張することができる。これには、熱で死滅する微生物、又は、pH変化に曝されることによって、若しくは圧力を受けることによって死滅する微生物を含めることができる。本発明の目的では、「プロバイオティク」は、さらに、別途示されていなければ、本発明の微生物によって発酵時に産生される代謝産物を包含するものとする。これらの代謝産物は、発酵の媒質に放出されることがあり、又は微生物内に蓄えられていることがある。本明細書で使用する時、「プロバイオティク」は、また、治療的用量で与えられたときに宿主動物に有益な機能を果たす、細菌、細菌性ホモジネート、細菌性タンパク質、細菌抽出物、細菌発酵上清、及びこれらの混合物も包含する。」
(ウ)
「【0045】
本発明のビフィドバクテリア・グロボーサム菌の使用方法は、通常、動物による経口消費を伴う。経口消費は、通常の食餌摂取の一部として、又はその補助(supplement)として行われてよい。経口消費は、通常、少なくとも月に1回、好ましくは少なくとも週に1回、より好ましくは少なくとも1日に1回行われる。本発明のビフィドバクテリア・グロボーサム菌は、動物、好ましくはコンパニオンアニマルの健康を維持又は改善するための治療的に有効な量で、該動物に与えられてよい。本明細書で使用する時、乳酸菌に関する用語「治療的に有効な量」は、処置が必要な宿主動物に所望の効果若しくは利益を提供するのに十分であるが、毒性、刺激、若しくはアレルギー反応のような悪影響を回避するために十分に少ない、本発明の方式で使用したときに適当な利益/危険比に相応する量を意味する。具体的な「治療的に有効な量」は、処置されている特定の条件、ユーザーの身体条件、処置期間、併用療法(もしあれば)の性質、使用されることになる具体的な剤形、採用されるキャリア、服用形態の溶解度、及び特定の服用レジメンのような因子によって異なる。
【0046】
好ましくは、乳酸菌は、1日当たり1.0E+04~1.0E+14CFU、より好ましくは1日当たり1.0E+06~1.0E+12CFUの分量でコンパニオンアニマルに与えられる。組成物は、好ましくは、切除及び洗浄されたイヌ科動物のGI管からの単離によって得られる1.0E+04~1.0E+12CFU/gのビフィドバクテリア・グロボーサムを少なくとも0.001%含有してよい。ビフィドバクテリア・グロボーサム菌は、生存可能な形態で、若しくは死菌細胞として、又は本発明の乳酸菌の発酵産物の留出物、単離物、若しくは他の画分、あるいはこれらのいずれかの組み合わせとして動物に与えることができる。
【0047】
好ましくは、ビフィドバクテリア・グロボーサム菌、又はその精製若しくは単離画分を使用して、動物の健康を維持又は改善することを目的とした組成物が調製される。前述のように、組成物は、通常の食餌摂取の一部であってよく、又はサプリメントであってよい。組成物が通常の食餌摂取の一部を成す場合、該組成物は、ビスケット若しくは粗挽き(kibbles)のような乾燥アニマルフード、加工粒餌、湿式アニマルフード、ヨーグルト、肉汁(gravies)、噛み物(chews)、トリーツ(treats)などの形態であってよい。
【0048】
このような組成物は、さらなる構成成分を含んでよい。他の構成成分は、本明細書で使用される組成物に含めるのに有益であるが、本発明の目的には任意である。例えば、フード組成物は、好ましくは栄養的にバランスが取れている。一実施形態では、フード組成物は、乾燥物質基準で、該フード組成物の約20重量%~約50重量%の粗タンパク質、好ましくは約22重量%~約40重量%の粗タンパク質を含んでよい。粗タンパク質材料は、少なくとも約15重量%のタンパク質含有量を有するいずれの材料を含んでもよく、その非限定例としては、大豆、綿実、及び落花生のような植物性タンパク質、カゼイン、アルブミン、及び肉組織のような動物性タンパク質が挙げられる。本明細書で有用な肉組織の非限定例としては、新鮮な肉、並びに、魚粉、家禽粉、肉粉、骨粉などの乾燥又は精製ミールが挙げられる。他の種類の好適な粗タンパク質源としては、小麦グルテン若しくはトウモロコシグルテン、並びに酵母のような微生物源から抽出されたタンパク質が挙げられる。
【0049】
さらに、フード組成物は、乾燥物質基準で、該フード組成物の約5重量%~約35重量%の脂肪、好ましくは約10重量%~約30重量%の脂肪を含んでもよい。さらに、本発明の乳酸菌を含むフード組成物は、また、約4%~約25%の総食物繊維も含んでよい。該組成物は、また、PCT国際公開特許WO99/51108に記載の多重デンプン源(multiple starch source)も含んでよい。
【0050】
本発明の組成物は、炭水化物源をさらに含んでよい。米、トウモロコシ、ミロ、サトウモロコシ、大麦、アルファルファ、小麦などのグレイン又は穀物が、供給源の例である。さらに、該組成物は、また、乾燥乳清及び他の乳製品副産物のような他の材料も含有してよい。
【0051】
本発明の細菌を含む組成物は、また、プレバイオティクも含んでよい。「プレバイオティク」には、ペットの腸内細菌相によって発酵される、したがって病原菌を犠牲にしてペットの胃腸管内で乳酸菌の増殖及び発達を促進する物質又は化合物が含まれる。この発酵の結果は、結腸での脂肪酸、特に短鎖脂肪酸の放出である。これは、結腸においてpH値を低下させる効果を有する。好適なプレバイオティクの非限定例としては、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、又はデンプンのオリゴ誘導体として一般に知られている、イヌリン及びその加水分解生成物のようなオリゴ糖が挙げられる。プレバイオティクは、いずれか好適な形態で提供されてよい。例えば、プレバイオティクは、繊維を含有する植物材料の形態で提供されてよい。好適な植物材料としては、アスパラガス、アーティチョーク、玉ねぎ、小麦、若しくはチコリー、又はこれらの植物材料の残渣が挙げられる。別法として、プレバイオティク繊維は、イヌリン抽出物として提供されてもよく、例えば、チコリーからの抽出物が好適である。好適なイヌリン抽出物は、オラフティSA(Orafti SA)(ベルギー、チルレモン(Tirlemont)3300)から商標「ラフティライン(Raftiline)」として得ることができる。例えば、イヌリンは、約90~約94重量%のイヌリン、最高約4重量%までのグルコース及びフルクトース、並びに約4~9重量%のスクロースを含有する白色微粉末であるラフティライン(Raftiline)(g)STの形態で提供されてもよい。別法として、繊維は、オラフティSA(Orafti SA)(ベルギー、チルレモン(Tirlemont)3300)から商標「ラフティルーズ(Raftilose)」として得られるようなフラクトオリゴ糖の形態であってもよい。例えば、イヌリンは、ラフティルーズ(Raftilose)(g)P95の形態で提供されてよい。さもなければ、フラクトオリゴ糖は、イヌリンの加水分解によって、酵素法によって、又は微生物を用いて得られてもよい。」
イ 文献1に記載された発明の認定
文献1には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献1発明」という。)が記載されていると認められる。
「プロバイオティク活性を有するビフィドバクテリア・グロボーサム(Bifidobacteria globosum)種の乳酸菌株を、
生存細胞の形態として、または熱で死滅する等死滅した培養物又は組成物のような非生存細胞として、
動物に通常の食餌摂取の一部として、又はその補助(supplement)として、フード組成物で与える方法において、
当該乳酸菌の分量は、好ましくは1日当たり1.0E+06~1.0E+12CFUの分量とし、
フード組成物は、乾燥アニマルフード、加工粒餌、湿式アニマルフード、噛み物(chews)、トリーツ(treats)などの形態であってよく、
フード組成物は、栄養的にバランスが取れており、乾燥物質基準で、好ましくは約22重量%~約40重量%の粗タンパク質、約10重量%~約30重量%の脂肪、約4%~約25%の総食物繊維、さらに炭水化物源を含んでおり、
フード組成物は、フラクトオリゴ糖、イヌリン等のプレバイオティクも含んでよい、
方法。」
(11)文献2
文献2は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
ア 文献2の記載
文献2には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【0006】
そこで、本発明の目的は、低水分で保存性が良好であり、かつ嵩密度が低いにも拘わらず脆く硬くなく食い千切りやすいため、低カロリーでありながら嗜好性が高く外観が良好なペットフードを提供することにある。」
(イ)
「【0012】
上述のとおり、本発明のペットフードの水分含量は20%以下であり、より好ましくは5~20%、更に7~18%、特に8~17%とすることが、保存性、発泡のし易さに加えて、嗜好性を高める、食感を高める等の点から好ましい。また、水分活性は0.79以下であることが好ましく、更に0.4~0.79、特に0.45~0.75、殊更0.5~0.7とすることが保存性の良さ、菌繁殖抑制の点から好ましい。ここで水分活性は、検体を測定用秤皿に2g量り採り、水分活性測定器により測定できる。」
(ウ)
「【0021】
本発明のペットフードは、粗タンパク質含量を20%以上とすることが、嗜好性、発泡性、発泡後の強度維持等の点から好ましい。粗タンパク質含量は、更に22~50%、特に25~35%とすることが、同様の点から好ましい。なお、ペットフード中の粗タンパク質含量は、改良デュマ法を用いて測定したものである。粗タンパク質源としては、動物性タンパク質含有物、植物性タンパク質含有物、乳タンパク質含有物等が挙げられ、動物性タンパク質としては、牛、豚、羊、うさぎ、カンガルー等の畜肉及び獣肉ならびにその副生成物及び加工品;前記の鶏正肉、七面鳥、うずらなどの鳥肉ならびにその副生物及び加工品;魚、白身魚などの魚肉ならびにその副生物及び加工品等が挙げられる。植物性タンパク質含有物としては、大豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦グルテン、コーングルテン等が挙げられる。乳タンパク質含有物としては、チーズ、バター、ならびにその加工品等が挙げられる。本発明のペットフードにおいては、以上のタンパク質源から選択される1種又は2種以上の組み合わせを用いることが好ましい。」
(エ)
「【0024】
本発明のペットフードは、炭水化物源を20~70%、更に30~60%、特に40~50%配合することが、発泡性、成形性、食感を高める等の点から好ましい。炭水化物源としては、穀物類、糖類、食物繊維、デンプン類等が挙げられる。」
(オ)
「【0030】
食物繊維としては、動物の消化酵素では分解されない素材をいい、水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を含むが、前者の具体例としては、セルロース、ヘミセルロース等を含有したピーファイバー、チコリ根、アルファルファミール、小麦ふすま等が挙げられ、後者の具体例としては、グアガム酵素分解物、サイリウム種皮、グルコマンナン、寒天、水溶性大豆多糖類、水溶性コーンファイバー、イヌリン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸等が挙げられる。特に、本発明のペットフードでは、水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両者を含んだビートパルプが好ましい。本発明のペットフードへの食物繊維の配合量は0.1~10%、好ましくは0.3~8%、更に好ましくは0.5~5%が良い。」
(カ)
「【0034】
本発明のペットフードは、油脂を含有することが、嗜好性を高める、多価不飽和脂肪酸の供給等の点から好ましい。油脂としては、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、亜麻仁油、ごま油、ラード、牛脂、魚油、乳脂等が挙げられるが、油脂として配合したものに限られず、他の植物原料、又は動物原料中に油脂が含有されている場合にはこれも含む。油脂は本発明のペットフード中に1~30%、更に2~25%、特に3~20%含有するのが、嗜好性を高める、多価不飽和脂肪酸の供給、発泡のし易さ等の点で好ましい。更に乳の風味を増強する目的でバターオイルを加えると嗜好性が更に高まるため好ましい。その配合量は0.05%~5%、好ましくは0.1~2%、更に好ましくは0.1~1%であると良い。」
イ 文献2に記載された発明の認定
文献2には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献2発明」という。)が記載されていると認められる。
「水分含量は20%以下であり、
粗タンパク質含量は、特に25~35%とすることが好ましく、
炭水化物源は、特に40~50%配合することが好ましく、
食物繊維の配合量は、0.5~5%が好ましく、
油脂は、3~20%含有するのが、嗜好性を高める、多価不飽和脂肪酸の供給等の点で好ましい、
低カロリーでありながら嗜好性が高く外観が良好なペットフード。」
(12)文献3
文献3は、本件特許の出願日より前、かつ優先権主張日より前に頒布された刊行物である。
ア 文献3の記載
文献3には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動物の口部のケアおよび口腔衛生を促進させる構造マトリックスを有する固形の動物用食品に関する。とくに、本発明は、犬や猫のようなペットがかむときに、すぐれた機械的な歯の清掃効果をペットの歯に与える膨張した筋形成構造マトリックスを有するペット用食品に関する。」
(イ)
「【0021】本発明の押出食品はマトリックスの微細構造中に横に延びる繊維の筋を有する固形で、均質の膨張した組成物である。該食品は、堅焼きや他の押出製品と異なり、動物がかむと、砕けずに、むしろマトリックスの筋に沿って裂け、したがってかまれた筋形成製品の分離したマトリックス層との機械的清掃接触や他の摩擦接触に起因する所期の歯の清掃の利点を動物に与える。さらに、筋形成繊維状製品は、動物が該製品をかんでも砕けないので、製品は粘着接触して長時間歯にくっつき、機械的な歯の清掃作用を延長する。
【0022】本発明の膨張した筋形成製品は密度が約10ないし約35lbs/ft3(160~561kg/m3)で、典型的な栄養成分は次の通りである。
【0023】
成分 重量%
炭水化物 約35ないし約70
タンパク質 約10ないし約35
脂 肪 約10ないし約20
繊 維 約10ないし約25
ビタミンやミネラルのような
栄養バランス剤 約0.01ないし約0.40
最終製品を調製する場合に、膨張した押出物の含水量を約5ないし約11%の範囲に調整する。水分レベルが5%を下回ると製品が硬くなりすぎて動物がかみにくくなり、このために製品中の5%未満の水分レベルは避けなければならない。水分レベルが約11%を上回ると、筋形成製品の機械的清掃効果が弱まり始まる程度に製品の硬さが下がり始める。筋形成製品の最大の機械清掃効果は密度が好ましくは約20ないし約30ポンド(lbs)/立方フート(ft3)(320~481kg/m3)および繊維レベルが好ましくは約15ないし約20重量%において得られる。該繊維レベルにおいて、製品は所望の程度の筋を有して、所期の程度の粘着性および歯に対する固着性が得られる。さらに、美味性およびエネルギー(カロリー)レベルを向上させるために、乾燥した押出筋形成製品を約1ないし約13%の補助的脂肪で被覆することができる。」
イ 文献3に記載された発明の認定
文献3には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献3発明」という。)が記載されていると認められる。
「典型的な栄養成分として、炭水化物を約35ないし約70重量%、タンパク質を約10ないし約35重量%、脂肪を約10ないし約20重量%、繊維を約10ないし約25重量%含み、含水量が約5ないし約11%である、
ペット用食品。」
第5 判断
1 本件発明1について
本件発明1については、取消理由は通知していない。先の取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について、以下に判断する。
(1)特許法第36条第4項第1号について
ア アレルギーに関する本件明細書中の記載について
申立人は、申立書において、炎症性障害に関する発明に係る請求項1と、免疫防御不全に関連する障害に関する発明に係る請求項3では、微生物の種類や殺菌条件が異なり、それらの方法により製造されるペットフード組成物の作用機序や用途も異なる旨を主張している。また申立人は、本件の特許明細書の段落【0091】には、「本発明の組成物により治療又は予防することができる炎症性障害は、特に限定されていない。例えば、それら炎症性障害は、急性炎症、例えば敗血症;熱傷;及び慢性炎症、例えば炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、回腸嚢炎);壊死性腸炎;皮膚炎、例えば、UV又は化学物質誘発性の皮膚炎、湿疹、反応性皮膚;過敏性腸症候群;眼の炎症;アレルギー、喘息;並びにそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。」との記載があり、一方で段落【0099】-【0100】には、「したがって、本発明の組成物により治療又は予防可能な免疫防御不全関連障害は特に限定されるものではない。例えば、それらの障害は、感染、特に細菌、ウイルス、真菌及び/又は寄生虫感染;食細胞欠損;低いレベルから厳しいレベルの免疫抑制、例えば、ストレス又は免疫抑制薬、化学療法若しくは放射線療法により誘発されるもの;免疫能が低い免疫系の自然な状態、例えば新生児の状態;アレルギー;並びにそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。」との記載があり、本件の特許明細書の記載によれば、アレルギーはいずれのペットフード組成物の対象にも含まれている旨を主張している。そして申立人は、アレルギーの治療を目的としてペットフード組成物を製造しようとすると、いずれの請求項に係る発明を実施すればよいのか不明であるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない旨を主張している(申立書第28頁第4行~26行参照)。
しかしながら、本件発明1は「炎症性障害の予防又は治療用」のペットフード組成物を製造する方法であり、申立人が主張する本件特許明細書の段落【0091】の記載も、「本発明の組成物により治療又は予防することができる炎症性障害」の例示の一つとして「アレルギー」を示すものであるから、当該段落【0091】の記載は、本件発明1の方法で製造するペットフード組成物が治療又は予防の対象とする「炎症性障害」を、あらゆる種類の「アレルギー」であると定義するものではない。そして、本件発明1の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、アレルギーについても、アレルギーにより生じるペットの炎症を予防又は治療すべき場合に、「炎症性障害の予防又は治療用」のペットフード組成物を製造する、本件発明1の方法を採用すればよいことは、十分明確に理解できる。
なお、この点については、本件明細書の段落【0099】-【0100】が、「免疫防御不全に関連する障害の予防又は治療用」のペットフード組成物を製造する方法である本件発明3に関して、「本発明の組成物により治療又は予防可能な免疫防御不全関連障害」の例示の一つとして「アレルギー」を示すことについても、同様である。
したがって、アレルギーに関する本件明細書の発明の詳細な説明の記載について、本件発明1に係る「炎症性障害の予防又は治療用」のペットフード組成物を製造する方法を、実施をすることができない程度の不備があるということはできず、これに反する申立人の主張は採用できない。
イ 熱処理条件の実証的根拠について
申立人は申立書において、本件発明1と本件発明3とはいずれもプロバイオティクスを熱処理することを含むところ、本件発明1に関しては15秒の熱処理のみが、本件発明3に関しては85℃、20分又は90℃、30分の熱処理のみが、実証的根拠として示されているのみであり、これらのデータのみでは、特許請求の範囲に記載された条件で、それぞれ対象とする障害の予防又は治療に効果があるのか、本件特許明細書の発明の詳細な説明からは理解できないから、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件発明1について、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない旨を主張している(申立書第28頁最終行~第29頁第7行参照)。
しかしながら、本件発明1においては、熱処理については「約90~150℃、約5~30秒の高温処理」と特定されており、当該熱処理の対象とするプロバイオティクス微生物も特定されているから、高温処理の場合について、「約5~30秒」の加熱時間のうち明細書で実験データが示されているのが15秒の加熱時間のみであるからといって、本件発明1における「約90~150℃、約5~30秒の高温処理」で特定されたプロバイオティクス微生物を加熱処理することを含むペットフード組成物の製造方法の実施に、そもそも支障が生じるものではない。
なお、申立人の「それぞれ対象とする障害の予防又は治療に効果があるのか、本件特許明細書の発明の詳細な説明からは理解できない」という主張は、サポート要件に関する主張のようにも思われるが、熱処理と効果という観点で検討すると、「炎症性障害の予防又は治療用」のペットフード製造のための本件発明1における加熱処理は「約90~150℃、約5~30秒の高温処理」であるのに対して、「免疫防御不全に関連する障害の予防又は治療用」のペットフード製造のための本件発明3における加熱処理は「約80℃~90℃で約20分~40分」であるから、両者の加熱条件は特に加熱時間において十分に離れている。そして本件明細書において、前者の高温処理について、15秒の加熱時間により炎症性障害の予防又は治療に適した効果が得られる実証データが示され(実施例1)、また後者の加熱処理について、85℃で20分又は90℃で30分の加熱により免疫防御不全の予防又は治療に適した効果が得られる実証データが示されている(実施例2)ことからすれば、本件発明1の高温処理の加熱時間である「約5~30秒」のうち、実証データが示されているのが15秒の加熱時間のみであっても、当該15秒を含む近傍の時間範囲であり、かつ実施例2の加熱時間である「約20分」とは離れた時間範囲である、本件発明1の「約5~30秒」の加熱時間範囲について、実証データが明示されていない15秒以外の加熱時間では、高温処理されたプロバイオティクス微生物の特性が大きく異なると考えるべき事情もない。そのため、本件発明1に関する加熱時間の実証データが示されているのが15秒のみであっても、本件発明1の「約5~30秒」の加熱時間の範囲で、実証データが示された15秒の場合と同様の効果が期待できることも、本件発明の詳細な説明の記載から理解することができる。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明において、本件発明1の「高温処理」の加熱時間に関して、具体例として15秒の加熱を行った実証データのみが示されている点は、本件発明1に係る高温処理を含むペットフード組成物を製造する方法の実施をすることができない程度の不備を生じるものということができず、これに反する申立人の主張は採用できない。
(2)特許法第36条第6項第2号について
ア 炎症性障害の技術的意義
申立人は申立書において、請求項1には炎症性障害との文言があり、請求項3には免疫防御不全に関連する障害との文言があるが、本件特許明細書の記載によれば、アレルギーはこれらの障害のいずれにも属することとなるから、請求項1に記載される炎症性障害の技術的意義は不明瞭である旨を主張している。なお申立人は、同様に請求項3に記載される免疫防御不全に関連する障害の技術的意義も、不明瞭である旨を主張している(申立書第29頁第8~12行)。
しかしながら、上記(1)アで指摘したように、本件特許明細書におけるアレルギーに関する段落【0091】の記載は、アレルギーにより生じるペットの炎症を予防又は治療すべき場合であれば、「本発明の組成物により治療又は予防することができる炎症性障害」の例示の一つとして、当該アレルギーが含まれ得るものと理解することができる。同様に、本件特許明細書におけるアレルギーに関する段落【0099】-【0100】の記載も、アレルギーにより生じるペットの免疫防御不全に関する障害を予防又は治療すべき場合であれば、「本発明の組成物により治療又は予防可能な免疫防御不全関連障害」の例示の一つとして、そのようなアレルギーが含まれ得るものと理解することができる。そのため、本件特許明細書において、炎症性障害に関する記述、及び免疫防御不全関連障害に関する記述の、両方でアレルギーが例示されているからといって、そのことにより請求項1に記載される「炎症性障害」の意味が不明確となるものではない。なお、請求項3に記載される「免疫防御不全に関連する障害」についても、同様である。
そして、請求項1に記載される「炎症性障害」の意味は、それ自体明確である。
したがって、本件発明1において、「炎症性障害」に関して申立人が主張するような不明確はなく、これに反する申立人の主張は採用することができない。
イ 数値範囲の境界
また申立人は、請求項1には「約106~1012cfu」、及び「約90~150℃、約5~30秒」の語句が存在し、「約」はその直後の数値範囲の境界を曖昧にするものであるから、本件発明1は明確でない旨を主張している(申立書第29頁第13~20行)。
しかしながら、請求項1における「1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含み」という記載は、ペットに応じて変動し得る「1食当たり」というペットフードの量を基準として、当該量のペットフードに含まれる非複製性プロバイオティクス微生物の量を「cfu」の単位で106の範囲の桁数で示したものであるから、「約」という語が付されたことによって、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確になるものというものではない。また、加熱条件の「約90~150℃、約5~30秒」についても、本件発明1の「高温処理」において加熱の開始時や終了時に若干の温度ムラや温度誤差が生じ得ることを考慮すると、「約」という語が付されたことによって、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確になるものというものではない。
したがって、本件発明1において、「約」の語が存在することにより、発明が不明確となっているという程のことはなく、これに反する申立人の主張は採用することができない。
(3)特許法第29条第2項について
申立人は申立書において、本件発明1は、甲1発明、又は、甲1発明と甲第3号証、甲第5号証、及び甲第9号証に記載された事項、又は、甲3発明と甲第1号証、甲第5号証、及び甲第9号証に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものである旨を主張している。
そこで、甲1発明を主引用発明とした場合、及び、甲3発明を主引用発明とした場合について、以下に本件発明1の進歩性を検討する。
ア 甲1発明を主引用発明として
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株」は、本件発明1における「プロバイオティクス微生物」かつ「ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)」に相当する。
甲1発明における「135℃30秒で高温の加熱殺菌」のうちの「加熱」処理は、本件発明1における「約90~150℃、約5~30秒の高温処理」である「熱処理」に相当する。また、甲1発明において、当該「加熱殺菌」が「加熱」により「殺菌」を行う部分は、本件発明1における「プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすること」に相当する。
甲1発明において、「加熱殺菌」した「乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株」を用いて「安定化した乳酸菌抗アレルギー活性を有する飲料等の飲食品」を製造する方法であることと、本件発明1において「1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含」む「炎症性障害の予防又は治療用のペットフード組成物を製造」する方法であることとは、飲食品も飲食品を構成する組成物からなることを勘案すれば、「非複製性プロバイオティクス微生物を含」む「飲食品組成物を製造する方法」である点で、共通する。
したがって、甲1発明と本件発明1とは、次の点で一致する。
「飲食物組成物を製造する方法であって、
前記飲食物組成物は、非複製性プロバイオティクス微生物を含み、
前記方法は、前記プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含み、
前記熱処理は約90~150℃、約5~30秒の高温処理であり、
前記プロバイオティクス微生物は、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)である、方法。」
一方、甲1発明と本件発明1とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
製造物に持たせる効能について、
本件発明1では、「炎症性障害の予防又は治療用」の飲食物組成物を製造するのに対して、
甲1発明では、「強いIL-12産生を誘導することができ、免疫賦活剤として使用することができる」という「IL-12の放出量」で見た「抗アレルギー活性」を、ポリフェノールを混合することで、「加熱殺菌後」にも「残存活性」を「維持」した飲食物組成物を製造する点。
<相違点2>
製造する飲食物組成物、及び非複製性プロバイオティクス微生物の含有量について、
本件発明1では、「ペットフード組成物」と特定され、「1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含」むと特定されているのに対し、
甲1発明では、「ペットフード」とされておらず、ペットフードとした場合の1食当たりの非複製性プロバイオティクス微生物の含有量も特定されていない点。
(イ)判断
相違点1について検討する。
相違点1に係る「炎症性障害の予防又は治療」に関して、本件特許明細書の段落【0124】,【0126】及び【0128】には、次の記載がされている。
「【0124】 ・・・(中略)・・・IFN-γ、IL-12p40及びTNF-αは、炎症誘発性サイトカインであり、一方、IL-10は、強力な抗炎症性メディエーターである。・・・(中略)・・・。」
「【0126】 ・・・(中略)・・・実際に、UHT様処理をした菌株(140℃、15秒)は、IL-10産生を維持するか、又はさらなるIL-10産生を誘発する一方、誘発した炎症誘発性サイトカイン(TNF-α、IFN-γ、IL-12p40)が(生きた対応物と比較して)少なかった。・・・(中略)・・・。対照的に、85℃で20分熱処理された菌体は、生菌体より多い炎症誘発性サイトカイン及び少ないIL-10を誘発し、その結果、IL-12p40/IL-10比が高くなった(図7)。」
「【0128】 ・・・(中略)・・・図1に示している通り、UHT様処理をしたビフィドバクテリウム菌株のIL-12p40/IL-10比は、生きた対応物のIL-12p40/IL-10比より低く、したがって、UHT様処理をした試料の改善された抗炎症性プロファイルを示していた。・・・(中略)・・・。」
以上の記載から、本件発明1における相違点1に係る「炎症性障害の予防又は治療用」の特性については、高温短時間の加熱処理により、抗炎症性メディエーターであるIL-10の産生を誘発するか維持する一方、炎症誘発性サイトカインであるIL-12p40を減少させ、IL-12p40/IL-10比を高くすることにより、持たせるものと解される。
これに対して、甲1発明では、高温加熱殺菌の後にも「強いIL-12産生を誘導することができ、免疫賦活剤として使用することができる」という意味での「抗アレルギー活性」を維持することを目的とし、またポリフェノールを混合することにより、「IL-12の放出量」が加熱殺菌後に低下することを防ぐものであるから、そもそも本件発明1とは目的が反対であり、甲1発明においてIL-12を下げる動機がない。
また、甲1発明には、対比のために、ポリフェノール含有量を低減させたPVPP処理茶(4)と混合したうえで、高温短時間の加熱殺菌を行った比較例が存在するが、当該比較例はIL-12の産生を維持するという甲1発明の目的及び効果を達成しないものという位置づけであり、甲第1号証中のその他の箇所にも、PVPP処理茶(4)と混合して高温短時間の加熱処理を行い、IL-12の産生を下げた際に、IL-12以外の成分の産生がどうなるかの記載は存在せず、当該比較例に何らかの利点があるとの示唆もない。
したがって、甲1発明において、高温短時間の加熱を行った乳酸菌を用いて、「炎症性障害の予防又は治療用」の飲食物を製造する、相違点1に係る構成に至る動機付けはない。
この点について、甲第3号証には、上記第4の2(3)イに認定した甲3発明が記載されており、甲3発明は加熱殺菌した菌を用いてIL-10産生を増強する構成を有するが、甲1発明とは加熱条件及び用いる菌が異なっているとともに、前述したとおり甲1発明に甲3発明を組み合わせる動機付けはなく、たとえ甲1発明において甲3発明を考慮したとしても、相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者にとって容易ということができない。
また甲第5号証には、上記第4の2(5)に摘記した事項が記載されており、加熱処理したラクトバチルス・クリスパタスKT-11株を用いてアレルギー性皮膚炎を軽減すること、及びペットフードとして利用することが示されているものの、加熱条件が不明であるとともに甲1発明とは用いている菌が異なる。また、前述したとおり甲1発明において、甲第5号証に記載された事項を組み合わせる動機付けもないから、たとえ甲1発明において甲第5号証に記載された事項を考慮したとしても、相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者にとって容易ということができない。
甲第9号証には、上記第4の2(9)に摘記した事項が記載されており、加熱処理したビフィドバクテリウム・ブレーベM-16V株がIL-10の分泌を誘導したことが示されているが、甲1発明とは加熱条件及び用いる菌が異なっているとともに、前述したとおり甲1発明に甲第9号証に記載された事項を組み合わせる動機付けはなく、たとえ甲1発明において甲第9号証に記載された事項を考慮したとしても、相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者にとって容易ということができない。
以上のとおり、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成に至ることは、甲3発明、甲第5号証に記載された事項、及び甲第9号証に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ということはできない。
よって、相違点2について検討することを要さず、本件発明1は、甲1発明及び甲3発明、甲第5号証に記載された事項並びに甲第9号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 甲3発明を主引用発明として
(ア)対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明における「ビフィドバクテリウム・ブレーベ ヤクルト株(BbrY)」は、本件発明1における「プロバイオティクス微生物」かつ「ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)」に相当する。
甲3発明において、「100℃で30分加熱」し、「ビフィドバクテリウム・ブレーベ ヤクルト株(BbrY)」を「加熱殺菌」することと、本件発明1において、「プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含み、前記熱処理は約90~150℃、約5~30秒の高温処理であ」ることとは、「プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含」む点で、共通する。
甲3発明において、「潰瘍性大腸炎患者の末梢血単核細胞におけるIL-10産生を増強する」方法であることと、本件発明1において、「炎症性障害の予防又は治療用のペットフード組成物を製造する方法」であることとは、「炎症性障害の予防又は治療用の組成物を製造する方法」である点で共通する。
したがって、甲3発明と本件発明1とは、次の点で一致する。
「炎症性障害の予防又は治療用の組成物を製造する方法であって、
前記組成物は、非複製性プロバイオティクス微生物を含み、
前記方法は、前記プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含み、
前記熱処理は約90~150℃の高温処理であり、
前記プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)である、方法。」
一方、甲3発明と本件発明1とは、以下の点で相違する。
<相違点3>
加熱処理について、
本件発明1では、「約90~150℃、約5~30秒の高温処理」であるのに対し、
甲3発明では、100℃で30分である点。
<相違点4>
製造する組成物、及び非複製性プロバイオティクス微生物の含有量について、
本件発明1では、「ペットフード組成物」と特定され、「1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含」むと特定されているのに対し、
甲3発明では、「ペットフード」とされておらず、ペットフードとした場合の1食当たりの非複製性プロバイオティクス微生物の含有量も特定されていない点。
(イ)判断
上記相違点3について検討する。
甲1発明は、強いIL-12産生を誘導することができ、免疫賦活剤として使用することができる乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株に対して、135℃30秒で高温短時間の加熱殺菌を行う構成を有しており、菌に対する加熱処理の温度及び時間については、相違点3に係る本件発明1の構成に相当する構成を有している。
しかしながら、甲1発明と甲3発明とは、加熱処理の対象とする菌が異なる。また、甲1発明の目的は、もともと強いIL-12産生を誘導することができ、免疫賦活剤として使用することができる乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110株に対して、高温短時間の加熱処理の後にも、強いIL-12産生を維持するよう、ポリフェノール類を混合することであるから、甲3発明とはそもそもの目的が異なる。さらに、甲第3号証中には、100℃で30分という加熱条件を変更する記載や示唆は存在せず、甲第1号証中にも、甲1発明における135℃で30秒の加熱処理においてIL-10の量がどうなるかに関する記載は存在しないから、甲3発明を出発点とする当業者が、たとえ甲1発明を考慮に入れたとしても、甲3発明における加熱条件を甲1発明における加熱条件に変更することが示唆されていたということはできない。
したがって、甲3発明において、相違点3に係る本件発明1の構成に想到することは、甲1発明を考慮したとしても、当業者にとって容易ということができない。
甲第5号証、及び甲第9号証には、それぞれ上記第4の2(5)及び(9)に摘記した事項が記載されているが、いずれも相違点3に係る本件発明1の加熱条件を示すものではなく、また甲3発明における加熱条件を甲1発明の加熱条件へと変更することを示唆するものでもない。
したがって、甲3発明において、相違点3に係る本件発明1の構成に至ることは、甲1発明、甲第5号証に記載された事項、及び甲第9号証に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ということはできない。
よって、相違点4について検討することを要さず、本件発明1は、甲3発明及び甲1発明、甲第5号証に記載された事項並びに甲第9号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2について
本件発明2については、取消理由は通知していない。先の取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について、以下に判断する。
(1)特許法第36条第4項第1号について
申立人は申立書において、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、本件発明2についても同様である旨を主張している(申立書第28頁第4行~第29頁第7行、及び第30頁第6行~第9行参照)。
しかしながら、上記1(1)で指摘したとおり、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1について、申立人が主張するような不備はない。そのため本件発明2についても、申立人が主張するような不備はない。そして、これに反する申立人の主張は、採用することができない。
(2)特許法第36条第6項第2号について
申立人は申立書において、本件発明1は明確でなく、本件発明2についても同様である旨を主張している(申立書第29頁第8行~第20行、及び第30頁第10行~第13行参照)。
しかしながら、上記1(2)で指摘したとおり、本件発明1について、申立人が主張するような不明確はなく、そのため本件発明2についても、申立人が主張するような不明確はない。そして、これに反する申立人の主張は、採用することができない。
(3)特許法第29条第2項について
申立人は申立書において、本件発明2は本件発明1におけるプロバイオティクス微生物を特定の菌株に限定したものであるが、細菌種に属する菌株からある菌株を単に任意に選択することに、格別の困難性は認められない旨を主張している。そして、本件発明1は、甲1発明、又は、甲1発明と甲第3号証、甲第5号証、及び甲第9号証に記載された事項、又は、甲3発明と甲第1号証、甲第5号証、及び甲第9号証に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものであるから、本件発明2も同様に当業者が容易に発明をすることができた旨を主張している(申立書第23頁下から4行-第24頁第4行)。
しかしながら、上記1(3)で検討したとおり、本件発明1は、甲1発明に基いて、あるいは甲1発明及び甲3発明並びに甲第5号証及び甲第9号証に記載された事項に基いて、若しくは甲3発明及び甲1発明並びに甲第5号証及び甲第9号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の構成を全て有しさらに限定がなされた本件発明2も、申立人が示す証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明3について
(1)優先権主張
ア 優先権主張に関する経緯
本件特許出願は、本件特許権者と同一の者により、2009年5月11日に欧州特許庁への特許出願Aがなされた後、本件特許権者により、別途2010年11月5日に欧州特許庁に出願された特許出願第10190118号(以下、「特許出願B」という)に基いて、パリ条約による優先権を主張して、2011年11月2日に国際特許出願されたものである。
パリ条約に規定する優先権は、同盟国の一国になした最初の出願に基いてのみ発生するものであるところ、前記特許出願Aの明細書に記載されている事項については、特許出願Bは、パリ条約四条C(2)でいう「最初の出願」とは認められない。
そして、申立人は本件発明3については、本件特許権者によって特許出願Bより先に出願された特許出願Aの明細書に記載されており、特許出願Aが「最初の出願」であって、特許出願Bへの優先権主張は認められない旨を主張しているから、当該優先権主張が認められるか否かを検討する。
特許出願Aの明細書には、上記第4の2(8)イに認定した特許出願A発明が記載されている。
イ 判断
本件発明3と特許出願A発明とを対比する。
特許出願A発明における「欠陥のある免疫防御に関連する障害を治療又は予防するためのペットフードとしての組成物を調製する方法」は、本件発明3における「免疫防御不全に関連する障害の予防又は治療用のペットフードとしての組成物を製造する方法」に相当する。
特許出願A発明が、組成物に含める非複製性プロバイオティクスの用量を「治療有効用量及び/又は予防有効用量は、当業者が適切に調節することができ、好ましくは105~109cfu/g乾燥組成物に相当する量でよく、1日用量当たり約0,005mg~1000mgの非複製性プロバイオティクスの範囲でもよく」とする点は、本件発明3におけるペットフード組成物の非複製性プロバイオティクスの含有量が「1食当たり約106~1012cfuに相当する量」であることに相当する。
特許出願A発明において、「ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007を、85℃で20分間熱処理し、またはビフィドバクテリウム・ブレーベ菌株Aを、90℃で30分間熱処理して、免疫防御を増強する能力を改善した非複製性プロバイオティクスを調製」する構成は、本件発明3において、「前記方法は、前記プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含み、前記熱処理は約80~90℃で約20分~40分実施され、前記プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される」構成に相当する。
したがって、本件発明3と、特許出願A発明とは、同一である。
ウ 小括
本件発明3は、特許出願Aの明細書に記載された発明であるから、特許出願Aより後に出願された特許出願Bは、本件発明3についてパリ条約第四条C(2)でいう「最初の出願」とは認められない。
したがって、本件特許3について、特許出願Bへの優先権主張を認めることはできない。
(2)本件出願日前に公知となった文献に照らした新規性・進歩性
ア 甲7発明との対比・判断
上記(1)のとおり、本件発明3について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明3の新規性・進歩性の基準日は本件特許の現実の国際出願日である平成23年11月2日(以下、「本件出願日」という。)となる。
本件出願日前に頒布された刊行物である甲第7号証には、上記第4の2(7)ウに示した甲7発明が記載されているところ、上記(1)イに示したとおり、甲7発明と「ビフィドバクテリウム・ブレーベ」の菌株の表記を除き同一である特許出願A発明と、本件発明3とは、同一である。そして、本件発明3には「ビフィドバクテリウム・ブレーベ」の菌株の特定はない。
したがって、本件発明3は、甲7発明と同一である。
また、仮に本件発明3と甲7発明とに若干の相違があったとしても、当該相違点は設計事項程度であり、本件発明3は甲7発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 小括
したがって、本件発明3は甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明3は甲7発明に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)本件出願日前、かつ本件優先権主張日前に公知となった文献に照らして
ア 甲2発明との対比
本件出願日前、かつ本件優先権主張日前に公知となった甲第2号証には、上記第4の2(2)イに示した甲2発明が記載されている
本件発明3と甲2発明とを対比する。
甲2発明において、「強いIL-12産生を誘導し、免疫賦活剤として使用することができる乳酸菌」の「抗アレルギー活性を高め」て「製造された乳酸菌の抗アレルギー用組成物」を、「飲食品に配合し」て「抗アレルギー機能を有する飲食品」とすることと、本件発明3における「免疫防御不全に関連する障害の予防又は治療用のペットフード組成物を製造する方法」とは、「免疫防御不全に関連する障害の予防又は治療用のフード組成物を製造する方法」である点で共通する。
甲2発明において、「Lactobacillus paracasei KW3110株若しくはその変異株を特定の温度範囲で、特定時間加熱処理を施すことによって、乳酸菌自体の活動を停止する」ことは、本件発明3において、「プロバイオティクス微生物」である「ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)」を「熱処理により非複製性にすること」に相当する。
甲2発明において、「加熱条件の一つは、85℃で30minである」ことは、本件発明3において、「前記熱処理は約80~90℃で約20分~40分実施され」ることに相当する。
甲2発明において、「有効成分の飲食品への有効量の投与量または摂取量は、受容者、受容者の年齢および体重、症状、投与方法等に依存して決定できるが、例えば経口投与する場合、成人1人当たり好ましくは1~10mg/kg体重(L.paracasei KW3110株では、菌体数1012個が乾燥菌体重量1gに相当する)の範囲で一日1~3回に分けて投与することができ」ることと、本件発明3において、「前記ペットフード組成物は、1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含」むこととは、「フード組成物は、1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含」む点で、共通する。
以上を整理すると、本件発明3と甲2発明とは、以下の点で一致する。
「免疫防御不全に関連する障害の予防又は治療用のフード組成物を製造する方法であって、
前記フード組成物は、1食当たり約106~1012cfuに相当する量で非複製性プロバイオティクス微生物を含み、
前記方法は、前記プロバイオティクス微生物を熱処理により非複製性にすることを含み、
前記熱処理は約80~90℃で約20分~40分実施され、
前記プロバイオティクス微生物は、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)から選択される、
方法。」
両者の相違点は、次のとおりである。
<相違点5>
本件発明3では、組成物が「ペットフード組成物」であるのに対し、
甲2発明では、乳酸菌を用いた抗アレルギー用組成物を配合する「飲食品」が「ペットフード」ではない点。
イ 判断
上記相違点5について検討する。
上記第4の2(5)に示した甲第5号証に、加熱処理したLactobacillus crispatus KT-11株を、アレルギー症状を軽減する素材としてペットフードに利用することが記載され、また上記第4の2(10)イに示した文献1発明が、「プロバイオティク活性を有するビフィドバクテリア・グロボーサム(Bifidobacteria globosum)種の乳酸菌株を、生存細胞の形態として、または熱で死滅する等死滅した培養物又は組成物のような非生存細胞として、動物に通常の食餌摂取の一部として、又はその補助(supplement)として、フード組成物で与える」構成を有するように、プロバイオティク活性を有する菌またはその死菌をペットフードに添加して動物に与えることは、本件出願日前かつ本件優先権主張日前から知られた周知技術である。
したがって、甲2発明において、乳酸菌を用いた抗アレルギー用組成物を配合する飲食品として、ペットフードを採用し、該組成物成分を与える対象をペットとして、相違点5に係る本件発明3の構成を得ることは、甲第5号証及び文献1にも示される周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得た事項である。
なおその際、ペットの体重及び症状、ならびに一日当たりの食事回数に応じて一食当たりの用量を決定し、ペットに与える場合の用量も上記一致発明に含まれる用量に維持することは、たとえば文献1発明でもペットに与える場合の用量を「1日当たり1.0E+06~1.0E12CFU」としているように、設計事項程度である。
ウ 小括
したがって、本件発明3は、甲2発明、及び甲第5号証または文献1にも記載された周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
4 本件発明4について
(1)優先権主張
本件発明4は、本件発明3について、用いるプロバイオティクス微生物の菌株を限定したものであるところ、「ビフィドバクテリウム・ブレーベ」の「NCC2950」を除き、特許出願A発明におけるプロバイオティクスは、用いる菌株まで、本件発明4と同一である。
「ビフィドバクテリウム・ブレーベ」については、特許出願A発明では「菌株A」とされているが、上記第4の2(8)ア(イ)に指摘したとおり、特許出願Aに優先権主張を行って出願された甲第7号証において、「Bifidobacterium breve NCC2950(strain A)was deposited under the Budapest treaty as CNCM I-3865.」(和訳;ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950(菌株A)は、ブダペスト条約の元でCNCM I-3865として寄託された。)と書き加えられたうえで、特許出願Aの明細書における「「Bifidobacterium breve strain A」(ビフィドバクテリウム・ブレーベ菌株A)」の記載が甲第7号証では「Bifidobacterium breve NCC2950」と表記されていることからすれば、特許出願A発明における「ビフィドバクテリウム・ブレーベ菌株A」と本件発明4における「ビフィドバクテリウム・ブレーベ」の「NCC2950」とは、菌株として同一である。
したがって、本件発明4と、特許出願A発明とは、同一である。
本件発明4は、特許出願Aの明細書に記載された発明であるから、特許出願Aより後に出願された特許出願Bは、本件発明4についてパリ条約第四条C(2)でいう「最初の出願」とは認められない。
したがって、本件特許4について、特許出願Bへの優先権主張を認めることはできない。
(2)新規性・進歩性
ア 甲7発明との対比・判断
上記(1)のとおり、本件発明4について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明4の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件出願日前に頒布された刊行物である甲第7号証には、上記第4の2(7)ウに示した甲7発明が記載されているところ、上記(1)に示したとおり、特許出願A発明及び甲7発明と、本件発明4とは、「ビフィドバクテリウム・ブレーベ」の菌株の表記を除き同一であり、甲7発明と本件発明4とは、当該「ビフィドバクテリウム・ブレーベ」の菌株の表記まで同一である。
したがって、本件発明4は、甲7発明と同一である。
また、仮に本件発明4と甲7発明とに若干の相違があったとしても、当該相違点は設計事項程度であり、本件発明4は甲7発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 小括
したがって、本件発明4は甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明4は、甲7発明に基いて本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
5 本件発明5について
(1)優先権主張
本件発明3に従属する本件発明5は、本件発明3に「前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約4~40重量%の脂肪、約12~70重量%の炭水化物、及び約12~約50重量%のタンパク質を含む」との限定を付したものである。
特許出願A発明は、ペットフードとしての組成物に「タンパク質源、炭水化物源、脂質源、食物繊維を含有させる」構成を有しているから、本件発明5は、特許出願A発明が有するタンパク質源、炭水化物源、脂質源及び食物繊維について、その含有量を付加特定したものである。
ここで、本件発明5におけるこれらの成分の含有量は、後記(2)アに検討するように、特許出願A及び特許出願Bの出願日より前に周知であった文献1及び3にも示されるペットフードにおける成分比と格別相違せず、当該成分比を付記した点に技術的な創作性があるというものではなく、当該成分比の付記により本件発明5と特許出願A発明とが出願の単一性を満たさなくなるものではない。
したがって、本件発明5についても、本件発明3の構成部分に当該成分比を付記した全体について、特許出願Bをパリ条約第四条にいう「最初の出願」と認めることはできず、特許出願Bへの優先権主張は認められない(東京高裁平成5年6月22日判決、平成1年(行ケ)115号事件参照)。
(2)進歩性
ア 対比・判断
上記(1)のとおり、本件発明5について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明5の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件発明3に直接的又は間接的に従属する本件発明5は、本件発明3又は4に、「前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約4~40重量%の脂肪、約12~70重量%の炭水化物、及び約12~約50重量%のタンパク質を含む」との限定を付したものである。
本件出願日前、かつ本件優先日前に公知となった文献1発明が、上記第4の2(10)イに示したとおり、「アニマルフード」としての「フード組成物」に「栄養的にバランスが取れており、乾燥物質基準で、好ましくは約22重量%~約40重量%の粗タンパク質、約10重量%~約30重量%の脂肪、約4%~約25%の総食物繊維、さらに炭水化物源」を含める構成を有しており、また同様に上記第4の2(11)イに示した文献2発明が、「ペットフード」として「「水分含量は20%以下であり、粗タンパク質含量は、特に25~35%とすることが好ましく、炭水化物源は、特に40~50%配合することが好ましく、食物繊維の配合量は、0.5~5%が好ましく、油脂は、3~20%含有するのが、嗜好性を高める、多価不飽和脂肪酸の供給等の点で好ましい」との構成を有しており、さらに同様に上記第4の2(12)イに示した文献3発明が、「ペット用食品」として「「典型的な栄養成分として、炭水化物を約35ないし約70重量%、タンパク質を約10ないし約35重量%、脂肪を約10ないし約20重量%、繊維を約10ないし約25重量%含み、含水量が約5ないし約11%である」との構成を有することからすれば、本件出願日時点及び本願優先権主張日時点において、ペットフード組成物中の脂肪、炭水化物及びタンパク質の配合比として、本件発明5において付加的に特定する程度の配合比とすることは、単に周知の配合比を選択した程度にとどまり、設計事項程度である。
本件発明5のうち、本件発明3または本件発明4が有する構成については、上記3及び4に指摘したとおりである。
イ 小括
したがって、本件発明5は、甲7発明及び文献1ないし3にも示される周知技術に基いて、本件出願日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明5は、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
6 本件発明6について
(1)優先権主張
本件発明6は、本件発明5に「前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約10~20重量%の脂肪、約30~60重量%の炭水化物、及び約20~約35重量%のタンパク質を含む」との限定を付したものである。
特許出願A発明は、ペットフードとしての組成物に「タンパク質源、炭水化物源、脂質源、食物繊維を含有させる」構成を有しているから、本件発明5は、特許出願A発明が有するタンパク質源、炭水化物源、脂質源及び食物繊維について、その含有量を付加特定したものである。
ここで、本件発明6におけるこれらの成分の含有量は、上記5(2)アに検討したように、特許出願A及び特許出願Bの出願日より前に周知であった文献1及び3にも示されるペットフードにおける成分比と格別相違せず、当該成分比を付記した点に技術的な創作性があるというものではなく、当該成分比の付記により本件発明6と特許出願A発明とが出願の単一性を満たさなくなるものではない。
したがって、本件発明6についても、本件発明3の構成部分に本件発明5ないし6で特定される当該成分比を付記した全体について、特許出願Bをパリ条約第四条にいう「最初の出願」と認めることはできず、特許出願Bへの優先権主張は認められない。
(2)進歩性
ア 対比・判断
上記1のとおり、本件発明6について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明6の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件発明6は、本件発明5に「前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約10~20重量%の脂肪、約30~60重量%の炭水化物、及び約20~約35重量%のタンパク質を含む」との限定を付したものである。
上記5(2)アで本件発明5の付加的に特定した成分比について検討したと同様に、当該成分比を若干限定した本件発明6における成分比も、本件出願日時点及び本願優先権主張日時点における周知の配合比を単に選択した程度にとどまり、設計事項程度である。
本件発明6のうち、本件発明5が有する構成については、上記5(2)に指摘したとおりである。
イ 小括
したがって、本件発明6は、甲7発明及び文献1ないし3にも示される周知技術に基いて、本件出願日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明6は、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
7 本件発明7について
(1)優先権主張
本件発明3に従属する本件発明7は、本件発明3に「前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約0.5~40重量%の食物繊維をさらに含む」との限定を付したものである。
特許出願A発明は、ペットフードとしての組成物に「タンパク質源、炭水化物源、脂質源、食物繊維を含有させる」構成を有しているから、本件発明5は、特許出願A発明が有するタンパク質源、炭水化物源、脂質源及び食物繊維について、その含有量を付加特定したものである。
ここで、本件発明7におけるこれらの成分の含有量は、上記5(2)アに検討したように、特許出願A及び特許出願Bの出願日より前に周知であった文献1及び3にも示されるペットフードにおける成分比と格別相違せず、当該成分比を付記した点に技術的な創作性があるというものではなく、当該成分比の付記により本件発明7と特許出願A発明とが出願の単一性を満たさなくなるものではない。
したがって、本件発明7についても、本件発明3の構成部分に当該成分比を付記した全体について、特許出願Bをパリ条約第四条にいう「最初の出願」と認めることはできず、特許出願Bへの優先権主張は認められない。
(2)進歩性
ア 対比・判断
上記(1)のとおり、本件発明7について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明7の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件発明3に直接的又は間接的に従属する本件発明7は、本件発明3ないし6に「前記ペットフード組成物は、乾燥重量ベースで約0.5~40重量%の食物繊維をさらに含む」との限定を付したものである。
本件出願日前、かつ本件優先日前に公知となった文献1発明が、上記第4の2(10)イに示したとおり、「アニマルフード」としての「フード組成物」に「栄養的にバランスが取れており、乾燥物質基準で、好ましくは約22重量%~約40重量%の粗タンパク質、約10重量%~約30重量%の脂肪、約4%~約25%の総食物繊維、さらに炭水化物源」を含める構成を有しており、また同様に上記第4の2(11)イに示した文献2発明が、「ペットフード」として「水分含量は20%以下であり、粗タンパク質含量は、特に25~35%とすることが好ましく、炭水化物源は、特に40~50%配合することが好ましく、食物繊維の配合量は、0.5~5%が好ましく、油脂は、3~20%含有するのが、嗜好性を高める、多価不飽和脂肪酸の供給等の点で好ましい」との構成を有しており、さらに同様に上記第4の2(12)イに示した文献3発明が、「ペット用食品」として「典型的な栄養成分として、炭水化物を約35ないし約70重量%、タンパク質を約10ないし約35重量%、脂肪を約10ないし約20重量%、繊維を約10ないし約25重量%含み、含水量が約5ないし約11%である」との構成を有することからすれば、本件出願日時点及び本願優先権主張日時点において、ペットフード組成物中の食物繊維の配合量として、本件発明7において付加的に特定する程度の配合量とすることは、単に周知の配合量を選択した程度にとどまり、設計事項程度である。
本件発明7のうち、本件発明3ないし6が有する構成については、上記3ないし6に指摘したとおりである。
イ 小括
したがって、本件発明7は、甲7発明及び文献1ないし3にも示される周知技術に基いて、本件出願日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明7は、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
8 本件発明8について
(1)優先権主張
本件発明3に従属する本件発明8は、本件発明3について、「前記ペットフード組成物は、ペットフード、ペット用栄養食、ペット用サプリメント、ペット用トリート、及びペット用フードトイ(例えば、咀嚼可能で摂取可能な玩具)からなる群から選択される」ことを限定したものであるところ、特許出願A発明における「ペットフード」としての「組成物」は、当該限定された構成に相当する。
したがって、本件発明8と、特許出願A発明とは、同一である。
本件発明8は、特許出願Aの明細書に記載された発明であるから、特許出願Aより後に出願された特許出願Bは、本件発明8についてパリ条約第四条C(2)でいう「最初の出願」とは認められない。
したがって、本件特許8について、特許出願Bへの優先権主張を認めることはできない。
(2)新規性・進歩性
ア 対比・判断
上記(1)のとおり、本件発明8について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明8の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件発明3に直接的又は間接的に従属する本件発明8は、本件発明3ないし7に「前記ペットフード組成物は、ペットフード、ペット用栄養食、ペット用サプリメント、ペット用トリート、及びペット用フードトイ(例えば、咀嚼可能で摂取可能な玩具)からなる群から選択される」ことを限定したものである。
本件発明8のうち、本件発明3ないし7が有する構成については、上記3ないし7に指摘したとおりである。
そして、甲7発明における「ペットフード」としての「組成物」は、当該限定された構成における「ペットフード組成物」が「ペットフード」である点に相当するから、本件発明8と甲7発明とは同一である。
また、上記第4の2(10)イに示したとおり、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に公知となった文献1発明が、プロバイオティクスを「動物に通常の食餌摂取の一部として、又はその補助(supplement)として」フード組成物で与えるという選択肢、及び、「フード組成物は、乾燥アニマルフード、加工粒餌、湿式アニマルフード、噛み物(chews)、トリーツ(treats)などの形態であってよく」という選択肢を有するように、本件発明8が付加的に特定する選択肢のうち「ペットフード」以外の選択肢も、本件出願日前かつ本件優先権主張日前の周知技術である。そのため、甲7発明又は甲2発明において、「ペットフード」以外の本件発明8における選択肢をとることも、当該周知技術に基いて当業者であれば容易に想到できた事項である。
イ 小括
したがって、本件発明8は、甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明8は、甲7発明に基いて、又は甲7発明及び文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明8は、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
9 本件発明9について
(1)優先権主張
本件発明3に従属する本件発明9は、本件発明3について、「前記ペットフード組成物は、プレバイオティクス(例えば、オリゴフルクトース、イヌリン)をさらに含む」ことを限定したものであるところ、特許出願A発明における「組成物にはフルクトースを含有するオリゴ糖、イヌリンといったプレバイオティクスを加え」る構成は、前記限定された構成に相当する。
したがって、本件発明9と、特許出願A発明とは、同一である。
本件発明9は、特許出願Aの明細書に記載された発明であるから、特許出願Aより後に出願された特許出願Bは、本件発明9についてパリ条約第四条C(2)でいう「最初の出願」とは認められない。
したがって、本件特許9について、特許出願Bへの優先権主張を認めることはできない。
(2)新規性・進歩性
ア 対比・判断
上記1のとおり、本件発明9について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明9の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件発明9は、本件発明3ないし8について、「前記ペットフード組成物は、プレバイオティクス(例えば、オリゴフルクトース、イヌリン)をさらに含む」ことを限定したものである。
本件発明9のうち、本件発明3ないし8が有する構成については、上記3ないし8に指摘したとおりである。
そして、甲7発明における「組成物にはフルクトースを含有するオリゴ糖、イヌリンといったプレバイオティクスを加え」る構成は、前記限定された構成に相当するから、本件発明9と甲7発明とは同一である。
また、上記第4の2(10)イに示したとおり、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に公知となった文献1発明が、プロバイオティクスを動物に与える際に、「フード組成物は、フラクトオリゴ糖、イヌリン等のプレバイオティクも含んでよい」との構成を有するように、本件発明9における付加的特定事項は、本件出願日前かつ本件優先権主張日前の周知技術である。そのため、甲2発明において、本件発明9における付加的特定事項の構成とすることも、当該周知技術に基いて当業者であれば容易に想到できた事項である。
イ 小括
したがって、本件発明9は、甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明9は、甲7発明に基いて、又は甲7発明及び文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明9は、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
10 本件発明10について
(1)優先権主張
本件発明3に従属する本件発明10は、本件発明3について、「前記ペットフード組成物における少なくとも90%のプロバイオティクスが非複製性である」ことを限定したものであるところ、特許出願A発明における「プロバイオティクスの少なくとも95重量%を非複製性とし」という構成は、前記限定された構成に相当する。
したがって、本件発明10と、特許出願A発明とは、同一である。
本件発明10は、特許出願Aの明細書に記載された発明であるから、特許出願Aより後に出願された特許出願Bは、本件発明10についてパリ条約第四条C(2)でいう「最初の出願」とは認められない。
したがって、本件特許10について、特許出願Bへの優先権主張を認めることはできない。
(2)新規性・進歩性
ア 対比・判断
上記(1)のとおり、本件発明10について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明10の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件発明3に直接的又は間接的に従属する本件発明10は、本件発明3ないし9について、「前記ペットフード組成物における少なくとも90%のプロバイオティクスが非複製性である」ことを限定したものである。
本件発明10のうち、本件発明3ないし9が有する構成については、上記3ないし9に指摘したとおりである。
そして、甲7発明における「プロバイオティクスの少なくとも95重量%を非複製性とし」という構成は、前記限定された構成に相当するから、本件発明10と甲7発明とは同一である。
また、甲2発明においても、「85℃で30min」という加熱条件で「乳酸菌自体の活動を停止」させた「Lactobacillus paracasei KW3110株」は、ほぼ全ての菌が「活動を停止」していると考えられるから、本件発明10における付加的限定は新たな相違点ではないか、仮に相違点としても設計事項程度である。
イ 小括
したがって、本件発明10は、甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明10は、甲7発明に基いて、又は甲7発明及び文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明10は、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
11 本件発明11について
(1)優先権主張
本件発明3に従属する本件発明11は、本件発明3について、「前記ペットフード組成物は、1日量当たり約0.005mg~1000mgの非複製性微生物を含有する」ことを限定したものであるところ、特許出願A発明における「1日用量当たり約0,005mg~1000mgの非複製性プロバイオティクスの範囲でもよく」との構成は、前記限定された構成に相当する。
したがって、本件発明11と、特許出願A発明とは、同一である。
本件発明11は、特許出願Aの明細書に記載された発明であるから、特許出願Aより後に出願された特許出願Bは、本件発明11についてパリ条約第四条C(2)でいう「最初の出願」とは認められない。
したがって、本件特許11について、特許出願Bへの優先権主張を認めることはできない。
(2)新規性・進歩性
ア 対比・判断
上記(1)のとおり、本件発明11について、特許出願Bへの優先権主張は認められず、本件発明11の新規性・進歩性の基準日は本件出願日となる。
本件発明11は、本件発明3ないし10について、「前記ペットフード組成物における少なくとも90%のプロバイオティクスが非複製性である」ことを限定したものである。
本件発明11のうち、本件発明3ないし10が有する構成については、上記3ないし10に指摘したとおりである。
そして、甲7発明における「1日用量当たり約0,005mg~1000mgの非複製性プロバイオティクスの範囲でもよく」という構成は、前記限定された構成に相当するから、本件発明11と甲7発明とは同一である。
また、甲2発明においても、「成人1人当たり好ましくは1~10mg/kg体重(L.paracasei KW3110株では、菌体数1012個が乾燥菌体重量1gに相当する)の範囲で一日1~3回に分けて投与する」という用量は、ペットに換算しても本件発明11の付加的特定の範囲に該当する蓋然性が高いから、当該付加的限定は新たな相違点ではないか、仮に相違点としても設計事項程度である。
イ 小括
したがって、本件発明11は、甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明11は、甲7発明に基いて、又は甲7発明及び文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明11は、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第6 むすび
以上のとおり、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件発明1及び2に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件発明3は、甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。また本件発明3は、甲7発明に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、甲2発明、及び甲第5号証または文献1にも記載された周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明4は、甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。また本件発明4は、甲7発明に基いて本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明5ないし7は、甲7発明及び文献1ないし3にも示される周知技術に基いて、本件出願日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであり、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5ないし7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明8ないし11は、甲7発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。また本件発明8ないし11は、甲7発明に基いて、又は甲7発明及び文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、甲2発明及び甲第5号証並びに文献1ないし3に示される周知技術に基いて、本件出願日前かつ本件優先権主張日前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明8ないし11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明3ないし11に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-700901