特許異議申立
2024-700227
乳酸菌と脂肪酸を含む飼料及び組成物
- 審判番号
- 2024-700227
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-551972
- 登録番号
- 7342338
- 請求日
- 2024年03月11日
- 審決日
- 2024年10月31日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ハウスウェルネスフーズ株式会社
- 【権利者代理人】岩谷 龍
- 【異議申立人】山本 新
- 【異議申立人】野口 真里
- 審判長/審判官
- 審判長 古屋野 浩志
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 審判官 澤田 真治
- 分類
- P1652.113-YAA(A23K) / P1652.121-YAA(A23K) / P1652.536-YAA(A23K) / P1652.537-YAA(A23K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7342338号発明「乳酸菌と脂肪酸を含む飼料及び組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7342338号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項6、7、8、9、〔10、11〕について訂正することを認める。
特許第7342338号の請求項6、8、9、10、11に係る特許を維持する。
特許第7342338号の請求項7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7342338号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)9月21日(優先権主張 令和2年9月25日 日本国)を国際出願日とする出願であって、令和5年9月4日にその特許権の設定登録がされ、同月12日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許について、令和6年3月11日:特許異議申立人山本新(以下「申立人1」という。)による請求項10、11に係る特許に対する特許異議の申立て(以下「申立1」という。)がされ、同日に、特許異議申立人野口真理(以下「申立人2」という。)による請求項6~11に係る特許に対する特許異議の申立て(以下「申立2」という。)がされ、当審合議体は、同年6月17日付けで取消理由を通知した。
特許権者は、その指定期間内である同年7月19日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、当審合議体は、同月29日付けの通知書において、申立人1及び申立人2に期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、その指定期間内に申立人1及び申立人2からは何らの応答もなかった。
第2 本件訂正請求について
令和6年7月19日付けの訂正請求書によりなされた訂正請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求によりなされた訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである。
1 本件訂正の内容
本件訂正は、以下の訂正事項1から5のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項6において、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物とギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含むIL-12産生増強用組成物。」と記載されているのを、
「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含むIL-12産生増強用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。」に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(3) 訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項8において、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物とギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含む静菌用組成物。」と記載されているのを、
「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含む静菌用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。」に訂正する。
(4) 訂正事項4
本件特許の特許請求の範囲の請求項9において、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物とギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含有することを特徴とする組成物。」と記載されているのを、
「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含有することを特徴とする組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。」に訂正する。
(5) 訂正事項5
本件特許の特許請求の範囲の請求項10において、「乳酸菌又はその処理物とギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含有することを特徴とする免疫賦活用組成物。」と記載されているのを、
「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含有することを特徴とする免疫賦活用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。」に訂正する。
(請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する。)
2 訂正の適否
(1) 訂正事項1
訂正事項1は、本件訂正前の請求項6の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」が、死菌体に限らず、生菌が含まれる「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」であったものを、本件特許の明細書及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【0014】、【0019】、【0042】、【0046】及び【0053】の記載に基づいて、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」と訂正することで、本件訂正前の請求項6の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」を限定するものである。
また、訂正事項1は、本件訂正前の請求項6の「脂肪酸」が「ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものであったものを、本件特許明細書等の【0042】~【0044】の記載に基づいて、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものに訂正することで、本件訂正前の請求項6の「脂肪酸」を限定するものである。
さらに、訂正事項1は、本件訂正前の請求項6の「IL-12産生増強用組成物」が、カレールウを含むものであったのを、「IL-12産生増強用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と訂正することで、本件訂正前の請求項6の「IL-12産生増強用組成物」を限定するものである。
してみると、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、新規事項の追加に該当しない。
そして、訂正事項1は、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2) 訂正事項2
訂正事項2は、請求項7を削除するものであるから、当該訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
(3) 訂正事項3
訂正事項3は、本件訂正前の請求項8の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」が、死菌体に限らず、生菌が含まれる「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」であったものを、本件特許明細書等の【0014】、【0019】、【0042】、【0046】及び【0053】の記載に基づいて、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」と訂正することで、本件訂正前の請求項8の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」を限定するものである。
また、訂正事項3は、本件訂正前の請求項8の「脂肪酸」が「ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものであったものを、本件特許明細書等の【0042】~【0044】の記載に基づいて、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものに訂正することで、本件訂正前の請求項8の「脂肪酸」を限定するものである。
さらに、訂正事項3は、本件訂正前の請求項8の「組成物」が、カレールウを含むものであったのを、「組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と訂正することで、本件訂正前の請求項8の「組成物」を限定するものである。
してみると、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、新規事項の追加に該当しない。
そして、訂正事項3は、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(4) 訂正事項4
訂正事項4は、本件訂正前の請求項9の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」が、死菌体に限らず、生菌が含まれる「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」であったものを、本件特許明細書等の【0014】、【0019】、【0042】、【0046】及び【0053】の記載に基づいて、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」と訂正することで、本件訂正前の請求項9の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」を限定するものである。
また、訂正事項4は、本件訂正前の請求項9の「脂肪酸」が「ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものであったものを、本件特許明細書等の【0042】~【0044】の記載に基づいて、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものに訂正することで、本件訂正前の請求項9の「脂肪酸」を限定するものである。
さらに、訂正事項4は、本件訂正前の請求項9の「組成物」が、カレールウを含むものであったのを、「組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と訂正することで、本件訂正前の請求項9の「組成物」を限定するものである。
してみると、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、新規事項の追加に該当しない。
そして、訂正事項4は、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(5) 訂正事項5
ア 一群の請求項について
訂正事項5に係る訂正前の請求項10及び11について、請求項11は請求項10引用しているものであって、訂正事項5によって記載が訂正される請求項10に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項10及び11に対応する訂正後の請求項10及び11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そして、訂正事項5は、一群の請求項である訂正前の請求項10及び11についてされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。
イ 訂正事項5に係る訂正の適否について
訂正事項5は、本件訂正前の請求項10の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」が、死菌体に限らず、生菌が含まれる「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」であったものを、本件特許明細書等の【0014】、【0019】、【0042】、【0046】及び【0053】の記載に基づいて、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」と訂正することで、本件訂正前の請求項10の「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)又はその処理物」を限定するものである。
そして、訂正事項5は、本件訂正前の請求項10の「脂肪酸」が「ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものであったものを、本件特許明細書等の【0042】~【0044】の記載に基づいて、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ものに訂正することで、本件訂正前の請求項10の「脂肪酸」を限定するものである。
さらに、訂正事項5は、本件訂正前の請求項10の「組成物」が、カレールウを含むものであったのを、「組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と訂正することで、本件訂正前の請求項10の「組成物」を限定するものである。
してみると、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、新規事項の追加に該当しない。
そして、訂正事項5は、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(6) 訂正の適否についてのまとめ
上記(1)から(5)のとおりであるから、訂正事項1~5は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(7) 独立特許要件について
本件訂正においては、訂正前の請求項6~11が特許異議の申立ての対象とされているので、上記(1)~(5)のとおり請求項6~11について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項6~11に係る発明には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(8) 小括
上記(1)から(6)のとおり、本件訂正請求による訂正事項1から5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項6、7、8、9、〔10、11〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2のとおり、訂正後の特許請求の範囲について本件訂正が認められるから、本件特許の請求項6~11に係る発明(以下「本件訂正発明6」等という。)は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項6~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項6】
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含むIL-12産生増強用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含む静菌用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。
【請求項9】
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含有することを特徴とする組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。
【請求項10】
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物と酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩とを含有することを特徴とする免疫賦活用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。
【請求項11】
組成物が、医薬、動物薬、医薬部外品、飼料、飲食品又は飲食品添加物である請求項10に記載の組成物。
第4 特許異議の申立てについて
1 特許異議の申立ての概要
(1) 申立1の申立理由の概要及び証拠方法
申立人1は、証拠方法として以下の甲第1号証~甲第13号証を提出し、以下の申立理由を主張している。
ア 証拠方法
甲第1号証:特開2006-76961号公報(以下「申立1甲1」という。)
甲第2号証:特開2005-21156号公報(以下「申立1甲2」という。)
甲第3号証:Fish & Shellfish Immunology 67(2017), 2017年6月, p.441-448(以下「申立1甲3」という。)
甲第4号証:特開2008-61513号公報(以下「申立1甲4」という。)
甲第5号証:特開2017-201984号公報(以下「申立1甲5」という。)
甲第6号証:特開2005-68092号公報(以下「申立1甲6」という。)
甲第7号証:齋藤忠夫外3名編,「ヨーグルトの事典」,株式会社朝倉書店,2016年4月20日,p.86-95(以下「申立1甲7」という。)
甲第8号証:香川芳子監修,七訂 食品成分表 2016 資料編,女子栄養大学出版部,2016年4月1日,p.304-305,364-365(以下「申立1甲8」という。)
甲第9号証:「高速GC/MS9【Intuvo9000GC-5977MSD】とオンライン固相誘導体化を用いたメタボローム分析の最適化」<URL:http://www.aisti.co.jp/common/pdf/as211105.pdf>,2021年10月14日に発表されたポスターセッションの資料(以下「申立1甲9」という。)
甲第10号証:本件特許に係る令和5年6月28日付けの意見書(以下「申立1甲10」という。)
甲第11号証:特開2018-50488号公報(以下「申立1甲11」という。)
甲第12号証:The Journal of Immunology(2010), 2010年4月1日, p.3505-3513(以下「申立1甲12」という。)
甲第13号証:THE AMERICAN JOURNAL OF THE MEDICAL SCIENCE, Volume 313, Number 2, 1997年2月, p.120-123(以下「申立1甲13」という。)
イ 申立理由の概要
(ア) 申立理由1(新規性)(以下「申立1理由1」という。)
申立1理由1をまとめると、概略、以下のとおりである。
本件特許の請求項10及び11に係る発明(以下「本件特許発明10」等という。)は、申立1甲1に記載された発明、申立1甲2に記載された発明、申立1甲3に記載された発明、申立1甲4に記載された発明、申立1甲5に記載された発明、又は、申立1甲6に記載された発明と同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、本件特許発明10及び11に係る特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(イ) 申立理由2(進歩性)(以下「申立1理由2」という。)
申立1理由2をまとめると、概略、以下のとおりである。
本件特許発明10及び11は、申立1甲1に記載された発明、申立1甲2に記載された発明、申立1甲3に記載された発明、申立1甲4に記載された発明、申立1甲5に記載された発明、又は、申立1甲6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明10及び11に係る特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(ウ) 申立理由3(サポート要件違反)(以下「申立1理由3」という。)
本件特許発明10および11は、発明の詳細な説明に記載したものではないことから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、本件特許発明10及び11に係る特許は同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。
(エ) 申立理由4(実施可能要件違反)(以下「申立1理由4」という。)
本件特許の発明の詳細な説明(以下「本件特許明細書」という。)の記載は、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本件特許発明10及び11の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、本件特許発明10及び11に係る特許は同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(2) 申立2の申立理由の概要及び証拠方法
申立人2は、証拠方法として以下の甲第1号証~甲第10号証を提出し、以下の申立理由を主張している。
ア 証拠方法
甲第1号証:特開2010-95465号公報(以下「申立2甲1」という。)
甲第2号証:特開2019-198314号公報(以下「申立2甲2」という。)
甲第3号証:国際公開第2004/084922号(以下「申立2甲3」という。)
甲第4号証:特開2009-57344号公報(以下「申立2甲4」という。)
甲第5号証:香川明夫監修,七訂 食品成分表 2018 資料編,女子栄養大学出版部,2018年2月20日,p.240-241、246-247、312-313、316-317(以下「申立2甲5」という。)
甲第6号証:特開2008-195713号公報(以下「申立2甲6」という。)
甲第7号証:生化学,公益社団法人 日本生化学会,第92巻,第2号,令和2年4月25日,p.231-235(以下「申立2甲7」という。)
甲第8号証:物産フードサイエンス株式会社の2019年5月21日に発表された「平成31年度 日本栄養・食糧学会 技術賞受賞「ケストースの多様な生理機能の解明と実用化」に関する研究」についてのニュースリリース<URL:https://www.bfsci.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/20190521.pdf>(以下「申立2甲8」という。)
甲第9号証:特開2001-64174号公報(以下「申立2甲9」という。)
甲第10号証:齋藤忠夫外3名編,「ヨーグルトの事典」,株式会社朝倉書店,2016年4月20日,p.86-95(以下「申立2甲10」という。)
イ 申立理由の概要
(ア) 申立理由1(新規性)(以下「申立2理由1」という。)
申立2理由1をまとめると、概略、以下のとおりである。
本件特許発明6~11は、申立2甲1に記載された発明、申立2甲2に記載された発明、又は、申立2甲4に記載された発明と同一の発明であり、また、本件特許発明7~11は、申立2甲3に記載された発明と同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、本件特許発明6~11に係る特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(イ) 申立理由2(進歩性)(以下「申立2理由2」という。)
申立2理由2をまとめると、概略、以下のとおりである。
本件特許発明6~11は、申立2甲1に記載された発明、申立2甲2に記載された発明、又は、申立2甲4に記載された発明に基づいて、もしくは、申立2甲4に記載された発明、申立2甲6に記載された事項、申立2甲7に記載された事項、申立2甲8に記載された事項及び申立2甲9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、本件特許発明7~11は、申立2甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明6~11に係る特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(ウ) 申立理由3(サポート要件違反)(以下「申立2理由3」という。)
本件特許発明6~11は、発明の詳細な説明に記載したものではないことから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、本件特許発明6~11に係る特許は同法第113条第4号に該当し 取り消されるべきものである。
(エ) 申立理由4(実施可能要件違反)(以下「申立2理由4」という。)
本件特許明細書の記載は、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本件特許発明6~11の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、本件特許発明6~11に係る特許は同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 令和6年6月17日付け取消理由の概要
本件訂正前の請求項6~11に係る特許に対して、当審合議体が令和6年6月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(取消理由)
理由1(サポート要件)
本件特許の請求項6~11に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(1) 乳酸菌の種類について
本件特許明細書には、L-137以外の乳酸菌を用いた実験についての検証結果が何ら示されておらず、L-137以外のものを含む乳酸菌一般と、脂肪酸又はその塩とを含有させたことに基づく、相乗的なIL-12発現作用及び静菌作用が生じることの作用機序も不明であり、他の乳酸菌を用いた場合において、L-137を用いた場合と同等の作用効果が期待できることを示す客観的な事実に基づく根拠が何も示されていないことから、乳酸菌のうち、特定の属(ラクトバチルス)・種(プランタム)・菌株番号(L-137)のものによる作用が、それ以外のものにおいても発揮されることは技術常識であるとは認められず、本件特許発明10に特定された範囲まで、本件特許明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
同様のことは、本件特許発明10の構成を引用する本件特許発明11についてもいえる。
(2) 乳酸菌が殺菌されたものか否かについて
本件特許明細書には、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムL-137株の「生菌」を用いた実験の結果は何もなされておらず、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムL-137株の「生菌」を用いた場合においても、「死菌体」を用いた場合と同様の実験結果が期待できることを示す客観的な事実に基づく根拠が何も示されておらず、また、それらが、プロバイオテクスとバイオジェニクスと、学術的にも異なる整理がなされていることからみて、それらが同じ作用をもたらすことは技術常識であるともいえない。
よって、本件特許明細書において示された良好な結果が、L-137の生菌によってももたらされるとは認められず、本件特許発明6~11に特定された範囲まで、本件特許明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
(3) 脂肪酸の種類について
本件特許明細書の記載を参照すると、免疫細胞に対して、乳酸菌L-137と脂肪酸を同時に添加した場合において、IL-12の産生が有意差をもって増強されたものは、脂肪酸として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸及びパルミトレイン酸を採用したもののみである。
してみると、実験により検証が行われていない「ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、乳酸、ピルビン酸、カプロン酸、コハク酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種」の範囲まで、本件特許明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは認められず、本件特許発明6~11に特定された範囲まで、本件特許明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
理由2(実施可能要件)
本件特許明細書の記載は、下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
上記理由1(1)において指摘したように、乳酸菌のうち、特定の属(ラクトバチルス)・種(プランタム)・菌株番号(L-137)のものよる作用が、それ以外のものにおいても発揮されることは技術常識であるとは認められないことから、L-137以外の乳酸菌を用いて本件特許発明10~11を実施した場合において、乳酸菌としてL-137を用いた場合と同様の作用が得られることを、当業者が理解できる程度に、発明の詳細な説明の記載がなされているとはいえない。
上記理由1(2)において指摘したように、「生菌」を用いた場合と、「死菌体」を用いた場合とで、それらが同じ作用をもたらすことが技術常識であるともいえないから、L-137の生菌を用いる場合を含む本件特許発明6~11を実施した場合において、L-137の死菌体を用いた場合と同様の作用が得られることを、当業者が理解できる程度に、発明の詳細な説明の記載がなされているとはいえない。
上記理由1(3)において指摘したように、本件特許発明6~11は、脂肪酸又はその塩に関して、本件特許明細書等に示された脂肪酸以外のものを用いた場合を含むものであるから、そのような脂肪酸を用いた場合においても、本件特許明細書等に示された脂肪酸を用いた場合と同様の作用が得られることを、当業者が理解できる程度に、発明の詳細な説明の記載がなされているとはいえない。
理由3(新規性)
本件特許の請求項6~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
引用文献1:2019-198314号公報(申立2甲2)
引用文献2:香川明夫監修,七訂 食品成分表 2018 資料編,女子栄養大学出版部,2018年2月20日,p.316(申立2甲5)
3 令和6年7月19日付け意見書(特許権者)の概要
(1) 取消理由通知の理由1及び理由2について
本件訂正発明10及び11では、乳酸菌はラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)のみに特定された。
また、本件訂正発明6、8~11では、ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)がラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体に特定された。
さらに、本件訂正発明6、8~11では、脂肪酸が、本件特許明細書に示された実験により検証が行われた「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸及びパルミトレイン酸からなる群より選択される1種以上」に特定された。
そのため、取消理由の理由1及び理由2は解消した。
(2) 取消理由通知の理由3について
本件訂正発明6及び8~11においては、「…組成物」の記載は、「…組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)。」に特定されており、引用文献1に記載された発明の「固形カレールウ」は、本件訂正発明6、8~11の範囲外であり、引用文献1に対して新規性を有するものである。
第5 当審合議体の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由について
(1) 理由1及び理由2について
本件訂正により、本件訂正発明6、8~11は、乳酸菌が「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」であることが特定され、脂肪酸又はその塩が、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である」ことが特定され、いずれも、本件特許明細書等に記載された実験によって作用効果が認められた範囲に特定されたものとなった。
してみると、本件訂正発明6、8~11は本件特許明細書に記載したものとなり、取消理由における理由1を有しない。
また、本件訂正発明6、8~11は、いずれも、本件特許明細書に記載された作用効果を奏し得る範囲に特定されたものであるから、取消理由における理由2を有しない。
(2) 理由3について
ア 取消理由通知において引用した証拠に記載された事項
(ア) 申立2甲2
a 申立2甲2に記載された事項
申立人2が提出し、上記取消理由で引用された申立2甲2には、以下の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために当審合議体で付した。以下同様)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮型経口組成物とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌は、マクロファージを活性化させて、ナチュラルキラー細胞等を活性化するサイトカインであるインターロイキン12(IL-12)の産生を促進することが知られている(特許文献1及び2等)。特許文献1には、ラクトバチルス属に属する乳酸菌の死菌体を飲食品に添加して、IL-12産生誘導活性を有する乳酸菌含有免疫賦活用組成物を製造することが記載されている。
【0003】
特許文献1には、前記乳酸菌死菌体を飲料やチョコレート等に添加すること、添加及び保存時の温度条件が記載されているが、乳酸菌死菌体をカレールウ等の濃縮型食品に添加することや、当該濃縮型食品の製造技術については記載されていない。」
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カレールウ等の濃縮型食品は、水や湯で希釈し、具材を加えて煮込むことでカレーソース等に調理されるので、濃縮型食品に添加された乳酸菌死菌体が、調理後にもその活性を発揮するためには、濃縮型食品及びこれを用いて調理された料理のいずれにおいても、乳酸菌死菌体の活性が均一に維持される必要がある。したがって、本発明は、希釈して経口摂取される濃縮型経口組成物であって、製造及び調理の間に乳酸菌死菌体の活性が維持され、調理後(希釈後)にも当該活性が均一に発揮される濃縮型経口組成物、及びその製造方法を提供することを目的としている。」
「【0009】
(乳酸菌死菌体)
乳酸菌死菌体を構成する乳酸菌としては、乳酸を産生し得る菌であれば特に限定されないが、ラクトバチルス属に属する菌が好ましく、具体的にはラクトバチルス・アシドフィリス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・デルブリュキイ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ケフィア、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・サリバリウス、又はラクトバチルス・スポロゲネス等であってもよい。より好ましくは、前記乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム、特にラクトバチルス・プランタラムL-137株(平成7年11月30日より、受託番号FERM BP-08607で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている)である。」
「【実施例】
【0026】
実施例1
(乳酸菌死菌体粉末)
ラクトバチルス・プランタラムL-137株加熱死菌体(以下「HK L-137」と略す。)を20質量%含有し、デキストリンを80質量%含有する粉末製剤(製品名:LP20、ハウスウェルネスフーズ株式会社)を用意した。
前記LP20は、HK L-137及びデキストリンを含有する水溶液を、噴霧乾燥して得たもので、粒子径が500μm以下であり、1g中に前記HK L-137が約2000億個含まれている。
【0027】
(固形カレールウの製造)
小麦粉20質量部及び牛脂20質量部を焙煎処理して得られた小麦粉ルウ40質量部と、カレーパウダー等の他の原料29.45質量部とを、焙煎釜において、原料の品温が約110℃になるまで加熱混合した後、食塩10質量部、グラニュー糖10質量部及びコーンスターチ10質量部を加えて混合し、原料の品温が100℃をやや下回るまで冷却した。
冷却した原料に、前記LP20を0.55質量部加えて混合を続け、得られた原料を充填機によりトレイ状容器に充填して固形カレールウ(LP20含有カレールウA)を製造した。この固形カレールウの水分含量は、約3質量%であった。
【0028】
(HK L-137のIL-12産生誘導活性)
生体における全身免疫系の応答を反映していると考えられる初代免疫細胞を、RPMI1640培地で5×106個/mlの濃度に調製し、96穴組織培養プレートに1穴あたり100μLを播種した。これに、以下の試料Xa又はXa’を、それぞれ1穴あたり100μL加え、37℃の5%炭酸ガス培養器内で24時間培養し、培養後の培養上清のIL-12濃度をELISA法で測定した。
【0029】
Xa:LP20含有カレールウAを、前記RPMI1640培地で、前記LP20の濃度として100ng/mlになるように希釈した液Xa’:LP20含有カレールウAと、当該カレールウに含有されるLP20と等量のLP20とを、前記RPMI1640培地で、前記LP20の濃度として200ng/mlになるように希釈した液
【0030】
試料Xaは、LP20を100ng/mlの濃度で含むカレールウ希釈試料であり、試料Xa’は、LP20を合計で200ng/mlの濃度で含むカレールウ希釈試料である。すなわち、試料Xaと試料Xa’のLP20の濃度比は1:2であるので、試料Xaと試料Xa’のIL-12産生誘導活性の比が1:2である場合は、試料XaのIL-12産生誘導活性は固形カレールウの製造中に維持されていたと言える。結果を表1に示す。
【0031】
[表1]
IL-12濃度(ng/ml)
Xa :0.134
Xa’:0.284
試料Xa又は試料Xa’で誘導されたIL-12の濃度は、概ね1:2だったので、HK L-137のIL-12産生誘導活性は、固形カレールウの製造中においても維持されていたことが示された。」
b 申立2甲2に記載された事項より認定できる事項
【0002】における「特許文献1には、ラクトバチルス属に属する乳酸菌の死菌体を飲食品に添加して、IL-12産生誘導活性を有する乳酸菌含有免疫賦活用組成物を製造することが記載されている。」との記載、【0003】における「特許文献1には、前記乳酸菌死菌体を飲料やチョコレート等に添加すること、添加及び保存時の温度条件が記載されているが、乳酸菌死菌体をカレールウ等の濃縮型食品に添加することや、当該濃縮型食品の製造技術については記載されていない。」との記載、及び、【0005】における「本発明は、希釈して経口摂取される濃縮型経口組成物であって、製造及び調理の間に乳酸菌死菌体の活性が維持され、調理後(希釈後)にも当該活性が均一に発揮される濃縮型経口組成物、及びその製造方法を提供することを目的としている。」との記載を参照すると、申立2甲2に記載された「固形カレールウ」は、「IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物」であること(以下「認定事項」という。)が認定できる。
c 引用発明
上記a及びbより、申立2甲2には以下の発明が記載されていると認められる。
「小麦粉20質量部及び牛脂20質量部を焙煎処理して得られた小麦粉ルウ40質量部と、カレーパウダー等の他の原料29.45質量部とを、加熱混合した後、食塩10質量部、グラニュー糖10質量部及びコーンスターチ10質量部を加えて混合し(【0027】)、ラクトバチルス・プランタラムL-137株加熱死菌体を20質量%含有し、デキストリンを80質量%含有する粉末製剤であるLP20(【0026】)を0.55質量部加えて混合して製造した(【0027】)IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物である(認定事項)固形カレールウ。」(以下「引用発明」という。)
(イ) 申立2甲5
a 申立2甲5に記載された事項
申立2甲5には、以下の記載がある。
「316ページ
[図:0001419351000001.jpg]
」
b 申立2甲5の記載より認定できる事項
申立2甲5の316ページには、「脂肪酸総量 100g 当たりの脂肪酸成分表」として、各食品ごとの脂肪酸含有量が一覧表として記載されており、(ルウ類)として、「カレールウ」の「脂肪酸総量100g当たり脂肪酸」が示されている。
そして、「カレールウ」には、脂肪酸総量100g当たりデカン酸0.1g及び脂肪酸総量100g当たりパルミトレイン酸2.3g含まれる点が読み取れることから、カレールウにデカン酸又はパルミトレイン酸が含まれることは従来周知の事項であること(以下「周知事項」という。)が認定できる。
イ 本件訂正発明6について
(ア) 対比
本件訂正発明6と引用発明とを対比する。
a 引用発明における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株加熱死菌体を20質量%含有」することは、本件訂正発明6における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」「を含む」ことに相当する。
b 本件訂正発明6における「IL-12産生増強用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と引用発明における「IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物である」「固形カレールウ」とは、「IL-12産生増強用組成物」である点で共通する。
c 上記a、bより、本件訂正発明6と引用発明は、以下の点で一致する。
<一致点>
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物を含む
IL-12産生増強用組成物。
そして、両者は、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件訂正発明6は、IL-12産生増強用組成物が、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩」「を含む」点が特定されているのに対して、引用発明は、そのような脂肪酸又はその塩を含む点が特定されていない点。
<相違点2>
本件訂正発明6は、「IL-12産生増強用組成物」が「カレールウである場合を除く」ものであるのに対して、引用発明は、「IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物」が「カレールウ」である点。
(イ) 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点2について検討する。
本件訂正発明6の「IL-12産生増強用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と、引用発明の「カレールウ」は、組成物として特定される対象が異なることから、相違点2に係る本件訂正発明6の構成は、実質的な相違点であると認められる。
そして、本件訂正発明6と引用発明とに実質的な相違点である以上、両者が同一の発明とは認められないことから、本件訂正発明6は引用発明ではない。
(ウ) 小括
以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明6は、引用発明とは異なる発明であり、特許法第29条第1項第3号には該当せず、取消理由の理由3によって取り消すことはできない。
ウ 本件訂正発明8について
(ア) 対比
本件訂正発明8と引用発明とを対比する。
a 引用発明における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株加熱死菌体を20質量%含有」することは、本件訂正発明8における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」「を含む」ことに相当する。
b IL-12産生誘導活性は静菌用途と同義であるといえることから、本件訂正発明8における「静菌用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と引用発明における「IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物である」「固形カレールウ」とは、「静菌用組成物」である点で共通する。
c 上記a,bより、本件訂正発明8と引用発明は、以下の点で一致する。
<一致点>
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物を含む
静菌用組成物。
そして、両者は、以下の点で相違する。
<相違点3>
本件訂正発明8は、静菌用組成物が、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩」「を含む」点が特定されているのに対して、引用発明は、そのような脂肪酸又はその塩を含む点が特定されていない点。
<相違点4>
本件訂正発明8は、「静菌用組成物」が「カレールウである場合を除く」ものであるのに対して、引用発明は、「静菌用組成物」が「カレールウ」である点。
(イ) 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点4について検討する。
本件訂正発明8の「静菌用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と、引用発明の「カレールウ」は、静菌用組成物として特定される対象が異なることから、相違点4に係る本件訂正発明8の構成は、実質的な相違点であると認められる。
そして、本件訂正発明8と引用発明とに実質的な相違点である以上、両者が同一の発明とは認められないことから、本件訂正発明8は引用発明ではない。
(ウ) 小括
以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、引用発明とは異なる発明であり、特許法第29条第1項第3号には該当せず、取消理由の理由3によって取り消すことはできない。
エ 本件訂正発明9について
(ア) 対比
本件訂正発明9と引用発明とを対比する。
a 引用発明における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株加熱死菌体を20質量%含有」することは、本件訂正発明9における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」「を含む」ことに相当する。
b 本件訂正発明9における「組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と引用発明における「IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物である」「固形カレールウ」とは、「組成物」である点で共通する。
c 上記a、bより、本件訂正発明9と引用発明は、以下の点で一致する。
<一致点>
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物を含む
組成物。
そして、両者は、以下の点で相違する。
<相違点5>
本件訂正発明9は、組成物が、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩」「を含む」点が特定されているのに対して、引用発明は、そのような脂肪酸又はその塩を含む点が特定されていない点。
<相違点6>
本件訂正発明9は、組成物が「カレールウである場合を除く」ものであるのに対して、引用発明は、組成物が「カレールウ」である点。
(イ) 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点6について検討する。
本件訂正発明9の「組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と、引用発明の「カレールウ」は、組成物として特定される対象が異なることから、相違点6に係る本件訂正発明9の構成は、実質的な相違点であると認められる。
そして、本件訂正発明9と引用発明とに実質的な相違点である以上、両者が同一の発明とは認められないことから、本件訂正発明9は引用発明ではない。
(ウ) 小括
以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明9は、引用発明とは異なる発明であり、特許法第29条第1項第3号には該当せず、取消理由の理由3によって取り消すことはできない。
オ 本件訂正発明10について
(ア) 対比
本件訂正発明10と引用発明とを対比する。
a 引用発明における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株加熱死菌体を20質量%含有」することは、本件訂正発明10における「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」「を含む」ことに相当する。
b IL-12産生誘導活性は免疫賦活用と同義であるといえることから、本件訂正発明10における「免疫賦活用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と引用発明における「IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物である」「固形カレールウ」とは、「免疫賦活用組成物」である点で共通する。
c 上記a、bより、本件訂正発明10と引用発明は、以下の点で一致する。
<一致点>
ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物を含む
免疫賦活用組成物。
そして、両者は、以下の点で相違する。
<相違点7>
本件訂正発明10は、組成物が、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩」「を含む」点が特定されているのに対して、引用発明は、そのような脂肪酸又はその塩を含む点が特定されていない点。
<相違点8>
本件訂正発明10は、「免疫賦活用組成物」が「カレールウである場合を除く」ものであるのに対して、引用発明は、IL-12産生誘導活性を有する濃縮型経口組成物が「カレールウ」である点。
(イ) 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点8について検討する。
本件訂正発明10の「免疫賦活用組成物(但し、組成物がカレールウである場合を除く)」と、引用発明の「カレールウ」は、組成物として特定される対象が異なることから、相違点8に係る本件訂正発明10の構成は、実質的な相違点であると認められる。
そして、本件訂正発明10と引用発明とに実質的な相違点である以上、両者が同一の発明とは認められないことから、本件訂正発明10は引用発明ではない。
(ウ) 小括
以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明10は、引用発明とは異なる発明であり、特許法第29条第1項第3号には該当せず、取消理由の理由3によって取り消すことはできない。
カ 本件訂正発明11について
本件訂正発明11は、本件訂正発明10を引用し、さらに構成要件を特定したものであることから、本件訂正発明10が引用発明とは異なる発明である以上、上記オ(ウ)に示した結論と同様に、本件訂正発明11は引用発明ではない。
よって、本件訂正発明11は、特許法第29条第1項第3号には該当せず、取消理由の理由3によって取り消すことはできない。
(3) 取消理由通知で通知した取消理由についてのまとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由によっては、本件訂正後の請求項6、8~11に係る特許を取り消すことはできない。
2 申立1及び申立2の申立理由について
(1) 取消理由通知に採用した申立理由について
ア 申立1理由3、申立1理由4、申立2理由3及び申立2理由4について
取消理由の理由1は申立1理由3及び申立2理由3を包含するものであり、取消理由の理由2は申立1理由4及び申立2理由4を包含するものである。
そして、取消理由の理由1及び理由2についての判断は、上記1(1)において検討したとおりである。
よって、申立1理由3、申立1理由4、申立2理由3及び申立2理由4によっては、本件訂正後の請求項6、8~11に係る特許を取り消すことはできない。
イ 申立2甲2を主引例とした申立2理由1について
取消理由の理由3は申立2理由3のうち、申立2甲2を主引例とするものである。
そして、申立2理由3のうち、申立2甲2を主引例とするものについての判断は、上記1(2)において検討したとおりである。
よって、申立2理由3のうち、申立2甲2を主引例とするものによっては、本件訂正後の請求項6、8~11に係る特許を取り消すことはできない。
(2) 取消理由通知に採用しなかった申立理由について
ア 申立人1の主張する新規性及び進歩性の申立理由について
(ア) 申立人1が提示した証拠の記載事項
申立人1が提示した申立1甲1~申立1甲6には、概ね以下の事項が記載されている。
a 申立1甲1
申立1甲1には、乳酸菌及び乳酸を含有する発酵乳が、IgM産生促進作用やIFN-γ産生促進作用といった免疫賦活作用又は免疫増強作用を有し、当該発酵乳は、食品形態、飼料形態、医薬品形態等に調整できることが記載されている。
b 申立1甲2
申立1甲2には、乳酸菌と、ピルビン酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酪酸とを含む、もろみ濃縮液培養物が記載されており、当該もろみ濃縮液培養物が大腸菌感染防御効果といった免疫増強作用を示す組成物であり、当該もろみ濃縮液培養物は飼料形態に調整できることが記載されている。
c 申立1甲3
申立1甲3には、乳酸菌とリンゴ酢(酢酸)を含有するコイの餌が記載されており、リンゴ酢(酢酸)と乳酸菌の併用が免疫調節作用と健康増進作用を高め、当該餌がコイ養殖の初期段階において有望な免疫賦活剤となり得ることが記載されている。
d 申立1甲4
申立1甲4には、乳酸菌を含有する発酵乳飲料が記載されており、乳酸菌はIFN-γやIL-12の産生誘導能といった免疫賦活化能を有することが記載されている。
e 申立1甲5
申立1甲5には、乳酸菌を含有するヨーグルトが記載されており、当該ヨーグルトが、血中pDC活性化、IFN-a産生能上昇、ウイルス罹患時の反応性向上等の免疫賦活作用を有すること、及び、pDCを活性化し、IFN産生を誘導し得る乳酸菌を含有するIFN産生誘導剤は、医薬または飲食品の成分として免疫賦活に用いることができることが記載されている。
f 申立1甲6
申立1甲6には、乳酸菌と酵母菌とを含む混合培養物は、乳酸、ギ酸及びピルビン酸が含まれ、上記混合物は免疫賦活作用を有し、食品、飼料、医薬等の形態で使用できることが記載されている。
(イ) 申立1理由1及び申立1理由2について
申立1甲1~申立1甲6のいずれにも、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)」は記載も示唆もされていない。
してみると、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)の死菌体又はその処理物」を含む本件訂正発明10及び11は、申立1甲1~申立1甲6に記載されたいずれの発明とも同一とはいえず、また、申立1甲1~申立1甲6に記載されたいずれかの発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
よって、申立1理由1及び申立1理由2によっては、本件訂正後の請求項10、11に係る特許を取り消すことはできない。
イ 申立人2の主張する新規性及び進歩性の申立理由について
(ア) 申立人2が提示した証拠の記載事項
申立人2が提示した申立2甲1、申立2甲3~申立2甲9には、概ね以下の事項が記載されている。
a 申立2甲1
申立2甲1には、乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムL-137株)の死菌体を含み、IL-12産生誘導活性を有する免疫賦活用組成物が記載されており、当該組成物として、チョコレート、豆腐が例示されている。
b 申立2甲3
申立2甲3には、乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムL-137株)の死菌体又はその処理物を含有する、魚介類用の、免疫機能増強作用、感染防御作用、大腸菌殺菌作用、及び、抗菌作用を有する組成物が記載されている。
c 申立2甲4
申立2甲4には、乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムL-137株)の死菌体と、粉末青シソ(シソ植物)を含む、IL-12産生誘導活性を有する組成物が記載されている。
d 申立2甲5
申立2甲5には、食品の一般的な成分分析値に基づくと、豆腐にはパルミトレイン酸が含まれていること、チョコレートには酪酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、デカン酸及びパルミトレイン酸が含まれていること、カレールウにはデカン酸及びパルミトレイン酸が含まれていること、しそにはパルミトレイン酸が含まれていることが記載されている。
e 申立2甲6
申立2甲6には、酢酸若しくはその塩及び/又はプロピオン酸若しくはその塩を免疫賦活用組成物に使用できることが記載されている。
f 申立2甲7
申立2甲7には、乳酸又はピルビン酸が免疫賦活作用を有することが記載されている。
g 申立2甲8
申立2甲8には、酪酸が免疫賦活作用を有することが記載されている。
h 申立2甲9
申立2甲9には、ラクトバチルス・プランタラムL-137株の死菌体とアスコルビン酸により、インターロイキン12及びインターフェロンγ産生が相乗的に増加する点が記載されている。
(イ) 申立2理由1について
申立2甲1、申立2甲3及び申立2甲4には、乳酸菌として「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)」の死菌体を用いた点が記載されている。
しかしながら、申立2甲1、申立2甲3及び申立2甲4には、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)」の死菌体を含む組成物が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸を含む点は記載されていない。
また、申立2甲5に基づくと、申立2甲1に記載された組成物であるチョコレート又は豆腐、申立2甲4に記載された組成物に含まれるシソ植物に「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩」が含まれている蓋然性は否定できないものの、申立2甲1、申立2甲3及び申立2甲4には、そのような物質を添加した点は記載されておらず、そのような物質が含有されていることは記載されていないことから、「酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、及びパルミトレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種である脂肪酸又はその塩」が含まれていることの確証は得られない。
してみると、本件訂正発明6、8~11は、申立2甲1、申立2甲3又は申立2甲4に記載された発明であるとはいえない。
よって、申立2理由1によっては、本件訂正後の請求項6、8~11に係る特許を取り消すことはできない。
(ウ) 申立2理由2について
申立2甲6には、酢酸若しくはその塩及び/又はプロピオン酸若しくはその塩を免疫賦活用組成物に使用できることが記載されており、申立2甲7には、乳酸又はピルビン酸が免疫賦活作用を有する点は記載されており、申立2甲8には、酪酸が免疫賦活作用を有することが記載されてはいるが、いずれの文献にも、「ラクトバチルス・プランタラムL-137株(Lactobacillus plantarum L-137)」の死菌体を用いた組成物に免疫賦活作用を向上させる目的で脂肪酸を添加する点は記載されていない。
してみると、本件訂正発明6、8~11は、申立2甲1、申立2甲3又は申立2甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、また、申立2甲4に記載された発明、申立2甲6に記載された事項、申立2甲7に記載された事項、申立2甲8に記載された事項及び申立2甲9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
また、上記1(2)cに記載した引用発明(申立2甲2に記載された発明)をカレールウ以外の組成物に転用可能であることを示す証拠は何も示されていないことから、本件訂正発明6、8~11が、申立2甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
よって、申立2理由2によっては、本件訂正後の請求項6、8~11に係る特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由並びに特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件訂正後の請求項6、8~11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項6、8~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項7は、本件訂正により削除された。これにより、請求項7に係る特許についての特許異議の申立ては、当該申立てに係る特許が存在しないこととなったため、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるといえるから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって結論のとおり決定する。
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2024-700227