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特許異議申立

2023-701225

食用油脂の常温以下での保存安定性向上剤

審判番号
2023-701225
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-019992
登録番号
7278662
請求日
2023年11月21日
審決日
2024年11月07日
公報発行日
2025年02月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】築野食品工業株式会社
  • 【権利者代理人】岩谷 龍
  • 【権利者代理人】勝又 政徳
  • 【異議申立人】長屋 雅人
審判長/審判官
  • 審判長 植前 充司
  • 審判官 加藤 友也
  • 審判官 松本 陶子
分類
P1651.113-YAA(A23D) / P1651.121-YAA(A23D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7278662号発明「食用油脂の常温以下での保存安定性向上剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7278662号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし16及び26〕並びに〔17ないし25及び27〕について訂正することを認める。 特許第7278662号の請求項1ないし27に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7278662号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし27に係る特許についての出願は、令和4年2月10日の出願であって、令和5年5月12日にその特許権の設定登録(請求項の数27)がされ、同年同月22日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年11月21日に特許異議申立人 長屋 雅人(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし27)がされ、令和6年1月15日付けで取消理由が通知され、同年3月14日に特許権者 築野食品工業株式会社(以下、「特許権者」という。)から訂正請求がされるとともに意見書が提出され、同年4月5日に特許権者から手続補正書が提出され、同年同月12日に特許権者から手続補正書が提出され、同年同月18日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)が通知され、同年5月22日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年6月28日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年8月30日に特許権者から訂正請求がされるとともに意見書が提出されものである。 なお、令和6年4月5日に提出された手続補正書及び同年同月12日に提出された手続補正書により補正された同年3月14日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、既に特許異議申立人に意見書の提出の機会が与えられており、下記第2 1のとおり、令和6年8月30日にされた訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、下記第6ないし8のとおり、提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体は判断し、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された特別の事情があるときといえるから、特許異議申立人に再度の意見書の提出の機会を与えていない。 第2 本件訂正について 1 訂正の内容 令和6年8月30日にされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示すものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項3の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項5の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、亜麻仁油である油脂(A)とを含有し、菜種油、大豆油及びコーン油のいずれも含有しない、組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である組成物(ただし、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油である油脂(B)と、亜麻仁油である油脂(A)とを含有し、菜種油、大豆油及びコーン油のいずれも含有しない、組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」に訂正する。 併せて、請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に、 「 米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である組成物。」と記載されているのを、 「 米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である組成物(ただし、 大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合、 胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合、 全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合、 米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合、及び パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項8の記載を直接又は間接的に引用する請求項14ないし16及び26も同様に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に、 「 米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~9/1である組成物。」と記載されているのを、 「 米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~9/1である組成物(ただし、 大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合、 胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合、 全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合、 米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合、及び パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項9の記載を直接又は間接的に引用する請求項14ないし16及び26も同様に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物に使用する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合である場合を除く)。」 と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物に使用する場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物に使用する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項10の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物に使用する場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物に使用する場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物に使用する場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項11の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A) の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物に使用する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項12の記載を直接又は間接的に引用する請求項13ないし16及び26も同様に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項17に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項17の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項18に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項18の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項19に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項19の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項20に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項20の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (17)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項21に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項21の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (18)訂正事項18 特許請求の範囲の請求項22に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項22の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (19)訂正事項19 特許請求の範囲の請求項23に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項23の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (20)訂正事項20 特許請求の範囲の請求項24に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項24の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 (21)訂正事項21 特許請求の範囲の請求項25に、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」と記載されているのを、 「 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。」 に訂正する。 併せて、請求項25の記載を引用する請求項27も同様に訂正する。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)請求項1ないし9についての訂正について 訂正事項1による請求項1についての訂正、訂正事項2による請求項2についての訂正、訂正事項3による請求項3についての訂正、訂正事項4による請求項4についての訂正、訂正事項5による請求項5についての訂正、訂正事項6による請求項6についての訂正、訂正事項7による請求項7についての訂正、訂正事項8による請求項8についての訂正及び訂正事項9による請求項9についての訂正は、いずれも、「組成物」から除く対象を増やすものであり、さらに、訂正事項7による請求項7についての訂正は「油脂(B)」を「米油」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)請求項10ないし12についての訂正について 訂正事項10による請求項10についての訂正、訂正事項11による請求項11についての訂正及び訂正事項12による請求項12についての訂正は、いずれも、「保存安定性向上剤」から除く対象を増やすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)請求項13ないし16及び26についての訂正について 訂正事項1ないし12による請求項13ないし16及び26についての訂正は、いずれも、請求項1ないし12についての訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)請求項17ないし19についての訂正について 訂正事項13による請求項17についての訂正、訂正事項14による請求項18についての訂正及び訂正事項15による請求項19についての訂正は、いずれも、「組成物を、45℃以下で保存する方法」から除く対象を増やすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)請求項20ないし22についての訂正について 訂正事項16による請求項20についての訂正、訂正事項17による請求項21についての訂正及び訂正事項18による請求項22についての訂正は、いずれも、「油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法」から除く対象を増やすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)請求項23ないし25についての訂正について 訂正事項19による請求項23についての訂正、訂正事項20による請求項24についての訂正及び訂正事項21による請求項25についての訂正は、いずれも、「45℃以下における風味劣化抑制方法」から除く対象を増やすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)請求項27についての訂正について 訂正事項13ないし21による請求項27についての訂正は、いずれも、請求項17ないし25についての訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 むすび 以上のとおり、訂正事項1ないし21による請求項1ないし27についての訂正は、いずれも、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし21による請求項1ないし27についての訂正は、いずれも、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 なお、訂正前の請求項1ないし16及び26は一群の請求項に該当するものであり、訂正事項1ないし12による請求項1ないし16及び26についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 また、訂正前の請求項17ないし25及び27は一群の請求項に該当するものであり、訂正事項13ないし21による請求項17ないし25及び27についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 そして、特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし27に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし16及び26〕並びに〔17ないし25及び27〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし27に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。 【請求項2】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。 【請求項3】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。 【請求項4】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。 【請求項5】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。 【請求項6】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。 【請求項7】 米油である油脂(B)と、亜麻仁油である油脂(A)とを含有し、菜種油、大豆油及びコーン油のいずれも含有しない、組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である組成物(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。 【請求項8】 米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である組成物 (ただし、 大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合、 胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合、 全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合、 米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合、及び パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)。 【請求項9】 米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~9/1である組成物 (ただし、 大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合、 胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合、 全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合、 米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合、及び パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)。 【請求項10】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物に使用する場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物に使用する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合である場合を除く)。 【請求項11】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物に使用する場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物に使用する場合を除く)。 【請求項12】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)を含有する、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤であって、油脂(A)は、リノレン酸の含有量が30質量%以上で、油脂(B)以外の食用油脂であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上剤(ただし、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物に使用する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合である場合を除く)。 【請求項13】 油脂(B)が、米油を含む、請求項1~7、10~12のいずれか一項に記載の組成物又は剤。 【請求項14】 米油が米胚芽油を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物又は剤。 【請求項15】 風味劣化抑制のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物又は剤。 【請求項16】 プロパナール又はアクロレインの生成抑制のための、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物又は剤。 【請求項17】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。 【請求項18】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。 【請求項19】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。 【請求項20】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。 【請求項21】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合を除く)。 【請求項22】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、油脂(A)の45℃以下における保存安定性向上方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7の割合であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。 【請求項23】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。 【請求項24】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で混合する場合を除く)。 【請求項25】 米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を、混合する工程を含む、45℃以下における風味劣化抑制方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、混合する工程において、γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を混合する場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の割合で混合する場合を除く)。 【請求項26】 油脂(A)が、亜麻仁油である、請求項1~7、9~16のいずれか一項に記載の組成物又は剤。 【請求項27】 油脂(A)が、亜麻仁油である、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要等 令和5年11月21日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要及び証拠方法は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1ないし7及び10ないし27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7及び10ないし27に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(甲第2ないし8号証のいずれかに基づく新規性・進歩性) 本件特許発明8及び9は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2ないし8号証のいずれかに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第2ないし8号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項8及び9に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 証拠方法 甲第1号証:Pakistan Journal of Biological Sciences,2022年1月1日,Vo1.25,No.8,p.698-704、並びにウェブページ「Europe PMC/Search life-sciences literature/Improving Stability of Flaxseed Oil by Rice Bran Oil as Source of γ-Oryzanol.」 URL:https://europepmc.org/article/med/36098195(出力日2023年11月6日)、「View article/Hamdy Shaaban/Improving Stability of Flaxseed Oil by Rice Bran Oil as Source of γ-Oryzanol.」 URL:https://scholar.google.com.eg/citations?view_op=view_citation&hl=en&user=OLtFwqAAAAAJ&pagesize=80&citation_for_view=OLtFwqAAAAAJ:7nQzplYiEc4C(出力日2023年11月6日)、及び「National Library of Medicine/Pub Med/Improving Stability of Flaxseed Oil by Rice Bran Oil as Source of γ-Oryzanol.」 URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36098195/(出力日2023年11月6日) 甲第2号証:米国特許第5552167号明細書 甲第3号証:特開昭60-78542号公報 甲第4号証:特開2000-279092号公報 甲第5号証:特開2001-197862号公報 甲第6号証:特開2002-253118号公報 甲第7号証:特開2015-70813号公報 甲第8号証:特開2011-62160号公報 甲第9号証:塗料原料便覧 第9版、一般社団法人 日本塗料工業会、表紙と目次とpp.1と奥付 甲第10号証:オレオサイエンス、Vol.18、No.7、pp.317-324 甲第11号証:日本油化学会誌、1998年、Vol.47、No.10、pp.1061-1071 甲第12号証:FOOD Style 21、1999年9月、Vol.3、No.9、別刷「こめ油の機能と応用」、pp.50-53 甲第13号証:ウェブページ「話題のトコトリエノール」 URL:https://www.koyojapan.jp/pdf/TOPIX_338.pdf(出力日2023年11月6日)、及び「TOCOTRIENOL.org」 URL:https://tocotrienol.org/jp/page/2/(出力日2023年11月6日) 甲第14号証:化学と生物、2012年、Vol.50,No.10、pp. 700-701、及びウェブページ「化学と生物」 URL:https://katosei.jsbba.or.jp/back_issue.php?bn_vol=50&bn_show=94(出力日2023年11月6日) 甲第15号証:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 小規模なマーガリン類・ショートニング・精製ラード 食用精製加工油脂製造業者向け、日本マーガリン工業会 公益財団法人日本食品油脂検査協会、表紙とpp.1-10と奥付、及びウェブページ「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」 URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html(出力日2023年11月6日) 甲第16号証:(公社)福岡市食品衛生協会FAX情報サービス、令和2年12月、252号 証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。以下、順に「甲1」のようにいう。 第5 取消理由(決定の予告)の概要 令和6年6月28日付けで通知した取消理由(決定の予告)(以下、「取消理由(決定の予告)」という。)の概要は次のとおりである。 1 取消理由1(甲1に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし7及び10ないし27に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7及び10ないし27に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。なお、該取消理由1は申立理由1のうちの進歩性とおおむね同旨である。 2 取消理由2(甲3に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項8に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲3に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項8に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。なお、該取消理由2は申立理由2のうちの請求項8に対する甲3に基づく新規性・進歩性とおおむね同旨である。 3 取消理由3(甲4に基づく進歩性) 本件特許の請求項8に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項8に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。なお、該取消理由3は申立理由2のうちの請求項8に対する甲4に基づく進歩性とおおむね同旨である。 第6 取消理由(決定の予告)についての当審の判断 1 主な証拠に記載された事項等 (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には、「Improving Stability of Flaxseed Oil by Rice Bran Oil as Source of γ-Oryzanol」(訳:γ-オリザノール源としての米ぬか油による亜麻仁油の安定性の向上)に関して、おおむね次の事項が記載されている。なお、甲1は外国語文献のため訳文のみを摘記した。下線は予め付されたものと当審で付したものである。他の証拠についても同様。 ・「要約 背景と目的:米ぬか油(RBO)と亜麻仁油(FSO)は、人間の栄養において重要な役割を果たす植物油である。RBOには、米の内殻と種子から抽出されるγ-オリザノールが非常に豊富に含まれている。γ-オリザノールは、RBOに含まれる天然の抗酸化化合物の混合物である。したがって、現在の研究は、合成酸化防止剤を使用せずにバージン亜麻仁油(FSO)の酸化安定性を改善するために米ぬか油(RBO)を使用する可能性を目的としていた。 材料と方法:米ぬか油(RBO)が、合成酸化防止剤として200ppmのBHTを含むFSOと比較して、500、1000、および1500ppmでFSOに添加された。 結果:結果は、RBOの使用が酸化に対する抵抗力の増加につながり、FSOサンプルヘのRBO添加量の増加に伴って増加することを示した。FSRB1、FSRB2およびFSRB3ではそれぞれ7.36、8.50、および10.15時間を記録した。一方、FSBHT(BHTを含むFSOサンプル)は8.40時間を記録した。 結論:本研究では、γ-オリザノールの供給源としてRBOをさまざまな食品に添加すると、酸化安定性が高まり、食品の栄養価と健康価値が高まることが推奨された。」(第698ページ要約) ・「結果と考察 物理的および化学的特性:本研究のRBOには500.069mgkg-1(5000.69ppm)のγ-オリザノールが含まれている。したがって、それは抗酸化物質の供給源として使用され、1リットルのFSOに対するRBO(それぞれ100、200、および300g)に相当するレベル(500、1000、および1500ppm)の割合でFSOにそれぞれ添加された。」(第700ページ左欄第29ないし46行) ・「周囲温度(25±5℃)で6か月間保管した場合の過酸化物価の変化:(中略)オイル中の過酸化物価が低いほど、オイルの品質が向上する。今回の研究は、純粋なオイル(FSOおよびRBO)と、周囲温度(25±5℃)で保存されたさまざまな比率のRBOを添加した後のFSOサンプルの過酸化物価の評価である(図2)。 25士5℃で6か月間保管した場合の過酸化物価のRBOとFSOの間に有意な差(p<0.05)があることに注目できる。これは、FSOにおけるより高い不飽和度、特にα-リノレン酸の割合が高い(58.29%)ためである可能性がある。一方、RBOは、天然の抗酸化物質としてγ-オリザノールが存在するため安定している。」(第702ページ左欄第1ないし18行) ・「異なる比率のRBO500、1000、1500ppm(それぞれFSRB1、FSRB2、およびFSRB3)を含むオイルサンプルの過酸化物価は、周囲温度(25士5℃)で最長6か月間保管されたところ、保管期間の延長とともに改善が見られた。異なる比率のRBOを含むFSOサンプルでは、過酸化物価の安定した増加が観察され、FSRB1、FSRB2、およびFSRB3サンプルはそれぞれ、初期0.75、0.76および0.77meqO2kg-1オイルを記録し、保管期間の終わりには11.05、9.10および8.23meqO2kg-1オイルを記録した。FSBHTが初期0.72を記録し、保管期間の終わりには9.47meqO2kg-1オイルを記録した。新鮮な油は、通常、過酸化物価が10meqO2kg-1オイル未満であり、過酸化物価が20meqO2kg-1オイルを超えると、悪臭が感じられ始めることがよくある。最大6か月の保管まで過酸化物価は徐々に増加するが、γ-オリザノールの存在により、異なる比率のRBOを含むオイルサンプルでは過酸化物価が指定された制限を超えることはなかった。」(第702ページ右欄第5ないし21行) ・「 [図:0001419331000001.jpg] [図:0001419331000002.jpg] 」(第702ページの図2及び3) ・「25士5℃で6か月間保管した場合のp-アニシジン価の変化:p-アニシジン価テストは、高不飽和油の品質を評価するのに役立つ。これは、ヒドロペルオキシドの分解によりアルデヒドが形成されるときに起こる酸化の第2段階を評価するための重要な品質指標である。これにより、油に悪臭が発生する。p-アニシジン価が低いほど、オイルの品質が向上する。純粋な油サンプル(RBOおよびFSO)とRBOサンプルを含むFSOの初期および保管中のp-アニシジン価を測定し、得られた値を図3に示した。 25士5℃で6か月まで保存され、p-アニシジン価の有意な増加(p<0.05)が記録されたことが注目された。しかし、RBOおよびFSRB1、FSRB2およびFSRB3の場合、25土5℃で6か月間保存すると、p-アニシジン価の変化率の増加率が減少し、これは、RBOの存在による酸化安定性の増加を示している。RBOにはγ-オリザノールと天然の抗酸化物質が豊富に含まれている。 周囲温度(25土5℃)で最長6か月間保存したp-アニシジンFSRBl、FSRB2、およびFSRB3サンプルの着実な増加が観察され、FSRBI、FSRB2、およびFSRB3サンプルではそれぞれ、初期値は0.14、0.17、および0.19を記録し、保存期間の終わりには6.65、4.49、および3.21を記録した。一方、FSBHTは最初に0.10を記録し、保管期間の終わりには5.61を記録した。 通常、RBOは、γ-オリザノール、トコトリエノール、トコフェロールなどの天然抗酸化物質を多く含むため、安定している。逆に、FSO、特にオメガ3脂肪酸では不飽和度が高くなる。これは、保管期間中のFSO内の脂肪酸の分解に起因すると考えられる。この研究から、FSOへのRBOの添加は、FSO中の不飽和脂肪酸の分解に予防効果を与えていることがわかった。」(第703ページ左欄第1ないし34行) イ 甲1に記載された発明 甲1に記載された事項を、特に下線が付された記載事項に関して整理すると、甲1には次の発明(以下、順に「甲1物発明」及び「甲1方法発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1物発明> 「1リットルの亜麻仁油(FSO)に対する米ぬか油(RBO)それぞれ100、200、および300gに相当するレベルの割合で、γ-オリザノールが5000.69ppmの割合で含まれている米ぬか油(RBO)が添加された亜麻仁油(FSO)。」 <甲1方法発明> 「亜麻仁油(FSO)の酸化安定性を改善するために、1リットルの亜麻仁油(FSO)に対する米ぬか油(RBO)それぞれ100、200、および300gに相当するレベルの割合で、米ぬか油(RBO)を添加する方法。」 (2)甲3に記載された事項等 ア 甲3に記載された事項 甲3には、「脂肪酸バランスのよい食用油の製造法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。 ・「2.特許請求の範囲 1 胚芽油20%~70%および種実油30%~80%を三種類以上添加することを特徴とした脂肪酸バランスのよい食用油の製造法 2 胚芽油をコーン油15%~65%又は米油5%~30%とした特許請求の範囲第1項記載の脂肪酸バランスのよい食用油の製造法 3 種実油は大豆油10%~50%、綿実油10%~50%、菜種油10%~50%、ひまわり油1%~5%、サフラワー油1%~5%、オリーブ油1%~5%又は胡麻油1%~30%とした特許請求の範囲第1項記載の脂肪酸バランスのよい食用油の製造法」(第1ページ左下欄第4ないし15行) ・「またこの発明により得た天ぷら油の好適な配合は下記の通りである。 胚芽油として コーン油 0%~20% 米 油 5%~20% 種実油として 菜種油 10%~50% 大豆油 10%~50% ひまわり油 1%~5% サフラワー油 1%~5% 胡麻油 1%~30%」(第2ページ右下欄第1ないし11行) ・「実施例1 コーン油60kg、綿実油20kg、米油10kg、ひまわり油5kg、菜種油10kg、サフラワー油3kgおよびオリーブ油2kgを混合機で均一に混合した所、風味面および栄養面においで好ましいサラダ油が得られた。 実施例2 菜種油50kg、米油20kg、大豆油15kg、ひまわり油5kg、サフラワー油5kgおよび胡麻油5kgを混合機により均一に混合した所、風味面および安定面で優れた天ぷら油を得た。」(第3ページ右上欄下から2行ないし左下欄末行) イ 甲3に記載された発明 甲3に記載された事項を、特に特許請求の範囲に関して整理すると、甲3には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認める。 <甲3発明> 「胚芽油として、コーン油15%~65%又は米油5%~30%、種実油として、大豆油10%~50%、綿実油10%~50%、菜種油10%~50%、ひまわり油1%~5%、サフラワー油1%~5%、オリーブ油1%~5%又は胡麻油1%~30%、を添加した食用油。」 (3)甲4に記載された事項等 ア 甲4に記載された事項 甲4には、「レシチンを含む食用油およびその利用」に関して、おおむね次の事項が記載されている。 ・「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、菜種油およびレシチンを含む食用油、とりわけ、各種食品、特に、製菓用のスプレー油(油脂)として好適であり、また、良好な流動性と改善された酸化安定性を備え、かつ風味が豊かな新規の食用油とその利用に関する。」 ・「【0011】すなわち、本発明の要旨とするところは、菜種油およびレシチンを含む食用油であって、特に、キャノーラ(Canola)種に属する菜種種子から得られた菜種油、すなわち、その全脂肪酸組成が、約70重量%以上、好ましくは約70重量%~約85重量%のオレイン酸と、約5重量%以下、好ましくは0.5重量%~約5重量%、さらに好ましくは0.5重量%~約3重量%のリノレン酸を含む菜種油を利用した食用油にある。 なお、この脂肪酸組成での重量%表示は、該菜種油を構成する全脂肪酸の重量に基づいて得た数値である。 また、本発明の好ましい実施態様によれば、該菜種油の全脂肪酸組成は、約5重量%以下、好ましくは、約1重量%~約5重量%のパルミチン酸をさらに含む。」 ・「【0080】並行して、各サンプル油の光酸化安定性を決定すべく、いずれか一つのサンプル油がスプレーされた5つのスナック生地(各100g)を、透明な袋に個別に入れて、すべての袋を、25℃に保たれた室内で、蛍光灯下に置き、1000ルクスの光を照射し続けた。 そして、各スナック生地の過酸化物価を、経日的に、測定した。また、熟練したパネラー8名によって各スナック生地の風味について官能評価を行った。 風味の評価方法は、4段階(++:良好な風味、+:風味やや低下、-:風味低下、×:変敗臭発生)で評価して、その平均的な意見をとりまとめた。また、過酸化物価(meq/kg)が、30meq/kgになるまでに要する日数(POV30)も測定した。 これら過酸化物価の測定値と官能評価の結果を、以下の表3に示した。」 ・「【0087】実施例4:植物油の利用 H.O.L.L.キャノーラ油、市販米油、それに市販レシチンとを、表4に記載の重量比率で混合して5種類の本発明の食用油(食用油7~11:各2kg)を調製した。各食用油に関するCDM値を、油脂の加熱温度を100℃に設定して、前出の基準油脂分析法に従って測定した。 【0088】次に、小麦粉を原料としたスナック生地(100個;各100g)を準備し、これらを、90℃で、1時間かけて乾燥した。 これら乾燥スナック生地の各々に、5種類のサンプル油のいずれか一つを塗布(スプレー)した。 なお、油脂の塗布量は、乾燥スナック生地重量の15重量%の量とした。 同時に、熟練したパネラー7名によって、得られたスナック菓子の風味について官能評価を行った。 風味の評価方法は、各スナック菓子にて、米油の風味を感じなかった人数(判定者数)を出した。 つまり、判定者数が多いほど、風味がより淡白であることを意味している。 CDM値(hr)の測定値と官能評価の結果を、以下の表4に示した。 【0089】 【表4】 [図:0001419331000003.jpg] 」 ・「【0091】さらに、H.O.L.L.キャノーラ油:市販米油:レシチン=50:49:1の重量比率で配合した食用油9と、市販米油:レシチン=99:1の重量比率で配合した対照の食用油(対照油)とを準備した。 そして、小麦粉を原料としたスナック生地(100個;各100g)を、90℃で、1時間かけて乾燥して得た乾燥スナック生地に、食用油9または対照油のいずれか一方を塗布(スプレー)した。 そして、各スナック生地の風味について12名の熟練したパネラーに官能評価を行ってもらい、良好な風味を呈するスナック生地を選択してもらった。 その結果、食用油9を塗布したスナック生地を選択したパネラーが7名、対照油を塗布したスナック生地を選択したパネラーが5名であった。 このように、本発明の食用油にH.O.L.L.キャノーラ油を組み込むことによって、食品の風味改善が認められた。」 ・「【0095】本発明油2または対照油5のいずれか一方がスプレーされた各スナック生地(各100g)を、1000ml容ビーカーに個別に入れて、55℃に設定された暗所に置いた。そして、各スナック生地の過酸化物価を、経日的に、測定した。 併せて、熟練したパネラー8名によって各スナック生地の風味について官能評価を行った。風味の評価方法を、4段階(++:良好な風味、+:風味やや低下、-:風味低下、×:変敗臭発生)で評価して、その平均的な意見をとりまとめた。 また、過酸化物価(meq/kg)が、30meq/kgになるまでに要する日数(POV30)も測定した。」 イ 甲4に記載された発明 甲4に記載された事項を、特に実施例4の食用油7ないし11に関して整理すると、甲4には次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認める。 <甲4発明> 「キャノーラ油、米油及びレシチンが、90:9:1、70:29:1、50:49:1、30:69:1又は10:89:1の比率で配合された食用油。」 2 取消理由1(甲1に基づく進歩性)について (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1物発明を対比する。 甲1物発明における「米ぬか油(RBO)」は本件特許発明1における「米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)」に相当する。 甲1物発明における「米ぬか油(RBO)」が添加される前の「亜麻仁油(FSO)」は本件特許発明1における「亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である」「油脂(B)以外の油脂(A)」に相当する。 甲1物発明における「米ぬか油(RBO)」が添加された「亜麻仁油(FSO)」は本件特許発明1における「組成物」に相当する。 甲1物発明における「1リットルの亜麻仁油(FSO)に対する米ぬか油(RBO)それぞれ100、200、および300gに相当するレベルの割合」は、甲9を参照して密度から計算すると、本件特許発明1における「油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり」という発明特定事項の条件を満たす。 甲1によると、甲1物発明における「米ぬか油(RBO)」が添加される前の「亜麻仁油(FSO)」中のα-リノレイン酸の割合は58.29%であるから、本件特許発明1における「油脂(A)のリノレイン酸の含有量が30質量%以上であり」という発明特定事項の条件を満たす。 甲1物発明は、本件特許発明1において除かれた「亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合」の「組成物」ではないことは明らかである。 甲1によると、甲1物発明は、周囲温度(25℃±5℃)で最長6か月間の保管まで酸化安定性を改善するものであるから、本件特許発明1における「45℃以下で保存するための組成物」という発明特定事項の条件を満たす。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-1> 本件特許発明1においては、「(ただし」「γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1物発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-1について検討する。 甲1物発明は、γ-オリザノールが5000.69ppmの割合で含まれている米ぬか油(RBO)が添加されたもの、すなわち、γ-オリザノールの割合が約5.0質量%である米油を含有する組成物が添加されたものである。 そして、甲1は、γ-オリザノールが含まれた米ぬか油を用いることで、高い酸化安定性が得られることを確認した文献であるから、甲1物発明において、γ-オリザノールの含有量が少ない米ぬか油を添加すると、酸化安定性が得られなくなると当業者は考えるから、γ-オリザノールの含有量が少ない米ぬか油を添加する動機付けはあるとはいえない。 また、他の証拠にも、甲1物発明において、γ-オリザノールの含有量が少ない米ぬか油を添加する動機付けとなる記載はない。 したがって、甲1物発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明1は甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件特許発明2について ア 対比 本件特許発明2と甲1物発明を対比する。 甲1物発明における「1リットルの亜麻仁油(FSO)に対する米ぬか油(RBO)それぞれ100、200、および300gに相当するレベルの割合」は、本件特許発明2における「油脂(B)/油脂(A)(質量比)」の発明特定事項の条件を満たす。 「油脂(B)/油脂(A)(質量比)」の発明特定事項の条件以外の発明特定事項については上記(1)アと同様である。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-2> 本件特許発明2においては、「(ただし」「γ-オリザノールの含有量が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1物発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-2について検討する。 相違点1-2は相違点1-1と同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1物発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-2に係る本件特許発明2の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明2は甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明3について ア 対比 本件特許発明3と甲1物発明を対比する。 甲1物発明における「1リットルの亜麻仁油(FSO)に対する米ぬか油(RBO)それぞれ100、200、および300gに相当するレベルの割合」は、本件特許発明3における「油脂(B)/油脂(A)(質量比)」の発明特定事項の条件を満たす。 「油脂(B)/油脂(A)(質量比)」の発明特定事項の条件以外の発明特定事項については上記(1)アと同様である。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)とを含有する、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、組成物(ただし、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-3> 本件特許発明3においては、「(ただし」「γ-オリザノールの含有量が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1物発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-3について検討する。 相違点1-3は相違点1-1と同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1物発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-3に係る本件特許発明3の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明3は甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件特許発明4ないし6について 本件特許発明4ないし6は、それぞれ本件特許発明1ないし3から「45℃以下で保存するための」という発明特定事項を除いたものに相当する。 本件特許発明4ないし6のいずれかと甲1物発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点1-4> 本件特許発明4ないし6のいずれかにおいては、「(ただし」「γ-オリザノールの含有量が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1物発明においては、そのようには特定されていない点。 そして、相違点1-4は相違点1-1と同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1物発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-4に係る本件特許発明4ないし6のいずれかの発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明4ないし6のいずれも甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明7について 本件特許発明7は、本件特許発明1から「45℃以下で保存するための」及び「油脂(A)のリノレイン酸の含有量が30質量%以上であり」という発明特定事項を除いた上で、「油脂(B)」を「米油」に限定し、「菜種油、大豆油及びコーン油のいずれも含有しない」という発明特定事項を加えたものに相当する。 そして、甲1物発明が本件特許発明7における「菜種油、大豆油及びコーン油のいずれも含有しない」という発明特定事項の条件を満足することは明らかである。 本件特許発明7と甲1物発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外には相違点はない。 <相違点1-7> 本件特許発明7においては、「(ただし」「γ-オリザノールの含有量が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1物発明においては、そのようには特定されていない点。 そして、相違点1-7は相違点1-1と同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1物発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-7に係る本件特許発明7の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明7は甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6)本件特許発明10ないし12について 本件特許発明10ないし12のいずれかと甲1物発明を対比する。 甲1に記載された事項によると、甲1物発明は、周囲温度(25℃±5℃)で最長6か月間の保管まで酸化安定性を改善するものであるから、「保存安定性向上剤」であるといえる。 また、「保存安定性向上剤」以外の発明特定事項については上記(1)アないし(3)アと同様である。 したがって、両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点1-10> 本件特許発明10ないし12のいずれかにおいては、「(ただし」「γ-オリザノールの含有量が0.3質量%以上である米油を含有する組成物に使用する場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1物発明においては、そのようには特定されていない点。 そして、相違点1-10は相違点1-1と実質的に同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1物発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-10に係る本件特許発明10ないし12のいずれかの発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明10ないし12のいずれも甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (7)本件特許発明13ないし16及び26について 本件特許発明13ないし16及び26は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (8)本件特許発明17について ア 対比 本件特許発明17と甲1方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1物発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合及び油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-17> 本件特許発明17においては、「(ただし、組成物が」「γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1方法発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-17について検討するに、相違点1-17は相違点1-1と実質的に同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-17に係る本件特許発明17の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明17は甲1方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (9)本件特許発明18について ア 対比 本件特許発明18と甲1方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明2と甲1物発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~2/8であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、亜麻仁油/米油/菜種油を50/10/40(質量比)の割合で含む組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-18> 本件特許発明18においては、「(ただし、組成物が」「γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1方法発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-18について検討するに、相違点1-18は相違点1-2と実質的に同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-18に係る本件特許発明18の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明18は甲1方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (10)本件特許発明19について ア 対比 本件特許発明19と甲1方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明3と甲1物発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油、パーム油、及びこれらの混合物から選ばれる油脂(B)と、油脂(B)以外の油脂(A)を含む組成物を、45℃以下で保存する方法であり、油脂(A)のリノレン酸の含有量が30質量%以上であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が2/8~3/7であり、油脂(A)が、亜麻仁油及び荏胡麻油から選択される少なくとも一種である、方法(ただし、組成物が、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が3/7の組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-19> 本件特許発明19においては、「(ただし、組成物が」「γ-オリザノールの割合が0.3質量%以上である米油を含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1方法発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-19について検討するに、相違点1-19は相違点1-3と実質的に同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-19に係る本件特許発明19の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明19は甲1方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (11)本件特許発明20ないし22について 本件特許発明20ないし22のいずれかと甲1方法発明を対比する。 甲1に記載された事項によると、甲1方法発明は、周囲温度(25℃±5℃)で最長6か月間の保管まで酸化安定性を改善するものであるから、「保存安定性向上方法」であるといえる。 また、「保存安定性向上方法」以外の発明特定事項については上記(8)アないし(10)アと同様である。 したがって、両者は次の点で相違し、それ以外には相違点はない。 <相違点1-20> 本件特許発明20ないし22のいずれかにおいては、「(ただし、混合する工程において」「γ-オリザノールの含有量が0.3質量%以上である米油を混合する場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1方法発明においては、そのようには特定されていない点。 そして、相違点1-20は相違点1-1と実質的に同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-20に係る本件特許発明20ないし22のいずれかの発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明20ないし22のいずれも甲1方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (12)本件特許発明23ないし25について 本件特許発明23ないし25のいずれかと甲1方法発明を対比する。 甲1に記載された事項によると、甲1方法発明は、悪臭の原因であるアニシジンの形成を抑制するものであるから、「風味劣化抑制方法」であるといえる。 また、「風味劣化抑制方法」以外の発明特定事項については上記(8)アないし(10)アと同様である。 したがって、両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点1-23> 本件特許発明23ないし25のいずれかにおいては、「(ただし、混合する工程において」「γ-オリザノールの含有量が0.3質量%以上である米油を混合する場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲1方法発明においては、そのようには特定されていない点。 そして、相違点1-23は相違点1-1と実質的に同じであるから、その判断も同じである。 すなわち、甲1方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-23に係る本件特許発明23ないし25のいずれかの発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明23ないし25のいずれも甲1方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (13)本件特許発明27について 本件特許発明27は、請求項17ないし25のいずれかの記載を引用して特定するものであり、本件特許発明17ないし25のいずれかの発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明17ないし25と同様に、甲1方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (14)取消理由1についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし7及び10ないし27は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし7及び10ないし27に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取消理由1によっては取り消すことはできない。 3 取消理由2(甲3に基づく新規性・進歩性)について (1)対比 本件特許発明8と甲3発明を対比する。 甲3発明における「米油」は本件特許発明8における「米油である油脂(B)」に相当する。 甲3発明における「大豆油」及び「菜種油」は本件特許発明8における「菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)」に相当する。 甲3発明における「食用油」は本件特許発明8における「組成物」に相当する。 甲3発明は、「胚芽油として、コーン油15%~65%又は米油5%~30%、種実油として、大豆油10%~50%、綿実油10%~50%、菜種油10%~50%、ひまわり油1%~5%、サフラワー油1%~5%、オリーブ油1%~5%又は胡麻油1%~30%、を添加し」て得たものであり、ヨウ素価150以上の油脂を使用していないから、本件特許発明8における「ヨウ素価150以上の油脂を含有しない」という発明特定事項の条件を満たす。 甲3発明は、当然、「45℃以下で保存するための組成物」という発明特定事項の条件を満たす。 甲3発明における「米油」、「大豆油」及び「菜種油」の添加される割合からみて、甲3発明は、本件特許発明8における「油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7」という発明特定事項の条件を満たす。 甲3発明は、本件特許発明8において除かれた「大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合」、「全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合」、「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」及び「パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合」の「組成物」に限られないことは明らかである。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である組成物(ただし、大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合、 全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合、 米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合、及び パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点3-8> 本件特許発明8においては「(ただし、」「胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲3発明においてはそのようには特定されていない点。 (2)判断 したがって、本件特許発明3は甲3発明であるとはいえない。 また、甲3には、甲3発明において、相違点3-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲3発明において、相違点3-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明8は甲3発明並びに甲3及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)取消理由2についてのむすび したがって、本件特許発明8は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとも、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取消理由2によっては取り消すことはできない。 4 取消理由3(甲4に基づく進歩性)について (1)対比 本件特許発明8と甲4発明を対比する。 甲4発明における「米油」は本件特許発明8における「米油である油脂(B)」に相当する。 甲4発明における「キャノーラ油」は本件特許発明8における「菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)」に相当する。 甲4発明における「食用油」は本件特許発明8における「組成物」に相当する。 甲4発明は、「キャノーラ油、米油及びレシチンが、90:9:1、70:29:1、50:49:1、30:69:1又は10:89:1の比率で配合」されたものであり、ヨウ素価150以上の油脂を使用していないから、本件特許発明8における「ヨウ素価150以上の油脂を含有しない」という発明特定事項の条件を満たす。 甲4発明は、当然、「45℃以下で保存するための組成物」という発明特定事項の条件を満たす。 甲4発明における「米油」及び「キャノーラ油」の比率からみて、甲4発明は、本件特許発明8における「油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7」という発明特定事項の条件を満たす。 甲4発明は、本件特許発明8において除かれた「大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合」、「胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合」、「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」、「パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合」の「組成物」に限られないことは明らかである。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「米油である油脂(B)と、菜種油及び大豆油から選ばれる少なくとも一種である油脂(A)とを含有し、ヨウ素価150以上の油脂を含有しない、45℃以下で保存するための組成物であり、油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~9/1である組成物(ただし、大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合、 胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合、 米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合、及び パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点4-8> 本件特許発明8においては、「(ただし」「全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲4発明においては、そのようには特定されていない点。 (2)判断 甲4には、甲4発明において、相違点4-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲4発明において、相違点4-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明8は甲4発明並びに甲4及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)取消理由3についてのむすび したがって、本件特許発明8は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取消理由3によっては取り消すことはできない。 第7 取消理由(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由について 取消理由(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由は次のとおりである。 ・申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)のうちの甲1に基づく新規性(対象:請求項1ないし7及び10ないし27) ・申立理由2(甲2ないし8のいずれかに基づく新規性・進歩性)のうちの甲2に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9) ・申立理由2のうちの甲3に基づく新規性・進歩性(対象:請求項9) ・申立理由2のうちの甲4に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9)のうち請求項8に対する新規性及び請求項9に対する新規性・進歩性 ・申立理由2のうちの甲5に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9) ・申立理由2のうちの甲6に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9) ・申立理由2のうちの甲7に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9) ・申立理由2のうちの甲8に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9) 以下、順に検討する。 1 申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)のうちの甲1に基づく新規性(対象:請求項1ないし7及び10ないし27)について 本件特許発明1ないし7及び10ないし27のいずれかと甲1物発明又は甲1方法発明を対比するに、両者の間には、上記第6 2(1)ないし(13)で示したとおりの相違点がある。 したがって、本件特許発明1ないし7及び10ないし27のいずれも甲1物発明又は甲1方法発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし7及び10ないし27に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由1のうちの甲1に基づく新規性によっては取り消すことはできない。 2 申立理由2(甲2ないし8のいずれかに基づく新規性・進歩性)のうちの甲2に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9)について (1)甲2に記載された発明 甲2に記載された事項を、特に特許請求の範囲及び例1に関して整理すると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 <甲2発明> 「精製脱臭大豆油に物理精製米ぬか油(PRRBO)を10%又は20%ブレンドして得た安定化食用油組成物。」 (2)本件特許発明8について ア 対比 本件特許発明8と甲2発明を対比する。 両者は少なくとも次の点で相違し、それ以外には相違点はない。 <相違点2-8> 本件特許発明8においては、「(ただし」「大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲2発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明8は甲2発明であるとはいえない。 また、甲2には、甲2発明において、相違点2-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲2発明において、相違点2-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明8は甲2発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲2発明を対比する。 両者は少なくとも次の点で相違し、それ以外には相違点はない。 <相違点2-9> 本件特許発明9においては、「(ただし」「大豆油に、米油を10%又は20%ブレンドした組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲2発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明9は甲2発明であるとはいえない。 また、甲2には、甲2発明において、相違点2-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲2発明において、相違点2-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は甲2発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由2のうちの甲2に基づく新規性・進歩性についてのむすび したがって、本件特許発明8及び9は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとも、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項8及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由2のうちの甲2に基づく新規性・進歩性によっては取り消すことはできない。 3 申立理由2のうちの甲3に基づく新規性・進歩性(対象:請求項9)について (1)甲3に記載された発明 甲3には、上記第6 1(2)イで示したとおりの甲3発明が記載されていると認める。 (2)対比 本件特許発明9と甲3発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点3-9> 本件特許発明9においては「(ただし、」「胚芽油20~70%及び種実油30~80%を三種類以上含有する組成物であって、胚芽油として米油5~30%、種実油として大豆油10~50%又は菜種油10~50%を含む組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲3発明においてはそのようには特定されていない点。 (3)判断 したがって、本件特許発明9は甲3発明であるとはいえない。 また、甲3には、甲3発明において、相違点3-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲3発明において、相違点3-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は甲3発明並びに甲3及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由2のうちの甲3に基づく新規性・進歩性についてのむすび したがって、本件特許発明9は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとも、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由2のうちの甲3に基づく新規性・進歩性によっては取り消すことはできない。 4 申立理由2のうちの甲4に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9)のうち請求項8に対する新規性及び請求項9に対する新規性・進歩性について (1)甲4に記載された発明 甲4には、上記第6 1(3)イで示したとおりの甲4発明が記載されていると認める。 (2)本件特許発明8について 本件特許発明8と甲4発明を対比する。 両者の間には上記第6 4(1)で示したとおりの相違点4-8があるから、本件特許発明8は甲4発明であるとはいえない。 (3)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲4発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点4-9> 本件特許発明9においては、「(ただし」「全脂肪酸組成が70~85重量%のオレイン酸及び0.5~5重量%のリノレン酸を含むキャノーラ油、及びレシチンを含有する組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲4発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明9は甲4発明であるとはいえない。 また、甲4には、甲4発明において、相違点4-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲4発明において、相違点4-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は甲4発明並びに甲4及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由2のうちの甲4に基づく新規性・進歩性のうち請求項8に対する新規性及び請求項9に対する新規性・進歩性についてのむすび したがって、本件特許発明8及び9は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえず、本件特許発明9は同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項8及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由2のうちの甲4に基づく新規性・進歩性のうち請求項8に対する新規性及び請求項9に対する新規性・進歩性によっては取り消すことはできない。 5 申立理由2のうちの甲5に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9)について (1)甲5に記載された発明 甲5に記載された事項を、特に実施例5に関して整理すると、甲5には次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認める。 <甲5発明> 「米油(オリザノール1.5%含有品)350gに菜種油350gを混合したフライ油。」 (2)本件特許発明8について ア 対比 本件特許発明8と甲5発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点5-8a> 本件特許発明8においては、「油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である」と特定されているのに対し、甲5発明においては、そのようには特定されていない点。 <相違点5-8b> 本件特許発明8においては、「(ただし」「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲5発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明8は甲5発明であるとはいえない。 また、甲5には、甲5発明において、相違点5-8a及び5-8bに係る本件特許発明8の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲5発明において、相違点5-8a及び5-8bに係る本件特許発明8の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明8は甲5発明並びに甲5及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲5発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点5-9> 本件特許発明9においては、「(ただし」「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲5発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明9は甲5発明であるとはいえない。 また、甲5には、甲5発明において、相違点5-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲5発明において、相違点5-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は甲5発明並びに甲5及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由2のうちの甲5に基づく新規性・進歩性についてのむすび したがって、本件特許発明8及び9は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとも、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項8及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由2のうちの甲5に基づく新規性・進歩性によっては取り消すことはできない。 6 申立理由2のうちの甲6に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9)について (1)甲6に記載された発明 甲6に記載された事項を、特に請求項3に関して整理すると、甲6には次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認める。 <甲6発明> 「精製米油および菜種油との配合比率が、精製米油:菜種油=20:80~80:20の重量比率である配合食用油。」 (2)本件特許発明8について ア 対比 本件特許発明8と甲6発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点6-8> 本件特許発明8においては、「(ただし」「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲6発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明8は甲6発明であるとはいえない。 また、甲6には、甲6発明において、相違点6-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲6発明において、相違点6-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明8は甲6発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲6発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点6-9> 本件特許発明9においては、「(ただし」「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲6発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明9は甲6発明であるとはいえない。 また、甲6には、甲6発明において、相違点6-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲6発明において、相違点6-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は甲6発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由2のうちの甲6に基づく新規性・進歩性についてのむすび したがって、本件特許発明8及び9は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとも、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項8及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由2のうちの甲6に基づく新規性・進歩性によっては取り消すことはできない。 7 申立理由2のうちの甲7に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9)について (1)甲7に記載された発明 甲7に記載された事項を、特に表1の実施例8に関して整理すると、甲7には次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されていると認める。 <甲7発明> 「米油40%、ナタネ油50%、パーム分別ステアリン8%及びハイエルシン酸ナタネ極度硬化油1%を配合した油脂組成物。」 (2)本件特許発明8について ア 対比 本件特許発明8と甲7発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点7-8a> 本件特許発明8においては、「油脂(B)/油脂(A)(質量比)が1/9~3/7である」と特定されているのに対し、甲7発明においては、そのようには特定されていない点。 <相違点7-8b> 本件特許発明8においては、「(ただし」「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲7発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明8は甲7発明であるとはいえない。 また、甲7には、甲7発明において、相違点7-8a及び7-8bに係る本件特許発明8の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲7発明において、相違点7-8a及び7-8bに係る本件特許発明8の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明8は甲7発明並びに甲7及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲7発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点7-9> 本件特許発明9においては、「(ただし」「米油/菜種油(質量比)が20/80~80/20の組成物である場合」「を除く)」と特定されているのに対し、甲7発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明9は甲7発明であるとはいえない。 また、甲7には、甲7発明において、相違点7-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲7発明において、相違点7-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は甲7発明並びに甲7及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由2のうちの甲7に基づく新規性・進歩性についてのむすび したがって、本件特許発明8及び9は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとも、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項8及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由2のうちの甲7に基づく新規性・進歩性によっては取り消すことはできない。 8 申立理由2のうちの甲8に基づく新規性・進歩性(対象:請求項8及び9)について (1)甲8に記載された発明 甲8に記載された事項を、特に実施例8ないし10に関して整理すると、甲8には次の発明(以下、「甲8発明」という。)が記載されていると認める。 <甲8発明> 「パーム油30質量%、大豆油50質量%、米油10質量%及び菜種部分水素添加油10質量%を配合した油脂、パーム油50質量%、大豆油30質量%、米油10質量%及び菜種部分水素添加油10質量%を配合した油脂又はパーム油70質量%、大豆油10質量%、米油10質量%及び菜種部分水素添加油10質量%を配合した油脂。」 (2)本件特許発明8について ア 対比 本件特許発明8と甲8発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点8-8> 本件特許発明8においては、「(ただし」「パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)」と特定されているのに対し、甲8発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明8は甲8発明であるとはいえない。 また、甲8には、甲8発明において、相違点8-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲8発明において、相違点8-8に係る本件特許発明8の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明8は甲8発明並びに甲8及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲8発明を対比する。 両者は次の点で相違し、それ以外は一致する。 <相違点8-9> 本件特許発明9においては、「(ただし」「パーム油、大豆油、米油及び菜種部分水素添加油を含有する組成物である場合を除く)」と特定されているのに対し、甲8発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 したがって、本件特許発明9は甲8発明であるとはいえない。 また、甲8には、甲8発明において、相違点8-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はなく、他の証拠にもない。 したがって、甲8発明において、相違点8-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明9は甲8発明並びに甲8及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立理由2のうちの甲8に基づく新規性・進歩性についてのむすび したがって、本件特許発明8及び9は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとも、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項8及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由2のうちの甲8に基づく新規性・進歩性によっては取り消すことはできない。 第8 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、令和6年5月22日に提出された意見書において、請求項8及び9についての訂正は新規事項の追加に該当するか、訂正後の請求項8及び9の記載は明確性要件違反に該当する旨主張し(上記意見書第7ページ)、また、本件特許発明1ないし7及び10ないし27は甲1に記載された発明により新規性又は進歩性を有さず、本件特許発明8及び9は甲2、4、6及び8に記載された発明により新規性・進歩性を有さないものである旨主張する(上記意見書第2ないし9ページ)。 そこで、特許異議申立人の上記主張について検討する。 本件訂正が新規事項を追加するものではないことは、上記第2 2で示したとおりである。 また、本件訂正後の請求項8及び9の記載自体は明確であり、発明の詳細な説明の記載とも整合するから、明確性要件違反に該当しないことは明らかである。 さらに、本件特許発明1ないし7及び10ないし27が甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるともいえないことは、上記第7 1及び第6 2において示したとおりであり、本件特許発明8及び9が、甲2、4、6又は8に記載された発明であるとはいえず、甲2、4、6又は8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるともいえないことは、上記第7 2、4、6及び8において示したとおりである。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 第9 結語 上記第6ないし8のとおり、本件特許の請求項1ないし27に係る特許は、取消理由(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701225

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