特許異議申立
2023-701183
取り付け構造、表示装置、及び、照明装置
- 審判番号
- 2023-701183
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-137547
- 登録番号
- 7269125
- 請求日
- 2023年11月08日
- 審決日
- 2025年03月11日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【異議申立人】芦塚 和昭
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 高橋 学
- 審判官 澤崎 雅彦
- 分類
- P1651.113-ZDA(F21S) / P1651.121-ZDA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7269125号発明「取り付け構造、表示装置、及び、照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7269125号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1、6、7〕について訂正することを認める。
特許第7269125号の請求項1、6、7に係る特許を取り消す。
同請求項2~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7269125号の請求項1~7に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和元年7月26日(優先権主張 平成31年1月25日)の出願であって、令和5年4月25日にその特許権の設定登録がされ、同年5月8日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人芦塚和昭(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年11月 8日 特許異議の申立て(請求項1~請求項7)
令和6年 1月22日付け 取消理由通知
同年 3月 7日 特許権者より意見書・訂正請求書
同年 4月26日 申立人より意見書
同年 8月19日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年10月15日 特許権者より意見書・訂正請求書
同年11月29日 申立人より意見書
なお、令和6年3月7日にされた訂正の請求は、同年10月15日に新たな訂正の請求がされたことにより取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年10月15日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(2)のとおりである(当審注:下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、
前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けている取り付け構造。」
との記載を、
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部と、前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部とを有するコントロールユニットと
を備え、
前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、
前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けており、
前記コントロールユニットは、前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける取り付け構造。」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6の
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、内部に複数のモニタを有し、
前記アクセス部は、前記複数のモニタを外部から視認させる複数のモニタ穴を有し、
前記複数のモニタ穴の形状が長円状であり、
前記複数のモニタ穴は、長円状の穴の長径が平行になり長円状の穴の短径が直線上になるように形成されている取り付け構造。」
との記載を、
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部と、前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部とを有するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、内部に複数のモニタを有し、
前記アクセス部は、前記複数のモニタを外部から視認させる複数のモニタ穴を有し、
前記複数のモニタ穴の形状が長円状であり、
前記複数のモニタ穴は、長円状の穴の長径が平行になり長円状の穴の短径が直線上になるように形成されており、
前記コントロールユニットは、前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける取り付け構造。」
に訂正する。
請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1(及び請求項1を引用する請求項7)の「コントロールユニット」に関し、「前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部」を有すること及び「前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける」ことを追記して構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
次に、訂正事項1は、願書に添付した明細書中の段落【0010】の「本体2は、コントロールユニット4及び蓄電池5を収納する。」との記載及び段落【0048】の「(コントロールユニット4:電池取付構造(単4形電池側))ユニットケース41は、点検スイッチ部48に対向する面(上面)に、電池保持部414を有している。電池保持部414は、基板42の基板面に対し、蓄電池5を垂直方向に着脱可能としている。電池保持部414は、蓄電池5の周囲四面を囲う壁状部4142からなっており、着脱方向の二面が開口している。本体2にユニットケース41が取り付けられることで、電池保持部414の二面開口の一面側が本体2と近接し、一面開口の箱状となることで蓄電池5の保持が可能となる。」との記載に基づいて導き出される構成であって、何ら新たな技術的事項を導入するものでもないから、新規事項を追加するものではない。
また、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項6(及び請求項6を引用する請求項7)の記載について訂正事項1と実質的に同様の訂正を行うものであるから、上記(1)で示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、何ら新たな技術的事項を導入するものでもないから新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1、7は、請求項7が、本件訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあるから、一群の請求項である。
本件訂正前の請求項6、7は、請求項7が、本件訂正前の請求項6の記載を引用する関係にあるから、一群の請求項である。
以上の2つの一群の請求項は、共通の請求項7を有するから、これらの一群の請求項は組み合わされて1つの一群の請求項となる。
よって、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1、6、7〕について請求されたものである。
4 小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、6、7〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「 【請求項1】
本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部と、前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部とを有するコントロールユニットと
を備え、
前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、
前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けており、
前記コントロールユニットは、前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける取り付け構造。
【請求項2】
本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
基板と、
前記基板の実装面と垂直な方向に操作することで動作するスイッチと、
前記基板の実装面と平行方向に操作することで、前記スイッチを動作させるスイッチ釦とを有し、
前記アクセス部は、前記基板の実装面と平行方向に向けて前記スイッチ釦を露出させるスイッチ穴を有する取り付け構造。
【請求項3】
前記スイッチ釦は、操作部と軸部と押圧部を有しており、
前記コントロールユニットは、前記操作部が前記基板の実装面と平行方向に操作されると前記押圧部が前記基板の実装面と垂直な方向に前記スイッチを操作することができるように、前記軸部を中心として回転可能に前記スイッチ釦を取り付けている請求項2に記載の取り付け構造。
【請求項4】
前記スイッチ釦を複数連結したスイッチ釦ユニットを有する請求項2又は3に記載の取り付け構造。
【請求項5】
前記スイッチ釦ユニットは、隣接するスイッチ釦の動作を吸収する接続部を有する請求項4に記載の取り付け構造。
【請求項6】
本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部と、前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部とを有するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、内部に複数のモニタを有し、
前記アクセス部は、前記複数のモニタを外部から視認させる複数のモニタ穴を有し、
前記複数のモニタ穴の形状が長円状であり、
前記複数のモニタ穴は、長円状の穴の長径が平行になり長円状の穴の短径が直線上になるように形成されており、
前記コントロールユニットは、前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける取り付け構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の取り付け構造を有する表示装置又は照明装置。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~7に係る特許に対して令和6年8月19日付け取消理由通知書(決定の予告)により当審が通知した取消理由は、次の理由を含むものである。
[取消理由](進歩性)本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
(以下、申立人が提出した「甲第○号証」を「甲○」という。)
[申立人が提出した証拠]
・甲1:特開2013-8486号公報
・甲2:特開2009-99376号公報
・甲3:特開2013-127202号公報
・甲4:MITSUBISHI ELECTRIC 三菱照明総合カタログ 2016-2017
・甲5:TOSHIBA 施設・屋外照明 2015-2016
・甲6:Panasonic 施設・屋外・店舗照明 総合カタログ 2011-2013
・甲7:IWASAKI 施設・屋外照明 総合カタログ 2013-2014
・甲8:HITACHI 施設用照明器具 2010-2012
・甲9:特開2014-182959号公報
・甲10:登録実用新案第3094350号公報
・甲11:特開2003-203538号公報
・甲12:特開2005-5195号公報
[その他の引用文献]
・文献A:特開2008-103124(周知技術を示す文献)
・文献B:特開2010-192188(周知技術を示す文献)
[請求項に係る発明及び引用文献(証拠)との関係]
・請求項 :1、7
・引用文献:甲1、文献A、文献B
・請求項 :6、7
・引用文献:甲1、甲12、文献A、文献B
第5 取消理由についての当審の判断
1 引用文献について
1-1 甲1
(1)甲1の記載事項
甲1には以下のことが記載されている(当審注:下線は主要な記載箇所を示す。)。
ア 「【0014】
表示装置10は、本体11、光源保持部12、表示部13(表示板)、枠14を備えている。」
イ 「【0021】
本体11の内部には、電源端子台22、バッテリ23、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24、コントロールユニット25が収納されている。」
ウ 「【0027】
本体11の下面には、開口部26が設けられている。」
【0028】
点検スイッチ・下部照射用光源収納部24は、モニタランプ27~29、点検スイッチ30,31、下部照射用光源33を収容している。点検スイッチ・下部照射用光源収納部24の端部からは、モニタランプ27~29、点検スイッチ30,31、下部照射用光源33が露出している(ここで「露出している」とは外部から視認できる状態にあることをいう)。そして、当該端部には、下部照射用光源33を囲むように反射板32が設けられている。点検スイッチ・下部照射用光源収納部24は、当該端部が開口部26に嵌るように本体11の内部に収納される。即ち、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24は、モニタランプ27~29、点検スイッチ30,31、反射板32、下部照射用光源33の全てが同じ開口部26から外部を臨むように、本体11の内部に取り付けられている。このため、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24に内蔵される部品が変更となった場合においても点検スイッチ・下部照射用光源収納部24の下面部のみを変更することで対応することが可能となる。点検スイッチ・下部照射用光源収納部24は、モニタランプ27~29、点検スイッチ30,31、下部照射用光源33を収容するケースの例である。
【0029】
図5に示すように、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24には、点検スイッチ30,31、モニタランプ27~29、下部照射用光源33、反射板32のほか、点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37と下部照射用光源実装用基板38とが内蔵されている。点検スイッチ30,31は、それぞれスイッチ部30a,31aと、スイッチ部30a,31aを表示装置10の外部より押すためのボタン部30b,31bとからなる。点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37には、スイッチ部30a,31a及びモニタランプ27~29が実装される。下部照射用光源実装用基板38には、LEDである下部照射用光源33が実装される。」
エ 「【0053】
実施の形態5.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0054】
図10は、本実施の形態に係る表示装置10の本体11の内部を示す図である。
【0055】
本実施の形態では、コントロールユニット25の筐体を点検スイッチ・下部照射用光源収納部24として利用している。これにより、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24を別途設ける必要がなくなり、さらに簡単な構成とすることが可能となる。」
オ 「【図4】
[図:0001426793000001.jpg]
」
カ 「【図5】
[図:0001426793000002.jpg]
」
キ 「【図10】
[図:0001426793000003.jpg]
」
(2)甲1の認定事項
甲1の上記(1)の記載事項から以下のことが認定できる。
ア 図4、5の記載から、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24の端部は、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24の下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であることが看取される。
イ 段落【0029】の「点検スイッチ30,31は、それぞれスイッチ部30a,31aと、スイッチ部30a,31aを表示装置10の外部より押すためのボタン部30b,31bとからなる。点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37には、スイッチ部30a,31a及びモニタランプ27~29が実装される。」との記載及び図5の記載から、スイッチ部30a、31aは、前記点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37の実装面と垂直な方向に押すことで動作するように実装されており、ボタン部30b,31bは、前記実装面と垂直な方向に押すものであると理解される。
ウ 段落【0028】の「即ち、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24は、モニタランプ27~29、点検スイッチ30,31、反射板32、下部照射用光源33の全てが同じ開口部26から外部を臨むように、本体11の内部に取り付けられている。」との記載によれば、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24は、点検スイッチ30,31が開口部26から外部を臨むように本体11に取り付けられているものであり、図5の記載からは、当該点検スイッチ30,31のボタン部30b,31bが、前記実装面と垂直な方向に向けて、前記点検スイッチ・下部照射用光源収納部24の前記端部を貫通して外部に臨んでいることが看取される。
以上を踏まえれば、前記端部は、前記実装面と垂直な方向に向けて前記ボタン部30b,31bが前記開口部26から外部を臨むスイッチ用の穴を有するものと理解される。
エ 段落【0028】の「点検スイッチ・下部照射用光源収納部24の端部からは、モニタランプ27~29、点検スイッチ30,31、下部照射用光源33が露出している(ここで「露出している」とは外部から視認できる状態にあることをいう)。」との記載及び【0029】の「点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37には、スイッチ部30a,31a及びモニタランプ27~29が実装される。」との記載によれば、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24の端部は、前記点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37に実装された前記複数のモニタランプ27~29を外部から視認できる状態であり、図4の記載から、当該モニタランプ27~29は前記端部から直接視認できる状態であることが看取される。
以上を踏まえれば、前記端部は、前記複数のモニタランプ27~29を外部から視認させる複数のモニタランプ用の穴を有しているものと理解される。
また、図4の記載から、前記複数のモニタランプ用の穴は、形状が円状であり、それぞれの円状の穴の径が直線上になるように形成されているものと理解される。
オ 段落【0053】の「実施の形態5.本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。」及び段落【0055】の「本実施の形態では、コントロールユニット25の筐体を点検スイッチ・下部照射用光源収納部24として利用している。これにより、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24を別途設ける必要がなくなり、さらに簡単な構成とすることが可能となる。」との記載及び図10の記載を踏まえれば、実施の形態5の本体11及びコントロールユニット25は、上記ア~エで認定した事項も含めて、実施の形態1として段落【0026】~【0029】及び図4、5に記載された本体11及び点検スイッチ・下部照射用光源収納部24と同様の構造を備えているものと理解される。
カ 図10は、図3の「実施の形態1に係る表示装置の本体の内部構造を示す正面図」(段落【0011】参照)と同じ構図の図面であることから、図10は実施の形態5に係る表示装置の本体の内部構造を示す正面図であると認められる。
そうすると、図10の記載から、正面視において、本体11内で、点検スイッチ・下部照射用光源収納部24として利用しているコントロールユニット25の筐体の前記端部は右側に位置し、バッテリ23は左側に位置していることが看取される。
(3)甲1発明
上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項から、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。
[甲1発明1]
「下面に開口部26が設けられた本体11と、(段落【0027】、上記(2)オ)
端部からモニタランプ27~29、点検スイッチ30,31が外部から視認できる状態にあるコントロールユニット25と、
を備え、(段落【0028】、上記(2)オ)
前記端部は、前記コントロールユニット25の下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、(図4、5、上記(2)ア、オ)
前記コントロールユニット25は、前記モニタランプ27~29、前記点検スイッチ30,31が同じ前記開口部26から外部を臨み、前記端部が前記開口部26に嵌るように前記本体11の内部に収納されており、(段落【0028】、上記(2)オ)
前記本体11の内部に、バッテリ23が収容されており、(段落【0021】)
正面視において、前記本体11内で、前記端部が右側に位置し、バッテリ23が左側に位置している構造、(上記(2)カ)
を有する表示装置10。(段落【0014】、上記(2)オ)」
[甲1発明2]
「下面に開口部26が設けられた本体11と、(段落【0027】、上記(2)オ)
端部からモニタランプ27~29、点検スイッチ30,31が外部から視認できる状態にあるコントロールユニット25と、
を備え、(段落【0028】、上記(2)オ)
前記コントロールユニット25は、
点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37が内蔵されており、(段落【0029】、上記(2)オ)
前記点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37には、その実装面と垂直な方向に押すことで動作するスイッチ部30a、31aが実装されており、(段落【0029】、上記(2)イ、オ)
前記実装面と垂直な方向に押すことで、前記スイッチ部30a、31aを外部から押すためのボタン部30b,31bを有し、(段落【0029】、上記(2)イ、オ)
前記端部は、前記実装面と垂直な方向に向けて前記ボタン部30b,31bが前記開口部26から外部を臨むスイッチ用の穴を有する、(段落【0028】、図5、上記(2)ウ、オ)
表示装置10。(段落【0014】、上記(2)オ)」
[甲1発明3]
「下面に開口部26が設けられた本体11と、(段落【0027】、上記(2)オ)
端部からモニタランプ27~29、点検スイッチ30,31が外部から視認できる状態にあるコントロールユニット25と、
を備え、(段落【0028】、上記(2)オ)
前記コントロールユニット25は、複数のモニタランプ27~29を収容しており、(段落【0028】、上記(2)オ)
前記端部は、前記複数のモニタランプ27~29を外部から視認させる複数のモニタランプ用の穴を有し、(段落【0028】、【0029】、上記(2)エ、オ)
前記複数のモニタランプ用の穴は、形状が円状であり、それぞれの円状の穴の径が直線上になるように形成されており、(段落【0028】、【0029】、上記(2)エ、オ)
前記本体11の内部に、バッテリ23が収容されており、(段落【0021】)
正面視において、前記本体11内で、前記端部が右側に位置し、バッテリ23が左側に位置している構造、(上記(2)カ)
を有する表示装置10。(段落【0014】、上記(2)オ)」
1-2 甲12
(1)甲12の記載事項
甲12には以下のことが記載されている(当審注:下線は主要な記載箇所を示す。)。
ア 「【0011】
ここにおけるケース2は、斜め下向きの面に、LEDユニット6上の複数のLED5に対応した配置で複数の投光孔2aを有するとともに、正面向きの面に、点検スイッチ(後述のSW1)のボタン9用のボタン孔2bと、充電モニタ用LED5(後述のD12)用のモニタ孔2cと、ランプモニタ用LED5(後述のD16)用のモニタ孔2dとを有しており、ベース3は、そのケース2にネジ止めされるとともに、棒状のスペーサ10を介してプリント基板4と絶縁フィルム8とを支持して、そのプリント基板4を、図2に示すように客席誘導灯1が連結椅子Cの脚部フレームFの脇に設置された状態では略垂直の向きに延在させ、さらにベース3は、面ファスナ11を介して電池7を支持している。」
イ 「【図1】
[図:0001426793000004.jpg]
」
(2)甲12の認定事項
甲12の図1から、複数の投光孔2aは、各ランプモニタ用LED5に対応した配置で複数設けられた長円状の孔であり、当該複数の長円状の孔は、その長径が平行になり短径が直線上に並ぶように配置されていることが看取される。
1-3 文献A
(1)文献Aの記載事項
文献Aの段落【0039】には、
「【0039】
また、点灯ユニット17は、誘導灯本体12内に取り付けられるケース60と、このケース60に一体に設けられ誘導灯本体12のバッテリ着脱口33を通じてバッテリ15が着脱可能に収納されるバッテリ収納部61と、ケース60内に収納され、通常電源とバッテリ収納部61に収納されたバッテリ15の非常用電源とで切り換えて発光ダイオード素子48を点灯させる点灯回路62とを備えている。」
と記載されている(当審注:下線は主要な記載箇所を示す。)。
(2)文献Aの認定事項
文献Aの上記(1)の記載事項から、点灯ユニット17は、バッテリ収納部61にバッテリ15を着脱可能に収納するものであるから、バッテリ15を保持する保持部を有しているものと理解される。
1-4 文献B
(1)文献Bの記載事項
文献Bには、以下のことが記載されている(当審注:下線は主要な記載箇所を示す。)。
ア「【0021】
点灯装置7を収納する合成樹脂製の点灯装置ケース73は、図5乃至図7に示すように、全体形状が略直方体状に形成され、基板71の背の高い部品が実装された領域をカバーする第1のカバー部73aと、回路パターンのみが配線された領域をカバーする第2のカバー部73bとを備えている。したがって、第1のカバー部73aは、背の高い部品をカバーするため奥行き寸法が深い箱状をなし、第2のカバー部73bは、奥行き寸法が浅く形成されて、双方のカバー部73a、73bの背面側が開口しており、この開口から基板71が取付けられるようになっている。そして、正面視、点灯装置ケース73は、第1のカバー部73aと第2のカバー部73bとで段状をなし段差を形成している。なお、基板71に配設された基板用端子台TやコネクタCn1、Cn2は、配線のため、それぞれケース73に形成された開口Wから表出するようになっている。
【0022】
一方、第2のカバー部73bの前面側には、前記段差が形成されるに伴い収納凹部73cが形成されている。そして、この収納凹部73cの周囲には、上面壁73d、左側面壁73e、右側面壁73f、下面壁73gが包囲するように延出しており、当該収納凹部73cにバッテリ8が配設されるようになっている。さらに、上面壁73dの一端側には、方形状の切欠き73hが形成されており、左側面壁73eの下方側には、直方体形状の窪み73i、右側面壁73fの下方側には、窪み73iと対向するように切欠き73jが形成されている。これら、切欠き73h、窪み73i及び切欠き73jは、詳細を後述する指掛け用のスペースを形成するものである。加えて、下面壁73gには、バッテリ8の自重を支える弾性押上げ手段として、両側にスリット状の切込みが形成され、先端側に突起が設けられた弾性舌片73kが形成されている。」
イ 「【0027】
また、バッテリ8は、コネクタ82の機械的な接続によってその自重が支えられることになるが、バッテリ8の下辺側には、弾性舌片73kの突起が当接されるようになっているので、これによっても、バッテリ8の自重が支えられ、コネクタ82へかかる負荷が軽減されるようになっている。」
(2)文献Bの認定事項
文献Bの上記(1)の記載事項から、点灯装置ケース73に形成された収納凹部73cに配設されるバッテリ8は、当該収納凹部73cの下面壁73gに形成された弾性舌片73kによっても自重が支えられるから、当該弾性舌片73kは、バッテリ8を保持する保持部であると認められる。
2 検討
(1)本件発明1について
(1-1)対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
ア 後者の「下面」は前者の「本体下部」に相当し、以下同様に、後者の「開口部26」は前者の「開口部」に、後者の「本体11」は前者の「本体」に、後者の「コントロールユニット25」は前者の「コントロールユニット」に、後者の「段差部分」は前者の「段差部分」に、後者の「バッテリ23」は前者の「蓄電池」に、後者の「構造」は前者の「取り付け構造」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係を踏まえれば以下のことがいえる。
イ 後者のコントロールユニット25の「端部」からは、モニタランプ27~29、点検スイッチ30,31が外部から視認できる状態であり、換言すれば、当該「端部」は外部からのアクセスを許容するものである。
したがって、後者の「端部」は、前者の「アクセス部」に相当し、後者のコントロールユニット25が、「端部からモニタランプ27~29、点検スイッチ30,31が外部から視認できる状態にある」ことは、前者のコントロールユニットが「外部からアクセスされるアクセス部」「を有する」ことに相当する。
ウ 上記イを踏まえれば、後者の「前記端部は、前記コントロールユニット25の下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であ」ることは、前者の「前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であ」ることに相当する。
エ 後者の端部は、「前記モニタランプ27~29、前記点検スイッチ30,31が同じ前記開口部26から外部を臨」む状態で「前記開口部26に嵌る」ものであるから、上記ウも踏まえれば、後者の「前記コントロールユニット25は、前記モニタランプ27~29、前記点検スイッチ30,31が同じ前記開口部26から外部を臨み、前記端部が前記開口部26に嵌るように前記本体11の内部に収納されて」いることは、前者の「前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けて」いることに相当する。
オ 後者の「前記本体11の内部に、バッテリ23が収容されて」いることは、前者の「前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける」ことに相当する。
カ 上記ア~オの相当関係を踏まえれば、両者は以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点1]
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、
前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けており、
前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける取り付け構造。」
[相違点1]
本件発明1は、コントロールユニットが「前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部」を有しており、「前記コントロールユニットは、前記電池保持部により、」前記本体の内部に当該蓄電池を取り付けているのに対して、甲1発明1は、コントロールユニット25が「前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部」を有していることが特定されておらず、したがって、コントロールユニット25が「前記電池保持部により」前記本体11の内部にバッテリ23(蓄電池)を取り付けることも特定されていない点。
(1-2)判断
相違点1について検討する。
上記1-3、1-4に例示されるように、表示装置の技術分野において、点灯ユニット等のコントロールユニットに蓄電池を保持する電池保持部を備えて、当該蓄電池を前記電池保持部により前記本体の内部に取り付けることは、従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。
このことを踏まえれば、甲1にはバッテリ23を取り付ける具体的手段については記載も示唆もされていないものの、いずれかの手段によって前記本体11の内部にバッテリ23を取り付けなければならないことは自明であるから、甲1発明1においてバッテリ23を取り付ける具体的手段として上記周知技術1を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、甲1発明1は、正面視において、前記本体11内で、前記端部が右側に位置し、バッテリ23が左側に位置しているから、コントロールユニット25に電池保持部を備えるにあたりバッテリ23の位置を特段変更しなければ、コントロールユニット25全体でみて、当該電池保持部が端部(アクセス部)とは反対側の左側に位置する、相違点1に係る本件発明1の構成となることは明らかである。
よって、本件発明1は甲1発明1及び文献A、Bに例示される周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、特許権者は、令和6年10月15日に提出された意見書において、
「甲1、文献A、文献Bは、いずれも、前記アクセス部と反対側にコントロールユニットが蓄電池を保持する電池保持部を有する構成を開示していないのであるから、甲1、文献A、文献Bを組み合わせても、新請求項1の発明に至ることはない。」(5(4-2)(B)参照。)
と主張している。
しかしながら、以上のとおり、甲1発明1に上記周知技術1を採用することは当業者であれば容易に想到し得たことであり、その際にバッテリ23の位置を特段変更しなければ、コントロールユニット25が電池保持部を端部(アクセス部)と左右方向の反対側に有するものとなることは明らかである。
よって、特許権者による上記主張は採用することができない。
(2)本件発明6について
(2-1)対比
本件発明6と甲1発明3とを対比する。
ア 後者の「下面」は前者の「本体下部」に相当し、以下同様に、後者の「開口部26」は前者の「開口部」に、後者の「本体11」は前者の「本体」に、後者の「コントロールユニット25」は前者の「コントロールユニット」に、後者の「モニタランプ27~29」は前者の「モニタ」に、後者の「モニタランプ用の穴」は前者の「モニタ穴」に、後者の「バッテリ23」は前者の「蓄電池」に、後者の「構造」は前者の「取り付け構造」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係を踏まえれば以下のことがいえる。
イ 上記(1-1)イと同様に、後者の「端部」は、前者の「アクセス部」に相当し、後者のコントロールユニット25が、「端部からモニタランプ27~29、点検スイッチ30,31が外部から視認できる状態にある」ことは、前者のコントロールユニットが「外部からアクセスされるアクセス部」「を有する」ことに相当する。
ウ 後者の「前記コントロールユニット25は、複数のモニタランプ27~29を収容して」いることは、前者の「前記コントロールユニットは、内部に複数のモニタを有し」ていることに相当する。
エ 上記イを踏まえれば、後者の「前記端部は、前記複数のモニタランプ27~29を外部から視認させる複数のモニタランプ用の穴を有し」ていることは、前者の「前記アクセス部は、前記複数のモニタを外部から視認させる複数のモニタ穴を有し」ていることに相当する。
オ 後者の「前記本体11の内部に、バッテリ23が収容されて」いることは、前者の「前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける」ことに相当する。
カ 上記ア~オの相当関係を踏まえれば、両者は以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点2]
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、内部に複数のモニタを有し、
前記アクセス部は、前記複数のモニタを外部から視認させる複数のモニタ穴を有し、
前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける取り付け構造。」
[相違点2]
本件発明6は、コントロールユニットが「前記アクセス部と反対側に蓄電池を保持する電池保持部」を有しており、「前記コントロールユニットは、前記電池保持部により、」前記本体の内部に当該蓄電池を取り付けているのに対して、甲1発明3は、コントロールユニット25が「蓄電池を保持する電池保持部」を有していることが特定されておらず、したがって、コントロールユニット25が「前記電池保持部により」前記本体11の内部にバッテリ23(蓄電池)を取り付けることも特定されていない点。
[相違点3]
本件発明6は、「前記複数のモニタ穴の形状が長円状であり、前記複数のモニタ穴は、長円状の穴の長径が平行になり長円状の穴の短径が直線上になるように形成されて」いるのに対して、甲1発明3は、「前記複数のモニタランプ用の穴は、形状が円状であり、それぞれの円状の穴の径が直線上になるように形成されている」点。
(2-2)判断
まず、相違点2について検討する。
相違点2は、相違点1と実質的に同じである。
したがって、上記(1-2)で示したのと同様に、甲1発明3においてバッテリ23を取り付ける具体的手段として上記周知技術1を採用し、相違点2に係る本件発明6の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
次に、相違点3について検討する。
LEDを複数並べて配置する際に、各LEDに対応した配置で複数の長円状の孔を設け、当該複数の長円状の孔を、その長径が平行になり短径が直線上に並ぶように配置することは、上記1-2に例示されるように、従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)であり、甲1発明3に周知技術2を適用して、相違点3に係る本件発明6の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
よって、本件発明6は、甲1発明3、文献A、Bに例示される周知技術1及び甲12に例示される周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明7について
甲1発明1及び甲1発明3の「表示装置10」は、本件発明7の「表示装置」に相当する。
そうすると、請求項1の記載を引用する本件発明7と甲1発明1とは、同様に、相違点1で相違する。
また、請求項6の記載を引用する本件発明7と甲1発明3とは、同様に、相違点2、3で相違する。
よって、上記(1-2)及び(2-2)で示した判断と同様に、本件発明7は、甲1発明1と文献A、Bに例示される周知技術1とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲1発明3と文献A、Bに例示される周知技術1及び甲12に例示される周知技術2とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 小括
以上のことから、本件特許の請求項1、6、7に係る発明は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由の内容
申立人は、上記第5で判断した取消理由のほかに、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1、6、7に係る特許及び本件特許2~5について、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張していると認められる。
[申立理由1](新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、その特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
[申立理由2](進歩性)本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
[申立理由と請求項に係る発明及び証拠との関係]
・申立理由:1
・請求項 :1、7
・証拠 :甲1
・申立理由:1、2
・請求項 :1、7
・証拠 :甲2、甲4~甲8のいずれか1つ
・申立理由:2
・請求項 :1、7
・証拠 :甲3
・申立理由:2
・請求項 :2、3
・証拠 :甲1、甲9
・申立理由:2
・請求項 :4
・証拠 :甲1、甲9、甲10
・申立理由:2
・請求項 :5
・証拠 :甲1、甲9、甲10、甲11
2 申立理由についての当審の判断
2-1 甲1を主たる証拠とした場合(請求項1、7:新規性、請求項2~5:進歩性)
(1)甲9の記載事項
甲9には、以下のことが記載されている(当審注:下線は主要な記載箇所を示す。)。
ア 「【0023】
メインブロック1は、従来周知の表示灯であって天井面上や壁面上に露出した状態で固定(いわゆる直付け固定)して使用されるものと同様の構成を有する。つまり、本実施形態が天井面上や壁面上に直付け固定される場合、外付けブロック2とホルダ3と枠体5とはそれぞれ取り外される。メインブロック1の直付け固定は例えばねじ止めによって達成される。」
イ 「【0040】
詳しく説明すると、各変換装置21は、それぞれ、図8に示すように、厚さ方向を前後方向に向けた円板形状であって前方からの押力を受ける操作部211と、操作部211の後面から後方に延長された本体部212とを有する1個の部品からなる。本体部212の後端には、メインブロック1の操作穴141に挿入される作用部213が上方に突設されている。ハウジング4には、それぞれ前面に開口して1個ずつの変換装置21の操作部211を露出させる2個の操作穴41と、それぞれ上面に開口して1個ずつの変換装置21の作用部213が挿通される2個の作用穴42とが設けられている。また、本体部212の前端部の上側には、軸方向を左右方向に向けた円柱形状の軸部214の軸方向の中央部が連結されている。各変換装置21は、それぞれ、軸部214の左右両端部をハウジング4に軸支されることで、軸部214の中心軸を回転軸としてハウジング4に対して回転可能となっている。また、軸部214の中心軸は、操作部211よりも上側に位置する。図8に矢印A1で示すように操作部211が後向きの押力(前方からの押力)を受けると、変換装置21はハウジング4に対して右方から見て反時計回りに回転する。この回転により、作用部213は矢印A2で示すように上方に変位し、ケース14の操作穴142内において押釦スイッチ161,162を押操作する。すなわち、後向きの押力(前方からの押力)が変換装置21の回転により上向きの押力(下方からの押力)に変換され、押釦スイッチ161,162に作用する。また、図6のように押操作された状態から図5の状態への変換装置21の復帰(つまり右方から見て時計回りの回転)は、例えば変換装置21の自重によって達成される。変換装置21の過剰な回転は、例えばハウジング4の内面が変換装置21に当接することにより防止される。操作部211の上下方向の変位量をなるべく小さくするため、軸部214はなるべく操作部211の真上近くに配置されることが望ましい。また、作用部213の上下方向の変位量をなるべく大きくするため、作用部213はなるべく軸部214から後方に離して配置されることが望ましい。上記のような変換装置21の材料としては例えば合成樹脂を用いることができる。
ウ 「【0044】
上記構成によれば、直付け固定して使用する場合には、外付けブロック2やホルダ3を取り外してメインブロック1単体で使用することができる。また、メインブロック1に外付けブロック2やホルダ3を取り付ければ、壁面に埋込固定して使用することが可能となる。すなわち、直付け固定される表示灯と、壁面に埋込固定される表示灯とで、メインブロック1を共用とすることができるから、上記2種類の表示灯でプリント配線板18等を別途に製造する場合に比べ、上記2種類の表示灯の全体としての製造コストを低減することができる。」
(2)本件発明1、7についての検討
甲1にはバッテリ23を取り付ける具体的手段が記載も示唆もされておらず、上記第5の2(1-1)カで示した相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1発明1ではない。
また、甲1発明1の「表示装置10」は本件発明7の「表示装置」に相当し、請求項1の記載を引用する本件発明7と甲1発明1とは、同様に、相違点1で相違するから、本件発明7は甲1発明1ではない。
(3)本件発明2についての検討
(3-1)対比
本件発明2と甲1発明2とを対比する。
ア 後者の「下面」は前者の「本体下部」に相当し、以下同様に、後者の「開口部26」は前者の「開口部」に、後者の「本体11」は前者の「本体」に、後者の「コントロールユニット25」は前者の「コントロールユニット」に、後者の「点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37」は前者の「基板」に、後者の「実装面」は前者の「実装面」に、後者の「スイッチ部30a、31a」は前者の「スイッチ」に、後者の「ボタン部30b,31b」は前者の「スイッチ釦」に、後者の「スイッチ用の穴」は前者の「スイッチ穴」に、後者の「構造」は前者の「取り付け構造」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係を踏まえれば以下のことがいえる。
イ 上記第5の2(1-1)イと同様に、後者の「端部」は、前者の「アクセス部」に相当し、後者のコントロールユニット25が、「端部からモニタランプ27~29、点検スイッチ30,31が外部から視認できる状態にある」ことは、前者のコントロールユニットが「外部からアクセスされるアクセス部を有する」ことに相当する。
ウ 後者のスイッチ部30a、31aが「実装面と垂直な方向に押すことで動作する」ことは、前者のスイッチが「実装面と垂直な方向に操作することで動作する」ことに相当する。
エ 後者のボタン部30b,31bが「前記スイッチ部30a、31a(スイッチ)を外部から押すための」ものであることは、前者のスイッチ釦が「操作することで、前記スイッチを動作させる」ことに相当する。
オ 上記ウ、エを踏まえると、後者のコントロールユニット25が、「点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37が内蔵されており、前記点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37には、その実装面と垂直な方向に押すことで動作するスイッチ部30a、31aが実装されており、」「押すことで、前記スイッチ部30a、31aを外部から押すためのボタン部30b,31bを有」することは、前者のコントロールユニットが、「基板と、前記基板の実装面と垂直な方向に操作することで動作するスイッチと、」「操作することで、前記スイッチを動作させるスイッチ釦とを有」することに相当する。
カ 後者の「前記端部は、」「前記ボタン部30b,31bが前記開口部26から外部を臨むスイッチ用の穴を有すること」は、前者の「前記アクセス部は、」「前記スイッチ釦を露出させるスイッチ穴を有する」ことに相当する。
キ 上記ア~カの相当関係を踏まえれば、両者は以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点3]
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
基板と、
前記基板の実装面と垂直な方向に操作することで動作するスイッチと、
操作することで、前記スイッチを動作させるスイッチ釦とを有し、
前記アクセス部は、前記スイッチ釦を露出させるスイッチ穴を有する取り付け構造。」
[相違点4]
本件発明2は、スイッチ釦の操作方向が「前記基板の実装面と平行方向」であって、スイッチ穴からスイッチ釦を露出させる方向が「前記基板の実装面と平行方向」であるのに対して、甲1発明2は、ボタン部30b,31b(スイッチ釦)の操作方向が「前記実装面と垂直な方向」であって、スイッチ用の穴(スイッチ穴)からボタン部30b,31b(スイッチ釦)を露出させる方向が「前記実装面と垂直な方向」である点。
(3-2)判断
相違点4について検討する。
相違点4は、換言すれば、本件発明2の基板の実装面とスイッチ釦の露出方向とが平行であって、それゆえに、当該スイッチ釦は、自身の操作方向と直交する操作方向のスイッチを操作するものであるのに対して、甲1発明2は、点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37(基板)の実装面とボタン部30b,31b(スイッチ釦)の露出方向とが垂直であって、それゆえに、当該ボタン部30b,31b(スイッチ釦)は、自身の操作方向と平行な操作方向のスイッチ部30a、31a(スイッチ)を押すものである点といえる。
しかしながら、甲1発明2に対して、点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37の実装面とボタン部30b,31bの露出方向とが平行になるように変更した上で、当該変更に合わせて、ボタン部30b,31bを自身の操作方向と直交する操作方向のスイッチ部30a、31aを操作するものに変更するという改変を行うべきことは、甲1にも甲9にも、他のいずれの証拠にも記載も示唆もされていない。
よって、本件発明2は甲1発明2及び甲9に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、申立人は、本件発明2と甲1発明2との相違点及び当該相違点についての判断について、特許異議申立書において、
「本件特許発明2と甲第1号証に記載の発明とを対比すると、本件特許発明2は「[G] 前記基板の実装面と垂直な方向に操作することで動作するスイッチと、[H] 前記基板の実装面と平行方向に操作することで、前記スイッチを動作させるスイッチ釦とを有し、[I] 前記アクセス部は、前記基板の実装面と平行方向に向けて前記スイッチ釦を露出させるスイッチ穴を有する」点で、甲第1号証に記載の発明と相違する。(以下、「相違点2」と呼ぶ。)
そこで、相違点2について検討するに、甲第9号証によれば、「図8に矢印A1で示すように操作部211が後向きの押力(前方からの押力)を受けると、変換装置21はハウジング4に対して右方から見て反時計回りに回転する。この回転により、作用部213は矢印A2で示すように上方に変位し、ケース14の操作穴142内において押釦スイッチ161,162を押操作する。」(段落[0040]、図4-図8参照)と記載されている。つまり、甲第9号証には、スイッチ釦(操作部211)の操作方向とスイッチ(押釦スイッチ151,152)の操作方向とを互いに直交する方向とすることが開示されている。したがって、甲第1号証に記載の発明において、スイッチ釦の操作方向とスイッチの操作方向とを互いに直交する方向とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、スイッチとして、操作方向が基板の実装面と垂直な方向であるスイッチを選択すること、及び、これに伴い、スイッチ釦の操作方向を基板の実装面と平行方向(スイッチの操作方向と直交する方向)にし、かつ、スイッチ穴を、基板の実装面と平行方向に向けてスイッチ釦を露出させる配置とすることは、当業者が通常の創作能力の範囲内で容易に想到し得るものである。また、本件特許発明2により得られる作用効果も、甲第1号証及び第第9号証の記載事項から予測し得る範囲のものであり、格別な作用効果を奏するものとはいえない。
したがって、本件特許発明2は、甲第1号証及び甲第9号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。」(19~20頁参照。)
と主張している。
しかしながら、上記(1)から、甲9に記載されているのは、要するに、押釦スイッチ161,162を押操作するための押力の向きを変換する変換装置21を備えた外付けブロック2によって、直付け固定される表示灯と壁面に埋込固定される表示灯とでメインブロック1を共用可能とし、全体としての製造コストを低減させる技術であり、上記主張で示されたような、単に「スイッチ釦(操作部211)の操作方向とスイッチ(押釦スイッチ151,152)の操作方向とを互いに直交する方向とする」技術ではない。
したがって、仮に、甲1発明2に対して甲9に記載された上記技術を適用したとしても、甲1発明2に外付けブロック2が付加されて壁面に埋込固定される表示灯となるのであって、相違点4に係る本件発明2の構成となること(すなわち、甲1発明2において、点検スイッチ・モニタランプ実装用基板37の実装面とボタン部30b,31bの露出方向とが平行になるように変更され、当該変更に合わせて、ボタン部30b,31bが、自身の操作方向と直交する操作方向のスイッチ部30a、31aを操作するものに変更されること。)はない。
また、甲9に記載された上記技術はメインブロック1を共用可能とする技術であるから、仮に、甲1発明2に対して甲9に記載された上記技術を適用したとしても、ボタン部30b,31bの構造や実装面の方向などに変更を生じさせて表示装置10を共用できないようにする適用は想定し難い。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
(4)本件発明3~5についての検討
本件発明3~5は、それぞれ、本件発明2の全ての発明特定事項を含むものであるから、本件発明3~5と甲1発明2とは、それぞれ、少なくとも相違点4で相違する。
したがって、上記(3-2)で示した理由と同様に、本件発明3~5は甲1発明2及び甲9~11等の他の証拠に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2-2 甲2を主たる証拠とした場合(請求項1、7:新規性・進歩性)
(1)甲2について
ア 甲2の記載事項
甲2には以下のことが記載されている(当審注:下線は主要な記載箇所を示す。)。
(ア) 「【0008】
枠部1は、表示装置100の筐体となる部分である。枠部1には、情報表示部2が取り付けられる。図1、図2では、枠部1は、底面と側面とを有する四角形のお盆状に構成されている。また、図2に示すように、枠部1は、取付部7を取り付ける孔である窓8が設けられる。
・・・
器具本体3は、枠部1と情報表示部2とを備える箱型のケースである。器具本体3は、内部に点灯制御部5、バッテリー6、取付部7等の機器を収納する。
・・・
バッテリー6は、非常時電源である。バッテリー6は、点灯制御部5により制御され、非常時にランプを点灯させる電力を供給する。
取付部7は、図3に示すように突出部9を有する断面凸状に形成された部材である。取付部7は、突出部9に点灯制御部5と電気的に接続される所定の機器を突出部9に臨むように収納する(取り付ける)ことができる。取付部7は、収納された機器が器具本体3の外側から視認可能または操作可能になるように、枠部1の窓8に器具本体3の内側から突出部9を挿入して取り付けられる。特に、突出部9に収納された機器がボタンやレバー等の機器であれば、器具本体3の外側から操作可能となる。突出部9に収納される所定の機器とは、例えば、後述する状態表示部10、点検スイッチ11、自動点検スイッチ12、信号受信部13等である。」
(イ) 「【図1】
[図:0001426793000005.jpg]
」
(ウ) 「【図2】
[図:0001426793000006.jpg]
」
(エ) 「【図3】
[図:0001426793000007.jpg]
」
(オ) 「【図4】
[図:0001426793000008.jpg]
」
イ 甲2の認定事項
甲2の上記アの記載事項から以下のことが認定できる。
(ア) 図2から、窓8は枠部1の底面に設けられることが看取される。
(イ) 下記参考図1(図1、2の一部に当審で説明等を付したもの。)のとおり、図1、2から、枠部1の前記バッテリー6が収容される箇所には突起等の部材が配置されていることが看取され、当該突起等の部材は、前記バッテリー6の前面に配置されるように設けられており、少なくとも前記バッテリー6が前面側に倒れることを防止していることは自明であるから、当該突起等の部材は前記バッテリー6を保持するものであると理解される。
[参考図1]
[図:0001426793000009.jpg]
(ウ) 段落【0008】の「取付部7は、図3に示すように突出部9を有する断面凸状に形成された部材である。」との記載によれば、取付部7は、突出部9を有する断面凸状に形成された部材であり、図3、4から、当該「断面凸状」とは、前記突出部9が前記取付部7の底面から段差を持って下方に突出した段差部分となっている形状を意味していると理解される。
(エ) 段落【0008】の「器具本体3は、内部に・・・バッテリー6・・・を収納する。」との記載によれば、バッテリー6は器具本体3の内部に収納されるものであり、図1の記載から、さらに具体的には、器具本体3のうちの枠部1の内部に収納されていると理解される。
ウ 甲2発明
上記アの記載事項及び上記イの認定事項から、甲2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲2発明」という。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。
「底面に窓8を設けられ、バッテリー6を保持する突起等の部材を有する枠部1と、(段落【0008】、図2、上記イ(ア)、(イ))
状態表示部10、点検スイッチ11、自動点検スイッチ12等が器具本体3の外側から視認可能または操作可能となる突出部9を有する取付部7と、(段落【0008】)
を備え、
前記突出部9は、前記取付部7の底面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、(段落【0008】、図3、4、上記イ(ウ))
前記取付部7は、前記突出部9を前記枠部1の前記窓8に器具本体3の内側から突出部9を挿入して取り付けており、(段落【0008】)
突起等の部材により、枠部1の内部にバッテリー6を収納する構造を有する、(段落【0008】、上記イ(イ)、(エ))
表示装置100。(段落【0008】)」
(2)本件発明1についての検討
(2-1)対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
ア 後者の「底面」は前者の「本体下部」に相当し、以下同様に、後者の「窓8」は前者の「開口部」に、後者の「バッテリー6」は前者の「蓄電池」に、後者の「突起等の部材」は前者の「電池保持部」に、後者の「枠部1」は前者の「本体」に、後者の「取付部7」は前者の「コントロールユニット」に、後者の「段差部分」は前者の「段差部分」に、後者の「構造」は前者の「取り付け構造」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係を踏まえれば以下のことがいえる。
イ 後者の枠部1が「底面に窓8を設けられ」ることは、前者の本体が「本体下部に開口部を有する」ことに相当する。
ウ 後者の「突出部9」は、状態表示部10、点検スイッチ11、自動点検スイッチ12等が器具本体3の外側から視認可能または操作可能な部位であり、換言すれば、外部からアクセスされる部位であるから、前者の「アクセス部」に相当する。
したがって、後者の「状態表示部10、点検スイッチ11、自動点検スイッチ12等が器具本体3の外側から視認可能または操作可能となる突出部9を有する取付部7」は、前者の「外部からアクセスされるアクセス部」「を有するコントロールユニット」に相当する。
エ 上記ウを踏まえれば、後者の突出部9が「前記取付部7の底面から段差を持って下方に突出した段差部分であ」ることは、前者のアクセス部が「前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であ」ることに相当する。
オ 後者の「前記取付部7は、前記突出部9を前記枠部1の前記窓8に器具本体3の内側から突出部9を挿入して取り付けて」いることは、前者の「前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けて」いることに相当する。
カ 後者の「突起等の部材により、枠部1の内部にバッテリー6を収納する」ことは、前者の「前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける」に相当する。
キ 上記ア~カの相当関係を踏まえれば、両者は以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点4]
「本体下部に開口部を有する本体と、
外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、
前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けており、
前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける取り付け構造。」
[相違点5]
本件発明1は、「コントロールユニット」が、「前記アクセス部と反対側に」蓄電池を保持する電池保持部を有しており、「コントロールユニット」が当該電池保持部により前記本体の内部に蓄電池を取り付けるのに対して、甲2発明は、「枠部1」(本体)が、バッテリー6(蓄電池)を保持する突起等の部材(電池保持部)を有しており、「枠部1」(本体)が当該突起等の部材(電池保持部)により前記枠部1(本体)の内部にバッテリー6(蓄電池)を取り付ける点。
(2-2)判断
相違点5について検討する。
まず、甲2には、バッテリー6を保持する突起等の部材を枠部1でなく取付部7に設けることについて記載も示唆もされておらず、相違点5は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲2発明ではない。
また、甲2の取付部7は、状態表示部10、点検スイッチ11、信号受信部13等を備えるものであって、甲2の段落【0018】及び図7の記載から、配線ケーブル18で別体の点灯制御部5と接続されるものである。
そうすると、甲2発明に、点灯ユニットに蓄電池を保持する電池保持部を備える周知技術1を適用したところで、取付部7ではなく、別体の、点灯ユニットと機能面で同様の点灯制御部5に電池保持部を設けることになる。
さらに、バッテリー6を保持する突起等の部材を枠部1から取付部7に変更して設けることは、他のいずれの証拠にも記載も示唆もされておらず、その動機も見いだせないから、本件発明1は甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件発明1は甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件発明7についての検討
請求項1を引用する本件発明7は本件発明1の全ての発明特定事項を含むものであるから、本件発明7と甲2発明とは、それぞれ、少なくとも相違点5で相違する。
よって、上記(2-2)で示したとおり、本件発明7は甲2発明ではなく、また、本件発明7は甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2-3 甲3を主たる証拠とした場合(請求項1、7:進歩性)
(1)甲3発明
甲3の段落【0017】~【0019】、図6、8等の記載を参酌すると、甲3には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲3発明」という。)。
「前面に第二貫通孔18bを有する取付けプレート18と、
外部からアクセスされるスイッチカバー21を有するケース体17と
を備え、
前記スイッチカバー21は、前記ケース体17の前面に設けられて段差を持って前方に突出した段差部分であり、
前記スイッチカバー21の前記段差部分を前記取付けプレート18の前記第二貫通孔18bから露出させて、螺子18aにより前記ケース体17を前記取付けプレート18に取り付ける手動操作具12における取り付け構造。」
(2)検討
まず、本件発明1について検討する。
本件発明1と甲3発明とは、本件発明1のアクセス部が、コントロールユニットの「下部の面」から段差を持って「下方に」突出した段差部分であるのに対して、甲3発明のスイッチカバー21(アクセス部)が、ケース体17(コントロールユニット)の「前面に設けられて」段差を持って「前方に」突出した段差部分である点で少なくとも相違する。
甲3には、スイッチカバー21(アクセス部)を、ケース体17(コントロールユニット)の「下部の面」から段差を持って「下方に」突出した段差部分とすることについて記載も示唆もない。
また、甲3発明の取り付け構造は自重降下式のシャッター装置1のガイドレール4に設けられた手動操作具12の構造であり(甲3の段落【0009】、【0013】等参照。)、甲3の図1からも理解されるとおり、上下方向に延在する前記ガイドレール4には、スイッチカバー21(アクセス部)の段差部分を「下方に突出」させ得るような箇所はないから、「開口部の位置を本体下部とし、開口部の位置に合わせて段差部分をコントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出させること」はできない。
よって、本件発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
以上のことは請求項1を引用する本件発明7も同様であり、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、申立人は、本件発明1と甲3発明との相違点及び当該相違点についての判断について、特許異議申立書において、
「甲第3号証に記載の発明において、開口部の位置を本体下部とし、開口部の位置に合わせて段差部分をコントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出させることは、当業者が通常の創作能力の範囲内で容易に想到し得るものである。」(17頁参照。)
と主張している。
しかしながら、上述のとおり、甲3発明において、「開口部の位置を本体下部とし、開口部の位置に合わせて段差部分をコントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出させることは、当業者が通常の創作能力の範囲内で容易に想到し得る」とはいい難い。
よって、申立人による上記主張は採用することができない。
2-4 甲4~8のいずれかを主たる証拠とした場合(請求項1、7:新規性・進歩性)
(1)甲4~8の記載事項
甲4~8には、それぞれLED誘導灯における点検スイッチ部分の外観写真及び説明等が記載されている(甲4の第3頁、甲5の第3頁、甲6の第3頁、甲7の第2頁、甲8の第2頁をそれぞれ参照。)。
しかしながら、甲4~8のいずれにも、
「前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、
前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けており、」
との構成や、
「前記コントロールユニットは、前記電池保持部により、前記本体の内部に、蓄電池を取り付ける」
との構成を有することを明確に把握できる記載はない。
(2)検討
まず、本件発明1について検討する。
甲4~8には、上記(1)で示した構成が明記されていない。
したがって、本件発明1と甲4~8のそれぞれに記載された発明とは、少なくとも、甲4~8のそれぞれに記載された発明で上記構成が特定されていない点において相違するから、本件発明1は甲4~8のいずれか1つに記載された発明ではない。
また、甲4~8には上記構成とすることについて示唆もないから、本件発明1は、甲4~8のいずれか1つに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
以上のことは、請求項1を引用する本件発明7も同様であり、本件発明7は甲4~8のいずれか1つに記載された発明ではなく、甲4~8のいずれか1つに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
なお、申立人は、甲4~8に記載された発明について、特許異議申立書において、
「これらを鑑みると、甲第4号証には以下の本件特許発明1が開示されている。
「[A] 本体下部に開口部を有する本体と、
[B] 外部からアクセスされるアクセス部を有するコントロールユニットと
を備え、
[C] 前記アクセス部は、前記コントロールユニットの下部の面から段差を持って下方に突出した段差部分であり、
[D] 前記アクセス部の前記段差部分を前記本体の前記開口部から露出させて、前記コントロールユニットを前記本体に取り付けている
[E] 取り付け構造。」
甲第5号証の第3頁「非常点灯の確認方法」の項目にも同様に、本件特許発明1が開示されている。
甲第6号証の第3頁「自己点検結果の表示」の項目にも同様に、本件特許発明1が開示されている。
甲第7号証の第2頁「自己点検機能」の項目にも同様に、本件特許発明1が開示されている。
甲第8号証の第2頁「省メンテナンス」の項目にも同様に、本件特許発明1が開示されている。」(18頁参照。)
と主張している。
しかしながら、上述のとおり、甲4~8に示されたLED誘導灯における点検スイッチ部分の外観写真からは、上記主張における[C]及び[D]の構成を明確に把握することはできない。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
3 小括
以上のことから、取消理由通知において採用しなかった申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)は成り立たない。
第7 むすび
以上のとおり、請求項1、6、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項2~5に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に請求項2~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701183