特許異議申立
2023-700819
二酸化炭素分離回収装置
- 審判番号
- 2023-700819
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-061744
- 登録番号
- 7270124
- 請求日
- 2023年08月08日
- 審決日
- 2024年03月05日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【権利者代理人】鎌田 健司
- 【権利者代理人】前田 健児
- 【異議申立人】金田 綾香
- 審判長/審判官
- 審判長 河本 充雄
- 審判官 立木 林
- 審判官 金 公彦
- 分類
- P1652.121-Y (B01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7270124号発明「二酸化炭素分離回収装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7270124号の請求項1、5~7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7270124号の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和2年3月31日に出願され、令和5年4月27日にその特許権の設定登録がされ、同年5月10日に特許掲載公報が発行された。その後、同年8月8日に特許異議申立人 金田綾香により、本件の請求項1、5~7に係る特許に対する特許異議の申立てがなされた。
第2 本件発明
特許第7270124号の請求項1、5~7の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、5~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。以下、請求項1、5~7に係る発明を、請求項の項番にしたがって「本件発明1」等という。
「【請求項1】
第一空間に流入する二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を分離膜によって選択的に第二空間に透過させるように構成された二酸化炭素分離器と、前記第二空間に連通した略密閉構造の空間に設けられた水を貯める貯水部と、前記第二空間を減圧するポンプと、前記ポンプの出口から排出されたガスから水分を分離する水分離器と、前記ポンプの出力を制御する制御器と、を備え、
前記貯水部における水面よりも上の空間と前記第二空間とを連通させる水蒸気供給流路の下流側端が、前記第二空間の一端に接続され、
前記ポンプと前記水分離器とが設置された回収ガス流路の上流側端が、前記第二空間の他端に接続されており、
前記制御器は、前記ポンプの出力を、前記第二空間の圧力が、前記貯水部の水の飽和水蒸気圧よりも低い値になるように制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収装置。」
「【請求項5】
前記第一空間の温度は、前記第一空間に流入する二酸化炭素含有ガスの温度よりも低いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収装置。
【請求項6】
前記第二空間の温度は、前記第一空間に流入する二酸化炭素含有ガスの温度よりも低いことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収装置。
【請求項7】
前記貯水部に水を供給する水供給流路を備え、前記水供給流路から前記貯水部に供給される水の温度は、前記貯水部の水よりも高いことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収装置。」
第3 特許異議申立理由の概要
1 特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)について
本件発明1、5~7は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、5~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 証拠方法
甲第1号証 国際公開第2019/130470号
甲第2号証 国際公開第2017/154519号
甲第3号証 国際公開第2016/024523号
なお、甲第1号証等を、項番に合わせて「甲1」等という。
第4 特許異議申立理由についての当審の判断
1 各甲号証の記載事項
(1)甲1の記載事項
甲1には、「CO2除去方法及び装置」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている(なお、記載の省略は「・・・」で表す。また、下線は当審が付与した。以下同様である。)。
ア 「[0028][図1]CO2促進輸送膜の膜性能を減圧法で評価するための実験装置を示す構成図」
イ 「[0033] また、上述のCO2促進輸送膜の透過側圧力を供給側より減圧する減圧法に代えて、CO2促進輸送膜の供給側と透過側を等圧にして、透過側にスイープガスを供給するスイープガス法を用いて、CO2促進輸送膜の供給側と透過側の間にCO2分圧差を発生させて、処理対象ガス中のCO2を選択的に透過側に通過させて除去することも可能である。また、減圧法とスイープガス法を組み合わせても良い。
・・・
[0036] ・・・後述するように、化学的溶解拡散機構によるCO2パーミアンスは、物理的溶解拡散機構によるO2パーミアンス及びN2パーミアンスより大きいため、処理対象ガス中のCO2は、CO2促進輸送膜を介して、O2及びN2に対して選択的に透過し、処理対象ガスから選択的に透過される。・・・」
ウ 「[0059] 本実施形態では、減圧法及びスイープガス法の何れの場合も、評価用のCO2促進輸送膜1の各サンプルは、2枚の円環状のガスケットで挟持された状態で、ガス透過セル2の供給側室3と透過側室4の間に固定されている。処理対象ガスを構成するCO2、N2、及びO2は、マスフローコントローラ(MFC)及び弁を通過した下流側で合流した後、バブラー5により水蒸気が添加されることで調湿され、デミスター6で余分な水滴が除去され、所定の混合比のフィードガスFGとして、ガス透過セル2の供給側室3に供給される。・・・
[0060] 減圧法では、透過側室4にニードル弁10を介してスクロール型の真空ポンプ11を接続し、透過側室4内の透過側圧力Psを所定の圧力まで減圧する。減圧した圧力は、透過側室4に接続した真空計12で計測される。透過側室4内から真空ポンプ11で吸引された処理済ガスPGは、真空ポンプ11の下流側でヘリウムガス(He)が添加され、冷却トラップ13で水蒸気が除去された後、ガスクロマトグラフィ14で、ガス組成が定量される。本実施形態の減圧法では、供給側室3内の供給側圧力Pfは大気圧(101.3kPa)である。」
エ 「[0110] 本装置は、CO2選択透過膜を用いて、CO2、N2、及びO2を含む処理対象ガスから、CO2を選択的に除去する装置である。・・・
[0113] 更に、本装置は、CO2促進輸送膜の透過側圧力を1kPa以上、CO2促進輸送膜の透過側の雰囲気温度での飽和水蒸気圧未満に調整する圧力調整装置を備え、CO2促進輸送膜の透過側圧力を供給側より減圧することで、つまり、上述の減圧法により、CO2促進輸送膜の供給側と透過側の間にCO2分圧差を発生させて、処理対象ガス中のCO2を選択的に透過側に通過させて除去する構成とするのが好ましい。・・・圧力調整装置は、例えば、図1に示す減圧法による評価装置に設けた真空ポンプと真空計等を備えて、真空計の測定値が所定の圧力範囲となるように、真空ポンプを制御する構成等が使用し得る。
[0114]・・・また、本装置は、減圧法とスイープガス法を組み合わせた構成としても良い。」
オ 「[0116] 以下、本方法及び本装置の別実施形態について説明する。本方法において、CO2選択透過膜を透過したCO2を含む透過ガスは、本装置の処理対象ガスと混合しない系外に廃棄されてもよいし、次工程に供給されてもよい。次工程としては、CO2還元工程やCO2固定化工程などが挙げられる。・・・CO2固定化工程では、CO2吸収液やCO2吸収材などのCO2を吸蔵することができる媒体に透過ガスを供給することで、透過ガスに含まれるCO2が化学吸収、化学吸着、物理吸着などの作用により固定化することができる。本方法と上記次工程とを組み合わせた場合、本方法は、CO2選択透過膜を透過したCO2を含む透過ガスが透過ガス以外のガス(スイープガス)と混合しない減圧法が好ましく、その結果、処理対象ガスよりもCO2選択透過膜を透過したCO2を含む透過ガスのCO2濃度は高くなるため、上記の還元反応、化学反応、化学吸着、物理吸着の効率の向上が期待できる。
[0117] 減圧法による本方法とCO2固定化工程を組み合わせた装置の具体例としては、図18に示す本装置を拡張した構成が挙げられる。図18に示すように、該装置は、CO2選択透過膜15と、所定のCO2除去能力をCO2選択透過膜15が発現する減圧度にCO2選択透過膜15の透過側の圧力を調整する真空ポンプ16と、該真空ポンプ16の下流に接続される、CO2選択透過膜15を透過した透過ガスに含まれるCO2を固定化するCO2固定化装置17を備えて構成される。・・・」
カ 「符号の説明
[0119] 1: CO2促進輸送膜
2: ガス透過セル
3: 供給側室
4: 透過側室
・・・
11: 真空ポンプ
12: 真空計
13: 冷却トラップ
・・・」
キ 「[図1]
[図:0001409133000001.jpg]
・・・
[図18]
[図:0001409133000002.jpg]
」
(2)甲2の記載事項
甲2には、「燃焼システム」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
「[0059] ・・・ただし、水蒸気をスイープガスとして用いる場合は、透過側の圧力は使用する温度での飽和水蒸気圧以下になるように制御する必要が生じる。つまり、100℃未満の温度条件で水蒸気ガスのみをスイープガスとして用いる場合、透過側は減圧されている必要がある。」
(3)甲第3号証の記載事項
甲3には、「CO2ガス分離膜用組成物、CO2ガス分離膜及びその製造方法並びにCO2ガス分離膜モジュール」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
「 [0076] ・・・ここで、H2Oは、水を定量送液ポンプ58及び60でそれぞれ送入し、加熱して蒸発させて、上記混合比及び流量となるように調整した。・・・」
2 甲1に記載された発明(甲1発明)
(1) 上記1(1)ア、ウ、カ及びキによれば、甲1には、「CO2促進輸送膜の膜性能を減圧法で評価するための実験装置」として、図1の構成図が記載されており、その詳細として「CO2促進輸送膜1」が「ガス透過セル2の供給側室3と透過側室4の間に固定され」、「処理対象ガスを構成するCO2、N2、及びO2は、」「ガス透過セル2の供給側室3に供給される」ものであること(図1、[0059])、及び「透過側室4に」「真空ポンプ11が接続」され、「真空ポンプ11で吸引された処理済ガスPGは、真空ポンプ11の下流側でヘリウムガス(He)が添加され、冷却トラップ13で水蒸気が除去され」るものであること(図1、[0060])が記載されている。
(2) 上記1(1)イ([0036])によれば、「処理対象ガス中のCO2は、CO2促進輸送膜を介して、O2及びN2に対して選択的に透過し、処理対象ガスから選択的に透過される」ことが理解できる。
(3) 上記1(1)エ([0113])によれば、甲1には、「CO2促進輸送膜の透過側圧力」が「所定の圧力範囲となるように、真空ポンプを制御する構成等が使用し得る」ことが記載されている。
(4) 上記1(1)オ([0116]、[0117])及びキ(図18)によれば、甲1には、「CO2選択透過膜を透過したCO2を含む透過ガスは、」「CO2還元工程やCO2固定化工程など」の「次工程に供給されてもよ」く、具体例として「減圧法による本方法とCO2固定化工程を組み合わせた装置」が記載されており、当該装置は「CO2選択透過膜15と、」「真空ポンプ16と、該真空ポンプ16の下流に接続される、CO2選択透過膜15を透過した透過ガスに含まれるCO2を固定化するCO2固定化装置17を備えて構成される」ことが記載されている。
(5) 上記(4)の「減圧法による本方法とCO2固定化工程を組み合わせた装置」に着目し、当該減圧法による本方法として上記(1)の実験装置における減圧法の構成、すなわちHe添加前までの構成([図1]の真空ポンプ11までの構成)を当てはめつつ、上記(2)、(3)も考慮の上で甲1の記載を整理する。
そうすると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「 減圧法による方法とCO2固定化工程を組み合わせた装置であって、
CO2促進輸送膜1がガス透過セル2の供給側室3と透過側室4の間に固定され、
処理対象ガスを構成するCO2、N2、及びO2は、ガス透過セル2の供給側室3に供給され、
透過側室4に真空ポンプ11が接続され、
処理対象ガス中のCO2は、CO2促進輸送膜を介して、O2及びN2に対して選択的に透過し、処理対象ガスから選択的に除去されるものであり、
CO2促進輸送膜の透過側圧力が所定の圧力範囲となるように、真空ポンプを制御する構成等が使用し得るものである、装置。」
(5) なお、上記1(1)オ([0116])によれば、甲1には、本方法(甲1に記載されたCO2除去方法)と次工程(CO2固定化工程等)とを組み合わせた場合、CO2除去方法は、CO2を含む透過ガスが透過ガス以外のガス(スイープガス)と混合しない減圧法が好ましく、その結果、処理対象ガスよりもCO2を含む透過ガスのCO2濃度が高くなるため、CO2固定化工程等の次工程における反応効率の向上が期待できることが記載されている。
そうすると、甲1をみた当業者であれば、次工程(CO2固定化工程)を組み合わせる際、その前段のCO2除去工程では透過ガス中に他のガス(スイープガス)が混合しないようにするはずであり、甲1の明細書[0033]の「減圧法とスイープガス法を組み合わせても良い。」及び同[0114]の「本装置は、減圧法とスイープガス法を組み合わせた構成としても良い。」との記載(上記1(1)イ及びエ)を考慮しても、CO2固定化工程等の次工程を設けた上で、CO2除去方法の全部又は一部にスイープガス法を採用する方法又は装置を把握できたということはできない。
3 本件発明1について
(1)対比
ア 本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア) 甲1発明の「CO2、N2、及びO2」で「構成する」「処理対象ガス」は、CO2、すなわち二酸化炭素を含んでいるから、本件発明1の「二酸化炭素含有ガス」に相当し、甲1発明の「処理対象ガス」に含まれる「CO2」は、本件発明1の「二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素」に相当する。
そして、甲1発明の上記「処理対象ガス」が「供給され」る「供給側室3」は、本件発明1の「二酸化炭素含有ガス」が「流入する」「第一空間」に相当する。
また、甲1発明は、「CO2促進輸送膜1がガス透過セル2の供給側室3と透過側室4の間に固定され、」「処理対象ガス中のCO2は、CO2促進輸送膜を介して、O2及びN2に対して選択的に透過し、処理対象ガスから選択的に除去されるもの」であるから、「供給側室3に供給され」た「処理対象ガス中のCO2」は「CO2促進輸送膜」によって「O2及びN2に対して選択的に」「透過側室4」に「透過」させるように構成された「ガス透過セル2」を備えているといえる。
一方、本件発明1は、「第一空間に流入する二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を分離膜によって選択的に透過させるように構成された二酸化炭素分離器」を備えている。
そうすると、甲1発明の「CO2促進輸送膜」、「透過側室4」、「ガス透過セル2」は、それぞれ、本件発明1の「分離膜」、「第二空間」、「二酸化炭素分離器」に相当し、甲1発明と本件発明1とは、第一空間に流入する二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を分離膜によって選択的に第二空間に透過させるように構成された二酸化炭素分離器を備えている点で共通する。
(イ) 甲1発明における「透過側室4に」「接続され」る「真空ポンプ11」は、「透過側室4」を減圧するものといえるから、本件発明1の「前記第二空間を減圧するポンプ」に相当する。
(ウ) 甲1発明における「所定の圧力範囲となるように、真空ポンプを制御する構成」は、「真空ポンプ」の出力を制御するものといえるから、本件発明1の「前記ポンプの出力を制御する制御器」に相当する。
(エ) 甲1発明の「装置」における「減圧法による方法」は、「処理対象ガス中のCO2を選択的に透過側に通過させ」るものであるから、甲1発明の「装置」は、CO2を処理対象ガスから分離するものといえる。
さらに、甲1発明の「装置」における「CO2固定化工程」は、上記1(1)オ([0117])によれば、「CO2を吸蔵することができる媒体に」「透過ガスに含まれるCO2が化学吸収、化学吸着、物理吸着などの作用により固定化する」工程であるから、甲1発明の「装置」は、分離後のCO2を回収するものといえる。
したがって、甲1発明の「減圧法による方法とCO2固定化工程を組み合わせた装置」は、CO2を分離し、回収するものといえるから、本件発明1の「二酸化炭素分離回収装置」に相当する。
イ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。
(ア)一致点
「 第一空間に流入する二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を分離膜によって選択的に第二空間に透過させるように構成された二酸化炭素分離器と、前記第二空間を減圧するポンプと、前記ポンプの出力を制御する制御器と、
を備える二酸化炭素分離回収装置。」
(イ)相違点
<相違点1>
本件発明1が「前記第二空間に連通した略密閉構造の空間に設けられた水を貯める貯水部」を備え、「前記貯水部における水面よりも上の空間と前記第二空間とを連通させる水蒸気供給流路の下流側端が、前記第二空間の一端に接続され、」「前記ポンプと前記水分離器とが設置された回収ガス流路の上流側端が、前記第二空間の他端に接続され、」「前記制御器は、前記ポンプの出力を、前記第二空間の圧力が、前記貯水部の水の飽和水蒸気圧よりも低い値になるように制御すること」を特定するのに対し、甲1発明には、第二空間(透過側室4)に連通した貯水部がない点。
<相違点2>
本件発明1が、「前記ポンプの出口から排出されたガスから水分を分離する水分離器」を備え、「前記ポンプと前記水分離器とが設置された回収ガス流路の上流側端が、前記第二空間に接続される」ことを特定するのに対し、甲1発明は水分離器を備えることを特定していない点。
(2)相違点についての判断
ア 甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることが容易想到であるとは、少なくとも甲1発明における透過側室4の一端に水蒸気供給流路が接続される、すなわち透過側室4に水蒸気が供給される構成にするということである。
イ しかしながら、上記2(5)で検討したとおり、甲1には、CO2固定化工程を組み合わせる場合、CO2固定化工程の反応効率の観点から、透過ガス以外のガス(スイープガス)と混合しないCO2除去方法、すなわち減圧法が好ましいことが記載されているから、甲1発明において、透過側室4に、CO2を含む透過ガス以外のガス(スイープガス)を流すと、CO2固定化工程の反応効率が低下するものといえる。
したがって、甲1の明細書[0033]及び同[0114]における、減圧法とスイープガス法を組み合わせても良い旨の記載(上記1(1)イ及びエ)並びに甲2、甲3に記載された事項を考慮しても、甲1発明において、透過側室4へ、CO2を含む透過ガス以外のガスである水蒸気を供給する構成とすることには阻害要因が存在するといえ、このことは、甲2、甲3に記載された事項に左右されるものでない。
よって、相違点2について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本件発明5~7について
本件発明5~7は、本件発明1を減縮した発明であり、いずれも上記相違点に係る本件発明1の構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明5~7は、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 小括
以上のとおり、本件発明1、5~7は、甲1に記載された発明及び甲2、3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件請求項1、5~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
したがって、特許異議申立理由には理由がない。
第5 まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、5~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、5~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700819