特許異議申立
2023-700678
情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
- 審判番号
- 2023-700678
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-159840
- 登録番号
- 7197953
- 請求日
- 2023年06月28日
- 審決日
- 2023年10月02日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ゼロボード
- 【異議申立人】booost technologies 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 伏本 正典
- 審判官 松田 直也
- 審判官 松尾 俊介
- 分類
- P1651.112-Y (G06Q) / P1651.113-Y (G06Q) / P1651.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7197953号発明「情報処理システム、情報処理方法及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7197953号の請求項に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年9月8日に出願した特願2022-142625号の一部を同年10月3日に新たな特許出願としたものであって、令和4年12月20日にその特許権の設定登録がされ、同年12月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和5年6月28日に特許異議申立人booost technologies株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
本件特許異議申立て以後の経緯は、次のとおりである。
令和5年 7月19日 手続補正指令書(方式)(起案日)
令和5年 8月17日 手続補正書の提出(申立人)
第2 本件発明
特許第7197953号の請求項1~3に係る特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明3」という。また、これらの発明をまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであって、次のとおりのものである。
「【請求項1】
温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データが表示された証憑データを取得する証憑取得部と、
前記基礎データの入力を受け付ける基礎データ取得部と、
前記証憑データを記憶する証憑データ記憶部と、
前記基礎データに基づいて前記排出量を算出する排出量算出部と、
前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベースと、
前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データが表示された証憑データを取得するステップと、
前記基礎データの入力を受け付けるステップと、
前記証憑データを記憶する証憑データ記憶部に記憶するステップと、
前記基礎データに基づいて前記排出量を算出するステップと、
前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて対応データベースに登録するステップと、
前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データが表示された証憑データを取得するステップと、
前記基礎データの入力を受け付けるステップと、
前記証憑データを記憶する証憑データ記憶部に記憶するステップと、
前記基礎データに基づいて前記排出量を算出するステップと、
前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて対応データベースに登録するステップと、
前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力するステップと、
を情報処理装置に実行させるためのプログラム。」
第3 申立理由の概要
申立人は、甲第1号証~甲第1号証の3を提出して、以下の理由のとおりであるから、請求項1~3に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。なお、理由の番号は、当審で付与した。
1 証拠方法
申立人は、次の甲第1号証~甲第1号証の3を証拠として提出した。
甲第1号証 :ENERGY X GREEN 操作説明ガイド 応用編_AI-OCR 登録機能 Ver.02
甲第1号証の2:ENERGY X GREEN 操作説明ガイド 活動量登録編 Ver.02
甲第1号証の3:ENERGY X GREEN 操作説明ガイド 応用編_AI-OCR 登録機能 Ver.02の補足画像
また、甲第1号証~甲第1号証の3を、以下、それぞれ、「甲1」~「甲1の3」という。
2 理由1(特許法第29条第1項第3号)
請求項1~3に係る発明は、甲第1号証~第1の3号証記載の発明である。
3 理由2(特許法第29条第1項第2号)
請求項1~3に係る発明は、甲第1号証~甲第1の3号証に示される公然実施の発明である。
4 理由3(特許法第29条第2項)
請求項1~3に係る発明は、甲第1号証~第1の3号証記載の発明に対して相違点が認められる場合であっても、設計変更により、当業者が容易に発明をすることができたものである(理由3-1)。または、甲第1号証~甲第1の3号証に示される公然実施の発明に対して相違点が認められる場合であっても、設計変更により、当業者が容易に発明をすることができたものである(理由3-2)。
第4 甲号証について
1 甲1について
(1)甲1に記載されている事項
ア 「
[図:0001403690000001.jpg]
」(03頁)
イ 「
[図:0001403690000002.jpg]
(04頁)
ウ 「
[図:0001403690000003.jpg]
」(05頁)
エ 「
[図:0001403690000004.jpg]
」(07頁)
オ 「
[図:0001403690000005.jpg]
(08頁)
カ 「
[図:0001403690000006.jpg]
」(09頁)
キ 「
[図:0001403690000007.jpg]
」(10頁)
(2)甲1から把握できる事項
ア 上記(1)アには、
「1.1 請求書フォーマット(電力使用量)を追加する。」、
「ENEGY X GREENでは、電力使用量を請求書PDFから読み取るサポート機能(※【電力請求書】メニュー)を用意しています。本機能は、多様な小売り電気事業者の請求書を予めフォーマットとして登録しておくことで、より正確にデータを読み取ることを目的としています。
サイドメニュー【マスタ管理】 > 【請求書フォーマット】からフォーマット(電力使用量)一覧を表示し、追加ボタンを押します。」
と記載されている。
また、上記(1)アには、画面に「フォーマット(電力使用量|一覧)」が表示されていることが看取される。
上記(1)イには、
「1.2 請求書のデータファイルをアップロードする」、
「ファイルの選択を押し、フォーマットを作成したい請求書データのファイル※をアップロードします。」
と記載されている。
また、上記(1)イには、画面に「フォーマット(電力使用量|一覧)」が表示されていることが看取される。
上記(1)ウには、
「1.3 OCR機能で文字列を読み取る」、
「(i)請求書データ画像
アップロードした請求書データ画像が表示されます。
(ii)入力フォーム
読み取り箇所の項目を入力します。
・フォーマット名
・請求年月
・供給地点番号
・請求金額
・電力使用量
各項目の▼を押すと、各項目の検索条件を設定可能です。各項目ごとに検索条件をもとに「該当の文字列を取得」を押すことで検索します。
・・・(途中省略)・・・
全項目の文字列を取得後、入力フォーム下部にある「保存する」を押して登録が完了します。」(丸数字を半角括弧ローマ数字で表記した。以下、同じ。)
と記載されている。
また、上記(1)ウから、請求書データの画像と入力フォームを含む画面である、OCR機能で文字列を読み取る画面が表示されることが看取される。
そうすると、甲1には、「「フォーマット(電力使用量|一覧)」画面において、追加ボタンを押すと、請求書データ(請求書PDF)をアップロードすることのできる画面に遷移し、このとき、「ファイルを選択」によりファイルを選択すると、選択された請求書データ(請求書PDF)がアップロードされ、請求書データ画像と入力フォームを含む画面である、OCR機能で文字列を読み取る画面に遷移し、請求書データ(請求書PDF)を請求書フォーマットとして登録でき」ることが記載されているといえる。
イ 上記(1)ウには、
「1.3 OCR機能で文字列を読み取る」、
「(i)請求書データ画像
アップロードした請求書データ画像が表示されます。
(ii)入力フォーム
読み取り箇所の項目を入力します。
・フォーマット名
・請求年月
・供給地点番号
・請求金額
・電力使用量
各項目の▼を押すと、各項目の検索条件を設定可能です。各項目ごとに検索条件をもとに「該当の文字列を取得」を押すことで検索します。
・・・(途中省略)・・・
全項目の文字列を取得後、入力フォーム下部にある「保存する」を押して登録が完了します。」(丸数字を半角括弧ローマ数字で表記した。以下、同じ。)
と記載されている。
また、上記(1)イの「1.2 請求書データファイルをアップロードする」、上記(1)ウから、請求書データの画像と入力フォームを含む画面が表示されることが看取される。
そうすると、甲1には、「OCR機能で文字列を読み取る画面において、OCR機能で文字列を読み取る機能で、アップロードされた請求書データ画像から、入力フォームの「供給地点番号」「請求年月」「電力使用量」の項目の文字列を読み取り、これらを登録でき」ることが記載されているといえる。
ウ 上記(1)エには、
「2.1 使用量PDF一覧を表示する」、
「本操作では、請求書データのPDFをアップロードし予め登録した請求書フォーマットを用いることでScope2の間接排出の電力使用量を登録します。
サイドメニューから【活動量登録】 > 【Scope2間接排出-電気】 > 【電力請求書】を押すと、使用量PDF一覧が表示されます。
電力使用量を登録したい「年度」「月」のタブを選択し((i))、「追加」を押します((ii))。
MEMO
・本操作を行う場合は事前に「1.請求書フォーマットを登録する」手順で請求書フォーマットの登録が必要です。」
と記載されている。
上記(1)オには、
「2.2 電力使用量を登録する」、
「ファイルを選択から請求書データPDFをアップロードしたのち、フォーマットをプルダウンで選択し((i))「追加する」を押します((ii))。
追加後、登録内容が「使用量PDF一覧」画面に表示されます。」
と記載されている。
そうすると、甲1には、「請求書データ(請求書PDF)をアップロードすることで、請求書データ(請求書PDF)を「使用量PDF」として、使用量PDF一覧の画面に、一覧表示することができ、使用量PDF一覧の画面において、電力使用量の登録は、電力使用量を登録したい「年度」「月」のタブを選択し、請求書データ(請求書PDF)の予め登録した請求書フォーマットを用いることでScope2の間接排出の電力使用量を登録することができ」ることが記載されているといえる。
エ 上記(1)カには、
「2.3 電気使用量PDFを承認する(i)」、
「サイドメニュー【活動量登録】 > 【Scope2間接排出-電気】 > 【電力請求書】から使用量PDF一覧を表示し、承認作業前のファイル名を押します。」
と記載されている。
また、上記カには、画面に「使用量PDF一覧」が表示されていることが看取される。
上記(1)キには、
「2.4 電気使用量PDFを承認する(ii)」、
「入力フォームを閉じ、使用量PDF一覧のステータスが[承認済]に変更されれば登録が完了です。」(「[承認済]」は、ステータスを示すアイコンを示す。)
と記載されている。
そして、上記(1)カの画面において、ファイル名「invoice_summary_」を選択すると、使用量PDF一覧の画面において、上記(1)キの、当該ファイルの画像ともに、項目「供給地点番号」「請求年月」「容量」及び容量の値「280.0」を含む入力フォームが表示されることが看取される。
さらに、上記(1)キには、「PDFの内容を承認するフォームが開いたら、OCR機能による取得内容を確認し「承認する」を押します。誤り、取得漏れがある場合には、修正し「承認する」を押します。
承認すると入力フォーム画面がグレーアウトし承認済みになります。」
と記載されている。
このため、上記(1)カ及びキは、「電気使用量」の登録の承認に関する操作を説明するものであることは明らかである。
そうすると、甲1には、「使用量PDF一覧の画面において、使用量PDF一覧を表示し、承認作業前のファイル名「invoice_summary_」を選択すると、当該ファイルの画像ともに、項目「供給地点番号」「請求年月」「容量(電気使用量)」及び電気使用量の値「280.0」を含む入力フォームが表示され、PDFの内容を承認するフォームが開いたら、OCR機能による取得内容を確認し「承認する」を押すことで承認される」ことが記載されている。
オ 甲1は、「ENERGY X GREEN」の「操作説明ガイド」であるから、ソフトウェアである「ENERGY X GREEN」をコンピュータシステムが実行することは明らかである。
(3)甲1に記載された発明
上記(2)から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されているといえる。
「 ソフトウェアである「ENERGY X GREEN」を実行するコンピュータシステムであって、
「フォーマット(電力使用量|一覧)」画面において、追加ボタンを押すと、請求書データ(請求書PDF)をアップロードすることのできる画面に遷移し、このとき、「ファイルを選択」によりファイルを選択すると、選択された請求書データ(請求書PDF)がアップロードされ、請求書データ画像と入力フォームを含む画面である、OCR機能で文字列を読み取る画面に遷移し、請求書データ(請求書PDF)を請求書フォーマットとして登録でき、
OCR機能で文字列を読み取る画面において、OCR機能で文字列を読み取る機能で、アップロードされた請求書データ画像から、入力フォームの「供給地点番号」「請求年月」「電力使用量」の項目の文字列を読み取り、これらを登録でき、
請求書データ(請求書PDF)をアップロードすることで、請求書データ(請求書PDF)を「使用量PDF」として、使用量PDF一覧の画面に、一覧表示することができ、使用量PDF一覧の画面において、電力使用量の登録は、電力使用量を登録したい「年度」「月」のタブを選択し、請求書データ(請求書PDF)の予め登録した請求書フォーマットを用いることでScope2の間接排出の電力使用量を登録することができ、
使用量PDF一覧の画面において、使用量PDF一覧を表示し、承認作業前のファイル名「invoice_summary_」を選択すると、当該ファイルの画像ともに、項目「供給地点番号」「請求年月」「容量(電気使用量)」及び電気使用量の値「280.0」を含む入力フォームが表示され、PDFの内容を承認するフォームが開いたら、OCR機能による取得内容を確認し「承認する」を押すことで承認される、
コンピュータシステム。」
2 甲1の2について
(1)甲1の2に記載されている事項
ア 「
[図:0001403690000008.jpg]
」(05頁)
イ 「
[図:0001403690000009.jpg]
」(011頁)
ウ 「
[図:0001403690000010.jpg]
(012頁)
エ 「
[図:0001403690000011.jpg]
」(013頁)
(2)甲1の2から把握できる事項
ア 上記(1)アから、「CO2排出算定の基本式は、活動量×排出原単位であり、活動量の例として、「電気の使用量」があ」ることが看取される。
イ 上記(1)イには
「サイドメニューから【活動量登録】 > 【Scope2間接排出-電気】 > 【電力使用量】を押すと、使用量一覧の操作画面が表示されます。
電力使用量を登録した(i)「年度」(ii)「月」を選択します。
※電力使用量は、AI-OCR機能や、CSV取り込み機能でも登録していただけます。詳細は「応用編_AI-OCR機能」「応用編_CSV取り込み機能」の各マニュアルにて記載しております。」
と記載されいる。
上記(1)ウには、
「「電気料金」「使用量」を入力すると、登録内容を使用量一覧に反映します。」
と記載されている。
上記(1)イ、ウから、「使用量一覧の操作画面には、「使用量」、「CO2排出量」の項目が含まれる」ことが看取される。
そうすると、甲1の2には、「「使用量」、「CO2排出量」の項目が含まれる使用量一覧の操作画面において、電力使用量を登録した「年度」「月」を選択し、AI-OCR機能や入力することで「使用量」を使用量一覧に反映でき」ることが記載されているといえる。
ウ 上記(1)エから、「「供給地点番号」は、テナントを特定する番号である」ことが看取される。
エ 甲1の2は、「ENERGY X GREEN」の「操作説明ガイド」であるから、ソフトウェアである「ENERGY X GREEN」をコンピュータシステムが実行することは明らかである。
(3)甲1の2に記載された発明
上記(2)から、甲1の2には、次の発明(以下、「甲1発明B」という。)が記載されているといえる。
「 ソフトウェアである「ENERGY X GREEN」を実行するコンピュータシステムであって、
CO2排出算定の基本式は、活動量×排出原単位であり、活動量の例として、「電気の使用量」があり、
「使用量」、「CO2排出量」の項目が含まれる使用量一覧の操作画面において、電力使用量を登録した「年度」「月」を選択し、AI-OCR機能や入力することで「使用量」を使用量一覧に反映でき、
「供給地点番号」は、テナントを特定する番号である、
コンピュータシステム。」
3 甲1の3について
(1)甲1の3に記載されている事項
「
[図:0001403690000012.jpg]
」
(2)甲1の3から把握できる事項
上記(1)から、「使用量PDF一覧」の画面において、「フィルタ」ボタンを選択すると、「ステータス」「登録日時」「請求年月」「供給地点名」「供給地点番号」を含むリストが表示され、「請求年月」を選択することで、フィルタリング処理を行うことができる」ことが看取される(以下、「甲1の3記載事項」という。)。
4 公然実施発明について
甲1~甲1の3は、いずれも、ソフトウェアである「ENERGY X GREEN」についての操作説明ガイドである。そして、申立人が令和5年8月17日提出の手続補正書に添付した参考資料に基づくと、2022年(令和4年)4月11日には、公然実施されていたものと推定される。
そうすると、上記1~3のとおり、ソフトウェアである「ENERGY X GREEN」はコンピュータシステムで実行されることで実施されるものであるから、上記1~3から、次の発明(以下、「甲1発明C」が公然実施されていたものと認められる。
「 ソフトウェアである「ENERGY X GREEN」を実行するコンピュータシステムであって、
「フォーマット(電力使用量|一覧)」画面において、追加ボタンを押すと、請求書データ(請求書PDF)をアップロードすることのできる画面に遷移し、このとき、「ファイルを選択」によりファイルを選択すると、選択された請求書データ(請求書PDF)がアップロードされ、請求書データ画像と入力フォームを含む画面である、OCR機能で文字列を読み取る画面に遷移し、請求書データ(請求書PDF)を請求書フォーマットとして登録でき、
OCR機能で文字列を読み取る画面において、OCR機能で文字列を読み取る機能で、アップロードされた請求書データ画像から、入力フォームの「供給地点番号」「請求年月」「電力使用量」の項目の文字列を読み取り、これらを登録でき、
請求書データ(請求書PDF)をアップロードすることで、請求書データ(請求書PDF)を「使用量PDF」として、使用量PDF一覧の画面に、一覧表示することができ、使用量PDF一覧の画面において、電力使用量の登録は、電力使用量を登録したい「年度」「月」のタブを選択し、請求書データ(請求書PDF)の予め登録した請求書フォーマット を用いることでScope2の間接排出の電力使用量を登録することができ、
使用量PDF一覧の画面において、使用量PDF一覧を表示し、承認作業前のファイル名「invoice_summary..」を選択すると、当該ファイルの画像ともに、項目「供給地点番号」「請求年月」「容量」及び容量の値「280.0」を含む入力フォームが表示され、PDFの内容を承認するフォームが開いたら、OCR機能による取得内容を確認し「承認する」を押すことで承認され、
CO2排出算定の基本式は、活動量×排出原単位であり、活動量の例として、「電気の使用量」があり、
「使用量」、「CO2排出量」の項目が含まれる使用量一覧の操作画面において、電力使用量を登録した「年度」「月」を選択し、AI-OCR機能や入力することで「使用量」を使用量一覧に反映でき、
「供給地点番号」は、テナントを特定する番号であり、
使用量PDF一覧」の画面において、「フィルタ」ボタンを選択すると、「ステータス」「登録日時」「請求年月」「供給地点名」「供給地点番号」を含むリストが表示され、「請求年月」を選択することで、フィルタリング処理を行うことができる、
コンピュータシステム。」
第5 当審の判断
1 理由1、理由3-1について
(1)本件発明1について(その1)(甲1発明Aを主引用発明とする場合)
ア 本件発明1と甲1発明Aとの対比
(ア)甲1発明Aは、「OCR機能で文字列を読み取る機能で、アップロードされた請求書データ画像から、入力フォームの「供給地点番号」「請求年月」「電力使用量」の項目の文字列を読み取り、これらを登録でき」るものである。
そうすると、甲1発明Aの「電力使用量」を含む「請求書データ(請求書PDF)」は、本件発明1の「基礎データが表示された証憑データ」に相当し、甲1発明Aの「請求書データ(請求書PDF)をアップロード」する機能を実現する手段は、本件発明1の「基礎データが表示された証憑データを取得する証憑取得部」に相当する。
(イ)甲1発明Aは、「使用量PDF一覧の画面において、使用量PDF一覧を表示し、承認作業前のファイル名「invoice_summary_」を選択すると、当該ファイルの画像ともに、項目「供給地点番号」「請求年月」「容量(電気使用量)」及び電気使用量の値「280.0」を含む入力フォームが表示され、PDFの内容を承認するフォームが開いたら、OCR機能による取得内容を確認」するものである。
そうすると、甲1発明Aの、入力フォームに表示するために、項目「供給地点番号」「請求年月」「容量(電気使用量)」及び電気使用量の値「280.0」を取得するための手段は、本件発明1の「前記基礎データの入力を受け付ける基礎データ取得部」に相当する。
(ウ)甲1発明Aは、上記(ア)(イ)のとおりの機能を有しており、当該機能を実現するためには、アップロードされた「請求書データ(請求書PDF)」を記憶することは明らかであり、当該記録する手段は、本件発明1の「前記証憑データを記憶する証憑データ記憶部」に相当する。
(エ)甲1発明Aの「コンピュータシステム」は、請求書データ(請求書PDF)に含まれる「電気使用量」を登録する機能を有する点で、後述する相違点は別にして、本件発明1の「情報処理システム」に相当する。
(オ)そうすると、本件発明1と甲1発明Aとは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
「 基礎データが表示された証憑データを取得する証憑取得部と、
前記基礎データの入力を受け付ける基礎データ取得部と、
前記証憑データを記憶する証憑データ記憶部と、
を備える情報処理システム。」
<相違点>
(相違点1)
本件発明1は、「基礎データ」が「温室効果ガスの排出量を算出するため」のものであって、「前記基礎データに基づいて前記排出量を算出する排出量算出部」を備える構成であるのに対して、甲1発明Aは、「電気使用量」の使用目的が特定されておらず、「前記基礎データに基づいて前記排出量を算出する排出量算出部」を備えていない点。
(相違点2)
本件発明1は、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベース」を備える構成であるのに対して、甲1発明Aは、そのような構成を備えていない点。
(相違点3)
本件発明1は、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部」を備える構成であるのに対して、甲1発明Aは、そのような構成を備えていない点。
イ 理由1(特許法第29条第1項第3号)の判断
上記ア(オ)のとおり、本件発明1と甲1発明Aとの間には実質的な相違点があるから、本件発明1は、甲1発明Aではない。
ウ 理由3-1(特許法第29条第2項)の判断
(ア)相違点2、3について
事案に鑑み相違点2、3を併せて先に検討する。
甲1発明Aは、「甲1発明Aは、「OCR機能で文字列を読み取る機能で、アップロードされた請求書データ画像から、入力フォームの「供給地点番号」「請求年月」「電力使用量」の項目の文字列を読み取り、これらを登録でき」るものである。このため、アップロードされた請求書データ画像と入力フォームの「供給地点番号」「請求年月」「電力使用量」の項目の文字列とは、紐付けられていることは明らかである。しかしながら、甲1発明Aには、「電力使用量」の項目の文字列について、これを特定する情報で特定可能にしようことは記載されておらず、技術常識でもない。
また、甲1の2には、上記「第4」の2(3)のとおりの甲1発明Bが記載されている。
しかしながら、甲1発明Bは、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベース」及び「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部」を構成に含んでいない。
また、甲1の3には、上記「第4」の3(2)のとおりの甲1の3記載事項が記載されているものの、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベース」及び「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部」は記載されてない。
このため、甲1発明Aに、甲1発明B及び甲1の3記載事項を適用しても、上記相違点2、3の構成には至らない。
よって、相違点2、3の構成は、甲1発明A、甲1発明B及び甲1の3記載事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、上記相違点2、3の構成とすることで、「温室効果ガスの排出量の算出に係る証憑を管理することができる。」(【0008】)という作用効果を奏するものである。
(イ)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書(手続補正書)で次のように主張する。
A 主張の概要
(主張1:相違点1に関連する主張)
「 甲第1の2号証11頁の図中「使用量」および「CO2排出量」ならびに文中「※電力使用量は、AI-OCR機能や、csv取り込み機能でも登録していただけます。」と示されているとおり、電力使用量に基づいてCO2排出量を算出する機能がこれに相当する。」(手続補正書15頁)
(主張2:相違点2に関連する主張)
「 甲第1号証9頁の図中「供給地点番号」「請求年月」および「ファイル名」と示されるとおり、請求書データから読み取られ排出量を特定するために用いられる供給地点番号および請求年月と、当該請求書データを特定するファイル名とを紐づけて記憶する機能がこれに相当する。」(手続補正書16頁)
(主張3:相違点3に関連する主張)
「 甲第1号証9頁の図中の「供給地点番号」「請求年月」および「ファイル名」が示されている。ここで、同図中の上に記載された「フィルタ」はこれらの項目について絞り込み(フィルタ機能)を行うために用いられる。この点について甲第1の3号証にて「フィルタ」の展開画面に「供給地点番号」「請求年月」が示されている。したがって、CO2排出量を特定するために用いられる供給地点番号や請求年月についてフィルタで指定を受け付け、指定されたCO2排出量に対応する請求書データを甲第1号証9頁の図中のファイル名で特定し、特定したファイル名の請求書データを読み出して甲第1号証10頁の図中左側に表示されている電力請求書データのように出力する機能が上記規定に相当する。」(手続補正書16頁)
B 主張の検討
(A)主張1について
甲1の2・011頁は、上記「第4」2(1)イのとおりであって、「第4」2(2)イのとおりの事項が把握できるものの、電力使用量に基づいて、CO2排出量を算出することは記載されていない。また、甲1の2・011頁は、「電力使用量を登録する」ことを説明するのみであって、「※電力使用量は、AI-OCR機能や、csv取り込み機能でも登録していただけます。」との記載は、電力使用量に基づいてCO2排出量を算出する機能がこれに相当することを説明するとまではいえない。
よって、申立人の主張する上記主張1に、理由はない。
(B)主張2、主張3について
甲1の「使用量PDF一覧」の画面は、「電力使用量PDFを承認する」ための画面であって、「請求書データ(請求書PDF)」と「排出量」とを紐付ける処理を行う画面ではない。また、甲1には、「排出量」を算出することも登録することも記載されていない。
このため、甲1に「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベース」が記載されているとはいない。
また、甲1の3は、甲1の「使用量PDF一覧」の画面(甲1・07~010頁)における「フィルタ」の機能を説明するものであるものの、甲1の3の「フィルタ」のリストの中に「請求年月」があるとしても、「請求書データ(請求書PDF)」を、フィルタリング処理を行える可能性があることを示しているにすぎないから、甲1の3のフィルタ機能が、本件発明1の「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する」ことに相当しないことは明らかである。
よって、申立人の主張する上記主張2及び主張3に理由はない。
(ウ)理由3-1のまとめ
以上のとおりであるから、相違点1について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲1発明A、甲1発明B及び甲1の3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明1について(その2)(甲1発明Bを主引用発明とする場合)
上記(1)ウ(ア)のとおり、甲1発明Bは、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベース」及び「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部」を構成に含んでいない点で、本件発明1と相違する。このように、本件発明1と甲1発明Bとの間には相違点があることから、本件発明1は、甲1発明Bではない(理由1)。
また、甲1発明Aも「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベース」及び「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部」を構成に含んでおらず、甲1の3にも記載されていない。
このため、甲1発明Bを主引用発明として、甲1発明A及び甲1の3記載事項を適用しても、上記相違点の構成には至らない。
よって、本件発明1は、甲1発明Bではなく、また、本件発明1は、甲1発明B、甲1発明A及び甲1の3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由3-1)。
(3)本件発明2~3について
「情報処理方法」の発明である本件発明2、「プログラム」の発明である本件発明3は、「情報処理システム」の発明である本件発明1と、実質的にカテゴリー表現が異なるのみの発明である。
そして、本件発明2は、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて対応データベースに登録するステップ」、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力するステップ」、本件発明3は、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて対応データベースに登録するステップ」、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力するステップ」との構成を有するものであり、甲1発明A又は甲1発明Bを、情報処理方法及びプログラムの発明に書き直した発明は、そのような構成を有していない点で相違する。
このため、甲1発明Aを上述したとおりに書き換えた発明と甲1発明Bを上述したとおりに書き換えた発明のいずれを主引用発明であるとしても、そして、その判断は、上記(1)ウ(ア)のとおりであるから、当該相違点は、甲1発明Aを情報処理方法及びプログラムに書き直した発明、甲1発明Bを情報処理方法及びプログラムに書き直した発明、及び、甲1の3記載事項技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
よって、本件発明2及び本件発明3は、いずれも、甲1発明Aを情報処理方法及びプログラムに書き換えた発明、又は、甲1発明Bを情報処理方法及びプログラムに書き直した発明ではなく(理由1)、また、本件発明2及び本件発明3は、いずれも、甲1発明Aを情報処理方法及びプログラムに書き換えた発明、または、甲1発明Bを情報処理方法及びプログラムに書き直した発明、及び、甲1の3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由3-1)。
2 理由2、理由3-2について
(1)本件発明1について
公然実施発明である甲1発明Cは、実質的に甲1発明A、甲1発明B及び甲1の3記載事項を合わせたものである。
そのため、甲1発明Cは、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベース」、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部」を構成に含んでいない点で、本件発明1と相違する。そして、当該相違点の判断は、上記(1)ウ(ア)のとおりである。
よって、本件発明1は、甲1発明Cではなく(理由2)、また、本件発明1は、甲1発明Cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由3-2)。
(2)本件発明2~3について
「情報処理方法」の発明である本件発明2、「プログラム」の発明である本件発明3は、「情報処理システム」の発明である本件発明1と、実質的にカテゴリー表現が異なるのみの発明である。
そして、本件発明2は、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて対応データベースに登録するステップ」、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力するステップ」、本件発明3は、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて対応データベースに登録するステップ」、「前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力するステップ」との構成を有するものであり、甲1発明Cを、情報処理方法及びプログラムの発明に書き直した発明は、そのような構成を有していない点で相違する。
そして、その判断は、上記(1)ウ(ア)のとおりであるから、当該相違点は、甲1発明Cを情報処理方法及びプログラムに書き直した発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
よって、本件発明2及び本件発明3は、いずれも、甲1発明Cではなく(理由2)、また、本件発明2及び本件発明3は、いずれも、甲1発明Cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由3-2)。
第6 むすび
請求項1~3に係る特許は、特許異議申立の理由によっては取り消すことはできず、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によって取り消すことはできない。
他に請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700678