特許異議申立
2023-700785
情報処理システム
- 審判番号
- 2023-700785
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-191925
- 登録番号
- 7217834
- 請求日
- 2023年07月28日
- 審決日
- 2023年11月01日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ゼロボード
- 【異議申立人】青木 なお子
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 渡邊 聡
- 審判官 緑川 隆
- 分類
- P1651.121-Y (G06Q) / P1651.113-Y (G06Q) / P1651.161-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7217834号発明「情報処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7217834号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7217834号の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和4年11月30日(優先権主張 令和4年7月1日)に特許出願され、令和5年1月26日にその特許権の設定登録がされ、令和5年2月3日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和5年7月28日に特許異議申立人 青木なお子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第7217834号の請求項1~5の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下、それぞれ、「本件発明1」などという。1A、1Bなどの符号は申立人が付与した符号を援用した。)
【請求項1】
1A サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、
1B 前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、
1C 自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得する活動量取得部と、
1D 前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部と、
1E 前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する排出量計算部と、
1F を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記使用商品が前記商品に用いられている割合に応じて前記第1の排出量を按分して、前記商品に係る前記使用商品の前記排出量である第3の排出量を計算し、前記第2及び第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムであって、
前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記第3の排出量を計算し、前記使用商品が他の商品に用いられていない場合には、前記第1の排出量を計算し、前記第1ないし第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
4A サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得するステップと、
4B 前記排出原単位を前記関連企業ごとに排出原単位記憶部に記憶するステップと、
4C 自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得するステップと、
4D 前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得するステップと、
4E 前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算するステップと、
4F をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
5A サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得するステップと、
5B 前記排出原単位を前記関連企業ごとに排出原単位記憶部に記憶するステップと、
5C 自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得するステップと、
5D 前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得するステップと、
5E 前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算するステップと、
5F をコンピュータに実行させるためのプログラム。
第3 申立理由の概要
申立人の主張は、概略、以下のとおりである。
(理由1)
証拠として甲第1号証を提出し、本件発明1~本件発明5は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、本件発明1~5に係る特許を取り消すべきものである、旨の主張。
(理由2)
証拠として甲第1号証~甲第3号証を提出し、このうちの甲第1号証を主たる引用文献としたうえで、本件発明1~本件発明5は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第3号証に記載された技術事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、本件発明1~5に係る特許を取り消すべきものである、旨の主張。
(理由3)
証拠として甲第4号証を提出し、本件発明1~本件発明5は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、本件発明1~5に係る特許を取り消すべきものである、旨の主張。
第4 各甲号証の記載
(1)甲第1号証(特開2010-191832号公報)には、以下のとおりの記載がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業分野向けの製造管理に用いられるカーボントレーサビティ管理システムに関する。
【0009】
このため、製品が生産されるために、資材や電力といった取引先で発生した温室効果ガスも含めて、製品が生産されることによるトータルに排出された温室効果ガスを把握する上で、或いは削減する上で大きな効果が期待できるのは、素材などの特定の産業に限られてしまう。
【0016】
本発明の目的は、製品単位でその生産にかかわる温室効果ガス排出を把握できる管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明のカーボントレーサビティ管理システムは、外部からの受電電力,受入冷温熱量,自家発設備運転実績,冷温熱設備運転実績,資材受け払い実績を記録管理する手段と、製品の生産実績を管理する手段と、各実績から温室効果ガス排出量を計算する手段と、算出した温室効果ガス排出量を製品一単位量に配賦する手段と、製造ロットに対して配賦した温室効果ガス排出量データを、ロットの固有データとして管理する手段を備えたものである。
【0019】
また、受け払い実績を記録管理する手段は、受入資材の温室効果ガス排出量の原単位を価格や納入日などとともに記録するものである。
【0025】
図1は本発明の実施例1によるカーボントレーサビリティ管理システムの構成を示す図である。本実施例のシステムは、受変電設備110や自家発電設備123,冷温熱設備122や油空圧設備121などの生成設備を上位制御あるいは管理するユーティリティ管理装置102と、製造設備131,132を管理する製造実行管理装置103と、資材及び原材料の受け払いを行う入出庫業務141や資材及び原材料を保管する保管設備142を管理する資材管理装置104と、事務所などの空調設備151,照明設備152,計算機及び通信設備153を管理するファシリティ管理装置105などを備えている。
【0026】
又、ユーティリティ管理装置102から得られる原動力系設備運転実績と、製造実行管理装置103から得られる各製造ロットの設備使用実績,資材及び原材料使用実績,洗浄などにともなう設備使用実績と資材及び原材料使用実績と、資材管理装置104から得られる使用した資材及び原材料の保管期間や、その製造に要した温室効果ガスの排出量原単位,資材の保管に要した空調及び照明の使用実績と保管施設の使用実績と、ファシリティ管理装置105から得られるファシリティ設備のエネルギー使用実績と、洗浄やロット廃棄に伴う温室効果ガスの排出量の割り当てポリシー106と、設備毎の運転状態に応じた温室効果ガスの排出当量データ107と、資材及び原材料のうち製造に伴う温室効果ガスの排出量がわからないものに関しては予め、産業連関表などを用いて作成した温室効果ガスの排出量データ108とを用い、製品および中間品の製造ロット毎に温室効果ガスの排出量の配賦計算を行うロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置101を備えている。
【0027】
製造実行管理装置103は、各ロットについて、投入した資材及び原材料や使用した設備の使用実績を記録する。資材及び原材料については、そのロット番号と使用量を、設備に関しては当該ロットで使用した電力,冷温熱量などを記録する。ここで、冷温熱量は、温水,冷水の量と温度,蒸気の量,温度,圧力である。
【0028】
資材管理装置104は、資材及び原材料の保管状況,入出庫状況を管理する。製造実行管理装置103で引き当てられた資材及び原材料のロットについて、入庫から出庫に至る期間の情報を管理する。また入出庫に伴う搬送設備の使用電力ならびに、空調使用実績を管理する。
【0029】
ユーティリティ管理装置102は、受変電設備の利用状況や冷温熱生成設備の運転状況を秒単位あるいは分単位、あるいは時単位で管理し、製造実行管理装置103で記録した当該ロットの製造にかかわる設備の運用、すなわち開始~終了の時間、その期間での冷温熱や電力,蒸気,油空圧の使用量に伴うユーティリティ設備の利用状況を管理する。ここで、ロットの製造にかかわる設備の運用は、開始~終了の時間、その期間での冷温熱や電力,蒸気,油空圧の使用量である。
【0030】
ファシリティ管理装置105は、製造実行管理装置103で記録した当該ロットの製造期間中のファシリティ設備の使用エネルギーを管理する。
【0031】
ロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置101は、製品及び中間品ロットの温室効果ガスの排出量の配賦手段を用いて、製造実行管理装置103の記録した特定のロットの製造実績に基づき、そのロットの生産に伴い発生したと想定されるユーティリティや資材及び原材料,ファシリティによる温室効果ガスの排出量を計算する。
【0032】
温室効果ガスの排出量の計算に当たっては、使用した発電設備などの温室効果ガスの排出当量データ107や資材及び原材料の温室効果ガスの排出量データ108を用いる。ここで、温室効果ガスの排出当量データ107は、当該設備の運転状態で単位時間或いは単位出力あたりに生成する温室効果ガスの排出量のことを言う。また資材及び原材料の生産による温室効果ガス排出量データ108は、入荷時に当該資材及び原材料ロットの温室効果ガス排出量原単位情報160があればこれを用い、無ければ産業連関など固定のデータを用いて計算する。
【0034】
ロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置101は、ロットごとに製造量や使用原料などの管理項目に加え、前述の方法で算出したロット毎の温室効果ガスの排出量も記録管理する。
【0037】
図4は、各ロットや各設備の運転状況を示すデータの一例である。製造ロットのデータ500には当該製造ロットに含まれる工程とその開始時刻,終了時刻,使用設備,使用ユーティリティの量などが記録される。また、データ501には、使用した資材及び原材料のロット番号と使用量が記録されている。
【0041】
図9に示す在庫情報1001では、資材及び原材料の在庫状況を記録する。資材及び原材料のロット番号とその品目情報,入荷(入庫日),入庫場所の他,在庫量,温室効果ガス排出原単位も記録する。在庫量は出庫の都度更新する。温室効果ガス排出原単位(製造原単位)は、当該資材及び原材料の購入時に購入元からデータが得られる場合に記録する。また、当該購入元から本実施例の管理システムを使う事業所までの輸送に伴う温室効果ガス排出量を、入荷時の入荷量で除して得られる輸送原単位を製造原単位に加算して記録しても良い。このような輸送に伴う温室効果ガスの排出は、素材の輸送に係わる排出当量405のようなデータを予め用意しておいて、実際の輸送距離に応じた排出量を計算する方式を採っても良い。
【0043】
図11には、資材及び原材料別の温室効果ガス排出当量データ108の例を示す。これは産業連関表などから作成することができる。品目AAを1kg消費した場合、0.12kgの温室効果ガス排出とみなすということを表すデータで、在庫情報に原単位データが無い場合に、このデータを使用して原料製造及び輸送に伴う温室効果ガス排出量の推定値を得ることができる。
【0046】
このようなデータを予め定義しておき、図2のフローチャートに従って、製造ロットに対して温室効果ガス排出量を配賦し、温室効果ガスの排出量を計算する。
【0047】
まず、製造が終了しているが、まだ温室効果ガス排出量配賦がされていない製造ロットを製造ロットの実績501の情報を用いて抽出する。抽出した製造ロットに関して、ステップ301で、実績データ501から使用した設備とユーティリティ,資材及び原材料ロットを識別し、その実績データを取得する。
【0048】
ステップ302の当該ロットの各使用設備について、ステップ303の各ユーティリティに対して、スッテップ311で、そこで使用した各ユーティリティの使用実績を取得する。ステップ312で、当該時間帯の当該ユーティリティの運用状態601,701,801を取得し、ステップ313で、当該ユーティリティの温室効果ガス排出当量データ401~404の取得を行い、ステップ314で、当該ユーティリティで排出された温室効果ガス排出のうち、当該ロットに係わる量を計算して按分する。
【0049】
ステップ320で、当該ロットで使用した資材及び原材料に関して、在庫情報を取得し、ステップ323で、仕入れ元からの原単位データがある場合はその値を取得し、無い場合は、ステップ324で、資材及び原材料別温室効果ガス排出量データ108の値を取得する。
【0050】
ステップ325で、当該資材及び原材料の使用量と取得した原単位を用いて、資材及び原材料の製造および輸送に伴う温室効果ガス排出量を計算する。また、ステップ326で、当該資材及び原材料の在庫期間の当該倉庫のファシリティでのエネルギー使用による温室効果ガス排出を同じ倉庫を使用する他の原材料の重量比あるいは熱容量比で按分し、保管に伴う温室効果ガス排出量を計算する。
【0051】
ステップ330で、排出量の計上が未完了の廃棄ロットや洗浄作業の実績がある場合、割り当て106に従って、ステップ331で、それらのロットによる排出を、当該ロットに按分する必要があるかどうかを判定し、按分が必要な場合は、ステップ332で、対象となる廃棄ロット或いは洗浄作業の資材及び原材料使用ならびにユーティリティ使用に伴う温室効果ガス排出量を計算する。ステップ333で、割り当てポリシー106に従って排出量を当該ロットに按分し、ステップ334で、排出量計上値を更新する。
【0052】
ステップ340で、ファシリティによる排出量の内、計上が未完了の時間帯に関して、ステップ341で、その時間帯が、当該製造ロットの実施された時間帯に掛かっているか否かを判定し、掛かっていれば、ステップ342で、その時間帯に実施された他の製造ロットとの間で均等に按分する。掛かっていなければ、ステップ343で、当該時間帯のファシリティによる排出量の一定割合を按分し、ステップ344で、排出量計上値を更新する。
【0083】
以上、説明したように、本発明の各実施例によれば、任意の製品の製造を行う任意の一ロットについて、該製品を一単位量生産するために排出された温室効果ガスの量を、受電して使用した電力や自家発電による電力,蒸気使用量などのように、その生産活動で直接使用したエネルギーなどに伴う温室効果ガス排出だけでなく、原材料の生産過程で生成された温室効果ガス排出量や、その保存過程で排出された温室効果ガスも合わせて把握する事ができる。
【0088】
各実施例は、組み立て加工工場,化学工場,食品工場などで行われる製造工程,資材受け払いと受発注を管理する情報処理システムに活用できる。
[図:0001404833000001.jpg]
[図:0001404833000002.jpg]
図4
[図:0001404833000003.jpg]
図9
[図:0001404833000004.jpg]
以上の甲第1号証の記載によれば、甲第1号証には以下のとおりの発明が開示されている。(以下、「甲1発明」という。)
生成設備を上位制御あるいは管理するユーティリティ管理装置102と、
製造設備131,132を管理する製造実行管理装置103と、
資材及び原材料の受け払いを行う入出庫業務141や資材及び原材料を保管する保管設備142を管理する資材管理装置104と、
事務所などの空調設備151,照明設備152,計算機及び通信設備153を管理するファシリティ管理装置105などを備え、(以上【0025】)
資材管理装置104から得られる使用した資材及び原材料の保管期間や、その製造に要した温室効果ガスの排出量原単位,資材の保管に要した空調及び照明の使用実績と保管施設の使用実績等を用い、製品および中間品の製造ロット毎に温室効果ガスの排出量の配賦計算を行うロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置101を備え、(【0026】)
ユーティリティ管理装置102は、当該ロットの製造にかかわる設備の開始~終了の時間、その期間での冷温熱や電力,蒸気,油空圧の使用量に伴うユーティリティ設備の利用状況を管理し、(【0029】)
ファシリティ管理装置105は、当該ロットの製造期間中のファシリティ設備(事務所などの空調設備151,照明設備152,計算機及び通信設備153(【0025】))の使用エネルギーを管理し、(【0030】)
ロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置101は、製品及び中間品ロットの温室効果ガスの排出量の配賦手段を用いて、製造実行管理装置103の記録した特定のロットの製造実績に基づき、そのロットの生産に伴い発生したと想定されるユーティリティや資材及び原材料,ファシリティによる温室効果ガスの排出量を計算するものであって、(【0031】)
在庫情報1001は、資材及び原材料の在庫状況を記録するものであって、資材及び原材料のロット番号とその品目情報,入荷(入庫日),入庫場所の他,在庫量,温室効果ガス排出原単位も記録し、温室効果ガス排出原単位(製造原単位)は、当該資材及び原材料の購入時に購入元からデータが得られる場合に記録し、(【0041】)
製造ロットに対して温室効果ガス排出量を配賦し、温室効果ガスの排出量を計算することは、(【0046】)
製造が終了しているが、まだ温室効果ガス排出量配賦がされていない製造ロットを製造ロットの実績501の情報を用いて抽出し、(【0047】)
抽出した製造ロットに関して、ステップ301で、実績データ501から使用した設備とユーティリティ,資材及び原材料ロットを識別し、その実績データを取得し、(【0047】)
ステップ302の当該ロットの各使用設備について、ステップ303の各ユーティリティに対して、スッテップ311で、そこで使用した各ユーティリティの使用実績を取得し、(【0048】)
ステップ312で、当該時間帯の当該ユーティリティの運用状態601,701,801を取得し、(【0048】)
ステップ313で、当該ユーティリティの温室効果ガス排出当量データ401~404の取得を行い、(【0048】)
ステップ314で、当該ユーティリティで排出された温室効果ガス排出のうち、当該ロットに係わる量を計算して按分し、(【0048】)
ステップ320で、当該ロットで使用した資材及び原材料に関して、在庫情報を取得し、ステップ323で、仕入れ元からの原単位データがある場合はその値を取得し、(【0049】)
ステップ325で、当該資材及び原材料の使用量と取得した原単位を用いて、資材及び原材料の製造および輸送に伴う温室効果ガス排出量を計算し、(【0050】)
ステップ340で、ファシリティによる排出量の内、計上が未完了の時間帯に関して、ステップ341で、その時間帯が、当該製造ロットの実施された時間帯に掛かっているか否かを判定し、掛かっていれば、ステップ342で、その時間帯に実施された他の製造ロットとの間で均等に按分する。掛かっていなければ、ステップ343で、当該時間帯のファシリティによる排出量の一定割合を按分し、ステップ344で、排出量計上値を更新する、(【0052】)
任意の製品の製造を行う任意の一ロットについて、該製品を一単位量生産するために排出された温室効果ガスの量を、受電して使用した電力や自家発電による電力,蒸気使用量などのように、その生産活動で直接使用したエネルギーなどに伴う温室効果ガス排出だけでなく、原材料の生産過程で生成された温室効果ガス排出量や、その保存過程で排出された温室効果ガスも合わせて把握する事ができ、(【0083】)
また、組み立て加工工場,化学工場,食品工場などで行われる製造工程,資材受け払いと受発注を管理する情報処理システムに活用できる、(【0088】)
カーボントレーサビティ管理システム。(【0001】)
(2)甲第2号証(トイレットペーパーのカーボンフットプリント(CFP)の試算)には、以下のとおりの記載がある。
[図:0001404833000005.jpg]
[図:0001404833000006.jpg]
[図:0001404833000007.jpg]
[図:0001404833000008.jpg]
[図:0001404833000009.jpg]
以上の記載によれば、甲第2号証の記載によれば、甲第2号証には以下の技術事項が記載されている。
「再生紙トイレットペーパー6個パック製品についてカーボンフットプリントの計算を行うに際して、原材料調達段階、生産段階、流通・販売段階、使用・維持管理段階、廃棄・リサイクル段階の5段階に分けて、それぞれの段階毎にトイレットロール1個あたりのCO2排出量を求める(静岡県産トイレットペーパーの例)ことに関する技術事項。」
(3)甲第3号証(特開2011-204217号公報)には、以下のとおりの記載がある。
【0006】
上記特許文献に記載された方法は、製品を構成する素材毎に、例えば生産時に投入するエネルギー、使用時に消費するエネルギー等が記録されたファイルを参照して製品単位あたりのCO2発生量等を評価する。しかしながら、このような方法では、例えば1製品あたり数十種類の原料から構成され、各原料が多種類の素原料で構成されている製品を管理するには不向きであり、例えば製品の設計段階で製品を構成する原料の組み合わせや配合率等を変えたり、製品の原材料調達段階で、複数の原材料調達先と複数の生産工場の組み合わせを変えたりして、製品の各ライフサイクルで発生するCO2排出量を削減するためのシミュレーションを効率良く行うことができなかった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、多種類の原料から構成される製品を一元管理して、製品のライフサイクルで発生する温室効果ガス排出量により製品の環境負荷をシミュレーションする環境負荷シミュレーション装置、環境負荷シミュレーション方法、及び環境負荷シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【0027】
温室効果ガス排出量算出手段17は、画面生成手段16に入力された設定条件に基づいて、予め温室効果ガス排出量を算出するための関連情報が格納されたデータベース群等を参照し、データベース群から取得される各設定条件に対応した関連情報から、対象製品の原料調達、生産、物流、販売、使用、廃棄に至るまでの対象製品のライフサイクル段階毎に温室効果ガス排出量を算出する。
【0031】
上述したように、環境負荷シミュレーション装置10は、各機能をコンピュータに実行させることができる環境負荷シミュレーションプログラムを生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にプログラムをインストールすることにより、本発明における環境負荷シミュレーションを実現する。
【0041】
また、ネットワーク接続装置27は、通信ネットワークに接続された外部装置により予め温室効果ガス排出量算出のための関連情報等の各種データを取得することもできる。
【0052】
排出係数データベース34には、例えば既に公表されているGHG排出係数(原単位)等の情報が格納されている。
【0094】
<CFPデータベース:製品一覧を表示するための画面例>
図7は、CFPデータベースの製品一覧を表示するための画面例を示す図である。図7に示すように、CFPデータベース37に格納された製品の製品一覧が表示された画面70には、製品毎に構成されたCPF情報が表示されるCPF情報領域71を有している。CPF情報領域71には、例えば、「製品コード」、「担当工場」、「発売年月」、「価格/容量」、「処方系」、「容器形態」、「材質」、「外観」等の情報が格納されている。
【0095】
また、各CPF情報領域71-1、71-2には、その製品毎に算出されたライフサイクルを通じて排出されるCO2総排出量が表示され、その表示された下部分に使用段階のCO2排出量を除いたCO2総排出量が参考情報として表示されている。
【0121】
また、図12に示すように、製品の生産段階の画面100において、例えば按分方式によりGHG排出量としてCO2排出量を算出した画面100-2が表示されている。ここで、按分方式とは、工場全体の電力・ガス・水使用量からGHG排出量を算出し、製品の重量や価格等で割りふるものである。
【0124】
ここで、温室効果ガス排出量算出手段17は、CFPデータベース37に格納された「工場CO2排出総量(t/year)」を商品(製品)の売上高(出荷価格ベース)で按分して、商品(製品)全体のCO2排出量を求め、これを「製品出荷数量(個)」で除して商品(製品)1個当たりのCO2排出量を算出し、例えば図12に示すように生産段階のCO2排出量「72.7g」と表示する。
【0152】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態として、上述した環境負荷シミュレーション装置において、温室効果ガス排出量算出手段17により二次データ(代替データ)を用いて算定されるGHG排出量算定方法について説明する。
以上の記載によれば、甲第3号証には以下の技術事項が記載されている。
「対象製品のライフサイクル段階毎に温室効果ガス排出量を算出するものにおいて、通信ネットワークに接続された外部装置により予め温室効果ガス排出量算出のための関連情報等の各種データを取得することもできることや、排出係数データベース34には、例えば既に公表されているGHG排出係数(原単位)等の情報が格納されていることに関する技術事項。」
(4)甲第4号証(特願2022-100106号(特許第7178064号)には、以下のとおりの記載がある。
【0017】
図1は、本実施形態によるGHG排出量導出システム10の全体構成の一例を示す。GHG排出量導出システム10は、導出装置100、X社データベース200、及び排出原単位データベース300を備える。導出装置100は、ネットワーク50を介してX社データベース200及び排出原単位データベース300等の各種データベースと通信する。
【0018】
図2は、導出装置100を構成する各部の一例を示す。導出装置100は、取得部102、導出部104、比率受付部106、排出係数受付部108、提示部110、及び生産量受付部112を有する。本実施形態による導出装置100は、コンピュータであってよい。コンピュータは、CPU、ROM、RAM、EEPROM(登録商標)等の各種メモリ、通信バス及びインタフェースを有し、予めファームウェアとしてROMに格納された処理プログラムをCPUが読み出して順次実行することで、導出装置100として機能してよい。導出装置100が備える各部は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶され、GHG排出量を導出するための各種処理を行うプログラムをインストールし、このプログラムをコンピュータに実行させることで、構成してよい。つまり、コンピュータにGHG排出量を導出するための各種処理を行うプログラムを実行させることにより、導出装置100が備える各部としてコンピュータを機能させることで、導出装置100を構成してもよい。
【0019】
近年、事業者自らの温室効果ガスの排出量(GHG排出量)だけでなく、事業活動に関わる全てのサプライチェーンのGHG排出量を示すサプライチェーン排出量を導出することにより、組織活動全体を把握、管理することが試みられている。サプライチェーン排出量は、事業者の原料調達、製造、物流、販売、廃棄等の一連の流れ全体における組織活動に伴って発生するGHG排出量を示す。サプライチェーン排出量は、スコープ1、スコープ2、及びスコープ3から構成される。
【0020】
スコープ1は、事業者自身により直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量を示す。スコープ2は、事業者が電力会社等の他社から電気、熱、蒸気等のエネルギーを購入し、購入したエネルギーを使用することに伴う間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量(エネルギー起源の間接排出)を示す。スコープ3は、スコープ1及びスコープ2に含まれない事業者のサプライチェーンにおける活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を示す。スコープ3は、活動内容によりさらに15のカテゴリに分類される。
【0021】
カテゴリ1は、「購入した製品・サービス」を示す。カテゴリ2は、「資本財」を示す。カテゴリ3は、「スコープ1及びスコープ2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動」を示す。カテゴリ4は、「輸送、搬送(上流)」を示す。カテゴリ5は、「事業活動から出る廃棄物」を示す。カテゴリ6は、「出張」を示す。カテゴリ7は、「雇用者の通勤」を示す。カテゴリ8は、「リース資産(上流)」を示す。カテゴリ9は、「輸送、配送(下流)」を示す。カテゴリ10は、「販売した製品の加工」を示す。カテゴリ11は、「販売した製品の使用」を示す。カテゴリ12は、「販売した製品の廃棄」を示す。カテゴリ13は、「リース資産(下流)」を示す。カテゴリ14は、「フランチャイズ」を示す。カテゴリ15は、「投資」を示す。スコープ3は、15のカテゴリに含まれない間接的なGHG排出量を示す「その他」をさらに含む。「その他」に該当するGHG排出量は、例えば、従業員または消費者の日常生活に関するGHG排出量等を含む。
【0022】
サプライチェーン排出量は、スコープ1排出量、スコープ2排出量及びスコープ3排出量を合計したものである。スコープ1~スコープ3を通して、基本式は、活動量×排出原単位である。スコープ3排出量においては、基本式を15のカテゴリごとに導出し、合計して導出する。基本式中の活動量とは、事業者の活動の規模に関する量である。例えば、電気の使用量、貨物の輸送量、廃棄物の処理量、各種取引金額等が該当する。活動量は、製品またはサービスに関する組織内の各種データ、文献データ、業界平均データ、設計値等から収集する。排出原単位とは、活動量当たりのGHG排出量である。例えば、電気1kWh使用当たりのGHG排出量、貨物の輸送量1トンキロ当たりのGHG排出量、廃棄物の焼却1t当たりのGHG排出量等が該当する。排出原単位は、基本的には既存のデータベースから選択して使用するが、排出量を直接計測する方法または取引先から排出量の導出結果の提供を受ける方法もある。
【0023】
ところで、特に製造業においては、自社において製品ごとのGHG排出量の算定を行い、納品先に対して製品1つ当たりのGHG排出係数(カーボンフットプリント(Cradle‐to‐Grave)とも言う)を如何に提供するかが大きな課題となっている。
【0024】
そこで、本実施形態により、製品ごとのGHG排出量を算定し、製品1つ当たりのGHG排出係数を導出できる導出装置、導出方法及びプログラムを提供する。なお、本実施形態において製品とは、サービスも含むものとする。また本実施形態において組織とは、企業に限定されず、個人事業、官公庁、地方自治体、学校、組合、団体等を広く含むものとする。
【0025】
図3A、図3B、図3C、図3D、及び図3Eは、組織の活動内容ごとの温室効果ガス排出量(GHG排出量)を示すGHG排出量情報を示す。図3Aに示されるGHG排出量情報は、X社データベース200内に、相互に関連付けられて格納されている図3B~図3Eのテーブルを結合して作成したテーブルである。これより、X社の製品のうちの1つであるA製品についての2021年4月1日から2022年3月31日までの総GHG排出量を導出することとする。まず製品Aに関する情報について登録する。
【0026】
図4は、製品情報を登録するための画面を示す。製品名ボックスB10に"製品A"と入力する。完成品/中間製品ボックスB12において、プルダウンより"中間製品"を選択する。加工地ボックスB14において、プルダウンより"Y工場"を選択する。納品先加工地ボックスB24において、プルダウンより"Z工場"を選択する。供給地点特定番号ボックスB16に、電力の供給地点特定番号を入力する。納品先供給地点特定番号ボックスB26に、納品先の電力の供給地点特定番号を入力する。生産数ボックスB18及び販売数ボックスB20にそれぞれ"1000000"と入力する。生産年度B22はプルダウンより"2021"を選択する。図4の画面は一例にすぎず、これより多いまたは少ない数の項目が含まれていてよい。
【0027】
取得部102は、組織の活動内容ごとのGHG排出量を示すGHG排出量情報から、組織により提供される製品に関わる組織の活動内容を示す活動情報に基づいて、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量を取得する。
【0028】
取得部102は、図3AのGHG排出量情報に対し、期間が2021年4月1日から2022年3月31日まで、且つ「備考」列C1に"共通"または"A製品"を含むものという条件で問い合わせ、該当するすべての行を抽出させる。「備考」列の"共通"は、該当行がA製品のみではなく、複数の製品に共通して適用されるデータであることを示す。「備考」列の"A製品"は、該当行がA製品のみに適用されるデータであることを示す。
【0029】
図5は、上記の問い合わせの結果、抽出された情報を示す。図5中に表示された表全体が、組織により提供される製品に関わる組織の活動内容を示す活動情報である。表内の各行が、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量である。なお、この説明においては、条件を指定して該当する行を抽出したがこれは例示に過ぎない。例えば、図3Aに示すGHG排出量情報に「備考」列が含まれていなくてよい。この場合、ユーザが所望の行を直接選択して活動情報を抽出してもよい。
【0030】
導出部104は、取得部102により取得された製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量に基づいて、製品に関わる総GHG排出量を導出する。図5中のSUM(GHG排出量)フィールドF10には予め計算式が設定されており、図5中のGHG排出量列に含まれるすべての値を合計した値が表示される。導出部104は、SUM(GHG排出量)フィールドF10に表示された値812300.5に対し、A製品のための予め定められた係数をかける。予め定められた係数とは、製品ごとに予め決められた係数であってよい。例えば、予め定められた係数は、製品の売上高に対する割合、組織で扱う製品の販売台数の割合等であってよい。X社で扱う製品は、例えば、A製品及びB製品の2つである。そこで、導出部104は、812300.5にA製品のための予め定められた係数0.5をかけて、406150.25を導出してよい。これにより、A製品に関わる総GHG排出量は、406150.25として導出される。
【0031】
取得部102は、予め定められた期間ごとに、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量を取得し、導出部は、予め定められた期間ごとに、総GHG排出量を導出する。上記の説明において、期間は2021年4月1日から2022年3月31日までで指定している。このように、本実施形態において、組織の活動内容を示す活動情報は期間を指定して取得できる。
【0032】
これに代えてまたは加えて、導出装置100は、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量に対して、製品に関わるGHG排出量として割り当てる各比率を受け付ける比率受付部106をさらに備えてよい。図6はGHG排出量に対して比率を割り当てるための画面を示す図である。図6を参照すると、図5に示された表に対し、さらに「比率」列C10及び「乗算後GHG排出量」列C12が追加されている。「比率」列C10に入力された値が比率受付部106で受け付けられる。図6の表中の第1行目の電気使用量、第2行目のガソリン使用量、第3行目のネジ購入及び第4行目の出張は、「備考」列に"共通"と示されていることから、A製品のみではなくX社の複数の製品に適用されるデータである。よって、これら"共通"のデータにA製品の占める比率を指定することとする。2021年4月1日の電気使用量に占めるA製品の比率は50%である。よって、比率受付部106はユーザによる「50%」の指定を受け付ける。同様に、比率受付部106は、ガソリン使用量、ネジ購入及び出張についても比率の指定を受け付ける。A製品用包装材購入及びA製品配送については、A製品のみに適用されるデータであるので比率の指定は行われない。ユーザが比率の指定が終了し、比率登録ボタンD1をクリックすると、「比率」列C10に隣接する「乗算後GHG排出量」列C14に、「GHG排出量」列C14の各値に「比率」列C10の各値を乗算した値が自動的に表示される。比率を指定しないA製品用包装材購入及びA製品配送については、比率登録ボタンD1をクリックすると、「比率」列C10に自動的に100%と入力されるとともに、「乗算後GHG排出量」列C12に「GHG排出量」列C14の値がコピーされる。
【0033】
導出部104は、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量に対して各比率を乗算し、乗算後のGHG排出量のそれぞれを合計することで、総GHG排出量を導出する。図6中のSUM(乗算後GHG排出量)フィールドF12には予め計算式が設定されており、比率登録ボタンD1がクリックされると、「乗算後GHG排出量」列C12に含まれるすべての値を合計した値を表示する。導出部104は、SUM(乗算後GHG排出量)フィールドF12の値を読み取ることで、A製品の総GHG排出量を導出する。なお、比率については予め決められていてよい。例えば、製品の生産台数の比率、生産時間の比率等に基づき予め決められてよい。または比率ではなく、実測値の指定を受け付けるよう設計されてもよい。後述のように、ここで導出したA製品の総GHG排出量には、販売した製品の加工(カテゴリ10)、販売した製品の使用(カテゴリ11)及び販売した製品の廃棄(カテゴリ12)の各GHG排出量は含まれていない。
【0034】
組織の活動内容ごとのGHG排出量は、組織より直接的に排出されたGHG排出量を示す直接排出量と、組織がエネルギーを購入することで間接的に排出されたGHG排出量を示す間接排出量と、直接排出量及び間接排出量に含まれない組織の活動により排出されたGHG排出量を示す他の間接排出量とを含む。図6に示された表の、第2行目のガソリン使用量はスコープ1、すなわち組織より直接的に排出されたGHG排出量を示す直接排出量に相当する。第1行目の電気使用量はスコープ2、すなわち組織がエネルギーを購入することで間接的に排出されたGHG排出量を示す間接排出量に相当する。第3行目のネジ購入、第4行目の出張、第5行目のA製品用包装材購入及び最後の行のA製品配送はスコープ3、すなわち直接排出量及び間接排出量に含まれない組織の活動により排出されたGHG排出量を示す他の間接排出量に相当する。
【0035】
活動情報は、組織の活動内容として製品の加工、使用及び廃棄を示さず、導出装置100は、製品の加工、使用及び廃棄の少なくとも1つのGHG排出量の排出係数及び排出係数に応じた活動量を受け付ける排出係数受付部108をさらに備える。導出部104は、取得部102により取得される組織の活動内容ごとのGHG排出量と、少なくとも1つのGHG排出量の排出係数及び活動量とに基づいて、総GHG排出量を導出する。図6の活動情報には、販売した製品の加工(カテゴリ10)、販売した製品の使用(カテゴリ11)及び販売した製品の廃棄(カテゴリ12)の各GHG排出量は含まれていない。理由は、カテゴリ10、カテゴリ11及びカテゴリ12については、主体は組織X社ではなく、製品の販売先であるからである。よって、製品の加工、使用及び廃棄の各GHG排出量は別途導出する必要がある。加工、使用及び廃棄のGHG排出量を導出するにあたっては、納品先に加工、使用及び廃棄のシナリオを設定してもらい、加工、使用及び廃棄に伴う排出係数及び活動量を提供してもらうことが望ましい。納品先からの排出係数及び活動量の取得は、ブロックチェーンにより行われてよい。
【0036】
図7は、排出係数受付部108で受け付けられる排出係数を入力する画面の一例である、製品の加工、使用及び廃棄に関する排出係数及び活動量を受け付けるための画面を示す。ここで図4において登録した情報により、A製品はパソコンであり、2021年度の販売台数は100万台であるとする。ここでの説明におけるパソコンは、メーカに納入すると、メーカがOS及び他のアプリケーションをプリインストールする中間製品であるとする。
【0037】
まずカテゴリ10の販売した製品の加工に関するGHG排出量を導出する。パソコンの加工のシナリオとして、納品先メーカでのプログラムのインストールに1台につき1時間かかるとする。また1時間当たりの消費電力を0.1kWh、排出係数を0.0004530(t-CO2/kWh)とする。よって、「販売した製品の加工に関する排出係数及び活動量を指定」エリアにおいて、「活動量」フィールドF20に「0.1(kWh)×1(h)×1,000,000(個)」と入力する。「排出係数」フィールドF22に「0.0004530(t-CO2/kWh)」と入力する。すると、計算式が設定された「GHG排出量(加工)」フィールドF24に「45.3」と表示される。なお、ここでの説明は例示に過ぎず、他に活動量として販売量を、排出係数として販売数1個当たりCO2換算量を入力するとしてもよい。または、活動量として販売数を、排出係数として電力使用量×時間を入力するとしてもよい。販売した製品の加工に関するGHG排出量が導出できる限り、本実施形態はこの点において限定しない。
【0038】
次に、販売した製品の使用に関するGHG排出量を導出する。カテゴリ11のGHG排出量は、報告対象年の販売数とその生涯排出量を乗じたものである。パソコンの使用のシナリオとしては、仕様書から年間消費電力量は1350kWh、平均的な耐用年数は5年という情報を入手した。排出係数は、加工の場合と同じ0.0004530(t-CO2/kWh)とする。よって、「販売した製品の使用に関する排出係数及び活動量を指定」エリアにおいて、「活動量」フィールドF26に「1350(kWh)×5(年)×1,000,000(個)」と入力する。「排出係数」フィールドF28に「0.0004530(t-CO2/kWh)」と入力する。すると、計算式が設定された「GHG排出量(使用)」フィールドF30に「3057750」と表示される。ここでの説明は例示に過ぎず、他に活動量として販売量を、排出係数として販売数1個当たりCO2換算量を入力するとしてもよい。または、活動量として販売数を、排出係数として電力使用量×時間を入力するとしてもよい。販売した製品の使用に関するGHG排出量が導出できる限り、本実施形態はこの点において限定しない。
【0039】
続けて、販売した製品の廃棄に関するGHG排出量を導出する。パソコンの廃棄のシナリオとしては、パソコンは、パソコン本体及びディスプレイ一体型のもので、想定重量8・09kg、輸送を伴うリサイクルを行うとする。この場合における一台当たりの排出係数は0.000521(t-CO2/台)である。よって、「販売した製品の廃棄に関する排出係数及び活動量を指定」エリアにおいて、「活動量」フィールドF32に「1,000,000(個)」と入力する。「排出係数」フィールドF34に「0.000521(t-CO2/台)」と入力する。すると、計算式が設定された「GHG排出量(廃棄)」フィールドF36に「521」と表示される。
【0040】
図7のB1と示されたエリアに、SUM(加工、使用、廃棄)フィールドF40が配置されている。SUM(加工、使用、廃棄)フィールドF40には計算式が設定されており、「GHG排出量(加工)」フィールドF24、「GHG排出量(使用)」フィールドF30及び「GHG排出量(廃棄)」フィールドF36の各値を合計した合計値65798.3が自動的に表示される。
【0041】
図7のC1と示されるエリアには、SUM(A1+B1)フィールドF42が設けられている。SUM(A1+B1)フィールドF42には、SUM(加工、使用、廃棄)フィールドF40の値「65798.3」に、図6のA1エリアに示されたSUM(乗算後GHG排出量)の値を加えた値が入力されている。ここでは、図6のA1エリアに示された乗算後GHG排出量は453215であったとする。導出部104は、SUM(A1+B1)フィールドF42に表示された値519013.3を読み取ることで、取得部102により取得される組織の活動内容ごとのGHG排出量と、少なくとも1つのGHG排出量の排出係数及び活動量とに基づいて、総GHG排出量を導出する。なお、上記の説明は、製品Aが中間製品である場合について行った。製品Aが完成品の場合は、図7の表示には「販売した製品の加工に関する排出係数及び活動量を指定」エリアは含まれなくてよい。
【0042】
以上、まとめると、製品が加工が不要な完成品である場合、排出係数受付部108は、製品の使用及び廃棄の各排出係数及び前記各排出係数に応じた各活動量を受け付け、導出部104は、取得部102により取得される組織の活動内容ごとのGHG排出量と、各排出係数及び前記各活動量とに基づいて、総GHG排出量を導出する。一方、製品が加工が必要な中間製品である場合、排出係数受付部108は、製品の加工、使用及び廃棄の各排出係数及び前記各排出係数に応じた各活動量を受け付け、導出部104は、取得部102により取得される組織の活動内容ごとのGHG排出量と、各排出係数及び各活動量とに基づいて、総GHG排出量を導出する。
【0043】
なお、製品の加工、使用及び廃棄の各「排出係数」列で排出係数の指定を受け付ける場合に、少なくとも1つの排出係数を提示してよい。具体的には、導出装置100は、少なくとも1つの排出係数を提示する提示部110をさらに備え、排出係数受付部108は、提示部110により提示される少なくとも1つの排出係数の中から選択された排出係数を排出係数として受け付ける。図8Aに、提示部110により提示される排出係数を表示する画面の一例を示す図を示す。提示部110が少なくとも1つの排出係数を提示する場合、提示部110は、図1中の排出原単位データベース300から排出係数を提示してよい。排出原単位データベース300内で、排出係数は、例えば電力会社の情報と関連付けて格納されていてよい。図8Aに示すように、提示部110は「単位」列C22のプルダウンから単位が選択されると、「排出係数」列C20に適切な排出係数を一覧で提示してよい。一覧から特定の排出係数が選択されると、排出係数受付部108は、選択された排出係数を排出係数として受け付ける。
【0045】
また、提示部110は、地点ごとに予め割り当てられた排出係数の中から、製品の使用、廃棄、または加工が実行される地点から近い順に選択された複数の排出係数を、値が小さい順に少なくとも1つの排出係数として提示してよい。例えば、同じ地域に複数の電力供給会社が存在する場合は、図8Bに示すように、それらを排出係数の小さい順に並べ替えて提示してよい。
【0048】
導出装置100は、製品の生産量を受け付ける生産量受付部112をさらに備え、導出部104は、総GHG排出量、及び生産量に基づいて、製品の1つ当たりのGHG排出量を示す製品の排出係数を導出する。図9に、生産量受付部112で受け付けられる生産量を入力画面の一例である、A製品1つ当たりの排出係数を計算する画面が示されている。図9の「C1(A1+B1)」列C40には、図7のC1と示されたSUM(A1+B1)フィールドF42に表示された値519013.3がコピーされている。「生産数」列C42には、図4に示す登録した生産数の1000000がコピーされている。これらの値が正しいことが確認されたら、ユーザにより実行ボタンD2がクリックされる。これにより、「C÷生産数=製品1つ当たりのGHG排出量」列C44に、0.5190133が表示される。導出部104は、「C÷生産数=製品1つ当たりのGHG排出量」列C44に表示された値0.5190133を読み取ることで、A製品の1つ当たりのGHG排出量を示すA製品の排出係数を導出する。なお、上の説明においては、A1フィールド内の比率乗算後のA製品のGHG排出量と、B1フィールド内の加工、使用、及び廃棄に関するA製品のGHG排出量とを合計したものを生産数で割ることで、A製品1つ当たりの排出係数を導出した。この他に、A1フィールド内の比率乗算後のA製品のGHG排出量を生産数で割ったものと、B1フィールド内の加工、使用、及び廃棄に関するA製品のGHG排出量を生産数で割ったものとを合計することでA製品1つ当たりの排出係数を導出するとしてもよい。なお他にも、比較製品(旧来品等)に対するGHG排出量削減貢献量の算定を行ってもよい。このためには、例えば、比較製品の1つ当たりのGHG排出量とA製品の1つ当たりのGHG排出量との差分に、A製品の普及量を乗じることで導出できる。さらに他にも、導出したA製品の1つ当たりのGHG排出量を利用して炭素税を導出し、財務情報等のフォーマットに従って表示させてもよい。
【0049】
図10は、本実施形態による導出装置100により、製品の総GHG排出量を導出するフローである。
【0050】
S100において、取得部102は、ユーザにより登録される製品情報を取得する。
【0051】
S102において、取得部102は、組織の活動内容ごとのGHG排出量を示すGHG排出量情報に問い合わせるための条件指定を取得する。本実施形態においては、期間が2021年4月1日~2022年3月31日まで、且つ、備考列が"共通"または"A製品"という条件を指定した。しかしながら、前述の通り、条件指定ではなく、GHG排出量情報からユーザが所望の活動情報の行を直接選択してもよい。その場合は、S102は省略する。
【0052】
S104において、取得部102は、GHG排出量情報から、指定条件に合致するすべての行を抽出し、製品に関わる組織の活動内容を示す活動情報として取得する。条件指定ではなく、ユーザが所望の行を直接選択する場合は、取得部S104はその選択を通して製品に関わる組織の活動内容を示す活動情報を取得する。
【0053】
S106において、比率の指定の有無が決定される。
【0054】
比率を指定しない場合、S110に進む。S110において、導出部104は、活動情報内の「GHG排出量」列に含まれるすべての値を合計する。【0055】
S112において、導出部104は、合計値に製品の予め定められた係数をかける。
【0056】
S114において、導出部104は、合計値に予め定められた係数をかけた値を、製品に関わる総GHG排出量として導出する。フローは終了する。
【0057】
比率を指定する場合、S106に進む。比率受付部106は、「比率」列C10への共通情報に対する比率の指定を受け付ける。比率登録ボタンD1のクリックをトリガとして、導出部104は「GHG排出量」列C14の値に比率を乗算して、「乗算後GHG排出量」列C12に、乗算後のGHG排出量を導出させる。
【0058】
S108において、導出部104は、「乗算後GHG排出量」列C12に含まれるすべての値を合計する。導出部104は、合計値を製品に関わる総GHG排出量として導出する。フローは終了する。
【0059】
図11は、本実施形態による導出装置100により、製品の1つ当たりのGHG排出量を示す製品の排出係数を導出するフローである。
【0060】
S200において、排出係数受付部108は、登録した製品情報を参照して、製品が完成品か中間製品かを決定する。
【0061】
製品が中間製品の場合、S202に進む。排出係数受付部108は、製品の加工、使用及び廃棄の各排出係数及び各排出係数に応じた各活動量を受け付ける。
【0062】
S204において、導出部104は、加工、使用及び廃棄のGHG排出量を合計する。
【0063】
S206において、導出部104は、加工、使用及び廃棄以外の導出済みの製品の総GHG排出量に、加工、使用及び廃棄のGHG排出量を加算する。
【0064】
S214において、導出部104は、加算後のGHG排出量を、製品の生産数で割る。
【0065】
S216において、導出部104は、加算後のGHG排出量を製品の生産数で割った値を、製品1つ当たりのGHG排出係数として導出する。フローは終了する。
【0066】
製品が完成製品の場合、S208に進む。排出係数受付部108は、製品の使用及び廃棄の各排出係数及び各排出係数に応じた各活動量を受け付ける。
【0067】
S210において、導出部104は、使用及び廃棄のGHG排出量を合計する。
【0068】
S212において、導出部104は、使用及び廃棄以外の導出済みの製品の総GHG排出量に、使用及び廃棄のGHG排出量を加算する。
【0069】
S214において、導出部104は、加算後のGHG排出量を、製品の生産数で割る。
【0070】
S216において、導出部104は、加算後のGHG排出量を製品の生産数で割った値を、製品1つ当たりのGHG排出係数として導出する。フローは終了する。
図3A
[図:0001404833000010.jpg]
図5
[図:0001404833000011.jpg]
図6
[図:0001404833000012.jpg]
図7
[図:0001404833000013.jpg]
図9
[図:0001404833000014.jpg]
以上の甲第4号証の記載によれば、甲第4号証には以下のとおりの発明が開示されている。(以下、「先願発明」という。)
導出装置100、X社データベース200、及び排出原単位データベース300を備え、(【0017】)
導出装置100は、取得部102、導出部104、比率受付部106、排出係数受付部108、提示部110、及び生産量受付部112を有し、(【0018】)
サプライチェーン排出量は、事業者の原料調達、製造、物流、販売、廃棄等の一連の流れ全体における組織活動に伴って発生するGHG排出量を示し、サプライチェーン排出量は、スコープ1、スコープ2、及びスコープ3から構成され、(【0019】)
スコープ1は、事業者自身により直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量を示し、スコープ2は、事業者が電力会社等の他社から電気、熱、蒸気等のエネルギーを購入し、購入したエネルギーを使用することに伴う間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量(エネルギー起源の間接排出)を示し、スコープ3は、スコープ1及びスコープ2に含まれない事業者のサプライチェーンにおける活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を示し、スコープ3は、活動内容によりさらに15のカテゴリに分類され、(【0020】)
カテゴリ1は、「購入した製品・サービス」を示し、(【0021】)
カテゴリ3は、「スコープ1及びスコープ2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動」を示し、(【0021】)
サプライチェーン排出量は、スコープ1排出量、スコープ2排出量及びスコープ3排出量を合計したものであり、(【0022】)
スコープ1~スコープ3を通して、基本式は、活動量×排出原単位であり、(【0022】)
排出原単位とは、活動量当たりのGHG排出量であって、電気1kWh使用当たりのGHG排出量、貨物の輸送量1トンキロ当たりのGHG排出量、廃棄物の焼却1t当たりのGHG排出量等が該当し、排出原単位は、基本的には既存のデータベースから選択して使用するが、取引先から排出量の導出結果の提供を受ける方法もあり、(【0022】)
図3Aに示されるGHG排出量情報は、X社データベース200内に、相互に関連付けられて格納されている複数のテーブルを結合して作成したテーブルであり、(【0025】)
取得部102は、図3AのGHG排出量情報に対し、期間が2021年4月1日から2022年3月31日まで、且つ「備考」列C1に"共通"または"A製品"を含むものという条件で問い合わせ、該当するすべての行を抽出させ、「備考」列の"共通"は、該当行がA製品のみではなく、複数の製品に共通して適用されるデータであることを示し、「備考」列の"A製品"は、該当行がA製品のみに適用されるデータであることを示し、(【0028】)
図5は、上記の問い合わせの結果、抽出された情報を示し、図5中に表示された表全体が、組織により提供される製品に関わる組織の活動内容を示す活動情報であり、表内の各行が、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量であり、(【0029】)
導出部104は、取得部102により取得された製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量に基づいて、製品に関わる総GHG排出量を導出するものであって、図5中のSUM(GHG排出量)フィールドF10には予め計算式が設定されており、図5中のGHG排出量列に含まれるすべての値を合計した値が表示され、導出部104は、SUM(GHG排出量)フィールドF10に表示された値812300.5に対し、A製品のための予め定められた係数をかけるものであって、予め定められた係数とは、製品ごとに予め決められた係数であってよく、(【0030】)
これに代えてまたは加えて、導出装置100は、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量に対して、製品に関わるGHG排出量として割り当てる各比率を受け付ける比率受付部106を備え、図6は「比率」列C10及び「乗算後GHG排出量」列C12が追加され、「比率」列C10に入力された値が比率受付部106で受け付けられ、図6の表中の第1行目の電気使用量、第2行目のガソリン使用量、第3行目のネジ購入及び第4行目の出張は、「備考」列に"共通"と示されていることから、A製品のみではなくX社の複数の製品に適用されるデータであるから、これら"共通"のデータにA製品の占める比率を指定され、例えば、2021年4月1日の電気使用量に占めるA製品の比率は50%であるから、比率受付部106はユーザによる「50%」の指定を受け付け、同様に、比率受付部106は、ガソリン使用量、ネジ購入及び出張についても比率の指定を受け付け、A製品用包装材購入及びA製品配送については、A製品のみに適用されるデータであるので比率の指定は行われず、ユーザが比率の指定が終了し、比率登録ボタンD1をクリックすると、「比率」列C10に隣接する「乗算後GHG排出量」列C14に、「GHG排出量」列C14の各値に「比率」列C10の各値を乗算した値が自動的に表示され、比率を指定しないA製品用包装材購入及びA製品配送については、比率登録ボタンD1をクリックすると、「比率」列C10に自動的に100%と入力されるとともに、「乗算後GHG排出量」列C12に「GHG排出量」列C14の値がコピーされ、(【0032】)
導出部104は、製品に関わる組織の活動内容ごとのGHG排出量に対して各比率を乗算し、乗算後のGHG排出量のそれぞれを合計することで、総GHG排出量を導出し、図6中のSUM(乗算後GHG排出量)フィールドF12には予め計算式が設定されており、比率登録ボタンD1がクリックされると、「乗算後GHG排出量」列C12に含まれるすべての値を合計した値を表示し、導出部104は、SUM(乗算後GHG排出量)フィールドF12の値を読み取ることで、A製品の総GHG排出量を導出し、F12は図6を参酌するとA1エリアであり、(【0033】、【図6】)
図6に示された表の、第2行目のガソリン使用量はスコープ1、すなわち組織より直接的に排出されたGHG排出量を示す直接排出量に相当し、第1行目の電気使用量はスコープ2、すなわち組織がエネルギーを購入することで間接的に排出されたGHG排出量を示す間接排出量に相当し、第3行目のネジ購入、第4行目の出張、第5行目のA製品用包装材購入及び最後の行のA製品配送はスコープ3、すなわち直接排出量及び間接排出量に含まれない組織の活動により排出されたGHG排出量を示す他の間接排出量に相当し、(【0034】)
加工、使用及び廃棄のGHG排出量を導出するにあたっては、納品先に加工、使用及び廃棄のシナリオを設定してもらい、加工、使用及び廃棄に伴う排出係数及び活動量を提供してもらうことが望ましく、(【0035】)
カテゴリ10の販売した製品の加工に関するGHG排出量を導出し、「GHG排出量(加工)」フィールドF24に「45.3」と表示され、(【0037】)
販売した製品の使用に関するGHG排出量である、カテゴリ11のGHG排出量は、「GHG排出量(使用)」フィールドF30に「3057750」と表示され、(【0038】)
販売した製品の廃棄に関するGHG排出量は、「GHG排出量(廃棄)」フィールドF36に「521」と表示され、(【0039】)
B1と示されたエリアに、SUM(加工、使用、廃棄)フィールドF40が配置され、「GHG排出量(加工)」フィールドF24、「GHG排出量(使用)」フィールドF30及び「GHG排出量(廃棄)」フィールドF36の各値を合計した合計値65798.3が自動的に表示され、(【0040】)
C1と示されるエリアには、SUM(A1+B1)フィールドF42が設けられ、SUM(A1+B1)フィールドF42には、SUM(加工、使用、廃棄)フィールドF40の値「65798.3」に、図6のA1エリアに示されたSUM(乗算後GHG排出量)の値を加えた値が入力され、ここでは、図6のA1エリアに示された乗算後GHG排出量は453215であったとすると、導出部104は、SUM(A1+B1)フィールドF42に表示された値519013.3を読み取ることで、取得部102により取得される組織の活動内容ごとのGHG排出量と、少なくとも1つのGHG排出量の排出係数及び活動量とに基づいて、総GHG排出量を導出し、(【0041】)
提示部110が少なくとも1つの排出係数を提示する場合、提示部110は、排出原単位データベース300から排出係数を提示してよく、(【0043】)
導出装置100は、製品の生産量を受け付ける生産量受付部112を備え、「C÷生産数=製品1つ当たりのGHG排出量」により、A1フィールド内の比率乗算後のA製品のGHG排出量と、B1フィールド内の加工、使用、及び廃棄に関するA製品のGHG排出量とを合計したものを生産数で割ることで、A製品1つ当たりの排出係数を導出する、(【0048】)
GHG排出量導出システム。(【0017】)
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)理由1、理由2について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「資材及び原材料」は、購入元から購入するものであるところ、甲1発明のカーボントレーサビティ管理システムを活用した工場は、購入元との関係から見れば、購入元がサプライチェーンの上流の企業であり、上記工場は下流の企業といえる。
したがって、甲1発明の購入元は、本件発明1の「サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業」と「サプライチェーンの上流に該当する企業である関連企業」である点で対応する。
甲1発明では、「在庫情報1001は、資材及び原材料の在庫状況を記録するものであって、資材及び原材料のロット番号とその品目情報,入荷(入庫日),入庫場所の他,在庫量,温室効果ガス排出原単位も記録し、温室効果ガス排出原単位(製造原単位)は、当該資材及び原材料の購入時に購入元からデータが得られる場合に記録し」ているから、「排出原単位」を購入元から得ているところ、「排出原単位」は、以下で検討するように「温室効果ガスの排出量を計算するための」ものであることは明白であり、また、当該「得る」手段すなわち「取得手段」を有していることも明らかである。
したがって、甲1発明は、「サプライチェーンの上流に該当する企業である関連企業から、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部」を備えている点で、本件発明1と対応する。
イ 甲1発明は、「温室効果ガス排出原単位(製造原単位)は、当該資材及び原材料の購入時に購入元からデータが得られる場合に記録し」ているから、「前記排出原単位を記憶する排出原単位記憶部」を備えている点で、本件発明1と対応する。
ウ 本件発明1の「関連企業の第1の活動量」について、本件特許明細書の段落【0021】には、以下のとおり記載されている。
「【0021】
排出量計算部213は、関連企業及び商品に対応する排出原単位を排出原単位記憶部231から読み出し、読み出した排出原単位を関連企業の活動量(例えば、使用商品の使用量)に乗じることにより、関連企業による当該使用商品に係る排出量を計算することができる。排出量の計算に係る使用量は、活動量取得部212が、例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどにアクセスして取得した関連企業の活動量(仕入れた商品の数など)としてもよいし、活動量取得部212が関連企業の情報処理装置1から受信したものであってもよい。」
すなわち、「関連企業の第1の活動量」は、関連企業から仕入れた商品の使用量などを含むものであるといえる。
この点、甲1発明も「在庫情報1001は、資材及び原材料の在庫状況を記録するものであって、資材及び原材料のロット番号とその品目情報,入荷(入庫日),入庫場所の他,在庫量,温室効果ガス排出原単位も記録し、温室効果ガス排出原単位(製造原単位)は、当該資材及び原材料の購入時に購入元からデータが得られる場合に記録し」、「ステップ320で、当該ロットで使用した資材及び原材料に関して、在庫情報を取得し、ステップ323で、仕入れ元からの原単位データがある場合はその値を取得し」、「ステップ325で、当該資材及び原材料の使用量と取得した原単位を用いて、資材及び原材料の製造および輸送に伴う温室効果ガス排出量を計算し」ているところ、上記「資材及び原材料」は、関連企業から仕入れ、これを用いて自社製品を製造する商品である点で「自社の商品に使用される使用商品」ということができ、当該使用量を取得しているといえる。
もっとも、甲1発明では、上記使用量は(その単位が)「当該ロットで使用した資材及び原材料に関して、在庫情報を取得」しているから、本件発明1の「関連企業から仕入れた商品の使用量」とは異なる。
したがって、甲1発明は「自社の商品に使用される使用商品に係る第1の活動量を取得する活動量取得部」を有している点で、本件発明1と対応する。
エ 本件発明1の「自社の(第2の排出量及び)第2の活動量」について、本件特許明細書の段落【0023】には、以下のとおり記載されている。
「【0023】
自社情報取得部215は、自社の排出量及び/又は活動量を取得する。自社情報取得部215は、例えば、排出量及び/又は活動量の入力を受け付けることができる。自社情報取得部215は、周知の手法により排出量を計算するようにしてもよい。自社情報取得部215は、例えば会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどから活動量(販売した自社の商品の数など)を取得するようにしてもよい。自社情報取得部215は、商品別の排出量及び/又は活動量を取得することができる。また、自社情報取得部215は、自社の排出量のうち一次データに基づいて計算した量(自社一次データ排出量という。)を取得する。自社情報取得部215は、自社の直接的又は間接的な排出量(スコープ1及びスコープ2)のうち、例えば、スコープ2の排出量が電気料金に係る二次データに基づいて計算された場合には、スコープ1及びスコープ2の全排出量から、スコープ2の電力使用に係る排出量を除いて自社一次データ排出量を計算することができる。」
すなわち、「自社の第2の活動量」は「販売した自社の商品の数など」を含むものである。
甲1発明は、「製造実行管理装置103の記録した特定のロットの製造実績に基づき、そのロットの生産に伴い発生したと想定されるユーティリティや資材及び原材料,ファシリティによる温室効果ガスの排出量を計算し」ているところ、「ユーティリティ管理装置102は、当該ロットの製造にかかわる設備の開始~終了の時間、その期間での冷温熱や電力,蒸気,油空圧の使用量に伴うユーティリティ設備の利用状況を管理し、ファシリティ管理装置105は、当該ロットの製造期間中のファシリティ設備(事務所などの空調設備151,照明設備152,計算機及び通信設備153)の使用エネルギーを管理し」ているから、「そのロットの生産に伴い発生したと想定されるユーティリティやファシリティによる温室効果ガスの排出量」は、「自社の商品に係る前記自社の排出量」といい得るものである。
また、甲1発明は「製品および中間品の製造ロット毎に温室効果ガスの排出量の配賦計算を行うロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置」を備えているから、製造ロット毎に温室効果ガスの排出量を求めているが、ロット毎の「自社の商品の数など」を求めていないから、自社の第2の活動量を求めているということはできない。
以上のことから、甲1発明は、「前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量を取得する自社情報取得部」を備えている点で、本件発明1と対応する。
オ 甲1発明では「当該資材及び原材料の使用量と取得した原単位を用いて、資材及び原材料の製造および輸送に伴う温室効果ガス排出量を計算し」ている。
上記計算が乗算であることは明示はないが、甲第1号証の【0041】、【0043】、【0050】の以下の記載をみれば、上記計算が、「資材及び原材料の使用量」と「取得した原単位」の乗算であることは明らかである。
したがって、甲1発明は、「排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記活動量に乗じて排出量を計算」しているといえる点で、本件発明1と対応する。
「図9に示す在庫情報1001では、資材及び原材料の在庫状況を記録する。資材及び原材料のロット番号とその品目情報,入荷(入庫日),入庫場所の他,在庫量,温室効果ガス排出原単位も記録する。在庫量は出庫の都度更新する。温室効果ガス排出原単位(製造原単位)は、当該資材及び原材料の購入時に購入元からデータが得られる場合に記録する。また、当該購入元から本実施例の管理システムを使う事業所までの輸送に伴う温室効果ガス排出量を、入荷時の入荷量で除して得られる輸送原単位を製造原単位に加算して記録しても良い。このような輸送に伴う温室効果ガスの排出は、素材の輸送に係わる排出当量405のようなデータを予め用意しておいて、実際の輸送距離に応じた排出量を計算する方式を採っても良い。」(【0041】)
「図11には、資材及び原材料別の温室効果ガス排出当量データ108の例を示す。これは産業連関表などから作成することができる。品目AAを1kg消費した場合、0.12kgの温室効果ガス排出とみなすということを表すデータで、在庫情報に原単位データが無い場合に、このデータを使用して原料製造及び輸送に伴う温室効果ガス排出量の推定値を得ることができる。」(【0043】)
「ステップ325で、当該資材及び原材料の使用量と取得した原単位を用いて、資材及び原材料の製造および輸送に伴う温室効果ガス排出量を計算する。」(【0050】)
また、甲1発明は、「ロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置101は、製品及び中間品ロットの温室効果ガスの排出量の配賦手段を用いて、製造実行管理装置103の記録した特定のロットの製造実績に基づき、そのロットの生産に伴い発生したと想定されるユーティリティや資材及び原材料,ファシリティによる温室効果ガスの排出量を計算し」、「任意の製品の製造を行う任意の一ロットについて、該製品を一単位量生産するために排出された温室効果ガスの量を、受電して使用した電力や自家発電による電力,蒸気使用量などのように、その生産活動で直接使用したエネルギーなどに伴う温室効果ガス排出だけでなく、原材料の生産過程で生成された温室効果ガス排出量や、その保存過程で排出された温室効果ガスも合わせて把握する事ができる」ものであって、先に対比したように、「ユーティリティやファシリティによる温室効果ガスの排出量」は、自社の排出量に相当するものである。
したがって、甲1発明は、「排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を計算する排出量計算部」を備えている点で本件発明1と対応する。
カ 甲1発明の「カーボントレーサビティ管理システム」は、上記のように
取得した「排出源単位」、「排出量」等の情報を処理して、排出量の合計値を計算するシステムであるから「情報処理システム」といえる。
キ まとめ(一致点・相違点)
以上の対比によれば、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
サプライチェーンの上流の企業である関連企業から、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、
前記排出原単位を記憶する排出原単位記憶部と、
自社の商品に使用される使用商品に係る第1の活動量を取得する活動量取得部と、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量を取得する自社情報取得部と、
排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を計算する排出量計算部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
<相違点>
相違点1
「関連企業」が、本件発明1は、「サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業」であるのに対し、甲1発明は「サプライチェーンの上流の企業である関連企業」である点
相違点2
「排出源単位」が、本件発明1では、「サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された」ものであるのに対し、甲1発明では、関連企業から得ているものの、計算されたことが格別特定されていない点
相違点3
「排出原単位記憶部」が、本件発明1では「前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する」のに対し、甲1発明では、「ロット」ごとに使用される「製品」ごとに記憶している点
相違点4
相違点3に関連して「第1の活動量」(の単位)が、本件発明1では「(自社の商品に使用される使用商品に係る)前記関連企業の第1の活動量」であるのに対し、甲1発明では「自社の商品に(ロットごとに)使用される使用商品に係る第1の活動量」である点
相違点5
「自社情報取得部」が、本件発明1では「前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部」であるのに対し、甲1発明は「(前記自社の商品に係る前記自社の)第2の活動量を取得」していない点
相違点6
相違点3、相違点4に関連して「排出原単位記憶部から取得」する「排出原単位」、および「第1の活動量」が、それぞれ、本件発明1では「前記関連企業に対応する前記排出原単位」、「前記関連企業の前記第1の活動量」であるのに対し、甲1発明では、「「ロット」ごとに使用される「製品」に対応する排出原単位」、「(ロットごとに)使用される使用商品に係る第1の活動量」である点
相違点7
「排出量計算部」が、本件発明1では、「前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する」のに対し、甲1発明では、「前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算」していない点
<判断>
(理由1について)
上記のとおり、本件発明1と甲1発明との間には相違点が存在するから、
本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるといえず、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるということはできない。
(理由2について)
事案に鑑み、相違点3、相違点4、相違点6について検討する。
本件発明1は、「本実施形態では、各社が自社について計算した排出原単位(一次データ)を交換して、より実際に合った排出量を算出できるように」(【0012】)することを目的としているのに対し、甲1発明は、「任意の製品の製造を行う任意の一ロットについて、製品を一単位量生産するために排出された温室効果ガスの量を、受電して使用した電力や自家発電による電力,蒸気使用量などのように、その生産活動で直接使用したエネルギーなどに伴う温室効果ガス排出だけでなく、原材料の生産過程で生成された温室効果ガス排出量や、その保存過程で排出された温室効果ガスも合わせて把握する事ができる」(【0022】)ようにするものであって、ロット単位で処理をすることが必須の発明である。
したがって、甲1発明の「ロット単位」の構成を、本件発明1の「排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する」、「関連企業の第1の活動量」、「前記関連企業に対応する前記排出原単位」とすることは当業者が容易に想到し得たことであるということはできない。
加えて、甲第2号証、甲第3号証にも「前記関連企業に対応する前記排出原単位」に係る技術事項は開示されていない。
申立人は、「ここで、資材・原材料が異なれば資材・原材料の供給企業が異なり得るのは、当該技術分野における技術常識であるから、図9の資材・原材料の品目と原単位とを対応付けるデータを含む「在庫情報1001」を記憶する「資材管理装置104」の記憶部は、「前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部」に相当する。」(特許異議申立書37頁下から10行-下から7行)と主張しているが、「資材・原材料が異なれば資材・原材料の供給企業が異なり得る」とは、そうではない場合も含むといえるところ、本件発明1は、「自社について計算した排出原単位(一次データ)を交換」することを実現するものであって、資材・原材料が異なれば資材・原材料の供給企業が異なるか否かは格別考慮するものではなく、上記申立人の主張は採用することはできない。
したがって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。
(2)理由3について
本件発明1と先願発明とを対比する。
ア 先願発明では、「SUM(A1+B1)フィールドF42に表示された値519013.3を読み取ることで、取得部102により取得される組織の活動内容ごとのGHG排出量と、少なくとも1つのGHG排出量の排出係数及び活動量とに基づいて、総GHG排出量を導出し」ているところ、A1エリアは、フィールドF12であって、カテゴリ1の「購入した製品・サービス」(ネジ購入、A製品用包装材購入)のGHG排出量を含むGHG排出量を表示するエリアであり、B1エリアは、「カテゴリ10の販売した製品の加工に関するGHG排出量」、「カテゴリ11の販売した製品の使用に関するGHG排出量」、「販売した製品の廃棄に関するGHG排出量」を合計したGHG排出量を表示するエリアである。
そして、温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の手順を定めた国際的な基準である周知のGHGプロトコルによれば、先願発明の「カテゴリ1の「購入した製品・サービス」(ネジ購入、A製品用包装材購入)のGHG排出量」は、サプライチェーンの上流の企業により出力された温室効果ガスの排出量であり、「「カテゴリ10の販売した製品の加工に関するGHG排出量」、「カテゴリ11の販売した製品の使用に関するGHG排出量」、「販売した製品の廃棄に関するGHG排出量」を合計したGHG排出量」は、サプライチェーンの下流の企業により出力された温室効果ガスの排出量であることは当該分野において常識であるから、先願発明は、「サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業」において排出された温室効果ガスの排出量を求めていることは明白である。
そして、先願発明では、上記排出量を求めるために「排出係数」を用いているところ、当該「排出係数」は、「温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位」と呼べるものであり、「加工、使用及び廃棄のGHG排出量を導出するにあたっては、納品先に加工、使用及び廃棄のシナリオを設定してもらい、加工、使用及び廃棄に伴う排出係数及び活動量を提供してもらうことが望ましく」とあるから、「サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業」から取得されることも想定されている。
したがって、先願発明は「サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業から、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部」を備えている点で本件発明1と対応する。
イ 先願発明は、「排出原単位データベース300から排出係数を提示してよく」とあるから、「前記排出原単位を記憶する排出原単位記憶部」を有している点で本件発明1と対応する。
ウ 本件発明1の「関連企業」について、発明の詳細な説明では、「関連企業は、GHGプロトコルのスコープ3に定義されるカテゴリの商品を提供する企業である」(【0019】)と記載されている。
先願発明の「ねじ購入」、「A製品用包装材購入」は、先願の図6等を参酌するとスコープ3と記載されているから、これを提供する企業は「関連企業」であり、「ネジ」や「A製品用包装材」は「自社の商品に使用される使用商品」といえ、当該記憶のために、これらの情報を取得しているといえる。
したがって、先願発明は「自社の商品に使用される使用商品に係る第1の活動量を取得する活動量取得部」を備えている点で本件発明1と対応する。
エ 本件発明1の「自社の商品に係る前記自社の第2の排出量」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に、「自社の直接的又は間接的な排出量(スコープ1及びスコープ2)」(【0023】)、「自社が排出した排出量(スコープ1及び2)」(【0028】)等の記載があるから、スコープ1、スコープ2の排出量であるといえる。
一方、先願発明の「電気使用量」、「ガソリン使用量」は、それぞれ、先願の図6などに「スコープ2」、「スコープ3」と記載され、これらに対応するGHG排出量も図6などに記載されている。
これらのことから、「電気使用量」、「ガソリン使用量」に対応する排出量は「前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量」といえる。
また、先願の図6等の各項目のGHG排出量は「取得部102は、図3AのGHG排出量情報に対し、期間が2021年4月1日から2022年3月31日まで、且つ「備考」列C1に"共通"または"A製品"を含むものという条件で問い合わせ、該当するすべての行を抽出させ」ることにより取得しているから当該取得部を有しているといえる。
そして、上記(1)エのとおり 本件発明1の「自社の第2の活動量」は「販売した自社の商品の数など」を含むものであるところ、先願発明は「製品の生産量を受け付ける生産量受付部112を備え」ているから「自社の第2の活動量」を受け付ける受付部も備えている。
以上のことから、先願発明は、本件発明1の「前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部」を備えているといえる。
オ 先願発明は、「スコープ1~スコープ3を通して、基本式は、活動量×排出原単位であり」とあるから、スコープ3のネジなどの項目の排出量は、基本式を用いて算出しているといえ「前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算」しているといえる。
また、先願発明は、「SUM(A1+B1)フィールドF42が設けられ、SUM(A1+B1)フィールドF42には、SUM(加工、使用、廃棄)フィールドF40の値「65798.3」に、図6のA1エリアに示されたSUM(乗算後GHG排出量)の値を加えた値が入力」される。
ここで、「図6のA1エリアに示されたSUM(乗算後GHG排出量)の値」は、「(スコープ3の)ネジなどの項目の排出量」、「電気使用量」、「ガソリン使用量」などを加算したものであるから「前記第1及び第2の排出量の合計値」である。
そして、先願発明は、「「C÷生産数=製品1つ当たりのGHG排出量」により、A1フィールド内の比率乗算後のA製品のGHG排出量と、B1フィールド内の加工、使用、及び廃棄に関するA製品のGHG排出量とを合計したものを生産数で割ることで、A製品1つ当たりの排出係数を導出」しているから、「前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算」している。
以上のことから、先願発明は「前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する排出量計算部」を備えている点で本件発明1と対応する。
カ 先願発明の「GHG排出量導出システム」は、上記で検討したように、「排出原単位」、「活動量」等の情報を用いて、「商品に係る排出量を計算」するという情報処理を行っているから「情報処理システム」といえる。
キ まとめ(一致点・相違点)
以上の対比によれば、本件発明1と先願発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業から、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、
前記排出原単位を記憶する排出原単位記憶部と、
自社の商品に使用される使用商品に係る第1の活動量を取得する活動量取得部と、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部と、
前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する排出量計算部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
<相違点>
相違点1
「温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位」が、本件発明1では「関連企業において計算された」ものであるのに対し、先願発明では「関連企業において計算された」ものであるか不明な点
相違点2
「排出原単位記憶部」が、本件発明1では「前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部」であるのに対し、先願発明では「前記排出原単位を記憶する排出原単位記憶部」である点
相違点3
「第1の活動量」が、本件発明1では「自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量」であるのに対し、先願発明では「自社の商品に使用される使用商品に係る第1の活動量」である点
相違点4
相違点1、相違点2に関連して「排出原単位記憶部から取得」する「排出原単位」、および「第1の活動量」が、それぞれ、本件発明1では「前記関連企業に対応する前記排出原単位」、「前記関連企業の前記第1の活動量」であるのに対し、甲1発明では、「使用商品に対応する排出原単位」、「使用される使用商品に係る第1の活動量」である点
<判断>
事案に鑑み、相違点2~相違点4について検討する。
上記のとおり、本件発明1と先願発明とには相違点(2~4)が存在し、当該相違点は、当業者にとって、先願明細書に記載されているに等しい技術事項であるということもできないので、本件発明1は、先願明細書等に記載された発明であるということはできない。
この点、申立人は、甲4発明の「加工、使用及び廃棄のGHG排出量を導出する」構成をもとに、相違点2~4について相違がないと主張しているのでこの点検討する。
本件発明1の「自社の商品に使用される使用商品」について、発明の詳細な説明には、以下のとおり記載されている。
「【0011】
情報処理装置1は、温室効果ガスの排出状況(排出係数(排出原単位)、活動量、排出量)を出力するコンピュータである。企業の活動量(例えば、商品の生産個数)に、当該企業に係る排出原単位を乗じることにより、当該企業による温室効果ガスの排出量を算出することができる。情報処理装置1はまた、自社の排出原単位(活動量や排出量を含めてもよい。)を他の情報処理装置1に送信することができ、他の情報処理装置1から他者の排出原単位を取得することができる。これにより、自社を含むサプライチェーンの全体についての排出量を計算することができる。」
「【0015】
図3は、情報処理装置1のソフトウェア構成例を示す図である。情報処理装置1は、排出原単位記憶部231と、商品情報記憶部232と、使用商品情報記憶部233と、排出原単位取得部211と、活動量取得部212と、排出量計算部213と、排出量出力部214と、自社情報取得部215と、排出原単位計算部216と、排出原単位送信部217と、データ比率出力部218と、商品別排出量計算部220と、を備える。」
「【0017】
商品情報記憶部232は、商品に関する情報(商品情報)を記憶する。商品情報には、商品を示す商品IDに対応付けて、商品名などの商品に関する各種の情報を含めることができる。商品情報記憶部232には、自社が他社に提供する全ての商品について商品情報が登録されているものとする。
【0018】
使用商品情報記憶部233は、商品の提供に用いられる他の商品(以下、使用商品という。)に関する情報(使用商品情報)を記憶する。使用商品は、例えば、商品を生産するために用いる原材料などである。使用商品情報には、商品を示す商品IDと、使用商品を示す使用商品IDと、当該使用商品を提供する企業を示す企業IDと、1つの商品のために用いられる使用商品の量(使用量)とを含めることができる。」
以上の記載によれば、自社の商品とは、自社が他社に提供するすべての商品ということができ、段落0017の記載をみると、単に「商品」と記載される場合「自社の商品」を指していると読み取ることができる。
そして、段落0018の記載をみれば「使用商品」は「商品の提供に用いられる他の商品」である。
ここで、「商品の提供に用いられる他の商品」は、上記のとおり「自社の商品の提供に用いられる他の商品」であるといえるところ、甲4発明の「加工、使用及び廃棄」は、自社の商品を「加工、使用及び廃棄する他の企業」に提供した後の処理であるから、「加工、使用及び廃棄する他の企業」が提供する商品は「自社の商品の提供に用いられる他の商品」ということはできない。
したがって、申立人が、本件発明の「自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業」の構成と、先願発明の「加工、使用及び廃棄する他の企業」の構成とを対比して、一致するとしたことは採用することができない。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるということはできない。
2 本件発明2、3について
本件発明2は、本件発明1の記載を引用し、更に限定する構成を付加したものであり、本件発明3は、本件発明2の記載を引用し、更に限定する構成を付加したものである。
したがって、上記1で検討したとおり、申立人が主張する理由1~理由3に理由がないことは明らかである。
3 本件発明4、5について
本件発明4は、本件発明1の「情報処理システム」を「情報処理方法」と、本件発明5は、同「情報処理システム」を「コンピュータに実行させるためのプログラム」と、それぞれ、そのカテゴリを変えただけの発明である。
したがって、上記1で検討したのと同様、本件発明4、5は、申立人が主張する理由1~理由3に理由がないことは明らかである。
4 小括
以上のとおり、申立理由1から3は、その理由がない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700785