特許異議申立
2024-701220
試験システム、サーバおよび試験方法
- 審判番号
- 2024-701220
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-163499
- 登録番号
- 7535899
- 請求日
- 2024年12月20日
- 審決日
- 2025年12月23日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社サーティファイ
- 【権利者代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 【異議申立人】全美在▲線▼(北京)科技股▲分▼有限公司
- 【異議申立人代理人】弁理士法人キュリーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 相崎 裕恒
- 審判官 間野 裕一
- 審判官 田付 徳雄
- 分類
- P1651.111-YAA(G06Q) / P1651.112-YAA(G06Q) / P1651.113-YAA(G06Q) / P1651.121-YAA(G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7535899号発明「試験システム、サーバおよび試験方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7535899号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~4〕、5、6について訂正することを認める。
特許第7535899号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7535899号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和2年9月29日に出願され、令和6年8月8日にその特許権の設定登録がされ、同年8月19日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 6年12月20日 : 特許異議申立人全美在▲線▼(北京)科技股▲分▼有限公司(以下「申立人」という。)による請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 7年 6月 2日付け: 取消理由通知書
同年 7月31日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年11月 5日 : 申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)~(5)のとおりである。
(1)請求項1
請求項1に
「前記サーバは、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信し、前記第2の端末から第2の認証用信号を受信した後に、前記画面を前記第1の端末に提供する、」
とあるのを、
「前記サーバは、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信し、
前記第1の端末は、前記コードを前記ディスプレイに表示し、
前記第2の端末は、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記第2の端末から前記第2の認証用信号を受信し、
前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記画面を前記第1の端末に提供する、」
と訂正する。(下線は訂正箇所である。以下同様。)
(2)請求項2
請求項2に
「前記第1の端末から第1の認証用信号を受信し、前記第2の端末から第2の認証用信号を受信した後に、前記ディスプレイに表示される、受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供し、」
とあるのを、
「前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信し、
前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を受信し、
前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記ディスプレイに表示される、前記受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供し、」
と訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)
(3)請求項3
請求項3に
「前記第1の端末および前記第2の端末からそれぞれ受信した第1の信号および第2の信号が、前記受験者に対応する第1の認証データおよび第2の認証データとそれぞれ一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付ける、」
とあるのを、
「前記第1の端末から受信した第1の信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信し、
前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の信号を受信し、
前記第2の信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付ける、」
と訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)
(4)請求項5
請求項5に
「前記サーバが、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信し、前記第2の端末から第2の認証用信号を受信した後に、前記ディスプレイに表示される、受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供するステップと、」
とあるのを、
「前記サーバが、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信するステップと、
前記第1の端末が、前記コードを前記ディスプレイに表示するステップと、
前記第2の端末が、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信するステップと、
前記サーバが、前記第2の端末から前記第2の認証用信号を受信するステップと、
前記サーバが、前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記ディスプレイに表示される、前記受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供するステップと、」
と訂正する。
(5)請求項6
請求項6に
「前記サーバが、前記第1の端末および前記第2の端末からそれぞれ受信した第1の信号および第2の信号が、前記受験者に対応する第1の認証データおよび第2の認証データとそれぞれ一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付けるステップと、」
とあるのを、
「前記サーバが、前記第1の端末から受信した第1の信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信するステップと、
前記サーバが、前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の信号を受信するステップと、
前記サーバが、前記第2の信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付けるステップと、」
と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)請求項1
請求項1の「サーバ」について、更に「前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信」すること及び「前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記画面を前記第1の端末に提供する」ことを特定することにより限定し、「第1の端末」について、更に「前記コードを前記ディスプレイに表示」することを特定することにより限定し、「第2の端末」について、更に「前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信」することを特定することにより限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記事項は、明細書の段落【0050】、【0052】~【0055】、【0058】~【0062】、【0081】に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(2)請求項2
請求項2の「サーバ」について、更に「前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信」すること、「前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を受信」すること及び「前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記ディスプレイに表示される、前記受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供」することを特定することにより限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記事項は、明細書の段落【0050】、【0052】~【0055】、【0058】~【0062】、【0081】に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(3)請求項3
請求項3の「サーバ」について、更に「前記第1の端末から受信した第1の信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信」すること、「前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の信号を受信」すること及び「前記第2の信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付ける」ことを特定することにより限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記事項は、明細書の段落【0050】、【0052】~【0055】、【0058】~【0063】に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(4)請求項5
請求項5の「サーバ」について、更に「前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信する」こと及び「前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記ディスプレイに表示される、前記受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供する」ことを特定することにより限定し、「第1の端末」について、更に「前記コードを前記ディスプレイに表示する」ことを特定することにより限定し、「第2の端末」について、更に「前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信する」ことを特定することにより限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記事項は、明細書の段落【0050】、【0052】~【0055】、【0058】~【0062】、【0081】に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(5)請求項6
請求項6の「サーバ」について、更に「前記第1の端末から受信した第1の信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信する」こと、「前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の信号を受信する」こと及び「前記第2の信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付ける」ことを特定することにより限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記事項は、明細書の段落【0050】、【0052】~【0055】、【0058】~【0063】に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~4〕、5、6について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明6」という。また、これらを総称して「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
[本件発明1]
第1の端末と、
第2の端末と、
前記第1の端末および前記第2の端末と通信可能なサーバと、を備える試験システムであって、
前記第1の端末は、
前記サーバから受信した、受験者を試験するための画面を表示するディスプレイと、
試験中の様子を撮影する第1のカメラと、
前記第1のカメラによって撮影された第1の画像を前記サーバに送信する第1の通信モジュールと、を含み、
前記第2の端末は、
前記試験中の様子を撮影する第2のカメラと、
前記第2のカメラによって撮影された第2の画像を前記サーバに送信する第2の通信モジュールと、を含み、
前記サーバは、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信し、
前記第1の端末は、前記コードを前記ディスプレイに表示し、
前記第2の端末は、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記第2の端末から前記第2の認証用信号を受信し、
前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記画面を前記第1の端末に提供する、試験システム。
[本件発明2]
第1の端末および第2の端末と通信可能なサーバであって、
前記第1の端末は、ディスプレイと、第1のカメラと、を含み、
前記第2の端末は、第2のカメラを含み、
前記サーバは、
前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信し、
前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を受信し、
前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記ディスプレイに表示される、前記受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供し、
前記第1のカメラによって撮影された、試験中の様子の写る第1の画像を取得し、
前記第2のカメラによって撮影された、前記試験中の様子の写る第2の画像を取得する、サーバ。
[本件発明3]
第1の端末および第2の端末と通信可能なサーバであって、
前記第1の端末は、ディスプレイと、第1のカメラと、を含み、
前記第2の端末は、第2のカメラを含み、
前記サーバは、
前記ディスプレイに表示される、受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供し、
前記第1のカメラによって撮影された、試験中の様子の写る第1の画像を取得し、
前記第2のカメラによって撮影された、前記試験中の様子の写る第2の画像を取得し、
前記第1の端末から受信した第1の信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信し、
前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の信号を受信し、
前記第2の信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付ける、サーバ。
[本件発明4]
前記第2のカメラの視野の調整が必要な場合、前記ディスプレイに前記第2の端末の位置調整を促す通知を行なう、請求項2または3に記載のサーバ。
[本件発明5]
サーバと、第1の端末および第2の端末とを用いた試験方法であって、
前記第1の端末は、ディスプレイと、第1のカメラと、を含み、
前記第2の端末は、第2のカメラを含み、
前記サーバが、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信するステップと、
前記第1の端末が、前記コードを前記ディスプレイに表示するステップと、
前記第2の端末が、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信するステップと、
前記サーバが、前記第2の端末から前記第2の認証用信号を受信するステップと、
前記サーバが、前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記ディスプレイに表示される、前記受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供するステップと、
前記サーバが、前記第1の端末と通信することにより、前記第1のカメラによって撮影された、試験中の様子の写る第1の画像を取得するステップと、
前記サーバが、前記第2の端末と通信することにより、前記第2のカメラによって撮影された、前記試験中の様子の写る第2の画像を取得するステップと、を備える試験方法。
[本件発明6]
サーバと、第1の端末および第2の端末とを用いた試験方法であって、
前記第1の端末は、ディスプレイと、第1のカメラと、を含み、
前記第2の端末は、第2のカメラを含み、
前記サーバが、前記ディスプレイに表示される、受験者を試験するための画面を前記第1の端末に提供するステップと、
前記サーバが、前記第1の端末と通信することにより、前記第1のカメラによって撮影された、試験中の様子の写る第1の画像を取得するステップと、
前記サーバが、前記第2の端末と通信することにより、前記第2のカメラによって撮影された、前記試験中の様子の写る第2の画像を取得するステップと、
前記サーバが、前記第1の端末から受信した第1の信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信するステップと、
前記サーバが、前記第2の端末から、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の信号を受信するステップと、
前記サーバが、前記第2の信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付けるステップと、を備える試験方法。
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審において、令和7年6月2日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項1~3、5、6に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、5、6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)請求項4に係る発明は、引用文献1、2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<引用文献等一覧>
引用文献1.「[全美在▲線▼(ATA)新▲聞▼活▲動▼]▲鷹▼眼之下的在▲線▼考▲試▼:全景▲監▼考,更安全!」,令和2年8月4日保存 (甲第3号証)
<https://web.archive.org/web/20200804023255/http:/www.ata.net.cn/detail/1766.html
引用文献2.中国特許出願公開第108184089号明細書 (甲第2号証)
2 取消理由通知で引用した甲号証の記載
(1)甲第3号証に記載されている事項
本件特許出願前の令和2年8月4日までに電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証(取消理由通知における引用文献1)には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付与した(以下同様。)。
ア 「
[図:0001434135000001.jpg]
」
(当審訳:「鷹の目におけるオンライン試験:全方位監視で、より安全に!」)
イ 「
[図:0001434135000002.jpg]
」
(当審訳:「6月29日、江蘇銀行の2020年夏季インターンシップ採用試験が、全美在線(ATA)の易考オンライン試験システムを用いて実施された。2千名を超える受験者が、総合類、総合類(英語)、金融科技類、金融科技類(英語)の4科目の統一試験を同時受験した。易考のセキュリティレベルが再び向上し、鷹の目監視機能がアップグレードされた。同時に起動される2つの視点によるビデオ監視に加え、全受験者を対象とした100%遠隔監視が行われた。試験実施の厳粛性と公平性は、オフライン試験に引けを取らないものであった。」)
ウ 「
[図:0001434135000003.jpg]
」
(当審訳:「双視点監視:真の試験シーンを再現
標準化と厳粛性を備えた試験のニーズをさらに満たすため、全美在線(ATA)は今回の試験に双視点監視サービスを提供した。
易考の第一視点監視は、受験者の個人特性、不正な物品の使用、および言語によるコミュニケーション違反行為に重点を置いている。一方、鷹の目第二視点監視は、受験者の解答プロセス、試験環境、無関係者の出入りといった不正行為を全方位的に監視し、試験解答環境の安全を確保する。2つの監視角度は互いに効果的に補完し合い、それぞれ重点を置くことで、真に実際の試験場のシーンを再現しているといえる。」)
エ 「
[図:0001434135000004.jpg]
」
(当審訳:「鷹の目:双視点監視」)
オ 「
[図:0001434135000005.jpg]
」
(当審訳:「全美在線(ATA)の易考鷹の目監視は、事前にソフトウェアをインストールする必要がなく、受験者はモバイル端末でコードをスキャンするだけで監視を開始できる。
試験中、試験監督官はオンライン監視プラットフォームを通して、双視点による2画面の監視映像を同時に確認することができ、リアルタイムの映像と音声によって受験者の試験中の行動を把握することができる。試験監督官がバックグラウンドで受験者の不正行為を発見した場合、バックグラウンド管理機能を用いてリアルタイムに介入し、受験者に注意喚起や警告を発信することで、容易に試験をコントロールすることができる。
試験時間中にネットワーク障害が発生した場合、試験システムは受験者に直ちに警告を発し、異常を確認後速やかに修復を行い、再度コードをスキャンして鷹の目監視を再開するよう促す。試験終了後、鷹の目監視システムは自動的に終了する。必要に応じて、試験監督のビデオは全編録画され、アーカイブ化されるため、試験後に呼び出して再生することができる。」)
カ 「
[図:0001434135000006.jpg]
」
(当審訳:「顔認証による本人確認、試験中の異常行動監視、人間+AIによるインテリジェントな補助監視などを活用することで、易考オンライン試験システムの双視点監視は、試験の公平性向上、受験者と主催者双方にとっての体験向上、およびインテリジェントな意思決定支援といった面において、他に代えがたい優位性を有している。」)
キ 「
[図:0001434135000007.jpg]
」
ク 「
[図:0001434135000008.jpg]
」
(当審訳:「試験監督ソリューションは、厳格さの程度を段階的に重ねることで、試験主催者の多様なニーズに対応する
全美在線(ATA)易考オンライン試験システムプラットフォームは、専門的なオンライン試験システムとして、その設計当初から全美在線(ATA)が20年以上にわたり蓄積してきた専門的な試験技術とサービスの遺伝子を受け継いでいる。様々な種類の試験プロセスや適用シナリオ、そして長年にわたる様々な種類の不正行為や違反事例に対し、基礎となるロジックから的を絞った設計開発を行い、高頻度かつ迅速な反復アップグレードを維持している。
現在、全美在線(ATA)易考オンライン試験システムは、AIインテリジェント監視クラウド技術、スクリーンロッククライアント、「鷹の目」第二視点監視技術などを統合した総合的なソリューションとして、大手企業の採用、高等教育機関の学業評価、各種コンテスト、入学試験、資格認定試験、語学試験といったシーンで既に導入され成功を収めている。現在までに、数百社の企業、機関、教育機関、延べ1,200万人以上の受験者に専門的なオンライン試験サービスを提供してきた。」)
(2)甲第3号証に記載されているといえる事項
ア 上記(1)エの図から、甲第3号証には、「鷹の目:双視点監視」において、受験者の前に置かれたPC端末の前面上部カメラにより、受験者の前方からの監視を行えるとともに、受験者の後方に設置したモバイル端末のフロントカメラにより、受験者の後方からの監視を行えることが記載されているといえる。
イ 上記(1)オの「試験中、試験監督官はオンライン監視プラットフォームを通して、双視点による2画面の監視映像を同時に確認することができ、リアルタイムの映像と音声によって受験者の試験中の行動を把握することができる」との記載、上記(1)キの図及び上記アを踏まえると、甲第3号証には、試験中、試験監督官はオンライン監視プラットフォームを通して、双視点による2画面の監視映像を同時に確認することができ、その監視映像において、上段に受験者のPC端末の前面上部カメラが試験中の受験者を撮像した画像が示され、下段に受験者のモバイル端末のフロントカメラが試験中の受験者を撮像した画像が示されることが記載されているといえる。
(3)甲第3号証に記載された発明
上記(1)、(2)から、甲第3号証には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「全美在線(ATA)が提供する易考オンライン試験システムであって、(上記(1)ア、イ)
前記易考オンライン試験システムは、
AIインテリジェント監視クラウド技術、スクリーンロッククライアント、「鷹の目」第二視点監視技術などを統合した総合的なソリューションとして導入されるものであり、(上記(1)ク)
標準化と厳粛性を備えた試験のニーズをさらに満たすため、同時に起動される2つの視点によるビデオ監視による、双視点監視サービスとして提供されるものであり、第一視点監視は、受験者の個人特性、不正な物品の使用、および言語によるコミュニケーション違反行為に重点を置き、鷹の目第二視点監視は、受験者の解答プロセス、試験環境、無関係者の出入りといった不正行為を全方位的に監視し、試験解答環境の安全を確保し、(上記(1)イ、ウ)
「鷹の目:双視点監視」において、受験者の前に置かれたPC端末の前面上部カメラにより、受験者の前方からの監視を行えるとともに、受験者の後方に設置したモバイル端末のフロントカメラにより、受験者の後方からの監視を行い、(上記(2)ア)
試験中、試験監督官はオンライン監視プラットフォームを通して、双視点による2画面の監視映像を同時に確認することができ、その監視映像において、上段に受験者のPC端末の前面上部カメラが試験中の受験者を撮像した画像が示され、下段に受験者のモバイル端末のフロントカメラが試験中の受験者を撮像した画像が示され、(上記(2)イ)
易考鷹の目監視は、受験者がモバイル端末でコードをスキャンするだけで監視を開始でき、試験時間中にネットワーク障害が発生した場合、試験システムは受験者に直ちに警告を発し、異常を確認後速やかに修復を行い、再度コードをスキャンして鷹の目監視を再開するよう促し、(上記(1)オ)
試験監督のビデオは全編録画され、アーカイブ化されるため、試験後に呼び出して再生することができ、(上記(1)オ)
顔認証による本人確認、試験中の異常行動監視、人間+AIによるインテリジェントな補助監視などを活用することで易考オンライン試験システムの双視点監視は、試験の公平性向上、受験者と主催者双方にとっての体験向上、およびインテリジェントな意思決定支援を行う、(上記(1)カ)
易考オンライン試験システム。」
(4)甲第2号証に記載されている事項
本件特許出願前の平成30年6月19日に出願公開された甲第2号証(取消理由通知における引用文献2)には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001434135000009.jpg]
」
(当審訳:「[0006]遠隔監督システムにおいてカメラの誤った設置を防止する制御方法であって、前記遠隔監督システムは、遠隔監督センターのバックエンドコンピュータと、試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータと、監督用カメラと、スマートモバイル端末とを含み、前記監督用カメラは前記試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータに接続され、前記試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータとスマートモバイル端末とは、前記遠隔監督センターのバックエンドコンピュータと通信接続を確立し、身元確認を受け、前記試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータには遠隔監督クライアントプログラムがインストールされ、前記スマートモバイル端末には遠隔監督プログラムがインストールされる。該制御方法は、具体的に以下のステップを含む。」)
「
[図:0001434135000010.jpg]
」
(当審訳:「[0007](1)試験前に、監督用カメラを試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータのディスプレイの上部中央に設置し、受験者は着席姿勢と試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータのディスプレイの角度を調整し、前記監督用カメラが受験者の正面を撮影できるようにする。」)
「
[図:0001434135000011.jpg]
」
(当審訳:「[0013](7)ステップ(5)の写真に写っている試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータのディスプレイに第一の所定の標識があり、かつステップ(6)のビデオにスマートモバイル端末の画面とスマートモバイル端末の画面上の第二の所定の標識が含まれている場合、正当な受験者の位置が正しいことを示し、試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータの遠隔監督クライアントプログラムは、該正当な受験者に後続の試験プロセスヘの参加を許可する。ステップ(5)の写真に写っている試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータのディスプレイに第一の所定の標識がない、またはステップ(6)のビデオにスマートモバイル端末の画面とスマートモバイル端末の画面上の第二の所定の標識が含まれていない場合、試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータの遠隔監督クライアントプログラムは、該不正な受験者に後続の試験プロセスヘの参加を許可しない。」)
「
[図:0001434135000012.jpg]
」
(当審訳:「[0014](8)正当な受験者が試験プロセスに入ると、試験に用いるネットワーク接続されたコンピュータの遠隔監督クライアントプログラムは、監督用カメラを用いて試験中の受験者のビデオを全過程取得し、遠隔監督センターのバックエンドコンピュータにアップロードする。システムは、取得した受験者の試験ビデオを認識し、受験者が試験中に監督用カメラの位置を移動させたかどうかを検出する。移動させた場合、受験者が試験規則に違反したとみなし、警告を発し、遠隔監督センターのバックエンドコンピュータに記録して照会に備える。」)
3 取消理由通知で引用しなかった甲号証の記載
(1)甲第1号証に記載されている事項
本件特許出願前の令和2年4月30日に出願公開された甲第1号証(特開2020-68004号公報)には、「受信ペーパー装置106」、「マスターペーパー装置104」、「クラウドサーバ110」等からなる「システム100」であって、試験における問題用紙などのコンテンツを安全に配布するためのシステムが記載されている。
(2)甲第4号証に記載されている事項
甲第4号証には、「「ATA」オンラインクラウド受験システム受験者向け使用説明書---易考クライアント」が記載されているが、当該証拠が電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった日付(以下「公衆利用可能日」という。)を特定するための情報が記載されておらず、また、特許異議申立書(以下「申立書」という。)及び証拠説明書に記載されたURL(https://zsb.svict.com/_upload/article/files/9b/9f/b643d46a46208177f40c2f175e75/d91a30a7-4f9e-4d9a-8f0b-01e1bd45887a.pdf)からもアクセスできないため、公衆利用可能日が特定できないから、甲第4号証は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものとはいえない。
したがって、甲第4号証は、本件発明の新規性及び進歩性を否定する根拠を示すものとはいえない。
(3)甲第5号証に記載されている事項
本件特許出願前の平成30年12月18日に出願公開された甲第5号証(中国特許出願公開第109040668号明細書)には、表示装置を備えたコンピュータであるスマート端末上で行われるオンライン試験の受験者及び試験環境を、複数のスマートフォンによって監視するオンライン試験不正行為防止方法において、サーバが、第1のスマートフォンが前記表示装置上の識別コードをスキャンしたものを受信し、受験者の身元認証を完了することが記載されている。
(4)甲第6号証に記載されている事項
甲第6号証は、上記甲第4号証の公開日を示す証拠として提示されたものであるが、当該証拠には「発信日時」として「2020-05-26」との記載があるものの、この日付が公衆利用可能日であるとはいえず、また、申立書及び証拠説明書に記載されたURL(https://zsb.sdfzxy.com/2020/0526/c287a26868/page.htm)からもアクセスできないため、公衆利用可能日が特定できないから、甲第6号証記載の技術は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものとはいえない。
したがって、甲第6号証中に甲第4号証へのリンクがあったとしても、甲第4号証の公開日を示すものとはいえない。
4 申立人が意見書とともに提出した甲号証の記載
(1)甲第7号証に記載されている事項
甲第7号証には、「D2L-Level_4 ライブプロクタリング 学生マニュアル」が記載されているが、当該証拠には「更新日」として「Fri, Dec 6, 2019 at 6:00 AM」との記載があるものの、この日付が公衆利用可能日であるとはいえず、また、証拠説明書に「URL2」として記載されたURL(https://web.archive.org/web/20201025111131/https://verificient.freshdesk.com/support/solutions/folders/1000234534)も、そのページの中の甲第7号証に対応するリンクのURL(https://web.archive.org/web/20201025111131/https://verificient.freshdesk.com/support/solutions/articles/1000284740-d2l-level-4-live-proctoring-student-manual)も、それらのページが、本件特許出願後の2020年10月25日11時11分31秒に保存されたことを示しているから、甲第7号証は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものとはいえない。
したがって、甲第7号証は、本件発明の進歩性を否定する根拠を示すものとはいえない。
(2)甲第8号証に記載されている事項
本件特許出願前の平成21年10月8日に出願公開された甲第8号証(特開2009-230432号公報)には、携帯通信装置10が、端末装置30に表示された認証画面情報内の読取情報を撮影し(【0058】)、読取情報から企業ID3を読み取り(【0059】)、前記企業ID3と携帯電話番号(携帯通信装置固有情報)6とを含む認証要求Rq2を認証用サーバ装置20に送信し(【0060】)、認証用サーバ装置20が、認証要求Rq2に基づき携帯電話番号6を含む利用資格確認要求Rq3を提供用サーバ装置40に送信し(【0063】)、提供用サーバ装置40が、利用資格確認要求Rq3内の携帯電話番号6を、予め記憶された携帯電話番号6に照合することにより、利用者の利用資格有無を確認すること(【0065】)が記載されている。
しかしながら、甲第8号証には、オンライン試験の監視に関する事項は記載されておらず、また、上記利用者の利用資格有無の確認において、利用者に対応する認証データとしての携帯電話番号6自体は、端末装置30に表示された認証画面情報内の読取情報を撮影することに応じて生成されたものではない。
(3)甲第9号証に記載されている事項
本件特許出願前の平成19年9月20日に出願公開された甲第9号証(特開2007-241812号公報)には、システム認証サーバが、日付時刻の情報を有する二次元コードを生成してノートPC909へ送信し、ノートPC909が、受信した二次元コードを表示装置に表示し(【0117】)、携帯電話端末917が、ノートPC909の表示装置に表示されている二次元コードを読み取り、日付時刻を取得し、内部保有のパスフレーズ、取得した日付時刻からパスワードを生成し、生成したパスワードをシステム認証サーバへ送信し(【0118】)、システム認証サーバは、上記携帯電話端末917内のパスフレーズと同じパスフレーズとノートPCへ送信した日付時刻とに基づきパスワードを生成し、生成したパスワードと携帯電話端末917から受信したパスワードとが一致するか否かを判定すること(【0119】)が記載されている。
しかしながら、甲第9号証には、オンライン試験の監視に関する事項は記載されていない。
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
ア 「第1の端末と、第2の端末と、前記第1の端末および前記第2の端末と通信可能なサーバと、を備える試験システムであって、」について
(ア)引用発明の「PC端末」、「モバイル端末」、「易考オンライン試験システム」は、それぞれ、本件発明1の「第1の端末」、「第2の端末」、「試験システム」に相当する。
(イ)引用発明の「易考オンライン試験システム」は、AIインテリジェント監視クラウド技術、スクリーンロッククライアント、「鷹の目」第二視点監視技術などを統合した総合的なソリューションとして導入されるものであるとともに、試験中、試験監督官はオンライン監視プラットフォームを通して、双視点による2画面の監視映像を同時に確認することができるものであるから、「オンライン監視プラットフォーム」を含んでいるといえ、前記「オンライン監視プラットフォーム」が「サーバ」によって構成されることは当該技術分野における技術常識である。
(ウ)引用発明において、試験中、試験監督官はオンライン監視プラットフォームを通して、双視点による2画面の監視映像を同時に確認することができ、その監視映像において、上段に受験者のPC端末の前面上部カメラが試験中の受験者を撮像した画像が示され、下段に受験者のモバイル端末のフロントカメラが試験中の受験者を撮像した画像が示されることから、「PC端末」及び「モバイル端末」は、「オンライン監視プラットフォーム」と通信可能であるといえる。
(エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえると、引用発明は、本件発明1と、「第1の端末と、第2の端末と、前記第1の端末および前記第2の端末と通信可能なサーバと、を備える試験システム」である点で共通する。
イ 「前記第1の端末は、前記サーバから受信した、受験者を試験するための画面を表示するディスプレイと、試験中の様子を撮影する第1のカメラと、前記第1のカメラによって撮影された第1の画像を前記サーバに送信する第1の通信モジュールと、を含み、」について
(ア)引用発明の易考オンライン試験システムは、受験者の前に置かれたPC端末の画面にオンライン試験の問題が表示され、受験者がその問題に対して解答する形態であるといえるので、引用発明のPC端末は「サーバから受信した、受験者を試験するための画面を表示するディスプレイ」を備えているといえる。
(イ)引用発明において、受験者の前に置かれたPC端末の前面上部カメラにより、受験者の前方からの監視を行え、試験中、試験監督官がオンライン監視プラットフォームを通して確認することができる監視映像において、受験者のPC端末の前面上部カメラが試験中の受験者を撮像した画像が示されることから、PC端末の前面上部カメラは、試験中の受験者の様子を撮影して、撮影した画像をオンライン監視プラットフォームを構成するサーバに送信しているといえ、引用発明の「PC端末の前面上部カメラ」及び「PC端末の前面上部カメラが試験中の受験者を撮像した画像」は、それぞれ、本件発明1の「第1のカメラ」及び「第1の画像」に相当する。そして、PC端末は、前記画像をオンライン監視プラットフォームを構成するサーバに送信するための「第1の通信モジュール」を備えているといえる。
(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用発明は、本件発明1と、「前記第1の端末は、前記サーバから受信した、受験者を試験するための画面を表示するディスプレイと、試験中の様子を撮影する第1のカメラと、前記第1のカメラによって撮影された第1の画像を前記サーバに送信する第1の通信モジュールと、を含」む点で共通する。
ウ 「前記第2の端末は、前記試験中の様子を撮影する第2のカメラと、前記第2のカメラによって撮影された第2の画像を前記サーバに送信する第2の通信モジュールと、を含み、」について
(ア)引用発明において、受験者の後方に設置したモバイル端末のフロントカメラにより、受験者の後方からの監視を行え、試験中、試験監督官がオンライン監視プラットフォームを通して確認することができる監視映像において、受験者のモバイル端末のフロントカメラが試験中の受験者を撮像した画像が示されることから、受験者のモバイル端末のフロントカメラは、試験中の受験者の様子を撮影して、撮影した画像をオンライン監視プラットフォームを構成するサーバに送信しているといえ、引用発明の「受験者のモバイル端末のフロントカメラ」及び「受験者のモバイル端末のフロントカメラが試験中の受験者を撮像した画像」は、それぞれ、本件発明1の「第2のカメラ」及び「第2の画像」に相当する。そして、モバイル端末は、前記画像をオンライン監視プラットフォームを構成するサーバに送信するための「第2の通信モジュール」を備えているといえる。
(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本件発明1と、「前記第2の端末は、前記試験中の様子を撮影する第2のカメラと、前記第2のカメラによって撮影された第2の画像を前記サーバに送信する第2の通信モジュールと、を含」む点で共通する。
エ 「前記サーバは、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信した後、前記第1の認証用信号が前記受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信し、」について
(ア)引用発明において、易考オンライン試験システムの双視点監視のうち、第一視点監視が受験者の個人特性に重点を置いていることと、顔認証による本人確認を活用していることから、受験者の前に置かれたPC端末の前面上部カメラによって受験者の顔を撮影することによる本人認証が行われているといえる。そして、本人認証は、オンライン監視プラットフォームを構成するサーバ側で行われるものであるから、PC端末は、その本人認証のための「第1の認証用信号」をサーバに送信しているといえる。
(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本件発明1と、「前記サーバは、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信」する点で共通する。
オ 「前記第2の端末は、前記第2のカメラが前記コードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信し、」について
(ア)引用発明において、易考オンライン試験システムの双視点監視のうち、鷹の目第二視点監視は、受験者の解答プロセス、試験環境、無関係者の出入りといった不正行為を全方位的に監視し、試験解答環境の安全を確保するためのものであり、受験者がモバイル端末でコードをスキャンして監視を開始するとともに、試験時間中にネットワーク障害が発生した場合、再度コードをスキャンして鷹の目監視を再開するものであるから、モバイル端末で監視を開始するためにコードをスキャンすることは、オンライン監視プラットフォームがそのモバイル端末を認証することであるといえる。そして、そのモバイル端末の認証は、オンライン監視プラットフォームを構成するサーバ側で行われるものであるから、モバイル端末は、自身の認証のための「第2の認証用信号」をサーバに送信しているといえる。
(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本件発明1と、「前記第2の端末は、前記第2のカメラがコードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信」する点で共通する。
カ 「前記サーバは、前記第2の端末から前記第2の認証用信号を受信し、前記第2の認証用信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、前記画面を前記第1の端末に提供する、」について
(ア)上記オ(ア)のとおり、引用発明において、モバイル端末は「第2の認証用信号」をサーバに送信しているといえるから、サーバはモバイル端末から「第2の認証用信号」を受信しているといえる。
(イ)上記イ(ア)で言及したとおり、引用発明のPC端末は、ディスプレイに「サーバから受信した、受験者を試験するための画面」を表示しているから、サーバは、前記画面をPC端末に提供しているといえる。
(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用発明は、本件発明1と、「前記サーバは、前記第2の端末から前記第2の認証用信号を受信し、前記画面を前記第1の端末に提供する」点で共通する。
(2)一致点及び相違点
上記(1)で対比した事項を踏まえると、本件発明1と引用発明は、
「第1の端末と、
第2の端末と、
前記第1の端末および前記第2の端末と通信可能なサーバと、を備える試験システムであって、
前記第1の端末は、
前記サーバから受信した、受験者を試験するための画面を表示するディスプレイと、試験中の様子を撮影する第1のカメラと、前記第1のカメラによって撮影された第1の画像を前記サーバに送信する第1の通信モジュールと、を含み、
前記第2の端末は、
前記試験中の様子を撮影する第2のカメラと、
前記第2のカメラによって撮影された第2の画像を前記サーバに送信する第2の通信モジュールと、を含み、
前記サーバは、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信し、
前記第2の端末は、前記第2のカメラがコードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記第2の端末から第2の認証用信号を受信し、
前記画面を前記第1の端末に提供する、試験システム。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本件発明1では、前記第1の端末から第1の認証用信号を受信したサーバは、第1の端末から受信した第1の認証用信号が受験者に対応する第1の認証データと一致することに応じて、前記第1の端末にコードを送信しているのに対し、引用発明では、顔認証による本人確認を行っているものの、その認証が成功したときに、サーバからPC端末にコードを送信しているか否かが判然としない点。
(相違点2)
本件発明1では、第1の端末が、サーバから受信したコードをディスプレイに表示しているのに対し、引用発明では、PC端末が、サーバから受信したコードをディスプレイに表示しているか否かが判然としない点。
(相違点3)
本件発明1では、前記サーバに送信される「第2の認証用信号」が、第2の端末が第1の端末のディスプレイに表示されているサーバから受信したコードを撮影することで生成されたものであるのに対し、引用発明では、モバイル端末が、どのようなコードをスキャン(撮影)することで生成されたものであるかが明らかでない点。
(相違点4)
本件発明1では、サーバが、第2の認証用信号が受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定した後に、受験者を試験するための画面を第1の端末に提供しているのに対し、引用発明では、サーバが、モバイル端末から受信した第2の認証用信号が受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて認証成功と決定するか否かが判然とせず、また、認証成功と決定した後に、受験者を試験するための画面をPC端末に提供しているか否かも判然としない点。
(3)判断
事案に鑑み、上記相違点4について検討する。
サーバが、オンライン試験の監視を行う端末から受信した認証用信号が、そのオンライン試験を受験する受験者に対応する認証データと一致することに応じて認証成功と決定し、その後に受験者を試験するための画面を端末に提供することは、いずれの甲号証にも記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明のことともいえない。
そして、本件発明1は、上記相違点4の構成によって、「サーバ10は、試験端末20および補助端末30からそれぞれ受信した第1の認証用信号および第2の認証用信号が、受験者に対応する第1の認証データおよび第2の認証データとそれぞれ一致することに応じて、受験者と試験端末20と補助端末30とを関連付けること」(本件特許の明細書の段落【0120】)ができ、それにより、「複数の受験者が同時にサーバ10にアクセスしたとしても、各受験者について、当該受験者の使用している試験端末20と補助端末30とを関連付けることができる。これにより、監視者は、受験者ごとに、当該受験者に対応する試験端末20から取得した第1の画像と、当該受験者に対応する補助端末30から取得した第2の画像と、を確認することにより、当該受験者の不正行為を監視でき」(本件特許の明細書の段落【0121】)、そのことを前提として受験者を試験するための画面を端末に提供することができるという、顕著な作用効果を奏するものである。
(4)申立人の主張について
申立人は、意見書において、上記相違点4に関して次のように主張する。
「ここで、上記相違点のうち、「認証成功と決定」することにおいて、サーバが、「第2のカメラがコードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を受信」し、「第2の認証用信号が受験者に対応する第2の認証データと一致すること」を判定することについて、検討する。訂正発明1の「第2の認証用信号」とは、撮影したコード情報そのもの、またはそれを加工した信号を指し、「受験者に対応する第2の認証データ」とは、サーバが受験者の第1端末に発行した元の「コード」情報を指し、コードの発行元であるサーバがコードの情報を保持しているのは当然である。そうすると、引用発明3及び引用発明7は、サーバが受験者の第1端末に対してコードを発行し、第1の端末がコードを表示し、第2の端末(携帯端末)がコードを撮影しサーバに送信することでサーバ、第1の端末、第2の端末の間の同期を行っていることから、「認証成功と決定」することにおいてサーバが、「第2のカメラがコードを撮影することに応じて生成された第2の認証用信号を受信」し、「第2の認証用信号が受験者に対応する第2の認証データと一致すること」を判定することに相当する構成を備えることが自明である。」
しかしながら、甲第3号証には、監視を開始するためにモバイル端末がスキャンするコードがどのようなコードであるのかが記載されておらず、そのコードが受験者に対応するものであるとはいえないから、サーバが、認証成功と決定する際に、モバイル端末から受信した認証用信号が受験者に対応する認証データと一致することを判定しているとはいえない。
また、上記第4 4(1)で述べたように、甲第7号証は本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものとはいえない。
(なお、甲第7号証には、デスクトップアプリに表示されたQRコードをモバイルアプリでスキャンしてスマートフォンをデスクトップアプリに接続することが記載されているものの、そのQRコードはスマートフォンをデスクトップアプリに接続するためのものであって、受験者に対応するQRコードとはいえないから、サーバが、認証成功と決定する際に、スマートフォンから受信した認証用信号が受験者に対応する認証データと一致することを判定しているとはいえない。)
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
さらに、申立人は意見書において次のように主張する。
「なお、第1の端末にサーバからサービスを提供するにあたり、サーバから第1の端末にコードを表示させ、第2の端末で当該コードを読取り、当該コードに関連する情報をサーバに送信して、サービス提供の認証を行う場合に、コードの生成において、ワンタイムパスワード的な、認証要求ごとに専用の(すなわち受験者に対応する)コードを生成したり、コードにサービスの利用者に関する情報を含むように加工したりすることは本件特許の出願時において周知技術である(例えば、甲第5号証、甲第8号証、甲第9号証参照)。」
しかしながら、上記のとおり、甲第3号証及び甲第7号証のいずれにおいても、PC端末やデスクトップアプリで表示されるコードが受験者に対応するものであるとはいえないから、甲第5号証、甲第8号証、甲第9号証に記載されていることが周知技術であったとしても、甲第3号証または甲第7号証に記載された発明に当該周知技術を適用しても、上記相違点4の構成とはならない。
したがって、申立人の上記主張も採用できない。
(5)小括
以上のとおりであるから、相違点1~3を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及びいずれの甲号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
2 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の「試験システム」のうちの「サーバ」を抜き出した発明となっており、上記相違点4に係る構成を有するから、本件発明1と同様の理由により、引用発明及びいずれの甲号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
3 本件発明3について
(1)対比
本件発明3は「サーバ」の発明であるが、本件発明3と引用発明とを対比すると、両者の間には少なくとも上記相違点1及び相違点3があり、さらに、以下の点で相違する。
(相違点5)
「前記第2の信号が前記受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、前記受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付ける」について、本件発明3では、サーバが、第2の端末から受信した第2の信号が受験者に対応する第2の認証データと一致することに応じて、受験者と前記第1の端末と前記第2の端末とを関連付けているのに対し、引用発明では、サーバが、モバイル端末から受信した第2の信号が受験者に対応する第2の認証データと一致することを確認しているか否かが判然とせず、また、一致することに応じて、受験者とPC端末とモバイル端末とを関連付けているか否かも判然としない点。
(2)判断
事案に鑑み、上記相違点5について検討する。
サーバが、オンライン試験の監視を行う端末から受信した信号が受験者に対応する認証データと一致することを確認することは、いずれの甲号証にも記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明のことともいえない。
また、上記一致することに応じて、受験者と、そのオンライン試験のための画面を表示する端末と、そのオンライン試験の監視を行う端末とを関連付けることも、いずれの甲号証にも記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明のことともいえない。
そして、本件発明3は、上記相違点5の構成によって、上記1(3)で言及したとおりの顕著な作用効果を奏するものである。
(3)小括
以上のとおりであるから、上記相違点1、3を検討するまでもなく、本件発明3は、引用発明及びいずれの甲号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
4 本件発明4について
本件発明4は、本件発明2または3の従属請求項に係る発明であり、上記相違点4または5に係る構成を有するから、本件発明2または3と同様の理由により、引用発明及びいずれの甲号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
5 本件発明5について
本件発明5は、本件発明2の「サーバ」、「第1の端末」、「第2の端末」とを用いた試験方法に係る発明であり、上記相違点4に係る構成を有するから、本件発明2と同様の理由により、引用発明及びいずれの甲号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
6 本件発明6について
本件発明6は、本件発明3の「サーバ」、「第1の端末」、「第2の端末」とを用いた試験方法に係る発明であり、上記相違点5に係る構成を有するから、本件発明3と同様の理由により、引用発明及びいずれの甲号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
第6 取消理由通知において採用しなかった申立理由について
1 理由1(特許法第29条第1項第3号に該当する旨)について
(1)本件発明1、2、5について
上記第5の1(2)及び(3)で言及した相違点4は、甲3に記載されておらず、本件発明1と引用発明との相違点(相違点4)であり、また、いずれの甲号証にも、サーバが、オンライン試験の監視を行う端末から受信した認証用信号が、そのオンライン試験を受験する受験者に対応する認証データと一致することに応じて認証成功と決定し、その後に受験者を試験するための画面を端末に提供することは、記載されていないから、本件発明1と甲1、甲2及び甲4に記載された発明のそれぞれとを対比した場合においても、相違点となる。
このことから、本件発明1は、甲1、甲2、甲3、甲4のそれぞれに記載された発明でなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
本件発明2及び本件発明5についても同様である。
(2)本件発明3、6について
上記第5の1(2)及び(3)で言及した相違点4及び上記第5の3(1)及び(2)で言及した相違点5は、甲2及び甲4に記載されておらず、本件発明3と甲2及び甲4に記載された発明のそれぞれと対比した場合においても、相違点となる。
このことから、本件発明3は、甲2及び甲4のそれぞれに記載された発明でなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
本件発明6についても同様である。
(3)本件発明4について
本件発明4は、本件発明2または3の従属請求項に係る発明であり、(1)及び(2)に照らして、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
(4)小括
以上によれば、理由1は、理由がない。
2 理由2(特許法第29条第2項に違反する旨)について
上記1に示した相違点4及び相違点5は、いずれの甲号証にも記載されていない。よって、理由2は理由がない。
3 理由3及び理由4(特許法第29条第1項第1号又は同条同項第2号に該当する旨)
上記1(1)のとおり、甲3には、相違点4について記載されていないから、本件発明1、本件発明2及び本件発明5について、甲3に基づいて外国公知発明又は外国公然実施発明であると認定することはできない。
してみると、理由3及び理由4は、いずれも理由がない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、訂正後の本件請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701220