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特許異議申立

2022-700949

情報処理装置

審判番号
2022-700949
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-096740
登録番号
7043691
請求日
2022年09月29日
審決日
2023年09月11日
公報発行日
2023年12月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ゼロボード
  • 【権利者代理人】One ip弁理士法人
  • 【異議申立人】青木 なお子
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 松田 直也
  • 審判官 鹿野 博嗣
分類
P1651.113-YAA(G06Q) / P1651.121-YAA(G06Q) / P1651.537-YAA(G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7043691号発明「情報処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7043691号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第7043691号の請求項2~5に係る特許を維持する。 特許第7043691号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年6月9日の出願であって、令和4年3月22日にその特許権の設定登録がされ、同年3月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、同年9月29日に特許異議申立人青木なお子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。 本件特許異議申立て以後の経緯は、次のとおりである。 令和4年11月28日 取消理由通知書(起案日) 令和5年 1月27日 意見書の提出 令和5年 3月14日 取消理由通知書(決定の予告)(起案日) 令和5年 5月15日 訂正請求書の提出 令和5年 6月15日 補正書の提出(特許権者) 令和5年 6月29日 通知書(訂正請求があった旨の通知)(起案日) 令和5年 8月 2日 意見書の提出(申立人) 第2 訂正請求について 1 訂正請求の趣旨 特許第7043691号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める。 なお、以下、本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。 2 訂正の適否 (1)訂正の内容(一群の請求項1~5について) ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を独立形式に改め、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する会計データ記憶部と、前記資産ごとの環境負荷物質の排出係数を記憶する係数記憶部と、前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値に前記排出係数を乗じて、前記資産ごとの前記環境負荷物質の排出量を算出する排出量算出部と、を備え、前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データであること、を特徴とする情報処理装置」に訂正する(請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~5についても同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置であって」と記載されているのを、「請求項2乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置であって」に訂正する。 (2)訂正の適否についての当審の判断(一群の請求項1~5について) ア 一群の請求項1~5についての説明 訂正前の請求項1~5について、請求項2~5はそれぞれ請求項1を直接的に又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 以下、事案に鑑み、特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否かについては、最後にまとめて判断する。 イ 訂正事項1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」目的とする訂正である。 (イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項1を削除する訂正であるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項1を削除する訂正であるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 ウ 訂正事項2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式請求項に改める訂正であるから特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とする訂正である。 (イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式請求項に改める訂正であるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式請求項に改める訂正であるから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ 訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項5が請求項1の記載を引用するところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことに対する、請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とする訂正である。 (イ)事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、上記(ア)のとおり、いずれも、全体として含まれる引用関係の数が減少し、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項にする訂正であるから、実質的な内容の変更を伴うものではない。 したがって、訂正事項3は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、上記(ア)のとおり、全体として含まれる引用関係の数が減少し、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項にする訂正であるから、実質的な内容の変更を伴うものではない。 したがって、訂正事項3は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 オ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、本件特許の訂正前の全請求項である請求項1~5に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、本件訂正による訂正後の請求項1~5に係る発明については課されない。 3 訂正の適否のまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正による訂正は、訂正要件を満たすものである。 第3 訂正後の特許請求の範囲 上記「第2」のとおり、訂正請求による特許請求の範囲の訂正は認められることから、訂正後の特許請求の範囲は、訂正請求書に添付した、次の特許請求の範囲のとおりのものである(以下、「請求項1」~「請求項5」に係る発明を、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明5」という。なお、下線は、特許権者が付与した。)。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する会計データ記憶部と、 前記資産ごとの環境負荷物質の排出係数を記憶する係数記憶部と、 前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値に前記排出係数を乗じて、前記資産ごとの前記環境負荷物質の排出量を算出する排出量算出部と、 を備え、 前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データであること、 を特徴とする情報処理装置。 【請求項3】 請求項2に記載の情報処理装置であって、 前記排出量算出部は、前記固定資産台帳データから資本財に該当する前記固定資産のデータを抽出し、抽出した前記データに含まれる前記価値に前記排出係数を乗じて前記排出量を算出すること、 を特徴とする情報処理装置。 【請求項4】 請求項2又は3に記載の情報処理装置であって、 前記排出量算出部は、前記固定資産台帳データからリース資産に該当する前記固定資産のデータを抽出し、抽出した前記データに含まれる前記価値に前記排出係数を乗じて前記排出量を算出すること、 を特徴とする情報処理装置。 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、 算出した前記排出量に応じて環境価値を購入する処理を行う環境価値購入部を備えること、 を特徴とする情報処理装置。」 第4 取消理由について 1 取消理由の概要 当審は、令和5年3月14日付け取消理由通知により、下記のとおり指摘した。 「1.請求項1、5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) <引用文献等一覧> 1.特開2008-108204号(甲第1号証) 2.「スコープ3排出量の算定技術ガイダンス 企業のバリューチェーン(スコープ3)の算定・報告基準の補足」(Technical Guidance for Calculating Scope 3 Emissions -Supplement to the Corporate Value Chain (Scope 3) Accounting & Reporting Standard, World Resource Institute & World Business Council for Sustainable Development, 2013 の「みずほ情報総研株式会社」による翻訳)、環境省、[online]、2013年、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/(J)-calculation_guidance.pdf>(甲第4号証) 3.「環境省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:国際動向」、環境省、[online]、2016年、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20160613181122/https:/www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/intr_trends.html>(甲第4号証の2) 4.「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位について(Ver.3.1)」、環境省、[online]、2021年3月、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210613145750/https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/unit_outline_V3-1.pdf>(甲第5号証) 5.「環境省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:算定時の参考資料」、環境省、[online]、2021年4月、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210412151358/https:/www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate_tool.html>(甲第5号証の2) 6.国際公開第2010/067716号(甲第7号証)」 2 引用文献に記載されている事項 (1)引用文献1について ア 引用文献1に記載されている事項 本件特許出願前(平成20年5月8日)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、引用文献1には、図面とともに、次の記載がある。 「【背景技術】 【0002】 近年、地球温暖化など、人類の消費活動が地球へ及ぼす影響の問題が顕在化している。このため、特に、工業製品の環境影響に対する定量的評価が重要となっている。環境影響評価の代表的手法としては、LCA(Life Cycle Assessment)方法が知られている。LCA方法は、対象とする製品について、製造から製品の使用、廃棄までのプロセスにおける資源消費量や排出物質量を計量する手法である。」 「【0004】 このようなLCA方法を行なう場合に、評価対象とする製品の環境負荷を原単位データとして取得することができれば、それらの総和に基づいて比較的容易に環境影響評価を行うことが可能である。原単位データとは、評価対象の製品の各構成部品、素材(材料)、消費エネルギーの単位質量当たりの環境負荷を示すデータである。具体的には、例えば、電力エネルギーのCO2排出原単位データは、1kW当たりの電力消費での二酸化炭素(CO2)の発生量である。環境負荷は、CO2に限ったものではなく、例えば大気汚染(SOx:硫黄酸化物、NOx:窒素酸化物など)、水域への汚染負荷(BOD:生物化学的酸素要求量、COD:化学的酸素要求量など)、その他にも資源消費負荷など様々である。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 原単位データを取得することにより、比較的容易に環境影響評価を行うことが可能となる。しかしながら、公的情報により計算される原単位データは、国内の平均的な値である。従って、実際の評価対象である機器の環境影響評価では、当該機器の原単位データの調査、収集、作成を行なう必要がある。 【0008】 また、産業連関表に基づいて計算される原単位データ以外には、公的機関や研究所、また製造メーカより公開された原単位データがある。これらの原単位データは、原単位を算出するための前提条件や境界の設定などが異なるため、ばらつきがある。従って、これらの原単位データを使用した場合に、製品である機器に対する適切な環境負荷評価を得られないことがある。 【0009】 そこで、本発明の目的は、一貫性を確保した原単位データを取得できるようにして、比較的容易に実行でき、かつ信頼性、客観性、透明性が高い環境負荷評価を実現できる環境負荷評価システムを提供することにある。」 「【0015】 装置本体10は、既知の原単位データを蓄積するデータベース(以下、原単位DBと表記する)2と、原単位データの補間推定に用いる補間推定用データを蓄積するデータベース(以下、推定用DBと表記する)3と、原単位データの選定部4と、原単位データの補間推定部5とを有する。 【0016】 原単位DB2には、例えば産業連関表から推計した原単位データが蓄積されている。また、既知の原単位データとして、研究所、行政機関、メーカなどから公開された原単位データがある。装置本体10は、例えばインターネット11を介して、公開された原単位データを収集して、原単位DB2に蓄積する。推定用DB3には、補間推定用データとして、機器の仕様情報であり、様々な型式の例えば定格容量、定格出力、重量、価格、エネルギー消費量、効率などのデータが蓄積されている。装置本体10は、例えばインターネット11を介して当該補間推定用データを収集して、推定用DB3に蓄積してもよい。」 「【0019】 装置本体10は、入力部1から環境負荷評価の対象機器を指定されると、当該機器の仕様データ(定格容量、定格出力など)を入力する(ステップS1)。選定部4は、原単位DB2を検索し、入力部1から指定された対象機器の仕様データに対応する原単位データが存在する場合には、当該原単位データを選定する(ステップS2のYES,S3)。 【0020】 出力部6は、選定部4で選定された原単位データを、例えば表示画面上に表示する(ステップS5)。また、出力部6は、インターネット11を介して、指定の対象機器に対応する原単位データを要求した端末装置などに送信する。ここで、入力部1は、例えばインターネット11を介して、要求元の端末装置などから環境負荷評価の対象機器の指定と、当該機器の仕様データを入力する構成でもよい。 【0021】 一方、原単位DB2には、指定された対象機器の仕様データに対応する原単位データが存在しない場合には、補間推定部5の補間推定処理に移行する(ステップS2のNO,S4)。補間推定部5は、原単位DB2に蓄積されている既知の原単位データ、及び推定用DB3に蓄積されている補間推定用データを使用して、入力部1で指定された機器の原単位データの補間推定処理を実行する。出力部6は、補間推定部5により補間推定された原単位データを、例えば表示画面上に表示する(ステップS5)。」 「【0024】 補間推定用データとしては、図4に示すように、例えば機器の型式毎の定格容量x1a…x1n、定格出力x2a…x2n、価格x3a…x3n、重量x4a…x4n、消費エネルギー量x5a…x5n(x1,x2,x3,x4,x5…:補間推定に用いるデータ種別、a,b,…n:機器の型式)などのデータが推定用DB3に蓄積されている。これら有意な2組のデータについて、後述するように、各々近似式を求める。 【0025】 ここで、x1,x2,x3,x4は、補間推定処理に用いるデータの種別である。例えば、x1は定格容量(kVA)とし、x2は定格出力(kW)とし、x3は価格(円)とし、x4は重量(t)とする。例えば価格x3と定格容量x1との関係に、一次の相関があるときは、定格容量x1から価格x3を求める近似式を求める。この近似式は、例えば最小二乗法を用いて求めることができる。」 「 [図:0001404766000001.jpg] 」(【図1】) 「 [図:0001404766000002.jpg] 」(【図3】) イ 引用文献1から把握できる事項 上記アから、引用文献1には、次の事項が記載されているといえる。 (ア)【0015】の記載から、引用文献1には、「既知の原単位データを蓄積する原単位DB2と、原単位データの補間推定に用いる補間推定用データを蓄積する推定用DB3と、原単位データの選定部4と、原単位データの補間推定部5とを有する装置本体10」が記載されているといえる。 (イ)【図3】から、機器ごとに、既知の原単位「kg-CO2/円」、「kg-CO2/kw」、「kg-CO2/kwh」があることが看取される。【0016】の「原単位DB2には、例えば産業連関表から推計した原単位データが蓄積されている。また、既知の原単位データとして、研究所、行政機関、メーカなどから公開された原単位データがある。」との記載を併せてみると、引用文献1には、「原単位DB2には、機器ごとに、研究所、行政機関、メーカなどから公開された既知の原単位データ(「kg-CO2/円」、「kg-CO2/kw」、「kg-CO2/kwh」)が記憶され」ることが記載されているといえる。 (ウ)【0016】の「推定用DB3には、補間推定用データとして、機器の仕様情報であり、様々な型式の例えば定格容量、定格出力、重量、価格、エネルギー消費量、効率などのデータが蓄積されている。」との記載、【0024】の記載、【0025】の「x1は定格容量(kVA)とし、x2は定格出力(kW)とし、x3は価格(円)とし、x4は重量(t)とする。」から、引用文献1には、「推定用DB3には、補間推定用データとして、機器の型式毎の、定格容量(kVA、x1a…x1n)、定格出力(kW、x2a…x2)、価格(円、x3a…x3n)、重量(t、x4a…x4n)、エネルギー消費量(x5a…x5n)、効率などのデータ(x1,x2,x3,x4,x5…:補間推定に用いるデータ種別、a,b,…n:機器の型式)が蓄積され」ることが記載されているといえる。 (エ)【0025】の「例えば価格x3と定格容量x1との関係に、一次の相関があるときは、定格容量x1から価格x3を求める近似式を求める。」との記載から、引用文献1には、「定格容量x1から価格x3との相関に基づいて近似式を求め、データ価格x3と定格出力x2との相関に基づいて、近似式を求める、重量x4と定格容量x1との相関に基づいて、近似式を求め、重量x4と定格出力x2との相関に基づいて、近似式を求め、価格x3と重量x4との相関に基づいて、近似式を求め」ることが記載されているといえる。 (オ)【図1】から、入力部1に入力されたものは、装置本体10に入力されることが看取される。さらに、【0019】の記載及び【0021】の「原単位DB2には、指定された対象機器の仕様データに対応する原単位データが存在しない場合には、補間推定部5の補間推定処理に移行する」との記載を併せてみると、引用文献1には、「選定部4は、入力部1で指定された環境負荷評価の対象機器の仕様データ(定格容量、定格出力など)が入力されると、原単位DB2を検索し、入力部1から指定された対象機器の仕様データに対応する原単位データが存在する場合には、当該原単位データを選定し、存在しない場合には、補間推定部5の補間推定処理に移行」することが記載されている。 ウ 引用文献1に記載された発明 上記イから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「 既知の原単位データを蓄積する原単位DB2と、原単位データの補間推定に用いる補間推定用データを蓄積する推定用DB3と、原単位データの選定部4と、原単位データの補間推定部5とを有する装置本体10であって、 原単位DB2には、機器ごとに、研究所、行政機関、メーカなどから公開された既知の原単位データ(「kg-CO2/円」、「kg-CO2/kw」、「kg-CO2/kwh」)が記憶され、 推定用DB3には、補間推定用データとして、機器の型式毎の、定格容量(kVA、x1a…x1n)、定格出力(kW、x2a…x2)、価格(円、x3a…x3n)、重量(t、x4a…x4n)、エネルギー消費量(x5a…x5n)、効率などのデータ(x1,x2,x3,x4,x5…:補間推定に用いるデータ種別、a,b,…n:機器の型式)が蓄積され、 選定部4は、入力部1で指定された環境負荷評価の対象機器の仕様データ(定格容量、定格出力など)が入力されると、原単位DB2を検索し、入力部1から指定された対象機器の仕様データに対応する原単位データが存在する場合には、当該原単位データを選定し、存在しない場合には、補間推定部5の補間推定処理に移行し、 補間推定部5は、原単位DB2に蓄積されている既知の原単位データ、及び推定用DB3に蓄積されている補間推定用データを使用して、入力部1で指定された機器の原単位データの補間推定処理を実行する、 装置本体10。」 (2)引用文献2について ア 引用文献2に記載されている事項 本件特許出願前(2013年(平成25年))に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。 「Copyright ▼c▲ World Resources Institute & World Business Council for Sustainable Development, 2013」(2頁、▼c▲は、マルc。) 「スコープ3 カテゴリの説明 図Iはスコープ3に属する15の報告カテゴリを示しており、スコープ1(所有又は管理する発生源からの直接排出量)及びスコープ2(報告企業が購入し消費する電力、蒸気、熱及び冷却からの間接排出量)と、スコープ3との関係も示している。スコープ3は、企業のバリューチェーンで発生するその他すべての間接的排出量を対象としている。スコープ3に属する15カテゴリは、企業に対して、企業のバリューチェーン全体にわたって排出量を測定、管理、及び削減するための体系的な枠組みを提供することを意図したものである。これらのカテゴリは、カテゴリ間における排出量の二重計上を防止するために、相互に排他的なものとして設定されている。」(4頁) 「カテゴリ2:資本財 カテゴリ2の説明 カテゴリ2は、報告企業が報告対象年において購入又は取得した資本財の生産から生じるすべての上流(すなわち、cradle-to-gate)排出量を対象とする。報告企業による資本財の使用から生じる排出量はスコープ3ではなく、スコープ1(例:燃料使用)又はスコープ2(例:電力使用)のいずれかに算定する。 資本財は長い寿命を持つ最終製品であり、企業が製品を製造し、サービスを提供し、又は商品を販売、保管及び配送するために使用する。財務会計では、資本財は固定資産又は有形固定資産(PP&E)として取り扱われる。資本財の例には、機器、機械、建物、設備及び車両などがある。」(38頁) 「ボックス[2.1] 資本財からの排出量の算定 財務会計上、資本財(「固定資産」とも呼ばれる)は、通常、資産の耐用期間にわたって償却または減価償却される。スコープ3排出量算定においては、企業は、資本財の生産からの排出を経時的に減価償却、割引または償却してはならない。その代わりに、企業は、企業がカテゴリ1のその他の購入した製品からの排出を算定するのと同様に、取得した年に購入した資本財のcradle-to-gateの総排出量を算定することが望ましい。主な資本財の購入が数年ごとに1回のみ発生する場合、資本財からのスコープ3排出量は年毎に大幅に変動する可能性がある。企業は、公開報告書において、適切な背景(特別または経常外資本投資を強調するなど)を提示することが望ましい。 出所:スコープ3基準、ボックス5.4」(38頁、枠囲い省略。) 「・平均消費手法:購入した物品の経済価値に関するデータを収集し、関係する二次(例:業界平均)排出係数(例:物品の金銭的価値当たり平均排出量)を乗じることにより、物品の排出量を推計する。」(39頁) 「カテゴリ8:上流のリース資産 カテゴリ8の説明 カテゴリ8の対象は、報告企業が報告対象年に賃借し、且つ、当該報告企業のスコープ1又はスコープ2インベントリに含まれていない資産の運用から生じる排出量とする。本カテゴリは、リース資産を運用する企業(すなわち、賃借者)に対してのみ適用される。資産を所有し、他に賃貸している企業(すなわち、賃貸者)に関しては、カテゴリ13(下流のリース資産)を参照のこと。 リース資産は、リースの種類や、企業が組織境界の定義に用いている連結方法によっては、スコープ1又はスコープ2インベントリに含めてもよい(スコープ3基準の第5.2項を参照)。 報告企業が資産を借りたのが報告対象年の一部の期間のみであった場合、その資産のリース該当期間の排出量だけを算定することが望ましい。(賃貸者の連結方法によっては)報告企業の上流のリース資産から生じるスコープ3排出量に、賃貸者のスコープ1及びスコープ2排出量を含める。 リース資産からの排出量の算定に関する詳細情報については、スコープ3基準の付録Aを参照のこと。」(99頁) 「リース資産から生じる排出量の算定 図8.1は、上流のリース資産から生じる排出量の算定方法を選択するためのデシジョン・ツリーを表している。企業は以下に挙げる方法のいずれかを使用してよい: ・資産固有手法:資産固有(例:サイト固有)の燃料及びエネルギーの使用に係るデータ。 プロセス、並びに漏洩排出量、又は個別リース資産から生じたスコープ1及びスコープ2排出量データの収集を含む。 ・賃貸者固有手法:賃貸者から生じたスコープ1及びスコープ2排出量の収集と、関係するリース資産への排出量の配分を含む。 ・平均データ手法:各リース資産又は複数のリース資産の排出量を、平均データ(資産の種類又は床面積当たりの平均排出量など)に基づいて推計する。」(99頁) 「資産固有手法 この手法は、資産固有(例:サイト固有)の燃料及びエネルギー、並びに/又は、個別リース資産のスコープ1及びスコープ2排出量のデータ収集を行う。 必要な活動量 企業は以下についてのスコープ1及びスコープ2排出量データ、又は活動量を収集することが望ましい: ・資産固有の燃料の使用、並びに資産固有の電気、蒸気、暖房及び冷房の使用 ・該当する場合は、非燃焼排出量(すなわち、工業プロセス又は漏洩排出量)に関係する活動量 必要な排出係数 企業は以下のデータを収集することが望ましい: ・消費単位(例:電気はkgCO2e/kWh、軽油はkgCO2e/L)当たりのエネルギー源(電気及び燃料など)のサイト固有又は地域固有の排出係数 ・漏洩排出量及びプロセス排出量の排出係数 ・・・ データ収集ガイダンス 活動量のデータ源には以下を含めてもよい: ・公共料金の請求書 ・購入記録 ・メーター読取値 ・社内ITシステム」(100~101頁) 「算定式[8.1] 資産固有手法 上流のリース資産から生じるCO2e排出量= 各リース資産に関係するスコープ1及びスコープ2排出量の算定: リース資産のスコープ1排出量 =Σ(燃料消費量(例:L)×燃料源の排出係数(例:kg CO2e/L)) +Σ((冷媒漏洩量(kg)×冷媒の排出係数(kg CO2e/kg)) +プロセス排出量) リース資産のスコープ2排出量 =Σ(電気、蒸気、暖房、冷房による消費量(例:kWh)) ×電気、蒸気、暖房、冷房の排出係数(例:kg CO2e/kWh)) 全リース資産の総和: Σ各リース資産のスコープ1及びスコープ2排出量」(101~102頁、枠囲い省略。) 「 [図:0001404766000003.jpg] ・・・ [図:0001404766000004.jpg] 」(173~174頁) 「 [図:0001404766000005.jpg] 」(184頁) 上記「カテゴリ2(資本財)の算出手法の概要」及び「カテゴリ8(上流のリース資産)の算出手法の概要」から、排出量の算出は、「Σ活動量×排出係数」で与えられることが記載されているといえる。 なお、引用文献2は、引用文献3に記載の 「GHGプロトコル Scope3 米国の環境シンクタンクWRI(世界資源研究所)と、持続可能な発展を目指す企業連合体であるWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が共催するマルチステークホルダー方式のパートナーシップである「GHGプロトコル」が、開発及び発行の主体となっています。「GHGプロトコル」自体は公的機関ではないものの、海外の政府機関等がステークホルダーとして深く関与しています。 このGHG プロトコルでは、企業のバリューチェーンにおける排出量の算定や報告の方法を示す「GHG プロトコルScope3算定報告基準(Corporate Value Chain (Scope3) Accounting and Reporting Standard)」(以下「Scope3基準」)を策定しています。Scope3基準は2008年から運営委員会及び技術作業部会での検討が開始され、ステークホルダーの意見聴取や、60以上の企業が参加した試行テスト、ドラフト案に対するパブリックコメントなどを経て、平成23年10月に正式発行されました。 また、Scope3基準の付帯資料として、企業のバリューチェーンにおける排出量の算定に関する実践的ガイダンス「Scope3算定技術ガイダンス(Technical Guidance for Calculating Scope3 Emissions - Supplement to the Corporate Value Chain (Scope3)Accounting & Reporting Standard)」が発行されています。Scope3算定技術ガイダンスには、Scope3の15カテゴリそれぞれのGHG排出量算定手法や、データ源、事例など、Scope3基準には含まれていない情報が含まれています。 【参考URL】 >GHGプロトコル(英語)(Greenhouse Gas Protocol,外部リンク) >Scope3基準(英語)(Greenhouse Gas Protocol,外部リンク) >Scope3基準(日本語)(1,153KB) >Scope3算定技術ガイダンス(英語)(Greenhouse Gas Protocol,外部リンク) >Scope3算定技術ガイダンス(日本語)(1,346KB)」 の上記下線のリンクをクリックすることで得られること、Scope3基準は、平成23年10月に正式に発行されたものであって、引用文献2には、2頁の「Copyright ▼c▲ World Resources Institute & World Business Council for Sustainable Development, 2013」(▼c▲は、マルc。)の記載から、引用文献2は、2013年に公知になったものである。 イ 引用文献2に記載されている技術的事項 上記アから、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「 企業のバリューチェーンで発生するその他の全ての間接的排出量を対象としているスコープ3において、排出量はΣ活動量×排出係数で与えられ、 カテゴリの1つである「カテゴリ2:資本財」において、 財務会計では、資本財は固定資産又は有形固定資産(PP&E)として取り扱われ、資本財には、機器、機械、建物、設備及び車両などがあり、 資本財の生産から生じる排出量は、Σ(資本財の価値($)×経済価値単位当たりの資本財の排出係数(kgCO2e/$)によって算定されること、 また、スコープ3のカテゴリの1つである「カテゴリ2:資本財」において、 リース資産から生じる排出量の算定には、資産固有手法、賃貸者固有手法、平均データ手法があり、 資産固有手法では、全リース資産の総和(Σ各リース資産のスコープ1及びスコープ2排出量)であって、リース資産から生じる排出量が算定され、 リース資産のスコープ1排出量=Σ(燃料消費量(例:L)×燃料源の排出係数(例:kg CO2e/L))+Σ((冷媒漏洩量(kg)×冷媒の排出係数(kg CO2e/kg))+プロセス排出量) リース資産のスコープ2排出量=Σ(電気、蒸気、暖房、冷房による消費量(例:kWh))×電気、蒸気、暖房、冷房の排出係数(例:kg CO2e/kWh)) であること。」 (3)引用文献4に記載されている事項 ア 引用文献4に記載されている事項 本件特許出願前(2021年(令和3年)3月)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、引用文献4には、図面とともに、次の記載がある。 「はじめに 本方針は、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定(以下、「サプライチェーン排出量等」と言います。)の算定を行うために必要となる排出原単位を整備するにあたり、サプライチェーン排出量等の算定のための排出原単位が満たすべき要件、排出原単位データベースの整備と使い方を整理したものです。本方針に基づき排出原単位データベースを整備することで、サプライチェーン排出量等の算定の負荷軽減を図ることを目的とします。」(1頁) 「1.1 基本的考え方 サプライチェーン排出量等の算定においては、可能な限り算定精度を高めることが望ましいと考えられます。しかしながら、算定精度を高めることによる算定負荷やコストの増大も懸念されることから、算定の目的に応じた算定精度を意識することが重要と考えられます。 本方針では、排出原単位を利用して算定されるサプライチェーン排出量の活用先がCSRレポートへの掲載や自主的な情報開示であることを前提に、排出原単位の整備の考え方について整理しています。したがって、ここで整備する排出原単位は新たに厳格な検証を行うようなものではなく、既存のLCA等で使用されている排出原単位を引用または加工したものとすることを基本的考え方とします。また、既存の排出原単位では不足する部分については、今般新たに排出原単位を作成することとします。」(1頁) 「1.2 整備する排出原単位 本方針に基づき整備する排出原単位は、算定者が基本ガイドラインまたは業種別解説に基づきサプライチェーン排出量等を算定するために使用可能なものとします。また、算定を容易にするため、基本ガイドラインのカテゴリ(表1参照)毎に利用可能な排出原単位を整備するものとします。 [図:0001404766000006.jpg] 」(2頁) 「1.3 排出原単位が満たすべき要件 基本ガイドラインにも示されている通り、サプライチェーン排出量等は主に「排出量=活動量×排出原単位」により算定する方法が多いと考えられますが、活動量や排出原単位についてはどのようなデータを用いるかによって算定精度や算定する範囲(カバー率)が変わってきます。 基本ガイドラインが、まずはなるべくカバー率を高めることができるような算定を推奨していることを踏まえれば、事業者が入手可能な活動量データに応じた排出原単位は可能な限り数多く整備されることが望ましいと考えられます。 そのような観点から、一般的な排出原単位の検証基準を参考にサプライチェーン排出量等を算定するための排出原単位が満たすべき要件を表2に整理しました。サプライチェーン排出量等を算定する際に用いる排出原単位は表2に示す要件を満たすこととします。」(3頁) 「 [図:0001404766000007.jpg] 」(5頁) 「 [図:0001404766000008.jpg] 」(11頁) 「 [図:0001404766000009.jpg] 」(24頁) イ 引用文献4に記載されている技術的事項 上記アから、引用文献4には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「 サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定(サプライチェーン排出量等)は「排出量=活動量×排出源単位」により算出されるものであって、 スコープ3のカテゴリの1つである「2:資本財」において、 自社の資本財の建設・製造から発生する搬出を算定対象とする活動とし、 算定方法を、Σ{(資本財の販売単位)×(排出源単位)}、又は、Σ{(資本財の価格(建設費用))×(排出源単位)} とすること、 また、「カテゴリ8:リース資産(上流)」において、 リース資産ごとにエネルギー種別の消費量が把握できる場合の算定方法を、Σ(リース資産におけるエネルギー種別の消費量 × エネルギー種別の排出原単位) とすること。」 なお、引用文献4は、引用文献5に記載の 「■最新版のデータベースの解説 排出原単位データベースの整備方針、使い方等をScope1、Scope2及びScope3のカテゴリ毎に整理した資料です。排出原単位の適用可否の判断等に活用できます。Ver.3.1(PDF/973KB) <2021年3月リリース>」 の下線部のリンクをクリックすることで取得されることから、2021年3月に公知になったものである。 (4)引用文献6に記載されている事項 ア 引用文献6に記載されている事項 本件特許出願前(2010年(平成22年)6月17日)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、引用文献6には、図面とともに、次の記載がある。 「[0001] 本発明は、予め割り当てられた温室効果ガスの排出枠が余ったことにより発生する排出余剰量を証券のように使えるようにし、これを効率的に取引可能とする排出量取引システム及び排出量取引方法に関する。」 「[0005] 一方、排出量取引は、排出削減の結果である排出枠に金銭的な価値を与えるものであるが、排出量取引そのものが温室効果ガスの排出を削減できるわけではないという問題も存在する。温室効果ガスは、商品やサービスの生産や流通等のすべての経済・社会活動の中で生じることから、商品やサービスの購入者側が、温室効果ガスを排出する量が少ない商品やサービスを積極的に選ぶことが求められている。 [0006] 温室効果ガスを排出する量が少ない商品やサービスを積極的に選んで購入する行為は「グリーン購入」と称されており、2000年には、グリーン購入を推進するための「グリーン購入法」が制定されている。グリーン購入を推進する手法は色々考案されており、例えば特許文献2には、このグリーン購入に伴う二酸化炭素の削減量を集計して把握する手法が記載されている。 [0007] また、商品のCO2排出量とその出所を示すことにより、温室効果ガス削減への取り組みを行いやすくする「カーボンフットプリント」という取り組みも知られている。」 「[0016] 以下、添付図面に基づいて、本発明のCO2排出量取引方法及びその管理システムの実施の形態例について、以下の項目にしたがって順次説明する。 1.排出枠の概念 2.システムの全体構成例 3.システムの内部構成例 4.電子タグ内のデータ構造 5.システムを構成する各データベースの構築例 6.システムの動作例 7.実施の形態による効果 8.実施の形態の変形例(1):電子タグの所有者が電子タグ情報管理事業者である場合の例 9.実施の形態の変形例(2):リユース・リサイクルシステムに適用する場合の例」 「[0017] [1.排出枠の概念] 図1は、本発明の実施の形態例(以下、「本例」と略称する。)を説明するための前提として、CO2等の温室効果ガスの排出枠を有価証券化して販売することを示した概念図である。A社とB社という企業が存在し、夫々の企業に排出可能枠が定められている状態が示されている。そして左側に示すA社においては、割り当てられた排出可能枠よりも、実際に排出した量(以下、実際排出量と称する)の方が少ないことが示されている。つまりA社は、排出可能枠から実際排出量を差し引いた余剰分の排出量(以下、「排出余剰量」と称する。)を有している。 [0018] 一方、図1に示されるB社は、温室効果ガスの実際排出量が排出可能枠を超えている企業である。したがって、B社にとって排出可能枠が不足している。このような場合、B社はこの不足分を他から調達することにより、排出可能枠を増やすことができる。図1に示した例では、A社が排出余剰量を排出枠として販売し、その排出枠をB社が購入するという取引が成立する。なお、以下の説明では、決済される前の排出枠を「排出余剰量」と称し、決済後の排出枠を「排出枠」と称する。 [0019] 本実施の形態のシステムは、排出余剰量を、工場等で生産される様々な生産物に添付して販売できるようにするシステムである。図2は、本例のシステムによって、企業における温室効果ガス(図2の例ではCO2)が削減される仕組みを示した説明図である。図2には、自動車の製造工程の各段階に関わる様々な工場が示されており、具体的には、エンジン工場F1~エンジン工場F2と、ガラス工場F3~ガラス工場F4、タイヤ工場F5~タイヤ工場F6と、自動車組立工場F7とが示されている。 [0020] そして、エンジンを生産する工場であっても、エンジン工場F1とエンジン工場F2とでは、商品(エンジン)に添付する排出余剰量の量が異なっていることが示されている。エンジン工場F1では20kgの排出余剰量が商品に添付されているのに対して、エンジン工場F2では1kgの排出余剰量しか添付されていない。ここで、商品に添付する排出余剰量が多い工場とは、自社における排出量削減努力によって余剰の排出枠が増えた工場か、他の企業等から排出枠を多く購入した工場のいずれかである。 [0021] また、商品の購入者においては、排出余剰量は後にキャッシュバックされるものであるため、同等の商品であるならば、排出余剰量がより多く添付された商品を積極的に選択するようになる。つまり、排出余剰量がより多く添付された商品の方が、より売れるようになる。このため各工場では、より販売力のある商品、つまり、より多くの排出枠を添付した商品を販売するようになり、この結果、市場全体における排出枠の削減が進むことになる。」 イ 引用文献6に記載されている技術的事項 上記アから、引用文献6には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「 予め割り当てられた温室効果ガスの排出枠が余ったことにより発生する排出余剰量を証券のように使えるようにし、これを効率的に取引可能とするためのものであって、 温室効果ガスを排出する量が少ない商品やサービスを積極的に選んで購入する行為は「グリーン購入」と称されており、2000年には、グリーン購入を推進するための「グリーン購入法」が制定され、 温室効果ガスの実際排出量が排出可能枠を超えている企業であるB社は、不足分を他から調達することにより、排出可能枠を増やすことができ、 A社が排出余剰量を排出枠として販売し、その排出枠をB社が購入するという取引が成立すること。」 3 取消理由に対する当審の判断 (1)本件訂正発明2について ア 本件訂正発明2と引用発明1との対比 (ア)引用発明1の「指定された環境負荷評価の対象機器」は、環境影響評価の対象である点で、本件訂正発明2の、環境負荷物質の排出量の算出の対象となる「資産」に相当する。引用発明1の、指定された環境負荷評価の対象機器に対応する「原単位データ(kg-CO2/円)」は、対象機が排出する二酸化炭素に関するものである点で、本件訂正発明2の「前記資産ごとの環境負荷物質の排出係数」に相当する。そして、引用発明1は、「原単位DB2」が、「対象機器の仕様データに対応する原単位データが存在する場合」を含む点で、引用発明1の原単位データを蓄積する「原単位DB2」は、本件訂正発明2の「前記資産ごとの環境負荷物質の排出係数を記憶する係数記憶部」に相当する。 (イ)引用発明1の「装置本体10」は、上記(ア)の「原単位DB2」を有する点で、後述する相違点は別にして、本件訂正発明2の「情報処理装置」に相当する。 (ウ)そうすると、本件訂正発明2と引用発明1とは、次の点で、一致又は相違する。 <一致点> 「資産ごとの環境負荷物質の排出係数を記憶する係数記憶部を備える情報処理装置。」 <相違点> (相違点2-1) 本件訂正発明2は、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する会計データ記憶部」を備えるのに対し、引用発明1は、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する会計データ記憶部」を備えているか定かではない点。 (相違点2-2) 本件訂正発明2は、「前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値に前記排出係数を乗じて、前記資産ごとの前記環境負荷物質の排出量を算出する排出量算出部」を備えるのに対し、引用発明1は、「前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値に前記排出係数を乗じて、前記資産ごとの前記環境負荷物質の排出量を算出する排出量算出部」を備えているか定かではない点。 (相違点2-3) 本件訂正発明2は、「前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データ」であるのに対し、引用発明1は、そのようなデータを含んでいるか定かではない点。 イ 相違点の判断 (ア)相違点2-1、相違点2-2 事案にかんがみ、相違点2-1、相違点2-2を併せて検討する。 引用文献1には、「LCA方法を行なう場合に、評価対象とする製品の環境負荷を原単位データとして取得することができれば、それらの総和に基づいて比較的容易に環境影響評価を行うことが可能である。」と記載されていることから、引用発明1の「装置本体10」は、評価対象とする製品の環境負荷の総和を求めるための装置であるといえる。また、引用文献2には、上記2(2)イのとおりの技術的事項、及び、引用文献4には、上記2(3)イのとおりの技術的事項が記載されているとおり、企業や組織の資本財やリース資産から生じる排出量の算定は、Σ活動量×排出係数に基づいて行われ、生産の「活動量」を生産された「資本財の価値」で表して、(資本財の価値)×(排出係数)により算定することは周知技術である。引用発明1において、資本財の環境負荷評価を行うために、この規定に従った排出量算出手段を備えることは適宜なし得た事項である。また、その「資本財の価値」が、資産を特定する情報と対応付けた会計データとして記憶されるようにすることも、適宜なし得た事項である。 そして、引用発明1と周知技術とは共に、評価対象とする製品の環境負荷の総和を得るためのものであるから、引用発明1に周知技術を適用して、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する会計データ記憶部」を備える構成とすること、及び、「前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値に前記排出係数を乗じて、前記資産ごとの前記環境負荷物質の排出量を算出する排出量算出部」を備える構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。 そして、相違点2-1、相違点2-2の構成とすることで奏する効果も、当業者の予測し得る範囲内の事項である。 (イ)相違点2-3について 引用発明1は、「一貫性を確保した原単位データを取得できるようにして、比較的容易に実行でき、かつ信頼性、客観性、透明性が高い環境負荷評価を実現できる」(【0009】)ようにするためのものである。そして、上記ア(ア)のとおり、引用発明1は、「原単位DB2」が、「対象機器の仕様データに対応する原単位データが存在する場合」を含む点で、引用発明1の原単位データを蓄積する「原単位DB2」は、本件訂正発明2の「前記資産ごとの環境負荷物質の排出係数を記憶する係数記憶部」に相当するものであって、このとき、原単位DB2には、機器ごとに、研究所、行政機関、メーカなどから公開された既知の原単位データ(「kg-CO2/円」、「kg-CO2/kw」、「kg-CO2/kwh」)が記憶されるものである。そうすると、引用発明1において、会計データを用いることは上記(ア)のとおり、当業者が容易になし得た事項であるとまではいえるものの、会計データとして、さらに、固定資産台帳を用いる構成としようとする動機付けはない。 さらに、引用文献2には、「財務会計上、資本財(「固定資産」とも呼ばれる)は、通常、資産の耐用期間にわたって償却または減価償却される。スコープ3排出量算定においては、企業は、資本財の生産からの排出を経時的に減価償却、割引または償却してはならない。その代わりに、企業は、企業がカテゴリ1のその他の購入した製品からの排出を算定するのと同様に、取得した年に購入した資本財のcradle-to-gateの総排出量を算定することが望ましい。主な資本財の購入が数年ごとに1回のみ発生する場合、資本財からのスコープ3排出量は年毎に大幅に変動する可能性がある。企業は、公開報告書において、適切な背景(特別または経常外資本投資を強調するなど)を提示することが望ましい。」(38頁)との記載がある。このような記載からは、会計データとして資本財の購入に関する仕訳データを使用することが自然であり、耐用年数や減価償却費などの管理する固定資産台帳を用いる動機付けはない。 そして、当該相違点2-3の構成とすることで、「環境負荷要因の排出量を容易に計算することができる。」(【0008】)という、格別顕著な作用効果を奏するものである。 (ウ)申立人の主張について 申立人は、意見書で次のように主張する。 「 訂正後の請求項2の「前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データである」という事項は、当技術分野において、本件特許の出願時の技術常識である旨主張する。 ・・・ (a)環境負荷物質である二酸化炭素の排出量の算出をする際に、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付けるデータ」として「固定資産台帳データ」を用いることが当技術分野において、本件特許の出願時の技術常識であることを参考資料1及び1-2を参照して説明する。 (b)「会計データ」として、「固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データ」が用いられることが、本件特許の出願時において周知であることを参考資料2~4を参照して説明する。」 上記主張について検討をする。 (a)について、本件訂正発明2は、上記で検討したとおり、本件訂正によって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないとしただけ(引用形式請求項を独立形式請求項に書き換えただけ)であり、新たな技術的事項を付加していないから、本訂正請求に付随して新たな技術的事項について追加で証拠を提出する必要性は生じていない。したがって、上記(a)の主張を行うために新たな証拠を追加することは、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由に対して意見の内容が実質的に新たな内容を含むものであると認められるときといわざるを得ない。 よって、上記(a)の主張は、実質的に新たな内容を含む部分であって、新たな取消理由として採用することはできない。 (b)は、「会計データ」として、「固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データ」が用いられるという、会計業務における一般的な事項を説明する証拠であって、各甲号証において、環境負荷物質である二酸化炭素の排出量の算出をする際に、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付けるデータ」として「固定資産台帳データ」を用いることを裏付けるものではない。 よって、上記(b)の主張に理由はない。 なお、参考資料5も、環境負荷物質である二酸化炭素の排出量の算出をする際に、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付けるデータ」として「固定資産台帳データ」を用いることを裏付けるものではない。 ウ 小括 よって、本件訂正発明2は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明3~5について 本件訂正発明3~5は、いずれも、直接的又は間接的に本件訂正発明2を引用することから、上記(1)ア(ウ)で示した相違点2-3である「前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データ」と同一の構成を備えるものである。そうすると、その判断は上記(1)イ(イ)のとおり、当業者が容易に想到することができたものではない。 よって、本件訂正発明3~5は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 取消理由についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正発明2~5は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 取消理由で採用しなかった申立人の主張について 1 主張の概要 申立人は、次のとおり主張する。なお、理由番号は当審が付与した。 (1)理由1(特許法第29第条1項第3号、新規性) 本件発明1は、甲第1号証に記載された発明である。 (2)理由2(特許法第29条第2項、進歩性) 本件発明1~5は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証~甲第7号証に記載された事項を組み合わせることで、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)理由3(特許法第36条第6項第2号、明確性要件) ア 理由3-1 「価値」という用語について、請求項1では、「排出係数」を乗じて、「排出量を算出する」計算に使用される価値であるのに対して、請求項5では、経済的価値を観念する用語として「環境価値」という用語が用いられている。そして、請求項1の「価値」は、上位概念として「環境価値」を含み得るとも解釈されるため、請求項1の「価値」は不明確である。 イ 理由3-2 請求項4の「リース資産に該当する・・・データ」に含まれる「価値」とは、「リース資産」の固定資産そのものの評価額としての「価値」なのか、「リース資産」という固定資産をリースするための費用としての「価値」なのか、請求項の記載からでは一義的に解釈できず不明確である。 さらに、請求項4の「前記固定資産台帳データからリース資産に該当する前記固定資産のデータを抽出し、抽出した前記データに含まれる前記価値」における「抽出した」「リース資産に該当する前記固定資産台帳データ」「に含まれる価値」も不明確である。 ウ 小括 よって、本件発明1~5は、明確性要件を満たさず取消理由を有する。 (4)理由4(特許法第36条第4項第1号、実施可能要件) 本件発明4には、「前記固定資産台帳データからリース資産に該当する前記固定資産のデータを抽出し、抽出した前記データに含まれる前記価値に前記排出係数を乗じて」と記載されている。 しかし、「抽出した」「リース資産に該当する前記固定資産のデータ」「に含まれる価値」に関して、発明の詳細な説明には、段落0036に「固定資産台帳におけるリース資産の昨年度との差分(増分)」と記載されているにすぎず、当該分野の技術常識によれば、リース資産に該当する固定資産のデータにおける価値に相当するものの候補としては、「リース資産」の固定資産そのものの評価額としての「価値」、あるいは「リース資産」という固定資産をリースするためのリース費用としての「価値」などが考えられから、「リース資産の昨年度との差分(増分)」という用語からでは、排出量算出に使用する「価値」をいずれの価値に設定し、排出量の算出に際して、当該「差分」から定められる「価値」に対する「排出係数」をどのように設定すべきか、ということを試行錯誤なしには認識することができない。 よって、本件発明1~5は、実施可能要件を満たさず取消理由を有する。 (5)理由5(特許法第36条第6項第1号、サポート要件) 請求項1の「価値」という用語は、発明の詳細な説明には、出願当初の請求項の内容をそのまま引き写した内容の記載のある段落0010以外には記載がない。 発明の詳細な説明には、段落0020に「取得した固定資産台帳データの帳簿価格」なる開示はあるが、より広義な「価値」という用語から技術常識に基づいて観念される意味としては、「物事の役に立つ性質・程度」といった意味が理解されるにすぎないのであって、このような広義の用話が使用される請求項1に対してまで、発明の詳細な説明に開示された発明を拡張又は一般化できるとはいえない。また、このような漠然とした広義の用語が使用される限り、当業者が価値に関する排出係数の設定をすることも困難となり、段落0005の「環境負荷要因の排出量を容易に計算することのできる技術を提供する」(下線は、申立人が付与した。)という発明の課題を解決できるとの認識もできない。 したがって、本件発明1は、サポート要件違反に該当する。 よって、本件発明1~5は、サポート要件を満たさず取消理由を有する。 2 証拠方法 甲第1号証:特開2008-108204号(引用文献1) 甲第2号証:「カーボンフットプリント入門 | 本当の見える化で進めるCO2削減 | TC02」、TCO2株式会社、[online]、2021年4月10日、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:http://web.archive.org/web/20210410194507/http://tco2.com/app/com/page/CarbonFootPrint.action?lc=ja_jp> 甲第2号証の2:「SimaPro LCA ソフトウエア | TC02」、TCO2株式会社、[online]、2021年4月10、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:http://web.archive.org/web/202104l0l91649/http://tco2.com/app/com/page/SimaProTop.action?lc=ja_jp> 甲第3号証:「特徴4 : 様々な先進機能 || SimaPro LCA ソフトウエア || TC02」、TCO2株式会社、[online]、2021年5月11日、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210511235002/http://tco2.com/app/com/page/SimaProChar04.action?lc=ja_JP> 甲第3号証の2:「SimaPro Connectors || SimaPro LCA ソフトウエア || TC02」、TCO2株式会社、[online]、2021年1月22日、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210122154551/http:/tco2.com/app/com/page/SimaProCom.action?lc=ja_JP> 甲第4号証:「スコープ3排出量の算定技術ガイダンス 企業のバリューチェーン(スコープ3)の算定・報告基準の補足」(Technical Guidance for Calculating Scope 3 Emissions -Supplement to the Corporate Value Chain (Scope 3) Accounting & Reporting Standard, World Resource Institute & World Business Council for Sustainable Development, 2013 の「みずほ情報総研株式会社」による翻訳)、環境省、[online]、2013年、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/(J)-calculation_guidance.pdf>(引用文献2) 甲第4号証の2:「環境省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:国際動向」、環境省、[online]、2016年、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20160613181122/https:/www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/intr_trends.html>(引用文献3) 甲第5号証:「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位について(Ver.3.1)」、環境省、[online]、2021年3月、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210613145750/https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/unit_outline_V3-1.pdf>(引用文献4) 甲第5号証の2:「環境省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:算定時の参考資料」、環境省、[online]、2021年4月、[令和4年11月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210412151358/https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate_tool.html>(引用文献5) 甲第6号証:「温室効果ガス(GHG)プロトコル 事業者排出量算定報告基準 改訂版」、2004年9月 財団法人 地球産業文化研究所 仮訳、2005年3月 中央青山サステナビリティ認証機構 改訂・補注) 甲第7号証:国際公開2010/067716号(引用文献6) なお、検索日は、当審で検索を行った日である。 3 申立人の主張の検討 (1)理由1(新規性)・理由2(進歩性)について 請求項1は、本件訂正により削除されたことから、理由1は存在しない。 以下では、本件訂正発明2~4(理由2)について、甲第2号証、甲第2号証の2、甲第3号証、甲第3号証の2、及び、甲第6号証を含めて、当審の判断を示す。 ア 甲号証に記載されている事項 (ア)甲第1号証、甲第4号証、甲第4号証の2、甲第5号証、甲第5号証の2、及び、甲第7号証については、上記「第4」のとおりである。 (イ)甲第2号証に記載されている事項 本件特許出願前(2021年(令和3年)4月10日)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、甲第2号証には、次の記載がある。 「 [図:0001404766000010.jpg] 」 「 [図:0001404766000011.jpg] 」 「 [図:0001404766000012.jpg] 」 (ウ)甲第2号証の2に記載されている事項 本件特許出願前(2021年(令和3年)4月10日)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、甲第2号証の2には、次の記載がある。 「 [図:0001404766000013.jpg] 」 (エ)甲第3号証に記載されている事項 本件特許出願前(2021年(令和3年)5月11日)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、甲3には、次の記載がある。 「 [図:0001404766000014.jpg] 」 (オ)甲第3号証の2に記載されている事項 本件特許出願前(2021年(令和3年)1月22日)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、甲3の2には、図面とともに、次の記載がある。 「 [図:0001404766000015.jpg] 」 (カ)甲第6号証に記載されている事項 本件特許出願前(2005年(平成17年)3月)に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、甲6には、次の記載がある。 「第7章 インベントリの質の管理 各事業者が自社のGHG 排出インベントリの質を管理する理由は、利害関係者からの要求への対応を改善できる機会を特定するためから規制の準備のためとさまざまである。「GHG プロトコル事業者排出量算定基準」は、これらの理由が事業者目標および将来への期待に作用していることを認識している。インベントリの設計、インベントリの質管理体制の実施、およびインベントリ内の不確実性についての取り扱いは、温室効果ガスの排出の問題に関する事業者の目標や今後の展開についての展望により形づくられるべきである。」(78頁) 「排出係数およびその他のパラメータ 特定の排出源カテゴリーについては、排出量の算定は、一般的に、排出係数およびその他のパラメータ(例:稼働率、酸化率、メタン変換係数など)2 に依存する。これらの係数とパラメータは、事業者固有のデータ、現場固有のデータ、または直接排出もしくは他の測定値に基づいて公表された係数またはデフォルト(規定)の係数となろう。燃料消費量については、燃料の単位発熱量に基づいて公表された排出係数は、一般的に、質量や容量に基づいた係数よりも正確である。但し、質量や容量に基づいた係数が事業者または現場固有のレベルで測定された場合は別である。品質調査においては、事業者特有の性質に対する排出係数およびその他のパラメータの代表性と適用性を評価する必要がある。測定値とデフォルト値における差異については、事業者の活動面の特性に基づき定性的に説明され、正当化される必要がある。 活動データ 質の高い活動データの収集は、しばしば、事業者のGHG インベントリ作成上の最も重大な制約となる。そのため、データ収集の確かな手順を確立することは、事業者のインベントリ設計における優先事項とされるべきである。以下に示すのは活動データの質を保証するために有用な方策である。」(85~86頁) 「インターフェース:排出量データシステムと事業データシステムの統合 インターフェース社は、商業用インテリアのカーペットタイルと椅子張り生地の世界最大メーカーである。同社は、財務データの報告を反映させた環境データシステムを確立した。インターフェース・エコメトリクス(環境情報測定)システムは、多くの国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、英国、タイおよびヨーロッパ全体)の各事業単位からの活動データとマテリアル・フロー・データを提供するよう、そして温室効果ガスの排出などの環境問題に関する取り組みの進捗の測定を提供するよう設計されている。全社的な算定のガイドラインと基準を使用し、エネルギーおよび原材料の入力データが四半期毎に中央データベースに報告され、持続可能性(サステナビリティ)担当の職員が入手可能なようにしている。これらのデータはインターフェース社の年次インベントリの基礎となっており、質の向上を追求することにおいて、経時的なデータの比較を可能にしている。財務報告を排出データシステムの基礎とすることが、インターフェース社が自社のデータの質を高めることに役立っている。財務データが文書化され、弁護できるものでなければならないのと同様に、インターフェース社の排出データは、インベントリが透明性が高く、正確で質の高いものとなるような水準に保たれている。同社は2020年までに「完全に持続可能な企業」となることを目指しており、財務データ・システムと排出データ・システムの統合は、インターフェース社の温室効果ガスの算定と報告をより有用なものにしている。」(86~87頁、枠囲い省略。) イ 理由2の判断 (ア)本件訂正発明2について A 本件訂正発明2と引用発明1との対比 本件訂正発明2と引用発明1とを対比すると、上記「第4」3(1)ア(ウ)のとおり、相違点を有する。 <相違点> (相違点2-1) 本件訂正発明2は、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する会計データ記憶部」を備えるのに対し、引用発明1は、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する会計データ記憶部」を備えているか定かではない点。 (相違点2-2) 本件訂正発明2は、「前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値に前記排出係数を乗じて、前記資産ごとの前記環境負荷物質の排出量を算出する排出量算出部」を備えるのに対し、引用発明1は、「前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値に前記排出係数を乗じて、前記資産ごとの前記環境負荷物質の排出量を算出する排出量算出部」を備えているか定かではない点。 (相違点2-3) 本件訂正発明2は、「前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データ」であるのに対し、引用発明1は、そのようなデータを含んでいるか定かではない点。 B 相違点の判断 甲第2号証~甲第7号証には、「前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データである」ことは記載されておらず、本件特許の出願時の技術常識でもない。 そして、相違点2-3の構成とすることで、事業者において保有している機材に係る環境負荷要因の計算について、これを容易に計算することができるという効果(本件特許明細書【0004】、【0008】)を奏するものである。 なお、申立人は、「甲4号証では、スコープ3のカテゴリ2の資本財に関して、「資本財の例には、機器、機械、物品、建物、設備及び車両などがある」ことと、「資本財は固定資産とも呼ばれる」こととを開示している。そして、甲1発明において、「DB3」は、機器の「型式」及び「機器の価格x3」を含むデータであるのだから、固定資産に対する「固定資産台帳データ」として機能するものであると考えることができる。」(申立書30頁。当審注.「甲1発明」は、甲1に記載された発明。)旨主張するが、甲第4号証は、サプラーチェーンの上流又は下流における排出量であるスコープ3を算定しようとするものである。そして、引用文献1には、「LCA(Life Cycle Assessment)方法が知られている。LCA方法は、対象とする製品について、製造から製品の使用、廃棄までのプロセスにおける資源消費量や排出物質量を計量する手法である。」(【0002】)ことが記載されるのみであるから、引用発明1に甲第4号証に記載されている事項を適用しても、製造から製品を取得するまで、または、廃棄後における環境負荷物質の排出量の算出を、固定資産データを用いておこなうことにしかならず、上記相違点2-3の構成には至らない。 よって、申立人の主張に、理由はない。 また、甲第1号証~甲第7号証のいずれにも、「前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データである」ことは記載されておらず、本件特許の出願時の技術常識でもないから、甲第2号証~甲第7号証のいずれの文献を主引用発明にしても、相違点2-3の構成に至らないことは明らかである。 C 小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明2は、引用発明1及び甲第2号証~甲第7号証に記載されている事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)本件訂正発明3~5について 本件訂正発明3~5は、本件訂正発明2を引用する発明であって、本件訂正発明2の「前記会計データは、固定資産を特定する情報及び前記固定資産の価値を対応付ける固定資産台帳データである」と同一の構成を備えるものであるから、本件訂正発明2と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び甲第2号証~甲第7号証に記載されている事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)理由3(明確性)について ア 理由3-1について 本件訂正発明2の「資産を特定する情報及び前記資産の価値」との記載の「価値」について検討をすると、「前記資産の価値」とあることから、「資産の価値」と解釈される。また、本件訂正発明2の「前記資産ごとに、前記資産に対応する前記価値」との記載の「前記価値」は、「前記」とあることから、「資産の価値」の意味することも明らかである。そして、本件訂正発明2には、「資産を特定する情報及び前記資産の価値を対応付ける会計データを記憶する」とあることから、「資産の価値」は、会計データに含まれる。そして、本件特許明細書の【0013】及び【0014】には、次の記載がある。なお、下線は、当審が付与した。 「【0013】 会計データ取得部211は、会計データを取得する。会計データ取得部211は、例えば、外部の会計システム(不図示)にアクセスして会計データを取得することができる。本実施形態では、会計データ取得部211は、会計データの中でも固定資産台帳に管理される固定資産に関するデータ(以下、固定資産台帳データという。)を取得するものとする。会計データ取得部211は、取得した固定資産台帳データを固定資産台帳記憶部231に登録することができる。 【0014】 固定資産台帳記憶部231は、資産ごとの固定資産台帳データを記憶する。固定資産台帳データには、資産を特定する固定資産番号、資産名、資産区分、資産の取得年月日、資産の個数、耐用年数、償却方法、償却率又は償却額、及び現時点における資産の帳簿価格などを含むことができる。」 このように、会計データの中の固定資産台帳データとして資産の価値は具体的に記載されている。 そして、本件訂正発明2の「資産の価値」は、文言どおり解釈をすればよく、明確である。 また、本件訂正発明5の「算出した前記排出量に応じて環境価値を購入する」の「環境価値」について、文言どおり、算出した排出量に応じて購入される「環境価値」であって、本件特許明細書においても、「環境価値購入部213は、環境負荷物質の排出量をオフセットするための環境価値を購入する。環境価値購入部213は、外部サーバ(不図示)にアクセスして、J-クレジットなどの環境価値を購入することができる。環境価値購入部213は、排出量算出部212が算出した固定資産に係る排出量をオフセットするべく、環境価値を購入することができる。」(【0018】)とあり、具体的な記載もあり、その意味は明確である。 このように、本件訂正発明2の「資産の価値」と、本件訂正発明5の「環境価値」は、それぞれ意味は明確であり、上位、下位概念の関係でないことも明らかである。 よって、申立人の主張に、理由はない。 イ 理由3-2について 本件訂正発明4の「価値」は、「前記固定資産台帳データからリース資産に該当する前記固定資産のデータを抽出し、抽出した前記データに含まれる前記価値に前記排出係数を乗じて」との記載のとおり、「前記固定資産台帳データからリース資産に該当する前記固定資産のデータ」に「含まれる前記価値」であるから、本件訂正発明2の「資産の価値」を意味することは明らかである。 したがって、本件訂正発明4の「価値」の意味も明確である。 よって、申立人の主張に、理由はない。 (3)理由4(実施可能要件)について 本件訂正発明2の「価値」の意味は、上記(2)アのとおりであって、本件特許明細書の発明の詳細な説明にも記載されている。そのため、当業者が試行錯誤をすることなく、本件訂正発明2を直接的又は間接的に引用する本件訂正発明3~5を実施することができることは明らかである。 よって、申立人の主張に、理由はない。 (4)理由5(サポート要件)について 本件訂正発明2の「価値」の意味は、上記(2)アのとおりであって、本件特許明細書の発明の詳細な説明にも記載されている。そのため、本件訂正発明2を直接的又は間接的に引用する本件訂正発明3~5は、本件特許明細書に記載したものである。 よって、申立人の主張に理由はない。 第6 むすび 本件訂正後の請求項2~5に係る特許は、取消理由通知で通知した理由によって、取り消すことはできず、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっても取り消すことはできない。 他に本件訂正後の請求項2~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項1は、本件訂正によって削除された。これにより、申立人による請求項1に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700949

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