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特許異議申立

2023-700610

吐水装置

審判番号
2023-700610
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-155290
登録番号
7186545
請求日
2023年06月09日
審決日
2024年03月18日
公報発行日
2024年06月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社LIXIL
  • 【権利者代理人】弁理士法人グランダム特許事務所
  • 【異議申立人】TOTO 株式会社
  • 【異議申立人代理人】田中 伸一郎
  • 【異議申立人代理人】弟子丸 健
  • 【異議申立人代理人】渡邊 誠
  • 【異議申立人代理人】磯貝 克臣
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 澤田 真治
  • 審判官 北川 創
分類
P1651.113-YAA(E03C) / P1651.121-YAA(E03C) / P1651.537-YAA(E03C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第113条第4号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7186545号発明「吐水装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7186545号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7186545号の請求項1-5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7186545号の請求項1-5に係る特許についての出願は、平成30年8月22日の出願であって、令和4年12月1日にその特許権の設定登録がされ、同月9日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許について、令和5年6月9日に、特許異議申立人 TOTO株式会社(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、請求項1-5に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。 その後の経緯は、次のとおりである。 令和 5年 9月 7日付け 取消理由通知書 同年11月13日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 6年 1月10日 申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年11月13日になされた訂正請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7186545号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記吐水管は、前記先端側に、シャワー状に吐水するシャワー吐水を行うことができる吐水部を有しており、」 と記載されているのを、 「前記吐水管は中間部が湾曲し前記先端側が下方に延び、前記先端側に、複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、前記複数の水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部を有しており、」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4及び5も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、 「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域が、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっている吐水装置。」 と記載されているのを、 「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっている方形状であり、中心が前記交点より前記基端側である吐水装置。」 と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4及び5も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記吐水部が、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水を行うことができ、」 と記載されているのを 「基端側から先端側に向かって延びる吐水管を備え、前記吐水管は、シンクの上方に略水平に延出し、前記先端側に、シャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水とを行うことができる吐水部と、被検知物があるか否かを検知するセンサと、を有しており、前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部から吐水された直後の吐水方向は、前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いており、重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記センサの検知領域とはずれており、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっており前記吐水管の長さ方向に長い方形状であり、」 と訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び5も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記シャワー吐水と前記整流吐水とを切り替える切替機構を有し、前記整流吐水が、前記外形により予想される吐水方向に延びた線に沿う方向に吐水される請求項1記載の吐水装置。」 と記載されているのを、 「前記シャワー吐水と前記整流吐水とを回転操作によって切り替える操作部材を備えた切替機構を前記吐水管の先端部に有し、前記整流吐水が、前記外形により予想される吐水方向に延びた線に沿う方向に吐水される吐水装置。」と訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び5も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に、 「請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の吐水装置。」 と記載されているのを、 「請求項1に記載の吐水装置。」に訂正する。 2 訂正の単位について 訂正事項1-5に係る訂正前の請求項1-5について、請求項2-5は直接的又は間接的に請求項1を引用しているものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1-5に対応する訂正後の請求項1-5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1-5に係る訂正は、当該一群の請求項〔1-5〕に対し請求されたものである。 3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、訂正の単位、及び独立特許要件について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「吐水管」について、「中間部が湾曲し前記先端側が下方に延び」ることを限定し、「シャワー状に吐水するシャワー吐水」について、「複数の水流をシャワー状に吐水する」ことを限定し、「吐水部」について、「記複数の水流を一つにまとめて吐水する整流吐水」を行うことができることを直列的に付加するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件特許の願書に添付した明細書の【0014】及び【0016】には、次の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。 「【0014】 吐水管20は、基端側(図2の右側)から先端側(図2の左側)に向かって延びている。吐水管20は、中間部が湾曲して先端側が下方に延びた、いわゆるグースネック状をなしている。」 「【0016】 吐水ヘッド22には、給水ホース21から給水された水を流出する吐水部31が設けられている。吐水部31は、複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水とを行うことができる。吐水装置Mは、吐水口23から流れる水をシャワー吐水と整流吐水とに切り替えるための切替機構を有している。」 上記記載から、本件明細書には、「吐水管」は、「中間部が湾曲し前記先端側が下方に延び」ること、「複数の水流をシャワー状に吐水する」こと、「吐水部」は、「記複数の水流を一つにまとめて吐水する整流吐水」を行うことができることが記載されているといえる。 よって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書の【0014】及び【0016】の記載に基づくものであって、本件特許の願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項1は、「吐水管」及び「吐水部」を減縮するものであって、発明のカテゴリーを変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項1に係る発明の「シャワー吐水の吐水領域」について、「方形状であり、中心が前記交点より前記基端側である」ることを限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件特許の願書に添付した明細書の【0027】には、次の記載がある。 「【0027】 また、シャワー吐水の吐水領域50は、図3に示すように、平面視、吐水管20の長さ方向に長い方形状をなしている。シャワー吐水の吐水領域50の中心、言い換えるとシャワー吐水の吐水領域50の重心(以後、領域中心52と称する)は、交点51より基端側に位置している。領域中心52及び交点51は、吐水管20の幅方向(図3では上下方向)の中心線を鉛直方向真下に投影した中心線53上に位置している。」 上記記載から、本件明細書には、「シャワー吐水の吐水領域」は、「方形状であり、中心が前記交点より前記基端側である」ことが記載されているといえる。 よって、訂正事項2は、本件特許の願書に添付した明細書の【0027】の記載に基づくものであって、本件特許の願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項2は、「シャワー吐水の吐水領域」を減縮するものであって、発明のカテゴリーを変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する形式であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとするとともに、「吐水管」について、「シンクの上方に略水平に延出」することを限定し、「被検知物があるか否かを検知するセンサ」を有することを直列的に付加し、「シャワー吐水の吐水領域」が「前記センサの検知領域とはずれて」いること、及び、「前記吐水管の長さ方向に長い方形状であ」ることを限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件特許の願書に添付した明細書の【0023】、【0027】、【0031】及び【0037】には、次の記載がある。 「【0023】´ 吐水管20の先端面には、吐水部31の下方にある物体を検知するセンサ34が設けられている(図2参照)。センサ34は、例えば発光部と受光部とを有する赤外線式測距センサである。センサ34は、発光部から吐水口23の下方に光を投光し、投光した光による使用者の手または食器等の被検知物からの反射光を受光部で受光し、所定の検知エリア内に被検知物があるか否かを検知する。センサ34は、被検知物の検知結果を示す信号を制御部に出力する。」 「【0027】 また、シャワー吐水の吐水領域50は、図3に示すように、平面視、吐水管20の長さ方向に長い方形状をなしている。シャワー吐水の吐水領域50の中心、言い換えるとシャワー吐水の吐水領域50の重心(以後、領域中心52と称する)は、交点51より基端側に位置している。領域中心52及び交点51は、吐水管20の幅方向(図3では上下方向)の中心線を鉛直方向真下に投影した中心線53上に位置している。」 「【0031】 センサの検知領域70は、図2に示すように、整流吐水の吐水領域60及びシャワー吐水の吐水領域50の両方から先端側(図2では左側)にずれている。センサの検知領域70と整流吐水の吐水領域60とは近接している。また、センサ34の向きは、整流吐水の中心線60Lと略平行をなしている。」 「【0037】 <他の実施例> 本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。 (1)上記実施例では、吐水装置Mがセンサ34を備えているが、これに限らず、吐水装置はセンサを備えていなくてもよい。 (2)上記実施例では、吐水管20がグースネック形状をなしているが、これに限らず、吐水管は、例えばカウンタからシンクの上方に略水平に延出する形状であってもよい。 ・・・」 上記記載から、本件明細書には、「吐水管」は、「シンクの上方に略水平に延出」すること、「複数の水流をシャワー状に吐水する」こと、「被検知物があるか否かを検知するセンサ」を有すること、「シャワー吐水の吐水領域」が「前記センサの検知領域とはずれて」いること、及び、「前記吐水管の長さ方向に長い方形状であ」ることが記載されているといえる。 よって、訂正事項3は、本件特許の願書に添付した明細書の【0023】、【0027】、【0031】及び【0037】の記載に基づくものであって、本件特許の願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項3は、「吐水管」及び「シャワー吐水の吐水領域」を減縮するものであって、発明のカテゴリーを変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項2に係る発明の「切替機構」について、「回転操作によって切り替える操作部材を備え」ること、及び、「前記吐水管の先端部に」有することを限定したものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件特許の願書に添付した明細書の【0020】及び図2には、次の記載がある。 「【0020】 外形部材29は、シャワー吐水と整流吐水との切り替え操作を行うための操作部材であり、切替機構を構成する。外形部材29の外周面には、使用者が指をかけるためのつまみ部33が設けられている。つまみ部33をつまんで外形部材29を所定の角度回転することにより、シャワー吐水と整流吐水とを切り替えできる。」 「【図2】 [図:0001411305000001.jpg] 」 上記記載から、本件明細書には、「切替機構」は、「回転操作によって切り替える操作部材を備え」ること、及び、「前記吐水管の先端部に」有することが記載されているといえる。 よって、訂正事項4は、本件特許の願書に添付した明細書の【0020】及び図2の記載に基づくものであって、本件特許の願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項4は、「切替機構」を減縮するものであって、発明のカテゴリーを変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項4が請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の吐水装置を引用する記載であったものを、請求項1に記載の吐水装置を引用する記載とすることにより特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 訂正事項5は、訂正前に請求項1ないし請求項3のいずれか一項を引用している請求項4の引用請求項数を削除する訂正であるから、本件特許の願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、本件特許の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (6)独立特許要件 本件においては、訂正前のすべての請求項について特許異議の申立てがされているので、特許法120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (7)申立人の意見書における主張について 申立人は、令和6年1月10日提出の意見書において、本件訂正の適否について、特に意見を述べていない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記第2のとおり、本件訂正は全て認められたので、本件特許の請求項1-5に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等という。)は、令和5年11月13日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1-5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、符号A等は分説のため当審で付した。 「【請求項1】 A 基端側から先端側に向かって延びる吐水管を備え、 B 前記吐水管は中間部が湾曲し前記先端側が下方に延び、前記先端側に、複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、前記複数の水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部を有しており、 C 前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部から吐水された直後の吐水方向は、前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いており、 D 重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっている方形状であり、中心が前記交点より前記基端側である E 吐水装置。 【請求項2】 A 基端側から先端側に向かって延びる吐水管を備え、 B2 前記吐水管は、シンクの上方に略水平に延出し、前記先端側に、シャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水を行うことができる吐水部と、被検知物があるか否かを検知するセンサと、を有しており、 C 前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部から吐水された直後の吐水方向は、前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いており、 D2 重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記センサの検知領域とはずれており、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっており前記吐水管の長さ方向に長い方形状であり、 G 前記シャワー吐水と前記整流吐水とを回転操作によって切り替える操作部材を備えた切替機構を前記吐水管の先端部に有し、 H 前記整流吐水が、前記外形により予想される吐水方向に延びた線に沿う方向に吐水される E 吐水装置。 【請求項3】 J 前記水平面に対する前記整流吐水の吐水領域が、前記シャワー吐水の吐水領域の一部に含まれている K 請求項2に記載の吐水装置。 【請求項4】 L 前記吐水部の下方にある物体を検知するセンサを有し、 M 前記水平面上で前記物体を検知する前記センサの検知領域が、前記シャワー吐水の吐水領域より前記基端側とは反対側に位置している N 請求項1に記載の吐水装置。 【請求項5】 O 前記吐水部は、使用者から視認される筒状の外形部材を有し、前記吐水部の外形により予想される吐水方向は、前記外形部材の中心軸と平行な方向である、 P 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の吐水装置。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項1-5に係る特許に対して、当審において、令和5年9月7日に特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 理由1(新規性)請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1及び2係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 理由2(進歩性)請求項1-5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)当審の判断 ア 本件訂正発明1-5について 本件訂正発明1-5は、上記第3に記載したとおりのものである。 イ 甲号証について 甲第1号証:特許第5828363号公報 甲第2号証:特開2006-188830号公報 甲第3号証:特開2002-356889号公報 甲第4号証:特開2017-36637号公報 (ア)甲第1号証について 申立人が甲第1号証として提出した特許第5828363号公報(以下「甲1」ということがある。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。 a 記載事項 「【0009】 図1は、本発明の実施の形態にかかるキッチン用水栓を備えるシステムキッチンを表す模式図である。システムキッチン10は、キッチン用水栓20と、シンク30と、を備えている。キッチン用水栓20は、整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有している。シンク30は、シンク上面32と、シンク底面34と、を有している。なお、シンク30は、シンク上面32の左側方および右側方の少なくともいずれかに延在する調理台(図1においては明示せず)を有していてもよい。なおここで、「整流吐水」とは水流が略一本の吐水形態を意味し、「シャワー吐水」とは水流が複数本の吐水形態を意味するものとする。また、図1には明示しないが、整流吐水口22からの吐水と、シャワー吐水口24からの吐水とを切り替えるための吐水切替手段としての切替スイッチを設けている。 【0010】 キッチン用水栓20は、使用者から見てシンク30の奥側、すなわちシステムキッチン10の後方、且つカウンター上面62に設けられている。キッチン用水栓20の下方部、すなわちカウンター上面62に取り付けられている近傍の部分は、シンク上面32に対して略垂直に設けられているが、所定の寸法よりも上方部(起立部)は、シンク上面32に対して傾斜している。傾斜角度は、シンク上面32に対して例えば約60度程度である。但し、この傾斜角度は、適宜変更することができる。また、シンク上面32とシンク後面38との間(略稜線部分)に、ある一定の角度を持った図示しない設置面を設け、この設置面に対してキッチン用水栓20を垂直に搭載して斜めの吐水を供給する方法がある。さらに、斜めの設置面からシンク上面32に対して水平方向に一定距離の長さを有し、その後シンク上面32に対して垂直方向に所定の寸法を有し、所定寸法より上方部がシンク上面32に対して傾斜した形状を有するキッチン用水栓20によって、斜めの吐水を供給する方法がある。上記キッチン用水栓の形状は、キッチン用水栓をシンクに取り付ける面が異なる場合にも斜め吐水を供給できるものであり、どのようなシンクに対しても本発明の効果を供給可能とするものである。また、どの方法に対しても所定の範囲を斜め方向に吐水が通過するように設定することにより、本発明の効果を有するものである。 【0011】 これに伴い、整流吐水口22およびシャワー吐水口24は、シンク上面32およびシンク底面34に対して傾斜した状態でシンク30に向けて設けられている。そのため、整流吐水口22およびシャワー吐水口24から吐水された水は、シンク上面32およびシンク底面34に対して斜めに吐水される。なお、本願明細書において「水」という場合には、「湯」を含むものとする。 【0012】 図2は、本実施形態にかかるキッチン用水栓からシャワー水が吐水されている状態を表す側面模式図である。図2に表したように、シャワー水が吐水される場合、水40はシャワー吐水口24から吐水される。そして、水40がシャワー吐水口24から吐水される吐水方向の水平方向成分の長さL15は、垂直方向成分の長さL16より大きく設定されている。なお、吐水方向とは、吐水口から吐水された直後の水の進行方向のことを意味するものとし、吐水口に設けられた孔の中心軸方向と一致している。このような設定を行うことで、シャワー吐水口24から吐水された水40が着水するまでの水の軌跡(流線)が長くなり、使用者が吐水に触れる領域が大きくなる。すなわち、例えば、身長の高い使用者は、シンク後面38に近い洗浄領域に手を伸ばし、洗い作業を行えば、手や腕が窮屈になることがなく、洗い動作を行うことができ、また、例えば、身長の低い使用者は、シンク前面36に近い洗浄領域に手を伸ばし、洗い作業を行えば、手が届きにくくなるようなこともなく、腰や腕の負担なく、洗い動作を行うことができる。このように、体格差のある使用者に対して、同じ位置から洗い動作を行わせることができる。斜めの方向に吐水することで、洗い動作における水跳ねを低減する効果も見込める。」 「【0021】 図5は、本実施形態にかかるキッチン用水栓から整流水が吐水されている状態を表す側面模式図である。図5に表したように、整流水が吐水される場合、水40は整流吐水口22から吐水される。水40は、前述したように、シンク底面34に対して斜め方向に吐水される。また、整流吐水口22は、シャワー吐水口の場合と同様に、整流吐水口から吐水される吐水方向の水平方向成分の長さL17が、垂直方向成分の長さL18より大きくなるように設定されている。すなわち、整流水の場合においても、このように設定を行うことで、吐水されてからシンクに着水するまでの水40の軌跡(流線)を長くすることができるため、体格差のある使用者に対して、一律に洗い作業を効率化することができる。 【0022】 水40は、整流吐水口22からシンク上面32に対して斜めに吐水され、シンク前面36とシンク後面38との中心35よりも前記前面側のシンク底面34に着水させることが好ましい。すなわち、使用者から見て手前側のシンク底面34に着水させることで、シャワー吐水口から吐水した場合と同様に、より多くの使用者に対して、手が届きやすく、身体の負担のない姿勢で洗浄動作を行わせることが可能となる。またシンク底面34に対しても斜めに着水することで、着水の際に生じる水跳ねを低減することが可能となる。」 「【0026】 キッチン用水栓20は、上方部201に整流吐水口22と、整流吐水口22の下方部にシャワー吐水口24と、を有している。また、キッチン用水栓20は、整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25と、をさらに有している。」 「【0029】 図8は、シャワー吐水用の散水板を例示する模式図であり、図8(a)は、散水板を正面から眺めた正面模式図であり、図8(b)は、散水孔群を例示する模式図である。図8に表した散水板26は、キッチン用水栓20のシャワー吐水口24に固定される。散水板26は、散水孔群27を有し、この散水孔群27は、水40をシャワー水として吐水するための散水孔27aを有する。散水孔群27は、例えば5行×2列で配列されている。また、散水孔27aは、例えば同心円状に2列で配列されており、合計約30個程度の散水孔27aが設けられている。水40は、それぞれの散水孔27aから吐出され、シャワー水としてシンク底面34に着水する。」 「【0074】 続いて、散水板に散水孔を設置する態様についてのバリエーションを図26に記載する。図26の(a),(b),(c),(d)は、散水板に散水孔を設置するバリエーションを示す模式的な断面図である。図26の(a)では、散水板66aを水平面に対して上方に傾けて配置し、更に散水板66aが傾斜した方向が長手方向となるように、複数の散水孔67aの中心軸を配置するものである。この複数の散水孔67aからシャワー吐水68aが吐出される。この配置態様も好適なものであるけれども、キッチン用水栓20をより小型化するため、図26の(b)、(c)、(d)のように、散水板と直交する方向に対して所定の角度を持ち、且つ散水板が傾斜した方向にシャワー吐水が広がるように上方又は下方方向に吐水可能とすることができる。このように構成すれば、例えば散水板を小型にした場合においても、シャワー吐水は広がりを持って吐水可能となるため、小型で且つ洗浄効果を得ることが可能な吐水を実現するキッチン用水栓を供給できる。 【0075】 より具体的には、図26の(b)では、シンク30に配置した場合のシンク手前側に位置する図中上方部分の散水孔67b1は、散水板66bに対して略直交するように形成されている。その散水孔67b1よりも図中下方にある散水孔67b2は、シンク30に配置された場合に散水孔67b1よりも奧側に位置するものであって、散水孔67b1よりも奥側に傾斜するように形成されている。また、その散水孔67b2よりも図中下方にある散水孔67b3は、散水孔67b2よりも更に奥側に傾斜するように形成されている。そのため、散水板66bを用いると、シャワー吐水68bは、吐出孔として吐水口を構成する散水孔67b1,67b2,67b3から吐出された直後の吐出方向周りの外形よりも、シンク底面34に着水する際の領域が、シンク30の奥行方向に沿って更に縦長になるように吐出されている。」 「【0080】 また、第一吐水流を吐出する第一吐出孔としての散水孔67c1の間隔は、第二吐水流を吐出する第二吐出孔としての散水孔67c2,67c3の間隔よりも狭くなるように構成されていることも好ましいものである。このように構成すれば、第一吐水流を吐出する第一吐出孔としての散水孔67c1の間隔を、第二吐水流を吐出する第二吐出孔としての散水孔67c2,67c3の間隔よりも狭くなるように構成するので、例えば第一吐出流の流量が少ないような場合であっても、第一吐水流を第二吐水流に対して確実に密な状態とすることができる。具体的な配置例を図27に示す。図27に示すように、散水板66cには、第一吐出孔としての散水孔67c1と、第二吐出孔としての散水孔67c2,67c3とが形成されている。散水孔67c1は、最前列の散水孔67c1aと、それよりも後列の散水孔67c1bとによって構成されている。最前列の散水孔67c1aは、9個の孔が一列に配置されている。後列の散水孔67c1bは、4行×4列となるように配置されている。また、散水孔67c2は、4行×4列となるように、散水孔67c3は、5行×4列となるように、それぞれ配置されている。従って、最前列の散水孔67c1aの設置間隔t1は、後列の散水孔67c1b,67c2,67c3の設置間隔t2よりも狭くなるように配置されている。このように構成することで第一吐水流を第二吐水流に対して確実に密な状態とすることができる。 【0081】 図26の(d)では、シンク30に配置した場合のシンク手前側に位置する図中上方部分の散水孔67d1は、散水板66dに対して略直交する方向から前方に傾斜するように形成されている。その散水孔67d1よりも図中下方にある散水孔67d2は、シンク30に配置された場合に散水孔67d1よりも奧側に位置するものであって、散水板66dに対して略直交するように形成されている。また、その散水孔67d2よりも図中下方にある散水孔67d3は、奥側に傾斜するように形成されている。そのため、散水板66dを用いると、シャワー吐水68dは、吐出孔としての散水孔67d1,67d2,67d3から吐出された直後の吐出方向周りの外形よりも、シンク底面34に着水する際の領域が、シンク30の奥行方向に沿って更に縦長になるように吐出されている。 【0082】 また、第一吐水流がシンク底面34に着水することによって発生する水跳ねを抑制する跳ね抑制手段を備えることも好ましいものである。第一吐水流による水跳ねを抑制する跳ね抑制手段を備えれば、第二吐水流による水跳ねの抑制と併せて第一吐水流による水跳ねも抑制することができ、シャワー吐水全体による水跳ねを抑制することができる。 【0083】 具体的には、跳ね抑制手段は、第一吐水流の流量を第二吐水流の流量よりも減じるものであることが好ましい。第一吐水流は、第二吐水流による水跳ねを受け止めればよく、いわば第二吐水流による水跳ねを受け止めるカーテンとしての役割を果たすものである。そこで、第一吐水流の流量を第二吐水流の流用よりも減じることで、第二吐水流による水跳ねを受け止めるカーテンとしての役割を果たすことは達成しつつ、第一吐水流の着水による衝撃力を低減して水跳ねを抑制することができるものとしている。 【0084】 また、第一吐水流を吐出する第一吐出孔として機能する散水孔67c1よりも第二吐水流を吐出する第二吐出孔として機能する散水孔67c2,67c3は大径であって、第二吐出孔として機能する散水孔67c2,67c3の数は、第一吐出孔として機能する散水孔67c1の数よりも少なくなるように構成されていることも好ましい。このように構成すれば、第一吐出孔として機能する散水孔67c1よりも第二吐出孔として機能する散水孔67c2,67c3は大径であるので、散水孔67c1の径を比較的小さくすることができ、第一吐水流の着水による衝撃力を確実に低減して水跳ねを抑制することができる。また、大径である散水孔67c2,67c3の数を小径である散水孔67c1の数よりも少なくすることで、散水孔67c2,67c3が形成されている領域の単位面積当たりの総吐出流量と散水孔67c1が形成されている領域の単位面積当たりの総吐出流量とを違和感がない程度に均衡させることができ、着水した際の洗浄感を、違和感を覚えない程度に均等なものとすることができる。」 「【0124】 散水孔の中心軸方向が一致している場合、散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状は、散水孔が設けられる領域の形状が反映される。着水部とは、水が着水する場所である。したがって、図38の(a)に示すように、散水孔が設けられる領域の横幅寸法が、縦幅寸法より広い場合、着水部77aの形状も横幅寸法が大きくなる。着水面に対し、斜め方向に吐水しているため、着水後、水は略進行方向(図の上方向)に流れようとする。水の表面張力により、進行方向と直交する方向(図の左右方向)にも、流れの向きを変えようとするが、直交方向(図の左右方向)には、密に水が着水しているため、直交方向(図の左右方向)へ向かおうとする流れが抑制され、結果として、直交方向(図の左右方向)への拡がりは少ない。」 「 [図:0001411305000002.jpg] 」 「 [図:0001411305000003.jpg] 」 「 [図:0001411305000004.jpg] 」 「 [図:0001411305000005.jpg] 」 「 [図:0001411305000006.jpg] 」 b 認定事項 (a)認定事項1 上記aの【0010】には「キッチン用水栓20は、使用者から見てシンク30の奥側、すなわちシステムキッチン10の後方、且つカウンター上面62に設けられている。キッチン用水栓20の下方部、すなわちカウンター上面62に取り付けられている近傍の部分は、シンク上面32に対して略垂直に設けられている・・・」と、同【0026】には「キッチン用水栓20は、上方部201に整流吐水口22と、整流吐水口22の下方部にシャワー吐水口24と、を有している。・・・」と記載されており、同図2及び図7から、キッチン用水栓20の側面視で、「キッチン用水栓20は、カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸びた先端である上方部201に、整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有していること」(以下「認定事項1」という。)が看取できる。 (b)認定事項2 上記aの【0074】には「・・・散水板に散水孔を設置する態様についてのバリエーションを図26に記載する。・・・」と記載され、同【0080】には「・・・具体的な配置例を図27に示す。図27に示すように、散水板66cには、第一吐出孔としての散水孔67c1と、第二吐出孔としての散水孔67c2,67c3とが形成されている。散水孔67c1は、最前列の散水孔67c1aと、それよりも後列の散水孔67c1bとによって構成されている。最前列の散水孔67c1aは、9個の孔が一列に配置されている。後列の散水孔67c1bは、4行×4列となるように配置されている。・・・」と記載され、具体的な配置例である同図27から、「散水板には、散水孔が長方形状に配置されていること」(以下「認定事項2」という。)が看取できる。 c 甲1発明 上記aに摘記した記載事項から、甲1には、次の発明が開示されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。 (甲1発明) 「使用者から見てシンク30の奥側、且つカウンター上面62に設けられ、下方部、すなわちカウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸びた先端である上方部201に、整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し(【0010】、認定事項1)、整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25と、をさらに有し(【0026】)、 整流吐水口22からの吐水と、シャワー吐水口24からの吐水とを切り替えるための吐水切替手段としての切替スイッチを設けており(【0009】)、 整流吐水口22およびシャワー吐水口24は、シンク上面32およびシンク底面34に対して傾斜した状態でシンク30に向けて設けられており、整流吐水口22およびシャワー吐水口24から吐水された水は、シンク上面32およびシンク底面34に対して斜めに吐水され(【0011】)、 シャワー水が吐水される場合、水40はシャワー吐水口24から吐水され、吐水方向の水平方向成分の長さL15は、垂直方向成分の長さL16より大きく設定されており、吐水方向とは、吐水口から吐水された直後の水の進行方向のことを意味するものとし、吐水口に設けられた孔の中心軸方向と一致しており(【0012】)、 整流水が吐水される場合、水40は整流吐水口22から吐水され、シンク底面34に対して斜め方向に吐水され(【0021】)、 シャワー吐水用の散水板26は、キッチン用水栓20のシャワー吐水口24に固定され、散水孔群27を有し、この散水孔群27は、水40をシャワー水として吐水するための散水孔27aを有し(【0029】)、 シンク30に配置した場合のシンク手前側に位置する上方部分の散水孔67b1は、散水板66bに対して略直交するように形成され、その散水孔67b1よりも下方にある散水孔67b2は、シンク30に配置された場合に散水孔67b1よりも奧側に位置するものであって、散水孔67b1よりも奥側に傾斜するように形成され、その散水孔67b2よりも下方にある散水孔67b3は、散水孔67b2よりも更に奥側に傾斜するように形成され、散水板66bを用いると、シャワー吐水68bは、吐出孔として吐水口を構成する散水孔67b1,67b2,67b3から吐出された直後の吐出方向周りの外形よりも、シンク底面34に着水する際の領域が、シンク30の奥行方向に沿って更に縦長になるように吐出されており(【0075】)、 散水板には、散水孔が長方形状に配置され(認定事項2)、散水孔の中心軸方向が一致している場合、散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状は、散水孔が設けられる領域の形状が反映される(【0124】) キッチン用水栓20(【0009】)。」 (イ)甲第2号証について 申立人が甲第2号証として提出した特開2006-188830号公報(以下「甲2」ということがある。)には、次の事項が記載されている。 a 記載事項 「【0010】 図1に示すように、本実施例では、台所に設置されるキッチンの一種であるシステムキッチン2に、本発明にかかる水栓装置1が設けられている。システムキッチン2は、床面上に設置されたキャビネット3を有している。キャビネット3には、各種形状,構造の複数の引出しが、引出し収納自在に設けられている。 キャビネット3は、コンロキャビネット5,一方の調理台キャビネット6,シンクキャビネット7および他方の調理台キャビネット8が順次並設された構成を有しており、ワークトップ9が、キャビネット5~8の上部を覆って取付けられている。」 「【0019】 水栓装置1は、図5に示すように散水部21が棒状水23のみを流す第1の状態と、図6に示すように散水部21がシャワー水26のみを流す第2の状態と、図7に示すように散水部21により棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24が形成されている状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を切換手段27により作り出すようにしている。 この棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態では、シャワーヘッド20が鉛直方向に対して傾斜している場合でも、散水部21により棒状水23がシャワー水26で囲まれた範囲を流れてシンク底面11に着水膜24が形成されている状態でこの着水膜24上にシャワー水26を流すことになる(図9,図10)。」 「【0028】 これに対して、シャワーヘッド20が鉛直方向に対して傾斜している場合(図9,図10に示す第3の状態)において、散水部21により棒状水23がシャワー水26で囲まれた範囲を流れてシンク底面11に着水膜24が形成されている状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流すようにしている。 この第3の状態では、散水部21から吐出した棒状水23は、常にシャワー水26で囲まれた範囲を流れているので、シンク底面11に着水して着水膜24が形成される。この着水膜24では、整った水流30が棒状水23の着水地点Pを中心としてほぼ放射状に流れている。この着水膜24には水泡はほとんど含まれていない。」 「 [図:0001411305000007.jpg] 」 「 [図:0001411305000008.jpg] 」 「 [図:0001411305000009.jpg] 」 「 [図:0001411305000010.jpg] 」 c 甲2発明 上記aに摘記した記載事項から、甲2には、次の発明が開示されていると認められる(以下「甲2発明」という。)。 (甲2発明) 「散水部21が棒状水23のみを流す第1の状態と、散水部21がシャワー水26のみを流す第2の状態と、散水部21により棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24が形成されている状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を切換手段27により作り出すようにしており(【0019】)、第3の状態では、散水部21から吐出した棒状水23は、常にシャワー水26で囲まれた範囲を流れている(【0028】)水栓装置1(【0010】)。」 (ウ)甲3について 申立人が甲第3号証として提出した特開2002-356889号公報(以下「甲3」ということがある。)には、次の事項が記載されている。 a 記載事項 「【0029】 次に、図2および図3に基づき、センサ部10と吐水部9について説明する。 センサ部10は、投光部11と受光部12を備えており、この投光部11と受光部12とは、間隔を空けて配置している。 そして、このセンサ部10は、投光部11と受光部12が吐水部9に設けた吐水口8と同じ方向に向くように、吐水部9の側部に被って設けている。そして、この吐水部9とセンサ部10とを水栓外装部4の同じ開口部15に取付けている。 【0030】 図2および図3にセンサ部10と吐水部9の一実施の形態を挙げて説明する。 このセンサ部10は、円弧形状に構成されており、吐水部9の側部に被うように隣接させて一体的に設けられている。特に、センサ部10は、吐水部9の上側部に一体的に設けておくことが好ましい。センサ部10を吐水部9の上側部に設けるのは、吐水口8に手を差し出したときに最初にセンサ部10にて感知させることで、吐水までのタイムラグを無くすためであり、また吐水口8からのしずくが直接センサ部10に垂れないようにするためである。 【0031】 そして、このセンサ部10には少なくとも投光部11と受光部12とが設けられている。そのほか、作動可能な状態であることを知らせるLED14などを設けておくことが好ましい。 そして、投光部11と受光部12は、この円弧形状の両端近傍にそれぞれを離して配置している。 このように配置することで、かりに投光部11もしくは受光部12の近傍等に水滴がついたとしてもその水滴により乱反射して受光部12から投光部11に直接反射した光を受けて誤感知を起こすおそれが著しく低減することができる。なお、センサ部10の投光部11と受光部12との間に、さらに隔壁13を形成して、確実に誤感知を起こさないようにすることが好ましい。 また、誤感知をさせないため、さらには、タイムラグをなくして快適に吐水を得るために、投光部11からの投光方向と吐水口8からの吐水方向は、平行にせず、図1および図5に示すように少し投光方向を吐水方向に対してやや上向きに傾けておくことが好ましい。」 「【0037】 上述では、本発明の一実施の形態である自動吐水機器1を洗面カウンター2に用いる自動水栓を例に挙げて説明したが、たとえば、別の実施の形態として、浴室や台所などで用いられるシャワーホース17の先端にシャワーヘッド部を設けた吐水機器に適用してもよく、この場合、シャワーヘッド部にセンサ部10と吐水部9を備えるようにすることで、いままでにない快適な水廻り空間を創造することができる。 このようにシャワーヘッド部に適用する場合は、上述したように手動で吐水および止水を行う操作部7やセンサ部10の感知を作動および停止するセンサ用のオンオフスイッチ28を設けておくことが好ましい。」 「 [図:0001411305000011.jpg] 」 「 [図:0001411305000012.jpg] 」 b 甲3発明 上記aに摘記した記載事項から、甲3には、次の発明が開示されていると認められる(以下「甲3発明」という。)。 (甲3発明) 「投光部11と受光部12が吐水部9に設けた吐水口8と同じ方向に向くように、吐水部9の側部に被ってセンサ部10を設けており、吐水部9とセンサ部10とを水栓外装部4の同じ開口部15に取付けており(【0029】)、センサ部10は、円弧形状に構成されており、吐水部9の側部、特に、吐水部9の上側部に被うように隣接させて一体的に設けられている(【0030】)自動吐水機器1(【0037】)。」 (エ)甲4について 申立人が甲第4号証として提出した特開2017-36637号公報(以下「甲4」ということがある。)には、次の事項が記載されている。 a 記載事項 「【0012】 以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。 図1に示すように、キッチン流し台21の上面には水栓22が設置されており、その基端部には、レバーハンドル23が設けられるとともに、下方へ向かって湾曲した吐水管24の下向きの先端部には吐水口25が設けられている。そして、レバーハンドル23の操作により、吐水口25の先端からの吐水と、止水とが実行される。 【0013】 吐水口25には、シーソー形の切換ボタン26が設けられており、この切換ボタン26の切換操作により、内側吐水としてのシャワー吐水と外側吐水としてのストレート吐水とが選択される。図2に示すように、吐水口25の後述の本体30及び切換ボタン26は、装飾カバー27,28によって覆われている。なお、図11(a)に示すように、シャワー吐水は、後述のシャワー孔46から吐水される状態を指し、図11(b)に示すように、ストレート吐水は、シャワー吐水と同時に、環状開口441からシャワー吐水を包囲する外側吐水を形成することにより、全体としてストレートビーム状の吐水が形成される状態を指す。 【0014】 以下に、吐水口25の構成を説明する。 図2~図4に示すように、前記装飾カバー27内における弁ケースとしての吐水口本体(以下、本体という)30には、その内部に両端を開放した流路としての貫通孔31が形成されている。貫通孔31の上部の大径状の基端部32には、水道管(図示しない)に接続したホース33の先端部の接続筒34がパッキン35を介して挿入接続されている。接続筒34はクリップ29によって本体30に保持される。接続筒34の外周には、ホース33を保持するブッシュ36が取り付けられている。そして、前記ホース33からの水,湯または水と湯との混合水(以下、これらを総称して水という)が接続筒34を経て前記貫通孔31内に通される。また、吐水口25は、吐水管24の先端位置において、図示しない保持手段によって保持される。水作業時には、その保持手段の作用に抗して吐水口25を引き下げることにより、ホース33とともに前記吐水管24の先端から下方へ引き出すことができる。」 「【0023】 そして、図3~図5に示すように、切換弁体71が円筒部材51側の下方位置にあって、前記弁体部74と弁座59との間の分岐部62が閉鎖されている状態においては、ホース33からの水が貫通孔31及び切換弁体71の前記通水孔73を介して円筒部材51の内側流路54及びシャワーフェイス43内に導かれる。従って、この状態において、図11(a)に示すように、シャワー吐水状態となる。また、図6~図8に示すように、切換弁体71が円筒部材51から離間する上方位置にあって、前記弁体部74と弁座59との間の分岐部62が開放されている状態においては、前記と同様に、ホース33からの水が貫通孔31及び切換弁体71の前記通水孔73を介して円筒部材51の内側流路54及びシャワーフェイス43内に導かれる。これと同時に、前記通水孔73からの水が、前記分岐部62を介して円筒部材51の外側流路58及び環状溝56を介して環状流路44に導かれる。このため、図11(b)に示すように、シャワー孔46からのシャワー吐水と、環状開口441からの包囲吐水とにより外側吐水,すなわち、ストレート吐水が形成される。」 「 [図:0001411305000013.jpg] 」 「 [図:0001411305000014.jpg] 」 「 [図:0001411305000015.jpg] 」 b 甲4発明 上記aに摘記した記載事項から、甲4には、次の発明が開示されていると認められる(以下「甲4発明」という。)。 (甲4発明) 「基端部には、レバーハンドル23が設けられるとともに、下方へ向かって湾曲した吐水管24の下向きの先端部には吐水口25が設けられ(【0012】)、 吐水口25には、シーソー形の切換ボタン26が設けられており、この切換ボタン26の切換操作により、内側吐水としてのシャワー吐水と外側吐水としてのストレート吐水とが選択され、シャワー吐水は、シャワー孔46から吐水される状態を指し、ストレート吐水は、シャワー吐水と同時に、環状開口441からシャワー吐水を包囲する外側吐水を形成することにより、全体としてストレートビーム状の吐水が形成される状態を指し(【0013】)、シャワー孔46からのシャワー吐水と、環状開口441からの包囲吐水とにより外側吐水、すなわち、ストレート吐水が形成され(【0023】)、 吐水口25の本体30及び切換ボタン26は、装飾カバー27,28によって覆われる(【0013】水栓22(【0012】)。」 ウ 甲1発明を主引用発明とした場合(理由1(新規性)、理由2(進歩性)) (ア)本件訂正発明1との対比・判断 a 構成Aについて 甲1発明では、「キッチン用水栓20」が「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分」から「シンク上面32に対して略垂直に設けられ、」「所定の寸法よりも上方部(起立部)は、」「シンク上面32に対して傾斜して」おり、甲1発明の「キッチン用水栓20」の「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分」が、本件訂正発明1の「基端側」に相当し、甲1発明の「整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し」た「直線状に伸びた先端である上方部201」は、本件訂正発明1の「先端側」に相当する。 また、甲1発明の「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」は、本件訂正発明1の「吐水管」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成Aに相当する構成を有する。 b 構成Bについて 甲1発明では、「キッチン用水栓20」の「直線状に伸びた先端である上方部201」(先端側)に「整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し」ており、甲1発明の「整流吐水口22と、シャワー吐水口24」は、本件訂正発明1の「複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、」「水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部」に相当する。 よって、本件訂正発明1の構成Bと甲1発明とは、「前記吐水管は、前記先端側に、複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部を有して」いる点で共通する。 c 構成Cについて 甲1発明では「吐水口から吐水された直後の水の進行方向のことを意味するものとし、吐水口に設けられた孔の中心軸方向と一致して」いるから、「整流吐水口22と、シャワー吐水口24」の外形により予想される吐水方向は、上記イ(ア)の図2において、「シャワー吐水口24」の中心付近から「シンク前面36」に直線状に引かれた矢印と平行な方向であるといえる。 ここで、甲1発明では、「シンク30に配置した場合のシンク手前側に位置する上方部分の散水孔67b1は、散水板66bに対して略直交するように形成され、その散水孔67b1よりも下方にある散水孔67b2は、シンク30に配置された場合に散水孔67b1よりも奧側に位置するものであって、散水孔67b1よりも奥側に傾斜するように形成され、その散水孔67b2よりも下方にある散水孔67b3は、散水孔67b2よりも更に奥側に傾斜するように形成され、散水板66bを用いると、シャワー吐水68bは、吐出孔として吐水口を構成する散水孔67b1,67b2,67b3から吐出された直後の吐出方向周りの外形よりも、シンク底面34に着水する際の領域が、シンク30の奥行方向に沿って更に縦長になるように吐出されて」おり、甲1発明の「散水孔67b3」、「吐出孔として吐水口を構成する散水孔67b1,67b2,67b3から吐出された直後の吐出方向周りの外形よりも、シンク底面34に着水する際の領域が、シンク30の奥行方向に沿って更に縦長になるように吐出されている」ことは、それぞれ本件訂正発明1の「前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部」、「吐水された直後の吐水方向は前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いて」いることに相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成Cに相当する構成を有する。 d 構成Dについて 甲1発明の「シンク底面34」は、本件訂正発明1の「重力に直交する水平面」に相当する。 また、甲1発明で、「整流吐水口22と、シャワー吐水口24」の外形の中心から外形により予想される吐水方向の伸びた線は、上記イ(ア)の図2において、「シャワー吐水口24」の中心付近から「シンク前面36」に直線状に引かれた矢印に対応するといえるから、「シンク底面34」との交点は、「シンク前面36」より「シンク30」の使用者から見て手前側であることが明らかである。 そうすると、甲1発明の「着水する際の領域」は「シンク底面34」であるから、「シンク底面34」との交点を基準に使用者から見て奥側、すなわち、「キッチン用水栓20」の「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分」側に広がっていることは明らかである。 また、甲1発明では、「散水板には、散水孔が長方形状に配置され、散水孔の中心軸方向が一致している場合、散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状は、散水孔が設けられる領域の形状が反映される」ことから、甲1発明の「散水孔が長方形状に配置され」た「散水板」の「散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状」は「長方形状」であって、甲1発明の「長方形状」は、本件訂正発明1の「方形状」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成Dに相当する構成を有する。 e 構成Eについて 甲1発明の「キッチン用水栓20」は、本件訂正発明1の「吐水装置」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成Eに相当する構成を有する。 f 一致点・相違点 以上のことから、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。 <一致点> 「A 基端側から先端側に向かって延びる吐水管を備え、 B’前記吐水管は、前記先端側に、複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部を有しており、 C 前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部から吐水された直後の吐水方向は、前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いており、 D 重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっている方形状であり、中心が前記交点より前記基端側である E 吐水装置。」 <相違点1>(構成B) 「吐水管」について、 本件訂正発明1では、「中間部が湾曲し前記先端側が下方に延び」ているのに対して、 甲1発明では、「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」(吐水管)は、「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸び」た形状をしている点。 <相違点2>(構成B) 「吐水部」について、 本件訂正発明1では、「複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、前記複数の水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる」のに対して、 甲1発明では、「整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し」ており、シャワー吐水を一つにまとめて吐水することにより整流吐水をしていない点。 g 判断 <理由1(新規性)について> 上記相違点1について検討すると、甲1には、「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」について、中間部が湾曲し先端側が下方に延びるような形状とすることは記載も示唆もされていない。 したがって、相違点1は実質的な相違点である。 <理由2(進歩性)について> 上記相違点1について検討すると、吐水装置において、吐水管を中間部が湾曲し先端側が下方に延び形状とすることは、例えば、上記イ(ウ)で示した甲3の図4、上記(イ)エで示した甲4の図1等にみられるように周知技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。 しかしながら、甲1発明と上記周知技術1とは、吐水装置に関するものであるという点で技術分野は共通するものの、甲1発明の「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」の形状として、上記周知技術1の形状を適用する動機付けを見出せない。 さらに、甲1は、「シンクにおける多様な洗い動作に対して使い勝手の良いキッチン用水栓を提供すること」(【0006】)を目的として、甲1発明では「使用者から見てシンク30の奥側、且つカウンター上面62に設けられ、下方部、すなわちカウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸びた先端である上方部201に、整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し」、それによって、「水40がシャワー吐水口24から吐水される吐水方向の水平方向成分の長さL15は、垂直方向成分の長さL16より大きく設定され」、「シャワー吐水口24から吐水された水40が着水するまでの水の軌跡(流線)が長くなり、使用者が吐水に触れる領域が大きくな」り、「例えば、身長の高い使用者は、シンク後面38に近い洗浄領域に手を伸ばし、洗い作業を行えば、手や腕が窮屈になることがなく、洗い動作を行うことができ、また、例えば、身長の低い使用者は、シンク前面36に近い洗浄領域に手を伸ばし、洗い作業を行えば、手が届きにくくなるようなこともなく、腰や腕の負担なく、洗い動作を行うことができる」こととなって「体格差のある使用者に対して、同じ位置から洗い動作を行わせることができ」、「斜めの方向に吐水することで、洗い動作における水跳ねを低減する効果も見込める」という効果を奏するものである。 そうすると、「使用者から見てシンク30の奥側、且つカウンター上面62に設けられ、下方部、すなわちカウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸びた先端である上方部201に、整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有」する「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」の形状を、上記周知技術1の形状とすると、甲1発明の上記効果を奏さなくなることから、甲1発明に上記周知技術1を適用することには阻害要因もあるといえる。 したがって、甲1発明に上記周知技術1を適用して、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 h 申立人の主張 申立人は、令和6年1月10日提出の意見書において、相違点1について、「(i)については、甲第3号証(特開2002-356889号公報)の図4、及び、甲第4号証(特開2017-36637号公報)の図1、に記載がある通り、当業者にとって周知事項である。」(2頁10~12行)と主張している。 しかしながら、上記gで説示したとおり、吐水装置において、吐水管を中間部が湾曲し先端側が下方に延び形状とすることが周知技術(周知技術1参照)であったとしても、甲1発明にそのような周知技術1を適用する動機がなく、適用することに阻害要因があるから、当該周知技術1を甲1発明に適用して上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、上記申立人の主張を採用することができない。 i まとめ 上記gのとおり、上記相違点1は実質的な相違点であるから、他の相違点については検討するまでもなく、本件訂正発明1は甲1発明ではなく、また、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではないから、本件訂正発明1は甲1発明及び上記周知技術1に基づいて、当業者が容易になし得たことではない。 (イ)本件訂正発明2との対比・判断 a 構成Aについて 甲1発明では、「キッチン用水栓20」が「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分」から「シンク上面32に対して略垂直に設けられ、」「所定の寸法よりも上方部(起立部)は、」「シンク上面32に対して傾斜して」おり、甲1発明の「キッチン用水栓20」の「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分」が、本件訂正発明2の「基端側」に相当し、甲1発明の「整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し」た「直線状に伸びた先端である上方部201」は、本件訂正発明2の「先端側」に相当する。 また、甲1発明の「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」は、本件訂正発明2の「吐水管」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明2の構成Aに相当する構成を有する。 b 構成B2について 甲1発明では、「キッチン用水栓20」の「直線状に伸びた先端である上方部201」(先端側)に「整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し」ており、甲1発明の「整流吐水口22と、シャワー吐水口24」は、本件訂正発明2の「シャワー状に吐水するシャワー吐水と、」「水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部」に相当する。 よって、本件訂正発明2の構成B2と甲1発明とは、「前記吐水管は、前記先端側に、シャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部を有して」いる点で共通する。 c 構成Cについて 甲1発明では「吐水口から吐水された直後の水の進行方向のことを意味するものとし、吐水口に設けられた孔の中心軸方向と一致して」いるから、「整流吐水口22と、シャワー吐水口24」の外形により予想される吐水方向は、上記イ(ア)の図2において、「シャワー吐水口24」の中心付近から「シンク前面36」に直線状に引かれた矢印と平行な方向であるといえる。 ここで、甲1発明では、「シンク30に配置した場合のシンク手前側に位置する上方部分の散水孔67b1は、散水板66bに対して略直交するように形成され、その散水孔67b1よりも下方にある散水孔67b2は、シンク30に配置された場合に散水孔67b1よりも奧側に位置するものであって、散水孔67b1よりも奥側に傾斜するように形成され、その散水孔67b2よりも下方にある散水孔67b3は、散水孔67b2よりも更に奥側に傾斜するように形成され、散水板66bを用いると、シャワー吐水68bは、吐出孔として吐水口を構成する散水孔67b1,67b2,67b3から吐出された直後の吐出方向周りの外形よりも、シンク底面34に着水する際の領域が、シンク30の奥行方向に沿って更に縦長になるように吐出されて」おり、甲1発明の「散水孔67b3」、「吐出孔として吐水口を構成する散水孔67b1,67b2,67b3から吐出された直後の吐出方向周りの外形よりも、シンク底面34に着水する際の領域が、シンク30の奥行方向に沿って更に縦長になるように吐出されている」ことは、それぞれ本件訂正発明2の「前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部」、「吐水された直後の吐水方向」が「前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いて」いることに相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明2の構成Cに相当する構成を有する。 d 構成D2について 甲1発明の「シンク底面34」は、本件訂正発明1の「重力に直交する水平面」に相当する。 また、甲1発明で、「整流吐水口22と、シャワー吐水口24」の外形の中心から外形により予想される吐水方向の伸びた線は、上記イ(ア)の図2において、「シャワー吐水口24」の中心付近から「シンク前面36」に直線状に引かれた矢印に対応するといえるから、「シンク底面34」との交点は、「シンク前面36」より「シンク30」の使用者から見て手前側であることが明らかである。 そうすると、甲1発明の「着水する際の領域」は「シンク底面34」であるから、「シンク底面34」との交点を基準に使用者から見て奥側、すなわち、「キッチン用水栓20」の「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分」側に広がっていることは明らかである。 また、甲1発明では、「散水板には、散水孔が長方形状に配置され、散水孔の中心軸方向が一致している場合、散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状は、散水孔が設けられる領域の形状が反映される」ことから、甲1発明の「散水孔が長方形状に配置され」た「散水板」の「散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状」は「長方形状」であって、上記aより本件訂正発明2の「吐水管」に相当する「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」の長さ方向に長い長方形状であるから、甲1発明の「長方形状」は、本件訂正発明2の「前記吐水管の長さ方向に長い方形状」に相当する。 よって、本件訂正発明2の構成D2と甲1発明とは、「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっており前記吐水管の長さ方向に長い方形状であ」る点で共通する。 e 構成Gについて 甲1発明の「整流吐水口22からの吐水と、シャワー吐水口24からの吐水とを切り替えるための吐水切替手段としての切替スイッチ」は、本件訂正発明2の「前記シャワー吐水と前記整流吐水とを」「切り替える切替機構」に相当する。 よって、本件訂正発明2の構成Gと甲1発明とは、「前記シャワー吐水と前記整流吐水とを切り替える切替機構を有」する点で共通する。 f 構成Hについて 甲1発明では「整流水が吐水される場合、水40は整流吐水口22から吐水され、シンク底面34に対して斜め方向に吐水され」ており、上記イ(ア)の図5から、「整流吐水口22」から「カウンター上面62」と「シンク前面36」が接続する角付近に延びる直線(本件訂正発明2の「外形により予想される吐水の方向に延びた線」に相当)の方向に吐水されていることが明らかである。 よって、甲1発明は、本件訂正発明2の構成Hに相当する構成を有する。 g 構成Eについて 甲1発明の「キッチン用水栓20」は、本件訂正発明2の「吐水装置」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明2の構成Eに相当する構成を有する。 h 一致点・相違点 以上のことから、本件訂正発明2と甲1発明とは、以下の点で一致し、以下の相違点3-6で相違する。 <一致点> 「A 基端側から先端側に向かって延びる吐水管を備え、 B2’前記吐水管は、前記先端側に、シャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水を行うことができる吐水部を有しており、 C 前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部から吐水された直後の吐水方向は、前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いており、 D2’重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっており前記吐水管の長さ方向に長い方形状であり、 G’前記シャワー吐水と前記整流吐水とを切り替える切替機構を有し、 H 前記整流吐水が、前記外形により予想される吐水方向に延びた線に沿う方向に吐水される E 吐水装置。」 <相違点3>(構成B2) 「吐水管」について、 本件訂正発明2では、「シンクの上方に略水平に延出し」ているのに対して、 甲1発明では、「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」(吐水管)は、「カウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸び」た形状をしている点。 <相違点4>(構成B2) 「吐水管」について、 本件訂正発明2では、「前記先端側に、」「被検知物があるか否かを検知するセンサ」「を有して」いるのに対して、 甲1発明では、被検知物があるか否かを検知するセンサを有していない点。 <相違点5>(構成D2) 「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域」について、 本件訂正発明2では、「前記センサの検知領域とはずれて」いるのに対して、 甲1発明では、上記相違点4のとおり、被検知物があるか否かを検知するセンサを有していないことから、センサの検知領域を備えておらず、それにより、センサの検知領域とずれていない点。 <相違点6>(構成G) 「切替機構」について、 本件訂正発明2では、「回転操作によって切り替える操作部材を備えた切替機構」を有しているのに対して、 甲1発明では、「切替スイッチ」がどのようなものであるのかが不明である点。 g 判断 <理由1(新規性)について> 上記相違点3について検討すると、甲1には、「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」について、シンクの上方に略水平に延出するような形状とすることは記載も示唆もされていない。 したがって、相違点3は実質的な相違点である。 <理由2(進歩性)について> 上記相違点3について検討すると、吐水装置において、吐水管をシンクの上方に略水平に延出するような形状とすることは、例えば、上記イ(イ)で示した甲2の図5等にみられるように周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。 しかしながら、甲1発明と上記周知技術2とは、吐水装置に関するものであるという点で技術分野は共通するものの、甲1発明の「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」の形状として、課題及び課題解決手段が異なっている上記周知技術2の形状を適用する動機付けを見出せない。 さらに、甲1は、「シンクにおける多様な洗い動作に対して使い勝手の良いキッチン用水栓を提供すること」(【0006】)を目的として、甲1発明では「使用者から見てシンク30の奥側、且つカウンター上面62に設けられ、下方部、すなわちカウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸びた先端である上方部201に、整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有し」、それによって、「水40がシャワー吐水口24から吐水される吐水方向の水平方向成分の長さL15は、垂直方向成分の長さL16より大きく設定され」、「シャワー吐水口24から吐水された水40が着水するまでの水の軌跡(流線)が長くなり、使用者が吐水に触れる領域が大きくな」り、「例えば、身長の高い使用者は、シンク後面38に近い洗浄領域に手を伸ばし、洗い作業を行えば、手や腕が窮屈になることがなく、洗い動作を行うことができ、また、例えば、身長の低い使用者は、シンク前面36に近い洗浄領域に手を伸ばし、洗い作業を行えば、手が届きにくくなるようなこともなく、腰や腕の負担なく、洗い動作を行うことができる」こととなって「体格差のある使用者に対して、同じ位置から洗い動作を行わせることができ」、「斜めの方向に吐水することで、洗い動作における水跳ねを低減する効果も見込める」という効果を奏するものである。 そうすると、「使用者から見てシンク30の奥側、且つカウンター上面62に設けられ、下方部、すなわちカウンター上面62に取り付けられている近傍の部分から略垂直に立ち上がり、くの字状に屈曲した後、直線状に伸びた先端である上方部201に、整流吐水口22と、シャワー吐水口24と、を有」する「整流吐水口22へ水40を導くための整流用配水管23と、シャワー吐水口24へ水40を導くためのシャワー用配水管25」の形状を、上記周知技術2の形状とすると、甲1発明の上記効果を奏さなくなることから、甲1発明に上記周知技術2を適用することには阻害要因もあるといえる。 したがって、甲1発明に上記周知技術2を適用して、上記相違点3に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 h 申立人の主張 申立人は、令和6年1月10日提出の意見書において、相違点3について、「(v)についても、甲第2号証の図9に記載がある通り、当業者にとって周知事項である。」(3頁14~15行)と主張している。 しかしながら、上記gで説示したとおり、吐水装置において、吐水管をシンクの上方に略水平に延出するような形状とすることが周知技術(周知技術2参照)であったとしても、甲1発明にそのような周知技術2を適用する動機がなく、適用することに阻害要因があるから、当該周知技術2を甲1発明に適用して上記相違点3に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、上記申立人の主張を採用することができない。 i まとめ 上記gのとおり、上記相違点3は実質的な相違点であるから、他の相違点については検討するまでもなく、本件訂正発明2は甲1発明ではなく、また、上記相違点3に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではないから、本件訂正発明2は甲1発明及び上記周知技術2に基づいて、当業者が容易になし得たことではない。 (ウ)本件訂正発明3-5との対比・判断 本件訂正発明3-5は、いずれも本件訂正発明1及び2の全ての発明特定事項を含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであり、すなわち、相違点1に係る本件訂正発明1又は相違点3に係る本件訂正発明2の発明特定事項を含むものであるから、上記(ア)又は(イ)に示した理由と同様の理由により、本件訂正発明3-5は甲1発明ではなく、また、本件訂正発明3-5は甲1発明、周知技術1及び2から当業者が容易に発明できたものではない。 エ 甲4発明を主引用発明とした場合(理由2(進歩性)) (ア)本件訂正発明1との対比・判断 a 構成Aについて 甲4発明の「基端部」、「先端部」、「吐水管24」は、それぞれ本件訂正発明1の「基端側」、「先端側」、「吐水管」に相当する。 よって、甲4発明は、本件訂正発明1の構成Aに相当する構成を有する。 b 構成Bについて 甲4発明では「基端部には、レバーハンドル23が設けられるとともに、下方へ向かって湾曲した吐水管24の下向きの先端部には吐水口25が設けられ」ており、甲4発明の「基端部」と「先端部」に「下方へ向かって湾曲した吐水管14」は、本件訂正発明1の「中間部が湾曲し前記先端側が下方に延び」た「吐水管」に相当する。 また、甲4発明の「内側吐水としてのシャワー吐水」「が選択され」る「吐水口25」は、本件訂正発明1の「複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水を行うことができる吐水部」に相当する。 また、甲4発明では、「ストレート吐水」(本件訂正発明1の「整流吐水」に相当)「は、シャワー吐水と同時に、環状開口441からシャワー吐水を包囲する外側吐水を形成することにより、全体としてストレートビーム状の吐水が形成され」ており、環状開口441からシャワー吐水(本件訂正発明1の「複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水」に相当)を包囲する外側吐水を形成して、全体としてストレートビーム状の吐水を形成(本件訂正発明1の「前記複数の水流を一つにまとめて吐水する」ことに相当)している。 よって、甲4発明は、本件訂正発明1の構成Bに相当する構成を有する。 c 構成Cについて 甲4発明では、「シャワー吐水は、シャワー孔46から吐水される状態」であり、上記イ(エ)の図11(a)より、「シャワー孔46」から吐水された直後の吐水方向が、ハ字状に外側に広がっていることが看取できることから、「吐水口25」の外形により予想される吐水方向(図11(a)において、真下方向)よりも、「吐水口25」の「基端部」に最も近い領域では、吐水方向は、基端部に傾いているといえる。 よって、甲4発明は、本件訂正発明1の構成Cに相当する構成を有する。 d 構成Eについて 甲4発明の「水栓22」は、本件訂正発明1の「吐水装置」に相当する。 よって、甲4発明は、本件訂正発明1の構成Eに相当する構成を有する。 e 一致点・相違点 以上のことから、本件訂正発明1と甲4発明とは、以下の点で一致し、以下の相違点7で相違する。 <一致点> 「A 基端側から先端側に向かって延びる吐水管を備え、 B 前記吐水管は中間部が湾曲し前記先端側が下方に延び、前記先端側に、複数の水流をシャワー状に吐水するシャワー吐水と、前記複数の水流を一つにまとめて吐水する整流吐水と、を行うことができる吐水部を有しており、 C 前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部から吐水された直後の吐水方向は、前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いている、 E 吐水装置。」 <相違点7>(構成D) 本件訂正発明1では、「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域が、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっている方形状であり、中心が前記交点より前記基端側である」のに対して、 甲4発明では、シャワー吐水の吐水領域がどのように設定されているかが不明である点。 f 判断 <理由2(進歩性)について> 上記相違点7について検討すると、甲4発明では、吐水口25が水平面に対して、如何なる角度を有して設置されているかが不明ではあるものの、水栓の吐水口を、水平面に対して低い角度として斜めに設置することは、周知技術(例えば、上記イ(ウ)の甲3の図4及び5を参照、以下「周知技術3」という。)に過ぎない。 そして、甲4発明の吐水口25の設置角度を上記周知技術3のような角度とした場合、甲4発明において、側面視で吐水口25の外形の中心から外形により予想される吐水方向に延びた線と水平面との交点は、吐水口25から水平面に対して垂直に引かれる線より基端部と反対側に位置することとなるから、前記交点を基準に、シャワー吐水の領域は、基端側に広がることとなるものの、その吐水領域の形状が如何なる形状となるかは明らかではない。 ここで、上記イ(ア)の甲1発明は、上記ウ(ア)dで説示したとおり「散水板」の「散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状」は「長方形状」であって、甲1発明の「長方形状」は本件訂正発明1の「方形状」に相当する。 しかしながら、甲4発明は、「水栓の吐水口を構造の複雑化を招くことなくスリム化できる水栓の吐水切換機構を提供すること」(【0007】)を目的として、「キッチン流し台21の上面には水栓22が設置されており、その基端部には、レバーハンドル23が設けられるとともに、下方へ向かって湾曲した吐水管24の下向きの先端部には吐水口25が設けられ」(【0012】)、「吐水口25には、シーソー形の切換ボタン26が設けられており、この切換ボタン26の切換操作により、内側吐水としてのシャワー吐水と外側吐水としてのストレート吐水とが選択され」(【0013】)、「シャワー孔46からのシャワー吐水と、環状開口441からの包囲吐水とにより外側吐水,すなわち、ストレート吐水が形成される」(【0023】)ようになっているから、甲4発明の目的・効果を勘案すると、甲4発明に、吐水口を水平面に対して傾斜させ、所定の傾斜角度を以て吐水している甲1発明の散水板を適用する動機付けを見出せず、また、上記ウ(ア)gで検討した甲1発明の課題及び課題解決手段を勘案すると、甲4発明に甲1発明の散水板を適用することには阻害要因があるといえる。 また、いわゆるグースネック形状の吐水装置の吐水領域の形状を方形状に設計することが周知技術であるともいえない。 よって、本件訂正発明1は、甲4発明、甲1発明及び周知技術3から当業者が容易に発明できたものではない。 g 申立人の主張 申立人は、令和6年1月10日提出の意見書において、相違点6について、「(iii)の事項については、甲第1号証の図1、図2及び図27に「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域が、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっている方形状であり、中心が前記交点より前記基端側である」ことが記載されているし、甲第1号証の図26(b)に当該方形状の「中心が前記交点より前記基端側である」ことも記載されている。」と主張している。 しかしながら、甲4発明に甲1発明の散水板を適用できないことは、上記fで説示したとおりである。 よって、上記申立人の主張を採用することができない。 (イ)本件訂正発明2との対比・判断 a 構成Aについて 甲4発明の「基端部」、「先端部」、「吐水管24」は、それぞれ本件訂正発明2の「基端側」、「先端側」、「吐水管」に相当する。 よって、甲4発明は、本件訂正発明2の構成Aに相当する構成を有する。 b 構成B2について 甲4発明の「内側吐水としてのシャワー吐水」「が選択され」る「吐水口25」は、本件訂正発明の1の「シャワー状に吐水するシャワー吐水を行うことができる吐水部」に相当する。 また、甲4発明では、「ストレート吐水」(本件訂正発明2の「整流吐水」に相当)「は、全体としてストレートビーム状の吐水が形成され」ており、環状開口441からシャワー吐水を包囲する外側吐水を形成して、全体としてストレートビーム状の吐水を形成(本件訂正発明1の「水流を一つにまとめて吐水する」ことに相当)している。 よって、本件訂正発明2の構成B2と甲4発明とは、「前記吐水管は、前記先端側に、シャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水を行うことができる吐水部を有して」いる点で共通する。 c 構成Cについて 甲4発明では、「シャワー吐水は、シャワー孔46から吐水される状態」であり、上記イ(エ)の図11(a)より、「シャワー孔46」から吐水された直後の吐水方向が、ハ字状に外側に広がっていることが看取できることから、「吐水口25」の外形により予想される吐水方向(図11(a)において、 真下方向)よりも、「吐水口25」の「基端部」に最も近い領域では、吐水方向は、基端部に傾いているといえる。 よって、甲4発明は、本件訂正発明2の構成Cに相当する構成を有する。 d 構成Gについて 甲4発明の「切換ボタン26の切換操作により、内側吐水としてのシャワー吐水と外側吐水としてのストレート吐水とが選択され」る「シーソー形の切換ボタン26」は、本件訂正発明2の「前記シャワー吐水と前記整流吐水とを」「切り替える」「切替機構」に相当する。 よって、本件訂正発明2の構成Gと甲4発明とは、「前記シャワー吐水と前記整流吐水とを切り替える切替機構を前記吐水管に有し」ている点で共通する。 e 構成Hについて 甲4発明の「ストレート吐水」は、本件訂正発明2の「整流吐水」に相当する。 甲4発明では「ストレート吐水は、シャワー吐水と同時に、環状開口441からシャワー吐水を包囲する外側吐水を形成することにより、全体としてストレートビーム状の吐水が形成され」ており、上記イ(エ)の図11(b)から、「ストレート吐水」は、「吐水口25」の外形により予想される吐水方向に延びた線に沿う方向に吐水されていることは明らかである。 よって、甲4発明は、本件訂正発明2の構成Hに相当する構成を有する。 f 構成Eについて 甲4発明の「水栓22」は、本件訂正発明2の「吐水装置」に相当する。 よって、甲4発明は、本件訂正発明2の構成Eに相当する構成を有する。 g 一致点・相違点 以上のことから、本件訂正発明2と甲4発明とは、以下の点で一致し、以下の相違点8-11で相違する。 <一致点> 「A 基端側から先端側に向かって延びる吐水管を備え、 B2’前記吐水管は、前記先端側に、シャワー状に吐水するシャワー吐水と、水流を一つにまとめて吐水する整流吐水を行うことができる吐水部を有しており、 C 前記シャワー吐水のうち前記吐水部に形成された複数のシャワー孔の少なくとも一部から吐水された直後の吐水方向は、前記吐水部の外形により予想される吐水方向よりも前記基端側に傾いており、 G’前記シャワー吐水と前記整流吐水とを切り替える切替機構を前記吐水管に有し、 H 前記整流吐水が、前記外形により予想される吐水方向に延びた線に沿う方向に吐水される E 吐水装置。」 <相違点8>(構成B2) 「吐水管」について、 本件訂正発明2では、「シンクの上方に略水平に延出し」ているのに対して、 甲4発明では、「基端部には、レバーハンドル23が設けられるとともに、下方へ向かって湾曲した吐水管24の下向きの先端部には吐水口25が設けられ」た形状をしている点。 <相違点9>(構成B2) 「吐水管」について、 本件訂正発明2では、「前記先端側に、」「被検知物があるか否かを検知するセンサ」「を有して」いるのに対して、 甲4発明では、被検知物があるか否かを検知するセンサを有していない点。 <相違点10>(構成D2) 本件訂正発明2では、「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記センサの検知領域とはずれており、前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点を基準に前記先端側より前記基端側に広がっており前記吐水管の長さ方向に長い方形状であ」るのに対して、 甲4発明では、上記相違点8のとおりセンサを有していないことから、重力に直交する水平面に対するシャワー吐水の吐水領域がセンサの検知領域とはずれておらず、また、シャワー吐水の吐水領域がどのように設定されているかが不明である点。 <相違点11>(構成G) 「切替機構」について、 本件訂正発明2では、「回転操作によって切り替える操作部材を備えた切替機構」を有しているのに対して、 甲4発明では、「シーソー形の切換ボタン26」である点。 h 判断 <理由2(進歩性)について> 事案に鑑み、上記相違点10について検討すると、上記(ア)fの説示のとおり、甲4発明では、吐水口25が水平面に対して、如何なる角度を有して設置されているかが不明ではあるものの、水栓の吐水口を、水平面に対して低い角度として斜めに設置することは、上記(ア)fで指摘したとおり周知技術3に過ぎない。 そして、甲4発明の吐水口25の設置角度を上記周知技術3のような角度とした場合、甲4発明において、側面視で吐水口25の外形の中心から外形により予想される吐水方向に延びた線と水平面との交点は、吐水口25から水平面に対して垂直に引かれる線より基端部と反対側に位置することとなるから、前記交点を基準に、シャワー吐水の領域は、基端側に広がることとなるものの、その吐水領域の形状が如何なる形状となるかは明らかではない。 ここで、上記イ(ア)の甲1発明は、上記ウ(イ)dで説示したとおり「散水板」の「散水孔から吐出された水が着水する着水部の形状」は「長方形状」であって、甲1発明の「長方形状」は本件訂正発明2の「前記吐水管の長さ方向に長い方形状」に相当する。 しかしながら、(ア)fで検討したように、甲4発明の吐出口に課題及び課題解決手段が異なる甲1発明の散水板を適用する動機付けが見出せず、また、上記ウ(ア)gで検討した甲1発明の課題及び課題解決手段を勘案すると、甲4発明に甲1発明の散水板を適用することには阻害要因があるといえる。 また、いわゆるグースネック形状の吐水装置の吐水領域の形状を方形状とすることは、周知技術であるともいえない。 よって、本件訂正発明2は、甲4発明、甲1発明及び周知技術3から当業者が容易に発明できたものではない。 i 申立人の主張 申立人は、令和6年1月10日提出の意見書において、相違点9について、「(vi)については、甲第3号証の段落0005に記載がある通り、吐水口に手を近づける場合のセンサの誤検知に関する課題が当業者にとって周知事項であるから、「重力に直交する水平面に対する前記シャワー吐水の吐水領域は、前記センサの検知領域とはずれて」いることは、当業者にとって周知事項であるし、甲第1号証の図1、図2及び図27には、「重力に直交する水平面に対するシャワー吐水の吐水領域が吐水部の外形の中心から当該外形により予想される吐水方向に延びた線と水平面との交点を基準に先端側より基端側に広がっており前記吐水管の長さ方向に長い方形状である」ことが記載されている。」と主張している。 しかしながら、甲4発明に甲1発明の散水板を適用できないことは、上記hで説示したとおりである。 よって、上記申立人の主張を採用することができない。 j まとめ 上記hのとおり、本件訂正発明2は、甲4発明、甲1発明及び周知技術3から当業者が容易に発明できたものではない。 (ウ)本件訂正発明3-5との対比・判断 本件訂正発明3-5は、いずれも本件訂正発明1及び2の全ての発明特定事項を含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであり、すなわち、上記相違点6に係る本件訂正発明1又は上記相違点9に係る本件訂正発明2の発明特定事項を含むものであるから、上記(ア)又は(イ)に示した理由と同様の理由により、本件訂正発明3-5は、甲4発明、甲1発明及び周知技術3から当業者が容易に発明できたものではない。 (3)取消理由通知に記載した取消理由のまとめ 以上のことから、本件訂正発明1及び2は、甲1発明ではなく、また、本件訂正発明1―5は、甲1発明、甲4発明及び周知技術1-3から当業者が容易に発明できたものではない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人が、申立書において主張する、第1の申立ての理由-第10の申立ての理由は取消理由通知に記載した取消理由に包含されることから、取消理由通知において採用しなかった第11の申立ての理由(明確性)について、以下に検討する。 1 第11の申立ての理由(明確性)について (1)第11の申立ての理由(明確性)の概要 本件発明1の構成Dにおける「前記吐水部の外形の中心」及び「前記外形により予想される吐水方向」が不明確である。 したがって、本件発明1及び本件発明1に従属する本件発明2-5に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)当審の判断 ア 判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 イ 本件訂正発明1について 上記第2のとおり、本件訂正は全て認められたので、本件特許の請求項1-5に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等という。)は、令和5年11月13日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1-5に記載された事項により特定されるものであり、その記載は上記第3のとおりであって、それ自体に不明確な記載は見当たらないし、願書に添付した明細書の記載や図面とも整合することを踏まえると、請求項1-5の記載が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 ウ 申立人の主張 申立人は申立書において、次の主張をしている。 「前掲の本願明細書段落0014及び0019の記載並びに本願図2及び図5によれば、中間部が湾曲して先端側が下方に延びた、いわゆるグースネック状の吐水管の場合には、「吐水部の外形の中心」は、吐水部を構成する外形部材(29)の中心(中心軸)であって、「吐水部の外形により予想される吐水方向」は、「吐水部を構成する外形部材(29)の延び方向(外形部材(29)の中心軸の方向)」である。 ところが、本願明細書段落0037の(7)の記載によれば、「吐水部」が「吐水管の外周面に形成された複数の孔群」によって構成されている場合には、「吐水部の外形の中心」は「複数の孔群によって形成される領域の中心」と定義されており、「吐水部の外形により予想される吐水方向」は「吐水管の延び方向に対して直交する方向である」と定義されている。 従って、グースネック状の吐水管であって、且つ、「吐水部」が「吐水管の外周面に形成された複数の孔群」によって構成される場合、「前記吐水部の外形の中心」及び「前記外形により予想される吐水方向」を一義的に解釈することができない。 更に、グースネック状ではない吐水管の形態が採用され、且つ、「吐水部」が「吐水管の外周面に形成された複数の孔群」とは異なる形態で提供される場合、「前記吐水部の外形の中心」及び「前記外形により予想される吐水方向」がどのように解釈されるのか不明である。 従って、本件発明1は、明確性要件を満たしていない。 従って、本件発明1に従属する本件発明2-5も、明確性要件を満たしていない。」(申立書40頁1行―25行) しかしながら、段落0037の(7)に記載された「他の実施例」について検討すると、「吐水部の外形により予想される吐水方向に延びた線は、吐水管の延び方向に対して直交する方向」であるから、本件訂正発明1及び2で特定された「前記吐水部の外形の中心から前記外形により予想される吐水方向に延びた線と前記水平面との交点」が吐水装置の近傍に存在しないことは明らかである。 そうすると、段落0037の(7)に記載された「他の実施例」は、本件訂正発明1及び2に対応する実施例とはいえないから、当該記載を根拠として、本件訂正発明1及び2における記載が明確ではない、とはいえない。 よって、本件訂正発明1-5は明確である。 したがって、申立人の上記主張には理由がない。 (3)小括 以上のことから、本件訂正発明1-5は明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正発明1-5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件訂正発明1-5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700610

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