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特許異議申立

2023-700525

座屈拘束ブレース

審判番号
2023-700525
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-183848
登録番号
7175694
請求日
2023年05月19日
審決日
2024年03月01日
公報発行日
2024年06月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】大和ハウス工業株式会社
  • 【権利者代理人】伊東 忠重
  • 【異議申立人】中川 賢治
審判長/審判官
  • 審判長 前川 慎喜
  • 審判官 居島 一仁
  • 審判官 佐藤 史彬
分類
P1651.113-YAA(E04B) / P1651.121-YAA(E04B) / P1651.537-YAA(E04B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7175694号発明「座屈拘束ブレース」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7175694号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第7175694号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続きの経緯 特許第7175694号の請求項1~9に係る特許についての出願は平成30年9月28日に出願され、令和4年11月11日にその特許権の設定登録がされ、同月21日に特許掲載公報が発行された。 その後、その請求項1~9に係る特許に対し、令和5年5月19日付けで特許異議申立人 中川 賢治(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。その後、その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は次のとおりである。 令和5年 9月28日付け:取消理由通知書 同年12月 1日付け:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、同月22日付けで当審から申立人に対し、訂正の請求があった旨の通知をするとともに、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが(特許法第120条の5第5項)、申立人から意見書は提出されなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年12月1日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第7175694号の特許請求の範囲を、本件訂正請求の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであって、その内容は、次の訂正事項1からなるものである(下線は訂正箇所を示す)。 <訂正事項1> 特許請求の範囲の請求項1に「前記芯材は、その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有しており、前記芯材の前記広幅部の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」と記載されているのを、「前記芯材は、その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有し、該広幅部は、該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え、前記木製拘束材は、該芯材における両端部側の該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの範囲を包囲しており、前記芯材の前記広幅部における前記広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正前の請求項1に係る特許発明の「前記芯材は、その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有しており、前記芯材の前記広幅部の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」との記載に対して、訂正後の請求項1は、「前記芯材は、その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有し、該広幅部は、該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え、前記木製拘束材は、該芯材における両端部側の該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの範囲を包囲しており、前記芯材の前記広幅部における前記広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」との記載により、 ア 訂正前の請求項1の「前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部」を「該広幅部は、該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え、」と特定して限定を行うものであり、 イ 訂正前の請求項1の「木製拘束材」を「前記木製拘束材は、該芯材における両端部側の該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの範囲を包囲しており、」と特定して限定を行うものであり、 ウ 訂正前の請求項1の「前記芯材の前記広幅部の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」とあるのを「前記芯材の前記広幅部における前記広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」と特定して限定を行うものである。 (2) 訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。また、本件特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について、「本件特許明細書等」という。))の図1において、芯材10の広幅部12は、狭幅部13から広幅面11aの幅が徐々に大きくなる領域と、広幅面11aの幅が一定で一定長さを有する領域を備えている構成を看取することができ、図3と図6において、木製拘束材20が、芯材10における両端部側の広幅面11aの幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの範囲を包囲することが看取できる。 また、図3、図4及び図6において、芯材10の広幅部12における広幅面11aの幅が一定で一定長さを有する領域の側面と側板22との間に、第一隙間Glを有していることを看取できる。 よって、訂正事項1は、本件特許明細書に基づくものであるから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は請求項1を直接的または間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 訂正に関する小括 前記のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 第3 本件特許について 前記のとおり、本件訂正請求による訂正は認められたので、本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、各々を「本件特許発明1」等といい、請求項1~9に係る発明をまとめて「本件特許発明」という。)は、令和5年12月1日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1~9に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 鋼製でプレート状の芯材と、 前記芯材の有する二つの広幅面に対向するように配設されている木製の面材である一対の拘束板と、前記芯材の有する二つの狭幅面に対向するように配設され、前記一対の拘束板に接続されている木製の面材である一対の側板と、により形成される、四つの面材による閉合構造を有する木製拘束材と、を備え、 前記芯材の長手方向の端部の前記広幅面には、該広幅面に直交する補強リブが接合されて断面十字状を呈しており、 前記木製拘束材のうち、前記補強リブに対応する位置には該補強リブに干渉しないスリットが設けられており、 前記芯材は、その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有し、該広幅部は、該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え、前記木製拘束材は、該芯材における両端部側の該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの包囲を包囲しており、 前記芯材の前記広幅部における前記広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の側面と前記側板の間に第一隙間を有していることを特徴とする、座屈拘束ブレース。 【請求項2】 前記第一隙間は、前記芯材が変形して前記側板に接触した際に該側板に付加曲げモーメントが作用することを防止するための、付加曲げモーメント防止用の隙間であることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。 【請求項3】 前記芯材の前記狭幅部の側面と前記側板の壁面の間にスペーサーが介在していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の座屈拘束ブレース。 【請求項4】 平面視において、前記スリットと前記補強リブとの間に第二隙間を有していることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。 【請求項5】 前記芯材の前記狭幅部の周面から突起が張り出しており、該突起が前記木製拘束材に開設されている係合孔に係合していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース 【請求項6】 前記芯材の前記広幅面と前記拘束板の間に内挿板が介在していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。 【請求項7】 前記側板が、前記拘束板に対して固定金具もしくは接着剤にて固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。 【請求項8】 以下の式(A)を満たすように、前記木製拘束材と前記芯材の仕様が設定されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。 【数1】 [図:0001411293000001.jpg] 【請求項9】 前記側板が前記拘束板に対して複数の固定金具にて固定され、該固定金具のピッチが以下の式(B)を満たすように設定されることを特徴とする、請求項6、または請求項6に従属する請求項8に記載の座屈拘束ブレース。 【数2】 [図:0001411293000002.jpg] 」 第4 証拠方法、特許異議申立理由及び取消理由通知に記載した取消理由について 1 証拠方法 申立人が提示した証拠は以下のとおりである。 (1) 甲第1号証:中国特許出願公開第104563320号明細書 (2) 甲第2号証:中国特許出願公開第104532982号明細書 (3) 甲第3号証:特開2007-291704号公報 (4) 甲第4号証:特開2015-105482号公報 (5) 甲第5号証:特開2003-193699号公報 (6) 甲第6号証:特許第4901491号公報 (7) 甲第7号証:特開2016-117995号公報 (8) 甲第8号証:中国特許第105386533号明細書 (9) 甲第9号証:中国特許第105386534号明細書 (10) 甲第10号証:Toru Takeuchi, 外1名, "BUCKLING-RESTRAINED BRACES AND APPLICATIONS", 一般社団法人日本免震構造協会, 2017年, p.26-46 (11)甲第11号証:特開2001-214541号公報 (12)甲第12号証:特開2017-110402号公報 (13)甲第13号証:Hans-Erik Blomgren, 外3名, "THE HEAVY TIMBER BUCKLING-RESTRAINED BRACED FRAME AS A SOLUTION FOR COMMERCIAL BUILDINGS IN REGIONS OF HIGH SEISMICITY", WCTE 2016 e-book;containing all full papers submitted to the World Conference on Timber Engineering(WCTE 2016),August 22-25,2016,Vienna,Austria, TU Verlag Wien,2016, p.1-10 (以下、各甲号証を、その番号により「甲1」等ということがある。) 2 異議申立理由の概要 取消理由1-1 (新規性)訂正前の請求項1~5及び7に係る発明は、甲1または甲2に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、訂正前の請求項1~5及び7に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 取消理由1-2 (進歩性)訂正前の請求項1~9に係る発明は、甲1または甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1~9に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 取消理由2 (明確性)請求項2に記載された「付加曲げモーメント防止用の隙間である」について、「隙間」がどのような構成であるのか明確ではないから、本件特許発明2は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。 3 取消理由の概要 訂正前の請求項1~9に係る特許に対して、当審において令和5年9月28日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 1 (新規性)請求項1、2、4、5及び7に係る発明は、甲2または甲1に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1、2、4、5及び7に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 2 (進歩性)請求項1~9に係る発明は、甲2または甲1に記載された発明、甲10に記載された事項及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~9に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 第5 当審の判断 1 甲号証について (1) 甲2 ア 甲2の記載事項 本件特許の出願前に発行された刊行物である甲2には、次の記載がある。なお、翻訳文は、申立人が作成したものを参考に合議体が作成した。以下についても同様である。 (ア) [0013]~[0017] 「 [図:0001411293000003.jpg] 」([0013] [図1]本発明の座屈拘束ブレースの全体平面図である。 [0014] [図2]本発明の座屈拘束ブレースの全体正面図である。 [0015] [図3]本発明の核心材構造の平面図である。 [0016] [図4]本発明の核心材構造の正面図である。 [0017] [図5]図1におけるA-Aに沿った断面の周辺拘束の第1の構造態様の模式図である。) (イ) [0021]~[0030] 「 [図:0001411293000004.jpg] 」([0021] 図1に示すように、組み立て式鋼鉄・木材座屈拘束ブレースは、核心材1と、周辺拘束2と、非粘着性材料または空気層3とを含み、前記非粘着性材料または空気層3は核心材1と周辺拘束2との間に設置される。 [0022] 前記核心材1は、接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6と、位置制限部材7および補剛板9とを含み、前記中心作業セグメント6の両端は遷移セグメント5を介して接続セグメント4に接続され、中心 作業セグメント6の中央に位置制限部材7が設けられ、前記遷移セグメント5は円弧状であり、接続セグメント4には接続ボルト孔8が設置されており、前記補剛板9は接続セグメント4および遷移セグメント5の中央に縦方向に沿って垂直に取り付けられる。 [0023] 周辺拘束の第1の構造態様は、図5に示すように、周辺拘束2は、2つの核心材の上下の第1集成材11(予め溝が開設され、木材の表面はサンディングおよび研磨処理が行われ、かつ木目方向は横目である)と、2つの核心材の両側の第1集成材10(予め溝が開設され、木材の表面はサンディングおよび研磨処理が行われ、かつ木目方向は縦目である)とからなっている。核心材の上下の第1集成材11と核心材の両側の第1集成材10との間は接着剤を介して加圧されて硬化され、周辺拘束2を形成する。) [0024] 本発明において、周辺拘束の第1の構造態様を採用した組み立て過程は以下のとおりである。 [0025] 1.核心板1として、切削成形したものを採用する。 [0026] 2.ブレースの端部である接続セグメント4に予め接続ボルト孔8が開設されており、構造の取り付けを容易にする。 [0027] 3.ブレースの端部である接続セグメント4と補剛リブ9とを溶接で溶接して一体に連結する。 [0028] 4.遷移セグメント5と中心作業セグメント6の表面にコーティング除去材料を貼り付ける。 [0029] 5.周辺拘束を構成する核心材の上下の第1集成材11と核心材の両側の第1集成材10に予め溝を開設して、サンディングおよび研磨処理を行う。 [0030] 6.処理された核心材の上下の第1集成材11と核心材の両側の第1集成材10とを接着剤を介して加圧して硬化し、周辺拘束2を形成する。(加圧して硬化する際に、中心作業セグメント6と核心材の上下の第1集成材11との間に一定の厚さの鋼板を放置することで、上下表面の隙間をコントロールする) (ウ) 図1 「 [図:0001411293000005.jpg] 」 (エ) 図2 「 [図:0001411293000006.jpg] 」 (オ) 図3 「 [図:0001411293000007.jpg] 」 (カ) 図4 「 [図:0001411293000008.jpg] 」 (キ) 図5 「 [図:0001411293000009.jpg] 」 (ク) 図面から看取できる事項 a 前記(ウ)及び(エ)の図面から看取できる事項 前記(イ)の記載を踏まえると、前記(ウ)及び(エ)の図面から次の事項を看取することができる。 <図面看取事項1> 「周辺拘束2を構成する核心材の上下の第1集成材11と核心材の両側の第1集成材10に遷移セグメント5の周辺部に空気層が形成される溝が開設されていること。」 b 前記(オ)及び(カ)の図面から看取できる事項 前記(ア)の記載を踏まえると、前記(オ)及び(カ)の図面から次の3つの事項を看取することができる。 (a) <図面看取事項2> 「核心材1において、接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6と、位置制限部材7からなるものは、プレート状であり、上下方向の面は、両側にある側面よりも幅広の面であり、上下方向の面において、接続セグメント4と遷移セグメント5は、中心作業セグメント6よりも幅広であり、円弧状の遷移セグメント5は幅が徐々に変化し、接続セグメント4は幅が略一定であること。」 (b) <図面看取事項3> 「補剛板9は接続セグメント4および遷移セグメント5の中央に上下両方向に縦方向に沿って垂直に取り付けられること。」 (c) <図面看取事項4> 「位置制限部材7は、突起状のものであること。」 イ 甲2発明 上記アを総合すると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。 <甲2発明> 「核心材1と、周辺拘束2と、空気層3とを含み、([0021]) 前記核心材1は、接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6と、位置制限部材7および補剛板9とを含み、前記中心作業セグメント6の両端は遷移セグメント5を介して接続セグメント4に接続され、中心作業セグメント6の中央に位置制限部材7が設けられ、前記遷移セグメント5は円弧状であり、([0022]) 補剛板9は接続セグメント4および遷移セグメント5の中央に上下両方向に縦方向に沿って垂直に取り付けられ、接続セグメント4と補剛リブ9とを溶接で溶接して一体に連結し、(図面看取事項3、[0027]) 周辺拘束2は、2つの核心材の上下の第1集成材11(予め溝が開設され、木材の表面はサンディングおよび研磨処理が行われ、かつ木目方向は横目である)と、2つの核心材の両側の第1集成材10(予め溝が開設され、木材の表面はサンディングおよび研磨処理が行われ、かつ木目方向は縦目である)とからなり、核心材の上下の第1集成材11と核心材の両側の第1集成材10との間は接着剤を介して加圧されて硬化され、周辺拘束2を形成し、([0023]) 周辺拘束2において、核心材の上下の第1集成材11及び核心材の両側の第1集成材10には、遷移セグメント5の周辺部に空気層が形成される溝が開設され、(図面看取事項1) 空気層3は核心材1と周辺拘束2との間に設置され、([0021]) 核心材1において、接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6と、位置制限部材7からなるものは、プレート状であり、上下方向の面は、両側にある側面よりも幅広の面であり、上下方向の面において、接続セグメント4と遷移セグメント5は、中心作業セグメント6よりも幅広であり、円弧状の遷移セグメント5は幅が徐々に変化し、接続セグメント4は幅が略一定であり、(図面看取事項2) 位置制限部材7は、突起状のものである、(図面看取事項4) 組み立て式鋼鉄・木材座屈拘束ブレース。([0021])」 (2) 甲3 ア 甲3の記載事項 本件特許の出願前に発行された刊行物である甲3には、次の記載がある。 (ア) 段落【0001】 「【0001】 この発明は、構造物の主要骨組の層間に組み込まれ、大きな層間変形が生じたときに鋼板のブレース芯材が塑性変形することでエネルギーを吸収し、構造物の揺れを減少させる座屈拘束ブレースに関する。」 (イ) 段落【0023】 「【0023】 スペーサ18,18は、前述ブレース芯材6の両側に形成の切欠部16,16内に配されるもので、枠板4,4内にブレース芯材6が収納されると、該枠板4,4との間に空間19が形成されることになるが、この空間を埋める働きをしている。これは、荷重負担時に中間部分11が横方向(巾方向)へ動きを規制する作用を持っている。」 イ 甲3記載技術 上記アを総合すると、甲3には次の技術(以下「甲3記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲3記載技術> 「座屈拘束ブレースにおいて、ブレース芯材の両側に形成の切欠部内に配されたスペーサは、枠板内にブレース芯材が収納されると、該枠板との間に空間が形成され、この空間を埋める働きをしていること。」 (3) 甲4 ア 甲4の記載事項 本件特許の出願前に発行された刊行物である甲4には、次の記載がある。 (ア) 段落【0001】~【0003】 「【0001】 この発明は、構造物の骨組みに組み込まれ、地震等の際に振動エネルギーを吸収して振動を減衰させる座屈拘束ブレースに関する。 ・・・(中略)・・・ 【0003】 前記一対の拘束材23,23は、図9に断面図で示すように、それぞれ前記芯材22との対向方向に開口した溝形鋼24と、この溝形鋼24内に充填されたコンクリート系材25とでなる。拘束材23の芯材22と対向する表面には、アンボンド材26が貼り付けられる。この例では、芯材22は、長手方向の中央部に他よりも幅の狭い絞り部22Aを有し、絞り部22Aの両側には、スペーサ27が配置されている。」 イ 甲4記載技術 上記アを総合すると、甲4には次の技術(以下「甲4記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲4記載技術> 「座屈拘束ブレースにおいて、芯材22は、長手方向の中央部に他よりも幅の狭い絞り部22Aを有し、絞り部22Aの両側には、スペーサ27が配置されていること。」 (4) 甲6 ア 甲6の記載事項 本件特許の出願前に発行された刊行物である甲6には、次の記載がある。 (ア) 段落【0001】 「【0001】 この発明は、構造物の骨組みに組み込まれ、地震等の際に振動エネルギーを吸収して振動を減衰させる座屈拘束ブレースに関し、特に木造構造物の骨組みに組み込んで使用するのに適した座屈拘束ブレースに関する。」 (イ) 段落【0012】 「【0012】 一対の拘束材3の互いの対向面には、芯材2の肉厚よりも若千肉厚の厚い突条10が、芯材2の介在空間11の幅方向両側に沿ってそれぞれ設けられている。そして、各突条10と、これに接する対向側拘束材3とが接着材12により接着固定されている。これにより、両拘束材3とその突条10とによって、芯材2が取り囲まれた状態となっている。拘束材3および突条10と芯材2との間には隙間が形成されている。両拘束材3の突条10は、ラミナ8,9と同じ木材とすることができる。この突条10の内側面には、芯材2の前記ずれ止め用突起6に対応する係合凹部10aが形成され、この係合凹部10aにずれ止め用突起6が係合することにより、拘束材3が芯材2の長手方向に位置ずれしないようになっている。」 (ウ) 【図1】 「 [図:0001411293000010.jpg] 」 イ 甲6記載技術 上記アを総合すると、甲6には次の技術(以下「甲6記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲6記載技術> 「座屈拘束ブレースにおいて、拘束材の互いの対向面に、芯材のずれ止め用突起に対応する係合凹部が形成され、この係合凹部にずれ止め用突起が係合することにより、拘束材が芯材の長手方向に位置ずれしないようになっていること。」 (5) 甲7 ア 甲7の記載事項 本件特許の出願前に発行された刊行物である甲7には、次の記載がある。 (ア) 段落【0001】 「【0001】 この発明は、構造物に組み込まれ、地震などの際に振動エネルギーを吸収して振動を減衰させる座屈拘束ブレースおよび座屈拘束ブレースの評価方法に関する。」 (イ) 段落【0022】 「【0022】 上記内挿板13は、鋼板からなり、上記板状部11aと各拘束材12との間に設けられている。そして、上記内挿板13は、上記拘束材12である上記角形鋼管の第1面部に接触している。また、上記内挿板13は、上記角形鋼管の第2面部の表面間の長さに一致する幅を有している。もちろん、このような幅に限らず、上記内挿板13は、上記角形鋼管の第2面部の表面間の長さ以下で上記曲面領域以外の上記第1面部の幅以上の幅を有していてもよい。ここで、BRを角形鋼管の幅、BPを内挿板13の幅、tRを角形銅管の板厚をとすると、上記内挿板13の幅BPは、BP-5tR≦BP≦BRと表すことができる(図6参照)。なお、角形鋼管の幅BRは、上記芯材11の弱軸方向に交差する面における短辺方向の長さであり、上記拘束材12となる角形鋼管においては上記第2面部の表面間の長さとなる。」 イ 甲7記載技術 上記アを総合すると、甲7には次の技術(以下「甲7記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲7記載技術> 「座屈拘束ブレースにおいて、鋼板からなる内挿板が板状部と各拘束材との間に設けられていること。」 (6) 甲10 ア 甲10の記載事項 本件特許の出願前に発行された刊行物である甲10には、次の記載がある。 (ア) 26頁1~27行 「3.1.FAILURE CAUSED BY HIGH MODE BUCKLING Figure 3.l below shows a BRB composed of a flat steel core plate and a rectangular steel tube inf1lled with mortar. The compressible debonding layer between the steel core and the restrainer provides a space for the flat steel core to form high mode buckling waves when the BRB is under compression. Figure 3.2(a) shows the typical BRB axial force and deformation relationships, Figures 3.2(b) and 3.2(c) show the transverse and longitudinal cross-sectional profile of the BRB, respectively. When the BRB is initially compressed (Figure 3.2(d)), the steel core flexural buckling waveforms within the space provided by the two debonding layers each has a thickness of srw or srs. After tension is applied and the BRB experienced the maximum tensile core strain(εt), because of the Poisson effect, the clearances between the core and restrainer increase to srs+0.5νpBcεt and srw+0.5νptcεt in the core plate's in-plane and out-of-plane directions as shown in Figure 3.2(e), the tern νp equals to O.5 and is the Poisson ratio when steel deforms inelastically, When the applied load is reversed, the number of buckling waves grow as the axial compression increases until it reaches the BRB's yield capacity(Ny). The in-plane(lp,s) and out-of-plane(lp,w)high mode buckling wavelengths form as the compression reaches Ny(Figure 3.2(f)) and the wavelengths would not significantly change as the compression continues increasing to the BRB's maximum axial force capacity(Ncu)(Figure 3.2(g)).The buckling wave crests squeeze the debonding layers and act outward forces on the restrainer. The maximum in-plane(Pd,s) and out-of-plane(Pd,w) outward forces are fully developed when BRB axial force reaches Ncu(Figure 3.2(g)).The in-plane or out-of-plane local bulging failure would occur if the steel tube strength is insufficient to sustain the in-plane or out-of-plane outward force(Figures 3.2(h)). Figures 3.3(a) and 3.3(b) show the in-plane and out-of-plane local bulging failure observed in component tests(Takeuchi et.al[3.1], Lin et.al[3.2]).」(3.1. 高次モード座屈による損傷下の図3.1は、平坦鋼製コアプレートと、モルタルで充填された長方形の鋼管とで構成されるBRBを示している。鋼コアと拘束帯の間にある圧縮性剥離層は、BRBが圧縮されているときに、平坦鋼コアが高次モードの座屈波を形成できる空間を提供する。図3.2(a)は、典型的なBRBの軸力と変形の関係を、図3.2(b)及び図3.2(c)は、それぞれBRBの横断面プロファイルと縦断面プロファイルを図示する。BRBが最初に圧縮されると(図3.2(d))、剥離層2つによりに画定された空間における鋼コアの曲げ座屈波形の厚さは、srw又はsrsとなる。張力が加えられ、BRBが最大引張コアひずみ(εt)となった後、ポアソン効果により、コアと拘束帯の間のクリアランスは、図3.2(e)に図示されているように、コアプレートの面内方向及び面外方向にてそれぞれsrs+0.5νpBcεt及びsrw+0.5νptcεtに増加する。一方、νP項は0.5となるが、これは鋼が非弾性的に変形するときのポアソン比に当たる。加えられた負荷が逆になると、軸方向の圧縮が増加するにつれて座屈波数が増加し、BRBの降伏荷重(Ny)に達する。圧縮がNyに達すると、面内(lp,s)。面外(lp,w)の高次モード座屈波形が形成され(図3.2(f))、圧縮がBRBの最大軸力荷重(Ncu)まで増加し続けても波長は大して変わらなくなる(図3.2(g))。座屈波の波頂では剥離層が圧迫され、拘束帯には外向力が作用する。面内(Pd,s)・面外(Pd,w)の最大外向力は、BRBの軸方向の力がNcuに達すると、完全に展開する(図3.2(g))。鋼管の強度が面内・面外の外向力を維持するには不十分である場合、面内・面外の局所膨れ損傷が生じてしまう(図3.2(h))。図3.3(a)及び図3.3(b)は、部材試験で観察された面内・面外の局所膨れ損傷を示す(竹内ら[3.1]、Lin他[3.2])。) (イ) 図3.1 「 [図:0001411293000011.jpg] 」(図3.1 BRBの縦方向・横方向の断面構成) (ウ) 図3.2(b) 「 [図:0001411293000012.jpg] 」((b)横断面) (エ) 28頁1~16行 「3.2 ESTIMAT10N ON OUTWARD FORCE(DEMAND) When the BRB is in tension, the steel core plate thickness (tc) becomes thinner because of the Poisson effect as shown in Figure 3.2(e). When the applied load is reversed, compression could develop and the steel core deformation remains in tensile strain(Point(f) in Figure 3.2(a)). Thus, for a conservative estimation, the maximum in-plane(Pd,s) and out-of-plane outward force(Pd,w) are estimated based on the geometric relationships of the in-plane(lp,s) and out-of-plane high buckling wavelengths(lp,w), and the maximum clearances between steel core and restrainer. Figures 3.4(a) and 3.4(b) show the free body diagrams of the steel core in-plane and out-of-plane high mode buckling waves within the range of two adjacent wave crests. Neglecting the steel core bending moments at the wave crests, the maximum in-plane (Pd,s) and out-of-plane outward forces(Pd,w) can be computed by applying the moment equilibrium condition on the free body as follows: [図:0001411293000013.jpg] 」(3.2.外向力の推定(需要) BRBに張力がかかると、図3.2(e)に示すように、ポアソン効果により鋼芯板の厚さ(tc)が薄くなる。加えられた荷重が逆になると、圧縮が生じ、鋼コアは引張ひずみの変形状態を維持する(図3.2(a)のf点)。従って、控えめな推定では、面内(Pd,s)・面外(Pd,w)の最大外向力は、面内(lp,s)と面外(lp,w)の高次座屈波長の幾何学的関係、並びに、鋼コアと拘束帯の間の最大クリアランスに基づいて推定される。図3.4(a)及び図3.4(b)は、2つの隣接する波頂の範囲内における鋼コアの面内・面外の高次モード座屈波の自由体図である。波頂での鋼コアの曲げモーメントを無視すると、面内(Pd,s)・面外(Pd,w)の最大外向力は、自由体にモーメント平衡条件を適用することで次のとおり計算できる。 [図:0001411293000014.jpg] ) (オ) 43頁下から6行~44頁8行 「3.6 REQUIRED MORTAR STRENGTH FOR LOCAL PRESSURE As mentioned in the previous sections, the outward force is assumed to act as a line load at the contact region between the steel core wave cres ts and mortar. However, the contact region becomes from a line to a surface as the applied compression continues increasing. When the in-filled mortar in the restrainer does not have enough strength, it could be crushed by the acting outward forces, As shown in Figure 3.17, if the contact surface is Bc long and lc wide, the criterion could be expressed as Equation (3.19) [図:0001411293000015.jpg] where, f'c is the allowable compressive strength of the in-filled mortar. Alhough the value of lc requires more researches, it can be estimated generally as lc≒tc. Using concrete or lower stiffness/strength materials for infill is not recommended for local crush are reported in the experiments using concrete infill instead of mortar.」(当審注:「≒」は、上下に~を重ねた「近似できる」ことを表す数学記号を表す。以下同様である。) (3.6.局所圧力に必要なモルタル強度 前章で述べたように、外向力は、鋼コアの波頂とモルタルとの接触領域で線負荷として作用すると想定されている。但し、加えられる圧縮が増加し続けると、接触領域は線から表面となる。拘束帯に充填されたモルタルに十分な強度を持たない場合、外向力により押しつぶされ得る。図3.17に示されているように、接触面の長さがBc、幅がlcの場合、基準は式(3.19)のように表すことができる。 [図:0001411293000016.jpg] f'cは、充填されたモルタルの許容圧縮強度である。lcの値には更なる研究が必要であるが、一般的にはlc≒tcと推定される。充填のためにコンクリートまたは低剛性/強度材料を使用することは、モルタルの代わりにコンクリート充填物を使用する実験において報告されている局所的破砕には推奨されない。) (カ) 図3.17 「 [図:0001411293000017.jpg] 」(図3.17 充填材における局所的な破砕の概略図) イ 甲10記載技術 上記アを総合すると、甲10には次の技術(以下「甲10記載技術」という。)が記載されているものと認められる。 <甲10記載技術> 「平坦鋼製コアプレートと、モルタルで充填された長方形の鋼管とで構成されるBRBにおいて、面内(Pd,s)・面外(Pd,w)の最大外向力は、式(3.1a)及び(3.1b)で表すことができ、接触面の長さがBc、幅がlcの場合、基準は式(3.19)のように表すことができること。 [図:0001411293000018.jpg] [図:0001411293000019.jpg] なお、νP項は、鋼が非弾性的に変形するときのポアソン比に当たり、f'cは、充填されたモルタルの許容圧縮強度である。」 2 検討・判断 (1) 甲2を主引用例とする新規性・進歩性について ア 本件特許発明1 (ア) 対比 本件特許発明1と甲2発明を対比する。 a 甲2発明の「核心材1において、接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6と、位置制限部材7からなるもの」は「プレート状」であり、また、「組み立て式鋼鉄・木材座屈拘束ブレース」を構成するものであって、「接続セグメント4と補剛リブ9とを溶接で溶接して一体に連結」するものであるから、鋼製であることは明らかである。 よって、甲2発明の「接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6」からなるものは、本件特許発明1の「鋼製でプレート状の芯材」に相当する。 b 「核心材」における「接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6と、位置制限部材7からなるもの」が、「上下方向の面は、両側にある側面よりも幅広の面であ」るから、甲2発明の「2つの核心材の上下の第1集成材11」は、本件特許発明1の「前記芯材の有する二つの広幅面に対向するように配設されている木製の面材である一対の拘束板」に相当し、甲2発明の「2つの核心材の両側の第1集成材10」は、本件特許発明1の「前記芯材の有する二つの狭幅面に対向するように配設され、前記一対の拘束板に接続されている木製の面材である一対の側板」に相当する。 そして、甲2発明の「周辺拘束2」は、それを構成する「2つの核心材の上下の第1集成材11」及び「2つの核心材の両側の第1集成材10」が木材であり、「核心材の上下の第1集成材11と核心材の両側の第1集成材10との間は接着剤を介して加圧されて硬化され」たものであるから、本件特許発明1の「四つの面材による閉合構造を有する木製拘束材」に相当する。 c 甲2発明の「補剛リブ9」は、「補剛板9は接続セグメント4および遷移セグメント5の中央に上下両方向に縦方向に沿って垂直に取り付けられ、接続セグメント4と補剛リブ9とを溶接で溶接して一体に連結」するものであるから、本件特許発明1の「補強リブ」であって、「前記芯材の長手方向の端部の前記広幅面には、該広幅面に直交する補強リブが接合されて断面十字状を呈して」いるものに相当する。 d 甲2発明は「周辺拘束2において、核心材の上下の第1集成材11及び核心材の両側の第1集成材10には、遷移セグメント5の周辺部に空気層が形成される溝が開設され」るから、「接続セグメント4および遷移セグメント5の中央に上下両方向に縦方向に沿って垂直に取り付けられ」る「補剛板9」に対応する位置にも、「空気層が形成される溝が開設され」るから、本件特許発明1の「前記木製拘束材のうち、前記補強リブに対応する位置には該補強リブに干渉しないスリットが設けられて」いることに相当する。 e 甲2発明の「核心材1において、接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6と、位置制限部材7からなるもの」が「上下方向の面において、接続セグメント4と遷移セグメント5は、中心作業セグメント6よりも幅広である」。 よって、甲2発明の「中心作業セグメント6」は、本件特許発明1の「その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部」に相当し、甲2発明の「接続セグメント4」及び「遷移セグメント5」は、本件特許発明1の「その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部」に相当するとともに、甲2発明の「円弧状の遷移セグメント5は幅が徐々に変化し、接続セグメント4は幅が略一定であ」ることは、本件特許発明1の「該広幅部は、該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え」ることに相当する。 そして、甲2発明の「接続セグメント4と、遷移セグメント5と、中心作業セグメント6」からなるものは、本件特許発明1の「その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有して」いる「前記芯材」に相当する。 f 甲2発明の「核心材の両側の第1集成材10」に「遷移セグメント5の周辺部に空気層が形成される溝が開設され」ること、及び、「遷移セグメント5」が「中心作業セグメント6よりも幅広である」ことからみて、本件特許発明1の「前記芯材の前記広幅部の側面と前記側板の間に第一隙間を有していること」と、甲2発明の「核心材の両側の第1集成材10」に「遷移セグメント5の周辺部に空気層が形成される溝が開設され」ることは、「前記芯材の前記広幅部の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」点で一致する。 g 甲2発明の「組み立て式鋼鉄・木材座屈拘束ブレース」は、本件特許発明1の「座屈拘束ブレース」に相当する。 前記a~gを総合すると、本件特許発明1と甲2発明とは次の一致点で一致し、相違点で相違する。 <一致点> 「鋼製でプレート状の芯材と、 前記芯材の有する二つの広幅面に対向するように配設されている木製の面材である一対の拘束板と、前記芯材の有する二つの狭幅面に対向するように配設され、 前記一対の拘束板に接続されている木製の面材である一対の側板と、により形成される、四つの面材による閉合構造を有する木製拘束材と、を備え、 前記芯材の長手方向の端部の前記広幅面には、該広幅面に直交する補強リブが接合されて断面十字状を呈しており、 前記木製拘束材のうち、前記補強リブに対応する位置には該補強リブに干渉しないスリットが設けられており、 前記芯材は、その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有し、該広幅部は、該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え、 前記芯材の前記広幅部の側面と前記側板の間に第一隙間を有している、 座屈拘束ブレース。」 <相違点> 本件特許発明1は、「前記木製拘束材は、該芯材における両端部側の該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの包囲を包囲し」、「第一隙間」が「前記芯材の前記広幅部における前記広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の側面と前記側板の間に」あるのに対し、甲2発明は、「核心材の両側の第1集成材10」に「遷移セグメント5の周辺部に空気層が形成される溝が開設され」、「遷移セグメント5」が「中心作業セグメント6よりも幅広である」であるものの、「周辺拘束2」が「接続セグメント4」の一部を覆うことについて特定されていない点。 (イ) 新規性について したがって、相違点は実質的なものであるから、本件特許発明1は、甲2発明でない。 (ウ) 進歩性について 相違点について検討する。 a 甲10は、「平坦鋼製コアプレートと、モルタルで充填された長方形の鋼管とで構成」されたものであり、「平坦鋼製コアプレート」と、「モルタルで充填された長方形の鋼管」の間に「剥離層」はあるが空気層か不明である。 そうすると、甲3、4、6、7及び10には、「座屈拘束ブレース」において、「芯材」の「広幅部」が「該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え」るものにおいて、「前記木製拘束材は、該芯材における両端部側の該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの範囲を包囲」するものが記載されておらず、示唆されているともいえない。 また、本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0048】に「座屈拘束ブレース100において、芯材10の広幅部12の側面と木製拘束材20の側板22の間には幅t1の隙間G1が設けられている。さらに、補強リブ14と木製拘束材20の拘束板21の有するスリット24の間には、補強リブ14の長手方向に幅t2であり、補強リブ14の側方に幅t1の隙間G2が設けられている。このように、広幅部12の側面と木製拘束材20の側板22の間に隙間G1を有していることにより、座屈拘束ブレース10が取り付けられている構面が大きく変形した場合に、この隙間G1にて芯材10の変形を吸収し、所謂付加曲げモーメントが木製拘束材20に作用することを解消できる。一方、スリット24と補強リブ14との間に隙間G2が存在することにより、構面の変形に応じて芯材10が伸縮した際に、この芯材10の伸縮を隙間G2が吸収することができ、伸縮する芯材10がスリット14の壁面に接触して木製拘束材20が破損に至るといった課題を解消できる。」と記載されていることからみて、当該課題の解決を行うことについて、各甲号証に記載も示唆もされていない以上、甲2発明において「周辺拘束2」が「接続セグメント4」の一部を覆うように設計する動機があるとはいえない。 また、その余の甲号証についても同様である。 b よって、本件特許発明1は、甲2発明及び甲1、甲3~13に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 イ 本件特許発明2~9 本件特許発明2~9のそれぞれは、本件特許発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、前記アにおいて判断したとおりであるから、本件特許発明2~9のそれぞれは、甲2発明でなく、甲2発明及び甲1、甲3~13に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (2) 甲1を主引用例とする新規性・進歩性について 甲1には、甲2発明と同じ構成を有する発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 したがって、前記(1)で検討したのと同様に、本件特許発明1~9のそれぞれは、甲1発明でなく、甲1発明及び甲2~13に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 第6 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由(36条6項2号違反(明確性))について 1 申立人の主張 申立人は、請求項2に記載された「付加曲げモーメント防止用の隙間である」について、「隙間」がどのような構成であるのか明確ではないと主張している。(申立書27頁全行) 2 判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の本件出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断するのが相当である。 3 当審合議体の判断 前記2の観点から、本件特許発明が明確であるか否かについて検討する。 本件訂正により、本件特許発明2は、本件特許発明1の「前記芯材は、その長手方向の中央側において前記広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有し、該広幅部は、該狭幅部から該広幅面の幅が徐々に大きくなる領域と、該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域を備え、前記木製拘束材は、該芯材における両端部側の該広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の全長さ区間のうちの途中長さ区間までの範囲を包囲しており、前記芯材の前記広幅部における前記広幅面の幅が一定で一定長さを有する領域の側面と前記側板の間に第一隙間を有している」構成を含むものに訂正された。 請求項2に記載された特定事項の「第一隙間は、前記芯材が変形して前記側板に接触した際に該側板に付加曲げモーメントが作用することを防止するための、付加曲げモーメント防止用の隙間」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0048】からみて、前記構成により当該「側板に付加曲げモーメントが作用することを防止する」機能を有することを、当業者であれば理解することができ、当業者の本件出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 よって、申立人が主張する36条6項2号違反に係る取消理由は、採用すべき理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700525

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  • 2020-700594異議申立 / 2021-12-02 / 訂正認容木質構造部材
    共通の審決分類: 113・E04B、121・E04B、537・E04B
  • 2021-700219異議申立 / 2021-11-12 / 訂正認容上下開閉機構付き多機能ダブルスキンシステムの運転方法
    共通の審決分類: 113・E04B、121・E04B、537・E04B
  • 2020-700779異議申立 / 2021-06-18 / 訂正認容木質構造部材
    共通の審決分類: 113・E04B、121・E04B、537・E04B

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