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特許異議申立

2023-700452

プロペラファン、扇風機、およびサーキュレータ

審判番号
2023-700452
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-043606
登録番号
7165433
請求日
2023年05月01日
審決日
2024年01月29日
公報発行日
2024年05月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】シロカ株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
  • 【異議申立人】永 滋康
審判長/審判官
  • 審判長 窪田 治彦
  • 審判官 関口 哲生
  • 審判官 西 秀隆
分類
P1652.111-YAA(F04D) / P1652.112-YAA(F04D) / P1652.113-YAA(F04D) / P1652.121-YAA(F04D) / P1652.537-YAA(F04D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項第1号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7165433号発明「プロペラファン、扇風機、およびサーキュレータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7165433号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。 特許第7165433号の請求項1~5、7、8に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続等の経緯 特許第7165433号の請求項1~8に係る特許(以下、それぞれ「本件特許1」~「本件特許8」といい、総称して「本件特許」という。)についての出願は、令和3年3月17日の出願であって、令和4年10月26日に特許権の設定の登録がされたものである。 本件特許について、令和4年11月4日に特許掲載公報が発行されたところ、発行の日から6月以内である令和5年5月1日に、本件特許1~5、7、8に対し、特許異議申立人 永滋康(以下「異議申立人」という。)から、特許異議の申立てがされた。 本件特許異議の申立ての、その後の手続等の概要は以下のとおりである。 令和5年 8月30日付け:取消理由通知書 同年11月 6日 :意見書(特許権者)及び訂正請求書の提出 以下、令和5年11月6日付け訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、異議申立人に対し特許法120条の5第5項の規定に基づく書面を送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、異議申立人から応答はなかった。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は、「特許第7165433号の明細書及び特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める。」というものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「 回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するハブ部と、 前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、 を備え、 前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きい、 ことを特徴とするプロペラファン。」とあるのを、 「 回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するハブ部と、 前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、 を備え、 前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きく、 前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する、 ことを特徴とするプロペラファン。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5、7、8も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項7に 「請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロペラファンを備える扇風機。」とあるのを、 「請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロペラファンを備える扇風機。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8に 「請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロペラファンを備えるサーキュレータ。」とあるのを、 「請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロペラファンを備えるサーキュレータ。」に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落0006に 「上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのプロペラファンは、回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、前記回転軸を中心に回転するハブ部と、前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、を備え、前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きい、ことを特徴とする。」とあるのを、 「上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのプロペラファンは、回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、前記回転軸を中心に回転するハブ部と、前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、を備え、前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きく、前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する、ことを特徴とする。」に訂正する。 2 本件訂正の適否について (1)訂正事項1による訂正について ア 訂正の目的 訂正事項1は、プロペラファンの複数の羽根に関し、「前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する」ものに限定するものである。すなわち、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1により、プロペラファンの複数の羽根に関し、「前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する」ものに限定された。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項1は、訂正前の請求項6に記載された事項である。 そうすると、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、それぞれ「本件特許明細書」などといい、総称して「本件特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 エ 独立特許要件について 本件においては、本件訂正前の請求項1~5、7、8について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項1に係る発明に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 また、請求項1の記載を引用する請求項2~5、7、8についても同様である。 (2)訂正事項2による訂正について 訂正事項2は、訂正前の請求項6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2は、請求項を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、新規事項を追加するものではないことは、明らかである。 さらに、訂正事項2は、請求項6の削除であるから、本件訂正後の請求項6に係る発明に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項3による訂正について 訂正事項3は、訂正前の請求項7が請求項1乃至6のいずれか1項を引用するものであったところ、訂正事項2により削除された請求項6との引用関係を解消するための訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3は引用関係の一部を削除するものであるから、特許請求の範囲を拡張・変更するものでなく、また、新規事項を追加するものではないことは、明らかである。 さらに、本件においては、本件訂正前の請求項1~5、7、8について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項7に係る発明に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 (4)訂正事項4による訂正について 訂正事項4は、訂正前の請求項8が請求項1乃至6のいずれか1項を引用するものであったところ、訂正事項2により削除された請求項6との引用関係を解消するための訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4は引用関係の一部を削除するものであるから、特許請求の範囲を拡張・変更するものでなく、また、新規事項を追加するものではないことは、明らかである。 さらに、本件においては、本件訂正前の請求項1~5、7、8について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項8に係る発明に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 (5)訂正事項5による訂正について ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正事項1に係る訂正に伴って、本件特許明細書等の段落0006の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるものであるから、訂正事項5は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5は、訂正後の請求項1の記載に整合させるものであって、訂正事項1に係る訂正と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項5は、本件特許明細書等の段落0006の記載を、訂正後の請求項1の記載にそろえるものであり、上記(1)で検討したとおり、訂正後の請求項1の記載は、新規事項を追加するものでなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、訂正事項5も、新規事項を追加するものでなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項5は明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるから、独立特許要件は課されない。 (6)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2~8は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係であるから、請求項1~8は、一群の請求項である。そして、本件訂正は、請求項1~8について訂正することを求めるものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する一群の請求項ごとに訂正の請求をするものである。 (7)以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正後の請求項1~8に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」、「本件発明2」などといい、また、本件発明1~8を総称して「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するハブ部と、 前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、 を備え、 前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きく、 前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する、 ことを特徴とするプロペラファン。 【請求項2】 前記第1部分における前記湾曲角度は、5~15度の範囲内であり、 前記第2部分における前記湾曲角度は、15~35度の範囲内である、 ことを特徴とする請求項1に記載のプロペラファン。 【請求項3】 前記第2部分における前記後部の厚さは、前記第1部分における前記後部の厚さより厚い、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロペラファン。 【請求項4】 前記第1部分および前記第2部分の各々において、前記回転方向における前記前部は、前記回転軸と垂直な面に対して傾いており、 前記面に対する前記前部の傾き角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が小さい、 ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロペラファン。 【請求項5】 前記第1部分における前記傾き角度は、15~25度の範囲内であり、 前記第2部分における前記傾き角度は、3~20度の範囲内である、 ことを特徴とする請求項4に記載のプロペラファン。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロペラファンを備える扇風機。 【請求項8】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロペラファンを備えるサーキュレータ。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 本件訂正前の請求項1~5、7、8に係る特許に対して、当審が令和5年8月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 1.理由1(新規性) 本件発明1、2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許1、2は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2.理由2(進歩性) 本件発明1~5、7、8は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1~5、7、8は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.理由3(新規性・進歩性) 本件発明1、2、4、5、8は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、公然知られた発明又は公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第1号又は同法同条同項第2号に該当するから、本件特許1、2、4、5、8は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 また、本件発明1~5、7、8は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、公然知られた発明又は公然実施をされた発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1~5、7、8は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 4.理由4(サポート要件) 本件特許1~5、7、8は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 請求項1には、プロペラファンの羽根に「第3面12c」を設けることについて何ら特定されていない。そして、プロペラファンにおいて、羽根の構造が変わったら、特性も変わることは技術常識であるところ、第3面のないものにおいて、「従来のプロペラファン20と比較して、回転数に対し消費電力を低減(高効率)及び風量に対し騒音を低減(静音)することができる。」(本件特許明細書の段落0025)といった効果があるとはいえない。 すると、請求項1の記載は、「扇風機やサーキュレータなどの機器に用いられるプロペラファンでは、当該機器の消費電力および/または騒音が低減するように効率よく送風することが求められている。そこで、本発明は、効率よく送風することが可能なプロペラファンを提供することを目的とする。」(本件特許明細書の段落0004~0005)といった課題を解決できない発明を含めて、特許を請求するものとなっているから、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるものではない。 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。また、本件発明1を引用する本件発明2~5、7、8についても同様である。 <甲号証一覧> ・甲第1号証 :特開2001-99093号公報 ・甲第2号証 :米国特許第5957661号明細書 ・甲第3号証 :特開平9-151899号公報 ・甲第4号証 :特開平11-93897号公報 ・甲第5号証 :特開2004-332674号公報 ・甲第6号証 :特公平2-2000号公報 ・甲第7号証 :特開昭57-83696号公報 ・甲第8号証 :特開昭60-90999号公報 ・甲第9号証 :特開平8-334100号公報 ・甲第10号証:特開平8-319994号公報 ・甲第11号証:特開2002-21798号公報 ・甲第12号証 「群馬県立産業技術センター技術レポート」、作成日:令和5年4月24日、作成者:群馬県立産業技術センター ・甲第13号証 申立人製品「HC-T1907」の解析結果の報告書、作成日:令和5年4月21日、作成者:特許異議申立人 ・甲第14号証 申立人製品「HC-T1907」の写真帳、作成日:令和5年4月3日、作成者:特許異議申立人 ・甲第15号証 申立人製品「HC-T1907」の取扱説明書、印刷日:令和5年3月23日、作成者:スリーアップ株式会社 ・甲第16号証 ウェブ販売サイトAmazon.co.jpの商品名「スリーアップ イオニシモ搭載 衣類乾燥機能付 サーキュレーター 「ヒート&クール」ホワイト HC-T1907WH」を販売するためのウェブページ、印刷日:令和5年4月21日、インターネット<URL: https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%83%A2%E6%90%AD%E8%BC%89-%E8%A1%A3%E9%A1%9E%E4%B9%BE%E7%87%A5%E6%A9%9F%E8%83%BD%E4%BB%98-%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC-HC-T1907WH/dp/B07R6LYSSL> (以下、各甲号証を証拠番号に従って、「甲1」などという。) 第5 甲各号証 1 甲各号証の記載 (1)甲1について ア 甲1には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、送風装置およびそれを用いた冷蔵庫に関するものであり、特に、冷蔵庫内の冷気循環に用いられる送風装置に関するものである。」 (イ)「【0002】 【従来の技術】プロペラファンは製造が容易で、かつ小型でも風量が多く、さらに安価に製作可能という理由で幅広い用途で使用されている。しかし、そのほとんどは圧力負荷が比較的低い条件での使用である。そこで、プロペラファンを圧力負荷の比較的高い条件で使用可能とするために高静圧化することが行われている。ここで、静圧とは、流体の全圧(総圧)から運動エネルギーである動圧を差し引いたものであり、高静圧化とは、当該静圧を高めることをいう。プロペラファンを高静圧化することができれば、さらに用途を広げることができる。」 (ウ)「【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術のプロペラファンは、低圧力損失の動作点における特性を改善するために検討された形状の内で、高圧力損失の動作点における特性が比較的優れたものが選定され、使用されていた。そのため、上記プロペラファンは、比較的高圧力損失の動作点において、高い静圧を得られず、風量を増加することができなくなるという問題点があった。このことは、冷却能力を低下させ、冷却サイクル負荷の低減による省エネルギー性を高めることを困難にする原因となるものである。 【0005】また、回転円筒の側面に複数の翼を有し、遠心力を利用して送風するタイプのシロッコファンを径方向への送風の容易化のために用いることが考えられるが、冷蔵庫に当該シロッコファンを用いると、着霜時に翼間が詰まってしまい、使用に耐えないという問題点もある。さらに、上記従来技術のプロペラファンを用いると送風装置の振動が要因で、騒音が大きくなるという問題点もあった。 【0006】本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プロペラファンを用いて高静圧、低振動の送風装置、および、冷却能力が高く、省エネルギー性の高い冷蔵庫を得ることを目的とする。」 (エ)「【0009】つぎの発明にかかる送風装置は、上記送風装置において、チップ部における反り角をボス部における反り角よりも15deg以上大きくしたものである。この反り角の値は、実験的に求めたもので、これを具現化した送風装置は、最適な静圧化を図ることができる。」 (オ)「【0020】実施の形態1.図1は、実施の形態1にかかる送風装置の略断面図である。図において、1は羽根車であるプロペラファン、2は羽根車を駆動するモータ、3はファンリング、4は吹き出し前壁である。また、図2は、送風装置に配備されるプロペラファンを回転軸と直行する平面に投影したときのプロペラファン吸い込み側から見た投影図である。ここでは、例として3枚翼形状のものを示すが、翼の枚数は特に限定されない。また、その動作については、主に1枚の翼について説明するが、他の翼についても同様である。図において、5は3次元形状を有する翼、6は翼を取付けるボス部、7は翼外周端となるチップ部、8は吸い込み側でボス部とチップ部をつなぐ翼前縁、9は吹き出し側でボス部とチップ部をつなぐ翼後縁、10は回転方向である。吹き出し前壁4は、プロペラファン1近傍で、プロペラファン1からの吹き出し流れが当たる距離に位置し、その流れ方向を径方向に変えている。」 (カ)「【0022】図3は、上記翼5をプロペラファンと同軸な円筒で切断し、そのときにできる3次元の断面をボス部の中心と翼弦中心とを結ぶ直線に垂直な2次元平面に展開して得られる展開図である。また、図4は、上記展開の様子を模式的に示した図である。ここで、上記円筒は、図4に示すように、プロペラファンの中心と同心で、プロペラファンと交わる任意の半径Rを有し、その中心軸は、当該ファンの回転軸と平行なものである。 【0023】図3に戻って、図中11は圧力面、12は負圧面である。また、θcは翼前縁8および翼後縁9における翼の反り曲線の接線に対して垂直な直線が交わりなす角で定義される反り角である。本実施の形態1ではチップ部における反り角θctをボス部における反り角θcbよりも大きくするものである。」 (キ)「【0025】つぎに、プロペラファンを通過する空気流路と静圧上昇との関係について説明する。図5は、プロペラファン1を通過する空気の流れのイメージを示したものである。図において14a、14bは翼を通過する空気の流れを絶対場から見たイメージである。14aはボス部6側から流入する空気の流れであり、14bはチップ部7側から流入する空気の流れである。本発明の送風装置は、高圧力負荷の下で使用され、またプロペラファン1の吹き出し近傍に吹き出し前壁4が存在する環境で使用されるものである。このことにより、当該送風装置に流入する空気の内、ボス部6側から流入した流れ14aは、全体的に径方向へと流れる。」 (ク)「【0026】本実施の形態1にかかる送風装置のプロペラファン1は、前述のようにチップ部7における反り角θctをボス部6における反り角θcbよりも大きくしているので、チップ部7側から流入する流れ14bの向きを変えることにより回転する翼5から見た相対速度を減少させ、静圧上昇を高めることができる。」 (ケ)「【0029】なお、上記送風装置の翼の全体形状は、翼前縁8と翼後縁9の接線方向で決定される反り角によっておよそ特定されるものだが、翼前縁8と翼後縁9の形状、すなわち、接線方向を少しでも異なるものとすれば、翼全体の形状はそのままであるにも拘わらず、反り角の値が変化してしまい、反り角を助変数として翼の全体形状を特定しようとする意義が没却される可能性がある。本発明の実施の形態1では、チップ部側から流入する流れ14bを大きく転向させること等に意義を有するので、上記実施の形態1にかかる送風装置の翼形状と全く同一でなくとも、当該翼形状を包含する形状を有する翼を構成要件とする送風装置によっても高い静圧が得られると考えられる。 【0030】ここで、本実施の形態1にかかる送風装置の翼形状の効果を実験的に調べたところ、ボス部6における反り角θcbとチップ部7における反り角θctとの差を15deg以上とするときに高い静圧が得られるという効果があることが認められた。」 (コ)「【0045】 【実施例】つぎに、本発明を実施した送風装置の試験結果について述べる。まず、試験を行った送風装置に搭載されたプロペラファン1の形状について説明する。以下、プロペラファン1のボス部6の半径をRbとし、ボス部6の中心からチップ部7までの半径をRtとする。また、翼の反り角θcに関しては、ボス部6での反り角をθcbとし、チップ部7での反り角をθctとして、半径Rにおける反り角θcを、 θc=θcb+(R-Rb)×(θct-θcb)/(Rt-Rb) で与え、θcb=10゜、θct=36゜とした。」) (サ)「【図1】 [図:0001410203000001.jpg] 【図2】 [図:0001410203000002.jpg] 【図3】 [図:0001410203000003.jpg] 【図4】 [図:0001410203000004.jpg] 【図5】 [図:0001410203000005.jpg] 」 (シ)図5の記載から、プロペラファンが、回転軸に平行な、後方から前方の方向に送風することは、明らかである。 (ス)上記(ク)及び図2、4の記載から、複数の翼5の各々は、ボス部6の外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より回転軸から遠い第2部分とを含むことは、明らかである。 (セ)上記(ク)~(コ)の記載から、反り角θcは、式θc=θcb+(R-Rb)×(θct-θcb)/(Rt-Rb)で表され、ボス部6における部分での反り角は、θcb=10°であり、また、ボス部6から最も離れたチップ部7における部分での反り角は、θct=36°であり、反り角θcは、第1部分より第2部分の方が大きいことは明らかである。 また、上記(コ)の記載から、ボス部6における部分の反り角が、θcb=10°のとき、ボス部6とチップ部7との中間位置の部分における反り角は、上記式によれば、θc=10°+1/2×(36°-10°)=23°であるところ、ボス部6とチップ部7との中間位置の部分が、第1部分より回転軸から遠い第2部分に含まれることは明らかである。 イ 甲1に記載された発明 上記(ア)~(セ)の記載を総合して、本件発明の表現に倣って整理すると甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な後方から前方の方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するボス部6と、 前記ボス部6の外周面に設けられた複数の翼5と、 を備え、 前記複数の翼5の各々は、前記ボス部6の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における翼前縁8に対して翼後縁9が前記後方から前方の方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記翼前縁8に対する前記翼後縁9の反り角θcは、前記第1部分より前記第2部分の方が大きい、 プロペラファン。」 (2)甲2について ア 甲2には、図面とともに次の事項が記載されている。 なお、括弧()内の翻訳文は、異議申立人によるものである。 (ア)「A high efficiency axial flow fan includes a hub, fan blades and a circular band. The hub rotates about a rotational axis when torque is applied from a shaft rotatably driven by a power source. The circular band is concentric with the hub, connected to the tip of each blade, and is spaced radially outward from the hub. The blades are configured to produce an airflow when rotated about the rotational axis. Each blade has a chord length distribution, stagger angle and dihedral distribution which varies along the length of the blade. The dihedral distance of each blade varies as a function of blade radius from the rotational axis.」(要約) (高効率軸流ファンは、ハブ、ファンブレード、および円形バンドを含む。ハブは、動力源によって回転駆動されるシャフトからトルクが加えられると、回転軸を中心に回転する。円形バンドは、ハブと同心で、各ブレードの先端に接続され、ハブから半径方向外側に間隔をあけて配置される。ブレードは、回転軸を中心に回転させたときに空気流を発生させるように構成される。各ブレードは、ブレードの長さに沿って変化するコード長分布、スタッガー角及びディヘドラル分布を有する。各ブレードの二面体距離は、回転軸からのブレード半径の関数として変化する。) (イ)「As is shown in FIGS. 3 and 4, C, the chord length, is the straight-line distance between the beginning and end of a circular arc camber line, and is measured at R, the radial distance from the axis of rotation. ξ is the stagger angle of a blade section, that is, the angle in degrees between the axis of rotation and the chord line. The blade is identified as having a leading edge and a trailing edge. The leading edge is the upstream edge of the blade and the trailing edge is the downstream edge of the blade. Θ is the camber angle, that is, the angle in degrees between a tangent to the camber line at the leading edge and a tangent to the camber line at the trailing edge of a blade section at the radial distance R.」(2欄36~47行) (図3および図4において、コード長さCは、円弧キャンバーラインの始点と終点との間の直線距離であり、回転軸からの半径方向距離Rで測定される。ξはブレードセクションの食い違い角度、つまり、回転軸と翼弦線の間の角度(度単位)です。ブレードは、前縁と後縁を有するものとして識別されます。前縁はブレードの上流端であり、後縁はブレードの下流端です。θはキャンバー角、つまり、半径方向距離Rにおけるブレードセクションの前縁でのキャンバーラインヘの接線と後縁でのキャンバーラインヘの接線との間の度単位の角度です。) (ウ)「An embodiment of a fan 100 in accordance with the present invention is shown in FIGS. 1 through 4. Referring to FIGS. 1 and 2, fan 100 is mounted in duct 130 which is attached, and preferably sealed, to heat exchanger 140. Fan 100 includes a circular hub 102, having an upstream surface 104, nine fan blades 106 and a circular band 108. Fan blades 106 each has blade root 111 connected to hub 102 and blade tip 113 connected to band 108. Hub 102 is concentric to a rotational axis 110 and has a radius 112 extending radially from rotational axis 110. Fan blades 106 are distributed circumferentially around hub 102, and are evenly spaced. In some embodiments according to the invention, the blades are spaced unevenly in order to obtain desired efficiencies and to decrease acoustical noise. Blades 106 extend radially from hub 102 to band 108, with the distance between the two ends of blades 106 referred to as blade length. The distance between rotational axis 110 and locations along blades 106 is referred to as blade section radius R.A sis shown in FIG. 1, blade section radii R are measured at various distances from axis 110, for example, at arcs B-B, C-C and D-D. Each blade 106 has leading edge 114, trailing edge 116, and a shape configured to produce an airflow when fan 100 is rotated about rotational axis 110.」(4欄13~35行) (本発明による送風機100の一実施形態が、図1および図2に示されている。図1~図4を参照する。図1および2に示されるように、ファン100、熱交換器140に取り付けられ、好ましくはシールされたダクト130に取り付けられる。ファン100、上流面104を有する円形ハブ102と、9枚のファンブレード106と、円形バンド108とを含む。ファンブレード106はそれぞれ、ハブ102に接続されたブレード根元111と、バンド108に接続されたブレード先端113とを有する。ハブ102は、回転軸110と同心であり、回転軸110から半径方向に延びる半径 112を有する。ファンブレード106は、ハブ102の周りに円周方向に分配され、等間隔に配置される。本発明によるいくつかの実施形態では、ブレードは、所望の効率を得て音響ノイズを減少させるために、不均等に離間される。ブレード106は、ハブ102からバンド108まで半径方向に延び、ブレード106の2つの端の間の距離はブレード長と呼ばれる。回転軸110とブレード106に沿った位置との間の距離は、ブレードセクション半径Rと呼ばれる。図1に示されるように、ブレード断面半径Rは、軸110からの様々な距離、例えば円弧B-B、C-CおよびD-Dで測定される。各ブレード106は、前縁114、後縁116、およびファン100が回転軸110を中心に回転するときに空気流を生成するように構成された形状を有する。) (エ)「Table I below shows ranges of parameters for fan blades of first embodiments of the invention. Table II shows specific values which fall within the ranges of Table I, for a fan of one embodiment of the present invention.」(5欄33~36行) (以下の表Iは、本発明の第1の実施形態のファンブレードのパラメータの範囲を示す。表IIは、本発明の一実施形態のファンについて、 表Iの範囲に入る具体的な値を示す。) (オ)「It is known that any fan design can be scaled in size. It can be appreciated that certain parameters of TABLE II can be non-dimensionalized by the span dimension, the distance from the blade tip 113 to the blade root 111. In the fan embodiment defined in TABLE II, the span is 64 mm. TABLE II(i) below shows the non-dimensionalized parameters of % span, chord (C/span), dihedral (h/span) of the fan embodiment of TABLE II.」(6欄下から8行~下から1行) (どのようなファン設計もサイズを拡大縮小できることが知られている。TABLE II の特定のパラメータは、スパン寸法、ブレード先端113からブレード根元111までの距離によって非次元化できることを理解できる。TABLE IIで定義されるファンの実施形態では、スパンは64mmである。以下のTABLE II(i)は、TABLE IIのファンの実施形態の%スパン、コード(C/span)、ダイヘドラル(h/span) の非次元化パラメータを示す。) (カ)「 [図:0001410203000006.jpg] 」 (キ)「【図1】 [図:0001410203000007.jpg] 【図2】 [図:0001410203000008.jpg] 【図3】 [図:0001410203000009.jpg] 【図4】 [図:0001410203000010.jpg] 」 (ク)図2の記載から、風が吹き出される側を前方とすると、ファン100が、回転軸110に平行な、後方から前方の方向に送風することは、明らかである。 (ケ)上記(ウ)及び図1、2の記載から、複数のファンブレード106の各々は、ハブ102の外周面に接合されたブレード根元111と、前記ブレード根元111より回転軸から遠い部分とを含むことは、明らかである。 (コ)上記(カ)の記載から、キャンバー角θに関し、ブレード根元111(R=66.5mm)でのキャンバー角θは15.00度であり、また、前記ブレード根元111より回転軸から遠い部分である、R=91.0mm、R=104.0mm、R=117.0mmでは、キャンバー角θは、それぞれ、21.27度、18.50度、16.00度であり、キャンバー角θについて、ブレード根元111よりも、ブレード根元111より回転軸から遠い部分の方が大きいことは明らかである。 イ 甲2に記載された発明 上記(ア)~(コ)の記載を総合して、本件発明の表現に倣って整理すると甲2には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲2発明) 「回転軸110を中心に回転し、前記回転軸110に平行な後方から前方の方向に送風するファン100であって、 前記回転軸110を中心に回転するハブ102と、 前記ハブ102の外周面に設けられた複数のファンブレード106と、 を備え、 前記複数のファンブレード106の各々は、前記ハブ102の前記外周面に接合されたブレード根元111と、前記ブレード根元111より前記回転軸110から遠い部分とを含み、 前記ブレード根元111および前記回転軸110から遠い部分の各々は、回転方向における前縁114に対して後縁116が前記後方から前方の方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前縁114に対する前記後縁116のキャンバー角θは、前記ブレード根元111より前記回転軸110から遠い部分の方が大きい、 ファン100。」 (3)甲3について ア 甲3には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解決するもので、その要旨とする手段は、モータで駆動され、同モータ側又はファン側に軸防振機構を有する軸流ファンにおいて、上記ファンのファンブレードは、その外周側を中心側よりも厚肉に形成したことを特徴とする軸流ファンにある。また、上記軸流ファンが、これのファンブレードを樹脂材の一体成形品としたプロペラファンに構成されたことも本発明の具体的手段の1つである。 【0012】然るに、通常、回転体の回転慣性力は質量の回転半径の2乗に比例することから、上記のような軸流ファンにおいて、同一の材料・重量の場合、重量部分を外周側に集中する程、回転慣性力、つまり前記回転慣性モーメントを大きくすることができる。 【0013】本発明においては、ファンブレードの外周側を中心側よりも厚肉としたので、回転半径の大きい外周側に重量が集中することとなり、ファンブレード全体 としての重量の大幅増加を伴うことなく回転慣性モーメントが増大する。また、ファンブレードの外周側は翼プロフィルの弦長が長いので、翼のプロフィルを殆ど変えることなく、上記のような回転慣性モーメント(回転慣性力)の増加を得ることができる。」 (イ)「【図2】 [図:0001410203000011.jpg] 」 (4)甲4について ア 甲4には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記構成による羽根板56では、図4において羽根上の任意の点Pにおける回転により掬い上げられた空気は、円周方向Q方向へは流れず、遠心力により外方R方向に流れる。従ってその空気はケーシング52側において圧縮され、羽根により押し上げられる。このため中央部側は空気圧が減少し、送風能率が減少すると共に騒音発生の原因となる等の問題がある。本発明はかゝる点に鑑み、騒音の発生を防止し、低騒音でかつ送風能率の向上を計ることを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための第1の発明に係わる送風機用羽根は、回転主軸を中心として複数の羽根板を備え、それぞれの羽根板は、断面形状を流線形とすると共に、先端に至るに従い順次厚肉としたことを特徴とする。 【0005】上記の構成からなる本発明の羽根板は、断面形状を流線形とすると共に、先端に至るに従い順次肉厚を増すことにより、発生する風は遠心力による影響を受けても、外方へ移行することなく円周方向に押し上げられる。」 (イ)「【図3】 [図:0001410203000012.jpg] 」 (5)甲5について ア 甲5には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0077】 図14は、実施形態5の軸流ファンの羽根最大厚さt(図2参照)と従来設計の軸流ファンの羽根最大厚さtとを比較して示す図である。 【0078】 従来例では、厚さtが一定であった。これに対して、実施形態5においては、チップ部半径Rtでの厚さttが、ハブ部半径Rhでの厚さthよりも厚くなっている。 【0079】 羽根1が回転すると、圧力面7と負圧面6との間には圧力差が生じるので、チップクリアランスhには、矢印25のような流れが形成される。 【0080】 一般に、従来の設計では、羽根最大厚さtは薄い方が、羽根が流路を閉塞する割合が小さく、流速の増加が小さいため、流路損失が小さく、高効率化には良いとされてきた。 【0081】 これに対して、本発明では、半径Rtでの厚さttを厚くし、矢印25の流れを低減させる。 【0082】 チップ部に生じる損失,騒音の一部は、この矢印25の流れによる生ずるので、この量を抑えることは、高効率化,低騒音化に寄与する。」 (イ)「【図14】 [図:0001410203000013.jpg] 」 (6)甲6について ア 甲6には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「[作用] この発明及びこの発明の別の発明における軸流羽根車は、羽根の形状を決めるための骨子である翼素中心の3次元的分布を明らかにしたものである。さらに詳しくは、羽根の翼素中心が気体の吸込み側に傾斜していると同時に、回転方向へ前進しており、それぞれその分布が最適化されているため、特に静圧発生時において、非常に発生騒音を低減することができる。」(5頁10欄13~21行) (イ)「又、羽根の取り付け位置は、その翼弦線1b-1cと、回転軸3と平行で羽根前縁部1bを通る直線6とのなす角度をくいちがい角ξとし、ξを半径方向に分布を持たせることにより決定する。即ちξの半径方向分布を、 ξ=(ξt-ξb)×(R-Rb)/(Rt-Rb)+ξb とし、この時ξtは羽根チツプでのくいちがい角、ξbは羽根ボス部でのくいちがい角で与え、ξt=62゜~72゜、ξb=53゜~63゜、ξt>ξbとしている。」(6頁12欄36行~7頁13欄1行) (ウ)「第4図 [図:0001410203000014.jpg] 」 (7)甲7について ア 甲7には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「ここで取付角βと主流風速との間には、取付角βを過大としない範囲内では、取付角βの増加に従がつて主流風速が高まることが知られており、また、本発明では前述の如くフアン翼1aの先端部1eでの主流風速を高めるようにしたものであるため、第8図に実線Bで示すように翼部1aの平均径位置1fより先端1eの取付角βの方が大きくしてある。尚、図中Dt、Dm、Dbは第5図に示す如く、それぞれ先端1e間の直径、翼部1aの平均径、及び翼部1aの根元1g間の直径(ボス部径)である。 また、第8図中実線Aは従来一般に用いられてきたフアンの取付角βを表わしたもので、この実線Aに示す通り従来のフアンは翼部の先端に向うにつれて取付角βが小さくなつてきていた。そして、この従来形状のフアンAと本発明に係るフアンBの音圧レベルを測定したところ、第9図に示すように全ての周波数域に於いて本発明に係るフアンBでは騒音が低下していることが確かめられた。特に乗員に最も耳障りである1KHzのあたりでは音圧レベルが大幅に低下しており、フアン1の運転がかなり静かになつている。」(2頁右下欄5行~3頁左上欄6行) (イ)「第8図 [図:0001410203000015.jpg] 」 (8)甲8について ア 甲8には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「フアンケーシングと羽根の流出側の角とに関する設計パラメータと組み合わせて、本発明によるフアンロータの構成では、冒頭記載のようにフアンユニットのロータボス周囲にわたり等分または不等分に配置されたねじられた羽根を備え、この羽根が翼弦上のそり線のわん曲高さすなわちそりfと、羽根の前縁と後縁間の距離すなわち翼弦長との比f/lが0.02≦f/l≦0.1の範囲にあるようなそり線を有する案内羽根のない軸流フアンに対して、第4図のボスNの部分展開図により回転方向D、送風方向Lおよび先端と根元の断面が示された羽根の図に記入された諸量が下記の範囲にあるようにされる。 0.25 ≦ Di/Da ≦ 0.35 70° ≦ γi ≦ 80° 35° ≦ γi-γa ≦ 50° 0.7 ≦ li/la ≦ 1 ここで Da=ロータの外直径 Di=ロータのボス直径 la=羽根先端における翼形の翼弦長 li=羽根根本における翼形の翼弦長 γa=羽根先端における周方向D(回転方向)に対する羽根取付角 γi=羽根根本における周方向D(回転方向)に対する羽根取付角 である。」(第4頁右下欄19行~第5頁右上欄第5行) (イ)「第4図 [図:0001410203000016.jpg] 」 (9)甲9について ア 甲9には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0003】先ず、図5において、軸流ファンを構成する回転羽根体は平面部105aを形成した円筒形状のハブ105の側面部位から外周方向へ突出するように等間隔で設けられた羽根104が一体形成されている。これらの羽根104は、図6(b)に示されるように、ハブ105に対する取付け部分となる付け根部分においてハブ105の回転方向となす角度が比較的に急峻な角度αに設定される一方、図6(a)に示されるように外周部位における角度が緩やかな角度βとなるように設定している。即ち、羽根体の回転時の周速差の比率分に基づいて羽根104の取付角度に「ひねり」を加えるように構成している。 【0004】上記のように構成される羽根体によれば、羽根体の回転にともなう羽根のハブ側の部分と外周側部分における回転軸方向に沿う空気の流れ(図中の矢印F5で示す)速度を略同等にすることができるものであるが、ハブ105における平面部105a上にぶつかる大量の空気の流れF4の影響により、各羽根104を通る空気の剥離現象に起因する翼列干渉が発生して、空気の流れが減少することが判明している。」 (イ)「【図5】 [図:0001410203000017.jpg] 【図6】 [図:0001410203000018.jpg] 」 (10)甲10について ア 甲10には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0009】断面5は羽根の先端に位置し、回転時の速度は他断面と比較し一番速い為、送風能力は大きいが空気抵抗は大きくなるので、空気抵抗の低減に主眼をおき風が先端に沿ってまっすぐ流れるように直線形状とする。特に先端部の空気抵抗は大きく全体の騒音を支配している。湾曲線AA′は羽根2の先端に向かうに従い緩やかになり、先端で直線CC′となり、断面4はその中間に位置する。」 (イ)「【0012】 【発明の効果】以上説明したように本発明の送風ファンは、羽根の断面湾曲を先端部で直線化しかつ羽根角度を先端部に行くに従い浅くしたので、回転中の羽根の空気抵抗が小さくなり空気の流れがスムーズになる、従って高速回転時の騒音を低下させる効果がある。また、低騒音化により一層の高速回転が可能となるので風量が増加するという効果がある。」 (ウ)「【図1】 [図:0001410203000019.jpg] 」 (11)甲11について ア 甲11には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【0013】 【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、ファンの性能及び騒音を決定するブレードとファンハウジングの高さ及びファンの内外径比、ブレードの数、キャンバ率、ピッチ角度、スイープ角度のような設計因子を最適化して送風効率を向上させるとともに騒音を減少させ得る軸流ファンとモーターが一体化したファンモーターを提供することにその目的がある。」 (イ)「【0024】また、前記ブレード55のピッチ角度(ψ)は、ブレードハブ(BH)では39.0°~40.0°、ブレードチップ(BT)では26.0°~27.0°であり、ブレードハブ(BH)からブレードチップ(BT)まで線形的に分布されている。ここで、前記ピッチ角度(ψ)はブレードリーディングエッジ(RE)とブレードトレーリングエッジ(TE)を連結した直線がXに対してなす角を示す。すなわち、前記ピッチ角度(ψ)はブレード55が回転軸であるZ軸に垂直な平面に対してどんなに斜めに形成されるかを示す。」 (ウ)「【0034】図7に示すグラフはブレード55のピッチ角度(ψ)による騒音率の変化を示すもので、ブレード55のピッチ角度(ψ)が、ブレードハブ(BH)では39.0°~40.0°、ブレードチップ(BT)では26.0°~27.0°であり、ブレードハブ(BH)からブレードチップ(BT)まで線形的に分布されると、騒音が22.5dB±0.1と最低値を表す。」 (エ)「【0049】図15に示すグラフはブレード155のピッチ角度(ψ' )による騒音率の変化を示すもので、ブレード155のピッチ角度(ψ' )が、ブレードハブ(BH' )では37.0°~39.0°、ブレードチップ(BT' )では24.0°~26.0°であり、ブレードハブ(BH' )からブレードチップ(BT' )まで線形的に分布されると、騒音が22.4dBと最低値を表す。」 (オ)「【図7】 [図:0001410203000020.jpg] 【図15】 [図:0001410203000021.jpg] 」 (12)甲12について 甲12から以下の事実が認められる。 ア 1頁から、供試物品名に「スリーアップ株式会社製の品番「HC-T1907」の衣類乾燥機能付サーキュレーター「ヒート&クール」」との記載、試験等名称に「精密測定試験(3Dスキャンシステム)」との記載が看取される。 イ 別紙写真から、「HC-T1907」、「衣類乾燥機能付サーキュレーター」、「2019年製」、シリアルナンバーが「L1907026」との記載が看取される。 (13)甲13について 甲13には、次の事項が記載されている。 ア 「本報告書においては、 令和5年4月24日付け群馬県立産業技術センター技術レポート(群技セ第2302-42号。 以下「技術レポート」という。)(合議体注:甲12)に添付された3Dデータを解析した結果を記載する。 まず、スリーアップ株式会社製の品番「HC-T1907」の衣類乾燥機能付サーキュレーター「ヒート&クール」のプロペラファンの3D形状を、3Dスキャンシステム(ATOS Core/GOM) により測定した結果は、技術レポートに添付された「スリーアップ HC-T1907.stl」というデータ(甲12の参考資料)に記録されている。 そして、当該データに基づき、「HC-T1907」のプロペラファンの羽根断面形状を3Dデータ上で解析したときの画像を掲載するとともに、その解析方法及び解析結果に関する説明について記載する。」(1頁5~15行) イ 「 [図:0001410203000022.jpg] 」 ウ 「 [図:0001410203000023.jpg] 」 エ 「図7のとおり、第1部分(X=40.5mmの位置を含む部分)において、回転方向における前部に対して当該回転方向における後部が、プロベラファンによる送風方向(第1方向)に向かって湾曲している。この湾曲角度は、当該前部のうち図7中の下面におけるフィッティングラインと当該後部のうち図7中の下面におけるフィッティングラインとの成す角度(図6(合議体注:「図7」の誤記と認められる。)中の「角度1」)であり、13.94°である。 図7のとおり、当該前部のうち図7中の下面におけるフィッティングラインは、y方向(回転軸と垂直な面に対して平行な方向)に対して傾いている。この傾き角度は、当該フィッティングラインとy方向との成す角度(図6(合議体注:「図7」の誤記と認められる。)中の角度2)であり、21.31°である。」(5頁1~9行) オ 「 [図:0001410203000024.jpg] 」 カ 「図3~6と同様の手順により、X=60.5mmにおける羽根断面の形状が図9のとおり表示される。 図9のとおり、第2部分(X=60.5mmの位置を含む部分)において、回転方向における前部に対して当該回転方向における後部が、 プロペラファンによる送風方向(第1方向)に向かって湾曲している。この湾曲角度は、当該前部のうち図9中の下面におけるフィッティングラインと当該後部のうち図9中の下面におけるフィッティングラインとの成す角度(図9中の「角度3」)であり、29.74°である。 図9のとおり、当該前部のうち図9中の下面におけるフィッティングラインは、y方向(回転軸と垂直な面に対して平行な方向)に対して傾いている。この傾き角度は、当該フィッティングラインとy方向との成す角度(図9中の角度4)であり、14.30°である。 なお、図9の羽根断面において、特許7165433の特許請求の範囲に記載された「前部」に相当する部分の認定については、上述したX=40.5mmの場合と同様である。」(7頁1~14行) (14)甲14について 甲14から以下の事実が認められる。 ア プロペラの写真から、甲14に示される製品のプロペラファンは、中心に回転軸を有することが看取される。 そして、プロペラファンは回転軸を中心に回転するものであることが分かる。 また、甲14に示される製品のプロペラファンには、回転軸を中心に回転するハブ部と、前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根とを備えることが看取される。 イ 全体写真から、甲14に示される製品は、正面部が黒色で正面部以外は白色で構成されていることが看取される。 ウ 銘板の写真から、甲14に示される製品について、品番「HC-T1907」、「スリーアップ株式会社」、「衣類乾燥機能付サーキュレーター」、「2019年製」、シリアルナンバー「L1907026」、「定格電圧:AC100V」、「定格周波数:50/60Hz」「定格消費電力:1200W」等の記載が看取される。 (15)甲15について 甲15には、以下の事実が認められる。 ア 表紙頁において、「イオニシモ(R)搭載 衣類乾燥機能付き サーキュレーター「ヒート&クール」」、「HC-T1907」との記載が看取される。 イ 3頁及び5頁の記載から、甲15に示されるサーキュレーターは、背面の吸気口から正面の送風口に向けて、内部のプロペラファンの回転軸に平行に送風するものであることが看取される。 ウ 4頁において、仕様のサイズに「幅26×奥行25×高さ36.5cm」と、電源に「AC100V 50/60Hz」と、また、消費電力に「送風モード時:40W、温風モード時:1200W」との記載が看取される。 (16)甲16について 甲16には、以下の事実が認められる。 ア 1頁に「スリーアップ イオニシモ搭載 衣類乾燥機能付 サーキュレーター 「ヒート&クール」 ホワイト HC-T1907WH」との記載、また、「ブランド スリーアップ(Three Up)」、「色 ホワイト」、「・本体サイズ:幅26×奥行25×高さ36.5cm」、「・電源:AC100V 50/60Hz」、「・消費電力:送風モード時/40W、温風モード時/1200W」との記載が看取される。 また、1頁に掲載された、「HC-T1907WH」で示される製品は、正面部が黒色で正面部以外は白色で構成されていることが看取される。 イ 2頁に「類似商品と比較する」として、「THREEUP スリーアップ 衣類乾燥機能付 3Dサーキュレーター ヒート&クール ホワイト HC-T2206-WH」と、また、「THREEUP スリーアップ 衣類乾燥機能付 3Dサーキュレーター ヒート&クール グレー HC-T2206-GY」との記載が看取される。 ウ 3頁に「メーカー スリーアップ(Three Up)」、「型番 HC-T1907WH」「色 ホワイト」「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2019/4/24」との記載が看取される。 エ 7頁に「上下の動きも自由に動くとよい 2019年10月29日に日本でレビュー済み Amazonで購入」、「衣類乾燥機狙いなら別のものを。 2019年7月9日に日本でレビュー済み Amazonで購入」との記載が看取される。 2 甲12~16の関係性について (1)申立人製品である甲14に示される製品と甲12で精密測定試験をされた製品とは、シリアルナンバーが同一である(上記1(12)イ及び1(14)イを参照。)ことから、同一のものであるといえる。 (2)甲13は、甲12のデータを解析した報告書であるから、甲13で示されるプロペラファンは、甲12及び甲14で示された製品のプロペラファンであることは明らかである。 (3)甲15は、品番「HC-T1907」の取扱説明書であるところ、甲14の製品の品番「HC-T1907」と同一であること、また、甲15に示される仕様の「電源」及び「消費電力」と甲14に示される製品の「定格電圧」、「定格周波数」及び「定格消費電力」とが共通すること等から、甲15は、甲14に示される製品の取扱説明書であることがわかる。 そして、甲14に示される製品には、甲15に開示される特徴を有するのは明らかである。 (4)甲16は、「HC-T1907WH」のウェブ販売サイトAmazon.co.jpのウェブページを印刷したものであるところ、「HC-T1907WH」の「WH」は、上記1(16)イの記載を鑑みると、製品の「ホワイト」の色を表しているといえる。 また、甲14に示される製品と甲16に示される製品とは、「HC-T1907」の点で、品番が共通し、更に、製品の色については、正面部が黒色で正面部以外は白色で構成されている点でも共通し、加えて、甲16に示される「電源」及び「消費電力」と甲14に示される製品の「定格電圧」、「定格周波数」及び「定格消費電力」も共通することから、甲16に示される製品は、甲14に示される製品と同種の製品である蓋然性が高い。 そして、品番において、色の情報の記載があるかないかの点で違いはあるものの、甲14に示される製品と甲16に示される製品とは、「HC-T1907」の点で、品番が共通するから、同一構造を有する蓋然性が高い。 3 甲12~15から把握される発明 上記2に示される事項を総合し、整理すると、甲12~15から、次の発明(以下、「申立人製品発明」という。)が把握される。 (申立人製品発明) 「回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するハブ部と、 前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、 を備え、 前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前部に対する前記後部の湾曲角度について、 前記第1部分における前記湾曲角度は、13.94度であり、 前記第2部分における前記湾曲角度は、29.74度である、 プロペラファン。」 4 申立人製品発明の公知又は公然実施時期について 上記1(14)ウによれば、申立人製品「HC-T1907」は、「2019年」に製造されたものであることがわかる。 また、上記1(16)ウによれば、申立人製品「HC-T1907」と同一構造である蓋然性が高い、製品「HC-T1907WH」の、のAmazon.co.jpでの取り扱い開始日は2019年4月24日であり、更に、1(16)エによれば、製品「HC-T1907WH」について、該製品の購入者が「2019年7月9日に日本でレビュー済み」である。 そうすると、甲16の記載内容から、申立人製品「HC-T1907」と同一構造である蓋然性が高い、ウェブ通販サイトAmazon.co.jpの製品「HC-T1907WH」は、遅くとも2019年7月9日には、守秘義務のない第三者に譲渡されていたことがわかる。 以上によれば、申立人製品発明は、本件特許に係る出願の出願日(2021年3月17日)前に、日本国内において公然知られた発明又は公然実施をされた発明である。 第6 当審の判断 1 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について (1)本件発明1について ア 甲1を主引用例としたもの (ア)本件発明1と甲1発明の対比 本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲1発明の「後方から前方の方向」は、本件発明1の「第1方向」に相当し、同様に、「ボス部6」は「ハブ部」に、「翼5」は「羽根」に、「翼前縁8」は「前部」に、「翼後縁9」は「後部」に、「反り角θc」は「湾曲角度」に、それぞれ相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の「一致点1」で一致し、以下の「相違点1」で相違する。 (一致点1) 「回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するハブ部と、 前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、 を備え、 前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きい、 プロペラファン。」 (相違点1) 本件発明1は、「前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する」のに対し、 甲1発明は、複数の翼5の各々が、そのような構成を有するか明らかでない点。 (イ)判断 相違点1について検討する。 甲1には、複数の翼5の各々が、回転軸を中心とする半径方向の端部が後方から前方の方向とは反対の方向に向かって湾曲した形状であることは記載されておらず、また、示唆もされていない。 したがって、上記相違点1は、実質的な相違点であるといえる。 よって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。 また、甲2~11に記載された事項を参照するも、いずれの文献にも、プロペラファンの複数の羽根の各々が、回転軸を中心とする半径方向の端部が、第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有することは、何ら記載されていない。 そうすると、甲1発明において、甲2~11に記載された事項を適用し得たとしても、本件発明1の相違点1に係る構成には至らない。 したがって、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。 (ウ)以上によれば、本件発明1は、甲1発明ではなく、また、当業者であっても、甲1発明に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。 イ 甲2を主引用例としたもの (ア)本件発明1と甲2発明の対比 本件発明1と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲2発明の「回転軸110」は、本件発明1の「回転軸」に相当し、同様に、「後方から前方の方向」は「第1方向」に、「ファン100」は「プロペラファン」に、「ハブ102」は「ハブ部」に、「ファンブレード106」は「羽根」に、「ブレード根元111」は「第1部分」に、「回転軸110から遠い部分」は「回転軸から遠い第2部分」に、「前縁114」は「前部」に、「後縁116」は「後部」に、「キャンバー角θ」は「湾曲角度」に、それぞれ相当する。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、以下の「一致点2」で一致し、以下の「相違点2」で相違する。 (一致点2) 「回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するハブ部と、 前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、 を備え、 前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きい、 プロペラファン。」 (相違点2) 本件発明1は、「前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する」のに対し、 甲2発明は、複数のファンブレード106の各々が、そのような構成を有するか明らかでない点。 (イ)判断 相違点2について検討する。 甲2には、複数のファンブレード106の各々が、回転軸110を中心とする半径方向の端部が後方から前方の方向とは反対の方向に向かって湾曲した形状であることは記載されておらず、また、示唆もされていない。 したがって、上記相違点2は、実質的な相違点であるといえる。 よって、本件発明1は、甲2発明であるとはいえない。 また、甲1、3~11に記載された事項を参照するも、いずれの文献にも、プロペラファンの複数の羽根の各々が、回転軸を中心とする半径方向の端部が、第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有することについて、何ら記載されていない。 そうすると、甲2発明において、甲1、3~11に記載された事項を適用し得たとしても、本件発明1の相違点2に係る構成には至らない。 したがって、甲2発明において、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。 (ウ)以上によれば、本件発明1は、甲2発明ではなく、また、当業者であっても、甲2発明に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。 (2)本件発明2について 本件発明1を引用する本件発明2は、本件発明1を特定するための事項を全て含み、本件発明1をさらに減縮したものである。したがって、その余の事項を検討するまでもなく、前記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2は、甲1発明又は甲2発明ではなく、また、甲1発明又は甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明3~5、7、8について 本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明3~5、7、8は、本件発明1を特定するための事項を全て含み、本件発明1をさらに減縮したものである。したがって、その余の事項を検討するまでもなく、前記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明3~5、7、8は、甲1発明又は甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 理由3(新規性・進歩性)について (1)本件発明1について ア 本件発明1と申立人製品発明の対比 本件発明1と申立人製品発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、申立人製品発明は、「第1部分における前記湾曲角度は、13.94度であり、前記第2部分における前記湾曲角度は、29.74度である」ところ、湾曲角度について、第1部分より第2部分の方が大きいことは明らかであるから、申立人製品発明の「前記第1部分における前記湾曲角度は、13.94度であり、前記第2部分における前記湾曲角度は、29.74度である、」は、本件発明1の「前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きい、」に相当する。 そうすると、両者は、以下の「一致点3」で一致し、以下の「相違点3」で相違する。 (一致点3) 「回転軸を中心に回転し、前記回転軸に平行な第1方向に送風するプロペラファンであって、 前記回転軸を中心に回転するハブ部と、 前記ハブ部の外周面に設けられた複数の羽根と、 を備え、 前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、 前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、 前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きい、 プロペラファン。」 (相違点3) 本件発明1は、「前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する」のに対し、 申立人製品発明は、複数の羽根の各々が、そのような構成を有するか明らかでない点。 (イ)判断 相違点3について検討する。 甲12~16には、複数の羽根の各々について、回転軸を中心とする半径方向の端部が、第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状であることは示されていない。 したがって、上記相違点3は、実質的な相違点であるといえる。 よって、本件発明1は、申立人製品発明であるとはいえない。 また、甲1~11に記載された事項を参照するも、いずれの文献にも、プロペラファンの複数の羽根の各々が、回転軸を中心とする半径方向の端部が、第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有することについて、何ら記載されていない。 そうすると、申立人製品発明において、甲1~11に記載された事項を適用し得たとしても、本件発明1の相違点3に係る構成には至らない。 したがって、申立人製品発明において、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。 (ウ)以上によれば、本件発明1は、申立人製品発明ではなく、また、当業者であっても、申立人製品発明に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。 (2)本件発明2、4、5、8について 本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2、4、5、8は、本件発明1を特定するための事項を全て含み、本件発明1をさらに減縮したものである。したがって、その余の事項を検討するまでもなく、前記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2、4、5、8は、申立人製品発明ではなく、また、申立人製品発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明3、7について 本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明3、7は、本件発明1を特定するための事項を全て含み、本件発明1をさらに減縮したものである。したがって、その余の事項を検討するまでもなく、前記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明3、7は、申立人製品発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 理由4(サポート要件)について (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)本件発明の課題 本件発明が解決しようとする課題として、本件特許明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「発明の詳細な説明」ということもある。)の段落0004~0005に、「扇風機やサーキュレータなどの機器に用いられるプロペラファンでは、当該機器の消費電力および/または騒音が低減するように効率よく送風することが求められている。そこで、本発明は、効率よく送風することが可能なプロペラファンを提供することを目的とする。」と記載されている。 (3)本件発明について ア 請求項1の記載 本件発明1は、「前記複数の羽根の各々は、前記ハブ部の前記外周面に接合された第1部分と、前記第1部分より前記回転軸から遠い第2部分とを含み、前記第1部分および第2部分の各々は、回転方向における前部に対して後部が前記第1方向に向かって湾曲した形状を有し、前記前部に対する前記後部の湾曲角度は、前記第1部分より前記第2部分の方が大きく、前記複数の羽根の各々は、前記回転軸を中心とする半径方向の端部が、前記第1方向と反対の第2方向に向かって湾曲した形状を有する、」との事項(以下、「事項A」という。)を備えたものである。 イ 本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載 発明の詳細な説明の段落0019に「羽根12における回転方向Drの後部(第2面12b)は、図3(b)~(d)に示されるように、前部(第1面12a)に対して湾曲しており、当該前部に対する角度β(湾曲角度)が、回転軸Aから離れるにつれて大きくなるように構成されている。つまり、羽根12の後部(第2面12b)は、位置X1での角度β1より位置X2での角度β2の方が大きく、位置X2での角度β2より位置X3での角度β3の方が大きくなるように、第1面12aに対して湾曲(屈曲)している。一例として、位置X1を含む第1部分P1での角度βは、5~15度の範囲内で設定されるとよく、位置X2~X3の少なくとも一方を含む第2部分P2での角度βは、15~35度の範囲内で設定されるとよい。なお、図3(e)に示される位置X4での角度β4は、位置X3での角度β3と同程度である。」と記載され、また、段落0022~0023に「図4は、羽根12の形状を説明するための図である。図4(a)は、プロペラファン10を前方から見た図を示しており、図4(b)~(d)は、図4(a)における各位置Y1~Y3での羽根12の断面形状(XZ断面形状)をそれぞれ示している。図4(b)は、位置Y1における羽根12の断面形状を示しており、図4(c)は、位置Y2における羽根12の断面形状を示している。また、図4(d)は、位置Y3における羽根12の断面形状を示している。ここで、各位置Y1~Y3は、本実施形態ではY軸方向の位置として定義しているが、回転軸Aを中心とする角度として理解されてもよい。また、本実施形態では、各位置Y1~Y3におけるXZ断面を示しているが、回転軸Aを中心とする半径方向に沿った断面として理解されてもよく、このように理解されても同様の羽根12の断面形状となりうる。 本実施形態の羽根12における外側端部(第3面12c)は、第1面12aに対して角度θで-Z方向に湾曲(屈曲)するように傾けられている。具体的には、位置Y1では、-Z方向に湾曲している外側端部を含んでいないが、位置Y2では、第1面12aに対して角度θ2で外側端部が-Z方向に湾曲し、位置Y3では、第1面12aに対して角度θ3で外側端部が-Z方向に湾曲している。角度θ2と角度θ3とは同程度であり、一例として、角度θは、20~30度の範囲内で設定されるとよい。」と記載されている。 さらに、発明の詳細な説明の段落0024~0025に「次に、本実施形態のプロペラファン10の形状による効果について説明する。ここでは、本実施形態のプロペラファン10との比較対象として、図5に示される従来のプロペラファン20が用いられる。図5は、従来のプロペラファン20の構成例を示す図である。図5(a)は従来のプロペラファン20の前面図を示し、図5(b)は従来のプロペラファン20の斜視図を示している。従来のプロペラファン20は、一般的に広く普及しているファンであり、扇風機1の回転シャフト2aに取り付けられるハブ部21と、ハブ部21の外周面に設けられた複数の羽根22とを備えている。従来のプロペラファン20は、本実施形態のプロペラファン10と同様の大きさを有するとともに、本実施形態のプロペラファン10と同じ枚数の羽根22を有している。但し、従来のプロペラファン20では、本実施形態のプロペラファン10における上記の第2面12bおよび第3面12cが設けられていない。図6~図7は、本実施形態のプロペラファン10と従来のプロペラファン20との比較結果を示している。図6は、プロペラファンの回転数[RPM(Rotations Per Minute)]に対する消費電力[W]を示す図であり、図7は、風量[m3/min]に対する騒音[dBA]を示す図である。図6~図7に示されるように、本実施形態のプロペラファン10は、上記形状を有することにより、従来のプロペラファン20と比較して、回転数に対し消費電力を低減(高効率)及び風量に対し騒音を低減(静音)することができる。」と記載されている。 これらの記載によれば、当業者は、上記事項Aを備えることにより、消費電力および/または騒音が低減するように効率よく送風することが可能なプロペラファンを提供できることを理解することができる。 ウ 以上によれば、当業者は、発明の詳細な説明の記載に基づき、請求項1に記載のとおり、上記事項Aを備えることによって、本件発明の課題を解決できると認識することができる。 そうすると、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということができ、本件発明1についてサポート要件の違反はない。 また、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2~5、7、8は、本件発明1を特定するための事項を全て含み、本件発明1をさらに減縮したものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~5、7、8についてサポート要件の違反はない。 第7 取消理由通知において採用しなかった異議申立人の申立理由について 取消理由通知において採用しなかった異議申立人の申立理由の概要は、次のとおりである。 1 申立理由(明確性要件違反) 本件特許1~5、7、8は、下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 記 請求項1において、「前部に対する後部の湾曲角度」と記載されている。しかし、前部自体が湾曲しているため、前部のどの位置で接線を引くかによって、前部に対する後部の湾曲角度が変わってしまう。そうすると、「前部に対する後部の湾曲角度」を一義的に特定できないため、不明である。 2 申立理由(明確性要件違反)について (1)明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (2)本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前部に対する後部の湾曲角度」という事項が記載されているところ、発明の詳細な説明の段落0018の「本実施形態の羽根12における回転方向Drの前部(第1面12a)は、図3(b)~(d)に示されるように、回転軸Aと垂直な面(XY面)に対して傾けられており、当該面に対する角度α(傾き角度)が、回転軸Aから離れるにつれて小さくなるように構成されている。」との記載、また、段落0019の「羽根12における回転方向Drの後部(第2面12b)は、図3(b)~(d)に示されるように、前部(第1面12a)に対して湾曲しており、当該前部に対する角度β(湾曲角度)が、回転軸Aから離れるにつれて大きくなるように構成されている。」との記載から、前記事項の「前部」は「第1面12a」を示し、また、「後部」は「第2面12b」を示していることが理解できる。 そうすると、前記事項は、第1面12aに対する第2面12bの湾曲角度であることが理解できる。 したがって、請求項1の記載及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~5、7、8の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (3)以上によれば、本件特許1~5、7、8は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、同法第113条第4号により取り消すことができない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、本件特許1~5、7、8は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許1~5、7、8を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700452

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