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特許異議申立

2017-700622

ロータ及び真空ポンプ

審判番号
2017-700622
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-520501
登録番号
特許第6047091号(P6047091)
請求日
2017年06月20日
審決日
2018年11月21日
公報発行日
2019年02月22日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】エドワーズ株式会社
  • 【権利者代理人】仲野 均
  • 【権利者代理人】川井 隆
  • 【異議申立人】プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
  • 【異議申立人代理人】江崎 光史
  • 【異議申立人代理人】鍛冶澤 實
  • 【異議申立人代理人】篠原 淳司
  • 【異議申立人代理人】中村 真介
  • 【異議申立人代理人】清田 栄章
審判長/審判官
  • 審判長 久保 竜一
  • 審判官 藤井 昇
  • 審判官 矢島 伸一
分類
P1651.111-YAA(F04D) / P1651.112-YAA(F04D) / P1651.121-YAA(F04D) / P1651.537-YAA(F04D) / P1651.851-YAA(F04D) / P1651.853-YAA(F04D) / P1651.857-YAA(F04D) / P1651.841-YAA(F04D) / P1651.854-YAA(F04D) / P1651.855-YAA(F04D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項、特許法第113条第4項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6047091号発明「ロータ及び真空ポンプ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6047091号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第6047091号の請求項2ないし11に係る特許を維持する。 特許第6047091号の請求項1に係る特許についての申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 特許第6047091号の請求項1~11に係る特許についての出願は,2012年(平成24年)5月31日(優先権主張 2011年(平成23年)6月16日)を国際出願日とする特許出願であって,平成28年11月25日にその特許権の設定登録がされ,同年12月21日に特許掲載公報が発行された。 これらの請求項1~11に係る特許について,平成29年6月20日付けで特許異議申立人 プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハーにより特許異議の申立てがあり,同年9月21日付けで審尋がなされ,同年10月23日付けで異議申立人により回答書が提出され,同年11月15日付けで異議申立人により手続補正書が提出された。そして,同年12月1日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である平成30年2月5日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ,同年6月1日付けで異議申立人により意見書の提出がされ,同年6月18日付けで訂正拒絶理由が通知され,同年7月19日付けで特許権者により意見書の提出があり,同年8月3日付けで取消理由(決定の予告)が通知された。 それに対して,その指定期間内である同年10月9日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がなされた。 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 平成30年10月9日付けの訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の訂正事項1~11のとおりである(下線部は,訂正箇所を示し,当審で付与した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除した。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体が前記ロータに接合される端面側から前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかなテーパ構造であることを特徴とする請求項1に記載のロータ。」とあるのを, 「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって, 前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパであることを特徴とするロータ。」と訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の中央から前記円筒体が前記ロータに接合される端面側に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかなテーパ構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロータ。」とあるのを, 「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって, 前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパであることを特徴とするロータ。」と訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「前記テーパ構造のテーパ角度は,前記円筒体が,前記ロータに接合される端面側から前記円筒体の中央に向かって徐徐に縮径する角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項2に記載のロータ。」とあるのを, 「前記テーパのテーパ角度は,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が,前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項2に記載のロータ。」と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記テーパ構造のテーパ角度は,前記円筒体が,前記円筒体の中央から前記ロータに接合される端面側に向かって徐徐に縮径する角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項3に記載のロータ。」とあるのを, 「前記テーパのテーパ角度は,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項3に記載のロータ。」と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「前記荷重変化緩和構造は,前記テーパ構造の前記円筒体が前記ロータに接合される端面側の終点が曲線状に形成されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。」とあるのを, 「前記荷重変化緩和構造は,前記テーパの,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の終点が曲線状に形成されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記テーパ構造が形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロータ。」とあるのを, 「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記テーパが形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロータ。」と訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体が前記ロータに接合される端面側から前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であることを特徴とする請求項1に記載のロータ。」とあるのを, 「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって, 前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロ―タに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり, 前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線であることを特徴とするロ―タ。」と訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の中央から前記円筒体が前記ロータに接合される端面側に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であることを特徴とする請求項1又は請求項8に記載のロータ。」とあるのを, 「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって, 前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり, 前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線であることを特徴とするロータ。」と訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項11に「ねじ溝式ポンプ部と,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータと,を備える真空ポンプであって, 前記ロータは,請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載のロータであることを特徴とする真空ポンプ。」とあるのを, 「ねじ溝式ポンプ部と,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータと,を備える真空ポンプであって, 前記ロータは,請求項2から請求項10のうちいずれか1項に記載のロータであることを特徴とする真空ポンプ。」と訂正する。 (11)訂正事項11 訂正前の明細書の段落【0010】に, 「請求項1記載の発明では,真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有することを特徴とするロータを提供する。 請求項2記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体が前記ロータに接合される端面側から前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかなテーパ構造であることを特徴とする請求項1に記載のロータを提供する。 請求項3記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の中央から前記円筒体が前記ロータに接合される端面側に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかなテーパ構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロータを提供する。 請求項4記載の発明では,前記テーパ構造のテーパ角度は,前記円筒体が,前記ロータ に接合される端面側から前記円筒体の中央に向かって徐徐に縮径する角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項2に記載のロータを提供する。 請求項5記載の発明では,前記テーパ構造のテーパ角度は,前記円筒体が,前記円筒体の中央から前記ロータに接合される端面側に向かって徐徐に縮径する角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項3に記載のロータを提供する。 請求項6記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記テーパ構造の前記円筒体が前記ロータに接合される端面側の終点が曲線状に形成されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のロータを提供する。 請求項7記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記テーパ構造が形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロータを提供する。 請求項8記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体が前記ロータに接合される端面側から前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であることを特徴とする請求項1に記載のロータを提供する。 請求項9記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の中央から前記円筒体が前記ロータに接合される端面側に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であることを特徴とする請求項1又は請求項8に記載のロータを提供する。 請求項10記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記曲線構造が形成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のロータを提供する。 請求項11記載の発明では,ねじ溝式ポンプ部と,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータと,を備える真空ポンプであって,前記ロータは,請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載のロータであることを特徴とする真空ポンプを提供する。」とあるのを,請求項の訂正と整合性を取るために,請求項の訂正と同様に以下のように訂正する。 「請求項2記載の発明では,真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパであることを特徴とするロータを提供する。 請求項3記載の発明では,真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパであることを特徴とするロータを提供する。 請求項4記載の発明では,前記テーパのテーパ角度は,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が,前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項2に記載のロータを提供する。 請求項5記載の発明では,前記テーパのテーパ角度は,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項3に記載のロータを提供する。 請求項6記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記テーパの,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の終点が曲線状に形成されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のロー夕を提供する。 請求項7記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記テーパが形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロータを提供する。 請求項8記載の発明では,真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって,前記円筒体と前記ロー夕が接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり,前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線であることを特徴とするロータを提供する。 請求項9記載の発明では,真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり,前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線であることを特徴とするロータを提供する。 請求項10記載の発明では,前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記曲線構造が形成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のロータを提供する。 請求項11記載の発明では,ねじ溝式ポンプ部と,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータと,を備える真空ポンプであって,前記ロータは,請求項2から請求項10のうちいずれか1項に記載のロータであることを特徴とする真空ポンプを提供する。」 2.訂正要件についての判断 (1)訂正事項1 ア.訂正の目的について 上記訂正事項1による訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項1による訂正は,請求項を削除する訂正であり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項1による訂正は,請求項を削除するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものには該当しないから,上記訂正事項1による訂正は,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア.訂正の目的について 訂正前の請求項2において引用していた請求項1が削除されたことに伴い,訂正事項2により請求項2を独立形式にした。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第4項の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 訂正事項2による訂正は,訂正前の請求項2の「前記荷重変化緩和構造」について,「前記ロータの外径面に,前記円筒体が前記ロータに接合される端面側から前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかなテーパ構造であること」とあるのを, 「前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロ―タに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパである」と限定した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 また,この訂正は,「前記円筒体が前記ロータに接合される端面側」をより明瞭な記載とするために「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロ―タに接合される側の端面」とし,「前記円筒体の中央」をより明瞭な記載とするために「前記軸方向における前記円筒体の中央」とし,「テーパ構造」をより明瞭な記載とするために「テーパ」とするものである。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項2による訂正は,請求項2に記載された構成要素に基づき,「前記荷重変化緩和構造」を「前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパである」と限定するものであり,この限定された事項は,願書に添付した明細書の段落【0023】や図1,図2に記載されている。 よって,訂正事項2による訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項2の訂正は,訂正前の請求項1の従属関係を解消し独立形式にするものであるとともに,上記訂正事項2のうち,明瞭でない記載の釈明に関する訂正は,実質的に内容の変更を伴うものではなく,「テーパ」の角度を特定した訂正は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 (a)訂正の目的について 訂正前の請求項3において引用していた請求項1が削除されたことに伴い,訂正事項3により請求項3を独立形式にした。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第4項の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 訂正事項3による訂正は,訂正前の請求項3の「前記荷重変化緩和構造」について,「前記ロータの外径面に,前記円筒体の中央から前記円筒体が前記ロータに接合される端面側に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかなテーパ構造であること」とあるのを「前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロ―タに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパである」と限定した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 また,この訂正は,「前記円筒体の中央」をより明瞭な記載とするために「前記軸方向における前記円筒体の中央」とし,「前記ロータに接合される端面側」をより明瞭な記載とするために「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロ―タに接合される側の端面」とし,「テーパ構造」をより明瞭な記載とするために,「テーパ」とするものである。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項3による訂正は,請求項3に記載された構成要素に基づき,「荷重変化緩和構造」を「前記ロ―タの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロ-タの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパである」と限定するものであり,この限定された事項は,願書に添付した明細書の段落【0031】や図7(a)に記載されている。 よって,この訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項3の訂正は,訂正前の請求項1の従属関係を解消し独立形式にするものであるとともに,上記訂正事項3のうち明瞭でない記載の釈明に関する訂正は,実質的に内容の変更を伴うものではなく,「テーパ」の角度を特定した訂正は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア.訂正の目的について 訂正事項4による訂正により,訂正前の請求項4記載のテーパ角度が,「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が,前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度」であることを限定した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 また,この訂正は,「テーパ構造」をより明瞭な記載とするために「テーパ」とし,「前記円筒体が,前記ロータに接合される端面側」をより明瞭とするために「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が,前記ロータに接合される側の端面」とするものであり,「前記円筒体の中央」をより明瞭な記載とするために「前記軸方向における前記円筒体の中央」とするものである。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項4の訂正は,願書に添付した明細書の段落【0023】,図2に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項4のうち明瞭でない記載の釈明に関する訂正は,実質的に内容の変更を伴うものではなく,テーパの角度を特定した訂正は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア.訂正の目的について 訂正事項5による訂正により,訂正前の請求項5記載のテーパ角度が,「前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度」であること限定した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 また,この訂正は,「テーパ構造」をより明瞭な記載とするために「テーパ」とし,「前記円筒体の中央」をより明瞭な記載とするために「前記軸方向における前記円筒体の中央」とし,「前記円筒体が,前記ロータに接合される端面側」をより明瞭とするために「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面」とするものである。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項5による訂正は,願書に添付した明細書の段落【0031】,図7(a)に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項5のうち明瞭でない記載の釈明に関する訂正は,実質的に内容の変更を伴うものではなく,テーパの角度を特定した訂正は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア.訂正の目的について 訂正事項6により訂正前の請求項6記載の「荷重変化緩和構造」が,「前記テーパの,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の終点が曲線状に形成されること」であることを限定した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 また,この訂正は,「テーパ構造」をより明瞭な記載とするために「テーパ」とし,「前記円筒体が前記ロータに接合される端面側の終点」をより明瞭とするために「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面の終点」とするものである。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項6による訂正は,願書に添付した明細書の段落【0027】及び図3に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項6のうち明瞭でない記載の釈明に関する訂正は,実質的に内容の変更を伴うものではなく,前記荷重変化緩和構造を特定した訂正は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (7)訂正事項7 ア.訂正の目的について 上記訂正事項7による訂正により,「テーパ構造」をより明瞭な記載とするために,「テーパ」に訂正した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項7による訂正は,願書に添付した明細書及び図面に記載した事項に範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項7による訂正は,明瞭でない記載の釈明に関するもので実質的に内容の変更を伴うものではなく,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (8)訂正事項8 ア.訂正の目的について 訂正前の請求項8において引用していた請求項1が削除されたことに伴い,訂正事項8により請求項8を独立形式にした。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第4項の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 訂正事項8による訂正により,訂正前の請求項8の「前記荷重変化緩和構造」について,「前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり, 前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線である」と限定した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 また,この訂正は,「前記円筒体が前記ロータに接合される端面側」をより明瞭な記載とするために「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロ―タに接合される側の端面」とし,「前記円筒体の中央」をより明瞭な記載とするために「前記軸方向における前記円筒体の中央」ととするものである。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項8による訂正は,訂正前の請求項8に記載された構成要素に基づき,「前記荷重変化緩和構造」を「前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり, 前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線である」と限定するものであり,この限定された事項は,願書に添付した明細書の段落番号【0028】及び図4に記載されている。 よって,この訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項8の訂正は,訂正前の請求項1の従属関係を解消し独立形式にするものであるとともに,上記訂正事項8のうち明瞭でない記載の釈明に関する訂正は,実質的に内容の変更を伴うものではなく,上記訂正事項8のうち,「荷重変化緩和構造」及び「曲線構造」を特定した訂正は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (9)訂正事項9 ア.訂正の目的について 訂正前の請求項9において引用していた請求項1が削除されたことに伴い,訂正事項9により請求項9を独立形式にした。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第4項の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 訂正事項9による訂正により,訂正前の請求項9の構成要素である「荷重変化緩和構造」を「前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり, 前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線である」と限定した。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。 また,この訂正は,「前記円筒体の中央」をより明瞭な記載とするために「前記軸方向における前記円筒体の中央」とし,「前記ロータに接合される端面側」をより明瞭な記載とするために「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロ―タに接合される側の端面」とするものである。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項9による訂正は,訂正前の請求項9に記載された構成要素に基づき,,「前記荷重変化緩和構造」を「前記ロ―タの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり, 前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線である」と限定するものであり,この限定された事項は,願書に添付した明細書の段落【0032】に記載されている。 よって,この訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項9の訂正は,訂正前の請求項1の従属関係を解消し独立形式にするものであるとともに,上記訂正事項9のうち明瞭でない記載の釈明に関する訂正は,実質的に内容の変更を伴うものではなく,上記訂正事項9のうち,「荷重変化緩和構造」及「曲線構造」を特定した訂正は,発明特定事項を直列的に付加するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (10)訂正事項10 ア.訂正の目的について 訂正事項10は請求項1の削除に伴い,請求項11において請求項1から請求項10を引用していたものを請求項2から請求項10を引用する請求項とする訂正である。 この訂正は,特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項10において引用する請求項2から請求項10が願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の事項であるため,訂正事項10による訂正も,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項10による訂正は,引用する請求項の一部を削除するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (11)訂正事項11 ア.訂正の目的について 訂正事項1~10による請求項1~9,11の訂正に伴い,対応する明細書の発明の詳細な説明の欄を訂正するものであるから,特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項11は,訂正事項1から10に対応した訂正である。上記したように,訂正事項1~10による訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるため,上記訂正事項11による訂正も特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項11による訂正は,訂正事項1から10に対応した訂正である。上記したように,訂正事項1から10による訂正が,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことから,訂正事項11も,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (13)一群の請求項について 訂正前の請求項11は訂正前の請求項1から10を引用するものであるから,これらの訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 3.小括 以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号,第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び,同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項[1~11]について訂正を認める。 第3.訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~11に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明11」は,訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項に特定されるとおりのものである。 本件発明1 (削除) 本件発明2「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパであることを特徴とするロータ。」 本件発明3「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロー夕であって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパであることを特徴とするロータ。」 本件発明4「前記テーパのテーパ角度は,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が,前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項2に記載のロータ。」 本件発明5「前記テーパのテーパ角度は,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に縮径し,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度であることを特徴とする請求項3に記載のロータ。」 本件発明6「前記荷重変化緩和構造は,前記テーパの,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の終点が曲線状に形成されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。」 本件発明7「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記テーパが形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロータ。」 本件発明8「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータであって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり,前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線であることを特徴とするロータ。」 本件発明9「真空ポンプに配設され,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロー夕であって,前記円筒体と前記ロータが接する面に,前記ロータの熱膨張又は遠心力により前記円筒体に生じる軸方向における荷重の変化を低減する荷重変化緩和構造を有し, 前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなるように形成された緩やかな曲線構造であり,前記曲線構造は,前記曲線構造におけるロータの外周面が,前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形した時の前記円筒体の内周面に接する曲線であることを特徴とするロータ。」。 本件発明10「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータと前記円筒体が接触する接触面を共有しなくなる位置にまで前記曲線構造が形成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のロータ。」 本件発明11「ねじ溝式ポンプ部と,異なる材料で形成された円筒体が接合されるロータと,を備える真空ポンプであって,前記ロータは,請求項2から請求項10のうちいずれか1項に記載のロータであることを特徴とする真空ポンプ。」 第4.取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1.取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし11に係る特許について,当審が平成30年8月3日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は,次のとおりである。 「本件特許発明1乃至11の記載は,特許法第36条第6項1号及び第2号に規定する要件を満たしていないから,本件特許発明1乃至11に係る特許は,特許法第113条第4項に該当し,取り消されるべきものである。 1.請求項1の記載では,発明の前提となる,接合されるロータと円筒体の位置関係及び前記ロータと前記円筒体との接合部の態様が,特定されていない。さらに,請求項1の記載では,荷重変化緩和構造の構成が特定されておらず不明確である。そのため,請求項1に係る発明を特定できない。 また,明細書を参照すると,発明の詳細な説明には,接合部の荷重変化を緩和するという課題を解決する手段として,テーパ構造によるものと曲線構造によるものしか記載されていない。一方,請求項1の記載では,そのいずれでもない荷重変化緩和構造をも含み得るものとなっているから,請求項1の記載は,発明の詳細な説明の記載を越えるものとなっている。 特許権者は,平成30年2月5日付け意見書において, 「取消理由通知書で指摘を受けた,「テーパ構造」と「曲線構造」以外の「荷重変化緩和構造」に関しては,乙第1号証のような構造,ずなわち,階段状,波状,先端円弧状が考えられます。 明細書に記載された実施例は,あくまでも例であり,請求項1に記載された特徴を備えた,「テーパ構造」と「曲線構造」以外の「荷重変化緩和構造」も含まれます。」旨主張し,特許明細書には,種々の例として,段落(0021)(0022)(0027)(0028)(0029)の記載がある旨主張する。 しかしながら,特許明細書には,「荷重変化緩和構造」の具体例として,段落【0022】,【0027】~【0029】,図2~図5が開示されているが,「直線状のテーパ部」である「テーパ構造」と曲線状の「曲線構造」しか開示されておらず,乙第1号証のような,階段状,波状,先端円弧状といった構造は開示されていない。 そうすると,上述したように,発明の詳細な説明には,接合部の荷重変化を緩和するという課題を解決する手段として,テーパ構造によるものと曲線構造によるもの以外のものが記載されているとはいえず,「請求項1の記載では,テーパ構造によるものと曲線構造によるもの以外のいずれでもない荷重変化緩和構造をも含み得るものとなっているから,請求項1の記載は,発明の詳細な説明の記載を越えるものとなっている。 2.明細書の記載と,図1,図2,図8を参照すると,本件特許発明2は,「ロータは,円筒体が前記ロータの外径面に接合される位置から排気口側に位置するように接合されていること」が,前提となっていると認められる。 しかしながら,請求項2には,上記前提に加えて,テーパ構造を設けるための,前記ロータと前記円筒体との接合部の態様が記載されておらず,さらに「ロータに接合される端面側」と「円筒体の中央」なる記載もその意味するところが特定できないことにより,本件特許発明2は明確でない。 また,本件特許発明2において,「徐徐に(前記ロータの外径が小さくなる)」,「緩やかな(テーパ構造)」と特定するが,ロータの外径が小さくなる構造のうちどのようなものが「徐々に」小さくなると判断されるものか,テーパ構造のうち,どのようなものが「緩やかな」テーパ構造であるのか,その基準や程度が不明確である結果,発明の範囲が明確でない。 請求項4を参照すれば,上記の点も相まって,本件特許発明2は,テーパ構造のテーパ角度がいかなるものであっても,これを包含する。 しかしながら,明細書,特に段落【0023】の記載を参照すれば,本件特許に係る発明は,テーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であって初めて,円筒体の形状がなだらかに変形するように,当該テーパが荷重を緩和する緩和機能として機能するという課題を解決するものである。 そうすると,請求項2の記載は,課題を解決するための構成がサポートされていないことになる。 以上,請求項2について指摘した事項は,請求項8についても同様である。 3.明細書の記載と,図7の記載を参照すると,本件特許発明3は,「ロータは,円筒体が前記ロータの外径面に前記ロータが接合される位置から吸気口側と排気口側の両側に位置するように接合されていること」が,前提となっていると認められる。 しかしながら,請求項3には,上記前提に加えて,テーパ構造を設けるための,前記ロータと前記円筒体との接合部の態様が記載されておらず,さらに「円筒体の中央」と「ロータに接合される端面側」なる記載もその意味するところが特定できないことにより,本件特許発明3は明確でない。 また,本件特許発明3において,「徐徐に(前記ロータの外径が小さくなる)」,「緩やかな(テーパ構造)」と特定するが,ロータの外径が小さくなる構造のうちどのようなものが「徐々に」小さくなると判断されるものか,テーパ構造のうち,どのようなものが「緩やかな」テーパ構造であるのか,その基準や程度が不明確である結果,発明の範囲が明確でない。 請求項5を参照すれば,上記の点も相まって,本件特許発明3は,テーパ構造のテーパ角度がいかなるものであっても,これを包含する。 しかしながら,明細書,特に段落【0031】の記載を参照すれば,本件特許に係る発明は,テーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であって初めて,円筒体の形状がなだらかに変形するように,当該テーパが荷重を緩和する緩和機能として機能するという課題を解決するものである。 そうすると,請求項3の記載は,課題を解決するための構成がサポートされていないことになる。 以上,請求項3について指摘した事項は,請求項9についても同様である。 4.請求項4の記載では,段落【0023】のテーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であることに対応する記載になっていないため,課題を解決するものための構成がサポートされていないし,本件特許発明4は円筒体が前記「ロータに接合される端面側」から前記「円筒体の中央」に向かって「縮径する角度」が何を示してしているのかも明確でなく,円筒体がロータに接合された際にロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度であることが明確に表れていない。 また,本件特許発明4において,「徐徐に(縮径する角度)」と特定するが,円筒体が縮径する構造のうちどのようなものが「徐々に」縮径する角度と判断されるものか,その基準や程度が不明確である結果,発明の範囲が明確でない。 5.請求項5の記載では,段落【0031】のテーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であることに対応する記載になっていないため,課題を解決するための構成がサポートされていないし,本件特許発明5は,円筒体が前記「円筒体の中央」から「前記ロータに接合される端面側」に向かって「縮径する角度」が何を示してしているのかも明確でなく,円筒体がロータに接合された際にロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度であることが明確に表れていない。 また,本件特許発明5において,「徐徐に(縮径する角度)」と特定するが,円筒体が縮径する構造のうちどのようなものが「徐々に」縮径する角度と判断されるものか,その基準や程度が不明確である結果,発明の範囲が明確でない。 6.本件特許発明6は「前記荷重変化緩和構造は,前記テーパ構造の前記円筒体が前記ロータに接合される端面側の終点が曲線状に形成される」と特定しているが,「ロータに接合される端面側」が如何なる箇所を表すものかが明確でない。 7.本件特許発明2~6のいずれか1項を引用する本件特許発明7,本件特許発明8又は9を引用する本件特許発明10,本件特許発明1~10のいずれか1項を引用する本件特許発明11は,上述した理由により,いずれも発明が明確でない,又は,課題を解決するための構成がサポートされていない。 よって,請求項1乃至11に係る発明の特許は,特許法第36条第6項第1号及び第2項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。」 2.当審の判断 (1)本件発明2について 本件発明2では,「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に前記ロータの外径が小さくなる」とされており,テーパを設けるための前記ロータと前記円筒体の接合部の態様が記載されるものとなり,「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面」,「前記軸方向における前記円筒体の中央」と特定されることにより,「ロータに接合される端面側」,「円筒体の中央」の意味が明確になった結果,本件発明2に係る「荷重変化緩和構造」の前提となる,ロータと円筒体との接合の態様が明確となった。 そして,「前記荷重変化緩和構造は,」「前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパ」と特定されることで,「テーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であって初めて,円筒体の形状がなだらかに変形するように,当該テーパが荷重を緩和する緩和機能として機能する」という課題を解決するための構成がサポートされるとともに,全体として,「荷重変化緩和構造」の構成が明確になった。 なお,本件発明2において,依然として「徐徐に(前記ロータの外径が小さくなる)」,「緩やかな(テーパ)」と特定されているが,前述のとおり,本件訂正請求による訂正の結果,本件発明2に係る荷重変化緩和構造は,全体として明確になったから,これらの記載のみをもって明確でないとはいえない。 したがって,本件発明2は,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (2)本件発明3について 本件発明3では,「前記荷重変化緩和構造は,前記ロータの外径面に,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に前記ロータの外径が小さくなる」とされており,テーパを設けるための前記ロータと前記円筒体の接合部の態様が記載されるものとなり,「前記軸方向における前記円筒体の中央」,「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面」と特定されることにより,「ロータに接合される端面側」,「円筒体の中央」の意味が明確になった結果,本件発明3に係る「荷重変化緩和構造」の前提となる,ロータと円筒体との接合の態様が明確となった。 そして,「前記荷重変化緩和構造は,」「前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす最大角度より,前記ロータの前記外径面の前記円筒体の前記軸方向となす角度が小さく形成された緩やかなテーパ」と特定されることで,「テーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であって初めて,円筒体の形状がなだらかに変形するように,当該テーパが荷重を緩和する緩和機能として機能する」という課題を解決するための構成がサポートされるとともに,全体として,「荷重変化緩和構造」の構成が明確になった。 なお,本件発明3において,依然として「徐徐に(前記ロータの外径が小さくなる)」,「緩やかな(テーパ)」と特定されているが,前述のとおり,本件訂正請求による訂正の結果,本件発明3に係る荷重変化緩和構造は,全体として明確になったから,これらの記載のみをもって明確でないとはいえない。 したがって,本件発明3は,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (3)本件発明4について 本件発明4では「前記テーパのテーパ角度は,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が,前記ロータに接合される側の端面から,前記軸方向における前記円筒体の中央に向かって徐徐に縮径し,」とされており,「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が,前記ロータに接合される側の端面」,「前記軸方向における前記円筒体の中央」と特定されることにより「ロータに接合される端面側」,「円筒体の中央」の意味が明確になった。 そして,「前記テーパのテーパ角度は」「前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度である」と特定されることで,テーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であることに対応する記載になり,課題を解決するための構成がサポートされるものとなって,全体として,「テーパのテーパ角度」の構成が明確になった。 本件発明4において,依然として「徐徐に(縮径する角度)」と特定されているが,前述のとおり,本件訂正請求による訂正の結果,本件発明4に係る「テーパのテーパ角度」の構成は,全体として明確になったから,この記載のみをもって明確でないとはいえない。 したがって,本件発明4は,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (4)本件発明5について 本件発明5では「前記テーパのテーパ角度は,前記軸方向における前記円筒体の中央から,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面に向かうに従って徐徐に縮径し,」とされており,「前記軸方向における前記円筒体の中央」,「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の端面」と特定されることにより「円筒体の中央」,「ロータに接合される端面側」の意味が明確になった。 そして,「テーパのテーパ角度は」「前記ロータの前記熱膨張又は前記遠心力により前記円筒体が変形して前記円筒体の内周面が前記円筒体の前記軸方向となす角度よりも,小さい角度であること」と特定されることで,テーパ角度がロータの熱膨張又は遠心力により円筒体自体が変形する角度よりも小さい角度であることに対応する記載になり,課題を解決するための構成がサポートされるものとなって,全体として,「テーパのテーパ角度」の構成が明確になった。 本件発明5において,依然として「徐徐に(縮径する角度)」と特定されているが,前述のとおり,本件発明5に係る「テーパのテーパ角度」の構成は,全体として明確になったから,この記載のみをもって明確でないとはいえない。 したがって,本件発明5は,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (5)本件発明6について 本件発明6では,「前記荷重変化緩和構造は,前記テーパの,前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の終点が曲線状に形成される」とされており,「前記円筒体の前記軸方向における前記円筒体が前記ロータに接合される側の終点」と特定されることにより,「ロータに接合される端面側」の意味が明確になった。 特に,請求項3,5を引用する場合に図7(a)の当該位置を示すことが明確となった。 したがって,本件発明6は,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (6)本件発明7について 本件発明2~6を引用する引用発明7は,上述した理由により,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしている。 (7)本件発明8について 本件発明2と同様の理由により,本件発明8は,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (8)本件発明9について 本件発明3と同様の理由により,本件発明8は,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (9)本件発明10について 本件発明8又は9を引用する本件発明10は,上述した理由により,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (10)本件発明11について 本件発明2~10のいずれか1項を引用する本件発明11は,上述した理由により,全体として明確であるから,特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしているとともに,課題を解決するための構成がサポートされることにより,発明の詳細な説明に記載されるものとなったので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件も満たしている。 (11)小括 よって,本件発明2乃至11に係る特許は,特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしている。 第5.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1.特許法第29条第1項,特許法第29条第2項について 当審により異議申立人に対して,平成29年9月21日付けで審尋を行い,同年10月23日付けで異議申立人により回答書が提出された。 (1)審尋の内容について 「1.甲第1号証~甲第8号証,甲第10号証,甲第11号証は,すべて異議申立人の作成した社内文書,または,異議申立人の従業員の作成した文書であり,これらの文書が,真正なものであって,これらの文書に記載された内容が,実際の製品と同一であると認めるにたる客観的な証拠もないから,本件特許に係る発明が特許法第29条第1項第1号又は第2号に規定された発明に該当することを立証する証拠としては,不充分である。 2.甲第9号証の納品書,請求書は,異議申立人の作成した文書であるため,実際の製品の公知,公用を立証する証拠としては,不充分である。 納品書,請求書など,取引先等第三者が作成した書類等,客観的な証拠を間接証拠として提出されたい。」 (2)回答書について 異議申立人は,上記審尋1.に対して,甲第12号証(宣誓供述書3),甲第13号証[異議申立人が認証を受けている品質マネジメントシステムに関する認定書(証明書){異議申立人が1996年頃からISO9001,ISO14001の認証を受けていること}]を提出し,甲第1号証~甲第8号証,甲第10号証,甲第11号証は,全て真正である旨主張する。 異議申立人は,上記審尋2.に対して,甲第14号証(製品TMH071の各顧客に納品後,各顧客から実際の入金があったことを示す銀行取引明細書,小切手の写し),甲第15号証(製品TMH071の納品書,送り状,修理返送表の一式),甲第16号証(製品TMH071の納品書,送り状,返送表)を提出し,実際の製品が公然実施され,公然知られるものであった旨主張する。 (3)判断 ア.審尋1.について 甲第12号証(宣誓供述書3)は,生産部門の担当者の宣誓供述書であるが,異議申立人の従業員の作成した文書であり,この文書に記載された内容を客観的に裏付ける証拠もない。 甲第13号証により,異議申立人が,1996年頃からISO9001,ISO14001の認証を受けていることは認められるものの,甲第1号証~甲第8号証,甲第10号証,甲第11号証が,真正なものであって,これらの文書に記載された内容が,実際の製品と同一であると認めるに足る客観的な証拠であるとまではいえない。 イ.小括 したがって,審尋2.について検討するまでもなく,甲第1号証~甲第8号証,甲第10号証~甲第12号証の内容が,本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において公然知られていたとも,公然実施されていたとも認められないから,本件発明2,6~8,10,11に対する特許法29条第1項,第2項に関する異議申立ての理由は成り立たない。 第6.結び 以上のとおりであるから,取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件発明2ないし11に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に本件発明2ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして,本件発明1に係る特許は,訂正により,削除されたため,本件特許の請求項1に対して,特許異議申立人 プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハーがした特許異議申立てについては,対象となる請求項が存在しない。 よって,結論のとおり決定する。

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2017-700622

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決46件(エドワーズ株式会社、プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー)
  • 2016-700135異議申立 / 2017-07-14 / 訂正認容真空ポンプ
    同じ当事者: エドワーズ株式会社、プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
  • 2017-700217異議申立 / 2017-06-13 / 維持ネジ溝式真空ポンプ及びこれを使用した真空排気システム
    同じ当事者: エドワーズ株式会社、プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
  • 2025-700325異議申立 / 2025-11-19 / 訂正認容真空ポンプ装置
    同じ当事者: プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
  • 2024-700363異議申立 / 2025-01-29 / 訂正認容ターボ分子ポンプ
    同じ当事者: プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
  • 2017-700300異議申立 / 2017-10-20 / 訂正認容ターボ分子ポンプ
    同じ当事者: プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
同じ論点・分野の審決(審決分類)180件(111・F04D、112・F04D、121・F04D ほか)
  • 2016-700135異議申立 / 2017-07-14 / 訂正認容真空ポンプ
    共通の審決分類: 111・F04D、112・F04D、121・F04D、537・F04D ほか2件
  • 2017-700300異議申立 / 2017-10-20 / 訂正認容ターボ分子ポンプ
    共通の審決分類: 111・F04D、112・F04D、121・F04D、851・F04D ほか1件
  • 2024-700363異議申立 / 2025-01-29 / 訂正認容ターボ分子ポンプ
    共通の審決分類: 111・F04D、112・F04D、121・F04D、537・F04D
  • 2023-700452異議申立 / 2024-01-29 / 訂正認容プロペラファン、扇風機、およびサーキュレータ
    共通の審決分類: 111・F04D、112・F04D、121・F04D、537・F04D
  • 2016-700998異議申立 / 2017-03-28 / 維持ターボ分子ポンプ
    共通の審決分類: 111・F04D、112・F04D、121・F04D

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