特許異議申立
2019-700435
放射線画像撮影装置
- 審判番号
- 2019-700435
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-249514
- 登録番号
- 特許第6428223号(P6428223)
- 請求日
- 2019年05月28日
- 審決日
- 2020年06月01日
- 公報発行日
- 2020年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コニカミノルタ株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人光陽国際特許事務所
- 【異議申立人】木村 靖
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬川 勝久
- 審判官 星野 浩一
- 審判官 山村 浩
- 分類
- P1651.121-YAA(G01T) / P1651.536-YAA(G01T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6428223号発明「放射線画像撮影装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6428223号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。
特許第6428223号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6428223号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成26年12月10日に出願され、平成30年11月9日にその特許権の設定登録がされ、同年11月28日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和元年 5月28日 :特許異議申立人木村靖による請求項1ないし
8に係る特許に対する特許異議の申
立て(全請求項)
同年 7月29日付け:取消理由通知(同年7月31日発送)
同年 9月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年10月16日付け:通知書(同年10月21日発送)
同年11月20日 :特許異議申立人木村靖による意見書の提出
同年12月 5日付け:取消理由通知(同年12月11日発送)
令和2年 2月10日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 2月27日 :手続補正書
同年 3月 9日付け:通知書(同年3月11日発送)
なお、特許異議申立人木村靖に対して、令和2年3月9日付けで期限を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人木村靖からは何ら応答がなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和2年2月27日付け手続補正により補正された同年2年2月10日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし8及び明細書(以下、この明細書を「本件特許明細書」という。)を、次のとおり訂正しようとするものである(下線は、当審が付したものである。以下、同じ。)。
なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項1ないし12について請求されたものである。
また、明細書に係る訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項1ないし12について請求されたものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記センサーパネルを収納する筐体と、
を備え、
前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内ヘの液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、」と記載されているのを、
「カーボンで形成され、前記センサーパネルを収納し、通孔が設けられた筐体と、
を備え、
前記通気孔は、第一の通気孔と、前記第一の通気孔よりも外側に設けられ、貫通方向と直交する方向の大きさが前記第一の通気孔よりも小さい第二の通気孔と、を有し、
前記第一の通気孔と前記第二の通気孔との間に、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、11、12も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記通気孔は、」と記載されているのを、
「前記第一の通気孔及び前記第二通気孔は、」と訂正する(請求項2の記載を引用する請求項11,12も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記筐体の側面には、当該側面部分を覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、請求項3として独立形式に書き改め、
「【請求項3】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体の側面には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分を覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に「前記筐体の側面には、当該側面部分を覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、請求項4として独立形式に書き改め、
「【請求項4】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に「前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、請求項5として独立形式に書き改め、
「【請求項5】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体の側面には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項4に「前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、請求項6として独立形式に書き改め、
「【請求項6】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側の、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」に訂正する。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項4に「前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、
かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」とあるうち、請求項1を引用する請求項3を引用するものについて、請求項7として独立形式に書き改め、
「【請求項7】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体の側面には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側の、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4に「前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」とあるうち、請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、請求項8として独立形式に改め、
「【請求項8】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体の側面には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開田部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側の、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」と記載し、新たに訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項5に「請求項4に記載の放射線画像撮影装置。」と記載されているのを、
「請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」と記載し、新たに、請求項9とする。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項6に「請求項4に記載の放射線画像撮影装置。」と記載されているのを、
「請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮像装置。」と記載し、新たに請求項10とする。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」と記載されているのを、
「請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」と記載し、新たに請求項11とする。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」と記載されているのを、
「請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」と記載し、新たに請求項12とする。
(13)訂正事項13
本件特許明細書の段落0012に「「前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、」と記載されているのを、
「カーボンで形成され、前記センサーパネルを収納し、通気孔が設けられた筐体と、を備え、前記通気孔は、第一の通気孔と、前記第一の通気孔よりも小さい第二の気孔と、を有し、前記第一の通気孔と前記第の通孔との間に、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、」と訂正する。
2 各訂正事項の訂正要件の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「センサーパネルを収納する筐体」がカーボンで形成されたものであること、及び通気孔と通気フィルターの位置関係について、「通気孔は、第一の通気孔と、第一の通気孔よりも外側に設けられ、貫通方向と直交する方向の大きさが第一の通気孔よりも小さい第二の通気孔と、を有し、前記第一の通気孔と前記第二の通気孔との間との間に、筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、」を特定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
本件特許明細書の段落【0019】には「…本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板(すなわちカーボン繊維を樹脂等で板状に固めたもの)で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を保護カバー2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されるようになっている。」と記載されている。
また、段落【0035】には「本実施形態では、図5に示すように、筐体2のハウジング本体部2Aの端部部分2A1に、内側カバー2bが取り付けられるようになっている。そして、この端部部分2A1の内側に内側カバー2bが挿入され、内側カバー2bに設けられた係止部2b1がハウジング本体部2Aの端部部分2A1の先端2A2に係止することにより、内側カバー2bによりハウジング本体部2Aの開口部が封止される。そして、内側カバー2bが挿入されたハウジング本体部2Aの端部部分2A1に、それらの外側からそれらを覆うように保護カバー2Bを取り付けることで、ハウジング本体部2Aの開口部が閉塞されるようになっている。」と記載されている。
また、図5は、以下のものである。
上記記載からして、筐体(2)は、カーボンで形成された中空のハウジング本体部(2A)と、両側の開口部を閉塞する内側カバー(2b)及び保護カバー(2B)とからなるものであることが理解できる。そして、筐体(2)を構成する内側カバー(2b)には、通気孔(H2)が設けられるとともに、筐体(2)を構成する外側カバー(2B)には、貫通方向と直交する方向の大きさが通気孔(H2)よりも小さい通気孔(H1)が設けられていること、さらに、通気孔(H2)と通気孔(H1)との間に通気フィルター(F)が設けられていることも理解できる。
したがって、訂正事項1は、新規事項を追加するものではない。
ウ 実質拡張変更の有無
上記ア及びイに照らして、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2ないし訂正事項8について
ア 訂正の目的
訂正事項2ないし訂正事項8は、請求項間の引用を解消し、独立形式に書き改める訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無及び実質拡張変更の有無
上記アに照らして、訂正事項2ないし訂正事項8は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項9ないし訂正事項12について
ア 訂正の目的
訂正事項9ないし訂正事項12は、訂正事項2ないし訂正事項8に係る訂正に伴い、項番を変更するための訂正であるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無及び実質拡張変更の有無
上記アに照らして、訂正事項9いし訂正事項12は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項13ついて
ア 訂正の目的
訂正事項13は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と本件特許明細書の記載内容との整合を図るための訂正であるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無及び実質拡張変更の有無
上記アに照らして、訂正事項13、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 訂正の適否についての小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件特許明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-12]について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明の認定
本件訂正は、上記「第2」のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1ないし12に係る発明(以下「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明12」という。)は、本件訂正後の請求項1ないし12に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認められる。
[本件訂正発明1]
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
カーボンで形成され、前記センサーパネルを収納し、通気孔が設けられた筐体と、
を備え、
前記通気孔は、第一の通気孔と、前記第一の通気孔よりも外側に設けられ、貫通方向と直交する方向の大きさが前記第一の通気孔よりも小さい第二の通気孔と、を有し、
前記第一の通気孔と前記第二の通気孔との間との間に、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明2]
「前記第一の通気孔及び第二の通気孔は、前記筐体の側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明3]
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分を覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明4]
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体の側面には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分を覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明5]
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明6]
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体の側面には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明7]
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側の、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明8]
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体の側面には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられており、
前記筐体の側面には、当該側面部分における前記筐体の開口部を封止する内側カバーが取り付けられており、かつ、当該内側カバーと前記筐体の側面部分とを覆うように保護カバーが取り付けられており、
前記通気フィルターは、前記保護カバーの内側の、前記内側カバーに穿設された孔の部分に設けられており、
前記通気孔は、前記筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持することを特徴とする放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明9]
「前記保護カバーにも孔が穿設されており、
前記筐体の内外の空気の流通が、前記保護カバーおよび前記内側カバーにそれぞれ設けられた前記各孔で形成された前記通気孔を通り、前記通気フィルターを介して行われることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明10]
「前記保護カバーにも孔が穿設されており、
かつ、前記保護カバーと前記内側カバーとの間の、前記内側カバーに設けられた前記孔の周囲の部分にパッキンが介在されており、
前記筐体の内外の空気の流通が、前記保護カバーおよび前記内側カバーにそれぞれ設けられた前記各孔と、前記保護カバーと前記内側カバーと前記パッキンとで区切られた空間とで形成された前記通気孔を通り、前記通気フィルターを介して行われることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明11]
「前記所定の厚さは、スクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z4905に準拠するサイズの厚さであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」
[本件訂正発明12]
「前記筐体は、ブッキー装置に装填することができるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。」
第4 取消理由の概要
令和元年9月30日付け訂正請求により訂正された、本件訂正前の請求項1、2、7、8に係る特許(以下「本件発明1」等という。)に対して、当審が令和元年12月5日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
1 甲第1号証(中国実用新案第202761292号公報)を主引用例とする取消理由(以下「引用文献1」という。)
【理由1】(新規性欠如)
本件発明1は、引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
【理由2】(進歩性欠如)
本件発明1、本件発明2、本件発明7及び本件発明8は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、本件発明2、本件発明7及び本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 甲第2号証(特開2012-7945号公報)を主引用例とする取消理由(以下「引用文献2」という。)
【理由3】(新規性欠如)
本件発明1は、引用文献2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
【理由4】(進歩性欠如)
本件発明1、本件発明7及び本件発明8は、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、本件発明7及び本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第5 当審の判断
1 引用文献1の記載事項及び引用発明
(1)引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 「
」(フロントページ)
(日本語訳
要約
本実用新案は、防水構造を有するX線フラットパネルディテクタを提供し、医療用X線フラットパネルディテクタの分野に属する。前記防水構造を有するX線フラットパネルディテクタにおいて、X線フラットパネルディテクタハウジング、および前記X線フラットパネルディテクタハウジングの内部に取り付けられる電子部品を含み、前記X線フラットパネルディテクタハウジングは、上蓋と下蓋とが組み合わさって構成され、前記上蓋の縁部は前記下蓋の縁部と一致しており、前記下蓋には、複数の放熱穴が設けられており、放熱穴からなる放熱穴アレイおよび放熱穴アレイに貼りつけられる防水通気膜によって防水構造を構成する。
本実用新案にかかる防水構造を有するX線フラットパネルディテクタは、構造が簡単で、加工が便利で、良好な放熱を有すると同時に防水構造を有することで、ディテクタが放熱要求を満たしつつ防水機能をも有するようにできる。)
イ 「
」(第1頁上段)
(日本語訳
現在、デジタルX線撮影検査(Digital Radiography、DR)技術は、例えば、胸部X線写真を撮影するX線装置などの医療機器に幅よく応用されている。デジタルX線撮影検査は一般にデジタルイメージングプレート技術であるフラットパネルディテクタ技術(FPD Technique)を採用している。上記のデジタルイメージングプレートは、薄膜トランジスタ(TFT)を有する多数の微小なディテクタがアレイ状に配列されてなる。電子変換モードの違いによって、デジタルX線撮影検査は、回接変換型のDRシステム(lndirect DR、IDR)に分けることができ、そのキーとなる部分は画像を取得するフラットパネルディテクタ(FPD)であり、X線変換層、アモルファスシリコンフォトダイオード、薄膜トランジスタ、信号蓄積基本画像セルおよび信号増幅と信号読出などから構成される。フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector、FPD)の研究開発の成功により、新たな放射線画像撮像技術、すなわち、デジタル化X線撮影が誕生した。現在、デジタル化X線撮影技術は日増しに成熟しており、様々な技術タイプの製品が製造され、臨床への応用がますます広がっている。専門家は、DR技術はその他のX線撮影技術に徐々に取って代わり、一般的なX線検査における主流技術になっていくと予測している。FPDの静的撮像問題の解決に伴い、放射線学者らは、FPD技術による動的撮像の実現、臨床放射線学における透視、造影検査の問題の解決を期待している。)
ウ 「
」(第2頁下段ないし第3頁中段)
(日本語訳
[0032] 以下、図面と併せて本実用新案をさらに詳細に説明する。
[0033] 実施例
[0034] 本実施例は防水構造を有するX線フラットパネルディテクタを供し、図1および図2に示すように、前記防水構造を有するX線フラットパネルディテクタは、X線フラットパネルディテクタウジング1、および前記X線フラットパネルディテクタハウジング1の内部になり付けられる電子部品を含み、前記X線フラットパネルディテクタハウジング1は、上蓋11と下蓋12とが組み合わさって構成され、前記上蓋11の縁部111は前記下蓋12の縁部121と一致して接続されるとともに、ボルト3によって固定されており、前記下蓋12には、複数の放熱穴122が設けられており、放熱穴122からなる放熱穴アレイ2および放熱穴アレイの表面に貼りつけられる防水通気膜によって防水構造を構成しており、前記下蓋12の該上蓋11に対応する表面には、前記電子部を収容するための凹溝123を有し、放熱穴122は貫通孔であるが、他の幾何形状であってもよく、好ましくは円形穴構造であり、前え放熱穴122は等間隔に分布している。
[0035] 本実用新案に使用する防水通気膜は、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムを含むがこれらに限定されない。
[0036] 本実用新案においては、液体が前記X線フラットパネルディテクタに流れ落ちたとき、円柱形放熱穴アレイに貼りつけられている防水通気膜は液体をタト部に留まらせ、液体はフラットパネルディテクタの内部に流入することなく、内部の電気部品の短絡を防止する。
[0037] 前記防水構造を有するX線フラットパネルディテクタの組立プロセルは以下の通りである。
[0038] (1)防水通気膜を下蓋の上蓋に対応する表面の凹溝および放熱穴に貼りつける。
[0039] (2)上蓋の縁部と下蓋の縁部とを一致させて接続する。
[0040] (3)ボルトにより前記X線フラットパネルディテタ夕のハウジングを固定する。
[0041] 本実用新案は、簡単かつ合理的な構造を提供し、X線フラットパネルディテクタに防水構造を持たせて、室内または室タトの異なるケース、異なる救急条件のもとで応用を満たす。本実用新案は、ディテクタの下蓋に複数の放熱穴を設けるとともに、防水通気膜を用いてディテクタの下蓋に貼りつけることでX光検出器が放熱と同時に良好な防水機能を有するようにできる。本実用新案は、構造が簡単で、加工が便利で、従来の放熱方法を採用せず、防水構造を有することで、ディテクタが放熱要求を満たすと同時に防水機能をも有するようにできる。)
エ 図1は、以下のものである。
1 X線フラットパネルディテクタハウジング
11 上蓋
12 下蓋
2 放熱穴アレイ
122 放熱穴
(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)の記載からして、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「薄膜トランジスタ(TFT)を有する多数の微小なディテクタがアレイ状に配列されてなるデジタルイメージングプレートと、
前記デジタルイメージングプレートを収納するX線フラットパネルディテクタハウジング1と、を備え、
前記X線フラットパネルディテクタハウジング1は、上蓋11と下蓋12とが組み合わさって構成され、該下蓋12には複数の放熱穴122が設けられており、該複数の放熱穴122からなる放熱穴アレイ2および放熱穴アレイ2の表面に貼りつけられる防水通気膜によって防水構造を構成し、前記放熱穴122は、貫通孔である、X線フラットパネルディテクタ。」
2 引用文献2の記載事項及び引用発明
(1)引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 「【請求項1】
被写体を透過した放射線により現される放射線画像を検出し、かつ、温度変化により面外方向へ反る放射線検出器と、
前記放射線検出器を内蔵し、前記放射線検出器の面外方向に厚さが可変とされた筐体と、
を備える放射線画像撮影装置。」
イ 「【0050】
(第1実施形態)
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る放射線画像撮影装置について具体的に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0051】
-構成-
図1は、本第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10(所謂電子カセッテ)の内部構成を示す図である。
本第1実施形態の形態に係る放射線画像撮影装置10は、矩形平板状の筐体18の内部に、放射線Xが照射される筐体18の照射面19側から、患者を透過した放射線Xを検出する放射線検出器12、および後述する制御基板13が順に設けられている。
【0052】
図2は、本第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10を示した回路図である。また、図3は、本第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10を示した平面図である(ただし、後述する蒸着用基板は除く)。
放射線検出器12は、上部電極と半導体層と下部電極を備え、光を受けて電荷を蓄積するセンサ部14と、センサ部14に蓄積された電荷を読み出すためのTFTスイッチ16と、を含んで構成される画素20が2次元状に多数設けられたTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板29(以下、TFT基板という)を備えている
【0053】
また、TFT基板29には、前述したTFTスイッチ16をON/OFFするための複数の走査配線22と、センサ部14に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線24と、が互いに交差して設けられている。」
ウ 「【0065】
次に、本第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10の内部構成についてより具体的に説明する。
【0066】
図4は、本第1実施形態に係る放射線画像撮影装置10の断面構成を示した断面図である。
同図に示すように、放射線画像撮影装置10の筐体18は、放射線検出器12を内蔵し、放射線検出器12の面外方向に厚さが可変とされており、具体的には、放射線検出器12を収納する収納体18Aと、収納体18Aを覆う蓋体18Bとを備えている。
【0067】
収納体18Aは、底板18Cの四方を第1側壁18Dで囲んだ箱体であり、箱体の開口部が蓋体18Bで覆われることによって内部に略密閉空間Dが形成される。収納体18Aの材料は、特に限定されないが、例えばABS樹脂により形成されている。底板Cには、上述した制御基板13の下方の位置に通気孔60が形成され、当該通気孔60はエアフィルタやゴアテックス(登録商標)等の通気部材62で閉じられている。
【0068】
一方、蓋体18Bは、底板18Cの内面と対向する天板18Eと、当該天板18Eに連結され、第1側壁18Dの外面と対向接触する第2側壁18Fを備える。
【0069】
第2側壁18Fの材料は、特に限定されず、収納体18Aと同様にABS樹脂等により形成されているが、天板18Eは、例えばカーボンで形成されている。これにより、放射線Xの吸収を抑えつつ強度を確保している。
ここで、放射線画像撮影装置10は、JIS(日本工業規格)Z4905に外形サイズの規格が定められており、また、放射線画像撮影装置10は薄い方が患者の下部への挿入が容易であるため、天板18Eの通常の高さh0は、放射線検出器12が反ったときに放射線検出器12が当接しないように予め高くしておくことが難しく、放射線検出器12が反ったときに蓋体18Bに接触する高さとなっている。
なお、以下、実施形態で「上」とは、底板18C側から天板18E側の方向であり、「下」とは天板18E側から底板18C側の方向である。」
エ 図4は、以下のものである。
10 放射線画像撮影装置
12 放射線検出器
18 筐体
18B 蓋体(覆体)
18A 収納体
18D 第1側壁
18E 天板(覆体)
18F 第2側壁
29 アクティブマトリクス基板
30 シンチレータ層
36 制御部(駆動制御部)
60 通気孔
62 通気部材
(2)引用文献2に記載された発明
上記(1)の記載からして、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「画素20が2次元上に多数設けられたTFTアクティブマトリクス基板29と、
前記TFTアクティブマトリクス基板29を収納する筐体18と、を備え、
前記筐体18は、厚さが可変とされており、放射線検器12を収納するABS樹脂により形成された収納体18Aと、前記収納体18Aを覆うカーボンで形成された天板18Eを有する筐体18Bとを備え、
前記収納体18Aの底板には、通気孔60が形成されており、前記通気孔60はゴアテックス等の通気部材62で閉じられており、
JIS(日本工業規格)Z4905の規格に定められた外形サイズである、放射線画像撮影装置。」
第5 当審の判断
1 【理由1】(新規性欠如)及び【理由3】(新規性欠如)
(1)本件訂正発明1について
ア 対比
(ア)引用発明1の「薄膜トランジスタ(TFT)を有する多数の微小なディテクタがアレイ状に配列されてなるデジタルイメージングプレート」は、本件訂正発明1の「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネル」に相当する。
以下、同様に、
「デジタルイメージングプレートを収納するX線フラットパネルディテクタハウジング1」は、「センサーパネルを収納する筐体」に、
「複数の放熱穴122」は、「通気孔」に、
「防水通気膜」は、「液体の浸入を防止するための通気フィルター」に、
「X線フラットパネルディテクタ」は、「放射線画像撮影装置」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明2の「画素20が2次元上に多数設けられたTFTアクティブマトリクス基板29」は、本件訂正発明1の「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネル」に相当する。
以下、同様に、
「TFTアクティブマトリクス基板29を収納する筐体18」は、「センサーパネルを収納する筐体」に、
「通気孔60」は、「通気孔」に、
「ゴアテックス等の通気部材62は、「液体の浸入を防止するための通気フィルター」に、
「放射線画像撮影装置」は、「放射線画像撮影装置」に、それぞれ、相当する。
(イ)上記(ア)からして、本件訂正発明1と引用発明1又は引用発明2とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記センサーパネルを収納する筐体と、を備え、
前記筐体には、通気孔が設けられており、かつ、前記通気孔には、前記筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられている、放射線画像撮影装置。」
(ウ)一方、両者は、少なくとも、以下の点で相違する。
<相違点1>
通気孔が設けられている筐体に関して、
本件訂正発明1は、「第一の通気孔と、第一の通気孔よりも外側に設けられ、貫通方向と直交する方向の大きさが前記第一の通気孔よりも小さい第二の通気孔と、を有し、前記第一の通気孔と前記第二の通気孔との間との間に、筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられて」いる筐体であるのに対して、
引用発明1又は引用発明2は、通気孔が設けられている筐体であるにとどまる点。
<相違点2>
本件訂正発明1は、「通気孔は、筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも筐体の厚さを所定の厚さに維持する」ものであるのに対して、
引用発明1又は引用発明2は、そのようなものであるか否か不明である点。
イ 判断
上記<相違点1>について検討する。
引用発明1及び引用発明2の「筐体」は、「第一の通気孔と、第一の通気孔よりも外側に設けられ、貫通方向と直交する方向の大きさが前記第一の通気孔よりも小さい第二の通気孔と、を有し、前記第一の通気孔と前記第二の通気孔との間との間に、筐体内への液体の浸入を防止するための通気フィルターが設けられて」いる筐体」ではないことから、上記<相違点2>について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、引用発明1又は引用発明2であるとはいえない。
(2)まとめ
本件訂正発明1に係る特許は、【理由1】(新規性欠如)及び【理由3】(新規性欠如)によっては、取り消すことができない。
2 【理由2】(引用発明1に基づく進歩性欠如)
(1)本件訂正発明1について
上記<相違点1>について検討する。
甲第1号証には、上記<相違点1>に係る構成が記載も示唆もされていない。
また、特許異議申立人が提出した他の各甲号証の記載を見ても、上記<相違点1>に係る構成は、記載も示唆もされていない。
してみると、当業者は、引用発明1並びに甲第1号証及び他の各甲号証に記載された技術的事項に基づいて、上記<相違点1>に係る構成に容易に想到することはない。
よって、本件訂正発明1は、上記<相違点2>を検討するまでもなく、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件訂正発明2、本件訂正発明7及び本件訂正発明8について
本件訂正発明2、本件訂正発明7及び本件訂正発明8は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべて備えるものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、本件訂正発明2、本件訂正発明7及び本件訂正発明8は、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)まとめ
本件訂正発明1、本件訂正発明2、本件訂正発明7及び本件訂正発明8に係る特許は、【理由2】(進歩性欠如)によって、取り消すことができない。
3 【理由4】(引用発明2に基づく進歩性欠如)
(1)本件訂正発明1について
上記<相違点1>について検討する。
甲第2号証には、相違点1に係る構成が記載も示唆もされていない。
また、特許異議申立人が提出した他の各甲号証の記載を見ても、相違点1に係る構成が記載も示唆もされていない。
してみると、当業者は、引用発明2並びに甲第2号証及び他の各甲号証に記載された技術的事項に基づいて、上記<相違点1>に係る構成に容易に想到することはない。
よって、本件訂正発明1は、上記<相違点2>を検討するまでもなく、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件訂正発明7及び本件訂正発明8について
本件訂正発明7及び本件訂正発明8は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべて備えるものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、本件訂正発明7及び本件訂正発明8は、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)まとめ
本件訂正発明1、本件訂正発明7及び本件訂正発明8に係る特許は、【理由4】(進歩性欠如)によって、取り消すことができない。
4 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第29条第2項について
特許異議申立人は、(保護カバーを備える)本件訂正発明3ないし本件訂正発明10は、引用発明1又は引用発明2に、甲第3号証(特開平8-222864号公報)、甲第4号証(特開2014-14060号公報)又は甲第5号証(特開2011-165748号公報)を組み合わせることにより、当業者が容易に発明することができたものである旨主張する。
しかしながら、甲第3号証ないし甲第5号証には、そもそも、筐体の側面を保護するためのカバー(つまり、保護カバー)は記載されておらず、引用発明1又は引用発明2に、甲第3号証ないし甲第5号証を組合せても、本件訂正発明3ないし本件訂正発明10に至らない。
(2)特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反)について
特許異議申立人は、本件訂正発明1ないし本件訂正発明12は、「通気孔は、筐体の内外の空気を流通可能とすることで、外気圧が変化しても、少なくとも前記筐体の厚さを所定の厚さに維持する」という発明特定事項を備えるものであるところ、本件特許明細書に、そのための具体的な構造が記載されていない旨主張する。
ア 本件特許明細書には、以下の記載がある。
「【0005】
そこで、例えば特許文献1では、筐体の本体部に蓋部が嵌め込まれる部分に防水部材を設ける等して、筐体に防水機能を持たせるように構成された放射線画像撮影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-181044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のように、筐体の隙間が生じる部分等に、パッキンやゴム製や樹脂製のシール部材等を配置する等して放射線画像撮影装置の防水性を高めると、それに伴って、筐体の気密性も向上する。しかし、このように気密性が高い放射線画像撮影装置を、例えば高地の病院等の施設で用いる場合や、航空機で上空を飛行して輸送する場合のように、外気圧が低い環境下におくと、筐体内の気圧(1気圧)と外気圧(1気圧未満)との間に差が生じる。
【0008】
その際、筐体に上記の圧力差に抗する程度の剛性があれば、筐体の膨張を抑制することが可能であるが、一般に放射線画像撮影装置は薄型であり、重量も無制限に重くすることはできないことから、圧力差に抗する程度の剛性をもつようにすることは現実的には難しい。そのため、放射線画像撮影装置の筐体が膨張する。」
「【発明の効果】
【0013】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、通気孔を設けたことにより、通気孔を介して放射線画像撮影装置の筐体の内外の空気が流通可能となるため、外気圧が低くなれば、通気孔を介して筐体内から空気が流出し、外気圧が高くなれば通気孔を介して筐体内に空気が流入する。そのため、外気圧が変化しても、それに追従して筐体内の気圧を変化させて筐体内外の気圧を同じにすることが可能となる。そのため、外気圧が低下する等しても筐体2が膨張することを的確に防止することが可能となり、筐体の厚さを所定の厚さに維持することが可能となる。」
イ 上記記載からして、従来から知られている「筐体に防水機能を持たせるように構成された放射線画像撮影装置」において、該筐体に通気孔を設けることにより、筐体内外の気圧を同じにすることが可能となり、結果として、筐体の厚さを所定の厚さに維持することが可能であることが理解できるから、本件特許明細書の記載が、特許法第36条第4項第1号の規定に違反しているとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、訂正後の請求項1、請求項2、請求項7及び請求項8に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によっては、取り消すことができない。
また、訂正後の請求項1ないし12に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
他に、訂正後の請求項1ないし請求項12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-700435