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特許異議申立

2023-700224

情報処理システム、内視鏡システム、学習済みモデル、情報記憶媒体及び情報処理方法

審判番号
2023-700224
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-557499
登録番号
7127785
請求日
2023年02月27日
審決日
2023年05月24日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】オリンパス株式会社
  • 【権利者代理人】竹腰 昇
  • 【権利者代理人】黒田 泰
  • 【権利者代理人】井上 一
  • 【権利者代理人】西河 宏晃
  • 【権利者】国立大学法人 大分大学
  • 【権利者代理人】竹腰 昇
  • 【権利者代理人】黒田 泰
  • 【権利者代理人】井上 一
  • 【権利者代理人】西河 宏晃
  • 【権利者】学校法人福岡工業大学
  • 【権利者代理人】竹腰 昇
  • 【権利者代理人】黒田 泰
  • 【権利者代理人】井上 一
  • 【権利者代理人】西河 宏晃
  • 【異議申立人】上杉 隆一
審判長/審判官
  • 審判長 石井 哲
  • 審判官 ▲高▼見 重雄
  • 審判官 渡戸 正義
分類
P1652.121-Y (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7127785号発明「情報処理システム、内視鏡システム、学習済みモデル、情報記憶媒体及び情報処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7127785号の請求項1、2、14、16及び18に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7127785号の請求項1~18に係る特許についての出願は、平成30年11月30日に出願され、令和4年8月22日にその特許権の設定登録がされ、同月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1、2、14、16及び18に係る特許に対し、令和5年2月27日に特許異議申立人 上杉隆一(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1、2、14、16及び18に係る発明(以下、請求項の番号に従い「本件発明1」などという。)は、特許請求の範囲の請求項1、2、14、16及び18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1、2、14、16及び18の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 学習済みモデルを記憶する記憶部と、 前記学習済みモデルに基づく検出処理を行う処理部と、 を含み、 前記学習済みモデルは、 画像中に明確な位置形状が表示されない対象物が画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記対象物の位置形状を示すアノテーションが付された教師データに基づいて、前記学習用画像における前記対象物の位置形状を出力するように学習された学習済みモデルであり、 前記処理部は、 前記対象物が画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記対象物の位置形状を示す検出情報を出力し、前記検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させることを特徴とする情報処理システム。」、 「【請求項2】 請求項1において、 前記学習用画像は、 前記対象物が他の臓器又は他の組織で覆われている状態、または前記対象物が露出して視認できるが、境界が曖昧な状態を撮像した画像であることを特徴とする情報処理システム。」、 「【請求項14】 学習済みモデルを記憶する記憶部と、 前記学習済みモデルに基づく検出処理を行う処理部と、 を含み、 前記学習済みモデルは、 内視鏡手術の手順において用いられるランドマークが画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記ランドマークの位置形状を示すアノテーションが付された教師データに基づいて、前記学習用画像における前記ランドマークの位置形状を出力するように学習された学習済みモデルであり、 前記処理部は、 前記ランドマークが画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記ランドマークの位置形状を示す検出情報を出力し、前記検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させることを特徴とする情報処理システム。」、 「【請求項16】 ニューラルネットワークに検出用画像の入力を受け付けて対象物を検出する検出処理を行い、前記検出用画像における前記対象物の位置形状を示す検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させるように、コンピュータを機能させる学習済みモデルであって、 前記ニューラルネットワークは、 データを入力する入力層と、 前記入力層を通じて入力されたデータに対し演算処理を行う中間層と、 前記中間層から出力される演算結果に基づき、データを出力する出力層と、 を備え、 前記学習済みモデルは、 画像中に明確な位置形状が表示されない対象物が画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記対象物の位置形状を示すアノテーションが付された教師データに基づいて、前記学習用画像における前記対象物の位置形状を出力するように学習されていることを特徴とする学習済みモデル。」、 「【請求項18】 学習済みモデルに基づく検出処理を行う情報処理方法であって、 前記学習済みモデルは、 画像中に明確な位置形状が表示されない対象物が画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記対象物の位置形状を示すアノテーションが付された教師データに基づいて、前記学習用画像における前記対象物の位置形状を出力するように学習された学習済みモデルであり、 前記対象物が画角内に入るように撮像された検出用画像に対して、前記学習済みモデルに基づく前記検出処理を行うことで、前記対象物の位置形状を示す検出情報を出力し、 前記検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させることを特徴とする情報処理方法。」 第3 特許異議の申立てについて 1 申立理由の概要 申立人は、証拠として下記2に示す甲第1号証~甲第10号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲10」という。)を提出し、以下の申立理由により、請求項1、2、14、16及び18に係る特許は取り消すべきものである旨主張している。 申立理由(進歩性) ・請求項1、2、16及び18に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、16及び18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ・請求項14に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲3、甲9、甲10に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 証拠方法 甲第1号証:特開平6-233761号公報 甲第2号証:国際公開第2018/175339号 甲第3号証:特開2018-11958号公報 甲第4号証:特開2018-117883号公報 甲第5号証:特開2015-114172号公報 甲第6号証:米国特許出願公開第2018/0330518号明細書 甲第7号証:Toshiaki Hirasawa、他10名、“Application of artificial intelligence using a convolutional neural network for detecting gastric cancer in endoscopic images”、2018年1月15日、Gastric Cancer、Volume21(2018)、pages653-660 甲第8号証:Daniel Garcia-Lorenzo、他4名、“Review of automatic segmentation methods of multiple sclerosis white matter lesions on conventional magnetic resonance imaging”、2012年9月29日、Medical Image Analysis、Volume17(2013)、Pages1-18 甲第9号証:“Campus Mail”、平成30年11月6日、福岡工業大学広報課、インターネット<https://www.fit.ac.jp/~tokuyasu/img/file2.pdf> 甲第10号証:国際公開第2017/175282号 第4 各甲号証の記載 申立人が提出した各甲号証(甲1~10)の記載は、次のとおりである。 1 甲1について (1) 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある(下線は当審において付与した。以下、同様)。 (甲1ア) 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、X線又は超音波などの情報キャリアを被検体内に透入しこの情報キャリアの変化を計測して診断部位の医用画像を得る例えば超音波断層装置又はX線CT装置あるいは磁気共鳴イメージング装置などの医用画像診断装置に関し、特に上記得られた画像についてある特定の目的部位を認識して抽出するのが正確かつ容易、迅速に行える医用画像診断装置に関する。 ・・・ 【0005】そこで、本発明は、このような問題点に対処し、被検体内の診断部位を計測した医用画像についてある特定の目的部位を認識して抽出するのが正確かつ容易、迅速に行える医用画像診断装置を提供するのを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明による医用画像診断装置は、被検体内の診断部位について計測した画像データを出力する原画像供給部と、この原画像供給部からの画像データを入力しその画像中の目的部位を大まかに抽出する対象領域抽出手段と、人工的神経素子を入力層及び中間層並びに出力層の層構造をなすように結合してネットワークを構成し上記対象領域抽出手段からの対象領域の画像を入力して目的部位を認識するための大局情報を予測するニューラルネットワークと、このニューラルネットワークで予測された大局情報を用いて目的部位を認識しそのデータを出力する目的部位認識手段と、この目的部位認識手段から出力された認識結果のデータを入力して上記原画像供給部からの原画像と共にその認識結果を表示する画像表示部とを備えて成るものである。 ・・・ 【0008】 【作用】このように構成された医用画像診断装置は、原画像供給部から被検体内の診断部位について計測した画像データを出力し、対象領域抽出手段により上記原画像供給部から出力された画像データを入力しその画像中の目的部位を大まかに抽出し、人工的神経素子を入力層及び中間層並びに出力層の層構造をなすように結合してネットワークを構成すると共に出力層の入出力関数はリニア関数を用いたニューラルネットワークで上記対象領域抽出手段から出力された対象領域の画像を入力して目的部位を認識するための大局情報を予測し、目的部位認識手段により上記ニューラルネットワークで予測された大局情報を用いて目的部位を認識しそのデータを出力し、さらに画像表示部で上記目的部位認識手段から出力された認識結果のデータを入力して前記原画像供給部からの原画像と共にその認識結果を表示するように動作する。これにより、被検体内の診断部位を計測した医用画像についてある特定の目的部位を認識して抽出するのが正確かつ容易、迅速に行うことができる。」 (甲1イ) 「【0009】 【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による医用画像診断装置の実施例を示すブロック図である。この医用画像診断装置は、X線又は超音波などの情報キャリアを被検体内に透入しこの情報キャリアの変化を計測して診断部位の医用画像を得ると共にこの得られた画像についてある特定の目的部位を認識して抽出するもので、図に示すように、原画像供給部1と、対象領域抽出部2と、ニューラルネットワーク3と、目的部位認識部4と、画像表示部5とを備えて成る。 【0010】上記原画像供給部1は、被検体内の診断部位について計測した画像データを出力するもので、例えば超音波診断装置又はX線CT装置あるいは磁気共鳴イメージング装置などにおいて被検体を計測又は撮影する計測部、あるいは被検体について計測した画像データを記憶しておき必要に応じて読み出す記憶部などである。 【0011】対象領域抽出部2は、上記原画像供給部1から出力された画像データを入力しその画像中の目的部位(例えば心臓の左心室内腔)を大まかに抽出する手段となるもので、例えばマウスまたはトラックボールあるいはペンなどの入力装置で特定領域を手動入力したり、あるいは目的部位の画像特徴量により自動的に抽出するようになっている。 【0012】ニューラルネットワーク3は、上記対象領域抽出部2から出力された対象領域の画像を入力して目的部位を認識するための大局情報を予測するもので、人工的神経素子を入力層及び中間層並びに出力層の層構造をなすように結合してネットワークを構成すると共に出力層の入出力関数はリニア関数を用いて構成されている。すなわち、生物の神経素子の働きを模し図2に示すような多入力一出力の人工的神経素子6を多数用い、図3に示すように、この人工的神経素子6を入力層I及び中間層M並びに出力層Oの層構造をなすように結合してネットワークを構成することにより、信号処理及び情報処理の機能を実現するように構成されている。なお、図2において、符号7は人工的神経素子6の内部状態を出力信号に変換する際の特性を表す出力関数の存在を示し、また、図3において、符号8は入力層Iと中間層Mとを結ぶ枝を示し、符号9は中間層Mと出力層Oとを結ぶ枝を示している。そして、この図3に示すニューラルネットワーク3は、入力層Iに供給される入力パターン10を変換して出力層Oから出力パターン11として出力するようになっている。 【0013】ここで、上記中間層Mにおいては、入出力関数として、図4に示すように出力yが“0”と“1”の範囲内で単調非減少のシグモイド関数が用いられている。いま、中間層Mの内部ポテンシャルをU0とすると、シグモイド関数は次式のように表される。 [図:0001398319000001.jpg] そして、これを微分すると、 [図:0001398319000002.jpg] となり、もとのシグモイド関数で表現できるという特徴をもっている。 【0014】また、上記出力層Oにおいては、入出力関数として、上述のシグモイド関数の代りに図5に示すように出力yが直線的に増減するリニア関数が用いられている。いま、直線の傾きをlとすると、例えば次式のように表される。 y=1x+0.5 これを微分すると、 y′=1 となる。これにより、出力層Oからの出力は、アナログ的な値となる。 【0015】そして、図3に示すように構成されたニューラルネットワーク3の入力層I及び中間層M並びに出力層Oの各層にある人工的神経素子6,6,…と出力層Oの各神経素子に対する教師信号は、1次元の配列(ベクトル)で表すことができ、また、入力層Iから中間層Mへの結合係数(枝8に対応する)と中間層Mから出力層Oへの結合係数(枝9に対応する)は、2次元の配列(行列)で表すことができる。そこで、上記図3に示すニューラルネットワーク3における入出力関係は、図6に示すようなベクトルと行列の関係としても表現できる。図6において、各記号の意味は次のとおりである。 Ii:入力層Iの神経素子iの出力 Hj:中間層Mの神経素子jの出力 Ok:出力層Oの神経素子kの出力 Tk:出力層Oの神経素子kに対する教師信号 Wji:入力層Iの神経素子iから中間層Mの神経素子jへの結合係数 Vkj:中間層Mの神経素子jから出力層Oの神経素子kへの結合係数 θj:中間層Mの神経素子jのオフセット(しきい値) γk:出力層Oの神経素子kのオフセット(しきい値) α,β:定数 上述の図6に示すようなベクトルと行列の関係として表現された入出力関係は、アナログ出力用のバックプロパゲーションのアルゴリズムを示しており、出力層にリニア関数 [図:0001398319000003.jpg] を用いている。これにより、前述のように出力層Oからの出力は、アナログ的な値となる。 【0016】また、図1において、目的部位認識部4は、上記ニューラルネットワーク3で予測された大局情報を用いて目的部位を認識しそのデータを出力する手段となるもので、図示省略したがその内部には、前記原画像供給部1から出力される画像データを入力してそのヒストグラムから求めた所定のしきい値により“0”と“1”の2値に変換する2値化回路と、この2値化回路から出力される2値データと上記ニューラルネットワーク3から出力される大局情報とを入力してその大局情報をガイドとして“1”と“0”の白黒2値の境界を見い出し目的部位を認識するトラッキング手段とを備えている。 【0017】さらに、画像表示部5は、上記目的部位認識部4から出力された認識結果のデータを入力して前記原画像供給部1からの原画像と共にその認識結果を表示するもので、例えばテレビモニタから成る。」 (甲1ウ) 「【0018】次に、このように構成された医用画像診断装置において、得られた画像についてある特定の目的部位を認識して抽出する動作を図7を参照して説明する。まず、図1において、原画像供給部1から被検体内の診断部位について計測した画像データを出力する。これは、磁気共鳴イメージング装置などにより実際に計測したままのデータでもよいし、予め計測され記憶部に書き込まれたデータを読み出したものでもよい。いま、特定の目的部位を例えば心臓の左心室内腔とすると、上記原画像供給部1からの画像データは、目的部位認識部4を介して画像表示部5へ送られ、その画面には図7に示すように心臓の画像が表示される。 【0019】これと同時に、上記原画像供給部1からの画像データは、対象領域抽出部2へ入力する。この対象領域抽出部2では、上記表示された画像の特徴量により例えば心臓外壁をとらえ、その周りに図7に破線12で示すような対象領域外形線を描く。従って、この対象領域外形線12の中に目的部位としての左心室内腔が存在し、上記対象領域外形線12によって目的部位を大まかに抽出したことになる。なお、上記対象領域外形線12は、マウスまたはトラックボールなどにより操作者が手動で入力してもよい。 【0020】次に、上記対象領域抽出部2からの対象領域外形線12のデータは、ニューラルネットワーク3へ入力する。このニューラルネットワーク3では、上記入力された対象領域外形線12を用いて左心室内腔を認識するための近似関数のパラメータを決定し、図3に示す層構造をなすように結合してネットワークに構成された多層の人工的神経素子6,6,…により、目的部位としての左心室内腔に近似した大局情報を図7に一点鎖線13で示すように予測して出力する。このとき、上記予測した大局情報13は、アナログ値とされ、前述の対象領域外形線12よりは内側に入っている。 【0021】次に、上記ニューラルネットワーク3で予測された大局情報13は、目的部位認識部4へ入力する。この目的部位認識部4では、その内部の2値化回路により原画像供給部1から入力する画像データについて所定のしきい値により“0”と“1”の2値に変換し、トラッキング手段により上記2値画像について前記予測した大局情報13の原点S(x0,y0)から等角度ピッチごとに図7において画像の外側に向かって濃度値が“0”から“1”へ変化する点の位置をすべて検出し、上記大局情報13をガイドとして“1”と“0”の白黒2値の境界を見い出し、図7に実線14で示すように目的部位としての左心室内腔の輪郭を認識して抽出する。このとき、上記大局情報13をガイドとしてそこから大きく離れない範囲で白黒2値の境界を見い出し、左心室内腔14の輪郭を認識するので、従来のように境界をたどるのに迷走することはない。 【0022】そして、上記目的部位認識部4で抽出された認識結果の目的部位14を示すデータは、後段の画像表示部5へ入力し、その画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示される。これにより、診断に必要な特定の目的部位14を正しく且つ容易、迅速に表示することができる。」 (甲1エ)図1 [図:0001398319000004.jpg] (甲1オ)図3 [図:0001398319000005.jpg] (甲1カ)図6 [図:0001398319000006.jpg] (甲1キ)図7 [図:0001398319000007.jpg] (2)甲1に記載された発明 前記(1)の記載を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(各構成要素の末尾の括弧内に認定の根拠となる記載箇所を示す。)。 「 X線又は超音波などの情報キャリアを被検体内に透入しこの情報キャリアの変化を計測して診断部位の医用画像を得ると共にこの得られた画像についてある特定の目的部位を認識して抽出するもので、原画像供給部1と、対象領域抽出部2と、ニューラルネットワーク3と、目的部位認識部4と、画像表示部5とを備えて成る医用画像診断装置であって、(【0009】) 原画像供給部1は、被検体内の診断部位について計測した画像データを出力するもので、例えば超音波診断装置又はX線CT装置あるいは磁気共鳴イメージング装置などにおいて被検体を計測又は撮影する計測部、あるいは被検体について計測した画像データを記憶しておき必要に応じて読み出す記憶部などであり、(【0010】) 対象領域抽出部2は、原画像供給部1から出力された画像データを入力しその画像中の目的部位(例えば心臓の左心室内腔)を大まかに抽出し、(【0011】) ニューラルネットワーク3は、対象領域抽出部2から出力された対象領域の画像を入力して目的部位を認識するための大局情報を予測するもので、人工的神経素子を入力層及び中間層並びに出力層の層構造をなすように結合してネットワークを構成し、この人工的神経素子6を入力層I及び中間層M並びに出力層Oの層構造をなすように結合してネットワークを構成することにより、信号処理及び情報処理の機能を実現するように構成され、(【0012】) ニューラルネットワーク3の入力層I及び中間層M並びに出力層Oの各層にある人工的神経素子6,6,…と出力層Oの各神経素子に対する教師信号は、1次元の配列(ベクトル)で表すことができ、入力層Iから中間層Mへの結合係数(枝8に対応する)と中間層Mから出力層Oへの結合係数(枝9に対応する)は、2次元の配列(行列)で表すことができ、そこで、ニューラルネットワーク3における入出力関係は、図6に示すベクトルと行列の関係として表現でき、図6に示すベクトルと行列の関係として表現された入出力関係は、アナログ出力用のバックプロパゲーションのアルゴリズムを示しており、(【0015】) 目的部位認識部4は、ニューラルネットワーク3で予測された大局情報を用いて目的部位を認識しそのデータを出力し、(【0016】) 画像表示部5は、目的部位認識部4から出力された認識結果のデータを入力して原画像供給部1からの原画像と共にその認識結果を表示するものであり、(【0017】) このように構成された医用画像診断装置において、得られた画像についてある特定の目的部位を認識して抽出する動作については、いま、特定の目的部位を例えば心臓の左心室内腔とすると、原画像供給部1からの画像データは、目的部位認識部4を介して画像表示部5へ送られ、その画面には心臓の画像が表示され、(【0018】) これと同時に、原画像供給部1からの画像データは、対象領域抽出部2へ入力し、この対象領域抽出部2では、上記表示された画像の特徴量により例えば心臓外壁をとらえ、その周りに対象領域外形線を描き、(【0019】) 次に、対象領域抽出部2からの対象領域外形線12のデータは、ニューラルネットワーク3へ入力し、このニューラルネットワーク3では、目的部位としての左心室内腔に近似した大局情報を予測して出力し、(【0020】) 次に、ニューラルネットワーク3で予測された大局情報13は、目的部位認識部4へ入力し、この目的部位認識部4では、原画像供給部1から入力する画像データについて大局情報13をガイドとして目的部位としての左心室内腔の輪郭を認識して抽出し、(【0021】) 目的部位認識部4で抽出された認識結果の目的部位14を示すデータは、後段の画像表示部5へ入力し、その画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示される、(【0022】) 医用画像診断装置。 [図:0001398319000008.jpg] 図6において、各記号の意味は次のとおりである。 Ii:入力層Iの神経素子iの出力 Hj:中間層Mの神経素子jの出力 Ok:出力層Oの神経素子kの出力 Tk:出力層Oの神経素子kに対する教師信号 Wji:入力層Iの神経素子iから中間層Mの神経素子jへの結合係数 Vkj:中間層Mの神経素子jから出力層Oの神経素子kへの結合係数 θj:中間層Mの神経素子jのオフセット(しきい値) γk:出力層Oの神経素子kのオフセット(しきい値) α,β:定数」 2 甲2について 甲2には、以下の記載がある(原文を記載せずに、当審訳のみを記載する。当審訳の段落番号は、原文の段落番号に対応する。)。 (甲2ア) 「[0013] 表面の場合でさえ、血管(動脈、毛細血管、および静脈)は外科手術中に常に明確に視認できるわけではない。外科医が血管に近接して手術する場合、偶発的出血のリスクがある。かかる損傷は、手術を危うくする可能性があり、結果は悲惨であり得る。外科医がすぐに損傷に気付けば、外科医は凝固またはクリッピングを使用できるが、これらの選択肢の両方とも時間がかかり、凝固(例えば、単極または双極装置を使用)はチャーリング(charring)を引き起こす。本開示は、血管を、内視鏡、手術ロボット、または他の手術支援装置から(外科医が見る)ビデオストリーム上に強調表示し、従って、血管に対する偶発的損傷のリスクを低減することを目的とする。」 (甲2イ) 「[0019] 図のように、結合されたビデオデータは次いで、ディスプレイ109に送信され、ディスプレイ109は、結合されたビデオデータを受信するためにコントローラ(コンピュータ107内)に結合される。結合されたビデオデータの受信に応答して、ディスプレイ109は、一連の画像上に血管マスクを重ね合わせて、一連の画像(ビデオストリーム)を示し得る。これは、血管が明瞭に示されている(実線)が臓器は見えにくい(破線)、画像111として示されている。血管マスクは一連の画像上に重ね合わされ、(人体内では一般に見られない)緑などのような鮮やかな色を使用することによって強調され得る。当業者は、本開示の教示に従い、血管を強調するための任意の数の方法があることを理解するであろう。」 (甲2ウ) 「[0021] いくつかの実施形態では、コントローラは、血管の局所的な動きにおける異常を除去するために血管マスクをフィルタリングもし得る。例えば、フィルタリングは、ニューラルネットによって(例えば、放射碁底関数、自己組織化ネットワーク、学習ベクトル量子化、または同様のものを利用して)実行され得、ニューラルネットは、血管(例えば、血管の樹状構造特性)を認識するように訓練されている。」 3 甲3について 甲3には、以下の記載がある。 (甲3ア) 「【0002】 ボリューメトリック医用撮像における僅かに区別された領域を検出することは、読影医の手腕や経験に依存する場合がある。 【0003】 僅かに区別された領域を検出する一例として、急性脳卒中についての非造影コンピュータ断層撮影(NCCT)における、早期虚血性兆候の検出がある。この検出において、関心のある主な病変または複数の病変は、高吸収の血管(血栓)や、虚血や梗塞の領域を具備する可能性がある。ある状況下で、密集した血管は骨に近接することから、検出するのが困難になりうる。またある状況下では、虚血および/または梗塞は、輝度や質感の変化が微妙なので、検出するのが困難になりうる。脳における虚血および/または梗塞の領域は、CT画像において若干輝度が低い領域として見える可能性がある。皮質と白質との区別がつきにくくなる場合もある。」 (甲3イ) 「【0010】 本実施形態に係る医用画像処理装置10は、病変を検出するための検出器を訓練し、病変を検出するための検出器(分類器)28を使用するよう構成されており、図1に示されている。なお、本実施形態において、検出器28は、機械学習を行うプロセッサであり、血栓を検出するために訓練されている。また、検出器(分類器)28は、医用画像処理装置10内に必ずしも内蔵する必要はなく、例えば当該医用画像処理装置10にネットワークを介して接続されていてもよい。その他の実施形態で、検出器は例えば虚血性や任意のその他関連する病変など、任意の適切な異常性を検出するために訓練することが出来る。さらなる実施形態では、検出器は例えば組織運動や液体の流れなど、機能の指標となるような画像の解析のために訓練することが出来る。」 (甲3ウ) 「【0042】 解剖学的ランドマークは、たいてい生体構造(例えば、人体構造)において明確に定義された点である。解剖学的ランドマークは、骨、血管または臓器など解剖学的構造に関して、解剖学的に決めることが出来る。解剖学的ランドマークは、データセットに位置していてよく、そのデータセットの座標枠における座標のセットに割り当てることが出来る。解剖学的ランドマークの位置は、座標空間における点と見做すことが出来る。」 (甲3エ) 「【0061】 図5のステージ82で、アライメント部24は、ステージ80で検出された解剖学的ランドマークと参考ランドマーク34のセットとを使用して、訓練データセット30をアトラスデータセットにアライメントする。アライメント部24は、訓練データセット30におけるそれぞれ解剖学的ランドマークの決定された位置と、その位置に対応する参考ランドマークの位置と、の間の一致を判定する。アライメント部24は、訓練データセット30と、対応するランドマーク位置の間の関係性を使用するアトラスデータセットと、の剛体レジストレーションを実行する。例えば、アライメント部24は、訓練データセット30におけるランドマークの位置とアトラスデータセットにおける対応するランドマークの位置との間の距離を最小化する最小自乗法を使用して、訓練データセット30とアトラスデータセットとをアライメントすることが出来る。」 4 甲4について 甲4には、以下の記載がある。 (甲4ア) 「【0025】 2.対象と方法 本手法の原理概要 実施の形態に係る学習装置は、胸部X線像から腫瘤影を検出する装置である。図1は、学習処理の一連の流れを示すフローチャートである。腫瘤陰影像、非腫瘤陰影像を含む画像データベース画像に対し、コントラストと濃度を正規化し全画像の画質のバラつきをなくす。画像内の肺野領域をセグメントした後、LoG(Laplacian of Gaussian)フィルタ又はDoG(Difference of Gaussian)フィルタにより結節状陰影を選択的に強調する。高い感度を維持した状態で閾値処理を施し目的陰影を残す。残った陰影の中から深層畳み込みニューラルネットワーク(Deep Convolutional Neural Network:以下「DCNN」と記載する。)によって結節を選択し、結節以外の陰影を削除する。」 5 甲5について 甲5には、以下の記載がある。 (甲5ア) 「【0004】 上記特許文献1においては、生体の状態や病状の判断にあたって、病状の確認に利用される特殊領域以外の領域の特徴、例えば、組織の境界や該境界内部の領域の特徴は考慮されておらず、精度の良い境界認識も行われていない。しかしながら、組織の境界によって特定される該組織の形状や、境界によって区切られる領域ごと(内部領域及び外部領域)の特徴も、病理診断等においては重要な判断要素となることがある。例えば、繊維状組織や管状組織の境界を精度良く認識することができれば、それらの境界情報を種々の診断に利用できる、或いは新しい解剖学的知見が得られる可能性がある。」 (甲5イ) 「【0046】 続いて、核形状認識部151aは、核を表す画素と判定した画素群からなる領域、即ち核領域の形状を認識する。核領域の形状の認識方法としては、公知の種々の方法が挙げられる。具体的には、二値化法、p-タイル法、微分ヒストグラム法、モード法、可変閾値法、対応領域探索法、テンプレートマッチング法等の一般的画像解析方法や、動的輪郭法(スネーク法)、領域成長法(極値収束法、分水嶺法)、領域競合法、領域拡張法、分割・統合法、グラフカット法等の輪郭検出方法や、判別分析、因子分析、主成分分析、独立成分分析、決定木、ニューラルネットワーク、自己組織化マップ、ノンパラメトリック手法、遺伝的アルゴリズム、サポートベクターマシーン、ブースティング、ベイズ判別、機械学習、クラスタリング、クラシフィケーション等のパターン認識(識別)方法を用いることができる。 【0047】 実施の形態1においては、一例として、レベルセット(Level Set Method:LSM)法を用いて核領域の形状を認識する。LSM法とは、画像内において認識対象(例えば、核や繊維)と背景(認識対象外である血球、間質、上皮等)が明確に分離されていない状況であっても、認識対象と背景との境界を認識することができる技術である。LSM法においては、認識対象の輪郭(例えば、核領域の輪郭)の初期値を設定すると共に、エネルギー関数(又は評価関数)を設定し、該エネルギー関数が最小化されるように輪郭を更新することで、輪郭を初期値から認識対象の境界に近づける手法である。」 6 甲6について 甲6には、以下の記載がある(原文を記載せずに、当審訳のみを記載する。当審訳の段落番号は、原文の段落番号に対応する。)。 (甲6ア) 「[0002] 超音波スキャナは、典型的には、身体内の対象臓器若しくはその他の構造体を特定し、且つ/又は臓器/構造体のサイズ若しくは臓器内の流体の容積など、対象臓器/構造体に関連付けられた特徴を判定するため使用される。例えば、超音波スキャナは、患者の膀腕を特定し、膀脱内の流体の容積を推定するために使用される。典型的な事例では、超音波スキャナは、患者の上に配置され、特定の周波数での音波出力を含む超音波信号を生じるように始動される。超音波信号のエコーは、スキャナによって受信され、膀脱内の流体の容積を判定するために分析され得る。例えば、受信したエコーを使用して、分析して膀脱壁などの対象臓器の境界を検出できる対応する画像を生成することができる。次に、膀脱の容積は、検出された境界情報に基づいて推定され得る。しかし、通常の超音波スキャナは、患者によって関心の対象臓器のサイズ及び/又は形状が変わりやすいこと、対象臓器/構造体の境界を正確に検出することを難しくする身体内の障害など、複数の要因によって引き起こされる不正確性を被ることが多い。」 (甲6イ) 「[0015] 本明細書に記載された実装形態は、超音波スキャナを介して取得する情報に基づいて患者の関心の臓器又は構造体を特定するためにニューラル・ネットワーク及び深層学習を用いることを含む、機械学習を用いることに関する。例えば、スキャナを使用して、複数の超音波信号を対象臓器に向けて伝送することができ、伝送された信号に関連付けられたエコー情報を機械学習技術/アルゴリズムを用いて処理することができる。機械学習処理を使用して、関心の対象を特定することができ、受信した超音波エコー・データに基づいて生成された画像の各部分又は各画素に関連付けられた確率情報を生成することができる。」 7 甲7について 甲7には、以下の記載がある(原文を記載せずに、当審訳のみを記載する。)。 (甲7ア)第654頁右欄第27行~第43行 「包含基準は、標準的な白色光による画像、インジゴカーミンスプレーを使用した色素内視鏡検査、および狭帯域イメージング(NBI)であった。除外基準は、拡大された画像、および空気の吹き込みが少ない、生検後の出血、ハレーション、ぼかし、焦点ぼけ、または粘液に起因する低品質の画像であった。 選択後、組織学的に証明された2639の胃癌病変に関する13,584枚の画像が学習データセットとして収集された。すべての画像で少なくとも1つの胃癌病変が提示され、胃壁の角度、距離、及び範囲が異なる同じ病変に対して複数の画像が用意された。胃癌病変のすべての画像は、胃癌の専門家であり、日本消化器内視鏡学会の認定トレーナーである著者(TH)によって手動でマークされた。著者(TH)は、長方形のフレームを使用してがん病変の範囲を注意深くマークした(図1、2、3)。」 (甲7イ)第655頁図1とその説明 「 [図:0001398319000009.jpg] 図1 CNNの出力。a 中体部の小弯に胃癌のやや赤みがかった平坦な病変が出現している。 b 黄色い長方形の枠は、病変の可能性があり、胃がんが疑われる病変の範囲を示すために、CNNによってマークされたものである。内視鏡医が緑色の長方形の枠を用いて、がんの位置を手動でマークした。[0-IIc, 5mm, tub1, T1a(M)]」 (甲7ウ)第656頁右欄第1行~第3行 「胃がんの境界線が不明確な場合があったため、CNNが胃がんの部分病変を検出した場合を正解とした。」 8 甲8について 甲8には、以下の記載がある(原文を記載せずに、当審訳のみを記載する。)。 (甲8ア)第3頁右欄第17行~第26行 「病変が特定されると、その境界が明確でない場合でも、その境界を決定する必要がある。セグメンテーションは、読影者がどのボクセルが病変に属し、どのボクセルが属さないかを決定するプロセスである。セグメンテーションは、いくつかの理由で複雑である。組織学的に、病変の境界は鮮明であることもあれば、曖昧であることもある。臨床的に可能な標準的解像度のMRIで撮像した場合、病変境界の描出は、境界ボクセルの画像強度に複数の組織が影響する部分容積効果によって更に複雑になる。」 (甲8イ)第5頁右欄第21行~第23行 「教師あり学習:これらの方法は、手動セグメンテーションによって事前にセグメンテーションされたサンプル画像から病変の定義を学習する」 9 甲9について 甲9には、以下の記載がある。 (甲9ア)上段 「平成30年11月3日、三宮研修センター(神戸)において第12回先進内視鏡治療研究会(J-CASE)が開催され、情報システム工学科の徳安達士教授が『内視鏡外科におけるAI技術の応用』という題目で特別講演を行いました。J-CASEは従来の腹腔鏡下手術を上回る次世代の低侵襲手術手技といわれているNOTESの高度化と普及を目指して、年に一度,国内の気鋭の内視鏡外科医が集い白熱した議論が展開される研究会です。常にブレークスルーが求められている腹腔鏡下手術において、AI技術は可能性のひとつとして考えられており、今回、東京慈恵会医科大学の炭山教授が臨床医の立場より講演され、徳安教授は医用工学の立場から講演されました。」 (甲9イ)中段右側 「講演では、AI技術を内視鏡外科手術に応用すれば、すべての患者に優しい医療を提供できるようになること、人工知能の開発にはデータを手に入れることが重要であり、そのためには世界最高峰とされる日本人外科医の暗黙知をデータ化する技術開発が大切であることが述べられました。講演後、フロアから大きな拍手とともに、「内視鏡外科の未来を切り開く勇気と元気を頂ける話であった」「これからも連携を密に、多くの患者のための技術開発を進めて欲しい」というコメントがありました。」 (甲9ウ)下段左側 「徳安教授が大分大学とオリンパス株式会社とともに取り組んでいるAMED未来医療開発事業では、人工知能が術者の目となって、切除ラインを決定するために必要な種々のランドマークを術中に教示するという次世代型内視鏡システムの開発が行われています。同システムは、年内の臨床実験が予定されており、来月福岡国際会議場で開催される第31回日本内視鏡外科学会総会で発表される予定となっています。」 (甲9エ)下段右側 [図:0001398319000010.jpg] (甲9オ) (甲9イ)の「日本人外科医の暗黙知をデータ化する」、(甲9ウ)の「人工知能が術者の目となって、切除ラインを決定するために必要な種々のランドマークを術中に教示するという次世代型内視鏡システム」、及び(甲9エ)左下欄の「ランドマークを暗黙知する内視鏡外科医の教師データ創出と人工知能による術中教示システムの開発」という記載から、人工知能が術者の目となって、切除ラインを決定するために必要な種々のランドマークを術中に教示する内視鏡システムにおいて、日本人外科医の暗黙知であるランドマークをデータ化した教師データに基づく人工知能を備えていることが読み取れる。 (甲9カ) (甲9エ)右下の「種々のランドマークを術中教示するシステム」を説明する図において、処置具が含まれることから、人工知能に基づき予測した3つのランドマークが、臓器・組織の画像上に各々重畳された異なる位置・大きさの赤、青、緑の矩形枠として表示されていることが見て取れる。 10 甲10について 甲10には、以下の記載がある。 (甲10ア) 「[0005] また、例えばカプセル型内視鏡のようにインターバル撮影された画像群の場合、胃の幽門や大腸の回盲弁等のランドマークが写っている画像と写っていない画像とが存在する。そのため、ランドマークの学習用画像が不足するという問題点があった。」 (甲10イ) 「[0014](実施の形態1) 〔学習システムの構成〕 図1は、本発明の実施の形態1に係る学習システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態1に係る学習システム1は、一例として、被検体に挿入することによって被検体の体内を撮像する消化器内視鏡(軟性内視鏡や硬性内視鏡等の内視鏡スコープ)および被写体に飲み込まれて所定時間後に排出されるカプセル型内視鏡によって、被検体の管腔を撮像することにより取得された管腔内画像に基づいて学習を行う学習処理、認識を行う認識処理、胃の幽門や大腸の回盲弁等の臓器区分を表すランドマークの位置や臓器区分を分類するランドマーク処理を実行するシステムである。」 (甲10ウ) 「[0016] 〔消化器内視鏡画像データベース〕 消化器内視鏡画像データベース2は、ハードディスク等の記録媒体を用いて構成される。消化器内視鏡画像データベース2は、被検体に挿入可能な消化器内視鏡が第1フレームレートによって撮像した画像データ群(以下、「第1画像群」という)を記録するとともに、ランドマークを認識するための正解ラベル(以下、「第1正解ラベル」という)を記録する。ここで、第1フレームレートとは、例えば60fpsまたは30fpsのいずれかである。また、第1正解ラベルとは、画像認識装置4にランドマークを学習させるために消化器内視鏡によって撮像された画像群からランドマークが写る画像とそうでない画像を予め選択し、それぞれに付与した識別子(例えば:+1、-1)のことである。」 (甲10エ) 「[0042] このように画像認識装置4は、CNN50が消化器内視鏡画像群と第1正解ラベルとを用いて、消化器内視鏡画像群と第1正解ラベルとの誤差を小さくする誤差逆伝搬法によってパラメータの重みを更新するプレトレーニング(第1の学習)を行った後、CNN50がカプセル型内視鏡画像群と第2正解ラベルとを用いて、カプセル型内視鏡画像群と第2正解ラベルとの誤差を小さくする誤差逆伝搬法によってパラメータを更新するファインチューニング(第2の学習)を行う。その後、CNN50は、CNN50の中間出力をカプセル型内視鏡画像群のCNN特徴量として抽出する。続いて、SVM52は、CNN50によって抽出されたCNN特徴量と第2正解ラベルとを用いてカプセル型内視鏡画像群に対する入力画像の識別または認識対象物の検出を学習する(第3の学習)。そして、SVM52は、取得部41から入力される未知のカプセル型内視鏡画像群に対して分類または認識対象物の検出を行う。これにより、学習用画像が不足する認識対象に対して、高精度の画像認識を実現することができる。」 第5 当審の判断 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア (ア)甲1発明の「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、「得られた画像についてある特定の目的部位を認識して抽出する」ための一連の処理を行う部分であるから、本件発明1の「処理部」に相当する。 (イ)甲1発明の前記併せた部分の「ニューラルネットワーク3」部が、「目的部位」「に近似した大局情報を予測して出力」することは、「目的部位」「に近似した大局情報を」検出処理することであるから、本件発明1の「検出処理を行う」ことに相当する。 (ウ)甲1発明の「ニューラルネットワーク3における」「図6に示すベクトルと行列の関係として表現された入出力関係は、アナログ出力用のバックプロパゲーションのアルゴリズムを示して」いることから、甲1発明の「ニューラルネットワーク3」は、「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習されたものといえる。よって、甲1発明の「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」は、本件発明1の「学習済みモデル」に相当する。 (エ)上記(ア)~(ウ)の対比を踏まえると、甲1発明の「ニューラルネットワーク3」部が、「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」に基づき、「目的部位」「に近似した大局情報を予測して出力」する、「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、本件発明1の「学習済みモデルに基づく検出処理を行う処理部」に相当する。 イ 上記ア(ウ)の対比を踏まえると、甲1発明の「医用画像診断装置」が、「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」に基づく処理を行う「ニューラルネットワーク3」部を備えていることから、甲1発明が、本件発明1の「学習済みモデルを記憶する記憶部」に相当する構成を備えていることは明らかである。 ウ 上記ア(ウ)の対比を踏まえると、甲1発明の「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」は、「Tk:出力層Oの神経素子kに対する教師信号」に基づいて学習された「ニューラルネットワーク3」であることと、本件発明1の「前記学習済みモデルは、画像中に明確な位置形状が表示されない対象物が画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記対象物の位置形状を示すアノテーションが付された教師データに基づいて、前記学習用画像における前記対象物の位置形状を出力するように学習された学習済みモデルであ」ることとは、「前記学習済みモデルは、教師データに基づいて学習された学習済みモデルであ」る点で共通する。 エ (ア)甲1発明の「目的部位」は、本件発明1の「対象物」に相当するところ、甲1発明の「原画像供給部1」である「超音波診断装置又はX線CT装置あるいは磁気共鳴イメージング装置などにおいて」「撮影」された、「目的部位」を含む「被検体内の診断部位」の「原画像」は、本件発明1の「対象物が画角内に入るように撮像された検出用画像」に相当する。 (イ)甲1発明では、「いま、特定の目的部位を例えば心臓の左心室内腔とすると、原画像供給部1からの画像データは、目的部位認識部4を介して画像表示部5へ送られ、その画面には心臓の画像が表示され、 これと同時に、原画像供給部1からの画像データは、対象領域抽出部2へ入力し、この対象領域抽出部2では、上記表示された画像の特徴量により例えば心臓外壁をとらえ、その周りに対象領域外形線を描き、 次に、対象領域抽出部2からの対象領域外形線12のデータは、ニューラルネットワーク3へ入力し、このニューラルネットワーク3では、目的部位としての左心室内腔に近似した大局情報を予測して出力し、 次に、ニューラルネットワーク3で予測された大局情報13は、目的部位認識部4へ入力し、この目的部位認識部4では、原画像供給部1から入力する画像データについて大局情報13をガイドとして目的部位としての左心室内腔の輪郭を認識して抽出し、 目的部位認識部4で抽出された認識結果の目的部位14を示すデータは、後段の画像表示部5へ入力し、その画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示される」ことから、前記ア(ア)・(イ)及び前記(ア)の対比を踏まえると、 甲1発明の「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、「原画像供給部1」である「超音波診断装置又はX線CT装置あるいは磁気共鳴イメージング装置などにおいて」「撮影」された、「目的部位」を含む「被検体内の診断部位」の「原画像」に対して、前記併せた部分の「ニューラルネットワーク3」部で「目的部位」「に近似した大局情報を予測して出力し」、前記併せた部分の「目的部位認識部4」で「大局情報13をガイドとして目的部位」「の輪郭を認識し」、「認識結果の目的部位14を示すデータは、後段の画像表示部5」「の画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示される」ことと、 本件発明1の「前記処理部は、前記対象物が画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記対象物の位置形状を示す検出情報を出力し、前記検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させる」こととは、 「前記処理部は、対象物が画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記対象物の位置形状に関連した検出情報(甲1発明では「大局情報13」が対応)を出力する、及び前記対象物の位置形状を示す検出情報(甲1発明では「目的部位」「の輪郭を認識し」、「認識結果の目的部位14を示すデータ」が対応)を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させる」点で共通する。 オ 甲1発明の「医用画像診断装置」は、「情報処理の機能を実現する」「ニューラルネットワーク3」部を含むことから、本件発明1の「情報処理システム」に相当する。 (2)一致点・相違点 すると、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、次の各点で相違する。 (一致点) 「学習済みモデルを記憶する記憶部と、 前記学習済みモデルに基づく検出処理を行う処理部と、 を含み、 前記学習済みモデルは、 教師データに基づいて学習された学習済みモデルであり、 前記処理部は、 対象物が画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記対象物の位置形状に関連した検出情報を出力する、及び前記対象物の位置形状を示す検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させる、情報処理システム。」 (相違点1) 本件発明1では、学習済みモデルは、「画像中に明確な位置形状が表示されない対象物が画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記対象物の位置形状を示すアノテーションが付された」教師データに基づいて、「前記学習用画像における前記対象物の位置形状を出力するように」学習された学習済みモデルであり、処理部は、前記検出処理(学習済みモデルに基づく検出処理)を行うことで、「前記対象物(画像中に明確な位置形状が表示されない対象物)の位置形状を示す」検出情報を出力するのに対し、甲1発明では、「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」は、「Tk:出力層Oの神経素子kに対する教師信号」に基づいて学習された「ニューラルネットワーク3」であるものの、前記「教師信号」がどのような信号であるか、前記学習された「ニューラルネットワーク3」がどのような信号を出力するのか、不明であり、また、「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、前記併せた部分の「ニューラルネットワーク3」部で「目的部位」「に近似した大局情報を予測して出力」するものの、前記「大局情報」は、「目的部位」「の輪郭」「を示すデータ」ではない点。 (相違点2) 本件発明1では、処理部は、「前記検出情報(学習済みモデルに基づく検出処理を行うことで出力された、画像中に明確な位置形状が表示されない対象物の位置形状を示す検出情報)」を検出用画像に重畳して表示させるのに対し、甲1発明では、「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、前記併せた部分の「目的部位認識部4で」、「ニューラルネットワーク3」部が「予測」した「大局情報13をガイドとして目的部位」「の輪郭を認識し」、「認識結果の目的部位14を示すデータ」を、「後段の画像表示部5」「の画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示」させるものであり、すなわち、「原画像と共に表示」させるのは、「目的部位認識部4で」「認識」した「目的部位」「の輪郭」「を示すデータ」であって、「ニューラルネットワーク3」部で「予測」した「目的部位」「に近似した大局情報」ではない点。 (3)判断 前記相違点1について検討する。 ア 甲9(第4の9参照)には、「人工知能が術者の目となって、切除ラインを決定するために必要な種々のランドマークを術中に教示する内視鏡システムにおいて、日本人外科医の暗黙知であるランドマークをデータ化した教師データに基づく人工知能を備え、人工知能に基づき予測した3つのランドマークが、臓器・組織の画像上に各々重畳された、異なる位置・大きさの赤、青、緑の矩形枠として表示される」という技術的事項が記載されている。 しかし、甲9に記載された技術的事項において、教師データとした暗黙知のランドマークが、「画像中に明確な位置形状が表示されない対象物」であるとまではいえないことから、人工知能に基づき予測した3つのランドマークとして表示される、赤、青、緑の矩形枠が、「画像中に明確な位置形状が表示されない」「対象物の位置形状を示す検出情報」であるとはいえない。 仮にそうであるとしても、甲9に記載された技術的事項においては、教師データが、暗黙知のランドマークをデータ化したものである旨の記載にとどまることから、教師データが、「画像中に明確な位置形状が表示されない対象物が画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記対象物の位置形状を示すアノテーションが付された」ものであるとはいえない。 したがって、甲9には、前記相違点1に係る本件発明1の構成について記載されているとはいえない。 イ また、甲7(第4の7参照)には、「2639の胃癌病変に関する13,584枚の画像が学習データセットとして収集され、日本消化器内視鏡学会の認定トレーナーである著者(TH)は、長方形のフレームを使用してがん病変の範囲をマークし、CNNによってマークされた、胃がんが疑われる病変の範囲を示す黄色い長方形の枠と、内視鏡医ががんの位置を手動でマークした緑色の長方形の枠とを、中体部の小弯の同じ画像に表示する」という技術的事項が記載されている。 しかし、甲7に記載された技術的事項においては、内視鏡医が手動でマークした病変、及びCNNによってマークされた病変が、「画像中に明確な位置形状が表示されない対象物」であるとまではいえないことから、黄色い長方形の枠が、「画像中に明確な位置形状が表示されない」「対象物の位置形状を示す検出情報」であるとはいえず、また、学習データセットが、「画像中に明確な位置形状が表示されない対象物が画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記対象物の位置形状を示すアノテーションが付された」ものであるともいえない。 したがって、甲7には、前記相違点1に係る本件発明1の構成について記載されているとはいえない。 ウ そして、甲2~6、8及び10には、前記相違点1に係る本件発明1の構成について記載も示唆もされていないし、前記相違点1に係る本件発明1の構成が、本件出願時における周知技術といえる証拠もない。 エ よって、前記相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2~10に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることではない。 (4)小括 したがって、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲2~10に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を減縮した発明であり、前記相違点1に係る本件発明1の構成を備えるものであるから、本件発明2は、本件発明1と同じ理由により、甲1発明及び甲2~10に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 本件発明14について (1)対比 本件発明14と甲1発明とを対比する(詳細は、必要に応じて前記1(1)を参照)。 ア 甲1発明の「ニューラルネットワーク3」部が、「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」に基づき、「目的部位」「に近似した大局情報を予測して出力」する、「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、本件発明14の「学習済みモデルに基づく検出処理を行う処理部」に相当する。 イ 甲1発明が、本件発明14の「学習済みモデルを記憶する記憶部」に相当する構成を備えていることは明らかである。 ウ 甲1発明の「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」は、「Tk:出力層Oの神経素子kに対する教師信号」に基づいて学習された「ニューラルネットワーク3」であることと、本件発明14の「前記学習済みモデルは、内視鏡手術の手順において用いられるランドマークが画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記ランドマークの位置形状を示すアノテーションが付された教師データに基づいて、前記学習用画像における前記ランドマークの位置形状を出力するように学習された学習済みモデルであ」ることとは、「前記学習済みモデルは、教師データに基づいて学習された学習済みモデルであ」る点で共通する。 エ (ア)甲1発明の「目的部位」は、画像中の注目すべき目印という見方もできることから、本件発明14の「ランドマーク」に相当するといえるところ、甲1発明の「原画像供給部1」である「超音波診断装置又はX線CT装置あるいは磁気共鳴イメージング装置などにおいて」「撮影」された、「目的部位」を含む「被検体内の診断部位」の「原画像」は、本件発明14の「ランドマークが画角内に入るように撮像された検出用画像」に相当する。 (イ)甲1発明では、「いま、特定の目的部位を例えば心臓の左心室内腔とすると、原画像供給部1からの画像データは、目的部位認識部4を介して画像表示部5へ送られ、その画面には心臓の画像が表示され、 これと同時に、原画像供給部1からの画像データは、対象領域抽出部2へ入力し、この対象領域抽出部2では、上記表示された画像の特徴量により例えば心臓外壁をとらえ、その周りに対象領域外形線を描き、 次に、対象領域抽出部2からの対象領域外形線12のデータは、ニューラルネットワーク3へ入力し、このニューラルネットワーク3では、目的部位としての左心室内腔に近似した大局情報を予測して出力し、 次に、ニューラルネットワーク3で予測された大局情報13は、目的部位認識部4へ入力し、この目的部位認識部4では、原画像供給部1から入力する画像データについて大局情報13をガイドとして目的部位としての左心室内腔の輪郭を認識して抽出し、 目的部位認識部4で抽出された認識結果の目的部位14を示すデータは、後段の画像表示部5へ入力し、その画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示される」ことから、前記ア及び前記(ア)の対比を踏まえると、 甲1発明の「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、「原画像供給部1」である「超音波診断装置又はX線CT装置あるいは磁気共鳴イメージング装置などにおいて」「撮影」された、「目的部位」を含む「被検体内の診断部位」の「原画像」に対して、前記併せた部分の「ニューラルネットワーク3」部で「目的部位」「に近似した大局情報を予測して出力し」、前記併せた部分の「目的部位認識部4」で「大局情報13をガイドとして目的部位」「の輪郭を認識し」、「認識結果の目的部位14を示すデータは、後段の画像表示部5」「の画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示される」ことと、 本件発明14の「前記処理部は、前記ランドマークが画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記ランドマークの位置形状を示す検出情報を出力し、前記検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させる」こととは、 「前記処理部は、ランドマークが画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記ランドマークの位置形状に関連した検出情報(甲1発明では「大局情報13」が対応)を出力する、及び前記ランドマークの位置形状を示す検出情報(甲1発明では「目的部位」「の輪郭を認識し」、「認識結果の目的部位14を示すデータ」が対応)を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させる」点で共通する。 オ 甲1発明の「医用画像診断装置」は、「情報処理の機能を実現する」「ニューラルネットワーク3」部を含むことから、本件発明14の「情報処理システム」に相当する。 (2)一致点・相違点 すると、本件発明14と甲1発明とは、次の点で一致し、次の各点で相違する。 (一致点) 「学習済みモデルを記憶する記憶部と、 前記学習済みモデルに基づく検出処理を行う処理部と、 を含み、 前記学習済みモデルは、 教師データに基づいて学習された学習済みモデルであり、 前記処理部は、 ランドマークが画角内に入るように撮像された検出用画像に対して前記検出処理を行うことで、前記ランドマークの位置形状に関連した検出情報を出力する、及び前記ランドマークの位置形状を示す検出情報を前記検出用画像に重畳して表示部に表示させる、情報処理システム。」 (相違点3) 本件発明14は、学習済みモデルは、「内視鏡手術の手順において用いられるランドマークが画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記ランドマークの位置形状を示すアノテーションが付された」教師データに基づいて、「前記学習用画像における前記ランドマークの位置形状を出力するように」学習された学習済みモデルであり、処理部は、前記検出処理(学習済みモデルに基づく検出処理)を行うことで、「前記ランドマーク(内視鏡手術の手順において用いられるランドマーク)の位置形状を示す」検出情報を出力するのに対し、甲1発明では、「図6に示す」「アルゴリズム」に従って学習された「ニューラルネットワーク3」は、「Tk:出力層Oの神経素子kに対する教師信号」に基づいて学習された「ニューラルネットワーク3」であるものの、前記「教師信号」がどのような信号であるか、前記学習された「ニューラルネットワーク3」がどのような信号を出力するのか、不明であり、また、「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、前記併せた部分の「ニューラルネットワーク3」部で「目的部位」「に近似した大局情報を予測して出力」するものの、前記「大局情報」は、「目的部位」「の輪郭」「を示すデータ」ではない点。 (相違点4) 本件発明14では、処理部は、「前記検出情報(学習済みモデルに基づく検出処理を行うことで出力された、内視鏡手術の手順において用いられるランドマークの位置形状を示す検出情報)」を検出用画像に重畳して表示させるのに対し、甲1発明では、「対象領域抽出部2」、「ニューラルネットワーク3」部及び「目的部位認識部4」を併せた部分は、前記併せた部分の「目的部位認識部4で」、「ニューラルネットワーク3」部が「予測」した「大局情報13をガイドとして目的部位」「の輪郭を認識し」、「認識結果の目的部位14を示すデータ」を、「後段の画像表示部5」「の画面に原画像供給部1からの原画像と共に表示」させるものであり、すなわち、「原画像と共に表示」させるのは、「目的部位認識部4で」「認識」した「目的部位」「の輪郭」「を示すデータ」であって、「ニューラルネットワーク3」部で「予測」した「目的部位」「に近似した大局情報」ではない点。 (3)判断 前記相違点3について検討する。 ア 甲9に記載された技術的事項(前記1(3)ア参照)においては、内視鏡システムにおいて人工知能が術者の目となって、切除ラインを決定するために必要な種々のランドマークが、「内視鏡手術の『手順』において用いられるランドマーク」であるとまではいえないことから、人工知能に基づき予測した3つのランドマークとして表示される、赤、青、緑の矩形枠が、「内視鏡手術の手順において用いられるランドマークの位置形状を示す検出情報」であるとはいえない。 仮にそうであるとしても、甲9に記載された技術的事項においては、教師データが、暗黙知のランドマークをデータ化したものである旨の記載にとどまることから、教師データが、「内視鏡手術の手順において用いられるランドマークが画角内に入るように撮像された学習用画像に対して、前記ランドマークの位置形状を示すアノテーションが付された」ものであるとはいえない。 したがって、甲9には、前記相違点3に係る本件発明1の構成について記載されているとはいえない。 イ また、甲2~8及び10には、前記相違点3に係る本件発明14の構成について記載も示唆もされていないし、前記相違点3に係る本件発明14の構成が、本件出願時における周知技術といえる証拠もない。 ウ よって、前記相違点3に係る本件発明14の構成は、甲1発明及び甲2~10に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることではない。 (4)小括 したがって、本件発明14は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲2~10に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4 本件発明16及び18について 本件発明16及び18は、本件発明1に対応する、コンピュータを機能させる学習済みモデル及び情報処理方法の発明であり、前記相違点1に係る本件発明1の構成に対応する構成を備えるものである。 よって、本件発明16及び18は、本件発明1と同じ理由により、甲1発明及び甲2~10に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した申立理由及び証拠によっては、本件請求項1、2、14、16及び18に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2、14、16及び18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700224

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