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特許異議申立

2023-700209

固形粉末化粧料

審判番号
2023-700209
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-116171
登録番号
7129237
請求日
2023年02月22日
審決日
2023年11月17日
公報発行日
2024年02月22日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】花王株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人アルガ特許事務所
  • 【異議申立人】張 迪
  • 【異議申立人】高野 千也子
審判長/審判官
  • 審判長 阪野 誠司
  • 審判官 野田 定文
  • 審判官 井上 典之
分類
P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.161-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条の2、特許法第126条第5項、特許法第17条の2、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7129237号発明「固形粉末化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7129237号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第7129237号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7129237号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成30年6月19日に出願され、令和4年8月24日にその特許権の設定登録がされ、同年9月1日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和5年2月22日に、特許異議申立人 張 迪(以下「申立人A」という。)により特許異議の申立てがされ、同年同月28日に、特許異議申立人 高野 千也子(以下「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされ、当審合議体は、同年5月26日付けで取消理由を通知した。これに対し、特許権者は、その指定期間内である同年7月26日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。その後、同年8月4日付けで訂正の請求があった旨の通知が申立人A及び申立人Bにされ、申立人Bからは指定した期間内に応答はなく、申立人Aは同年同月28日に指定期間の1カ月の延長を求めたが、当審合議体は延長を許可しない旨を同年9月1日付けで通知したところ、申立人Aからの応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨及び訂正の内容 令和5年7月26日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7129237号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める。」というものであり、その内容は以下の訂正事項1及び2のとおりである(下線は訂正による変更箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 本件訂正前の請求項1に、 「体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、酸化亜鉛及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」 と記載されているのを、 「体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」 と訂正する。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。 (2) 訂正事項2 本件訂正前の請求項3に、 「無機粉体が酸化亜鉛を含む」 と記載されているのを、 「無機粉体がシリコーン処理酸化亜鉛を含む」 と訂正する。 請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4及び5も同様に訂正する。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~5において、請求項2~5は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 また、本件訂正前の請求項3~5において、請求項4及び5は、請求項3の記載を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1~5〕に対して請求されたものである。 3 訂正の目的の適否 (1) 訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1に記載の「無機粉体」である「酸化亜鉛」及び「酸化チタン」について、それぞれ、「シリコーン処理酸化亜鉛」及び「シリコーン処理酸化チタン」として、「シリコーン処理」されたものに特定し限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2は、請求項3に記載の「無機粉体」が含む「酸化亜鉛」について、「シリコーン処理酸化亜鉛」として、「シリコーン処理」されたものに特定し限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 4 新規事項の追加の有無 (1) 訂正事項1について 本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下「本件明細書等」という。)には、酸化亜鉛及び酸化チタンの疎水化処理についての一般的な説明(摘記(A))、並びに、複合有機球状粉体の具体的な製造例及び固形粉末化粧料の実施例(摘記(B))として、以下の記載がある(なお、「・・・」は摘記の省略を表し、下線の一部は当審合議体が追記した。以下、引用文献等の摘記についても同様。)。 摘記(A) 「【0014】 これらの酸化亜鉛、酸化チタンは、伸びを向上させる観点から、疎水化処理したものを用いることが好ましい。 疎水化処理としては、シリコーン処理、フッ素処理、脂肪酸処理、N-アシルアミノ酸処理等が挙げられる。シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、アルキルアルコキシシラン処理としては、トリエトキシカプリリルシラン処理が挙げられ、フッ素処理としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、脂肪酸処理としては、ステアリン酸処理、ミリスチン酸処理等が挙げられ、N-アシルアミノ酸処理としては、ラウロイルリジン処理、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa処理、ステアロイルグルタミン酸2Na処理、ラウロイルアスパラギン酸Na処理等が挙げられる。 疎水化処理としては、伸びを向上させる観点から、シリコーン処理が好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理がより好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、トリエトキシカプリリルシラン処理がさらに好ましい。」 摘記(B) 「【0036】 ・・・ 【実施例】 【0037】 製造例1 数平均粒子径35nmのトリエトキシカプリリルシラン4質量%処理酸化亜鉛(テイカ社製:MZX-304OTS(MZ-300(数平均粒子径35nm)に4質量%トリエトキシカプリリルシラン処理したもの))40部と、体積平均粒子径8.6μmのポリメタクリル酸メチル(アイカ工業社製:GANZPEARL GMP-0820)60部を高速ヘンシェルミキサーに投入する。周速40m/秒で3分間混合し、次いで、周速83m/秒、遠心効果5000Gの高速回転で、処理を継続し、複合有機球状粉体を得た(体積平均粒子径:8.6μm、(有機球状粉体/無機粉体)=60/40=1.5)。 【0038】 製造例2 数平均粒子径25nmのメチルハイドロジェンポリシロキサン3質量%処理酸化亜鉛(住友大阪セメント社製:ZnO-650に3質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの)40部と、体積平均粒子径7.5μmのナイロンパウダー(住友エンバイロメンタルサイエンス社製:ナイロン HK-5000)60部を粗混合した後、ハイブリダイゼーションシステム NHS-3-2L(奈良機械製作所社製)を用い、周速80m/秒で複合化を行い、複合有機球状粉体を得た(体積平均粒子径:8.0μm、(有機球状粉体/無機粉体)=60/40=1.5)。 【0039】 製造例3 数平均粒子径50nmのメチルハイドロジェンポリシロキサン2質量%処理酸化チタン(テイカ社製:MT-600Bに2質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの)40部と、体積平均粒子径5μmのナイロンパウダー(東レ社製:SP-500)60部を粗混合した後、ハイブリダイゼーションシステム NHS-3-2L(奈良機械製作所社製)を用い、周速80m/秒で複合化を行い、複合有機球状粉体を得た(体積平均粒子径:5μm、(有機球状粉体/無機粉体)=60/40=1.5)。 【0040】 実施例1~9、比較例1~2 表1に示す組成の固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を製造し、固形粉末化粧料の表面を擦った後の状態、塗布中の伸ばしやすさ、塗布後の肌の粉っぽくない仕上がり及び塗布後の肌のきめ細かい仕上がりを評価した。結果を表1に併せて示す。 【0041】 (製造方法) 成分(A)、(B)及び(D)を含むすべての粉体成分を混合・粉砕した後、成分(C)を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕した。ここで得られた粉砕物を、容器に充填し、充填量10.0g、成型圧1500kgfで成型して、固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を得た。 【0042】 (評価方法) (1)固形粉末化粧料の表面を擦った後の状態: 専門評価者5人が、各固形粉末化粧料の表面をスポンジ(ソフィーナ プリマヴィスタ きれいな素肌質感パウダーファンデーションに付属のスポンジ、花王社製)で30回擦った後、表面の状態を、目視により、以下の4段階で評価した。結果は、専門評価者5人の合計点で示した。 4:凝集物が全く見られない。 3:凝集物がほとんど見られない。 2:凝集物がやや見られる。 1:凝集物がかなり見られる。 【0043】 (2)塗布中の伸ばしやすさ: 専門評価者5人が、各固形粉末化粧料をスポンジにつけて肌に伸ばしたときの伸ばしやすさを、以下の4段階で評価した。結果は、専門評価者5人の合計点で示した。 4:伸びがとても良い。 3:伸びが良い。 2:伸びがやや良くない。 1:伸びがあきらかに良くない。 【0044】 (3)塗布後の肌の粉っぽくない仕上がり: 専門評価者5人が、各固形粉末化粧料をスポンジにつけて肌に塗布した後、肌の粉っぽくない仕上がりについて、以下の4段階で評価した。結果は、専門評価者5人の合計点で示した。 4:粉っぽさが全く見られない。 3:粉っぽさがほとんど見られない。 2:粉っぽさがやや見られる。 1:粉っぽさがあきらかに見られる。 【0045】 (4)塗布後の肌のきめ細かい仕上がり: 専門評価者5人が、各固形粉末化粧料をスポンジにつけて肌に塗布した後、肌のきめ細かい仕上がりについて、以下の4段階で評価した。結果は、専門評価者5人の合計点で示した。 4:肌がとてもきめ細かい。 3:肌がきめ細かい。 2:肌がややきめ細かくない。 1:肌があきらかにきめ細かくない。 【0046】 【表1】 [図:0001406700000001.jpg] 」 上記摘記(A)によると、本件明細書等において、「酸化亜鉛」及び「酸化チタン」は、「疎水化処理したものを用いることが好ましい」とされ、「疎水化処理としては、シリコーン処理」が挙げられており、さらに、「シリコーン処理」として「メチルハイドロジェンポリシロキサン処理」及び「トリエトキシカプリリルシラン処理」が例示されている。そして、上記摘記(B)によれば、本件明細書等に記載の製造例1~3において、それぞれ、「トリエトキシカプリリルシラン処理酸化亜鉛」、「メチルハイドロジェンポリシロキサン処理酸化亜鉛」及び「メチルハイドロジェンポリシロキサン処理酸化チタン」が調製されており、これらはいずれもシリコーン処理酸化亜鉛又はシリコーン処理酸化チタンに該当するものである。 したがって、「無機粉体」である「酸化亜鉛」及び「酸化チタン」を、それぞれ、「シリコーン処理酸化亜鉛」及び「シリコーン処理酸化チタン」とする限定は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。 したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (2) 訂正事項2について 請求項3の「無機粉体」が含む「酸化亜鉛」を、「シリコーン処理酸化亜鉛」とする限定は、上記(1)で示したとおり、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。 したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 5 実質上特許請求の範囲の拡張・変更の有無 上記3及び4で検討したとおり、訂正事項1及び2は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1及び2による訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 6 独立特許要件について 本件特許異議申立事件においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~5に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、訂正事項1~2による訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるが、訂正後の請求項1~5に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 7 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~5に係る発明(以下、各請求項に係る発明を請求項の番号順に「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5(以下、請求項の番号順に「本件請求項1」等という)に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(下線は訂正による変更箇所を示す。)。 「 【請求項1】 次の成分(A)、(B)及び(C): (A)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体 1~30質量%、 (B)窒化ホウ素 0.5~30質量%、 (C)25℃で液状の油成分 0.1~30質量% を含有し、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.5~20である固形粉末化粧料。 【請求項2】 成分(A)において、有機球状粉体が、球状ポリメタクリル酸メチル、球状シリコーン及び球状ナイロンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の固形粉末化粧料。 【請求項3】 成分(A)において、無機粉体がシリコーン処理酸化亜鉛を含む請求項1又は2記載の固形粉末化粧料。 【請求項4】 成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)が、0.1~10である請求項1~3のいずれか1項記載の固形粉末化粧料。 【請求項5】 さらに、(D)疎水化処理された着色顔料を含有する請求項1~4のいずれか1項記載の固形粉末化粧料。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 (1) 申立人Aが申し立てた理由 申立人Aは、その特許異議申立書において、請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由として、以下の(A1)及び(A2)に概要を示す申立ての理由を主張するとともに、証拠方法として、以下の(3)に示す甲第1~4号証(以下、それぞれ番号順に「甲A1」等ということがある。)を提出した。 (A1) 申立理由A1(特許法第29条第1項第3号:新規性) (A1-1) 申立理由A1-1 訂正前の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1、2、4及び5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (A1-2) 申立理由A1-2 訂正前の請求項1~3及び5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~3及び5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (A2) 申立理由A2(特許法第29条第2項:進歩性) (A2-1) 申立理由A2-1 訂正前の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A1、甲A3及び甲A4に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (A2-2) 申立理由A2-2 訂正前の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A2、甲A3及び甲A4に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2) 申立人Bが申し立てた理由 申立人Bは、その特許異議申立書において、請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由として、以下の(B1)~(B4)に概要を示す申立ての理由を主張するとともに、証拠方法として、以下の(3)に示す甲第1~8号証(以下、それぞれ番号順に「甲B1」等ということがある。)を提出した。 (B1) 申立理由B1(特許法第29条第1項第3号:新規性) 訂正前の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1、2、4及び5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (B2) 申立理由B2(特許法第29条第2項:進歩性) (B2-1) 申立理由B2-1 訂正前の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B1に記載された発明、並びに、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B2及び甲B4~甲B8に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (B2-2) 申立理由B2-2 訂正前の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B2に記載された発明、並びに、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B1及び甲B4~甲B8に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (B2-3) 申立理由B2-3 訂正前の請求項1~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B5に記載された発明、並びに、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B1、甲B2、甲B4及び甲B6~甲B8に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (B3) 申立理由B3(特許法第29条の2:拡大先願) 訂正前の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、本件特許の出願後に甲B3として出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、本件特許の出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1、2、4及び5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (B4) 申立理由B4(特許法第36条第6項第1号:サポート要件) 「無機粉体(酸化亜鉛又は酸化チタン)に対する有機球状粉体の質量割合(有機球状粉体/無機粉体)」について、本件明細書に記載の【実施例】の製造例1~3では、1.5の1点のみが開示され、本件特許の出願時の技術常識に基づいても、当該1.5以外の範囲の訂正前の請求項1~5に係る発明にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、訂正前の請求項1~5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、訂正前の請求項1~5に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (3) 甲号証一覧 甲A1:特開2018-16576号公報(下記「甲B1」と同じ文献) 甲A2:特開2006-151918号公報 甲A3:特開2012-229168号公報(下記「甲B4」と同じ文献) 甲A4:特開2015-101555号公報(下記「甲B2」と同じ文献) 甲B1:特開2018-16576号公報(上記「甲A1」と同じ文献) 甲B2:特開2015-101555号公報(上記「甲A4」と同じ文献) 甲B3:特開2019-178118号公報 甲B4:特開2012-229168号公報(上記「甲A3」と同じ文献) 甲B5:特開2013-209346号公報 甲B6:国際公開第2012/046798号 甲B7:特開2005-330210号公報 甲B8:特開2007-238497号公報 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、当審合議体が令和5年5月26日に特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1) 取消理由1(新規性) 本件請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1、2、4及び5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (2) 取消理由2-1(進歩性) 本件請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1、2、4及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (3) 取消理由2-2(進歩性) 本件請求項1及び3~5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び3~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (4) 取消理由3(拡大先願) 本件請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願の日前の他の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開がされた引用出願3の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が引用出願3に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が引用出願3の出願人と同一でもないから、本件請求項1、2、4及び5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 <引用文献等一覧> 引用文献1:特開2018-16576号公報(甲A1及び甲B1と同じ文献。以下「(甲A1=甲B1)」と表記し付記することがある。) 引用文献2:特開2006-151918号公報(甲A2と同じ文献。以下「(甲A2)」と付記することがある。)及びその特許出願の平成19年5月11日提出の手続補正書の「特許法第17条の2の規定による補正の掲載」(平成19年6月28日発行) 引用出願3:特願2018-69538号(特開2019-178118号公報(甲B3と同じ文献。以下「(甲B3)」と付記することがある。) 参考技術情報4:有限会社ハヤテマテリアル,“製品案内 FTO60-NL”,[online],令和5年5月22日検索,インターネット,<URL: https://www.hayatematerial.com/cont2/5.html> 参考技術情報5:有限会社ハヤテマテリアル,“製品案内 MTXO70-NL”,[online],令和5年5月22日検索,インターネット,<URL: https://www.hayatematerial.com/cont2/7.html> (当審注:参考技術情報4及び5は、参考となる電子的技術情報である。) 第5 当審における判断 当審合議体は、上記取消理由通知で通知した理由並びに申立人A及びBの申立て理由によっては、本件請求項1~5に係る特許は取り消されるべきものではないと判断する。 その理由は次のとおりである。 1 引用文献、引用出願、参考技術情報及び甲号証の記載事項 上記第4の2に列記した引用文献、引用出願及び参考技術情報、並びに、上記第4の1(3)の各甲号証について、取消理由及び特許異議申立理由の判断に必要な範囲で記載事項を以下に摘記する。引用文献と申立人Aが提出した甲号証及び/又は申立人Bが提出した甲号証が同じ文献である場合には、例えば、「(甲A1=甲B1)」等と表記して付記し、同じ項目で摘記する。 (1) 引用文献1(甲A1=甲B1)の記載事項 摘記(1a) 「【請求項3】 粉体成分及び油性成分を含有する固形粉末化粧料であって、 前記油性成分が、(A)25℃で液状であり、分子量が300~600及びIOB値が0.5以下のエステル油、及び(B)ミツロウを含み、 前記粉体成分が、(C)疎水性粉体を含む、固形粉末化粧料。」 摘記(1b) 「【0023】 粉体成分としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、特に制限なく用いることができる。粉体の形状についても特に限定されず、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造を有していてもよい。 【0024】 粉体成分としては、例えば、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、複合粉体類、金属石鹸等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、コンジョウ、グンジョウ、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化珪素、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、パウダー、N-アシルリジンパウダー、等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が挙げられる。 【0025】 粉体成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 【0026】 本実施形態の固形粉末化粧料においては、撥水性を更に向上できる観点から、粉体成分が疎水性粉体((C)成分という場合もある)を含むことが好ましい。 【0027】 疎水性粉体としては、粉体表面が疎水性を示すものであればよく、それ自体が疎水性である粉体、並びに、親水性粉体の表面を通常公知の疎水化処理剤により処理した粉体及び疎水性をより高めるためにそれ自体が疎水性である粉体を更に疎水化処理剤により処理した粉体等の疎水化処理粉体が挙げられる。このうち、それ自体が疎水性である疎水性粉体としては、例えば、ポリスチレン粉末、ポリエチレン粉末、N-アシルリジン粉末、エポキシ樹脂粉末等の有機樹脂粉末、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉末等が挙げられる。 【0028】 疎水化処理粉体としては、化粧料に用いられる粉体を、シリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸等の物質にて、公知の方法で疎水化処理したものが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。」 摘記(1c) 「【0032】 本実施形態において、油性成分は、(A)25℃で液状であり、分子量が300~600及びIOB値が0.5以下のエステル油((A)成分という場合もある)、及び(B)ミツロウ((B)成分という場合もある)を含むことが好ましい。これらの成分を組み合わせることにより、固形粉末化粧料を水が含まれる分散液を用いる湿式製法により製造する場合に均一なスラリー状態を得ることができ、成型性が向上するとともに、使用性及び耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料を実現することができる。 【0033】 (A)成分としては、例えば、パルミチン酸オクチル(MW:368、IOB:0.13)、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(MW:471、IOB:0.35)、ステアリン酸オクチル(MW:390、IOB:0.12)、エチルヘキサン酸セチル(MW:369、IOB:0.13)、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(MW:357、IOB:0.47)、などが挙げられる。 【0034】 本明細書において、IOB値とは有機概念図に基づき求められる無機性値及び有機性値の比を表わすものとして周知のものであり、油性基剤の極性の度合いを表し、下記の式(I)で表される。 IOB=無機性値(IV)/有機性値(OV) (I) 具体的には、「有機化合物の予測と有機概念図」、藤田(化学の領域11-10)、1957年、p.719~725、「有機概念図による乳化処方設計」日本エマルジョン株式会社、矢口、1985年、p.98に従って、上記(I)式によりIOBを求めることができる。 【0035】 (A)成分は、使用性、成型性の観点から、分子量が300~500であることが好ましい。 【0036】 (A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。」 摘記(1d) 「【実施例】 【0064】 以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。なお、表中の数値は、化粧料基材全量(水以外の成分の合計)を基準とする含有量(質量%)を示す。水については、化粧料基材全量(水以外の成分の合計)100質量部に対する割合(質量部)を示す。 【0065】 実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。 ・・・ 【0071】 (実施例1~15及び比較例2~3、5~10) 表1~5に示す組成のファンデーションを以下の製法により調製し、使用性、耐衝撃性、スラリー状態、成型性、及び撥水性の評価を行った。その結果を併せて表1~5に示す。 【0072】 <製法> 成分1~14を、ヘンシェルミキサーを用いて均一分散し混合物Iを得た。他方で、成分15~27を混合し、60℃~70℃(なお、比較例2は80~86℃、比較例3は68~72℃)に加温することで混合物IIを得た。次に、混合物Iに混合物IIを加え、ヘンシェルミキサーを用いて均一分散後、化粧料基材を得た。この化粧料基材に水を加え、60℃に加温し、ニーダーを用いて混練し、得られたスラリーを0.08mPaで5分間脱泡処理した後、中皿(金皿)に充填し、5kgf/cm2の条件で圧縮成型後、40℃の乾燥機内で10時間乾燥することによりファンデーションのサンプルを作製した。 ・・・ 【0078】 【表2】 [図:0001406700000002.jpg] 【0079】 【表3】 [図:0001406700000003.jpg] ・・・ 【0083】 表1~4中、各成分の詳細は下記のとおりである。 シリコーン処理合成マイカ:PDM-5L(S)(トピー工業社製) シリコーン処理タルク:SAタルクJA-13R(三好化成工業社製) フッ素処理窒化ホウ素:FHS-5A BN-SF6(大東化成工業社製) 窒化ホウ素:RonaFlair Boroneige SF-6(メルク社製) 撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末:FTO60-NL(ハヤテマテリアル社製) シリコーン処理黄酸化鉄:SA-イエロー LL-100P(三好化成工業社製) シリコーン処理ベンガラ:SA-ベンガラNo.216P(三好化成工業社製) シリコーン処理黒酸化鉄:SA-ブラックBL-100P(三好化成工業社製) シリコーン処理酸化チタン:SA-HOMBITAN AFDC200(三好化成工業社製) 未処理黄酸化鉄:TAROX合成酸化鉄LL-100P(チタン工業社製) 未処理ベンガラ:ベンガラNo.216P(大東化成社製) 未処理黒酸化鉄:TAROX合成酸化鉄BL-100P(チタン工業社製) 未処理酸化チタン:HOMBITAN AFDC200(SACHTLEBEN社製) 【0084】 ステアリン酸オクチル:CETIOL 868(BASFジャパン社製、IOB:0.12、MW:390) パルミチン酸オクチル(IOB:0.13、MW:368) トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(IOB:0.35、MW:471) ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(IOB:0.47、MW:357)リンゴ酸ジイソステアリル(IOB:0.28、MW:639) イソステアリン酸PEG-30グリセリル:エマレックスGWIS-130(日本エマルジョン社製)(IOB:1.46、MW:1680) トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル:エマレックスGWIS-320(日本エマルジョン社製)(IOB:0.79、MW:1773) イソステアリン酸PEG-20ソルビタン:NIKKOL TI-10V(日光ケミカルズ社製)(IOB:1.36、MW:1312) PEG-40水添ヒマシ油:NIKKOL HCO-40(日光ケミカルズ社製)(IOB:1.06、MW:2702) ジメチコン:KF-96A-100CS(信越化学工業社製)(IOB:0.39、MW:6600) 【0085】 ミツロウ:脱臭精製蜜蝋高酸(セラリカ野田社製) カルナウバロウ:精製カルナウバワックスR-100(横関油脂工業社製) キャンデリラロウ:精製キャンデリラワックス リファイン(ミツバ貿易社製) 【0086】 グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル/グリセリン脂肪酸エステル混合物:NIKKOL ニコガード88(日光ケミカルズ社製)(IOB:1.18、MW:218)親油型モノステアリン酸グリセリン:NIKKOL MGS-BV(日光ケミカルズ社製)(IOB:0.63、MW:359) ジステアリン酸PEG-4:エマレックス200di-S(日本エマルジョン社製)(IOB:0.39、MW:727) ステアリン酸PG(SE):NIKKOL PMS-SE(日光ケミカルズ社製)(IOB:0.4、MW:388) 【0087】 表1~2に示されるように、実施例1~15で得られる固形粉末化粧料は、「使用性」、「耐衝撃性」、「スラリー状態」、「成型性」及び「撥水性」のすべてについて「○」又は「◎」の評価であった。」 摘記(1e) 「【0088】 (実施例16:ファンデーション) (成分) (配合割合(質量%)) 1. シリコーン処理合成マイカ 45.00 2. シリコーン処理タルク 10.90 3. フッ素処理窒化ホウ素 10.00 4. 撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末 10.00 5. シリコーン処理黄酸化鉄 3.00 6. シリコーン処理ベンガラ 1.00 7. シリコーン処理黒酸化鉄 0.10 8. シリコーン処理酸化チタン 8.00 9. ステアリン酸オクチル 10.00 10.ミツロウ 2.00 水 上記成分1~10の合計100質量部に対して130質量部 【0089】 上記成分の詳細は、上述したものと同様である。 【0090】 <製法> 成分1~8を、ヘンシェルミキサーを用いて均一分散後、アトマイザーにて粉砕し、混合物Iを得た。他方で、成分9~10を混合し、温度60℃~70℃で加温することで混合物IIを得た。次に、混合物Iに混合物IIを加え、ヘンシェルミキサーを用いて均一分散後、アトマイザーにて粉砕し、化粧料基材を得た。この化粧料基材に水を加え、60℃に加温し、ニーダーを用いて混練し、得られたスラリーを0.08mPaで5分間脱泡処理した後、中皿(金皿)に充填し、5kgf/cm2の条件で圧縮成型後、40℃の乾燥機内で10時間乾燥することによりファンデーションのサンプルを作製した。 【0091】 <評価> 得られたファンデーションのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「使用性」、「耐衝撃性」、「スラリー状態」、「成型性」及び「撥水性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。」 (2) 引用文献2(甲A2)の記載事項 摘記(2a) 「【請求項1】 1)金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体と、2)窒化ホウ素粉末を含有することを特徴とする、化粧料。 ・・・ 【請求項3】 前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、被覆に金属酸化物として、二酸化チタンを用いることを特徴とする、請求項1又は2記載の化粧料 【請求項4】 前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、平均粒径が10~30μmであることを特徴とする、請求項1~3何れか1項に記載の化粧料。」 摘記(2b) 「【0008】 (1)本発明の化粧料の必須成分である金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体 本発明の化粧料は、金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体を必須成分として含有することを特徴とする。かかる粉体の基体となる、中空樹脂球状粉体としては、例えば、塩化ビニル,酢酸ビニル,メチルビニルエーテル等のビニル系モノマー、アクリル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル酸エステル,アクリロニトリル,メタクリロニトリル等のアクリル系モノマー、スチレン、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等から選択される一種以上のモノマーを重合して得られるホモポリマー又はコポリマーが挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそのエステル類、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メタクリロニトリル等から選ばれるモノマーの一種乃至は二種以上を重合してなるポリマー又はコポリマーであることが好ましい。更に、このような重合体は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリアクリルフォルマール等の架橋剤で架橋されていても良い。かかる基体中に中空を設ける方法としては、コアセルベーション法によるセル構造の構築を利用する方法(例えば、特許文献6を参照)や、例えば、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、イソペンタン、ネオペンタン、ネオヘキサン、アセチレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、テトラアルキルシラン等の低沸点化合物等の揮発性を有する液体を発泡剤として、熱可塑性ポリマーに内包させて、加熱し、発泡剤を気化させて中空を構築する方法等既に知られている方法に準じて製造することが出来る。(例えば、特許文献7を参照)かくして製造された中空球状樹脂粉体に於ける、中空の形態は、製造条件により異なってくる場合が存するが、本発明の赤外線を反射する効果においては、かかる形態の影響は少ないので形態は限定されない。この様な形態としては、唯1個の中空のみ存在する形態、多数の小泡が多孔質状に存在する形態、これらの中間的形態などが例示できる。かくして得られた、中空球状の樹脂粉体は、所望により、金属酸化物などを被覆することが出来る。かかる金属酸化物としては、例えば、タルク、セリサイト、マイカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ等が挙げられる。特に好ましいものはタルク、二酸化チタン、酸化セリウムであり、中でも二酸化チタンが特に好ましい。かかる金属酸化物による被覆は、常法に従って行えばよい。(例えば、特許文献8を参照)この様な被覆において、中空球状樹脂粉体と、無機酸化物の好ましい質量比は、5:95~60:40であり、より好ましくは1:9~1:1である。かくして得られた、金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体は、その平均粒径を10~30μmに揃えることが好ましく、更に好ましくは15~25μmに揃えることである。これは、平均粒径が小さすぎると赤外線を反射する作用が低下する場合が存し、大きすぎると、光学効果が著しくなりすぎて、化粧効果を損なう場合存するからである。この様な粉体には既に市販されているものが存し、かかる市販品を購入して使用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、エクスパンセル(KEMANORDPLAST AB社製)、マツモトマイクロスフェアFシリーズ、マツモトマイクロスフェアMFLシリーズ(いずれも松本油脂製薬社製)等が好適に例示でき、中でもマツモトマイクロスフェアMFLシリーズが好ましく、シリーズ中ではMFL80GTA(タルク被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)、MFL50STI(シリカ・二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体平均粒径20μm)、MFL30STI(二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)が特に好ましく例示できる。かかる金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。後記本発明の化粧料には、かかる粉体を、総量で、化粧料全量に対し、1~50質量%含有させることが好ましく、2~30質量%含有させることがより好ましい。」 摘記(2c) 「【0010】 (3)本発明の化粧料 本発明の化粧料は、前記必須成分を含有することを特徴とする。本発明の化粧料には、かかる必須成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有させることが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α-トコフェロール,β-トコフェロール,γ-トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。本発明の化粧料は、かかる必須成分、任意成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。かくして得られた本発明の化粧料は、優れた赤外線防護効果を有するので、本発明の化粧料は赤外線防護用の化粧料として使用することが好ましい。本発明の化粧料としては、特段の限定はされないが、ベースメークアップ化粧料に適用することが好ましく、特にファンデーションに適用することが好ましく、中でもパウダーファンデーションに適用することが特に好ましい。」 摘記(2d) 「【0011】 以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。 【実施例1】 【0012】 以下に示す処方に従って、本発明の化粧料であるパウダーファンデーション1を作成した。即ち、処方成分をヘンシェルミキサーで混合し、しかる後、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、金型に詰め加圧成型してパウダーファンデーション1を得た。 【0013】 【表1】 [図:0001406700000004.jpg] 【実施例2】 【0014】 実施例1と同様に、下記の処方に従って、本発明のパウダーファンデーション2を作成した。 【0015】 【表2】 [図:0001406700000005.jpg] 【実施例3】 【0016】 実施例1と同様に、下記の処方に従って、本発明のパウダーファンデーション3を作成した。 【0017】 【表3】 [図:0001406700000006.jpg] 【実施例4】 【0018】 <試験例1> 以下、実施例及び比較例を用いた試験成績によって本発明を更に詳細に説明する。また、実施例及び比較例で用いた化粧料の各種特性に対する評価試験の方法を以下に示す。 実施例1~3のパウダーファンデーション1~3を用いて、赤外線反射効果を調べた。即ち、パネラー1名を用い、右半顔を検体でメークし、左半顔を素顔のままとし、赤外線ランプを用いて赤外線を照射し、顔からの赤外線の反射状況をサーモグラフィーを用いて計測した。サーモグラフィーの画像より、輻射熱に換算して、平均的な素顔との温度差を求めた。 またムラ付きの評価として、赤外線の反射状況をサーモグラフィーで10回測定し、輻射熱に換算して、一番高い数値と一番低い数値の差を評価結果とした。従って、点数が低いほど、ムラ付きが少なく、赤外線防護ムラが少ないことを示す。比較例1として、ファンデーション1のマツモトマイクロスフェアMFL50STIを全て、タイペークTTO-F6に置換したものを、比較例2として、チッ化硼素SHP-3をタイペークTTO-F6に置換したものを、比較例3として、マツモトマイクロスフェアMFL50STIとチッ化硼素SHP-3とをタイペークTTO-F6に置換したものを作成し、同様に評価した。結果を表4に示す。これより、本発明の化粧料は赤外線防護効果を有し、化粧料塗布時のムラ付きがなく、塗布後の赤外線反射効果の防護ムラが改善することが判る。 【0019】 【表4】 [図:0001406700000007.jpg] 」 (当審注:表1及び表2については、平成19年5月11日提出の手続補正書(「特許法第17条の2の規定による補正の掲載」平成19年6月28日発行)による補正後の記載を摘記した。) (3) 引用出願3の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等3」という。引用出願3の公報は甲B3)の記載事項 摘記(3a) 「【請求項1】 次の成分(A)及び成分(B)を含む、粉末化粧料であり、 前記成分(A)が、成分(A-1)ポリウレタン及び成分(A-2)油剤を含有するポリウレタンゲル組成物であり、 当該成分(A-1)は、 (i)(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)HO-R3-OH(式中、R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタン、又は、 (ii)(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R3-OH(式中R3はエーテル結合を有していてもよい直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基を表す)で表されるグリコールとの反応によって得られるポリウレタンであり、 前記成分(B)が、平均粒子径0.01~0.2μmの酸化チタン及び酸化亜鉛から選ばれる1種又は2種以上である、粉末化粧料。 ・・・ 【請求項5】 さらに成分(C)窒化ホウ素を含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の粉末化粧料。」 摘記(3b) 「【実施例】 【0081】 以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。 ・・・ 【0084】 [成分(A)のポリウレタンゲル組成物の製造実施例3] 3Lの三口フラスコに末端水酸基水素化ポリブタジエン899部(分子量2200)と、2-エチルヘキサン酸セチル2450部、ヘキサメチレンジイソシアネート128部を仕込み、均一に混合した。 60℃に制御しながらジブチル錫ジラウレート0.9部を投入し、3時間攪拌後、2-エチルヘキサン酸セチルで希釈しながら、エチレングリコールを24部投入した。 投入終了後、80℃で15時間攪拌後、エタノールを18部添加して反応を完結させた。 得られたポリウレタンゲル中のポリウレタンの重量平均分子量は、GPC測定(ポリスチレン換算)にて100000であった。また、得られたゲル30部を、流動パラフィン70部と、85℃にて加熱溶解、30℃に冷却したゲルの荷重値は、荷重測定機(FUDOH社製)による、2cmφ球状アダプター、2cm/min、10mm針入の条件の場合、7.5Nであった。 ・・・ 【0108】 実施例16:アイシャドウ(固形) (成分) (質量%) 1.酸化チタン(平均粒子径:0.08μm) *16 2 2.酸化チタン(平均粒径:0.145μm)ナイロン複合粉体 *21 5 3.窒化ホウ素 *4 5 4.マイカ 15 5.赤色226号 0.8 6.黄色4号 0.5 7.ジメチルポリシロキサン1%処理黄酸化鉄 0.3 8.ジメチルポリシロキサン1%処理黒酸化鉄 0.3 9.グンジョウ 0.2 10.ジメチルポリシロキサン1%処理合成金雲母 11 11.合成金雲母 残量 12.タルク 20 13.ポリメチルシルセスキオキサン*22 4 14.酸化チタン被覆ガラス末 8 15.酸化鉄被覆雲母チタン 20 16.ジメチルポリシロキサン2%処理雲母チタン 3 17.製造実施例3のポリウレタンゲル組成物 1 14.ジメチルポリシロキサン (6mPa・s) 2 15.ワセリン 1 17.トリメリト酸トリトリデシル 2 18.ホホバ種子油 0.1 19.香料 0.01 *21:MTXO-70NL(ハヤテマテリアル社製) *22:TOSPEARL 3000A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製) 【0109】 (製造方法) A.1~16をスーパーミキサーで均一に混合する。 B.17~22を均一溶解する。 C.Aに、Bを添加混合する。 D.C100部に溶剤(軽質流動イソパラフィン)を60部添加して混合し、スラリー状の混合物を得る。 E.Dを丸型の金皿(直径5.5cm)に充填し、圧縮プレスし、溶剤を一部除去する。F.Eを70℃で一昼夜乾燥し、溶剤を除去して固形粉末状のアイシャドウを得た。 【0110】 本実施例で得られたアイシャドウについて、その効果を実施例1に準じて評価したところ、このものは、小道具への均一な取れ、しっとり感、化粧膜の均一性、経時での乾燥感のなさ優れたアイシャドウであった。」 (4) 参考技術情報4の記載事項 摘記(4a) 「 [図:0001406700000008.jpg] 」 (5) 参考技術情報5の記載事項 摘記(5a) 「 [図:0001406700000009.jpg] 」 (6) 甲A3(甲B4)の記載事項 摘記(A3a) 「【請求項1】 有機球状粉末の表面に酸化チタンまたは酸化亜鉛の無機粉末粒子を60%以上坦持した複合粉末からなり、その複合粉末の比容積が2.5ml/g以下であることを特徴とする。 【請求項2】 有機球状粉末は、ナイロン、ポリMMA、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ウレタンなどからなる群から選ばれる1種以上である請求項1の複合粉末。 【請求項3】 無機粉末粒子は、比表面積20~100m2/gの酸化チタンまたは酸化亜鉛である請求項1または2記載の複合化粉末 【請求項4】 請求項1~3に記載の複合粉末を配合してなることを特徴とする化粧料。」 摘記(A3b) 「【発明を実施するための形態】 【0011】 (複合化の有機の球状粉末) 本発明の有機球状粉末は、平均粒子径、1~50μmであり、好適には、3~20μmである。 平均粒子径が小さすぎると、肌の上の伸びや広がりが悪くなる。一方平均粒子径が大き過ぎれば、ゴロゴロした違和感の感触が残る。 【0012】 有機球状粉末の具体例としては、ナイロン、ポリMMA、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、アクリル、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ウレタンなどが挙げられるが、これに限定されるものでない。 市販品を活用して使用することができる。 【0013】 ナイロンパウダーとして東レ株式会社製のSP-500,SP-10,TR-1、ガンツ化成株式会社製のGPA-550、ELFATOCHEM社製のナイロン-12(ORGASOL)などがある。 ポリMMAパウダーとして、ガンツ化成株式会社製のメタクリル酸メチルクロスポリマーGMP-0800、アクリレーツクロスポリマーGMP-0820、アクリレーツコポリマーGBM-55COS、GPM-0830、積水化成品工業株式会社製のテクポリマーMBX、MBPシリーズパウダー、綜研化学株式会社製のMX-500、MX-1000などがある。 【0014】 シリコーン・シリコーンエラストマーとして、トウレダウコーニング株式会社製のトレフィルのE-506S、E-508、EP-9215COSMETIC POWDER、信越化学工業株式会社製のKMP-594、KMP-597、KMP-599、GE東芝シリコーン株式会社製のTOSPESARL 120A、145A、2000Bなどがある。 【0015】 ポリエチレンとして、住友精化株式会社製のフロービーズCL、LE、HEなどがある。ウレタンとして、東色ピグメント株式会社製のプラスティックパウダーD-400がある。スチレンとして綜研化学株式会社製のSX-350H、SX-500H、SGP-50Cなどがある。 セルロースとしてチッソ株式会社のセルフローC‐25、TA-25などがある。 【0016】 (複合化の無機粉末粒子) 本発明の無機粉末粒子の比表面積は20~100m2/gであり、好適には30~80m2/gである。 比表面積が小さ過ぎると、紫外線遮断効果が小さく、カバー力が強く、白っぽいという不自然な仕上がりになる。また、有機の球状粉末に坦持されにくくなる。 【0017】 形状は特に限定されなく、粒状、紡錘状、薄片状、蝶ネクタイ状が使用できる。 無機粉末粒子の表面は、そのままでも、また目的により表面処理を施しても良い。 無機粉末粒子を有機球状粉末に坦持する場合の質量比は、好ましくは、無機粉末粒子:有機球状粉末=50:50~90:10であるが、さらに好ましくは無機粉末粒子:有機球状粉末=60:40~80:20である。 【0018】 無機粉末粒子が有機球状粉末に対し少なすぎると、紫外線遮断に必要な無機散乱剤の不足で、紫外線遮断効果が十分に得られない。 また、無機粉末粒子が有機球状粉末に対し多過ぎると、有機粉末粒子の表面に坦持できない無機粉末粒子が凝集して、化粧品を製造する場合に、化粧品素材との分散が困難になり、肌の上の伸びや広がりが悪くなる。特に酸化チタンの場合は青白さが目立ち、自然な透明感を有する化粧品が得られない。 酸化チタン、酸化亜鉛として下記の市販品を活用して使用することができる。 【0019】 例えば、酸化チタンとして、石原産業株式会社のTTO-55(A)、TTO-55(B)、TTO-55(C)、TTO-55(D)、TTO-55(S)、TTO-55(N)、TTO-51(A)、TTO-51(C)、TTO-S-1、TTO-S-2、TTO-S-3、TTO-S-4、TTO-S-6、TTO-V-3、TTO-V-4、TTO-D-1、TTO-D-2、TTO-F-1、TTO-F-2、TTO-F-6、TTO-F-11、テイカ株式会社製のMT-01、MT-05、MT-100TV、MT-100Z、MT-100ZR、MT150W、MT-100AQ、MT-100SA、MT-500H、MT-500T、MT-500B、MT-500SA、MT-02、MT-03、MT-04、MT-100SAS、MT-100SAK、SMT-100SAS、SMT-100SAM、MT-500SAS、MT-500SAK、SMT-500SAS、SMT-500SAM、チタン工業株式会社製ST-410WB,ST-455,ST-455WB,ST-457SA、ST-485SA15,ST-486SA、ST-495M、堺化学工業株式会社のSTR-60C-LP、STR-100C-LP、STR-100A-LP、クローダ株式会社製のSOLAVEIL-STR-60A-LP、SOLAVEIL-STR-60C-LP、SOLAVEIL-STR-100AC-LP、SOLAVEIL-STR-100C-LP、SOLAVEIL-XTP1などがある。 【0020】 同様に、酸化亜鉛として、堺化学工業株式会社製のFINEX-30-LP2、FINEX-30W-LP2、FINE-50S-LP2、FINEX-50W-LP2、テイカ株式会社製のMZ-300、MZY-303S、MZ-306X、MZ-500、MZY-505S、MZY510M3S、MZ-506X、MZ-510HPSX、大阪住友セメント株式会社製のZnO-310Si(4)G、ZnO-410Si(5)GZ、ZnO-510Si(6)G、石原産業株式会社製のFZO-50などがある。 これらの無機粉末粒子の表面は、使用目的により、撥水性処理や親水性化処理などの表面処理が施されている。 【0021】 (複合粉末の製造方法) 上記の複合粉末を得る方法として、無機粉末粒子と有機球状粉末を上述した質量比で、周速40m/秒、遠心効果1000G以下で混合し、その時発生する荷電現象を利用して、静電気力で、有機球状粉末の表面に無機粉末粒子を付着させた処理物を得る。 【0022】 次いで、無機粉末粒子と有機球状粉末の結合を強固にするために、その処理物に周速度70m/秒以上、遠心効果2000G以上の物理的エネルギーを継続的に与える。 このような処理により、両粒子間にせん断力や衝撃力による粉体間の相互作用で、有機球状粉末の表面が一部軟化し、この表面に無機粉末粒子が撃込まれて強固に結合し、目的とする複合処理物が得られる。 この工程で、処理物は継続してエネルギーを与えられるために、処理物の温度が上昇するので、水などの冷媒で適宜冷却する。最後に、複合化が完了した処理物は、周速20m/秒以下で混合・攪拌して、室温まで冷却して、回収する。 【0023】 上記の高速ヘンシェルミキサーを用いれば、複合化処理のみならず、混合・攪拌、冷却の操作も1台の装置で兼用が可能である。 本発明では、最高周速120m/秒、最高遠心効果5000Gの機能を有する高速ヘンシェルミキサーを用いたが、周速20~100m/秒、遠心効果100~4000Gの機能を備えた装置であれば、特に、高速ヘンシェルミキサーにこだわらない。 高速ヘンシェルミキサーの形状は、竪型円筒状、横型円筒状、球状などである。複合化にはどのような形状でもかまわないが、複合化処理物の取り出しには、竪型円筒状や球状が好適である。」 (7) 甲B2(甲A4)の記載事項 摘記(B2a) 「【請求項1】 次の成分(a)~(e); (a)シリコーン処理粉末 30質量%以上 (b)窒化ホウ素 1~20質量% (c)球状粉末 1~20質量% (d)25℃において固形のロウ 0.05~5質量% (e)フェニル変性シリコーン 1~15質量% を含有することを特徴とする固形粉末化粧料。」 摘記(B2b) 「【0009】 以下本願発明を詳細に説明する。 本願発明に用いられる(a)シリコーン処理粉末におけるシリコーン処理は、シリコーンを表面に有することができる処理であれば特に限定されず、化粧品分野で公知の各種方法による処理を適用することができる。例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリエトキシカプリリルシラン、シリコーン樹脂等による表面処理等が挙げられるが、好ましくはメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、トリエトキシカプリリルシランによる処理であり、より好ましくはメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンによる処理である。また、異なる処理方法でシリコーン処理した粉末を組み合わせて使用してもよい。 【0010】 本願発明に用いられる(a)シリコーン処理粉末におけるシリコーンの処理量は特に限定されないが、好ましくは0.5質量%~12質量%処理であり、より好ましくは1質量%~10質量%処理である。表面処理量が0.5質量%より低いと、表面処理の効果が発揮できないことがあり、12質量%より多くなるとべたつきがでて使用感が悪くなることがある。 【0011】 (a)シリコーン処理粉末の基材となる粉末としては特に限定されず、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、シリカ、硫酸バリウム、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粉末、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン粉末等の有機粉末、色調を調整するために、酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ等の無機顔料、赤色202号、赤色226号、黄色5号、青色1号等の有機顔料、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆フレーク状ガラス、酸化鉄被覆フレーク状ガラス等のパール剤等の化粧品において汎用される材料を使用することができる。上記(a)シリコーン処理粉末としては、上述したもののうち、2種以上を併用して使用するものであってもよい。好ましくはマイカ、タルク、セリサイト、合成金雲母、二酸化チタン、酸化鉄である。 【0012】 本願発明に用いられる(a)シリコーン処理粉末の含有量は全成分中30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。30質量%を下回ると、使用時のなめらかさがおとり、さらに耐衝撃性が悪くなるという点で好ましくない。 ・・・ 【0015】 本願発明に用いられる(c)球状粉末は球状であれば特に限定されないが、アクリル系高分子、ナイロン、シリコーン、セルロースまたはこれら共重合体、シリカ等が挙げられるが、好ましくはアクリル系高分子、ナイロンまたはこれら共重合体、シリカである。尚、これらの粉末は、付着性や分散性を改良するために、シリコーン、フッ素化合物、金属石鹸、油剤等を公知の方法により表面処理して用いても良い。 【0016】 球状粉末配合により、塗布時ののびが良くなり、化粧用具へのとれが良くなり、ケーキングが生じるのを防ぐことができるが、球状粉末の平均粒子径が1μmより小さくなると、これらの効果が発揮できず、20μmを超えると使用時にざらつき感がでてくる傾向があるため、本願発明に用いられる(c)球状粉末の平均粒子径は1~20μmが好ましい。市販品の例としては、ポリアクリル系樹脂であるMB-8C(積水化成品工業株式会社製)やマイクロスフェアー M-100(松本油脂製薬株式会社製)、ナイロンであるナイロンパウダーSP-500(東レ株式会社製)、シリコーンであるトレフィルE-505C(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)やKSP-100(信越化学工業株式会社製)、シリカであるサンスフェア H-122(旭硝子株式会社製)やシリカマイクロビードP-1500(日揮触媒化成工業株式会社製)等が挙げられる。また、これらは必要に応じて1種または2種以上を用いることができる。 【0017】 本願発明に用いられる(c)球状粉末の含有量は全成分中1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。1質量%を下回ると、化粧用具へのとれが悪くなり、ケーキングを生じることがあり、20質量%を超えると、使用時に粉の飛び散りが多くなり、また耐衝撃性が悪くなるという点で好ましくない。 ・・・ 【0020】 本願発明に用いられる(e)フェニル変性シリコーンとは、フェニル基を有する、25℃で液状のシリコーン油の総称であり、通常化粧料に使用されるものであればいずれのものも使用することができる。例えば、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ビスフェニルプロピルジメチコンなどの名称で知られているものが挙げられるが、好ましくはジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコンである。市販品の例としては、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンであるKF-56A(信越化学工業株式会社製)、フェニルトリメチコンであるSH556(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンであるPH-1555 HRI COSMETIC FLUID(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、ビスフェニルプロピルジメチコンであるSF1555(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。また、これらは必要に応じて1種または2種以上を用いることができる。 【0021】 本願発明に用いられる(e)フェニル変性シリコーンの含有量は成分中1~15質量%が好ましく、2~10質量%がより好ましい。1質量%を下回ると、(a)シリコーン処理粉末と(d)25℃において固形のロウおよび他に使用している液状油とのなじみが悪くなり、使用時に粉の飛び散りが多くなり、耐衝撃性が悪くなるという点で好ましくなく、15質量%を超えると、油剤の含有量が多くなりすぎ、化粧用具への取れが悪くなり、ケーキングを生じることがある。」 摘記(B2c) 「【0026】 (実施例1~24および比較例1~9)アイカラー 表1、表2に示す処方および下記に示す方法により、固形粉末化粧料を製造した。得られた各試料について、官能評価により、チップへの取れ、のびのなめらかさ、粉の飛び散りの無さ、ケーキングの無さ、耐衝撃性を評価した。これらの結果も併せて、表1、表2に記載した。 【0027】 【表1】 [図:0001406700000010.jpg] 【0028】 *1 ジメチルポリシロキサン3%処理 *2 SHP-3(水島合金鉄株式会社製) *3 ナイロンパウダーSP-500(東レ株式会社製) *4 MB-8C(積水化成品工業株式会社製) *5 サンスフェア H-122(旭硝子株式会社製) *6 BEESWAX S(クローダジャパン株式会社製) *7 KF-56A(信越化学工業株式会社製) ・・・ 【0033】 (評価) 官能評価 (1)チップへの取れ、(2)のびのなめらかさ、(3)粉の飛び散りの無さ、(4)ケーキングの無さについて、専門パネル10名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。 (評価方法) 10名の官能検査パネルにより、各試料をチップに取り、瞼部に塗布し、下記評価項目について、パネル各人が絶対評価にて7段階に評価し、各試料のパネル全員の評点の平均値から4段階判定基準により判定した。 (評価項目) (1)チップへの取れ (2)のびのなめらかさ (3)粉の飛び散りの無さ (4)ケーキングの無さ (絶対評価) (評点):(評価) 6:非常に良い 5:良い 4:やや良い 3:普通 2:やや悪い 1:悪い 0:非常に悪い (判定基準) (評点平均値) (判定) 5点を超える :非常に優れる:◎ 3点を超えて5点以下:優れる :○ 1点を超えて3点以下:劣る :△ 1点以下 :非常に劣る :× 【0034】 (評価) 耐衝撃性の評価 (5)耐衝撃性について、各試料を下記の方法で試験し、4段階判定基準により判定した。 (試験方法) 試料を金皿のまま、正立方向で高さ50cmからベニヤ板上に1~6回落とし、その状態を観察し、以下に示す4段階判定基準により判定した。 (判定基準) (状態) (判定) 6回落下しても変化なし :非常に優れる:◎ 4回~6回落下するとヒビ、割れが生じる:優れる :○ 3回落下してヒビ、割れが生じる :劣る :△ 2回落下してヒビ、割れが生じる :非常に劣る :×」 (8) 甲B5の記載事項 摘記(B5a) 「【請求項1】 次の成分(A)~(E): (A)合成金雲母及び/又は鉄含有合成金雲母 2~30質量%、 (B)有機板状粉体 1~12質量%、 (C)窒化ホウ素 1~20質量%、 (D)平均粒子径0.2~10μmの球状粉体 5~20質量%、 (E)25℃で液体の油剤 2~15質量% を含有し、成分(A)及び(C)の質量割合が、(A)/(C)=0.2~2であり、成分(A)、(B)及び(C)の質量割合が、(A)/((B)+(C))=0.1~1.5である固形粉末化粧料。」 摘記(B5b) 「【0008】 本発明で用いる成分(A)は、合成金雲母及び/又は鉄含有合成金雲母である。合成金雲母としては、例えば、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイフッ化カリウムを混合・溶融後、結晶を晶出させ、粉砕、熱処理して得られるものが挙げられ、鉄含有合成金雲母としては、例えば、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイフッ化カリウム、酸化鉄を混合・溶融後、結晶を晶出させ、粉砕、熱処理して得られるものが挙げられる。 鉄含有合成金雲母は、透明感の高い仕上がりを与える点から、鉄の含有量が酸化鉄換算で0.5~10質量%であるのが好ましい。 ・・・ 【0011】 本発明で用いる成分(B)の有機板状粉体は、平均粒子径1~50μmであるのが好ましく、3~20μmがより好ましい。また、アスペクト比が1~100のものが好ましく、アスペクト比30~70のものがより好ましい。なお、板状とは、形状が狭義の板状の他、薄片状、鱗状等の形状の粉体も含まれる。 成分(B)の有機板状粉体は、成型性、使用感の点から、平均粒子径3~20μm、アスペクト比30~70であるのが、好ましい。 粒子径は、成分(A)と同様にして測定され、アスペクト比は、成分(A)と同様にして求められる。 【0012】 具体的には、一般に水及び油に不溶のものであって、例えば、樹脂粉末、アミノ酸系粉末等が挙げられる。 【0013】 樹脂粉末としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ベンゾグアナミン樹脂、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレン等の板状樹脂粉末が挙げられる(例えば、特開昭57-78466号公報、特開昭62-190112号公報、特開昭62-104706号公報)。 【0014】 アミノ酸系粉末としては、アシル化アミノ酸、アシル化アミドスルホン酸等が挙げられ、より具体的には、Nε-ラウロイルリジン、Nε-パルミトイルリジン、Nε-カプロイルリジン等のN-アシルリジン;Nα-ステアロイルオルニチン等のN-アシルオルニチン;Nγ-パルミトイル-α,γ-ジアミノ酪酸等のN-アシルジアミノ酪酸;Nε-ラウロイルアルギニン等のN-アシルアルギニン;Nα-ココイルヒスチジン等のN-アシルヒスチジン等のN-アシル塩基性アミノ酸(例えば、特開昭60-67406号公報、特開平5-58842号公報);N-アシル化タウリン多価金属塩(例えば、特開2002-80325号公報)等のアシル化アミドスルホン酸が挙げられる。市販品としては、Nε-ラウロイルリジンであるアミホープLL(味の素社製)等を用いることができる。 ・・・ 【0021】 本発明で用いる成分(D)の球状粉体は、平均粒子径0.2~10μmであり、2~8μmのものが、使用感の向上、毛穴や肌の凹凸目立ちを抑制する点から好ましい。球状とは、形状が略球形の粉体をいい、回転楕円体、表面に凹凸がある球状粉体等であってもよく、球状粉体の短径/長径の比、すなわち楕円率は、1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。 球状粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリ四フッ化エチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;ジメチルシリコーンを架橋したシリコーンエラストマーパウダーやポリメチルシルセスキオキサンパウダー等のシリコーンパウダー; アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、(メタクリル酸ラウリル/ジメタクリル酸エチレングリコール)コポリマー等のような、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機球状粉体が挙げられる。 なかでも、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダー、シリコーンエラストマーが好ましく、ナイロンパウダー、シリコーンエラストマーがより好ましい。 ・・・ 【0027】 本発明で用いる成分(E)の油剤は、25℃で液体のものである。ここで、25℃で液体とは、25℃における粘度が10000mPa・s以下であることをいう。具体的には、B型粘度計、ローターNo.4、12rpm、1分で測定される。 かかる油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;ホホバ油、オリーブ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;脂肪酸エステル、多価カルボン酸エステル、脂肪酸多価アルコールエステル、ヒドロキシ脂肪酸エステル、その他、メトキシケイ皮酸オクチル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。 なかでも、粉体とのなじみが良く、成型性を確保する点から、直鎖又は分岐の炭化水素油、脂肪酸エステル、多価カルボン酸エステル、メトキシケイ皮酸オクチルが好ましく、直鎖又は分岐の炭化水素油、脂肪酸エステル、多価カルボン酸エステルが好ましい。」 摘記(B5c) 「【実施例】 【0034】 実施例1~6、比較例1~4 表1に示す組成の固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を製造した。得られた固形粉末化粧料について、肌に塗布した直後の「自然な仕上がり」、「感触のなめらかさ」、「粉感のなさ」、「肌への密着感」及び「毛穴の目立ちにくさ」を評価した。また、成型性及び耐衝撃性を評価した。結果を表1に併せて示す。 【0035】 (製造方法) 成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含むすべての粉体成分を混合・粉砕した後、成分(E)及び(F)を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕した。ここで得られた粉砕物を、容器に充填し、充填量9.5g、成型圧1200kgで成型して、固形粉末化粧料を得た。 【0036】 (評価方法) (1)「自然な仕上がり」、「感触のなめらかさ」、「粉感のなさ」、「肌への密着感」及び「毛穴の目立ちにくさ」: 10名の専門パネラーが、各固形粉末化粧料をスポンジで肌に塗布した直後の「自然な仕上がり」、「感触の滑らかさ」、「粉感のなさ」、「肌への密着感」及び「毛穴の目立ちにくさ」を以下の基準で評価した。結果を10名の積算値で示す。 【0037】 (1-1)自然な仕上がり: 5;非常に自然に仕上がる。 4;自然に仕上がる。 3;やや自然に仕上がる。 2;あまり自然に仕上がらない。 1;自然に仕上がらない。 【0038】 (1-2)感触のなめらかさ: 5;非常になめらか。 4;なめらか。 3;ややなめらか。 2;あまりなめらかでない。 1;なめらかでない。 【0039】 (1-3)粉感のなさ: 5;粉感が全くない。 4;粉感がない。 3;粉感があまりない。 2;粉感がややある。 1;粉感がかなりある。 【0040】 (1-4)肌への密着感: 5;非常に密着する。 4;密着する。 3;やや密着する。 2;あまり密着しない。 1;密着しない。 【0041】 (1-5)毛穴の目立ちにくさ: 5;非常に目立ちにくい。 4;目立ちにくい。 3;やや目立ちにくい。 2;やや目立ちやすい。 1;目立ちやすい。 【0042】 (2)成型性: 各固形粉末化粧料について、アスカー硬度計(C1L)を使用して、硬度を5点測定し、その平均値を求めた。 【0043】 (3)耐衝撃性: 各固形粉末化粧料を、40cmの高さから30mm厚のアクリル樹脂板上に落下させ、割れが生じるまでの落下回数をカウントした。3回試験を行い、その平均値を求めた。 【0044】 【表1】 [図:0001406700000011.jpg] 【0045】 実施例7(パウダーファンデーション) 実施例1~6と同様にして、以下に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。 【0046】 (組成) (1)シリコン処理合成金雲母(平均粒子径:7μm、アスペクト比40) (トピー工業社製、PDM-5L) 10.0(質量%) (2)フッ素処理ラウロイルリジン(平均粒子径:11μm、アスペクト比 50)(味の素社製、アミホープLL) 5.0 (3)シリコン処理窒化ホウ素(平均粒子径:6μm) (水島合金鉄社製、SHP-3) 12.0 (4)ポリメチルシルセスキオキサン(平均粒子径:7μm) (GE東芝シリコーン社製:トスパール145) 7.0 (5)ナイロンパウダー(平均粒子径:5μm) (住化エンビロサイエンス社製:HK-5000) 6.0 (6)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 2.0 (7)メトキシケイ皮酸オクチル 4.0 (8)ポリエチレングリコール(分子量:400) 1.0 (9)シリコン処理セリサイト 0.10 (10)フッ素処理酸化チタン 7.0 (11)フッ素処理黄酸化鉄 2.21 (12)フッ素処理ベンガラ 0.64 (13)フッ素処理黒酸化鉄 0.22 (14)シリコン処理タルク 残量 (15)防腐剤 0.1 合計 100 【0047】 実施例7で得られたパウダーファンデーションは、成型性及び耐衝撃性に優れ、塗布時になめらかな感触で、肌への密着性に優れ、粉感が抑制され、自然な仕上がりで、毛穴などの凹凸を目立たなくすることができる。」 (9) 甲B6の記載事項 摘記(B6a) 「[0024] <本発明の化粧料> 本発明の化粧料は、固形粉末化粧料であり、具体的には、ファンデーション、プレストパウダー、チークカラー、アイシャドウ等として製造することができる。すなわち、上述した配合成分に関する事項を規定事項として、固形粉末化粧料製造の常法に従い製造することができる。典型的な具体例を、下記実施例に置いて例示するが、その製造方法に限定されるものではなく、例えば溶媒を用いた湿式製法、スプレードライ製法、各種媒体ミルを用いた攪拌混合等、様々な製法を用いて本発明の化粧料を製造することができる。 ・・・ [0040] (1)-3:ケーキング試験 試験品の表面をスポンジで軽くこすり、このこすりを計200回行った時点で、試験品の表面状態を判定した。 [0041] <評価基準> ○:製品の表面に異常は認められない △:表面が多少固まるが、スポンジで取れる状態である ×:表面が固まり、製品が全く取れない状態である」 (10) 甲B7の記載事項 摘記(B7a) 「【0039】 (ケーキング) 粉体固形化粧料のケーキングは、該化粧料塗布時に所定のパフを用いて行い、専門パネル10名による1~4の4段階評価を行い、平均の評価を用いた。評価基準を下記に示す。 【0040】 (4段階評価) 4:ケーキングを起こさない。 3:やや起こる(パフで取れる、使用可能)。 2:起こる(パフで取れる、使用限界)。 1:起こる(パフで取れない、使用不可能)。 【0041】 (ケーキング評価基準) ◎:3.5以上4.0まで ○:2.5以上3.5未満 △:1.5以上2.5未満 ×:1.0以上1.5未満 ・・・ 【0046】 【表1】 [図:0001406700000012.jpg] 」 (11) 甲B8の記載事項 摘記(B8a) 「【0046】 実施例7、比較例5及び6のパウダーファンデーションについて、本発明の複合粉体を実際にパウダーファンデーションに配合し、複合粉体化されることによって、凝集せず固まらなくなり、使用性が改善されることを確認するため、下記の試験を行った。 肌への付着、密着感:10人の専門パネラーにより官能評価を行い、下記基準で確認した。 ○:8人以上が良好と評価 △:4人~7人が良好と評価 ×:3人以下が良好と評価 とれ及びケーキング:パウダーファンデーションをパフでとり続け、パウダーファンデーションの表面状態ととれ量の変化について、下記基準で確認した。 ○:表面に凝集物がなく、とれ量も適度で変化しない △:表面に凝集物は生じるが、とれ量は適度で変化しない ×:表面に凝集物が生じるともに、次第にとれ量が少なくなり、ケーキングする 【0047】 実施例7、比較例5及び6のパウダーファンデーションについて、試験を行った結果を表4に示す。 【0048】 【表4】 [図:0001406700000013.jpg] 【0049】 表4の結果から、本発明の複合粉体を配合した実施例7のパウダーファンデーションは、肌への付着、密着が優れ、さらに、パウダーファンデーションの表面に凝集物の発生やケーキングもなく、とれ量も適量であることがわかる。また、実施例7のパウダーファンデーションは、-5℃、5℃、20℃、40℃に保存し、一週間毎に4週間続けて、とれの試験を行っても、凝集物やケーキングの発生は見られなかった。一方、α-トコフェロールリン酸エステル塩を複合化せずに直接添加した比較例5のファンデーションは表面に凝集物が生じ、次第にとれ量が少なくなり、ケーキングした。また、α-トコフェロールリン酸エステル塩がない比較例6のファンデーションは肌への付着、密着が物足りないことがわかる。」 2 取消理由についての判断 (1) 取消理由1について ア 引用文献1に記載された発明 摘記(1a)~(1c)によれば、引用文献1には、粉体成分及び油性成分を含有する固形粉末化粧料であって、前記油性成分が、(A)25℃で液状であり、分子量が300~600及びIOB値が0.5以下のエステル油、及び(B)ミツロウを含み、前記粉体成分が、(C)疎水性粉体を含む、固形粉末化粧料に関する発明が記載されているところ、摘記(1e)によれば、当該固形粉末化粧料の具体例としてファンデーションである実施例16が製法とともに記載され、その成分の詳細は上述したもの(摘記(1d))と同様であるとされており、製法の最終工程において40℃の乾燥機内で10時間乾燥することが記載され、水は乾燥により除去されるものである。 そうすると、引用文献1には、実施例16として、以下に示す引用発明1Aが記載されているといえる。 <引用発明1A> 「シリコーン処理合成マイカ45.00質量%、シリコーン処理タルク10.90質量%、フッ素処理窒化ホウ素10.00質量%、撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)10.00質量%、シリコーン処理黄酸化鉄3.00質量%、シリコーン処理ベンガラ1.00質量%、シリコーン処理黒酸化鉄0.10質量%、シリコーン処理酸化チタン8.00質量%、ステアリン酸オクチル(CETIOL 868、BASFジャパン社製、IOB:0.12、MW:390)10.00質量%、及び、ミツロウ2.00質量%含有するファンデーションである固形粉末化粧料。」 同様に、引用文献1には、実施例10及び11として、それぞれ、以下に示す引用発明1B及び引用発明1Cも記載されているといえる。 <引用発明1B> 「シリコーン処理合成マイカ20.00質量%、未処理処理タルク39.90質量%、窒化ホウ素10.00質量%、撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)10.00質量%、未処理黄酸化鉄3.00質量%、未処理ベンガラ1.00質量%、未処理黒酸化鉄0.10質量%、未処理酸化チタン8.00質量%、ステアリン酸オクチル(CETIOL 868、BASFジャパン社製、IOB:0.12、MW:390)7.00質量%、及び、ミツロウ1.00質量%含有するファンデーションである固形粉末化粧料。」 <引用発明1C> 「シリコーン処理合成マイカ30.00質量%、未処理処理タルク29.90質量%、窒化ホウ素10.00質量%、撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)10.00質量%、未処理黄酸化鉄3.00質量%、未処理ベンガラ1.00質量%、未処理黒酸化鉄0.10質量%、未処理酸化チタン8.00質量%、ステアリン酸オクチル(CETIOL 868、BASFジャパン社製、IOB:0.12、MW:390)7.00質量%、及び、ミツロウ1.00質量%含有するファンデーションである固形粉末化粧料。」 イ 本件発明と引用文献1に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と引用発明1Aとの対比 引用発明1Aの「撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)」は、参考技術情報4によれば、水酸化アルミニウムとステアリン酸により表面処理された平均粒子径0.015~0.020μmの酸化チタンと平均粒子径10μmのナイロン-12からなる複合粉末であり、その拡大写真から粉末形状は球状であって、それらの粒子径を考慮すると、ナイロン-12の表面を表面処理酸化チタンが被覆しているものと認められる。そして、被覆材料である酸化チタンが60%であるから、ナイロン-12を被覆してもその粒子径が50μmを超えないことは自明であり、その含有量10.00質量%は、本件発明1の「1~30質量%」の範囲内である。(なお、参考技術情報4は、上記複合粉末(FTO60-NL)の製造・販売業者(ハヤテマテリアル社)によるものであって、引用文献1に係る特許の出願時における複合粉末の材料組成等を表すものとすることは妥当である。) そうすると、引用発明1Aの「撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)10.00質量%」は、本件発明1の「(A)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体 1~30質量%」と、少なくとも「(A’)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、処理された酸化亜鉛及び処理された酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体 1~30質量%」である限りにおいて共通する。 また、引用発明1Aの「フッ素処理窒化ホウ素」は、本件発明1の「(B)窒化ホウ素」に相当し、引用発明1Aにおけるその含有量10.00質量%は、本件発明1の「0.5~30質量%」の範囲内である。 さらに、引用発明1Aの「ステアリン酸オクチル(CETIOL 868、BASFジャパン社製、IOB:0.12、MW:390)」は、摘記(1c)によれば、25℃で液状であり、分子量が300~600及びIOB値が0.5以下のエステル油である(A)成分として挙げられた、「ステアリン酸オクチル(MW:390、IOB:0.12)」に分子量及びIOB値が一致するから、25℃で液状のエステル油といえる。そして、エステル油は油成分であることから、引用発明1Aの「ステアリン酸オクチル(CETIOL 868、BASFジャパン社製、IOB:0.12、MW:390)」は、本件発明1の「(C)25℃で液状の油成分」に相当し、引用発明1Aにおけるその含有量7.00質量%は、本件発明1の「0.1~30質量%」の範囲内である。 ここで、引用発明1Aの「フッ素処理窒化ホウ素」に対する「撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製」の質量割合は「1」であるから、「成分(B)に対する成分(A’)の質量割合(A’)/(B)が、0.5~20」の範囲内である。 そうすると、本件発明1と引用発明1Aとは、 「次の成分(A’)、(B)及び(C): (A’)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、処理された酸化亜鉛及び処理された酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体 1~30質量%、 (B)窒化ホウ素 0.5~30質量%、 (C)25℃で液状の油成分 0.1~30質量% を含有し、成分(B)に対する成分(A’)の質量割合(A’)/(B)が、0.5~20である固形粉末化粧料。」 である点で一致し、以下の相違点1で相違する。 <相違点1> 無機粉体である処理された酸化亜鉛又は処理された酸化チタンが、本件発明1では、シリコーン処理されているのに対して、引用発明1Aでは、水酸化アルミニウムとステアリン酸により表面処理されている点 b 相違点についての検討 相違点1について検討すると、「シリコーン処理」に対して、「水酸化アルミニウムとステアリン酸による処理」は、処理する材料が異なっているから、相違点1は実質的な相違点である。 同様の理由により、本件発明1は、引用発明1B及び引用発明1Cに対しても実質的な相違点を有する。 よって、本件発明1は引用文献1に記載された発明ではない。 (イ) 本件発明2、4及び5について 本件発明2、4及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2、4及び5は、引用発明1A~1Cに対して、少なくとも相違点1と同じ点で実質的に相違し、本件発明2、4及び5は引用文献1に記載された発明ではない。 (2) 取消理由2-1について ア 引用発明1A~1C、及びそれらの本件発明に対する相違点について 上記(1)アで示したとおり、引用文献1には引用発明1A~1Cが記載され、本件発明1と引用発明1A~1Cは相違点1で相違し、本件発明2、4及び5と引用発明1A~1Cは少なくとも相違点1で相違する。 イ 本件発明の容易想到性について (ア) 本件発明1について 引用発明1Aは、「粉体成分」の一つとして、「撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)」を使用しているが、引用文献1には、「撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)」自体がどのような成分からなる材料であるのかという説明はないし、引用文献1に記載の「粉体成分」が含む「(C)疎水性粉体」として、「シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体」を用いることについての記載も示唆もない。 そうすると、引用発明1Aにおいて、「撥水性超微粒子酸化チタン-ナイロン複合粉末(FTO60-NL、ハヤテマテリアル社製)」における酸化チタンの表面処理剤を「シリコーン処理剤」に変更する動機付けはなく、本件発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 なお、本件明細書等には、「伸びを向上させる観点」から、「疎水化処理」として「シリコーン処理」が好ましいとされ(摘記(A))、本件発明1の具体的な実施例1~9においても、「塗布中の伸ばしやすさ」に優れることが確認されているところ(摘記(B))、引用文献1には当該効果について記載も示唆もなく、本件発明1の効果は引用文献1に記載の発明の効果から予測できるものでもない。 また、引用発明1B及び引用発明1Cについても同様である。 よって、本件発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2、4及び5について 本件発明2、4及び5は、引用発明1A~1Cに対して、少なくとも相違点1と同じ点で相違し、上記(ア)で説示したのと同様の理由により、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (3) 取消理由1及び取消理由2-1についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1、2、4及び5は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4) 取消理由2-2について ア 引用文献2に記載された発明 摘記(2a)によれば、引用文献2には、1)金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体と、2)窒化ホウ素粉末を含有する化粧料に関する発明が記載されているところ、摘記(2d)によれば、パウダーファンデーション2である実施例2が製法とともに記載され、摘記(2b)には、「マツモトマイクロスフェアMFLシリーズ」の「MFL30STI」が「二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm」であることが記載されている。 そうすると、引用文献2には、実施例2として、以下に示す引用発明2が記載されているといえる。 <引用発明2> 「PF処理*ベンガラ1.22質量%、PF処理*グンジョウ0.18質量%、PF処理*黄色酸化鉄3.1質量%、チッ化硼素(SHP-3)5質量%、マツモトマイクロスフェアMFL30STI(二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)20質量%、PF処理*二酸化チタン50質量%、タイペーク(TTO-F6)0.5質量%、ステアリン酸アルミニウム処理二酸化チタン1質量%、シリコーン処理タルク10質量%、及び、シリコーン処理マイカ9質量%含有するパウダーファンデーション。」 イ 本件発明と引用発明2との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と引用発明2との対比 引用発明2の「チッ化硼素(SHP-3)」及び「パウダーファンデーション」は、それぞれ、本件発明1の「(B)窒化ホウ素」及び「固形粉末化粧料」に相当する。 引用発明2の「マツモトマイクロスフェアMFL30STI(二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)」は、本件発明1の「(A)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」と、少なくとも「(A’’)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、酸化亜鉛及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」である限りにおいて共通する。 また、引用発明2における「マツモトマイクロスフェアMFL30STI(二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)」の含有量20質量%、「チッ化硼素(SHP-3)」の含有量5質量%、及び、「チッ化硼素(SHP-3)」に対する「マツモトマイクロスフェアMFL50STI(シリカ・二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体平均粒径20μm)」の質量割合「4」は、それぞれ、「1~30質量%」、「0.5~30質量%」及び「成分(B)に対する成分(A’’)の質量割合(A’’)/(B)が、0.5~20」の範囲に含まれるものである。 そうすると、本件発明1と引用発明2とは、 「次の成分(A’’)及び(B): (A’’)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、酸化亜鉛及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体 1~30質量%、 (B)窒化ホウ素 0.5~30質量%、 を含有し、成分(B)に対する成分(A’’)の質量割合(A’’)/(B)が、0.5~20である固形粉末化粧料。」 である点で一致し、以下の相違点2及び3で相違する。 <相違点2> 無機粉体である酸化亜鉛又は酸化チタンが、本件発明1では、シリコーン処理されているのに対して、引用発明2では、シリコーン処理などの表面処理されていない点 <相違点3> 本件発明1は、(C)25℃で液状の油成分を0.1~30質量%含有しているのに対して、引用発明2は、(C)25℃で液状の油成分を含有していない点 b 相違点についての検討 相違点2について検討すると、無機粉体である酸化亜鉛又は酸化チタンの表面における「シリコーン処理」の有無は、その表面の疎水性及び親水性などの化学的特性を大きく異ならせるものであって、引用文献2には、「マツモトマイクロスフェアMFL30STI(二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)」における「二酸化チタン」について特段の説明はなく、かつ、「中空樹脂球状粉体」を被覆する「金属酸化物」である「二酸化チタン」表面を、「シリコーン処理」することについて記載も示唆もない。 そうすると、引用発明2において、「マツモトマイクロスフェアMFL30STI(二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)」における二酸化チタンの表面を「シリコーン処理」する動機付けはなく、本件発明1の相違点2に係る構成は、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 よって、本件発明1は、相違点3について検討するまでもなく、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明3~5について 本件発明3~5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明3~5は、引用発明2に対して、少なくとも相違点2と同じ点で相違し、上記(ア)で説示したのと同様の理由により、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (5) 取消理由3について ア 当初明細書等3に記載された発明 摘記(3a)によれば、当初明細書等3には、成分(A)、成分(B)及び成分(C)窒化ホウ素を含む、粉末化粧料に関する発明が記載されているところ、摘記(3b)によれば、当該粉末化粧料の具体例としてアイシャドウ(固形)である実施例16が製造方法とともに記載されている。 そうすると、当初明細書等3には、実施例16として、以下に示す先願発明3が記載されているといえる。 <先願発明3> 「酸化チタン(平均粒子径:0.08μm)2質量%、酸化チタン(平均粒径:0.145μm)ナイロン複合粉体(MTXO-70NL、ハヤテマテリアル社 製)5質量%、窒化ホウ素5質量%、マイカ15質量%、赤色226号0.8質量%、黄色4号0.5質量%、ジメチルポリシロキサン1%処理黄酸化鉄0.3質量%、ジメチルポリシロキサン1%処理黒酸化鉄0.3質量%、グンジョウ0.2質量%、ジメチルポリシロキサン1%処理合成金雲母11質量%、合成金雲母残量、タルク20質量%、ポリメチルシルセスキオキサン4質量%、酸化チタン被覆ガラス末8質量%、酸化鉄被覆雲母チタン20質量%、ジメチルポリシロキサン2%処理雲母チタン3質量%、製造実施例3のポリウレタンゲル組成物1質量%、ジメチルポリシロキサン(6mPa・s)2質量%、ワセリン1質量%、トリメリト酸トリトリデシル2質量%、ホホバ種子油0.1質量%、及び、香料0.01質量%含有するアイシャドウ(固形)である粉末化粧料。」 イ 本件発明と先願発明3との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と先願発明3との対比 先願発明3の「ナイロン複合粉体(MTXO-70NL、ハヤテマテリアル社製)」は、参考技術情報5によれば、アルミナとステアリン酸により表面処理された平均粒子径0.179μmの表面処理した酸化チタンと平均粒子径10μmのナイロン-12からなる複合粉末であり、その拡大写真から粉末形状は球状であって、それらの粒子径を考慮すると、ナイロン-12の表面を表面処理酸化チタンが被覆しているものと認められる。そして、被覆材料である酸化チタンが70%であるから、ナイロン-12を被覆してもその粒子径が50μmを超えないことは自明であり、その含有量5質量%は、本件発明1の「1~30質量%」の範囲内である。(なお、参考技術情報5は、上記複合粉体(MTXO-70NL)の製造・販売業者(ハヤテマテリアル社)によるものであって、引用出願3の出願時における複合粉体の材料組成等を表すものとすることは妥当である。) そうすると、先願発明3の「ナイロン複合粉体(MTXO-70NL、ハヤテマテリアル社製)5質量%」は、本件発明1の「(A)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体 1~30質量%」と、少なくとも「(A’)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、処理された酸化亜鉛及び処理された酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体1~30質量%」である限りにおいて共通する。 また、先願発明3の「窒化ホウ素」は、本件発明1の「(B)窒化ホウ素」に相当し、先願発明3におけるその含有量5質量%は、本件発明1の「0.5~30質量%」の範囲内である。 さらに、先願発明3の「ジメチルポリシロキサン(6mPa・s)」、「トリメリト酸トリトリデシル」及び「ホホバ種子油」は、いずれも本件発明1の「(C)25℃で液状の油成分」に少なくとも相当し、先願発明3におけるこれらの総含有量4.1質量%は、本件発明1の「0.1~30質量%」の範囲内である。 ここで、先願発明3の「窒化ホウ素」に対する「ナイロン複合粉体(MTXO-70NL、ハヤテマテリアル社製)」の質量割合は「1」であるから、「成分(B)に対する成分(A’)の質量割合(A’)/(B)が、0.5~20」の範囲内である。 そして、先願発明3の「アイシャドウ(固形)である粉末化粧料」は、本件発明1の「固形粉末化粧料」に相当する。 そうすると、本件発明1と先願発明3とは、 「次の成分(A’)、(B)及び(C): (A’)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、処理された酸化亜鉛及び処理された酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体 1~30質量%、 (B)窒化ホウ素 0.5~30質量%、 (C)25℃で液状の油成分 0.1~30質量% を含有し、成分(B)に対する成分(A’)の質量割合(A’)/(B)が、0.5~20である固形粉末化粧料。」 である点で一致し、以下の相違点4で相違する。 <相違点4> 無機粉体である処理された酸化亜鉛又は処理された酸化チタンが、本件発明1では、シリコーン処理されているのに対して、先願発明3では、アルミナとステアリン酸により表面処理されている点 b 相違点についての検討 相違点4について検討すると、「シリコーン処理」に対して、「アルミナとステアリン酸による処理」は、処理する材料が異なっており、当初明細書等3には、「複合粉体」の「無機球状粉体」として、「シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体」を用いることの記載も示唆もないから、相違点4は実質的な相違点である。 よって、本件発明1は当初明細書等3に記載された発明と同一ではない。 (イ) 本件発明2、4及び5について 本件発明2、4及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであるから、本件発明2、4及び5は、引用発明2に対して、少なくとも相違点4と同じ点で実質的に相違し、上記(ア)で説示したのと同様の理由により、当初明細書等3に記載された発明と同一ではない。 (6) 小括 したがって、取消理由通知に記載した取消理由1、2-1、2-2及び3によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(申立理由A1-2、A2-1、A2-2、B2-1、B2-2、B2-3及びB4)について (1) 申立理由A1-2について ア 本件発明1について 上記2(4)で示したとおり、甲A2(引用文献2)には引用発明2が記載され、本件発明1と引用発明2は相違点2及び3で相違し、かつ、本件発明1は、甲A2に記載された発明に基いて、当業者が容易になし得たものではないから、当然に、本件発明1は甲A2に記載された発明でもない。 イ 本件発明2、3及び5について 本件発明2、3及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであり、本件発明1が甲A2に記載された発明ではないのであるから、本件発明2、3及び5も、甲A2に記載された発明ではない。 (2) 申立理由A2-1及びB2-1について ア 本件発明1について 上記2(1)アで示したとおり、甲A1(甲B1=引用文献1)には引用発明1A~1Cが記載され、本件発明1と引用発明1Aは相違点1で相違している。 ここで、甲A3(甲B4)、甲A4(甲B2)及び甲B5~甲B8のいずれにも、「有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」についての記載も示唆もなく(摘記(A3a)、(A3b)、(B2a)~(B2c)、(B5a)~(B5c)、(B6a)、(B7a)及び(B8a))、上記2(2)イ(ア)で示したとおり、引用文献1には、「粉体成分」が含む「(C)疎水性粉体」として、「シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体」を用いることの動機付けとなるような記載もない。 そうすると、本件発明1は、引用発明1A、並びに、甲A3、甲A4及び甲B5~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 また、引用発明1B及び引用発明1Cについても同様である。 よって、本件発明1は、甲A1(甲B1)に記載された発明、並びに、甲A3(甲B4)、甲A4(甲B2)及び甲B5~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 イ 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであり、本件発明1が、甲A1(甲B1)に記載された発明、並びに、甲A3(甲B4)、甲A4(甲B2)及び甲B5~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2~5も、甲A1(甲B1)に記載された発明、並びに、甲A3(甲B4)、甲A4(甲B2)及び甲B5~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (3) 申立理由A2-2について ア 本件発明1について 上記2(4)アで示したとおり、甲A2(引用文献2)には引用発明2が記載され、本件発明1と引用発明2は相違点2及び3で相違している。 ここで、甲A3及び甲A4のいずれにも、「有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」についての記載も示唆もなく(摘記(A3a)、(A3b)及び(B2a)~(B2c))、上記2(4)イ(ア)bで示したとおり、甲A2には、「中空樹脂球状粉体」を被覆する「金属酸化物」である「二酸化チタン」表面を、「シリコーン処理」することの動機付けとなるような記載もない。 そうすると、本件発明1は、甲A2に記載された発明、並びに、甲A3及び甲A4に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 イ 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであり、本件発明1が、甲A2に記載された発明、並びに、甲A3及び甲A4に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2~5も、甲A1に記載された発明、並びに、甲A3及び甲A4に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (4) 申立理由B2-2について ア 甲B2に記載された発明 摘記(B2a)によれば、甲B2には、窒化ホウ素を含有する固形粉末化粧料に関する発明が記載されているところ、摘記(B2b)には、当該固形粉末化粧料が含有する窒化ホウ素以外の材料について一般的な説明が記載され、摘記(B2c)には、当該固形粉末化粧料の具体例であるアイカラーの実施例1~13が記載されている。 そうすると、甲B2には、実施例1として、以下に示す甲B2発明が記載されているといえる。 <甲B2発明> 「シリコーン処理タルク30.00質量%、シリコーン処理セリサイト22.00質量%、シリコーン処理合成金雲母10.00質量%、シリコーン処理酸化チタン2.00質量%、シリコーン処理酸化鉄1.00質量%、窒化ホウ素(平均粒子径6μm)8.00質量%、ナイロン(平均粒子径5μm)8.00質量%、赤色226号0.65質量%、グンジョウ0.15質量%、雲母チタン5.00質量%、パラベン0.20質量%、ミツロウ1.00質量%、フェニル変性シリコーン7.00質量%、及び、イソノナン酸イソトリデシル5.00質量%含有する固形粉末化粧料であるアイカラー。」 イ 本件発明と甲B2発明との対比・判断 (ア) 本件発明1について a 本件発明1と甲B2発明との対比 甲B2発明の「窒化ホウ素(平均粒子径6μm)」、「フェニル変性シリコーン」及び「固形粉末化粧料であるアイカラー」は、それぞれ、本件発明1の「(B)窒化ホウ素」、「25℃で液状の油成分」及び「固形粉末化粧料」に相当する。そして、甲B2発明の「シリコーン処理タルク」、「シリコーン処理セリサイト」、「シリコーン処理合成金雲母」、「シリコーン処理酸化チタン」、「シリコーン処理酸化鉄」、「ナイロン(平均粒子径5μm)」、「赤色226号」、「グンジョウ」及び「雲母チタン」は、いずれも「粉体」といえる。 また、甲B2発明における「窒化ホウ素(平均粒子径6μm)」の含有量8.00質量%及び「フェニル変性シリコーン」の含有量7.00質量%は、それぞれ、本件発明1の「0.5~30質量%」及び「0.1~30質量%」の範囲に含まれるものである。 したがって、本件発明1と甲B2発明とは、 「 次の成分(A’’’)、(B)及び(C): (A’’’)粉体、 (B)窒化ホウ素 0.5~30質量%、 (C)25℃で液状の油成分 0.1~30質量% を含有する固形粉末化粧料。」 の点で一致し、以下の相違点5及び6で相違する。 <相違点5> 本件発明1は、(A)体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体を1~30質量%含有しているのに対して、甲B2発明は、シリコーン処理タルク30.00質量%、シリコーン処理セリサイト22.00質量%、シリコーン処理合成金雲母10.00質量%、シリコーン処理酸化チタン2.00質量%、シリコーン処理酸化鉄1.00質量%、ナイロン(平均粒子径5μm)8.00質量%、赤色226号0.65質量%、グンジョウ0.15質量%、及び雲母チタン5.00質量%の粉体を含有しているものの、体積平均粒子径1~50μmの有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体を含有していない点 <相違点6> 本件発明1は、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.5~20であるのに対して、甲B2発明は、複合有機球状粉体である成分(A)自体を含有していないため、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は不明である点 b 相違点についての検討 相違点5について検討すると、甲B2には、粉体として、「有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」を用いることについて記載も示唆もなく、「シリコーン処理タルク」などの各種粉体を変更する動機付けとなるような記載もない。 さらに、甲B1及び甲B4~甲B8のいずれにも、「有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」についての記載も示唆もない(摘記(1a)~(1e)、(A3a)、(A3b)、(B5a)~(B5c)、(B6a)、(B7a)及び(B8a))。 そうすると、本件発明1の相違点5に係る構成は、甲B2発明、並びに、甲B1及び甲B4~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 よって、本件発明1は、相違点6について検討するまでもなく、甲B2に記載された発明、並びに、甲B1及び甲B4~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (イ) 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明1を更に限定するものであり、本件発明1が、甲B2に記載された発明、並びに、甲B1及び甲B4~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2~5も、甲B2に記載された発明、並びに、甲B1及び甲B4~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (5) 申立理由B2-3について 甲B5には、甲B2と同程度の記載があるところ、本件発明1~5と甲B5に記載された発明は、少なくとも上記(4)イ(ア)aの相違点5と同じ点で相違するところ、相違点5の本件発明に係る構成については、上記(4)イ(ア)bで説示した理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たものではない。 よって、本件発明1~5は、甲B5に記載された発明、並びに、甲B1、甲B2、甲B4及び甲B6~甲B8に記載された事項に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (6) 申立人A及び申立人Bの意見について 申立人Aは、特許異議申立書の申立理由A1及びA2において、申立人Bは、特許異議申立書の申立理由B1~B3において、「有機球状粉体表面が、シリコーン処理酸化亜鉛及びシリコーン処理酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆された複合有機球状粉体」における「シリコーン処理」に関し、特段の主張をしていない。また、申立人Aも申立人Bも、意見書を新たに提出して補足的な主張もしていない。 (7) 申立理由B4について ア サポート要件の判断の前提 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を対比し、特許請求の範囲で特定された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 特許請求の範囲の記載 特許請求の範囲には、上記第3に示したとおりの記載がある。 ウ 本件特許明細書の記載 (摘記(A)及び摘記(B)については、上記第2の4(1)を参照) 摘記(C) 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明者は、酸化亜鉛や酸化チタンと有機球状粉体とを配合した場合や、酸化亜鉛や酸化チタンと有機球状粉体との複合粉体を配合した場合においても、プレスして成形した固形粉末化粧料は、表面をスポンジなどで擦ると、凝集物が発生するという課題を見出した。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者は、複合有機球状粉体と、窒化ホウ素を組合わせて用いれば、表面をスポンジ等の塗布具で擦った後に凝集物が発生せず、きれいな外観が維持される固形粉末化粧料が得られることを見出した。」 摘記(D) 「【0008】 本発明で用いる成分(A)の複合有機球状粉体は、有機球状粉体表面が、酸化亜鉛及び酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の無機粉体で被覆されたものである。 有機球状粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、球状ポリメタクリル酸メチル、球状シリコーン、球状ポリエチレン、球状ポリスチレン、球状セルロース、球状ナイロン等が挙げられる。これらのうち、伸びを向上させる観点から、球状ポリメタクリル酸メチル、球状シリコーン、球状ナイロンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、球状ポリメタクリル酸メチル、球状ナイロンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。 【0009】 これらの有機球状粉体は、のびを向上させ、粉っぽさを抑制させる観点から、体積平均粒子径が1~50μmであり、2~40μmが好ましく、3~30μmがより好ましく、5~20μmがさらに好ましい。 ここで、体積平均粒子径は、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(セイシン企業社製、LMS-350)で測定された値である。なお、体積平均粒子径は、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。 【0010】 このような有機球状粉体表面を被覆するための無機粉体である酸化亜鉛及び酸化チタンとしては、紫外線防御効果を向上させる観点から、微粒子酸化亜鉛及び微粒子酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。 微粒子酸化亜鉛及び微粒子酸化チタンとしては、数平均粒子径が5~100nmであるのが好ましく、8~50nmがより好ましく、10~40nmがさらに好ましい。また、比表面積は、15~100m2 /gであるのが好ましく、18~95m2 /gがより好ましい。 【0011】 酸化亜鉛としては、市販の微粒子酸化亜鉛、特開平1-175921号又は特開平1-230431号記載の微粒子酸化亜鉛等を用いることができる。市販の微粒子酸化亜鉛としては、例えば、FINEX25(数平均粒子径60nm)、FINEX50(数平均粒子径20nm)、FINEX75(数平均粒子径10nm)(以上、堺化学社製)、ZnO-510(数平均粒子径35nm)、ZnO-610(数平均粒子径38nm)、ZnO-650(数平均粒子径25nm)(以上、住友大阪セメント社製)、MZ-150(数平均粒子径80nm)、MZ-300(数平均粒子径35nm)、MZ-500(数平均粒子径25nm)(以上、テイカ社製)等が挙げられる。」 摘記(E) 「【0015】 無機粉体(酸化亜鉛又は酸化チタン)に対する有機球状粉体の質量割合(有機球状粉体/無機粉体)は、伸びを向上させ、無機粉体を有機球状粉体の表面へ均一に複合化させる観点から、0.9~3が好ましく、1~2.3がより好ましく、1.2~2がさらに好ましい。 【0016】 成分(A)の複合有機球状粉体は、例えば、有機球状粉体と無機粉体を、上記のような割合で混合し、高速気流中衝撃法を用いて複合化することにより、製造することができる。高速気流中衝撃法においては、例えば、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステム(NHS-3-2L)等を用いることができる。 また、成分(A)の複合有機球状粉体は、以下の方法で製造することもできる。まず、有機球状粉体と無機粉体を、上記のような割合で、周速40m/秒以上、遠心効果1000G以下で混合し、発生する荷電現象を利用して、静電気力で、有機球状粉体の表面に無機粉体を付着させた処理物を得る。次いで、その処理物に周速度70m/秒以上、遠心効果2000G以上の物理的エネルギーを継続的に与えることにより、両粉体間にせん断力や衝撃力による相互作用で、有機球状粉体の表面が一部軟化し、この表面に無機粉体が撃込まれて強固に結合し、目的とする複合有機球状粉体を得ることができる。 【0017】 このようにして得られる成分(A)の複合有機球状粉体は、体積平均粒子径が1~50μmであり、2~40μmが好ましく、3~30μmがより好ましく、5~20μmがさらに好ましい。体積平均粒子径は、成分(A)の有機球状粉体を測定する方法と同様にして測定される。」 エ サポート要件の判断 (ア) 本件発明の解決すべき課題について 本件請求項1~5の記載及び摘記(C)によれば、本件発明の課題は、「酸化亜鉛や酸化チタンと有機球状粉体とを配合した場合や、酸化亜鉛や酸化チタンと有機球状粉体との複合粉体を配合した場合においても、プレスして成形した固形粉末化粧料が、表面をスポンジ等の塗布具で擦った後に凝集物が発生せず、きれいな外観が維持される、固形粉末化粧料を提供すること」であると認める。 (イ) 判断 本件発明の「複合有機球状粉体」は、「有機球状粉体」の表面を「無機粉体」で被覆したものであって、被覆に必要とされるそれらの量は、各材料の粒子径に依存するものといえるところ、摘記(D)には、「有機球状粉体」と「無機粉体」の各粒子径について記載があり、摘記(E)には、その質量割合(有機球状粉体/無機粉体)について記載され、かつ、複合化のための製造方法も例示されている。さらに、摘記(B)には、具体的な実施例として、(有機球状粉体/無機粉体)=1.5である製造例1~3が記載され、当該製造例1~3を使用した実施例1~9は、凝集物がほとんど見られない等の優れた特性を示すことが確認されている。 そうすると、「複合有機球状粉体」について、各材料の粒子径及び質量割合に関する一般的な記載、並びに具体的な記載に基づくと、「有機球状粉体」が特定の「無機粉体」で被覆され、「複合有機球状粉体」が特定の粒子径を有している限り、それらの質量割合(有機球状粉体/無機粉体)が1.5以外である場合についても、凝集物がほとんど見られない等の優れた特性を一定程度発揮することは、当業者が十分に理解できる事項であるといえる。 よって、本件発明1~5は、「複合有機球状粉体」について、発明の詳細な説明に記載された発明であって、かつ、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。 したがって、本件発明1~5は、発明の詳細な説明に記載したものである。 (ウ) 申立人Bの主張について 申立人Bは、「無機粉体(酸化亜鉛又は酸化チタン)に対する有機球状粉体の質量割合(有機球状粉体/無機粉体)」について、出願時の技術常識に基づいても、1.5以外の範囲の請求項1~5に係る発明にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないと主張するが、上記(イ)で検討したとおりであるから、申立人Bの主張は採用できない。 (8) 小括 したがって、申立理由A1-2、A2-1、A2-2、B2-1、B2-2、B2-3及びB4によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに申立人の申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、ほかに本件請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700209

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  • 2023-701166異議申立 / 2024-06-25 / 訂正認容艶持続型化粧料組成物
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、161・A61K、537・A61K
  • 2023-700955異議申立 / 2024-05-14 / 訂正認容液状口唇化粧料
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、161・A61K、537・A61K
  • 2022-700338異議申立 / 2023-10-06 / 訂正認容1,3-ブチレングリコール製品
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、161・A61K、537・A61K
  • 2019-700058異議申立 / 2020-09-30 / 訂正認容光安定性に優れたシロドシン含有経口固形製剤
    共通の審決分類: 113・A61K、121・A61K、161・A61K、537・A61K

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