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特許異議申立

2023-700196

白色ポリエステルフィルム及びその製造方法

審判番号
2023-700196
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-162251
登録番号
7127094
請求日
2023年02月20日
審決日
2023年05月01日
公報発行日
2023年05月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
  • 【権利者代理人】村山 靖彦
  • 【権利者代理人】実広 信哉
  • 【権利者代理人】阿部 達彦
  • 【異議申立人】高山 敏男
審判長/審判官
  • 審判長 磯貝 香苗
  • 審判官 加藤 友也
  • 審判官 三上 晶子
分類
P1651.121-Y (C08J) / P1651.536-Y (C08J) / P1651.537-Y (C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号特許法113条4号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7127094号発明「白色ポリエステルフィルム及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7127094号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7127094号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、令和2年9月28日(パリ条約の例による優先権主張 2020年4月28日、台湾)の出願であって、令和4年8月19日にその特許権の設定登録(請求項の数11)がされ、同年同月29日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和5年2月20日に特許異議申立人 高山 敏男(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし11)がされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし11に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 再生ポリエステル材をリサイクルするための白色ポリエステルフィルムの製造方法であって、 前記白色ポリエステルフィルムの製造方法は、 前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生し、造粒を行うことにより、複数のメカニカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップと、 前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生し、造粒を行うことにより、複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップであって、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットに、金属塩である少なくとも一種の静電接着添加剤(pinning additives)を含むケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップがさらに含まれるステップと、 複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとを互いに混合して、溶融押出しして、ポリエステルフィルムとして形成させるステップと、 前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生するステップ及び/または前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生するステップにおいて、前記再生ポリエステル材にさらに白色添加剤を加えることにより、最終的に形成された前記ポリエステルフィルムに前記白色添加剤が含まれるようにするステップと、 を含み、 前記メカニカルリサイクルポリエステルペレット及び前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットにおける前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップの使用量は、5重量部~35重量部であり、 前記ポリエステルフィルムにおいて、複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットは、メカニカルリサイクルポリエステル樹脂として形成され、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットは、前記メカニカルリサイクルポリエステル樹脂と混合されるケミカルリサイクルポリエステル樹脂として形成され、前記ポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットの使用量は、50重量部~95重量部であり、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットの使用量は、1重量部~40重量部であると共に、複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとの使用量の和は、55重量部~100重量部であり、 前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップにおける前記静電接着添加剤の含有量は、0.01wt%~0.3wt%であり、それにより、前記ポリエステルフィルムにおける前記静電接着添加剤の含有量は、0.005wt%~0.1wt%となる、ことを特徴とする白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項2】 前記白色添加剤は、二酸化チタン(TiO2)粒子、硫酸バリウム(BaSO4)粒子、及び炭酸カルシウム(CaCO3)粒子からなる材料群から選択される少なくとも1種であり、 前記白色添加剤の粒子サイズは、0.1μm~20μmであり、かつ、前記ポリエステルフィルムにおける前記白色添加剤の含有量は、0.05wt%~35wt%であり、それにより、前記ポリエステルフィルムは全体的に白色を呈し、1.2以上の吸光度(optical density)を有する、請求項1に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項3】 前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生するステップにおいて、前記再生ポリエステル材を解重合して、原料混合物を取得するステップと、前記原料混合物を再重合して、造粒を行うことにより、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップと、を含む、請求項1に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項4】 前記原料混合物を再重合するステップは、前記静電接着添加剤(pinning additives)を一部の前記原料混合物に添加して、さらに、前記静電接着添加剤が添加された前記原料混合物を再重合して、造粒を行うことにより、前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップを取得するステップをさらに含む、請求項3に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項5】 前記原料混合物を再重合するステップにおいて、前記原料混合物の一部にスリップ剤(slipping agent)を添加するステップと、前記スリップ剤が添加された前記原料混合物を再重合して、造粒を行うことにより、ケミカルリサイクルスリップ剤ポリエステルチップを取得するステップと、をさらに含み、 前記スリップ剤は、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、ポリスチレン粒子、シリコーン粒子、アクリル粒子からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、前記ポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、前記ケミカルリサイクルスリップ剤ポリエステルチップの使用量は、5重量部~10重量部である、請求項3に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項6】 前記スリップ剤の粒子サイズは、5μm未満であり、前記ケミカルリサイクルスリップ剤ポリエステルチップにおける前記スリップ剤の含有量は、0.1wt%~20wt%であり、それにより、前記ポリエステルフィルムにおける前記スリップ剤の含有量は、0.5wt%~5wt%となり、それにより、前記ポリエステルフィルムの動摩擦係数及び静摩擦係数はいずれも0.4%未満となる、請求項5に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項7】 前記原料混合物を再重合するステップは、前記原料混合物の一部分に前記白色添加剤を添加して、さらに、前記白色添加剤を添加した前記原料混合物を再重合して造粒し、それにより、ケミカルリサイクル白色ポリエステルチップを取得するステップをさらに含む、請求項3に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項8】 前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生する前記ステップにおいて、前記再生ポリエステル材を物理的に・機械的に粉砕して溶融し、さらに、前記白色添加剤を、溶融された前記再生ポリエステル材に添加して、造粒を行うことにより、メカニカルリサイクル白色ポリエステルチップを取得するステップをさらに含む、請求項1に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項9】 複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレット、及び複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットのいずれも、前記再生ポリエステル材をリサイクルし、さらに、前記再生ポリエステル材に対し造粒を行うことにより得られるものであり、 前記再生ポリエステル材は、リサイクルペットボトルチップ(r-PET)である、請求項1に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項10】 前記リサイクルペットボトルチップのポリエステル成分に、二酸単位としてイソフタル酸(IPA)が含まれ、それにより、最終的に形成した前記ポリエステルフィルムにも前記イソフタル酸が含まれ、前記ポリエステルフィルムの総重量100mol%に基づいて、前記ポリエステルフィルムにおける前記イソフタル酸の含有量は、0.5mol%~5mol%である、請求項9に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。 【請求項11】 前記リサイクルペットボトルチップのポリエステル成分に、グリコール単位としてエチレングリコールバイオマス由来のエチレングリコールが含まれ、それにより、最終的に形成した前記ポリエステルフィルムにも前記エチレングリコールバイオマス由来のエチレングリコールが含まれ、 前記ポリエステルフィルムの総重量100wt%に基づいて、前記ポリエステルフィルムにおける前記エチレングリコールバイオマス由来のエチレングリコールの含有量は、1wt%~25wt%であり、かつ、前記ポリエステルフィルム中の全炭素量を基に、放射能(C14)で測定したバイオマス由来の炭素量は5%以下である、請求項9に記載の白色ポリエステルフィルムの製造方法。」 第3 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 令和5年2月20日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(明確性要件) 本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (1)本件特許発明1ないし11について 本件特許発明1では、ポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数のメカニカルリサイクルポリエステルペレットの使用量が50重量部~95重量部であること、及び複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットの使用量が1重量部~40重量部であることが特定されている。これらの特定によれば、例えば、複数のメカニカルリサイクルポリエステルペレットの使用量が50重量部、複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットの使用量が1重量部(すなわち、両ポリエステルペレットの使用量の和が51重量部)である態様が含まれる。 他方、本件特許発明1では、両ポリエステルペレットの使用量の和が55重量部~100重量部であることが特定されており、上記態様のように、各ポリエステルペレットの使用量から算出される、両ポリエステルペレットの使用量の和の範囲とは矛盾しており、結局のところ、各ポリエステルペレットをどのような使用量で使用するのか判然としない。 よって、本件特許発明1及び請求項1を直接又は間接的に引用して特定する本件特許発明2ないし11は明確でない。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2は、白色添加剤の粒子サイズを特定している。ここで、粒子サイズの測定方法としては、日本工業規格(JIS Z 8901)等に記載されているように、顕微鏡法、沈降法、レーザー回折・散乱法などが挙げられ、測定方法の種類に応じて測定値が異なることは出願時の技術常識である。本件特許明細書には、白色添加剤の粒子サイズの測定方法について何ら記載がなく、その範囲を具体的に特定することができない。 また、本件特許発明2は、ポリエステルフィルムの吸光度を特定している。本件特許明細書には、吸光度の定義も測定方法も記載されておらず、その範囲を具体的に特定することができない。 よって、本件特許発明2は明確でない。 (3)本件特許発明6について 本件特許発明6は、スリップ剤の粒子サイズを特定している。(2)で述べたように、粒子サイズは、測定方法の種類に応じて測定値が異なるところ、本件特許明細書には、スリップ剤の粒子サイズの測定方法について何ら記載がなく、その範囲を具体的に特定することができない。 また、本件特許発明6は、動摩擦係数及び静摩擦係数を特定している。本件特許明細書には、これらの定義も測定方法も記載されておらず、その範囲を具体的に特定することができない。 よって、本件特許発明6は明確でない。 3 申立理由3(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 本件特許発明1では、「前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生するステップ及び/または前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生するステップにおいて、前記再生ポリエステル材にさらに白色添加剤を加えることにより、最終的に形成された前記ポリエステルフィルムに前記白色添加剤が含まれるようにするステップ」が規定されており、再生ポリエステル材の化学的再生において、二酸化チタンを含む任意の白色添加剤を添加する態様を包含する。 しかし、本件特許明細書の【0101】には、「また、上述した種類の白色添加剤のうち、二酸化チタンは、化学的再生におけるポリエステルの重合反応に影響を与えるため、化学的再生には適しておらず、物理的再生にのみ適していることも特筆に値する。」と記載されており、後続の【0102】には、「すなわち、ケミカルリサイクルポリエステル樹脂における白色添加剤は、硫酸バリウムや炭酸カルシウムなどの成分を含んでいてもよいが、二酸化チタンの成分を含んではならない。」と記載されている。 上記の記載から、当業者であっても、再生ポリエステル材の化学的再生において、二酸化チタン等の添加剤を添加する態様を包含する本件特許発明1を実施することはできない。 請求項1を直接又は間接的に引用して特定する本件特許発明2ないし11についても同様に実施することができない。 4 申立理由4(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 上記3で述べたように、本件特許発明1には、当業者であっても実施できない態様を包含しており、少なくとも当該態様については本件特許発明の課題を解決することができない。 請求項1を直接又は間接的に引用して特定する本件特許発明2ないし11にも同様に実施できない態様を包含しており、本件特許発明の課題を解決することができない。 よって、本件特許発明1ないし11は、サポート要件を満たさない。 5 証拠方法 甲第1号証:特開2011-256328号公報 甲第2号証:特開2010-280750号公報 甲第3号証:特開平10-60135号公報 甲第4号証:特開2006-290908号公報 甲第5号証:特開2013-39764号公報 甲第6号証:特開2003-41101号公報 甲第7号証:特開2014-65282号公報 甲第8号証:特開2012-96410号公報 証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。以下、順に「甲1」のようにいう。 第4 当審の判断 1 主な証拠に記載された事項等 (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には、「リサイクルポリエステル含有ポリエステル構造体及びその製造方法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 ・「【請求項2】 エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をケミカルリサイクルして成るケミカルリサイクルポリエステル樹脂と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をメカニカルリサイクルしてなるメカニカルリサイクルポリエステル樹脂とをブレンドして成るブレンド物を含有することを特徴とするポリエステル構造体。」 ・「【請求項7】 エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をケミカルリサイクルして成るケミカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をメカニカルリサイクルしてなるメカニカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂をブレンドしてプリフォームを製造する製造工程から成るプリフォームの製造方法であって、 前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂のブレンド比が99:1乃50:50(重量比)の範囲にあり、ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂から成るリサイクルポリエステル樹脂を25重量%以上の量で含有するプリフォームを製造することを特徴とするプリフォームの製造方法。」 ・「【0001】 本発明は、ポリエチレンテレフタレートから成るボトルを再生して成るリサイクルポリエステルを含有するポリエステル構造体に関するものであり、より詳細には、ケミカルリサイクルによる再生ポリエステル及びメカニカルリサイクルによる再生ポリエステルの両方を含有するポリエステル構造体及びプリフォームの製造方法に関する。」 ・「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上述したように、ケミカルリサイクル或いはメカニカルリサイクルによる再生PETは、それ単独で飲食品用途への利用が可能であるという利点を有する一方、再生に要するコストや再生PETの色味等の問題で、大量生産されると共に外観特性が要求されるPETボトルに利用することは困難である。 従って本発明の目的は、ケミカルリサイクル及びメカニカルリサイクルによる再生PETを利用することにより、環境性を具備しながら、満足する経済性及び外観特性を有するポリエステル容器を提供することである。 本発明の他の目的は、ケミカルリサイクル及びメカニカルリサイクルによる再生PETから成るポリエステル容器を安定して供給可能なポリエステル容器の製造方法を提供することである。」 ・「【0009】 本発明によれば更に、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をケミカルリサイクルして成るケミカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をメカニカルリサイクルしてなるメカニカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂をブレンドしてプリフォームを製造する製造工程から成るプリフォームの製造方法であって、前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂のブレンド比が99:1乃50:50(重量比)の範囲にあり、ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂から成るリサイクルポリエステル樹脂を25重量%以上の量で含有するプリフォームを製造することを特徴とするプリフォームの製造方法が提供される。 本発明のプリフォームの製造方法においては、 1.カラーb値が+2乃至-10の範囲に調整された、バージンのエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂又はケミカルリサイクルポリエステル樹脂を配合して、プリフォームのカラーb値を+2乃至-2の範囲にすること、 2.エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器の回収量に応じたケミカルリサイクルポリエステル樹脂の供給量を基準に、前記メカニカルリサイクルポリエステル樹脂の配合量を変化させること、 が好適である。 【発明の効果】 【0010】 本発明のポリエステル構造体によれば、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をケミカルリサイクルして成るケミカルリサイクルポリエステル樹脂(以下、「ケミカルリサイクルによる再生PET」という)及びエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をメカニカルサイクルして成るメカニカルリサイクルポリエステル樹脂(以下、「メカニカルリサイクルによる再生PET」という)を用いて成形されていることにより、環境負荷の低減に貢献することができると共に、飲食品に直接使用することも可能である。 またケミカルリサイクル及びメカニカルリサイクルによる再生PETを組み合わせで用いることにより、上述したように、それぞれが有する利点及び欠点を互いに補うことができ、経済性及び外観特性に優れた再生PETから成る構造体を提供することが可能となる。 更に、カラーb値が調整されたケミカルリサイクルによる再生PET或いはバージンポリエステルを、メカニカルリサイクルによる再生PETと組み合わせることによって、メカニカルリサイクルによる再生PETが有する黄色味を調整することが可能になり、外観特性に優れた容器を製造することが可能になる。 また本発明のプリフォームの製造方法によれば、ケミカルリサイクル及びメカニカルリサイクルのそれぞれによって再生されたPETを所定量比でブレンドしてプリフォームを成形することにより、環境性に優れると共に、飲食品用途に使用可能なプリフォームを製造することが可能になる。」 ・「【0012】 (ポリエステル樹脂) 回収PETのケミカルリサイクルの方法としては、前述したように種々の方法が提案されているが、例えば上記特許文献1の場合、(i)回収PETを粉砕、洗浄、異物分別等を行った後、フレーク又はペレット状にする前処理工程、(ii)前処理で得られたフレーク又はペレットを、エチレングリコールを用いて解重合して、ビス-β-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)を得る解重合工程、(iii)PET以外のプラスチック成分を除去する異物除去工程、(iv)得られたBHETを濃縮するBHET濃縮工程、(iv)BHETを原料とするPET生成工程、から成っており、原料レベルまで解重合することにより蒸留、濾過などの高度な精製手法が採用できることから、かかるケミカルリサイクルによる再生PETは、バージンPETと同様の性質を有している。 【0013】 一方、回収PETのメカニカルリサイクルの方法においても種々の方法が提案されているが、基本的には、回収PETを粉砕、洗浄、異物分別等を行った後、フレーク又はペレット状にする所謂マテリアルリサイクルによる再生PETを、熱、真空脱気、清浄ガス等の種々の手段で更に厳密且つ高度に洗浄を行うことにより、PETの汚れを確実に取り除く方法である。 また、回収PETの固有粘度はバージンのPETに比して低いため、前述の洗浄工程を兼ねて、あるいは洗浄工程と併用して固相重合に相当する加熱処理、ベント付多軸押出機を用いた溶融処理などを行い、バージンPETと同等の固有粘度まで回復させる工程を有することがある。 いずれの手法にせよ、メカニカルリサイクルによる再生PETは、熱履歴を経ているため、黄色味が強く、多くの場合はカラーb値が+3.0以上であり、+5を上回るものもある。 また、バージンのPETを製造した際に使用された触媒をそのまま含有していることから、PET樹脂の製造に一般的に用いられるGe、Sb、Ti、Alを含有する金属化合物を複数種含有している。」 ・「【0020】 本発明のポリエステル構造体は、リサイクルによるボトルtoボトルという観点からは、プリフォーム及びこのプリフォームを二軸延伸ブロー成形して得られるボトルであることが特に好適である。 ボトルを成形するためのプリフォームの製造は、押出成形、射出成形、圧縮成形等のそれ自体公知の成形法で行うことができ、多層プリフォームの場合は、共押出成形法、同時射出成形法、逐次射出法、圧縮成形法等で製造することができる。 尚、メカニカルリサイクルによる再生PETにおいては、バージンPETに比して、既に固有粘度の低下が生じていたり、また水分の吸着及び吸収も生じている場合があるため、プリフォームの製造に利用する際には固有粘度の低下が生じやすい状態となっていることから、メカニカルリサイクルによる再生PETの含有量が多い場合には、ベント付多軸押出機で可塑化を行い、固有粘度の実質上の低下を抑制することが望ましい。 本発明のポリエステルボトルは、上記プリフォームを105℃以上の高温に加熱して、このプリフォームを軸方向に引っ張り延伸すると共に周方向にブロー延伸し、必要により熱固定することにより製造することができる。 多層プリフォームの成形とその延伸ブロー成形とは、上記の通りコールドパリソン方式で実施することが好ましいが、形成される多層プリフォームを完全に冷却しないで延伸ブロー成形を行うホットパリソン方式にも適用できる。」 ・「【0023】 本発明のポリエステル構造体は、上述したように、プリフォーム及びボトルであることが特に好適であるが、勿論、シート、フィルム、カップ、トレイ等の形状の構造体であってもよい。」 イ 甲1に記載された発明 甲1に記載された事項を、特に【請求項7】に関して整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をケミカルリサイクルして成るケミカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をメカニカルリサイクルしてなるメカニカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂をブレンドしてプリフォームを製造する製造工程から成るプリフォームの製造方法であって、 前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂のブレンド比が99:1乃50:50(重量比)の範囲にあり、ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂から成るリサイクルポリエステル樹脂を25重量%以上の量で含有するプリフォームを製造するプリフォームの製造方法。」 なお、特許異議申立人は、特許異議申立書第34ページ第3ないし27行において、【請求項2】、【請求項7】、【0001】、【0009】、【0010】、【0012】、【0020】及び【0023】等を根拠として、甲1発明として、「フィルムの製造方法」の発明を認定しているが、このような認定は、いわゆるいいとこ取りであり、採用することはできない。 (2)甲2に記載された事項 甲2には、「非化石原料を用いた環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。 ・「【0008】 本発明における非化石原料とは、石油、石炭、天然ガスといった化石資源由来の原料から作られていないもののことをいう。また近年、盛んに行われているプラスチックのリサイクル、特に使用済の製品をもとの石油資源由来の原料と全く同じ原料に分解、精製することでプラスチックを再生するケミカルリサイクルの原料は、もともとは石油由来の原料であるとはいえ、本来焼却廃棄されるはずの物質が再生されると考えれば、もはやその原料は屑であり、これを有効利用することも環境負荷を低減するには重要である。従って本発明においては、非化石原料をポリエステル製造の際の原料として用いたポリエステルのみならず、原料としてケミカルリサイクルによって得られる屑から得たリサイクル原料を用いて製造されるポリエステルについても述べる。代表的なリサイクル原料としては、リサイクルされたテレフタル酸やリサイクルされたテレフタル酸ジメチルを挙げることができる。 【0009】 ここで、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルとは、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル廃棄物等をエチレングリコールを用いて解重合を行い、生成したビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートにメタノール添加しエステル交換反応を行い、生成したテレフタル酸ジメチルを精製することで得られた高純度のテレフタル酸ジメチルのことである。またリサイクルされたテレフタル酸とはそのテレフタル酸ジメチルに対して加水分解反応を行い、精製して得られたテレフタル酸のことをいう。またあるいは、ポリアルキレンテレフタレートを直接メタノール(ヒドロキシアルキル化合物)を用いて解重合工程により解重合反応を行い、得られるテレフタル酸ジメチルをリサイクルされたテレフタル酸ジメチルとして用いても良い。また、リサイクルされたテレフタル酸ジメチル等を用いるのは、市場に流通されているポリエステル製品を回収して用いること、テレフタル酸ジメチル以外のポリエステルの構成成分をも回収することを考慮すると、ポリアルキレンテレフタレートとしては製品として市場で生産・流通している量が多いポリエチレンテレフタレートを用い解重合に用いるアルキレングリコールとしてエチレングリコールを用いることが好ましい。またリサイクルされたテレフタル酸とはそのテレフタル酸ジメチルに対して加水分解反応を行い、精製して得られたテレフタル酸であっても良い。」 ・「【0020】 本発明のポリエステルの製造においては、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、固相重合促進剤、整色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消剤等を添加してもよい。しかしながらこれらの添加剤も、基本的に化石資源由来であることが多く、本発明のポリエステルの原料総量に対して、その他の化石資源由来原料とあわせて最大10重量%まで添加することができる。 【0021】 上記のポリエステルはバイオマスエチレングリコールを用いる事以外は任意の方法によって製造することがでる。ポリエチレンテレフタレートの場合を例示すれば、リサイクルされたテレフタル酸とバイオマスエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルとバイオマスエチレングリコールとをエステル交換反応させることにより、テレフタル酸のエチレングリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を重合反応触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造することができる。」 (3)甲3に記載された事項 甲3には、「金属ラミネート用白色ポリエステルフィルムとその製造法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。 ・「【0005】一般に、ポリエステルフィルムをフラット法で製造する場合、Tダイから溶融樹脂を押し出し、冷却ドラム(キャストロール)に接触させて冷却するが、通常この際、フィルムに高電圧(通常5~10kV)を印加し、キャストロールに静電気力によって密着させて急冷する方法(静電ピニング法と呼ぶ)が採用されている。しかし、ポリエステルは一般に比抵抗が高く、高電圧を印加したときに空中放電を起こしたり、フィルムのキャストロールへの密着不均一によりフィルム表面にピニング泡と呼ばれる微細な凹凸が発生するという不具合が生じることがある。このような問題を防止するために、特定の金属化合物をポリエステルに配合してピニングマスターとし、これをポリエステルに配合してポリエステルの比抵抗を下げることが提案されている(特公昭53-40231号公報、特公昭61-33855号公報、特開昭59-214618号公報、特開昭60-11529号公報)。」 ・「【0023】本発明における組成物Cは、上記のエステル化反応率が95%付近のエステル化物を重合缶に移送し、イソフタル酸を所定量添加し、滑剤として酸化珪素を 0.1~1.6重量%、ピニング剤としてリチウム、ナトリウム、カリウムの中から選ばれたアルカリ金属化合物(水酸化物、酢酸塩、炭酸塩等)を 1.0~50×10-4モル/酸成分1モル、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛の中から選ばれた金属化合物(水酸化物、酢酸塩、炭酸塩等)を 1.0~50×10-4モル/酸成分1モル、及びリン酸、亜リン酸、もしくは、これらの低級脂肪酸エステル等を 1.0~50×10-4モル/酸成分1モルとなるよう、各成分をエチレングリコールの溶液、もしくはスラリーとして添加し、触媒の存在下、1.3hPa以下の減圧下に 280℃程度の温度で所望の粘度まで溶融重合することにより得ることができる。」 (4)甲4に記載された事項 甲4には、「ポリエステル製造方法、ポリエステルおよびポリエステル成型体」に関して、おおむね次の事項が記載されている。 ・「【0031】 上記のアルカリ土類金属化合物、アルカリ金属化合物およびリン化合物を添加することにより、ポリエステルの静電密着性を向上させることができる。ポリエステルの静電密着性とは、例えば、ポリエステルをフィルムやシートに溶融押出し法で成型する場合のキャスティング時に必要な特性である。すなわち、押出口金から溶融押出したフイルム状物を回転冷却ドラムで急冷する際、該フイルム状物の表面に静電荷を析出させ、フイルム状物を冷却ドラムの表面に静電力で密着させる静電密着法が知られている。しかし、この方法においては、生産能力を高めるために冷却ドラムの回転速度を上げるとフイルム状物と冷却ドラムとの密着力が減少し、フイルム状物と冷却ドラムとの間に気体を噛み込むようになるピンナーバブルの発生がおこり、厚み斑や外観不良発生の原因となる。静電密着性とは、この静電密着法において、大きな静電密着力が付与できるようにポリエステルの特性を改質し、高速でキャスティングしても厚み精度の高い製膜製品が得られるポリエステル樹脂の特性である。 近年ポリエステルフィルムやシートに対する品質に対する要求特性はますます厳しくなり、それに伴い厚み精度を向上させることが必要な条件となってきており、ポリエステルの重要な特性の一つである。」 ・「【0055】 なお、本発明においては、回収PETボトルの化学分解回収法で得られたテレフタル酸、ジメチルテレフタレートあるいはエチレングリコール等のリサイクル原料を用いることは、省資源や環境保護に役立つので好ましい実施態様である。」 ・「【0057】 本発明のポリエステル中には、有機系、無機系、及び有機金属系のトナー、ならびに蛍光増白剤などを含むことができ、これらを一種もしくは二種以上含有することによって、ポリエステルの黄み等の着色をさらに優れたレベルにまで抑えることができる。また他の任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、顔料、艶消剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含有されていてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が使用可能である。 【0058】 これらの添加剤は、ポリエステルの重合時もしくは重合後、あるいはポリエステルの成形時の任意の段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは対象とするポリエステルの構造や得られるポリエステルの要求性能に応じてそれぞれ適宜選択すれば良い。」 2 申立理由1(甲1に基づく進歩性)について (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明における「プリフォーム」は「エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をケミカルリサイクルして成るケミカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をメカニカルリサイクルしてなるメカニカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂をブレンドしてプリフォームを製造する製造工程から成るプリフォームの製造方法」により得られるものであるから、本件特許発明1における「再生ポリエステル材をリサイクルするための白色ポリエステルフィルム」と、「再生ポリエステル材をリサイクルするためのポリエステル構造体」という限りにおいて一致する。 甲1発明における「メカニカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程」及び「ケミカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程」においても、それぞれ、本件特許発明1における「前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生し、造粒を行うことにより、複数のメカニカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップ」及び「前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生し、造粒を行うことにより、複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップ」を備えていることは明らかである。 甲1発明における「前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂をブレンドしてプリフォームを製造する製造工程」は本件特許発明1における「複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとを互いに混合して、溶融押出しして、ポリエステルフィルムとして形成させるステップ」と、「複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとを互いに混合して、ポリエステル構造体として形成させるステップ」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「再生ポリエステル材をリサイクルするためのポリエステル構造体の製造方法であって、 前記ポリエステル構造体の製造方法は、 前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生し、造粒を行うことにより、複数のメカニカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップと、 前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生し、造粒を行うことにより、複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップと、 複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとを互いに混合して、ポリエステル構造体として形成させるステップと、 を含むポリエステル構造体の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1> 「再生ポリエステル材をリサイクルするためのポリエステル構造体」に関して、本件特許発明1においては、「白色ポリエステルフィルム」と特定されているのに対し、甲1発明においては、「プリフォーム」と特定されている点。 <相違点2> 「複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップ」に関して、本件特許発明1においては、「複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットに、金属塩である少なくとも一種の静電接着添加剤(pinning additives)を含むケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップがさらに含まれるステップ」と特定されているのに対し、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。 <相違点3> 「複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとを互いに混合して、ポリエステル構造体として形成させるステップ」に関して、本件特許発明1においては「複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとを互いに混合して、溶融押出しして、ポリエステルフィルムとして形成させるステップ」と特定されているのに対して、甲1発明においては「前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂をブレンドしてプリフォームを製造する製造工程」と特定されている点。 <相違点4> 本件特許発明1においては、「前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生するステップ及び/または前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生するステップにおいて、前記再生ポリエステル材にさらに白色添加剤を加えることにより、最終的に形成された前記ポリエステルフィルムに前記白色添加剤が含まれるようにするステップと、を含み」と特定されているのに対し、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。 <相違点5> 本件特許発明1においては、「前記メカニカルリサイクルポリエステルペレット及び前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットにおける前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップの使用量は、5重量部~35重量部であり、 前記ポリエステルフィルムにおいて、複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットは、メカニカルリサイクルポリエステル樹脂として形成され、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットは、前記メカニカルリサイクルポリエステル樹脂と混合されるケミカルリサイクルポリエステル樹脂として形成され、前記ポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットの使用量は、50重量部~95重量部であり、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットの使用量は、1重量部~40重量部であると共に、複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットと複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットとの使用量の和は、55重量部~100重量部であり」と特定されているのに対し、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。 なお、特許異議申立人は、特許異議申立書第35ページ第23行ないし第36ページ第10行において、甲1発明は「ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂から成るリサイクルポリエステル樹脂を25重量%以上の量で含有する」ものであるから、本件特許発明1における「前記ポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数の前記メカニカルリサイクルポリエステルペレットの使用量は、50重量部~95重量部であり」という発明特定事項を有する旨主張するが、甲1発明の「25重量%以上」の方が本件特許発明1の「50重量部~95重量部」よりも広い数値範囲であることから、上記主張は採用できない。 <相違点6> 本件特許発明1においては、「前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップにおける前記静電接着添加剤の含有量は、0.01wt%~0.3wt%であり、それにより、前記ポリエステルフィルムにおける前記静電接着添加剤の含有量は、0.005wt%~0.1wt%となる」と特定されているのに対し、甲1発明においては、そのようには特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点2について検討する。 甲1には、甲1発明において、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもそのような記載はない。 したがって、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、甲1発明において、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1の奏する「白色ポリエステルフィルムは、リサイクルポリエステル素材の割合が高いものを使用して製造することを可能にする。バージンポリエステルチップを追加で添加する必要がなく、少量のバージンポリエステルチップのみで済むため、バージンポリエステルチップの使用量を大幅に削減することができ、環境にも優しいとなり得る。」(本件特許の発明の詳細な説明の【0027】)及び「白色ポリエステルフィルムにある程度の白色化効果を持たせて、それにより、特定の製品(例えば、印刷用フィルム、包装用フィルム、バリアフィルム、カーテン、遮光フィルム、テープ、ラベルなど)に適用することができる」(同【0028】)という効果は、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明1の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものである。 ウ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、「静電接着添加剤に関する構成D、G、及びIについて、甲第2号証及び甲第4号証には、上述の通り、ケミカルリサイクルポリエステル樹脂の重合時に任意の添加剤を添加し得ることが記載されている。当該分野において、添加剤の一つとして、キャストロールへの密着不均一により表面に微細な凹凸が発生するのを防止するため、ピニング剤(静電密着剤)が用いられることは周知であり、ピニング剤(静電密着剤)として、本件特許発明1の金属塩に相当するアルカリ金属化合物(塩)及びアルカリ土類金属化合物(塩)等が用いられることも周知である(甲第3号証の段落【0005】及び【0023】、甲第4号証の段落【0031】及び【0055】等)。また、静電密着剤の使用量や含有量等は適宜設計される事項に過ぎない。 したがって、構成D、G、及びIは、甲第2号証~甲第4号証に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。」(特許異議申立書第38ページ第2ないし14行)旨主張する。 そこで、上記主張について検討する。 甲2ないし4に記載された事項は、上記1(2)ないし(4)のとおりである。すなわち、甲2には、ポリエステルを製造する際に、必要に応じて少量の整色剤等の添加剤を添加してよいことが記載されており、甲3には、ポリエステルを重合する際に、ピニング剤としてアルカリ金属化合物を添加することが記載されており、甲4には、ポリエステルの重合時に、染料、顔料等の添加剤を添加することが可能であることが記載されているものの、それに止まり、甲1発明のような「エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をケミカルリサイクルして成るケミカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成る容器をメカニカルリサイクルしてなるメカニカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程と、前記ケミカルリサイクルポリエステル樹脂とメカニカルリサイクルポリエステル樹脂をブレンドしてプリフォームを製造する製造工程から成るプリフォームの製造方法」における「ケミカルリサイクルポリエステル樹脂を製造する製造工程」において、「金属塩である少なくとも一種の静電接着添加剤(pinning additives)を含むケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップ」を含ませることは記載も示唆もされておらず、また、本件特許発明1の奏する上記効果を予測させるような記載もない。 したがって、甲2ないし4に記載された事項を考慮しても、甲1発明において、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 エ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件特許発明2ないし11について 本件特許発明2ないし11は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)申立理由1についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし11は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1によっては取り消すことはできない。 3 申立理由2(明確性要件)について (1)明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (2)明確性要件の判断 本件特許の請求項1ないし11の記載は、上記第2のとおりであり、それ自体に不明確な記載はなく、また、本件特許の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)の記載とも整合している。 したがって、本件特許発明1ないし11に関して、特許請求の範囲の記載は、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (3)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人の上記第3 2(1)ないし(3)の主張について検討する。 ア 上記第3 2(1)の主張について 本件特許発明1において、ポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて複数のメカニカルリサイクルポリエステルペレットの使用量が50重量部~95重量部であること、複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットの使用量が1重量部~40重量部であること及び両ポリエステルペレットの使用量の和が55重量部~100重量部であることが特定されているが、これらの3つの数値範囲の条件を同時に満たす範囲がない訳ではなく、本件特許発明1は、これらの3つの数値範囲の条件を満たす範囲で、各ポリエステルペレットを使用するものであることは当業者に明らかである。 したがって、本件特許発明1における上記数値範囲の特定は矛盾しているものではなく、各ポリエステルペレットをどのような使用量で使用するのか判然としないものではない。 よって、特許異議申立人の上記第3 2(1)の主張は採用できない。 イ 上記第3 2(2)の主張について 本件特許発明2において、白色添加剤の粒子サイズが特定され、発明の詳細な説明にそれらの測定方法の記載がないとしても、二酸化チタン(TiO2)粒子、硫酸バリウム(BaSO4)粒子及び炭酸カルシウム(CaCO3)粒子からなる材料群から選択される少なくとも1種である白色添加剤の粒子サイズを測定する方法として通常使用される測定方法(なお、上記のような添加剤の粒子サイズの測定に通常使用される測定方法であれば、何を採用しても、測定値にほとんど差はないといえる。)による粒子サイズであると当業者は理解するから、白色添加剤の粒子サイズの範囲を具体的に特定することはできる。 また、本件特許発明2において、ポリエステルフィルムの吸光度が特定され、発明の詳細な説明に定義及びその測定方法の記載がないとしても、ポリエステルフィルムの吸光度の定義は当業者には明らかであり、それを測定する方法として通常使用される測定方法による吸光度であると当業者は理解するから、ポリエステルフィルムの吸光度の範囲を具体的に特定することはできる。 したがって、特許異議申立人の上記第3 2(2)の主張は採用できない。 ウ 上記第3 2(3)の主張について 本件特許発明6において、スリップ剤の粒子サイズが特定され、発明の詳細な説明にそれらの測定方法の記載がないとしても、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、ポリスチレン粒子、シリコーン粒子、アクリル粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種であるスリップ剤の粒子サイズを測定する方法として通常使用される測定方法(なお、上記のようなスリップ剤の粒子サイズの測定に通常使用される測定方法であれば、何を採用しても、測定値にほとんど差はないといえる。)による粒子サイズであると当業者は理解するから、粒子サイズの範囲を具体的に特定することはできる。 また、本件特許発明6において、ポリエステルフィルムの動摩擦係数及び静摩擦係数が特定され、発明の詳細な説明にそれらの定義及び測定方法の記載がないとしても、ポリエステルフィルムの動摩擦係数及び静摩擦係数の定義は当業者には明らかであるし、それらを測定する方法として通常使用される測定方法による動摩擦係数及び静摩擦係数であると当業者は理解するから、ポリエステルフィルムの動摩擦係数及び静摩擦係数の範囲を具体的に特定することはできる。 したがって、特許異議申立人の上記第3 2(3)の主張は採用できない。 (4)申立理由2についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由2によっては取り消すことはできない。 4 申立理由3(実施可能要件)について (1)実施可能要件の判断基準 上記第2のとおり、本件特許発明1ないし11は物を生産する方法の発明であるところ、物を生産する方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産する方法を使用し、その物を生産する方法により生産した物の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 そこで、検討する。 (2)実施可能要件の判断 発明の詳細な説明の【0033】ないし【0110】には、本件特許発明1ないし11の各発明特定事項について具体的に記載され、同【0111】には、本件特許発明1ないし11により製造された白色ポリエステルフィルムが適用される製品について具体的に記載されている。 したがって、発明の詳細な説明に、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1ないし11を使用し、本件特許発明1ないし11により生産した物の使用をすることができる程度の記載があるといえ、本件特許発明1ないし11に関して、発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を充足する。 (3)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人の上記第3 3の主張について検討する。 発明の詳細な説明の【0101】に、「二酸化チタン」が化学的再生に適していない旨記載され、同【0102】に、「白色添加剤」に「二酸化チタン」の成分を含んではならない旨記載されているとしても、「二酸化チタン」以外の「白色添加剤」を加えれば、本件特許発明1ないし11は実施可能である。 また、「二酸化チタン」についても、「二酸化チタン」は適さないと記載されているだけで、「二酸化チタン」を加えた場合に、本件特許発明1ないし11が技術的に絶対に実施不可能であるとまで記載されている訳ではないし、「二酸化チタン」を加えた場合に、本件特許発明1ないし11が実施不可能であることを示す具体的な証拠もない。 したがって、特許異議申立人の上記第3 3の主張は採用できない。 (4)申立理由3についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由3によっては取り消すことはできない。 5 申立理由4(サポート要件)について (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで、検討する。 (2)特許請求の範囲の記載 特許請求の範囲の記載は上記第2のとおりである。 (3)サポート要件の判断 発明の詳細な説明の【0001】ないし【0008】によると、本件特許発明1ないし11の解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は、「既存技術の中では、PETの物理的(機械的)再生が最も一般的である」が、「PET再生ペレットの製造プロセスにおいて、スリップ剤や静電接着剤などの機能性成分を添加することはでき」ず、「これらの機能性成分を添加した新規な非再生PETペレットを追加しなければならない」となっており、「このような場合には、PET製品に使用されるPET再生ペレットの割合が減少すること」になり、「再生PETペレットを既存技術で十分に活用して新たなPET製品を作ることはできない」という「既存技術の不足」に対応した「白色ポリエステルフィルムの製造方法を提供すること」である。 そして、発明の詳細な説明の【0009】ないし【0021】には、本件特許発明1ないし11に対応する記載がある。 また、発明の詳細な説明の【0027】には「「複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルチップにさらに、ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップが含まれ、なかでも、前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップに静電接着添加剤(pinning additives)が含まれ、かつ、前記静電接着添加剤が金属塩である」、及び「前記ポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットにおける前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップの使用量は、5重量部~35重量部である」という技術的手段により、前記白色ポリエステルフィルムは、リサイクルポリエステル素材の割合が高いものを使用して製造することを可能にする。バージンポリエステルチップを追加で添加する必要がなく、少量のバージンポリエステルチップのみで済むため、バージンポリエステルチップの使用量を大幅に削減することができ、環境にも優しいとなり得る。」と記載され、同【0028】には「「前記物理的再生プロセス及び/または化学的再生プロセスにおいて、前記再生ポリエステル材にさらに白色添加剤を加える」という技術的手段により、前記白色ポリエステルフィルムにある程度の白色化効果を持たせて、それにより、特定の製品(例えば、印刷用フィルム、包装用フィルム、バリアフィルム、カーテン、遮光フィルム、テープ、ラベルなど)に適用することができる。」と記載され、同【0034】には「本実施形態に係るポリエステルフィルム及びその製造方法は、物理的再生で得られたメカニカルリサイクルポリエステル樹脂と、化学的再生で得られたケミカルリサイクルポリエステル樹脂とを共に使用することにより、ポリエステルフィルムにおける再生ポリエステル材の使用量を高めるようになる。」と記載され、同【0035】には「本実施形態のポリエステルフィルムは、再生ポリエステル材を高い割合で使用することにより製造することができ、バージンポリエステルチップ(virgin polyester resin)を追加で添加する必要はないか、或いはバージンポリエステルチップを少量だけ添加すれば済む。」と記載されている。 そうすると、当業者は、「再生ポリエステル材をリサイクルするための白色ポリエステルフィルムの製造方法であって、前記白色ポリエステルフィルムの製造方法は、前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生し、造粒を行うことにより、複数のメカニカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップと、前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生し、造粒を行うことにより、複数のケミカルリサイクルポリエステルペレットを取得するステップであって、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットに、金属塩である少なくとも一種の静電接着添加剤(pinning additives)を含むケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップがさらに含まれるステップと、前記再生ポリエステル材の一部分を物理的再生するステップ及び/または前記再生ポリエステル材の他部分を化学的再生するステップにおいて、前記再生ポリエステル材にさらに白色添加剤を加えることにより、最終的に形成された前記ポリエステルフィルムに前記白色添加剤が含まれるようにするステップと、を含み、前記メカニカルリサイクルポリエステルペレット及び前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットの全使用量100重量部に基づいて、複数の前記ケミカルリサイクルポリエステルペレットにおける前記ケミカルリサイクル静電付着ポリエステルチップの使用量は、5重量部~35重量部である、白色ポリエステルフィルムの製造方法」は、発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1ないし11は、上記発明の課題を解決できると認識できる「製造方法」をさらに限定したものである。 したがって、本件特許発明1ないし11は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 よって、本件特許発明1ないし11に関して、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合する。 (4)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人の上記第3 4の主張について検討する。 上記4(3)のとおり、本件特許発明1ないし11に技術的に絶対に実施可能でない態様が含まれている訳ではないし、そのことを示す具体的な証拠もない。 また、本件特許発明1ないし11における「再生ポリエステル材の他部分を化学再生するステップ」において、二酸化チタンを加えた場合に、発明の課題を解決できないことを示す具体的な証拠もない。 したがって、特許異議申立人の上記第3 4の主張は採用できない。 (5)申立理由4についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由4によっては取り消すことはできない。 第5 結語 上記第4のとおり、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700196

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