特許異議申立
2023-700126
GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2023-700126
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-192391
- 登録番号
- 7114038
- 請求日
- 2023年02月07日
- 審決日
- 2023年04月11日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】booost technologies株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 【異議申立人】赤木 太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 高瀬 勤
- 審判官 梶尾 誠哉
- 審判官 後藤 亮治
- 分類
- P1651.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第113条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7114038号発明「GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法、及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7114038号の請求項1~16に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7114038号の請求項1~16に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年11月26日に出願され、令和4年7月29日にその特許権の設定登録がされ、同年8月8日に特許公報が発行された。その後、本件特許に対し、令和5年2月7日に特許異議申立人 赤木太郎(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許に係る各発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明16」といい、合わせて「本件発明」ともいう。)は、それぞれその特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する対象の品目の識別情報を取得する取得部と、
各品目の識別情報と関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量、及び各品目のライフサイクルアセスメントのイベントリ分析に従うライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の一方を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得部により取得された前記識別情報に対応する前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記対象の品目のGHG排出量を導出する導出部と、
前記対象の品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件を受け付ける受付部と
を備え、
前記導出部は、前記受付部により受け付けられた前記オフセット導出条件に示されるカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量で乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量から減算することで、前記対象の品目のGHG排出量を導出する、GHG排出量導出装置。
【請求項2】
前記オフセット導出条件は、
前記カーボンオフセットの種類、前記カーボンオフセットの費用負担元、及び前記カーボンオフセットの費用の支払方法の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項3】
前記導出部は、前記記憶部に前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量が記憶されている場合、前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量に基づいて、前記対象の品目のGHG排出量を導出し、前記記憶部に前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量が記憶されておらず、前記対象の品目のライフサイクルイベントリに従うGHG排出量が記憶されている場合、前記対象の品目のライフサイクルイベントリに従うGHG排出量に基づいて、前記対象の品目のGHG排出量を導出する、請求項1または2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項4】
ライフサイクルの各段階におけるGHG排出量は、
品目の資源採取、原料生産、品目生産、流通・消費、及び廃棄・リサイクルの少なくとも1つに起因するGHG排出量を含む、請求項1から3の何れか1つに記載のGHG排出量導出装置。
【請求項5】
ライフサイクルの各段階におけるGHG排出量は、対象の品目に関わる活動の主体が自ら導出した排出量を示すデータである一次データの適用および予め定められた排出原単位を示すデータである二次データに基づく推計の少なくとも1つに基づいて導出されるGHG排出量である、請求項1から4の何れか1つに記載のGHG排出量導出装置。
【請求項6】
前記取得部は、POSシステム、ERPシステム、及び金融系システムの少なくとも1つから前記対象の品目の識別情報を取得する、請求項1から5の何れか1つに記載のGHG排出量導出装置。
【請求項7】
温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する商品を構成する各項目として使用する各品目の選択を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた各品目のそれぞれの識別情報を取得する取得部と、
各品目の識別情報のそれぞれと関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量、及び各品目のライフサイクルアセスメントのイベントリ分析に従うライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の一方を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得部により取得されたそれぞれの前記識別情報に対応する前記各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記各品目のそれぞれのGHG排出量を導出する導出部と
を備え、
前記受付部は、前記各品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件を受け付け、
前記導出部は、前記受付部により受け付けられた前記オフセット導出条件に示される前記各品目のカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記各品目のGHG排出量のそれぞれで乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記各品目のGHG排出量のそれぞれから減算することで、前記各品目のGHG排出量を導出する、GHG排出量導出装置。
【請求項8】
前記導出部は、前記各品目のそれぞれのGHG排出量に基づいて、前記商品のGHG排出量を導出する、請求項7に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項9】
前記受付部は、選択された品目の変更を受け付け、
前記取得部は、前記受付部が品目の変更を受け付けると、変更された品目に関連付けられた識別情報を取得し、
前記導出部は、前記記憶部を参照して、前記変更された品目の前記識別情報に対応するカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記変更された品目のGHG排出量を導出する、請求項7または8に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項10】
前記オフセット導出条件は、
前記カーボンオフセットの種類、前記カーボンオフセットの費用負担元、及び前記カーボンオフセットの費用の支払方法の少なくとも1つを品目ごとにさらに含む、請求項7から9の何れか1つに記載のGHG排出量導出装置。
【請求項11】
ライフサイクルの各段階におけるGHG排出量は、
品目の資源採取、原料生産、品目生産、流通・消費、及び廃棄・リサイクルの少なくとも1つに起因するGHG排出量を含む、請求項7から10の何れか1つに記載のGHG排出量導出装置。
【請求項12】
ライフサイクルの各段階におけるGHG排出量は、対象の品目に関わる活動の主体が自ら導出した排出量を示すデータである一次データの適用および予め定められた排出原単位を示すデータである二次データに基づく推計の少なくとも1つに基づいて導出されるGHG排出量である、請求項7から11の何れか1つに記載のGHG排出量導出装置。
【請求項13】
温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する対象の品目の識別情報を取得する段階と、
各品目の識別情報と関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量、及び各品目のライフサイクルアセスメントのイベントリ分析に従うライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の一方を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得する段階で取得された前記識別情報に対応する前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記対象の品目のGHG排出量を導出する段階と、
前記対象の品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件を受け付ける段階と
を備え、
前記導出する段階は、前記受け付ける段階で受け付けられた前記オフセット導出条件に示されるカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量で乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量から減算することで、前記対象の品目のGHG排出量を導出する段階を含む、GHG排出量導出方法。
【請求項14】
温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する商品を構成する各項目として使用する各品目の選択を受け付ける段階と、
前記受け付ける段階で受け付けられた各品目のそれぞれの識別情報を取得する段階と、
各品目の識別情報のそれぞれと関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量、及び各品目のライフサイクルアセスメントのイベントリ分析に従うライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の一方を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得する段階で取得されたそれぞれの前記識別情報に対応する前記各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記各品目のそれぞれのGHG排出量を導出する段階と
を備え、
前記受け付ける段階は、前記各品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件を受け付ける段階を含み、
前記導出する段階は、前記受け付ける段階で受け付けられた前記オフセット導出条件に示される前記各品目のカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記各品目のGHG排出量のそれぞれで乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記各品目のGHG排出量のそれぞれから減算することで、前記各品目のGHG排出量を導出する段階を含む、GHG排出量導出方法。
【請求項15】
温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する対象の品目の識別情報を取得する段階と、
各品目の識別情報と関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量、及び各品目のライフサイクルアセスメントのイベントリ分析に従うライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の一方を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得する段階で取得された前記識別情報に対応する前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記対象の品目のGHG排出量を導出する段階と、
前記対象の品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件を受け付ける段階と
をコンピュータに実行させ、
前記導出する段階は、前記受け付ける段階で受け付けられた前記オフセット導出条件に示されるカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量で乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量から減算することで、前記対象の品目のGHG排出量を導出する段階を含む、プログラム。
【請求項16】
温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する標品を構成する各項目として使用する各品目の選択を受け付ける段階と、
前記受け付ける段階で受け付けられた各品目のそれぞれの識別情報を取得する段階と、
各品目の識別情報のそれぞれと関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量、及び各品目のライフサイクルアセスメントのイベントリ分析に従うライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の一方を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得する段階で取得されたそれぞれの前記識別情報に対応する前記各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記各品目のそれぞれのGHG排出量を導出する段階と
をコンピュータに実行させ、
前記受け付ける段階は、前記各品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件を受け付ける段階を含み、
前記導出する段階は、前記受け付ける段階で受け付けられた前記オフセット導出条件に示される前記各品目のカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記各品目のGHG排出量のそれぞれで乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記各品目のGHG排出量のそれぞれから減算することで、前記各品目のGHG排出量を導出する段階を含む、プログラム。」
第3 申立理由の概要
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲5」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):特開2011- 81562号公報
甲第2号証(甲2):温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に係る検討会事務局、「これまでの制度検討における経緯について」、経済産業省、平成31年3月18日
甲第3号証(甲3):特開2017-182471号公報
甲第4号証(甲4):特開2011-180627号公報
甲第5号証(甲5):特開2011-204217号公報
2 特許異議の申立理由
異議申立人の主張する本件発明についての具体的な特許異議の申立ての理由(進歩性欠如)は以下のとおりである。
(1) 本件発明1、2、6~10及び13~16
本件発明1、2、6~10及び13~16は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲3に記載された周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
(2) 本件発明3~5、11及び12
本件発明3~5、11及び12は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲3~5に記載された周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件特許は、特許法113条2項の規定により取り消されるべきものである。
第4 異議申立人の提出した証拠の記載
1 甲1について
(1) 甲1の記載
甲1には、以下の記載がある(下線加筆、以下同じ。)。
「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、カーボンフットプリントにより商品の原材料調達から廃棄またはリサイクルまでの全過程において排出される二酸化炭素の排出量を表示された商品が増える今、商品の販売や在庫管理などを行うPOS(Point Of Sales)システムを活用して、環境保全のキャンペーンや商品の二酸化炭素の排出量の統計などを行うことにより、製造者側の環境保全に対する意識の高まりに乗じて、小売側においてもエコ商品に関わるキャンペーンを展開するなど環境保全に対する意識を高めることが求められている。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、商品の流通経路全体における二酸化炭素の排出を抑制する活動を実現し、環境保全に貢献することができる商品販売処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。」
「【0011】
図1は、POSシステムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。図1に示すPOSシステム1は、顧客に対する商品の販売処理を実行するPOS端末としての店舗システム101と、商品の在庫管理やPOSシステム1全体の制御などを行うサーバとしての本部システム102と、商品の販売処理や在庫管理などに関わる各種情報を記憶するデータベース103と、を備えている。」
「【0022】
図5は、データベースに格納され、各店舗システムが本部システムを介してアクセス可能な商品ファイルのファイル構造を示す模式図である。商品ファイル501は、2桁のコード502に対応させて、商品名503、排出量504、およびポイント505というレコードを登録している。コード502には、一例として、
01:洗剤A
02:洗剤B
03:洗剤C
など、店舗システム101が設置された各店舗において販売する商品のコードが登録されている。商品名503には、コード502に登録されているコードで定義される商品名が登録されている。排出量504には、コード502に登録されているコードで定義される商品の原材料の調達、生産、使用、および廃棄またはリサイクルまでの全過程における二酸化炭素の排出量である。」
「【0027】
本実施の形態にかかる店舗システム101で実行されるコンピュータプログラムは、図6に示すような各手段(取得手段601、算出手段602、報知手段603、付与手段604など)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはマイクロコンピュータ201のCPU202がHDD208からコンピュータプログラムを読み出して実行することにより上記各手段がRAM205上にロードされ、取得手段601、算出手段602、報知手段603、付与手段604などがRAM205上に生成されるようになっている。
【0028】
取得手段601は、商品の販売処理が実行された場合に、本部システム102を介して、データベース103から、販売処理を実行した商品のコード502と対応付けられた二酸化炭素の排出量504およびポイント505を取得する。
【0029】
算出手段602は、複数の商品の販売処理が実行された場合に、取得手段601により取得した販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量504の合計を算出する。
【0030】
報知手段603は、プリンタ113を制御して、取得手段601により取得した販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量504および算出手段602により算出した合計をレシートに印刷することにより、当該販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量504および算出手段602により算出した合計を報知する。これにより、顧客の環境保全に対する意識を高めることができる。
・・・
【0032】
付与手段604は、図示しないカードリライト端末を制御して、取得手段601により取得したポイント505を、当該カードリライト端末に挿入されたポイントカードに記録されたポイントに加算する。これにより、販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量に応じた環境保全に関わる特典として、当該取得手段601により取得したポイント505を付与する。なお、本実施の形態では、付与手段604は、取得手段601により取得したポイント505をポイントカードに記録されたポイントに加算しているが、これに限定するものではなく、販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量を、ポイントに換算し、換算したポイントをポイントカードに記録されたポイントに加算しても良い。例えば、よりエコロジーな商品の販売処理を実行した場合に、付与手段604は、高いポイントに換算して、換算したポイントをポイントカードに記録されたポイントに加算する。」
(2) 甲1発明
上記(1)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
[甲1発明]
顧客に対する商品の販売処理を実行するPOS端末としての店舗システム101と、商品の在庫管理やPOSシステム1全体の制御などを行うサーバとしての本部システム102と、商品の販売処理や在庫管理などに関わる各種情報を記憶するものであって、2桁のコード502に対応させて、商品名503、排出量504、およびポイント505というレコードを登録している商品ファイル501が格納されたデータベース103と、を備えているPOSシステム1において(【0011】、【0022】)、
上記店舗システム101は、
コンピュータプログラムを読み出して実行することによって、取得手段601、算出手段602、報知手段603、付与手段604を備えており(【0027】)、
取得手段601は、商品の販売処理が実行された場合に、本部システム102を介して、データベース103から、販売処理を実行した商品のコード502と対応付けられた二酸化炭素の排出量504(コード502に登録されているコードで定義される商品の原材料の調達、生産、使用、および廃棄またはリサイクルまでの全過程における二酸化炭素の排出量)およびポイント505を取得し(【0022】、【0028】)、
算出手段602は、複数の商品の販売処理が実行された場合に、取得手段601により取得した販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量504の合計を算出し(【0029】)、
報知手段603は、取得手段601により取得した販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量504および算出手段602により算出した合計をレシートに印刷することにより、当該販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量504および算出手段602により算出した合計を報知し(【0030】)、
付与手段604は、カードリライト端末を制御して、取得手段601により取得したポイント505を、当該カードリライト端末に挿入されたポイントカードに記録されたポイントに加算することにより、販売処理を実行した商品の二酸化炭素の排出量に応じた環境保全に関わる特典として、当該取得手段601により取得したポイント505を付与する(【0032】)、
店舗システム101。
2 甲2について
(1) 甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
[図:0001397246000001.jpg]
[図:0001397246000002.jpg]
(2) 甲2記載事項
上記(1)によれば、甲2には次の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されている。
[甲2記載事項]
・京都メカニズムクレジットの導入に伴い、京都メカニズムクレジットを反映した調整後排出係数を公表することがとりまとめられたこと(5頁)
・調整後排出係数は、電気事業者が供給した電気の発電に伴い排出されたCO2排出量から京都メカニズムクレジットの量(t-CO2)を控除した量を当該電気事業者が供給した電力量(kWh)を除して算出することとされたこと(5頁)
・調整後排出係数の算出方法について、基礎二酸化炭素排出量(t-CO2)に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)による固定価格買取費用の負担に応じた買取電力相当量の割合で基礎二酸化炭素排出量を調整した量を加え、国内認証排出削減量(J-クレジット、グリーン電力証書等)及び海外認証排出削減量(JCMクレジット制度)並びに非化石証書による温室効果ガス削減量を控除し、調整後二酸化炭素排出量を算定すること、及び、調整後二酸化炭素排出量を、当該電気事業者の販売電力量で除して調整後排出係数を算出すること(7頁)
3 甲3について
(1) 甲3の記載
甲3には、以下の記載がある。
「【0032】
図5は料金プラン情報のファイルフォーマットの一例である。図6は季節・時間帯別料金単価マトリクス表T4の一例である。図5に示すように、料金プラン情報は4つの階層(レイヤー)を含んでいる。第1層は契約判断に関する階層である。第1層には契約基準情報に基づいて当該料金プラン情報を適用するか、不適用とするかを表す情報が格納される。第2層は基本単価や従量料金単価などに関する階層である。第2層には例えば契約電力の基本単価:1536.39(¥/kW)が格納される。基本単価に契約電力と力率係数を掛け合わせれば、基本電力料金が算出される。尚、力率係数は、数式「力率係数=(185-力率)÷100」により算出することができる。尚、第2層に電気事業者別排出係数が格納されていてもよい。電気事業者別排出係数としては例えば実排出係数(t-CO2/kWh)や調整後排出係数(t-CO2/kWh)などがある。
【0033】
第3層は料金計算式や割引計算式などに関する階層である。第3層には最終的な電力料金の計算式が格納される。図5では第3層に一例として電力料金=基本電力料金+電力量料金の数式が格納されているが、実際には当該数式に燃料調整額の加減算、及び再生可能エネルギー発電促進賦課金の加算したものも含まれる。基本電力料金の計算式は、基本電力料金=基本単価×契約電力×力率係数+基本単価×契約超過電力×力率係数×1.5で表すことができる。電力量料金の計算式は、電力量料金=季節・時間帯別料金単価×単位時間当たりの使用電力量の総和で表すことができる。燃料調整額及び再生可能エネルギー発電促進賦課金はいずれもそれぞれの単価に電力使用量を掛け合わせた金額である。尚、第3層に温室効果ガス排出量の計算式が格納されていてもよい。温室効果ガス排出量の計算式は、例えば温室効果ガス排出量=活動量(例えば電力使用量)×電気事業者別排出係数で表すことができる。第4層は季節・時間帯別料金単価に関する階層である。第4層には季節・時間帯別料金単価マトリクス表T4が格納される。具体的には、第4層には3年分の季節・時間帯別料金単価マトリクス表T4が格納される。」
(2) 甲3記載事項
上記(1)によれば、甲3には次の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されている。
[甲3記載事項]
・電気事業者別排出係数としては例えば実排出係数(t-CO2/kWh)や調整後排出係数(t-CO2/kWh)などがあること(【0032】)。
・温室効果ガス排出量の計算式は、例えば温室効果ガス排出量=活動量(例えば電力使用量)×電気事業者別排出係数で表すことができること(【0033】)。
4 甲4について
(1) 甲4の記載
甲4には、以下の記載がある。
「【0019】
記憶部110は、構成品情報記憶領域111と、環境負荷費用換算情報記憶領域112と、事業者情報記憶領域113と、製品構成情報記憶領域114と、入力情報記憶領域115と、評価情報記憶領域116と、一時情報記憶領域117と、評価結果記憶領域118と、製品分野記憶領域119と、輸送情報記憶領域120と、を備える。
【0020】
構成品情報記憶領域111には、システム製品を構成する製品の環境負荷、費用、および、環境負荷又は費用を算出するための属性、を特定する構成品情報が記憶される。
【0021】
環境負荷費用換算情報記憶領域112には、予め定められた評価項目に対応する数値から環境負荷又は費用を算出するための換算係数を特定する環境負荷費用換算情報が記憶される。
【0022】
事業者情報記憶領域113には、事業者の作業毎の売上高と、環境負荷量(ここでは、CO2排出量)が記憶される。
【0023】
製品構成情報記憶領域114には、システム製品を構成する製品を特定する情報が記憶される。
【0024】
入力情報記憶領域115には、システム製品の設計開発、出荷、調達、輸送、設置、立ち上げ、使用、保守、回収、リサイクル、といったライフサイクルの各段階における費用及び環境負荷に関する評価項目、および、当該評価項目に対応する費用及び環境負荷の数値、を特定するために入力された情報が記憶される。
【0025】
評価情報記憶領域116には、システム製品の設計開発、出荷、調達、輸送、設置、立ち上げ、使用、保守、回収、リサイクル、といったライフサイクルの各段階における費用及び環境負荷に関する評価項目、および、当該評価項目に対応する費用及び環境負荷の数値、を特定するために環境情報作成装置100が作成した情報が記憶される。」
「【0032】
ステージ情報推定部132は、前記一時情報記憶領域117の情報と評価情報記憶領域116の情報より、システム製品の設計開発、出荷、調達、輸送、設置、立ち上げ、保守、回収、のライフサイクルの各段階における費用及び環境負荷に関する評価項目の数値を基に、対象製品の前記ライフサイクルの各段階における費用及び環境負荷に関する評価項目の数値を算出し、一時情報記憶領域117に記憶する処理を行う。続いて、出力部160を介して、前記一時情報記憶領域117の数値を出力し、入力部150を介して前記出力した数値の修正を受け付け、一時情報記憶領域117の数値を書き換え、及び入力情報記憶領域115に記憶する処理を行う。さらに、前記一時情報記憶領域117と費用・規模入力部131で受付、一時情報記憶領域117に記憶された情報により、再度、対象製品の前記ライフサイクルの各段階における費用及び環境負荷に関する評価項目の数値を算出し、一時情報記憶領域117及び評価情報記憶領域116に記憶する処理を行う。」
(2) 甲4記載事項
上記(1)によれば、甲4には次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されている。
[甲4記載事項]
・システム製品の設計開発、出荷、調達、輸送、設置、立ち上げ、保守、回収、のライフサイクルの各段階における費用及び環境負荷に関する評価項目の数値を基に、対象製品の前記ライフサイクルの各段階における費用及び環境負荷に関する評価項目の数値を算出すること(【0032】)
5 甲5について
(1) 甲5の記載
甲5には、以下の記載がある。
「【0023】
制御手段15は、環境負荷シミュレーション装置10の各構成全体の制御を行う。制御手段15は、例えばユーザ等の入力手段11からの指示等に基づいて、温室効果ガス排出量算出手段17により対象製品のライフサイクルの各段階で発生する温室効果ガスを算出し、シミュレーション手段18により対象製品に対する環境負荷シミュレーションを行う等の制御を行う。
【0024】
画面生成手段16は、対象製品の製造から廃棄までのライフサイクルに含まれる予め設定された工程に対し、設定条件をユーザに入力させるための画面を生成する。画面生成手段16は、例えば対象製品の原料構成を設定する画面、対象製品の処方条件を設定する画面、対象製品の外装構成を設定する画面、対象製品の物流条件を設定する画面、対象製品の使用条件を設定する画面等を生成する。
【0025】
なお、上述した対象製品の製造から廃棄までのライフサイクルに含まれる予め設定された工程は、例えばカーボンフットプリント制度の商品種別算定基準(PCR:Product Category Rule))に則って設定することができる。
【0026】
また、画面生成手段16は、対象製品の原料構成を設定する画面には、元素配列表を備え、各元素に対して対象製品の原料を構成する原子の数を入力できるように生成する。また、画面生成手段16は、ユーザにより対象製品に対して設定された条件に基づいて、温室効果ガス排出量算出手段17により得られる算出結果を用いて、対象製品毎に温室効果ガス排出量のランキングを表示することもできる。
【0027】
温室効果ガス排出量算出手段17は、画面生成手段16に入力された設定条件に基づいて、予め温室効果ガス排出量を算出するための関連情報が格納されたデータベース群等を参照し、データベース群から取得される各設定条件に対応した関連情報から、対象製品の原料調達、生産、物流、販売、使用、廃棄に至るまでの対象製品のライフサイクル段階毎に温室効果ガス排出量を算出する。
【0028】
また、温室効果ガス排出量算出手段17は、予め温室効果ガス排出量を算出するための関連情報として、例えば対象製品の使用条件に対応して設定された排出係数等を用いて温室効果ガス排出量を算出することができる。
【0029】
シミュレーション手段18は、温室効果ガス排出量算出手段17により得られる算出結果を用いて、対象製品の環境負荷をシミュレーションする。」
「【0043】
<第1実施形態の温室効果ガス排出量の算出範囲>
ここで、図3を用いて、第1実施形態の環境負荷シミュレーション装置10によって算出される対象製品の温室効果ガス排出量の算出範囲について説明する。図3は、第1実施形態の環境負荷シミュレーション装置によって算出される対象製品の温室効果ガス排出量の算出範囲を説明するための図である。
【0044】
図3に示すように、対象製品の製造から廃棄までのライフサイクルを、例えばカーボンフットプリント制度の商品種別算定基準(PCR)等に則って各段階に分け、温室効果ガス排出量の算出範囲を設定する。
【0045】
例えば、対象製品を化粧品等とする場合、対象製品を構成する原材料(例えば対象製品
の「中味原料」と対象製品の「容器・外装」に分けられる。)の「資源採掘・栽培」段階、各原材料の「製造」段階、原材料を用いて対象製品を製造する「商品製造」段階、製造した対象製品の「物流・販売」段階、対象製品の「使用」段階、対象製品の「廃棄・リサイクル」段階に分けて、温室効果ガス排出量の算出範囲を設定することができる。」
(2) 甲5記載事項
上記(1)によれば、甲5には次の事項(以下、「甲5記載事項」という。)が記載されている。
[甲5記載事項]
・温室効果ガス排出量算出手段17は、画面生成手段16に入力された設定条件に基づいて、予め温室効果ガス排出量を算出するための関連情報が格納されたデータベース群等を参照し、データベース群から取得される各設定条件に対応した関連情報から、対象製品の原料調達、生産、物流、販売、使用、廃棄に至るまでの対象製品のライフサイクル段階毎に温室効果ガス排出量を算出すること(【0027】)。
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1) 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
ア 甲1発明の「二酸化炭素の排出量504」、「商品」及び「コード502」は、本件発明1の「温室効果ガスの排出量(GHG排出量)」、「品目」及び「識別情報」に相当する。
そして、甲1発明は「商品の販売処理が実行された場合に、本部システム102を介して、データベース103から、販売処理を実行した商品のコード502と対応付けられた二酸化炭素の排出量504」を「取得」しているから、甲1発明の「顧客に対する商品の販売処理を実行するPOS端末としての店舗システム101」は、「データベース103」から「二酸化炭素の排出量504」を導出する対象となる「商品」の「二酸化炭素の排出量504」を取得するために、「商品」の販売処理を実行することにより、当該「商品」に対応する「コード502」を取得するものといえる。
そうすると、甲1発明の「店舗システム101」は、「二酸化炭素の排出量504」を取得する対象の「商品」の「コード502」を取得する取得部を備えているといえる。
したがって、甲1発明の「二酸化炭素の排出量504」を導出する対象の「商品」の「コード502」を取得(導出)する「取得部」は、本件発明1の「温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する対象の品目の識別情報を取得する取得部」に相当する。
イ 甲1発明の「データベース103」には「2桁のコード502に対応させて、商品名503、排出量504、およびポイント505というレコードを登録している商品ファイル501」が格納されているところ、「排出量504」は「コード502に登録されているコードで定義される商品の原材料の調達、生産、使用、および廃棄またはリサイクルまでの全過程における二酸化炭素の排出量」であるから、甲1発明の「排出量504」は「カーボンフットプリントに従うGHG排出量」といえ、甲1発明の「データベース103」は、各「商品」の「コード502」と関連付けて、各「商品」の「カーボンフットプリントに従うGHG排出量」を「商品」ごとに記憶するものといえる。
そして、甲1発明の「取得手段601」は「商品の販売処理が実行された場合に、本部システム102を介して、データベース103から、販売処理を実行した商品のコード502と対応付けられた二酸化炭素の排出量504(コード502に登録されているコードで定義される商品の原材料の調達、生産、使用、および廃棄またはリサイクルまでの全過程における二酸化炭素の排出量)」を「取得」(導出)するものである。
そうすると、甲1発明の「取得手段601」は、各「商品」の「カーボンフットプリントに従うGHG排出量」を「商品」ごとに記憶する「データベース103」を参照して、上記アで説示した取得部により取得された「コード502」に対応する対象の「商品」の「カーボンフットプリントに従うGHG排出量」に基づいて、対象の「商品」の「GHG排出量」を導出するものであるといえる。
したがって、甲1発明の各「商品」の「コード502」と関連付けて、各「商品」の「カーボンフットプリントに従うGHG排出量」を「商品」ごとに記憶する「データベース103」を参照して、「取得部」により取得された「コード502」に対応する対象の「商品」の「カーボンフットプリントに従うGHG排出量」に基づいて、対象の「商品」の「GHG排出量」を導出する「取得手段601」は、本件発明1の「各品目の識別情報と関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量、及び各品目のライフサイクルアセスメントのイベントリ分析に従うライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の一方を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得部により取得された前記識別情報に対応する前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方に基づいて、前記対象の品目のGHG排出量を導出する導出部」に相当する。
以上によれば、本件発明1と甲1発明は、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
温室効果ガスの排出量(GHG排出量)を導出する対象の品目の識別情報を取得する取得部と、
各品目の識別情報と関連付けて、各品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量を品目ごとに記憶する記憶部を参照して、前記取得部により取得された前記識別情報に対応する前記対象の品目のカーボンフットプリントに従うGHG排出量に基づいて、前記対象の品目のGHG排出量を導出する導出部と、
を備える、
GHG排出量導出装置。
[相違点]
本件発明1は、「前記対象の品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件を受け付ける受付部」を備え、「前記導出部は、前記受付部により受け付けられた前記オフセット導出条件に示されるカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量で乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量から減算することで、前記対象の品目のGHG排出量を導出する」のに対し、甲1発明は、カーボンオフセットを考慮するものではないため、上記「受付部」を備えておらず、「導出部」が「前記受付部により受け付けられた前記オフセット導出条件に示されるカーボンオフセットの割合を前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量で乗じた量を、前記記憶部に記憶された前記対象の品目のGHG排出量から減算することで、前記対象の品目のGHG排出量を導出する」ものでもない点。
(2) 判断
ア 異議申立人の進歩性欠如の主張に係る甲2及び甲3に記載された甲2記載事項及び甲3記載事項は、上記第4の2(2)及び同3(2)のとおりであるところ、いずれも上記相違点の構成であるとはいえない。
そして、甲4記載事項及び甲5記載事項(上記第4の4(2)及び同5(2))について検討しても、上記相違点の構成であるとはいえない。
そうすると、甲1発明に、甲2~5記載事項を組み合わせることができたとしても、本件発明1の構成には至らない。
イ また、上記第4の1(1)のとおり、甲1の【発明が解決しようとする課題】(【0003】及び【0004】)には、「カーボンフットプリントにより商品の原材料調達から廃棄またはリサイクルまでの全過程において排出される二酸化炭素の排出量を表示された商品が増える今、商品の販売や在庫管理などを行うPOS(Point Of Sales)システムを活用して、環境保全のキャンペーンや商品の二酸化炭素の排出量の統計などを行うことにより、製造者側の環境保全に対する意識の高まりに乗じて、小売側においてもエコ商品に関わるキャンペーンを展開するなど環境保全に対する意識を高めることが求められている」ことに鑑みて、甲1発明は「商品の流通経路全体における二酸化炭素の排出を抑制する活動を実現し、環境保全に貢献することができる商品販売処理装置およびプログラムを提供することを目的とする」ものであることが記載されている。
そして、甲1発明は、上記目的を達成するために「商品販売処理装置」の「取得手段」が「販売処理を実行した商品」の「コード502」を取得した後、「データベース103」を参照して「コード502」に対応する「対象の品目」の「二酸化炭素の排出量504」を取得するものであるから、甲1発明の「商品販売処理装置」は、「コード502」に対応する「対象の品目」の「二酸化炭素の排出量504」を取得することで、顧客のポイントカードにポイントを加算することができ、そのことによって、すでに上記目的を達成しているものと認められる。
そうすると、甲1発明の「商品販売処理装置」が、本件発明1のように、さらに「対象の品目のGHG排出量に対するカーボンオフセットの割合を示すオフセット導出条件」を受け付ける構成を採用する必要性はなく、「カーボンオフセットの割合」を「記憶部」(データベース103)に記憶された「対象の品目のGHG排出量」(二酸化炭素の排出量504)で乗じたり、その乗じた量を「対象の品目のGHG排出量」(二酸化炭素の排出量504)から減算したりする構成を採用する必要性もない。また、甲1の発明の詳細な説明をみても、そのように構成することの記載も示唆も見当たらない。
したがって、甲1発明の「商品販売処理装置」において、上記相違点に係る構成を付加する動機付けはないから、仮に、相違点に係る構成が周知技術であったとしても、本件発明1の構成には至ることはできない。
ウ 以上のとおり、本件発明1は、甲1発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1を限定した発明であるから、甲1発明と対比すると、少なくとも、上記1(1)の[相違点]を有するところ、本件発明1が上記1(2)のとおり、甲1発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明2~6も甲1発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本件発明7について
本件発明1と本件発明7を比較すると、本件発明1の「GHG排出量導出装置」は、「対象の品目」の「温室効果ガスの排出量(GHG排出量)」を「導出」するものであるのに対し、本件発明7の「GHG排出量導出装置」は、「商品を構成する各項目として使用する各品目」の「温室効果ガスの排出量(GHG排出量)」を「導出」するものである点で相違する。
したがって、本件発明7と甲1発明を対比すると、「温室効果ガスの排出量(GHG排出量)」を「導出」するのが「商品を構成する各項目として使用する各品目」である点で相違点を有し、それにともない、さらに上記1(1)と同様の[相違点]を有することとなる。
そうすると、上記1(2)と同様、甲2~5記載事項は、上記[相違点]に係る構成ではなく、甲1発明に、上記[相違点]に係る構成を付加する動機付けもないから、本件発明7も同様に、甲1発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本件発明8~12について
本件発明8~12は、本件発明7を限定した発明であるから、甲1発明と対比すると、少なくとも、上記3の[相違点]を有するところ、本件発明7が上記3のとおり、甲1発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明8~12も甲1発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
5 本件発明13及び15について
本件発明13及び本件発明15は、それぞれ、「GHG排出量導出方法」の発明及び「プログラム」の発明であるところ、本件発明1の「GHG排出量導出装置」を方法の発明とプログラムの発明で特定したものであり、カテゴリーが相違するのみで実質的な相違はない。
そうすると、本件発明13及び本件発明15は、甲1から認定される方法の発明及びプログラムの発明と対比すると、上記1(1)の[相違点]と同様の相違点を有することになる。
したがって、上記1(2)と同様、本件発明13及び本件発明15は、それぞれのカテゴリーに沿って、甲1から認定される発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
6 本件発明14及び16について
本件発明14及び本件発明16は、それぞれ、「GHG排出量導出方法」の発明及び「プログラム」の発明であるところ、本件発明7の「GHG排出量導出装置」を方法の発明とプログラムの発明で特定したものであり、カテゴリーが相違するのみで実質的な相違はない。
そうすると、本件発明14及び本件発明16は、甲1から認定される方法の発明及びプログラムの発明と対比すると、上記3の[相違点]と同様の相違点を有することになる。
したがって、上記3と同様、本件発明14及び本件発明16は、それぞれのカテゴリーに沿って、甲1から認定される発明及び甲2~5記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
7 小括
以上によれば、本件発明1~16についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、本件発明1~16についての特許は、特許法113条2項の規定により取り消されるべきものではない。
第6 むすび
以上の次第であるから、特許異議の申立ての理由及び異議申立人の提出した証拠によっては、特許第7114038号の請求項1~16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に特許第7114038号の請求項1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700126