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特許異議申立

2023-700095

吸水性樹脂粒子、これを用いた吸収体及び吸収性物品、並びに吸水性樹脂粒子の製造方法

審判番号
2023-700095
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-025852
登録番号
7108422
請求日
2023年01月30日
審決日
2024年06月25日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】SDPグローバル株式会社
  • 【権利者代理人】古谷 信也
  • 【異議申立人】株式会社 日本触媒
  • 【異議申立人代理人】山本 秀策
  • 【異議申立人代理人】森下 夏樹
  • 【異議申立人代理人】山本 健策
  • 【異議申立人代理人】福永 聡
  • 【異議申立人代理人】本田 輝人
審判長/審判官
  • 審判長 日比野 隆治
  • 審判官 原 賢一
  • 審判官 金 公彦
分類
P1651.113-YAA(B01J) / P1651.121-YAA(B01J) / P1651.536-YAA(B01J) / P1651.537-YAA(B01J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7108422号発明「吸水性樹脂粒子、これを用いた吸収体及び吸収性物品、並びに吸水性樹脂粒子の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7108422号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、〔11~15〕について訂正することを認める。 特許第7108422号の請求項11、13~15に係る特許を維持する。 特許第7108422号の請求項1~10、12に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7108422号の請求項1~15に係る特許についての出願は、平成30年2月16日を出願日とする出願であり、令和4年7月20日にその特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行され、その後、令和5年1月30日に、その請求項1~15に係る特許を対象として特許異議申立人株式会社日本触媒(以下、「異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされ、同年5月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年7月19日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求があり、同年8月8日付けで異議申立人に対して訂正請求があった旨の通知書(特許法第120条の5第5項)を通知し期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からは意見書の提出がなかったものの、同年11月17日付けで再度、取消理由が通知され、その指定期間内である同年11月24日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下、この訂正を「本件訂正」という。)があったものである。 なお、令和5年7月19日にされた訂正の請求(以下、その訂正を「先の訂正」ということがある。)は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 また、先の訂正後、異議申立人に意見書の提出の機会を与えたものの意見書の提出がなかったこと、本件訂正後の特許請求の範囲は、先の訂正後の特許請求の範囲をさらに減縮したものであることから、本件訂正後には、異議申立人に意見書の提出の機会を与えていない。 第2 訂正の適否 1 訂正事項 本件訂正は、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~15について訂正することを求めるものであって、その具体的な訂正事項は次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11に「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率が5~15重量%であり、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であり、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法。」とあるのを、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、水溶性ビニルモノマー(a1)は、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であり、内部架橋剤(b)は、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であり、単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であり、表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率が5~15重量%であり、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であり、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物であり、表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である、製造方法。」に訂正する。 (請求項11を直接又は間接的に引用する請求項13~15も同様に訂正する。) (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13に「請求項11又は12に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。」とあるのを、「請求項11に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。」に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14に「請求項11~13のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。」とあるのを、「請求項11又は13に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。」に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項15に「請求項11~14のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。」とあるのを、「請求項11、13又は14に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1~10、12について 訂正事項1~10、12は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項11について ア 訂正事項11で付加された下線部の特定について、前半の「水溶性ビニルモノマー(a1)は、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であり、内部架橋剤(b)は、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であり、単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であり」を訂正事項11-1とし、後半の「表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物であり、表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である」を訂正事項11-2とする。 イ 訂正事項11-1は、「水溶性ビニルモノマー(a1)」を、本件明細書の【0011】の「これらの内、吸収性能等の観点から好ましいのは水溶性ビニルモノマー(a1)・・・特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、とりわけ好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。」(「(メタ)アクリル酸(塩)」は、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにそれらの塩の総称である。)との記載に基づき、「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩」に限定し、「内部架橋剤(b)」を、同【0017】の「内部架橋剤(b)(以下「架橋剤(b)」ともいう)としては特に限定はなく公知・・・の架橋剤等が使用できる。これらの内、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく・・・最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。」との記載に基づいて、「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤」に限定し、さらに、「単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量」を、同【0018】の「単量体組成物における架橋剤(b)の含有量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)を用いる場合は(a1)~(a3)の、ビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7が好ましく、さらに好ましくは0.1~0.6、特に好ましくは0.15~0.5である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。」との記載に基づいて、「ビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%」に限定するものである。 ウ 訂正事項11-2は、「表面架橋剤(c)」を、本件明細書の【0060】の「表面架橋剤(c)としては、公知・・・の表面架橋剤等が使用できる。表面架橋剤(c)としては、共有結合性架橋剤である多価グリシジル化合物を使用することが好ましい。」との記載に基づいて、「多価グリシジル化合物」に限定すると共に、「表面架橋剤(c)の使用量」を、同【0057】の「表面架橋された架橋重合体(A)における表面架橋剤(c)単位の割合は、架橋重合体(A)の性能によって適宜調整する必要があり、架橋重合体(A)の表面に均一に添加でき、かつ均一に反応させられるという観点から、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05~0.3重量%、特に好ましくは0.08~0.2重量%である。この範囲にすることで吸収速度と膨潤ゲル間での通液性が良好になる。」との記載に基づいて、「ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%」に限定するものである。 エ 上記訂正事項11-1及び訂正事項11-2での検討によれば、訂正事項11は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項13~15について 訂正事項13~15は、本件訂正前の請求項13~15について、それぞれ引用する請求項に請求項12が含まれていたところ、訂正事項12の訂正により請求項12が削除されたことに伴い、これに整合させるため引用する請求項から請求項12を削除し、引用請求項数を減少させるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項13~15は、それぞれ本件訂正前の請求項13~15が引用していた請求項の数を減少させるもので、本件訂正後の請求項13~15の内容は、それぞれ本件訂正前の請求項13~15の範囲内のものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 小括 本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1~10〕、〔11~15〕について訂正することを求めるものであるところ、上記2のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正後の請求項〔1~10〕、〔11~15〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件訂正後の請求項11、13~15に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明11」、「本件特許11」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、次のとおり特定されるものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】(削除) 【請求項6】(削除) 【請求項7】(削除) 【請求項8】(削除) 【請求項9】(削除) 【請求項10】(削除) 【請求項11】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、水溶性ビニルモノマー(a1)は、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であり、内部架橋剤(b)は、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であり、単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であり、表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率が5~15重量%であり、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であり、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物であり、表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である、製造方法。 【請求項12】(削除) 【請求項13】 1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量が、単量体組成物の合計重量に基づいて、0.02~0.4重量%である請求項11に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。 【請求項14】 1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)がエチレングリコールジグリシジルエーテルである請求項11又は13に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。 【請求項15】 1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.6~0.8である請求項11、13又は14のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。」 第4 令和5年11月17日付けで通知した取消理由、同年5月24日付けで通知した取消理由、及び異議申立人による特許異議の申立理由の概要 1 令和5年11月17日付けで通知した取消理由の概要 (1)特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反) 本件特許は、先の訂正における請求項11、13~15の記載が下記(3)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(以下、「取消理由1」とする。)。 (2)特許法第36条第6項第2号所定の規定違反(明確性要件違反) 本件特許は、先の訂正における請求項11、13~15の記載が下記(4)の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(以下、「取消理由2」とする。)。 記 (3)取消理由1の内容 先の訂正における請求項11には、「表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物、多価金属塩、及び多価アルコールのうちの少なくとも1種であり」と記載されているが、表面架橋剤(c)として「多価金属塩」を単独で用いる態様が、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていないから、上記の記載において、表面架橋剤(c)が、多価金属塩である場合は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載により、技術的な裏付けがなされているとはいえない。 (4)取消理由2の内容 先の訂正における請求項11には、「表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物、多価金属塩、及び多価アルコールのうちの少なくとも1種であり」と記載されているが、表面架橋工程において使用される「多価アルコール」について、「希釈剤」であるとされる一方、「表面架橋剤(c)」であるとされ、記載が整合していないから、上記の記載は明確でない。 2 令和5年5月24日付けで通知した取消理由の概要 (1)特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反) 本件特許は、設定登録時の請求項1~15の記載が下記(3)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(以下、「取消理由3」とする。)。 (2)特許法第36条第6項第2号所定の規定違反(明確性要件違反) 本件特許は、設定登録時の請求項1~10の記載が下記(4)の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(以下、「取消理由4」とする。)。 記 (3)取消理由3の内容 ア 本件発明におけるサポート要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(以下、「サポート要件の判断手法」ということがある。)。 イ 本件発明におけるサポート要件に関する判断 (ア)本件発明の課題について 本件明細書の発明の詳細な説明には、「【発明が解決しようとする課題】」との記載の後の【0006】に、「本発明の目的は、吸水性能を低下させることなく、加圧下での吸収速度と膨潤ゲル間の通液性との両立が可能な吸水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することである。」との記載があることから、本件発明の課題は、吸水性能を低下させることなく、加圧下での吸収速度と膨潤ゲル間の通液性との両立が可能な吸水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することであると理解できる。 (イ)本件発明の課題の解決に関する発明の詳細な説明の記載について a 吸水性樹脂粒子について 本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、吸水性樹脂粒子が、上記(ア)の発明の課題を解決する吸水性樹脂粒子であるためには、表面架橋剤が、少なくとも、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物であり、水溶性ビニルモノマー(a1)も、多価グリシジル化合物が反応できる所定の構造を有するものであり、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)が所定の構造を持つものであることに対応して、内部架橋剤(b)も所定の構造を有するものであることが肝要であるといえる。 b 吸水性樹脂粒子の製造方法について (a)吸水性樹脂粒子の製造方法に関する発明の課題は、上記(ア)で述べたように、加圧下での吸収速度と膨潤ゲル間の通液性との両立が可能な吸水性樹脂粒子の製造方法を提供することであるところ、ここでの、加圧下での吸収速度と膨潤ゲル間の通液性との両立が可能な吸水性樹脂粒子は、表面架橋剤が、少なくとも、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物であり、水溶性ビニルモノマー(a1)も、多価グリシジル化合物が反応できる所定の構造を有するものであり、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)が所定の構造を持つものであることに対応して、内部架橋剤(b)も所定の構造を有するものであるといえるから、上記(ア)の発明の課題を解決するには、吸水性樹脂粒子の製造方法は、吸水性樹脂粒子に対応して、表面架橋剤が、少なくとも、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物であり、水溶性ビニルモノマー(a1)も、多価グリシジル化合物が反応できる所定の構造を有するものであり、さらに、内部架橋剤(b)も所定の構造を有するものである必要があるといえる。 (b)また、【0057】~【0071】には、表面架橋に関する記載があり、特に【0057】には、「表面架橋された架橋重合体(A)における表面架橋剤(c)単位の割合は、架橋重合体(A)の性能によって適宜調整する必要があり、架橋重合体(A)の表面に均一に添加でき、かつ均一に反応させられるという観点から、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05~0.3重量%、特に好ましくは0.08~0.2重量%である。この範囲にすることで吸収速度と膨潤ゲル間での通液性が良好になる。」との記載、【0058】には、「本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法は、架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する。・・・表面架橋工程を2回以上実施することで厚みのある表面架橋構造を形成することが可能となり、初期吸収速度や膨潤ゲル間通液性能が向上する。好ましくは2~5回である。」との記載、及び【0065】には、「本発明の製造方法において、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量(重量%)の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用合計量(重量%)に対する比(c1/c)は、吸収性能の観点から、0.5~0.9であり、好ましくは0.6~0.8である。この範囲にすることで適切な厚みのある表面架橋構造を形成することが可能となり、初期吸収速度や膨潤ゲル間通液性能が向上することが期待でき、加圧下でのおむつのドライ性が良好になる。」との記載がある。そして、これらの記載より、吸水性樹脂粒子の吸収速度と膨潤ゲル間での通液性を良好にするには、表面架橋剤(c)単位の割合が、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%とすること、吸水性樹脂粒子の製造方法において、架橋重合体(A)の表面架橋工程を2回以上実施すること、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量(重量%)の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用合計量(重量%)に対する比(c1/c)を0.5~0.9とすることが重要であることを理解できる。 ここで、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量(重量%)の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用合計量(重量%)に対する比(c1/c)を0.5~0.9とすることを特定したとしても、表面架橋剤(c)の使用合計量(重量%)が特定されていなければ、1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量(重量%)、2回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤の使用量(重量%)が定まらないことになるから、表面架橋工程における表面架橋剤(c)の使用量の特定については、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量(重量%)の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用合計量(重量%)に対する比(c1/c)を特定することに加えて、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいた表面架橋剤(c)単位の割合を特定することが重要であることを理解できる。 そうすると、上記(ア)の発明の課題を解決するには、吸水性樹脂粒子の製造方法において、「架橋重合体(A)の表面架橋工程を2回以上実施すること、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量(重量%)の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用合計量(重量%)に対する比(c1/c)を0.5~0.9とすることに加え、表面架橋剤(c)単位の割合が、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%とすること」が肝要であることが理解できる。 (c)本件明細書の【0121】及び【0126】に記載される比較例7、【0127】に記載される比較例8は、共に、水溶性ビニルモノマー(a1)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率が5~15重量%(比較例7:10%、比較例8:8%)であり、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9(比較例7:0.5、比較例8:0.6)の範囲内であり、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法に該当し、設定登録時の請求項11に係る発明の態様であるといえる。 しかしながら、比較例7で製造される吸水性樹脂粒子は、【0131】の【表2】によれば、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率、水可溶分及び「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)≦1.0」の条件を満たしていないし、比較例8で製造される吸水性樹脂粒子は、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率、DW試験法で測定された0.3psi加圧下での60秒後、120秒後、180秒後、300秒後の生理食塩水吸収量、水可溶分及び「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)≦1.0」の条件を満たしていないから、比較例7及び比較例8における吸水性樹脂粒子の製造方法は、吸水性能を低下させることなく、加圧下での吸収速度と膨潤ゲル間の通液性との両立が可能な吸水性樹脂粒子の製造方を提供するという、上記(ア)の発明の課題を解決しているものとはいえない。 (ウ)本件明細書の発明の詳細な説明に記載される本件発明の課題を解決することができると当業者において認識できる範囲と本件発明の対比 a 吸水性樹脂粒子について 上記(イ)aで述べたように、本件明細書の発明の詳細な説明の記載に照らすと、上記(ア)の発明の課題を解決するには、吸水性樹脂粒子における表面架橋剤が、少なくとも、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物であり、水溶性ビニルモノマー(a1)も、多価グリシジル化合物が反応できる所定の構造を有するものであり、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)が所定の構造を持つものであることに対応して、内部架橋剤(b)も所定の構造を有するものであることが肝要であると理解されるところ、設定登録時の請求項1~10に係る発明(吸水性樹脂粒子に係る発明)には、これらの点に関する特定はなされていない。 そうすると、設定登録時の請求項1~10に係る発明は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということはできないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということはできない。 b 吸水性樹脂粒子の製造方法について 上記(イ)b(a)及び(b)で述べたように、本件明細書の発明の詳細な説明の記載に照らすと、上記(ア)の発明の課題を解決するには、「吸水性樹脂粒子における表面架橋剤が、少なくとも、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物であり、水溶性ビニルモノマー(a1)も、多価グリシジル化合物が反応できる所定の構造を有するものであり」、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)が所定の構造を持つものであることに対応して、内部架橋剤(b)も所定の構造を有するものであること、また、「表面架橋剤(c)単位の割合が、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%であること」が肝要であると理解されるところ、設定登録時の請求項11~15に係る発明(吸水性樹脂粒子の製造方法に係る発明)には、これらの点に関する特定はなされていない。 また、上記(イ)b(c)で述べたように、設定登録時の請求項11~15に係る発明には、上記(ア)の発明の課題を解決することができない範囲が含まれている。 そうすると、設定登録時の請求項11~15に係る発明は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということはできないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということはできない。 (4)取消理由4の内容 ア 設定登録時の請求項1の「表面架橋前の架橋重合体(A)の含水率は5~15重量%であり」との記載について 設定登録時の請求項1に係る発明は、「吸水性樹脂粒子」に係る発明であるから、設定登録時の請求項1の記載は、各製造工程を経て最終的に得られる「吸水性樹脂粒子」に関する記載、すなわち、最終的に得られる「吸水性樹脂粒子」の構造や特性を明確に特定する記載である必要があるところ、表面架橋前の架橋重合体(A)の含水率は、その後の表面架橋の反応条件に応じて変動するものであり、最終的に得られる「吸水性樹脂粒子」にそのまま引き継がれるものではないから、請求項1の「表面架橋前の架橋重合体(A)の含水率は5~15重量%であり」との記載は、最終的に得られる「吸水性樹脂粒子」に対し、どのような構造又は特性を特定しているのか明らかでない。 そうすると、「表面架橋前の架橋重合体(A)の含水率は5~15重量%であり」との記載を含む設定登録時の請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する設定登録時の請求項2~10の記載は、明確でない。 イ 設定登録時の請求項1の「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)≦1.0 (1)」に関する記載について 設定登録時の請求項1には、「下記関係式(1)を満たす吸水性樹脂粒子・・・AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)≦1.0 (1)(式(1)中、AUL(0.9psi)は、0.9重量%生理食塩水に対する0.9psi下で1時間の加圧吸水能を示し、GelAUL(0.9psi)は、AUL(0.9psi)測定後の膨潤した吸水性樹脂に対して0.9psiの加圧をかけたまま0.08~0.09MPaの圧力で30秒間吸引した後においても吸水性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量を示す)」との記載がある。 ここで、この関係式(1)の特に「AUL(0.9psi)」について、本件明細書の【0090】には、「式(1)中、AUL(0.9psi)は、0.9重量%生理食塩水に対する0.9psi下で1時間の加圧吸水能(g/g)を示し」との記載はあるもののその測定方法に関する具体的な記載はない。 また、本件異議申立てにおいて提出された甲第5号証~甲第7号証のAUL(0.9psi)の測定方法に関する以下の記載を参照するに、例えば、測定対象である吸水性樹脂粒子の粒度範囲や重量、測定に用いる測定セルの形状等の測定条件が異なる状況でAUL(0.9psi)が測定されていることが理解でき、また、測定条件が異なれば、測定されるAUL(0.9psi)の値も異なることが理解できる。 そうすると、特許請求の範囲又は明細書においてAUL(0.9psi)の測定条件が明示されていない設定登録時の請求項1に係る発明においては、「AUL(0.9psi)」、ひいては、「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)」の値が一義的に定まらないこととなるため、「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)≦1.0」の条件を満たす吸水性樹脂粒子の技術的な範囲が明確に定まらないこととなるから、設定登録時の請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する設定登録時の請求項2~10の記載は、明確でない。 3 異議申立人による特許異議の申立理由の概要 (1)特許法第29条第1項第3号所定の規定違反(新規性欠如)(以下、「申立理由1」という。) ア 設定登録時の請求項1~10に係る発明は、下記(9)に記載の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである(甲第3、9、14、16、18号証を参考とする。以下、「申立理由1-1」という。)。 イ 設定登録時の請求項1~15に係る発明は、下記(9)に記載の甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである(甲第3、14、20号証を参考とする。以下、「申立理由1-2」という。)。 ウ 設定登録時の請求項1~15に係る発明は、下記(9)に記載の甲第10号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである(甲第3、14、20号証を参考とする。以下、「申立理由1-3」という。)。 (2)特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)(以下、「申立理由2」という。) ア 設定登録時の請求項1~15に係る発明は、下記(9)に記載の甲第1号証に記載された発明及び同甲第3、9、12~15、17、18及び20に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(特許異議申立書179頁8~12行、以下、「申立理由2-1」という。)。 イ 設定登録時の請求項1~15に係る発明は、下記(9)に記載の甲第2号証に記載された発明及び同甲第1、3、9、12~14、16及び20に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(特許異議申立書190頁10~14行、以下、「申立理由2-2」という。)。 ウ 設定登録時の請求項1~15に係る発明は、下記(9)に記載の甲第10号証に記載された発明及び同甲第1、3、12~14、16、20に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(特許異議申立書201頁1~5行、以下、「申立理由2-3」という。)。 なお、上記ア~ウにおける証拠の引用では、特許異議申立書の引用箇所で記載されている証拠に加え、この箇所には記載されていないが、各請求項に対する具体的な理由で引用されている証拠がある場合、それも加えている。 (3)特許法第36条第4項第1号所定の規定違反(実施可能要件違反) 本件特許は、設定登録時の請求項1~15に対応する本件明細書の発明の詳細な説明の記載が下記(6)の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(下記(9)に記載の甲第3、5~8、12、18、19号証を参照している。以下、「申立理由3」という。)。 (4)特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反) 本件特許は、設定登録時の請求項1~15の記載が下記(7)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(下記(9)に記載の甲第3、11、18号証を参照している。以下、「申立理由4」という。)。 (5)特許法第36条第6項第2号所定の規定違反(明確性要件違反) 本件特許は、設定登録時の請求項1~10の記載が下記(8)の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(以下、「申立理由5」という。)。 記 (6)申立理由3の内容 ア 申立理由3-1の内容 ・本件発明は発明の詳細な説明に実施可能に記載されていない (ア)設定登録時の請求項1に係る発明を以下のように分節する。 「(A1)水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに (A2)内部架橋剤(b)を含む (A3)単量体組成物の架橋重合体(A)を有し、 (A4)水可溶分が10%以下であり、 (A5)架橋重合体(A)は少なくとも1種の表面架橋剤(c)により表面架橋された構造を有する、 (A6)吸水性樹脂粒子であって、 (A7)表面架橋前の架橋重合体(A)の含水率は5~15重量%であり、 (A8)表面架橋された架橋重合体(A)における、表面架橋剤(c)単位の割合が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%であり、 (A9)Demand Wettability試験法で測定された0.3psi加圧下での生理食塩水吸収量が、60秒後において3g/g以上9g/g未満、120秒後において8g/g以上15g/g未満、180秒後において12g/g以上30g/g未満、300秒後において20g/g以上30g/g未満であり、 (A10)下記関係式(1)を満たす吸水性樹脂粒子であって、 (A11)0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が50darcies以上である、吸水性樹脂粒子。(A10) AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)≦1.0 (1) (式(1)中、AUL(0.9psi)は、0.9重量%生理食塩水に対する0.9psi下で1時間の加圧吸水能を示し、GelAUL(0.9psi)は、AUL(0.9psi)測定後の膨潤した吸水性樹脂に対して0.9psiの加圧をかけたまま0.08~0.09MPaの圧力で30秒間吸引した後においても吸水性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量を示す)」 ここで、本件発明の特許請求の範囲には、構成要件A1の水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の種類に限定がなく、構成要件A2の内部架橋剤(b)及び構成要件A3の表面架橋剤(c)の種類に限定がなく、本件発明1に係る吸水性樹脂粒子についても、(水溶性)ビニルモノマー(a1、a2)、内部架橋剤(b)、表面架橋剤(c)は限定されないことから、本件発明1の技術的範囲には、構成要件A1ないしA8の構成を有し、構成要件A9ないしA11の性質を有するあらゆる吸水性樹脂粒子が含まれることになる。 そうすると、本件発明1が実施可能要件に適合するためには、このような本件発明1に含まれる吸水性樹脂粒子の全体について実施できる程度に本件明細書の発明の詳細な説明の記載がなされていなければならない。 (イ)本件明細書の記載によれば、本件明細書の実施例記載の吸水性樹脂粒子は、本件発明1が規定する構造を備え(構成要件A1、A2、A3、A5、A6、A7)、本件発明1の吸水性樹脂粒子が備えるべき特性を備えるものである(構成要件A4、A9、A10、A11)。 一方で、比較例の記載を含む本件明細書に接した当業者は、本件発明1が規定する構造を備える吸水性樹脂粒子であっても(構成要件A1、A2、A3、A5、A6、A7)、本件発明1の吸水性樹脂粒子が備えるべき特性を有さず(構成要件A10)、本件発明1の作用効果を奏しない吸水性樹脂粒子が存在すると理解する。 加えて、参考例の記載を含む本件明細書に接した当業者は、本件発明1が規定する構造を備えない吸水性樹脂粒子であっても(構成要件A7)、本件発明1の吸水性樹脂粒子が備えるべき特性を有し(構成要件A4、A9、A10、A11)、本件発明1の作用効果を奏する吸水性樹脂粒子が存在すると理解する。 以上のとおり、本件明細書には、構成要件A4、A9、A10、A11の特性を備える吸水性樹脂粒子を得るための情報が不足していることは明らかである(201頁12行~214頁末行)。 (ウ)また、本件明細書の記載によると、少なくとも構成要件A1のビニルモノマー、構成要件A2の内部架橋剤、構成要件A5の表面架橋剤としていかなるものを使用すればいいかの情報が不足しているため、それらの組み合わせからすると、少なくとも1500万通りの吸水性樹脂組成物が存在するところ、本件発明1の吸水性樹脂粒子を全体にわたって実施するためには、少なくとも1500万通りの吸水性樹脂組成物について、水可溶分(構成要件A4)、DW値(構成要件A9)、AUL-GelAULの値(構成要件A10)、ゲルベット透過率(構成要件A11)が本件発明1の範囲にあることを確認する必要があるが、これらの確認実験を行い、本件発明1の吸水性樹脂粒子を全体にわたって実施するためには過度の試行錯誤を要する。 以上のとおり、本件明細書には、構成要件A4、A9、A10、A11の特性を備える吸水性樹脂粒子を得るための情報が不足しており、本件明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、本件発明1を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるということできない(215頁1行~219頁10行)。 イ 申立理由3-2の内容 ・AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)の測定方法 本件発明1は「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)」というパラメータによって特定されている。 「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)」の測定方法については、本件明細書【0090】に概要が記載されているのに過ぎず、AUL測定におけるサンプルの調整(測定粒度)、セルサイズ、サンプル量、セルメッシュなどの詳細な測定条件は本件明細書において説明されていない。 他方、AUL(0.9psi)の測定の際には、各種の測定条件について様々な選択を行った上で測定を行うことが技術常識である。 しかしながら、本件明細書においては、これらの詳細な測定条件が記載されていないから、当業者は、AUL(0.9psi)を測定して本件発明を実施することができない。 よって、本件発明1~15は、実施可能要件に違反している(219頁11行~224頁9行)。 ウ 申立理由3-3の内容 ・ゲルベッド透過率の測定方法 (ア)本件発明1~10は、ゲルベッド透過率というパラメータによって特定されている。 ゲルベッド透過率は特許第5236668号明細書(甲7)のGPB試験方法で測定される(本件明細書【0097】【0098】)。甲7によれば、ゲルベッド透過率試験の測定サンプルとして米国標準30メッシュスクリーンと米国標準50メッシュスクリーンでふるい分けられたもの(粒径約300~600ミクロン)が用いられる(甲7【0039】~【0047】)。 そのため、300-600μmに分級したものが得られない吸水性樹脂粒子の場合には、ゲルベッド透過率を測定することができないのであるから、ゲルベッド透過率を特定した発明は実施できない。 (イ)AULに加え通液性も粒度によって大きく異なりその粒度ごとの通液性の変化率も様々であるから、300~600ミクロンの通液性の高さが全粒子の通液性の高さを意味するものではない。 すなわち、300-600μmに分級したものがわずかに得られたとしても、通液性の粒度依存性からして、測定サンプルとして300-600μmに分級したものを使用するゲルベッド透過率によって、他の粒度分画が多数を占める吸水性樹脂粒子から課題を解決できる吸水性樹脂粒子を特定できるとはいえない。この点においても本件発明1~15は実施可能要件に違反する(224頁10行~225頁末行)。 エ 申立理由3-4の内容 ・サポート要件の裏返し 実施可能要件とサポート要件とは、「特許法36条6項1号の記載要件は,特許請求の範囲に対して発明の詳細な説明による裏付けがあるか否かという問題であり,上記2の同条4項の記載要件の議論とは,いわば表裏一体の問題ということができる。」(知財高判平成17年10月19日平成17年(行ケ)第10013号(OB遺伝子事件))とされており、一方に基づく取消理由が存在する場合については、他方に基づく取消理由が存在するから、サポート要件における理由と同じ理由により、当業者は、本件明細書を考慮して、本件発明が所望の効果を達成できるとは理解できないから、本件発明は実施可能要件を充足しない(226頁1~12行)。 (7)申立理由4の内容 ア 申立理由4-1の内容 ・設定登録時の請求項1~15(物の請求項および方法の請求項)に関するサポート要件違反 (ア)表面架橋剤(c) 本件発明の課題について、本件明細書【0006】は、「本発明の目的は、吸水性能を低下させることなく、加圧下での吸収速度と膨潤ゲル間の通液性との両立が可能な吸水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することである」と記載している。また、本件明細書の【課題を解決するための手段】の欄(【0007】)には、表面架橋剤(c)により表面架橋を行うことが、課題を解決するための手段として記載されている。 設定登録時の請求項1~15においては、表面架橋剤(c)の種類は限定されていない。そして本件明細書【0060】では、「表面架橋剤(c)としては、公知(特開昭59-189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン化合物及び多価イソシアネート化合物;あるいは多価金属塩、アルキレンカーボネート、多価アルコール等)の表面架橋剤等が使用できる」とされている。 しかしながら、本件明細書においては、1回目の表面架橋工程については、すべての実施例において、エチレングリコールジグリシジルエーテルが使用されている。 より具体的には、 (1)エチレングリコールジグリシジルエーテルとプロピレングリコールの組み合わせ(実施例1、3、5)(以下、「第1の具体的表面架橋剤」とも記載する)、および (2)エチレングリコールジグリシジルエーテルとプロピレングリコールと硫酸ナトリウムアルミニウムの組み合わせ(実施例2、6、8)(以下、「第2の具体的表面架橋剤」とも記載する) の2種類だけが1回目の表面架橋工程において使用されている。 そして、2回目の表面架橋工程については、 (1)エチレングリコールジグリシジルエーテルとプロピレングリコールの組み合わせ(実施例1~3)(すなわち、第1の具体的表面架橋剤)、 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテルとプロピレングリコールと硫酸ナトリウムアルミニウムの組み合わせ(実施例5、6)(すなわち、第2の具体的表面架橋剤)、および (3)ブタンジオール(実施例8)(以下、「第3の具体的表面架橋剤」とも記載する) の3種類だけが2回目の表面架橋工程において使用されている。 そして、表面架橋剤の種類が異なれば、架橋反応後に得られる表面の性能が変化することは明らかである。 そのため、当業者は、1回目の表面架橋工程に上記第1の具体的表面架橋剤および第2の具体的表面架橋剤以外の表面架橋剤を用いた場合、ならびに2回目の表面架橋工程に上記第1の具体的表面架橋剤~第3の具体的表面架橋剤以外の、例えば、上記【0060】に記載された表面架橋剤の選択肢等の表面架橋剤を用いた場合に、本件発明の課題が解決できるとは理解できない。 したがって、設定登録時の請求項1~15に係る発明は、課題を解決できない範囲を包含しており、当業者は、本件発明が課題を解決できると理解することができない。 (イ)水溶性ビニルモノマー 設定登録時の請求項1~15においては、重合体を形成するモノマーの種類が、水溶性ビニルモノマーとしか限定されていない。 しかしながら、重合体に表面架橋を行うためには、重合体と表面架橋剤との間で適切な化学反応が進行しなければならず、重合体には、表面架橋剤と反応し得る適切な反応性官能基が存在しなければならない。 ここで、本件明細書においては、カルボキシル基を有するアクリル酸モノマーを用いた実施例しか記載されておらず、カルボキシル基を有さないモノマーの場合にどのような表面架橋剤を用いてどのように課題を解決するのかについて一切説明がない。 設定登録時の請求項1~15に係る発明における重合体は、そのような適切な反応性官能基を有さない重合体をも包含するのであるから、設定登録時の請求項1~15に係る発明は、サポート要件を充足しない。 (ウ)内部架橋剤 本件明細書で具体的に例示される内部架橋剤は、【0017】における「更に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2~10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。」との記載においても、官能基-CH2CH=CH2を有するアリル化合物のみであり、実施例1~8でもアリル化合物であるペンタエリスリトールトリアリルエーテルが使用されている。 ここで、吸水性樹脂の内部架橋剤としては、アリル化合物(官能基-CH2CH=CH2)以外にも、アクリレート化合物(官能基-C(=O)CH=CH2)も知られ、さらに、表面架橋剤でも使用されるエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのグリシジル化合物、グリセリンなどの多価アルコールを内部架橋剤に使用する技術も知られている。 しかし、表面架橋剤でも反応性が様々なように、内部架橋剤の反応性も様々であり、本件明細書記載の内部架橋剤アリル化合物と、アクリレート化合物で、単量体との重合反応性や得られた吸水物性は大きく異なることは技術常識である。 そうすると、本件明細書にはアリル化合物(官能基-CH2CH=CH2)以外で共重合性および吸収性能を低下させずに本件請求項1の吸水性樹脂を得る方法の開示がない。 そのため、内部架橋剤の種類についても本件発明1~15は、サポート要件を充足しない(226頁21行~233頁17行)。 イ 申立理由4-2の内容 ・設定登録時の請求項1~10(物の請求項)に関するサポート要件違反 設定登録時の請求項1~10に係る発明は、表面架橋工程前の架橋重合体の含水率、すなわち製造プロセスにより物を特定しようとする発明である。 しかしながら、表面架橋工程の回数、表面架橋工程で使用される多価アルコールの点で、設定登録時の請求項1~10に係る発明における製造プロセスの特定が不十分であるから、設定登録時の請求項1~10の範囲の記載は、サポート要件を充足しない(233頁18行~234頁末行)。 ウ 申立理由4-3の内容 ・設定登録時の請求項11~15(製造方法の発明)に関するサポート要件違反 (ア)設定登録時の請求項11に係る発明の製造方法が比較例8、9を包含している 本件明細書に接した当業者は、本件明細書に記載される比較例8及び9の吸水性樹脂粒子は本件発明11の課題を解決しないものと認識するにもかかわらず、設定登録時の請求項11に係る発明は、比較例8及び9の製造方法を包含しているため、設定登録時の請求項11~15の記載は、サポート要件を充足しない(235頁3行~243頁19行)。 (イ)本件明細書に記載される実施例について a 本件明細書における、設定登録時の請求項11~15に係る発明の製造方法について、表面架橋剤の観点での実施例は、実施例1及び2のみである。 ここで、実施例3、実施例5、実施例6、実施例8は、設定登録時の請求項11に係る発明の表面架橋剤に関する「表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であり」との条件を満足せず、設定登録時の請求項11~15に係る発明の実施例ではない。 そして、実施例1及び2では、特定の表面架橋剤(エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびプロピレングリコールの組み合わせまたはエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールおよび硫酸ナトリウムアルミニウムの組み合わせ)を特定の使用量で1回目の表面架橋剤として使用し、特定の表面架橋剤(エチレングリコールジグリシジルエーテル及びプロピレングリコールの組み合わせ)を2回目の表面架橋剤として特定の使用量で使用することしか記載していない。さらに、比較例においては、実施例1及び2で使用された表面架橋剤と同じ表面架橋剤であっても、使用量が多少相違するだけで本件発明の課題が解決できなくなることが実証されているのであるから、実施例1及び2で使用された特定の量の特定の表面架橋剤を使用する場合以外の実施形態について、当業者は、設定登録時の請求項1~15に係る発明が課題を解決できると理解することができない。 なお、表面架橋の種類、量を規定したとしても、表面架橋温度が決まらなければ、どのような表面架橋が起こるか決まらず、課題を解決できるとは言えない。 したがって、設定登録時の請求項1~15に係る発明は、サポート要件に違反する。 b 設定登録時の請求項12に係る発明における製造方法について、請求項12は、表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマーの合計重量に基づいて0.03~0.5重量%であるという構成要件を記載している。 しかしながら、本件明細書に記載される実施例1及び実施例2は、上記の表面架橋剤(c)の使用量以下の表面架橋剤が使用されており、実施例1及び2は、設定登録時の請求項12に係る発明の実施例ではない。 そうすると、本件明細書には、設定登録時の請求項12に係る発明の構成を採用した実施例がないこととなり、当業者は、設定登録時の請求項12に係る発明は、発明の課題を解決できるものではなく、サポート要件を充足していない。 c 設定登録時の請求項13に係る発明における製造方法について、請求項13は、1回目の表面架橋剤(c)の使用量が、単量体組成物の合計重量に基づいて0.02~0.4重量%であるという構成要件を記載している。 しかしながら、本件明細書に記載される実施例1及び2は、1回目の表面架橋剤(c)の使用量が、上記の範囲になく、設定登録時の請求項13に係る発明の実施例ではない。 そうすると、本件明細書には、設定登録時の請求項13に係る発明の構成を採用した実施例がないこととなり、当業者は、設定登録時の請求項12に係る発明は、発明の課題を解決できるものではなく、サポート要件を充足していない(243頁20行~250頁3行)。 (8)申立理由5の内容 ア プロダクトバイプロセス 設定登録時の請求項1~10に係る発明は、物の発明であるところ、請求項2~10が、直接又は間接的に引用する請求項1には、吸水性樹脂粒子について、その構造が、「表面架橋剤(C)により表面架橋された構造」と記載され、物の構造が、表面架橋するというプロセスによって規定されている。 また、請求項1の「表面架橋前の架橋重合体(A)の含水率は5~15重量%」との記載があるが、これは、表面架橋工程前の重合体の含水率であり、いわば、吸水性樹脂粒子の製造方法(表面架橋前の架橋重合体(A)が記載されていることになる。 しかしながら、請求項1をプロダクトバイプロセスの形式で記載することについての不可能・非実際的事情について本件明細書に記載がないから、物の発明にかかる特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている設定登録時の請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~10は明瞭ではない(250頁5行~251頁20行)。 イ AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)の測定方法 設定登録時の請求項1~10に係る発明は、「AUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)」というパラメータによって特定されているが、AUL(0.9psi)の詳細な測定条件は、特許請求の範囲において特定されておらず、明細書においても説明されていない。 そして、詳細な測定条件が異なれば、測定値が異なることは明らかであるから、当業者は、請求項1に記載されているAUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)の値を理解することができない。 したがって、設定登録時の請求項1~10の記載は、明瞭でない(251頁21行~252頁12行)。 ウ ゲルベッド透過率の測定方法 設定登録時の請求項1~10に係る発明は、ゲルベッド透過率というパラメータによって特定されているが、ゲルベッド透過率の測定の際にはふるい分けられたサンプル(粒径約300~600ミクロン)が用いられる。ここで、300~600ミクロンに分級したものが得られない吸水性樹脂粒子においては、ゲルベッド透過率を測定できない。また、300~600ミクロンに分級したものがわずかに得られたとしても、測定サンプルとして300~600ミクロンに分級したものを使用するゲルベッド透過率によって、他の粒度分画が多数を占める吸水性樹脂粒子において課題を解決する吸水性樹脂粒子を特定できるとは言えない。 したがって、設定登録時の請求項1~10の記載は、明瞭でない(252頁13行~末行)。 (9)提出された証拠 甲第1号証:国際公開第2017/200085号(実際に提出されている証拠は、該国際公開に係る再公表公報であるが、該国際公開が証拠として提出されたものとして扱う。) 甲第2号証:特開平9-124955号公報 甲第3号証:Fredric L.Buchholz, Andrew T.Graham(Editor),Modern Superabsorbent Polymer Technology, John Wiley & Sons,Inc (1998),表紙、69~117、167~221頁 甲第4号証:Worldwide Strategic Partners, Standard Test Methods for the Nonwovens Industry, Table of Contents All methods revised in 2005 1of6~6of6, STANDARD TEST:WSP 242.2(05) 1of9~9of9 甲第5号証:特表2010-521578号公報 甲第6号証:特表2012-527502号公報 甲第7号証:特許第5236668号公報 甲第8号証:特表平6-507564号公報 甲第9号証:特開昭58-117222号公報 甲第10号証:国際公開第2008/108277号 甲第11号証:米国特許第4734478号明細書 甲第12号証:特開2014-5472号公報 甲第13号証:韓国公開特許第10-2017-0100395号 甲第14号証:特開2017-206646号公報 甲第15号証:国際公開第2016/143736号 甲第16号証:特開2016-132778号公報 甲第17号証:特開2003-165883号公報 甲第18号証:特開平10-244151号公報 甲第19号証:株式会社日本触媒吸水性樹脂研究部従業員による「実験成績証明書」 甲第20号証:株式会社日本触媒吸水性樹脂研究部従業員による「実験成績証明書」 (以下、甲第1号証を略して、「甲1」などという。) 第5 当審の判断 当審は、上記取消理由1~4及び申立理由1~5のいずれの理由によっても、本件特許を取り消すことはできないと判断する。 以下、その理由について詳述する。 1 削除された請求項1~10、12に対する取消理由1~4、申立理由1~5について 上記第2の1で述べたように、本件訂正により請求項1~10、12は削除されたから、「請求項1~10、12を対象とする取消理由3」、「取消理由4」には、理由がない。 また、「申立理由1-1」、「請求項1~10、12を対象とする申立理由1-2、申立理由1-3、申立理由2」、「申立理由3-1」、「請求項1~10、12を対象とする申立理由3-2、申立理由3-3、申立理由3―4」、「請求項1~10、12を対象とする申立理由4-1」、「申立理由4-2」、「請求項12を対象とする申立理由4-3」、「申立理由5」は、申立ての対象が存在しないものとなったため却下されるべきものである。 ここで、申立理由3-1は、どの請求項までを申立ての対象としているのか必ずしも明らかでないが、以下のとおり、請求項1~10を対象とする申立理由であると判断した。 申立理由3-1は、その結論に「本件発明1を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるということできない」(219頁9、10行)とあるとおり、設定登録時の請求項1を引用する請求項を含め、請求項1に係る発明における「吸水性樹脂粒子」を対象とするものであるといえる。上記理由で、情報が不足しているとする、水可溶分(構成要件A4)、DW値(構成要件A9)、AUL-GelAULの値(構成要件A10)、ゲルベット透過率(構成要件A11)は、いずれも、設定登録時の請求項1で、「吸水性樹脂粒子」の特性として特定されるものである一方、「製造方法」の発明である本件発明11、13~15では、水可溶分(構成要件A4)、DW値(構成要件A9)、AUL-GelAULの値(構成要件A10)、ゲルベット透過率(構成要件A11)は、発明を構成する要素ではないから、水可溶分(構成要件A4)、DW値(構成要件A9)、AUL-GelAULの値(構成要件A10)、ゲルベット透過率(構成要件A11)に関する情報が不足していることは、本件発明11、13~15を実施可能であるか否かに直接関連することではない。 そうすると、申立理由3-1は、「吸水性樹脂粒子」に関する設定登録時の請求項1~10を対象とするものであるといえる。 なお、仮に、申立理由3-1が、申立ての範囲に本件発明11、13~15を含むものであるとしても、「水可溶分(構成要件A4)、DW値(構成要件A9)、AUL-GelAULの値(構成要件A10)、ゲルベット透過率(構成要件A11)に関する情報が不足している」との理由は、実際に情報が不足しているか否かは別として、上述したように、本件発明11、13~15に対応する本件明細書の発明の詳細な説明の記載の実施可能要件の判断を左右するものではないから、申立理由3-1には、理由がない。 2 サポート要件違反に関する取消理由1、取消理由3、申立理由4-1、申立理由4-3について (1)取消理由1について 先の訂正における請求項11で、「表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物、多価金属塩、及び多価アルコールのうちの少なくとも1種であり」であったものが、本件訂正により、「表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物であり」と訂正されることにより、先の訂正における請求項11に係る発明から、本件明細書の発明の詳細な説明において、技術的な裏付けがなされていなかった「表面架橋剤(c)」が「多価金属塩」である場合が除かれることとなった。 そうすると、本件発明11が、本件明細書の発明の詳細な説明において、技術的な裏付けがなされていということはないから、取消理由2には、理由がない。 (2)取消理由3(設定登録時の請求項11~15に対して)について 本件訂正後の請求項11、13~15のサポート要件の判断は、上記第4の2(3)アに記載の「サポート要件の判断手法」に従って判断すべきところ、この「サポート要件の判断手法」に従って判断すると、同イ(ウ)bで述べたように、設定登録時の請求項11で、吸水性樹脂粒子における表面架橋剤が、少なくとも、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物であり、水溶性ビニルモノマー(a1)も、多価グリシジル化合物が反応できる所定の構造を有するものであり、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)が所定の構造を持つものであることに対応して、内部架橋剤(b)も所定の構造を有するものであること、また、表面架橋剤(c)単位の割合が、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%であること、さらに、設定登録時の請求項11が、比較例7及び比較例8を含まない範囲であることが、サポート要件を充足するには必要である。 そして、本件訂正によって、訂正後の請求項11は、第3に記載されるとおりのものとなり、「表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物であ」ること、「水溶性ビニルモノマー(a1)は」、表面架橋剤(c)のグリシジル基と反応できるカルボキシル基を有する「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であ」ること、「内部架橋剤(b)は」、水溶性ビニルモノマー(a1)のエチレン性不飽和基と反応できる「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であ」ること、「表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である」ことが特定された。 また、比較例7は、「比較例2と同様にして得られた架橋重合体(A’-2)100部」に対して、「1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.01部」、「2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.01部」を用いたもので(【0126】)、表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.02重量%であるものであり、比較例8は、「架橋剤(b-1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.405部を0.054部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’-8)」(【0127】)を用いるもので、実施例1では、架橋剤(b-1)を加えるアクリル酸(a1-1)が、135部用いられている(【0110】)から、比較例8における、単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.04重量%((0.054/135)×100)であるものである。 これに対し、本件訂正により、「表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である」こと、「単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であ」ることが特定され、本件発明11の範囲に、比較例7及び比較例8は含まれないものとなった。 そうすると、本件訂正によって、請求項11の記載が、サポート要件を充足するために必要な事項が全て特定されたことになるから、請求項11及び請求項11を直接又は間接的に引用する請求項13~15は、サポート要件を充足するものであり、取消理由3の内、「吸水性樹脂粒子の製造方法」に係る請求項を対象とする理由には、理由がない。 以上によれば、取消理由3には、理由がない。 (3)申立理由4-1について ア (ア)について 申立理由4-1(ア)の理由において、本件明細書に記載される実施例では、1回目の表面架橋工程及び2回目の表面架橋工程で、「(1)エチレングリコールジグリシジルエーテルとプロピレングリコールの組み合わせ」、「(2)エチレングリコールジグリシジルエーテルとプロピレングリコールと硫酸ナトリウムアルミニウムの組み合わせ」が使用されているとしているが、例えば、<実施例1>では、1回目の表面架橋工程及び2回目の表面架橋工程について、本件明細書の【0112】に「ついで、得られた架橋重合体(A-1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.08部、溶剤としてのプロピレングリコール1.6部及び水1.6部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、130℃で30分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.04部及び溶剤としてのプロピレングリコール0.9部及び水0.9部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、130℃で30分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P-1)を得た。」と記載されるように、表面架橋剤として用いられているのは、エチレングリコールジグリシジルエーテルであって、プロピレングリコールは、溶媒として用いられているから、少なくとも、実施例1、3は、1回目の表面架橋工程における表面架橋剤及び2回目の表面架橋工程における表面架橋剤として、エチレングリコールジグリシジルエーテルのみを用いている。 そして、得られた吸水性樹脂粒子は、同【0132】に「実施例においては、吸収量が初期(30秒後、60秒後)~中期(120秒後)の時点からすでに比較例に比べて有意に増大していることが分かり、本願発明に規定する要件を満たしており、0.3psi加圧下での吸収速度に優れていることが判る。しかも、実施例ではAUL(0.9psi)-GelAUL(0.9psi)の値が適当であり、このことから架橋剤の分配割合が適切であり、吸水性樹脂粒子表面に比較的厚みをもった表面架橋構造を形成することが期待できる。・・・表面架橋剤の種類や表面架橋方法が適当な実施例は、少ない架橋濃度でも高いGBPが実現可能なのでCRCとGBPのバランスが良くなることが示された。」と記載されるとおり、第4の2(3)イ(ア)に記載される本件発明の課題を解決できるものであることが理解できる。 これに対し、本件訂正により、本件発明11では、「表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物」であることが特定された。ここで、エチレングリコールジグリシジルエーテルは、多価グリシジル化合物の一種である。そして、架橋剤では、架橋反応に関与する官能基、すなわちエチレングリコールジグリシジルエーテルであればグリシジル基が重要であり、しかも、本件発明は、表面架橋剤(c)の架橋基以外の構造に何らかの特徴を持たせるものでもないから、グリシジル基を二つ有するエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いて、発明の課題が解決できることが示されているのであれば、エチレングリコールジグリシジルエーテルを含め複数のグリシジル基を有する化合物である多価グリシジル化合物を用いても、本件発明の課題を解決できることを、当業者であれば理解できるといえる。 そうすると、申立理由4-1(ア)については、理由がない。 イ (イ)について 本件訂正によって、本件発明11、13~15おいて、水溶性ビニルモノマーが、「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩」であることが特定され、表面架橋剤(c)である多価グリシジル化合物と反応することが知られているカルボキシル基を有するモノマーであることが明らかとなった。 そうすると、申立理由4-1(イ)については、理由がない。 ウ (ウ)について 本件訂正によって、本件発明11、13~15おいて、内部架橋剤(b)が、「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤」であることが特定され、本件明細書に記載される実施例1~3、5、6、8で使用されるエチレン性不飽和基を3個有する架橋剤であるペンタエリスリトールトリアリルエーテルに対応するものとなった。 ここで、本件発明11における「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤」では、アリル化合物(官能基-CH2CH=CH2)以外に、アクリレート化合物(官能基-C(=O)CH=CH2)も含み得る。 しかしながら、上記アでも述べたように、架橋剤では、架橋対象物と反応する反応基が重要であり、アリル化合物及びアクリレート化合物は、共にエチレン性不飽和基で、架橋対象物である本件発明11での、水溶性ビニルモノマー(a1)である「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩」と反応する。 そして、本件明細書の【0017】の内部架橋剤(b)に関する「吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのは・・・である。」の記載によれば、内部架橋剤(b)の選択は、吸水性樹脂粒子の吸収性能に影響するものではあるが、本件発明11で、内部架橋剤(b)の含有量は、ビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であり、吸水性樹脂粒子の吸収性能は、主に、吸水性樹脂粒子において、実際に、吸水を担う、水溶性ビニルモノマー(a1)である「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩」からの重合体部分によって発揮されるものであるといえるから、内部架橋剤(b)において、エチレン性不飽和基を2個以上有する構造が共通していれば、それ以外の構造の吸水性樹脂粒子への影響は、小さいといえる。 そうすると、エチレン性不飽和基を3個以上有するペンタエリスリトールトリアリルエーテルを用いて、発明の課題が解決できることが示されているのであれば、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルを含めエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤を用いても、本件発明の課題を解決できることを、当業者であれば理解できるといえる。 以上によれば、申立理由4-1(ウ)については、理由がない。 (4)申立理由4-3について ア (ア)の理由に対して 比較例8の製造方法が、本件発明11に含まれるものでないことは、上記(2)で述べたとおりである。 つぎに、比較例9の製造方法に関する本件明細書の記載は以下のとおりである。 「【0128】 <比較例9> 架橋剤(b-1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.405部を1.215部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’-9)(含水率:8%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部、溶剤としてのプロピレングリコール2.7部及び水2.7部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で50分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.02部、溶剤としてのプロピレングリコール1.8部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.6部及び水1.8部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、138℃で30分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’-9)を得た。」 ここで、上記比較例9の「架橋剤(b-1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.405部を1.215部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’-9)(含水率:8%)」との記載で引用される実施例1の記載は、「【0110】 <実施例1> アクリル酸(a1-1){三菱化学株式会社製、純度100%}135部、架橋剤(b-1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.405部及び脱イオン水315部を攪拌・混合しながら3℃に保った。」であるから、上記比較例9では、本件発明11における水溶性ビニルモノマー(a1)である「アクリル酸(a1-1)」135部に対して、本件発明11における内部架橋剤(b)である「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル」が、1.215部用いられている。 ここで、本件発明11では、「単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であ」るとされているところ、比較例9では、内部架橋剤(b)である「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル」の含有量は、水溶性ビニルモノマー(a1)である「アクリル酸(a1-1)」の重量に基づいて、0.9重量%((1.215/135)×100)であるから、本件発明11の範囲外である。 そうすると、本件発明11、13~15は、比較例8及び9の製造方法を包含するものではないから、本件訂正後の請求項11、13~15の記載は、サポート要件を充足していないということはなく、申立理由4-3(ア)に理由はない。 イ (イ)の理由に対して 実施例3、実施例5、実施例6、実施例8が、設定登録時の請求項11~15に係る発明の実施例であるか否かにかかわらず、実施例が、実施例1、2だけしかないという理由、又は実施例がないということだけで、請求項11、13~15の記載は、サポート要件を充足しないということはない。 そして、本件訂正後の請求項11、13~15の記載が、サポート要件を充足することは、上記(2)で述べたとおりである。 そうすると、本件訂正後の請求項11、13~15の記載は、サポート要件を充足しないということはなく、申立理由4-3(イ)に理由はない。 さらに、念のため申立理由4-3(イ)の内容に沿って検討する。 まず、この理由において、実施例3、実施例5、実施例6、実施例8が、表面架橋剤に関する「表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であり」との条件を満足しないとする理由の前提は、表面架橋工程で用いられる、少なくとも表面架橋剤であることが明らかなエチレングリコールジグリシジルエーテルに加え、各実施例で「溶剤としてのプロピレングリコール」と明示されている、プロピレングリコールを表面架橋工程の温度に応じて、溶剤としたり、表面架橋剤とすることを前提としている。 しかしながら、本件明細書の記載では、1回目の表面架橋工程及び2回目の表面架橋工程でも、プロピレングリコールは、「溶剤」とされおり、この理由での上記の前提は、本件明細書の記載に反している。さらに、仮に、プロピレングリコールが表面架橋剤になり得るとしても、共存する他の表面架橋剤との反応性の差や、架橋対象の化合物量によって、どの化合物が表面架橋剤として作用するかは変化するといえるから、プロピレングリコールが実際、表面架橋剤として機能するか否かは、架橋対象物である架橋重合体(A)の量や、表面架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルとの関係を検討する必要があるといえるが、上記の前提ではそれがなされていない。 そうすると、上記の前提を基にした上記の理由では、実施例3、実施例5、実施例6、実施例8を実施例でないとすることはできないし、さらに、本件発明12及び13に対して、実施例1、実施例2を実施例でないとすることはできない。 さらに、本件発明の課題を解決できるか否かというサポート要件の判断基準に照らせば、上記(2)で述べたように、表面架橋剤に関しては、「吸水性樹脂粒子における表面架橋剤が、少なくとも、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物であり、水溶性ビニルモノマー(a1)も、多価グリシジル化合物が反応できる所定の構造を有するものであ」ること、また、「表面架橋剤(c)単位の割合が、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%であること」が肝要であるところ、本件発明11では、これらの内容が特定されているのであるから、本件発明の課題を解決できるものとするために、実施例1及び2の具体的な、表面架橋工程の態様に限定しなければならないということはない。 以上によれば、申立理由4-3(イ)に理由はない。 (5)サポート要件違反に関するまとめ 以上のとおり、本件特許は、請求項11、13~15の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである、ということはできないから、取消理由1、取消理由3、申立理由4-1、申立理由4-3には、理由がない。 3 明確性要件違反に関する取消理由2について (1)取消理由2について 先の訂正における請求項11で、「表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物、多価金属塩、及び多価アルコールのうちの少なくとも1種であり」であったものが、本件訂正により、「表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物であり」と訂正されることにより、表面架橋工程において使用される「多価アルコール」は、「希釈剤」であることが明らかとなった。 そうすると、「多価アルコール」に関する記載が整合していないということはなく、取消理由1には、理由がない。 (2)明確性要件違反に関するまとめ 以上のとおり、本件特許は、請求項11、13~15の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである、ということはできないから、取消理由2には、理由がない。 4 実施可能要件違反に関する申立理由3-2、申立理由3-3、申立理由3-4について (1)申立理由3-2及び申立理由3-3について 「製造方法」の発明である本件発明11、13~15では、AUL-GelAULの値(構成要件A10)、ゲルベット透過率(構成要件A11)は、発明を構成する要素ではないから、AUL-GelAULの値の測定方法、ゲルベット透過率の測定方法に関する事項は、本件発明11、13~15を実施する上で、直接関連する事項ではない。 そうすると、申立理由3-2及び申立理由3-3における、AUL-GelAULの値の測定方法、及びゲルベット透過率の測定方法に関する内容は、その妥当性は別として、本件発明11、13~15に対応する本件明細書の発明の詳細な説明の実施可能要件の判断を左右するものではないから、申立理由3-2及び申立理由3-3には、理由がない。 (2)申立理由3-4について 申立理由3-4は、裁判例(知財高判平成17年10月19日平成17年(行ケ)第10013号(OB遺伝子事件))を引用して、実施可能要件及びサポート要件の一方に基づく取消理由が存在する場合については、他方に基づく取消理由が存在することを前提としているところ、上記裁判例は、特定の事例に基づくものであって、本件出願についても直ちに同様のことがいえるとは限らない。そして、本出願においても、上記裁判例の事件と同様のことがいえることについて、根拠のある説明がなされていないため、申立理由3-4には、理由がない。 しかも、仮に、本件出願において、実施可能要件及びサポート要件の一方に基づく取消理由が存在する場合については、他方に基づく取消理由が存在したとしても、上記2で述べたように、本件特許請求の範囲の記載は、サポート要件に違反するものではないから、この点でも、申立理由3-4には、理由がない。 (3)実施可能要件違反に関するまとめ 以上のとおり、本件特許11、13~15は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである、ということはできないから、申立理由3-2、申立理由3-3、申立理由3-4には、理由がない。 5 新規性欠如及び進歩性欠如に関する申立理由1-2、申立理由1-3、申立理由2-1~申立理由2-3について (1)各甲号証に記載された事項 ア 甲1に記載された事項 (ア)「[請求項1] 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)と、pKa4.5~10のプロトンを持つ無機酸(c)を含有し、水可溶分が20%以下である吸水性樹脂粒子。 ・・・ [請求項13] 請求項1~9のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法であって、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とpKa4.5~10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3~8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する吸水性樹脂粒子の製造方法。」 (イ)「発明が解決しようとする課題 [0007] 本発明の目的は、吸水性能を低下させることなく、吸収速度及び膨潤ゲル間の通液性の両立が可能な吸水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することである。 課題を解決するための手段 [0008] 第一の本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とpKa4.5~10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有し、水可溶分が20重量%以下である吸水性樹脂粒子;及び前記吸水性樹脂粒子を含有してなる吸収体、なかでも、前記吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体;前記吸収体を備えてなる吸収性物品である。 第二の本発明は、第一の本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)とpKa4.5~10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3~8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する製造方法である。 ・・・ 発明の効果 [0009] 本発明の吸水性樹脂粒子、及び本発明の製造方法(第二の本発明、第三の本発明を区別せずに本発明の製造方法ともいう。)で製造された吸水性樹脂粒子は、上述の構成により、上記課題を解決し、以下で詳述する優れた特性を有する。なかでも、吸収速度が速く、かつ、膨潤ゲル間の通液性が非常に優れているにもかかわらず高い吸水性能も同時に有することから、吸水性樹脂比率の高い薄型の衛生材料・吸収性物品に適用したとき、どのような状態においても安定して優れた吸収性能(たとえば液拡散性、吸収速度、及び吸収量)を発揮し、カブレが生じにくい。」 (ウ)「[0012] これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましい。水溶性ビニルモノマー(a1)としては、好ましくはアニオン性ビニルモノマー、より好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマーである。これらのなかでは、より好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。」 (エ)「[0018] 内部架橋剤(b)としては特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤、反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー、特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤が使用できる。これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2~10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。」 (オ)「[0042] 第一の本発明の吸水性樹脂粒子は、好ましくは、表面架橋剤(d)による表面架橋構造を有する。 [0043] 表面架橋剤(d)としては、公知のもの(特開昭59-189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネート等)が使用できる。これらの表面架橋剤(d)のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物が好ましく、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。 ・・・ [0045] 本発明において、吸水性樹脂粒子は、内部架橋剤添加量及び、該当する場合は表面架橋前の、水分量を調整することで水溶性重合体である水可溶分の量が低減されていることが望ましい。第一の本発明において、吸水性樹脂粒子は、水可溶分の量が20%以下に低減されている。第一の本発明において、水可溶分が20%を超えると吸水時に可溶分が溶出していまい、ゲルブロッキングが生じ、通液性や吸水倍率に悪影響を与えることとなる。通液性の観点から、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。水可溶分は以下の方法で測定することができる。 ・・・ [0055] 表面架橋する工程は、樹脂粒子(B)と表面架橋剤(d)とを混合し、更に加熱することで行うことができ、公知(たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報及び特開2005-95759号公報に記載の表面架橋処理方法)の方法で行うことができる。 [0056] 表面架橋する工程として好ましい方法としては、樹脂粒子(B)を撹拌しながら、表面架橋剤(d)の水溶液を樹脂粒子(B)の表面に噴霧し、その後撹拌した状態または静置した状態で100~200℃(好ましくは120℃~160℃)に加熱する方法が挙げられる。 ・・・ [0060] 上記本発明の製造方法においては、表面架橋工程前に、架橋重合体(A)と無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)の水分量を3~8重量%に調整する工程を有することができる。適当な水分量を有する樹脂粒子を無機酸(c)の存在下で表面架橋することで、高い吸水特性を示す吸水性樹脂粒子をえることができる。水分調整工程後における樹脂粒子の水分量は、樹脂粒子(B)の重量に基づいて、吸水特性の観点から好ましくは4~8重量%、特に好ましくは、6~8重量%である。」 (カ)「[0091] <実施例1> アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%、以下同様である)135部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソ-株式会社製、以下同様である)0.68部、亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬株式会社製、純度66%、以下同様である)0.02部及び脱イオン水363部を撹拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。 [0092] 次に得られた含水ゲル(1)全量をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(140℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整して、水分量が6%の樹脂粒子(B1)を得た。 [0093] 得られた樹脂粒子(B1)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX-810)の2%水溶液4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、本発明の吸水性樹脂粒子(1)を得た。 (キ)「[0124] <0psiでの膨潤圧力でのゲルベッド透過率試験> 実施例1~16及び比較例1~5で得た吸水性樹脂粒子を用いて、上述の方法で測定した。この値が高いほど吸収体の吸収速度と膨潤ゲル間の通液性に優れることを意味する。 [0125] <DW試験で測定された無荷重下での吸収速度> 実施例1~16及び比較例1~5で得たそれぞれの吸水性樹脂粒子0.50gと生理食塩水とを用いて、上述の方法で測定した。DW試験はビュレットと導管とに接続された測定台上で、無荷重下における吸水性樹脂の吸い上げ能力を判断するものである。 [0126] <Vortex試験で測定される吸収速度> 実施例1~16及び比較例1~5で得たそれぞれの吸水性樹脂粒子を用いて、上述の方法で測定した。 [0127] [表1] [図:0001414148000001.jpg] ・・・ [0129] 表1、2から、本発明における吸水性樹脂粒子は、生理食塩水の遠心保持量が高く、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下であった。そして、比較例の樹脂粒子に比べて、生理食塩水の遠心保持量(CRC)及びVortex試験の吸収速度において有意な差が無い場合であっても、膨潤ゲル間の通液性(GBP)において有意に優れていた。また、比較例3によれば、水可溶分量が、20%を超えると、通液性や吸水倍率に悪影響を与え、吸収性能が悪い。DW試験の吸収速度(この値が小さいほど、吸収性能に優れる)も高い性能であることを示していた。従って、吸収速度が速く、かつ、膨潤ゲル間の通液性が非常に優れているにもかかわらず高い吸水性能も同時に有することが判った。」 イ 甲2に記載された事項 (ア)「【請求項1】20g/cm2の荷重下における、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の拡散吸収指数が1.5g/g・min以上であることを特徴とする吸収剤組成物。」 (イ)「【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本願発明者等が、衛生材料の吸収量を増加させるために、例えば吸収体における樹脂濃度を増加させるべく種々検討した結果、従来よりも樹脂濃度を高くした吸収体を用い、かつ、衛生材料からの水性液体の漏れ等の不都合を防止するには、上述した吸収量や吸収速度、ゲル強度、吸引力等の特性を制御するだけでは不充分であることが見い出された。例えば、近年、特に注目されている、加圧下の吸収量のみが非常に大きい吸水性樹脂においては、樹脂濃度を高くすると、吸収体での液拡散性が極端に低下する現象、また、吸収体が水性液体を吸収するのに長時間を要する等の問題点を有している。 【0008】また、本願発明者等は、従来よりも樹脂濃度を高くした吸収体の吸収特性に着目して種々検討した結果、公知の吸水性樹脂と親水性繊維とを混合した混合物を吸収体として用いると、樹脂濃度が低い場合には一定レベルの吸収特性を示すものの、樹脂濃度が40重量%を越えると液拡散性が急激に低下し、吸収体の単位重量当たりの吸収量が低下することを見い出した。即ち、公知の吸水性樹脂と親水性繊維とを混合した混合物を吸収体として用いると、上記の問題点が生じることとなる。 【0009】従って、本発明の目的は、上述した問題点を解決し、例えば、吸収体や吸収物品における吸水性樹脂の重量%を高くしても、常時、非常に高い液拡散性を維持すると共に、吸収体や吸収物品の単位重量当たりの吸収量を保持する等の優れた性能(吸収特性)を示すことができる吸収剤組成物、および、吸収体、並びに、吸収体を含む吸収物品を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目的を達成すべく、吸収剤組成物および吸収体、並びに、吸収体を含む吸収物品について鋭意検討した。その結果、特定の条件下において吸収剤組成物が水性液体を吸収する際の液拡散速度を評価するのに好適な物性値である拡散吸収指数を見い出した。上記拡散吸収指数に優れた吸収剤組成物は、拡散吸収倍率が特定値以上の吸水性樹脂に特定化合物を混合したり、特定条件下で吸水性樹脂表面近傍を架橋処理することにより、得ることができる。 【0011】そして、上記拡散吸収指数に優れた吸収剤組成物が、吸収体や吸収物品における吸水性樹脂の重量%が高い場合においても、一度に添加された多量の水性液体を素早く吸収することができ、かつ、常時、非常に高い液拡散性を維持すると共に、吸収体や吸収物品の単位重量当たりの吸収量を保持する等の優れた性能(吸収特性)を示すことを見い出した。また、これにより、吸収特性に優れた吸収体および吸収物品が得られることを見い出して、本発明を完成するに至った。」 (ウ)「【0020】以下に本発明を詳しく説明する。本発明における拡散吸収指数とは、吸水性樹脂または吸収剤組成物(以下、説明の便宜上、吸水性樹脂を例示して説明する)の坪量が高く、かつ、外力によって吸水性樹脂の粒子同士が密着している状態において、吸水性樹脂が水性液体を吸収する際の液拡散速度を評価するための新規な物性値である。上記の拡散吸収指数は、所定条件下での測定における、吸水性樹脂が水性液体を吸水性樹脂層方向(以下、横方向と称する)に吸収する際の最大吸収速度の測定値から算出される。尚、拡散吸収指数の測定方法については、後段の実施例にて詳述する。 【0021】上記の拡散吸収指数により、吸水性樹脂が水性液体をどの程度速やかに吸収し、かつ、吸水性樹脂が水性液体を横方向にどの程度均一に素早く拡散させることができるかを評価することができる。水性液体の横方向への液拡散性(液拡散能力および液伝達能力)は、水性液体を多量に吸収する上において、特に重要な因子である。そして、上記評価の結果から、例えば、主に吸水性樹脂と親水性繊維とからなる吸収体、特に、吸水性樹脂の重量%(以下、樹脂濃度と称する)が高い吸収体における吸水性樹脂の吸収挙動をも容易に予測することができる。尚、吸収体の構成については後述する。 【0022】本発明において、吸収剤組成物が有するより好ましい物性値として挙げられる拡散吸収倍率とは、吸水性樹脂の坪量が高く、かつ、外力によって吸水性樹脂の粒子同士が密着している状態における水性液体の拡散力を加味した、吸水性樹脂の吸収量を評価するための物性値である。上記の拡散吸収倍率は、所定条件下での測定における、吸収開始から所定時間経過後、例えば60分経過後の測定値から算出される。尚、拡散吸収倍率の測定方法については、後段の実施例にて詳述する。 【0023】尚、上述した先行出願には、吸収速度を評価している文献が見受けられるが、加圧状態下で、水性液体を横方向に拡散させながら吸収する際の最大吸収速度を評価している文献は無い。即ち、該加圧下の吸収速度の従来の評価は、水性液体が吸水性樹脂層方向と直交する方向(以下、縦方向と称する)に、短い距離を移動する場合についてのみ行われているだけである。従って、上記従来の評価の結果のみからでは、例えば樹脂濃度が高い吸収体を用いた紙オムツ等における、該吸収体の吸収挙動を正確に予測することができない。」 (エ)「【0038】本発明に用いられる、20g/cm2の荷重下における、吸収開始から60分経過後の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸水性樹脂は、上記吸水性樹脂前駆体を、特定の表面架橋剤の存在下に処理し、表面架橋することによって得ることができる。・・・ 【0039】表面架橋剤は、吸水性樹脂前駆体が有するカルボキシル基と反応可能な化合物の混合物であり、溶解度パラメータ(SP値)が互いに異なる第一表面架橋剤および第二表面架橋剤を組み合わせてなる。尚、上記の溶解度パラメータとは、化合物の極性を表すファクターとして一般に用いられる値である。本発明においては、上記の溶解度パラメータに対して、ポリマーハンドブック第3版(WILEY INTERSCIENCE社発行)527頁~539頁に記載されている溶媒の溶解度パラメータδ(cal/cm3)1/2の値を適用することとする。また、上記の頁に記載されていない溶媒の溶解度パラメータに関しては、該ポリマーハンドブックの524頁に記載されているSmallの式に、同525頁に記載されているHoyの凝集エネルギー定数を代入して導かれる値を適用することとする。 【0040】上記の第一表面架橋剤は、吸水性樹脂前駆体が有するカルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm3)1/2以上の化合物が好ましく、13.0(cal/cm3)1/2以上の化合物がより好ましい。上記の第一表面架橋剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレンカーボネート(1,3-ジオキソラン-2-オン)、プロピレンカーボネート(4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン)等が挙げられるが、これら化合物に限定されるものではない。これら第一表面架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。 【0041】上記の第二表面架橋剤は、吸水性樹脂前駆体が有するカルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm3)1/2未満の化合物が好ましく、9.5(cal/cm3)1/2 ~12.0(cal/cm3)1/2の範囲内の化合物がより好ましい。上記の第二表面架橋剤としては、具体的には、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられるが、これら化合物に限定されるものではない。これら第二表面架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。 【0042】表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂前駆体の固形分100重量部に対して、第一表面架橋剤の使用量が0.01重量部~5重量部の範囲内、かつ、第二表面架橋剤の使用量が0.001重量部~1重量部の範囲内が好ましく、第一表面架橋剤の使用量が0.1重量部~2重量部の範囲内、かつ、第二表面架橋剤の使用量が0.005重量部~0.5重量部の範囲内がより好ましい。表面架橋剤の使用量が上記範囲を越える場合には、不経済となるばかりか、吸水性樹脂における最適な架橋構造を形成する上で、表面架橋剤の量が過剰となるため、好ましくない。また、表面架橋剤の使用量が上記範囲よりも少ない場合には、吸水性樹脂における拡散吸収倍率等の性能を向上させる上で、その改良効果が得られ難いため、好ましくない。」 (オ)「【0116】〔実施例5〕中和率65モル%のアクリル酸ナトリウム30重量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数:8モル)18.49gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、実施例1の反応器と同様の反応器に、上記の反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。 【0117】続いて、反応液を攪拌しながら、過硫酸アンモニウム2.3gおよびL-アスコルビン酸0.12gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、30℃~80℃で重合を行い、重合を開始してから60分後に反応を終了して含水ゲル状重合体を取り出した。 【0118】得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、平均粒子径が360μmで、しかも、粒子径が106μm未満の粒子の割合が5重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体を得た。 【0119】得られた吸水性樹脂前駆体100重量部に、第一表面架橋剤としてのグリセリン〔SP値:δ=16.5(cal/cm3 )1/2 〕0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル〔SP値:δ=10.2(cal/cm3 )1/2 〕0.05重量部と、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤溶液を混合した。上記の混合物を195℃で30分間加熱処理することにより、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の平均粒子径は360μmであり、粒子径が106μm未満の粒子の割合は5重量%であった。 【0120】得られた吸水性樹脂100重量部に、さらに、第一表面架橋剤としてのグリセリン0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部と、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤溶液を混合した。上記の混合物を195℃で30分間加熱処理することにより、表面架橋が2回施された吸水性樹脂を得た。 【0121】そして、表面架橋が2回施された吸水性樹脂を、そのまま、本発明にかかる吸収剤組成物とした。上記吸収剤組成物の諸性能、並びに、該吸収剤組成物を用いた吸収体および吸収物品の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表1に示す。 ・・・ 【0137】 【表1】 [図:0001414148000002.jpg] 【0138】表1に記載された結果から明らかなように、本発明にかかる吸収剤組成物は、比較用の吸収剤組成物と比較して、拡散吸収指数が高い。また、本発明にかかる吸収体は、比較用の吸収体と比較して、吸収速度が速く、液拡散性に優れている。さらに、本発明にかかる吸収物品は、比較用の吸収物品と比較して、吸収量が多く、性能が良好である。このため、吸収剤組成物、吸収体、および吸収物品は、一度に多量の水性液体が添加されても、該水性液体を素早く吸収することができ、かつ、常時、非常に高い液拡散性を維持することができると共に、単位重量当たりの吸収量を保持することができる等の優れた性能(吸収特性)を示すことがわかる。」 ウ 甲3に記載された事項(訳文は、異議申立人より提出されたものである。) (ア)「90頁第3段落」(証拠における引用箇所のみ記載する。) (表面架橋剤と部分的に中和されたポリ(アクリル酸)主鎖との反応には、通常、加熱ステップが必要です。熱処理の時間と温度は、架橋試薬の反応性を考慮して選択され、所望の最終用途の特性が得られます。当然のことながら、反応時間の延長と温度の上昇により、反応性の試薬の反応の程度が大きくなります。Tsubakimoto ら50 は 90°~300℃の温度をクレームしており、Dahmen と Mertens104 は 150°~300℃を教えています。しかし、約250℃を超える温度では、酸化または脱炭酸によるポリアクリレートの劣化が顕著になる場合があります (第2章、セクション 2.5.4.2 を参照)。より具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテルの反応性エポキシ基は、140℃で30分で反応します。105反応性の低いエチレンカーボネートは、180℃で1時間または215℃で15分を必要とします。104) (イ)「 [図:0001414148000003.jpg] 」 (178頁 表5.2) (表5.2 さまざまなサンプルの架橋密度の関数としての数平均一次鎖分子量、抽出鎖分子量、および量) (ウ)「 [図:0001414148000004.jpg] 」 (174頁 図5.2) (図5.2 2つの異なる架橋剤、1,3ブチレングリコールジアクリレート(a)とトリアリルアミン(b)における、アクリル酸モル数に対する架橋剤使用量ごとのせん断弾性率) エ 甲9に記載された事項 (ア)「2 特許請求の範囲 (1) カルボキシレートを重合体の構成成分として含有する吸水性樹脂を該吸水性樹脂1重量部に対し、0.01~1.3重量部の水の存在下、不活性溶媒中で、2個以上の官能基を有する架橋剤をもちいて架橋せしめることを特徴とする吸水性樹脂の吸水性改良方法。」(第1頁左下欄3~9行) (イ)「本発明ではこれらの吸水性樹脂の性能を改良するため架橋反応を行わせるにあたり、吸水性樹脂に所定量の水を含有させるが、この水の割合によって本発明の効果が大きく異なる。従って本発明では吸水性樹脂1重量部に対して0.01~1.3重量部の水を存在させる。水の量が0.01以下ではほぼ非膨潤状態となり、架橋剤との反応が進みにくく、長い反応時間を必要とするので工業的には不利である。一方水の量が1.3以上では、膨潤状態を呈し、次に行なう架橋反応が重合体粒子の内部層まで進み、表面層の架橋密度が低く、水への分散性および吸水速度向上にならない。ここで水への分散性および吸水速度を向上させようとすると、架橋剤を多く必要とし、このようにすると却つて重合体の吸水能を極度に低下させることになるので好ましくない。」(4頁左上欄11行~右上欄8行) オ 甲10に記載された事項 (ア)「請求の範囲 [8] アクリル酸および/またはその塩を含む不飽和単量体を重合させて、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂前駆体を得る重合工程と、 表面架橋剤を含む表面架橋剤水溶液を用いて、得られた前記ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂前駆体の粒子に表面架橋処理を施す表面架橋工程とを含み、前記表面架橋工程を複数回行い、複数回のうちの任意の連続する2回の表面架橋工程における前記表面架橋剤水溶液における水の含有量(対ポリマー質量比)が2倍を超えて異なる、粒子状吸水剤の製造方法。」 (イ)「発明の開示 [0012] 上述したように、従来、数多くの吸水性樹脂及びそのパラメーター(物性制御)が提案されている。例えば、加圧下や無加圧下の吸収倍率を高めたり、水可溶性成分量を低減したり、ゲル強度を高めたりするなどの改良が提案されている。しかしながら、いずれの改良手段も実使用の紙おむつにおいて満足のいく物性を与えるものではなかった。特に、長時間(例えば夜間16時間)でのおむつの吸収量や戻り量(Re-wet)が満足のいくものではなく、長時間使用可能なおむつのニーズが高まっている現状に鑑みると、長時間使用した場合であっても十分な吸収量を達成可能な手段の開発が望まれているのが現状である。 [0013] また、上述した各種のパラメーターを制御することによる物性向上には複雑な手法(例えば、米国再発行特許発明第32649号明細書に開示の後中和及び低濃度重合など)を必要とし、コストアップ及び生産性の低下を伴うという問題もあった。さらには、大量に消費される吸水性樹脂の破棄の問題も存在した。 [0014] 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、長時間の使用に耐えうるおむつを提供可能であり、かつ、使用後には容易に廃棄されうる吸水剤を安価に提供することを目的とする。 [0015] 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、驚くべきことに、従来常識とされてきた吸水性樹脂の改良方向(加圧下や無加圧下の吸収倍率を高めて、水可溶性成分量を低減し、ゲル強度を高める等)では、水可溶性成分量が少ないことが逆に災いし、長時間の使用を前提とするおむつに用いられる吸水剤(吸水性樹脂)の物性に悪影響を及ぼすことを見出した。そして、長時間の使用を前提とするおむつ用の吸水剤(吸水性樹脂)にあっては、従来の改良方向とは異なり、むしろ水可溶性成分量が一定量以上であることが、長時間使用時における吸収量の向上には必要であることを見出した。そして、従来一般的な指標として扱われていた、一定時間撹拌するという条件下での水可溶性成分量(撹拌水可溶性成分量)は実使用性能(長時間経過後のおむつ中での吸収特性)を評価する指標とは言えず、実際には、当該撹拌水可溶性成分量と、攪拌せずに静置状態で抽出した水可溶性成分量(静置水可溶性成分量)との差(撹拌水可溶性成分量-静置水可溶性成分量)を所定の値に制御することが、長時間使用時の吸収特性(吸収量や戻り量(Re-wet))の向上には不可欠であるということが初めて判明した。」 (ウ)「[0073] (9)表面架橋 本発明の吸水剤を構成する吸水性樹脂は、上記で得られた吸水性樹脂前駆体の粒子を、表面架橋剤の存在下、表面架橋処理することによって得られる。 ・・・ [0075] これらの中でも多価アルコール化合物、多価エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそれらの塩、アルキレンカーボネート化合物、多価金属塩が好ましく用いられる。 [0076] 表面架橋剤としては、例えば、加熱による脱水反応または付加反応により吸水性樹脂前駆体の有するカルボキシル基と共有結合を形成する共有結合性架橋剤が挙げられる。具体的には、有機系表面架橋剤である(ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコール、(ジ、ポリ)プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、(ポリ)グリセリン、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジまたはトリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ジ、ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ジ、ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3-ジオキソラン-2-オン等のアルキレンカーボネート化合物が挙げられる。 ・・・ [0079] 表面架橋剤の量としては、吸水性樹脂前駆体100質量部に対して0.01~10質量部用いるのが好ましく、0.5~5質量部用いるのがより好ましい。表面架橋剤の量が0.01質量部未満の場合には、通液性が低下する場合がある。10質量部を越えて使用すると、吸収倍率が極端に低下する場合がある。 [0080] (10)好ましい表面架橋方法の一例 本発明の他の形態は、本発明の吸水剤を得るための好ましい製造方法に関する。ただし、本発明の吸水剤が当該製造方法により製造されるもののみに限定されることはない。すなわち、本発明は、アクリル酸および/またはその塩を含む不飽和単量体を重合させて、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂前駆体を得る重合工程と、表面架橋剤を含む表面架橋剤水溶液を用いて、得られた前記ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂前駆体の粒子に表面架橋処理を施す表面架橋工程とを含み、前記表面架橋工程を複数回行い、複数回のうちの任意の連続する2回の表面架橋工程における前記表面架橋剤水溶液における水の含有量(対ポリマー質量比)が2倍を超えて異なる、粒子状吸水剤の製造方法を提供する。 [0081] 本形態の製造方法では、表面架橋工程が複数回行なわれる。表面架橋工程の回数は複数回であれば特に制限はないが、設備コストに対する本発明の効果を考慮すると、好ましくは2~5回であり、より好ましくは2~3回であり、特に好ましくは2回である。ここで、複数回の表面架橋工程において、用いられる表面架橋剤はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。表面架橋工程は、具体的には、表面架橋されていない吸水性樹脂前駆体または表面架橋された吸水性樹脂前駆体(吸水性樹脂前駆体が1回以上表面架橋処理されたもの;以下、単に「吸水性樹脂前駆体」とも称する)に表面架橋剤を添加し、これを加熱することにより行なわれる。 [0082] 本形態の製造方法によれば、上述したような表面架橋工程を複数回繰り返すことにより、架橋密度が内部より高くなっている表面架橋層を、ポリマー粒子の表面の広範囲に亘り適切な厚みで存在させることが可能となる。その結果、最終的に得られる吸水剤の長時間経過後の吸収倍率の低下が抑制され、戻り量が低減される。なお、複数回の表面架橋工程において添加される表面架橋剤の全量を一度に添加して表面架橋工程を1回のみ行なうと、表面架橋層が部分的に厚くなるなどの問題が生じる。 ・・・ [0086] 本形態の製造方法においては、複数回の表面架橋工程のうち、任意の連続する2つの表面架橋工程において用いられる表面架橋剤水溶液における水の含有量は、2倍を超えて異なり、好ましくは2倍を超えて6倍以下、より好ましくは2.5~5.5倍、さらに好ましくは3~5.5倍、特に好ましくは3~5倍異なる。ここで、表面架橋剤水溶液における水の含有量は、表面架橋剤水溶液により処理されるポリマー(吸水性樹脂前駆体)に対する質量比として求められる値である。このように処理液中の水の含有量が2倍を超えて異なると、厚みが薄くかつ密度が高い表面架橋層と厚みが厚くかつ密度が低い表面架橋層とを併せもった多層的な表面架橋層が形成され、これにより長時間経過後の吸収倍率の低下が抑制されると共にゲル層拡散性にも優れた吸水剤が得られるものと推定される。 ・・・ [0094] また、本形態の製造方法において、ゲル層拡散性に優れるという観点からは、表面架橋工程において、初回の表面架橋処理が施される吸水性樹脂前駆体の含水率は、吸水性樹脂前駆体100質量%に対して、好ましくは0.1~30質量%であり、より好ましくは1~20質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%である。また、2回目以降の表面架橋処理が施される吸水性樹脂前駆体の含水率は、より少なめが好ましく、吸水性樹脂前駆体の全量に対して、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.1~5質量%であり、さらに好ましくは0.1~3質量%である。 ・・・ [0097] 吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際には、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いてもよい。該親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アルコキシポリエチレングリコール等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径等にもよるが、表面架橋処理が施される吸水性樹脂前駆体100質量%に対して20質量%以下が好ましく、0.1~10質量%の範囲内がより好ましい。」 (エ)「[0164] [実施例1] 中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム33質量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)3.92gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を取り付けて形成した反応器に、上記の反応液を供給し、反応液を25℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。 [0165] 続いて、反応液を撹拌しながら、重合開始剤としての過硫酸ナトリウム2.4gおよびL-アスコルビン酸0.012gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、25~95℃で重合を行い、重合を開始してから40分後に反応を終了して、約1~5mmに細分化された含水ゲル状架橋重合体(1)を得た。この細分化された含水ゲル状架橋重合体(1)をJIS-300μm網上に広げ、170℃で70分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕後、分級し、不定形破砕状のポリアクリル酸塩系の吸水性樹脂前駆体(1)を得た。 [0166] 得られた吸水性樹脂前駆体(1)100質量部に、プロピレングリコール0.33質量部と、1,4-ブタンジオール0.21質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部と、水1質量部とからなる表面架橋剤水溶液を混合した。前記混合物をオイルバス温度203℃で30分間加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂前駆体(1)を得た。 [0167] 得られた表面架橋吸水性樹脂前駆体(1)100質量部にプロピレングリコール0.22質量部、1,4-ブタンジオール0.14質量部、水4質量部とからなる表面架橋剤水溶液を混合した。この混合物をオイルバス温度203℃で35分加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂(1)を得た。 [0168] 得られた表面架橋吸水性樹脂(1)100質量部に、流動性付与剤である微粒子状の二酸化珪素(商品名・アエロジル(登録商標)200、日本アエロジル株式会社製)0.3質量部を添加混合して、吸水剤(1)を得た。」 (オ)「[0196] 表面架橋吸水性樹脂前駆体(1)にさらに表面架橋処理を行った実施例1と比較例1との対比、表面架橋吸水性樹脂前駆体(2)にさらに表面架橋処理を行った実施例2と比較例2との対比において、(b)撹拌水可溶性成分量と静置水可溶性成分量との差(撹拌水可溶性成分量-静置水可溶性成分量)が15~50質量%、(c)拡散吸収指数が1.40~10g/g/minである吸水剤(1)、(2)は長時間吸収量が275gであり、良好なおむつを提供する。」 カ 甲12に記載された事項 (ア)「【請求項1】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、吸収性樹脂粒子の内部に疎水性物質(C)の一部又は全部を含有し、(C)の含有量が、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.001~5.0重量%であり、吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)が400~650であり、吸収性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)が0.56~0.62であり、(A1)のDW(Demand Wettability)法による1分後の吸収量(M1)が14~19ml/gであり、2分後の吸収量(M2)が26~33ml/gであり、5分後の吸収量(M3)が42~50ml/gであり、10分後の吸収量(M4)が52~59ml/gである吸収性樹脂粒子。」 (イ)「【0116】 本発明の吸収性樹脂粒子のDW法による吸収量(M)(ml/g)は、吸収性物品の耐モレ性の観点から、1分後の吸収量(M1)は14~19が好ましく、さらに好ましくは15~18、特に好ましくは16~17である。2分後の吸収量(M2)は26~33が好ましく、さらに好ましくは27~32、特に好ましくは28~31である。5分後の吸収量(M3)は42~50が好ましく、さらに好ましくは43~49、特に好ましくは44~48である。10分後の吸収量(M4)は52~59が好ましく、さらに好ましくは53~58、特に好ましくは54~57である。この範囲であると吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好になる。DW法による吸収量は、疎水性物質(C)の含有量、吸収性樹脂粒子の見掛け密度、吸収性樹脂粒子の重量平均粒径、材料粒子(D)の体積平均粒径及び含有量等を前記好ましい範囲に調整することで、DW法による吸収量を好ましい範囲に調整できる。また、吸収性樹脂粒子の製造方法としては、架橋重合体(A1)の含水ゲルと材料粒子(D)との混合・混練する製造方法が、DWを好ましい範囲に調整できる観点から好ましい。」 (ウ)「【0126】 なお、荷重下吸収量は以下のようにして測定される。<吸収性樹脂粒子の荷重下吸収量の測定法> 目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、250~500μmの粒子径にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:310.6g、外径:24.5mm、)を乗せる。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(W1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置する。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾け、垂れた水滴を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(W2)を計量し、次式から荷重下吸収量を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。 【0127】 荷重下吸収量(g/g)={(W2)-(W1)}/0.16」 キ 甲13に記載された事項(証拠における引用箇所と対応する異議申立人より提出された訳文のみ記載する。) (ア)「3頁3~15行」 (【請求項1】 少なくとも一部が中和された酸基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の第1架橋重合体を含むベース樹脂粉末;及び前記ベース樹脂粉末状に形成されていて、前記第1架橋重合体が表面架橋剤を媒介で追加架橋された第2架橋重合体を含んだ表面架橋層を含む高吸収性樹脂として、平均粒径が300μmないし600μmで、CRCが28g/g以上で、0.9psi AULが18g/g以上で、10分でのWAULが15g/g以上で、生理食塩水に対するゲルベッド透過率(GBP)が30darcy以上で、5分のGel-Vacuum AULが18g/g以上で、ボルテックス時間が50秒以下の、高吸収性数だ。) (イ)「[122]」 (【122】また、本発明による高吸収性樹脂は、5分のGel-Vacuum AULが18g/g以上に優秀だ。前記5分のGel-Vacuum AULは下記算式5と一緒に算出することができる:) (ウ)「[130]、[0132]」 (【0130】具体的に、約0.3psiの加圧下で高吸収性樹脂に5分にわたって生理食塩水を吸収させる。そして、高吸収性樹脂に吸収されない残余液体を真空下に除去する。この時、高吸収性数だ粒子の間に吸収されない残余液体は除去されて、高吸収性樹脂に吸収された液体は真空下に除去されない。このような5分のGel-Vacuum AUL測定方法によると、既存の加圧吸収能測定方法とは違い高吸収性数だ粒子の間に存在することができる残余液体が測定値に影響を及ぼさなくてより明確に高吸収性樹脂の加圧吸収能を評価することができる。 【0132】また、前記5分のGel-Vacuum AULはその値が高いほど優れたことなのでその上限に制限はないが、25g/g以下、または24g/g以下のことがある。) ク 甲14に記載された事項 (ア)「【請求項1】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須成分としてなる架橋重合体(A1)と疎水性化合物(C)とを含む吸水性樹脂粒子であって、吸水性樹脂粒子は、疎水性化合物(C)で表面処理されており、かつ塩基性化合物(D)で表面中和されており、生理食塩水の遠心保持容量が27~40g/g、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上、かつ0.3psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が1darcies以上である吸水性樹脂粒子。」 (イ)「【0120】 <実施例1> 水溶性ビニルモノマー(a1-1)(アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%)135部、架橋剤(b1)(ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソー株式会社製)0.44部及び脱イオン水363部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。 ・・・ 【0141】 【表1】 [図:0001414148000005.jpg] 」 ケ 甲15に記載された事項 (ア)「[請求項1] 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子(B)を、炭素数4以下の多価アルコール(c)、多価金属塩(d)及び多価グリシジル化合物(e)を用いて以下の方法[I]~[III]のいずれかで表面処理することを特徴とする水性液体吸収性樹脂粒子(P)の製造方法; 方法[I]: 炭素数4以下の多価アルコール(c)、多価金属塩(d)、多価グリシジル化合物(e)及び水を含有する混合液(W1)を用いて樹脂粒子(B)を表面処理する方法; 方法[II]: 炭素数4以下の多価アルコール(c)、多価グリシジル化合物(e)及び水を含有し、多価金属塩(d)を含有しない混合液(W2)と、炭素数4以下の多価アルコール(c)、多価金属塩(d)及び水を含有し、多価グリシジル化合物(e)を含有しない混合液(W3)とを用いて樹脂粒子(B)を表面処理する方法であって、以下の(1)~(3)の工程のいずれかを含む方法: (1)混合液(W2)で樹脂粒子(B)を表面処理した後、加熱処理を行い又は加熱処理を行わずに、混合液(W3)で更に表面処理する工程; (2)混合液(W3)で樹脂粒子(B)を表面処理した後、加熱処理を行い又は加熱処理を行わずに、混合液(W2)で更に表面処理する工程; (3)混合液(W2)と混合液(W3)で同時に表面処理する工程;方法[III]: 炭素数4以下の多価アルコール(c)、多価グリシジル化合物(e)及び水を含有し、多価金属塩(d)を含有しない混合液(W2)と、多価金属塩(d)及び水を含有し、炭素数4以下の多価アルコール(c)及び多価グリシジル化合物(e)を含有しない混合液(W4)とを用いて樹脂粒子(B)を表面処理する方法であって、以下の(4)~(6)の工程のいずれかを含む方法: (4)混合液(W2)で樹脂粒子(B)を表面処理した後、加熱処理を行わずに混合液(W4)で更に表面処理する工程; (5)混合液(W4)で樹脂粒子(B)を表面処理した後、加熱処理を行い又は加熱処理を行わずに、混合液(W2)で更に表面処理する工程; (6)混合液(W2)と混合液(W4)で同時に表面処理する工程。」 (イ)[0086]<実施例2> 実施例1と同様にして得られた樹脂粒子(B-1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに炭素数4以下の多価アルコール(c)としてのプロピレングリコール0.6部、多価グリシジル化合物(e)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.09部及び水1.1部の混合液と、炭素数4以下の多価アルコール(c)としてのプロピレングリコール0.5部、多価金属塩(d)としての硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物1.2部及び水2.3部を混合した混合液を同時に添加し、均一混合した後、130℃で30分間加熱して、本発明の水性液体吸収性樹脂粒子(P-2)を得た。 ・・・ [0096] [表1] [図:0001414148000006.jpg] 」 コ 甲16に記載された事項 (ア)「【請求項1】 ベース樹脂粒子を表面架橋させた表面架橋重合体粒子、および水可溶成分を含む高吸水性樹脂であって、前記ベース樹脂は水溶性エチレン系不飽和単量体を含む単量体組成物から重合されたものであり、 前記水可溶成分は、前記高吸水性樹脂を0.9%NaCl溶液で1時間にかけて自由膨潤させた後に測定した時、高吸水性樹脂の全体重量に対して5重量%以下で存在し、 下記式1で計算される透過率が50秒以下である高吸水性樹脂。 [式1] 透過率(秒)=TS-T0 (Ts(単位:秒)は、0.2gの高吸水性樹脂粉末を0.9%塩水(NaCl)溶液で30分間膨潤させて塩水-吸収高吸水性樹脂を準備し、0.3psiの圧力下で0.9%の塩水溶液が前記塩水-吸収高吸水性樹脂を透過するのにかかる時間を意味し、 T0(単位:秒)は、前記塩水-吸収高吸水性樹脂なしに0.3psiの圧力下で0.9%の塩水溶液が透過するのにかかる時間を意味する。)」 (イ)「【0101】 <実施例> [実施例1] アクリル酸(水溶性エチレン系不飽和単量体)100重量部、NaOH30重量部、potassium igacure 651(光重合開始剤)0.03重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(架橋剤)0.5重量部、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(架橋剤)0.1重量部、および溶媒の水110重量具を含む単量体組成物を準備した。アクリル酸以外の他の成分の含量は前記アクリル酸100重量部に対する重量部で定義した。前記単量体組成物を10cmの幅、2mの長さを有し、50cm/minの速度で回転するコンベヤーベルト上に、500mL/min~2,000mL/minの供給速度で供給した。 【0102】 前記単量体組成物を供給する間に、10mW/cm2の強さを有する紫外線を照射して、60秒間重合反応を進行した。重合反応の進行後、結果物をミートチョッパー(meat chopper)で切断し、コンベクションオーブン(convection oven)を用いて160℃で5時間乾燥した。以降、粉砕、分級して粒径が150~850μm範囲である重合体を得た。 【0103】 前記重合体100重量部に対してエチレンカーボネート0.4重量部、メタノール5重量部、水4重量部を混合してコンベクションオーブンを用いて190℃で40分間表面処理反応を行うことによって高吸水性樹脂を製造した。 ・・・ 【0125】 【表1】 [図:0001414148000007.jpg] ・・・ 【0127】 【表2】 [図:0001414148000008.jpg] 」 サ 甲17に記載された事項 (ア)「【請求項1】(メタ)アクリル酸(塩)を主構成単位としてなりフラクタル次数が1.8以下である架橋重合体(A)と、表面改質剤(B)とからなることを特徴とする吸水性重合体。」 (イ)「【0050】さらに、架橋重合体(A)は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。(A)の粒子の表面近傍を表面架橋剤で架橋処理すると、吸水速度がさらに向上し、かつ加圧下の吸水量もさらに大きくなるので好適である。表面架橋処理をする場合、表面架橋処理後の架橋重合体(A)と区別して説明するために、以下、表面架橋処理前の重合体を表面架橋前重合体(A’)とする。 ・・・ 【0054】この表面架橋処理を行う方法としては、従来公知の方法が適用でき、例えば、表面架橋剤、水及び有機溶媒からなる混合溶液を表面架橋前重合体(A’)又は含水樹脂(WA)と混合し、加熱反応させる方法等が挙げられる。表面架橋処理のときに使用する水の量(重量%)は、表面架橋剤の表面架橋前重合体(A’)内部への浸透を適度にする観点から、表面架橋前重合体(A’)の重量に基づいて、1~10が好ましく、さらに好ましくは1~8、特に好ましくは2~7である。すなわち、表面架橋処理のときに使用する水の量(重量%)は、表面架橋前重合体(A’)の重量に基づいて、1以上が好ましく、特に好ましくは2以上であり、また10以下が好ましく、さらに好ましくは8以下、特に好ましくは7以下である。 ・・・ 【0056】・・・表面架橋剤で表面架橋して得られる架橋重合体(A)又はこれと水とからなる含水樹脂を、これに使用したと同種の表面架橋剤又はこれと異種の表面架橋剤で追加の表面架橋を施すこともできる。」 シ 甲18に記載された事項 (ア)「【請求項1】 カルボキシル基を有する吸水性樹脂粒子(A)を、該カルボキシル基と反応し得る架橋剤で処理し、反応させて、表面近傍が架橋された吸水剤を製造する方法において、 (1)(当審注:原文は、丸囲みの数字、以下の(2)~(5)についても同様。)該吸水性樹脂粒子(A)としてカルボキシル基の中和度が60~90モル%のものを用い、 (2)架橋反応の溶媒として比誘電率25以上の多価アルコール系有機溶剤(B)を含む有機溶剤と水との混合溶媒であって、(B)と水との合計に対する水の比率が質量基準で40~80%となる混合溶媒を用い、 (3)架橋剤としてポリグリシジル化合物(C)を使用し、 (4)(A)に対する水の量を1~8質量%にコントロールし、 (5)該混合溶媒の存在下、且つ(B)がカルボキシル基と架橋反応を起こさない温度条件下、(A)と(C)の架橋反応を行うことを特徴とする吸水剤の製造方法。」 (イ)「【0007】上記の吸水性樹脂粒子(A)は、通常、重合時に架橋剤を使用して架橋された親水性架橋重合体である。重合時の架橋剤としては、重合性単量体(例えば、アクリル酸、アクリル酸ナトリウムなど)と共重合可能な二重結合を少なくとも2個有する架橋剤、共重合可能な二重結合とカルボキシル基と反応可能な官能基とを有する架橋剤、カルボキシル基と反応可能な官能基を少なくとも2個有する架橋剤の何れもが使用可能である。好ましくは、共重合可能な二重結合を少なくとも2個有する架橋剤である。更に好ましくは、少なくとも2個のアリルエーテル基を含有する架橋剤である。・・・吸水性樹脂粒子(A)の含水率については特に制限されないが、通常10%以下、好ましくは8%以下である。含水率が10%を越える場合は、架橋剤が内部まで浸透しやすくなり、無荷重下の吸収量を著しく低下させる場合があるため好ましくない。 【0008】本発明の実施、および本発明の効果を発現させるには、架橋反応時の溶媒の組成が重要な要件の一つである。この溶媒は水と有機溶剤からなる混合溶媒であるが、有機溶剤として比誘電率が25以上の多価アルコール系有機溶剤(B)を少なくとも1種含むことを必須とする。好ましくは、比誘電率が30~90の範囲である。該物性を有する混合溶媒は、架橋剤(C)を吸水性樹脂粒子(A)に混合する際に、ダマの発生等により架橋剤の分布が不均一となることを防止するのみでなく、架橋剤(C)の(A)内部への浸透をコントロールし、且つ(A)の表面近傍の架橋密度の分布を制御する働きをしているものと考えられる。同時に、比誘電率が25以上の多価アルコールは、グリシジル基とカルボキシル基との反応率を高める作用もあることから、効率的な架橋反応が実現できる。これらの相乗効果により、高荷重下においても高い吸収性能を発揮し、無荷重下の吸収性能も高いレベルを維持させることができるものと考えられる。ここで比誘電率とは、コンデンサーの真空の場合の静電容量をC0、試料物質を挿入した場合の静電容量をCとした時のC/C0の値である。比誘電率が25以上の多価アルコール系有機溶剤(B)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール類、グリセリン等が例として挙げられる。尚、混合後の比誘電率が25以上であれば、(B)以外の有機溶剤を任意に混合使用することも可能である。 ・・・ 【0012】本発明において、架橋剤(C)の(A)内部への浸透度合い(浸透深さ)、および(A)と(C)との反応性を調節するために、(A)に対する水の添加量をコントロールすることが重要である。水の添加量は、目的とする吸水剤の目標性能により種々変化させることができるが、高荷重下での吸収性能を向上させるには、(A)に対して1~8質量%にコントロールするのが好ましい。さらに好ましくは、2~6質量%である。(A)に対する水の添加量は、水と(B)との比率、および混合溶媒の添加量によってコントロールすることができる。水の量が1質量%未満の場合、(C)の(A)内部への浸透が不十分となるとともに、(A)と(C)の反応の場も乏しくなることから、高荷重下での吸収量の高い吸水剤が得られない。一方、水の量が8質量%を越えると、(C)が(A)の内部深くにまで浸透して架橋されてしまい、無荷重下での吸収量、高荷重下での吸収量ともに低下する結果となる。尚、吸水性樹脂は通常数パーセントの水分を含有しているが、本発明において構成要件とする水はかかる吸水性樹脂が内部に均一に包含している組成としての水を意味するものではなく、架橋処理の際に添加する水を意味する。」 (ウ)「【0023】<無荷重下吸収量>250メッシュのナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に吸水剤1gを入れ、生理食塩水(濃度0.9%)中に60分間浸漬した後、15分間吊るして水切りしてから増加質量を測定する。 <低荷重下吸収量>250メッシュのナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に吸水剤0.1gを入れて均一に均し、この吸水剤の上に20g/cm2の荷重となるように外径30mmの分銅を乗せる。生理食塩水60mlの入ったシャーレー(直径:12cm)の中に吸水剤の入ったプラスチックチューブをナイロン網側を下面にして浸し、放置する。吸水剤が生理食塩水を吸収して増加した質量を60分後に測定し、その値の10倍値を高荷重下吸収量とした。 <高荷重下吸収量>250メッシュのナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に吸水剤0.1gを入れて均一に均し、この吸水剤の上に60g/cm2の荷重となるように外径30mmの分銅を乗せる。生理食塩水60mlの入ったシャーレー(直径:12cm)の中に吸水剤の入ったプラスチックチューブをナイロン網側を下面にして浸し、放置する。吸水剤が生理食塩水を吸収して増加した質量を60分後に測定し、その値の10倍値を高荷重下吸収量とした。 <吸水後のドライ感>生理食塩水に対する無荷重下吸収量を測定した後の吸水ゲルを、密封条件下、40℃で1時間静置した後、手のひらで軽く押さえ、そのドライ感を以下の基準の4段階で評価した。 ◎:ドライ感良好 ○:◎よりやや劣るが、実用上満足できる程度のドライ感 △:ドライ感が乏しく、若干ベトツキを感じる ×:ベトツキ感が大きい」 ス 甲20に記載された事項 (ア)「 [図:0001414148000009.jpg] 」 (イ)「 [図:0001414148000010.jpg] 」 (2)甲1、甲2、甲10に記載された発明 ア 甲1に記載された発明 甲1の上記(1)ア(ア)には、請求項1を引用する請求項13として、「吸水性樹脂粒子の製造方法」が記載されているところ、同(カ)には、実施例1として、その具体的態様が記載されている。 実施例1の吸水性樹脂粒子の製造方法について、下線を付した箇所をまとめると、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「アクリル酸135部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部、亜硫酸水素ナトリウム0.02部及び脱イオン水363部を撹拌・混合し、この混合物中に1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させ、含水ゲル(1)を得、得られた含水ゲル(1)全量をミンチ機で細断し細断ゲルを得、さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(140℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得、乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整して、水分量が6%の樹脂粒子(B1)を得、得られた樹脂粒子(B1)100部を高速撹拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、吸水性樹脂粒子(1)を得る、吸水性樹脂粒子の製造方法。」 イ 甲2に記載された発明 甲2の上記(1)イ(ア)によれば、甲2は、「吸収剤組成物」について記載されているところ、その具体的な態様である同(オ)の〔実施例5〕には、「吸収剤組成物」を形成する吸水性樹脂の製造方法が記載されているといえるから、甲2には、〔実施例5〕において下線部を付した箇所をまとめた以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「中和率65モル%のアクリル酸ナトリウム30重量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数:8モル)18.49gを溶解させて反応液とし、反応液を攪拌しながら、過硫酸アンモニウム2.3gおよびL-アスコルビン酸0.12gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始し、重合を開始してから60分後に反応を終了して含水ゲル状重合体を取り出し、得られた含水ゲル状重合体を、熱風乾燥し、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体を得、得られた吸水性樹脂前駆体100重量部に、第一表面架橋剤としてのグリセリン0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部と、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤溶液を混合し、加熱処理することにより、吸水性樹脂を得、得られた吸水性樹脂の平均粒子径は360μmであり、粒子径が106μm未満の粒子の割合は5重量%であり、得られた吸水性樹脂100重量部に、さらに、第一表面架橋剤としてのグリセリン0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部と、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤溶液を混合し、混合物を熱処理することにより、表面架橋が2回施された吸水性樹脂の製造方法。」 ウ 甲10に記載された発明 甲10の上記(1)オ(ア)の[8]によれば、甲10には、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂を主成分とする「粒子状吸水剤の製造方法」について記載されているところ、その具体的な態様である同(エ)の[実施例1]には、この「ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂」の製造方法」が記載されているといえるから、甲2には、[実施例1]における下線部を付した箇所をまとめた以下の発明(以下、「甲10発明」という。)が記載されているといえる。 「中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム33質量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)3.92gを溶解させて反応液とし、反応液を撹拌しながら、重合開始剤としての過硫酸ナトリウム2.4gおよびL-アスコルビン酸0.012gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始し、重合を開始してから40分後に反応を終了し、含水ゲル状架橋重合体(1)を得、この細分化された含水ゲル状架橋重合体(1)を熱風乾燥し、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕後、分級し、不定形破砕状のポリアクリル酸塩系の吸水性樹脂前駆体(1)を得、得られた吸水性樹脂前駆体(1)100質量部に、プロピレングリコール0.33質量部と、1,4-ブタンジオール0.21質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部と、水1質量部とからなる表面架橋剤水溶液を混合し、加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂前駆体(1)を得、得られた表面架橋吸水性樹脂前駆体(1)100質量部にプロピレングリコール0.22質量部、1,4-ブタンジオール0.14質量部、水4質量部とからなる表面架橋剤水溶液を混合し、この混合物を加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂(1)を得る、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂の製造方法。」 (3)甲1を主引用例として(申立理由1-1) ア 本件発明11について (ア)対比 本件発明11と甲1発明を対比する。 a 甲1発明の「アクリル酸」は、甲1の上記(1)ア(ウ)の[0012]の「水溶性ビニルモノマー(a1)としては、好ましくはアニオン性ビニルモノマー、より好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマーである。これらのなかでは、より好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。」との記載によれば、「水溶性ビニルモノマー」であるから、本件発明11の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)」に相当すると共に、「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であ」る「水溶性ビニルモノマー(a1)」に相当する。 b 甲1発明の「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル」は、甲1の上記(1)ア(エ)の[0018]の「内部架橋剤(b)としては特に限定はなく・・・の架橋剤が使用できる。これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく・・・最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。」との記載によれば、「内部架橋剤」にであると共に、「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤」であるから、本件発明11の「内部架橋剤(b)」に相当すると共に、「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であ」る「内部架橋剤(b)」に相当する。 また、甲1発明における、「アクリル酸」及び「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル」は、「単量体組成物」を形成し、共に「ビニルモノマー」である。そして、「ビニルモノマー」中の「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル」の含有量は、0.5重量%(0.68部×100/(135部+0.68部))であるから、甲1発明での、単量体組成物における「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル」の含有量は、本件発明11の「単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であ」るとの条件を満足する。 c 甲1発明の「エチレングリコールジグリシジルエーテル」は、甲1の上記(1)ア(オ)の[0043]の「表面架橋剤(d)としては、公知のもの(特開昭59-189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネート等)が使用できる。これらの表面架橋剤(d)のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物が好ましく、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。」との記載によれば、「表面架橋剤」であると共に「多価グリシジル化合物」であるから、本件発明11の「多価グリシジル化合物であ」る「表面架橋剤(c)」に相当する。 また、甲1発明において、「アクリル酸」及び「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル」は、「ビニルモノマー単位」を形成しているといえるところ、この「ビニルモノマー単位」から形成される水分量が6%の「樹脂粒子(B1)」100重量部に対して、表面架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部が用いられるから、甲1発明において、「エチレングリコールジグリシジルエーテル」の使用量は、0.085重量%(100×0.02×4部/(100部×0.94)であり、本件発明11の「表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である」との条件を満足する。 d 甲1発明の「樹脂粒子(B1)」は、本件発明11の「表面架橋工程前の架橋重合体(A)」に相当するものであるところ、甲1発明において、エチレングリコールジグリシジルエーテルにより表面架橋が行われる前の「樹脂粒子(B1)」の水分量は6%であるから、甲1発明の「樹脂粒子(B1)」の含水率は、本件発明11の「表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率が5~15重量%であり」との条件を満足する。 e 甲1発明の「アクリル酸135部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部、亜硫酸水素ナトリウム0.02部及び脱イオン水363部を撹拌・混合し、この混合物中に1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合」して「得られた樹脂粒子(B1)100部を高速撹拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、吸水性樹脂粒子(1)を得る、吸水性樹脂粒子の製造方法」は、本件発明11の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有」し、「前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造され」「る吸水性樹脂粒子の製造方法」に相当する。 f 上記a~eによれば、本件発明11と甲1発明は、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、水溶性ビニルモノマー(a1)は、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であり、内部架橋剤(b)は、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であり、単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であり、表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率が5~15重量%である製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物である、製造方法。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。 <相違点1> 表面架橋工程について、本件発明11では、多価グリシジル化合物による表面架橋工程を2回以上実施し、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であるのに対し、甲1発明では、多価グリシジル化合物による表面架橋工程を1回行う点。 <相違点2> 表面架橋工程について、本件発明11では、希釈剤として多価アルコールを使用するのに対し、甲1発明では、希釈剤として多価アルコールを使用していない点。 (イ)相違点に対する判断 上記相違点1について検討する。 甲1発明は、甲1の上記(1)ア(イ)の[0007]の記載によれば、吸水性能を低下させることなく、吸収速度及び膨潤ゲル間の通液性の両立が可能な吸水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することを課題とするものであるところ、この課題を解決するため吸水性樹脂粒子の製造方法としては、同(イ)の[0008]の「第一の本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とpKa4.5~10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有し、水可溶分が20重量%以下である吸水性樹脂粒子・・・である。 第二の本発明は、第一の本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)とpKa4.5~10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3~8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する製造方法である。」との記載によれば、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とpKa4.5~10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3~8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する製造方法とすることにより解決するものであり、同(オ)の[0060]の「上記本発明の製造方法においては、表面架橋工程前に、架橋重合体(A)と無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)の水分量を3~8重量%に調整する工程を有することができる。適当な水分量を有する樹脂粒子を無機酸(c)の存在下で表面架橋することで、高い吸水特性を示す吸水性樹脂粒子をえることができる。」との記載によれば、甲2発明では、表面架橋工程前に、架橋重合体(A)に無機酸(c)を添加すること、及び無機酸が添加された樹脂粒子(B)の水分量に着目するもので、表面架橋については、同(オ)の[0055]、[0056]に「表面架橋する工程は、樹脂粒子(B)と表面架橋剤(d)とを混合し、更に加熱することで行うことができ、公知(たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報及び特開2005-95759号公報に記載の表面架橋処理方法)の方法で行うことができる。 表面架橋する工程として好ましい方法としては、樹脂粒子(B)を撹拌しながら、表面架橋剤(d)の水溶液を樹脂粒子(B)の表面に噴霧し、その後撹拌した状態または静置した状態で100~200℃(好ましくは120℃~160℃)に加熱する方法が挙げられる。」と記載される程度で、何ら、表面架橋工程について、多価グリシジル化合物による表面架橋工程後に、再度、多価グリシジル化合物による表面架橋工程を行う動機付けを読み取ることはできない。 また、甲1発明の認定の基礎となった実施例1により得られた吸水性樹脂粒子は、同(キ)の[表1]にGBP(0psi膨潤圧力)、吸収速度(T1)、吸収速度(Vortex)等の特性値が記載されるものであって、同(キ)の[0129]に「表1、2から、本発明における吸水性樹脂粒子は・・・0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下であった。そして、比較例の樹脂粒子に比べて・・・膨潤ゲル間の通液性(GBP)において有意に優れていた。」とあるとおり、既に、甲1発明の課題を解決するものであるから、これらの良好な特性が変化する可能性を冒してまで、あえて表面架橋工程を変更する動機付けが、甲1発明にあるとはいえない。 ましてや、表面架橋工程を2回とし、さらに、2回目の表面架橋剤を多価グリシジル化合物とした上で、表面架橋剤のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤の使用量に対する比を0.5~0.9とすることは、当業者が容易に想到し得る事項であるとはいえない。 さらに、同(オ)の[0055]で引用されている、甲17である特開2003-165883号公報に、甲17の上記(1)サ(イ)の【0056】にあるように、吸水性重合体における表面架橋において「追加の表面架橋を施すこと」、すなわち、複数回の表面架橋を行うことは知られているが、1回目及び2回目の表面架橋剤を多価グリシジル化合物とした上で、表面架橋剤のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤の使用量に対する比を0.5~0.9とすることを、甲17は、教示するものではない。 他の甲3、9、12~15、18、20も上記相違点1に係る本件発明11の構成を教示するものではない。 なお、本件発明11では、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用するところ、甲10発明で表面架橋に用いている、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールは、多価アルコールであるから、仮にこれらを希釈剤として考えた場合、1回目の表面架橋における表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテルのみになるものの、2回目の表面架橋の際に、表面架橋剤が存在しないことになるから、甲10発明において、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを希釈剤とすることはできない。 (ウ)小括 以上のとおり、上記相違点1に係る本件発明11の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1発明及び甲3、9、12~15、17、18、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明13~15について 本件発明13~15は、本件発明11を引用し、これを、さらに限定するものであるところ、本件発明11が、甲1発明及び甲3、9、12~15、17、18、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明13~15も同様に、甲2発明及び甲3、9、12~15、17、18、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)甲2を主引用例として(申立理由1-2、申立理由2-2) ア 本件発明11について (ア)対比 本件発明11と甲2発明を対比する。 a 甲2発明の「中和率65モル%のアクリル酸ナトリウム」は、本件発明11の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)」に相当すると共に、「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であ」る「水溶性ビニルモノマー(a1)」に相当する。 b 甲2発明の「内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート」は、分子内にエチレン性不飽和基を2個有する架橋剤であるから、本件発明11の「内部架橋剤(b)」に相当すると共に、「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であ」る「内部架橋剤(b)」に相当する。 また、甲1発明における、「中和率65モル%のアクリル酸ナトリウム」及び「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、「単量体組成物」を形成し、共に「ビニルモノマー」である。そして、「ビニルモノマー」中の「ポリエチレングリコールジアクリレート」の含有量は、1.11重量%(100×18.49g/(30重量%×5500g+18.49g))である。 c 甲2発明の2回施される内の1回目の表面架橋で用いられる「第一表面架橋剤としてのグリセリン0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部」、2回目の表面架橋で用いられる「第一表面架橋剤としてのグリセリン0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部」は、本件発明11の「表面架橋剤」であると共に、甲2発明の「エチレングリコールジグリシジルエーテル」は、「多価グリシジル化合物」であるから、甲2発明の表面架橋剤は、本件発明11の「多価グリシジル化合物であ」る「表面架橋剤(c)」と、「多価グリシジル化合物を含む表面架橋剤」の点では、共通している。 d 甲2発明は、「中和率65モル%のアクリル酸ナトリウム」と、「内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数:8モル)を」含む単量体組成物の「吸水性樹脂前駆体」を、「表面架橋剤」で表面架橋を「2回施」すものであると共に、「中和率65モル%のアクリル酸ナトリウム30重量%水溶液」とあるとおり、アクリル酸ナトリウムの重合は、水溶液中で行われるものであるから、甲2発明は、本件発明11における「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法」に相当する構成を有しているといえる。 e 上記a~dによれば、本件発明11と甲2発明は、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、水溶性ビニルモノマー(a1)は、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であり、内部架橋剤(b)は、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤である吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物を含む、製造方法。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。 <相違点3> 架橋重合体(A)での単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量において、本件発明11では、ビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であるのに対し、甲2発明では、1.11重量%である点。 <相違点4> 表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率について、本件発明11では、5~15重量%であるのに対し、甲2発明では、含水率が不明な点。 <相違点5> 表面架橋剤(c)及び2回の表面架橋工程における条件について、本件発明11では、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物「であり」、(多価グリシジル化合物である表面架橋剤(c)に関する条件が)「表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であり、表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である」のに対し、甲2発明では、1回目の表面架橋における表面架橋剤が、「第一表面架橋剤としてのグリセリン0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部」であり、2回目の表面架橋における表面架橋剤が、「第一表面架橋剤としてのグリセリン0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部」である点。 <相違点6> 表面架橋工程における条件について、本件発明11では、希釈剤として多価アルコールを使用しているのに対し、甲2発明では、多価アルコールは使用していない点。 (イ)相違点に対する判断 事案にかんがみ、上記相違点5について検討する。 まず、上記相違点5が、実質的な相違点であることは明らかである。 甲2の上記(1)イ(イ)の【0011】の「上記拡散吸収指数に優れた吸収剤組成物が、吸収体や吸収物品における吸水性樹脂の重量%が高い場合においても、一度に添加された多量の水性液体を素早く吸収することができ、かつ、常時、非常に高い液拡散性を維持すると共に、吸収体や吸収物品の単位重量当たりの吸収量を保持する等の優れた性能(吸収特性)を示すことを見い出した。」との記載によれば、甲2発明は、拡散吸収指数に優れた吸収剤組成物を指向するものである。 そして、同(エ)の【0038】の「本発明に用いられる、20g/cm2の荷重下における、吸収開始から60分経過後の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸水性樹脂は、上記の吸水性樹脂前駆体を、特定の表面架橋剤の存在下に処理し、表面架橋することによって得ることができる。吸水性樹脂を得る方法としては、具体的には、・・・第一表面架橋剤および第二表面架橋剤を組み合わせてなる表面架橋剤(後述する)の存在下で加熱処理する方法(特願平7-145012号)等が挙げられる。上記の方法により、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を内部よりも高くすることができるので、拡散吸収倍率に優れた吸水性樹脂を得ることができる。」との記載によれば、甲2発明では、拡散吸収倍率(拡散吸収指数)に優れた吸水性樹脂を得るために、特定の表面架橋剤、すなわち、第一表面架橋剤および第二表面架橋剤を用いており、さらに、同(エ)の【0040】には、「第一表面架橋剤は、吸水性樹脂前駆体が有するカルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm3)1/2以上の化合物が好まし」いこと、同(エ)の【0041】には、「第二表面架橋剤は、吸水性樹脂前駆体が有するカルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm3)1/2未満の化合物が好まし」いことが記載され、同(エ)の【0042】には、「吸水性樹脂前駆体の固形分100重量部に対して、第一表面架橋剤の使用量が0.01重量部~5重量部の範囲内、かつ、第二表面架橋剤の使用量が0.001重量部~1重量部の範囲内が好ましく」「表面架橋剤の使用量が上記範囲を越える場合には、不経済となるばかりか、吸水性樹脂における最適な架橋構造を形成する上で、表面架橋剤の量が過剰となるため、好ましくない。また、表面架橋剤の使用量が上記範囲よりも少ない場合には、吸水性樹脂における拡散吸収倍率等の性能を向上させる上で、その改良効果が得られ難いため、好ましくない。」ことが記載され、これらの記載によれば、甲2発明の指向する拡散吸収指数に優れた「吸水性樹脂」を得るには、第一表面架橋剤および第二表面架橋剤をそれぞれ、特定の含有量で用いることが必要であるといえる。 ここで、上記相違点5に係る本件発明11の構成を想到するには、甲2発明において、1回目の表面架橋に用いている、第二表面架橋剤のエチレングリコールジグリシジルエーテルに対して多量に使用している第一表面架橋剤のグリセリンを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更すると共に、2回目の表面架橋に用いている、第二表面架橋剤のエチレングリコールジグリシジルエーテルに対して多量に使用している第一表面架橋剤のグリセリンを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更しなければならない。 しかしながら、上述のように、甲2発明では、甲2発明で指向している拡散吸収指数(倍率)の向上のために、表面架橋において、溶解度パラメータ(SP値)が互いに異なる第一表面架橋剤と第二表面架橋剤をそれぞれ所定の量で用いているのであるから、甲2発明において、1回目の表面架橋及び2回目の表面架橋において、第二表面架橋剤のエチレングリコールジグリシジルエーテルに対して多量に使用している第一表面架橋剤のグリセリンを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更することには、阻害要因があるというべきである。 ましてや、1回目の表面架橋及び2回目の表面架橋において、第二表面架橋剤のエチレングリコールジグリシジルエーテルに対して多量に使用している第一表面架橋剤のグリセリンを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更した上で、表面架橋剤のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤の使用量に対する比を0.5~0.9とし、表面架橋剤の使用量を、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%とすることは、当業者が容易に想到し得る事項であるとはいえない。 また、甲2発明には、甲2発明の構成を、上記相違点5に係る本件発明11の構成に変更することに阻害要因があるのであるから、甲1、3、9、12~14、16、20に記載された事項の如何にかかわらず、上記相違点5に係る本件発明11の構成を、当業者が容易に想到し得るとはいえない。 (ウ)小括 以上のとおり、上記相違点5は、実質的な相違点であると共に、上記相違点5に係る本件発明11の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明11は、甲2発明ではないし、甲2発明及び甲1、3、9、12~14、16、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明13~15について 本件発明13~15は、本件発明11を引用し、これを、さらに限定するものであるところ、本件発明11が、甲2発明ではないし、甲2発明及び甲1、3、9、12~14、16、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明13~15も同様に、甲2発明ではないし、甲2発明及び甲1、3、9、12~14、16、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)甲10を主引用例として(申立理由1-3、申立理由2-3) ア 本件発明11について (ア)対比 本件発明11と甲10発明を対比する。 a 甲10発明の「中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム」は、本件発明11の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)」に相当すると共に、「アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であ」る「水溶性ビニルモノマー(a1)」に相当する。 b 甲10発明の「内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート」は、分子内にエチレン性不飽和基を2個有する架橋剤であるから、本件発明11の「内部架橋剤(b)」に相当すると共に、「エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であ」る「内部架橋剤(b)」に相当する。 また、甲10発明における、「アクリル酸ナトリウム」及び「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、「単量体組成物」を形成し、共に「ビニルモノマー」である。そして、甲10発明における「ビニルモノマー」中の「ポリエチレングリコールジアクリレート」の含有量は、0.216重量%(100×3.92g/(33質量%×5500g+3.92g))であるから、本件発明11の「単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%であ」るとの条件を満足している。 c 甲10発明の2回施される内の1回目の表面架橋で用いられる「プロピレングリコール0.33質量部と、1,4-ブタンジオール0.21質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部」、2回目の表面架橋で用いられる「プロピレングリコール0.22質量部、1,4-ブタンジオール0.14質量部」は、これを含むものが、「表面架橋剤水溶液」とされるように「表面架橋剤」であるといえるから、本件発明11の「表面架橋剤」に相当すると共に、甲10発明の「エチレングリコールジグリシジルエーテル」は、「多価グリシジル化合物」であるから、甲10発明の表面架橋剤は、本件発明11の「多価グリシジル化合物であ」る「表面架橋剤(c)」と、「多価グリシジル化合物を含む表面架橋剤」の点では、共通している。 d 甲10発明は、「中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム」と、「内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8モル)を」含む単量体組成物の「吸水性樹脂前駆体(1)」を、「表面架橋剤」で表面架橋を2回施すものであると共に、「中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム33質量%水溶液」とあるとおり、アクリル酸ナトリウムの重合は、水溶液中で行われるものであるから、甲10発明は、本件発明11における「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法」に相当する構成を有しているといえる。 e 上記a~dによれば、本件発明11と甲10発明は、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、水溶性ビニルモノマー(a1)は、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩であり、内部架橋剤(b)は、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤であり、単量体組成物における内部架橋剤(b)の含有量はビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05~0.7重量%である吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)は前記単量体組成物を水溶液重合することにより製造される、製造方法であって、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物を含む、製造方法。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。 <相違点7> 表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率について、本件発明11では、5~15重量%であるのに対し、甲10発明では、含水率が不明な点。 <相違点8> 表面架橋剤(c)及び2回の表面架橋工程における条件について、本件発明11では、表面架橋剤(c)は、多価グリシジル化合物「であり」、(多価グリシジル化合物である表面架橋剤(c)に関する条件が)「表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5~0.9であり、表面架橋剤(c)の使用量が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%である」のに対し、甲10発明では、1回目の表面架橋における表面架橋剤が、「プロピレングリコール0.33質量部と、1,4-ブタンジオール0.21質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部」であり、2回目の表面架橋における表面架橋剤が、「プロピレングリコール0.22質量部、1,4-ブタンジオール0.14質量部」である点。 <相違点9> 表面架橋工程における条件について、本件発明11では、希釈剤として多価アルコールを使用しているのに対し、甲10発明では、希釈剤として多価アルコールは使用していない点。 (イ)相違点に対する判断 事案にかんがみ、上記相違点8について検討する。 上記相違点8が、実質的な相違点であることは明らかである。 甲10発明は、甲10の上記(1)オ(イ)の[0014]の記載によれば、長時間の使用に耐えうるおむつを提供可能であり、かつ、使用後には容易に廃棄されうる吸水剤を安価に提供することを課題とするものであるところ、この課題を解決するため吸水性樹脂の製造方法として、甲10発明は、同(ウ)の[0082]の「本形態の製造方法によれば、上述したような表面架橋工程を複数回繰り返すことにより、架橋密度が内部より高くなっている表面架橋層を、ポリマー粒子の表面の広範囲に亘り適切な厚みで存在させることが可能となる。その結果、最終的に得られる吸水剤の長時間経過後の吸収倍率の低下が抑制され、戻り量が低減される。」との記載によれば、「最終的に得られる吸水剤の長時間経過後の吸収倍率の低下が抑制され、戻り量が低減される」ように「表面架橋工程を複数回繰り返すこと」、同(ウ)の[0086]の「本形態の製造方法においては、複数回の表面架橋工程のうち、任意の連続する2つの表面架橋工程において用いられる表面架橋剤水溶液における水の含有量は、2倍を超えて異なり、好ましくは2倍を超えて6倍以下、より好ましくは2.5~5.5倍、さらに好ましくは3~5.5倍、特に好ましくは3~5倍異なる。・・・このように処理液中の水の含有量が2倍を超えて異なると、厚みが薄くかつ密度が高い表面架橋層と厚みが厚くかつ密度が低い表面架橋層とを併せもった多層的な表面架橋層が形成され、これにより長時間経過後の吸収倍率の低下が抑制されると共にゲル層拡散性にも優れた吸水剤が得られるものと推定される。」との記載によれば、「処理液中の水の含有量が2倍を超えて異なると、厚みが薄くかつ密度が高い表面架橋層と厚みが厚くかつ密度が低い表面架橋層とを併せもった多層的な表面架橋層が形成され、これにより長時間経過後の吸収倍率の低下が抑制されると共にゲル層拡散性にも優れた吸水剤が得られる」ため、「複数回の表面架橋工程のうち、任意の連続する2つの表面架橋工程において用いられる表面架橋剤水溶液における水の含有量は、2倍を超えて異な」るものとすることに着目するものである。そして、甲10発明は、表面架橋剤については、同(ウ)の[0076]に「表面架橋剤としては、例えば、加熱による脱水反応または付加反応により吸水性樹脂前駆体の有するカルボキシル基と共有結合を形成する共有結合性架橋剤が挙げられる。具体的には、有機系表面架橋剤である(ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコール、(ジ、ポリ)プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、(ポリ)グリセリン、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジまたはトリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ジ、ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ジ、ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3-ジオキソラン-2-オン等のアルキレンカーボネート化合物が挙げられる。」とあるように、選択肢に多価グリシジル化合物である「(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ジ、ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ジ、ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物」は含まれるものの、特にこの化合物に着目するものではない。 ここで、上記相違点8に係る本件発明11の構成を想到するには、甲10発明において、1回目の表面架橋に用いている、エチレングリコールジグリシジルエーテルに対して多量に使用しているプロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更すると共に、エチレングリコールジグリシジルエーテルが用いられていない2回目の表面架橋に用いている、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更しなければならない。 しかしながら、上述のように、甲10発明は、課題を解決するために、何ら、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルに着目するものではないから、甲10発明には、1回目の表面架橋に用いている、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更すると共に、2回目の表面架橋に用いている、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更しようとする動機付けはない。 また、甲10発明の認定の基礎となった実施例1による吸水性樹脂を用いた吸収剤は、同(オ)の[0196]に、「表面架橋吸水性樹脂前駆体(1)にさらに表面架橋処理を行った実施例1と比較例1との対比・・・において、(b)撹拌水可溶性成分量と静置水可溶性成分量との差(撹拌水可溶性成分量-静置水可溶性成分量)が15~50質量%、(c)拡散吸収指数が1.40~10g/g/minである吸水剤(1)、(2)は長時間吸収量が275gであり、良好なおむつを提供する。」と記載されるように、「長時間吸収量が275gであり、良好なおむつを提供」し、甲10発明の課題を既に解決しているものであるから、長時間吸収量等が変化する可能性を冒してまで、あえて表面架橋剤を変更する動機付けが甲10発明にあるとはいえない。 ましてや、1回目の表面架橋に用いている、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更すると共に、2回目の表面架橋に用いている、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを、エチレングリコールジグリシジルエーテルに変更した上で、表面架橋剤のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤の使用量に対する比を0.5~0.9とし、表面架橋剤の使用量を、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03~0.5重量%とすることは、当業者が容易に想到し得る事項であるとはいえない。 また、甲1、3、9、12~14、16、20は、上記相違点8に係る本件発明11の構成を教示するものではない。 なお、本件発明11では、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用するところ、甲10発明における表面架橋に用いる、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールは、多価アルコールであるから、仮にこれらを希釈剤として考えた場合、1回目の表面架橋における表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテルのみになるものの2回目の表面架橋の際に、表面架橋剤が存在しないことになるから、甲10発明において、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールを希釈剤とすることはできない。 (ウ)小括 以上のとおり、上記相違点8は、実質的な相違点であるし、上記相違点8に係る本件発明11の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明11は、甲10発明ではないし、甲10発明及び甲1、3、9、12~14、16、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明13~15について 本件発明13~15は、本件発明11を引用し、これを、さらに限定するものであるところ、本件発明11が、甲10発明ではないし、甲10発明及び甲1、3、9、12~14、16、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明13~15も同様に、甲10発明ではないし、甲10発明及び甲1、3、9、12~14、16、20に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)新規性欠如及び進歩性欠如に関する申立理由1-2、申立理由1-3、申立理由2-1~申立理由2-3に関するまとめ 以上のとおり、申立理由1-2、申立理由1-3、申立理由2-1~申立理由2-3には、理由がない。 第6 むすび 上記第5で検討したとおり、本件特許11、13~15は、特許法第29条第1項及び同法同条第2項の規定に違反してされたものであるとも、同法第36条第4項第1号並びに同条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるということもできず、同法第113条第2号又は第4号に該当するものではないから、上記取消理由1~4及び上記申立理由1~5では、本件特許11、13~15を取り消すことはできない。 また、他に本件特許11、13~15を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件特許1~10、12に対する特許異議の申立ては、本件訂正により、当該特許に係る請求項が削除され、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700095

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  • 2023-700216異議申立 / 2023-09-06 / 維持熱膨張性マイクロカプセル、発泡用樹脂組成物及び発泡体
    共通の審決分類: 113・B01J、121・B01J、536・B01J、537・B01J
  • 2021-701095異議申立 / 2022-12-13 / 訂正認容吸水性樹脂粒子、吸収体、吸収性物品及び止水材
    共通の審決分類: 113・B01J、121・B01J、536・B01J、537・B01J

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